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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】窓開閉装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 1/17 20060101AFI20230803BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20230803BHJP
   B61D 19/00 20060101ALI20230803BHJP
   B61D 25/00 20060101ALI20230803BHJP
   E05F 1/04 20060101ALI20230803BHJP
   E05F 11/04 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
B60J1/17 B
B60J1/00 Q
B61D19/00 Z
B61D25/00 B
E05F1/04 B
E05F11/04
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021176153
(22)【出願日】2021-10-28
(65)【公開番号】P2023065807
(43)【公開日】2023-05-15
【審査請求日】2022-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】502203015
【氏名又は名称】アルナ輸送機用品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】高野 直樹
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-165538(JP,U)
【文献】特開2012-112213(JP,A)
【文献】特開2007-332717(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0051551(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1897093(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00-13/04
B60J 1/00- 1/20
B61D 19/00
B61D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
錘と、
昇降可能な窓と、
前記窓を所定位置で支持する共に、前記窓の上周枠側に設けられ、さらに、人手で把持可能な支持部と、
前記窓の昇降をガイドするガイド枠と、
前記ガイド枠の上部側に位置する上部プーリと、
前記ガイド枠の下部側に位置する下部プーリと、
前記上部プーリと前記下部プーリとに亘ってループ状に巻回されているガイドベルトと、
昇降可能な窓の下部側に設けられているガイド部と、を有し、
前記ガイド部は、取付片と、該取付片に取り付けられているガイド片とで構成され、
前記取付片は、前記窓の下周枠に取り付け固定され、
前記ガイド片は、前記ループ状に巻回されているガイドベルトの一側部を掴んだ状態で支持され、
前記ガイド枠の左右ガイド枠には溝部が形成され、
前記溝部内に沿って、前記窓の左右周枠が昇降することにより、前記窓の昇降がガイドされ、
前記錘は、
錘本体と、
前記錘本体に取り付け固定されている錘ガイド片と、
前記錘の左右側面に取り付け固定されている左右スライド枠と、を備え、
前記錘ガイド片は、前記ループ状に巻回されているガイドベルトの他側部を掴んだ状態で支持され、
前記左右スライド枠は、前記左右ガイド枠に嵌め込まれてなり、
人手によって前記支持部による支持を解除し、該支持部を把持して前記窓を下降させると、前記ガイド片が下降し、これに伴って、前記ガイドベルトが回動すると共に、前記窓の左右周枠が前記溝部内に沿って下降し、さらに、前記ガイドベルトが回動することによって、前記錘ガイド片が上昇すると共に、前記左右スライド枠が前記左右ガイド枠に沿って上昇することによって前記錘本体も上昇する、その一方で、
人手によって前記支持部を把持し、前記窓を上昇させると、前記窓の左右周枠が前記溝部内に沿って上昇すると共に、前記ガイド片が上昇し、これに伴って、前記ガイドベルトが回動することによって、前記錘ガイド片が下降すると共に、前記左右スライド枠が前記左右ガイド枠に沿って下降することによって前記錘本体も下降してなり、
