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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】機能的脳回路解析の方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20230803BHJP
   A61K 49/06 20060101ALI20230803BHJP
   A61K 49/08 20060101ALI20230803BHJP
   A61K 49/14 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
A61B5/055 380
A61B5/055 311
A61B5/055 390
A61K49/06
A61K49/08
A61K49/14
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022076708
(22)【出願日】2022-05-06
(62)【分割の表示】P 2018530541の分割
【原出願日】2016-11-30
(65)【公開番号】P2022110036
(43)【公開日】2022-07-28
【審査請求日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】62/265,291
(32)【優先日】2015-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515158308
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジン,ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ヒュン,ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイツ,アンドルー,ジェイ.
【審査官】佐々木 龍
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/121146(WO,A1)
【文献】特表2016-512441(JP,A)
【文献】特表2009-502140(JP,A)
【文献】特開2015-214558(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0289386(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01R 33/28 -33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体の脳の生体内回路解析の方法であって、
i)第1セットの光パルスおよび第2セットの光パルスを用いた脳の第1領域の照射によって得られた複数の脳領域の機能的磁気共鳴画像に基づいて、前記第1セットの光パルスによって誘発された神経活動中の第1変化と、前記第2セットの光パルスによって誘発された神経活動中の第2変化とを、脳の第2領域において測定するステップであり、
前記第1セットは前記第2セットとは異なる光パルスの時間パターンを持ち、
前記第1領域は、前記第1領域のニューロンによって発現した第1光活性化ポリペプチドの活性化時に、前記第1セットおよび前記第2セットの光パルスを使用して、活動電位を生成するニューロンを含み、前記活動電位は前記第1セットおよび前記第2セットの光パルスの時間パターンに対応する周波数で生成されるステップ、ならびに、
ii)測定された第1変化と測定された第2変化との間の第1差異に基づいて、前記第1領域のニューロンから前記第2領域のニューロンへの動的機能的結合を同定するステップ
を含んでおり、
脳はニューロンを含む第3領域を有し、前記第3領域のニューロンの活動は前記第1領域のニューロンの活動によって変調されており、
iii)第3セットの光パルスを用いた前記第3領域の照射および非照射を伴った前記第1セットの光パルスを用いた前記第1領域の照射によって得られた機能的磁気共鳴画像に基づいて、前記第3領域の非照射時に、前記第1セットの光パルスによって誘発された神経活動中の第3変化と、前記第3セットの光パルスによる前記第3領域の照射を伴った前記第1セットの光パルスによって誘発された神経活動中の第4変化とを、前記第2領域において測定するステッ
を含んでおり、
前記第3領域のニューロンの活動の変調は、前記第3領域の照射があると、前記第3領域のニューロンによって発現された第2光活性化ポリペプチドの活性化によって、中断されており、
iv)測定された第3変化と測定された第4変化との間の第2差異に基づいて、動的機能的結合の調節結節を同定するステップであり、
前記調節結節は前記第3領域のニューロンを含み、前記第3領域のニューロンは前記第1領域および前記第2領域のニューロン間の機能的結合を有するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
同定するステップii)は、
測定された第1変化と測定された第2変化との間の前記第1差異を計算するステップ、および、
測定された第1変化と測定された第2変化とが異なる場合、前記第1領域のニューロンから前記第2領域のニューロンへの第1機能的結合は、動的機能的結合であることを判定するステップ
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1差異は、前記第1セットおよび前記第2セットの光パルスの時間パターン中の差異と比較して、非直線的である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1差異はニューロンの活動の変化である請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
異なる時間パターンは、光パルスの異なる周波数および/またはパルス幅を含む請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1領域は脳の第1内部領域である請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記脳の第1内部領域は、視床、感覚皮質、不確帯(ZI)、腹側被蓋野(VTA)、前頭前皮質(PFC)、側座核(NAc)、扁桃体(BLA)、黒質、腹側淡蒼球、淡蒼球、背側線条体、腹側線条体、視床下核、海馬、歯状回、帯状回、嗅内皮質、嗅覚皮質、一次運動皮質、および小脳からなる群から選択された少なくとも一部分の領域を含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1領域は、前記第1セットおよび前記第2セットの光パルスを発信するように構成された1つ以上の光ファイバーで照射される請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
光パルスによって照射される前記第1領域の容積は100mm3 以下である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1領域と前記第2領域とは解剖学的に脳の異なる領域である請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1領域のニューロンは興奮性ニューロンである請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
同定するステップiv)は、
測定された第3変化と測定された第4変化との間の前記第2差異を計算するステップ、および、
前記第3領域のニューロンは測定された第1変化に介在することを判定するステップ
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
測定するステップiii)は、電気生理学を使用して神経活動中の変化を測定するステップを含む請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第3領域は脳の第2内部領域である請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記脳の第2内部領域は、視床、感覚皮質、不確帯(ZI)、腹側被蓋野(VTA)、前頭前皮質(PFC)、側座核(NAc)、扁桃体(BLA)、黒質、腹側淡蒼球、淡蒼球、背側線条体、腹側線条体、視床下核、海馬、歯状回、帯状回、嗅内皮質、嗅覚皮質、一次運動皮質、および小脳、からなる群から選択された少なくとも一部分の領域を含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第3領域は、前記第3セットの光パルスを発信するように構成された1つ以上の光ファイバーで照射される請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1領域と前記第2領域とは解剖学的に脳の異なる領域である請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1光活性化ポリペプチドは光活性化イオンチャネルである請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第2光活性化ポリペプチドは光活性化イオンポンプである請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記個体は哺乳動物である請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記個体は麻酔をかけられている請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
神経組織の機能研究は、定義済み刺激を用いて1つ以上のニューロンを刺激するステップと、この1つ以上のニューロンの出力反応を測定するステップとを含む。ニューロンを刺激する方法および出力反応を測定する方法は、光遺伝学、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、電気生理学、脳波検査法(EEG)、および行動モニタリングを含む。
【0002】
光遺伝学は光活性化ポリペプチド(チャネルとポンプ)を使用して、光依存的方法で光活性化ポリペプチドを発現するニューロン活動を変調する。
【0003】
血液酸素濃度依存性(BOLD)fMRIは、非侵襲性全脳イメージングに関して広く普及している技術である。BOLDシグナルは、神経活動に続いて脳血流(CBF)、脳血液量(CBV)、および脳酸素消費量(CMRO2 )の複合的変化を反映する。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、生体の脳回路を解析する方法を有する。本開示の方法は、光遺伝学を使用して個体の脳の第1領域を刺激して、脳の異なる領域の機能的磁気共鳴画像法(fMRI)と組み合わせて、脳の第1領域と第2領域との個々のニューロン間の動的機能的結合を判定するステップを含み得る。この方法は、脳の第3領域を同定するステップをさらに含み得て、第3領域のニューロンは第1領域と第2領域との間の動的機能的結合に介在する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】本開示の実施形態に従って、中心視床の標的刺激が正の血液酸素濃度依存性(BOLD)の変化および刺激部位でのニューロン発火の増加を誘発することを示す画像である。
図1B】本開示の実施形態に従って、中心視床の標的刺激が正の血液酸素濃度依存性(BOLD)の変化および刺激部位でのニューロン発火の増加を誘発することを示すグラフである。
図1C】本開示の実施形態に従って、中心視床の標的刺激が正の血液酸素濃度依存性(BOLD)の変化および刺激部位でのニューロン発火の増加を誘発することを示す画像である。
図1D】本開示の実施形態に従って、中心視床の標的刺激が正の血液酸素濃度依存性(BOLD)の変化および刺激部位でのニューロン発火の増加を誘発することを示す図である。
図1E】本開示の実施形態に従って、中心視床の標的刺激が正の血液酸素濃度依存性(BOLD)の変化および刺激部位でのニューロン発火の増加を誘発することを示すグラフである。
図1F】本開示の実施形態に従って、中心視床の標的刺激が正の血液酸素濃度依存性(BOLD)の変化および刺激部位でのニューロン発火の増加を誘発することを示す図である。
図1G】本開示の実施形態に従って、中心視床の標的刺激が正の血液酸素濃度依存性(BOLD)の変化および刺激部位でのニューロン発火の増加を誘発することを示すグラフである。
図2A】本開示の実施形態に従って、誘発されたfMRIシグナルの空間的特徴付けを示す画像である。
図2B】本開示の実施形態に従って、誘発されたfMRIシグナルの空間的特徴付けを示す画像である。
図2C】本開示の実施形態に従って、誘発されたfMRIシグナルの空間的特徴付けを示す画像である。
図2D】本開示の実施形態に従って、誘発されたfMRIシグナルの空間的特徴付けを示す画像である。
図2E】本開示の実施形態に従って、誘発されたfMRIシグナルの空間的特徴付けを示すグラフである。
図2F】本開示の実施形態に従って、誘発されたfMRIシグナルの空間的特徴付けを示すグラフである。
図2G】本開示の実施形態に従って、誘発されたfMRIシグナルの空間的特徴付けを示すグラフである。
図2H】本開示の実施形態に従って、誘発されたfMRIシグナルの空間的特徴付けを示すグラフである。
図3A】誘発された皮質活動のサインは、本開示の実施形態に従って、中心視床刺激の周波数に依存することを示すグラフである。
図3B】誘発された皮質活動のサインは、本開示の実施形態に従って、中心視床刺激の周波数に依存することを示すグラフである。
図3C】誘発された皮質活動のサインは、本開示の実施形態に従って、中心視床刺激の周波数に依存することを示す図である。
図3D】誘発された皮質活動のサインは、本開示の実施形態に従って、中心視床刺激の周波数に依存することを示すグラフである。
図3E】誘発された皮質活動のサインは、本開示の実施形態に従って、中心視床刺激の周波数に依存することを示すグラフである。
図4A】本開示の実施形態に従って、不確帯(ZI)において周波数依存のスピンドル状発振が誘発されることを示す図である。
図4B】本開示の実施形態に従って、不確帯(ZI)において周波数依存のスピンドル状発振が誘発されることを示すグラフである。
図4C】本開示の実施形態に従って、不確帯(ZI)において周波数依存のスピンドル状発振が誘発されることを示すグラフである。
図4D】本開示の実施形態に従って、不確帯(ZI)において周波数依存のスピンドル状発振が誘発されることを示すグラフである。
図4E】本開示の実施形態に従って、不確帯(ZI)において周波数依存のスピンドル状発振が誘発されることを示すグラフである。
図4F】本開示の実施形態に従って、不確帯(ZI)において周波数依存のスピンドル状発振が誘発されることを示すグラフである。
図4G】本開示の実施形態に従って、不確帯(ZI)において周波数依存のスピンドル状発振が誘発されることを示すグラフである。
図4H】本開示の実施形態に従って、不確帯(ZI)において周波数依存のスピンドル状発振が誘発されることを示す画像である。
図5A】10Hzの中心視床刺激によって駆動された皮質性抑制は、本開示の実施形態に従って、正常な不確帯処理に依存することを示す画像である。
図5B】10Hzの中心視床刺激によって駆動された皮質性抑制は、本開示の実施形態に従って、正常な不確帯処理に依存することを示す画像である。
図5C】10Hzの中心視床刺激によって駆動された皮質性抑制は、本開示の実施形態に従って、正常な不確帯処理に依存することを示す図である。
図5D】10Hzの中心視床刺激によって駆動された皮質性抑制は、本開示の実施形態に従って、正常な不確帯処理に依存することを示すグラフである。
図5E】10Hzの中心視床刺激によって駆動された皮質性抑制は、本開示の実施形態に従って、正常な不確帯処理に依存することを示すグラフである。
図5F】10Hzの中心視床刺激によって駆動された皮質性抑制は、本開示の実施形態に従って、正常な不確帯処理に依存することを示すグラフである。
図5G】10Hzの中心視床刺激によって駆動された皮質性抑制は、本開示の実施形態に従って、正常な不確帯処理に依存することを示すグラフである。
図5H】10Hzの中心視床刺激によって駆動された皮質性抑制は、本開示の実施形態に従って、正常な不確帯処理に依存することを示すグラフである。
図5I】10Hzの中心視床刺激によって駆動された皮質性抑制は、本開示の実施形態に従って、正常な不確帯処理に依存することを示す画像である。
図6A】睡眠中の動物の中心視床の光遺伝学的刺激は、本開示の実施形態に従って、周波数依存の方法で脳状態を変調することを示すグラフである。
図6B】睡眠中の動物の中心視床の光遺伝学的刺激は、本開示の実施形態に従って、周波数依存の方法で脳状態を変調することを示すグラフである。
図6C】睡眠中の動物の中心視床の光遺伝学的刺激は、本開示の実施形態に従って、周波数依存の方法で脳状態を変調することを示すグラフである。
図6D】睡眠中の動物の中心視床の光遺伝学的刺激は、本開示の実施形態に従って、周波数依存の方法で脳状態を変調することを示すグラフである。
図7】CaMKIIaポジティブ細胞を標的としたChR2特異性を示す画像である。
図8】遠隔標的のChR2-EYFPの代表的蛍光画像を示す画像であり、右中心視床においてトランスフェクトされたリレーニューロンから前脳への大量投射を示す。
図9A】本開示の実施形態に従って、光遺伝学を用いた広範な周波数依存的前脳漸増は、中心視床の髄板内核の刺激とは異なることを示すグラフである。
図9B】本開示の実施形態に従って、光遺伝学を用いた広範な周波数依存的前脳漸増は、中心視床の髄板内核の刺激とは異なることを示すグラフである。
図10A】中心視床による前脳の周波数依存的漸増とそれの皮質性BOLDシグナル極性の制御は、パルス幅が一定に保たれる場合に保存されることを示す画像である。
図10B】中心視床による前脳の周波数依存的漸増とそれの皮質性BOLDシグナル極性の制御は、パルス幅が一定に保たれる場合に保存されることを示すグラフである。
図10C】中心視床による前脳の周波数依存的漸増とそれの皮質性BOLDシグナル極性の制御は、パルス幅が一定に保たれる場合に保存されることを示すグラフである。
図11】10Hzの中心視床刺激によって駆動された抑制期間に発生する皮質性棘波は、本開示の実施形態に従って、不均一経時分布を呈示することを示すグラフおよび図表である。
図12】本開示の実施形態に従って、不確帯におけるeNpHR発現の広視野蛍光画像を示す画像であり、一定のスケールで活性化eNpHR(つまり抑制ニューロン)の推定コーンをオーバレイしてある。
図13】睡眠中のラットについて前置刺激活動は、刺激の複数周波数にわたって一貫性があることを示すグラフであり、本開示の実施形態に従って、デルタ、シータ、アルファ、およびベータ帯域のEEG帯域電力で定量化してある。
図14-1】脱分極性光活性化ポリペプチドのアミノ酸配列とその誘導体(配列番号1~4)を示し、これは本開示の実施形態に従って本方法で使用され得る。
図14-2】脱分極性光活性化ポリペプチドのアミノ酸配列とその誘導体(配列番号5~9)を示し、これは本開示の実施形態に従って本方法で使用され得る。
図14-3】脱分極性光活性化ポリペプチドのアミノ酸配列とその誘導体(配列番号10~14)を示し、これは本開示の実施形態に従って本方法で使用され得る。
図14-4】脱分極性光活性化ポリペプチドのアミノ酸配列とその誘導体(配列番号15~20)を示し、これは本開示の実施形態に従って本方法で使用され得る。
図15-1】過分極性光活性化ポリペプチドのアミノ酸配列とその誘導体(配列番号21~24)を示し、これは本開示の実施形態に従って本方法で使用され得る。
図15-2】過分極性光活性化ポリペプチドのアミノ酸配列とその誘導体(配列番号25~28)を示し、これは本開示の実施形態に従って本方法で使用され得る。
図15-3】過分極性光活性化ポリペプチドのアミノ酸配列とその誘導体(配列番号29~33)を示し、これは本開示の実施形態に従って本方法で使用され得る。
図15-4】過分極性光活性化ポリペプチドのアミノ酸配列とその誘導体(配列番号34~38)を示し、これは本開示の実施形態に従って本方法で使用され得る。
図15-5】過分極性光活性化ポリペプチドのアミノ酸配列とその誘導体(配列番号39~43)を示し、これは本開示の実施形態に従って本方法で使用され得る。
図15-6】過分極性光活性化ポリペプチドのアミノ酸配列とその誘導体(配列番号44~48)を示し、これは本開示の実施形態に従って本方法で使用され得る。
図15-7】過分極性光活性化ポリペプチドのアミノ酸配列とその誘導体(配列番号49~51)を示し、これは本開示の実施形態に従って本方法で使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示では用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、任意の長さのアミノ酸ポリマーを指すために互換的に使用される。ポリマーは直線形であり得て、修飾アミノ酸を有し得て、および非アミノ酸によって離断され得る。用語はまた、例えばジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、燐酸化、またはラベリング成分との接合などの任意の他の操作など、修飾されたアミノ酸ポリマーを包含する。本開示に言う用語「アミノ酸」とは、天然および/または非天然、または合成のアミノ酸を指し、グリシン、およびDまたはL光学異性体の両方、およびアミノ酸アナログとペプチドミメティクスを含む。
【0007】
用語「遺伝子改変」とは、異種核酸(例えば細胞に外因性の核酸)の細胞への導入に続いて細胞内で誘起された永続的または一時的な遺伝子変化を指す。遺伝子変化(「改変」)は、異種核酸をホスト細胞のゲノムに埋め込むことで、または一時的または安定的に染色体外因子として異種核酸を維持することで達成され得る。ここで細胞が真核細胞の場合、永続的遺伝子変化は核酸を細胞のゲノムに導入することで達成され得る。遺伝子改変の好適な方法として、ウィルス感染、トランスフェクション、結合、原形質融合、電気穿孔法、パーティクルガン技術、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクション、および同種のものを含む。
【0008】
「複数」とは、少なくとも2つのメンバーを含む。特定の場合において、複数は少なくとも10個、少なくとも100個、少なくとも1000個、少なくとも10,000個、少なくとも100,000個、少なくとも106 個、少なくとも107 個、少なくとも108 個、または少なくとも109 個、またはそれ以上のメンバーを含み得る。
【0009】
本開示に言う「実質的」とは、関連する基本機能を変更することがない変更を許容しうる任意の定量的発現量の改変に適用され得る。
【0010】
本開示に言う「個体」とは、本開示に記載の方法および技術に従う任意の好適な動物であり得て、いくつかの場合では個体は、哺乳動物、鳥類、は虫類、両生類などを含む脊椎動物であり得る。個体は、例えばヒト、マウス、ラット、ネコ、イヌ、ブタ、ウマ、ウシ、サル、非人類霊長類など、任意の好適な哺乳動物であり得る。
【0011】
本開示に言う「セット」とは、1つ以上の因子を含み得る。
【0012】
本開示に言う「機能的」とは、生理学的に適切な、つまり生きている有機体に通常発生する処理を実施するために適切な、処理を記述するために使用され得る。処理は、基底の生理的に適切な処理を代表する、または直接または間接にその処理の読み取りである、測定された現象であり得る。
【0013】
本開示に言う「結合」とは、例えば細胞(ニューロンを含む)、組織領域(脳領域など)、組織、臓器など、2つの異なるエンティティ間の構造的および/または機能的な関係を指し得る。2つの脳領域間の機能的関係は、2つの領域の間の直接および/または間接の構造的結合(例えばシナプス結合)によって達成され得る。
【0014】
本開示に言う「神経活動」とは、ニューロンの電気的活動(例えばニューロンの膜電位の変化)、ならびに1つ以上のニューロンの電気的活動の間接的指標を指し得る。したがって神経活動は、電場電位の変化、細胞内イオン濃度(例えば細胞内カルシウム濃度)の変化、および例えば機能的磁気共鳴画像法において血液酸素濃度依存性(BOLD)シグナルによって測定される場合のように、ニューロンの電気的活動によって誘起された磁気共鳴の変化を指し得る。
【0015】
本開示に言う「動的」とは、時間次元において変化する処理を記述するために適用され得る。
【0016】
本開示に言う「定量的」とは、大きさによって規定される数値的特性、または大きさに関連する数値的特性を指す、または入力パターンが変化することに伴って出力が変化するシステム(例えば脳回路)を記述するための数値的特性を指す。
【0017】
本開示に言う「定性的」とは、数量の大きさによって規定されない特性を指し得る。例えば定性的判定は、有・無またはオン・オフの結果を判定するような判定を含み得る。
【0018】
本開示に言う「内部」とは、身体の外面の外側から視覚的または光学的にアクセスできない身体の任意の部分を指す。特定の場合において、この部分は身体の0.1mm以上の深さの表面下であり得る。
【0019】
本発明をさらに詳細に記述する前に、本発明は、説明されている、もちろん変更し得る特定の実施形態に限定されないことが理解されるべきである。また本開示で使用されている用語は特定の実施形態を説明するためにのみ使用されており、および本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ制限されるので、用語に制限する意図はないと理解されるべきである。
【0020】
値範囲が与えられている場合、その間にある値は、文脈上明らかに別段の規定がない限り、下限値の単位の1/10までその範囲の上下限の間に入り、およびその記載範囲内の他の任意の記載値またはその間にある値は本発明内に含まれると理解されるべきである。このような小範囲の上下限は別途小範囲に含まれ得るが、およびまた本発明内に含まれ、記載範囲において特別に除外された限度に従う。記載範囲が限度の一方または両方を含む場合、その含まれる限度の一方または両方を除外する範囲もまた本発明に含まれる。
【0021】
別途規定がない限り、本開示で使用されている技術的および科学的用語はすべて、本発明が属する分野の当業者に一般に理解されているものと同じ意味を持つ。本開示に記載のものと同様または同等の方法または材料はまた、本発明の実施またはテストのために使用され得るが、ここでは好ましい方法および材料が記述される。本開示で言及されたすべての公開公報は、その公開公報が関連して引用された方法および/または材料を開示し、説明するために、参照によって本開示に組み込まれる。
【0022】
本明細書および特許請求の範囲に言う単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかに別段の規定がない限り、複数の指示対象を含むということに留意されねばならない。したがって、例えば「1つのニューロン」への参照は、そのような複数のニューロンを含み、および「光活性化ポリペプチド」への参照は、1つ以上の光活性化ポリペプチドおよび当業者には既知のその均等物などへの参照を含む。さらに特許請求の範囲は、任意のオプション要素を除外するように起草され得ることに留意されたい。従って本明細書は、請求項要素の列挙に関連して、または「否定的」制限の使用に関連して、「もっぱら」、「のみ」、および同種の用語などのそのような排他的用語を使用するための先行詞の役割を果すことを目的とする。
【0023】
明確にするためにいうと、別々の実施形態という文脈で記述されている本発明の特定の諸特徴も、また単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることが認識されよう。逆に簡潔にいうと、単一の実施形態という文脈で記述されている本発明の様々な特徴もまた、個別に、または任意の好適な下位組み合わせにおいて提供され得る。本発明に係る実施形態のすべての組み合わせは、本発明によって明確に包含されており、および各々およびすべての組み合わせが個別に明示的にここで開示されたかのように、ここに開示される。加えて、様々な実施形態およびその要素のすべての下位組み合わせもまた、本発明によって明確に包含されており、および各々およびすべての下位組み合わせが個別に明示的にここで開示されたかのように、ここに開示される。
【0024】
本開示で言及された公開公報は、それがもっぱら本出願の出願日に先立つ開示であるために提供される。このことは、本発明が先願発明によるかかる公開に先行する資格がないということを承認したと解釈してはならない。さらに、記載の公示期日は実際の公示日と異なり得るが、これは別途確認される必要がある。
【0025】
本開示は、生体の脳回路を解析する方法を提供する。本開示の方法は、光遺伝学を使用して個体の脳の第1領域を刺激して、脳の異なる領域の機能的磁気共鳴画像法(fMRI)スキャニングと組み合わせて、脳の第1領域と第2領域との個々のニューロン間の動的機能的結合を判定するステップを含み得る。この方法は、脳の第3領域を同定するステップをさらに含み得て、この第3領域のニューロンは、電気生理学的記録法と組み合わせて光遺伝学的刺激を使用して、第1領域と第2領域との間の動的機能的結合に介在する。本方法を任意の好適な脳回路に適用することで、例えば1領域の特異的に活性化されたニューロンと、活性化されたニューロンによって動的に調節された第2領域のニューロンと、動的調節に介在する第3領域のニューロンとの間の機能的結合など、脳の異なる領域間の機能的結合を細胞レベルで明らかにし得る。
【0026】
