(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】熱管理特性を備えた結像ブランケット
(51)【国際特許分類】
B41N 10/02 20060101AFI20230803BHJP
B32B 25/20 20060101ALI20230803BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230803BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20230803BHJP
B32B 7/027 20190101ALI20230803BHJP
【FI】
B41N10/02
B32B25/20
B32B27/00 101
B32B27/20 Z
B32B7/027
(21)【出願番号】P 2020041666
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2023-03-03
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルン・サンビー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・シェフリン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・クナウスドーフ
(72)【発明者】
【氏名】マーク・シー・ペトロプロス
(72)【発明者】
【氏名】ジャック・ティー・レストレンジ
(72)【発明者】
【氏名】サントク・エス・バデシャ
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-096533(JP,A)
【文献】特開2016-193615(JP,A)
【文献】特開2017-081157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41N 10/02
B32B 25/20
B32B 27/00
B32B 27/20
B32B 7/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変データリソグラフィのための結像ブランケットであって、
基材と、
前記基材上に配置されたシリコーンエラストマー及び少なくとも1つの熱伝導性充填剤を含む熱伝導性組成物と、
フルオロシリコーン及び少なくとも1つの赤外吸収性充填剤を含むトップコートと、を含み、
前記熱伝導性組成物が、約0.6W/(m・K)~約1.6W/(m・K)の範囲の熱伝導率、及び約40ショアA~約100ショアAの範囲のショアA硬度を有し、
前記少なくとも1つの熱伝導性充填剤が、前記熱伝導性組成物の総重量に基づいて、約1重量%~約15重量%の範囲の量で前記熱伝導性組成物中に存在し、
前記シリコーンエラストマーが室温加硫シリコーンゴムである、結像ブランケット。
【請求項2】
前記少なくとも1つの熱伝導性充填剤が、窒化ホウ素及び酸化アルミニウムからなる群から選択される、請求項1に記載の結像ブランケット。
【請求項3】
前記少なくとも1つの熱伝導性充填剤が、前記熱伝導性組成物の総重量に基づいて、約5重量%~約10重量%の範囲の量で前記熱伝導性組成物中に存在する、請求項1に記載の結像ブランケット。
【請求項4】
前記基材が、金属、ポリイミド、プラスチック複合材、及び織布からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1に記載の結像ブランケット。
【請求項5】
前記少なくとも1つの赤外吸収性充填剤が、カーボンブラックである、請求項1に記載の結像ブランケット。
【請求項6】
前記熱伝導性組成物が、0.6W/(m・K)~約0.8W/(m・K)の範囲の熱伝導率を有する、請求項1に記載の結像ブランケット。
【請求項7】
前記熱伝導性組成物が、約60ショアA~約80ショアAの範囲のショアA硬度を有する、請求項1に記載の結像ブランケット。
【請求項8】
前記熱伝導性組成物が、少なくとも1つの触媒を更に含む、請求項1に記載の結像ブランケット。
【請求項9】
前記少なくとも1つの触媒が、白金触媒である、請求項8に記載の結像ブランケット。
【請求項10】
請求項1に記載の前記結像ブランケットを備えた印刷システムにおいて、前記結像ブランケットの温度が、印刷中の前記結像ブランケットの約20回転後に約5℃を超えて上昇しない、
印刷システム。
【請求項11】
請求項1に記載の前記結像ブランケットを備えた印刷システムにおいて、前記結像ブランケットの温度が、印刷中の前記結像ブランケットの約20回転後に約3℃を超えて上昇しない、
印刷システム。
【請求項12】
請求項1に記載の前記結像ブランケットを備えた印刷システムにおいて、前記結像ブランケットの温度が、印刷中の前記結像ブランケットの約20回転後に約28℃未満である、
