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  • -ミクロスフェア格納システムおよび方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】ミクロスフェア格納システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/00 20230101AFI20230803BHJP
   A61N 5/10 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
A61J1/00 A
A61N5/10 U
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020564535
(86)(22)【出願日】2019-05-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 US2019032954
(87)【国際公開番号】W WO2019222680
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】62/673,632
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/673,628
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500295612
【氏名又は名称】バード・ペリフェラル・バスキュラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100220065
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 幸輝
(72)【発明者】
【氏名】ヘバート,ケイシー・タイラー
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06606370(US,B1)
【文献】特開2010-068603(JP,A)
【文献】特開2013-071082(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0331853(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/00
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反磁性材料を含むミクロスフェアを収納するためのミクロスフェア格納システムであって、前記ミクロスフェア格納システムは、
ミクロスフェア容器における格納空間を画定する壁を備える前記ミクロスフェア容器を備え、前記壁は、前記格納空間内に磁場を生成するように構成された少なくとも1つの磁性構成要素を含み、
反磁性材料を含むミクロスフェアは、前記格納空間内に収納されるとき、前記ミクロスフェア容器の前記壁との前記ミクロスフェアの直接接触を防ぐように前記格納空間内の前記磁場と相互作用する、ミクロスフェア格納システム。
【請求項2】
請求項1に記載のミクロスフェア格納システムにおいて、前記磁性構成要素は、永久磁石、強磁性要素、電磁石、またはこれらの組み合わせから選択される、ミクロスフェア格納システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のミクロスフェア格納システムにおいて、前記格納空間内の前記磁場は、大きさが変動する磁場強度を有する複数のゾーンを含む、ミクロスフェア格納システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のミクロスフェア格納システムにおいて、前記格納空間内に収納されたミクロスフェアを更に含み、前記ミクロスフェアは反磁性材料を含む、ミクロスフェア格納システム。
【請求項5】
請求項4に記載のミクロスフェア格納システムにおいて、前記反磁性材料は、カーボン、反磁性金属、またはこれらの組み合わせを含む、ミクロスフェア格納システム。
【請求項6】
請求項4に記載のミクロスフェア格納システムにおいて、前記ミクロスフェアの少なくとも一部分はコア-シェル構造体を有する、ミクロスフェア格納システム。
【請求項7】
請求項6に記載のミクロスフェア格納システムにおいて、前記反磁性材料は、前記コア-シェル構造体のコアである、ミクロスフェア格納システム。
【請求項8】
請求項4に記載のミクロスフェア格納システムにおいて、前記ミクロスフェアは、化学療法材料、放射線療法材料、またはその双方を更に含む、ミクロスフェア格納システム。
【請求項9】
請求項4に記載のミクロスフェア格納システムにおいて、前記ミクロスフェアはイットリウム-90を含む、ミクロスフェア格納システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のミクロスフェア格納システムにおいて、前記ミクロスフェア容器はシリンジバレルである、ミクロスフェア格納システム。
【請求項11】
放射性ミクロスフェアを含有する方法であって、前記方法は、
反磁性材料を含むミクロスフェアを、ミクロスフェア容器における格納空間を画定する壁を備える前記ミクロスフェア容器内に充填するステップを含み、前記壁は、前記格納空間内に磁場を生成するように構成された少なくとも1つの磁性構成要素を含み、
それによって、前記ミクロスフェア容器内の前記ミクロスフェアは、前記ミクロスフェア容器への前記ミクロスフェアの直接接触を阻止するように前記磁場と相互作用する、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、前記反磁性材料は、カーボン、反磁性金属または双方を含む、方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の方法において、前記ミクロスフェアの少なくとも一部分はコア-シェル構造体を有する、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記反磁性材料は、前記コア-シェル構造体のコアである、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記少なくとも1つの磁性構成要素は、永久磁石、強磁性要素、電磁石またはこれらの組み合わせから選択される、方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法において、前記格納空間内の前記磁場は、大きさが変動する磁場強度を有する複数のゾーンを含む、方法。
【請求項17】
請求項11~16のいずれか一項に記載の方法において、前記磁性構成要素は電磁石を含み、前記方法は、前記磁場を生成するために前記電磁石に電流を印加することを更に含む、方法。
【請求項18】
請求項11~17のいずれか一項に記載の方法において、前記ミクロスフェアは、化学療法材料、放射線療法材料またはその双方を更に含む、方法。
【請求項19】
請求項11~18のいずれか一項に記載の方法において、前記ミクロスフェアはイットリウム-90を含む、方法。
【請求項20】
請求項11~19のいずれか一項に記載の方法において、前記ミクロスフェア容器はシリンジバレルである、方法。
【請求項21】
請求項1~10のいずれか一項に記載のミクロスフェア格納システムにおいて、前記ミクロスフェア容器がガンマ適合性材料から作製されている、ミクロスフェア格納システム。
【請求項22】
請求項11~20のいずれか一項に記載の方法において、前記ミクロスフェア容器がガンマ適合性材料から作製されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、その開示が参照により本明細書に援用される、2018年5月18日に出願された「RADIOEMBOLIZATION DELIVERY DEVICE」と題する米国特許仮出願第62/673,632号、および、その開示が参照により本明細書に援用される、2018年5月18日に出願された「DUAL-STAGE SYRINGES WITH LOCKING MECHANISM」と題する米国特許仮出願第62/673,628号の利益を主張するものである。
