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特許7324782格子形成をモニタリングするためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】格子形成をモニタリングするためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/18 20060101AFI20230803BHJP
【FI】
G02B5/18
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020568217
(86)(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 US2019045078
(87)【国際公開番号】W WO2020028894
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】16/054,943
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ テクノロジーズ, リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】META PLATFORMS TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】弁理士法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】レイボビチ, マシュー チャールズ ラウル
(72)【発明者】
【氏名】ジョラブチ, カブス
(72)【発明者】
【氏名】レーン, オースティン
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0037143(US,A1)
【文献】特開昭60-170802(JP,A)
【文献】特開2011-053416(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0208876(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造システムであって、
一定時間期間にわたって格子を形成するように構成されている格子製造システムと、
前記時間期間を含む時間間隔にわたる、時間の関数としての前記格子の屈折率の変化をモニタリングするように構成されているモニタリングシステムとを備え、前記モニタリングシステムは、
プローブビームを放出するように構成されている光源アセンブリと、
前記格子の領域にわたって前記プローブビームを走査するように構成されているプローブアセンブリと、
前記プローブビームからの基準部分を分割するように構成されているビームスプリッタと、
前記基準部分の基準パワーを測定するように構成されている基準パワーメータと、
前記格子の前記領域において回折される前記プローブビームの回折部分の回折パワーを測定するように構成されている回折パワーメータと、
前記格子の前記領域を通じて透過される前記プローブビームの透過部分の透過パワーを測定するように構成されている透過パワーメータと、
前記時間間隔にわたる、測定された前記回折パワー、測定された前記透過パワー、および測定された前記基準パワーに部分的に基づいて、形成されている前記格子について時間の関数としての前記屈折率の変化を決定するように構成されているコントローラと、を備える、製造システム。
【請求項2】
記コントローラは、
決定された前記屈折率の前記変化に少なくとも部分的に基づいて、前記格子が形成を完了するための時間長を決定し、
前記時間長を前記格子製造システムに提供す
うにさらに構成されており、前記格子製造システムは、前記時間期間を後続の格子の形成のための時間長に調整するように構成されている、請求項1に記載の製造システム。
【請求項3】
記コントローラは、
決定された前記屈折率の前記変化に少なくとも部分的に基づいて、前記格子が形成されていると判定し、
前記格子が形成されているという前記判定に応答して、前記格子製造システムに、前記格子の形成を停止し、異なる格子の形成を開始するように指示するようにさらに構成されている、請求項1に記載の製造システム。
【請求項4】
回折される前記プローブビームの前記回折部分は、前記回折パワーメータに達する前に、前記ビームスプリッタを通過する、請求項に記載の製造システム。
【請求項5】
前記格子は、位相格子、ブラッグ格子、表面レリーフ格子、および液晶格子から成る群から選択される、請求項1に記載の製造システム。
【請求項6】
前記プローブアセンブリは、前記格子の前記領域にわたって1つまたは複数の次元において前記プローブビームを走査するように構成されている、請求項1に記載の製造システム。
【請求項7】
前記プローブアセンブリは、前記時間期間にわたって形成される前記格子の形成速度よりも速い速度で、前記格子の前記領域にわたって前記プローブビームを走査するように構成されている、請求項1に記載の製造システム。
【請求項8】
記コントローラは、
記格子の前記屈折率の前記変化を記述するレポートを生成し、
前記製造システムのユーザに前記レポートを提供するように構成されている、請求項1に記載の製造システム。
【請求項9】
モニタリングシステムであって、
プローブビームを放出するように構成されている光源アセンブリと、
格子製造システムによって一定の時間期間にわたって形成されている格子の領域にわたって前記プローブビームを走査するように構成されているプローブアセンブリと、
前記プローブビームからの基準部分を分割するように構成されているビームスプリッタと、
前記基準部分の基準パワーを測定するように構成されている基準パワーメータと、
前記格子の前記領域において回折される前記プローブビームの回折部分の回折パワーを測定するように構成されている回折パワーメータと、
前記格子の前記領域を通じて透過される前記プローブビームの透過部分の透過パワーを測定するように構成されている透過パワーメータと、
前記時間期間を含む時間間隔にわたる測定パワー読み値に部分的に基づいて形成されている前記格子について時間の関数としての屈折率の変化を決定するように構成されているコントローラであって、前記測定パワー読み値は、測定された前記回折パワー、測定された前記透過パワー、および測定された前記基準パワーを含む、コントローラとを備える、モニタリングシステム。
【請求項10】
記コントローラは、
決定された前記屈折率の前記変化に少なくとも部分的に基づいて、前記格子が形成を完了するための時間長を決定し、