前記錘の重さは、前記窓と均衡できるものである窓開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の運転室或いは車掌室の窓を開閉するための窓開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電車等の鉄道車両には客室に外部からの明りを取り込んだり、空気を入れ替えたり、或いは運転席(車掌室)で車両の発車や停止を確認するため、両側には開閉可能な窓が設けられている。この開閉式窓としては、上下に簡単に開閉できる、所謂「落とし窓」が知られている。この「落とし窓」を開閉するにあたっては、例えば、特許文献1に記載のような窓開閉装置が用いられている。
【0003】
この特許文献1に記載の窓開閉装置は、枠内で窓を昇降可能に設け、該窓の下部に腕を配置し、該腕の上端で窓の下部を支承し、腕の下端を枠の一側に回転可能に連結し、腕よりも下方位置の枠部には支持部材を固設し、腕の中間部に複数個の上部軸穴を腕の長手方向に適宜間隔を有して形成し、支持部材には下側に水平方向の波形面を有する長穴状の上部穴を形成し、腕と支持部材の間に、腕を上方へ付勢する付勢手段を、その上端前部に係合し、下端を波形面に係合して架設したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-211497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような窓開閉装置は、窓を瞬時に昇降させようとしても、腕の動きに制約されるため、窓を瞬時に昇降させることが困難であるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、窓を瞬時に昇降させることができる窓開閉装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0008】
請求項1の発明によれば、錘(14)と、
昇降可能な窓(例えば、窓ガラスW)と、
前記窓(例えば、窓ガラスW)を所定位置で支持する共に、前記窓(例えば、窓ガラスW)の上周枠(32)側に設けられ、さらに、人手で把持可能な支持部(例えば、鍵部31)と、
前記窓(例えば、窓ガラスW)の昇降をガイドするガイド枠(例えば、右縦枠21,左縦枠22)と、
前記ガイド枠(例えば、右縦枠21,左縦枠22)の上部側に位置する上部プーリ(10)と、
前記ガイド枠(例えば、右縦枠21,左縦枠22)の下部側に位置する下部プーリ(11)と、
前記上部プーリ(10)と前記下部プーリ(11)とに亘ってループ状に巻回されているガイドベルト(例えば、タイミングベルト12)と、
昇降可能な窓の下部側に設けられているガイド部(13)と、を有し、
前記ガイド部(13)は、取付片(13a)と、該取付片(13a)に取り付けられているガイド片(13b)とで構成され、
前記取付片(13a)は、前記窓(例えば、窓ガラスW)の下周枠(6)に取り付け固定され、
前記ガイド片(13b)は、前記ループ状に巻回されているガイドベルト(例えば、タイミングベルト12)の一側部(12a)を掴んだ状態で支持され、
前記ガイド枠(例えば、右縦枠21,左縦枠22)の左右ガイド枠(例えば、右ガイドレール21a,左ガイドレール22a)には溝部(21a1,22a1)が形成され、
前記溝部(21a1,22a1)内に沿って、前記窓(例えば、窓ガラスW)の左右周枠(右周枠5a,左周枠5b)が昇降することにより、前記窓(例えば、窓ガラスW)の昇降がガイドされ、
前記錘(14)は、
錘本体(14a)と、
前記錘本体(14a)に取り付け固定されている錘ガイド片(例えば、ガイド片14b)と、
前記錘(14)の左右側面に取り付け固定されている左右スライド枠(例えば、右スライド枠14d,左スライド枠14f)と、を備え、
前記錘ガイド片(例えば、ガイド片14b)は、前記ループ状に巻回されているガイドベルト(例えば、タイミングベルト12)の他側部(12b)を掴んだ状態で支持され、
前記左右スライド枠(例えば、右スライド枠14d,左スライド枠14f)は、前記左右ガイド枠(例えば、右ガイドレール21a,左ガイドレール22a)に嵌め込まれてなり、