本開示の方法は、好適なニューロン刺激と、必要に応じて神経活動測定プロトコルとの任意の数の組み合わせを使用して、異なる脳領域間の機能的結合を判定し得る。好適なプロトコルとして、電気生理学、神経活動の光誘起変調、脳波検査法(EEG)記録法、機能イメージング、および行動解析を含む。電気生理学は、単極、多電極、および/または電場電位記録法を含み得る。神経活動の光誘起変調は、本開示で詳しく説明したように任意の好適な光遺伝学方法を含み得る。機能イメージングは、fMRIと、遺伝的エンコードインジケータ(例えばカルシウムインジケータ、電位インジケータ、など)を使用する任意の機能イメージングプロトコルとを含み得る。行動解析は、覚醒、記憶(水迷路アッセイなど)、コンディショニング(恐怖条件付けなど)、感覚反応(例えば視覚的、体性感覚的、聴覚的、味覚的、および/または嗅覚的キューに対する反応)に関する行動アッセイなど、任意の好適な行動アッセイを含み得る。
【0027】
fMRIなどのいくつかのプロトコルは、神経活動の非侵襲性で脳全体の測定代表値を提供する。電気生理学などのいくつかのプロトコルは、細胞解像度と神経活動の迅速な指標、ならびに細胞解像度と神経活動の迅速な制御を提供する。光遺伝学などのいくつかのプロトコルは、定義済みニューロン群において、空間的に標的とされ、時間的に規定された活動電位発火の制御を提供する。アッセイの適切な組み合わせは、機能的脳回路の解剖に使用され得る。いくつかの場合、この組み合わせは以下の組み合わせ、光遺伝学とfMRI、光遺伝学と電気生理学、光遺伝学とEEG、光遺伝学と行動解析を含む。例えばEEGと行動解析、fMRIと電気生理学、電気生理学と行動解析など、任意の他の好適な組み合わせもまた、使用され得る。
【0028】
ここに開示された方法は、前述のようにニューロン刺激と活動測定プロトコルの1つ以上との異なる組み合わせを使用することで、1つの生きた個体(例えばマウスまたはラット1匹、ヒト1人、1つの非ヒト哺乳動物)において異なる脳領域間の因果関係の解明に適する。したがっていくつかの実施形態において、脳の機能回路は単一動物において、光遺伝学とfMRI、光遺伝学と電気生理学、光遺伝学とEEG、および光遺伝学と行動解析の1つ以上の組み合わせを使用してアッセイされる。いくつかの実施形態において、脳の機能回路は単一動物において、光遺伝学とfMRI、光遺伝学と電気生理学、光遺伝学とEEG、および光遺伝学と行動解析のすべてを使用してアッセイされる。単一動物においてアッセイの異なる組み合わせを実施する順序は、任意の好適な順序であり得る。いくつかの場合ではアッセイの組み合わせは、光遺伝学とfMRI、光遺伝学とEEG/光遺伝学と行動解析、および光遺伝学と電気生理学の順序で実施されるが、ここでペア「光遺伝学とEEG」と「光遺伝学と行動解析」とは、任意の順序で実施され得る。プロトコルの他の組み合わせは、プロトコルと光遺伝学の組み合わせのうち任意のものの前後の任意の好適なポイントで実施され得る。
【0029】
概して本方法の具現例は、脳の第1領域においてニューロンの定義済みセットの光遺伝学的刺激の組み合わせを使用するステップと、fMRIを用いて脳をスキャンすることで全脳レベルでの反応を測定して、脳の第1領域と第2領域との間の動的機能的結合を判定するステップとを含み得る。したがって第1領域のニューロンは、例えば光活性化イオンチャネルなど、光活性化ポリペプチドを含むように改変され得て、光活性化ポリペプチドは、適切な波長、照射量、および照射強度の光刺激を用いて第1領域を刺激した時に、例えば脱分極または過分極など、ニューロンの活動を変調するように構成される。いくつかの場合では、第1領域のニューロンは光活性化ポリペプチドを発現する。いくつかの場合では第1領域のニューロンは、例えば光活性化ポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列と、任意の他の適切な調節因子とを含むDNA構築物のウィルス感染などによって、遺伝子的に改変されて、光活性化ポリペプチドを発現する。本開示で詳しく記述したように、任意の好適な光活性化ポリペプチドが使用され得る。
【0030】
光活性化ポリペプチドの活性化に使用される光刺激は、例えば周波数、パルス幅、デューティサイクル、波長、強度などを特徴とする光パルスを含み得る。いくつかの場合では光刺激は、2つ以上の異なる光パルスのセットを含み、光パルスの各セットは光パルスの異なる時間パターンを特徴とする。時間パターンは、周波数、期間(つまり光刺激の全期間)、パルス幅、デューティサイクルなどを含むがそれに限定されない任意の好適なパラメータを特徴とし得る。
【0031】
1セットの光パルスの特性の変動は、照射されたニューロン活動の差異に反映し得る。ニューロンが光活性化ポリペプチドの活性化によって脱分極されるいくつかの場合では、光パルスの周波数の増加は照射されたニューロンにおいて活動電位発火の周波数の増加を引き起こし得る。いくつかの実施形態において、照射されたニューロンにおいて活動電位発火の周波数は、光パルスの周波数の増加に定量的に対応する。いくつかの場合では光パルスの周波数の直線的増加は、照射されたニューロンにおいて活動電位発火の周波数における直線的、または非直線的ではあるが単調な、増加を誘起し得る。
【0032】
異なる光パルスのセットによる刺激に対する反応は、脳の異なる領域についてfMRIによって測定され得て、および各領域における反応の比較は、脳の第1領域と、1つ以上の他の領域とへの光刺激によって刺激されたニューロン間の機能的結合を示し得る。光刺激が時間パラメータ(例えば周波数またはパルス幅の変化)によって定量的に異なる光パルスセットを含むいくつかの場合では、fMRIによって測定された場合に、直線的でない(例えば第1領域における興奮性ニューロンの活動電位発火振動数の増加は、第2領域における反応の対応する増加を招かない)脳の第2領域における光刺激への反応は、第1領域のニューロンの活動電位発火の時間パターンによっては、第1領域のニューロンと第2領域のニューロンとの間に機能的結合があることを示し得る。光パルスの変動とfMRI反応の変動との間の非直線的関係は、非単調な関係または定性的関係であり得る。いくつかの場合では光パルスの定量的変化は、fMRI血液酸素濃度依存性(BOLD)反応(例えば正または負のBOLD反応は、光パルスの周波数によって測定される)のサインの変化を引き起こし得る。
【0033】
例えば第1セットの光パルスおよび異なる時間パターンを持つ第2セットの光パルスを用いて脳の第1領域が照射されると、第1領域のニューロンは、第1セットと第2セットの光パルスによって誘起された活動電位を生成し得る。次いでfMRIは、脳の第2領域における活動を測定するために使用され得る。いくつかの場合では、第2領域における第1セットの光パルスによって誘起された神経活動の第1変化は、fMRIによって測定され得る。加えて第2領域における第2セットの光パルスによって誘起された神経活動の第2変化もまたfMRIによって測定され得る。いくつかの適用例において、神経活動における測定された第1変化と神経活動における測定された第2変化との間に差があり得る。神経活動における測定された第1変化と神経活動における測定された第2変化との間の差に基づいて、脳の第1領域と脳の第2領域とのニューロン間の動的機能的結合が同定され得る。例えば脳の第1領域と脳の第2領域とのニューロン間の動的機能的結合は、神経活動における測定された第1変化と測定された第2変化との間の差を計算することによって同定され得る。神経活動における測定された第1変化と測定された第2変化との間の計算された差が定性的または定量的に異なる場合、これは脳の第1領域のニューロンから脳の第2領域のニューロンへの動的機能的結合が存在するということの指標であり得る。
【0034】
いくつかの場合では光刺激は、2セットの光パルスを含み、2セットは光パルスの周波数が異なるなど、異なるパラメータ値を有する特徴がある。2セットの光パルスの周波数が相違する場合、デューティサイクルは同じであったり、相違したりし得る。いくつかの場合では周波数が異なる2セットの光パルスは、パルス幅が同じである。他の事例において、周波数が異なる2セットの光パルスはパルス幅が異なる。
【0035】
1セットの光パルスは、任意の好適な周波数を有し得る。いくつかの場合では1セットの光パルスは、光刺激期間全体を通して維持された単一パルスの光を含む。いくつかの場合では1セットの光パルスは、例えば0.5Hz以上、1Hz以上、5Hz以上、10Hz以上、20Hz以上、30Hz以上、40H以上、50Hz以上、または60Hz以上、または70Hz以上、または80Hz以上、または90Hz以上、または100Hz以上など0.1Hz以上の周波数を有し、および例えば10,000Hz以下、1,000Hz以下、500Hz以下、400Hz以下、300Hz以下、200Hz以下、100Hzなど100,000Hz以下の周波数を有する。いくつかの場合では1セットの光パルスは、例えば1~10,000Hz、1~1,000Hz、5~500Hz、または10~100Hzなど0.1~100,000Hzの範囲の周波数を有する。
【0036】
いくつかの場合では2セットの光パルスは、異なるパルス幅など、異なるパラメータ値を有する特徴がある。2セットの光パルスのパルス幅が異なる場合、2セットの光パルスのデューティサイクルは同じであったり、相違したりし得る。いくつかの場合ではパルス幅が異なる2セットの光パルスは、周波数が同じである。他の事例において、パルス幅が異なる2セットの光パルスは、周波数が異なる。
【0037】
光パルスは、任意の好適なパルス幅を有し得る。いくつかの場合ではパルス幅は、例えば0.5ms以上、1ms以上、3ms以上、5ms以上、7.5ms以上、10ms以上、を含む15ms以上、または20ms以上、または25ms以上、または30ms以上、または35ms以上、または40ms以上、または45ms以上、または50ms以上など0.1ms以上であり、および例えば100ms以下、90ms以下、80ms以下、70ms以下、60ms以下、50ms以下、45ms以下、40ms以下、35ms以下、30ms以下、25ms以下、20ms以下など、500ms以下である。いくつかの実施形態において、パルス幅は例えば0.5~100ms、1~80ms、1~60ms、または1~50ms、または1~30msなど0.1~500msの範囲である。
【0038】
いくつかの場合では2セットの光パルスは、異なるデューティサイクルなど、異なるパラメータ値を有する特徴がある。デューティサイクルは、パルス化シグナルについての「定時」に関する百分率(比)であり、および以下のように計算され得る。
デューティサイクル=(パルス幅)/周波数
【0039】
2セットの光パルスのデューティサイクルが異なる場合、2セットの光パルスのパルス幅および/または周波数は同じであったり、相違したりし得る。いくつかの場合では異なるデューティサイクルを有する2セットの光パルスは、パルス幅が異なり、および周波数が異なる。他の事例において、異なるデューティサイクルを有する2セットの光パルスは、パルス幅が異なり、および周波数が同じである。他の事例において、異なるデューティサイクルを有する2セットの光パルスは、パルス幅が同じで、および周波数が異なる。
【0040】
いくつかの場合では2セットの光パルスは、同じデューティサイクルを有する特徴がある。2セットの光パルスのデューティサイクルが同じ場合、2セットの光パルスのパルス幅および/または周波数は相違し得る。いくつかの場合では同じデューティサイクルを有する2セットの光パルスは、パルス幅が異なり、および周波数も異なる。
【0041】
パルスのデューティサイクルは、任意の好適なデューティサイクルであり得る。いくつかの場合ではデューティサイクルは、例えば5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、または30%以上、または35%以上、または40%以上、または45%以上、または50%以上など1%以上であり、および例えば75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、65%以下、50%以下、45%以下、40%以下、または35%以下、または30%以下など、80%以下であり得る。特定の実施形態において、デューティサイクルは例えば5~70%、5~60%、10~50%、または10~40%など、1~80%の範囲である。
【0042】
光パルスを脳の領域に送信する光ファイバーの先端で測定した場合の、光パルスの平均電力値は、任意の好適な電力であり得る。いくつかの場合ではこの電力は例えば0.5mW以上、1mW以上、1.5mW以上、2mW以上、または2.5mW以上、または3mW以上、または3.5mW以上、または4mW以上、または4.5mW以上、または5mW以上など0.1mW以上であり得て、および例えば500mW以下、250mW以下、100mW以下、50mW以下、40mW以下、30mW以下、20mW以下、15mW以下、10mW以下、または5mW以下など1,000mW以下であり得る。いくつかの実施形態において、この電力は例えば0.5~100mW、0.5~50mW、1~20mW、1~10mW、または1~5mWなど、0.1~1,000mWの範囲である。
【0043】
光パルスの波長および強度は変化し得て、および光活性化ポリペプチドの活性化波長、脳の領域の光透過性、脳の照射される所望の容積、などに依存し得る。
【0044】
光パルスによって照射された脳領域の容積は、任意の好適な容積であり得る。いくつかの場合では照射された容積は、例えば0.005mm3 以上、0.001mm3 以上、0.005mm3 以上、0.01mm3 以上、0.05mm3 以上、0.1mm3 以上など、0.001mm3 以上であり、および例えば50mm3 以下、20mm3 以下、10mm3以下、5mm3 以下、1mm3 以下、0.1mm3 以下など100mm3 以下である。特定の場合では、照射された容積は、例えば0.005~20mm3 、0.01~10mm3 、0.01~5mm3 、0.05~1mm3 など、0.001~100mm3 の範囲である。
【0045】
本方法の別の態様として、前述のように第1領域と第2領域との間の動的機能的結合に介在し得る脳の第3領域においてニューロンを同定するステップを含む。したがって、第3領域のニューロンは、例えば第1領域と第2領域との間の動的機能的結合の調節結節などの結節を表すと言い得て、第3領域のニューロンは第1領域および第2領域両方への機能的結合を有する。いくつかの場合では、動的機能的結合の調節結節を同定するステップは、前述のように電気生理学、神経活動の光誘起変調、EEG、機能イメージング(例えばfMRI)、および行動解析の1つ以上を使用するステップを含み得る。
【0046】
いくつかの実施形態において、第1領域と第2領域との間の動的機能的結合に介在し得る脳の第3領域におけるニューロンは、第1領域と第2領域との間の機能的結合の動的特性に基づいて、第3領域のニューロンの平常活動を中断させる効果を測定することで同定され得る。第3領域のニューロンの平常活動が動的機能的結合にとって必要な場合、第3領域のニューロンは動的機能的結合の調節結節を表し得る。
【0047】
第3領域のニューロンの平常活動は、任意の好適な方法を使用して中断され得る。いくつかの場合ではこの活動は、例えば第3領域のニューロンにおいて、光活性化ポリペプチドを活性化させるための適切な光刺激を用いた第3領域の照射を介して、正常に活性化されたニューロンに対する光活性化イオンポンプなど、光活性化ポリペプチドを活性化することで中断される。第2領域におけるニューロン反応の変化を、第1領域のニューロンにおいて光活性化ポリペプチドを活性化する第1セットの光パルスと比較することで、第1領域と第2領域との間の動的機能的結合における第3領域のニューロンの役割は、第3領域を照射する第3セットの光パルスの有無で、判定され得る。したがって、第3領域のニューロンの平常活動を中断させる第3領域の照射が、第2領域におけるニューロンの第1セットの光パルスに対する反応を減少、終止、またはさもなければ変更させる場合、第3領域のニューロンは動的機能的結合に介在し得る。いくつかの場合では第2領域におけるニューロンの第1セットの光パルスに対する反応は、例えば30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、および100%以内など、20%以上減少され得る。いくつかの場合では第2領域におけるニューロンの第1セットの光パルスに対する反応は、サインの変化を含み得る(例えば、第3領域のニューロンの平常活動による発火頻度の減少が、第3領域のニューロンの平常活動の中断により発火頻度の増加に切り替わる)。
【0048】
例えば、脳の第3領域における調節結節の有無は、光パルスのセットを用いて脳の第3領域を照射したり、照射しないことで、脳の第1領域(脳の第2領域への動的機能的結合がある)を照射することで判定され得る。第1セットの光パルスを用いた脳の第1領域の照射があると、第1領域のニューロンは第1セットの光パルスによって誘起された活動電位を生成し得る。加えて脳の第3領域は、同時に第3セットの光パルスによって照射され得る。第3領域の照射があると、第3領域のニューロンの活動は、例えば本開示で記述されているように、第3領域におけるニューロンが光活性化ポリペプチドを発現すると、中断され得る。次いで神経活動は、脳の第1領域と動的機能的に結合する脳の第2領域において(例えばfMRIで)測定され得る。例えばfMRIは、脳の第2領域において第1セットの光パルスによって誘起された神経活動における第3変化を、脳の第3領域を照射することなしに、測定するために使用され得る。いくつかの場合では、脳の第3領域を照射せずに、脳の第2領域において第1セットの光パルスによって誘起された神経活動の測定された第3変化は、脳の第1領域と第2領域との間の動的機能的結合のベースライン測定を提供する。加えて第2領域において第1セットの光パルスによって誘起された神経活動における第4変化もまた、脳の第3領域を第3セットの光パルスによって照射している間に測定され得る。いくつかの適用例において、神経活動における測定された第3変化と測定された神経活動における測定された第4変化との間に差があり得る。神経活動における測定された第3変化と神経活動における測定された第4変化との間の差に基づいて、脳の第3領域における調節結節が同定され得る。脳の第3領域における調節結節の存在は、脳の第3領域と脳の第1領域との間の機能的結合および/または脳の第3領域と脳の第2領域との間の機能的結合の指標であり得る。例えば脳の第3領域における調節結節は、神経活動における測定された第3変化と測定された第4変化の間の差を計算することによって同定され得る。神経活動における測定された第3変化と測定された第4変化との間の計算された差が定性的または定量的に異なる場合、これは脳の第3領域において調節結節が存在するということの指標であり得る。例えば、神経活動における測定された第3変化と測定された第4変化との間の計算された差が定性的または定量的に異なる場合、これは、脳の第3領域と脳の第1領域との間に機能的結合があり、および/または脳の第3領域と脳の第2領域との間に機能的結合があることの指標であり得る。
【0049】
光遺伝学的刺激は、任意の好適な方法を使用して実施され得る。好適な方法は、例えば米国特許第8,834,546号に記載されており、その特許を参照によってここに組み込む。脳の好適な領域のニューロンの活動は光によって変調されるが、このニューロンは便利な方法を使用して光活性化ポリペプチドを発現するように改変され得る。いくつかの場合では脳領域のニューロンは、遺伝子的に改変されて光活性化ポリペプチドを発現する。いくつかの場合ではニューロンは、例えば光活性化ポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列を有する核酸を含むアデノ随伴ウイルスベクターなどのウイルスベクターを使用して、遺伝子的に改変され得る。ウイルスベクターは、細胞型、時期、誘発因子の存在などに従って光活性化ポリペプチドの発現を制御する任意の好適な制御因子(例えばプロモーター、エンハンサー、組換え部位など)を含み得る。
【0050】
好適なニューロン特異的制御配列は、神経特異的エノラーゼ(NSE)プロモーター(例えばEMBL HSENO2,X51956を参照;また例えば米国特許第6,649,811号、米国特許第5,387,742号も参照);芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)プロモーター;神経フィラメントプロモーター(例えばGenBank HUMNFL,L04147を参照);シナプシンプロモーター(例えばGenBank HUMSYNIB,M55301を参照);thy-1プロモーター(例えばChen et al.(1987)Cell 51:7-19;およびLlewellyn et al.(2010)Nat.Med.16:1161を参照);セロトニン受容体プロモーター(例えばGenBank S62283を参照);チロシンヒドロキシラーゼプロモーター(TH)(例えばNucl.Acids.Res.15:2363-2384(1987)およびNeuron 6:583-594(1991)を参照);GnRHプロモーター(例えばRadovick et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:3402-3406(1991)を参照);L7プロモーター(例えばOberdick et al.,Science 248:223-226(1990)を参照);DNMTプロモーター(例えばBartge et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:3648-3652(1988)を参照);エンケファリンプロモーター(例えばComb et al.,EMBO J. 17:3793-3805(1988)を参照);ミエリン塩基性タンパク質(MBP)プロモーター;CMVエンハンサー/血小板由来成長因子-βプロモーター(例えばLiu et al.(2004)Gene Therapy 11:52-60を参照);運動ニューロン-特異的遺伝子Hb9プロモーター(例えば米国特許第7,632,679号;およびLee et al.(2004)Development 131:3295-3306を参照);およびCa(2+)-カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMKIIα)プロモーターのαサブユニット(例えばMayford et al.(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:13250を参照)、を含むがそれだけに限らない。他の好適なプロモーターとして、伸張因子(EF)1αおよびドーパミン輸送体(DAT)プロモーターを含む。
【0051】
いくつかの場合では光活性化ポリペプチドの細胞型特異的発現は、例えばCre-Lox組換え、Flp-FRT組換えなど、組換えシステムを使用することで達成され得る。組換えを使用した遺伝子の細胞型特異的発現は、例えばFenno et al.,Nat Methods.2014 Jul;11(7):763;およびGompf et al.,Front Behav Neurosci.2015 Jul 2;9:152に記載されており、これらを参照によってここに組み込む。
【0052】
いくつかの場合では光活性化ペプチドを含むニューロンのある脳の領域は、1つ以上の光ファイバーを使用して照射される。光ファイバーは任意の好適な方法で、例えばレーザー光源または発光ダイオード(LED)光源など、好適な光源から発射された光を脳の領域に導くように構成され得る。光ファイバーは任意の好適な光ファイバーであり得る。いくつかの場合では光ファイバーは、マルチモード光ファイバーである。光ファイバーはコア径を規定するコアを含み得て、光源からの光はコアを通り抜ける。光ファイバーは任意の好適なコア径を有し得る。いくつかの場合では光ファイバーのコア径は、例えば20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、80μm以上など10μm以上であり、および例えば500μm以下、200μm以下、100μm以下、70μm以下など1,000μm以下である。いくつかの実施形態において、光ファイバーのコア径は、例えば20~500μm、30~200μm、40~100μmなど10~1,000μmの範囲である。
【0053】
特定の実施形態において、クラッデングは光ファイバーのコアの少なくとも一部分を囲む。例えばクラッデングは、実質的に光ファイバーの外周面全体を囲み得る。いくつかの場合ではクラッデングは、光源から光を受信する光ファイバー先端、および脳の標的領域にあるニューロンに光を発信する光ファイバーの対向する端など、光ファイバーの端には存在しない。クラッデングは、任意の好適なタイプのクラッデングであり得る。いくつかの場合では、クラッデングは光ファイバーのコアより屈折率が低い。クラッデングの好適な材料として、プラスチック、樹脂、および同種のもの、およびそれらの組み合わせを含むがそれだけに限らない。
【0054】
いくつかの場合では光ファイバーは、外側コーティングを含む。外側コーティングは、クラッデング表面に配置され得る。コーティングは、実質的に光ファイバーの外周面全体を囲み得る。いくつかの場合ではコーティングは、光源から光を受信する光ファイバー先端、および脳の標的領域にあるニューロンに光を発信する光ファイバーの対向する端など、光ファイバーの端には存在しない。コーティングは生物学的に適合するコーティングであり得る。生物学的に適合するコーティングとして、組織、液体、または光ファイバーが差し込まれた対象に存在する他の物質に有意には反応しないコーティングを含む。いくつかの場合では生物学的に適合するコーティングは、光ファイバーが使用されている周辺環境に対して不活性の(つまり実質的に反応しない)材料から構成される。
【0055】
脳の標的領域に埋め込まれた光ファイバーの端部は、光ファイバーを通して出力された光刺激を用いて、脳の領域を照射するために好適な任意の好適な構成を有し得る。いくつかの場合では光ファイバーは、光ファイバーの遠位端にまたはその近傍にある取付け装置を含み、光ファイバーの遠位端は対象に差し込まれた端部に対応する。いくつかの場合では取付け装置は光ファイバーに接続するように構成され、および対象の頭部など対象への光ファイバーの取り付けを容易にする。任意の好適な取付け装置が使用され得る。いくつかの場合では取付け装置は、例えば金属の口金、セラミックの口金、またはプラスチックの口金などの口金を含む。口金は、光ファイバーを保持して取り付けるために好適な任意の寸法を有し得る。いくつかの場合では口金は、例えば0.75~2.5mm、または1~2mmなど、0.5~3mmの範囲の直径を有する。
【0056】
特定の実施形態において、本開示の方法は、任意の好適な電子部品を使用して脳の領域を照射するように使用される様々な光部品を制御および/または調整するように実施され得る。光部品(例えば光源、光ファイバー、レンズ、対物レンズ、ミラー、および同種のもの)は、例えば光パルスを用いて脳の領域を照射する光源を調整するために、制御部によって制御され得る。この制御部は光源の駆動部を含み得て、この駆動部は、光パルスの周波数、パルス幅、デューティサイクル、波長、強度などを含むがそれに限定されない、光パルスに関連する1つ以上のパラメータを制御する。制御部は、光源の部品(例えばコリメータ、シャッター、フィルタホイール、可動ミラー、レンズなど)と通信し得る。
【0057】
演算ユニット(例えばコンピュータ)は、本開示の方法において、1つ以上の制御部を通して光刺激を制御および/または調整するため、およびfMRIによる脳の領域のスキャンからのデータを解析するために使用され得る。演算ユニットは、測定されたfMRI画像を解析する任意の好適な部品を含み得る。したがって演算ユニットは、以下のもののうち1つ以上、プロセッサ、コンピュータ可読媒体などの非一時的コンピュータ可読メモリー、キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力装置、モニター、画面、スピーカーなどの出力装置、有線または無線のネットワークインターフェースなどのネットワークインターフェース、および同種のものを含み得る。
【0058】
fMRIは、任意の好適な方法を使用して実施され得る。好適な方法は、例えば米国特許第8,834,546号に記載されており、その特許を参照によってここに組み込む。
【0059】
本方法(光遺伝学的に神経活動を刺激するおよび/または測定するため)における脳の関心領域は変化し得て、および任意の好適な領域であり得る。特定の実施形態において、脳領域は、解剖的および/または機能的に規定された脳の領域である。例えばここで記述されているように光パルスによって照射された脳の第1領域と脳の第2領域とは、解剖的に脳の異なる領域であり得る。同様にいくつかの適用例において、脳の第3領域は第1領域と第2領域との間の動的機能的結合を調節するが、その第3領域は脳の第1領域および第2領域とは解剖的に別個であり得る。脳が哺乳類の脳であるいくつかの場合では、脳の関心領域は、視床(中心視床を含む)、感覚皮質(体性感覚皮質を含む)、不確帯(ZI)、腹側被蓋野(VTA)、前頭前皮質(PFC)、側座核(NAc)、扁桃体(BLA)、黒質、腹側淡蒼球、淡蒼球、背側線条体、腹側線条体、視床下核、海馬、歯状回、帯状回、嗅内皮質、嗅覚皮質、一次運動皮質、および小脳、の少なくとも一部分から選択される。いくつかの場合では異なる脳領域(例えば第1脳領域および第2脳領域)は最小でも、例えば2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、7つ以上など1つ以上のシナプス結合によって分離されており、および最小でも例えば12個以下、10個以下、8つ以下、6つ以下など、15個以下のシナプス結合によって分離される。いくつかの実施形態において、異なる脳領域は最小でも例えば1~12シナプス結合、1~10シナプス結合、2~8シナプス結合、3~6シナプス結合など、1~15シナプス結合によって分離される。
