(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】ディスプレイの特性評価の方法および光学システム
(51)【国際特許分類】
H04N 17/04 20060101AFI20230803BHJP
G01M 11/00 20060101ALI20230803BHJP
H04N 13/307 20180101ALI20230803BHJP
G02B 30/33 20200101ALI20230803BHJP
G02B 27/02 20060101ALN20230803BHJP
【FI】
H04N17/04 A
G01M11/00 T
H04N13/307
G02B30/33
G02B27/02 Z
(21)【出願番号】P 2021565997
(86)(22)【出願日】2020-04-29
(86)【国際出願番号】 EP2020061899
(87)【国際公開番号】W WO2020225053
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2021-12-13
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519278343
【氏名又は名称】ウープティックス ソシエダ リミターダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】カルモナ バレステル,ダビド
(72)【発明者】
【氏名】トルヒーリョ セビーリャ,フアン マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】ボナク ゴンサレス,セルヒオ
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス ラモス,ホセ マヌエル
【審査官】長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3180075(JP,U)
【文献】特表2013-539078(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0008181(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 17/00
G01M 11/00
H04N 13/00-13/398
G02B 30/33
G02B 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にライトフィールドディスプレイまたは位相スクリーンを備えているまたは備えていないディスプレイであるディスプレイ(100)を特性評価し動作させる方法であって、
少なくとも1つのテスト信号がディスプレイ(100)への入力として提供される入力段階と、
ディスプレイ出力情報を取得するためのキャプチャ段階とを含み、前記キャプチャ段階が、
前記ディスプレイから離れた位置に配置された少なくとも1つの取得システム(104)によって、提供された前記少なくとも1つのテスト信号に応答したディスプレイ(101)のインパルス応答をキャプチャするステップを含み、前記インパルス応答のキャプチャは、前記少なくとも1つのテスト信号に応答して前記ディスプレイ(101)によって放射された光の、前記少なくとも1つの取得システム(104)における受信強度分布を測定するステップを含み、
および/または、前記少なくとも1つのテスト信号に応答して、前記ディスプレイ(101)によって放射された光の波面位相をキャプチャするステップを含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのテスト信号を提供することは、前記ディスプレイ(101)の1つ以上のピクセル(107)を、前記ディスプレイのダイナミックレンジ内の所定の値、例えば輝度強度値に設定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記
キャプチャ段階において取得したディスプレイ出力情報に基づいて表示画像が特性評価され、前記特性評価が、
前記少なくともテスト信号に応答して前記ディスプレイ(101)から放射され、前記少なくとも1つの取得システム(104)によって測定された光の前記
受信強度分布の加重和に基づく一次方程式に基づいて、前記ディスプレイ(101)を特性評価すること、および/または、
前記少なくとも1つのテスト信号に応答して前記ディスプレイ(101)によって放射され、前記少なくとも1つの取得システム(104)によってキャプチャされた光の前記波面位相の重加重和に基づく一次方程式に基づいて、前記ディスプレイ(101)を特性評価することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのテスト信号に応答して前記ディスプレイ(101)によって発せられた光の波面位相をキャプチャまたは測定することが、フレネル回折近似法、フラウンホーファー回折近似法、レイリー・ゾンマーフェルト回折近似法のうち少なくとも1つの回折近似に従って、前記少なくとも1つのテスト信号に応答して前記ディスプレイによって発せられた光の、少なくとも1つの位相スクリーンへの伝搬および/または少なくとも1つの取得システム(104)への伝搬を計算することを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくともテスト信号に応答して前記ディスプレイ(101)によって放射された光の測定された前記
受信強度分布、および/または、前記少なくとも1つのテスト信号に応答して前記ディスプレイ(101)によって放射された光の前記キャプチャされた波面位相が、コンピュータ可読記憶媒体または記憶装置に画像/複数の画像として保存される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
表示段階をさらに備え、前記ディスプレイ(101)に出力されるべき入力信号を表示することが、前記キャプチャされた表示出力情報を考慮して前記入力信号を表示することを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記表示段階は、前記キャプチャされた波面位相情報に基づいて、前記入力信号の前記波面位相を所定の光学面に伝搬することをさらに含む、請求
項6に記載の方法。
【請求項8】
コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法に従って、ディスプレイ(101)、特にライトフィールドディスプレイ、または位相スクリーンを備えた、または備えていないディスプレイを特性評価するための方法を実行させる命令を担持する、コンピュータ可読媒体。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法に従って、ディスプレイ(101)、特にライトフィールドディスプレイまたは位相スクリーンを備えているまたは備えていないディスプレイを特性評価するための方法を実行するように構成された、少なくとも1つのプロセッサユニット、例えば、グラフィカルプロセッサユニットGPUまたは中央処理装置CPUを備えたコンピュータシステム。
【請求項10】
フィールドプログラマブルゲートアレイFPGAおよび/または複合プログラマブルロジックデバイスCPLDをさらに備えた、請求項9に記載のコンピュータシステム。
【請求項11】
特にライトフィールドディスプレイ、または位相スクリーンを備えた、または備えていないディスプレイであるディスプレイ(101)を特性評価する光学システム(100)であって、
少なくとも1つの取得システム(104)を備え、前記少なくとも1つの取得システムが、前記ディスプレイから所定の距離に配置可能であり、
前記少なくとも1つの取得システム(104)が、前記ディスプレイに印加された少なくとも1つのテスト信号に応答して前記ディスプレイ(101)のインパルス応答をキャプチャするように構成されており、前記インパルス応答のキャプチャが、前記印加された少なくとも1つのテスト信号に応答して前記ディスプレイ(101)によって放射された光の前記少なくとも1つの取得システム(104)での受信強度分布を測定することを含み、
および/または、前記少なくとも1つの取得システム(104)が、前記ディスプレイ(101)に印加された前記少なくとも1つのテスト信号に応答して、前記ディスプレイ(101)によって放射された光
