(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】クロック生成回路、および電源IC
(51)【国際特許分類】
H03K 3/0231 20060101AFI20230803BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20230803BHJP
H03K 4/06 20060101ALI20230803BHJP
H03K 5/156 20060101ALN20230803BHJP
【FI】
H03K3/0231
H02M3/155 H
H02M3/155 U
H03K4/06 910
H03K5/156 A
(21)【出願番号】P 2019223186
(22)【出願日】2019-12-10
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】押川 克寛
(72)【発明者】
【氏名】長 政博
(72)【発明者】
【氏名】上阪 岬
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-034884(JP,A)
【文献】特開2018-129907(JP,A)
【文献】特開2005-318797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 3/00-5/26
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部コンデンサを外部接続可能な端子を有するICに含まれるクロック生成回路であり、
電源電圧とグランドとの間に配置されて接続ノードにて接続される第1定電流回路および第2定電流回路と、
前記端子が接続される前記接続ノードに接続される第1入力端と、第1基準電圧と前記第1基準電圧よりも低い第2基準電圧とが切り替え可能に印加される第2入力端と、を有して、出力により前記第1定電流回路および前記第2定電流回路のオンオフを制御する第1コンパレータと、
前記端子が接続される第1入力端と、前記第1基準電圧と前記第1基準電圧よりも低い第3基準電圧とが切り替え可能に印加される第2入力端と、を有して、イネーブル信号を出力する第2コンパレータと、
前記イネーブル信号に応じて、第4基準電圧と、前記端子に生じる端子電圧とのいずれかを選択する第1スイッチと、
前記第1スイッチにより選択された電圧と、前記第1基準電圧より高く且つ前記第4基準電圧より低い第5基準電圧と、のうち低いほうの電圧を選択する選択部と、
前記選択部により選択された電圧に応じた周波数のクロック信号を生成するVCO(Voltage-controlled oscillator)と、
を有する、クロック生成回路。
【請求項2】
前記選択部は、
前記スイッチにより選択された電圧が印加されるベースと、グランドに接続されるコレクタと、を有する第1PNPトランジスタと、
前記第5基準電圧が印加されるベースと、グランドに接続されるコレクタと、を有する第2PNPトランジスタと、
電源電圧の印加端と前記第1PNPトランジスタおよび前記第2PNPトランジスタの各エミッタとの間に配置される第3定電流回路と、
を有する、請求項1に記載のクロック生成回路。
【請求項3】
前記VCOは、
前記第1PNPトランジスタおよび前記第2PNPトランジスタの各エミッタに接続されるベースを有するNPNトランジスタと、
前記NPNトランジスタのエミッタとグランドとの間に接続される抵抗と、
前記NPNトランジスタのコレクタに接続されるカレントミラーと、
前記カレントミラーからの出力電流により充電可能なコンデンサと、
前記コンデンサを放電させる第2スイッチと、
前記コンデンサの電圧が入力される第1入力端と、第6基準電圧が印加される第2入力端と、を有して出力により前記第2スイッチを制御する第3コンパレータと、
を有する、請求項2に記載のクロック生成回路。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のクロック生成回路と、
前記端子と、を有する、電源IC。
【請求項5】
平面視で矩形状の電源ICであり、
DC/DCコンバータを含み、
第1辺と、前記第1辺と対向する第2辺と、第3辺と、前記第3辺と対向する第4辺と、を有し、
電源電圧が入力される電源端子、グランド端子、前記DC/DCコンバータに含まれる上側トラジスタと下側トランジスタとが接続されるノードに接続されるスイッチング端子、帰還電圧が入力される帰還電圧端子、内部電圧が出力されるVREG端子、および、ブートストラップ用のブートコンデンサが接続可能なBOOT端子は、前記第1辺、前記第2辺および前記第3辺の少なくともいずれかに配置され、
前記第4辺には、それ以外の端子のみが配置される、請求項4に記載の電源IC。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロック生成回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器には、EMC(Electro-Magnetic Compatibility:電磁両立性)、すなわち電磁的に他の機器に悪影響を及ぼさない不干渉性と、他の機器から電磁的に悪影響を受けない耐性とが求められる。前者は、電磁妨害(EMI:Electro Magnetic Interference)として評価され、後者は電磁感受性(EMS:Electro Magnetic Susceptibility)として評価される。
【0003】
複数のDC/DCコンバータを備えたPMIC(パワーマネジメントIC)などの電源ICは、ノイズ源となることが知られている。従って、電源ICでは、EMI対策を行うことが必要となる。
【0004】
EMI対策の一つとして、スペクトラム拡散機能が知られている(例えば特許文献1)。スペクトラム拡散機能は、発生させるクロックの周波数を時間的に変化させることにより、スペクトラムの周波数を分散させてスペクトラムのパワーのピークを抑制するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、電源ICの端子数は、なるべく少ないほうが望ましい。
【0007】
上記状況に鑑み、本発明は、スペクトラム拡散機能に関連する端子の数を抑制できるクロック生成回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の一態様は、外部コンデンサを外部接続可能な端子を有するICに含まれるクロック生成回路であり、
電源電圧とグランドとの間に配置されて接続ノードにて接続される第1定電流回路および第2定電流回路と、
前記端子が接続される前記接続ノードに接続される第1入力端と、第1基準電圧と前記第1基準電圧よりも低い第2基準電圧とが切り替え可能に印加される第2入力端と、を有して、出力により前記第1定電流回路および前記第2定電流回路のオンオフを制御する第1コンパレータと、
前記端子が接続される第1入力端と、前記第1基準電圧と前記第1基準電圧よりも低い第3基準電圧とが切り替え可能に印加される第2入力端と、を有して、イネーブル信号を出力する第2コンパレータと、
前記イネーブル信号に応じて、第4基準電圧と、前記端子に生じる端子電圧とのいずれかを選択する第1スイッチと、
前記第1スイッチにより選択された電圧と、前記第1基準電圧より高く且つ前記第4基準電圧より低い第5基準電圧と、のうち低いほうの電圧を選択する選択部と、
前記選択部により選択された電圧に応じた周波数のクロック信号を生成するVCO(Voltage-controlled oscillator)と、
を有する構成としている(第1の構成)。
【0009】
また、上記第1の構成において、前記選択部は、
前記スイッチにより選択された電圧が印加されるベースと、グランドに接続されるコレクタと、を有する第1PNPトランジスタと、
前記第5基準電圧が印加されるベースと、グランドに接続されるコレクタと、を有する第2PNPトランジスタと、
電源電圧の印加端と前記第1PNPトランジスタおよび前記第2PNPトランジスタの各エミッタとの間に配置される第3定電流回路と、
を有することとしてもよい(第2の構成)。
【0010】
また、上記第2の構成において、前記VCOは、
前記第1PNPトランジスタおよび前記第2PNPトランジスタの各エミッタに接続されるベースを有するNPNトランジスタと、