【0060】
脳領域に存在する対象ニューロンは、任意の好適なタイプのニューロンであり得る。いくつかの場合ではこのニューロンは、抑制性ニューロンまたは興奮性ニューロンである。いくつかの場合ではこのニューロンは、感覚ニューロン、介在ニューロン、または運動ニューロンである。いくつかの場合ではこのニューロンは、制限なしでドーパミン作動性ニューロン、コリン作動性ニューロン、GABA作動性神経、グルタミン酸作動性神経、またはペプチド作動性神経である。
【0061】
光活性化ポリペプチド
上記で要約したように本開示の態様は、例えば発現する光活性化ポリペプチドを有するニューロンを含む様々な脳領域を含む。光活性化ポリペプチドは、光活性化イオンチャネルまたは光活性化イオンポンプであり得る。光活性化イオンチャネルポリペプチドは、ポリペプチドに活性化波長の光を照射した場合に、1つ以上のイオンをニューロンの原形質膜を通過可能にすることに適する。光活性化タンパク質はイオンポンプタンパク質を特徴とし得て、このタンパク質は少数のイオンが光の光子によって原形質膜を通過することを容易にする、またはイオンチャネルタンパク質を特徴とし得て、このタンパク質はチャネルが開いている場合にイオン流が自在に原形質膜を貫流することを可能にする。いくつかの実施形態において、光活性化ポリペプチドは、活性化波長の光によって活性化された場合にニューロンを脱分極する。図14は、制限なしで好適な脱分極性光活性化ポリペプチドを示す。いくつかの実施形態において、光活性化ポリペプチドは、活性化波長の光によって活性化された場合にニューロンを過分極する。図15は、制限なしで好適な過分極性光活性化ポリペプチドを示す。
【0062】
いくつかの実施形態において、光活性化ポリペプチドは青色光によって活性化される。いくつかの実施形態において、光活性化ポリペプチドは緑色光によって活性化される。いくつかの実施形態において、光活性化ポリペプチドは黄色光によって活性化される。いくつかの実施形態において、光活性化ポリペプチドは橙色光によって活性化される。いくつかの実施形態において、光活性化ポリペプチドは赤色光によって活性化される。
【0063】
いくつかの実施形態において、細胞内で発現された光活性化ポリペプチドは、シグナルペプチド、小胞体(ER)輸出シグナル、膜輸送シグナル、および/またはN末端ゴルジ輸出シグナルからなる群から選択された1つ以上のアミノ酸配列モチーフに融合され得る。光活性化タンパク質の哺乳類細胞の原形質膜への輸送を高める1つ以上のアミノ酸配列モチーフは、光活性化ポリペプチドのN末端に、C末端に、またはN末端とC末端との両方に、融合され得る。いくつかの場合では、光活性化ポリペプチドの哺乳類細胞の原形質膜への輸送を高める1つ以上のアミノ酸配列モチーフは、内部的に光活性化ポリペプチド内部で融合される。オプションとして光活性化ポリペプチドと1つ以上のアミノ酸配列モチーフとは、リンカーによって分離され得る。
【0064】
いくつかの実施形態において、光活性化ポリペプチドは、タンパク質の細胞原形質膜への輸送を高める輸送シグナル(TS)の追加によって改変され得る。いくつかの実施形態において輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のアミノ酸配列に由来し得る。他の実施形態において、輸送シグナルはアミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56)を含み得る。使用するために好適な輸送配列は、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))の輸送配列などのアミノ酸配列と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0065】
輸送配列は、例えば約10アミノ酸~約20アミノ酸、約20アミノ酸~約30アミノ酸、約30アミノ酸~約40アミノ酸、または約40アミノ酸~約50アミノ酸など、約10アミノ酸~約50アミノ酸の長さを持ち得る。
【0066】
光活性化ポリペプチドと共に使用するために好適なER輸出配列は、例えばVXXSL(ここでXは任意のアミノ酸、配列番号52)(例えばVKESL(配列番号53)、VLGSL(配列番号54)など)、NANSFCYENEVALTSK(配列番号55)、FXYENE(配列番号57)(ここでXは任意のアミノ酸)、例えばFCYENEV(配列番号58)、および同種のものを含む。ER輸送配列は、例えば約5アミノ酸~約10アミノ酸、約10アミノ酸~約15アミノ酸、約15アミノ酸~約20アミノ酸、または約20アミノ酸~約25アミノ酸など、約5アミノ酸~約25アミノ酸の長さを持ち得る。
【0067】
使用するために好適なシグナル配列は、以下の1つなどのアミノ酸配列と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。1)hChR2のシグナルペプチド(例えばMDYGGALSAVGRELLFVTNPVVVNGS(配列番号59))、2)ニューロン性ニコチン性アセチルコリン受容体のβ2サブユニットシグナルペプチド(例えばMAGHSNSMALFSFSLLWLCSGVLGTEF(配列番号60))、3)ニコチン性アセチルコリン受容体シグナル配列(例えばMGLRALMLWLLAAAGLVRESLQG(配列番号64))、および4)ニコチン性アセチルコリン受容体シグナル配列(例えばMRGTPLLLVVSLFSLLQD(配列番号61))。
【0068】
シグナル配列は、例えば約10アミノ酸~約20アミノ酸、約20アミノ酸~約30アミノ酸、約30アミノ酸~約40アミノ酸、または約40アミノ酸~約50アミノ酸など、約10アミノ酸~約50アミノ酸の長さを持ち得る。
【0069】
いくつかの実施形態において、タンパク質中のシグナルペプチド配列は、欠失され得る、または相違するタンパク質からのシグナルペプチド配列で置換され得る。
【0070】
光活性化ポリペプチドの実施例は、例えば国際特許出願第PCT/US2011/028893号に記載されており、この出願を参照によってここに組み込む。本開示で使用される代表的な光活性化ポリペプチドが、以下に詳細に説明される。
【0071】
脱分極性光活性化ポリペプチド
ChR
いくつかの態様において、脱分極性光活性化ポリペプチドはコナミドリムシに由来するが、細胞に光を照射した場合、ポリペプチドは細胞膜をはさんで陽イオンを輸送可能である。別の実施形態において光活性化ポリペプチドは、配列番号1で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。コナミドリムシ由来の光活性化陽イオンチャネルタンパク質を活性化するために使用される光は、約460~約495nmの波長を有し得るか、または約480nmの波長を有し得る。加えて、約100Hzの時間周波数を有する光パルスは、光活性化タンパク質を活性化するために使用され得る。いくつかの実施形態において、約100Hzの時間周波数を有する光パルスを用いてのコナミドリムシ由来の光活性化陽イオンチャネルの活性化は、光活性化陽イオンチャネルを発現するニューロンの脱分極を引き起こし得る。光活性化陽イオンチャネルタンパク質は、天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を追加的に含み得て、光感度を増減したり、特定の光波長感度を増減したり、および/または細胞の原形質膜の分極状態を調節する光活性化陽イオンチャネルタンパク質の能力を増減したり、し得る。加えて光活性化陽イオンチャネルタンパク質は、1つ以上の保守的アミノ酸置換、および/または1つ以上の非保守的アミノ酸置換を含み得る。天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を含む光活性化プロトンポンプタンパク質は、細胞膜をはさんで陽イオンを輸送する能力を好適に保持する。
【0072】
いくつかの実施形態において、光活性化陽イオンチャネルは、配列番号1に示すアミノ酸配列のT159C置換を含む。いくつかの実施形態において、光活性化陽イオンチャネルは、配列番号1に示すアミノ酸配列のL132C置換を含む。いくつかの実施形態において、光活性化陽イオンチャネルは、配列番号1に示すアミノ酸配列のE123T置換を含む。いくつかの実施形態において、光活性化陽イオンチャネルは、配列番号1に示すアミノ酸配列のE123A置換を含む。いくつかの実施形態において、光活性化陽イオンチャネルは、配列番号1に示すアミノ酸配列のT159C置換とE123T置換とを含む。いくつかの実施形態において、光活性化陽イオンチャネルは、配列番号1に示すアミノ酸配列のT159C置換とE123A置換とを含む。いくつかの実施形態において、光活性化陽イオンチャネルは、配列番号1に示すアミノ酸配列のT159C置換、L132C置換、およびE123T置換を含む。いくつかの実施形態において、光活性化陽イオンチャネルは、配列番号1に示すアミノ酸配列のT159C置換、L132C置換、およびE123A置換を含む。いくつかの実施形態において、光活性化陽イオンチャネルは、配列番号1に示すアミノ酸配列のL132C置換とE123T置換とを含む。いくつかの実施形態において、光活性化陽イオンチャネルは、配列番号1に示すアミノ酸配列のL132C置換とE123A置換とを含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、ChR2タンパク質は、シグナルペプチド、ER輸出シグナル、および膜輸送シグナルからなる群から選択されたニューロンの原形質膜への輸送を高める少なくとも1つの(1、2、3、またはそれ以上の)アミノ酸配列モチーフを含む。いくつかの実施形態において、ChR2タンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端ER輸出シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、ChR2タンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、ChR2タンパク質は、N末端シグナルペプチドと、C末端ER輸出シグナルと、C末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、ChR2タンパク質は、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとはリンカーによって関連付けられる。リンカーは、約5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400、または500の長さのアミノ酸のうち任意のものを含み得る。リンカーは、例えば黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、またはシアン色蛍光タンパク質を含むがそれに限定されない蛍光タンパク質をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、ER輸出シグナルは輸送シグナルよりC末端側に位置する。いくつかの実施形態において、輸送シグナルはER輸出シグナルよりC末端側に位置する。
【0074】
いくつかの実施形態において輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のアミノ酸配列に由来し得る。他の実施形態において、輸送シグナルはアミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56)を含み得る。使用するために好適な輸送配列は、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))の輸送配列などのアミノ酸配列と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。いくつかの場合ではER輸出シグナルは、例えばVXXSL(ここでXは任意のアミノ酸、配列番号52)(例えばVKESL(配列番号53)、VLGSL(配列番号54)など)、NANSFCYENEVALTSK(配列番号55)、FXYENE(配列番号57)(ここでXは任意のアミノ酸)、例えばFCYENEV(配列番号58)、および同種のものである。
【0075】
特定の実施形態において、ChR2タンパク質は、配列番号2で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を有し得る。
【0076】
他の実施形態において、光活性化ポリペプチドは、タンパク質の網膜結合ポケットのキー位置で特異的アミノ酸置換を有し得る、階段関数オプシン(SFO)タンパク質または安定化階段関数オプシン(SSFO)タンパク質である。いくつかの実施形態において、SFOタンパク質は配列番号1のアミノ酸残基C128で変異を有し得る。他の実施形態において、SFOタンパク質は配列番号1でC128A変異を有する。他の実施形態において、SFOタンパク質は配列番号1でC128S変異を有する。別の実施形態において、SFOタンパク質は配列番号1でC128T変異を有する。
【0077】
いくつかの実施形態において、SSFOタンパク質は配列番号1のアミノ酸残基D156で変異を有し得る。他の実施形態において、SSFOタンパク質は配列番号1のアミノ酸残基C128とD156との両方で変異を有し得る。一つの実施形態において、SSFOタンパク質は配列番号1でC128SとD156Aとの変異を有する。別の実施形態においてSSFOタンパク質は、配列番号1で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含み得て、およびアミノ酸128でアラニン、セリン、またはトレオニンを含み、およびアミノ酸156でアラニンを含む。別の実施形態において、SSFOタンパク質は配列番号1でC128T変異を含み得る。いくつかの実施形態において、SSFOタンパク質は配列番号1でC128TとD156Aとの変異を有する。
【0078】
いくつかの実施形態において、ここで述べたSFOタンパク質またはSSFOタンパク質は、細胞に青色光を照射した場合に、細胞中の脱分極性電流に介在し得る。他の実施形態において、この光は約445nmの波長を有し得る。加えていくつかの実施形態において、SFOとSSFO光電流の長期安定性により、この光は単一パルスの光としてまたは離隔パルスの光として出力し得る。いくつかの実施形態において、単一パルスの光または離隔パルスの光を用いたSFOまたはSSFOタンパク質の活性化は、SFOまたはSSFOタンパク質を発現するニューロンの脱分極を引き起こし得る。いくつかの実施形態において、開示された階段関数オプシンタンパク質と安定化階段関数オプシンタンパク質とのうち各々は、光への反応においてニューロン膜の脱分極において使用するために特異的な特性と特徴とを有し得る。
【0079】
SFOまたはSSFOタンパク質に関するさらなる開示は、国際特許出願公開第WO2010/056970号で見つかり得て、その開示全体を参照によってここに組み込む。
【0080】
いくつかの場合では、ChR2ベースのSFOまたはSSFOは、膜輸送シグナルおよび/またはER輸出シグナルを含む。いくつかの実施形態において輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のアミノ酸配列に由来する。他の実施形態において、輸送シグナルはアミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56)を含む。使用するために好適な輸送配列は、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))の輸送配列などのアミノ酸配列と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を持つアミノ酸配列を含む。いくつかの場合ではER輸出シグナルは、例えばVXXSL(ここでXは任意のアミノ酸、配列番号52)(例えばVKESL(配列番号53)、VLGSL(配列番号54)など)、NANSFCYENEVALTSK(配列番号55)、FXYENE(配列番号57)(ここでXは任意のアミノ酸)、例えばFCYENEV(配列番号58)、および同種のものである。
【0081】
特定の実施形態において、SSFOタンパク質は、配列番号4で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0082】
オオヒゲマワリ光活性化ポリペプチド
いくつかの実施形態において、好適な光活性化ポリペプチドはオオヒゲマワリ(VChR1)由来の陽イオンチャネルであり、例えば約525nm~約550nm、例えば545nmなど、約500nm~約600nmの波長の光を用いた照射によって活性化される。いくつかの実施形態において、光活性化イオンチャネルタンパク質は、配列番号5で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列とを含む。光活性化イオンチャネルタンパク質は、天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を追加的に含み得て、光感度を増減したり、特定の光波長感度を増減したり、および/または細胞の原形質膜の分極状態を調節する光活性化イオンチャネルタンパク質の能力を増減したり、し得る。加えて光活性化イオンチャネルタンパク質は、1つ以上の保守的アミノ酸置換、および/または1つ以上の非保守的アミノ酸置換を含み得る。天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を含む光活性化イオンチャネルタンパク質は、光への反応においてニューロンの原形質膜をはさんでイオンを輸送する能力を好適に保持する。
【0083】
いくつかの場合では、VChR1光活性化陽イオンチャネルタンパク質は、配列番号5で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のコアアミノ酸配列と、およびシグナルペプチド、ER輸出シグナル、および膜輸送シグナルからなる群から選択された哺乳類細胞の原形質膜への輸送を高める少なくとも1つの(1、2、3、またはそれ以上の)アミノ酸配列モチーフとを含む。いくつかの実施形態において、光活性化陽子イオンチャネルは、N末端シグナルペプチドとC末端ER輸出シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、光活性化イオンチャネルタンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、光活性化イオンチャネルタンパク質は、N末端シグナルペプチドと、C末端ER輸出シグナルと、C末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、光活性化イオンチャネルタンパク質は、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルはリンカーによって関連付けられる。このリンカーは、約5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400、または500の長さのアミノ酸のうち任意のものである。このリンカーは、例えば黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、またはシアン色蛍光タンパク質を含むがそれに限定されない蛍光タンパク質をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、ER輸出シグナルは輸送シグナルよりC末端側に位置する。いくつかの実施形態において、輸送シグナルはER輸出シグナルよりC末端側に位置する。
【0084】
いくつかの実施形態において輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のアミノ酸配列に由来する。他の実施形態において、輸送シグナルはアミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56)を含む。使用するために好適な輸送配列は、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))の輸送配列などのアミノ酸配列と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列とを含み得る。いくつかの場合ではER輸出シグナルは、例えばVXXSL(ここでXは任意のアミノ酸、配列番号52)(例えばVKESL(配列番号53)、VLGSL(配列番号54)など)、NANSFCYENEVALTSK(配列番号55)、FXYENE(配列番号57)(ここでXは任意のアミノ酸)、例えばFCYENEV(配列番号58)、および同種のものである。
【0085】
特定の実施形態において、VChR1タンパク質は、配列番号6で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0086】
VChR1に基づく階段関数オプシンと安定化階段関数オプシン
他の実施形態において、光活性化ポリペプチドはVChR1に基づくSFOまたはSSFOである。いくつかの実施形態において、SFOタンパク質は配列番号5のアミノ酸残基C123で変異を有し得る。他の実施形態において、SFOタンパク質は配列番号5中でC123A変異を有する。他の実施形態において、SFOタンパク質は配列番号5中でC123S変異を有する。別の実施形態において、SFOタンパク質は配列番号5中でC123T変異を有する。
【0087】
いくつかの実施形態において、SFOタンパク質は配列番号5のアミノ酸残基D151で変異を有し得る。他の実施形態において、SFOタンパク質は配列番号5のアミノ酸残基C123およびD151の両方で変異を有し得る。一つの実施形態において、SFOタンパク質は配列番号5中でC123SとD151Aの変異を有する。
【0088】
いくつかの実施形態において、SFOタンパク質またはSSFOタンパク質は、細胞に青色光を照射した場合に、細胞中の脱分極性電流に介在し得る。いくつかの実施形態において、光は約560nmの波長を有し得る。加えていくつかの実施形態において、SFOとSSFOとの光電流の長期安定性により、光は単一パルスの光としてまたは離隔パルスの光として出力される。いくつかの実施形態において、単一パルスの光または離隔パルスの光を用いたSFOまたはSSFOタンパク質の活性化は、SFOまたはSSFOタンパク質を発現するニューロンの脱分極を引き起こし得る。いくつかの実施形態において、開示された階段関数オプシンタンパク質と安定化階段関数オプシンタンパク質とのうち各々は、光への反応においてニューロン膜の脱分極において使用するため特異的な特性と特徴とを有し得る。
【0089】
いくつかの場合ではVChR1ベースのSFOまたはSSFOは、膜輸送シグナルおよび/またはER輸出シグナルを含む。いくつかの実施形態において輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のアミノ酸配列に由来し得る。使用するために好適な輸送配列は、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))の輸送配列などのアミノ酸配列と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。いくつかの場合ではER輸出シグナルは、例えばVXXSL(ここでXは任意のアミノ酸、配列番号52)(例えばVKESL(配列番号53)、VLGSL(配列番号54)など)、NANSFCYENEVALTSK(配列番号55)、FXYENE(配列番号57)(ここでXは任意のアミノ酸)、例えばFCYENEV(配列番号58)、および同種のものである。
【0090】
C1V1キメラ陽イオンチャネル
他の実施形態において、光活性化陽イオンチャネルタンパク質はオオヒゲマワリのVChR1タンパク質由来のC1V1キメラタンパク質およびコナミドリムシ由来のChR1タンパク質であり、タンパク質は、ChR1の第1および第2の膜貫通ヘリックスによって置換された少なくとも第1および第2の膜貫通ヘリックスを有するVChR1のアミノ酸配列を含み、光に反応し、および細胞に光を照射した場合に、細胞中の脱分極性電流に介在し得る。いくつかの実施形態において、C1V1タンパク質はさらに、キメラ光感受性タンパク質の第2および第3の膜貫通ヘリックス間に位置する細胞内ループドメイン内での置換を含み、細胞内ループドメインの少なくとも一部分は、ChR1の対応する部分によって置換される。別の実施形態において、C1V1キメラタンパク質の細胞内ループドメインの部分は、ChR1のアミノ酸残基A145に伸びるChR1の対応する部分によって置換され得る。他の実施形態において、C1V1キメラタンパク質はさらに、キメラ光感受性タンパク質の第3膜貫通ヘリックス内での置換を含み、第3膜貫通ヘリックスの少なくとも一部分は、ChR1の対応する配列によって置換される。さらに別の実施形態において、C1V1キメラタンパク質の細胞内ループドメインの部分は、ChR1のアミノ酸残基W163に伸びるChR1の対応する部分によって置換され得る。別の実施形態においてC1V1キメラタンパク質は、配列番号7で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0091】
いくつかの実施形態において、C1V1タンパク質は、細胞に緑色光を照射した場合に、細胞中の脱分極性電流に介在する。いくつかの実施形態において、光は約540nm~約560nmの波長を有する。いくつかの実施形態において、光は約542nmの波長を有し得る。いくつかの実施形態において、C1V1キメラタンパク質は、細胞に紫色光を照射した場合に、細胞中の脱分極性電流に介在し得ない。いくつかの実施形態において、キメラタンパク質は、細胞に約405nmの波長の光を用いて照射した場合に、細胞中の脱分極性電流に介在し得ない。加えていくつかの実施形態において、約100Hzの時間周波数を有する光パルスは、C1V1タンパク質を活性化するために使用され得る。
【0092】
いくつかの場合ではC1V1ポリペプチドは、膜輸送シグナルおよび/またはER輸出シグナルを含む。いくつかの実施形態において輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のアミノ酸配列に由来する。他の実施形態において、輸送シグナルはアミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56)を含む。使用するために好適な輸送配列は、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))の輸送配列などのアミノ酸配列と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列とを含み得る。いくつかの場合ではER輸出シグナルは、例えばVXXSL(ここでXは任意のアミノ酸、配列番号52)(例えばVKESL(配列番号53)、VLGSL(配列番号54)など)、NANSFCYENEVALTSK(配列番号55)、FXYENE(配列番号57)(ここでXは任意のアミノ酸)、例えばFCYENEV(配列番号58)、および同種のものである。
【0093】
特定の実施形態において、C1V1タンパク質は、配列番号8で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0094】
C1V1多様体
いくつかの態様において、好適な光活性化ポリペプチドは置換されたまたは変異されたアミノ酸配列を含み、変異体ポリペプチドは、前駆体C1V1キメラポリペプチドの特徴的な光活性化可能な性質を保持するが、またいくつかの特異的態様において変更された特性を所持し得る。例えばここで記述されている変異体光活性化C1V1キメラタンパク質は、動物細胞内または動物細胞原形質膜上の両方で増加したレベルの発現と、異なる光波長、とりわけ赤色光に曝された場合の反応変化と、および/またはキメラC1V1ポリペプチドが、低脱感作と、高速解除と、他の光活性化陽イオンチャネルを用いた最小限のクロス活性化のための低紫色光活性化と、および/または動物細胞における強い発現の特性と、を有するところのその特性の組み合わせとを示し得る。
【0095】
したがって好適な光活性化タンパク質は、キメラポリペプチドのVChR1部分の網膜結合ポケット全体にわたってキー位置において特異的アミノ酸置換を有し得るC1V1キメラ光活性化タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、C1V1タンパク質は配列番号7のアミノ酸残基E122でアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態において、C1V1タンパク質は配列番号7のアミノ酸残基E162で置換を含む。他の実施形態において、C1V1タンパク質は配列番号7のアミノ酸残基E162およびE122の両方で置換を含む。
【0096】
いくつかの実施形態において、C1V1-E122変異体キメラタンパク質は、細胞に光を照射した場合に、細胞中の脱分極性電流に介在し得る。いくつかの実施形態において、光は緑色光である。他の実施形態において、光は約540nm~約560nmの波長を有する。いくつかの実施形態において、光は約546nmの波長を有する。他の実施形態において、C1V1-E122変異体キメラタンパク質は、細胞に赤色光を照射した場合に、細胞中の脱分極性電流に介在する。いくつかの実施形態において、赤色光は約630nmの波長を有する。いくつかの実施形態において、C1V1-E122変異体キメラタンパク質は、細胞に紫色光を照射した場合に、細胞中の脱分極性電流に介在しない。いくつかの実施形態において、キメラタンパク質は、細胞に約405nmの波長の光を照射した場合に、細胞中の脱分極性電流に介在しない。加えていくつかの実施形態において、約100Hzの時間周波数を有する光パルスは、C1V1-E122変異体キメラタンパク質を活性化するために使用され得る。いくつかの実施形態において、周波数100Hzを有する光パルスを用いたC1V1-E122変異体キメラタンパク質の活性化は、C1V1-E122変異体キメラタンパク質を発現するニューロンの脱分極を引き起こし得る。