の波面位相をキャプチャするように構成されている、光学システム(100)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの取得システム(104)が、少なくとも1つのカメラ、例えば入射光の光強度をキャプチャするカメラ、および/または入射光の前記
光強度と方向の両方をキャプチャするライトフィールドカメラもしくはプレノプティックカメラを備えている、および/または、
少なくとも1つの波面センサ、例えば、間接波面センサ、および/または、少なくとも1つの直接波面センサ、例えば、シャックハルトマンセンサを備えている、請求項11に記載の光学システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1の前文に記載されたタイプの方法、特許請求項8の前文に記載された記憶媒体、特許請求項9の前文に記載されたコンピュータシステム、および特許請求項11の前文に記載された光学システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の伝統的なディスプレイ技術は、一般的に、所定の方法で配置されたピクセルと呼ばれる単位の特定の構造を照らすか照明することによって電磁場を放射することに基づいている。
【0003】
ディスプレイのピクセル構造は様々な方式で形成され得るものであり、様々な方式は、限定はしないが、例えば、通常はディスプレイの背面に配置されている光源の減衰器として機能する液晶ディスプレイ(LCD)の分子の層や、とりわけ例えば有機発光ダイオード(OLED)、例えばパッシブマトリクス有機発光ダイオード(PMOLED)又はアクティブマトリクス有機発光ダイオード(AMOLED)を含む発光ダイオード(LED)などであり、各ピクセルは、電気信号に応じて一定量の光を発するLEDである。
【0004】
一般に、ブロッキングされた離散的または連続的なパターンを含むあらゆる光減衰材は、発光体またはデバイスがその後部または背面に光源として配置されている場合、有効なディスプレイとみなされ得る。
【0005】
電磁波が不均質な媒体、例えばディスプレイの光減衰材、および/または、観察者とディスプレイの間の媒体を通過すると、その波面の位相が元の形状や位相に対して歪んだり変形したりする。前記波面の歪みや収差は、光学システムの性能、特に電子ディスプレイの品質や性能に影響を与え、劣化させる可能性がある。
【0006】
さらに、電子ディスプレイの現在の欠陥、不規則性、表面変形および/またはピクセルの誤動作は、ディスプレイの性能を著しく低下させ得る波面歪みまたは波面位相変化を引き起こす可能性がある。
【0007】
上述した従来のディスプレイとは別に、特に光学ディスプレイシステムの品質および性能の劣化につながる波面歪みまたは収差の問題は、例えば、いわゆるライトフィールドディスプレイ(LFD)、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)および/またはライトフィールドヘッドマウントディスプレイ(LF‐HMD)などの他のタイプのディスプレイにも影響を与える。
【0008】
ライトフィールドディスプレイは、従来のディスプレイにマイクロレンズアレイ(MLA)やピンホールアレイなどの導波路や、表示ピクセルから放射される光線のガイドとして機能する任意のマスクが付随したディスプレイの一種である。ライトフィールドディスプレイは、自動視差検査を可能にし、ディスプレイの視野内で観察者に完全な視差を与えることができる。
【0009】
HMDは、ヘッドギアとして使用するために設計されたディスプレイであり、片目または両目の前にディスプレイ光学素子を備えており、特に仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)などの用途に使用され得る。
【0010】
ライトフィールドヘッドマウントディスプレイ(LF‐HMD)という用語は、特に、ライトフィールドディスプレイと同様の導波路、例えばマイクロレンズアレイやピンホールアレイ、マスクなどをさらに備えたHMDを指す。
【0011】
HMDやLF‐HMDは、その視野内でオートマルチコピーの視聴も可能にし得る。
【0012】
前記導波管、例えばマイクロレンズアレイ(MLA)またはピンホールアレイ、または表示ピクセルによって放射される光線のガイドとして作用し得る任意のマスクは、ディスプレイによって/表示ピクセルによって放射される波面にさらなる波面位相変化を付与し得る位相スクリーン/追加の位相スクリーンとして作用し得る。
【0013】
例えば上述のタイプのいずれかによるディスプレイであるディスプレイによって放射される波面の前記収差または波面歪みまたは波面位相変化を測定し、場合によっては補正し、表面変形および/またはピクセルの誤動作を含む特性および/またはディスプレイの計測をよりよく理解し、ディスプレイの動作を最適化することは、技術的に困難であり、特に複雑な光学センサおよび/または計算上複雑なアルゴリズムを必要とする可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の目的は、例えば上記の任意のタイプのディスプレイである電子ディスプレイの計測および動作の最適化のための改良された手段を提供することである。
【0015】
特に、例えば、本発明の目的は、ディスプレイによって放射される波面の特性および展開を測定するための改良された手段を提供すること、特に、波面歪み、例えば波面位相歪みを測定および監視するための改良された手段を提供することである。
【0016】
さらに、特に、本発明の目的は、電子ディスプレイによって放射される波面の時間的な波面変化または時間的な位相変化の測定および分析を簡素化し、高速化することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の方法、請求項8に記載の記憶媒体、請求項9に記載のコンピュータシステム、および請求項11に記載の光学システムによって達成される。
【0018】
有利な実施形態およびさらなる展開は、従属請求項の主題である。
【0019】
例えば、特にライトフィールドディスプレイ、1つの位相スクリーンを備えたディスプレイ、複数の位相スクリーンを備えたディスプレイ、または位相スクリーンを備えていないディスプレイであるディスプレイを特性評価し動作させる方法は、以下のステップのうち1つ、いくつか、またはすべてを含み得る。
・少なくとも1つのテスト信号をディスプレイの入力として提供する入力段階であって、テスト信号は、例えば、単一の過渡的な信号インパルスまたは一連の信号インパルスであり得る、すなわち、ディスプレイに提供される入力は、信号インパルスの形態の入力として理解され得る、入力段階、
・ディスプレイ出力情報を取得するためのキャプチャ段階、
・前記キャプチャ段階は、前記ディスプレイから離れた位置に配置された少なくとも1つの取得システムによって、少なくとも1つの提供されたテスト信号に応答するディスプレイのインパルス応答をキャプチャすることを含み、前記インパルス応答のキャプチャが、前記少なくとも1つの取得システムで、前記少なくとも1つのテスト信号に応答して前記ディスプレイによって放射された光の受信強度分布を測定することを含み、
・および/または、前記キャプチャ段階は、前記少なくとも1つの取得システムまたはさらなる追加の取得システムによって、前記少なくとも1つのテスト信号に応答して前記ディスプレイによって放射された光の波面位相をキャプチャすることを含み得る。
【0020】
上記および本明細書で説明したディスプレイを特性評価し動作させる例示的な方法は、特に、任意の位相スクリーンの存在下で、また、ディスプレイの物理的構造および/または機能における不規則性の存在下で、上述したタイプのいずれかのディスプレイの特性評価を改善することを可能にする。
【0021】
完全を期すために、上述したタイプのディスプレイ、例えばLCD、LED、LFD、HMD、LF‐HMDのいずれかに加えて、ディスプレイを特性評価し動作させる上記および本明細書で説明した例示的な方法および手段は、特に、ブラウン管ディスプレイ(CRT)、エレクトロルミネッセントディスプレイ(ELD)、電子ペーパーまたはプラズマディスプレイパネル(PDP)にも適用可能であることをさらに指摘しておく。
【0022】
ここで、ディスプレイを特性評価するステップはとりわけ、特にディスプレイの構造、例えば表面構造および/またはピクセル構造の計測を提供すること、および例えば輝度、明度、コントラスト、解像度、ピクセルピッチ、位相スクリーントポグラフィー、ピクセルの誤動作などのディスプレイの特性を提供することとして理解され得る。