【0002】
[0002]本開示は、全体的には、放射性物質または揮発性物質のための格納システムに関し、より詳細には、放射性物質または揮発性物質を含む粒子のための格納システムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]放射線物理学において、或る量(質量)の組織または他の固体に堆積する放射量は、吸収染料と呼ばれる。吸収線量の単位はグレイ(Gy)である。吸収線量は、組織から、放射性マイクロビーズ等の放射線源への距離(R)の逆二乗に比例する(すなわち、線量=1/R)。例えば、放射線源からの距離が倍増するごとに、吸収線量は、元の距離からの量の4分の1になる。
【0004】
[0004]放射線塞栓療法による治療のために利用されるミクロスフェアは、材料、およびマイクロビーズ材料を取り囲む組織に対し或る線量の放射を放出することができる。そのようなミクロスフェアがガラス製バイアル等の収納容器内にあるとき、ミクロスフェアは、溶液から沈降し、容器と直接接触することができる(すなわち、R=0)。放射性ミクロスフェアがその位置に長期間(例えば、1週間超)留まる場合、容器は、約5,000kGyの吸収線量を被る場合があり、これは約150ガンマの滅菌サイクルに等しい。容器の材料によっては、吸収線量により、容器が脆くなるか、亀裂を生じるか、剥離するか、変色するか、または他の形で完全性が損なわれる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]放射線塞栓療法による治療のために利用されるミクロスフェアは、従来、一度につき数週間にわたってガラス製バイアル等の容器内に収納される場合がある。したがって、放射線塞栓療法のための放射性ミクロスフェアを収納するのに用いられるそのような容器は、5,000kGyを超える放射線量を吸収する場合がある。そのような状況下での褐変および脆化にもかかわらず、ガラス製バイアルは、放射性材料の収納のための業界標準であり続けている。しかしながら、ガラス製容器の製造は、プラスチック容器の製造よりもコストが高い。
【0006】
[0006]放射線塞栓療法ミクロスフェアを収納および投与することの別の課題は、静電気、用いられる潤滑剤、ミクロスフェアの形状、または容器の形状の結果として、ミクロスフェアが容器または送達ラインに密着する可能性があることに関する。放射線塞栓療法ミクロスフェアの場合、バイアルおよび送達ラインに密着する残余ミクロスフェアは、医師に危険をもたらす。更に、残余ミクロスフェアの結果として誤投与が生じる場合がある。
【0007】
[0007]したがって、容器とのミクロスフェアの相互作用または結合、および容器の褐変または脆化を低減することができる材料を含む、放射線塞栓療法のために用いられるミクロスフェアの収納のための格納システムのニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008]ここで提案される格納システムは、反磁性の原理を組み込むことによって上記のニーズを満たす。グラファイトおよびビスマス等のほとんどの非鉄材料は、通常、磁極から反発する。磁場の力を調整することによって、反磁性材料を含む複数のミクロスフェアを、容器の1つまたは複数の磁性表面から或る距離において反発または「浮揚」させることができる。
【0009】
[0009]したがって、本明細書に開示される例示的な実施形態は、放射線塞栓療法ミクロスフェア等の、有害物質または揮発性物質を含むミクロスフェアまたは粒子が収納され、後に投与される医療現場において用いるための格納システムを対象とする。ここで開示される格納システムは、現時点において放射線塞栓療法治療において用いられているシリンジおよびバイアル等の従来の容器と比較して、容器とのそのようなミクロスフェアの相互作用または結合を低減することができる。更に、いくつかの実施形態において、器に沿った不均一な磁場が、懸濁培地(又は媒体)におけるミクロスフェアの混合を容易にすることができる。
【0010】
[0010]本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、マイクロビーズ格納システムが提供される。反磁性材料を含むミクロスフェアを収納するためのミクロスフェア格納システムが、ミクロスフェア容器における格納空間を画定する壁を備えるミクロスフェア容器を備え、壁は、格納空間内に磁場を生成するように構成された少なくとも1つの磁性構成要素を含む。反磁性材料を含むミクロスフェアは、格納空間内に収納されるとき、ミクロスフェア容器の壁とのミクロスフェアの直接接触を防ぐように格納空間内の磁場と相互作用することができる。
【0011】
[0011]本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、マイクロビーズ格納方法が提供される。本方法は、反磁性材料を含むミクロスフェアを、ミクロスフェア容器における格納空間を画定する壁を備えるミクロスフェア容器内に充填することを含む。壁は、格納空間内に磁場を生成するように構成された少なくとも1つの磁性構成要素を含む。ミクロスフェア容器内のミクロスフェアは、ミクロスフェア容器へのミクロスフェアの直接接触を防ぐように磁場と相互作用することができる。
【0012】
[0012]本開示のこれらのおよび他の特徴、態様および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照してより良好に理解されよう。
[0013]本明細書に記載の実施形態の追加の特徴および利点が、以下の詳細な説明において示され、部分的に、その説明から当業者に容易に明らかになるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、および添付の図面を含む、本明細書に記載の実施形態を実施することによって認識されよう。
【0013】
[0014]上記の全体的な説明および以下の詳細な説明の双方が、様々な実施形態を説明し、特許請求される主題の本質および特性を理解するための概観または枠組を提供するように意図されることが理解されよう。様々な実施形態の更なる理解を提供するために添付の図面が含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を成す。図面は、本明細書に記載の様々な実施形態を示し、明細書と共に、特許請求される主題の原理および動作を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】[0015]実施形態によるマイクロビーズ格納システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0016]ここで、本出願の特定の実施形態を説明する。これらの実施形態は、本開示が十分および完全であり、当業者に対して発明の範囲を完全に伝えるように提供される。
[0017]ここで、マイクロビーズ格納システムの実施形態を詳細に参照する。本明細書に記載のマイクロビーズ格納システムは、反磁性材料を含む複数のミクロスフェアと、1つまたは複数の磁性壁を含む容器とを備えることができる。実施形態において、容器の壁は、容器内の複数のミクロスフェアの分布または挙動に影響を与える場合がある1つまたは複数の磁性構成要素を含むことができる。後により詳細に説明されるように、1つまたは複数の磁性壁は、複数のミクロスフェアの反磁性材料に反発する磁場を生成することができる。磁性壁とビーズの反磁性材料との間のこの反発により、複数のミクロスフェアを容器内で浮揚させることができる。
【0016】
[0018]ここで図1を参照すると、マイクロビーズ格納システム100の実施形態の断面図が提供される。図1において、マイクロビーズ格納システム100は、壁12、14、16によって形成された容器10を含むことができる。容器10は、複数のミクロスフェア30を含むことができる。更に、容器10の壁12、14、16は、より大きな磁場24およびより小さな磁場22として示される、変動するサイズの1つまたは複数の磁場を生成することができる。