前記NPNトランジスタのエミッタとグランドとの間に接続される抵抗と、
前記NPNトランジスタのコレクタに接続されるカレントミラーと、
前記カレントミラーからの出力電流により充電可能なコンデンサと、
前記コンデンサを放電させる第2スイッチと、
前記コンデンサの電圧が入力される第1入力端と、第6基準電圧が印加される第2入力端と、を有して出力により前記第2スイッチを制御する第3コンパレータと、
を有することとしてもよい(第3の構成)。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記いずれかの構成であるクロック生成回路と、前記端子と、を有する、電源ICである(第4の構成)。
【0012】
また、上記第4の構成は、平面視で矩形状の電源ICであり、
DC/DCコンバータを含み、
第1辺と、前記第1辺と対向する第2辺と、第3辺と、前記第3辺と対向する第4辺と、を有し、
電源電圧が入力される電源端子、グランド端子、前記DC/DCコンバータに含まれる上側トラジスタと下側トランジスタとが接続されるノードに接続されるスイッチング端子、帰還電圧が入力される帰還電圧端子、内部電圧が出力されるVREG端子、および、ブートストラップ用のブートコンデンサが接続可能なBOOT端子は、前記第1辺、前記第2辺および前記第3辺の少なくともいずれかに配置され、
前記第4辺には、それ以外の端子のみが配置されることとしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のクロック生成回路によれば、スペクトラム拡散機能に関連する端子の数を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】PMICの内部構成を示すブロック図である。
【
図3】PMICから電源を供給されるCMOSセンサを示す図である。
【
図4】PMICにおける発振器の構成例を要部的に示す図である。
【
図5】SSCG端子にコンデンサを外部接続した場合の発振器の起動動作を示すタイミングチャートである。
【
図6】PMICにおける第1DC/DCコンバータの構成を要部的に示す図である。
【
図7】PMICにおける第2DC/DCコンバータまたは第3DC/DCコンバータの構成を要部的に示す図である。
【
図8】IC外部のLDOに関連するPMICにおける構成を要部的に示す図である。
【
図9】立上げシーケンスの一例を示すタイミングチャートである。
【
図10】
図9に示した立上げシーケンスに対応した立下げシーケンスを示すタイミングチャートである。
【
図11】
図8のPMICの構成において、外付けのLDOを仮に使用しない場合を示す図である。
【
図12】
図8に示すPMICの構成の一変形例を示す図である。
【
図13】過電圧/低電圧検出信号のマスク判定を表す表である。
【
図14】
図12の構成における立上げシーケンスを示すタイミングチャートである。
【
図16】LDOの使用形態の別の一例を示す図である。
【
図17】MODE0~MODE2端子によるモード設定に応じた設定内容の一例を示す表である。
【
図19】基板上のレイアウト例を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。ここでは、電源装置の一例として、PMIC(パワーマネジメントIC)について説明する。
【0016】
<1.PMICの全体構成>
図1は、本発明の例示的な実施形態に係るPMIC1の外部端子構成を示す図である。
図2は、PMIC1の内部構成を示すブロック図である。PMIC1は、車載用のCMOSセンサ(CMOSカメラ)に電源を供給するICである。
【0017】
PMIC1は、外部との電気的接続を確立するための外部端子として、VCC端子、EN端子、SSCG端子、RT端子、MODE0端子、MODE1端子、MODE2端子、FB_LDO端子、VO1端子、VO2端子、VO3端子、VS2端子、VS3端子、SW1端子、SW2端子、SW3端子、PGND23端子、GND端子、PGND1端子、BOOT端子、PVCC端子、PGOOD端子、EN_LDO端子、およびVREG端子を備えている。
【0018】
PMIC1は、内部構成として、UVLO部2と、内部電圧生成部3と、参照電圧生成部4と、参照電圧生成部5と、TSD部6と、UVLO部7と、UVLO部8と、発振器(クロック生成回路)9と、制御ロジック部10と、第1DC/DCコンバータ11と、第2DC/DCコンバータ12と、第3DC/DCコンバータ13と、過電圧/低電圧検出部14と、ドライバ15と、NMOSトランジスタ16と、を1チップに集積化して備えている。
【0019】
VCC端子には、外部より電源電圧Vccが印加され、グランドとの間にバイパスコンデンサ(パスコン)であるコンデンサC1が外部接続される。
【0020】
UVLO(Under Voltage Lock Out)部2は、電源電圧Vccが所定の検出電圧以下となったことを検出するための回路である。UVLO部2は、電源電圧Vccが上記検出電圧以下となった場合、検出信号UVLO_VCCをUVLO検出状態とし、電源電圧Vccが所定の復帰電圧以上となった場合、検出信号UVLO_VCCをUVLO解除状態とする。制御ロジック部10は、検出信号UVLO_VCCに応じた制御を行う。
【0021】
VREG3は、電源電圧Vccに基づいて内部電圧Vregを生成する。内部電圧Vregは、IC内部の電源電圧として利用され、VREG端子から出力される。VREG端子には、グランドとの間にパスコンであるコンデンサC2が接続される。
【0022】
EN端子には、外部よりイネーブル信号Enが入力される。イネーブル信号Enは、EN端子を介して内部電圧生成部3と制御ロジック部10に入力される。
【0023】
参照電圧生成部4、5は、それぞれ内部電圧Vregに基づいて参照電圧Vref1、Vreg2を生成する。
【0024】
TSD(サーマルシャットダウン)部6は、ICのジャンクション温度が所定温度以上となったことを検出すると、その旨を示す過熱検出信号Tsdを制御ロジック部10に出力する。これにより、制御ロジック部10は、ICのシャットダウンを行う。
【0025】
UVLO部7は、内部電圧Vregに対するUVLO検出を行う回路であり、検出信号UVLO_VREGを制御ロジック部10に出力する。UVLO部8は、VS2端子に印加される出力電圧Vo1に対するUVLO検出を行う回路であり、検出信号UVLO_VSを制御ロジック部10に出力する。出力電圧Vo1は、第1DC/DCコンバータ11によって出力される電圧である。
【0026】
発振器9は、クロック信号を生成する回路であり、生成したクロック信号を制御ロジック部10や、第1DC/DCコンバータ11、第2DC/DCコンバータ12、および第3DC/CDコンバータ13に出力する(クロック信号CLKi(i=1~3))。発振器9は、クロック信号の周波数を時間的に変化させるスペクトラム拡散機能を有している。SSCG端子に外部接続されるコンデンサC3によってスペクトラム拡散の変調周波数が設定される。なお、後述するように、本実施形態では、SSCG端子の1つの端子によって、スペクトラム拡散機能の有効・無効を切替える制御を行うことが可能となっている。発振器9の詳細な構成については、後述する。また、RT端子に外部接続される抵抗R1により、発振器9により生成されるクロック信号の発振周波数を設定できる。
【0027】
制御ロジック部10は、UVLO検出信号UVLO_VCC、UVLO検出信号UVLO_VREG、UVLO検出信号UVLO_VS、過電圧検出信号VSOVP、低電圧検出信号LVDi(i=1~4)、過電圧検出信号OVDi(i=1~4)、過電流検出信号OCP、および過熱検出信号Tsdの各種保護信号を入力され、当該保護信号に基づいて保護制御を行う。また、制御ロジック部10は、後述するような電源回路の立上げ/立下げシーケンス制御を行うことも可能である。
【0028】
MODE0~MODE2端子には、HighまたはLowレベルが設定される(
図1は、すべての端子にLowレベル(グランド)が設定された例である)。制御ロジック部10は、MODE0~MODE3端子のレベル設定に応じたモード切替え制御を行う。
【0029】
第1DC/DCコンバータ11は、PVCC端子に印加される電源電圧Vccを出力電圧Vo1にDC/DC変換して出力させる電源回路である。第1DC/DCコンバータ11には、制御ロジック部10から制御信号CTL1が入力され、発振器9からクロック信号CLK1が入力される。