【0023】
さらに、ディスプレイを動作させるステップは、特に、導出されたまたは決定された計測値、すなわち、導出されたまたは決定されたディスプレイの特性に基づいて、ディスプレイを動作させるものと理解され得る。例えば、ディスプレイの動作中に、ディスプレイによって出力される入力信号が、決定されたディスプレイ特性またはディスプレイ計測に基づいて変更されてもよく、例えば、ディスプレイの特定のピクセルおよび/または特定のピクセルのセットが、前記特定のピクセルまたは前記特定のピクセルのセットのいくつかの欠陥または誤動作を補償するために、特定の入力信号を提供されてもよく、例えば、特定のピクセルおよび/または特定のピクセルのセットが、特定の輝度強度値に設定されてもよい。
【0024】
上記および本明細書で説明したディスプレイを特性評価し動作させる例示的な方法は、特に、任意の位相のスクリーンおよび不規則性が存在する場合にディスプレイを特性評価する手段を提供することができ、例えば、通常のディスプレイの背面または後部に配置された二次液晶(LC)層またはマイクロレンズアレイ(MLA)が存在し、LCDの場合ではバックライトが構造の側面の1つに存在する場合に、ディスプレイを特性評価することができる。このような特性評価を利用して、前記ディスプレイの帯域幅のより良い利用を実現することができる。
【0025】
特に、上記および本明細書で説明したディスプレイを特性評価し動作させる例示的な方法は、ディスプレイを定義する空間構造の改善された特性評価を提供することができる。
【0026】
例えば、表示スクリーンを形成するピクセルは、既に一般的に使用されている正方形のRGB(赤‐緑‐青)構造に適合しない可能性のある特定の形状を有している可能性があり、前記特定の形状の測定または特性評価は、表示される画像からの特定の要素をより良い、例えばより正確な方法で表現するために使用され得る。
【0027】
さらに、ディスプレイの製造プロセスに内在する光学素子や製造ステップは、ディスプレイの構造を変化させる可能性があり、その結果、異なるアーチファクトが発生する。これらのアーチファクトは、周囲のピクセルと干渉して、ディスプレイ領域の有効帯域幅を変化させる可能性がある。よって、このような情報を考慮することで、ディスプレイの帯域幅のより最適な使用につながり、それによりディスプレイの動作を改善することができる。
【0028】
上記および本明細書で説明するディスプレイのインパルス応答のキャプチャおよび/または取得システムによる波面位相のキャプチャによって特性評価され測定され得るさらなる例示的なディスプレイ特性は、ディスプレイキャリブレーションおよび/または色補正のためのディスプレイのバックライトおよび/または色を含んでもよい。
【0029】
上記および本明細書で説明するディスプレイのインパルス応答のキャプチャおよび/または取得システムによる波面位相のキャプチャによって測定/特性評価できるさらなるディスプレイ特性または特徴は、隣接または隣り合うピクセル間の相互依存性である。例えば、あるピクセルがオンになると、そのピクセルの隣のピクセルにも影響を与える可能性があり、そのため、例えば、真ん中のピクセルがオンになった3つのピクセルについて、0.1‐0‐1のようなピクセル値の信号の代わりに、実際には0.1‐1‐0.1のような信号を得る場合がある、すなわち、ピクセルに印加された信号はその隣接するピクセルに漏れる/クロストークする可能性がある。
【0030】
この効果を特性評価/測定を用いて、例えば、ディスプレイを制御/操作するためのドライバを修正することで、このような望ましくないディスプレイ挙動を補償/補正することができる。
【0031】
さらに、上記および本明細書で説明する方法および手段を用いて、製造中の異なるディスプレイ層の積層中に発生した可能性のあるディスプレイの異なる層のずれ、例えば、ライトフィールドディスプレイ(LFD)用のLCDである表示スクリーン上へのマイクロレンズアレイ(MLA)積層中に発生した可能性のある、ディスプレイの異なる層のずれを、キャプチャされたインパルス応答およびまたは測定された波面位相に対するそれらの影響によって測定または特性評価することができ、その結果、この情報はディスプレイを動作させるためにドライバを適宜制御するために使用され得る。
【0032】
少なくとも1つのテスト信号を提供するステップは、特に、ディスプレイの1つ以上のピクセルを、ディスプレイのダイナミックレンジ内および/またはディスプレイのカラーシステム内で、所定の値、例えば、輝度強度値および/または色値に設定し、所定の期間にわたり継続することを含んでいてもよい。例えば、少なくとも1つのテスト信号を提供する際、ディスプレイの1つ以上のピクセルをその最大輝度強度値に設定してもよい。
【0033】
例えば、一連のテスト信号をディスプレイに印加/提供することができ、前記一連の各テスト信号は、ディスプレイの1つのピクセルまたはピクセル群のみを所定の値(例えば、輝度強度値および/または色値)に設定することを含み、異なるテスト信号間のピクセルは互いに異なる、および/または若干のオーバーラップがある。
【0034】
ここで、テスト信号とは、特に、ディスプレイに印加される一連の信号または一連の信号インパルスを含むものと理解され得る。
【0035】
言い換えると、ディスプレイに印加/提供可能なテスト信号は、ディスプレイの1つのピクセルまたは一群のピクセルが所定の値、例えば輝度強度値に設定され、異なる信号間のピクセルが互いに異なる、および/またはいくつかのオーバーラップを有する、一連の信号として理解され得る。
【0036】
前記例示的なテスト信号または例示的な一連の信号において、連続する信号間の所定の時間間隔または時間ギャップ、例えば、ディスプレイのピクセルまたはピクセル群、例えば4×4ピクセルの一群を所定の値に設定する間の時間間隔を、連続する信号間の望ましくない干渉を回避し、十分にクリーンで正確なインパルス応答を得るように選択することができる。例えば、連続した信号/連続したテスト信号の間の前記所定の時間間隔または時間ギャップは、電源投入後の表示ピクセルのセトリングタイムに依存する場合がある、および/または、ディスプレイのリフレッシュレート(例えば、60fpsのディスプレイでは0.017ms)に依存する場合がある、および/または、取得システムの速度(例えば、シャッタースピードまたは露光時間)に依存する場合がある。
【0037】
実際には、また、実験の結果、連続する信号/連続するテスト信号の間の前記所定の時間間隔または時間ギャップは、少なくとも0.05msであり、例えば、好ましくは0.05ms~0.2msにあることが分かっている。
【0038】
ただし、例えば、視覚収差を補正するために光学システムのデフォーカスを大きくする場合には、前記例示的な時間が長くなってもよい。
【0039】
ディスプレイの特性評価の解像度と精度を向上させるために、例えば、反復/一連のテスト信号/一連の信号をディスプレイに印加することができ、各信号/各テスト信号について、ディスプレイのすべてのピクセルがテスト信号/信号を受けた後、すなわち、ディスプレイのすべてがテスト信号によって走査されるまで、ディスプレイの1つのピクセルのみが所定の値、例えば、輝度強度値に設定される。
【0040】
ディスプレイ出力情報を取得するための例示的なキャプチャ段階において、例示的な取得システムは、次に、各少なくとも1つの信号/各少なくとも1つのテスト信号/各少なくとも1つのテスト信号インパルスについて、各信号/各テスト信号/各テスト信号インパルスに応答してディスプレイによって放射された光の、少なくとも1つの取得システムで受信した強度分布を測定する画像、すなわち、インパルス応答の強度画像の形態でのインパルス応答をキャプチャし得る、および/または、例示的な取得システムは、各少なくとも1つの信号/各少なくとも1つのテスト信号/各少なくとも1つのテスト信号インパルスに対して、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイによって放射された光の波面位相をキャプチャする位相画像、すなわち、位相画像の形態でのインパルス応答をキャプチャし得る。
【0041】