人手によって前記支持部(例えば、鍵部31)による支持を解除し、該支持部(例えば、鍵部31)を把持して前記窓(例えば、窓ガラスW)を下降させると、前記ガイド片(13b)が下降し、これに伴って、前記ガイドベルト(例えば、タイミングベルト12)が回動すると共に、前記窓(例えば、窓ガラスW)の左右周枠(右周枠5a,左周枠5b)が前記溝部(21a1,22a1)内に沿って下降し、さらに、前記ガイドベルト(例えば、タイミングベルト12)が回動することによって、前記錘ガイド片(例えば、ガイド片14b)が上昇すると共に、前記左右スライド枠(例えば、右スライド枠14d,左スライド枠14f)が前記左右ガイド枠(例えば、右ガイドレール21a,左ガイドレール22a)に沿って上昇することによって前記錘本体(14a)も上昇する、その一方で、
人手によって前記支持部(例えば、鍵部31)を把持し、前記窓(例えば、窓ガラスW)を上昇させると、前記窓(例えば、窓ガラスW)の左右周枠(右周枠5a,左周枠5b)が前記溝部(21a1,22a1)内に沿って上昇すると共に、前記ガイド片(13b)が上昇し、これに伴って、前記ガイドベルト(例えば、タイミングベルト12)が回動することによって、前記錘ガイド片(例えば、ガイド片14b)が下降すると共に、前記左右スライド枠(例えば、右スライド枠14d,左スライド枠14f)が前記左右ガイド枠(例えば、右ガイドレール21a,左ガイドレール22a)に沿って下降することによって前記錘本体(14a)も下降してなり、
前記錘(14)の重さは、前記窓(例えば、窓ガラスW)と均衡できるものであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0012】
請求項1に係る発明によれば、人手によって支持部(例えば、鍵部31)による支持解除し、該支持部(例えば、鍵部31)を把持して窓(例えば、窓ガラスW)を下降させると、ガイド片(13b)が下降し、これに伴って、ガイドベルト(例えば、タイミングベルト12)が回動すると共に、窓(例えば、窓ガラスW)の左右周枠(右周枠5a,左周枠5b)が溝部(21a1,22a1)内に沿って下降し、さらに、ガイドベルト(例えば、タイミングベルト12)が回動することによって、錘ガイド片(例えば、ガイド片14b)が上昇すると共に、左右スライド枠(例えば、右スライド枠14d,左スライド枠14f)が左右ガイド枠(例えば、右ガイドレール21a,左ガイドレール22a)に沿って上昇することによって錘本体(14a)も上昇する。その一方で、人手によって支持部(例えば、鍵部31)を把持し、窓(例えば、窓ガラスW)を上昇させると、窓(例えば、窓ガラスW)の左右周枠(右周枠5a,左周枠5b)が溝部(21a1,22a1)内に沿って上昇すると共に、ガイド片(13b)が上昇し、これに伴って、ガイドベルト(例えば、タイミングベルト12)が回動することによって、錘ガイド片(例えば、ガイド片14b)が下降すると共に、左右スライド枠(例えば、右スライド枠14d,左スライド枠14f)が左右ガイド枠(例えば、右ガイドレール21a,左ガイドレール22a)に沿って下降することによって錘本体(14a)も下降するようになっている。これにより、本発明によれば、従来のような腕が存在せずとも、窓(例えば、窓ガラスW)を昇降させることができることとなり、もって、従来のように腕の動きに制約されることがなくなる。さらに、錘(14)の重さは、窓(例えば、窓ガラスW)と均衡できるようになっているから、窓(例えば、窓ガラスW)の昇降を任意の位置で止めることができる。また、このような錘(14)を設けておけば、窓(例えば、窓ガラスW)の重量を支えることととなるため、窓(例えば、窓ガラスW)を軽く昇降させることができる。そして、上記のような構成によれば、窓(例えば、窓ガラスW)や錘(14)を鉛直上下方向に確実に移動させることができる。
【0013】
しかして、本発明によれば、窓や錘を鉛直上下方向に確実に移動させることができると共に、窓を軽くしかも瞬時に昇降させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る窓開閉装置を運転室のドア内部に組み込んだ状態を、車内側から見た正面図である。
図2図1に示すX1-X1線断面図である。
図3図1に示すX2-X2線断面図である。
図4】同実施形態に係るドア内部に組み込んだ窓開閉装置を外部に露呈させた状態を示す斜視図である。
図5】同実施形態に係るドア内部に組み込んだ窓開閉装置を外部に露呈させた状態を示すと共に、窓ガラスが上昇した状態を示す正面図である。