印刷システム。
【請求項13】
可変データリソグラフィ用の結像ブランケットを作製する方法であって、
シリコーンエラストマー及び少なくとも1つの熱伝導性充填剤を含む熱伝導性組成物を基材に塗布することと、
前記基材上の前記熱伝導性組成物を硬化することと、
フルオロシリコーン及び少なくとも1つの赤外吸収性充填剤を含むトップコートを前記結像ブランケットに適用することと、
前記トップコートを硬化することと、を含み、
前記熱伝導性組成物が、約0.6W/(m・K)~約1.6W/(m・K)の範囲の熱伝導率、及び約40ショアA~約100ショアAの範囲のショアA硬度を有し、
前記少なくとも1つの熱伝導性充填剤が、前記熱伝導性組成物の総重量に基づいて、約1重量%~約15重量%の範囲の量で前記熱伝導性組成物中に存在し、
前記シリコーンエラストマーが室温加硫シリコーンゴムである、方法。
【請求項14】
前記熱伝導性組成物を硬化することが、室温で発生する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記結像ブランケットが、0.6W/(m・K)~約0.8W/(m・K)の範囲の熱伝導率を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
可変データリソグラフィ用の結像ブランケットの熱伝導率を高める方法であって、
前記結像ブランケットを、シリコーンエラストマー及び少なくとも1つの熱伝導性充填剤を含む熱伝導性組成物でコーティングすることと、
基材上の前記熱伝導性組成物を硬化して、コーティングされた結像ブランケットを作製することと、
フルオロシリコーン及び少なくとも1つの赤外吸収性充填剤を含むトップコートを前記結像ブランケットに適用することと、
前記トップコートを硬化することと、を含み、
前記コーティングされた結像ブランケットが、約0.6W/(m・K)~約1.6W/(m・K)の範囲の熱伝導率、及び約40ショアA~約100ショアAの範囲のショアA硬度を有し、
前記少なくとも1つの熱伝導性充填剤が、前記熱伝導性組成物の総重量に基づいて、約1重量%~約15重量%の範囲の量で前記熱伝導性組成物中に存在し、
前記シリコーンエラストマーが室温加硫シリコーンゴムである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、マーキングシステム及び印刷システムに関し、より具体的には、このようなシステムの結像ブランケットに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的なリソグラフィ及びオフセット印刷技術は、恒久的にパターン化された版を使用するため、雑誌、新聞などの同じ像の多数のコピーを印刷する(すなわち、多くの印刷部数)場合にのみ有用である。しかしながら、印刷シリンダ及び/又は結像版を取り外して置き換えることなく、あるページから次のページへと新しいパターンを作製及び印刷することはできない(すなわち、この技術は、例えば、デジタル印刷システムの場合のように、像が刷りから刷りへと変化する真の高速可変データ印刷に適合することができない)。更に、恒久的にパターン化された結像版又はシリンダのコストは、コピー数に応じて償却される。したがって、デジタル印刷システムからの印刷とは対照的に、同じ像のより多くの印刷部数よりも同じ像のより少ない印刷部数の方が、印刷されたコピーあたりのコストが高くなる。
【0003】
その結果、湿し液層で始めに均一にコーティングされた、パターン化されていない再結像可能な表面又は結像ブランケットを含む結像部材を使用する、可変データリソグラフィと呼ばれるリソグラフィ技術が開発された。湿し液の領域が、集束された放射線源(例えば、レーザー光源)に曝露されることによって除去されて、ポケットが形成される。これにより、湿し液中の一時的パターンが、パターン化されていない結像ブランケットの上に形成される。その上に塗布されたインクは、湿し液の除去によって形成されたポケット内に保持される。次いでインクの付いた表面を印刷基材と接触させ、インクを湿し液層のポケットから印刷基材へと転写させる。次に、湿し液を除去して、新たな湿し液の均一層を結像ブランケットに塗布し、このプロセスを繰り返すことができる。
【0004】
