(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】宅配ロッカーシステム
(51)【国際特許分類】
A47G 29/122 20060101AFI20230803BHJP
【FI】
A47G29/122 C
(21)【出願番号】P 2019221467
(22)【出願日】2019-12-06
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 弘友希
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 正樹
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-180588(JP,A)
【文献】特開2005-228201(JP,A)
【文献】特開2004-59228(JP,A)
【文献】特開2017-97620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/12ー29/14
G06F 8/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部と通信する機能を備えた宅配ロッカーと、前記宅配ロッカーと通信ネットワークを介して通信する管理サーバとを有する宅配ロッカーシステムであって、
前記宅配ロッカーは、前記宅配ロッカーの管理者が携行する携帯電話の番号を記憶する電話番号記憶部と、SMSメッセージを前記管理者の携帯電話に送信する携帯通信部とを有する一方、
前記管理サーバは、前記宅配ロッカーのソフトウェア情報を記憶するソフトウェア情報記憶部と、前記宅配ロッカーのソフトウェアの更新を制御するソフトウェア更新制御部とを有し、
前記ソフトウェア更新制御部は、前記宅配ロッカーのソフトウェアを更新する操作を受けたら、前記宅配ロッカーに対して、前記管理者の携帯電話にソフトウェア更新の許可を受けるためのSMSメッセージを送信させて、応答を待つことを特徴とする宅配ロッカーシステム。
【請求項2】
前記宅配ロッカーは、前記管理者が携行する携帯電話の番号が未登録であれば、前記宅配ロッカーの機能を停止して動作させない宅配機能制御部を有することを特徴とする請求項1記載の宅配ロッカーシステム。
【請求項3】
外部と通信する機能を備えた宅配ロッカーと、前記宅配ロッカーと通信ネットワークを介して通信する管理サーバとを有する宅配ロッカーシステムであって、
前記管理サーバは、前記宅配ロッカーの管理者が携行する携帯電話の番号を記憶する電話番号記憶部と、SMSメッセージを前記管理者の携帯電話に送信する携帯通信部と、
前記宅配ロッカーのソフトウェア情報を記憶するソフトウェア情報記憶部と、前記宅配ロッカーのソフトウェアの更新を制御するソフトウェア更新制御部とを有し、
前記ソフトウェア更新制御部は、前記宅配ロッカーのソフトウェアを更新する操作を受けたら、前記管理者の携帯電話にソフトウェア更新の許可を受けるためのSMSメッセージを送信して応答を待つことを特徴とする宅配ロッカーシステム。
【請求項4】
前記管理サーバは、前記管理者が携行する携帯電話の番号が未登録であれば、当該管理者が管理する宅配ロッカーの機能を停止させて動作しないよう制御する宅配機能制御部を有することを特徴とする請求項3記載の宅配ロッカーシステム。
【請求項5】
前記ソフトウェア更新制御部は、前記SMSメッセージを送信した前記携帯電話から許可の返信を受けたら、所定のタイミングで前記宅配ロッカーのソフトウェアの更新を開始することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の宅配ロッカーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配ロッカーが外部と通信する機能を備えた宅配ロッカーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
外部と通信する機能を備えて、荷物の受取人に着荷を通知したり、宅配業者が配達前に宅配ロッカーの状態を把握できる機能を備えた宅配ロッカーシステムがある。