図6】同実施形態に係るドア内部に組み込んだ窓開閉装置を外部に露呈させた状態を示すと共に、窓ガラスが下降した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る窓開閉装置の一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0018】
<窓開閉装置の概略説明>
図1に示すように、窓開閉装置1は、鉄道車両の運転室を例示するドア2の内部に組み込まれるものである。
【0019】
<ドアの説明>
具体的には、ドア2は、図1に示すように、直線状に形成される上横枠20と、上横枠20の右端部に一体的に連結され、鉛直下向きに直線状に形成される右縦枠21と、上横枠20の左端部に一体的に連結され、鉛直下向きに直線状に形成される左縦枠22と、右縦枠21と左縦枠22の下端を連結し直線状に形成される下横枠23と、で主に構成されている。上横枠20は、図2に示すように、内部が略矩形状の中空状に形成され、この中空状を形成するにあたって、車内側に位置する車内側面板20aと、車外側に位置する車外側面板20bとで構成され、この車外側面板20bを外部から隠蔽する断面視略L字状の外板20cが溶接等によって固定されている。
【0020】
かくして、このように形成される上横枠20には、図2に示すように、車内側面板20aの下部側面に、カーテン取付具24が車内側に向かって突出して設けられている。さらに、図2に示すように、上横枠20の下部に、取付部25を介して、上部窓枠3が図2に示す矢印Y1方向に昇降自在に取り付けられている。より詳しく説明すると、取付部25は、車内側面板20a及び車外側面板20bを繋ぐように取り付けられている断面視階段状の支持片25aと、その支持片25aにネジNAによって取り付けられている鉤状の鍵受部25bと、で構成されている。
【0021】
一方、上部窓枠3は、図2に示す断面視L字状の支持片30と、その支持片30に回動可能に取り付けられている鍵部31と、その支持片30にネジNBによって取り付けられている中空状で断面視略矩形状の上周枠32と、で構成されている。そして、図2に示すように、この上周枠32の下部に、階段状の溝部32aが設けられており、この溝部32a内に押さえゴム33を介して窓ガラスWの上縁部Waが嵌め込まれている。なお、図2に示すように、上部窓枠3の上周枠32と、支持片25aとの間には、戸当たりゴム4が設けられており、この戸当たりゴム4は、支持片25aに接着等によって固定されている。
【0022】
かくして、このように構成される上部窓枠3の鍵部31が取付部25の鍵受部25bに引っ掛かって係止されることによって、図1に示すような位置に窓ガラスWが位置することとなる。そして、車掌等が上部窓枠3の鍵部31を回動させ、取付部25の鍵受部25bより取り外すと、図2に示す矢印Y1方向に示すように、上部窓枠3と共に窓ガラスWが昇降できるようになる。
【0023】
ところで、図1に示すように、窓ガラスWの外周縁部には、上記説明した上周枠32が窓ガラスWの外周縁上部に取り付けられており、さらに、上周枠32の右端部に一体的に取り付けられた鉛直下向き直線状に形成される右周枠5aが窓ガラスWの外周縁右側部に取り付けられている。そしてさらに、上周枠32の左端部に一体的に取り付けられた鉛直下向き直線状に形成される左周枠5bが窓ガラスWの外周縁左側部に取り付けられ、右周枠5aの下端及び左周枠5bの下端に一体的に取り付けられた下周枠6が窓ガラスWの外周縁下部に取り付けられている。
【0024】
かくして、このように窓ガラスWの外周縁部に取り付けられた上周枠32、右周枠5a、左周枠5b、下周枠6は、図2に示す矢印Y1方向に示すように、上部窓枠3と共に窓ガラスWが昇降した際、共に昇降することとなる。この際、図1及び図4に示すように、右縦枠21の中間部分から下部に向かって、右縦枠21の長手方向に沿うように、内部に凹状の溝部21a1が形成されている右ガイドレール21aが内向き方向に突出して設けられている。そして、図1及び図4に示すように、左縦枠22の中間部分から下部に向かって、左縦枠22の長手方向に沿うように、内部に凹状の溝部(図示せず)が形成されている左ガイドレール22aが内向き方向に突出して設けられている。しかして、上部窓枠3と共に窓ガラスWが昇降した際、窓ガラスWの外周縁右部に取り付けられた右周枠5aが右ガイドレール21aの溝部21a1内に嵌り込み、図4に示す矢印Y2方向に移動することとなる。さらに、上部窓枠3と共に窓ガラスWが昇降した際、窓ガラスWの外周縁左部に取り付けられた左周枠5bが左ガイドレール22aの溝部(図示せず)内に嵌り込み、図4に示す矢印Y2方向に移動することとなる。これにより、上部窓枠3と共に窓ガラスWが昇降した際、右ガイドレール21a及び左ガイドレール22aに沿って、窓ガラスWは、鉛直上向き方向、鉛直下向き方向に確実に移動できることとなる。
