(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】遮断桿動作測定装置
(51)【国際特許分類】
B61L 29/04 20060101AFI20230803BHJP
E01F 13/00 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
B61L29/04 B
E01F13/00
(21)【出願番号】P 2020023773
(22)【出願日】2020-02-14
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】石川 琢郎
(72)【発明者】
【氏名】森田 將裕
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-107416(JP,A)
【文献】特開2017-105336(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0296442(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 29/04
E01F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮断機における遮断桿の動作に関する測定を行う遮断桿動作測定装置であって、
前記遮断桿の傾きを検出する傾き検出部と、
時間を計測する計時部と、
前記遮断桿の降下動作及び上昇動作について、各動作に要した動作時間、及び各動作の終了時における前記遮断桿の動作終了傾き、を表す測定データを、前記傾き検出部での検出結果及び前記計時部での計時結果に基づいて生成するデータ生成部と、
前記測定データを所定の出力先に出力する出力部と、
前記傾き検出部、前記計時部、前記データ生成部、及び前記出力部、を収納する筐体と、
を備え、
前記筐体が、前記遮断桿と一緒に動くように設置され、
前記傾き検出部が、加速度センサ又は角度センサを用いて前記遮断桿の傾きを検出することを特徴とする遮断桿動作測定装置。
【請求項2】
前記出力部が、前記測定データを無線で出力することを特徴とする請求項1に記載の遮断桿動作測定装置。
【請求項3】
棒状アンテナを有する無線通信部を更に備え、
前記筐体が、前記棒状アンテナの長手方向が前記遮断桿の長手方向に沿うように前記遮断桿に設置されており、
前記出力部は、前記遮断桿が上昇して立てられた状態にあるときに、前記無線通信部を介して前記測定データを無線で出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の遮断桿動作測定装置。
【請求項4】
前記データ生成部は、前記傾き検出部での検出結果が降下開始閾値から降下終了閾値まで変化する際に前記計時部で計時された降下動作時間、及び、前記傾き検出部での検出結果が上昇開始閾値から上昇終了閾値まで変化する際に前記計時部で計時された上昇動作時間を前記動作時間として表す測定データを生成することを特徴とする請求項1~3のうち何れか一項に記載の遮断桿動作測定装置。
【請求項5】
前記データ生成部は、前記傾き検出部での検出結果が降下終了閾値に達してから第1待ち時間が経過した後の第1測定時間に亘る前記傾き検出部での検出結果の平均値、及び前記傾き検出部での検出結果が上昇終了閾値に達してから第2待ち時間が経過した後の第2測定時間に亘る前記傾き検出部での検出結果の平均値、を前記動作終了傾きとして表す測定データを生成することを特徴とする請求項1~4のうち何れか一項に記載の遮断桿動作測定装置。
【請求項6】
所定のスリープ期間が到来すると、当該スリープ期間中は前記傾き検出部、前記計時部、前記データ生成部、及び前記出力部の動作を停止させるスリープ制御部を、更に備えることを特徴とする請求項1~5に記載の遮断桿動作測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば踏切等の遮断機における遮断桿の動作に関する測定を行う遮断桿動作測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道における踏切の遮断機の異常の有無を捕捉するために遮断桿の動作に関する測定を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の技術では、遮断桿に取り付けられたセンサ部によって検出される2種類以上の物理量が判定基準と比較されることで異常の有無が判定され、その判定結果が上位の管理装置に通知されることとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、遮断機においては、実際に異常が生じる前に何等かの兆候が表れる場合がある。しかしながら、上述した技術は、飽くまでも異常の有無についての判定結果を通知するのみなので、異常発生に先立ってその兆候を通知先で捉えることまでは困難と言わざるを得ないのが現状である。
【0005】
従って、本発明は、上記のような事情に着目し、遮断機について異常発生のみならず異常の兆候をも通知先で捉えることができる遮断桿動作測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、遮断桿動作測定装置は、遮断機における遮断桿の動作に関する測定を行う遮断桿動作測定装置であって、前記遮断桿の傾きを検出する傾き検出部と、時間を計測する計時部と、前記遮断桿の降下動作及び上昇動作について、各動作に要した動作時間、及び各動作の終了時における前記遮断桿の動作終了傾き、を表す測定データを、前記傾き検出部での検出結果及び前記計時部での計時結果に基づいて生成するデータ生成部と、前記測定データを所定の出力先に出力する出力部と、前記傾き検出部、前記計時部、前記データ生成部、及び前記出力部、を収納する筐体と、を備え、前記筐体が、前記遮断桿と一緒に動くように設置され、前記傾き検出部が、加速度センサ又は角度センサを用いて前記遮断桿の傾きを検出することを特徴とする。
【0007】
一般に、遮断機では、遮断桿の後端側に取り付けられたバランスウェイトによってバランスが取られつつ、遮断桿がモータや駆動メカ等を有する駆動部によって昇降される。遮断桿の動作時間や動作終了傾きが予め定められた範囲内に収まらない場合、駆動部における何等かの故障、あるいは折損等による遮断桿の重量のズレ、等が生じている可能性がある。以下にいう異常や兆候とは、このような駆動部の故障や遮断桿の重量のズレ等というように、遮断桿の動作時間や動作終了傾きから捕捉可能な事象のことである。上記の遮断桿動作測定装置によれば、遮断桿の降下動作及び上昇動作について、各動作に要した動作時間、及び各動作の終了時における遮断桿の動作終了傾き、を表す測定データが出力先に出力される。つまり、異常判断の源泉となり得る測定データが出力されるので、その出力先では、異常発生のみならず異常の兆候をも測定データを用いて捉えることができる。また、異常やその兆候は遮断桿の降下時と上昇時それぞれに個別に現れることがある。これに対し、上記の遮断桿動作測定装置によれば、降下動作及び上昇動作それぞれの動作時間及び動作終了傾きを表す測定データが出力されるので、上記のように個別に現れる異常や兆候を漏れなく捉えることができる。
【0008】
また、上記の遮断桿動作測定装置では、計時に関しては測定データの生成を担う例えばMPU(Micro Processing Unit)等の部品における一般的な計時機能を利用すればよい。即ち、ハードウェアとしてのセンサは、遮断桿の傾きという1種類の物理量を検出するセンサのみを用意すれば足りる。このように、上記の遮断桿動作測定装置によれば、センサの数が少なくて済むことから、部品コストを低減させることもできる。
【0009】
また、上記の遮断桿動作測定装置によれば、筐体に収容されて遮断桿と一緒に動くように設けられた加速度センサ又は角度センサを用いることで、遮断桿の傾きが高精度で検出されることから、測定データの精度を一層向上させることができる。