少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイのインパルス応答をキャプチャするための例示的な少なくとも1つの取得システムにおいて、前記インパルス応答のキャプチャは、少なくとも1つの取得システムで、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイが放射する光の受信強度分布を測定することを含んでいてもよく、および/または、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイが放射する光の波面位相をキャプチャすることを含んでいてもよく、取得システムは、少なくとも1つのカメラ、例えば、入射光の強度をキャプチャするためのカメラ、および/または、入射光の強度と方向の両方をキャプチャするためのライトフィールドカメラもしくはプレノプティックカメラを含んでいてもよく、および/または、少なくとも1つの波面センサ、例えば間接波面センサおよび/または少なくとも1つの直接波面センサ、例えばシャックハルトマンセンサを含んでいてもよい。
【0042】
例示的な上述の強度画像および/または位相画像は、取得システムによってデジタル形式でキャプチャすることができ、記憶領域を節約するために、テスト信号/信号を受けた表示領域/表示ピクセル(複数可)に対応する画像部分/画像領域のみを残すようにクロップされてもよい。
【0043】
さらに、得られたディスプレイ出力情報に基づいて、ディスプレイまたは表示画像を特性評価することができ、例えば、前記特性評価は、少なくともテスト信号に応答してディスプレイから放射され、少なくとも1つの取得システムによって測定された光の強度分布の加重和に基づく連立一次方程式に基づいてディスプレイを特性評価することを含み得る。
【0044】
言い換えると、ディスプレイに提供された少なくとも1つのテスト信号に応答して、少なくとも1つの取得システムによってキャプチャされたインパルス応答は、少なくともテスト信号に応答してディスプレイによって放射された光の強度分布をキャプチャまたは測定したものであり得る。
【0045】
すなわち、ディスプレイに提供された少なくとも1つのテスト信号に応答して、少なくとも1つの取得システムによってキャプチャされた例示的な取得ディスプレイ出力情報は、例えば、取得システムによって少なくとも1つの画像をキャプチャすることを含んでもよく、この画像は、さらなる分析およびさらなる処理のためにデジタル形式で保存され得る。
【0046】
ディスプレイに提供される少なくとも1つのテスト信号に応答して、少なくとも1つの取得システムによってキャプチャされ得る前記例示的な画像は、表示画像と呼ばれてもよい。
【0047】
例えば、得られた表示出力情報または表示画像、すなわちキャプチャされたインパルス応答の分析は、3つの異なる空間位置、例えば3つの異なる光路距離z0、z1およびz2に配置された少なくとも3つの2次元座標系または光学平面、例えば3つの直交2次元座標系、例えば空間位置z0に配置されたディスプレイの座標系χ、空間位置z1に配置された位相スクリーンの座標系ζ、および空間位置z2に配置された取得システムの座標系Γを定義することを含んでもよい。完全を期すために、参照符号χ、ζ、Γは、前記例示的な2次元座標系または光学平面、例えば、表示面(χ)、位相スクリーン平面(ζ)および取得システム平面(Γ)を表す法線ベクトルを指すこともあることに留意されたい。
【0048】
例えば、
【数1】
が、ディスプレイ、例えば、平面/座標系χと、位相スクリーン、例えば平面/座標系ζとの距離として解釈され得るように、便宜上Z
0をゼロに設定することができ、位置z
2は、ディスプレイ、例えば、平面/座標系χと、取得システム、例えば、平面/座標系Γとの離と解釈され得る。
【0049】
さらに、上記の例示的な平面/二次元座標系χ、ζ、Γは、空間内で互いに平行にも非平行にも配置され得、すなわち、互いに異なる空間的方向性を有し得る。言い換えると、ディスプレイおよび/または位相スクリーンおよび/または取得システムは、互いに平行に、または角度を持って、すなわち傾いて配置され得る。
【0050】
少なくとも1つの取得システムによって測定またはキャプチャされた、少なくとも1つの提供されたテスト信号に応答したディスプレイのインパルス応答IRは、例えば、以下の(ベクトル)式によって定義され得る。
I(Γ)=I(m(χ,ζ,z1)z2+ζ)
式中、I(Γ)は、テスト信号に応答してディスプレイによって放射された光が、光の幾何学的伝搬によって少なくとも1つの取得システムの平面に伝播した後で、少なくとも1つの取得システム上/で、例えば少なくとも1つの取得システムのセンサ、例えばイメージセンサ上/で生成/受信された光強度であり、パラメータm(χ,ζ,z1)は、光学平面χおよびζ内の座標に対する各光線の傾きと、両者間の距離z1を示している。言い換えると、m(χ,ζ,z1)は、χ内のある点からζ内のある点に向けて放射された光線の、χ平面とζ平面との距離に対する傾きを表していると考えられる。
【0051】
完全を期すため、本明細書では、波面、すなわち電磁波の波面や光子の伝搬は、幾何学的光学の法則に従うと仮定しており、例えば、伝播方向は波面に対して垂直であると仮定されることに留意されたい。さらに、波面は、同じ位相を有する波の点の集合によって定義され得る、すなわち、波面または波面形状は、位相マップ、例えば、2次元の位相マップによって記述され得ることに留意されたい。
【0052】
分析やさらなる処理、例えば信号対雑音比を向上させるために、ディスプレイのすべてのピクセルの輝度/強度をゼロに設定した、ディスプレイからのバイアス画像が取得され得る。次に、このバイアスは、例えば、取得システムで取得/測定されたインパルス応答IRから減算され得る。
【0053】
代替的にまたは追加的に、少なくとも1つの取得システム自体からのバイアスまたはダーク画像を取り込んで、それを、ディスプレイに入力として提供されるテスト信号に応答したディスプレイのキャプチャされたインパルス応答の、取得システムによって取り込まれた画像から減算してもよく、それにより、取得システムの感度の変動、例えば取得システムのセンサ、例えば電荷結合素子センサ(CCD)のホットピクセルまたはコールドピクセルを補償することによって、信号対雑音比をさらに改善することができる。
【0054】
例として、Pを少なくとも1つの取得システムの解像度、例えば取得システムの電荷結合素子センサ(CCD)のピクセル単位の解像度とし、Rを行列とし、各列が取得システムによって画像にキャプチャされた表示ピクセルのベクトル化された応答を含む、すなわち、Rは行列として理解され得るものであり、各列が、取得システムによってキャプチャされた画像の形態でのインパルス応答IRn(nは表示ピクセルインデックスまたはテスト信号インデックス)を表し、前記画像はテスト信号に応答してディスプレイによって/表示ピクセルによって放射された光の強度分布を表し、ベクトルρをディスプレイの各ピクセルの決定されるべき強度値または重みまたは係数、すなわちディスプレイの強度分布とし、最も正確な方法で表示されるべき画像をディスプレイが表わすようにする。
【0055】
ここで、ベクトル化という用語は、特に、配列や画像をプログラミング言語で使用するためにベクトルで表現できるように、配列や画像をアンラッピングことと理解され得る。
【0056】
次に、ディスプレイの観察すべき画像I(またはディスプレイによって表示される画像)について、表示ピクセルインデックス(またはテスト信号インデックス)n=1~Nで、Nがディスプレイの物理的解像度を表す自然数であるn連立一次方程式が、Rとρの直積に対する総和によって、すべての表示ピクセルnについて以下によって定義され得る。
【数2】
式中、I
pは、テスト信号に応答してディスプレイ、すなわち表示ピクセルまたは表示ピクセル群が放射する光の、取得システムによって受信またはキャプチャされた強度または強度分布と理解することができ、取得システムがρの解像度を有し、取得システムピクセルインデックスがρ=1~ρであり、ρ
nは、物理的なディスプレイ上の各ピクセルが、最も正確で真正な方法で表現するために有する強度値である。
【0057】
完全性を期して、画像Ipは、取得システムやディスプレイの解像度に合わせて生成/調整され得ることに留意されたい。
【0058】
言い換えると、Ipは、観察者または取得システムが、画像Iを表示するディスプレイを見るときに理想的に観察すべき既知の入力/既知の画像I(例えば、既知のテスト信号/既知のテスト画像)の強度値と理解することができ、本明細書では、対物画像とも呼ばれ、対物強度値と理解され得る、すなわち、Ipは、観察者または取得システムが画面を見たときに知覚される強度値と理解され得る。
【0059】