【0030】
第2DC/DCコンバータ12は、VS2端子に印加される出力電圧Vo1を入力電圧として出力電圧Vo2にDC/DC変換して出力させる電源回路である。第2DC/DCコンバータ12には、制御ロジック部10から制御信号CTL2が入力され、発振器9からクロック信号CLK2が入力される。
【0031】
第3DC/DCコンバータ13は、VS3端子に印加される出力電圧Vo1を入力電圧として出力電圧Vo3にDC/DC変換して出力させる電源回路である。第3DC/DCコンバータ13には、制御ロジック部10から制御信号CTL3が入力され、発振器9からクロック信号CLK3が入力される。
【0032】
第1DC/DCコンバータ11、第2DC/DCコンバータ12、および第3DC/DCコンバータ13に関する詳細な構成については、後述する。
【0033】
図1に示すLDO(Low Dropout)20は、PMIC1の外部に配置され、出力電圧Vo1を出力電圧Vo4に変換するリニアレギュレータ(電源回路)である。出力電圧Vo4は、FB_LDO端子に帰還入力される。過電圧/低電圧検出部14は、FB_LDO端子から入力される出力電圧Vo4を監視して過電圧検出信号OVD4および低電圧検出信号LVD4を制御ロジック部10に出力する。過電圧/低電圧検出部14の詳細な構成については、後述する。
【0034】
また、LDO20は、制御ロジック部10によりEN_LDO端子から出力されるイネーブル信号En_LDOに基づいて起動・停止制御される。
【0035】
ドライバ15およびNMOSトランジスタ16は、パワーグッド機能に関する構成である。パワーグッド機能は、電源回路の出力が設定した電圧値に到達した時点でフラグを出す機能である。PGOOD端子から外部へフラグ信号PGが出力される。パワーグッド機能に関する構成の詳細については後述する。
【0036】
図3は、PMIC1から電源を供給されるCMOSセンサ30を示す。CMOSセンサ30は、Digital端子、I/O端子、LVDS端子、Analog端子、およびReset端子を有する。Digital端子には、出力電圧Vo2が印加され、I/O端子およびLVDS端子には、出力電圧Vo3が印加され、Analog端子には、出力電圧Vo4が印加される。また、Reset端子には、フラグ信号PGが入力される。
【0037】
<2.発振器の構成>
次に、発振器9の構成の詳細について述べる。
図4は、PMIC1における発振器9の構成例を要部的に示す図である。
図4に示すように、発振器9は、定電流回路91と、定電流回路92と、コンパレータ93と、コンパレータ94と、スイッチ95と、定電流回路96と、PNPトランジスタ97と、PNPトランジスタ98と、VCO99と、を有している。
【0038】
電源電圧(内部電圧)Vregの印加端とグランドとの間に、定電流回路91と定電流回路92が配置される。定電流回路91と定電流回路92との間の接続ノードN91に、コンパレータ93の非反転入力端(+)が接続される。コンパレータ93の反転入力端(-)には、基準電圧V2,V3の印加端が切替え可能に接続される。コンパレータ93の出力に応じて定電流回路91,92のオンオフが制御される。
【0039】
SSCG端子には、接続ノードN91およびコンパレータ94の非反転入力端(+)が接続される。コンパレータ94の反転入力端(-)には、基準電圧V2,V4の印加端が切替え可能に接続される。
【0040】
スイッチ95は、コンパレータ94から出力されるイネーブル信号En9に応じてSSCG端子に生じる端子電圧Vsscg、または電源電圧Vregを選択して電圧V91として出力する。
【0041】
スイッチ95から出力される電圧V91は、PNPトランジスタ97のベースに印加される。PNPトランジスタ97のコレクタは、グランドに接続される。PNPトランジスタ98のベースには、基準電圧V1が印加され、コレクタには、グランドが接続される。電源電圧Vregの印加端とPNPトランジスタ97,98のエミッタとの間に定電流回路96が配置される。
【0042】
VCO(Voltage-controlled oscillator)99は、PNPトランジスタ97,98のエミッタと定電流回路96とが接続される接続ノードN92に生じる電圧V92に応じた発振周波数のクロック信号CLKを出力する回路である。VCO99は、NPNトランジスタ99Bと、カレントミラー99Cと、コンデンサ99Dと、コンパレータ99Eと、スイッチ99Fと、を有する。
【0043】
NPNトランジスタ99Bのベースには、電圧V92が印加される。NPNトランジスタ99Bのエミッタには、RT端子を介して抵抗R1の第1端が接続される。抵抗R1の第2端は、グランドに接続される。カレントミラー99Cは、PMOSトランジスタにより構成され、抵抗R1に流れる電流と同じ電流値の電流をコンデンサ99Dへ流す。コンパレータ99Eの非反転入力端(+)には、コンデンサ99Dの第1端が接続される。コンパレータ99Eの反転入力端(-)には、基準電圧Ref9が印加される。スイッチ99Fは、コンデンサ99Dを放電させるためのスイッチである。
【0044】
電圧V91と基準電圧V1のうち低いほうが選択されて、選択された電圧にPNPトランジスタ97,98のベース・エミッタ間電圧が足されて電圧V92が生じる。電圧V92からNPNトランジスタ99Bのベース・エミッタ間電圧が引かれた電圧と抵抗R1により定電流I99が生じる。電圧V91と基準電圧V1のうち選択された電圧をVsとすれば、定電流I99の電流値は、Vs/R1となる(R1:抵抗R1の抵抗値)。このような定電流I99は、カレントミラー99Cによりコンデンサ99D側へミラーリングされる。
【0045】
スイッチ99Fがオフであり、定電流によりコンデンサ99Dが充電されると、コンデンサ99Dに生じる電圧V93が0Vから上昇してゆき、基準電圧Ref9を超えると、コンパレータ99Eの出力であるクロック信号CLKはHighとなる。すると、スイッチ99Fがオンとされ、コンデンサ99Dは放電され、電圧V93が0Vまで低下し、クロック信号CLKはLowとされる。そして、再びスイッチ99Fがオフとされ、コンデンサ99Dの充電が開始される。このようにして、HighとLowを繰り返すクロック信号CLKが生成される。
【0046】
クロック信号CLKの周波数fは、下記のように表される。
f=1/t
ただし、t=(C×Ref9)/(Vs/R1) C:コンデンサ99Dの容量
【0047】
すなわち、電圧V91と基準電圧V1のうち選択された電圧Vsに応じた周波数のクロック信号CLKが生成される。また、抵抗R1の抵抗値により、クロック信号CLKの周波数fを設定可能となる。
【0048】
このような構成である発振器9の動作について述べる。
図5は、SSCG端子にコンデンサC3(
図4)を外部接続した場合の発振器9の起動動作を示すタイミングチャートである。
図5に示すように、各電圧の大小関係は、Vreg>V1>V2>V3>V4となっている。
【0049】
まず、タイミングt0で端子電圧Vsscgは0Vであり、コンパレータ93の出力は基準電圧V2との比較でLowであり、定電流回路91がオン、定電流回路92はオフとされる。これにより、コンデンサC3に定電流回路91による充電が開始され、端子電圧Vsscgが上昇を開始する。このとき、コンパレータ94は、基準電圧V2との比較でイネーブル信号En9をLowとし、スイッチ95により電源電圧Vregが選択される。これにより、電圧V91はVregとなり、VregとV1のうち低いほうのV1が選択される。従って、基準電圧V1に応じた一定の周波数のクロック信号CLKが生成される。
【0050】
その後、タイミングt1で端子電圧Vsscgが基準電圧V2を超えると、イネーブル信号En9はHighとなり、スイッチ95により端子電圧Vsscgが選択される。これにより、電圧V91は端子電圧Vsscg(=V2)となり、VsscgとV1のうち低いほうのVVsscgが選択される。従って、Vsscgに応じた周波数のクロック信号CLKが生成される。
【0051】