【0010】
また、前記出力部が、前記測定データを無線で出力することも好適である。
【0011】
この構成によれば、ケーブルが長く配策されることが望ましくない踏切においても、測定データを所望の出力先へと出力することができる。
【0012】
また、棒状アンテナを有する無線通信部を更に備え、前記筐体が、前記棒状アンテナの長手方向が前記遮断桿の長手方向に沿うように前記遮断桿に設置されており、前記出力部は、前記遮断桿が上昇して立てられた状態にあるときに、前記無線通信部を介して前記測定データを無線で出力することも好適である。
【0013】
この構成によれば、通信性能の高い棒状アンテナが遮断桿とともに立てられて通信障害が抑えられた状態にあるときに測定データが無線で出力されるので、高い信頼性の下で測定データを所望の出力先に送ることができる。棒状アンテナが遮断桿とともに立てられたときに通信障害が抑えられるのは、遮断桿が立てられた、即ち遮断桿が上がっている状態では列車という金属の遮蔽物が、棒状アンテナと出力先との間に存在しないためである。また、近年の列車では、VVVFインバータ制御(Variable Voltage Variable Frequency:可変電圧可変周波数インバータ制御)による電動機制御が採用されていることが多い。列車の通過時には、このVVVFインバータ制御によって発生する高調波ノイズが列車から放射される可能性が高いが、列車不在時には、この高調波ノイズによる通信障害も抑えられることとなる。このような状態で測定データの無線出力を行うことで、例えば無線出力に失敗したときのリトライのリスクも低減されることとなり、リトライの実施による電力消費の増加を抑えることも可能となる。
【0014】
また、前記データ生成部は、前記傾き検出部での検出結果が降下開始閾値から降下終了閾値まで変化する際に前記計時部で計時された降下動作時間、及び、前記傾き検出部での検出結果が上昇開始閾値から上昇終了閾値まで変化する際に前記計時部で計時された上昇動作時間を前記動作時間として表す測定データを生成することも好適である。
【0015】
この構成によれば、傾き検出部での検出結果と上記の各閾値との比較により、処理負担を抑えつつも高い精度で遮断桿の動作時間を表す測定データが生成されることとなる。
【0016】
また、前記データ生成部は、前記傾き検出部での検出結果が降下終了閾値に達してから第1待ち時間が経過した後の第1測定時間に亘る前記傾き検出部での検出結果の平均値、及び前記傾き検出部での検出結果が上昇終了閾値に達してから第2待ち時間が経過した後の第2測定時間に亘る前記傾き検出部での検出結果の平均値、を前記動作終了傾きとして表す測定データを生成することも好適である。
【0017】
この構成によれば、傾き検出部での検出結果の平均値を動作終了傾きとして表す測定データを生成することで、動作終了時の遮断桿の揺れ等によって検出結果がバラつくようなことがあっても安定した測定データを得ることができる。
【0018】
また、所定のスリープ期間が到来すると、当該スリープ期間中は前記傾き検出部、前記計時部、前記データ生成部、及び前記出力部の動作を停止させるスリープ制御部を、更に備えることも好適である。
【0019】
この構成によれば、スリープ期間中における傾き検出部、計時部、データ生成部、及び出力部の電力消費を抑えることができるので、節電効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
上述の遮断桿動作測定装置によれば、遮断機について異常発生のみならず異常の兆候をも通知先で捉えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一実施形態に係る遮断桿動作測定装置が設置される踏切を示す模式図である。
【
図2】
図1に示されている踏切器具箱内の各種装置を、遮断桿動作測定装置から出力される測定データの流れに注目して示すブロック図である。
【
図3】
図1及び
図2に模式的に示されている遮断桿動作測定装置の外観図である。
【
図4】
図3に示されている遮断桿動作測定装置を、樹脂ケースの開閉蓋が開かれて内部が見える状態で示す図である。
【
図5】遮断桿動作測定装置のハードウェア構成を、
図4に示されている遮断桿動作測定装置の内部構成に注目して模式的に示すブロック図である。
【
図6】
図5に示されている本体基板におけるハードウェア構成を示す模式的なブロック図である。
【
図7】
図4に示されている設定用スイッチにおける複数のスイッチのオン/オフの組合せの一例を表形式で示す模式図である。
【
図8】
図3~
図7に模式的に示されている遮断桿動作測定装置について、その機能に注目して示す模式的な機能ブロック図である。
【
図9】遮断桿動作測定装置の樹脂ケースが遮断桿にどのように取り付けられるかを模式的に表す図である。
【
図10】遮断桿の動作に関する測定処理を表すタイムチャートを示す図である。
【
図11】遮断桿の動作に関する測定処理のうち測定データが生成されるまでの処理の流れの途中までを表すフローチャートである。
【
図12】測定データが生成されるまでの処理の流れのうち、
図11に示されている処理の続きを表すフローチャートである。
【
図13】遮断桿の動作に関する測定処理のうち測定データが生成されてから測定データの出力が完了するまでの処理の流れを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、一実施形態に係る遮断桿動作測定装置について図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、一実施形態に係る遮断桿動作測定装置が設置される踏切を示す模式図である。
【0024】
この
図1に示されている踏切1は、鉄道の線路R11と道路R12とが交差する箇所に設置される設備であり、2箇所の遮断機11、2箇所の警報機12、及び踏切器具箱13を備えている。遮断機11と警報機12は、道路R12を挟んで対をなすように、更に線路R11を挟んでも対をなすように配置されている。
【0025】
遮断機11は、遮断桿11aと、その遮断桿11aを昇降して遮断機11を開閉する駆動部11bと、を備え、列車の通過時に遮断桿11aを下げることで人や車両の線路R11への侵入を規制する。
【0026】
警報機12は、柱状物12a、標示板12b、スピーカ12c、及び警報灯12d、を備えている。柱状物12aは、線路R11及び道路R12の脇に立設され、標示板12b、スピーカ12c、及び警報灯12d、を支持する。標示板12bは、本設備が踏切1の警報機12であること示すものである。スピーカ12cは、柱状物12aの上端側に配置され、列車の通過前から通過後に掛けて警報音を発する。本実施形態では、この警報音は、一例として700Hzと750Hzの発振信号を合成した音信号に応じた音の振幅が増減するように鳴動する音となっている。警報灯12dは、柱状物12aにおける標示板12bの下側に配置され、列車の通過前から通過後に掛けて、上記の警報音に応じて点滅を繰り返して視覚的に警報する。
【0027】
踏切器具箱13は、一の遮断機11の隣に設置され、各遮断機11や各警報機12の動作制御を行うとともに、踏切1の監視に関する各種情報を収集し、ネットワークユニット2を介して所定の指令サーバ3との間でやり取りする各種装置を収納した設備である。
【0028】
ここで、本実施形態では、各遮断機11に、遮断桿11aの動作に関する測定を行う遮断桿動作測定装置100が取り付けられている。この遮断桿動作測定装置100は、測定データを踏切器具箱13に収納された後述の本体ユニット13aに向けて無線で出力する。そして、踏切器具箱13の本体ユニット13aは、出力されてきた測定データをネットワークユニット2に無線で出力し、測定データはそのネットワークユニット2から所定の指令サーバ3へと送られる。
