(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】個人衛生装置
(51)【国際特許分類】
A61C 17/34 20060101AFI20230803BHJP
A46B 15/00 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
A61C17/34 K
A61C17/34 H
A46B15/00 L
(21)【出願番号】P 2020522714
(86)(22)【出願日】2018-10-31
(86)【国際出願番号】 IB2018058529
(87)【国際公開番号】W WO2019087089
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-04-21
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-15
(32)【優先日】2017-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508117514
【氏名又は名称】ブラウン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト、シェーファー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン、ハース
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス、クランプ
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト、シェーファー
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】佐々木 芳枝
【審判官】関口 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-190506(JP,A)
【文献】特表2016-508811(JP,A)
【文献】特開平4-78583(JP,A)
【文献】特開昭49-50467(JP,A)
【文献】国際公開第2017/168301(WO,A1)
【文献】特開2013-118778(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3092974(EP,A1)
【文献】特開2009-252732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/22-17/36
A46B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人衛生装置であって、
ハンドルと、
処置ヘッドと、
モータキャリアであって、前記ハンドル内に配設されており、かつ前記ハンドルと前記モータキャリアとの間に配置された少なくとも1つのばね要素に対して枢動取り付けされている、モータキャリアと、
モータであって、前記モータキャリアにおいて固定的に取り付けられている固定子部分と、前記モータキャリアに対する運動を可能にするように前記モータキャリアにおいてばね式に取り付けられている
運動部分と、を有し、前記
運動部分が、前記処置ヘッドに運動を伝達するために、前記処置ヘッドと接続された駆動シャフトと連結されており、処置方向における
前記処置ヘッドに作用する外部処置力が、前記ハンドルに対して、枢動軸の周りでの前記モータキャリアの枢動をもたらし、前記モータが、モータ永久磁石と、前記モータ永久磁石と相互作用する交流電磁場を提供するためのコイル要素と、を備え、そのため、動作中に前記駆動シャフトの振動運動が励起される、モータと、
前記ハンドル又は前記モータキャリアに固定された関係で取り付けられているホールセンサと、
具体的には円筒形状のセンサ永久磁石であって、前記ハンドル又はモータキャリアのうちの他方に固定された関係で取り付けられており、そのため、前記モータキャリアの枢動運動が、前記センサ永久磁石と前記ホールセンサとの間の相対運動をもたらす、センサ永久磁石と、を備えるものであり、
前記センサ永久磁石が、前記モータキャリアの外側に取り付けられているものであり、 ホール電圧を示し、したがって前記処置ヘッドに印加された前記力を示す、信号を受信するように、前記ホールセンサに結合されている、コントローラを備え、前記コントローラは、前記
処置ヘッドに印加された前記力が少なくとも第1の閾値力値を上回るときに、前記個人衛生装置の動作をトリガするように配設されているものであり、
前記コントローラが、表示ユニットをトリガして、前記処置ヘッドに印加された前記力が前記第1の閾値力値を上回ること、又は前記印加された力が前記第1の閾値力値と第2の閾値力値との間にあることをユーザに示すように構成されているものであり、 前記コントローラが、前記処置ヘッドにゼロ力が印加されたときの前記ホールセンサからの電圧信号と、前記処置ヘッドに所定の力が作用したときの前記ホールセンサからの少なくとも1つの更なる電圧信号とを使用して、前記ホールセンサの前記電圧信号と、前記処置ヘッドにおいて作用する前記力値との間の関係を判定する、較正モードを提供するように構成されているものであり、
前記コントローラが、前記処置ヘッドにおけるゼロ印加力に対して前記ホールセンサ信号のリセットを自動的に適用するように構成されている、個人衛生装置。
【請求項2】
前記センサ永久磁石及び前記ホールセンサが、本質的に同軸関係で取り付けられており、前記モータキャリアの枢動運動が、前記センサ永久磁石及び前記ホールセンサを軸方向に沿って互いに向かって移動させる、請求項1に記載の個人衛生装置。
【請求項3】
前記センサ永久磁石の残留磁気が、200mT~2000mTの
範囲内であり、前記センサ永久磁石の体積が、10mm
3~30mm
3の範囲内である、請求項1又は請求項2のいずれか一項に記載の個人衛生装置。
【請求項4】
前記センサ永久磁石の前記残留磁気と前記センサ永久磁石の前記体積との積が、3000mT・mm
3~20000mT・mm
3の
