IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通コネクテッドテクノロジーズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-アンテナ装置および無線通信装置 図1
  • 特許-アンテナ装置および無線通信装置 図2
  • 特許-アンテナ装置および無線通信装置 図3
  • 特許-アンテナ装置および無線通信装置 図4
  • 特許-アンテナ装置および無線通信装置 図5
  • 特許-アンテナ装置および無線通信装置 図6
  • 特許-アンテナ装置および無線通信装置 図7
  • 特許-アンテナ装置および無線通信装置 図8
  • 特許-アンテナ装置および無線通信装置 図9
  • 特許-アンテナ装置および無線通信装置 図10
  • 特許-アンテナ装置および無線通信装置 図11
  • 特許-アンテナ装置および無線通信装置 図12
  • 特許-アンテナ装置および無線通信装置 図13
  • 特許-アンテナ装置および無線通信装置 図14
  • 特許-アンテナ装置および無線通信装置 図15
  • 特許-アンテナ装置および無線通信装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】アンテナ装置および無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 5/364 20150101AFI20230803BHJP
   H01Q 7/00 20060101ALI20230803BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
H01Q5/364
H01Q7/00
H01Q1/24 Z
H01Q1/24 C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021553203
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(86)【国際出願番号】 JP2019041491
(87)【国際公開番号】W WO2021079429
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】318012780
【氏名又は名称】FCNT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠島 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】古賀 洋平
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼田 聡史
(72)【発明者】
【氏名】殿岡 旅人
(72)【発明者】
【氏名】伴 泰光
(72)【発明者】
【氏名】吉川 学
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-307321(JP,A)
【文献】特開2012-028906(JP,A)
【文献】特開2005-203877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 5/364
H01Q 7/00
H01Q 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グランド基板と、
前記グランド基板に設けられる給電点と、
一端が前記給電点と電気的に接続し、他端が前記グランド基板と電気的に接続し、第1周波数で動作する第1ループアンテナと、
前記第1ループアンテナの第1端点および第2端点に両端のそれぞれが接続し、第2周波数で動作する第2ループアンテナと、を備え、
前記第1端点と前記第2端点との間は、前記第1ループアンテナが前記第1周波数で共振可能な範囲の間隙を形成する、
アンテナ装置。
【請求項2】
前記第1端点と前記第2端点との間は、前記第1周波数の1/50の間隙を形成する、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1端点および前記第2端点は、前記給電点から前記第1周波数の1/4以下の範囲に設けられる、
請求項1または2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1ループアンテナと前記グランド基板との間の電気的な経路上に、キャパシタまたはインダクタが設けられる、