【0097】
他の態様において、C1V1-E162変異体キメラタンパク質は、細胞に光を照射した場合に、細胞中の脱分極性電流に介在し得る。いくつかの実施形態において、光は緑色光であり得る。他の実施形態において、光は約535nm~約540nmの波長を有し得る。いくつかの実施形態において、光は約542nmの波長を有し得る。他の実施形態において、光は約530nmの波長を有し得る。いくつかの実施形態において、C1V1-E162変異体キメラタンパク質は、細胞に紫色光を照射した場合に、細胞中の脱分極性電流に介在しない。いくつかの実施形態において、キメラタンパク質は、細胞に約405nmの波長の光を照射した場合に、細胞中の脱分極性電流に介在しない。加えていくつかの実施形態において、約100Hzの時間周波数を有する光パルスは、C1V1-E162変異体キメラタンパク質を活性化するために使用され得る。いくつかの実施形態において、周波数100Hzを有する光パルスを用いたC1V1-E162変異体キメラタンパク質の活性化は、C1V1-E162変異体キメラタンパク質を発現するニューロンの脱分極誘発シナプス除去を引き起こし得る。
【0098】
他の態様において、C1V1-E122/E162変異体キメラタンパク質は、細胞に光を照射した場合に、細胞中の脱分極性電流に介在し得る。いくつかの実施形態において、光は緑色光であり得る。他の実施形態において、光は約540nm~約560nmの波長を有し得る。いくつかの実施形態において、光は約546nmの波長を有し得る。いくつかの実施形態において、C1V1-E122/162変異体キメラタンパク質は、細胞に紫色光を照射した場合に、細胞中の脱分極性電流に介在しない。いくつかの実施形態において、キメラタンパク質は、細胞に約405nmの波長の光を照射した場合に、細胞中の脱分極性電流に介在しない。いくつかの実施形態において、C1V1-E122/162変異体キメラタンパク質は、E122/162で変異を欠くC1V1変異体キメラタンパク質に比較して、または他の光活性化陽イオンチャネルタンパク質に比較して、紫色光に曝された場合は低い活性化を示し得る。加えていくつかの実施形態において、約100Hzの時間周波数を有する光パルスは、C1V1-E122/E162変異体キメラタンパク質を活性化するために使用され得る。いくつかの実施形態において、周波数100Hzを有する光パルスを用いたC1V1-E122/E1262変異体キメラタンパク質の活性化は、C1V1-E122/E162変異体キメラタンパク質を発現するニューロンの脱分極誘発シナプス除去を引き起こし得る。
【0099】
いくつかの場合ではC1V1多様体ポリペプチドは、膜輸送シグナルおよび/またはER輸出シグナルを含む。いくつかの実施形態において輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のアミノ酸配列に由来し得る。他の実施形態において、輸送シグナルはアミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56)を含む。使用するために好適な輸送配列は、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))の輸送配列などのアミノ酸配列と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。いくつかの場合ではER輸出シグナルは、例えばVXXSL(ここでXは任意のアミノ酸、配列番号52)(例えばVKESL(配列番号53)、VLGSL(配列番号54)など)、NANSFCYENEVALTSK(配列番号55)、FXYENE(配列番号57)(ここでXは任意のアミノ酸)、例えばFCYENEV(配列番号58)、および同種のものである。
【0100】
C1C2キメラ陽イオンチャネル
他の実施形態において、光活性化陽イオンチャネルタンパク質は、コナミドリムシからのChR1とChR2タンパク質由来のC1C2キメラタンパク質であり、このタンパク質は光に反応し、および細胞に光を照射した場合に、細胞中の脱分極性電流に介在し得る。別の実施形態において光活性化ポリペプチドは、配列番号9で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。光活性化陽イオンチャネルタンパク質は、天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を追加的に含み得て、光感度を増減したり、特定の光波長感度を増減したり、および/または細胞の原形質膜の分極状態を調節する光活性化陽イオンチャネルタンパク質の能力を増減したり、し得る。加えて光活性化陽イオンチャネルタンパク質は、1つ以上の保守的アミノ酸置換、および/または1つ以上の非保守的アミノ酸置換を含む。天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を含む光活性化プロトンポンプタンパク質は、細胞膜をはさんで陽イオンを輸送する能力を好適に保持する。
【0101】
いくつかの実施形態において、C1C2タンパク質は、シグナルペプチド、ER輸出シグナル、および膜輸送シグナルからなる群から選択されたニューロンの原形質膜への輸送を高める少なくとも1つの(1、2、3、またはそれ以上の)アミノ酸配列モチーフを含む。いくつかの実施形態において、C1C2タンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端ER輸出シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、C1C2タンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、C1C2タンパク質は、N末端シグナルペプチドと、C末端ER輸出シグナルと、C末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、C1C2タンパク質は、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとはリンカーによって関連付けられる。このリンカーは、約5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400、または500の長さのアミノ酸のうち任意のものである。このリンカーは、例えば黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、またはシアン色蛍光タンパク質を含むがそれに限定されない蛍光タンパク質をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、ER輸出シグナルは輸送シグナルよりC末端側に位置する。いくつかの実施形態において、輸送シグナルはER輸出シグナルよりC末端側に位置する。
【0102】
いくつかの実施形態において輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のアミノ酸配列に由来し得る。他の実施形態において、輸送シグナルはアミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56)を含み得る。使用するために好適な輸送配列は、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))の輸送配列などのアミノ酸配列と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。いくつかの場合ではER輸出シグナルは、例えばVXXSL(ここでXは任意のアミノ酸、配列番号52)(例えばVKESL(配列番号53)、VLGSL(配列番号54)など)、NANSFCYENEVALTSK(配列番号55)、FXYENE(配列番号57)(ここでXは任意のアミノ酸)、例えばFCYENEV(配列番号58)、および同種のものである。
【0103】
特定の実施形態において、C1C2タンパク質は、配列番号10で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0104】
ReaChR
いくつかの態様において、脱分極性光活性化ポリペプチドは、コナミドリムシ由来の脱分極性光活性化ポリペプチドの赤色シフト多様体であり、そのような光活性化ポリペプチドは本開示では「ReaChRポリペプチド」、または「ReaChRタンパク質」、または「ReaChR」と呼ばれる。別の実施形態において光活性化ポリペプチドは、配列番号11で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。ReaChRポリペプチドを活性化するために使用される光は、約590~約630nmの波長を有し得るか、または約610nmの波長を有し得る。ReaChRタンパク質は、天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を追加的に含み得て、光感度を増減したり、特定の光波長感度を増減したり、および/または細胞の原形質膜の分極状態を調節する光活性化陽イオンチャネルタンパク質の能力を増減したり、し得る。加えてReaChRタンパク質は、1つ以上の保守的アミノ酸置換、および/または1つ以上の非保守的アミノ酸置換を含み得る。天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を含むReaChRは、細胞膜をはさんで陽イオンを輸送する能力を好適に保持する。
【0105】
いくつかの実施形態において、ReaChRタンパク質は、シグナルペプチド、ER輸出シグナル、および膜輸送シグナルからなる群から選択されたニューロンの原形質膜への輸送を高める少なくとも1つの(1、2、3、またはそれ以上の)アミノ酸配列モチーフを含む。いくつかの実施形態において、ReaChRタンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端ER輸出シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、ReaChRタンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、ReaChRタンパク質は、N末端シグナルペプチドと、C末端ER輸出シグナルと、C末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、ReaChRタンパク質は、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとはリンカーによって関連付けられる。このリンカーは、約5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400、または500の長さのアミノ酸のうち任意のものである。このリンカーは、例えば黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、またはシアン色蛍光タンパク質を含むがそれに限定されない蛍光タンパク質をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、ER輸出シグナルは輸送シグナルよりC末端側に位置する。いくつかの実施形態において、輸送シグナルはER輸出シグナルよりC末端側に位置する。
【0106】
いくつかの実施形態において輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のアミノ酸配列に由来し得る。他の実施形態において、輸送シグナルはアミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56)を含み得る。使用するために好適な輸送配列は、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))の輸送配列などのアミノ酸配列と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。いくつかの場合ではER輸出シグナルは、例えばVXXSL(ここでXは任意のアミノ酸、配列番号52)(例えばVKESL(配列番号53)、VLGSL(配列番号54)など)、NANSFCYENEVALTSK(配列番号55)、FXYENE(配列番号57)(ここでXは任意のアミノ酸)、例えばFCYENEV(配列番号58)、および同種のものである。
【0107】
特定の実施形態において、ReaChRタンパク質は、配列番号12で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0108】
SdChR
いくつかの態様において、脱分極性光活性化ポリペプチドはシェルフェリアデュビア由来のSdChRポリペプチドであるが、細胞に光を照射した場合、SdChRポリペプチドは細胞膜をはさんで陽イオンを輸送可能である。いくつかの場合ではSdChRポリペプチドは、配列番号13で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。SdChRポリペプチドを活性化するために使用される光は、約440~約490nmの波長を有し得るか、または約460nmの波長を有し得る。SdChRタンパク質は、天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を追加的に含み得て、光感度を増減したり、特定の光波長感度を増減したり、および/または細胞の原形質膜の分極状態を調節するSdChRタンパク質の能力を増減したり、し得る。いくつかの適用例においてSdChRタンパク質は、1つ以上の保守的アミノ酸置換、および/または1つ以上の非保守的アミノ酸置換を含む。天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を含むSdChRタンパク質は、細胞膜をはさんで陽イオンを輸送する能力を好適に保持する。
【0109】
いくつかの実施形態において、SdChRタンパク質は、シグナルペプチド、ER輸出シグナル、および膜輸送シグナルからなる群から選択されたニューロンの原形質膜への輸送を高める少なくとも1つの(1、2、3、またはそれ以上の)アミノ酸配列モチーフを含む。いくつかの実施形態において、SdChRタンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端ER輸出シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、SdChRタンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、SdChRタンパク質は、N末端シグナルペプチドと、C末端ER輸出シグナルと、C末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、SdChRタンパク質は、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとはリンカーによって関連付けられる。このリンカーは、約5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400、または500の長さのアミノ酸のうち任意のものである。このリンカーは、例えば黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、またはシアン色蛍光タンパク質を含むがそれに限定されない蛍光タンパク質をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、ER輸出シグナルは輸送シグナルよりC末端側に位置する。いくつかの実施形態において、輸送シグナルはER輸出シグナルよりC末端側に位置する。
【0110】
いくつかの実施形態において輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のアミノ酸配列に由来し得る。他の実施形態において、輸送シグナルはアミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56)を含む。使用するために好適な輸送配列は、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))の輸送配列などのアミノ酸配列と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を持つアミノ酸配列を含む。いくつかの場合ではER輸出シグナルは、例えばVXXSL(ここでXは任意のアミノ酸、配列番号52)(例えばVKESL(配列番号53)、VLGSL(配列番号54)など)、NANSFCYENEVALTSK(配列番号55)、FXYENE(配列番号57)(ここでXは任意のアミノ酸)、例えばFCYENEV(配列番号58)、および同種のものである。
【0111】
特定の実施形態において、SdChRタンパク質は、配列番号14で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0112】
CnChR1
いくつかの態様において、脱分極性光活性化ポリペプチドは例えばCnChR1など、クラミドモナス・ノクチガマに由来し得るが、細胞に光を照射した場合、CnChR1ポリペプチドは細胞膜をはさんで陽イオンを輸送可能である。いくつかの場合ではCnChR1ポリペプチドは、配列番号15で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。CnChR1ポリペプチドを活性化するために使用される光は、約560~約630nmの波長を有し得るか、または約600nmの波長を有し得る。CnChR1タンパク質は、天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を追加的に含み得て、光感度を増減したり、特定の光波長感度を増減したり、および/または細胞の原形質膜の分極状態を調節するCnChR1タンパク質の能力を増減したり、し得る。いくつかの場合ではCnChR1タンパク質は、1つ以上の保守的アミノ酸置換、および/または1つ以上の非保守的アミノ酸置換を含む。天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を含むCnChR1タンパク質は、細胞膜をはさんで陽イオンを輸送する能力を好適に保持する。
【0113】
いくつかの実施形態において、CnChR1タンパク質は、シグナルペプチド、ER輸出シグナル、および膜輸送シグナルからなる群から選択されたニューロンの原形質膜への輸送を高める少なくとも1つの(1、2、3、またはそれ以上の)アミノ酸配列モチーフを含む。いくつかの実施形態において、CnChR1タンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端ER輸出シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、CnChR1タンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、CnChR1タンパク質は、N末端シグナルペプチドと、C末端ER輸出シグナルと、C末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、CnChR1タンパク質は、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとはリンカーによって関連付けられる。このリンカーは、約5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400、または500の長さのアミノ酸のうち任意のものである。このリンカーは、例えば黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、またはシアン色蛍光タンパク質を含むがそれに限定されない蛍光タンパク質をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、ER輸出シグナルは輸送シグナルよりC末端側に位置する。いくつかの実施形態において、輸送シグナルはER輸出シグナルよりC末端側に位置する。
【0114】
いくつかの実施形態において輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のアミノ酸配列に由来する。他の実施形態において、輸送シグナルはアミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56)を含む。使用するために好適な輸送配列は、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))の輸送配列などのアミノ酸配列と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。いくつかの場合ではER輸出シグナルは、例えばVXXSL(ここでXは任意のアミノ酸、配列番号52)(例えばVKESL(配列番号53)、VLGSL(配列番号54)など)、NANSFCYENEVALTSK(配列番号55)、FXYENE(配列番号57)(ここでXは任意のアミノ酸)、例えばFCYENEV(配列番号58)、および同種のものである。
【0115】
特定の実施形態において、CnChR1タンパク質は、配列番号16で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0116】
CsChrimson
他の実施形態において、光活性化陽イオンチャネルタンパク質はクロロモナス・スブジビザのCsChRタンパク質由来のCsChrimsonキメラタンパク質とクラミドモナス・ノクチガマ由来のCnChR1タンパク質とであり、このタンパク質のN末端は、CnChR1のアミノ酸配列の残基79~350が後に続くCsChRの残基1~73のアミノ酸配列を含み、光に反応し、および細胞に光を照射した場合に、細胞中の脱分極性電流に介在し得る。別の実施形態においてCsChrimsonポリペプチドは、配列番号17で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。CsChrimsonタンパク質は、天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を追加的に含み得て、光感度を増減したり、特定の光波長感度を増減したり、および/または細胞の原形質膜の分極状態を調節するCsChrimsonタンパク質の能力を増減したり、し得る。加えてCsChrimsonタンパク質は、1つ以上の保守的アミノ酸置換、および/または1つ以上の非保守的アミノ酸置換を含み得る。天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を含むCsChrimsonタンパク質は、細胞膜をはさんで陽イオンを輸送する能力を好適に保持する。
【0117】
いくつかの実施形態において、CsChrimsonタンパク質は、シグナルペプチド、ER輸出シグナル、および膜輸送シグナルからなる群から選択されたニューロンの原形質膜への輸送を高める少なくとも1つの(1、2、3、またはそれ以上の)アミノ酸配列モチーフを含む。いくつかの実施形態において、CsChrimsonタンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端ER輸出シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、CsChrimsonタンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、CsChrimsonタンパク質は、N末端シグナルペプチドと、C末端ER輸出シグナルと、C末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、CsChrimsonタンパク質は、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとはリンカーによって関連付けられる。このリンカーは、約5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400、または500の長さのアミノ酸のうち任意のものである。このリンカーは、例えば黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、またはシアン色蛍光タンパク質を含むがそれに限定されない蛍光タンパク質をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、ER輸出シグナルは輸送シグナルよりC末端側に位置する。いくつかの実施形態において、輸送シグナルはER輸出シグナルよりC末端側に位置する。
【0118】
いくつかの実施形態において輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のアミノ酸配列に由来する。他の実施形態において、輸送シグナルはアミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56)を含む。使用するために好適な輸送配列は、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))の輸送配列などのアミノ酸配列と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。いくつかの場合ではER輸出シグナルは、例えばVXXSL(ここでXは任意のアミノ酸、配列番号52)(例えばVKESL(配列番号53)、VLGSL(配列番号54)など)、NANSFCYENEVALTSK(配列番号55)、FXYENE(配列番号57)(ここでXは任意のアミノ酸)、例えばFCYENEV(配列番号58)、および同種のものである。
【0119】
特定の実施形態において、CsChrimsonタンパク質は、配列番号18で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0120】
ShChR1
いくつかの態様において、脱分極性光活性化ポリペプチドは、例えばShChR1などスチゲオクロニウム・ヘルベチクムに由来し得るが、細胞に光を照射した場合、ShChR1ポリペプチドは細胞膜をはさんで陽イオンを輸送可能である。いくつかの場合ではShChR1ポリペプチドは、配列番号19で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。スチゲオクロニウム・ヘルベチクム由来のShChR1タンパク質を活性化するために使用される光は、約480~約510nmの波長を有し得るか、または約500nmの波長を有し得る。ShChR1タンパク質は、天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を追加的に含み得て、光感度を増減したり、特定の光波長感度を増減したり、および/または細胞の原形質膜の分極状態を調節するShChR1タンパク質の能力を増減したり、し得る。加えてShChR1タンパク質は、1つ以上の保守的アミノ酸置換、および/または1つ以上の非保守的アミノ酸置換を含み得る。天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を含むShChR1タンパク質は、細胞膜をはさんで陽イオンを輸送する能力を好適に保持する。
【0121】
いくつかの実施形態において、ShChR1タンパク質は、シグナルペプチド、ER輸出シグナル、および膜輸送シグナルからなる群から選択されたニューロンの原形質膜への輸送を高める少なくとも1つの(1、2、3、またはそれ以上の)アミノ酸配列モチーフを含む。いくつかの実施形態において、ShChR1タンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端ER輸出シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、ShChR1タンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、ShChR1タンパク質は、N末端シグナルペプチドと、C末端ER輸出シグナルと、C末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、ShChR1タンパク質は、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとはリンカーによって関連付けられる。このリンカーは、約5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400、または500の長さのアミノ酸のうち任意のものである。このリンカーは、例えば黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、またはシアン色蛍光タンパク質を含むがそれに限定されない蛍光タンパク質をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、ER輸出シグナルは輸送シグナルよりC末端側に位置する。いくつかの実施形態において、輸送シグナルはER輸出シグナルよりC末端側に位置する。
【0122】