範囲内である、請求項1~3のいずれか一項に記載の個人衛生装置。
【請求項5】
前記ばね要素が、前記処置ヘッドに作用するゼロ力と前記処置ヘッドに作用する最大検出可能力との間の前記ホールセンサと前記センサ永久磁石との間の相対距離変化が、少なくとも約0.5mm
の範囲内であるようなばね定数を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の個人衛生装置。
【請求項6】
前記最大検出可能力が、2.0N~4.0Nの
範囲内の値を有する、請求項5に記載の個人衛生装置。
【請求項7】
前記処置ヘッドに作用するゼロ力と、0.5N~1.5Nの範囲内の値を有する前記処置ヘッドに作用する第1の閾値力との間の前記ホールセンサと前記センサ永久磁石との間の相対距離変化が、少なくとも約0.15mmである、請求項1~6のいずれか一項に記載の個人衛生装置。
【請求項8】
少なくとも1つのストッパ要素が、前記最大検出可能力に達したときに、前記モータキャリアの更なる枢動を機械的に抑制するように配置されている、請求項5~7のいずれか一項に記載の個人衛生装置。
【請求項9】
前記コントローラは、前記個人衛生装置が充電スタンドに置かれたとき、又は前記個人衛生装置が移動されることなく直立位置にあるときを検出するように、かつこれらの条件のうちの少なくとも1つの下で自動リセットを実行するように構成されている、請求項1に記載の個人衛生装置。
【請求項10】
前記モータキャリアが静止位置にあるときの前記センサ永久磁石と前記ホールセンサとの間の距離が、2.0mm~6.0mmの
範囲内である、請求項1~9のいずれか一項に記載の個人衛生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハンドルと、モータキャリアと、を有する、個人衛生装置に関し、モータキャリアは、モータキャリアと堅固に接続された処置ヘッドに外部処置力が印加されたときに、枢動軸の周りで枢動運動するように取り付けられている。
【背景技術】
【0002】
電動歯ブラシは、共振モータを装備することができ、共振モータは、固定子部分及び電機子部分と、固定子部分と電機子部分との間に配置されたばねユニットと、を有することが知られている。次いで、固定子部分は、個人衛生装置のハンドルと固定的に接続され、電機子部分は、電動歯ブラシのブラシヘッドと接続される。共振モータは、交流電磁場(alternating electromagnet field)を提供するためのコイルユニットと、交流電磁場と相互作用するための永久磁石ユニットと、を備える。移動モータ部分との電気的接続を回避するために、コイルユニットは、共振モータの固定子部分に対して固定的に取り付けられ得、次いで、永久磁石ユニットは、共振モータの電機子部分に固定的に取り付けられ得る。記載されるモータは、質量及びばね定数によって特徴付けることができ、質量は、外部周期力によって揺動運動に励起される。このようなばね・質量系は、共振挙動を有し、すなわち、質量及びばね定数を意味するモータ設計に応じて、周期的な外力の周波数がばね・質量系の固有振動数又は共振周波数にあるときに電機子部分の振幅は最大になる。モータの電機子部分は、ブラシヘッドにおいて処置方向に作用する外部処置力が、処置ヘッド及び電機子部分全体を枢動点の周りで移動させるように、ハンドルに対して枢動可能に取り付けられ得ることも知られている。ホールセンサユニットを電機子部分の永久磁石に近接させて配置することも知られており、このホールセンサユニットは、動作中に永久磁石の揺動運動を監視し、更に、外部処置力の印加時に永久磁石の更なる(具体的には非周期的、及び不規則として説明する方が適切である)運動を監視する。外部処置力の値に関する知識は、印加された力が高すぎる、低すぎる、又はまさに正確であることをユーザに伝えるのに役立ち得る。国際公開第2014/140959(A1)号は、概して、考察されたタイプの電動歯ブラシを開示している。
【0003】
記載された電動歯ブラシでは、ホールセンサユニットは、永久磁石ユニットの組み合わされた運動を監視しなければならず、この組み合わされた運動は、共振モータの電機子部分の一部としての永久磁石の少なくとも励起された周期運動と、外部処置力によって引き起こされる追加の運動の重ね合わせである。ホールセンサの感度範囲は、組み合わされた運動に適応することができるように適合されなければならず、すなわち、ホールセンサは、組み合わされた運動の全範囲に対して感知可能な信号を提供するように適合されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2014/140959(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本開示の目的は、外部処置力の値の測定が簡略化され、特に、ホールセンサの感度範囲が、印加された外部処置力の結果である枢動運動の測定に最適に適合され得る、共振モータを有する個人衛生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
少なくとも1つの態様によれば、個人衛生装置であって、ハンドルと、処置ヘッドと、モータキャリアであって、ハンドル内に配設され、かつハンドルとモータキャリアとの間に配設された少なくとも1つのばね要素に対して枢動取り付けされている、モータキャリアと、モータキャリアに固定的に取り付けられた固定子部分と、モータキャリアに対する運動を可能にするためにモータキャリアにばね式に取り付けられた電機子部分と、を有し、電機子部分は、処置ヘッドと接続されて処置ヘッドに運動を伝達する駆動シャフトと連結されている、モータであって、ブラシヘッドに処置方向に作用する外部処置力が、枢動軸の周りでのモータキャリアの、ハンドルに対する枢動をもたらし、モータが、モータ永久磁石と、動作中に駆動シャフトの振動運動が励起されるようにモータ永久磁石と相互作用する交流電磁場を提供するためのコイル要素と、を備えている、モータと、ハンドル又はモータキャリアに固定された関係で取り付けられているホールセンサと、具体的には円筒形状のセンサ永久磁石であって、ハンドル又はモータキャリアのうちの他方に固定された関係で取り付けられており、これにより、モータキャリアの枢動運動が、センサ永久磁石とホールセンサとの間の相対運動をもたらすようになっている、センサ永久磁石と、を備える、個人衛生装置が提供される。