結像ブランケットは、低表面エネルギーコーティング、例えば、フルオロシリコーン及びカーボンブラックなどの赤外吸収性充填剤を含む分散体を含む。典型的には、「カーカス」として知られる加工されたゴム基材上に、この分散体は、ウェットフィルムとして塗布され、その後、約160℃などの高温で約4時間硬化され、最終的に結像ブランケットを生成する。Trelleborg AB(Trelleborg、Sweden)が製造するような、カーカスは、典型的には、補強布地層、圧縮性発泡体層、及び上部ゴム層を含有する。このように加工されたカーカスは、熱伝導率が低い場合がある。その結果、特に高ソリッド領域の複数の像印刷を繰り返すことにより、結像領域内で結像ブランケットが加熱される可能性がある。例えば、繰り返し印刷中にドラムを複数回回転させると、結像ブランケット表面にレーザー結像された領域の温度が非結像領域よりもはるかに高くなる場合がある。結像領域内のブランケット表面の温度が高いと、その高温領域における湿し液の蒸着が異常に少なくなるおそれがある。高温領域における低レベルの湿し液は、更に潜像、焼き付き、及び/又は熱ブルーミングなど、印刷物の外観像品質の欠陥につながる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、結像ブランケットの温度が弊害をもたらす量で上昇しないように、改善された熱伝導率を有する結像ブランケットが当該技術分野において必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、(i)基材と、(ii)基材上に配置された、シリコーンエラストマー及び熱伝導性充填剤を含む熱伝導性組成物とを含む、可変データリソグラフィのための結像ブランケットが開示され、結像ブランケットが例えば、約0.5W/m2~約5W/m2、又は約0.6W/m2~約1.6W/m2などの、約0.5W/m2~約10W/m2の範囲の熱伝導率を有し、並びに、約40ショアA~約100ショアAの範囲のショアA硬度を有する。特定の実施形態では、熱伝導性充填剤は、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、及び酸化亜鉛などの金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、カーボンブラック、カーボンナノチューブグラフェン、及びこれらの混合物から選択される。特定の実施形態では、熱伝導性充填剤は、酸化アルミニウム及び窒化ホウ素から選択される。
【0007】
特定の実施形態では、少なくとも1つの熱伝導性充填剤は、熱伝導性組成物の総重量に基づいて、例えば、約1重量%~約10重量%又は約2重量%~約5重量%などの、約1重量%~約15重量%の範囲の量で熱伝導性組成物中に存在し、及び特定の実施形態では、シリコーンエラストマーは、熱伝導性組成物の総重量に基づいて、約90重量%~約99重量%又は約95重量%~約98重量%など、約85重量%~約99重量%の範囲の量で熱伝導性組成物中に存在する。
【0008】
特定の実施形態では、熱伝導性組成物は、白金などの少なくとも1つの触媒を更に含み、特定の実施形態では、シリコーンエラストマーは、室温加硫シリコーンゴムである。
【0009】
特定の実施形態では、基材上に配置された熱伝導性組成物は、シリコーンエラストマー、少なくとも1つの熱伝導性充填剤、及び触媒からなる。
【0010】
本明細書に開示される結像ブランケットの特定の実施形態では、基材は、金属、ポリイミド、プラスチック複合材、及び織布からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。
【0011】
本明細書に開示される更なる実施形態では、結像ブランケットは、フルオロシリコーンと、カーボンブラックなどの少なくとも1つの赤外吸収性充填剤とを含むトップコートを含む。
【0012】
本開示の様々な実施形態では、熱伝導性組成物は、約60ショアA~約80ショアAの範囲のショアA硬度を有する。特定の実施形態では、結像ブランケットの温度は、印刷中に、約5℃を超えて、例えば約20、約30、約40又は約50回転後に、約3℃を超えて上昇しない。特定の実施形態では、結像ブランケットの温度は、印刷中に結像ブランケットの約20、約30、約40又は約50回転後に、約27℃未満、26℃未満、又は約25℃未満など、約28℃未満である。
【0013】
本明細書では、シリコーンエラストマー及び少なくとも1つの熱伝導性フィラーを含む熱伝導性組成物を基材に塗布することと、基材上の熱伝導性組成物を硬化することとを含む、可変データリソグラフィ用のイメージングブランケットを作製する方法も提供され、熱伝導性組成物は、0.5W/m2~約10W/m2の範囲の熱伝導率、例えば、約0.5W/m2~約5W/m2、又は約0.6W/m2~約1.6W/m2、及び約40ショアA~約100ショアAの範囲のショアA硬度などを有する。本明細書に開示される方法の特定の実施形態では、熱伝導性組成物を硬化は室温で発生し、特定の実施形態では、熱伝導性組成物の硬化は、高温、例えば約100℃~約200℃で起こる。特定の実施形態では、本方法は、硬化した熱伝導性組成物にトップコートを塗布することを更に含み、特定の実施形態では、トップコートは、フルオロシリコーンと、カーボンブラックなどの少なくとも1つの赤外吸収性充填剤とを含む。特定の実施形態では、トップコートは、例えば約155℃を超える、又は約160℃などの、約150℃を超える温度で硬化されてもよい。