ここで、用語IpまたはIは、強度画像(複数可)と呼ばれ得る。
【0060】
したがって、例示的な上述の表現方程式は、テスト信号/テスト画像に応答してディスプレイによって放射され、取得システムによって測定される光の強度分布の加重和に基づく連立一次方程式の例である。
【0061】
ρの前記例示的な連立方程式を解くと、特に前記ρを、ディスプレイを特性評価し動作させる基礎として使用することができるが、それは、ρまたはρnが、IまたはIpを最も正確に表現するために物理的なディスプレイ上の各ピクセルが有するべき強度の値を備えているためである。ρまたはρnを決定することで、ディスプレイの上述の特性を決定し、ディスプレイの構造や特性によって引き起こされる可能性のあるエラー、収差、アーチファクトに対して、表示される画像を補正することができる。ディスプレイに関する上記の連立一次方程式は、例えば、以下のユークリッドl2ノルム式の最小二乗法による最小化によって解くことができる(ここでは、分かりやすくするために、Ip、Rp,n、ρnのインデックスを省略している)。
min||I-Rρ||2
【0062】
取得システムによって取得され得る表示画像Iと、そこから得られたρまたはρn、すなわち、ディスプレイの各ピクセルの強度値または重みまたは係数、すなわちディスプレイの強度分布は、ディスプレイの特性および特徴を特性評価する基礎となり、例えば、ディスプレイの所望の基準特性、基準構造および基準特徴と比較することができる。
【0063】
付加的にまたは代替的に、ディスプレイまたは表示画像は、得られたディスプレイ出力情報に基づいて特性評価されることができ、例えば、前記特性評価は、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイによって放射され、少なくとも1つの取得システムによってキャプチャされた光の波面位相の加重和に基づく連立一次方程式に基づいて、ディスプレイを特性評価することを含んでもよい。
【0064】
ここで、位相スクリーンは、特に、複素数式e-jφによってモデル化することができ、式中、φは、所定の位相スクリーンに対する2次元位相マップであり、jは虚数である。
【0065】
例えば、波面、すなわち電磁場Uが位相スクリーンを通過すると、結果として生じる場や波面はUe-jφの形状または形態を有することになる。
【0066】
計算上の観点から、位相スクリーンは、異なる行列要素が異なる位相変化値を表す行列でモデル化され得る。少なくとも部分的に透明な物体は、位相スクリーンの集合またはスタックとしてモデル化され得る。
【0067】
特に、ディスプレイ、すなわち表示面χからの、0の距離を含む任意の距離での、放射される電磁場の波面位相に対する位相スクリーンの各ピクセル(任意の可能な組み合わせでの)の寄与を測定することが可能である。
【0068】
そこで、ディスプレイまたは表示スクリーンから放射される放射電磁場Usは、自然指数関数であるexp[]を用いて次のように表され得る。
Us(χ)=As(χ)exp[jφ(χ)]
式中、jは虚数、kは波数、λは波長、φは位相、s、χは表示面を指し、χは表示面sで使用する座標系を示す。
【0069】
この放射は、ディスプレイの各ピクセルに与えられる強度の値に依存する、つまりディスプレイに入力されるテスト信号に依存する。
【0070】
例えば、ディスプレイによって放射された波面が、その後、距離z
1の位相スクリーンに伝搬される場合、前記伝搬は、回折レジームに依存し、例えば、以下の回折法則の1つに従って伝播され得る。
・フレネル回折近似法
【数3】
・フラウンホーファー回折近似法
【数4】
・レイリー‐ゾンマーフェルト近似法
【数5】
【0071】
さらに、位置または距離z
1において、すなわち位相スクリーンにおいて、ディスプレイと位相スクリーンの間の乱流媒体の位相寄与は、位相スクリーンにおける電磁場U
1(ζ)に以下のように含まれ得る。
【数6】
【0072】
するとディスプレイの電磁場は、取得システム平面で電磁場U2(Γ)が得られるように、上述の回折法則と乱流媒体の位相寄与の近似に従って、かつ置換z=z2-z1で、例えば、位置または距離z2で取得システムの波面位相センサによって得られる電磁場U2(Γ)を参照して、距離z2すなわち取得システム面までさらに伝搬され得る。
【0073】
完全を期すために、上および下の表現では、インデックス1が位相スクリーンを指し、インデックス2が取得システム面平面を指すことに留意されたい。
【0074】
さらに、ディスプレイの電磁場/電磁波面に対する位相スクリーンの位相寄与は、任意の数の積層された位相スクリーンの寄与として考慮/モデル化することができ、例えば、積層された位相スクリーンの層間でディスプレイの電磁場/電磁波面の伝搬が行われる場合には、上述の例示的な回折法則および例示的な乱流媒体の位相寄与近似が適用され得ることに留意されたい。
【0075】
取得システムの前記例示的な潜在的波面センサは、次に、ディスプレイによって放射され前記例示的な位相スクリーン(複数可)を介して伝搬された波面の波面位相画像をキャプチャして、記憶装置に保存することができ、ディスプレイの特性および特徴を特性評価するための基礎として機能することができる。
【0076】
取得システムの潜在的波面センサによってキャプチャされ得る波面位相情報は、次に、取得システムによってキャプチャされ得、上記のように、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイによって放射された光の強度分布を含む表示画像と同様に、ディスプレイを特性評価するために使用され得る。
【0077】
例えば、取得システム平面で取得システムの波面センサによってキャプチャされた波面位相情報または電磁場情報は、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイによって放射された光の波面位相の加重和に基づいて、以下の連立一次方程式として表わされ得る。
【数7】
式中、電磁場の大きさは、強度の寄与
【数8】
に関連し得るものであり、nは、センサ平面での位相を評価するために使用される刺激の数/テスト信号の数(または、ディスプレイのピクセル数/ピクセル単位)であり、インデックス2は取得システム平面を意味する。前述のシステムは、次のユークリッドl
2ノルム式の最小化、例えば最小二乗法の最小化によって解くことができる。
【数9】
式中、
【数10】
は、ディスプレイから放射され、取得システムによってキャプチャ/測定された電磁場/波面位相の、取得システム平面における後方または前方への伝搬を表す。
【0078】
したがって、取得システム平面で取得システムによってキャプチャ/測定された電磁場/波面位相は、例えば、異なる複数の観察者/異なる観察者の位置を表し得る他の平面/他の光学的深度に伝搬され得る。
【0079】
それにより、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイによって放射された光のキャプチャ/測定された波面位相は、上述の回折近似である、フレネル回折近似法、フラウンホーファー回折近似法、レイリー・ゾンマーフェルト回折近似法のうちの少なくとも1つに従って、少なくとも1つの位相スクリーンおよび/または少なくとも1つの取得システムおよび/または任意の観察者位置への、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイによって放射された光の伝搬を計算することを含んでもよい。
【0080】
先に示したように、少なくともテスト信号に応答してディスプレイから放射された光の、取得システムによって測定された強度分布、および/または、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイから放射された光の、取得システムによってキャプチャされた波面位相は、コンピュータ可読記憶媒体または記憶装置に画像/複数の画像として保存され得る。
【0081】
少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイによって放射された光のキャプチャ/測定された強度分布情報、および/または、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイによって放射された光の、取得システムによってキャプチャされた波面位相情報は、ディスプレイの特性評価の基礎として機能する以外に、ディスプレイの動作および性能を改善するためにも使用され得る。
【0082】