【0017】
[0019]ここで、容器10の実施形態を詳細に参照する。容器10は、格納空間を画定し、本明細書に上述した複数のミクロスフェア30を収納するのに適した任意のバレル、器、箱、バイアル、レセプタクルまたはタンクとすることができる。いくつかの特定の実施形態において、容器10はシリンジバレルとすることができる。図1の断面図に示される例示的な実施形態において、容器10は、底壁および4つの側壁を有する箱とすることができる。図1に示す断面図において、容器10は、底壁14ならびに側壁12および16を備える。容器は、図1に示されていない前壁および後壁も備えることができる。他の実施形態において、容器は、壁が複数のミクロスフェア30を含有するのに適した容器を形成することを条件に、例えば、丸められた、円筒形の、または角度を付けられた壁を含む任意の形状の壁を含むことができる。いくつかの実施形態において、容器は、複数のミクロスフェアを容器10内に封止する蓋、上壁、中隔または他の固体構造部を含むことができる。
【0018】
[0020]容器10は、任意の適切なガンマ(又は、ガンマ線)適合性材料から作製することができる。ガンマ適合性材料は、後に表1に提供されるもの等の、任意の放射線安定性の医療グレードのポリマー材料とすることができる。
【0019】
【表1-1】
【0020】
【表1-2】
【0021】
【表1-3】
【0022】
[0021]ガンマ適合性材料の放射線安定性は、特定のタイプの医療グレードのポリマー材料の耐性レベルによって異なることがある。容器材料が容器材料の耐性レベルを超える放射線量を吸収すると、容器10の褐変または脆化が生じる場合がある。例示的なガンマ適合性材料は、限定ではないが、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン、芳香族ポリエステル、セルロース、フルオロポリマー、ポリアセタール、ポリアクリル酸、ポリアミド、ポリエチレンポリイミド、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、スチレン/アクリロニトリルを含む熱可撓性プラスチックと、アリルジグリコールカーボネート、エポキシ、フェノール類、ポリエステル、ポリウレタンを含む熱硬化性材料と、ブチル、エチレン-プロピレンジエンモノマー、フルオロエラストマー、天然ゴム、ニトリル、ポリアクリル酸、ポリクロロプレン、シリコーン、スチレン-ブタジエンおよびウレタンを含むエラストマーとを含む。エラストマーの放射線耐性は、用いられるベースポリマーおよび硬化システムによる影響を受ける場合がある。いくつかの実施形態において、容器10は、約5kGy~約100,000kGy、約5kGy~約10,000kGy、約5kGy~約5,000kGy、約5kGy~約1,000kGy、約5kGy~約500kGy、約5kGy~約100kGy、約100kGy~約100,000kGy、約100kGy~約10,000kGy、約100kGy~約5,000kGy、約100kGy~約1,000kGy、約100kGy~約500kGy、約500kGy~約100,000kGy、約500kGy~約10,000kGy、約500kGy~約5,000kGy、約500kGy~約1,000kGy、約1,000kGy~約100,000kGy、約1,000kGy~約10,000kGy、約1,000kGy~約5,000kGy、約5,000kGy~約100,000kGy、約5,000kGy~約10,000kGy、または約10,000kGy~約100,000kGyの耐性レベルを有するガンマ適合性材料から作製することができる。
【0023】
[0022]実施形態において、容器10の壁は、1つまたは複数の磁場を含むことができる。容器10の1つまたは複数の磁場は、容器への複数のミクロスフェアの直接接触を防ぐようにして複数のミクロスフェア30と相互作用することができる。いくつかの実施形態において、容器10の1つまたは複数の磁場が、複数のマイクロビーズの混合を容易にするようにして複数のミクロスフェア30と相互作用することができる。そのような混合は、少なくとも部分的に、容器10の壁の形状によって促進することができる。実施形態において、容器10の1つまたは複数の磁場の強度、ロケーション(位置)およびパターンは変動する場合がある。磁場は、容器10の表面から複数のミクロスフェア30を浮揚または反発させるのに十分な大きさとすることができる。この磁場の大きさは、容器材料の放射線耐性、ミクロスフェアにおける治療薬の量、より詳細には、ミクロスフェアにおける放射線療法材料の量、ミクロスフェア内の治療薬のタイプ、より詳細には、ミクロスフェアにおける放射線療法材料の量、ミクロスフェア材料の量(質量)、ミクロスフェア材料のタイプ、反磁性材料の量(質量)、反磁性材料のタイプ、およびこれらの要因の組み合わせを含む様々な要因に依拠する場合がある。磁場は、容器10の褐変または脆化を防ぐのに十分な高さに複数のミクロスフェアを浮揚または反発させるのに十分な大きさとすることができる。理論にとらわれることなく、線量が1/Rに低減されるため、距離における相対的に小さな変化が、容器10によって吸収される線量に大きな影響を有する可能性がある。
【0024】
[0023]いくつかの実施形態において、容器10は複数の磁場を含むことができる。更なる実施形態において、容器10は、強度が変動する複数の磁場(例えば、大きさが変動する磁場強度を有する複数のゾーン(領域))を含むことができる。例えば、容器10の磁場の少なくとも一部分は、より小さな強度24とすることができ、容器10の磁場の少なくとも一部分は、より大きな強度24とすることができる。容器10の磁場の変動する強度により、容器10内の複数のミクロスフェア30の混合を容易に行うことができる。
【0025】
[0024]実施形態において、容器10の磁場は、容器10の壁に1つまたは複数の磁性構成要素を組み込むことによって生成することができる。他の実施形態において、容器10の磁場は、1つまたは複数の磁性構成要素で容器10を取り囲むことによって生成することができる。本明細書に記載の容器の壁が1つまたは複数の磁性構成要素を含む場合、壁は、任意の数の個々の磁性構成要素(例えば、1、2、3、4、5、6、7または8以上等)を含むことができる。各磁性構成要素は、任意の適切な方法によって容器10内または容器10上に固定することができる。例えば、いくつかの変形形態において、1つまたは複数の磁性構成要素を容器10上にペイント、オーバーモールド、プリント、または接着することによるものを含む任意の適切な製造方法によって、1つまたは複数の磁性構成要素を容器10内に埋め込むか、付着させるか、または摩擦嵌合させることができる。1つまたは複数の磁性構成要素が容器10を取り囲む実施形態において、各磁性構成要素は、容器10内または容器10上に固定されない場合があり、このため、磁性構成要素によって生成される磁場は移動性となり得る。1つまたは複数の磁性構成要素が容器10を取り囲む更なる実施形態において、各磁性構成要素は、容器10の少なくとも一部分を取り囲むケーシング、カバー、または他の外部構成要素内に埋め込むか、付着させるか、または摩擦嵌合させることができる。
【0026】
[0025]実施形態において、磁性構成要素は永久磁石を含むことができる。磁石は、磁場を生成することが可能な任意の適切な材料から作製することができる。いくつかの実施形態において、磁性構成要素は、強磁性材料から作製された永久磁石とすることができる。例えば、いくつかの変形形態において、磁性構成要素は、1つまたは複数の希土類磁石、アルニコ等の他の金属、フェライト等の化合物を添加したまたは添加していない、コバルト、ガドリニウム、鉄、ニッケル、これらの金属の合金、またはこれらの金属もしくはそれらの合金のうちの任意のものの組み合わせを含むことができる。更なる実施形態において、希土類磁石は、サマリウムコバルト磁石またはネオジム磁石を含むことができる。
【0027】