前記時間長を前記格子製造システムに提供するようにさらに構成されており、前記格子製造システムは、前記時間期間を後続の格子の形成のための時間長に調整するように構成されている、請求項に記載のモニタリングシステム。
【請求項11】
記コントローラは、
決定された前記屈折率の前記変化に少なくとも部分的に基づいて、前記格子が形成されていると判定し、
前記格子が形成されているという前記判定に応答して、前記格子製造システムに、前記格子の形成を停止し、異なる格子の形成を開始するように指示するようにさらに構成されている、請求項に記載のモニタリングシステム。
【請求項12】
回折される前記プローブビームの前記回折部分は、前記回折パワーメータに達する前に、前記ビームスプリッタを通過する、請求項に記載のモニタリングシステム。
【請求項13】
前記プローブアセンブリは、前記格子の前記領域にわたって2次元において前記プローブビームを走査するように構成されている、請求項に記載のモニタリングシステム。
【請求項14】
前記プローブアセンブリは、前記時間期間にわたって形成される前記格子の形成速度よりも速い速度で、前記格子の前記領域にわたって前記プローブビームを走査するように構成されている、請求項に記載のモニタリングシステム。
【請求項15】
記コントローラは、
時間の関数としての前記格子の前記屈折率の前記変化を記述するレポートを生成し、
前記モニタリングシステムのユーザに前記レポートを提供するように構成されている、請求項に記載のモニタリングシステム。
【請求項16】
格子製造システムによって一定の時間期間にわたって形成されている格子の領域にわたってプローブビームを走査することと、
前記プローブビームからの基準部分を分割することと、
前記基準部分の基準パワーを測定することと、
前記格子の前記領域において回折される前記プローブビームの回折部分の回折パワーを測定することと、
前記格子の前記領域を通じて透過される前記プローブビームの透過部分の透過パワーを測定することと、
前記時間期間を含む時間間隔にわたる測定された前記回折パワー、測定された前記透過パワー、および測定された前記基準パワーに部分的に基づいて形成されている前記格子の時間の関数としての屈折率の変化を決定することと、
決定された前記屈折率の変化に少なくとも部分的に基づいて、前記格子製造システムを制御することとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、一般に、光学構成要素の計測学に関し、より詳細には、格子形成をモニタリングするためのシステムに関する。
【0002】
露光中に屈折率の変化を知ることは、新規の高分子化学の開発において有益である。格子多重化の場合、屈折率が時間的に変化する速さ、および、屈折率における分解可能な最小の変化を知ることが有益である。
【0003】
屈折率の変化を決定するための従来の方法は、単一のサンプルを露光し、その後、1つずつ、すべてのサンプルに対して計測を実施することによって、1つのデータ点(例えば、光強度、露光時間、使用されているポリマー)を取得することによるものである。この過程は面倒で、非効率である。
【発明の概要】
【0004】
モニタリングシステムは、光源アセンブリと、プローブアセンブリと、パワーメータアセンブリと、コントローラとを含む。パワーメータアセンブリは、基準パワーメータ、回折パワーメータ、透過パワーメータ、ビームスプリッタ、またはそれらの何らかの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態において、光源アセンブリは、プローブビームを放出する。プローブアセンブリは、格子製造システムによって一定の時間期間にわたって形成されている格子の領域にわたってプローブビームを走査する。(パワーメータアセンブリの)回折パワーメータは、格子の領域において回折されているプローブビームの一部分のパワーを測定する。いくつかの実施形態において、回折パワーメータの代わりにまたはそれに加えて、モニタリングシステムは、格子の領域を通じて透過されるプローブビームの一部分のパワーを測定するための透過パワーメータを含む。コントローラは、その時間間隔にわたる測定パワー読み値に部分的に基づいて形成されている格子の1つまたは複数の格子パラメータ(例えば、屈折率)の変化を決定し、測定パワー読み値は、回折パワーメータによって測定されるパワーを含む。決定された1つまたは複数の格子パラメータの変化は、時間の関数であり得る。いくつかの実施形態において、コントローラは、上記時間期間を含む時間間隔にわたる測定パワー読み値に部分的に基づいて形成されている格子の、時間の関数としての1つまたは複数の格子パラメータの変化を決定し、測定パワー読み値は、透過パワーメータによって測定されるパワーを含む。
【0005】
いくつかの実施形態において、モニタリングシステムは、製造システムの一部である。製造システムは、一定時間期間にわたって格子を形成するように構成されている格子製造システムを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】1つまたは複数の実施形態による、製造システムのブロック図である。
図2】一実施形態による、モニタリングシステムのブロック図である。
図3】1つまたは複数の実施形態による、モニタリングシステムを含む製造システムの一部分を示す図である。
図4】1つまたは複数の実施形態による、傾斜構成におけるモニタリングシステムを含む製造システムの一部分を示す図である。
図5A】1つまたは複数の実施形態による、異なる時点において行われる走査の透過効率対プローブビーム走査角度のプロットを示す図である。
図5B】1つまたは複数の実施形態による、異なる時点において行われる走査の回折効率対プローブビーム走査角度のプロットを示す図である。
図6】1つまたは複数の実施形態による、格子形成を時間の関数としてモニタリングするプロセスを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面は、例示のみの目的のために、様々な実施形態を示す。当業者は以下の論述から、本明細書において示されている構造および方法の代替的実施形態が、本明細書において説明されている原理から逸脱することなく利用され得ることを容易に認識するであろう。
概説
【0008】