【0025】
ところで、下周枠6は、図3に示すように、中空状で断面視略矩形状の階段状の溝部6aが設けられており、この溝部6a内に押さえゴム60を介して窓ガラスWの下縁部Wbが嵌め込まれている。
【0026】
かくして、図1及び図3に示すように、この下周枠6の下部に窓開閉装置1が組み込まれている。そして、図1及び図3に示すように、この窓開閉装置1が外部から見えないよう化粧部7が設けられている。
【0027】
化粧部7は、図3に示すように、断面視細長矩形状で車内側に位置する車内側化粧板7aと、断面視細長矩形状で車外側に位置する車外側化粧板7bと、を有しており、この車内側化粧板7aと、車外側化粧板7bとは、それぞれ、例えば、ステンレスにて形成されている。車内側化粧板7aは、図3に示すように、下部7a1が下横枠23の車内側側面23aにネジN1によって取り付け固定されている。そして、図3に示すように、車内側化粧板7aの上部7a2は、ネジN2によって取付枠8に取り付け固定されている。この取付枠8は、図3に示すように、下周枠6の車内側に位置しており、図3に示すように、断面視略逆L字形の取付枠本体8aと、この取付枠本体8aの下面にネジN3によって取り付け固定されている断面視逆L字形の取付片8bと、で構成されている。しかるに、車内側化粧板7aの上部7a2は、図3に示すように、ネジN2によって取付片8bに取り付け固定されることとなる。これにより、図1に示すように、窓開閉装置1が車内側化粧板7aによって外部から見えないこととなる。
【0028】
一方、車外側化粧板7bは、下部が、図示しない下横枠23の車外側側面にネジによって取り付け固定されている。そして、図3に示すように、車外側化粧板7bの上部7b1は、下周枠6の車外側に位置する風止メモケット9aの上部を覆っている。これにより、窓開閉装置1が車外側化粧板7bによって外部から見えないこととなる。なお、風止メモケット9aには、図3に示すように、ネジN4によって、モケット受金9bが取り付け固定されている。
【0029】
<窓開閉装置の詳細説明>
ここで、本実施形態の特徴部分である窓開閉装置1について詳しく説明することとする。図1及び図3に示すように、窓開閉装置1は、上部プーリ10と、下部プーリ11と、で主に構成されている。上部プーリ10は、図3に示すように、取付片8bに一対のネジN6によって取り付け固定され、下部プーリ11は、図3に示すように、下横枠23の上部23bに立設固定されている。
【0030】
かくして、このような上部プーリ10と、下部プーリ11には、図1及び図4に示すようにタイミングベルト12が巻き回されている。そしてこのタイミングベルト12には、図4に示すように、一側部12a(図示左側)に、ガイド部13が取り付けられており、他端部12b(図示右側)に、錘14が取り付けられている。
【0031】
ガイド部13は、図5に示すように、下周枠6の左下部に取り付け固定されている正面視逆L字形の取付片13aと、図4及び図5に示すように、取付片13aの下端部13a1に取り付け固定されているガイド片13bと、で構成されている。このガイド片13bは、図4及び図5に示すように、タイミングベルト12の一側部12aを掴んだ状態で支持されている。これにより、車掌等が、図2に示す上部窓枠3の鍵部31を回動させ、取付部25の鍵受部25bより取り外すと、図5に示すように、下周枠6にガイド部13が取り付けられていることから、このガイド部13のガイド片13bに掴んだ状態で支持されているタイミングベルト12の一側部12aが、上部プーリ10及び下部プーリ11間を回動することとなる。これによって、ガイド部13がタイミングベルト12の一側部12aに図5に示す矢印Y3方向(鉛直下向き方向)に下降するようにガイドされ、もって、窓ガラスWと共に窓ガラスWの外周縁部に取り付けられた上周枠32、右周枠5a、左周枠5b、下周枠6が、図5に示す矢印Y3方向(鉛直下向き方向)に下降することとなる。この際、図5に示す矢印Y3方向(鉛直下向き方向)に確実に移動できるように、右周枠5aが図4に示す右ガイドレール21aの溝部21a1内に沿って下降し、左周枠5bが左ガイドレール22aの溝部(図示せず)内に沿って下降することとなる。