【0007】
少なくとも1つの態様によれば、個人衛生装置であって、ハンドルと、処置ヘッドと、ハンドル内に配設され、かつ処置ヘッドに運動を伝達するように構成されたモータキャリア上に固定的に取り付けられたモータであって、モータキャリアが、ハンドルとモータキャリアとの間に配設された少なくとも1つのばね要素に対して枢動取り付けされることにより、処置ヘッドに処理方向に作用する外部処置力が、枢動軸の周りでのモータキャリアの、ハンドルに対する枢動をもたらす、モータと、ハンドル又はモータキャリアに固定された関係で取り付けられているホールセンサと、具体的には円筒形状のセンサ永久磁石であって、ハンドル又はモータキャリアのうちの他方に固定された関係で取り付けられており、これにより、モータキャリアの枢動運動が、センサ永久磁石とホールセンサとの間の相対運動をもたらすようになっている、センサ永久磁石と、を備える、個人衛生装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示は、図面を参照した例示的な実施形態の詳細な説明及び考察によって更に明らかになる。図中、
【
図1】本開示による例示的な個人衛生装置の描写である。
【
図2】本開示による個人衛生装置の一部を通る断面図である。
【
図3】同軸に整列されたセンサ永久磁石とホールセンサとの間の関係の概略図である。
【
図4】距離xに依存する、センサ永久磁石の磁束密度Bの描写である。
【
図5】個人衛生装置の4つの異なるサンプルに関する、印加された外力Fに依存したホール電圧U-HALLの測定値を示すグラフである。
【
図6】モータキャリア、及び2つの棒状ばね要素を含むばねユニットの、分離された描写である。
【
図7】例示的な個人衛生装置のモータキャリア、ばねユニット、及びシャーシの詳細の断面図である。
【
図8】本開示による例示的な個人衛生装置の概略図である。
【
図9】モータキャリアの一部、保持要素、及び2つの棒状ばね要素を含むばねユニットの一部分を示す、個人衛生装置の詳細の描写である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書の文脈において、「個人衛生」とは、皮膚及びその付属器(すなわち、毛及び爪)並びに、歯及び口腔(舌、歯茎などを含む)の育成(又はケア)を意味するものとし、一方では、疾病の予防並びに健康の維持及び強化(「衛生」)を目指し、また一方では、皮膚及びその付属物の美容的処置並びに外観の改善を目指すものである。これは、ウェルビーイングの維持及び強化を含む。これには、スキンケア、ヘアケア、口腔ケア、及びネイルケアを含む。これには、顎ひげケア、シェービング、及び脱毛など、その他のグルーミング行為も更に含む。したがって、「個人衛生装置」とは、そのような育成又は手入れ活動を実施するための任意の装置、例えば、電気皮膚マッサージ装置又は電気皮膚ブラシなどの(美容のための)皮膚トリートメント装置、電気シェーバー若しくはトリマー、電気脱毛器、及び電動歯ブラシ、電気デンタルフロス、電気洗浄器、電気舌クリーナー、又は電動歯肉マッサージ器などの電動口腔ケア装置、を意味する。これは、本提案の個人衛生装置が、これらの育成又は装置領域のうちの1つ又は複数において、これらの装置領域のうちのそれ以外の1つ又は複数においてよりも、より顕著な利点を有し得ることを除外するものでない。
【0010】
本開示において、「処置力」又は「外部処置力」という用語が使用される場合、これは、処置ヘッドにおいて処置方向に印加される力を意味し、この処置方向は、モータキャリアの枢動軸と、印加された処置力が枢動軸の周りでモータキャリアを枢動させるモーメントを提供するように処置力が印加されるブラシヘッドにおける点と、によって画定される平面に対して垂直である。印加される合計処置力は、処置方向における処置力よりも高くあり得るが、他の方向に作用する処置力の成分は、考察されるセットアップによって測定可能ではないため、それらは考慮されない。典型的には、処置方向以外の方向に処置ヘッドに印加される力は、軸受に吸収されるか、又は個人衛生装置の弾性変形によって吸収される。
【0011】
ハンドルに対するモータキャリアの運動を測定する本目的のためにホールセンサが使用される場合、全体設計のいくつかの課題が満たされなければならない。
1.具体的には、移動部分、すなわちモータキャリアは、少なくとも完全なモータを担持しており、モータは通常、個人衛生装置の最も大きい容積を要する部品の1つであるので、電動歯ブラシのハンドル内の空間は制限されている。
2.個人衛生装置のすべての部品は、固有の製造公差を有するので、センサ永久磁石及びホールセンサの互いに対する最終相対位置は、個々の個人衛生装置間である程度のばらつきを有している。
3.ホールセンサの効率範囲は、可能な限り良好に使用されるべきである。
4.枢動取り付けされたモータキャリアに作用する地球の重力は、地球の重力に対する装置の向きに応じて、ホール電圧の変化を導入するが、その理由は、移動可能な部品(例えば、モータキャリア)はそのときこの追加の力の影響を多かれ少なかれ受け、装置の更なる振動がホール電圧信号のノイズフロアに付加されるためである。
5.センサ永久磁石のコストは、許容可能なレベルに維持されるべきである。
【0012】
前述の課題に対処するために、本明細書で提案される構成の設計の様々な詳細が検討され、ここでは、以下の設計態様の各々は、単独で(すなわち、それ自体で)、更には他の態様のうちの1つ以上、又は更にはすべてと組み合わされて検討された(これは、以下の特徴の各々が、個別に開示された特徴であること、また、矛盾した組み合わせにつながらない限りにおいて、1つ又は複数の特徴とのすべての可能な組み合わせで開示された特徴であることを意味している)。
1.センサ永久磁石の形状は、円筒形又は円盤状であるように選択され得る(後者は、直径より低い高さを有する円筒だけを指す)。