例えば、本明細書に記載された方法は表示段階をさらに含み、ディスプレイに出力される入力信号を表示することは、キャプチャされたディスプレイ出力情報を考慮して入力信号を表示することを含み得る。
【0083】
例えば、取得システムによってキャプチャされた情報から、特定の表示ピクセルがテスト信号に対して異なる応答を有する、例えば、より多くの光またはより少ない光を放射する、すなわち、テスト信号に従ってあるべきよりも明るいまたは薄いことが判定された場合、例えば、測定された偏差を補償するために、前記ピクセルの明るさが調整され得る。
【0084】
さらに、出力されるべき入力信号をディスプレイに表示し、そこにキャプチャされたディスプレイ出力情報を考慮する例示的なステップは、キャプチャされたディスプレイ出力情報から検出/導出された視覚収差を補正することを含み得る。
【0085】
さらに、例えば、ディスプレイから放射された電磁場の波面位相が測定されると、キャプチャされた波面位相情報に基づいて、出力されるべき入力信号の波面位相が所定の光学平面に正確に伝搬され得る。
【0086】
ディスプレイ、特にライトフィールドディスプレイ、または位相スクリーンを備えた、または備えていないディスプレイを特性評価し動作させる、上記および本明細書で説明する例示的なステップは、コンピュータ可読記憶媒体にコンピュータ可読命令として格納することができ、これにより、前記媒体から前記命令を読み取るコンピュータシステムは、上記および本明細書で説明したステップのいずれかを実施することが可能になる。
【0087】
ディスプレイを特性評価し動作させるための、上記および本明細書で説明する例示的なステップのいずれかを実行するのに適したコンピュータシステムは、少なくとも1つのプロセッサユニット、例えば、グラフィックプロセッサユニット(GPU)、または中央処理装置(CPU)を含んでいてもよい。
【0088】
前記例示的なコンピュータシステムは、ディスプレイを特性評価し動作させるための、上記および本明細書で説明する例示的なステップのための計算を実行するように構成されているか、またはその実行を支援/サポートするように構成されているフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)および/または複合プログラマブルロジックデバイス(CPLD)を含み得ることもさらに想定される。
【0089】
ディスプレイ、特にライトフィールドディスプレイ、または1つの位相スクリーンもしくは複数の位相スクリーンを備えたディスプレイ、または位相スクリーンを備えていないディスプレイを特性評価し動作させる例示的な光学システムは特に、少なくとも1つの取得システムを含み、少なくとも1つの取得システムはディスプレイから所定の距離に配置可能である。
【0090】
前記少なくとも1つの取得システムは、ディスプレイに印加された少なくとも1つのテスト信号に対するディスプレイのインパルス応答をキャプチャするように構成され得るものであり、前記インパルス応答のキャプチャは、印加された少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイから放射された光の、少なくとも1つの取得システムにおける受信強度分布を測定することを含み得る。
【0091】
付加的にまたは代替的に、前記少なくとも1つの取得システムは、ディスプレイに印加された少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイによって放射された光の波面位相をキャプチャするように構成され得る。
【0092】
前記例示的な少なくとも1つの取得システムは、少なくとも1つのカメラ、例えば、入射光の光強度をキャプチャするカメラ、および/または入射光の強度と方向の両方をキャプチャするライトフィールドカメラもしくはプレノプティックカメラを含んでもよい。
【0093】
付加的にまたは代替的に、前記少なくとも1つの取得システムは、少なくとも1つの波面センサ、例えば間接波面センサおよび/または少なくとも1つの直接波面センサ、例えばシャックハルトマンセンサを含み得る。
【0094】
本明細書に例示的に記載されている、ディスプレイ、例えば、ライトフィールドディスプレイ、1つの位相スクリーンもしくは複数の位相スクリーンを備えたディスプレイ、位相スクリーンを備えていないディスプレイ、または任意の種類のディスプレイを特性評価および動作させる手段は、ディスプレイの特性評価/計測および動作/運用性能に対して、複数の利点および改善を提供することができる。
【0095】
前記有利な利点および改善は、特に以下を含む。
・ディスプレイ表面の欠陥の補正‐例えば少なくとも1つのテスト信号に応答したディスプレイのインパルス応答のキャプチャに含まれるサンプリング/キャプチャされた情報を用いて、製造上の問題やディスプレイ表面に存在する望ましくないアーチファクトの影響を除去または軽減できるが、前記インパルス応答のキャプチャは、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイによって放射される、および/または、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイによって放射される光のキャプチャされた波面位相に含まれる光の受信強度分布を、少なくとも1つの取得システムで測定することを含む。
これは、特定の画像が観察者の網膜に直接レンダリングされると仮定しているためである。
本明細書に記載されている例示的な取得システムは、例えば目と同じ収差を仮定した場合に、ディスプレイのピクセルが取得システムにどのように転送されるかの尺度を提供することができるので、本明細書に提示されている方法に従って観察される画像は、観察者の網膜に直接レンダリングすることができると言える。
・低次収差と高次収差の補正
○インパルス応答のキャプチャが、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイから放射された光の受信強度分布を少なくとも1つの取得システムで測定することと、インパルス応答IR
nについての上記のn連立一次方程式を解くことを含む場合、暗黙の視覚収差が存在する場合に連立一次方程式の解を得ることができる。同様または同等の収差を有する観察者の場合、これは、例えば次のように表され得る。
【数11】
式中、
【数12】
は畳み込み演算子、
【数13】
は要素ごとの積、
【数14】
は、システム、例えば観察者/撮影システムがピンボケのときの畳み込みインパルス応答、Mは位相スクリーンを通る光線の幾何学的な伝播の空間的限界を考慮したマスク関数、PSFは点拡がり関数である。
この情報を用いて前記連立一次方程式を解くと、導入された収差を考慮した、このような光学的パワーでの再構成が得られる。
○少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイから放射された光の波面位相をキャプチャする際に、光学システム、すなわち観察者によって誘導された位相の観点から、観察者の点拡がり関数(PSF)の推定が行われ得る。これは、例えばゼルニケやザイデルなどの多項式の係数和として表わされ得る。歪みや収差がない状態で、観察者が理想的に認識すべき電磁場である対物電磁場の場合、光学システムの瞳では、対物電磁場
【数15】
に位相φ
obsが加えられる。
・超解像が実現され得る‐すなわち、少なくとも1つの提供されたテスト信号に応答してディスプレイから放射された光の強度分布を取得システムによって測定することを含む、少なくとも1つのテスト信号に応答したディスプレイのインパルス応答の測定が、ディスプレイの有効表示領域よりも高い解像度を有する、例えばカメラなどの取得システムで行われる場合、観察者の網膜にオーバーサンプリング画像が形成され得る。
・マルチデプスオートフォーカスが実現され得る。例えば、表示される画像の2つ以上の部分が異なる深さに割り当てられている場合、マルチデプスリフォーカスを考慮することが可能である。これは、デプスマップによって表現され得る。
本明細書に記載されている方法および手段は、デフォーカスや非点収差などの低次収差だけでなく、高次収差の補正も可能である。