例えば特許文献1では、集合住宅のエントランスに設置された宅配ボックスが通信ネットワークを介してサーバと通信する機能を備えて、荷物が収容されたらその情報をサーバに通知し、収容した際に入力された情報を基に、帰宅した居住者がID等を認証装置に入力すると、着荷の有無が表示される宅配ロッカーシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記宅配ロッカーシステムのように、外部と通信する機能を備えたものは、そのソフトウェアを更新しようとした場合、メーカー或いは管理会社から宅配ロッカーの管理者に対してソフトウェア更新の案内を郵送等で送付し、承諾を得たら現場でソフトウェアの更新を行った。
このように、ソフトウェアの更新は管理者の同意を得た上で実施しなければならないため、案内の送付が必要であるが、管理人が変更されていたり、管理者住所が不十分な場合があり、同意を得るのが容易ではなく面倒な作業となっていた。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、ソフトウェア更新の手続きをスムーズに進めることができる宅配ロッカーシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、外部と通信する機能を備えた宅配ロッカーと、宅配ロッカーと通信ネットワークを介して通信する管理サーバとを有する宅配ロッカーシステムであって、宅配ロッカーは、宅配ロッカーの管理者が携行する携帯電話の番号を記憶する電話番号記憶部と、SMSメッセージを管理者の携帯電話に送信する携帯通信部とを有する一方、管理サーバは、宅配ロッカーのソフトウェア情報を記憶するソフトウェア情報記憶部と、宅配ロッカーのソフトウェアの更新を制御するソフトウェア更新制御部とを有し、ソフトウェア更新制御部は、宅配ロッカーのソフトウェアを更新する操作を受けたら、宅配ロッカーに対して、管理者の携帯電話にソフトウェア更新の許可を受けるためのSMSメッセージを送信させて、応答を待つことを特徴とする。
この構成によれば、登録されている管理者の携帯電話に対して、ソフトウェア更新の案内がSMSメッセージで通知されるため、管理者の住所やメールアドレスが分からなくても通知することができ、ソフトウェアの更新手続きをスムーズに進めることができる。一方、携帯電話に通知が成されることで、管理者は応答し易い。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、宅配ロッカーは、管理者が携行する携帯電話の番号が未登録であれば、宅配ロッカーの機能を停止して動作させない宅配機能制御部を有することを特徴とする。
この構成によれば、宅配ロッカーを使用可能な状態にするには、管理者が携行する携帯電話の電話番号を登録しなければならない。よって、使用中の宅配ロッカーは確実に登録されているため、ソフトウェアを更新する際の確認操作が手間取るようなことがない。
【0008】
請求項3の発明は、外部と通信する機能を備えた宅配ロッカーと、宅配ロッカーと通信ネットワークを介して通信する管理サーバとを有する宅配ロッカーシステムであって、管理サーバは、宅配ロッカーの管理者が携行する携帯電話の番号を記憶する電話番号記憶部と、SMSメッセージを管理者の携帯電話に送信する携帯通信部と、宅配ロッカーのソフトウェア情報を記憶するソフトウェア情報記憶部と、宅配ロッカーのソフトウェアの更新を制御するソフトウェア更新制御部とを有し、ソフトウェア更新制御部は、宅配ロッカーのソフトウェアを更新する操作を受けたら、管理者の携帯電話にソフトウェア更新の許可を受けるためのSMSメッセージを送信して応答を待つことを特徴とする。
この構成によれば、登録されている管理者の携帯電話に対して、ソフトウェア更新の案内がSMSメッセージで通知されるため、管理者の住所やメールアドレスが分からなくても通知することができ、ソフトウェアの更新手続きをスムーズに進めることができる。一方、携帯電話に通知が成されることで、管理者は応答し易い。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載の構成において、管理サーバは、管理者が携行する携帯電話の番号が未登録であれば、当該管理者が管理する宅配ロッカーの機能を停止させて動作しないよう制御する宅配機能制御部を有することを特徴とする。