本開示の実施形態は、格子(例えば、位相格子、液晶格子など)のリアルタイム計測を収集するためのモニタリングシステムに関する。モニタリングシステムは、光源アセンブリと、プローブアセンブリと、ビームスプリッタと、パワーメータアセンブリと、コントローラとを含むことができる。モニタリングシステムは、格子製造システム(例えば、光リソグラフィシステム)とインターフェースする。例えば、格子製造システムは、位相格子を形成するためにポリマーフィルムの表面にわたる干渉縞パターンを生成するための手段を含むことができる。干渉パターンからの光は、何らかの時間間隔にわたる屈折率の周期的変化を引き起こす。屈折率が変化しているとき、格子が形成される。
【0009】
光源アセンブリは、コントローラからの命令に従って、プローブビームを放出し、その後、プローブビームは、プローブアセンブリによって、1次元または2次元において走査される。走査されているプローブビームの一部分は、プローブビームの初期パワーをモニタリングするために、パワーメータアセンブリの基準パワーメータに向かって(例えば、ビームスプリッタを用いて)分離することができる。走査されているビームの残りの部分は、ポリマーフィルムの表面にわたって走査される。いくつかの実施形態において、走査されているビームの一部は、ポリマーフィルムによって透過され、パワーメータアセンブリの透過パワーメータによって検出され、走査されているビームの一部は回折され、パワーメータアセンブリの回折パワーメータによって測定される。コントローラは、パワー読み値を使用して、格子パラメータを決定する。格子パラメータは、格子の光学的特性を表す。格子パラメータは、格子を形成する材料(例えば、ポリマーフィルム)の屈折率が時間の関数としてどのように変化するか、平均屈折率、格子の厚さ、縞の傾斜角、ブラッグ角、格子の光学的特性を表す何らかの他のパラメータ、または、それらの何らかの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態において、モニタリングシステムは、複数の光学構成要素の製造を容易にするために、製造システムにフィードバックを提供することができる。付加的に、上記の例は位相格子に関連して論じられているが、他の光学構成要素(例えば、表面レリーフ格子、液晶格子など)にも適用することができる。
【0010】
本開示の実施形態は、人工現実システムを含んでもよく、または、人工現実システムと併せて実施されてもよい。人工現実は、例えば、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、ハイブリッド現実、またはそれらの何らかの組合せおよび/もしくは派生形を含むことができ、ユーザに提示される前に何らかの様式で調整されている現実感の一形態である。人工現実コンテンツは、全体が生成されているコンテンツ、または、キャプチャされた(例えば、実世界の)コンテンツと組み合わされた、生成されているコンテンツを含み得る。人工現実コンテンツは、ビデオ、オーディオ、触覚フィードバック、またはそれらの何らかの組合せを含むことができ、それらのいずれかは、単一のチャネルまたは複数のチャネル(受け手に対して三次元効果を生成するステレオビデオなど)において提示することができる。付加的に、いくつかの実施形態において、人工現実はまた、例えば、人工現実内のコンテンツを生成するために使用され、および/または、他の様態で人工現実において使用される(例えば、人工現実における活動を実施する)ために使用される、アプリケーション、製品、アクセサリ、サービス、またはそれらの何らかの組合せと関連付けることもできる。人工現実コンテンツを提供する人工現実システムは、ホストコンピュータシステムに接続されているHMD、独立型HMD、モバイルデバイスもしくはコンピューティングシステム、または、1人もしくは複数の受け手に人工現実コンテンツを提供することが可能な任意の他のハードウェアプラットフォームを含む、様々なプラットフォーム上に実装することができる。
【0011】
システムアーキテクチャ
図1は、1つまたは複数の実施形態による、製造システム100のブロック図である。製造システム100は、1つまたは複数の格子を製造し、製造中に1つまたは複数の格子の情報をモニタリングすることができる。したがって、製造システム100は、格子のセットを従来の製造システムよりも迅速にかつより効率的に製造する。製造システム100は、格子製造システム110と、モニタリングシステム130とを含む。製造システム100のいくつかの実施形態は、本明細書に記載されているものとは異なる構成要素を有する。同様に、機能は、本明細書に記載されているものとは異なる様式で、構成要素間で分散させることができる。
【0012】
格子製造システム110は、1つまたは複数の格子120を生成する。格子120は、光を異なる方向に進行する複数のビームに分割および回折する周期的構造を有する光学構成要素である。格子120は、例えば、位相格子、ブラッグ格子、表面レリーフ格子、または液晶格子であってもよい。格子製造システム110は、格子の製造に従来使用されている任意の機器を含む。いくつかの実施形態において、格子製造システム110は、対流式オーブン、ホットプレート、クールプレート、赤外線ランプ、ウェハスピナ、マスクアライナ、露光システム、ウェットベンチベースの開発者システム、電子ビームリソグラフィ、干渉リソグラフィ、多光子リソグラフィ、走査プローブリソグラフィ、またはそれらの何らかの組合せを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、格子製造システム110は、集束された電子ビームが、電子感受性フィルムによって被覆された表面上で所望の形状の走査を実施する、電子ビームリソグラフィに基づく。集束電子ビームは、電子感受性フィルムの溶解性を変化させ、結果として、溶媒に浸漬することによって、電子感受性フィルムの露光された領域または露光されていない領域のいずれかが選択的に除去される。
【0014】
いくつかの実施形態において、格子製造システム110は、2つ以上のコヒーレント光波間の強度最小値および最大値を表す縞の周期的な列から成る干渉パターンが設定され、感光性材料に記録される干渉リソグラフィに基づく。いくつかの構成では、格子製造システム110は、2ビーム干渉リソグラフィ、3ビーム干渉リソグラフィ、4ビーム干渉リソグラフィ、マルチウェーブ干渉リソグラフィ、またはそれらの何らかの組合せを実施する1つまたは複数のデバイスを含む。したがって、格子製造システム110は、六法対称性を有するパターン、長方形対称性を有するパターン、規定の空間周波数スペクトルを有する非周期的パターン、またはそれらの何らかの組合せのアレイのリソグラフィパターニングを実施することができる。例えば、格子製造システム110は、格子120を形成するためにポリマーフィルムの表面にわたる縞パターン(例えば、格子120)を生成する。ポリマーフィルムの厚さは、数マイクロメートル~数百マイクロメートルに及び得る。