[0026]実施形態において、磁性構成要素は電磁石を含むことができる。磁性構成要素が電磁石を含む場合、電磁石は、磁場を生成するように選択的に活性化することができる。例えば、本明細書に記載のシステムの1つまたは複数の容器壁が1つまたは複数の電磁石を含む場合、電磁石は、複数のミクロスフェア30が容器内に充填される前に活性化することができ、電磁石は、複数のミクロスフェア30の収納中、複数のミクロスフェア30を浮揚させ、それらが容器10内で沈降しないようにするために、活性化したままにすることができ、次に、電磁石は、複数のミクロスフェア30が容器から除去された後、または放射線塞栓療法手順が完了した後に非活性化することができる。容器が複数の電磁石を含む場合、これらの磁性構成要素は、独立して活性化することができるか、またはグループとして活性化することができる。実施形態において、1つまたは複数の電磁石は、バッテリおよびスイッチ、または他の適切な活性化手段等による電磁相互作用によって選択的に活性化することができる。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の電磁石は、1つまたは複数のパルス状の磁場を生成するように選択的に活性化することができる。更なる実施形態において、複数の電磁石は、変動する大きさを有する複数のパルス状の磁場を生成するように選択的に活性化することができる。
【0028】
[0027]実施形態において、容器は複数の磁性構成要素を含むことができる。更なる実施形態において、複数の磁性構成要素は、永久磁石、強磁性構成要素または電磁石の任意の組み合わせとすることができる。1つの例示的な実施形態において、容器10の側壁(すなわち、側壁12、側壁16、図1に示されていない前壁、および図1に示されていない後壁)のみが永久磁石を含むことができる。これらの変形形態において、底壁14は、永久磁石のみ、強磁性構成要素のみ、電磁石のみ、またはこれらの要素のいくつかまたは全ての混合を含むことができる。容器10の側壁は、永久磁石を含むことができ、底壁14または蓋は、複数のミクロスフェア30が容器10内に充填された後に活性化することができる電磁石のみを含むことができる。
【0029】
[0028]実施形態において、各磁性構成要素は、任意の適切なサイズおよび形状を有することができる。例えば、各磁性構成要素は、円筒形、半筒形、管形状、箱形状、平面状、球形等とすることができる。一般的に、磁性構成要素の寸法は、磁性構成要素を担持する容器のサイズによって制約される場合があり、そしてこの容器のサイズは、放射線塞栓療法処置自体によって制約される場合がある。例えば、放射線塞栓治療法処置は、特定の線量または送達デバイスを必要とする場合があり、この場合、容器10は、前記線量に対応するかまたは前記送達デバイス内に嵌合するように特にサイズ設定することができる。各磁性構成要素は、任意の適切な長さを有することができる。いくつかの実施形態において、各磁性構成要素は約5mm、約10mm、約15mm、約20mmの長さを有するか、または各磁性構成要素は、容器10の1つの壁の長さ全体に沿って延びることができる。
【0030】
[0029]ここで、複数のミクロスフェア30の実施形態を詳細に参照する。複数のミクロスフェア30は、「マイクロビーズ」とも呼ばれる場合がある規則的にまたは不規則に成形することができる複数のミクロスフェアを含むことができる。いくつかの実施形態において、複数のミクロスフェアは、代替的に、規則的にまたは不規則に成形することができる複数の粒子、または規則的にまたは不規則に成形することができる複数のフレークを含んでもよい。他の実施形態において、複数のミクロスフェア30は、ミクロスフェア、粒子および/またはフレークの組み合わせを含むことができる。他の実施形態において、複数のミクロスフェア30は、ミクロスフェア、粒子、フレークまたは組み合わせの集合体を含む1つまたは複数の複合粒子を含むことができる。実施形態において、複数のミクロスフェア30は、スカウトビーズとして用いられるミクロスフェア、または治療処置に用いられるミクロスフェア等の塞栓治療処置において用いるのに適した任意のミクロスフェアを含むことができる。本明細書に記載のマイクロビーズ格納システム100の実施形態において、複数のミクロスフェア30は、反磁性材料または治療薬を含むミクロスフェアを含む。更なる実施形態において、複数のミクロスフェア30は、反磁性材料および治療薬を含むミクロスフェアを含む。更なる実施形態において、複数のミクロスフェア30は、反磁性材料および治療薬およびマイクロビーズ材料を含むミクロスフェアを含む。いくつかの実施形態において、複数のミクロスフェア30における各マイクロビーズは、反磁性材料、治療薬、およびマイクロビーズ材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、複数のミクロスフェア30におけるミクロスフェアのいくつかのみが、反磁性材料、治療薬、または反磁性材料および治療薬の組み合わせを含むことができる。
【0031】
[0030]複数のミクロスフェア30の個々のミクロスフェアは、放射線塞栓療法の医療に適したサイズの直径を有することができる。いくつかの実施形態において、複数のミクロスフェア30の個々のミクロスフェアは、約30マイクロメートル(μm)~約1500μmの直径を有することができる。他の実施形態において、複数のミクロスフェア30の個々のミクロスフェアは、約30μm~約1500μm、約30μm~約1000μm、約30μm~約500μm、約30μm~約100μm、約100μm~約1500μm、約100μm~約1000μm、約100μm~約500μm、約500μm~約1500μm、約500μm~約1000μm、または約1000μm~約1500μmの直径を有することができる。
【0032】
[0031]複数のミクロスフェア30のミクロスフェアは、マイクロビーズ材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、マイクロビーズ材料は、ガラスまたはシリカを含むことができる。他の実施形態において、マイクロビーズ材料は、生分解性かつ生体吸収性材料を含むことができ、これらは、分解され、かつ/または体内で安全に再吸収される材料である。生分解性かつ生体吸収性材料の例は、限定ではないが、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリヒドロキシブチレート-コ-βヒドロキシバリレート(PHBV)、ポリカプロラクトン(PCL)、ナイロン-2-ナイロン-6、ポリ乳酸-ポリグリコール酸重合体、PLGA-ポリエチレングリコール(PEG)-PLGA(PLGA-PEG-PLGA)、カルボキシメチルセルロース-キトサン(CMC-CCN)、キトサン、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、鉄ベース合金、マグネシウムベース合金およびこれらの組み合わせを含むことができる。他の実施形態において、マイクロビーズ材料はポリマー材料とすることができる。更なる実施形態において、マイクロビーズ材料は、ヒドロゲルを形成することが可能なポリマー材料等の水膨潤性ポリマー材料とすることができる。複数のミクロスフェア30のミクロスフェアは、マイクロビーズ材料、またはより詳細には、ヒドロゲル型水膨潤性ポリマー材料から形成されるマイクロ粒子に共通の任意の形状を有することができる。例えば、複数のミクロスフェア30のミクロスフェアは、球体または実質的に球体とすることができ、長手方向軸の周りで長円形状または楕円形の断面を有し、長手方向軸に対し垂直な軸の周りで円形の断面を有するか、またはその組み合わせである卵形形状を有することができる。いくつかの実施形態において、ミクロスフェアは多孔質とすることができる。
【0033】