いくつかの実施形態において輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のアミノ酸配列に由来し得る。他の実施形態において、輸送シグナルはアミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56)を含む。使用するために好適な輸送配列は、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))の輸送配列などのアミノ酸配列と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。いくつかの場合ではER輸出シグナルは、例えばVXXSL(ここでXは任意のアミノ酸、配列番号52)(例えばVKESL(配列番号53)、VLGSL(配列番号54)など)、NANSFCYENEVALTSK(配列番号55)、FXYENE(配列番号57)(ここでXは任意のアミノ酸)、例えばFCYENEV(配列番号58)、および同種のものである。
【0123】
特定の実施形態において、ShChR1タンパク質は、配列番号20で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0124】
他の好適な脱分極性光活性化ポリペプチドは、例えばKlapoetke et al.Nat Methods 2014 11:338に記載されている。
【0125】
光活性化ポリペプチド過分極化
Arch
いくつかの実施形態において、好適な光活性化ポリペプチドはアーキロドプシン(Arch)プロトンポンプ(例えばハロルブルム・ソドメンス由来のプロトンポンプ)であり、このプロトンポンプは細胞に光を照射した場合に、細胞の原形質膜をはさんで1つ以上の陽子を輸送できる。光は約530~約595nmの波長を有し得るか、または約560nmの波長を有し得る。いくつかの実施形態において、Archタンパク質は、配列番号21で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。Archタンパク質は、天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を追加的に有して、光感度を増減したり、特定の光波長感度を増減したり、および/またはニューロンの原形質膜をはさんでイオンを輸送するArchタンパク質の能力を増減したり、し得る。加えてArchタンパク質は、1つ以上の保守的アミノ酸置換、および/または1つ以上の非保守的アミノ酸置換を含み得る。天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を含むArchタンパク質は、光への反応においてニューロンの原形質膜をはさんでイオンを輸送する能力を好適に保持する。
【0126】
いくつかの実施形態において、Archタンパク質は、シグナルペプチド、ER輸出シグナル、および膜輸送シグナルから選択された、ニューロンの原形質膜への輸送を高める、少なくとも1つの(1、2、3、またはそれ以上の)アミノ酸配列モチーフを含む。いくつかの実施形態において、Archタンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端ER輸出シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、Archタンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、Archタンパク質は、N末端シグナルペプチドと、C末端ER輸出シグナルと、C末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、Archタンパク質は、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとはリンカーによって関連付けられる。このリンカーは、約5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400、または500の長さのアミノ酸のうち任意のものである。このリンカーは、例えば黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、またはシアン色蛍光タンパク質を含むがそれに限定されない蛍光タンパク質をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、ER輸出シグナルは輸送シグナルよりC末端側に位置する。いくつかの実施形態において、輸送シグナルはER輸出シグナルよりC末端側に位置する。
【0127】
いくつかの実施形態において輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のアミノ酸配列に由来する。他の実施形態において、輸送シグナルはアミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56)を含み得る。使用するために好適な輸送配列は、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))の輸送配列などのアミノ酸配列と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。いくつかの場合ではER輸出シグナルは、例えばVXXSL(ここでXは任意のアミノ酸、配列番号52)(例えばVKESL(配列番号53)、VLGSL(配列番号54)など)、NANSFCYENEVALTSK(配列番号55)、FXYENE(配列番号57)(ここでXは任意のアミノ酸)、例えばFCYENEV(配列番号58)、および同種のものである。
【0128】
特定の実施形態において、Archタンパク質は、配列番号22で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0129】
ArchT
いくつかの実施形態において、好適な光活性化タンパク質はアーキロドプシン(ArchT)プロトンポンプ(例えばハロルブルムsp.TP009由来のプロトンポンプ)であり、このプロトンポンプは細胞に光を照射した場合に、細胞の原形質膜をはさんで1つ以上の陽子を輸送できる。光は約530~約595nmの波長を有し得るか、または約560nmの波長を有し得る。いくつかの実施形態において、ArchTタンパク質は、配列番号23(ArchT)で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。ArchTタンパク質は、天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を追加的に含み得て、光感度を増減したり、特定の光波長感度を増減したり、および/またはニューロンの原形質膜をはさんでイオンを輸送するArchTタンパク質の能力を増減したり、し得る。加えてArchTタンパク質は、1つ以上の保守的アミノ酸置換、および/または1つ以上の非保守的アミノ酸置換を含み得る。天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を含むArchTタンパク質は、光への反応においてニューロンの原形質膜をはさんでイオンを輸送する能力を好適に保持する。
【0130】
いくつかの場合ではArchTポリペプチドは、膜輸送シグナルおよび/またはER輸出シグナルを含む。いくつかの実施形態において輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のアミノ酸配列に由来し得る。他の実施形態において、輸送シグナルはアミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56)を含む。使用するために好適な輸送配列は、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))の輸送配列などのアミノ酸配列と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。いくつかの場合ではER輸出シグナルは、例えばVXXSL(ここでXは任意のアミノ酸、配列番号52)(例えばVKESL(配列番号53)、VLGSL(配列番号54)など)、NANSFCYENEVALTSK(配列番号55)、FXYENE(配列番号57)(ここでXは任意のアミノ酸)、例えばFCYENEV(配列番号58)、および同種のものである。
【0131】
特定の実施形態において、ArchTタンパク質は、配列番号24で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0132】
GtR3
いくつかの実施形態において、光活性化ポリペプチドは、青色光に反応し、およびグィラルディア・セータ由来のプロトンポンプタンパク質であり、プロトンポンプタンパク質は、細胞に青色光を照射した場合に、細胞中の過分極性電流に介在でき、そのようなタンパク質は本開示では「GtR3タンパク質」または「GtR3ポリペプチド」と呼ばれる。光は約450~約495nmの波長を有し得るか、または約490nmの波長を有し得る。いくつかの実施形態において、GtR3タンパク質は、配列番号25(GtR3)で示される配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。GtR3タンパク質は、天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を追加的に含み得て、光感度を増減したり、特定の光波長感度を増減したり、および/または細胞の原形質膜の分極状態を調節するGtR3タンパク質の能力を増減したり、し得る。加えてGtR3タンパク質は、1つ以上の保守的アミノ酸置換、および/または1つ以上の非保守的アミノ酸置換を含み得る。天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を含むGtR3タンパク質は、光への反応においてニューロンの原形質膜を過分極する能力を好適に保持する。
【0133】
いくつかの場合ではGtR3タンパク質は、配列番号25で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のコアアミノ酸配列と、およびシグナルペプチド、ER輸出シグナル、および膜輸送シグナルからなる群から選択された哺乳類細胞の原形質膜への輸送を高める少なくとも1つの(1、2、3、またはそれ以上の)アミノ酸配列モチーフと、を含む。いくつかの実施形態において、GtR3タンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端ER輸出シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、GtR3タンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、光活性化プロトンポンプタンパク質は、N末端シグナルペプチドと、C末端ER輸出シグナルと、C末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、GtR3タンパク質は、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、シグナルペプチドはアミノ酸配列MDYGGALSAVGRELLFVTNPVVVNGS(配列番号59)を含む。いくつかの実施形態において、先頭の19アミノ酸はMDYGGALSAVGRELLFVTNPVVVNGS(配列番号59)によって置換される。いくつかの実施形態において、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとはリンカーによって関連付けられる。このリンカーは、約5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400、または500の長さのアミノ酸のうち任意のものである。GtR3タンパク質は、例えば黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、またはシアン色蛍光タンパク質を含むがそれに限定されない蛍光タンパク質をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、ER輸出シグナルは輸送シグナルよりC末端側に位置する。いくつかの実施形態において、輸送シグナルはER輸出シグナルよりC末端側に位置する。
【0134】
いくつかの実施形態において輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のアミノ酸配列に由来する。他の実施形態において、輸送シグナルはアミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56)を含む。使用するために好適な輸送配列は、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))の輸送配列などのアミノ酸配列と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。いくつかの場合ではER輸出シグナルは、例えばVXXSL(ここでXは任意のアミノ酸、配列番号52)(例えばVKESL(配列番号53)、VLGSL(配列番号54)など)、NANSFCYENEVALTSK(配列番号55)、FXYENE(配列番号57)(ここでXは任意のアミノ酸)、例えばFCYENEV(配列番号58)、および同種のものである。
【0135】
特定の実施形態において、GtR3タンパク質は、配列番号26で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0136】
Oxy
いくつかの実施形態において、光活性化タンパク質はオキシリス・マリーナ(Oxy)プロトンポンプであり、このプロトンポンプは細胞に光を照射した場合に、細胞の原形質膜をはさんで1つ以上の陽子を輸送できる。光は約500~約560nmの波長を有し得るか、または約530nmの波長を有し得る。いくつかの実施形態において、Oxyタンパク質は、配列番号27で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。Oxyタンパク質は、天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を追加的に含み得て、光感度を増減したり、特定の光波長感度を増減したり、および/またはニューロンの原形質膜をはさんでイオンを輸送するOxyタンパク質の能力を増減したり、し得る。加えてOxyタンパク質は、1つ以上の保守的アミノ酸置換、および/または1つ以上の非保守的アミノ酸置換を含み得る。天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を含むOxyタンパク質は、光への反応においてニューロンの原形質膜をはさんでイオンを輸送する能力を好適に保持する。
【0137】
いくつかの実施形態において、Oxyタンパク質は、シグナルペプチド、ER輸出シグナル、および膜輸送シグナルからなる群から選択されたニューロンの原形質膜への輸送を高める少なくとも1つの(1、2、3、またはそれ以上の)アミノ酸配列モチーフを含む。いくつかの実施形態において、Oxyタンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端ER輸出シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、Oxyタンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、Oxyタンパク質は、N末端シグナルペプチドと、C末端ER輸出シグナルと、C末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、Oxyタンパク質は、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとはリンカーによって関連付けられる。このリンカーは、約5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400、または500の長さのアミノ酸のうち任意のものである。Oxyタンパク質は、例えば黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、またはシアン色蛍光タンパク質を含むがそれに限定されない蛍光タンパク質をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、ER輸出シグナルは輸送シグナルよりC末端側に位置する。いくつかの実施形態において、輸送シグナルはER輸出シグナルよりC末端側に位置する。
【0138】
いくつかの場合ではOxyポリペプチドは、膜輸送シグナルおよび/またはER輸出シグナルを含む。いくつかの実施形態において輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のアミノ酸配列に由来し得る。他の実施形態において、輸送シグナルはアミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56)を含む。使用するために好適な輸送配列は、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))の輸送配列などのアミノ酸配列と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。いくつかの場合ではER輸出シグナルは、例えばVXXSL(ここでXは任意のアミノ酸、配列番号52)(例えばVKESL(配列番号53)、VLGSL(配列番号54)など)、NANSFCYENEVALTSK(配列番号55)、FXYENE(配列番号57)(ここでXは任意のアミノ酸)、例えばFCYENEV(配列番号58)、および同種のものである。
【0139】
特定の実施形態において、Oxyタンパク質は、配列番号28で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0140】
Mac
いくつかの実施形態において、光活性化プロトンポンプタンパク質(ここでは「Macタンパク質」と呼ばれる)は光に反応し、およびレプトスファエリア・マヌランス由来であり、細胞に520nm~560nmの光を照射した場合に、Macプロトンポンプタンパク質は細胞膜をはさんでプロトンをポンピングし得る。光は約520nm~約560nmの波長を有し得る。いくつかの場合ではMacタンパク質は、配列番号29または配列番号30(Mac、Mac3.0)で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。Macタンパク質は、天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を追加的に含み得て、光感度を増減したり、特定の光波長感度を増減したり、および/または細胞の原形質膜の分極状態を調節するMacタンパク質の能力を増減したり、し得る。加えてMacタンパク質は、1つ以上の保守的アミノ酸置換、および/または1つ以上の非保守的アミノ酸置換を含み得る。天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を含むMacタンパク質は、光への反応においてニューロンの原形質膜をはさんで陽子をポンピングする能力を好適に保持する。
【0141】
他の態様において、Macタンパク質は、配列番号29で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のコアアミノ酸配列と、およびシグナルペプチド、ER輸出シグナル、および膜輸送シグナルからなる群から選択された哺乳類細胞の原形質膜への輸送を高める少なくとも1つの(1、2、3、またはそれ以上の)アミノ酸配列モチーフと、を含む。いくつかの実施形態において、Macタンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端ER輸出シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、Macタンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、Macタンパク質は、N末端シグナルペプチドと、C末端ER輸出シグナルと、C末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、Macタンパク質は、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとはリンカーによって関連付けられる。このリンカーは、約5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400、または500の長さのアミノ酸のうち任意のものを含み得る。Macタンパク質は、例えば黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、またはシアン色蛍光タンパク質を含むがそれに限定されない蛍光タンパク質をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、ER輸出シグナルは輸送シグナルよりC末端側に位置する。いくつかの実施形態において、輸送シグナルはER輸出シグナルよりC末端側に位置する。
【0142】
いくつかの場合ではMacポリペプチドは、膜輸送シグナルおよび/またはER輸出シグナルを含む。いくつかの実施形態において輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のアミノ酸配列に由来し得る。他の実施形態において、輸送シグナルはアミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56)を含む。使用するために好適な輸送配列は、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))の輸送配列などのアミノ酸配列と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。いくつかの場合ではER輸出シグナルは、例えばVXXSL(ここでXは任意のアミノ酸、配列番号52)(例えばVKESL(配列番号53)、VLGSL(配列番号54)など)、NANSFCYENEVALTSK(配列番号55)、FXYENE(配列番号57)(ここでXは任意のアミノ酸)、例えばFCYENEV(配列番号58)、および同種のものである。
【0143】
光活性化プロトンポンプタンパク質に関するさらなる開示は、国際特許出願第PCT/US2011/028893号で見つかり得て、その開示全体を参照によってここに組み込む。
【0144】
NpHR
いくつかの場合では、好適な光活性化塩素ポンプタンパク質はナトロモナス・ファラオニスに由来し、そのようなタンパク質は本開示では「NpHRタンパク質」または「NpHRポリペプチド」と呼ばれる。いくつかの実施形態において、NpHRタンパク質はアンバー色光ならびに赤色光に反応し得て、NpHRタンパク質にアンバー色光または赤色光を照射した場合に、ニューロン中の過分極性電流に介在し得る。NpHRタンパク質を活性化し得る光の波長は、580nm~630nmの間であり得る。いくつかの実施形態において、光は約589nmの波長であり得る、または光は約630nmより大きい(例えば約740nm未満の)波長を有し得る。別の実施形態において、光は約630nmの波長を有し得る。いくつかの実施形態において、NpHRタンパク質は、連続光パルスに曝された場合、少なくとも約90分の間に神経膜を過分極し得る。いくつかの実施形態において、NpHRタンパク質は、配列番号31で示される配列と少なくとも約75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。加えて、NpHRタンパク質は、天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を追加的に含み得て、光感度を増減したり、特定の光波長感度を増減したり、および/または細胞の原形質膜の分極状態を調節するMacタンパク質の能力を増減したり、し得る。いくつかの実施形態において、NpHRタンパク質は、1つ以上の保守的アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態において、NpHRタンパク質は、1つ以上の非保守的アミノ酸置換を含む。天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を含むNpHRタンパク質は、光への反応においてニューロンの原形質膜を過分極する能力を好適に保持する。
【0145】
いくつかの場合ではNpHRタンパク質は、配列番号31で示される配列と少なくとも約75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のコアアミノ酸配列と、小胞体(ER)輸出シグナルとを含む。このER輸出シグナルは、コアアミノ酸配列のC末端に融合され得る、または、コアアミノ酸配列のN末端に融合され得る。いくつかの実施形態において、ER輸出シグナルは、リンカーによってコアアミノ酸配列に関連付けられる。このリンカーは、約5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400、または500の長さのアミノ酸のうち任意のものである。このリンカーは、例えば黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、またはシアン色蛍光タンパク質を含むがそれに限定されない蛍光タンパク質をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、ER輸出シグナルはアミノ酸配列FXYENE(配列番号57)を含むが、ここでXは任意のアミノ酸であり得る。別の実施形態において、ER輸出シグナルはアミノ酸配列VXXSLを含むが、ここでXは任意のアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態において、ER輸出シグナルはアミノ酸配列FCYENEV(配列番号58)を含む。
【0146】
使用に好適な小胞体(ER)輸出配列は、例えばVXXSL(ここでXは任意のアミノ酸、配列番号52)(例えばVKESL(配列番号53)、VLGSL(配列番号54)など)、NANSFCYENEVALTSK(配列番号55)、FXYENE(配列番号57)(ここでXは任意のアミノ酸)、例えばFCYENEV(配列番号58)、および同種のものを含む。ER輸出配列は、例えば約5アミノ酸~約10アミノ酸、約10アミノ酸~約15アミノ酸、約15アミノ酸~約20アミノ酸、または約20アミノ酸~約25アミノ酸など、約5アミノ酸~約25アミノ酸の長さを持ち得る。
【0147】
他の態様においてNpHRタンパク質は、配列番号31で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のコアアミノ酸配列と、(例えばNpHRタンパク質の原形質膜への輸送を高め得る)輸送シグナルとを含む。輸送シグナルは、コアアミノ酸配列のC末端に融合され得る、または、コアアミノ酸配列のN末端に融合され得る。いくつかの実施形態において、輸送シグナルはリンカーによってコアアミノ酸配列に関連付けられ得て、この配列は約5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400、または500の長さのアミノ酸のうち任意のものであり得る。NpHRタンパク質は、例えば黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、またはシアン色蛍光タンパク質を含むがそれに限定されない蛍光タンパク質をさらに含み得る。いくつかの実施形態において輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のアミノ酸配列に由来し得る。他の実施形態において、輸送シグナルはアミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56)を含み得る。
【0148】
いくつかの態様において、NpHRタンパク質は、配列番号31で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のコアアミノ酸配列と、シグナルペプチド、ER輸出シグナル、および膜輸送シグナルからなる群から選択された哺乳類細胞の原形質膜への輸送を高める少なくとも1つの(1、2、3、またはそれ以上の)アミノ酸配列モチーフと、を含む。いくつかの実施形態において、NpHRタンパク質は、N末端シグナルペプチドと、C末端ER輸出シグナルと、C末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとはリンカーによって関連付けられる。このリンカーは、約5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400、または500の長さのアミノ酸のうち任意のものである。NpHRタンパク質はまた、例えば黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、またはシアン色蛍光タンパク質を含むがそれに限定されない蛍光タンパク質をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、ER輸出シグナルは輸送シグナルよりC末端側に位置し得る。他の実施形態において、輸送シグナルはER輸出シグナルよりC末端側に位置する。いくつかの実施形態において、シグナルペプチドはアミノ酸配列MTETLPPVTESAVALQAE(配列番号62)を含む。別の実施形態においてNpHRタンパク質は、少なくとも95%配列番号31に等しいアミノ酸配列を含む。
【0149】