【0014】
本明細書では、可変データリソグラフィ用のイメージングブランケットの熱伝導率を高める方法も開示されており、この方法は、シリコーンエラストマー及び少なくとも1つの熱伝導性充填剤を含む熱伝導性組成物で結像ブランケットをコーティングすることと、コーティングされた結像ブランケットを形成するため、基材上の熱伝導性組成物を硬化することと含み、コーティングされた結像ブランケットは、例えば、約0.5W/m2~約5W/m2、又は約0.6W/m2~約1.6W/m2などの、約0.5W/m2~約10W/m2の範囲の熱伝導率、及び約40ショアA~約100ショアAの範囲のショアA硬度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本明細書に開示される様々な実施形態による可変データリソグラフィシステムの側面図である。
【
図2】制御カーカス及び0.5mmのシリコーンコーティングされたカーカスの、複数の印刷回転にわたる温度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で使用される、用語「ポリオルガノシロキサン」は、「シロキサン」、「シリコーン」、「シリコーンオイル」、及び「シリコーンゴム」と互換可能に使用される。ポリオルガノシロキサンは、ケイ素原子及び酸素原子から形成される骨格鎖を有するシロキサン、並びに炭素原子及び水素原子を含有する側鎖を有するシロキサンを指すことが当業者には理解される。本明細書で使用される場合、用語「シリコーン」は、フッ素原子を含有するシロキサンを除外すると理解されるべきであり、用語「フルオロシリコーン」は、フッ素原子を含有するシロキサン類を被覆するために使用される。他の原子、例えば、架橋結合中にシロキサン鎖を一緒に結合するために使用されるアミン基の窒素原子がシリコーンに存在してもよい。
【0017】
本明細書で使用される「フルオロシリコーン」という用語は、ケイ素及び酸素原子から形成される骨格鎖、並びに炭素、水素、及びフッ素原子を含む側鎖を有するポリオルガノシロキサンを指す。少なくとも1つのフッ素原子が側鎖に存在する。側鎖は、直鎖、分岐鎖、環状、又は芳香族であり得る。フルオロシリコーンはまた、付加架橋結合を可能にするアミノ基などの官能基を含有してもよい。架橋結合が完了すると、そのような基は、フルオロシリコーン全体の骨格鎖の一部となる。ポリオルガノシロキサンの側鎖は、アルキル又はアリールであってもよい。フルオロシリコーンは市販されており、例えば、NuSil(登録商標)製のCFl-3510、又はWacker製のSLM(n-27)が市販されている。
【0018】
用語「媒体基材」、「印刷基材」、及び「印刷媒体」は、一般に、プレカット又はウェブフィードされるかどうかにかかわらず、通常、物理的に可撓性のある紙のシート、ポリマー、Mylar(登録商標)材、プラスチック、又は他の好適な物理的印刷媒体基材、シート、ウェブなどを指す。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「印刷デバイス」又は「印刷システム」は、デジタル複写機又はプリンタ、スキャナ、像印刷機、乾式電子写真方式デバイス、静電写真デバイス、デジタル製造プレス、文書処理システム、像再生機、製本機、ファクシミリ機、多機能機、又は一般的に、印刷プロセスなどを実行するのに有用な装置であって、いくつかのマーキングエンジン、供給機構、スキャン組立品、及びペーパフィーダ、仕上げ機械などの他の印刷媒体処理ユニットを含むことができる。「印刷システム」は、シート、ウェブ、基材などを取り扱うことができる。印刷システムは、任意の表面などにマークを置くことができ、入力シート上のマークを読み取る任意の機械、又はそのような機械の任意の組み合わせである。
【0020】
本明細書で使用される場合、用語「インクベースのデジタル印刷」は、「可変データリソグラフィ印刷」及び「デジタルオフセット印刷」と互換可能に使用され、像形成プロセスにおいて基材上に像をその後レンダリングする度に変更可能な像を基材上に生成するための可変像データのリソグラフィ印刷を指す。本明細書で使用される「インクベースのデジタル印刷」は、像が像ごとに異なり得るデジタル像データに基づいている場合のリソグラフィインクを使用したインク像のオフセット印刷を含む。本明細書で使用される場合、インクベースのデジタル印刷は、リソグラフィインクのための「デジタルアーキテクチャ」(DALI)又は可変データリソグラフィ印刷システム又はデジタルオフセット印刷システムを使用してもよく、このシステムは、リソグラフィインクを使用して、ある像から次の像へと変化し得るデジタル像データに基づいて構成される。本明細書で使用される場合、DALIを使用するインクベースのデジタル印刷システムは、DALIプリンタと呼ばれることがある。本明細書で使用される場合、DALIプリンタの結像部材は、DALI印刷版及びDALI結像ブランケットとして互換可能に呼ばれ得る。