【0029】
図2は、
図1に示されている踏切器具箱内の各種装置を、遮断桿動作測定装置から出力される測定データの流れに注目して示すブロック図である。
【0030】
踏切器具箱13には、全体制御装置13-1、本体ユニット13a、電源装置13b、接点入出力装置13c、及び長距離無線モジュール13d、が設置されている。また、踏切器具箱13には、短距離無線モジュール13eが外付け設置されている。
【0031】
全体制御装置13-1は、遮断機11や警報機12等といった踏切1に設けられた装置や、踏切器具箱内の各種装置を含む、踏切全体の制御を司るものである。
【0032】
本体ユニット13aは、遮断桿動作測定装置100から測定データを受け取って各種処理を施し、測定データや処理結果を、長距離無線モジュール13dを介してネットワークユニット2に無線で出力する。電源装置13bは、例えば外部から商用電源等の電力供給を受けて、24Vの直流電力に変換して各装置に供給する。接点入出力装置13cは、全体制御装置13-1の制御の下で、本体ユニット13aとの間で、各遮断機11や各警報機12の動作状態を表す踏切動作信号を遣り取りする。長距離無線モジュール13dは、ネットワークユニット2を介して指令サーバ3との間で無線通信を行う。ここでの無線通信は、例えばLPWA(Low Power Wide Area:登録商標)の一種であるLoRa(Long Range:登録商標)や、LTE(Long Term Evolution:登録商標)等といった無線通信規格に則って行われる。短距離無線モジュール13eは、遮断桿動作測定装置100との間で無線通信を行う。ここでの無線通信は、例えばZigbee(登録商標)等といった無線通信規格に則って行われる。
【0033】
また、本体ユニット13aには、メンテナンス用のPC(Personal Computer)4の有線での接続が可能となっている。メンテナンス時には、このPC4を介して、本体ユニット13aに対する各種パラメータの設定/変更や、本体ユニット13aからの各種データの吸い上げ等が行われる。本体ユニット13aとPC4との有線接続における通信は、例えばRS232C(Recommended Standard 232C)等の通信規格に則って行われる。
【0034】
本実施形態における踏切1は、概略、以上に説明したように構成されている。尚、踏切における遮断機や警報機の設置数、設置位置、機器構成、踏切器具箱の内部構成、踏切器具箱と外部装置との接続形態や通信規格等は、何れも
図1や
図2を参照して説明した上述の概略構成に限るものではなく、適宜に設定し得るものである。
【0035】
次に、
図1及び
図2に模式的に示されている遮断桿動作測定装置100について詳細に説明する。
【0036】
図3は、
図1及び
図2に模式的に示されている遮断桿動作測定装置の外観図である。
【0037】
遮断桿動作測定装置100は、開閉蓋100a-1を有する樹脂ケース100aに各種回路基板等が収容されたものであり、遮断機11の遮断桿11aに設置される。
【0038】
図4は、
図3に示されている遮断桿動作測定装置を、樹脂ケースの開閉蓋が開かれて内部が見える状態で示す図である。また、
図5は、遮断桿動作測定装置のハードウェア構成を、
図4に示されている遮断桿動作測定装置の内部構成に注目して模式的に示すブロック図である。
【0039】
遮断桿動作測定装置100における樹脂ケース100aの内部には、金属製のシールドケース101と、本体基板102と、電池103と、通信基板104と、棒状アンテナ105と、が搭載されている。
【0040】
シールドケース101は、本体基板102を収容し、棒状アンテナ105で送受信される無線信号が電磁ノイズとなって本体基板102に影響を及ぼさないように保護する。
【0041】
本体基板102は、遮断桿11aの動作に関する測定についての各種処理を行う部位である。この本体基板102には、三軸加速度センサ102a、電池コネクタ102b、無線用コネクタ102c、有線用コネクタ102d、及び設定用スイッチ102e、が設けられている。三軸加速度センサ102aは、重力加速度の計測に基づいて鉛直方向に対する傾き角度を検出する。電池コネクタ102bには、電池103が電池用内部ケーブル103aを介して接続される。無線用コネクタ102cには、無線通信を行う通信基板104が無線用内部ケーブル104cを介して接続される。有線用コネクタ102dには、メンテナンス時にメンテナンス用のPCが所定の接続ケーブルを介して接続される。設定用スイッチ102eは、複数のスイッチのオン/オフの組合せにより各種設定入力を行うものである。
【0042】
電池103は、樹脂ケース100aに交換可能に搭載され、本体基板102に対して電力供給を行う。他の通信基板104には、電池103からの電力が本体基板102から供給される。
【0043】
通信基板104は、例えばZigbee(登録商標)等といった無線通信規格に則った無線通信の処理を行うものであり、本体用コネクタ104a及びアンテナ用コネクタ104bが搭載されている。本体用コネクタ104aには、無線用内部ケーブル104cを介して本体基板102が接続される。アンテナ用コネクタ104bには、アンテナ用内部ケーブル105aを介して棒状アンテナ105が接続される。
【0044】
棒状アンテナ105は、通信基板104での処理の下で無線信号の送受信を行う。
【0045】
図6は、
図5に示されている本体基板におけるハードウェア構成を示す模式的なブロック図である。
【0046】
本体基板102には、MPU(Micro Processing Unit)102f、センサ回路102g、及び電源回路102hが搭載されている。更に、本体基板102には、無線通信回路102i、有線通信回路102j、SW回路102k、リセット回路102m、及びセラミック発振子102n、が搭載されている。
【0047】
MPU102fは、各種信号処理を行う集積回路である。
【0048】
センサ回路102gは、MPU102fとの間で、三軸加速度センサ102aからの出力の遣り取りを行う。
【0049】
電源回路102hは、MPU102fの制御の下で、電池103からの電力を適宜に変換してMPU102fへと供給する。
【0050】
無線通信回路102iは、MPU102fの制御の下で、例えばZigbee(登録商標)等の無線通信規格に則った無線通信用の信号を、通信基板104との間で遣り取りする。
【0051】
有線通信回路102jは、MPU102fの制御の下で、例えばRS232C等の通信規格に則った有線通信用の信号を、本体基板102に接続されたメンテナンス用のPCとの間で遣り取りする。
【0052】
SW回路102kは、MPU102fの制御の下で、
図4に示されている設定用スイッチ102eにおける複数のスイッチのオン/オフの組合せに基づいた各種設定を行う。
【0053】
図7は、
図4に示されている設定用スイッチにおける複数のスイッチのオン/オフの組合せの一例を表形式で示す模式図である。
【0054】
この
図7の例では、設定用スイッチ102eにおける8つのスイッチのうち「1」~「4」の4つのスイッチにおけるオン/オフの組合せにより、遮断桿動作測定装置100を個体識別するためのユニットナンバーが設定される。「5」のスイッチは、メンテナンスの際に、実際の測定データの代わりにメンテナンス用の模擬データを無線通信回路102iへと強制出力させるために用いられる。オンで模擬データの出力状態となり、オフで出力停止状態となる。「6」のスイッチは、メンテナンスの際に、有線通信回路102jを介したメンテナンス用のPCとの通信の許可/不許可を設定するために用いられる。オンで許可となり、オフで不許可となる。「7」のスイッチは、遮断桿動作測定装置100の取付け方向を設定するために用いられる。