2.ホールセンサに面するセンサ永久磁石の表面の面積は、約3mm2~15mm2の範囲内、具体的には7mm2~13mm2の範囲内にあるように選択され得る。
3.センサ永久磁石の高さは、1mm~3mmの範囲内、具体的には1.5mm~2.5mmの範囲内にあるように設定され得、更に具体的には、センサ永久磁石の高さは、2.0±0.25mmの範囲内であり得る。
4.センサ永久磁石の体積は、10mm3~40mm3の範囲内、具体的には15mm3~30mm3の範囲内にあるように設定され得る。
5.センサ永久磁石の残留磁気は、200mT~2000mTの範囲内、具体的には300mT~1500mTの範囲内になるように定義され得る。
6.センサ永久磁石の残留磁気とセンサ永久磁石の体積との積は、3000mT・mm3~20000mT・mm3の範囲内、具体的には12000mT・mm3~18000mT・mm3の範囲内になるように定義され得る。
7.センサ永久磁石及びホールセンサの指定された位置は、センサ永久軸の円柱軸がホールセンサの有効領域の中心にかつ垂直に交差するように定義され得る。次に、センサ永久磁石及びホールセンサの相対運動が、本質的に円柱軸に沿って生じることが具体的には定義され得る。
8.永久磁石とホールセンサとの間の移動距離は、0.5mm超、具体的には少なくとも0.8mm、更に具体的には約1mmとなるように定義され得る。
9.モータキャリアが静止位置にあるとき(すなわち、処置ヘッドに負荷が作用しないとき、したがってこの位置は無負荷位置と呼ばれることもある)のセンサ永久磁石とホールセンサとの間の初期距離は、2mm~6mmの範囲内、具体的には3.5mm~5.5.mmの範囲内になるように定義され得、更に具体的には、初期距離は4.5±0.25mmになるように設定された。
10.センサ永久磁石の磁場強度、ホールセンサとセンサ永久磁石との間の初期距離、及び移動距離は、システムの動作がホールセンサの線形応答範囲を感知可能な方式で利用することから、磁場強度の挙動がほぼ線形である磁界の尾部においてシステムが動作するように設定され得る。
11.ホールセンサが10mT~200mT、具体的には30mT~90mTの範囲内にある線形応答範囲を有するように、すなわち、ホールセンサが40mT又は80mTの線形応答範囲を有し得るように、定義され得る。
12.第1の又は最小の検出可能な閾値力値は、0.5N~1.5Nの範囲内に設定され得、無負荷状態と第1の検出可能な閾値力との間のセンサ永久磁石に対するホールセンサの移動距離は、少なくとも0.15mmに設定され得る。
13.最大検出可能力値は、2.0N~4.0Nの範囲内、具体的には2.5N~3.5Nの範囲内に設定され得る(すなわち、設計は、例えば、最大検出可能力値に達したときにホールセンサの線形感度範囲が終了するように選択され得、代替的に又は追加的に、更なる枢動が機械的に阻止されるように、最大検出可能力値に達したときにモータキャリアが当接する少なくとも1つのストッパ要素が設けられ得る)。
【0013】
ホールセンサの感知領域は、典型的には比較的小さく、例えば、感知領域は約1mm2以下であってもよく、例えば、ホールセンサの感知領域は、0.2mmの辺長に対して二次関係であってもよく、したがってアクティブ領域は0.04mm2である。ホールセンサとセンサ永久磁石との間の感知可能な距離において関連強度の磁束密度を提供するために、ホールセンサに面するセンサ永久磁石の面積は、3mm2~15mm2の範囲内、具体的には7mm2~13mm2の範囲内になるように選択された。その結果、ホールセンサの感知領域(多くの場合、円形領域として近似される)は、センサ永久磁石の領域に対して点状と近似的にみなされ得る。そのような条件下で、次に、円筒形センサ永久磁石(したがってホールセンサに面する円筒の端面は円形形状を有する)を使用し、センサ永久磁石がホールセンサの感知領域と同軸になるように(又は、ホールセンサの点状感知領域が円筒形センサ永久磁石の円柱軸上に位置するように)センサ永久磁石を位置決めするのが実用的であると考えられる。当然のことながら、これは、センサ永久磁石の他の形状も同様に使用することができ、例えば、センサ永久磁石の端面が、二次形状、任意の他の幾何学的形状、又は更には不規則な形状を有し得ることを除外するものではない。ホールセンサにおけるセンサ永久磁石の磁束密度は、少ない程度のみであるが、センサ永久磁石の厚さの分だけ増大され得る。したがって、厚さは、1mm~3mmの範囲内、具体的には1.5mm~2.5mmの範囲内であり得、更に具体的には、厚さは2±0.25mmの範囲内であり得る。
【0014】
いくつかの調査された実施形態では、センサ永久磁石はNdFeBrから作製され、1350mTの残留磁気を有し、形状は、直径3.8mm及び円筒高さ2mmで円筒状であった。センサ永久磁石は、ホールセンサに対して4.4mmの距離に位置付けられ、無負荷状態と最大検出可能外部処置力との間でホールセンサに向かう移動距離は1mmであった。他の実施形態では、移動距離は更に長く、例えば1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、又は1.5mmである。
【0015】
いくつかの個人衛生装置、特に歯ブラシに関して、外部処置力は、ユーザがブラシヘッドを歯に押し当てる力である。効果的であるために、最小力(すなわち、第1の閾値力値)が印加されるべきであり、特に刺激から歯肉を保護するために、最大力(すなわち、第2の閾値力値)を超えるべきではないことが一般的に知られている。したがって、ユーザが、第1の閾値力値と第2の閾値力値との間のこの範囲内にあるかどうかを検出することができ、印加された力をユーザに伝えることができることが目的である。最小力及び最大力は、使用される処置ヘッドの種類にある程度依存し得、またユーザの好みにも依存し得る。最小力(第1の閾値力値)は、0.5N~1.5Nの範囲内、具体的には0.5N~1.0Nの範囲内にあってもよい。最大力(第2の閾値力値)は、1.5N~3.5Nの範囲内、具体的には、2.0N~3.0Nの範囲内にあってもよい。