[0032]様々な実施形態において、マイクロビーズ材料は、例えば、キトサンもしくは多糖類等の天然ヒドロゲルポリマー、またはポリアクリレート、ポリアミド、ポリエステル、多糖類、ポリ(メタクリル酸メチル)もしくはポリ(ビニルアルコール)等の合成ヒドロゲルポリマーを含む水膨潤性ポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態において、水膨潤性ポリマー材料は生分解性とすることができる。水膨潤性ポリマー材料の特定の例は、限定ではないが、ポリ(4-ヒドロキシブチレート)、メタクリル化ヒアルロン酸(D-グルクロン酸およびN-アセチル-D-グルコサミンで構成される二糖のポリマーであるヒアルロン酸)、キトサン-アルジネート、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)共重合体、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)-アルジネート、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)-ペプチド、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)-α-アクリロイルオキシ-β,β-ジメチル-γ-ブチロラクトン親水性ジェファミン(Jeffamine)、またはポリ(N-イソプロピル-アクリルアミド)-ポリ(エチレングリコール)ジアクリラート-ペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプト-プロピオナート)を含む。マイクロビーズ材料は、上記の材料のうちの任意のものの派生物を含む水膨潤性ポリマー材料を含むことができるか、または上記の材料もしくはそれらの派生物のうちの任意のものの組み合わせを含むことができる。例えば、マイクロビーズ材料は、各個々のマイクロビーズが単一のタイプのポリマーから作製される複数の水膨潤性ポリマー材料の組み合わせを含むことができ、複数のミクロスフェア30は、複数のポリマータイプのマイクロビーズ材料を含む。いくつかの実施形態において、マイクロビーズ材料は、複数の水膨潤性ポリマー材料の組み合わせを含むことができ、ここで個々のミクロスフェアは複数のタイプのポリマーから構成される。
【0034】
[0033]実施形態において、複数のミクロスフェア30の個々のミクロスフェアは、個々のミクロスフェアの総重量に基づいて、約30重量%~約70重量%、または約35重量%~約65重量%、または約40重量%~約60重量%、または約45重量%~約55重量%、または約50重量%~約70重量%のマイクロビーズ材料を含むことができる。更なる実施形態において、複数のミクロスフェア30の個々のミクロスフェアは、複数のミクロスフェア30において個々のミクロスフェアの総重量に基づいて、約30重量%~約70重量%、または約35重量%~約65重量%、または約40重量%~約60重量%、または約45重量%~約55重量%、または約50重量%~約70重量%の水膨潤性ポリマー材料を含むことができる。
【0035】
[0034]上述したように、複数のミクロスフェア30は1つまたは複数の反磁性材料を含むことができる。特に、反磁性材料は、双極子磁石の双方の局によって反発される材料である。反磁性材料が外部磁場内に配置されるとき、外部磁場の方向と反対方向の反磁性材料の電子によって磁場が生成される。対向する磁場は当然互いに反発するので、この相互作用の結果として反発力が生じる。
【0036】
[0035]したがって、実施形態において、複数のミクロスフェア30は1つまたは複数の反磁性材料を含むことができ、そのような反磁性材料は、磁性容器壁12、14、16によって生成される外部磁場に対する磁場反発を呈し、それによって複数のミクロスフェア30が磁気反発に従って動くことを可能にすることができる。いくつかの実施形態において、複数のミクロスフェア30の1つまたは複数の反磁性材料は、印加される電流、電場または双方に対する電磁反発を呈すことができ、それによって複数のミクロスフェア30が電磁反発に従って動くことを可能にする。非限定的な例において、複数のミクロスフェア30が、容器壁12、14および16から磁気的または電磁的に反発される1つまたは複数の反磁性材料を含む場合、複数のミクロスフェア30は容器10から離れるように動くことができる。
【0037】
[0036]電流または電場に反応する例示的な材料は、限定ではないが、金属、電解質、超電導体、半導体、非金属導体、導電性ポリマー、形状記憶ポリマー、および形状記憶合金を含むことができる。実施形態において、例示的な反磁性材料は、限定ではないが、水、木、;ガラス;セラミック;カーボン、グラファイト;石油、プラスチック、生物組織等の有機化合物;ならびに銅、水銀、金およびビスマス等の金属を含むことができる。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のミクロスフェアは、ガラス、セラミック、カーボン、グラファイト、金属またはそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの特定の実施形態において、1つまたは複数のミクロスフェアは、製造プロセス中の経済的利益または性能利益のために選択することができるグラファイト、ビスマスまたはそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0038】
[0037]複数のミクロスフェア30のミクロスフェアにおいて、1つまたは複数の反磁性材料をマイクロビーズ材料によって全体的に取り囲むことができる。いくつかの実施形態において、水膨潤性ポリマー材料またはそのいくらかの部分は、1つまたは複数の半磁性材料を全体的に取り囲むことができる。他の実施形態において、水溶性ポリマー材料シェル等のマイクロビーズ材料シェルが、1つまたは複数の反磁性材料を保持するコアをカプセル化することができる。他の実施形態において、1つまたは複数の反磁性材料を、外殻内にコアを有する場合も有しない場合もあるマイクロビーズ材料のマトリクス、網、または孔構造内に物理的に配設することができる。他の実施形態において、1つまたは複数の反磁性材料をマイクロビーズ材料上にコーティングするかまたは他の形で化学結合し、1つまたは複数の半磁性材料がマイクロビーズ材料と共有結合性の化学結合を有するようにすることができる。
【0039】
[0038]実施形態において、1つまたは複数の反磁性材料は、マイクロビーズ材料との共有結合性の化学結合が欠如している場合があるが、いくつかの例では、非共有結合的に、イオン的に、またはマイクロビーズ材料との分子間力を通じて相互作用する場合がある。例えば、マイクロビーズ材料がポリマー材料である場合、1つまたは複数の反磁性材料は、ポリマー材料との共有結合性の結合が完全に欠如している場合があるか、またはマイクロビーズ材料は、ポリマー材料のポリマー骨格のみとの共有結合性の結合が欠如している場合がある。更なる実施形態において、1つまたは複数の反磁性材料は、水膨潤性ポリマー材料との共有結合性の結合が完全に欠如している場合があるか、またはマイクロビーズ材料は、水膨潤性ポリマー材料のポリマー骨格のみとの共有結合性の結合が欠如している場合がある。更なる実施形態において、マイクロビーズ材料は、1つまたは複数の反磁性材料を全体的に取り囲む場合があるが、それでも、1つまたは複数の反磁性材料は、水膨潤性ポリマー材料の官能基に共有結合性の結合を有する場合がある。
【0040】
[0039]いくつかの実施形態において、1つまたは複数の反磁性材料をミクロスフェアに組み込んで、充填樹脂材料を生成することができる。充填樹脂材料は、ミクロスフェア材料全体にわたるマトリクス、網または孔構造内に物理的に配設された1つまたは複数の反磁性材料を含むマイクロビーズ材料を指すことができる。いくつかの特定の実施形態において、充填樹脂材料は、グラファイト充填材料またはビスマス充填材料とすることができる。
【0041】