請求項1から3のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記給電点と前記第1ループアンテナとの間には、キャパシタとインダクタとを切り替えて前記給電点に接続するスイッチが介在する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第1ループアンテナと前記グランド基板とは、ばね接点によって電気的に接続される、
請求項1から5のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第1ループアンテナは、さらに、前記第1ループアンテナ上の一か所以上の箇所において、前記グランド基板と電気的に接続される、
請求項1から6のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記第1ループアンテナには、互いに異なる周波数の電波で動作する2以上の第2ループアンテナが設けられる、
請求項1から7のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記アンテナ装置は、携帯端末装置に実装され、
前記第1ループアンテナの少なくとも一部は、前記携帯端末装置の外装である金属フレームによって形成される、
請求項1から8のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記アンテナ装置は、携帯端末装置に実装され、
前記第2ループアンテナの少なくとも一部は、Laser Direct Structuring(LDS)またはフレキシブル基板を用いて形成される、
請求項1から9のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
一端が前記第1ループアンテナの接続点に接続され、前記グランド基板と平行な第1導体素子をさらに備え、
前記第1ループアンテナの他端とグランド基板とを接続する接点から前記第1ループアンテナを経由して前記第1導体素子の他端までの長さが、第3周波数の1/4波長である、
請求項1から10のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のアンテナ装置を実装した、
無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置および無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン、タブレット型コンピュータ、車載用アンテナを備えた車両等の無線通信装置は、例えば高速通信を実現するために、複数の周波数を用いた通信を行っている。そのため、無線通信装置には、複数の周波数に対応するアンテナ素子が搭載されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、メインループ導体の一部にメアンダを設けることで、インピーダンスの調整を行うアンテナが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-182973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無線通信装置は、一層の高機能化、そして、より一層の小型化が進められている。無線通信装置の高機能化および小型化が進められることで、無線通信装置内にアンテナ装置を設けるスペースは狭くなる一方である。そのため、複数の周波数で動作可能であるとともに小型のアンテナ装置が望まれている。
【0006】
開示の技術の1つの側面は、複数の周波数で動作可能であるとともに、小型に製造可能はアンテナ装置および当該アンテナ装置を実装した無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術の1つの側面は、次のようなアンテナ装置によって例示される。本アンテナ装置は、グランド基板と、前記グランド基板に設けられる給電点と、一端が前記給電点と電気的に接続し、他端が前記グランド基板と電気的に接続し、第1周波数で動作する第1ループアンテナと、前記第1ループアンテナの第1端点および第2端点に両端のそれぞれが接続し、第2周波数で動作する第2ループアンテナと、を備え、前記第1端点と前記第2端点との間は、前記第1ループアンテナが前記第1周波数で共振可能な範囲の間隙を形成する。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術は、複複数の周波数で動作可能であるとともに、小型に製造可能はアンテナ装置および当該アンテナ装置を実装した無線通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るアンテナの一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るアンテナが備える第1ループアンテナと第2ループアンテナを模式的に例示する図である。