【0015】
いくつかの実施形態において、格子製造システム110は、ネガ型またはポジ型フォトレジストが、複雑な光学系を一切使用することなく良好に定義された波長のレーザからの光によって照射される多光子リソグラフィに基づく。多光子リソグラフィプロセスは、リソグラフィパターンを生成するためのレーザの波長において透過性である感光性材料における多光子吸収プロセスに基づく。レーザを走査し、適切に変調することによって、レーザの焦点において化学変化が発生し、任意の三次元の周期的または非周期的パターンを生成するように、これを制御することができる。第4の例において、格子製造システム110は、走査プローブ顕微鏡が、熱、化学反応、拡散、酸化、電気的バイアス、機械力、またはそれらの何らかの組合せを使用して、所望のリソグラフィパターンを感光性材料に直接的に書き込むために使用される走査プローブリソグラフィに基づく。いくつかの構成において、格子製造システム110は、大量製造のために、複数の異なるタイプの走査プローブ顕微鏡を並列に使用して、同時に感光性材料へのリソグラフィパターニングを複数の異なるロケーションにおいて同時に実施する1つまたは複数のデバイスを含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、格子製造システム110は、基板に対してパターンの機械的打ち抜きを実施するインプリンティングシステムを含む。一例において、インプリンティングシステムは、残留ポリマー材料の除去、および、パターン化基板へとインプリンティングされた特徴の後続の除去に基づいて、基板へのパターンの転写を実施する。格子製造システム110は、熱インプリンティングシステム、紫外線インプリンティングシステム、ジェットアンドフラッシュインプリンティングシステム、逆インプリンティングシステム、またはそれらの何らかの組合せを含む。熱インプリンティングシステムは、基板上に以前にスピンコーティングした熱可塑性ポリマーに対する、予熱されたスタンプに機械力を加えるシステムである。超音波インプリンティングシステムは、低粘度UV硬化性ポリマー(例えば、PDMS、HSQ)に紫外線放射を加えて、ポリマーを架橋し、その後、基板から型を解放するシステムである。ジェットアンドフラッシュインプリンティングシステムは、熱インプリンティングシステムおよび紫外線インプリンティングシステムと比較して低い圧力および温度において、1つまたは複数のインクジェットを通じて基板にポリマーを施与するシステムである。逆インプリンティングシステムは、ポリマーをテンプレートに直接的にコーティングし、テンプレートおよび基板の表面エネルギーを調節することによってパターン化基板を解放するシステムである。
【0017】
モニタリングシステム130は、上記時間期間を含む時間間隔にわたる格子120の屈折率の変化をモニタリングする。モニタリングシステム130は、格子製造システム110に通信可能に結合される。モニタリングシステム130は、格子パラメータを記述するレポートを生成し、格子製造システム110に提供する。上記で言及したように、格子パラメータは、格子を形成する材料の屈折率が時間の関数としてどのように変化するか、平均屈折率、格子の厚さ、縞の傾斜角、ブラッグ角、格子の光学的特性を表す何らかの他のパラメータ、または、それらの何らかの組合せを含むことができる。モニタリングシステム130は、図2を参照して下記に詳細に説明される。
【0018】
図2は、1つまたは複数の実施形態による、モニタリングシステム200のブロック図である。モニタリングシステム200は、格子形成、より具体的には、格子が形成するときの屈折率の変化をモニタリングする。モニタリングシステム200は、光源アセンブリ210と、プローブアセンブリ220と、パワーメータアセンブリと、コントローラとを含む。モニタリングシステム200のいくつかの実施形態は、本明細書に記載されているものとは異なる構成要素を有する。同様に、機能は、本明細書に記載されているものとは異なる様式で、構成要素間で分散させることができる。
【0019】
光源アセンブリ210は、1つまたは複数の光源を含む。光源は、コントローラ240からの命令に従ってプローブビームを放出する。光源は、コヒーレントまたは部分的にコヒーレントな光を生成することができる。光源は、例えば、レーザダイオード、垂直キャビティ面発光レーザ、波長可変レーザ、発光ダイオード、またはそれらの何らかの組合せであってもよい。1つまたは複数の光源は、光の第1の帯域において発光するように構成されている。いくつかの実施形態において、光の第1の帯域は、測定回折効率の適合から最良のデータを抽出するために、コヒーレントであり、コリメートされており、単色である。光の第1の帯域の波長は好ましくは、格子の露光と光の第1の帯域とが干渉しないように、サンプルによって吸収されない。付加的に、光の第1の帯域は、回折格子の式を満たすことができる。光の一部の波長は、一部の所望の角度範囲において回折しない。いくつかの実施形態において、光の第1の帯域は、可視光帯域(例えば、約380nm~750nm)のサブバンド(例えば、約632nmの赤色光)である。いくつかの実施形態において、プローブビームは(例えば、直線または円)偏光される。いくつかの実施形態において、プローブビームは連続ビームである。代替の実施形態において、プローブビームはパルスである。いくつかの実施形態において、光源アセンブリ210はまた、プローブビームを変調することもできる。光源アセンブリ210は、例えば、プローブビームの振幅、位相、偏光、パルスレート、何らかの他の特性、またはそれらの何らかの組合せを変調することができる。
【0020】