[0040]1つまたは複数の反磁性材料をミクロスフェアに組み込む実施形態において、ミクロスフェアは、コア-シェル構造体(コアとシェルとからなる構造体)を有することができ、ここで、シェルはマイクロビーズ材料を含み、シェルによってカプセル化されたコアは、1つまたは複数の反磁性材料または充填樹脂材料を含む。「カプセル化された」という用語は、広義には、シェルまたはそのいくらかの部分がコアを全体的に取り囲む実施形態を含む。ミクロスフェアがコア-シェル構造体を有するいくつかの特定の実施形態において、シェルはポリカーボネートまたはナイロンを含み、コアは充填樹脂材料を含む。他の実施形態において、1つまたは複数の反磁性材料または充填樹脂材料は、生体適合性樹脂シェル内にカプセル化されたコア材料とすることができる。生体適合性樹脂の例は、限定ではないが、エポキシ樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、高密度ポリエチレンまたはこれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態において、生体適合性樹脂材料を用いて、マイクロビーズ内の1つまたは複数の他の機能層から1つまたは複数の反磁性材料または充填樹脂材料を分離することができる。コア-シェル構造体を有するミクロスフェアは、マイクロ流体製造プロセスによって生成することができる。他の実施形態において、充填樹脂材料は、外殻内にコアを有する場合も有しない場合もあるマイクロビーズ材料のマトリクス、網、または孔構造内に物理的に配設することができる。
【0042】
[0041]上述したように、反磁性材料は、複数のミクロスフェア30が送達にわたって懸濁されたままになることを可能にすることができる。反磁性材料は、容器10とのミクロスフェアの相互作用または結合を低減することができる。例えば、反磁性材料は、後により詳細に説明されるが、容器10が放射線曝露による褐変または脆化に耐性を有することを可能にすることができる。
【0043】
[0042]塞栓のためにミクロスフェアを収納するのに用いられる従来の容器は、例えばガラス製バイアルを含むことができる。収納中、放射線療法薬を含むことができるが反磁性材料を含有しないミクロスフェアは、従来の容器において沈降し、それによって従来の容器と直接接触する可能性がある。経時的に、塞栓のためのミクロスフェアが長期(例えば、1週間超)にわたって従来の容器内のその位置に留まるにつれ、従来の容器のガラスは、約5,000kGy以上の放射線量を吸収する場合がある。結果として、この長期の放射線量により、従来の容器の材料が、脆くなるか、亀裂を生じるか、剥離するか、変色するか、または他の形で完全性が損なわれる場合がある。
【0044】
[0043]対照的に、ここで開示される格納システム100において、外部磁場が容器10に印加されるとき、反磁性材料を含有するミクロスフェアが外部磁場から離れるように反発される。特に、複数のミクロスフェア30が容器10の壁12、14、16から反発される。結果的に、複数のミクロスフェア30は容器10内で沈降しないか、または容器10と直接接触する。むしろ、複数のミクロスフェア30は、容器10に密着することなく、容器10内に懸濁した状態を保つことができる。更に、複数のミクロスフェア30は、容器10内で沈降することも、容器10と直接接触することもないため、容器10は、ミクロスフェアが容器と接触するときに結果として吸収する放射線量よりも少ない放射線量を吸収する。
【0045】
[0044]理論にとらわれることなく、ミクロスフェア内に組み込まれ、それによってミクロスフェアが容器10から反発されることを可能にする反磁性材料の量は、個々のミクロスフェアの重量、およびミクロスフェアが容器10から反発される必要がある距離を含む様々な要因に依拠することができる。例示的な実施形態において、複数のミクロスフェア30の個々のミクロスフェアは、複数のミクロスフェア30における個々のミクロスフェアの総重量に基づいて、約1重量%~約25重量%、または約1重量%~約20重量%、または約1重量%~約15重量%、または約2重量%~約25重量%、または約5重量%~約25重量%、または約10重量%~約25重量%の反磁性材料を含むことができる。
【0046】
[0045]実施形態において、複数のミクロスフェア30は、1つまたは複数の薬剤充填ミクロスフェアを含むことができる。いくつかの実施形態において、複数のミクロスフェア30は、完全に薬剤充填ミクロスフェアから作製することができ、ここで、各マイクロビーズは反磁性材料も含む。他の実施形態において、複数のミクロスフェア30は、薬剤充填ミクロスフェアと、反磁性材料を含むミクロスフェアとの混合物を含むことができる。
【0047】
[0046]実施形態において、薬剤充填ミクロスフェアは、治療薬を充填された、または治療薬と担体との複合体を充填されたミクロスフェアとすることができる。複数のミクロスフェア30の個々に薬剤充填されたミクロスフェアは、1つの治療薬または複数の治療薬を含むことができる。集合的に、複数のミクロスフェア30のミクロスフェアは、1つの特定の治療薬または特定の治療薬の組み合わせを充填された、いくつかの薬剤充填ミクロスフェアと、異なる特定の治療薬または特定の治療薬の組み合わせを充填された他のミクロスフェアとを含むことができる。
【0048】
[0047]いくつかの実施形態において、治療薬は親水性治療薬、水溶性治療薬、または水溶液において少なくともいくらかの溶解性を有する治療薬とすることができる。いくつかの実施形態において、治療薬は、がん等の疾患を治療するための少なくともいくらかの効能を有する化学療法薬とすることができる。いくつかの実施形態において、治療薬は、肝細胞がん、肝臓がん、前立腺がんまたは乳がん等のがんを治療するための少なくともいくらかの効能を有する化学療法薬とすることができる。治療薬は、正または負の電荷または親和性を有する1つまたは複数の化学的部分または原子中心を有することができる。特定の治療薬の例は、限定ではないが、ドキソルビシン、ソラフェニブ、バンデタニブ、ニボルマブ、イピリムマブ、レゴラフェニブ、イリノテカン、エピルビシン、ピラルビシン、5-フルオロウラシル、シスプラチン、フロクスウリジン、マイトマイシンC、上記のうちの任意のものの派生物、上記のうちの任意のもののプロドラッグ、上記のうちの任意のものの治療的に受容可能な塩または結晶形態、または上記のうちの任意のものの組み合わせを含むことができる。適切な治療薬の更なる例は、限定ではないが、ピラルビシン、ミトキサントロン、トポテカン、パクリタキセル、カルボプラチン、ペメトレキセド、ペニスタチン(penistatin)、ペルツズマブ、トラスツズマブおよびドセタキセルを含む。
【0049】
[0048]いくつかの実施形態において、治療薬は、がん等の疾患を治療するための少なくともいくらかの効能を有する放射線療法薬とすることができる。いくつかの実施形態において、治療薬は、肝細胞がん、肝臓がん、前立腺がんまたは乳がん等のがんを治療するための少なくともいくらかの効能を有する放射線療法薬とすることができる。放射線療法薬は、撮像を可能にするための十分なガンマ放射を放出するベータ-ガンマエミッタ等の放射線同位体を含むことができる。特定の放射線療法薬の例は、限定ではないが、ビスマス-213、ホウ素-10、セシウム-131、セシウム-137、コバルト-60、ジスプロシウム-165、エルビウム-169、ホルミウム-166、ヨウ素-125、ヨウ素-131、イリジウム-192、鉄-59、鉛-212、ルテチウム-177、モリブデン-99、パラジウム-103、リン-32、カリウム-42、ラジウム-223、レニウム-186、レニウム-188、サマリウム-153、セレン-75、ナトリウム-24、ストロンチウム-89、テクネチウム-99m、トリウム-227、キセノン-133、イッテルビウム-169、イッテルビウム-177およびイットリウム-90を含む。いくつかの他の例は、アクチニウム-225、アスタチン-211、ビスマス-213、炭素-11、窒素-13、酸素-15、フッ素-18、コバルト-57、銅-64、銅-67、フッ素-18、ガリウム-67、ガリウム-68、ゲルマニウム-68、インジウム-111、ヨウ素-123、ヨウ素-124、クリプトン-81m、ルビジウム-82、ストロンチウム-82およびタリウム-201を含む。いくつかの特定の実施形態において、複数のミクロスフェア30は、イットリウム-90を含む薬剤充填ミクロスフェアを含むことができる。
【0050】