図3図3は、第1変形例に係るアンテナの一例を示す図である。
図4図4は、第2変形例に係るアンテナの一例を示す図である。
図5図5は、第2変形例に係るアンテナ上で動作するループアンテナを模式的に示す図である。
図6図6は、第3変形例に係るアンテナの一例を示す図である。
図7図7は、第3変形例に係るアンテナ上で動作するループアンテナとモノポールアンテナを模式的に示す図である。
図8図8は、第4変形例に係るアンテナの一例を示す図である。
図9図9は、第5変形例に係るアンテナの一例を示す図である。
図10図10は、第6変形例に係るアンテナの一例の部分図を示す図である。
図11図11は、第7変形例に係るアンテナの一例を示す図である。
図12図12は、第7変形例に係るアンテナが備えるループアンテナを模式的に例示する図である。
図13図13は、適用例の一例を示す図である。
図14図14は、適用例に係るスマートフォンからアンテナ付近の領域を抜粋した図である。
図15図15は、適用例で用いたアンテナのトータル効率を例示する図である。
図16図16は、間隙Dを変化させたときのS11の変動を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について説明する。以下に示す実施形態の構成は例示であり、開示の技術は実施形態の構成に限定されない。本実施形態に係るアンテナ装置は、例えば、以下の構成を備える。
本実施形態に係るアンテナ装置は、
グランド基板と、
前記グランド基板に設けられる給電点と、
一端が前記給電点と電気的に接続し、他端が前記グランド基板と電気的に接続し、第1周波数で動作する第1ループアンテナと、
前記第1ループアンテナの第1端点および第2端点に両端のそれぞれが接続し、第2周波数で動作する第2ループアンテナと、を備え、
前記第1端点と前記第2端点との間は、前記第1ループアンテナが前記第1周波数で共振可能な範囲の間隙を形成する。
【0011】
グランド基板は接地された基板である。第1ループアンテナは、グランド基板と電気的に接続されることで、接地される。第1ループアンテナ上には、第1端点と第2端点との間に間隙が形成されており、当該間隙の間隔は第1ループアンテナが第1周波数で共振可能な範囲とされる。このように間隙が設定されることで、間隙があるにもかかわらず、第1ループアンテナは第1周波数で動作することができる。また、第2ループアンテナは、両端のそれぞれが、第1端点と第2端点とに接続される。第2ループアンテナがこのように形成されることで、第1周波数とは異なる第2周波数で第2ループアンテナを動作させることができる。
【0012】
なお、第1端点と第2端点との間は、前記第1周波数の1/50の間隙であることが好ましい。また、第1端点および第2端点は、前記給電点から前記第1周波数の1/4以下の範囲に設けられることが好ましい。
【0013】
本アンテナ装置は、さらに、次の特徴を備えてもよい。前記第1ループアンテナと前記グランド基板との間の電気的な経路上に、キャパシタまたはインダクタが設けられる。このような特徴を備えるアンテナ装置は、キャパシタの静電容量やインダクタのインダクタンスを適宜調整することで、第1ループアンテナおよび第2ループアンテナの物理的な長さを変更することなく、第1ループアンテナを共振させる周波数を変更することができる。
【0014】
本アンテナ装置は、さらに、次の特徴を備えてもよい。前記第1ループアンテナと前記グランド基板とは、ばね接点によって電気的に接続される。ばね接点を採用することで、第1ループアンテナとグランド基板との電気的な接続をより確実に実現することができる。
【0015】
本アンテナ装置は、さらに、次の特徴を備えてもよい。前記第1ループアンテナは、さらに、前記第1ループアンテナ上の一か所以上の箇所において、前記グランド基板と電気的に接続される。このような特徴を備えるアンテナ装置は、より多くの半波長ループアンテナをアンテナ装置内に設けることができる。
【0016】
本アンテナ装置は、さらに、次の特徴を備えてもよい。前記第1ループアンテナには、互いに異なる周波数の電波で動作する2以上の第2ループアンテナが設けられる。このような特徴を有することで、アンテナ装置全体の大きさを第1周波数の電波の波長の1/2波長程度の大きさとしつつ、アンテナ装置が共振可能な電波を増加させることができる。