このとき、コンパレータ93の出力はHighとなり、定電流回路91はオフ、定電流回路92はオンとされ、コンデンサC3の放電が開始され、端子電圧Vsscgの低下が開始される。端子電圧Vsscgが基準電圧V3より低くなると、コンパレータ93の出力はLowとなり、定電流回路91はオン、定電流回路92はオフとされ、コンデンサC3の充電が開始される。これにより、端子電圧Vsscgは、基準電圧V2とV3との間を上昇・低下する三角波となる。従って、端子電圧VsscgとV1のうち端子電圧Vsscgが常に低くなって選択され、三角波としての端子電圧Vsscgに応じた周波数のクロック信号CLKが生成される。
【0052】
なお、タイミングt1でコンパレータ94は、基準電圧をV4に切替えるが、端子電圧VsscgはV2とV3との間の三角波となるのでV4を下回ることはなく、イネーブル信号En9はHighで維持される。
【0053】
これにより、クロック信号CLKの周波数が時間的に変化するので、スペクトラムの周波数を分散させてスペクトラムのパワーのピークを抑制するスペクトラム拡散機能が有効となる。SSCG端子に外部接続されるコンデンサC3の容量に応じて、三角波である端子電圧Vsscgの周波数が決まるので、スペクトラム拡散の変調周波数も決まる。具体的には、コンデンサC3の容量が大きいほど、スペクトラム拡散の変調周波数は低くなる。
【0054】
スペクトラム拡散の変調周波数は低いほうがパワーのピークを低減させることができるが、本実施形態では、SSCG端子を設けてコンデンサC3を外付けで配置することとしているので、コンデンサC3の容量を大きくすることが容易である。
【0055】
また、スペクトラム拡散機能を無効とする場合は、SSCG端子にはグランドを外部接続すればよい。この場合、コンパレータ94の出力であるイネーブル信号En9はLowを維持され、スイッチ95によりVregの選択が維持される。これにより、VregとV1のうち低いほうのV1に応じた一定の周波数のクロック信号CLKが生成されることとなり、スペクトラム拡散機能が無効となる。
【0056】
このように、本実施形態では、SSCG端子の1つの端子により、スペクトラム拡散の変調周波数の設定と、スペクトラム拡散機能の有効・無効制御を実現可能となるので、端子数の削減効果につなげることができる。
【0057】
<3.DC/DCコンバータの構成>
次に、PMIC1に内蔵されるDC/DCコンバータの構成について述べる。
【0058】
図6は、PMIC1における第1DC/DCコンバータ11の構成を要部的に示す図である。第1DC/DCコンバータ11は、電源電圧Vccを降圧して出力電圧Vo1に変換する降圧型DC/DCコンバータである。
【0059】
第1DC/DCコンバータ11は、エラーアンプ11Aと、ソフトスタート部11Bと、PWMコンパレータ11Cと、スロープ生成部11Dと、電流検出部11Eと、駆動ロジック部11Fと、コンパレータ11Gと、上側ドライバ11Hと、下側ドライバ11Iと、ドライバ11Jと、を有している。さらに、第1DC/DCコンバータ11は、抵抗R11~R20と、コンパレータCP11~CP13と、検出抵抗Rs11と、上側MOSトランジスタM11と、下側MOSトランジスタM12と、PMOSトランジスタM14と、を有している。
【0060】
また、インダクタL1、ブートコンデンサCb、入力コンデンサCin1、および出力コンデンサCo1は、PMIC1の外部に配置される。
【0061】
出力電圧Vo1は帰還電圧としてVO1端子に印加され、抵抗R11,R12により分圧される。分圧後の電圧は、エラーアンプ11Aの反転入力端(-)に入力される。エラーアンプ11Aの第1非反転入力端(+)には、ソフトスタート部11Bにより生成されるソフトスタート電圧ss1が印加される。エラーアンプ11Aの第2非反転入力端(+)には、参照電圧Vref1を抵抗R13,R14により分圧した電圧が印加される。
【0062】
エラーアンプ11Aは、第1、第2非反転入力端に印加された電圧のうち低いほうの電圧と、反転入力端に印加された電圧との誤差に応じた電流を出力するトランスコンダクタンスアンプである。エラーアンプ11Aの出力端には、PWMコンパレータ11Cの反転入力端(-)と抵抗R15の第1端が接続される。抵抗R15の第2端は、コンデンサC11の第1端に接続される。コンデンサC11の第2端は、グランドに接続される。
【0063】
PWMコンパレータ11Cの非反転入力端(+)には、スロープ生成部11Dにより生成されるスロープ電圧に基づく信号が入力される。PWMコンパレータ11Cは、比較結果としてのPWM信号を駆動ロジック部11Fに出力する。駆動ロジック部11Fは、PWM信号に基づき上側制御信号HSC1および下側制御信号LSC1を出力する。
【0064】
NMOSトランジスタである上側MOSトランジスタM11のドレインは、PVCC端子に接続される。PVCC端子には、電源電圧Vccが印加される。上側MOSトランジスタM11のソースは、接続ノードNsw1にてNMOSトランジスタである下側MOSトランジスタM12のドレインに接続される。下側MOSトランジスタM12のソースは、PGND1端子に接続される。PGND1端子は、グランドに接続される。電源電圧Vccとグランドとの間には、入力コンデンサCin1が接続される。
【0065】
接続ノードNsw1は、SW1端子に接続される。SW1端子は、インダクタL1の第1端に外部接続される。インダクタL1の第2端とグランドとの間には、出力コンデンサCo1が接続される。
【0066】
上側ドライバ11Hは、駆動ロジック部11Fから出力される上側制御信号HSC1に基づき上側MOSトランジスタM11のゲートを駆動する。上側ドライバ11Hは、BOOT端子に生じるブート電圧VbootまたはSW1端子のスイッチング電圧Vsw1を上側MOSトランジスタM11のゲートに印加する。
【0067】
下側ドライバ11Iは、駆動ロジック部11Fから出力される下側制御信号LSC1に基づき下側MOSトランジスタM12のゲートを駆動する。下側ドライバ11Iは、内部電圧VregまたはPGND1端子のグランド電位を下側MOSトランジスタM12のゲートに印加する。
【0068】
これにより、出力電圧Vo1を抵抗R11,R12により分圧した電圧が参照電圧Vref1に基づく基準電圧と一致するようにPWM制御が行われ、駆動ロジック部11Fによってスイッチング素子である上側MOSトランジスタM11および下側MOSトランジスタM12が相補的にスイッチングされる。これにより、出力電圧Vo1は、上記基準電圧と抵抗R11,R12による分圧比に応じた電圧に制御される。
【0069】
なお、上側MOSトランジスタM11を駆動するために、ブートストラップが構成される。BOOT端子とSW1端子との間には、ブートコンデンサCbが接続される。駆動ロジック部11Fは、上側MOSトランジスタM11をオフする際には、ブート制御信号BOOT_Cによりドライバ11JからPMOSトランジスタM14にスイッチング電圧Vsw1を出力させる。これにより、PMOSM14をオンとし、VREG端子とBOOT端子を導通させて、内部電圧VregによりブートコンデンサCbを充電させる。
【0070】
これにより、次に上側MOSトランジスタM11をオンとさせるときに、スイッチング電圧Vsw1よりも高いブート電圧Vbootを上側ドライバ11Hにより上側MOSトランジスタM11のゲートに印加させることができる。このとき、ブート制御信号BOOT_CによりPMOSトランジスタ14はオフであり、ブートコンデンサCbは放電される。
【0071】
また、検出抵抗Rs11の第1端は、PVCC端子に接続される。検出抵抗Rs11の第2端は、NMOSトランジスタ13のドレインに接続される。NMOSトランジスタ13のソースは、接続ノードNsw1に接続される。
【0072】
検出抵抗Rs11とNMOSトランジスタ13とが接続されるノードは、コンパレータ11Gの反転入力端(-)に接続される。コンパレータ11Gの非反転入力端(+)には、PVCC端子電圧から基準電圧REF11だけ低い電圧が印加される。
【0073】
NMOSトランジスタ13のゲートは、上側ドライバ11Hにより駆動される。すなわち、NMOSトランジスタ13は、上側MOSトランジスタM11と同期してオンオフされる。上側MOSトランジスタM11がオン、すなわちNMOSトランジスタ13がオンのとき、検出抵抗Rs11の両端間には、上側MOSトランジスタM11を流れる電流と上側MOSトランジスタM11のオン抵抗により生じる電圧がほぼ印加される。PVCC端子電圧から検出抵抗Rs11の両端間電圧だけ低下した電圧が、PVCC端子電圧から基準電圧REF11だけ低下した電圧より低くなると、コンパレータ11Gは、過電流を検出したとしてHighの過電流検出信号OCP1を駆動ロジック部11Fに出力する。これにより、駆動ロジック部11Fは、過電流保護を行うことができる。