プローブアセンブリ220は、(例えば、格子製造システム110によって)形成されている格子の領域にわたってプローブビームを走査する。プローブアセンブリ220は、コントローラ240からの命令に従って形成されている格子の領域にわたって1つまたは複数の次元においてプローブビームを走査する。プローブアセンブリ220は、1つまたは複数の次元においてプローブビームを走査するように作用する1つまたは複数の光学素子を含む。光学素子は、例えば、1つもしくは複数の走査ミラー、1つもしくは複数の微小電気機械システム(MEMS)ミラー、1つもしくは複数のガルバノミラー、1つもしくは複数の回折素子、円柱レンズ、球面レンズ、非球面レンズ、フリーフォームレンズ、またはそれらの何らかの組合せを含んでもよい。いくつかの実施形態において、プローブアセンブリ220は、格子の領域にわたって単一の軸の上で1次元において前後にプローブビームを走査する。いくつかの実施形態において、プローブアセンブリ220は、格子の領域にわたって(例えば、2つの直交する軸に沿って)2次元において前後にプローブビームを走査する。例えば、プローブアセンブリ220は、形成されている格子の矩形領域にわたってプローブビームをラスタ走査することができる。プローブアセンブリ220は、ある走査速度において格子の領域にわたってプローブビームを走査する。走査速度は、格子が形成されている時間期間よりも速い。例えば、走査速度は200Hzであり、格子が形成されている時間期間は50msである。高速な走査速度は、モニタリングシステム200が、格子の形成に影響を及ぼすことなく格子の形成をモニタリングし、瞬間散乱計測定であるかのように格子をプローブすることを可能にする。
【0021】
パワーメータアセンブリ230は、少なくとも1つのパワーメータを含む。パワーメータアセンブリ230は、1つもしくは複数の回折パワーメータ、1つもしくは複数の基準パワーメータ、1つもしくは複数の透過パワーメータ、1つもしくは複数のビームスプリッタ、またはそれらの何らかの組合せを含んでもよい。回折パワーメータは、形成されている格子によって回折されるプローブビームの一部分の光パワーを測定するパワーメータである。格子が形成されるとき、回折される光パワーのパワーは一定の角度範囲にわたって増大し得る。透過パワーメータは、形成されている格子によって透過されるプローブビームの一部分の光パワーを測定するパワーメータである。格子が形成されるとき、透過される光パワーのパワーは上記角度範囲にわたって低減する(例えば、格子が形成するとき、光のますます大きい部分が回折されるため)。格子が形成するために十分な時間が経過すると、測定される回折および測定される透過率は定常状態値に至る。基準パワーメータは、光源アセンブリ210から放出される1つまたは複数のプローブビームの光パワーを測定するパワーメータである。ビームスプリッタ(例えば、プリズム)は、プローブビームおよび/または回折されているビームからの光を1つまたは複数のパワーメータへと分割する。回折パワーメータ、透過パワーメータ、基準パワーメータ、およびビームスプリッタはまた、図3および図4を参照して下記においても詳細に説明される。いくつかの実施形態(例えば、一次元(1D)の線または二次元(2D)の領域が一度にプローブされる)において、パワーメータのうちの1つまたは複数は、1Dまたは2Dカメラと置き換えられてもよいことに留意されたい。
【0022】
コントローラ240は、光源アセンブリ210、プローブアセンブリ220およびパワーメータアセンブリ230を制御する。コントローラ240は、光源アセンブリ210に通信可能に結合される。コントローラ240は、光源アセンブリ210の1つまたは複数の光源の、例えば、波長、周波数、振幅、輝度、偏光などを制御する。例えば、コントローラ240は、光源アセンブリの1つまたは複数の光源を、第1の帯域の光(例えば、赤色光)を放出するように制御する。
【0023】
コントローラ240は、プローブアセンブリ220に通信可能に結合される。コントローラ240は、プローブアセンブリ220の走査ミラーの走査速度を制御する。コントローラ240は、例えば、走査速度を、格子が形成される時間期間よりも少なくとも10倍速いことを保証するように、調整することができる。コントローラ240は、さらに、プローブビームが1次元において走査されるか、または、2次元において走査されるかを制御する。
【0024】
コントローラ240は、パワーメータアセンブリ230に通信可能に結合される。コントローラ240は、パワーメータアセンブリ230の基準パワーメータ、回折パワーメータ、および/または透過パワーメータの利得パラメータを制御することができる。
【0025】
コントローラ240は、測定パワー読み値に部分的に基づいて形成されている格子の、時間の関数としての屈折率の変化を決定する。コントローラ240は、パワーメータアセンブリ230からパワー読み値を収集する。コントローラ240は、1つまたはモデルを、収集されているパワー読み値(例えば、回折パワーメータ、透過パワーメータ、基準パワーメータ、またはそれらの何らかの組合せからのパワー読み値)の一部またはすべてに適用して、1つまたは複数の格子パラメータ(例えば、一定の時間間隔にわたる、形成されている格子の屈折率の変化)を決定する。モデルは、例えば、Kogelnikモデル、厳密結合波解析モデル、またはそれらの何らかの組合せを含む。時間間隔は、格子が完全に形成するのにかかる時間を包含するのに十分に長い。このように、コントローラ240は、格子が形成されているときに格子について屈折率が時間の関数としてどのように変化するかを完全に特性化することができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、コントローラ240は、決定された屈折率の変化に少なくとも部分的に基づいて、格子が形成を完了するための時間長を決定する。格子が形成し始めると、時点tにおいて開始して、格子の屈折率が変化し始める(すなわち、屈折率の変化の速度が非ゼロになる)。格子が完全形成に近づくと、形成されている格子の屈折率の変化の速度が低減し、ゼロに近づく。コントローラ240は、屈折率の変化が閾値を下回って降下しているときに対応する時点値tを識別することによって、格子が完全に形成されていると判定する。閾値は、例えば、屈折率の変化が1秒にわたって1%未満であるときとすることができる。閾値は、ビームのパワーに依存し得る。例えば、より強力なビームは、結果として、露光がより高速になり得る。コントローラ240は、決定された時点値(例えば、t-t)に基づいて、格子形成の更新された時間期間を決定する。
【0027】
いくつかの実施形態において、コントローラ240は、格子形成の更新された時間期間を、格子製造システム(例えば、格子製造システム110)および/または製造システム(例えば、製造システム100)に提供する。格子製造システムは、上記時間期間を、後続の格子の形成の更新された時間期間に調整することができる。いくつかの実施形態において、コントローラ240は、格子が形成されているという判定に応答して、コントローラ240は、格子製造システムに、格子の形成を停止し、異なる格子の形成を開始するように指示する。このように、コントローラ240は、格子のセットの製造時間を低減することができる。
【0028】