【0021】
以下に定義される全ての物性は、特に指定のない限り、20℃~25℃で測定される。用語「室温」は、特に指定がない限り、約25℃など、約20℃~約25℃の範囲の温度を指す。
【0022】
本明細書で言及される例の多くは、印刷用にインクパターン化された均一に粒状化され、及び非平坦化されたブランケット表面を有する結像ブランケット(例えば、印刷スリーブ、ベルト、ドラム上で使用される結像ブランケットなどを含む)を対象とする。
【0023】
図1は、例示的な可変データリソグラフィ印刷システム10を示す。
図1に示される例示的なシステム10の概要がここに提供される。
図1の例示的なシステム10に示される個々の構成要素及び/又はサブシステムに関する更なる詳細は、’212公報に見出すことができる。
図1に示されるように、例示的なシステム10は、転写ニップ14において、インク付された像をターゲット像受容媒体基材16に塗布するために使用される結像部材12を含んでもよい。転写ニップ14は、像転写機構30の一部として圧胴18によって生成され、結像部材12の方向に圧力をかける。
【0024】
結像部材12は、例えば円筒状コア、又は円筒状コア上の1つ以上の構造層であってもよい構造取付層の上に形成された再結像可能な表面層(結像ブランケット層又はカーカス)を含んでもよい。通常、一連のローラーを含む湿し溶液サブシステム20を提供することができ、これは、一般に均一な厚さを有する湿し液層又は湿し溶液層で、再結像可能な表面を、結像部材12の再結像可能な表面まで均一に濡らすための、湿しローラー又は湿しユニットとみなされ得る。湿し液又は湿し溶液が再像形成可能な表面上に計量されると、湿し液層又は湿し溶液層の厚さは、再結像可能な表面上への湿し液又は湿し溶液の計量を制御するフィードバックを提供するセンサ22を使用して測定され得る。
【0025】
光パターン化サブシステム24は、例えばレーザーエネルギーを使用して湿し溶液層を像様のパターン化することによって、均一な湿し溶液層に潜像を選択的に形成することができる。再結像可能な表面に近接する光パターン化サブシステム24から放出される赤外線又はレーザーエネルギーの大部分を理想的に吸収する材料から、結像部材12の再結像可能な表面を形成するという点で有利である。そのような材料の表面の形成は、高い空間分解能を維持するために、湿し溶液を加熱する際に無駄になるエネルギーを実質的に最小限に抑え、同時に熱の横方向の広がりを最小限に抑えるのという点で有利であり得る。簡潔に述べると、光パターン化サブシステム24からの光パターン化エネルギーの適用は、潜像を生成する方法で、湿し溶液の均一層の部分の部分的な蒸発をもたらす。
【0026】
次いで、結像部材12の再結像可能な表面上に潜像を有する湿し溶液のパターン化層が、インカーサブシステム26に提示又は導入される。インカーサブシステム26は、湿し溶液のパターン化層及び結像部材12の再結像可能な表面上に均一なインク層を塗布するために使用可能である。実施形態では、インカーサブシステム26は、アニロックスローラーを使用して、結像部材12の再結像可能な表面と接触している1つ以上のインク形成ローラー上でインクを計量することができる。他の実施形態では、インカーサブシステム26は、再結像可能な表面にインクの正確な供給速度を提供するための一連の計量ローラーなどの他の従来の要素を含んでもよい。インカーサブシステム26からのインクは、インク像を形成するために、その上に湿し溶液を含まない再結像可能な表面の領域に被着し得、一方で、湿し溶液層が残っている再結像可能な表面の領域に付着したインクは、再結像可能な表面の領域に被着しない。
【0027】
再結像可能な版の表面に存在するインクの凝集性と粘度は、いくつかの方法のレオロジー制御サブシステム28の使用を含む多くの機構によって改質することができる。実施形態では、レオロジー制御サブシステム28は、再結像可能な版表面上のインクの部分的架橋結合コアを形成して、例えば、再結像可能な版表面に対するインクの接着強度に対するインク凝集強度を高めることができる。実施形態において、特定の硬化機構が用いられてもよい。これらの硬化機構としては、例えば、光学又は光硬化、熱硬化、乾燥、又は様々な形態の化学硬化を含むことができる。冷却は、複数の物理的、機械的、又は化学的冷却機構を介して、転写されたインクのレオロジーを改質するために使用され得る。
【0028】