【0074】
電流検出部11Eは、検出抵抗Rs11の両端間電圧に基づく電流検出信号を出力する。スロープ電圧に上記電流検出信号が加算されて、PWMコンパレータ11Cに入力される。
【0075】
また、VS2端子に印加される出力電圧Vo1を抵抗R19,R20により分圧した電圧がコンパレータCP11の非反転入力端(+)に印加され、参照電圧Vref2がコンパレータCP11の反転入力端(-)に印加される。コンパレータCP11は、ヒステリシスコンパレータであり、過電圧検出信号VSOVPを出力する。
【0076】
また、出力電圧Vo1を抵抗R11,R12により分圧した電圧がコンパレータCP12の非反転入力端(+)に印加され、参照電圧Vref2を抵抗R16と、抵抗R17,R18の合成抵抗により分圧した電圧がコンパレータCP12の反転入力端(-)に印加される。コンパレータCP12は、ヒステリシスコンパレータであり、過電圧検出信号OVD1を出力する。
【0077】
また、出力電圧Vo1を抵抗R11,R12により分圧した電圧がコンパレータCP13の反転入力端(-)に印加され、参照電圧Vref2を抵抗R16,R17による合成抵抗と、抵抗R18により分圧した電圧がコンパレータCP13の非反転入力端(+)に印加される。コンパレータCP13は、ヒステリシスコンパレータであり、低電圧検出信号LVD1を出力する。
【0078】
次に、第2DC/DCコンバータ12および第3DC/DCコンバータ13の構成について述べる。
図7は、PMIC1における第2DC/DCコンバータ12または第3DC/DCコンバータ13の構成を要部的に示す図である。なお、図中における符合の添え字iについては、i=2は、第2DC/DCコンバータ12を示し、i=3は、第3コンバータDC/DC13を示す。以下、添え字を用いて説明する。
【0079】
第2DC/DCコンバータ12、および第3DC/DCコンバータは、出力電圧Vo1を降圧して出力電圧Voiに変換する降圧型DC/DCコンバータである。
【0080】
第2DC/DCコンバータ12、および第3DC/DCコンバータ13は、エラーアンプ21Aと、ソフトスタート部21Bと、PWMコンパレータ21Cと、スロープ生成部21Dと、電流検出部21Eと、駆動ロジック部21Fと、コンパレータ21Gと、上側ドライバ21Hと、下側ドライバ21Iと、コンパレータ21Jと、を有している。さらに、第2DC/DCコンバータ12、および第3DC/DCコンバータ13は、抵抗R21~R28と、コンパレータCP21,CP22と、検出抵抗Rs21,Rs22と、上側MOSトランジスタM21と、下側MOSトランジスタM22と、PMOSトランジスタM23と、NMOSトランジスタM24と、NMOSトランジスタM25と、を有している。
【0081】
また、インダクタLi、および出力コンデンサCoiは、PMIC1の外部に配置される。
【0082】
第2DC/DCコンバータ12および第3DC/DCコンバータ13の構成は、先述した第1DC/DCコンバータ11の構成と類似しているので、適宜詳細を省略しつつ説明する。Voi端子に帰還電圧として印加される出力電圧Voiは、抵抗R21,R22により分圧されてエラーアンプ21Aの反転入力端(-)に印加される。エラーアンプ21Aは、参照電圧Vref1を抵抗R23,R24により分圧した電圧とソフトスタート部21Bによるソフトスタート電圧ssiのうち低いほうと、出力電圧Voiの分圧電圧との誤差に応じた電流を出力する。
【0083】
PMOSトランジスタである上側MOSトランジスタM21のソースは、出力電圧Vo1が印加されるVSi端子に接続される。上側MOSトランジスタM21のドレインは、接続ノードNswiにてNMOSトランジスタである下側MOSトランジスタM22のドレインと接続される。下側MOSトランジスタM22のソースは、PGND23端子に接続される。PGND端子23は、グランドに接続される。
【0084】
接続ノードNswiは、SWi端子に接続される。SWi端子は、インダクタLiの第1端に接続される。インダクタLiの第2端は、出力コンデンサCoiの第1端に接続される。
【0085】
上側ドライバ21HによりVSi端子電圧とSWi端子電圧とが切り替えられて上側MOSトランジスタM21のゲートに印加され、上側MOSトランジスタM21は駆動される。下側ドライバ21IによりVSi端子電圧とSWi端子電圧とが切り替えられて下側MOSトランジスタM22のゲートに印加され、下側MOSトランジスタM22は駆動される。上側MOSトランジスタM21と下側MOSトランジスタM22は、相補的にスイッチングされる。
【0086】
PMOSトランジスタM23、検出抵抗Rs21、およびコンパレータ21Gは、上側MOSトランジスタM21がオンのときに、上側MOSトランジスタM21を流れる過電流を検出するための構成であり、コンパレータ21Gから上側過電流検出信号OCPHiが出力される。
【0087】
NMOSトランジスタM24、検出抵抗Rs22、およびコンパレータ21Jは、下側MOSトランジスタM22がオンのときに、下側MOSトランジスタM22を流れる過電流を検出するための構成であり、コンパレータ21Jから下側過電流検出信号OCPLiが出力される。
【0088】
NMOSトランジスタM25は、制御信号CTLiがLow(無効)となっている場合にオンとなり、出力コンデンサCoiを放電させる。
【0089】
また、コンパレータCP21は、出力電圧Voiを抵抗R21,R22により分圧した電圧と、参照電圧Vref2を抵抗R26と、抵抗R27,R28の合成抵抗により分圧した電圧とを比較し、過電圧検出信号OVDiを出力する。
【0090】
また、コンパレータCP22は、出力電圧Voiを抵抗R21,R22により分圧した電圧と、参照電圧Vref2を抵抗R26,R27の合成抵抗と抵抗R28により分圧した電圧とを比較し、低電圧検出信号LVDiを出力する。
【0091】
なお、第1DC/DCコンバータ11における抵抗R11,R12による抵抗分圧比と、第2DC/DCコンバータ12における抵抗R21,R22による抵抗分圧比は、MODE0~MODE2端子により設定されるモードにより切り替え可能であり、これについては後述する。
【0092】
<4.外部LDOに関する構成>
ここで、
図1で先述したように、本実施形態においては、LDO20は、PMIC1の外部に配置される。このようにLDO20をIC外部に配置したことによるPMIC1における構成について述べる。
【0093】
図8は、IC外部のLDO20に関連するPMIC1における構成を要部的に示す図である。LDO20は、第1DC/DCコンバータ11により生成される出力電圧Vo1を出力電圧Vo4に降圧するリニアレギュレータである。LDO20をPMIC1に外部に配置したことにより、LDO20を
図3に示したCMOSセンサ30の直近に配置させることが可能となり、LDO20とCMOSセンサ30との間の配線長を短くして、配線のインピーダンスを小さくできるので、外来ノイズに対する対策を取りやすくなる。また、IC外部にLDOを配置することで、発熱源を分散させることも可能となる。
【0094】
そして、本実施形態では、
図8に示すように、PMIC1に設けたEN_LDO端子をLDO20のイネーブル端子20Aに接続する。これにより、EN_LDO端子から出力されるイネーブル信号En_LDOによってLDO20の起動・停止制御(オンオフ制御)を行うことを可能としている。
【0095】
また、
図8に示すように、LDO20を使用する場合、LDO20の入力端20Bに出力電圧Vo1を印加させ、LDO20の出力電圧Vo4が出力される出力端20CをFB_LDO端子とIC外部の配線により短絡させる。これにより、出力電圧Vo4は、FB_LDO端子に帰還入力される。
【0096】
ここで、
図8に示すように、過電圧/低電圧検出部14は、抵抗14A~14Cと、スイッチ14Dと、抵抗14E~14Gと、コンパレータ14H,14Iと、を有する。FB_LDO端子とグランドとの間には、抵抗14A,14B,14Cが直列に接続される。
【0097】