これにより、図6に示す位置まで、窓ガラスWが下降されることとなる。なお、この際、窓ガラスWが図6に示す位置で停止するように、図5及び図6に示すように、右ガイドレール21aの下部には、錘14と接触しないように、車外側に右ストッパ21a2が設けられ、左ガイドレール22aの下部には、錘14と接触しないように、車外側に左ストッパ22a2が設けられている。これにより、図4に示す右ガイドレール21aの溝部21a1内に沿って下降した右周枠5aが、右ストッパ21a2に接触し、さらに、図4に示す左ガイドレール22aの溝部(図示せず)内に沿って下降した左周枠5bが、左ストッパ22a2に接触することとなる。しかして、窓ガラスWは、これ以上、下降することができなくなるから、図6に示す位置で停止することとなる。
【0032】
一方、窓ガラスWを図1に示す位置まで戻すにあたっては、車掌等が、図6に示す上部窓枠3の鍵部31を掴んで図6に示す矢印Y4方向(鉛直上向き方向)に引っ張り上げると、ガイド部13のガイド片13bに掴んだ状態で支持されているタイミングベルト12の一側部12aが、上部プーリ10及び下部プーリ11間を回動することとなる。これによって、ガイド部13がタイミングベルト12の一側部12aに図6に示す矢印Y4方向(鉛直上向き方向)に上昇するようにガイドされ、もって、窓ガラスWと共に窓ガラスWの外周縁部に取り付けられた上周枠32、右周枠5a、左周枠5b、下周枠6が、図6に示す矢印Y4方向(鉛直上向き方向)に上昇することとなる。この際、図6に示す矢印Y4方向(鉛直上向き方向)に確実に移動できるように、右周枠5aが図4に示す右ガイドレール21aの溝部21a1内に沿って上昇し、左周枠5bが左ガイドレール22aの溝部(図示せず)内に沿って上昇することとなる。これにより、図1に示す位置まで、窓ガラスWが上昇することとなり、もって、上部窓枠3の鍵部31を取付部25の鍵受部25bに引っ掛かって係止することにより、図1に示すような位置に窓ガラスWが位置することとなる。
【0033】
錘14は、図5に示すように正面視H形状の錘本体14aを有している。この錘本体14aの右端部14a1側には、図4にも示すように、ガイド片14bが取り付け固定されている。このガイド片14bは、図4及び図5に示すように、タイミングベルト12の他側部12bを掴んだ状態で支持されている。また、図4及び図5に示すように、錘本体14aの右端部14a1には、矩形状の右錘部14cが取り付け固定されており、この右錘部14cの右端部14c1には、正面視縦長矩形状の右スライド枠14dが取り付け固定されている。この右スライド枠14dは、図4に示すように、右ガイドレール21aに嵌め込まれており、図4に示す矢印Y2方向にスライドできるようになっている。なお、言うまでもないが、右周枠5aが図4に示す右ガイドレール21aの溝部21a1内に沿って昇降する際、右スライド枠14dとは当たらないように設定されている。
【0034】
一方、図4及び図5に示すように、錘本体14aの左端部14a2には、矩形状の左錘部14eが取り付け固定されており、この左錘部14eの左端部14e1には、正面視縦長矩形状の左スライド枠14fが取り付け固定されている。この左スライド枠14fは、図4に示すように、左ガイドレール22aに嵌め込まれており、図4に示す矢印Y2方向にスライドできるようになっている。なお、言うまでもないが、左周枠5bが図4に示す左ガイドレール22aの溝部(図示せず)内に沿って昇降する際、左スライド枠14fとは当たらないように設定されている。
【0035】
かくして、このように構成される錘14は、図1に示すような位置に窓ガラスWが位置していた際、図5に示すように、下部プーリ11側に位置することとなる。そして、窓ガラスWが、図5に示す矢印Y3方向(鉛直下向き方向)に下降すると、タイミングベルト12の一側部12aが、上部プーリ10及び下部プーリ11間を回動し、これに伴って、他側部12bも、上部プーリ10及び下部プーリ11間を回動することとなる。この際、ガイド片14bが、図5に示すように、タイミングベルト12の他側部12bを掴んだ状態で支持されているから、錘14がタイミングベルト12の他側部12bに図5に示す矢印Y4方向(鉛直上向き方向)に上昇するようにガイドされる。この際、図5に示す矢印Y4方向(鉛直上向き方向)に確実に移動できるように、図4に示す右スライド枠14dが右ガイドレール21aに沿って上昇し、図4に示す左スライド枠14fが左ガイドレール22aに沿って上昇することとなる。これにより、図6に示す位置まで、錘14が上昇することとなる。