【0017】
本アンテナ装置は、さらに、次の特徴を備えてもよい。前記アンテナ装置は、携帯端末装置に実装され、前記第1ループアンテナの少なくとも一部は、前記携帯端末装置の外装である金属フレームによって形成される。携帯端末装置としては、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット側コンピュータ、ウェアラブルコンピュータ等を挙げることができる。このような特徴を備えるアンテナ装置は、携帯端末装置の外装である金属外装フレームを第1ループアンテナの少なくとも一部として用いることで、金属フレームが区画する領域内においてアンテナ装置が占める領域を減少させることができる。そのため、このような特徴を備えるアンテナ装置は、携帯端末装置を小型化させたり、より多くの電子部品を携帯端末装置に実装させたりすることができる。また、前記第2ループアンテナの少なくとも一部は、Laser Direct Structuring(LDS)またはフレキシブル基板を用いて形成されてもよい。
【0018】
本アンテナ装置は、さらに、次の特徴を備えてもよい。一端が前記第1ループアンテナの接続点に接続され、前記グランド基板と平行な第1導体素子をさらに備え、前記第1ループアンテナの他端とグランド基板とを接続する接点から前記第1ループアンテナを経由して前記第1導体素子の他端までの長さが、第3周波数の1/4波長である。このような特徴を有するアンテナ装置は、第1導体素子をモノポールアンテナとして動作させることができる。
【0019】
また、開示の技術は、上記少なくともいずれかの特徴を備えるアンテナ装置を実装した無線通信装置であってもよい。
【0020】
以下、図面を参照して実施形態についてさらに説明する。図1は、実施形態に係るアンテナの一例を示す図である。図1に例示されるアンテナ1は、第1ループアンテナ101、第2ループアンテナ201およびグランド基板3を含む。以下、本明細書において、図1に向かって右側を+X方向、図1に向かって左側を-X方向、図1に向かって上を+Y方向、図1に向かって下を-Y方向と称する。
【0021】
グランド基板3は、接地されたグランド面3aを有する。グランド基板3は、例えば、各種電子部品を実装するプリント基板であってもよい。グランド基板3は、アンテナ1への給電を行う給電点2も備える。グランド基板3の全面がグランド面3aであってもよい。
【0022】
第1ループアンテナ101は、給電線11、第1導体素子12および第2導体素子13を含み、第1周波数fで動作するループアンテナである。図1では、第1ループアンテナ101は、矩形状に形成されているが、第1ループアンテナ101の形状が矩形状に限定されるわけではない。第1導体素子12は、グランド基板3から所定距離離れた位置を、グランド基板3のグランド面3aに対して略平行に延びる導体素子である。第1導体素子12の+X方向の端部は給電線11によって給電点2と電気的に接続される。図1では、第1導体素子12と給電線11とは、略直交している。
【0023】
第2導体素子13は、第1導体素子12の-X方向の端部とグランド基板3のグランド面3aとを電気的に接続する導体素子である。第2導体素子13は、第1導体素子12およびグランド面3aと略直交する。第2導体素子13は、+Y方向の端部が第1導体素子12と電気的に接続し、-Y方向の端部がグランド面3aと電気的に接続する。以下、本明細書において、第2導体素子13がグランド面3aと接続する部分を、便宜上、グランド31と称する。第2導体素子13は、ばね接点であってもよい。
【0024】
給電線11は、第1導体素子12の+X方向の端部と給電点2とを電気的に接続する導体素子である。給電線11は、第1導体素子12およびグランド面3aと略直交する。給電線11は、+Y方向の端部が第1導体素子12と電気的に接続し、-Y方向の端部が給電点2と電気的に接続する。
【0025】
給電線11は、給電線11aと給電線11bとを含む。給電線11aは、-Y方向の端部が給電点2と電気的に接続し、+Y方向の端部が第1端点111となる。給電線11bは、-Y方向の端部が第2端点112となり、+Y方向の端部が第1導体素子12の+X方向の端部と電気的に接続する。第1端点111と第2端点112との間には、第1ループアンテナ101が第1周波数fで共振可能な範囲の間隙Dが形成される。第1端点111と第2端点112との距離(間隙Dの大きさ)は、例えば、第1周波数fの1/50である。第1端点111および第2端点112は、例えば、給電点2から第1周波数fの1/4以下の範囲に設けられる。