[0049]いくつかの実施形態において、水膨潤性ポリマー材料またはそのいくらかの部分は、治療薬または治療薬を含む複合体を全体的に取り囲む。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマー材料シェルは、治療薬または複合体を保持するコアをカプセル化することができる。他の実施形態では、治療薬または複合体は、外殻内にコアを有する場合も有しない場合もある水膨潤性ポリマー材料のマトリクス、網、または孔構造内に物理的に配設することができる。
【0051】
[0050]いくつかの実施形態において、薬剤充填マイクロビーズの治療薬は、マイクロビーズ材料のミクロスフェアを全体的に取り囲むが、治療薬とマイクロビーズ材料との間の共有結合性の化学結合が欠如している場合がある。共有結合性の化学結合が欠如しているにもかかわらず、治療薬およびマイクロビーズ材料は、イオン的相互作用または分子間力相互作用等の非共有結合性の分子間相互作用を有する場合がある。いくつかの実施形態において、薬剤充填マイクロビーズの治療薬は、マイクロビーズ材料を全体的に取り囲み、水膨潤性ポリマー材料のポリマー骨格に対する共有結合性の化学結合が欠如している場合があるが、それでも治療薬は、水膨潤性ポリマー材料の官能基に化学結合している場合がある。いくつかの実施形態において、治療薬は水膨潤性ポリマー材料に全く化学結合しない。
【0052】
[0051]薬剤充填ミクロスフェアは、複数のミクロスフェア30、および個々のミクロスフェア内に存在する特定の治療薬のための意図される使用に基づいて、所望の治療効果または活性を有する治療薬の量を含むことができる。複数のミクロスフェア30の個々の薬剤充填ミクロスフェアにおける治療薬の量は、例えば、充填溶液内の治療薬の充填時間、充填温度または濃度等の、薬剤充填中に関与する特定の技法を通じて調整することができる。複数のミクロスフェア30の個々の薬剤充填ミクロスフェアにおける治療薬の量は、ポリマー分子量、ヒドロゲル架橋の度合い、ポリマー密度、水膨潤性ポリマー材料のポリマー間隙率を調整すること等を通じてミクロスフェアが自己合成するために関与する合成技法を通じて調整することができる。例えば、ドキソルビシンが治療薬であるとき、薬剤充填ミクロスフェア内の薬剤充填量は、水膨潤性ポリマー材料のポリマー骨格内の負の電荷の数に対して調整することができる。同様に、ソラフェニブが治療薬であるとき、ソラフェニブは、マイクロビーズ構造内に埋め込むことができるポリマーミセルまたはリポソーム内に埋め込むことができる。いくつかの実施形態において、薬剤充填ミクロスフェアの個々のミクロスフェアにおける治療薬の量は、担体の選択を通じて調整することができる。
【0053】
[0052]いくつかの実施形態において、治療薬が放射線療法薬であるとき、放射線療法薬は、沈降法によってミクロスフェア内に充填することができる。例えば、イットリウム-90が治療薬であるとき、そのような沈降法は、イットリウムの少なくとも一部分がイットリウム-90である可溶性イットリウム塩(例えば、YC1)の溶液を準備し、可溶性塩をリン酸イットリウム(YPO)等の不溶性塩の小さな沈殿物に化学的に変換し、沈殿物を含む溶液にミクロスフェアを添加し、リン酸イットリウムをビーズの表面上で核化し、マイクロビーズが多孔性である場合、孔のうちの少なくともいくつかの中に核化することを含むことができる。別の例において、そのような沈降法は、イットリウムの少なくとも一部分がイットリウム-90である可溶性イットリウム(例えば、YCl)の溶液にミクロスフェアを添加し、可溶性イットリウムがミクロスフェアの孔内に貫入することを可能にし、次に、可溶性イットリウムを不溶性イットリウムに変換することを含むことができる。不溶性イットリウムは、リン酸イットリウム(YPO)、硫酸イットリウム(Y(SO)および炭酸イットリウム(Y(CO)を含むことができる。別の例において、イットリウム-90は、マイクロビーズの表面上に結合またはコーティングすることができる。
【0054】
[0053]例示的な実施形態において、複数のミクロスフェア30の個々のミクロスフェアは、複数のミクロスフェア30における個々のミクロスフェアの総重量に基づいて、約1重量%~約25重量%、または約1重量%~約20重量%、または約1重量%~約15重量%、または約2重量%~約25重量%、または約5重量%~約25重量%、または約10重量%~約25重量%の治療薬を含むことができる。
【0055】
[0054]いくつかの実施形態において、薬剤充填マイクロビーズは、担体および治療薬の複合体を含むことができる。複合体において、治療薬は、担体に化学結合することができるか、またはカプセル化もしくは分子間力相互作用等の非共有結合性の手段によって担体と関連付けることができる。実施形態において、複合体は、マイクロビーズ材料内に埋め込むことができる。更なる実施形態において、複合体は、水膨潤性ポリマー材料内に埋め込むことができる。複合体がマイクロビーズ材料内に埋め込まれるとき、担体は、マイクロビーズ材料に化学結合することができるのに対し、治療薬はマイクロビーズ材料に化学結合されない。理論に束縛されることを意図せず、治療薬が担体と結合または関連付けされるが、マイクロビーズ材料に化学結合されないとき、複数のミクロスフェア30の薬剤充填ミクロスフェアは、薬剤充填中の薬剤分子との水分子の交換の結果としてより収縮を受けにくい場合があると考えられる。したがって、薬剤充填ミクロスフェアの最終サイズ分布は、治療薬が充填される前に適切なマイクロビーズサイズを選択することによって、より迅速に制御することができる。
【0056】
[0055]薬剤充填マイクロビーズが担体と治療薬との複合体を含む実施形態では、担体は、治療薬と複合することができるかまたは治療薬をカプセル化することができる任意の薬学的に受容可能な化合物とすることができる。いくつかの実施形態において、担体は、反対の電荷または反対の双極子モーメントを有する治療薬の対応する化学基と相互作用する双極子モーメントで荷電された1つまたは複数の化学基を有することができる。担体がポリマー材料である場合、担体は、水膨潤性ポリマー材料と異なる材料とすることができる。適切な担体の非限定的な例は、多糖類、リポソーム、ポリマーミセル、プルロニック(登録商標)、ポリカプロラクトン-b-メトキシ-PEG、ポリ(アスパラギン酸)-b-PEG、ポリ(ベンジル-L-グルタメート)-b-PEG、ポリ(D,L-ラクチド)-b-メトキシ-PEG、ポリ(β-ベンジル-L-アスパルタート)-b-PEGを含む。多糖類の非限定的な例は、デキストラン、およびデキストランナトリウム硫酸塩等のデキストラン硫酸塩を含む。1つの例示的な実施形態において、担体は、約40kDa(キロダルトン)~約500kDa、または約50kDa~約300kDa、または約100kDa~約300kDa、または約100kDa~約200kDaの加重平均分子量を有するデキストランナトリウム硫酸塩を含むことができる。
【0057】
[0056]例示的な実施形態において、複数のミクロスフェア30の個々のミクロスフェアは、複数のミクロスフェア30における個々のマイクロビーズの総重量に基づいて、約1重量%~約40重量%、または約1重量%~約30重量%、または約1重量%~約25重量%、または約1重量%~約20重量%、または約5重量%~約40重量%、または約10重量%~約40重量%、または約20重量%~約40重量%の担体を含むことができる。
【0058】
[0057]例示的な実施形態において、複数のミクロスフェア30の個々のミクロスフェアは水を含む。例示的な実施形態において、実施形態による複数のミクロスフェア30の個々のミクロスフェアは、個々のミクロスフェアの総重量に基づいて、1重量%未満、または0.5重量%未満、または0.1重量%未満、または0.05重量%(500ppm)未満、または0.02重量%(200ppm)未満、または0.01重量%(100ppm)未満、または0.005重量%(50ppm)未満、または0.002重量%(20ppm)未満、または0.001重量%(10ppm)未満等の低い含水量を有することができる。理論によって束縛されることを意図せずに、マイクロビーズの低含水量により、マイクロビーズの貯蔵寿命および長期安定性が増大すると考えられる。更に、マイクロビーズの総重量に基づいた、1重量%(例えば、2%、3%、5%、または10%等)よりも大幅に大きな含水量により、数日または更には数時間以内での治療薬の分解もしくは加水分解、水膨潤性ポリマーの不安定性もしくは分裂、またはこれらの組み合わせにつながる場合があり、それによってマイクロビーズが再水和される場合であってもマイクロビーズを塞栓処置に用いることができないと考えられる。1重量%よりも大幅に大きい含水量を有する場合の貯蔵寿命および長期安定性は、マイクロビーズの製造から、塞栓処置における使用までの期間にわたる治療薬の生存能力を確保するのに十分長くないと考えられる。水膨潤性ポリマー材料の選択は、治療薬の分解を防ぐのに十分な量における、凍結乾燥もしくは他の乾燥技法、または乾燥技法の組み合わせによってミクロスフェアから水が除去される能力と相関付けることができると考えられる。