システムは、2.0N及び4.0Nの範囲内、具体的には2.5N~3.5Nの範囲内で印加されるべき最大力よりも高い最大外部処置力を検出できるように構成され得る。調査された実施形態では、最小力は0.75Nに設定され、最大力は2.15Nに設定され、最大検出可能力は3.0Nに設定された。無負荷状態と1.0mmの最大検出可能力の印加との間のセンサ永久磁石の移動距離において、無負荷状態と最小力の印加との間の移動距離は0.25mmである。これに関連して、様々な製造公差を考慮する必要がある。したがって、移動距離が1.0mmになるように設計される場合、磁石の寸法からホールセンサ及びセンサ永久磁石の位置に及ぶ製造プロセスにおける全体的な公差の合計は、容易に約0.1mmになる。言及された公差に起因して、最小力が確実に検出されない場合があるので、移動距離は、0.5mm未満になるように選択されるべきではない。1.0mmを超える移動距離が確実に考慮され、構造物体積などが許す場合には、例えば、1.3mの移動距離が選択され得る。
【0016】
ホールセンサは、具体的には、ホール電圧を示し、したがって処置ヘッドに印加された力を示す信号をホールセンサから受信するコントローラに連結され得る。コントローラは、具体的には、ホールセンサからの受信信号及び少なくとも1つの閾値力値に依存して、個人衛生装置の動作をトリガするように構成され得る。個人衛生装置の動作は、ホールセンサからの信号が、印加された処置力が第2の閾値力値よりも高いことを示し、高すぎる力が印加されたことが示された場合の、モータの停止又はモータ振幅の下降であってもよい。
【0017】
個人衛生装置は、コントローラに連結された表示ユニットを更に備え得、その際、コントローラは、印加された処置力が第1の値未満であるか又は第1の閾値力値以上であるかどうか、更には、印加された処置力が第1閾値力値と第2閾値力値との間にあるかどうかを、視覚的に検出可能な、聴覚的に検出可能な、及び/又は明白に検出可能な信号によってユーザに示すように構成され得る。例えば、表示ユニット及びコントローラは、印加された処置力が第1の閾値力値を下回ることを、例えば白色光信号などの中間色によって、印加された処置力が第1の閾値力値と第2の閾値力値との間にある(すなわち、印加された処置力が意図された範囲内にある)ことを緑色光信号によって、及び、印加された処置力が第2の閾値力値を超えることを赤色光信号によって、ユーザに伝えるように構成され得る。表示された色の急激な変化の代わりに、光信号の色は、徐々に変化され得る。RGB-LEDは、表示された光信号のこのような漸進的変化を可能にする。
【0018】
個人衛生装置は、ユーザが個人衛生装置のパラメータに影響を与えることを可能にする、具体的には、第1及び/又は第2の閾値力値を設定することを可能にする、ユーザインターフェースを備え得る。
【0019】
個人衛生装置は、個人処置装置と共に使用されるアタッチメント又は処置ヘッドの種類を検出するように構成され得る。例えば、アタッチメントは、RFIDチップを含み得、ハンドルは、処置ヘッドの種類を判定することができるように、RFID読み取りユニットを備え得る。次いで、コントローラは、検出/判定された処置ヘッドに基づいて、少なくとも第1の閾値力値を自動的に設定するように構成され得る。少なくとも第1の閾値力値は、メモリユニットに記憶され得る。
【0020】
個人衛生装置は、コントローラが、ゼロ印加外部処置力におけるホールセンサからの信号と、処置ヘッドに所定の力が作用したときの少なくとも1つの更なるホール信号とを使用して、ホールセンサからの信号と、処置ヘッドに印加された処置力との間の関係を決定し、更には構成する、較正モードを有するように構成され得る。較正は、具体的には、制御された方法で所定の処置力を処置ヘッドに印加することができる制御された環境で、製造業者によって使用され得る。較正モードは、個人衛生装置を販売パッケージに充填する直前に、組み立てプロセスで使用され得る。
【0021】
更に、コントローラは、無負荷状態のホールセンサ信号値を自動的にリセットするように構成され得、具体的には、コントローラは、個人衛生装置が充電スタンドに置かれているかどうか(例えば、すでに記載したRFID識別装置を使用して)、又は移動せずに直立位置にあるかどうか(例えば、加速度計を使用することによって)を検出して、これらの条件のうちの少なくとも1つの下で無負荷状態のホール信号値の自動リセットを実行するように構成され得る。
【0022】
図1は、電動歯ブラシとして実現される個人衛生装置1の例示的な実施形態の図である。個人衛生装置1は、具体的には、処置ヘッド3を有する取り外し可能なアタッチメント2を備えているが、処置ヘッドは、個人衛生装置1の取り外し不可能な構造体に提供され得る。処置ヘッド3は、ここではブラシヘッドとして実現され、当該技術分野において一般的に知られているように、軸4を中心に被駆動振動回転するように取り付けられている。アタッチメント2は、個人衛生装置1のハンドル5に取り付けられる。ハンドル5は、具体的には、処置ヘッド(treatment had)3を駆動して運動させるためのモータを収容し得る。枢動軸8と、処置力が処置ヘッド3に作用する点とによって画定される平面に対して垂直である力成分を処置力6が有する場合には、処置ヘッドに対して方向7に作用する処置力6は、アタッチメント2を枢動軸8の周りで枢動させる(それぞれの方向は、本明細書では「処置方向」と呼ばれる。つまり、
図1の方向7は処置方向と整列していないので、測定される印加処置力は、処置ヘッドに作用する全処置よりも低い)。処置力6は、具体的には、処置ヘッド3をユーザの処置領域に対して押すことによって形成され得る(例えば、図示される実施形態では、ブラシヘッドに取り付けられた剛毛が歯を効果的に清浄することができるように、ブラシヘッドは、特定の力で歯に押し当てられ得る)。アタッチメント2は、ハンドル5のコネクタ部分に固定的に取り付けられ、コネクタ部分は次に、ハンドル5内に配置されたモータキャリアと固定的に接続される。モータキャリアは、ばね力に抗して枢動軸8の周りで枢動するように取り付けられる。
【0023】