【0026】
第2ループアンテナ201は、第1接続素子21、第2接続素子22および屈曲素子23を含み、第2周波数fで動作するループアンテナである。第1接続素子21は、-X方向の端部が給電線11の第1端点111に接続し、グランド基板3のグランド面3aに対して平行な導体素子である。第2接続素子22は、-X方向の端部が給電線11の第2端点112に接続し、グランド面3aと平行な導体素子である。屈曲素子23は、第1接続素子21の+X側の端部と第2接続素子22の+X側の端部とをループ状に接続する導体素子である。図1では、屈曲素子23は、矩形状に形成されているが、屈曲素子23は滑らかな曲線によって形成されてもよい。また、第1接続素子21および第2接続素子23を省略し、給電線11の第1端点111と第2端点112とを屈曲素子23が接続してもよい。図1では、第1接続素子21および第2接続素子22は、グランド基板3のグランド面3aに対して平行となっているが、第1接続素子21および第2接続素子22は、グランド面3aと平行であることに限定されるわけではない。
【0027】
図2は、実施形態に係るアンテナが備える第1ループアンテナと第2ループアンテナを模式的に例示する図である。第1ループアンテナ101は、半波長のループアンテナであり、給電点2から給電線11、第1導体素子12および第2導体素子13を介してグランド31に至る経路長は、第1周波数fの波長の1/2と略等しくなる。第2ループアンテナ201は、1波長のループアンテナであり、第1端点111から第1接続素子21、屈曲素子23および第2接続素子22を介して第2接点112までの経路によって形成される。第2ループアンテナ201のアンテナ長は、第2周波数fの波長と略等しくなる。
【0028】
ここで、図2を参照すると理解できるように、第1ループアンテナ101のアンテナ長は第2ループアンテナ201のアンテナ長よりも長い。そのため、周波数fと周波数fとの関係は、(周波数f)>(周波数f)となる。
【0029】
<実施形態の作用効果>
実施形態に係るアンテナ1は、第1ループアンテナ101と第2ループアンテナ201とを備える。第2ループアンテナは、第1ループアンテナ101の第1端点111および第2端点112に接続される。ここで、間隙Dの間隔(第1接点111と第2接点112の間隔)は、第1ループアンテナ101が第1周波数fで共振可能な範囲に設定される。そのため、第1ループアンテナ101は、第1周波数fで動作する半波長のループアンテナとして用いることができる。一方で、第2ループアンテナは、第1端点111から第1接続素子21、屈曲素子23および第2接続素子22を介して第2接点112までの経路長は、第2周波数fの波長と略等しく設定されることで、第2周波数fで動作する1波長のループアンテナとして用いることができる。
【0030】
<第1変形例>
実施形態では、第2ループアンテナ201は、第1ループアンテナ101によって区画される領域の外側に設けられたが、第2ループアンテナ201は、第1ループアンテナ101によって区画される領域内に設けられてもよい。図3は、第1変形例に係るアンテナの一例を示す図である。第1変形例に係るアンテナ1aでは、第1接続素子21aは、+X方向の端部が給電線11の第1端点111に接続し、グランド基板3のグランド面3aに対して平行な導体素子である。第2接続素子22aは、+X方向の端部が給電線11の第2端点112に接続し、グランド面3aと平行な導体素子である。屈曲素子23aは、第1接続素子21aの-X側の端部と第2接続素子22aの-X側の端部とをループ状に接続する導体素子である。
【0031】
このような構成により、第2ループアンテナ201aは、第1ループアンテナ101によって区画される領域内に設けられる。このような構成を採用することで、第1変形例に係るアンテナ1aは、実施形態に係るアンテナ1よりも、より小型化することができる。
【0032】
<第2変形例>
図4は、第2変形例に係るアンテナの一例を示す図である。図4に例示されるアンテナ1bは、第1導体素子12の-X側の端部から+X側の端部の間の分岐点12aとグランド面3aとが、第3導体素子13aによって電気的に接続される点で、実施形態に係るアンテナ1とは異なる。以下、本明細書において、便宜上、第3導体素子13aとグランド面3aとが接続する部分をグランド32と称する。
【0033】