図1に示されているような遮断機11では、その設置位置に応じて、向かって左右何れの側に遮断桿11aが倒れて降下するかが変わる。遮断桿動作測定装置100では、遮断桿11aが鉛直に立てられた状態を0°とし、左右何れかに遮断桿11aが倒れていく方向を+方向、逆方向を-方向、として遮断桿11aの傾き角度が検出される。「7」のスイッチは、左右何れの方向を+方向として傾き角度の検出を行うかを設定するものとなっている。また、
図7の例では、「8」のスイッチが不使用の空きスイッチとなっている。
【0055】
設定スイッチ102eを設けることで、監視ユニット100aのユニットナンバーや、模擬データのオン/オフについて、メンテナンス要員が目視確認しながら設定することができる。
【0056】
尚、本実施形態とは異なり、設定スイッチ102eを特には設けず、例えばメンテナンス用のPC等を介し、そのモニタ上で設定内容を確認しながらユニットナンバーや模擬データのオン/オフの設定を行うこととしてもよい。
【0057】
図6のリセット回路102mは、MPU102fのリセットを行う。
【0058】
セラミック発振子102nは、MPU102fの制御の下で、回路動作の基準となる基準クロックをMPU102fに供給する。
【0059】
本実施形態における遮断桿動作測定装置100は、概略、以上に説明したように構成されている。尚、遮断桿動作測定装置におけるケース素材は、本実施形態の遮断桿動作測定装置100のように線路の近傍に設置される場合、列車通過時のバラストの飛散に耐え得る強度であれば、樹脂及び金属等でよい。また、ケース形状についても、
図3や
図4に示されている形状に限るものではない。ケース素材やケース形状は、使用環境等に応じて適宜に設定し得る。また、遮断桿動作測定装置の内部構成、基板やアンテナや電池の接続形態や通信規格、設定スイッチの設定状態等についても、何れも
図3~
図7を参照して説明した上述の概略構成に限るものではなく、適宜に設定し得るものである。
【0060】
次に、
図3~
図7に模式的に示されている遮断桿動作測定装置100の機能に注目して説明する。
【0061】
図8は、
図3~
図7に模式的に示されている遮断桿動作測定装置について、その機能に注目して示す模式的な機能ブロック図である。
【0062】
遮断桿動作測定装置100は、その機能に注目すると、傾き検出部111、計時部112、データ生成部113、出力部114、無線通信部115、及びスリープ制御部116、を備えている。傾き検出部111がセンサ回路102gによって構築され、計時部112、データ生成部113、出力部114、及びスリープ制御部116が、本体基板102におけるMPU102fによって構築される。また、無線通信部115が、通信基板104及び棒状アンテナ105によって構築される。
【0063】
傾き検出部111は、遮断桿の傾きを検出する機能部位であり、三軸加速度センサ102aで傾き角度を検出するセンサ回路102gによって構築される。
【0064】
計時部112は、時間を計測する機能部位であり、MPU102fにおける計時機能によって構築される。
【0065】
データ生成部113は、遮断桿11aの降下動作及び上昇動作について、各動作に要した動作時間、及び各動作の終了時における遮断桿11aの動作終了傾き、を表す測定データを、生成する機能部位である。この測定データは、傾き検出部111での検出結果及び計時部112での計時結果に基づいて生成される。ここで、データ生成部113は、測定処理部113aと、生成処理部113bと、を有する。測定処理部113aは、上記の検出結果及び計時結果に基づいて遮断桿11aの降下動作及び上昇動作それぞれの動作時間を測定し、各動作の終了時における検出結果に基づいて動作終了傾きを測定する機能部位である。生成処理部113bは、測定処理部113aでの測定結果に基づいて測定データを生成する機能部位である。データ生成部113も、上述したように本体基板102におけるMPU102fによって構築される。
【0066】
出力部114は、データ生成部113で生成された測定データを、出力先たる踏切器具箱13の本体ユニット13aに無線通信部115を介して出力する機能部位である。本実施形態では、データ生成部113で生成された測定データは、本体基板102における不図示のメモリに一旦記憶される。そして、出力部114は、遮断桿11aが上昇して立てられた状態にあるときに、測定データをメモリから読みだして無線で出力する。このときの出力は、例えばZigbee(登録商標)等といった無線通信規格に則った無線通信によって行われる。この出力部114も、本体基板102におけるMPU102fによって構築される。
【0067】
無線通信部115は、棒状アンテナ105を有して無線通信を行う機能部位であり、通信基板104及び棒状アンテナ105によって構築される。
【0068】
スリープ制御部116は、所定のスリープ期間が到来すると、当該スリープ期間中は傾き検出部111、計時部112、データ生成部113、出力部114、及び無線通信部115の動作を停止させる機能部位である。スリープ期間としては、例えば測定データの出力後の一定期間や、終電車が踏切を通過してから始発電車が踏切を通過するまでの間における一定期間等が一例として挙げられる。また、一日における一定時間帯や、一週間における特定曜日の一定時間帯等というように、予め定められた定期的な期間もスリープ期間の一例として挙げられる。
【0069】
そして、傾き検出部111、計時部112、データ生成部113、出力部114、無線通信部115、及びスリープ制御部116が筐体としての樹脂ケース100aに収納されている。ここで、本実施形態では、この樹脂ケース100aが、遮断機11に、次のように取り付けられる。
【0070】
図9は、遮断桿動作測定装置の樹脂ケースが遮断桿にどのように取り付けられるかを模式的に表す図である。
【0071】
この
図9に示されているように、遮断桿動作測定装置100の樹脂ケース100aは、まず、遮断機11の遮断桿11aと一緒に動くように設置されている。具体的には、遮断桿11aの駆動部11b寄りに固定された不図示の取付け構造物に、樹脂ケース100aが固定されている。更に、樹脂ケース100aは、遮断桿動作測定装置100における棒状アンテナ105の長手方向D11が遮断桿11aの長手方向D12に沿うように遮断桿11aに設置されている。
【0072】
そして、上述したように、出力部114は、遮断桿11aが0°まで上昇して鉛直に立てられた状態にあるときに、無線通信部115を介して測定データを無線で出力することとなっている。
【0073】
次に、以上に説明した遮断桿動作測定装置100で実行される遮断桿11aの動作に関する測定処理について、以下に図示するタイムチャート及びフローチャートと、を参照して説明する。
【0074】
図10は、遮断桿の動作に関する測定処理を表すタイムチャートを示す図である。
図11は、遮断桿の動作に関する測定処理のうち測定データが生成されるまでの処理の流れの途中までを表すフローチャートである。
図12は、測定データが生成されるまでの処理の流れのうち、
図11に示されている処理の続きを表すフローチャートである。そして、
図13は、遮断桿の動作に関する測定処理のうち測定データが生成されてから測定データの出力が完了するまでの処理の流れを表すフローチャートである。
【0075】
図10のタイムチャートTC10には、列車チャートTC11、接点入力チャートTC12、イベントチャートTC13、遮断機チャートTC14、本体ユニットチャートTC15、及び遮断桿動作測定チャートTC16が示されている。
【0076】
列車チャートTC11には、踏切1における、列車の不在、接近、通過中、通過後、という列車の通過状況の経過が示されている。
【0077】