基材マーキングは、転写サブシステム30を使用して、インクが結像部材12の再結像可能な表面から媒体基材16に転写される際に生じる。レオロジー制御システム28によって改質されたインクの被着及び/又は凝集により、改質されたインクの被着及び/又は凝集が、転写ニップ14で結像部材12の再結像可能な表面から分離する際に、インクが実質的に完全に、優先的に媒体基材16に転写される。とりわけ、転写ニップ14における温度及び圧力条件を慎重に制御することにより、結像部材12の再結像可能な版表面から媒体基材16へのインクの転写効率は、例えば、95%を超えることが可能となる。ある種の湿し溶液もまた、基材16を湿らせる可能性があるが、そのような転写された湿し溶液の体積は、一般に、急速に蒸発するか、又は基材16によって別の方法で吸収されて最小値になる。
【0029】
最後に、像転写のために上記のサイクルを繰り返す結像部材12の再結像可能な表面を準備し、状態調整することを目的とする方法で、再結像可能な表面からの非転写残留インク及び/又は残留湿し溶液を含む残留生成物を除去するための洗浄システム32が提供される。エアナイフを用いて、残留湿し溶液を除去してもよい。しかし、いくらかの量のインク残留物が残っていてもよいことが予想される。このような残留インク残留物の除去は、洗浄サブシステム32によって達成されてもよい。洗浄サブシステム32は、例えば、結像部材12の結像可能な表面と物理的に接触している、粘着又は粘着性部材などの少なくとも第1の洗浄部材を含んでもよく、ここで粘着又は粘着性部材は、結像部材12の再結像可能な表面の湿し溶液から残留インク及び残りの少量の界面活性剤化合物を除去する。次いで、粘着又は粘着性部材を、粘着又は粘着性部材から残留インクが転写され得る平滑ローラーと接触させ、インクは、その後、例えばドクターブレードによって平滑ローラーから剥離される。任意の他の適切な洗浄システムを使用することができる。
【0030】
使用される洗浄システムの種類にかかわらず、結像部材12の再結像可能な表面からの残留インク及び湿し溶液を洗浄することで、提案されるシステムで残像が印刷されるリスクを防止又は低減することができる。洗浄されると、結像部材12の再結像可能な表面は、再び湿し溶液サブシステム20に提示され、これによって、湿し溶液の新しい層が結像部材12の再結像可能な表面に供給され、プロセスが繰り返される。
【0031】
シリコーンエラストマー及び少なくとも1つの熱伝導性充填剤を含む、結像ブランケット上で使用するための組成物が本明細書に開示される。本明細書に開示される組成物は、向上した熱伝導率を有してもよく、基材上にコーティングされると、向上した熱伝導率を有する結像ブランケットを提供することができる。
【0032】
本明細書に開示される熱伝導性組成物中のシリコーンエラストマーは、任意の既知のシリコーンエラストマーであってよい。例えば、特定の実施形態では、シリコーンエラストマーは、室温加硫(RTV)シリコーンゴム、高温加硫(HTV)シリコーンゴム、及び低温加硫(LTV)シリコーンゴムなどのシリコーンゴムであってもよい。このようなゴムは、既知であり、例えば、Wacker Chemical Corporation製のRT 622シリコーン、共にDow Corning製のSilastic(登録商標)735ブラックRTV及びSilastic(登録商標)732 RTV、共にGeneral Electric製の106 RTV Silicone Rubber及び90 RTV Silicone Rubber、及びDow Corning Toray Silicones製のJCR6115Clear HTV及びSE4705U HTVシリコーンゴムなどが市販されており、容易に入手可能である。特定の実施形態では、シリコーンエラストマーはRTVシリコーンゴムである。シリコーンエラストマーは、本明細書に開示される熱伝導性組成物を提供するのに十分な任意の量で組成物中に存在し得る。例えば、特定の実施形態では、シリコーンエラストマーは、約90重量%~約99重量%又は約95重量%~約98重量%など、約85重量%~約99重量%の範囲の量で組成物中に存在する。
【0033】
特定の実施形態では、本明細書に開示される熱伝導性組成物中の少なくとも1つの熱伝導性充填剤は、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、及び酸化亜鉛などの金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、カーボンブラック、カーボンナノチューブグラフェン、及びこれらの混合物などから選択することができる。特定の実施形態では、少なくとも1つの熱伝導性充填剤は、酸化アルミニウム及び窒化ホウ素から選択される。特定の実施形態では、少なくとも1つの熱伝導性充填剤は、酸化鉄及び酸化アルミニウムから選択される。特定の実施形態では、少なくとも1つの熱伝導性充填剤は、シリコーンエラストマー組成物の総重量の、例えば約1重量%~約10重量%、又は約2重量%~約5重量%などの、約1重量%~約15重量%の範囲の量で組成物中に存在してもよい。