図5は、第2変形例に係るアンテナ上で動作するループアンテナを模式的に示す図である。図5を参照すると理解できるように、第2変形例に係るアンテナ1bでは、ループアンテナ101、201に加えて、ループアンテナ101a、101bを有する。ループアンテナ101aは、給電点2から給電線11、第1導体素子12、分岐点12a、第3導体素子13aを経てグランド32に至る経路によって形成される半波長ループアンテナである。また、ループアンテナ101bは、グランド32から分岐点12a、第1導体素子12、第2導体素子13を経てグランド31に至る経路によって形成される半波長ループアンテナである。分岐点12aの位置を適宜決定することで、ループアンテナ101a、101bのアンテナ長を設定することができ、ひいては、ループアンテナ101a、101bを共振させる電波の周波数を設定することができる。
【0034】
なお、図4図5では、第1導体素子12の-X側の端部から+X側の端部の間に設けた一か所の分岐点12aから第3導体素子13aによってグランド面3aと電気的に接続したが、分岐点を複数設け、複数設けた分岐点のそれぞれとグランド面3aとを導体素子によって電気的に接続してもよい。このような設計を採用することで、アンテナ1b上で動作するループアンテナをさらに増加させることができる。
【0035】
<第3変形例>
図6は、第3変形例に係るアンテナの一例を示す図である。図6に例示されるアンテナ1cは、第4導体素子14をさらに備える点で、実施形態に係るアンテナ1とは異なる。
【0036】
第4導体素子14は、+X側の端部が第1導体素子12の-X側の端部に接続され、グランド面3aと平行な素子である。第4導体素子14の長さは、グランド31から第2導体素子13を経て第4導体素子14の-X側の端部までの長さが、第4導体素子14を共振させる周波数の1/4となるように設定される。
【0037】
図7は、第3変形例に係るアンテナ上で動作するループアンテナとモノポールアンテナを模式的に示す図である。図7を参照すると理解できるように、第3変形例に係るアンテナ1cでは、ループアンテナ101、201に加えて、モノポールアンテナ301を有する。モノポールアンテナ301は、グランド31から第2導体素子13を経て第4導体素子14の-X側の端部までの経路によって形成される、1/4波長のモノポールアンテナである。
【0038】
<第4変形例>
図8は、第4変形例に係るアンテナの一例を示す図である。図8に例示されるアンテナ1dは、第2導体素子13とグランド31との間にキャパシタ41が設けられる。
【0039】
キャパシタ41は、例えば、短縮コンデンサである。キャパシタ41の静電容量を適宜設定することで、例えば、ループアンテナ101の電気的なアンテナ長を短縮することができる。すなわち、キャパシタ41を第2導体素子13とグランド31との間に設けることで、ループアンテナ101が共振する周波数を周波数fよりも高くすることができる。
【0040】
<第5変形例>
図9は、第5変形例に係るアンテナの一例を示す図である。図9に例示されるアンテナ1eは、第2導体素子13とグランド31との間にインダクタ42が設けられる。
【0041】
インダクタ42は、例えば、延長コイルである。インダクタ42のインダクタンスを適宜設定することで、例えば、ループアンテナ101の電気的なアンテナ長を長くすることができる。すなわち、インダクタ42を第2導体素子13とグランド31との間に設けることで、ループアンテナ101が共振する周波数を周波数fよりも低くすることができる。
【0042】
<第6変形例>
図10は、第6変形例に係るアンテナの一例の部分図を示す図である。図10では、第6変形例に係るアンテナ1fの給電点2付近が例示される。アンテナ1fでは、給電線11aと給電点2との間にキャパシタ41とインダクタ42とが並列に接続され、これらキャパシタ41とインダクタ42を切り替えるスイッチ素子43が設けられる。スイッチ素子43を切り替えることで、キャパシタ41とインダクタ42とを切り替えることができ、ひいては、ループアンテナ101が共振する周波数を変更することができる。なお、アンテナ1fでは、スイッチ素子43以外の部分は、実施形態に係るアンテナ1と同様である。
【0043】
<第7変形例>
以上で説明した実施形態や変形例では、ひとつの第2ループアンテナ201を備えるアンテナについて説明した。第7変形例では、2以上の第2ループアンテナを備えるアンテナについて説明する。
【0044】