この構成によれば、宅配ロッカーを使用可能な状態にするには、管理者が携行する携帯電話の電話番号を登録しなければならない。よって、使用中の宅配ロッカーは確実に登録されているため、ソフトウェアを更新する際の確認操作が手間取るようなことがない。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の構成において、ソフトウェア更新制御部は、SMSメッセージを送信した携帯電話から許可の返信を受けたら、所定のタイミングで宅配ロッカーのソフトウェアの更新を開始することを特徴とする。
この構成によれば、許可を受けると宅配ロッカーのソフトウェアが自動更新されるため、更新のために作業者を派遣する必要がない。また、ソフトウェア更新は所定のタイミングで実施されるため、夜間等に実施させることができ、宅配ロッカーが使用中であっても、利用者に迷惑を掛けないよう実施できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、登録されている管理者の携帯電話に対して、ソフトウェア更新の案内がSMSで通知されるため、管理者の住所やメールアドレスが分からなくても通知することができ、ソフトウェアの更新手続きをスムーズに進めることができる。一方、携帯電話に通知が成されることで、管理者は応答し易い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る宅配ロッカーシステムの一例を示す構成図であり、主要機器をブロック図で示している。
【
図2】バージョンアップの案内通知の流れを示すフローチャートである。
【
図3】バージョンアップの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る宅配ロッカーシステムの一例を示す構成図である。
図1において、1は宅配ロッカー、2は宅配ロッカー1を管理する管理サーバ、3は宅配ロッカー1の管理者が携行する携帯電話、4は宅配ロッカー1のメーカー等に設置されて管理サーバ2を操作する操作端末である。
【0014】
宅配ロッカー1は、
図1に示すように荷物の収容部毎に設けられている電気錠11、施錠操作及び管理者の携帯電話番号、利用者の携帯電話番号等の入力を行う操作部12、入力された電話番号等の各種情報を記憶する設定情報記憶部13、通信ネットワークNを介して外部と通信する宅配ロッカー通信IF14、宅配ロッカー1を制御する宅配ロッカー制御部15等を備えている。尚、宅配ロッカー通信IF14は、管理サーバ2と通信する機能に加えて、携帯電話3に対してSMSで情報を送受する携帯通信部としての機能を備えている。
【0015】
管理サーバ2は、宅配ロッカー1のアドレス情報を記憶する宅配ロッカー情報記憶部21、更新するソフトウェア情報を記憶するソフトウェア情報記憶部22、管理サーバ2を制御する管理サーバ制御部23、宅配ロッカー1及び操作端末4と通信する管理サーバ通信IF24等を備えている。管理サーバ2と操作端末4とは、通信ネットワークN或いは通信線を介して接続されている。
宅配ロッカー1と管理サーバ2とは、通信ネットワークNを介して例えばIP通信を実施し、宅配ロッカー1と管理者の携帯電話3とはSNS通信を実施する。
【0016】
上記の如く構成された宅配ロッカーシステムにおいて、ソフトウェアの更新は次のように実施される。
図2,3の宅配ロッカー1の制御フローに基づいて説明する。
図2はバージョンアップの案内通知の流れを示し、
図3はバージョンアップの流れを示している。
尚、宅配ロッカー1は、管理者の携帯電話の電話番号が登録されていなければ、機能を停止して、操作部12が操作されても電気錠11等が動作しないよう宅配ロッカー制御部15が制御するよう構成されている。
【0017】
まず、ソフトウェアのバージョンアップの必要が発生したら、操作端末4を介してメーカ-から管理サーバ2にバージョンアップのソフトウェアが登録され、バージョンアップ対象の宅配ロッカーのID等が通知される。
管理サーバ2は、この通知を受けてバージョンアップ対象の宅配ロッカー1に対してバージョンアップの案内を出し、パージョンアップ制御を開始する。
【0018】
一方、宅配ロッカー1は
図2に示すように、管理サーバ2と定期的に通信を実施(S1)し、管理サーバ2により状態が管理されている。この状態で管理サーバ2より、バージョンアップの案内命令がある(S2)と、宅配ロッカー制御部15は、登録されている宅配ロッカー1の管理者の携帯電話3に対して、バージョンアップ案内を電話番号を使用したSMSメッセージで送信する(S3)。