スイッチ14Dは、MODE0~MODE2端子により設定されるモードに応じて、抵抗14と14Bとが接続されるノードN141、または抵抗14Bと14Cとが接続されるノードN142のいずれかを選択する。選択されたノードの電位は、コンパレータ14Hの非反転入力端(+)、およびコンパレータ14Iの反転入力端(-)に印加される。すなわち、モードに応じて、FB_LDO端子電圧を抵抗分圧する分圧比が切り替わる。なお、モード設定については、後述する。
【0098】
電源電圧Vregを抵抗14Eと、抵抗14F,14Gによる合成抵抗とにより分圧した電圧はコンパレータ14Hの反転入力端(-)に印加される。電源電圧Vregを抵抗14E,14Fによる合成抵抗と、抵抗14Gとにより分圧した電圧はコンパレータ14Iの非反転入力端(+)に印加される。コンパレータ14H,14Iは、ヒステリシスコンパレータである。
【0099】
これにより、コンパレータ14Hからは、出力電圧Vo4の過電圧を検出する過電圧検出信号OVD4が出力され、コンパレータ14Iからは、出力電圧Vo4の低電圧を検出する低電圧検出信号LVD4が出力される。過電圧検出信号OVD4および低電圧検出信号LVD4は、制御ロジック部10に入力される。制御ロジック部10は、過電圧検出信号OVD4および低電圧検出信号LVD4により保護制御を行うことができる。
【0100】
また、
図8には、パワーグッド機能に関する構成についても示している。PMIC1は、パワーグッド機能に関する構成として、OR回路10Aと、カウンタ10Bと、ドライバ15(
図2)と、NMOSトランジスタ16(
図2)と、を有する。なお、OR回路10Aと、カウンタ10Bと、は制御ロジック部10に含まれる。
【0101】
OR回路10Aには、OVD4、LVD4に加えて、その他の過電圧検出信号OVD1~OVD3および低電圧検出信号LVD1~LVD3も入力される。ドライバ15は、NMOSトランジスタ16をオンオフ駆動する。NMOSトランジスタ16のソースは、グランドに接続される。NMOSトランジスタ16のドレインは、PGOOD端子に接続される。PGOOD端子には、抵抗R2の第1端が外部接続される。抵抗R2の第2端には、出力電圧Vo3が印加される。このようなパワーグッド機能に関する構成の動作については後述する。
【0102】
<5.立上げ/立下げシーケンス>
次に、
図8に示した構成によるPMIC1による立上げシーケンス制御について述べる。
図9は、立上げシーケンスの一例を示すタイミングチャートである。
【0103】
まず、電源電圧Vccが立ち上がりを開始し、その後、イネーブル信号Enが立ち上がりを開始する。イネーブル信号Enが閾値電圧Vth_ENに達すると、内部電圧生成部3は、内部電圧Vregの立ち上げを開始する。UVLO7は、内部電圧Vregが復帰電圧(解除電圧)Vth_UVLOVREG_OFFに達したことを検出すると、UVLO解除を示す検出信号UVLO_VREGを制御ロジック部10に出力する。
【0104】
すると、制御ロジック部10は、所定期間T1(例えば200μs)経過後に、第1DC/DCコンバータ11にソフトスタート信号ss1の立上げを指令する。具体的には、第1DC/DCコンバータ11におけるソフトスタート部11B(
図6)は、DAC(DAコンバータ)を含んでおり、制御ロジック部10からのデジタル指令に応じたアナログ出力であるソフトスタート信号ss1を出力する。なお、ソフトスタート部21B(
図7)も同様にDACを含んでいる。
【0105】
ソフトスタート信号ss1が立ち上がって参照電圧Vref1を抵抗R23,R24により分圧した基準電圧に達するまでは、エラーアンプ21Aによりソフトスタート信号ss1が基準電圧として選択され、ソフトスタート信号ss1が参照電圧Vref1に基づく上記基準電圧を超えると、以降は、エラーアンプ21Aにより当該基準電圧が選択される。これにより、
図9に示すように、ソフトスタート信号ss1が立ち上がると同時に出力電圧Vo1は立ち上がり、ソフトスタート信号ss1の立ち上がりの途中で一定電圧となる。
【0106】
ソフトスタート信号ss1が立ち上がって最終電圧ss1_finishに達すると、制御ロジック部10は、第2DC/DCコンバータ12にソフトスタート信号ss2の立上げを指令する。ソフトスタート信号ss2が立ち上がると同時に出力電圧Vo2は立ち上がり、ソフトスタート信号ss2の立ち上がりの途中で一定電圧となる。
【0107】
ソフトスタート信号ss2が立ち上がって最終電圧ss2_finishに達すると、制御ロジック部10は、第3DC/DCコンバータ13にソフトスタート信号ss3の立上げを指令する。ソフトスタート信号ss3が立ち上がると同時に出力電圧Vo3は立ち上がり、ソフトスタート信号ss3の立ち上がりの途中で一定電圧となる。
【0108】
ここで、
図8に示すように、制御ロジック部10は、立上げシーケンスに関する構成として、NOR回路10Cと、AND回路10Dと、AND回路10Eと、を有する。NOR回路10Cには、過電圧検出信号LVD1~LVD3が入力される。AND回路10Dには、ソフトスタート信号ss1が最終電圧ss1_finishに達したかを示すソフトスタート検出信号SS1Hと、ソフトスタート信号ss2が最終電圧ss2_finishに達したかを示すソフトスタート検出信号SS2Hと、ソフトスタート信号ss3が最終電圧ss3_finishに達したかを示すソフトスタート検出信号SS3Hと、が入力される。AND回路10Eには、NOR回路10Cの出力と、AND回路10Dの出力とが入力される。AND回路10Eは、イネーブル信号En_LDOをEN_LDO端子を介してLDO20に出力する。AND回路10Eには、電源電圧としてVS2端子を介して出力電圧Vo1が印加される。
【0109】
図9に説明を戻し、ソフトスタート信号ss3が立ち上がって最終電圧ss3_finishに達したタイミングでは、出力電圧Vo1~Vo3はそれぞれヒステリシスコンパレータによる低電圧閾値電圧Vth_LVD12~Vth_LVD32を上回って、低電圧検出信号LVD1~LVD3はいずれもLowとなっており、さらに、ソフトスタート検出信号SSH1~SSH3はいずれもHighであるので、イネーブル信号En_LDOはLowからHighへ切り替わる。
【0110】
これにより、LDO20は起動され、出力電圧Vo4の立ち上がりが開始される。そして、出力電圧Vo4がヒステリシスコンパレータによる低電圧閾値電圧Vth_LVD42を上回ると、低電圧検出信号LVD4がLowとなる。このとき、過電圧検出信号OVD1~OVD4はいずれもLowであり、低電圧検出信号LVD1~LVD4はいずれもLowであるので、OR回路10Aの出力はHighからLowへ切り替わる。すると、カウンタ10Bがカウントを開始し、所定期間T2(例えば10ms)が経過すると、カウンタ10Bの制御によりドライバ15はNMOSトランジスタ16をオンからオフに切り替える。これにより、PGOOD端子に生じるフラグ信号PGは、LowからHighへ切り替わる。
【0111】
このように、本実施形態では、立上げシーケンスにより、第1DC/DCコンバータ11、第2DC/DCコンバータ12、第3DC/DCコンバータ13、LDO20の順に起動させてから、パワーグッド機能によるフラグ信号PGを起動状態とすることができる。
【0112】
次に、
図9に示した立上げシーケンスに対応した立下げシーケンスについて、
図10のタイミングチャートを用いて述べる。
【0113】
図10において、イネーブル信号Enが立ち下がって閾値電圧Vth_ENに達すると、制御ロジック部10は、イネーブル信号En_LDOをHighからLowへ切り替えるとともに、フラグ信号PGをHighからLowへ切り替える。これにより、LDO20は停止制御され、出力電圧Vo4が立ち下がる。
【0114】
出力電圧Vo4が立ち下がってヒステリシスコンパレータによる低電圧閾値電圧Vth_LVD41に達すると、低電圧検出信号LVD4がHighとなる。すると、制御ロジック部10は、第3DC/DCコンバータ13にソフトスタート信号ss3および出力電圧Vo3の立下げを指令する。
【0115】
出力電圧Vo3が立ち下がってヒステリシスコンパレータによる低電圧閾値電圧Vth_LVD31に達すると、低電圧検出信号LVD3がHighとなる。すると、制御ロジック部10は、第2DC/DCコンバータ12にソフトスタート信号ss2および出力電圧Vo2の立下げを指令する。