図11は、第7変形例に係るアンテナの一例を示す図である。図11に例示されるアンテナ1gでは、第2ループアンテナ201に加えて、第2ループアンテナ201bが第1ループアンテナ101の経路途中に設けられる。第2ループアンテナ201bは、第1接点111aおよび第2接点112aのそれぞれにおいて、第1接続素子21aおよび第2接続素子22aを介して屈曲素子23bが接続されることで形成される。第1接点111aおよび第2接点112aの間隙Dは、第1接点111および第2接点112の間隙Dと同様に、第1ループアンテナ101が第1周波数fで共振可能なように形成される。
【0045】
図12は、第7変形例に係るアンテナが備えるループアンテナを模式的に例示する図である。第2ループアンテナ201bは、第1端点111aから第1接続素子21a、屈曲素子23bおよび第2接続素子22aを介して第2接点112aまでの経路によって形成される1波長のループアンテナである。第2ループアンテナ201bのアンテナ長は、第2ループアンテナ201bを動作させる電波の波長と略等しくなる。
【0046】
なお、図11および図12では、2つの第2ループアンテナ201、201bを備えるアンテナが例示されている。しかしながら、第7変形例に係るアンテナ1gが備える第2ループアンテナの数が2つに限定されるわけではない。アンテナ1gは、互いに異なる周波数で動作する2以上の第2ループアンテナを第1ループアンテナ101の経路途中に設けてもよい。第7変形例に係るアンテナでは、第2ループアンテナを複数設けることで、アンテナ全体の大きさを第1周波数の電波の波長の1/2波長程度の大きさとしつつ、アンテナが共振可能な電波を増加させることができる。
【0047】
<適用例>
図13は、適用例の一例を示す図である。図13に例示される適用例では、第2変形例と第3変形例とを組み合わせたアンテナ1hをスマートフォン500に適用した例を示している。図13では、スマートフォン500のディスプレイ側のケースを開いた状態を例示している。
【0048】
スマートフォン500は、プロセッサやメモリ等を備える可搬型の情報処理装置である。スマートフォン500は、アンテナ1hを用いて外部装置と無線通信を行う。スマートフォン500では、その側面(周囲)を枠状の金属フレーム51が囲んでいる。金属フレーム51は、スマートフォン500の側面を覆う外装である。金属フレーム51の角は、丸い円弧状に形成されている。金属フレーム51が区画する領域には、グランド基板3が収容される。スマートフォン500では、上側(+Y側)に電話での通話に用いられるスピーカーが設けられ、下側(-Y側)に電話での通話に用いられるマイクが設けられる。
【0049】
スマートフォン500では、金属フレーム51の一部をアンテナ1hとして利用する。図13では、アンテナ1hは、スマートフォン500の下側に設けられている。図13に例示するように、金属フレーム51のうち、アンテナ1hとして利用する領域と他の領域との間には、スリット511、512が設けられる。第1導体素子511は、金属フレーム51のうちアンテナ1hとして利用しない領域からスリット511によって電気的に分離される。第3導体素子14aは、金属フレーム51のうちアンテナ1hとして利用しない領域からスリット512によって電気的に分離される。
【0050】
スマートフォン500では、第1導体素子12として、金属フレーム51において円弧上に形成された角の部分を使用する。このように、金属フレーム51をアンテナ1hの導体素子としても用いることで、金属フレーム51が区画する領域内においてアンテナ1hが占める領域を減少させることができる。
【0051】
アンテナ1hの第2ループアンテナとして用いる屈曲素子23は、例えば、グランド基板3上にLaser Direct Structuring(LSD)によって形成されたり、フレキシブル基板を用いて形成されたりする。屈曲素子23の一端は給電点2と電気的に接続し、他端は第1導体素子12の+Y側の端部と電気的に接続する。
【0052】
第1導体素子12の-X側の端部には、分岐点12cが設けられる。また、分岐点12cと第1導体素子12の+X側の端部の範囲には、分岐点12bが設けられる。分岐点12bとグランド基板3とは、第3導体素子13bによって電気的に接続される。また、分岐点12cとグランド基板3とは、第3導体素子13cによって電気的に接続される。分岐点12cから-X方向にスリット512までの範囲は、第4導体素子14として用いられる。分岐点12b、12cは、ばね接点であってもよい。なお、以下、本明細書において、便宜上、第3導体素子13bとグランド面3aとが接続する部分をグランド31aと称する。同様に、第3導体素子13cとグランド面3aとが接続する部分をグランド31bと称する。
【0053】