さらに他の態様においてNpHRタンパク質は、配列番号31で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のコアアミノ酸配列を含み、配列番号31のN末端シグナルペプチドは欠失または置換される。いくつかの実施形態において、他のシグナルペプチド(他のオプシンからのシグナルペプチドなどの)が使用され得る。光活性化タンパク質はさらに、ER輸出シグナルおよび/または膜輸送シグナルを含み得る。
【0150】
いくつかの実施形態において、光活性化タンパク質はNpHRタンパク質であり、このタンパク質は配列番号31で示される配列と少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、NpHRタンパク質はさらに、小胞体(ER)輸出シグナル、および/または膜輸送シグナルを含む。例えばNpHRタンパク質は、配列番号31で示される配列に少なくとも95%同一のアミノ酸配列および小胞体(ER)輸出シグナルを含む。いくつかの実施形態において、配列番号31で示される配列に少なくとも95%同一のアミノ酸配列は、リンカーを通してER輸出シグナルに関連付けられる。いくつかの実施形態において、ER輸出シグナルはアミノ酸配列FXYENE(配列番号57)を含むが、ここでXは任意のアミノ酸であり得る。別の実施形態において、ER輸出シグナルはアミノ酸配列VXXSLを含むが、ここでXは任意のアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態において、ER輸出シグナルはアミノ酸配列FCYENEV(配列番号58)を含む。いくつかの実施形態においてNpHRタンパク質は、配列番号31で示される配列に少なくとも95%同一のアミノ酸配列、ER輸出シグナル、および膜輸送シグナルを含む。他の実施形態においてNpHRタンパク質は、N末端からC末端に向かって、配列番号31で示される配列に少なくとも95%同一のアミノ酸配列、ER輸出シグナル、および膜輸送シグナルを含む。他の実施形態においてNpHRタンパク質は、N末端からC末端に向かって、配列番号31で示される配列に少なくとも95%同一のアミノ酸配列、膜輸送シグナル、およびER輸出シグナルを含む。いくつかの実施形態において膜輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のアミノ酸配列に由来する。いくつかの実施形態において輸送シグナルは、アミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56)を含む。いくつかの実施形態において、膜輸送シグナルは、配列番号31で示される配列に少なくとも95%同一のアミノ酸配列とリンカーによって関連付けられる。いくつかの実施形態において、膜輸送シグナルはリンカーを通してER輸出シグナル関連付けられる。このリンカーは、5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400、または500の長さのアミノ酸のうち任意のものである。このリンカーは、例えば黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、またはシアン色蛍光タンパク質を含むがそれに限定されない蛍光タンパク質をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、光活性化タンパク質はさらにN末端シグナルペプチドを含む。
【0151】
光活性化塩素ポンプタンパク質に関するさらなる開示は米国特許出願公開第2009/0093403号と第2010/0145418号、ならびに国際特許出願第PCT/US2011/028893号に見出し得るが、それぞれの開示全体を参照によってここに組み込む。
【0152】
ドナリエラ・サリナ光活性化ポリペプチド
いくつかの実施形態において、好適な光活性化イオンチャネルタンパク質は、例えばドナリエラ・サリナ由来のDsChRタンパク質であり、イオンチャネルタンパク質は、細胞に光を照射した場合に、細胞中の過分極性電流に介在し得る。光は約470nm~約510nmの波長を有し得るか、または約490nmの波長を有し得る。いくつかの実施形態において、DsChRタンパク質は、配列番号34で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。DsChRタンパク質は、天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を追加的に含み得て、光感度を増減したり、特定の光波長感度を増減したり、および/または細胞の原形質膜の分極状態を調節するDsChRタンパク質の能力を増減したり、し得る。加えてDsChRタンパク質は、1つ以上の保守的アミノ酸置換、および/または1つ以上の非保守的アミノ酸置換を含み得る。天然アミノ酸配列に導入された置換、欠失、および/または挿入を含むDsChRタンパク質は、光への反応においてニューロンの原形質膜をはさんでイオンを輸送する能力を好適に保持する。
【0153】
いくつかの場合ではDsChRタンパク質は、配列番号34で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のコアアミノ酸配列と、シグナルペプチド、ER輸出シグナル、および膜輸送シグナルからなる群から選択された哺乳類細胞の原形質膜への輸送を高める少なくとも1つの(1、2、3、またはそれ以上の)アミノ酸配列モチーフと、を含む。いくつかの実施形態において、DsChRタンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端ER輸出シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、DsChRタンパク質は、N末端シグナルペプチドとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、DsChRタンパク質は、N末端シグナルペプチドと、C末端ER輸出シグナルと、C末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、DsChRタンパク質は、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとを含む。いくつかの実施形態において、C末端ER輸出シグナルとC末端輸送シグナルとはリンカーによって関連付けられる。このリンカーは、約5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400、または500の長さのアミノ酸のうち任意のものである。DsChRタンパク質は、例えば黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、またはシアン色蛍光タンパク質を含むがそれに限定されない蛍光タンパク質をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、ER輸出シグナルは輸送シグナルよりC末端側に位置する。いくつかの実施形態において、輸送シグナルはER輸出シグナルよりC末端側に位置する。
【0154】
いくつかの場合ではDsChRポリペプチドは、膜輸送シグナルおよび/またはER輸出シグナルを含む。いくつかの実施形態において輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のアミノ酸配列に由来する。他の実施形態において、輸送シグナルはアミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56)を含む。使用するために好適な輸送配列は、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))の輸送配列などのアミノ酸配列と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。いくつかの場合ではER輸出シグナルは、例えばVXXSL(ここでXは任意のアミノ酸、配列番号52)(例えばVKESL(配列番号53)、VLGSL(配列番号54)など)、NANSFCYENEVALTSK(配列番号55)、FXYENE(配列番号57)(ここでXは任意のアミノ酸)、例えばFCYENEV(配列番号58)、および同種のものである。
【0155】
特定の実施形態において、DsChRタンパク質は、配列番号35で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0156】
C1C2ベースのアニオンチャネルポリペプチド
いくつかの実施形態において、光活性化アニオンチャネルポリペプチドはC1C2タンパク質である。いくつかの実施形態においてC1C2ポリペプチドは、配列番号36に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、C1C2タンパク質のアミノ酸配列は、T98S、E129S、E140S、E162S、V156K、H173R、T285N、V281K、および/またはN297Qの1つ以上の変異をアミノ酸配列に導入することで改変される。いくつかの実施形態においてC1C2タンパク質は、前記リストのアミノ酸置換9つすべてを含むタンパク質C1C2のアミノ酸配列を含み、その結果C1C2ポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号36に示す配列となる。
【0157】
いくつかの実施形態においてC1C2ポリペプチドは、配列番号36に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、C1C2(配列番号36)のアミノ酸配列に比較してT98S、E129S、E140S、E162S、V156K、H173R、T285N、V281Kおよび/またはN297Qから選択された1、2、3、4、5、6、7、8、または9のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態においてC1C2ポリペプチドは、配列番号36に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、C1C2のアミノ酸配列に比較してT98S、E129S、E140S、E162S、およびT285Nの置換を含む。いくつかの実施形態においてC1C2ポリペプチドは、配列番号36に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、C1C2のアミノ酸配列に比較してV156K、H173R、V281K、およびN297Qの置換を含む。
【0158】
いくつかの実施形態においてC1C2ポリペプチドは、配列番号36に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S98、S129、S140、S162、K156、R173、N285、K281、およびQ297のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含む。ここでアミノ酸付番は配列番号36に示す通りである。いくつかの実施形態においてC1C2ポリペプチドは、配列番号36に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S98、S129、S140、S162、K156、R173、N285、K281、およびQ297を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号36に示す通りである。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、C1C2ポリペプチドは膜輸送シグナルを含み得る(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、C1C2ポリペプチドはER輸出シグナルを含み得る(例えばFCYENEV(配列番号58))。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、C1C2ポリペプチドは膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))およびER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))の両方を含む。したがって特定の実施形態において、C1C2タンパク質は、配列番号36で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0159】
いくつかの実施形態においてC1C2ポリペプチドは、タンパク質C1C2(配列番号36)のアミノ酸配列ベースであり、このアミノ酸配列は、C1C2の先頭50のN末端アミノ酸をタンパク質ChR2(MDYGGALSAVG)(配列番号63)からのアミノ酸1~11で置換することで改変される。いくつかの実施形態において好適な光活性化アニオンチャネルポリペプチドは「ibC1C2」と呼ばれ、配列番号40に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S59、S90、S101、S123、K117、R134、N246、K242、およびQ258のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含む。ここでアミノ酸付番は配列番号40に示す通りである。いくつかの実施形態において好適な光活性化アニオンチャネルポリペプチドは、配列番号40に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S59、S90、S101、S123、K117、R134、N246、K242、およびQ258を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号40に示す通りである。いくつかの実施形態において、好適な光活性化アニオンチャネルポリペプチドは、配列番号40に示すアミノ酸配列を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、好適なアニオンチャネルポリペプチドは膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、好適なアニオンチャネルポリペプチドはER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、好適なアニオンチャネルポリペプチドは、膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))およびER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))の両方を含む。したがって特定の実施形態において、ibC1C2タンパク質は、配列番号40で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0160】
いくつかの実施形態において、好適な光活性化アニオンチャネルポリペプチドはタンパク質C1C2(配列番号36)のアミノ酸配列ベースであり、167位のシステインアミノ酸残基はトレオニン残基によって置換されている。いくつかの実施形態において、例えばSwiChRCTなど好適な光活性化アニオンチャネルポリペプチドは、配列番号38に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S98、S129、S140、S162、K156、R173、N285、K281、およびQ297のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含み、さらにT167を含む。いくつかの実施形態において好適な光活性化アニオンチャネルポリペプチドは、配列番号38に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S98、S129、S140、S162、K156、R173、N285、K281、およびQ297を含み、さらに、T167を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号38に示す通りである。いくつかの実施形態において、光活性化アニオンチャネルポリペプチドは、配列番号38に示すアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、光活性化ポリペプチドは、光電流の長期安定性を示す。いくつかの実施形態において、先頭50のアミノ酸はMDYGGALSAVG(配列番号63)によって置換される。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、好適なアニオンチャネルポリペプチドは膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、好適なアニオンチャネルポリペプチドはER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、好適なアニオンチャネルポリペプチドは、膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))およびER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))の両方を含む。
【0161】
いくつかの実施形態において、好適な光活性化アニオンチャネルポリペプチドはタンパク質C1C2のアミノ酸配列ベースであり、167位のシステインアミノ酸残基はアラニン残基によって置換されている。いくつかの実施形態において、好適な光活性化アニオンチャネルポリペプチド、SwiChRCAは、配列番号38に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S98、S129、S140、S162、K156、R173、N285、K281、およびQ297のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含み、さらに、A167を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号38に示す通りである。いくつかの実施形態において好適な光活性化アニオンチャネルポリペプチドは、配列番号38に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S98、S129、S140、S162、K156、R173、N285、K281、およびQ297を含み、さらにA167を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号38に示す通りである。いくつかの実施形態において、先頭50のアミノ酸はMDYGGALSAVG(配列番号63)によって置換される。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、好適なアニオンチャネルポリペプチドは膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドはER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは、膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))およびER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))の両方を含む。
【0162】
いくつかの実施形態において、好適な光活性化アニオンチャネルポリペプチドはタンパク質C1C2のアミノ酸配列ベースであり、167位のシステインアミノ酸残基はセリン残基によって置換されている。いくつかの実施形態において、好適な光活性化アニオンチャネルポリペプチド、SwiChRCSは、配列番号38に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S98、S129、S140、S162、K156、R173、N285、K281、およびQ297のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含み、さらに、A167を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号38に示す通りである。いくつかの実施形態において好適な光活性化アニオンチャネルポリペプチドは、配列番号38に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S98、S129、S140、S162、K156、R173、N285、K281、およびQ297を含み、さらに、S167を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号38に示す通りである。いくつかの実施形態において、先頭50のアミノ酸はMDYGGALSAVG(配列番号63)によって置換される。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、好適なアニオンチャネルポリペプチドは膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドはER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは、膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))およびER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))の両方を含む。
【0163】
特定の実施形態において、SwiChRタンパク質は、配列番号39で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0164】
いくつかの実施形態において、好適な光活性化アニオンチャネルポリペプチド、SwiChRは、配列番号38に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S98、S129、S140、S162、K156、R173、N285、K281、およびQ297のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含み、また、N195またはA195を含み、さらに、A167を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号38に示す通りである。いくつかの実施形態において好適な光活性化アニオンチャネルポリペプチドは、配列番号38に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S98、S129、S140、S162、K156、R173、N285、K281、およびQ297を含み、また、A167を含み、さらに、N195またはA195を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号38に示す通りである。いくつかの実施形態において、先頭50のアミノ酸はMDYGGALSAVG(配列番号63)によって置換される。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドはER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは、膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))およびER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))の両方を含む。
【0165】
いくつかの実施形態において、好適な光活性化アニオンチャネルポリペプチドは、前述改変の1つ以上を有するタンパク質C1C2のアミノ酸配列ベースであり、元195位のアスパラギン酸アミノ酸残基はアラニン残基によって置換されている。特定の実施形態において、タンパク質の先頭50のN末端アミノ酸はタンパク質ChR2からのアミノ酸1~11により置換されており、156位のアスパラギン酸アミノ酸残基(配列番号36に示すC1C2アミノ酸配列の元195位に対応)はアラニン残基により置換される。
【0166】
いくつかの実施形態において、好適な過分極性光活性化ポリペプチドは、前述改変の1つ以上を有するタンパク質C1C2のアミノ酸配列ベースであり、元195位のアスパラギン酸アミノ酸残基はアスパラギン残基によって置換されている。特定の実施形態において、タンパク質の先頭50のN末端アミノ酸はタンパク質ChR2からのアミノ酸1~11により置換されており、156位のアスパラギン酸アミノ酸残基(配列番号36に示すC1C2アミノ酸配列の元195位に対応)はアスパラギン残基により置換される。
【0167】
いくつかの実施形態において好適な過分極性光活性化ポリペプチドは、配列番号40に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S59、S90、S101、S123、K117、R134、N246、K242、およびQ258のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含み、さらに、A128、T128またはS128を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号40に示す通りである。いくつかの実施形態において好適な過分極性光活性化ポリペプチドは、配列番号40に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S59、S90、S101、S123、K117、R134、N246、K242、およびQ258を含み、さらにA128、T128またはS128を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号40に示す通りである。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、好適なアニオンチャネルポリペプチドはER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、好適なアニオンチャネルポリペプチドは、膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))およびER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))の両方を含む。
【0168】
ChR2ベースのアニオンチャネルタンパク質
いくつかの実施形態において、好適な過分極性光活性化ポリペプチドは、タンパク質ChR2のアミノ酸配列ベースである。ChR2のアミノ酸配列は、配列番号42に示す。いくつかの実施形態において、ChR2タンパク質のアミノ酸配列は、A59S、E90S、E101S、E123S、Q117K、H134R、V242K、T246Nおよび/またはN258Qの1つ以上の変異をアミノ酸配列に導入することで改変される。いくつかの実施形態において好適な過分極性光活性化ポリペプチドは、前記リストのアミノ酸置換9つすべてを含むタンパク質ChR2のアミノ酸配列を含み、その結果ポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号42に示される(iChR2)。
【0169】
いくつかの実施形態において好適な光活性化アニオンチャネルポリペプチドiChR2は、配列番号42に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、ChR2(配列番号1)のアミノ酸配列に比較してA59S、E90S、E101S、E123S、Q117K、H134R、V242K、T246Nおよび/またはN258Qから選択された1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つのアミノ酸置換を含む。
【0170】
いくつかの実施形態において好適な光活性化ポリペプチド(「iChR2」)は、配列番号42に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S59、S90、S101、S123、K117、R134、K242、N246、およびQ258のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含む。ここでアミノ酸付番は配列番号42に示す通りである。いくつかの実施形態においてiChR2ポリペプチドは、配列番号42に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S59、S90、S101、S123、K117、R134、K242、N246、Q258、およびN156またはA156、およびT128、A128またはS128のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、または11個を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号42に示す通りである。いくつかの実施形態においてiChR2ポリペプチドは、配列番号42に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S59、S90、S101、S123、K117、R134、K242、N246、およびQ258を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号42に示す通りである。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、iChR2ポリペプチドは膜輸送シグナルを含み得る(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、iChR2ポリペプチドはER輸出シグナルを含み得る(例えばFCYENEV(配列番号58))。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、iChR2ポリペプチドは膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))およびER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))の両方を含み得る。したがって特定の実施形態において、iChR2タンパク質は、配列番号43で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0171】