【0034】
更に、本明細書では、改善された熱伝導率を有する結像ブランケットを作製する方法が開示される。特定の実施形態では、本方法は、本明細書に開示される熱伝導性組成物を基材上にコーティングして、改善された熱結像ブランケットを形成することを含む。本明細書に開示される基材は、当該技術分野において周知のように、ロールに取り付けられたロール、ベルト、又は版であり得る。基材は、例えば、ポリイミド、シリコーン又は二軸配向ポリエチレンテレフタレート(例えば、Mylar(登録商標))などのポリマー、ニッケル、アルミニウム、若しくはアルミニウム合金などの金属、織布、石英、プラスチック複合材、又はこれらの組み合わせなどの任意の好適な材料で作製することができる。本明細書に開示される熱伝導性組成物は、フローコーティング又はリボンフローコーティングなどの当該技術分野において公知の任意の方法によって基材上にコーティングされてもよい。コーティング後、熱伝導性組成物を基材上で硬化させることができる。特定の実施形態では、組成物は、約20℃~約25℃の範囲の温度などの室温にて基材上で硬化される。特定の実施形態では、本明細書に開示される熱伝導性組成物は、白金触媒又はスズ触媒などの触媒を添加することによって硬化され得る。
【0035】
本明細書に開示される熱伝導性組成物は、可変データリソグラフィ印刷用途などの所望の用途に適切な任意の厚さで基材上にコーティングされてもよい。特定の実施形態では、基材上の熱伝導性組成物コーティングの厚さは、例えば、約0.25mm~約1.0mm、約0.5mm~約0.75mm、又は特定の実施形態では、約0.5mmの厚さであり得、約0.1mm~約1.5mmの範囲である。
【0036】
本明細書に開示されるように、本明細書に開示される熱伝導性組成物でコーティングされた結像ブランケットは、向上した熱伝導率を示し得る。この向上した熱伝導率は、結像ブランケットが所望の硬度を維持しても見受けられる。例えば、特定の実施形態では、本明細書に開示される熱伝導性組成物のショアA硬度は、約55ショアA~約90ショアA又は約60ショアA~約80ショアAなど、約40ショアA~約100ショアAの範囲であってもよい。シリコーンエラストマー組成物の硬度は、ショアAデュロメーターダイヤルなどの、当該技術分野で知られている任意の手段によって測定することができる。
【0037】
特定の例示的な実施形態では、本明細書に開示される熱伝導性組成物でコーティングされた熱伝導性組成物又は結像ブランケットの熱伝導率は例えば約0.5W/m2~約5W/m2、又は約0.6W/m2~約1.6W/m2であり、約0.5W/m2~約10W/m2の範囲であり得る。熱伝導率は、当該技術分野において既知の任意の手段によって測定することができる。例えば、特定の実施形態では、熱伝導率は、フラッシュ法を使用して測定することができ、サンプルは、短い光パルスによって加熱され得、結果として得られる温度上昇は、赤外線検出器を使用して測定され得る。特定の実施形態では、熱伝導率は、例えば、Netzsch Group製のLFA 447 NanoFlash(登録商標)を使用して測定することができる。
【0038】
本明細書に開示される特定の実施形態では、熱伝導性組成物でコーティングされた本明細書に開示される結像ブランケットは、トップコート組成物、例えばフルオロシリコーン及び少なくとも1つの赤外吸収性充填剤を含む分散体を更に含んでもよい。赤外吸収性充填剤は、スペクトルの赤外部分(約750nm~約1000nmの波長を有する)からエネルギーを吸収することができる。これは、湿し溶液の蒸発を効率的に助けることができる。特定の実施形態では、少なくとも1つの赤外吸収性充填剤は、カーボンブラックや、酸化鉄、カーボンナノチューブ、グラフェン、黒鉛、又は炭素繊維などの金属酸化物から選択されてもよい。少なくとも1つの赤外吸収性充填剤は、約2ナノメートル~約10マイクロメートルの平均粒径を有し得る。特定の実施形態では、少なくとも1つの赤外吸収性充填剤は、トップコート組成物の総重量に基づいて例えば約7重量%~約17重量%又は約10重量%~約15重量%などの、約5重量%~約20重量%の範囲の量で存在してもよい。
【0039】
特定の実施形態では、トップコート組成物は、フルオロシリコーン及び少なくとも1つの赤外吸収性充填剤に加えて、例えば追加の充填剤などの追加成分を含んでもよい。特定の実施形態では、追加の充填剤はシリカであってもよい。シリカは、トップコートの引張強度を増加させ、耐摩耗性を高めるのに役立ち得る。シリカは、トップコート組成物の総重量に基づいて、例えば、約1重量%~約5重量%、約5重量%~約30重量%、又は約10重量%~約25重量%などの、約1重量%~約30重量%の範囲の量で存在してもよい。シリカは、例えば、約50nm~約0.1μm又は約20nmなどの、約10nm~約0.2μmの範囲で平均粒径を有し得る。