【0116】
出力電圧Vo2が立ち下がってヒステリシスコンパレータによる低電圧閾値電圧Vth_LVD21に達すると、低電圧検出信号LVD2がHighとなる。すると、制御ロジック部10は、第1DC/DCコンバータ11にソフトスタート信号ss1および出力電圧Vo1の立下げを指令するとともに、内部電圧生成部3に内部電圧Vregの立下げを指令する。
【0117】
このようにして、
図9に示す立上げシーケンスとは逆の順番に電源回路を停止させることができる。
【0118】
<6.LDO過電圧/低電圧検出マスク機能>
図11は、先述した
図8のPMIC1の構成において、外付けのLDO20を仮に使用しない場合を示す。この場合、
図11に示すように、FB_LDO端子はオープンとなる。すると、コンパレータ14Iの反転入力端(-)に入力される信号はLow(グランド電位)となる。これにより、低電圧検出信号LVD4は、Highを維持される。従って、低電圧保護が働き、PGOOD端子から出力されるフラグ信号PGはHighにならず、次のシーケンスに移行しない。
【0119】
そこで、本実施形態のPMIC1は、
図12に示す構成を採ってもよい。
図12に示す構成では、制御ロジック部10に、マスク部10Fが追加されている。マスク部10Fは、過電圧検出信号OVD4および低電圧検出信号LVD4をマスクする機能を有する。
【0120】
より詳細には、マスク部10Fは、
図13の表に示すように、イネーブル信号En_LDOの立ち上がり前と立ち上がり後のそれぞれの過電圧検出信号OVD4のレベルの組み合わせに基づき、過電圧検出信号OVD4および低電圧検出信号LVD4のマスク処理を行うか、マスク処理を行わない通常処理を行うかを判定する。
【0121】
また、
図12に示すように、外付けのLDO20を使用しない場合、EN_LDO端子とFB_LDO端子とをIC外部の配線により短絡させる。また、VS2端子には、出力電圧Vo1を印加させる。
【0122】
このような
図12の構成における立上げシーケンスについて、
図14のタイミングチャートを用いて述べる。
図14のタイミングチャートにおいては、イネーブル信号En_LDOの立ち上がりまでは先述した
図9と同様である。ただし、
図14では、イネーブル信号En_LDOの立ち上がり後のレベル(High)は、AND回路10EにVS2端子を介して供給される出力電圧Vo1により、出力電圧Vo1のレベルとなる。
【0123】
そして、EN_LDO端子とFB_LDO端子との短絡によりイネーブル信号En_LDOの立ち上がりと同時に、FB_LDO端子電圧も出力電圧Vo1のレベルまで立ち上がる。これにより、FB_LDO端子電圧は、ヒステリシスコンパレータによる過電圧閾値電圧Vth_OVD42を上回るので、過電圧検出信号OVD4は、LowからHighへ切り替わる。
【0124】
すると、マスク部10Fは、イネーブル信号En_LDOの立ち上がり前は過電圧検出信号OVD4はLowであり、イネーブル信号En_LDOの立ち上がり後は過電圧検出信号OVD4はHighであるので、
図13の通り、マスク部10Fは、以降、過電圧検出信号OVD4および低電圧検出信号LVD4のマスクを行う。マスク後の過電圧検出信号OVD4および低電圧検出信号LVD4は、Lowとされる。
【0125】
これにより、
図14に示すように、マスク後の過電圧検出信号OVD4(破線)はLowとされるので、そのタイミングでOR回路10Aの出力はLowに切り替わるので、カウンタ10Bにより、上記タイミングから所定期間T2経過したタイミングでNMOSトランジスタ16はオフとされ、フラグ信号PGがHighに立ち上がる。このように、
図12の構成であれば、LDO20を使用しない場合でも、パワーグッド機能のフラグ信号PGをHigh(起動状態)に立ち上げることができる。
【0126】
なお、LDO20を使用する場合は、
図12のPMIC1の構成において、
図8と同様にLDO20の接続を行う。すなわち、EN_LDO端子をLDO20のイネーブル端子20Aに接続し、出力電圧Vo4が出力される出力端20CをFB_LDO端子に印加させる。これにより、立上げシーケンスにおいては、イネーブル信号En_LDOの立ち上がり前と立ち上がり後の両方で過電圧検出信号OVD4のレベルはLowとなるので、
図13の通り、マスク部10Fは、以降、過電圧検出信号OVD4および低電圧検出信号LVD4のマスクを行わない。従って、出力電圧Vo4の立ち上がりにより、低電圧検出信号LVD4がLowに切り替わると、フラグ信号PGがHighに立ち上がる。また、過電圧検出信号OVD4および低電圧検出信号LVD4による保護機能が有効となる。
【0127】
なお、LDO20を使用する別の形態として、
図15に示す構成としてもよい。すなわち、EN_LDO端子をLDO20のイネーブル端子20Aに接続するとともに、FB_LDO端子と短絡させる。これにより、立上げシーケンスにおいて、イネーブル信号En_LDOが立ち上がったときに、FB_LDO端子電圧も出力電圧Vo1のレベルに立ち上がり、過電圧検出信号OVD4がLowからHighに立ち上がるので、マスク部10Fによるマスク機能が有効となる。すなわち、LDO20は使用するが出力電圧Vo4の過電圧/低電圧保護機能は不要である場合の実施形態となる。
【0128】
また、
図16は、LDO20を使用する場合のさらに別の形態を示す。
図16に示す構成では、EN_LDO端子はオープンとし、LDO20のイネーブル端子20Aに出力電圧Vo1の印加端を接続し、FB_LDO端子には出力電圧Vo4が出力される出力端20Cを接続する。これにより、立上げシーケンスにおいて、出力電圧Vo1が立ち上がることにより、LDO20は起動され、出力電圧Vo4が立ち上がる。また、イネーブル信号En_LDOの立ち上がり前と立ち上がり後の両方で過電圧検出信号OVD4のレベルはLowとなるので、
図13の通り、過電圧検出信号OVD4および低電圧検出信号LVD4のマスクは行われない。従って、出力電圧Vo4の過電圧/低電圧保護機能は有効となる。
【0129】
<7.モード切替え制御>
ここでは、MODE0端子、MODE1端子、およびMODE2端子(
図1、
図2)を用いたモード切替えについて
図17の表を用いて述べる。
図17は、MODE0~MODE2端子によるモード設定に応じた設定内容を示す。
【0130】
図17に示すように、MODE0~MODE2端子に設定される信号レベル(HighまたはLow)の組み合わせに応じて、Aモード~Hモードまでの8つのモードが設定可能である。なお、
図1は、MODE0~MODE2端子すべてがLowとなり、Aモードに設定された例となる。
図17に示すように、モード設定は、使用するCMOSセンサ30(
図3)の種類(A~F)に応じて行われる。
【0131】
図17に示すように、使用するCMOSセンサ30の種類によってLDO20の出力電圧Vo4が異なる。ここで、LDOには、安定に動作可能な入出力間の最低電位差であるドロップアウト電圧が規定され、LDOの入力電圧は、出力電圧に対してドロップアウト電圧以上の電圧だけ高い電圧とすることが望ましい。
図17では、モード設定により異なる出力電圧Vo4に対して所定電圧の一例としての0.6Vだけ高い電圧に第1DC/DCコンバータ11の出力電圧Vo1を設定している。出力電圧Vo1は、LDO20の入力電圧となるためである。
【0132】
ここで、先述した第1DC/DCコンバータ11の構成(
図6)において、VO1端子に帰還入力される出力電圧Vo1を抵抗R11,R12により分圧する抵抗分圧比は、モード設定に応じて変更可能である。抵抗分圧比の変更は、制御ロジック部10からの指令による。なお、抵抗分圧比の変更は、例えば
図8に示すようなスイッチ14Dを用いた切替え構成と同様な構成により実現可能である。このような第1DC/DCコンバータ11における抵抗分圧比を変更する構成により、モード設定に応じた出力電圧Vo1の切替えが可能となる。なお、
図6に示すように、抵抗分圧比の変更のための構成をIC内部に設けているため、IC外部の部品点数を削減したり、IC内部での作り込みにより信頼性を向上させることができる。
【0133】
また、
図17に示すように、CMOSセンサ30の種類に応じたモード設定により、第2DC/DCコンバータ12の出力電圧Vo2の切り替えも可能としている。