図2は、長手方向中心面に沿って切り開かれた例示的な個人衛生装置10の描写であり、この個人衛生装置10は部分的にのみ示されている(個人衛生装置の前端及び下端は示されていない)。個人衛生装置は、ハンドル11及び取り外し可能なアタッチメント20を備えている。モータキャリア140は、ハンドル11内に配設され、かつ、モータキャリア140が枢動軸12の周りで枢動することを可能とするように、軸13に枢動取り付けされる。
【0024】
モータキャリア140は、ばね・質量タイプの共振モータ100及び振動相殺ユニット200を担持する。モータ100は、固定子脚部の周りに巻かれたコイル111を有する固定子部分110を備えている(ここで、固定子110は、軟質磁性材料から作製された3つの固定子脚部を有するEコアを有し、コイルは中央脚部の周りに巻かれる)。動作中、コントローラは、第1の周波数を有する周期的な交流モータ駆動信号をコイル111に印加する。周期的な交流駆動信号は、コイル111を通る周期的な交流の流れをもたらし、したがって、周期的な交流電磁場を発生させる。モータ100は、電機子部分120に取り付けられたモータ永久磁石121を有する電機子部分120を更に備えている(ここで、「磁石」という用語は、その単数形で使用されるが、これは、2つ以上のモータ永久磁石が存在することを除外するものではない)。電機子部分120は、ばね130A及び130Bによってモータキャリア140にばね式に取り付けられる。コイル111が動作中に周期的な交流電磁場を発生させると、永久磁石121は、電磁場と相互作用し、結果として生じる力は、電機子部分120がばね130A及び130Bによって提供されるばね力に抗してその静止位置から外れて長手方向Lに沿って線形揺動運動Mするように、電機子部分120を駆動する。
【0025】
振動相殺ユニット200は、質量体210と、質量体210をモータキャリア140に取り付けるばね220A及び220Bと、を備える。振動相殺ユニット200は、モータ駆動信号の第1の周波数と一致する共振周波数を有する。動作中、モータが駆動されて第1の周波数で振動すると、モータキャリア140に伝達される振動は、周期的な外部励起力として働く。振動相殺ユニット200が本質的に正確にその共振周波数で励起され、その結果、電機子部分120と逆位相で振動することにより、モータキャリア140に伝達される振動を効率的に相殺することができる。振動相殺ユニット200の実際の共振周波数は、製造公差の影響を受けるため、振動相殺ユニット200の共振周波数を最初に測定し、次いで、モータ駆動信号の第1の周波数を、振動相殺ユニット200の決定された共振周波数に設定することが賢明であり得る。ここでは、振動相殺ユニットはモータキャリア140に取り付けられて示されているが、モータ100によって生成された振動は、モータキャリア140から軸13を介してハンドル11に伝達されるので、振動相殺ユニットは、ハンドル11に取り付けられ得る。
【0026】
モータキャリア140の遠位端において、ホルダ要素142がモータキャリア140に固定して固設されており、このホルダ要素142は、ホールセンサ420に近接して位置付けられたセンサ永久磁石410を保持する。ホールセンサ420は、具体的には、PCB上に取り付けられ得、PCBは、ハンドル11に対して固定的に取り付けられている。原則として、ホールセンサ420はまた、モータキャリア140に対して固定的に取り付けられ得るが、その場合には、ハンドル(エネルギー源が取り付けられる)とモータキャリア140との間の反復運動に耐えることができる電気的接続が設けられる必要がある。
【0027】
外部処理力F1が処置ヘッドに作用すると(矢印F1によって示される)、この力F1は、モータキャリア140及びすべての固定接続部品を、軸13によって画定される枢動軸12の周りで枢動させ(矢印Rによって示されるように)、軸13は、ハンドル11に取り付けられ、モータキャリア140を通って延在する。それによって、外部処置力F1は、ここではモータキャリア140とハンドル11との間に配設されたばね要素(
図6、
図7、及び8を参照)によって提供されるばね力に抗して作用しなければならない。ばね要素は、具体的には、モータキャリア140がその静止位置にあるときに付勢されていない状態になるように、すなわち、いかなる外部処置力F1もモータキャリア140の枢動運動を直接もたらすように取り付けられ得る。ばね要素が付勢力を印加する実施形態では、モータキャリアは、外部処置力が付勢力を克服したときにのみ枢動を開始する。いくつかの実施形態では、比較的小さい第1の閾値力値が検出可能であるべきであり、そのため、直接枢動する付勢されていないモータキャリアは、ゼロ外力(無負荷状態)と第1の検出可能な閾値力との間で最大移動距離を少なくとも提供する。
【0028】
図3は、本明細書では、磁束線51によって示される磁界を発生する双極子であるとして示されているセンサ永久磁石50、及び、ここではPCB上への自動実装に好適なSMDデバイスとして示されているホールセンサ60の概略図である。ホールセンサ60は、典型的には比較的小さい、具体的には約1mm
2以下、例えば、0.5mm
2又は0.25mm
2又は0.1mm
2又は0.01mm
2である感知領域61を有する。双極子磁化ではない他の磁化、例えば四重極磁化も可能である。センサ永久磁石50がホールセンサ60に対して移動されると、ホールセンサ60の感知領域における磁束密度が変化し、ホールセンサによって対応のホール電圧が提供される。ホールセンサは、具体的には、ホール電圧を受信し、具体的にはホール電圧を分析するためのコントローラと接続され得る。センサ永久磁石50とホールセンサ60との間の任意の相対的な変位は、ホールセンサ60の感知領域61における磁束密度の変化、したがってホール電圧の変化をもたらすが、ここでは、センサ永久磁石50は、例えば、一定の処置力が印加された場合にΔxの移動距離だけホールセンサ60に向かって移動し得ることが示されている。具体的には、センサ永久磁石50及びホールセンサ60は、中心軸Cに対して同軸上に配置され、センサ永久磁石50とホールセンサとの間の相対運動は、本質的に中心軸Cに沿って生じる(