C1V1ベースのアニオンチャネルポリペプチド
いくつかの実施形態において、好適な過分極性光活性化ポリペプチドは、タンパク質C1V1のアミノ酸配列ベースである。C1V1のアミノ酸配列は、配列番号44に示す。いくつかの実施形態において、C1V1タンパク質のアミノ酸配列は、T98S、E129S、E140S、E162S、V156K、H173R、A285N、P281K、および/またはN297Qの1つ以上の変異をアミノ酸配列に導入することで改変される。いくつかの実施形態において過分極性光活性化ポリペプチドは、前記リストのアミノ酸置換9つすべてを含むタンパク質C1V1のアミノ酸配列を含み、その結果ポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号44に示される。
【0172】
いくつかの実施形態において好適な光活性化アニオンチャネルポリペプチド、iC1V1は、配列番号44に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、C1V1(配列番号7)のアミノ酸配列に比較してT98S、E129S、E140S、E162S、V156K、H173R、A285N、P281Kおよび/またはN297Qから選択された1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つのアミノ酸置換を含む。
【0173】
いくつかの実施形態において好適な光活性化アニオンチャネルポリペプチド、iC1V1は、配列番号44に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S98、S129、S140、S162、K156、R173、N285、K281、およびQ297のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含む。ここでアミノ酸付番は配列番号44に示す通りである。いくつかの実施形態において、好適な光活性化アニオンチャネルポリペプチド(「iC1V1」と呼ぶ)は、配列番号44に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S98、S129、S140、S162、K156、R173、N285、K281、およびQ297のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含み、さらに、N195を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号44に示す通りである。いくつかの実施形態において好適な光活性化アニオンチャネルポリペプチドは、配列番号44に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S98、S129、S140、S162、K156、R173、N285、K281、およびQ297を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号44に示す通りである。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、好適なアニオンチャネルポリペプチドは膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドはER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、好適なアニオンチャネルポリペプチドは、膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))およびER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))の両方を含む。したがって特定の実施形態において、iC1V1タンパク質は、配列番号45で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0174】
いくつかの実施形態において好適な過分極性光活性化ポリペプチドは、タンパク質C1V1(配列番号7)のアミノ酸配列ベースであり、このアミノ酸配列は、C1V1の先頭50のN末端アミノ酸をタンパク質ChR2(MDYGGALSAVG)(配列番号63)からのアミノ酸1~11で置換することで改変されている。いくつかの実施形態において好適な過分極性光活性化ポリペプチド、ibC1V1は、配列番号46に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S59、S90、S101、S123、K117、R134、N246、K242、およびQ258のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含む。ここでアミノ酸付番は配列番号46に示す通りである。いくつかの実施形態において好適な過分極性光活性化ポリペプチド(「ibC1V1」と呼ぶ)は、配列番号46に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S59、S90、S101、S123、K117、R134、N246、K242、およびQ258のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含み、さらに、N156を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号46に示す通りである。いくつかの実施形態において好適な過分極性光活性化ポリペプチドは、配列番号46に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S59、S90、S101、S123、K117、R134、N246、K242、およびQ258を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号46に示す通りである。いくつかの実施形態において、好適な光活性化アニオンチャネルポリペプチドは、配列番号46に示すアミノ酸配列を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、好適なアニオンチャネルポリペプチドは膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、好適なアニオンチャネルポリペプチドはER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは、膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))およびER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))の両方を含む。したがって特定の実施形態において、ibC1V1タンパク質は、配列番号47で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0175】
いくつかの実施形態において、好適な過分極性光活性化ポリペプチドはタンパク質C1V1(配列番号7)のアミノ酸配列ベースであり、167位のシステインアミノ酸残基はトレオニン残基によって置換されている。いくつかの実施形態において好適な過分極性光活性化ポリペプチドは、配列番号7に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S98、S129、S140、S162、K156、R173、N285、K281、およびQ297のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含み、さらに、T167を含む。いくつかの実施形態において好適な過分極性光活性化ポリペプチドは、配列番号44に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S98、S129、S140、S162、K156、R173、N285、K281、およびQ297を含み、さらに、T167、S167またはA167を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号44に示す通りである。いくつかの実施形態において好適な過分極性光活性化ポリペプチドは、配列番号46に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S98、S129、S140、S162、K156、R173、N285、K281、およびQ297を含み、また、T167、S167またはA167を含み、さらに、A195またはN195を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号46に示す通りである。いくつかの実施形態において、先頭50のアミノ酸はMDYGGALSAVG(配列番号63)によって置換される。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、好適な過分極性光活性化ポリペプチドは膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、好適な過分極性光活性化ポリペプチドはER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、好適な過分極性光活性化ポリペプチドは、膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))およびER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))の両方を含む。
【0176】
いくつかの実施形態において、好適な過分極性光活性化ポリペプチドは、前述した改変の1つ以上を有するタンパク質C1V1のアミノ酸配列ベースであり、元195位のアスパラギン酸アミノ酸残基はアラニン残基によって置換されている。特定の実施形態において、タンパク質の先頭50のN末端アミノ酸はタンパク質ChR2からのアミノ酸1~11により置換されており、156位のアスパラギン酸アミノ酸残基(配列番号7に示すC1V1アミノ酸配列の元195位に対応)はアラニン残基により置換される。
【0177】
いくつかの実施形態において、好適な過分極性光活性化ポリペプチドは、前述した改変の1つ以上を有するタンパク質C1V1のアミノ酸配列ベースであり、元195位のアスパラギン酸アミノ酸残基はアスパラギン残基によって置換されている。特定の実施形態において、タンパク質の先頭50のN末端アミノ酸はタンパク質ChR2からのアミノ酸1~11により置換されており、156位のアスパラギン酸アミノ酸残基(配列番号7に示すC1V1アミノ酸配列の元195位に対応)はアスパラギン残基により置換される。
【0178】
いくつかの実施形態において好適な過分極性光活性化ポリペプチド、ibC1V1は、配列番号46に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S59、S90、S101、S123、K117、R134、N246、K242、およびQ258のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含み、さらに、T128、A128またはS128を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号46に示す通りである。いくつかの実施形態において好適な過分極性光活性化ポリペプチドは、配列番号46に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S59、S90、S101、S123、K117、R134、N246、K242、およびQ258を含み、さらに、T128、A128またはS128を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号46に示す通りである。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、好適なアニオンチャネルポリペプチドは膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、好適なアニオンチャネルポリペプチドはER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、好適なアニオンチャネルポリペプチドは、膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))およびER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))の両方を含む。
【0179】
いくつかの実施形態において好適な過分極性光活性化ポリペプチドは、配列番号46に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S59、S90、S101、S123、K117、R134、N246、K242、およびQ258のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含み、また、T128、A128またはS128を含み、さらに、A156またはN156を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号46に示す通りである。いくつかの実施形態において好適な過分極性光活性化ポリペプチドは、配列番号46に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S59、S90、S101、S123、K117、R134、N246、K242、およびQ258を含み、また、T128、A128またはS128を含み、さらに、A156またはN156を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号46に示す通りである。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、好適な過分極性光活性化ポリペプチドは膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、好適な過分極性光活性化ポリペプチドはER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは、膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))およびER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))の両方を含む。
【0180】
ReaChRベースのアニオンチャネルポリペプチド
いくつかの実施形態において、標記過分極性光活性化ポリペプチドは、タンパク質ReaChRのアミノ酸配列ベースである。ReaChRのアミノ酸配列は、配列番号11に示す。いくつかの実施形態において、ReaChRタンパク質のアミノ酸配列は、T99S、E130S、E141S、E163S、V157K、H174R、A286N、P282Kおよび/またはN298Qの1つ以上の変異をアミノ酸配列に導入することで改変される。いくつかの実施形態において過分極性光活性化ポリペプチドは、前記リストのアミノ酸置換9つすべてを有するタンパク質ReaChRのアミノ酸配列を含み、その結果ポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号48に示される。
【0181】
いくつかの実施形態において標記光活性化アニオンチャネルポリペプチドは、配列番号48に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、ReaChR(配列番号11)のアミノ酸配列に比較してT99S、E130S、E141S、E163S、V157K、H174R、A286N、P282K、および/またはN298Qから選択された1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つのアミノ酸置換を含む。
【0182】
いくつかの実施形態において標記光活性化アニオンチャネルポリペプチド、iReaChRは、配列番号48に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S99、S130、S141、S163、K157、R174、N286、K281、およびQ298のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含む。ここでアミノ酸付番は配列番号48に示す通りである。いくつかの実施形態において標記光活性化アニオンチャネルポリペプチドは、配列番号48に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S99、S130、S141、S163、K157、R174、N286、K281、およびQ298を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号48に示す通りである。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドはER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは、膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))およびER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))の両方を含む。したがって特定の実施形態において、iReaChRタンパク質は、配列番号49で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0183】
いくつかの実施形態において標記光活性化アニオンチャネルポリペプチド、iReaChRは、配列番号48に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S99、S130、S141、S163、K157、R174、N286、K281、およびQ298のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含み、さらに、N196を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号48に示す通りである。いくつかの実施形態において標記光活性化アニオンチャネルポリペプチドは、配列番号48に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S99、S130、S141、S163、K157、R174、N286、K281、およびQ298を含み、さらに、N196を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号48に示す通りである。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドはER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは、膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))およびER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))の両方を含む。
【0184】
いくつかの実施形態において標記過分極性光活性化ポリペプチドは、タンパク質ReaChR(配列番号11)のアミノ酸配列ベースであり、アミノ酸配列は、ReaChRの先頭51のN末端アミノ酸をタンパク質ChR2(MDYGGALSAVG)(配列番号63)からのアミノ酸1~11で置換することで改変されている。いくつかの実施形態において標記過分極性光活性化ポリペプチド、ibReaChRは、配列番号50に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S59、S90、S101、S123、K117、R134、N246、K242、およびQ258のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含む。ここでアミノ酸付番は配列番号50に示す通りである。いくつかの実施形態において標記過分極性光活性化ポリペプチドは、配列番号50に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S59、S90、S101、S123、K117、R134、N246、K242、およびQ258を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号50に示す通りである。いくつかの実施形態において、標記光活性化アニオンチャネルポリペプチドは、配列番号50に示すアミノ酸配列を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドはER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは、膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))およびER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))の両方を含む。したがって特定の実施形態において、ibReaChRタンパク質は、配列番号51で示される配列と少なくとも75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0185】
いくつかの実施形態において標記過分極性光活性化ポリペプチドは、タンパク質ReaChR(配列番号11)のアミノ酸配列ベースであり、アミノ酸配列は、ReaChRの先頭51のN末端アミノ酸をタンパク質ChR2(MDYGGALSAVG)(配列番号63)からのアミノ酸1~11で置換することで改変されている。いくつかの実施形態において標記過分極性光活性化ポリペプチドは、配列番号11に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S59、S90、S101、S123、K117、R134、N246、K242、およびQ258のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含み、さらに、N156を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号11に示す通りである。いくつかの実施形態において標記過分極性光活性化ポリペプチドは、配列番号11に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S59、S90、S101、S123、K117、R134、N246、K242、およびQ258を含み、さらに、N156を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号11に示す通りである。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドはER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは、膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))およびER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))の両方を含む。
【0186】
いくつかの実施形態において、標記過分極性光活性化ポリペプチドはタンパク質ReaChR(配列番号11)のアミノ酸配列ベースであり、168位のシステインアミノ酸残基はトレオニン残基によって置換されている。いくつかの実施形態において標記過分極性光活性化ポリペプチドは、配列番号11に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S99、S130、S141、S163、K157、R174、N286、K281、およびQ298のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含み、さらに、T168、S168またはA168を含む。いくつかの実施形態において標記過分極性光活性化ポリペプチドは、配列番号11に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S99、S130、S141、S163、K157、R174、N286、K281、およびQ298を含み、さらに、T168、S168またはA168を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号11に示す通りである。いくつかの実施形態において、先頭51のアミノ酸はMDYGGALSAVG(配列番号63)によって置換される。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドはER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは、膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))およびER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))の両方を含む。
【0187】
いくつかの実施形態において標記過分極性光活性化ポリペプチド、iReaChRは、配列番号48に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S99、S130、S141、S163、K157、R174、N286、K281、およびQ298のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含み、また、A196またはN196を含み、さらに、T168、S168またはA168を含み、ここでアミノ酸付番は配列番号48に示す通りである。いくつかの実施形態において標記過分極性光活性化ポリペプチドは、配列番号48に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S99、S130、S141、S163、K157、R174、N286、K281、およびQ298を含み、また、A196またはN196を含み、さらにT168、S168またはA168を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号48に示す通りである。いくつかの実施形態において、先頭51のアミノ酸はMDYGGALSAVG(配列番号63)によって置換される。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドはER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは、膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))およびER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))の両方を含む。
【0188】
いくつかの実施形態において、標記過分極性光活性化ポリペプチドは、前述した改変の1つ以上を有するタンパク質ReaChRのアミノ酸配列ベースであり、元196位のアスパラギン酸アミノ酸残基はアラニン残基によって置換されている。特定の実施形態において、タンパク質の先頭51のN末端アミノ酸はタンパク質ChR2からのアミノ酸1~11により置換されており、156位のアスパラギン酸アミノ酸残基(配列番号11に示すReaChRアミノ酸配列の元196位に対応)はアラニン残基により置換される。
【0189】
いくつかの実施形態において、標記過分極性光活性化ポリペプチドは、前述した改変の1つ以上を有するタンパク質ReaChRのアミノ酸配列ベースであり、元196位のアスパラギン酸アミノ酸残基はアスパラギン残基によって置換されている。特定の実施形態において、タンパク質の先頭51のN末端アミノ酸はタンパク質ChR2からのアミノ酸1~11により置換されており、156位のアスパラギン酸アミノ酸残基(配列番号11に示すReaChRアミノ酸配列の元196位に対応)はアスパラギン残基により置換される。
【0190】