【0040】
結像ブランケット上にコーティングされる場合、トップコート組成物は、印刷システム全体の要件に応じて、約0.5μm~約4mmの範囲の厚さを有し得る。特定の実施形態では、トップコート組成物は、本明細書に開示される熱伝導性組成物でコーティングされた結像ブランケットに塗布され、次いで硬化されてもよい。硬化は、約135℃~約165℃の範囲の温度、例えば約160℃などの高温で実施されてもよい。この高温は室温とは対照的である。硬化は、約1時間~約4時間、又は約2時間~約3時間など、約15分~約5時間の時間にわたって生じ得る。特定の実施形態では、硬化は、約160℃で約4時間行われ得る。トップコート組成物は、白金触媒などの触媒を更に含んでもよい。
【0041】
本明細書に開示される特定の実施形態では、本明細書に開示される熱伝導性組成物を含む結像ブランケットは、布地層、圧縮性発泡体層、及び/又はゴム層を含む結像ブランケットなどの従来の結像ブランケットと比較して、改善された熱伝導率を有し得る。特定の実施形態では、本明細書に開示される結像ブランケットは、少なくとも約20回転、少なくとも約30回転、少なくとも約40回転、又は少なくとも約50回転後など、少なくとも10回転後において、結像ブランケットが、約28℃未満、約27℃未満、約26℃未満、又は約25℃未満、約24℃~約25℃のなどの約29℃未満の温度を有し、印刷中に改善された熱伝導性を示し得る。特定の実施形態では、本明細書に開示される結像ブランケットは、少なくとも約20回転、少なくとも約30回転、少なくとも約40回転、又は少なくとも約50回転後など、少なくとも約10回転後において、結像ブランケットが、開始温度(つまりゼロ回転)から、例えば、約8℃未満、約7℃未満、約6℃未満、約5℃未満、約4℃未満、約3℃未満、又は約3℃など、約9℃未満の温度で上昇し、印刷中に改善された熱伝導性を示し得る。
【0042】
更に、本明細書では、可変データリソグラフィ印刷のためのプロセスが開示される。特定の実施形態では、このプロセスは、本明細書に開示される熱伝導性組成物を含む結像部材に湿し溶液を塗布することと、潜像を形成する非結像領域及び結像領域を形成するために、結像部材表面上の選択的位置から湿し溶液を蒸発させることと、インク組成物を結像領域に塗布することによって潜像を顕色することと、顕色された潜像を受容基材に転写することとを含む。特定の実施形態では、結像ブランケットは、フルオロシリコーン及びカーボンブラックなどの少なくとも1つの赤外吸収性充填剤を含むトップコートなどのトップコートを更に含んでもよい。
【実施例1】
【0043】
熱伝導性充填剤を有するシリコーンエラストマーを含む試験カーカスが構築された。カーカスを構築するために、熱伝導性充填剤を室温のポリジメチルシロキサン系加硫RTVシリコーン配合物に分散させ、得られた分散体をニッケルスリーブ上にコーティングし、約100℃~約200℃の範囲の白金触媒を使用して1~4時間硬化させて、カーカスを得た。次いで、カーカスは、フルオロシリコーン/カーボンブラックトップコートでコーティングされた。スリーブ上で硬化した熱伝導性充填剤を有するシリコーンエラストマー層の厚さは1.0mmであり、約0.78W/m2の熱伝導率を有するショアA硬度が80ショアAであることが測定された。ショア硬度は、Instron(登録商標)製のShore Dial Durometerを使用して測定した。
【0044】
制御カーカスは、Trelleborg ABによって提供された。制御カーカスは、底部、中央部、及び上部布地層を含む多層カーカスであった。制御カーカスは、試験カーカスと同じフルオロシリコーン/カーボンブラックトップコートでコーティングされた。
【0045】
これらのカーカスを、Dali技術を使用してプリンタ上で評価した。像を繰り返し印刷し、インクが紙に転写された後に像が生成された印刷パッチ領域内の結像ブランケット表面の温度を、Fluke(登録商標)製の非接触赤外線温度計を用いて記録した。
図2に示されるように、シリコーンエラストマー及び少なくとも1つの熱伝導性充填剤を含む組成物でコーティングされたカーカスでは、繰り返し印刷することにより、レーザー結像された印刷パッチ領域の温度がドラムの約20回転後に非結像領域上の、開始温度から約3℃(例えば、約21.4℃~約24.3℃)上昇した。
【0046】
対照的に、Trelleborg制御カーカスでは、繰り返し印刷することにより、レーザー結像された印刷パッチ領域の温度が、ドラムの約20回転後に非結像領域上で約8℃(例えば、約21.4℃~約29.1℃)上昇した。以下の表1は、ドラムのおおよその回転後に各カーカスで測定された温度を示す。表1及び
図2に示すように、Trelleborg制御カーカスに対して約3倍の改善が観察された。
【0047】