いくつかの実施形態において、コントローラ240は、時間の関数としての格子の屈折率の変化を記述するレポートを生成する。生成されるレポートは、時間の関数としての屈折率の変化を表す1つまたは複数のプロット、格子が形成を完了するための時間長(すなわち、更新された時間期間)、格子を表す1つまたは複数の材料パラメータ、格子の走査のタイプ(例えば、1Dまたは2D)、格子上で走査されている領域のサイズ、格子および/または形成されている格子に関係する何らかの他のパラメータ、またはそれらの何らかの組合せを含んでもよい。コントローラ240は、レポートを、モニタリングシステム200システムのユーザに提供する(例えば、モニタ、電子メールなどを介して提示する)ことができる。
【0029】
図3は、1つまたは複数の実施形態による、モニタリングシステムを含む製造システムの一部分300を示す図である。モニタリングシステムは、格子形成、より具体的には、格子305が形成するときの屈折率の変化をモニタリングする。モニタリングシステムは、光源アセンブリ310と、プローブアセンブリ320と、ビームスプリッタ330と、基準パワーメータ340と、回折パワーメータ350と、透過パワーメータ360と、コントローラ(図3には示さず)とを含む。光源アセンブリ310は光源アセンブリ210の一実施形態であり、プローブアセンブリ320はプローブアセンブリ220の一実施形態であり、ビームスプリッタ330、基準パワーメータ340、回折パワーメータ350、および透過パワーメータ360はともに、パワーメータアセンブリ230の一実施形態であり、コントローラはコントローラ240の一実施形態である。モニタリングシステムのいくつかの実施形態は、本明細書に記載されているものとは異なる構成要素を有する。同様に、機能は、本明細書に記載されているものとは異なる様式で、構成要素間で分散させることができる。
【0030】
この実施形態において、格子製造システムは、1つまたは複数の光源によってコヒーレント光を放出する。例えば、格子製造システムの1つまたは複数の光源は、緑色光を放出することができる。図示されている構成において、緑色光の一部分は、ミラーに向けて方向付けられ、緑色光の一部分は、ポリマーフィルム380に向けて方向付けられる。ミラーに向けて方向付けられている緑色光の部分は、ミラーによってポリマーフィルム380に向けて反射される。ポリマーフィルム380の表面にわたって干渉縞パターンが生成されて、格子305が形成される。図3の実施形態において、格子305は位相格子である。代替の実施形態において、格子305は、例えば、ブラッグ格子、表面レリーフ格子、または液晶格子であってもよい。ミラーによって反射されている緑色光の部分、および、ポリマーフィルム380に向けて方向付けられている緑色光の部分は、ポリマーフィルム380の一部分にわたる干渉パターンを生成する。格子305は、何らかの時間間隔にわたって、干渉パターンが生成されているポリマーフィルム380の部分内に形成する。時間間隔は材料に依存するが、典型的には約1~100msに及ぶ。格子305が形成しているとき、格子305の屈折率は変化する。格子305の経時的な屈折率の変化は、図5A図5Bを参照して下記に詳細に説明する。
【0031】
光源アセンブリ310は、光源アセンブリ210の一実施形態である。光源アセンブリ310は、1つまたは複数の光源を含む。光源アセンブリ310は、コントローラ110に通信可能に結合される。光源アセンブリ310の1つまたは複数の光源は、コントローラからの命令に従ってプローブビームを放出する。図3の実施形態において、プローブビームは赤色光である。いくつかの実施形態において、光源アセンブリ310の1つまたは複数の光源は、複数の異なる波長のプローブビームを放出する。
【0032】
プローブアセンブリ320は、プローブアセンブリ220の一実施形態である。プローブアセンブリ320は、格子305の格子領域390にわたってプローブビームを走査する。格子領域390は格子305の一部分である。プローブアセンブリ320は、コントローラに通信可能に結合される。図3の実施形態において、光源アセンブリ310からのプローブビームは、コントローラからの命令に従って、プローブアセンブリによって1次元において走査される。代替の実施形態において、光源アセンブリ310からのプローブビームは、コントローラからの命令に従って、プローブアセンブリ220によって2次元において走査される。プローブアセンブリ320は、格子領域390上の「X」次元および/または「Y」次元に沿ってプローブビームを走査することができる。プローブアセンブリ320は、プローブビームの入射角を変化させるために回転させることができる。
【0033】
ビームスプリッタ330は、プローブビームからの基準部分を基準パワーメータ340に向けて分割する。基準パワーメータ340は、基準部分のパワーを測定する。コントローラは、基準部分の測定パワーに部分的に基づいて、プローブビームのパワーを決定する。基準パワーメータ340によって測定される基準部分のパワーは、回折パワーメータ350および透過パワーメータ360の正確度を改善するために使用することができる。
【0034】
光源アセンブリ310によって放出されるプローブビームは、ポリマーフィルム380の表面に入射する。プローブビームの一部分は回折され、プローブビームの一部分は格子390の領域を通じて透過される。
【0035】
回折されているプローブビームの部分は、回折パワーメータ350に達する前に、ビームスプリッタ330を通過する。回折パワーメータ350は、格子の領域390において回折されているプローブビームの部分のパワーを測定する。
【0036】
透過パワーメータ360は、格子領域390を通じて透過されるプローブビームの一部分のパワーを測定する。パワーメータアセンブリによる測定パワー読み値は、透過パワーメータ360によって測定されているパワーを含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、プローブビームの一部分は、ポリマーフィルム380によって吸収および/または反射/散乱される。結果として、透過されている部分のパワーおよび回折されている部分のパワーの合計は、反射部分のパワーに等しくならない場合がある。したがって、様々なパワーメータからの測定値は、形成されている格子305によってどれだけのパワーが回折されているか、および、どれだけのパワーが透過されているかに加えて、どれだけのパワーが吸収および/または反射されているかを決定するために使用することができる。
【0038】