・オートステレオスコピーが実現され得る。例えば、元のディスプレイをライトフィールド光源として使用する場合、両技術から得られる情報、すなわち、インパルス応答をキャプチャすることから得られる情報は、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイから放射される光の、少なくとも1つの取得システムにおける受信強度分布を測定することを含む(強度キャプチャ技術)、および/または、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイから放射される光の波面位相をキャプチャすることから得られる情報(波面位相キャプチャ技術)は、ライトフィールドディスプレイと通常のディスプレイとを切り替えるために使用され得る。
○強度キャプチャ技術:観察者の予想される位置に関連した複数のキャプチャ(ディスプレイからの異なる距離/位置で、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイから放射される光の強度分布の複数の測定)について、上記の連立一次方程式を解く。
○波面位相計測技術:ここで、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイから放射された光の電磁場または波面位相を一回のみ計測する必要があるが、なぜなら、計測された電磁場または波面/波面位相は、幾何学的な光学法則に従って後方または前方に伝搬し、ライトフィールドを考慮することができるからである。
・クロストークのないライトフィールドディスプレイが取得され得る。
強度キャプチャ技術および/または波面位相キャプチャ技術から得られた情報は、ナイキスト・シャノンサンプリング定理の条件が満たされない特定の距離に観察者がいる場合、2つの異なる視界のオーバーラップを観察するというライトフィールドディスプレイの問題を克服することができる。
クロストークを防ぐためには、例えば、どのような信号であっても、十分な精度で表現するために、その周波数の少なくとも2倍の周波数でサンプリングする必要がある。
以下の図は例を示す。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【
図3】ディスプレイの特性評価および操作方法の例示的態様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0097】
図1は、本発明のいくつかの態様を説明するために1次元に簡略化した基本光学機構例を示している。
【0098】
そこでは、例示的な光学平面/例示的な座標系χ内/に位置する例示的なディスプレイ101、例えば液晶ディスプレイ(LCD)が示されており、ディスプレイ101は、(第1の)位相スクリーン102、例えば例示的な光学平面/例示的な座標系ζ1内に距離109に位置する例示的なマイクロレンズアレイと共に、例示的なライトフィールドディスプレイ114または一体型ディスプレイを形成できる。それにより、距離109は、例えば、位相スクリーン102の焦点距離、例えばマイクロレンズアレイの焦点距離に対応し得る。
【0099】
例示的な光源105は、ディスプレイ101の背面に位置することができ、例示的なテスト信号または信号インパルスをディスプレイ101、114に印加し、例えば、ピクセル107を所定の輝度強度に設定するために使用され得る。
【0100】
例示的な取得システム104は、例示的な光学平面/例示的な座標系Γ内/に位置することができ、少なくとも1つの提供されたテスト信号に応答してディスプレイ101のインパルス応答106、IRをキャプチャするように構成することができ、インパルス応答の前記キャプチャは、少なくとも1つの取得システム104において、例えば、ピクセルまたは領域108において、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイ101によって放射された光の受信強度分布を測定することを含み得る、および/または、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイ101によって放射された光の波面位相をキャプチャすることを含み得る。
【0101】
任意で、例示的な取得システム104は、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイ101によって放射された光を取得システム104のセンサ上に収束させるために、取得システム平面Γから(焦点)距離111に配置された例示的な光学平面/例示的な座標系ζ2に配置された位相スクリーン103、例えば、位相スクリーン、例えば、レンズをさらに含んでもよい。
【0102】
完全を期すため、参照番号110は、2つの例示的な位相スクリーン102および104の間の例示的な光軸113に沿った距離110を示し、参照番号112は、例示的な少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイ101によって放射された光の主光線および補助光線を含む例示的な光線経路形状を示し、ディスプレイ101、104の例示的なピクセル107は、所定の輝度強度値に設定されることに留意されたい。
【0103】
位相スクリーン102が例示的なマイクロレンズアレイである例示的な場合には、例示的なセンサ平面/取得システム平面において例示的な取得システムによってキャプチャされたインパルス応答の位置Γ
IRは、例えば、次のように表わされ得る。
【数16】
式中、dは、例示的な位相スクリーン102と103の間の例示的な距離110を指し、f
mはディスプレイと(第1の)位相スクリーンζ
1の間の例示的な距離(焦点距離)を指し、f
lは例示的な任意の(第2の)位相スクリーンζ
2と取得システムの間の例示的な距離(焦点距離)を指す。
【0104】
言い換えると、前記例示的な表現は、表示面のテスト信号から、取得システム平面のキャプチャされたインパルス応答への位置マッピングを記述することができる。
【0105】
図2は、本発明のさらなる態様を説明するために、例示的な代替的光学システム/機構200を例示的に示している。
【0106】
ここでは、例示的な光学平面/例示的な座標系χに配置された例示的なディスプレイ201が示されており、例示的な光学平面/例示的な座標系ζに配置された位相スクリーン202、例えば例示的なマイクロレンズアレイと共に、例示的なライトフィールドディスプレイ207または一体型ディスプレイを形成し得る。
【0107】
例えば、上述のような取得システム(図示せず)であって、例示的な光学平面/例示的な位置/例示的な座標系Γ1に配置されている/されていたものが、少なくとも1つの提供されたテスト信号に応答して、ディスプレイ201、207のインパルス応答をキャプチャした可能性があると仮定して、インパルス応答の前記キャプチャは、少なくとも1つの取得システムで、少なくとも1つのテスト信号に応答して、ディスプレイ201、207から放射された光の受信強度分布を測定することを含む、および/または、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイ201、207によって放射された光の波面位相をキャプチャしていた可能性があり、さらに、取得システムによってキャプチャされた情報に基づいて、ディスプレイ201、207が上述のように特性評価されて動作すると仮定すると、Γ1に位置する例示的な観察者203のみが、すなわち、取得システム(図示せず)が最初に配置された場所にいる例示的な観察者203のみが、ディスプレイ201、207によって出力された画像を正しく見ることができる。
【0108】
しかしながら、例示的な取得システムは、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイ201、207によって放射された光の波面位相をキャプチャすることも可能であるため、前記キャプチャされた波面位相情報は、(上記でさらに説明したように)ディスプレイ201、207によって放射された光/電磁場を、上記の回折近似法則のいずれかを使用して、異なる距離/位置/光学的深さにある他の観察者の位置に伝播することができ、その結果、例えば、位置Γ2、Γ3にいて、ディスプレイ201、207に対して異なる方向である観察者204、205も、ディスプレイ201、207によって示される/出力される正しい/最適化された画像を見ることができる。
【0109】
完全を期すために、参照番号206は、ディスプレイ201、207によって放射される光、例えば画像出力/画像信号の例示的な光線路形状を示すことに留意されたい。
【0110】
図3は、ディスプレイを特性評価し動作させるための本明細書のいくつかの態様に関するスキーム300を例示的に示しており、(従来の)ディスプレイと例示的なマイクロレンズアレイ(MLA)とによって形成される例示的なライトフィールドディスプレイ303を示している。