接点入力チャートTC12には、踏切器具箱13の全体制御装置13-1が遮断機11及び警報機12を動作させたことを示す動作指示R、遮断機11の降下状態を表す信号として全体制御装置13-1から出力される降下信号R、の経過が示されている。動作指示R及び降下信号Rは全体制御装置13-1から接点入出力部13cを介して本体ユニット13aに送られる。列車の接近時に動作指示RがH→Lとなることで、警報機12が警報音の鳴動を開始させるとともに、降下待機時間の経過後に遮断機11が遮断桿11aの降下を開始したことが本体ユニット13aで認識される。降下完了後、降下信号RがL→Hとなることで遮断機11の降下状態が踏切器具箱13の接点入出力部13cを介して本体ユニット13aで認識される。列車が通過してしまうと、動作指示RがL→Hとなることで、警報機12が警報音の鳴動を終了させるとともに、遮断機11が遮断桿11aの上昇を開始したことが本体ユニット13aで認識される。この上昇開始とともに降下信号RがH→Lとなることで遮断機11の降下状態の終了が本体ユニット13aで認識される。
【0078】
イベントチャートTC13には、動作指示Rの変化に応じて遮断機11及び警報機12で生じる上述の各種動作イベントの経過が示されている。即ち、警報音の鳴動開始、遮断桿11aの降下開始、遮断桿11aの降下量が一定量を超えたことによる遮断完了、遮断桿11aの降下終了が示されている。その後、列車の通過待ちを経て、通過後における警報音の鳴動終了、遮断桿11aの上昇開始、上昇終了が示されている。遮断桿11aの上昇終了の後は、後述するように、遮断桿動作測定装置100での測定終了を経て、遮断桿動作測定装置100から本体ユニット13aへの測定結果出力が行われる。
【0079】
遮断機チャートTC14には、遮断機11における遮断桿11aの傾きの変化が示されている。列車不在時に鉛直に立てられて傾き角度が0°の状態にある遮断桿11aは、警報音の鳴動開始後、降下待機時間が経過すると傾き角度が90°となる水平の状態に向かって降下を開始する。所定の降下時間で傾き角度が90°に達すると列車の通過待ちとなり、列車が通過して警報音の鳴動が終了すると上昇を開始する。所定の上昇時間で傾き角度が0°の鉛直に立てられた状態となると遮断桿11aの動作が終了する。
【0080】
ここで、遮断桿11aの急激過ぎる降下、上昇動作は、踏切1を横断中の歩行者や、踏切1の手前で立ち止まっている歩行者にぶつかったり、歩行者の衣服などを引っ掛けたりする等といった事態をもたらす恐れがある。また、遮断桿11aの緩慢過ぎる降下、上昇動作は、踏切1を通る道路R12の遮断時間が長くなり、交通渋滞を引き起こす恐れがある。従って、上記の降下時間及び上昇時間は、歩行者の安全、交通状況、遮断機11の構造等を考慮して適宜決められている。
【0081】
本体ユニットチャートTC15には、本体ユニット13aから遮断桿動作測定装置100に対し例えばZigbee(登録商標)等の通信規格で行われる通信イベントが示されている。本実施形態では、本体ユニット13aから遮断桿動作測定装置100に対して行われる通信イベントは、遮断桿動作測定装置100から出力された測定データの受取確認の通知のみとなっている。
【0082】
遮断桿動作測定チャートTC16には、測定チャートTC161と、出力チャートTC162と、が示されている。
【0083】
測定チャートTC161には、遮断桿11aにおける傾き角度の変化に対してデータ生成部113で実行される測定処理が示されている。
【0084】
データ生成部113では、まず、傾き検出部111での検出結果が降下開始閾値L11から降下終了閾値L12まで変化する際に計時部112で計時された降下動作時間TS11が求められる。更に、傾き検出部111での検出結果が上昇開始閾値L13から上昇終了閾値L14まで変化する際に計時部112で計時された上昇動作時間TS12が求められる。ここで、降下開始閾値L11とは、遮断桿11aが鉛直(0°)に立てられた状態から所定程度倒れたときの傾き角度のことであり、降下終了閾値L12とは、遮断桿11aが水平(90°)にまで倒れる所定程度手前の段階での傾き角度のことである。降下開始閾値L11としては、例えば5°等の角度が一例として挙げられ、降下終了閾値L12としては、例えば85°等の角度が一例として挙げられる。また、上昇開始閾値L13とは、遮断桿11aが水平(90°)に倒れた状態から所定程度起き上がったときの傾き角度のことであり、上昇終了閾値L14とは、遮断桿11aが鉛直(0°)にまで起き上がる所定程度手前の段階での傾き角度のことである。上昇開始閾値L13としては、例えば85°等の角度が一例として挙げられ、上昇終了閾値L14としては、例えば5°等の角度が一例として挙げられる。尚、降下開始閾値L11、降下終了閾値L12、上昇開始閾値L13、及び上昇終了閾値L14、の具体的な値は、傾き検出部111における例えば検出分解能等に応じて任意に設定し得るものである。
【0085】
また、データ生成部113では、傾き検出部111での検出結果が降下終了閾値L12に達してから第1待ち時間TS13が経過した後の第1測定時間TS14に亘る傾き検出部111での検出結果の平均値が降下動作終了傾きL15として求められる。更に、傾き検出部111での検出結果が上昇終了閾値L14に達してから第2待ち時間TS15が経過した後の第2測定時間TS16に亘る傾き検出部111での検出結果の平均値が上昇動作終了傾きL16として求められる。
【0086】
そして、データ生成部113では、このようにして求められた降下動作時間TS11、上昇動作時間TS12、降下動作終了傾きL15、及び上昇動作終了傾きL16、を表す測定データが生成される。
【0087】
このような測定データの生成に関する処理について、ここまでの説明と若干重複する内容も含むが、
図11及び
図12のフローチャートを参照して説明する。
【0088】
このフローチャートの処理は、遮断桿動作測定装置100が上記のスリープ制御部116で規定されるスリープ期間が終了して起動すると開始される。すると、まず、各要素のイニシャライズが行われ(ステップS11)、その後、待機状態となる(ステップS12)。この間に、傾き検出部111での検出結果が降下開始閾値L11を超えたか否かが判定される(ステップS13)。降下開始閾値L11未満の場合(ステップS13のNO判定)、ステップS12に処理が戻って待機状態となる。
【0089】
降下開始閾値L11を超えた場合(ステップS13のYES判定)、計時部112での計時結果の記録が行われる(ステップS14)。次に、傾き検出部111での検出結果が降下終了閾値L12を超えたか否かが判定される(ステップS15)。降下終了閾値L12未満の場合(ステップS15のNO判定)、ステップS15の判断が繰り返されることでデータ生成部113が遮断桿11aの降下待ちの状態となる。
【0090】
降下終了閾値L12を超えた場合(ステップS15のYES判定)、この時点での計時部112での計時結果と、ステップS14で記録された計時結果と、から降下動作時間TS11が求められる(ステップS16)。
【0091】
尚、降下動作時間を取得する手法は、本実施形態のように2つの時点での計時結果から求める手法に限るものではない。例えば、ステップS14の時点で計時を開始し、ステップS16の時点で計時を終了することで、2つの時点の間の経過時間を降下動作時間として取得する手法等であってもよい。
【0092】
また、本実施形態とは異なり、降下動作時間の取得に留まらず、降下終了閾値L12を超えるまでの動作時間についてタイムアウトを設けることとしてもよい。即ち、上限時間までに降下終了閾値L12を超えない場合には、遮断桿11aと大地の間への車両等といったモノの挟まり等により遮断桿11aが完全に閉じ切らない等の異常が生じたものとして、当該異常を検出することとしてもよい。この場合、異常が検出された場合には、処理を停止し、異常検出時の傾き検出部111での検出結果と、計時部112での計時結果と、異常が生じた旨を示すエラー情報と、を表す測定データが生成される。そして、後述の出力処理を待たず、その測定データが本体ユニット13aに出力される。