図2に関して考察される例ではモータキャリアは枢動するので、わずかに湾曲した動きが生じるが、これは本目的のために直線運動と見なすことができる)。
【0029】
本開示で考察されるセンサ永久磁石は、永久磁石を作製するのに好適な様々な材料から作製され得る。例えば、センサ永久磁石は、NdFeB若しくはSmCoなどの合金から作製され得、これら材料は、プラスチック結合され得るか、又は焼結され得る。焼結NdFeB磁石は、1~1.4Tの範囲内の残留磁気を有し得る。ストロンチウムフェライトなどのハードフェライト材料の残留磁気は、典型的には約400mT未満であるが、これらの材料も一般に可能である。プラスチック結合永久磁石の残留磁気は、多くの場合、600mT~700mTの範囲内である。
【0030】
図4は、例示的なセンサ永久磁石の磁束密度B(T単位)を、ホールセンサとセンサ永久磁石との間の距離x(mm単位)に応じて曲線70として示すグラフである。単なる例示として、2つの更なる曲線71及び72が部分的に示されており、これらの曲線71及び72は、様々な許容誤差に対する磁束密度の依存性を示すものとする。いくつかの実施形態では、センサ永久磁石とホールセンサとの間の初期距離は、X
2=4.4mmに設定され、無負荷状態と検出可能な最大処置力との間の移動距離は、端部位置がx
1=3.4mmになるように(ホールセンサに向かって)1mmであるものとする。これらの2つの位置の間の磁束密度の変化は、ホールセンサが線形ホール電圧信号を提供するべき典型的な範囲を提供する。磁束密度の変化は、例えば、約40mTであり得る。位置公差及び/又は寸法公差に起因して(焼結NdFeB永久磁石は、±0.05mm~±0.1mmの範囲の寸法公差を容易に有し得る)、初期距離及び移動距離もまた、シフト位置x
1’及びx
2’に関連する破線によって示されるように容易にシフトし得る。これらの公差に対処するために、例えば約80mTのようなより大きい線形範囲を有するホールセンサが選択されるべきであり、次いで、定義された理想的な位置及び寸法の言及された例示的な40mT検出範囲は、選択されたホールセンサの線形80mT感度範囲の中央に位置するように計画される。上記は、一般原理を示すための一例にすぎないことに留意されたい。センサ永久磁石の寸法、材料、ホールセンサまでの初期距離などに応じて、例えば、20mT又は160mTなどの線形感度範囲を有する他のホールセンサが使用され得る。好適なホールセンサとしては、例えば、Allegro A1304シリーズ(Allegro MicroSystems,LLC(Massachusetts,USA)から入手可能)からのセンサ、又はDiodes AH49Fシリーズ(Diodes Incorporated(Texas,USA)から入手可能)からのセンサが挙げられる。ホールセンサの感度は、10mV/mT~90mV/mTの範囲内であり得る。
【0031】
図5は、いくつかの調査されたプロトタイプで行われた測定曲線80、81、82、及び83を示すグラフであり、図中、ホール電圧信号U-HALL(V単位)は、印加された処置力F(N単位)の関数として示されている。測定曲線80~83は、0Nの処置力と3Nの処置力との間で本質的に線形である。例えば、検出可能な最小処置力又は第1の閾値力値である0.8Nは、第2の閾値力値である2.5Nと同様に測定可能である。曲線に差があるため、システムの応答の較正を行うことが賢明である。例えば、無負荷状態のホール電圧及び所定の処置力(例えば2.0N)におけるホール電圧を測定する線形較正で十分であるが、これは、3つ以上の測定点を用いた較正作業を排除するものではない。較正パラメータ(複数可)を個人衛生装置のメモリに格納することができるように、較正は、具体的には、個人衛生装置を販売する前に製造所で行われ得る。
【0032】
図6は、モータ100A及び振動相殺ユニット200Aを担持するモータキャリア140Aの描写である。駆動シャフト150Aは、モータ100Aの電機子部分と接続されている。S型電気コネクタ160Aを使用して、モータ100Aをエネルギー源と電気的に接続することができ、このS型コネクタは、個人衛生装置のハンドルに対して印加された処置力の下でのモータキャリア140Aの小さな動きに適応するのに十分な可撓性を有する。ホルダ要素142Aは、モータキャリア140Aに固定して固設され、かつ、センサ永久磁石410A、更には2つの棒状ばね要素5100A及び5101Aを保持する。棒状ばね要素5100A及び5101Aは、その端部が受け部1424A内に受容され、これらの受け部1424Aは、
図7に関してより詳細に説明されるように、モータキャリア140Aと接続されており、かつ、個人衛生装置のハンドルに対して固定されたそれぞれの保持固定具内に受容されている。棒状ばね要素1500A及び1501Aは、一緒になってばねユニット510Aを形成し、このばねユニット510Aは、外部から印加される処置力が抗って作用する必要があるばね力を提供して、モータキャリア140Aを枢動軸の周りで枢動させる。
【0033】
本明細書で考察される棒状ばね要素1500A及び1501Aは、それらを意図される使用に好適なものにする特定の特性を有する。一方では、棒状ばね要素は、低製造コストにもかかわらず高精度で作製することができる。そのような高い製造品質(すなわち、低い公差)は、印加された処置力が克服する必要があり、かつ最小の検出可能な閾値力値の測定品質にとって有害である付勢力を導入することなく、ばね要素を取り付けることができることを支援する。他方では、棒状ばね要素は、限られた構造物容積のみを使用しながらも、比較的高いばね定数を与えることができる。個人衛生装置のハウジング内に小さい直径又は小さな断面形状の長い物体を収容することの方が、同様のばね定数を高精度で提供するコイルばね又は板ばねを収容するよりも容易である。更に、棒状ばね要素は、本質的に矩形の断面を有して製造することができるので、枢動方向のばね定数及び垂直方向のばね定数を正確に調整することができる。いくつかの調査された実施形態では、棒状ばね要素1500A及び1501Aは各々、約24mmの自由ばね長さ及び約2N/mmのばね定数を有し、ステンレスばね鋼1.4310から作製され、0.8mm×1.2mmの寸法を有する矩形断面形状を有する。