図4は、1つまたは複数の実施形態による、傾斜構成におけるモニタリングシステムを含む製造システムの一部分400を示す図である。モニタリングシステムは、格子形成、より具体的には、格子405が形成するときの屈折率の変化をモニタリングする。モニタリングシステムは、傾斜構成にあることを除いて、図3のモニタリングシステムと実質的に同じである。傾斜構成において、モニタリングシステムのいくつかの構成要素は、ビームスプリッタ330を出るプローブビームが、ポリマーフィルム380に対して傾斜した入射角を有するように向けられる。傾斜した入射角は、プローブビームの部分が回折パワーメータ350に向けて回折されるようにし、回折パワーメータ350に達する前に、ビームスプリッタ330を通過しないようにする。
【0039】
図3および図4に関連して上述した実施形態は例示的な実施態様であり、他の実施形態においては、別様に実施されてもよいことに留意されたい。
【0040】
図5Aは、1つまたは複数の実施形態による、異なる時点において行われる走査の透過効率(TE)対プローブビーム走査角度のプロット505、510、515、および520を示す。格子の領域を通じて透過されるプローブビームの部分は、パワーメータアセンブリ(例えば、パワーメータアセンブリ230)の透過パワーメータによって測定される。格子が形成されるとき、特定の走査角度について、形成されている格子を通じて透過されるプローブビームの部分のパワーは、漸進的に低下する。また特定の走査角度について、格子が形成されると、ビームパワーの大部分は(透過されるのに対して)回折される。
【0041】
プロット505は、第1の時間間隔(例えば、10ms)にわたって行われる走査の、透過効率対プローブビーム走査角度のプロットである。第1の時間間隔中、格子はまだ形成されておらず、そのため、回折は無視できる程度である。したがって、走査角度の関数としての測定透過率は一定である。例えば、プローブビーム走査角度525は、相対的に一定である透過効率530を有する。
【0042】
プロット510は、第2の時間間隔にわたって行われる走査の、透過効率対プローブビーム走査角度のプロットである。第2の時間間隔は、第1の時間間隔の後に発生し、実質的に第1の時間間隔と同じ長さである。プロット510において、走査角度の関数としての測定透過効率は変化し始める。異なる回折次数と関連付けられるピークが現れ始める。例えば、プローブビーム走査角度525は、プロット505の透過効率530よりも低い透過効率535を有する。透過効率の低減は、プローブビームが回折される量の増大に起因する。
【0043】
プロット515は、第3の時間間隔にわたって行われる走査の、透過効率対プローブビーム走査角度のプロットである。第3の時間間隔は、第2の時間間隔の後に発生し、先行する時間間隔と実質的に同じ長さである。プロット515において、走査角度の関数としての測定透過率は変化する。異なる回折次数と関連付けられるピークが引き続き現れる。例えば、プローブビーム走査角度525は、プロット510の透過効率535よりも低い透過効率540を有する。
【0044】
プロット520は、第4の時間間隔にわたって行われる走査の、透過効率対プローブビーム走査角度のプロットである。第4の時間間隔は、第3の時間間隔の後に発生し、先行する時間間隔と実質的に同じ長さである。プロット520において、走査角度の関数としての測定透過率は変化する。異なる回折次数と関連付けられるピークが明白である。例えば、プローブビーム走査角度525は、ゼロに近く、プロット515の透過効率540よりも低い透過効率545を有する。
【0045】
図5Bは、1つまたは複数の実施形態による、異なる時点において行われる走査の回折効率対プローブビーム走査角度のプロット550、555、560、565を示す。
【0046】
図3および図4を参照して上述したように、格子領域(例えば、格子領域390)によって回折されるビームの一部分が、回折パワーメータによって測定される。格子が形成されるとき、特定の走査角度について、格子によって回折されるプローブビームの部分のパワーは、漸進的に増大する。また特定の走査角度について、格子が形成されると、ビームパワーの大部分は(透過されるのに対して)回折される。
【0047】
プロット550は、第1の時間間隔(例えば、10ms)にわたって行われる走査の、回折効率対プローブビーム走査角度のプロットである。第1の時間間隔中、格子はまだ形成されておらず、そのため、回折は無視できる程度である。したがって、走査角度の関数としての測定回折は一定である。例えば、プローブビーム走査角度525は、相対的に一定であり、ゼロに近い回折効率570を有する。
【0048】
プロット555は、第2の時間間隔にわたって行われる走査の、回折効率対プローブビーム走査角度のプロットである。第2の時間間隔は、第1の時間間隔の後に発生し、実質的に第1の時間間隔と同じ長さである。プロット555において、走査角度の関数としての測定回折効率は変化し始める。異なる回折次数と関連付けられるピークが現れ始める。例えば、プローブビーム走査角度525は、プロット550の回折効率570よりも高い透過効率575を有する。回折効率の増大は、プローブビームが回折される量の増大に起因する。
【0049】
プロット560は、第3の時間間隔にわたって行われる走査の、回折効率対プローブビーム走査角度のプロットである。第3の時間間隔は、第2の時間間隔の後に発生し、先行する時間間隔と実質的に同じ長さである。プロット560において、走査角度の関数としての測定回折効率は変化する。異なる回折次数と関連付けられるピークが引き続き現れる。例えば、プローブビーム走査角度525は、プロット555の回折効率580よりも高い透過効率580を有する。
【0050】
プロット565は、第4の時間間隔にわたって行われる走査の、回折効率対プローブビーム走査角度のプロットである。第4の時間間隔は、第3の時間間隔の後に発生し、先行する時間間隔と実質的に同じ長さである。プロット565において、走査角度の関数としての測定回折効率は変化する。異なる回折次数と関連付けられるピークが明白である。例えば、プローブビーム走査角度525は、プロット560の回折効率580よりも大幅に高い(例えば、100%に近いものであり得る)透過効率585を有する。
【0051】
いくつかの実施形態において、コントローラは、決定された屈折率の変化に少なくとも部分的に基づいて、格子が形成を完了するための時間長を決定し、この時間を格子製造システムに提供する。格子製造システムは、上記時間期間を、後続の格子の形成の時間長に調整することができる。
【0052】
いくつかの実施形態において、コントローラは、決定された屈折率の変化に少なくとも部分的に基づいて格子が形成されていると判定し、格子が形成されているという判定に応答して、製造システムに、格子の形成を停止し、異なる格子の形成を開始するように指示する。