【0093】
本実施形態では、降下動作時間TS11の取得に続き、第1待ち時間TS13が経過したか否かがデータ生成部113で判定される(ステップS17)。
【0094】
第1待ち時間TS13が経過していない場合(ステップS17のNO判定)、ステップS17の判断が繰り返されることでデータ生成部113が第1待ち時間TS13の経過待ち状態となる。第1待ち時間TS13が経過した場合(ステップS17のYES判定)、傾き検出部111での検出結果が記録される(ステップS18)。この記録に続いて、第1測定時間TS14が経過したか否かがデータ生成部113で判定される(ステップS19)。第1測定時間TS14が経過していない場合(ステップS19のNO判定)、ステップS18に戻って、傾き検出部111での検出結果の記録が繰り返される。
【0095】
第1測定時間TS14が経過した場合(ステップS19のYES判定)、第1測定時間TS14に亘る傾き検出部111での検出結果の平均値が降下動作終了傾きL15として求められる(ステップS20)。
【0096】
ここまでの処理で、遮断桿11aの降下動作に関する測定が終了し、次に上昇動作の測定に移行する。
【0097】
上昇動作の測定に移行すると、まず、傾き検出部111での検出結果が上昇開始閾値L13を下回ったか否かが判定される(ステップS21)。上昇開始閾値L13以上の場合(ステップS21のNO判定)、ステップS21の判断が繰り返されることでデータ生成部113が遮断桿11aの上昇待ちの状態となる。
【0098】
上昇開始閾値L13を下回った場合(ステップS21のYES判定)、計時部112での計時結果の記録が行われる(ステップS22)。次に、傾き検出部111での検出結果が上昇終了閾値L14を下回ったか否かが判定される(ステップS23)。上昇終了閾値L14以上の場合(ステップS23のNO判定)、ステップS23の判断が繰り返されることでデータ生成部113が遮断桿11aの上昇待ちの状態となる。
【0099】
上昇終了閾値L14を下回った場合(ステップS23のYES判定)、この時点での計時部112での計時結果と、ステップS22で記録された計時結果と、から上昇動作時間TS12が求められる(ステップS24)。
【0100】
尚、上昇動作時間を取得する手法も、上述した降下動作時間を取得する手法と同様、ステップS22の時点で計時を開始し、ステップS14の時点で計時を終了することで、2つの時点の間の経過時間を上昇動作時間として取得する手法等であってもよい。
【0101】
また、本実施形態とは異なり、上昇動作時間の取得に留まらず、上昇終了閾値L14を下回るまでの動作時間についてタイムアウトを設けることとしてもよい。即ち、上限時間までに上昇終了閾値L14を下回らない場合には、倒木等により遮断桿11aが完全に開き切らない等の異常が生じたものとして、当該異常を検出することとしてもよい。この場合、異常が検出された場合には、測定処理を停止し、異常検出時の傾き検出部111での検出結果と、計時部112での計時結果と、異常が生じた旨を示すエラー情報と、を表す測定データが生成される。そして、後述の出力処理を待たず、その測定データが本体ユニット13aに出力される。
【0102】
本実施形態では、上昇動作時間TS12の取得に続き、第2待ち時間TS15が経過したか否かがデータ生成部113で判定される(ステップS25)。
【0103】
第2待ち時間TS15が経過していない場合(ステップS25のNO判定)、ステップS25の判断が繰り返されることでデータ生成部113が第2待ち時間TS15の経過待ち状態となる。第2待ち時間TS15が経過した場合(ステップS25のYES判定)、傾き検出部111での検出結果が記録される(ステップS26)。この記録に続いて、第2測定時間TS16が経過したか否かがデータ生成部113で判定される(ステップS27)。第2測定時間TS16が経過していない場合(ステップS27のNO判定)、ステップS26に戻って、傾き検出部111での検出結果の記録が繰り返される。
【0104】
第2測定時間TS16が経過した場合(ステップS27のYES判定)、第2測定時間TS16に亘る傾き検出部111での検出結果の平均値が上昇動作終了傾きL16として求められる(ステップS28)。
【0105】
以上を以て遮断桿11aの上昇動作に関する測定も終了すると、降下動作時間TS11、降下動作終了傾きL15、上昇動作時間TS12、上昇動作終了傾きL16、を表す測定データが生成されて、不図示のメモリに記憶される(ステップS29)。この後は、ステップS12に戻って、次の遮断桿11aの動作に備える待機状態となる。
【0106】
このようにして測定データが生成、記憶されると、今度は、出力部114及び無線通信部115において、
図10の遮断桿動作測定チャートTC16における出力チャートTC162に示されているような経過を辿って測定データの出力が行われる。まず、第2測定時間TS16を含む終了待ち時間TS17が経過するまでは、出力部114及び無線通信部115は、通信基板104が電源OFFとなった待機状態にある。終了待ち時間TS17が経過すると通信基板104が電源ONとなって、出力部114及び無線通信部115は起動待機状態となる。この起動待機状態は、予め定められた起動待機時間TS18に亘って続けられる。その後、出力部114が、上記のメモリから測定データを読み出して例えばZigbee(登録商標)等といった無線通信規格に則った無線通信部115での無線通信によって踏切器具箱13内の本体ユニット13aに向けて出力する。出力後は、踏切器具箱13内の本体ユニット13aからの応答待ち状態となる。
【0107】
この間、踏切器具箱13内の本体ユニット13a、及び短距離無線モジュール13eは、遮断桿動作測定装置100からの測定データの待受け状態となっている。そして、遮断桿動作測定装置100からの測定データを受信すると、本体ユニット13aは短距離無線モジュール13eを介して遮断桿動作測定装置100に向けて応答信号SR11を返信する。出力部114では、この応答信号SR11が受信されると、所定の終了処理時間TS19の経過を経て通信基板104が電源OFFとなって待機状態に戻る。
【0108】
このような測定データの出力に関して出力部114で実行される処理について、ここまでの説明と若干重複する内容も含むが、
図13のフローチャートを参照して説明する。
【0109】
このフローチャートの処理は、遮断桿動作測定装置100における出力部114が上記のスリープ制御部116で規定されるスリープ期間が終了して起動すると開始される。すると、まず、出力部114のイニシャライズが行われ(ステップS31)、その後、待機状態となる(ステップS32)。この待機状態(ステップS32)は、上述した終了待ち時間TS17が経過すると終了し、次のステップS33の処理に移行する。
【0110】
ステップS33では通信基板104が電源ONとなって無線通信部115が起動し、続いて無線通信部115のイニシャライズが行われ(ステップS34)、出力部114及び無線通信部115が起動待機状態となる。その後、出力部114において、起動待機時間TS18が経過したか否かが判定される(ステップS35)。起動待機時間TS18が経過していない場合(ステップS35のNO判定)、ステップS35の判断が繰り返されることで起動待機時間TS18の経過待ち状態となる。起動待機時間TS18が経過した場合(ステップS35のYES判定)、出力部114がメモリから測定データを読み出して本体ユニット13aに向けて無線通信部115を介した無線通信により出力する(ステップS36)。
【0111】