【0034】
図7は、ホルダ要素142Bが固定的に取り付けられているモータキャリア140Bの端部を通り、かつそれ自体が個人衛生装置のハンドルに対して固定的に取り付けられているシャーシ600Bを通る断面図の詳細を示す。シャーシ600Bは、具体的には、充電式アキュムレータなどのエネルギー源と、ホールセンサを含む個人衛生装置の電子部品が取り付けられているPCBと、を有し得る。ホルダ要素142Bは、棒状ばね要素5100Bを受容するための受け部1424Bを備える(平行な棒状ばね要素を受容するために、別のそのような受け部が、具体的には、
図6に示したようにホルダ要素142Bの反対側に配設され得る)。受け部1424Bは、貫通孔又は穴1421Bを有し、その内部では、位置合わせされた半円筒形軸受構造体1422Bが棒状ばね要素5100Bの軸受点を提供する。より詳細に説明するように、棒状ばね要素5100Bは、シャーシ600Bに固定的に取り付けられているので、ホルダ要素142Bにおける棒状ばね要素5100Bの軸受は、受け部1424B内の棒状ばね要素5100Bの特定の移動可能性を提供する必要がある。モータキャリア140Bが、例えば、
図7の両方向矢印によって示されるようにその枢動軸の周りで約1mm移動するとき、棒状ばね要素5100Bは、受け部1424B内のその軸受内で枢動することができなければならず、また、シャーシ600Bに対するモータキャリア140Bの移動を補償するために、受け部1424Bに対して直線的にわずかに移動することもできなければならない。上述の必要な可撓性に対処する代替的な設計が、
図9に関連して図示及び考察される。
【0035】
図7には、棒状ばね要素5100Bが、シャーシ600Bに設けられた保持固定具610Bによって受容されているところが更に示されている。保持固定具610Bは、前部クランプ6101B及び裏側クランプ6102Bを備える。切断図では見ることができないが、前部クランプ6101B及び裏側クランプ6102Bは、U字形受け部の形態を有している。他の実施形態では、クランプは、本質的にO字形クランプとして実現され得る。シャーシは、2つを超える図示のクランプを備え得、具体的には、シャーシは、棒状ばね要素5100Bを固定的に保持するために3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又は更にはそれ以上のクランプを備え得る。クランプ6101B又は6102Bのうちの少なくとも1つであるが、特にクランプの各々は、棒形状のばね要素5100Bのクランプへの挿入を容易にするために、面取りされた前側(
図7に示されるような)を有し得る。
【0036】
棒状ばね要素5100Bは、軸受点1422Bと前部クランプ6101Bとの間に自由長Lfを有する。棒形状のばね要素の自由長Lfは、モータキャリア140Bの枢動運動に抗して作用するばね定数を決定する。例えば、棒形状のばね要素5100Bは、0.8mmの高さ及び1.2mmの幅、24.3mmの自由長を有し得、195,000N/mm2の弾性モジュールを有するばね鋼から作製され得る。次いで、棒状ばね要素当たりの剛性(すなわち、ばね定数)は、約2.09N/mmという結果となり、2つの棒状ばね要素を使用する場合、合計剛性は、4.18N/mmとなる。自由長Lfを適応させることにより、ばねユニットの剛性を調整することができる。
【0037】
移動可能なモータキャリア及び個人衛生装置のハンドルにそれぞれ取り付けられたセンサ永久磁石及びホールセンサの一般構造は、記載されたように、共振モータの代わりに一般的な種類のモータを有する個人衛生装置にも適用可能である。これは、ハンドル1Cと、処置ヘッド3Cを含むヘッド部分2Cと、を備える、個人衛生装置10Cの概略図である
図8を参照して考察される。ヘッド部分2Cは、処置ヘッド3Cを駆動して動かすためのモータを担持するモータキャリア140Cと固定的に接続されている。モータキャリア140Cは、枢動軸12Cの周りで枢動する。外部処置力Fが処置ヘッドに処置方向に印加される場合、ヘッド部分2C及びモータキャリア140Cは、
図8の矢印Pによって示されるように枢動軸12Cの周りで枢動する。モータキャリア140Cは、ばねユニット510Cによって印加されるばね力に抗して枢動運動するように取り付けられる。センサ永久磁石410Cは、モータキャリア140Cに取り付けられ、ホールセンサ420Cは、ハンドル11Cに取り付けられる。所定の最大印加外部処置力を超えた更なる枢動運動を回避するために、ストッパ要素15Cが設けられている。先の考察において、センサ永久磁石及びホールセンサに関して説明されたすべてのものは、
図8の実施形態にも適用される。
【0038】
図9は、ホルダ要素142Dが固定的に取り付けられているモータキャリア140Dの描写であり、このホルダ要素142Dは、2つの棒状ばね要素5100D及び5101Dを受け部1424D内に保持している。
図7に示される受け部1424B内に設けられた、棒状ばね要素5100Bの枢動と、更なるわずかな直線運動とを可能にする軸受とは対照的に、
図9は、棒状ばね要素5100D及び5101Dが受け部1424Dに固定して固設されている具現を示す。例えば、棒状ばね要素5100D及び5101Dは、長手方向の延在方向に対してアンダーカットを有し得、受け部1424Dは、棒形状のばね要素5100D及び5101Dが受け部1424Dに固定して固設されるように、これらのアンダーカットの周りに射出成形された。受け部1424Dは、アーム1425Dを介して接続され、ブリッジ構造体1426Dは保持要素142Dの基部1427Dから延在する。この特定の設計により、アーム1425D及びブリッジ構造体1426Dは、長さの差を収容することができるように、モータキャリア140Dが枢動するときに屈曲することが可能になる。
【0039】
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。代わりに、特に指示がない限り、このような各寸法は、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。