【0111】
理想的には、観察者は、例えば画像Iの正確な表現/表示を見たいと思っている、すなわち、Ipが、取得システム平面内のピクセルが有するべき(真の)強度値を記述している(表面変形および/またはディスプレイの誤動作やその他の不規則性による歪みや収差がない場合の)例示的な対物画像を見たいと思っている。
【0112】
しかし、実際には不可避なディスプレイの不完全性のために、観察者には劣化した(補正されていない)、例えばぼやけた画像305が見えたり認識できるだけである。
【0113】
しかし、上述したアプローチに従って、テスト信号を受けたときのディスプレイのキャプチャされた応答から抽出され得るディスプレイの特性や性質に関する情報を得ることによって、この劣化した画像305を補正し、(入力された)画像304を可能な限り正確に表す補正画像309として正しく表示(308)することができる。
【0114】
この概略的な例では、ディスプレイから距離を置いて配置された少なくとも1つの取得システム(図示せず)によって、テスト信号312(単純化のために4×4ピクセルのサンプルのみが描かれている)に応答したディスプレイ303のインパルス応答をキャプチャする(306)例が示されており、インパルス応答の前記キャプチャは、取得システムにおいて、少なくとも1つのテスト信号に応答してディスプレイ303によって放射された光の受信された強度分布を測定することをさらに含み、例示的なステップは、テスト信号に応答してディスプレイによって放射され、取得システムによって測定された光の強度分布の加重和に基づいて、連立一次方程式313を設定することを含む。
【0115】
例示的に、Pを少なくとも1つの取得システムの解像度、例えば取得システムの電荷結合素子センサ(CCD)のピクセル単位の解像度とし、Rを取得ステップ306中に生成された行列312とし、各列が取得システムによって画像にキャプチャされた表示ピクセルのベクトル化された応答を含む、すなわちRは行列として理解され得、各列は取得システムによってキャプチャされた画像の形でキャプチャされたインパルス応答IRn(nは表示ピクセルインデックスまたはテスト信号インデックス)を表し、前記画像はテスト信号に応答してディスプレイによって/表示ピクセルによって放射される光の強度分布を表し、ベクトルρをディスプレイの各ピクセルの決定されるべき強度値または重みまたは係数、すなわち、ディスプレイが表示されるべき画像を最も正確な方法で表すようなディスプレイの強度分布とする。
【0116】
すると、ディスプレイの観察された画像I(またはディスプレイによって表示される画像)についての、Nがディスプレイの物理的な解像度を表す自然数であり、表示ピクセルインデックス(またはテスト信号インデックス)n=1~Nのn連立一次方程式313は、すべての表示ピクセルnについて、Rとρの直積の総和によって、すなわち以下によって定義され得る。
【数17】
式中、I
pは、テスト信号に応答してディスプレイ、すなわち表示ピクセルまたは表示ピクセル群によって放射された光の、取得システムによって受信/キャプチャされた強度または強度分布と理解することができ、取得システムはPの解像度を有し、取得システムピクセルインデックスρ=1~ρであり、ρ
nは、物理的なディスプレイ上の各ピクセルが、最も正確/最も真実に近い方法でI
pを表現するために有する強度値である。
【0117】
さらに上述したように、p(311)についての前記例示的な連立方程式を解くと、前記pは、特に、ディスプレイを特性評価し動作させる基礎として使用され得るが、それは、pまたはpnが、画像I(304)またはIpを最も正確な方法で表現するために、物理的なディスプレイ上のピクセルのそれぞれが有するべき強度値を備えるからである。
【0118】
ρまたはρnを決定することで、ディスプレイ303の上述した特性を決定することを可能にし、また、表示されるべき画像304の、ディスプレイ303の構造や特性に起因するエラーやアーテチファクトを補正/補償することが可能になる。ディスプレイに関する上記の連立一次方程式は、例えば、最小化(310)によって解かれ得るものであり、例えば、以下のユークリッドl2ノルム式の最小二乗法によって解くことができ、ここで、Ip、Rp,n、ρnのインデックスは、わかりやすくするために省略している。
min||I-Rρ||2
【0119】
取得システムによってキャプチャされ得る表示画像304、I、およびそこから決定されたpまたはpn、または、ディスプレイのピクセルのそれぞれの強度値または重みまたは係数、すなわち、ディスプレイの強度分布は、次に、ディスプレイの特性および特徴を特性評価するための基礎となることができ、例えば、ディスプレイの所望の基準特性、基準構造および基準特徴と比較され得る。
【0120】
次に、決定されたρに基づく例示的な取得されたディスプレイの出力/特性情報をもって、例えば、ユーザ/観察者/取得システムが見たいと思っている(真の)画像304を最も正確に表す補正画像309が表示される(308)ようにディスプレイの出力を補正するように、ディスプレイ303を動作させるドライバを制御/補正することが可能となる。
【符号の説明】
【0121】
図1、
図2、
図3を含む3枚のシートが続き、参照番号は以下の構成要素を示す。
100 例示的な光学システム/機構
101 例示的なディスプレイ、例えばLCD、位相スクリーンのない例示的なディスプレイ
102 例示的な(第1の)位相スクリーン、例示的なマイクロレンズアレイ(MLA)
103 例示的な(第2の)位相スクリーン、例示的なレンズ
104 例示的な取得システム、取得システムの例示的なセンサ、例えばCCDイメージセンサおよび/または波面位相センサ
105 例示的な光源、例示的なテスト信号、例示的なインパルス
106 例示的な測定/キャプチャされたインパルス応答、印加されたテスト信号に応答してディスプレイによって放射された光を受ける例示的な位置/領域/ピクセル
107 例示的な信号/テスト信号/インパルスが印加されるディスプレイの例示的なピクセル/ピクセル群
108 印加されたテスト信号に応答してディスプレイから発せられた光を受ける取得システムの例示的なピクセル/ピクセル群/領域
109 ディスプレイと(第1の)位相スクリーンの間の例示的な距離
110 例示的な位相スクリーン間の距離
111 (第2の)位相スクリーンと例示的な取得システム間の距離
112 主光線と補助光線を含む、例示的な光線経路の形状
113 例示的な光軸
114 例示的な位相スクリーン付きディスプレイ、例示的なライトフィールドディスプレイ、ディスプレイ101と位相スクリーン102によって形成される例示的な一体型ディスプレイ
200 例示的な代替光学システム/機構
201 例示的なディスプレイ
202 例示的な位相スクリーン、例えばマイクロレンズアレイMLA
203 第1の位置にいる例示的な(第1の)観察者
204 第2の位置にいる例示的な(第2の)観察者
205 第3の位置にいる例示的な(第3の)観察者
206 ディスプレイから放射される光の例示的な光線路形状/例示的なディスプレイ出力
207 例示的な位相スクリーン付きディスプレイ、例示的なライトフィールドディスプレイ、ディスプレイ201と位相スクリーン102によって形成される例示的な一体型ディスプレイ
300 ディスプレイを特性評価し動作させる例示的なスキーム
301 例えば以下を備えた例示的なディスプレイ
302 例示的なマイクロレンズアレイ(MLA)
303 ディスプレイとマイクロレンズアレイで形成される例示的なライトフィールドディスプレイ
304 観察者が表示して欲しいと思う例示的な対物画像IまたはI
p
305 補正を行わない場合に観察者が実際に見ている例示的な画像
306 ディスプレイからインパルス応答を取得するための例示的な段階/ステップ
307 インパルス応答行列Rの例示的生成段階
308 例示的な表示段階
309 例示的な表示された/知覚された補正画像
310 例示的な最小化
311 例示的な決定されたベクトルρまたはρ
n、ディスプレイの各ピクセルの決定されるべき強度値または重みまたは係数、すなわち、IまたはI
pを最も適切な方式で表現するために物理的なディスプレイ上の各ピクセルが有するべき強度値を備えた、ディスプレイの例示的強度分布
312 例示的なテスト信号
313 少なくともテスト信号に応答してディスプレイから放射され、少なくとも1つの取得システムによって測定された光の強度分布の加重和に基づく、例示的な連立一次方程式