その後、所定時間内に本体ユニット13aから応答信号SR11が返信されて来たか否かの判定が出力部114で行われる(ステップS37)。応答信号SR11が返信されて来なかった場合(ステップS37のNO判定)、通信基板104が電源OFFとなり(ステップS38)、測定データの出力回数が3回に達したか否かの判定が出力部114で行われる(ステップS39)。3回に達した場合(ステップS39のYES判定)、ステップS32に処理が戻り、出力部114及び無線通信部115は今回のデータ出力を断念し、次の遮断機の動作に備える。3回に達していない場合(ステップS39のNO判定)、所定の遅延時間が経過したか否かが判定される(ステップS40)。遅延時間が経過していない場合(ステップS40のNO判定)、ステップS40の判断が繰り返されることで遅延時間の経過待ち状態となる。遅延時間が経過した場合(ステップS40のYES判定)、ステップS33に処理が戻り、以降の処理を繰り返すことでデータ出力のリトライが行われる。
【0112】
他方、データ出力の後で応答信号SR11が返信されて来た場合(ステップS37のYES判定)、出力部114及び無線通信部115での出力処理が終了し(ステップS41)、通信基板104が電源OFFとなる(ステップS42)。その後は、ステップS32に処理が戻り、出力部114及び無線通信部115は次の遮断機の動作に備えることとなる。
【0113】
遮断機11では、遮断桿11aの後端側に取り付けられたバランスウェイトによってバランスが取られつつ、遮断桿11aがモータや駆動メカ等を有する駆動部11bによって昇降される。遮断桿11aの動作時間や動作終了傾きが予め定められた範囲内に収まらない場合、駆動部11bにおける何等かの故障、あるいは折損等による遮断桿11aの重量のズレ、等が生じている可能性がある。このような駆動部11bの故障や遮断桿11aの重量のズレ等といった異常や兆候は、遮断桿11aの動作時間や動作終了傾きから捕捉可能である。上述した実施形態の遮断桿動作測定装置100によれば、遮断桿11aの降下動作及び上昇動作について、各動作に要した動作時間、及び各動作の終了時における遮断桿11aの動作終了傾き、を表す測定データが出力先に出力される。つまり、異常判断の源泉となり得る測定データが出力されるので、その出力先たる踏切器具箱13内の本体ユニット13aでは、異常発生のみならず異常の兆候をも測定データを用いて捉えることができる。また、異常やその兆候は遮断桿の降下時と上昇時それぞれに個別に現れることがある。これに対し、本実施形態の遮断桿動作測定装置100によれば、降下動作及び上昇動作それぞれの動作時間及び動作終了傾きを表す測定データが出力されるので、上記のように個別に現れる異常や兆候を漏れなく捉えることができる。
【0114】
また、本実施形態では、計時に関しては測定データの生成を担うMPU102fにおける計時機能を利用している。即ち、ハードウェアとしてのセンサは、遮断桿11aの傾きという1種類の物理量を検出する三軸加速度センサ102aのみを用意すれば足りる。このように、本実施形態によれば、センサの数が少なくて済むことから、部品コストを低減させることもできる。
【0115】
また、本実施形態では、遮断桿動作測定装置100の筐体である樹脂ケース100aが、遮断桿11aにおける駆動部11b寄りに固定された取付け構造物に固定されている。この構成によれば、樹脂ケース100a、即ち、この遮断桿動作測定装置100が遮断桿11aの先端寄りに設置される場合等と比較すると、傾き検出部111での検出結果が、遮断桿11aの撓みや揺れ等の影響を受け難いことから、この検出結果に基づく測定データの精度を向上させることができる。尚、遮断桿11aに対する樹脂ケース100a、つまりは遮断桿動作測定装置100の取付け手法は、本実施形態のように取付け構造物を介した間接的な手法に限らず、遮断桿11aに直接的に固定する手法等であってもよい。
【0116】
また、本実施形態では、傾き検出部111が、三軸加速度センサ102aを用いて遮断桿11aの傾きを検出する。この構成によれば、遮断桿11aに設置された樹脂ケース100aに収容されて遮断桿11aと一緒に動く三軸加速度センサ102aを用いることで、遮断桿11aの傾きが高精度で検出されることから、測定データの精度を一層向上させることができる。また、三軸加速度センサ102aを用いることで、例えば、この三軸加速度センサ102aの取付け部の緩み等から生じる取付け状態の捩じれ、位置ずれ等を検出することができる。更に、遮断桿11aに例えば折損等が発生した場合には、遮断桿11aが真っすぐに延びた正常時では起こり得ない方向の角度検出結果が得られることとなり、折損等の事象を高精度で検出することもできる。
【0117】
また、本実施形態では、出力部114が、測定データを無線で出力する。この構成によれば、ケーブルが長く配策されることが望ましくない踏切1においても、測定データを出力先たる踏切器具箱13内の本体ユニット13aへと出力することができる。
【0118】
また、本実施形態では、樹脂ケース100aが、棒状アンテナ105の長手方向D11が遮断桿11aの長手方向D12に沿うように遮断桿11aに設置されている。そして、出力部114は、遮断桿11aが上昇して立てられた状態にあるときに、無線通信部115を介して測定データを無線で出力する。この構成によれば、通信性能の高い棒状アンテナ105が遮断桿11aとともに立てられて、金属の遮蔽物となり、且つVVVFインバータ制御による高調波ノイズの発生源となりがちな列車が不在で、通信障害が抑えられた状態にあるときに測定データが無線で出力される。このため、高い信頼性の下で測定データを本体ユニット13aに送ることができる。また、無線出力に失敗したときのリトライのリスクも低減されることとなり、リトライの実施による電力消費の増加を抑えることも可能となる。
【0119】
また、本実施形態では、データ生成部113は、降下動作時間TS11及び上昇動作時間TS12を表す測定データを生成する。降下動作時間TS11は、傾き検出部111での検出結果が降下開始閾値L11から降下終了閾値L12まで変化する際の動作時間であり、上昇動作時間TS12は、検出結果が上昇開始閾値L13から上昇終了閾値L14まで変化する際の動作時間である。この構成によれば、傾き検出部111での検出結果と上記の各閾値との比較により、処理負担を抑えつつも高い精度で遮断桿11aの動作時間を表す測定データが生成されることとなる。
【0120】
また、本実施形態では、データ生成部113は、降下動作終了傾きL15及び上昇動作終了傾きL16を表す測定データを生成する。降下動作終了傾きL15は、傾き検出部111での検出結果が降下終了閾値L12に達してから第1待ち時間TS13が経過した後の第1測定時間TS14に亘る検出結果の平均値である。上昇動作終了傾きL16は、検出結果が上昇終了閾値L14に達してから第2待ち時間TS15が経過した後の第2測定時間TS16に亘る検出結果の平均値である。この構成によれば、傾き検出部111での検出結果の平均値を動作終了傾きとして表す測定データを生成することで、動作終了時の遮断桿11aの揺れ等によって検出結果がバラつくようなことがあっても安定した測定データを得ることができる。
【0121】
また、本実施形態では、所定のスリープ期間が到来すると、当該スリープ期間中は傾き検出部111、計時部112、データ生成部113、出力部114、及び無線通信部115の動作を停止させるスリープ制御部116が設けられている。この構成によれば、スリープ期間中における電力消費を抑えることができるので、節電効果を得ることができる。
【0122】
尚、以上に説明した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、これに限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の遮断桿動作測定装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【0123】