【0036】
一方、窓ガラスWが、図6に示す矢印Y4方向に上昇すると、タイミングベルト12の一側部12aが、上部プーリ10及び下部プーリ11間を回動し、これに伴って、他側部12bも、上部プーリ10及び下部プーリ11間を回動することとなる。この際、ガイド片14bが、図6に示すように、タイミングベルト12の他側部12bを掴んだ状態で支持されているから、錘14がタイミングベルト12の他側部12bに図6に示す矢印Y3方向(鉛直下向き方向)に下降するようにガイドされる。この際、図6に示す矢印Y3方向(鉛直下向き方向)に確実に移動できるように、図4に示す右スライド枠14dが右ガイドレール21aに沿って下降し、図4に示す左スライド枠14fが左ガイドレール22aに沿って下降することとなる。これにより、図5に示す位置、すなわち、元の位置まで、錘14が下降することとなる。
【0037】
ところで、このような錘14の重さは、窓ガラスW、及び、窓ガラスWの外周縁部に取り付けられた上周枠32、右周枠5a、左周枠5b、下周枠6と均衡できる重さとなっている。すなわち、窓ガラスWと共に窓ガラスWの外周縁部に取り付けられた上周枠32、右周枠5a、左周枠5b、下周枠6が、図5に示す矢印Y3方向(鉛直下向き方向)に下降すると、錘14は、図5に示す矢印Y4方向(鉛直上向き方向)に上昇することとなる。そして、窓ガラスWと共に窓ガラスWの外周縁部に取り付けられた上周枠32、右周枠5a、左周枠5b、下周枠6が、図6に示す矢印Y4方向(鉛直上向き方向)に上昇すると、錘14は、図6に示す矢印Y3方向(鉛直下向き方向)に下降することとなる。そのため、錘14の重さを、窓ガラスW、及び、窓ガラスWの外周縁部に取り付けられた上周枠32、右周枠5a、左周枠5b、下周枠6と均衡できる重さにしておけば、窓ガラスWと共に窓ガラスWの外周縁部に取り付けられた上周枠32、右周枠5a、左周枠5b、下周枠6の昇降を途中で止めれば、滑車の原理によって、その位置で止まることとなる。
【0038】
しかるに、このような錘14を設けておけば、窓ガラスWの位置を任意の位置で止めることができることとなる。また、このような錘14を設けておけば、窓ガラスW、及び、窓ガラスWの外周縁部に取り付けられた上周枠32、右周枠5a、左周枠5b、下周枠6の重量を支えることととなるため、窓ガラスWを軽く昇降させることができる。
【0039】
しかして、以上説明した本実施形態によれば、窓ガラスWの外周縁部に取り付けられた下周枠6にガイド部13が設けられ、このガイド部13が、タイミングベルト12によって、鉛直上向き方向、鉛直下向き方向にガイドされることとなるから、それに伴い、窓ガラスWと共に窓ガラスWの外周縁部に取り付けられた上周枠32、右周枠5a、左周枠5b、下周枠6も鉛直上向き方向に上昇、鉛直下向き方向に下降することとなる。これにより、本実施形態によれば、従来のような腕が存在せずとも、タイミングベルト12にガイドされるだけで、窓ガラスWを昇降させることができることとなり、もって、従来のように腕の動きに制約されることがなくなる。
【0040】
それゆえ、本実施形態によれば、窓ガラスWを瞬時に昇降させることができる。
【0041】
なお、本実施形態において示した窓開閉装置1は、あくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態においては、窓開閉装置1が使用される例として、鉄道車両の運転室のドア2を例示したが、それに限らず、車掌室のドア等、所謂「落とし窓」が使用されているものであればどのようなドアにも適用可能である。
【0042】
また、本実施形態においては、タイミングベルト12を例示したが、それに限らず、ガイド部13をガイドできるものであれば、どのようなベルトであっても良い。ただし、ワイヤーロープのようなものは、絡まったり、弛みが生じたりする危険性があり、窓ガラスWが昇降できなくなる可能性があることから、ワイヤーロープのようなものではなく、絡まったり、弛みが生じたりしないようなベルトを用いるのが好ましい。
【符号の説明】
【0043】
1 窓開閉装置
12 タイミングベルト(ガイドベルト)
12a 一側部
12b 他側部
13 ガイド部
14 錘
21a 右ガイドレール(右ガイド枠)
22a 左ガイドレール(左ガイド枠)
W 窓ガラス(窓)
図1
図2
図3
図4
図5
図6