図14は、適用例に係るスマートフォンからアンテナ付近の領域を抜粋した図である。アンテナ1hは、ループアンテナ101g、101h、101k、201g、および、モノポールアンテナ301を含む。ループアンテナ101gは、給電点2、屈曲素子23、第1導体素子12、分岐点12cおよび第3導体素子13cを経てグランド31bまでの長さが周波数f71の波長の1/2波長となるように設定されることで、周波数f71用のループアンテナとして動作する。周波数f71は、例えば、700MHzである。
【0054】
ループアンテナ101hは、給電点2、屈曲素子23、第1導体素子12、分岐点12bおよび第3導体素子13bを経てグランド31aまでの長さが周波数f72の波長の1/2波長となるように設定されることで、周波数f72用のループアンテナとして動作する。周波数f72は、例えば、900MHzである。
【0055】
ループアンテナ101kは、グランド31a、第3導体素子13b、分岐点12b、第1導体素子12、分岐点12c、第3導体素子13cを経てグランド31bまでの長さが周波数f73の波長の1/2波長となるように設定されることで、周波数f73用のループアンテナとして動作する。周波数f73は、例えば、4500MHzである。
【0056】
ループアンテナ201gは、給電点2から屈曲素子23を経て第2端点112までの長さが、周波数f74の1波長となるように設定されることで、周波数f74用のループアンテナとして動作する。周波数f74は、例えば、2000MHzである。
【0057】
モノポールアンテナ301は、グランド31b、第3導体素子13c、分岐点12cを経て第4導体素子14の-X側の端部までの長さが、周波数f75の1/4波長となるように設定されることで、周波数f75用のループアンテナとして動作する。周波数f75は、例えば、5000MHzである。このような特徴を有するアンテナ1hは、互いに異なる4つの周波数で用いることができる。
【0058】
図15は、適用例で用いたアンテナのトータル効率を例示する図である。図15の縦軸はトータル効率(db)を例示し、横軸は周波数(MHz)を例示する。図15を参照すると、周波数f71付近、周波数f72付近、周波数f73付近、周波数f74付近、周波数f75付近でグラフが山を描いており、トータル効率が良いことが理解できる。
【0059】
<間隙Dについての検証>
間隙Dの間隔を変化させたときのアンテナ1gのS11の変動について検証したので、ここで説明する。図16は、間隙Dを変化させたときのS11の変動を例示する図である。図16の縦軸はS11(db)を例示し、横軸は周波数(MHz)を例示する。本検証では、ループアンテナ101gを動作させる周波数f71を700MHzとし、ループアンテナ201gを動作させる周波数f74を2000MHzとした。図16に例示する検証では、間隙Dの間隔を、λ71/137、λ71/65、λ71/50、λ71/42.6の4種類に設定した場合について検証した。なお、本検証では、各導体素子の比誘電率を3.0とした。図16を参照すると理解できるように、間隙Dを、ループアンテナ101hが用いる周波数f71の波長の1/50以下とすることで、周波数f71と周波数f74との何れに対しても、スマートフォン用のアンテナとして好ましい値(S11が6db以下)とすることができる。
【0060】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0061】
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g・・・アンテナ装置
11、11a、11b・・給電線
12・・・第1導体素子
13・・・第2導体素子
13a、13b・・・第3導体素子
14・・・第4導体素子
2・・・給電点
21、21a・・・第1接続素子
22、22a・・・第2接続素子
23、23a、23b・・・屈曲素子
3・・・グランド基板
3a・・・グランド面
31、31a、31b、32・・・グランド
41・・・キャパシタ
42・・・インダクタ
43・・・スイッチ素子
101・・・第1ループアンテナ
101g、101h、101k、201g・・・ループアンテナ
201、201a、201b・・・第2ループアンテナ
111、111a・・・第1端点
112、112a・・・第2端点
301・・・モノポールアンテナ
500・・・スマートフォン
51・・・金属フレーム
511、512・・・スリット
D・・・間隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16