【0059】
[0058]上述したように、マイクロビーズの低含水量は、乾燥技法によって達成することができる。これに関して、ミクロスフェアは、埋め込まれた治療薬、または治療薬および担体の埋め込まれた複合体を含むミクロスフェアの乾燥したまたはほぼ脱水した組成物とすることができる。ミクロスフェアは、粉末状の粘稠度を有することができる。したがって、ミクロスフェアは、複数のミクロスフェア30が塞栓に適することができるようにミクロスフェアを再水和することによって、治療中の対象者への注入に適するように作製することができる。いずれにしても、ミクロスフェアは、医師が塞栓処置において用いるための複数のミクロスフェア30を準備するために、医師が水または緩衝生理食塩溶液等の水溶液を複数のミクロスフェア30に添加するのみでよい形式で提供することができる。
【0060】
[0059]ここで、放射性ミクロスフェアを含有する方法の実施形態を詳細に参照する。実施形態において、放射性ミクロスフェアを含有する方法は、1つまたは複数の磁場を含む容器内に反磁性材料を含む複数のミクロスフェアを収納することを含むことができ、それによって、容器内に含有される複数のミクロスフェアが、容器への複数のミクロスフェアの直接接触を防ぐように容器10の1つまたは複数の磁場と相互作用する。容器10内に複数のミクロスフェア30を収納することは、任意の適切な製造プロセスまたは出荷プロセスごとに、複数のミクロスフェア30を容器10内に充填することを更に含むことができる。いくつかの実施形態において、方法は、上述したように、容器10の1つまたは複数の磁性構成要素を活性化することを更に含むことができる。実施形態において、1つまたは複数の磁性構成要素を活性化することは、電流を容器に印加することを含むことができる。実施形態において、磁性構成要素は、バッテリおよびスイッチ、または他の適切な活性化手段等による電子相互作用によって選択的に活性化することができる。複数のミクロスフェア30と容器10との間の反磁性浮揚は、容器10内でスフェアが沈降しないようにするか、または容器10の壁に直接接触しないようにする。
【0061】
[0060]本開示は、1つまたは複数の非限定的態様を含む。第1の態様は、反磁性材料を含むミクロスフェアを収納するためのミクロスフェア格納システムであって、このミクロスフェア格納システムは、ミクロスフェア容器における格納空間を画定する壁を備えるミクロスフェア容器を備え、壁は、格納空間内に磁場を生成するように構成された少なくとも1つの磁性構成要素を含み、反磁性材料を含むミクロスフェアは、格納空間内に収納されるとき、ミクロスフェア容器の壁とのミクロスフェアの直接接触を防ぐように格納空間内の磁場と相互作用する、ミクロスフェア格納システムを含むことができる。
【0062】
[0061]第2の態様は第1の態様を含むことができ、磁性構成要素は、永久磁石、強磁性要素、電磁石、またはこれらの組み合わせから選択される。
[0062]第3の態様は任意の先行する態様を含むことができ、格納空間内の磁場は、大きさが変動する磁場強度を有する複数のゾーンを含む。
【0063】
[0063]第4の態様は任意の先行する態様を含むことができ、格納空間内に収納されたミクロスフェアを更に含み、ミクロスフェアは反磁性材料を含む。
[0064]第5の態様は第4の態様を含むことができ、反磁性材料は、カーボン、反磁性金属、またはこれらの組み合わせを含む。
【0064】
[0065]第6の態様は第4~5の態様のうちの任意のものを含むことができ、ミクロスフェアの少なくとも一部分はコア-シェル構造体を有する。
[0066]第7の態様は第6の態様を含むことができ、反磁性材料は、コア-シェル構造体のコアである。
【0065】
[0067]第8の態様は第4~7の態様のうちの任意のものを含むことができ、ミクロスフェアは、化学療法材料、放射線療法材料、またはその双方を更に含む。
[0068]第9の態様は第4~8の態様のうちの任意のものを含むことができ、ミクロスフェアはイットリウム90を含む。
【0066】
[0069]第10の態様は第4~9の態様のうちの任意のものを含むことができ、ミクロスフェア容器はシリンジバレルである。
[0070]第11の態様は、放射性ミクロスフェアを含有する方法であって、この方法は、反磁性材料を含むミクロスフェアを、ミクロスフェア容器における格納空間を画定する壁を備えるミクロスフェア容器内に充填するステップを含み、壁は、格納空間内に磁場を生成するように構成された少なくとも1つの磁性構成要素を含み、それによって、ミクロスフェア容器内のミクロスフェアは、ミクロスフェア容器へのミクロスフェアの直接接触を防ぐように磁場と相互作用する、方法を含むことができる。
【0067】
[0071]第12の態様は第11の態様を含むことができ、反磁性材料は、カーボン、反磁性金属または双方を含む。
[0072]第13の態様は第11~12の態様を含むことができ、ミクロスフェアの少なくとも一部分はコア-シェル構造体を有する。
【0068】
[0073]第14の態様は第11~13の態様を含むことができ、反磁性材料は、コア-シェル構造体のコアである。
[0074]第15の態様は第14の態様を含むことができ、1つまたは複数の磁性構成要素は、永久磁石、強磁性要素、電磁石またはこれらの組み合わせから選択される。
【0069】
[0075]第16の態様は第13の態様を含むことができ、格納空間内の磁場は、大きさが変動する磁場強度を有する複数のゾーンを含む。
[0076]第17の態様は第11~16の態様を含むことができ、磁性構成要素は電磁石を含み、方法は、磁場を生成するために電磁石に電流を印加することを更に含む。
【0070】
[0077]第18の態様は第11~17の態様を含むことができ、ミクロスフェアは、化学療法材料、放射線療法材料またはその双方を更に含む。
[0078]第19の態様は第11~18の態様を含むことができ、ミクロスフェアはイットリウム90を含む。
【0071】
[0079]第20の態様は第11~19の態様を含むことができ、ミクロスフェア容器はシリンジバレルである。
[0080]本開示を説明および定義する目的で、「実質的に」という用語は、本明細書において、任意の量的比較、値、測定または他の表現に帰され得る固有の不確実性の度合いを表すために利用される。「実質的に」という用語は、本明細書において、問題となる主題の基本的な機能に変化をもたらすことなく、量的表現が述べられた基準から変動し得る度合いを表すためにも利用される。したがって、「実質的に」という用語は、理論上、厳密な一致または挙動を呈することが予期されるが、実際には、厳密とは僅かに異なるものを具現化する場合がある要素または特徴の構成を指す、任意の量的比較、値、測定または他の表現に帰され得る固有の不確実性の度合いを表すために利用される。
【0072】
[0081]特定の実施形態が本明細書に示され、説明されたが、特許請求される主題の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な他の変更および修正を行うことができることが理解されるべきである。その上、特許請求される主題の様々な態様が本明細書に記載されたが、そのような態様は組み合わせて利用される必要がない。したがって、添付の特許請求の範囲が、特許請求される主題の範囲内にある全てのそのような変更および修正を網羅することが意図される。
図1