図17に示す例では、A~Dモードでは出力電圧Vo2=1.2Vに設定し、E,Fモードでは出力電圧Vo2=1.1Vに設定している。
【0134】
このような出力電圧Vo2の切り替えは、先述した
図7に示す第2DC/DCコンバータ12の構成におけるVO2端子に帰還入力される出力電圧Vo2を抵抗R21,R22により分圧する抵抗分圧比をモード設定により変更する構成により実現される。
【0135】
また、
図17の例では、使用するCMOSセンサ30に応じたモード設定によらずに、第3DC/DCコンバータ13の出力電圧Vo3は同じ電圧(一例として1.8V)に設定している。この場合、第3DC/DCコンバータ13において、抵抗分圧比を変更する構成は不要である。ただし、第3DC/DCコンバータ13(
図7)において、VO3端子に帰還入力される出力電圧Vo3を抵抗R21,R22により分圧する抵抗分圧比をモード設定により変更する構成を採ることで、出力電圧Vo3を可変としてもよい。
【0136】
また、
図17に示すように、使用するCMOSセンサ30に応じたモード設定により、立上げシーケンスにおける出力電圧Vo2,Vo3,Vo4の立ち上げ順序、および立下げシーケンスにおける出力電圧Vo2,Vo3,Vo4の立ち下げ順序を可変としている。
図17では、一例として、A,C~Fモードでは、Vo2→Vo3→Vo4の順での立上げ、Vo4→Vo3→Vo2の順での立下げに設定し、Bモードでは、Vo4→Vo3→Vo2の順での立上げ、Vo2→Vo3→Vo4の順での立下げに設定される。これにより、使用するCMOSセンサ30の種類に応じて適切な立上げシーケンスおよび立下げシーケンスを設定できる。
【0137】
なお、先述した
図9のタイミングチャートがVo2→Vo3→Vo4の順での立上げを示し、先述した
図10のタイミングチャートがVo4→Vo3→Vo2の順での立下げを示している。立上げ/立下げシーケンスにおける順序は、制御ロジック部10により制御される。
【0138】
また、
図17に示すように、使用するCMOSセンサ30に応じたモード設定により、PMIC1の保護動作(Protect)が可変に設定される。保護動作としては、自己復帰(Self-restart)とタイマラッチ(Timer off Latch)とが切り替え可能である。
【0139】
自己復帰では、過電圧検出(OVD)、低電圧検出(LVD)、および過電流検出(OCP)等による異常検出状態が所定期間(例えば10ms)維持されると、制御ロジック部10は、第1DC/DCコンバータ11、第2DC/DCコンバータ12、第3DC/DCコンバータ13、およびLDO20のすべてを停止させる。そして、所定期間(例えば10ms)経過すると、制御ロジック部10は、第1DC/DCコンバータ11、第2DC/DCコンバータ12、第3DC/DCコンバータ13、およびLDO20のすべてを起動させる。異常状態が継続されると、停止と起動が繰り返されることとなる。
【0140】
一方、タイマラッチでは、過電圧検出(OVD)、低電圧検出(LVD)、および過電流検出(OCP)等による異常検出状態が所定期間(例えば10ms)維持されると、制御ロジック部10は、第1DC/DCコンバータ11、第2DC/DCコンバータ12、第3DC/DCコンバータ13、およびLDO20のすべてを停止させる。この停止状態は、イネーブル信号ENまたはUVLOによるリセットがされるまで維持される。
【0141】
図17に示す例では、A~Eモードでは、自己復帰が設定され、Fモードでタイマラッチが設定される。
【0142】
<8.ICの外部端子配置>
次に、PMIC1の外部端子配置(ピン配置)の特徴について述べる。
図18は、PMIC1(パッケージ品)を上方から視た平面図である。なお、
図18には、PMIC1の他に、PMIC1の周辺素子とLDO20についても図示している。
【0143】
図18に示すように、PMIC1の裏面側(紙面奥側)には、24個の外部端子が配列されている(数字はピン番号)。PMIC1は、上方から視て矩形状であり、第1辺S1、第2辺S2、第3辺S3、および第4辺S4を有している。第1辺S1と第2辺S2が対向し、第3辺S3と第4辺S4とが対向する。
【0144】
第1辺S1に沿って、第3辺S3側から順に、SW3端子、VS3端子、PGND23端子、VS2端子、SW2端子、およびVO2端子が配列される。第2辺S2に沿って、第3辺S3側から順に、PVCC端子、VCC端子、EN端子、GND端子、VREG端子、およびMODE0端子が配列される。第3辺S3に沿って、第1辺S1側から順に、VO3端子、FB_LDO端子、VO1端子、BOOT端子、SW1端子、およびPGND1端子が配列される。第4辺S4に沿って、第1辺S1側から順に、EN_LDO端子、PGOOD端子、SSCG端子、RT端子、MODE2端子、およびMODE1端子が配列される。
【0145】
EN_LDO端子は、第4辺S4の第1辺S1側の端部に配置され、PVCC端子およびVCC端子は、第2辺S2の第3辺S3側の端部に配置される。これにより、低耐圧であるEN_LDO端子を、電源電圧Vccの印加されるPVCC端子およびVCC端子から離れた位置に配置できる。
【0146】
また、EN_LDO端子は第4辺S4に配置され、FB_LDO端子は第4辺S4に対向する第3辺S3に配置される。これにより、先述した
図12に示した構成のPMIC1に対して外付けのLDO20を使用する場合に、EN_LDO端子が誤ってFB_LDO端子に短絡してしまい、過電圧検出信号OVD4および低電圧検出信号LVD4が誤ってマスク処理されることを回避できる。
【0147】
また、MODE0端子、MODE1端子、およびMODE2端子は、隣接して配置される。なお、
図18では、MODE0端子、MODE1端子、およびMODE2端子は、異なる辺(第2辺S2、第4辺S4)にかけて隣接するが、同じ辺(例えば第4辺S4)において隣接してもよい。
【0148】
また、
図18に示すように、電源端子(VS2端子、VS3端子、PVCC端子、VCC端子)、グランド端子(PGND23端子、PGND1端子、GND端子)、スイッチング端子(SW1端子、SW2端子、SW3端子)、帰還電圧端子(VO1端子、VO2端子、VO3端子)、VREG端子、およびBOOT端子(第1端子群)は、第1辺S1~第3辺S3の少なくともいずれかに配置され、それ以外の端子(第2端子群)のみが第4辺S4に配置される。
【0149】
図18に示すように、IC外部において上記第1端子群と電気的に接続される配線(
図18の太線)は、インピーダンスを小さくする必要がある。従って、上記配線に接続される各素子(入力コンデンサ、出力コンデンサ、インダクタ、パスコン、ブートコンデンサ)は、第1辺S1~第3辺S3を外側から取り囲む領域において、PMIC1の近傍に配置する必要がある。
【0150】
ここで、
図19は、基板40上のレイアウト例を概略的に示す平面図である。
図19に示すように、入力コンデンサCin1~Cin3、出力コンデンサCo1~Co3、インダクタL1~L3、パスコンC1,C2、およびブートコンデンサCbは、第1辺S1~第3辺S3を外側から取り囲む領域において、PMIC1の近傍に配置される。
【0151】
しかしながら、上記第2端子群は第4辺S4に配置され、IC外部において上記第2端子群と電気的に接続される配線はインピーダンスを小さくする必要性が低いので、当該配線に接続される素子(LDO20、抵抗R2、コンデンサC3、および抵抗R1)は、
図19に示すように、第4辺S4側のIC近傍領域Rに配置しなくてもよい。これにより、素子の配置によるデッドスペースがなくなる。
【0152】
<9.その他>
以上、本発明の各種実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態はさらに種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明は、例えば、車載用の電源ICに利用することができる。
【符号の説明】
【0154】
1 PMIC
2 UVLO部
3 内部電圧生成部
4,5 参照電圧生成部
6 TSD部
7 UVLO部
8 UVLO部
9 発振器
10 制御ロジック部
11 第1DC/DCコンバータ
12 第2DC/DCコンバータ
13 第3DC/DCコンバータ
14 過電圧/低電圧検出部
15 ドライバ
16 NMOSトランジスタ
20 LDO
30 CMOSセンサ
40 基板