格子を計測するための例示的な方法
【0053】
図6は、1つまたは複数の実施形態による、格子情報を時間の関数としてモニタリングするプロセス600を示す流れ図である。1つの実施形態において、図6のプロセスはモニタリングシステム200によって実施される。他の実施形態においては、他のエンティティが、プロセスのステップの一部またはすべてを実施してもよい。同様に、実施形態は、異なるおよび/もしくは追加のステップを含んでもよく、または、ステップを異なる順序において実施してもよい。
【0054】
モニタリングシステム200は、形成されている格子の領域にわたってプローブビームを走査する610走査する610。プローブビームが、光源アセンブリ210によって放出され、形成されている格子の領域にわたってプローブアセンブリ220を使用して走査される。モニタリングシステム200は、形成されている格子の領域にわたって1Dまたは2Dにおいてプローブビームを走査することができる。
【0055】
モニタリングシステム200は、プローブビームの1つまたは複数の異なる部分のパワーを測定する620。モニタリングシステム200は、パワーメータアセンブリ210を使用してプローブビームの1つまたは複数の異なる部分のパワーを測定する。例えば、モニタリングシステムのパワーメータアセンブリは、少なくとも回折パワーメータおよび/または透過パワーメータを含む。パワーメータアセンブリはまた、基準パワーメータも含んでもよい。基準パワーメータは、プローブビームの合計パワーを決定するために使用することができる。回折パワーメータは、形成されている格子によって回折されるプローブビームの一部分の光パワーを測定することができる。また、透過パワーメータは、形成されている格子によって透過されるプローブビームの一部分のパワーを測定することができる。
【0056】
モニタリングシステムは、測定パワーに部分的に基づいて形成されている格子の、時間の関数としての屈折率の変化を決定する630。モニタリングシステムは、(コントローラを介して)1つまたは複数のモデル(例えば、Kogelnikモデル、結合波解析モデルなど)をプローブビームの1つまたは複数の異なる部分の測定パワーに適用して、時間の関数としての屈折率の変化を決定する。
【0057】
モニタリングシステムは、決定された屈折率の変化に部分的に基づいて、製造システムを制御する640。モニタリングシステムのコントローラは、決定された屈折率の変化の速度が何らかの閾値を下回って低下していることに部分的に基づいて、格子が形成を完了するための時間長を決定する。いくつかの実施形態において、コントローラは、この時間長を、格子製造システムに提供する。また、いくつかの事例において、格子が形成されているという判定に応答して、コントローラは、製造システムに、格子の形成を停止し、異なる格子の形成を開始するように指示する。
追加の構成情報
【0058】
実施形態の上記の記述は、例示の目的のために提示されており、網羅的であることも、開示されている正確な形態に特許権を限定することも意図されていない。上記の開示に照らして多くの修正および変形が可能であることを、当業者は諒解することができる。
【0059】
本明細書のいくつかの部分は、情報に対する動作のアルゴリズムおよび記号的表現に関して実施形態を記述している。これらのアルゴリズムの記述および表現は、一般的に、データ処理技術分野における熟練者によって、他の当業者に自身の研究の要旨を効率的に伝達するために使用される。これらの動作は、機能的、計算的、または論理的に記述されているが、コンピュータプログラムまたは均等な電気回路、マイクロコードなどによって実施されるものとして理解される。さらにまた、これらの動作の構成を、一般性を損なうことなく、モジュールとして参照することも、時折は好都合であることも証明されている。記述されている動作およびそれらの関連付けられるモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの任意の組合せにおいて具現化されてもよい。
【0060】
本明細書において記述されているステップ、動作、またはプロセスのいずれかは、単独でまたは他のデバイスと組み合わせて、1つまたは複数のハードウェアまたはソフトウェアモジュールによって実施または実装されてもよい。一実施形態において、ソフトウェアモジュールは、記述されているステップ、動作、またはプロセスのいずれかまたはすべてを実施するために、コンピュータプロセッサによって実行されることができる、コンピュータプログラムコードを含むコンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品によって実装される。
【0061】
実施形態はまた、本明細書における動作を実施するための装置にも関連し得る。この装置は、特に、要求される目的のために構築することができ、および/または、コンピュータ内に格納されているコンピュータプログラムによって選択的に起動または再構成される汎用コンピューティングデバイスを含んでもよい。そのようなコンピュータプログラムは、コンピュータシステムバスに結合されることができる、非一時的有形コンピュータ可読記憶媒体、または、電子命令を格納するのに適した任意のタイプの媒体に格納されることができる。さらに、本明細書において参照される任意のコンピューティングシステムは、単一のプロセッサを含んでもよく、または、増大されたコンピューティング容量のために複数のプロセッサ設計を利用するアーキテクチャであってもよい。
【0062】
実施形態はまた、本明細書において記述されているコンピューティングプロセスによって製造される製品にも関連し得る。そのような製品は、コンピューティングプロセスからもたらされる情報を含むことができ、情報は、非一時的有形コンピュータ可読記憶媒体に格納され、本明細書において記述されているコンピュータプログラム製品または他のデータ組合せの任意の実施形態を含んでもよい。
【0063】
最後に、本明細書で使用される言語は主に、読みやすさおよび教育的な目的のために選択されており、特許権を詳述または制限するようには選択されていない。それゆえ、特許権の範囲は、この詳細な説明ではなく、本明細書に基づく出願に由来する任意の特許請求の範囲によって限定されることが意図される。したがって、実施形態の開示は、添付の特許請求の範囲に記載されている特許権の範囲の限定ではなく、例示であるように意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6