例えば、上述の実施形態では、遮断桿動作測定装置の一例として、測定データを踏切器具箱13内の本体ユニット13aに出力し、遮断桿11aの異常やその兆候の捕捉は本体ユニット13aに委ねる遮断桿動作測定装置100が例示されている。しかしながら、遮断桿動作測定装置はこれに限るものではなく、測定データの生成に加えて、その測定データに基づく異常や兆候の捕捉も行い、測定データとともに捕捉結果を出力することとしてもよい。また、異常や兆候の捕捉については、遮断桿動作測定装置と、測定データの出力先と、の何れか一方のみで行うことに限るものでもなく、遮断桿動作測定装置と出力先との双方で行うこととしてもよい。
【0124】
ここで、異常や兆候を捕捉する手法の一例としては、次のような手法が挙げられる。即ち、測定データが表す遮断桿11aの動作時間や、動作終了傾きの平均値等といった複数の値それぞれについて判定範囲を予め定めておき、各値と比較する手法が挙げられる。判定範囲については、異常捕捉用の第1範囲と、この第1範囲よりも広めに設定された異常の兆候捕捉用の第2範囲と、を設けること等が一例として挙げられる。また、判定については、測定データが表す複数の値のうち何れか1つでも判定範囲から外れていた場合に遮断機に異常、又はその兆候が表れていると判定すること等が一例として挙げられる。
【0125】
また、上述したように、遮断桿11aと大地の間へのモノの挟まり、倒木等により遮断桿11aが完全に昇降できない等の異常検出について、遮断機動作時間についてタイムアウトを設けること等も、異常や兆候を捕捉する手法の一例として挙げられる。この時間内に降下あるいは上昇の閾値に到達しない場合、開閉異常として検出されることとなる。
【0126】
また、上述の実施形態では、測定データの出力先の一例として、警報機12の隣に設置された踏切器具箱13内の本体ユニット13aが例示されている。しかしながら、測定データの出力先はこれに限るものではなく、例えば所定のネットワークを介して接続された指令サーバを出力先として、この指令サーバに直に出力することとしてもよい。
【0127】
また、上述の実施形態では、筐体である樹脂ケース100aが遮断桿11aにおける駆動部11b寄りに取付け構造物を介して設置される遮断桿動作測定装置100が例示されている。しかしながら、遮断桿動作測定装置はこれに限るものではなく、筐体の設置場所は、遮断桿の先端を含む任意の場所としてもよい。ただし、筐体が遮断桿11aにおける駆動部11b寄りに設置されることで、検出結果に基づく測定データの精度を向上させることができる点は上述した通りである。
【0128】
また、上述の実施形態では、三軸加速度センサ102aを用いて遮断桿11aの傾きを検出する傾き検出部111を備えた遮断桿動作測定装置100が例示されている。しかしながら、傾き検出部における具体的なセンサ態様については、これを問うものではない。例えば三軸以外の加速度センサを用いてもよく、光学式や磁気式のエンコーダ等といった角度センサを用いてもよい。ただし、エンコーダ等では、設置時の詳細な個別調整や個別設定等の手間がかかり、遮断機の動作方向での検出しかできないのに対し、三軸加速度センサ102aによれば上述の手間が抑えられ、動作方向以外での検出も可能となる点で有利である。更に、三軸加速度センサ102aを用いることで、取付け状態の捩じれ、位置ずれ等を検出することができ、遮断桿11aの折損等の事象を高精度で検出することができる点は上述した通りである。
【0129】
また、上述の実施形態では、出力部114が測定データを無線で出力する遮断桿動作測定装置100が例示されている。しかしながら、遮断桿動作測定装置はこれに限るものではなく、例えば測定データを有線で出力することとしてもよい。ただし、無線で出力することでケーブルが長く配策されることが望ましくない踏切1においても出力することができる点も上述した通りである。
【0130】
また、上述の実施形態では、筐体たる樹脂ケース100aが、棒状アンテナ105が遮断桿11aに沿うように設置され、遮断桿11aが上昇して立てられた状態にあるときに測定データを無線で出力する遮断桿動作測定装置100が例示されている。しかしながら、遮断桿動作測定装置はこれに限るものではなく、遮断桿に対して筐体をどのような姿勢で設置してもよく、遮断桿11aが降下した状態にあるときに測定データを無線で出力することとしてもよい。ただし、遮断桿11aに沿うように設けられた棒状アンテナ105から、遮断桿11aが立てられた状態にあるとき、即ち、列車不在時に無線出力することで、高い信頼性の下で測定データを本体ユニット13aに送ることができる点も上述した通りである。また、これにより、リトライの実施による電力消費の増加を抑えることが可能となる点も上述した通りである。
【0131】
また、上述の実施形態では、データ生成部113が、傾き検出部111での検出結果と種々の閾値との比較により降下動作時間TS11及び上昇動作時間TS12を表す測定データを生成する遮断桿動作測定装置100が例示されている。しかしながら、遮断桿動作測定装置はこれに限るものではなく、遮断桿の動作時間として、どのような時間をどのような手法で求めるかは任意に設定することができる。ただし、傾き検出部111での検出結果と上記の各閾値との比較により、処理負担を抑えつつも高い精度で遮断桿11aの動作時間を表す測定データが生成されることとなる点も上述した通りである。
【0132】
また、上述の実施形態では、データ生成部113が、所定の測定時間に亘る検出結果の平均値を求めることで降下動作終了傾きL15及び上昇動作終了傾きL16を表す測定データを生成する遮断桿動作測定装置100が例示されている。しかしながら、遮断桿動作測定装置はこれに限るものではなく、遮断桿の動作終了傾きとして、どのような値をどのような手法で求めるかは任意に設定することができる。ただし、上記のような平均値を求めることで、安定した測定データを得ることができる点も上述した通りである。
【0133】
また、上述の実施形態では、スリープ制御部116が設けられた遮断桿動作測定装置100が例示されている。しかしながら、遮断桿動作測定装置はこれに限るものではなく、例えばスリープ制御部は設けずに、傾き検出、測定データの生成、及びデータ出力等の処理を常時行うように構成してもよい。ただし、スリープ制御部を設けることで節電効果を得ることができる点も上述した通りである。
【0134】
また、上述の実施形態では、鉄道用踏切の遮断機11における遮断桿11aの動作の測定装置としたが、測定対象は踏切の遮断機には限定するものではない。例えば有料道路や有料駐車場のゲートの遮断機などに応用してもよい。このようにメンテナンス要員による定期的な点検作業が必要な遮断機において、点検が必要な数量が膨大であったり、容易に立ち入れない箇所であったりする場合の点検、メンテナンス作業の負荷が軽減される。また、測定データを自動的に取得し指令サーバへ送信することにより、データの変化を逐次把握でき、故障の予知予防の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0135】
1 踏切
2 ネットワークユニット
3 指令サーバ
4 PC
11 遮断機
12 警報機
12c スピーカ
13 踏切器具箱
13-1 全体制御装置
100 遮断桿動作測定装置
100a 樹脂ケース(筐体)
101 シールドケース
102 本体基板
102a 三軸加速度センサ
103 電池
104 通信基板
105 棒状アンテナ
111 傾き検出部
112 計時部
113 データ生成部
113a 測定処理部
113b 生成処理部
114 出力部
115 無線通信部
116 スリープ制御部
L11 降下開始閾値
L12 降下終了閾値
L13 上昇開始閾値
L14 上昇終了閾値
L15 降下動作終了傾き
L16 上昇動作終了傾き
TS11 降下動作時間
TS12 上昇動作時間
TS13 第1待ち時間
TS14 第1測定時間
TS15 第2待ち時間
TS16 第2測定時間
TS17 終了待ち時間
TS18 終了処理時間