【0019】
携帯電話3のメッセージ受信により、バージョンアップする旨を認識した管理者が、携帯電話3を操作してSMSで許可応答を行うと、この許可通知を認識した宅配ロッカー1から管理サーバ2に対して許可を受けた旨が通知される。
その後、
図3に示す流れで動作する。許可を受けた管理サーバ2は、バージョンアップする所定の日時を通知(S11)し、この日時情報は宅配ロッカー1からSMSで管理者に通知される。こうして、設定された日時においてバージョンアップが実施される(S12)。尚、バージョンアップする日時は、予めメーカーが設定して管理サーバ2に登録されている。この設定日時は、複数設定して管理者が選択しても良い。
バージョンアップは管理サーバ制御部23の制御で実施され、バージョンアップが完了したらバージョンアップ完了の通知が管理者の携帯電話3にSMS送信される(S13)。
【0020】
このように、登録されている管理者の携帯電話3に対して、ソフトウェア更新の案内がSMSメッセージで通知されるため、管理者の住所やメールアドレスが分からなくても通知することができ、ソフトウェアの更新手続きをスムーズに進めることができる。一方、携帯電話3に通知が成されることで、管理者は応答し易い。
また、宅配ロッカー1を使用可能な状態にするには、管理者が携行する携帯電話3の電話番号を登録しなければならない。そのため、使用中の宅配ロッカー1は確実に電話番号が登録されているため、ソフトウェアを更新する際の確認操作が手間取るようなことがない。
更に、管理者から許可を受けると、宅配ロッカー1のソフトウェアが自動更新されるため、更新のために作業者を派遣する必要がない。また、ソフトウェア更新は所定のタイミングで実施されるため、夜間等に実施させることができ、宅配ロッカーが使用中であっても、利用者に迷惑を掛けないよう実施できる。
【0021】
ここで、上記宅配ロッカーシステムの基本動作である宅配ロッカー1への荷物の収容、及び取り出しを簡単に説明する。受取人が不在等で直接受取人に荷物を渡せない場合に宅配ロッカー1が使用され、開いている宅配ロッカーに荷物を収容して施錠される。
施錠は操作部12が所定の施錠操作されて実施され、施錠操作することで宅配ロッカー1は図示しない発行部から受領書を発行し、施錠操作した宅配業者がそれを受け取る。
また、この施錠操作時に、宅配ロッカー1の操作部12から受取人の携帯電話番号が入力され、宅配ロッカー1から入力された番号の携帯電話に荷物預け入れの通知がSMS送信される。こうして配達は完了となる。
【0022】
SMSにより荷物の到着通知を受けた受取人は、合わせて通知された解錠ID等を使用して宅配ロッカーの操作部12を解錠操作し、解錠した宅配ロッカー1を開けて荷物を受け取る。こうして、配達された荷物は受取人に受け取られ、宅配ロッカー1は開いた状態と成り次の預け入れを待つ。
【0023】
尚、上記形態は、宅配ロッカー1を介して宅配ロッカー1のバージョンアップ案内を管理者に通知しているが、
図1の構成において、管理サーバ2に管理者の携帯電話番号を記憶する電話番号記憶部を設け、更に管理サーバ通信IF24にSMS送信を実施する携帯通信部としての機能を設けても良い。このように構成すれば、宅配ロッカー1を経由すること無く管理サーバ2から管理者の携帯電話3に直接SMS送信を実施することができる。
また、このように管理サーバ2に電話番号記憶部を設けた場合、管理サーバ2に管理者の携帯電話番号が未登録であれば、宅配ロッカー1の機能を停止させて動作させないよう管理サーバ制御部23に制御させても良い。そうすることで、上記形態と同様に宅配ロッカー1を使用可能な状態にするためには、管理者が携行する携帯電話3の電話番号が確実に登録されており、ソフトウェアを更新する際の確認操作が手間取るようなことが無い。
【符号の説明】
【0024】
1・・宅配ロッカー、2・・管理サーバ、3・・携帯電話、4・・操作端末、11・・電気錠、12・・操作部、13・・設定情報記憶部(電話番号記憶部)、14・・宅配ロッカー通信IF(携帯通信部)、15・・宅配ロッカー制御部(宅配機能制御部)、21・・宅配ロッカー情報記憶部、22・・ソフトウェア情報記憶部、23・・管理サーバ制御部(ソフトウェア更新制御部、宅配機能制御部)、24・・管理サーバ通信IF(携帯通信部)、N・・通信ネットワーク。