いくつかの実施形態において標記過分極性光活性化ポリペプチド、ibReaChRは、配列番号50に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S59、S90、S101、S123、K117、R134、N246、K242、およびQ258のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含み、さらに、T128、S128またはA128を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号50に示す通りである。いくつかの実施形態において標記過分極性光活性化ポリペプチドは、配列番号50に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S59、S90、S101、S123、K117、R134、N246、K242、およびQ258を含み、さらにT128を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号50に示す通りである。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドはER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは、膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))およびER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))の両方を含む。
【0191】
いくつかの実施形態において標記過分極性光活性化ポリペプチド、ibReaChRは、配列番号50に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S59、S90、S101、S123、K117、R134、N246、K242、およびQ258のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つを含み、また、T128、S128またはA128を含み、さらに、A156またはN156を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号50に示す通りである。いくつかの実施形態において標記過分極性光活性化ポリペプチドは、配列番号50に示すアミノ酸配列と少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、また、S59、S90、S101、S123、K117、R134、N246、K242、およびQ258を含み、また、T128、S128またはA128を含み、さらに、A156またはN156を含む。ここでアミノ酸付番は配列番号50に示す通りである。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドはER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))を含む。これらの実施形態のいずれか1つにおいて、標記アニオンチャネルポリペプチドは、膜輸送シグナル(例えばKSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号56))およびER輸出シグナル(例えばFCYENEV(配列番号58))の両方を含む。
【0192】
効用
本開示の方法にはさまざまな利用法がある。前述のように本開示の方法は、機能的脳回路を解剖および解析するために使用される。いくつかの場合、本方法は機能回路において、解剖的および/または機能的に規定されたニューロンの新しい役割を同定する方法を提供し得る。いくつかの場合、脳の領域間の解剖的または構造的結合は結合の機能的役割についての洞察を与えるために十分ではなく、および本開示の方法が機能的結合を明らかにし得る。
【0193】
いくつかの場合、本方法は相関データのみ使用可能な脳の領域間の機能的結合について、細胞レベルで因果関係を確立する方法を提供し得る。したがっていくつかの場合、本方法は脳回路における相関性の観察の基底にある因果関係の有無を実証し得る。
【0194】
特定の実施形態において、本方法は、光活性化ポリペプチドの選択的発現と脳領域の選択的照射との組み合わせを介して、異なる時間周波数で選択的に特定のニューロン集団を活性化する方法を提供するが、ここで各周波数で活性化されるニューロン数は実質的に同一である。したがって、機能的結合にある脳の第2領域での反応にあたって第1領域を活性化する光パルスの周波数増加の影響は、主として周波数の変更によると考えられ、例えば周波数依存的方法により多くのニューロンが漸増するなど他の要因によるものではない。
【0195】
本方法はまた、例えば中心視床、島葉、帯状、視床下核(STN)、淡蒼球内節(GPI)、不確帯(ZI)など脳領域の脳深部刺激(DBS)の影響を探査するために使用され、痛み、うつ病、依存症、アルツハイマー病、注意欠陥障害、自閉症、無オルガスム症、脳性小児まひ、双極性うつ病、単極性うつ病、てんかん、全般性不安障害、急性頭部外傷、快楽主義、肥満、強迫障害(OCD)、急性とう痛、慢性とう痛、パーキンソン病、遷延性植物状態、恐怖症、外傷後ストレス障害、脳卒中後のリハビリテーション/リジェネシス、頭部後外傷、社交不安障害、トゥーレット症候群、出血性卒中、虚血性脳卒中などの様々な神経疾患の治療に使用され得る。本方法はいくつかの場合、世界の脳ダイナミクスならびに細胞レベル機能回路において、定義済みニューロン集団の光パルス周波数またはパルス幅など、刺激の単一パラメータの影響を探査する方法を提供し得る。
【0196】
実施例
以下の実施例は当業者に本発明を使用する方法を完全に開示し、および説明するために提示されており、および発明者が発明者の発明として見なすものの範囲を制限することを意図したものではなく、また以下の実験が実施されたすべてのまたは唯一の実験であると示すことを意図したものでもない。使用された数(例えば数量、温度、など)に関して正確性を確保するための努力が費やされたが、いくつかの実験エラーおよび偏差は考慮すべきである。別途指定がない限り、部品は部品数×重量、分子量は重量平均分子量、温度は摂氏温度、および圧力は大気圧またはその近傍である。例えば、bp(塩基対)、kb(キロベース)、pl(ピコリットル)、sまたはsec(秒)、min(分)、hまたはhr(時)、aa(アミノ酸)、kb(キロベース)、bp(塩基対)、nt(ヌクレオチド)、i.m.(分子内の)、i.p.(腹腔内の)、s.c.(皮下の)、および同種のものなどの標準略語が使用され得る。
【0197】
実施例1:材料および方法
動物。スプラーグドーリーラット、メス(>11週齢、250~350g)を、全視床注入の被検体として使用した。動物は個別ケージに入れ、各12時間の明暗周期下におき、食料および水分は自由に与えた。動物の飼育と実験上の操作とは、米国立衛生研究所、カリフォルニ大学ロサンゼルス校(UCLA)、動物実験委員会(IACUC)、およびスタンフォード大学IACUCのガイドラインに厳密に従った。
【0198】
ウィルス注入およびファイバー固定。スタンフォード大学のDeisseroth研究室から、pAAV5-CaMKIIa-hChR2(H134R)-EYFP-WPREプラスミドを得た。ノースカロライナ大学チャペルヒル校のベクトルコアで、濃縮ウィルスが産生された。イソフルラン(導入に5%、維持に2~3%、Sigma-Aldrich、St.Louis、Missouri、USA)を使ってラットに麻酔をかけて、定位フレームに固定した。滅菌手術の標準手順に従った。痛みを最小限に抑えるためブプレノルフィンが投与された。目には人工涙液をさした。頭部を剃髪し、正中切開に続いて70%エタノールおよびbetadineでむき出しの頭皮を消毒した。歯科用ドリルを用いて標的座標上で小さく頭骨切開を実施した。マイクロシリンジポンプ制御装置を使い、34ゲージ針(World Precision Instruments Inc.,Sarasota,FL)を通して150nl/minの速度で、中心視床または対照実験用の他の皮質下標的における所望の座標に2マイクロリットルのウィルスを注入した。I)CLおよびPC中心視床細胞核(-3.2mmAP、+1.5mmML、-5.6mmDV、n=47イメージング用動物)、II)後内側腹側核(-2.5mmAP、+2.6mmML、-6.0mmDV)、III)視床前核(-3.1mmAP、+1.8mmML、-5.3mmDV)、IV)視床後核(-4.6mmAP、+1.8mmML、-5.0mmDV)、V)中間海馬(-5.8mmAP、+5.2mmML、-3.4mmDV、n=8動物)。注入はすべて右半球で実施された。ゆっくり抜き出す前に、注射針はさらに10分間その場所に置いておかれた。カスタマイズされたガイドカニューレ(Plastics One製)または光ファイバーカニューレ(Doric Lenses Inc.製)を頭がい骨に取り付けて、metabond(Parkell)を使用して固定した。切開は縫合され、また、動物は麻酔から回復するまで加熱パッドの上に置かれた。手術後の48時間毎日2回、不快症状を最小限に抑えるためブプレノルフィンを皮下に注入した。47の中心視床動物の元のコホートを、さらに標的座標から0.85mm未満の埋め込み場所でスクリーニングした後に、18の群に絞り込んだ(T2磁気共鳴画像法(MRI)スキャンを用いて推定、図1B)。視床活性化の欠落により2つの動物を除外し、解析には16の動物が残った。
【0199】
ラットの第2コホートにおいて、前述のように中心視床へのChR2注入の完了後、ノースカロライナ大学チャペルヒル校ベクトルコアで産生された濃縮AAV5-hSyn-eNpHR3.0-mCherryウィルスが右不確帯に注入された(-3.96mmAP、+2.8mmML、+7.4mmDV、n=4動物)。両方の注入は同じ手術で実施された。0.5マイクロリットルのeNpHRウィルスが34ゲージ針を通して100nl/minの速度で注入された。注入に続いて、ゆっくり抜き出す前に、注射針は約10分間その場所に置いておかれた。回復についての詳細は、前述と同じである。
【0200】
光遺伝学機能的MRI(ofMRI)のデータ取得。UCLAで、7T Bruker Biospec小動物MRIシステムを使用して機能的MRI(fMRI)スキャニングが実施された。最初に、5%イソフルランを使って動物を麻酔にかけて、耳および歯を固定するカスタムメイドのMRI適合クレードルに固定する前に挿管された。外径39mm、内径25mmの特注設計の送受信単ループ表面コイルを頭がい骨上の関心領域の上中央に置いて、信号対雑音比を最大化した。コア径62.5μmの光ファイバーを473nmのレーザー源(Laserglow Technologies、Toronto、Canada)に接続して、埋込式光ファイバーカニューレに連結した。単一のofMRIスキャンは、6つの20s光パルス列(10、40、または100Hz、順序はランダム)、1分間に1回出力し、それが6分続くブロックデザインで構成された。各セッションは、5~6回の連続的なスキャンにより採取を行った。実験全体で、光ファイバー出力電力は2.5mWに校正された。全周波数にわたって30%のデューティサイクルを使用して全光出力量を維持し、結果として10、40、および100Hzのそれぞれについて30、7.5、および3msの一意のパルス幅になった。プローブ場所を確認済みの第2コホート動物を使用した一連の対照実験(n=3)において、パルス幅は一定の3msを保ちながらデューティサイクルは変化した(図10)。
【0201】
fMRIスキャンニングの際は、動物を磁石のアイソセンターに配置し、さらに送風機と校正済み気化器、およびO2 (35%)、N2 O(63.5%)、イソフルラン(1.3~1.5%)の混合物を使用した軽麻酔下で人為的に換気を行った(45~60ストローク/分)。安定した(血液酸素濃度依存性)BOLDシグナルを確保するため、呼気のCO2 を3~4%に維持し、加熱空気流を使用して体温を36.5~37.5℃に保った。fMRIスキャンニングに先立ってファストスピンエコーシーケンスを用いてT2重み付き高解像度解剖画像を得て、脳の損傷を確認し、光ファイバーの場所を検証した(面内分解能:137μm、視界(FOV):35×35mm2 、スライス厚:0.5mm、コロナルスライス:32)。グラジェントエコー(GRE)BOLD法を使用して、光刺激時のfMRI画像を得た。fMRI画像の取得は、35×35mm2 の面内視野(FOV)および0.5×0.5×0.5mm3 の空間解像度を得るように設計されており、スライディングウィンドウ再構成を用いて繰り返し時間(TR)毎に画像を更新した。2次元マルチスライスグラジェントエコーシーケンスは4インターリーブスパイラルリードアウト(96,97)、30°フリップ角、750msTR、および12msエコー時間を使用し、その結果23個のコロナルスライス(128×128マトリックスサイズ)を得た。スパイラルk空間サンプルは、2次元グリッド再構成法を通して再構成された。最後に前述の画像処理装置(GPU)ベースのシステムを使用して、リアルタイム動き補正を実施した。スパイラルアーチファクトおよび大きな動きを示す脳境界での活性化について注意深く目視検査を行うことで同定される有意の動きのスキャンは、解析から除外された。この除外条件は、データ収集の前に設定された。
【0202】
fMRIデータ解析。すべてのfMRIデータ処理は、Matlab(登録商標)ソフトウェア環境(MathWorks,Inc.,Natick、MA)とmrVista(Stanford Vision and Imaging Science and Technology Laboratory、Stanford、CA;web.stanford.edu/group/vista/cgi-bin/wiki/index.php/MrVista)を使用して実施された。同じ刺激パラダイムとスキャンニングセッションの連続的スキャンに属する動き補正した画像について、最初にまとめて平均化した。次いで平均の4次元(4D)画像を、6自由度剛体変換を使用して共通座標フレームに位置合わせした。同じ動物に同じ周波数(通常は1、最大でも4)で複数のスキャンセッションを実施した場合、各セッションの結果得られた画像は、任意の被検体間解析を行う前に最初にまとめて平均化し、全動物被検体からの画像に均しくウェイトを付けながら、最高の信号対雑音比(SNR)を実現した。
【0203】
各ボクセルの時系列は、この動物個体の画像において、刺激に先立って収集された30秒のベースライン期間と比較したBOLDシグナルの変調率として計算された。また、1分のウィンドウサイズでトレンド除去するBoxcar関数を実施して、スキャナードリフトの可能性を補正した。次に、各ボクセルの時系列について、全周波数要素の二乗和で除算した反復刺激ブロック(つまり1/60Hz)の周波数でのフーリエ変換の大きさとして、コヒーレンス値を計算した。0.35より大きいコヒーレンス値のボクセルは、刺激に有意に同調したと見なされた。ガウス雑音および470以内の自由度(統計的パラメトリックマッピング(SPM)ソフトウェア環境を使用して計算)を仮定すると、このしきい値のボンフェローニ補正P値は10-9未満であると推定し得る。活性化容積(図2)は有意ボクセル数として定義されたが、この数値はボクセルあたりの容積で乗算された定義済み関心領域内で正の反応を示した。正の反応は、間隔[0,π/2]∪[3π/2,2π]のフェーズとして同定された。フェーズは、正弦波としてモデル化された場合の反応の時間的シフトを表し、および反復刺激ブロックの周波数(つまり1/60Hz)での各ボクセルのフーリエ変換の引数として計算された。
【0204】
血液動態学的反応関数(HRF)は、ボクセルの6サイクルの60s平均反応、6分の時系列で計算された。図に表示される時系列とHRFとは、動物にまたがっての対応ROIにおいて0.35より大きいコヒーレンス値を持つボクセルの平均時系列または平均HRFを平均することで生成された。いくつかの場合では第1データポイントの値は、刺激発現からの相対的変調率を定義するために、各ボクセルのHRFから減算された。
【0205】
平均活性化マップ(図2)を生成するため、同じ刺激場所と周波数の実験から得た4DのfMRI画像は、まとめて動物全体にまたがって正規化され、平均化された。次いで平均化された画像を、上記フーリエドメイン解析に従って処理した。コヒーレンス値は、しきい値0.35を上回るコヒーレンスを持つ全ボクセルにオーバレイされた。正および負の反応それぞれについて、Matlab(登録商標)の「hot」と「winter」関数を使用して生成された温冷カラーマップを使用して、体性感覚皮質に対する負のBOLDの定位を図示した。これらの活性化マップは、デジタル標準ラット脳アトラスを使って対応するT2重み付き解剖画像にオーバレイされた。同じアトラスはセグメントROIにも使用された。代表的動物の図10において、同じ解析パイプラインを活性化マップに使用した。
【0206】
脳波図(EEG)の電極埋込み。動物亜集団におけるofMRI実験の完了と共に、EEG電極が埋込まれた。外科的準備と回復についての詳細は、ウィルス注入で使用されたものと同一であった。2cmの絶縁電線(30ゲージ、R30Y0100、WireWrappingWire、O.K.Industries)に取り付けられたステンレス製ネジ(0~80、直径1.5mm、Plastics One)をEEG電極として使用し、および歯科用セメントを使用して頭がい骨に固定した。記録用電極は、ブレグマの約2mm前、および2mm中心線の右側に取り付けられた。基準電極は、ブレグマの約5mm前に、および3mm中心線の左側に取り付けられた。
【0207】
ビデオEEGの取得と解析。ビデオEEG記録の前に、光ファイバーの連結とEEGの結線とのため、5%以下のイソフルランで約5分間、動物を麻酔にかけた。次いで動物は光および音が制御された実験室に移されたが、動物はそこで自由に動くことが許された。動物が麻酔から回復してその後15分間睡眠した後に(動きの欠如とリアルタイムのEEG出力読み取りで示す)、行動実験が開始された。それぞれの実験について、動物は5分間の睡眠の間ビデオに記録され、その後20秒光刺激を与え(10、40、または100Hz、473nmレーザー、2.5mWレーザー電力、デューティサイクル30%)、および次いで5分間、刺激後の期間を与えた。この実験を通して、MP150データ取得ユニットおよびEEG100Cアンプ(BiopacSystemsInc.,SantaBarbara、CA)、EL254S Ag-AgCl電極とGel102導電性EEGペーストを使用して、1kHzでEEGデータを取得した。デジタルカメラを使用して実験をビデオに記録した。すべての行動実験は、動物の光サイクルの間に実施された。
【0208】
EEG記録はBiopac Acqknowledge(登録商標)ソフトウェアを使用して、経験豊富な実験内容を知らない脳波測定者によって、正常、低電位速波脳波、棘波、棘徐波、または進展する電子写真発作の最適カテゴリーの1つに分類された。ビデオクリップと各EEG記録でペアを作り、ビデオクリップを睡眠(つまり変化なし)、覚醒(動物は機敏で探索している)、欠神発作(動物は刺激が持続するあいだ動かず凍ったように見えるが、刺激が終わると睡眠状態に戻る)、またはけいれん発作のカテゴリーのうちの1つに分類して、さらに動物の脳状態を診断した。観察された行動反応は、すべてこれらのカテゴリーの1つに分類され得た。図13の帯域電力は、Matlab(登録商標)のbandpower関数を使用して数値化され、および0Hzからサンプリングレートの半分(500Hz)までのシグナルの全電力によって正規化された。
【0209】
生体内電気生理学。ofMRIとEEGとの行動実験の完了時に、動物の亜集団において生体内電気生理学実験を実施した。導入のため5%のイソフルランで動物に麻酔をかけて、任意の頭骨切開が完了するまで2~3%のイソフルランで麻酔を維持した。記録セッションの間、イソフルランを0.8~1.2%に保つとともに、人工涙液で目に点眼した。図4および図5の記録は、fMRI実験と同一の換気条件下で実施されたものである。定位フレームの中に動物を固定した後、関心領域の上で歯科用ドリルを使用して小さく頭骨切開を実施した。刺激について、中心視床に埋込まれたカニューレを、光ファイバーを介して2.5mWの出力電力レベルの473nmレーザー源(Laserglow Technologies)に接続した。不確帯に埋込まれたカニューレは、2.5~3.0mWに校正された593nmレーザー源(Laserglow Technologies)に接続された。鋭い16チャネル微小電極アレイは、定位装置(NeuroNexus Technologies、A1x16標準モデルリニア電極アレイ、ローカル皮質記録用、V1-16-Poly2多極アレイ、ZI記録用、0.35±0.5MΩインピーダンス)を使用して記録部位を標的に取り付けられた。ステンレス製基準ネジを小脳上に配置した。連続的電場電位と単一ユニットのスパイキング事象を、Plexon omniplexシステムとplexcontrolソフトウェア(Plexon Inc.,TX、USA)とを使用して記録した。ChR2のみ活性化された場合、20秒間刺激なしのまま記録を実施し、その後10、40、または100Hz、30%デューティサイクルで反復刺激サイクル(20sオン、40sオフ)を実施した。ChR2およびeNpHRが一緒に活性化された場合、同じ刺激パラダイムが続くが、ただしChR2興奮発現の5s前に、30sの連続的593nm光出力の期間を開始した。eNpHRのみ活性化された場合(図5D)、20sまたは30sの連続的な593nm光出力の期間、および繰り返しサイクルの間に40sまたは30sの光出力なしの期間をそれぞれ適用した。単一ユニット反応について、Plexon Multichannel Acquisition Processorを使用してニューロンシグナル(150Hz~8kHz)を増幅およびバンドパスフィルターした。シグナルは40kHzでデジタル化して処理され、リアルタイムで活動電位を抽出した。電場電位を分離するため、ローパスフィルター(200Hz遮断周波数、4極Besselフィルター)を使用し、シグナルは1kHzにダウンサンプリングした。図4の不確帯記録の間、MP150データ取得ユニットとEEG100Cアンプ(Biopac)とを使用して、1kHzで同時EEGデータを収集した。
【0210】
不確帯電気生理学解析。図4の解析について、電場電位記録は2Hzの遮断周波数でハイパスフィルターして呼吸アーチファクトを除去した。次いで刺激間に発生するスピンドル状発振(SLO)は、事後カスタムアルゴリズムを使用して各試験ベースで数値化された。手短かにいうと、記録値の大きさが絶対平均を上回って少なくとも6標準偏差に到達した場合、SLOが同定された。先行する500msの期間に記録がこの値を越えず、および次の500msを越える期間に少なくともサンプルの2%がこの値を上回った場合、SLOがカウントされた。この定量化の方法は、視覚的に識別可能な大振幅発振を正確に捕捉した(図4D参照)。
【0211】
蛍光イメージングと免疫組織化学。生体内ofMRI、行動実験、および電気生理学的実験が完了すると、組立ボックス内でイソフルランを用いてラットを深く麻酔にかけて、および0.1Mリン酸緩衝食塩水(PBS)とPBS中の4%氷冷パラアルデヒド(PFA)とを経心的に潅流させた。脳が抽出されて、および4℃で夜通し4%PEA中で固定された。脳は4℃でPEA中、10%、20%、および30%スクロース中で平衡化された。冠状断面(50μm)が凍結ミクロトーム(HM 430 Sliding Microtome,Thermo Scientific Inc.)で準備された。連続断面(500μm間隔)は、蛍光顕微鏡(Leica EL6000)に取り付けられ、蛍光顕微鏡を用いて検査された。定量的免疫組織化学(図7)について、浮動断面は、5%正常ロバ血清、および0.4%のTriton X-100を使って60分間処理された。次いで断面は4℃で48時間、マウスモノクローナルCaMKIIα(CaMKIIα、1:500、05-532、Millipore(登録商標)、Billerica、MA)に対する一次抗体にさらされた。PBSを使って洗浄した後、断面はAlexa Fluor(登録商標) 647-conjugated AffiniPure donkey anti-mouse IgG(1:250、Jackson Laboratories、West Grove、PA)を使い、2時間室内温度で培養された。次いでスライスは洗浄されて取り付けられた(DAPI-Fluoromount G、SouthernBiotech、Birmingham、AL)。レーザー共焦点顕微鏡を用いて免疫蛍光法を評価した(Leica CTR 6500)。
【0212】
高解像度、全脳蛍光イメージング(図1A図4H、および図8)について、凍結脳は、ステンレス製Tissue-Tek(登録商標)ベースモールドとNeg-50埋込み媒体(Richard-Allan Scientific (Thermo)、n=2動物)を使用して埋め込まれた(103)。凍結後、Neg-50埋込み脳は、スライドに直接取り付けされた断面すべてについて、Microm(登録商標) HM550低温保持装置の上で、テープ転写法を使用して切断された。代替の20μmにカットされた断面は分離されて2つの異なる脳ごとの系列を形成した。断面材料の1スライド系列は、チオニンベースのプロトコルを使用し、DPX封入剤を用いて封入して、ニッスル細胞体染色法向けに処理された。代替系列は脱水され、蛍光イメージング用にDPXを用いて直接に封入された。0.46μm/ピクセルでHamamatsu NanoZoomer(登録商標) 2.0-HTシステムを使用し、トライパスフィルターキューブを使用した12ビット深度で蛍光スキャンを用いて、ホールスライドデジタルイメージングを実施した。無損失jp2(JPEG2000)へのデータ変換に続いて、剛性2次元(2D)画像変換を使用して、個々の脳断面を位置合わせして登録された。
【0213】
統計情報。Matlab(登録商標)において、すべての統計的検定が実施された。解析全体にわたってノンパラメトリック検定が使用された。視床と不確帯とでの生体内電気生理学的測定について、片側ウィルコクソン符号順位検定を使用して、予備刺激期間と刺激期間との間の発火頻度の変化の評価を行った。図3Gの感覚皮質での測定について、検定の両側バージョンを使用して発火頻度増減の評価を行った。表1の結果について、平均前置刺激発火頻度(20sビン)を、片側ウィルコクソン符号順位検定を使用して、複数比較について未補正の、20sの刺激期間を通して4回の5sビンの平均発火頻度と比較した。片側ウィルコクソン順位和検定を使用して、eNpHR活性化が中心視床刺激に連結された場合に、SLO発生の差異(図4E)、ならびに皮質発火または不確発火の変化について評価を行った(図5Fおよび図5H)。電気生理学的結果について、繰り返し試験間で非依存性を想定した。この試験について他のすべての想定は満たされた。図2E~Gの容積測定の比較について、片側ウィルコクソン符号順位検定を使用して、10Hzと40Hzとの間および10Hzと100Hzとの間で、BOLD活性化の容積増加を同定した(複数比較について補正を実施)。概して分散は比較対象群にわたって類似していることに注意。α=0.05カットオフレベルで、有意性が判定された。サンプルサイズを推定するために、統計的方法は使用されなかった。変化を周波数と比較するために使用されたすべての統計的検定(図2E~2G、および図9B)は、各周波数で使用した動物の数を等しくしてペアで実施された。
【0214】
実施例2:中心視床リレーニューロンの高周波刺激は、生体内で広範な前脳活性化を推進
中心視床の特異的役割を調査するため、光遺伝学的技術を適用して空間的、時間的に高精度な方法で中継細胞を制御した。チャネルロドプシン2(ChR2)と蛍光レポータータンパク質EYFPとを搭載したアデノ随伴ウィルスを用いて、CaMKIIaプロモーターの制御下で、中心視床の右のCLおよびPCの髄板内核に定位注入を実施した。このプロモーターは、主として興奮性ニューロン中で発現するが、視床中のその興奮性ニューロンの大多数は中継細胞である。バルク注入領域内の同定された細胞のうち35%がEYFPポジティブで、EYFPポジティブ細胞のうち97%は共発現CaMKIIaであり、興奮性ニューロンの刺激に対して高い感度を示した(n=2ラット、831細胞、図7)。ChR2-EYFP発現はこれらの2つの細胞核(図1A)を越えて広がったが、髄板内核の標的刺激は、高解像度のT2重み付き構造MR画像によって確認されたように、(a)埋め込まれた光ファイバーの定位固定(図1B、1C)、および(b)空間的に限定された照射によって達成された(図1A、1B)。47匹のラットは当初、定位標的としての中心視床を使用して注入およびカニューレされた(-3.2mm AP、+1.5mm ML、-5.5mm DV)。ただし、髄板内核は比較的小さく、および正確に標的とすることが困難である。それゆえこの動物のサブセットのみ、T2重み付きMRIスキャンを使用して、光ファイバーチップの場所の経験的に観察された分布に基づいて使用された(図1B、標的座標から<0.85mmの距離)。正確に位置指定された埋め込み場所を持つ18のラットのうち、2つのラットはfMRI活動の一般的な非存在-刺激部位の中にあって最も注目すべき-を示して除外され、さらなる解析のために16匹の動物が残った。
【0215】
図1.中心視床の標的刺激は、正のBOLD変化を誘発し、刺激部位でのニューロン発火を増加させる。(図1A)代表的な広視野蛍光画像は、拡大して示した興奮した組織の推定コーンでオーバレイされたように、中心視床全体にわたってロバストなChR2-EYFP発現を示す。(図1B)高解像度構造MRIスキャンを使用して推定された、47匹のラットの初期コホート中の経験的に観察された光ファイバー埋め込み場所。この動物のうち18匹は、中心視床に正確に位置指定された埋め込み場所を持つ(標的部位から<0.85mm、破線の円と十字形とで示す)。2匹の動物は、視床活性化の欠落に基づいて除外され、それ以上の解析にはn=16のラットが残された。黒点は、解析に使用された16匹の動物の埋め込み座標を示す。灰色の点は、31匹の却下された動物の埋め込み座標を示す。(図1C)矢印でマークされた埋め込み場所の推定に使用された、代表的なT2重み付き解剖学的MRIスキャン。(図1D)ofMRI実験の際に取得された23個のコロナルスライスの概略図。スライス番号は、図2の活性化マップに対応する。(図1E)同側視床ROI(図2D参照)内で有意に変調されたボクセルの平均時系列は、青色のバーで示した10、40、100Hzでの繰り返しの20s刺激期間の際にロバストな正のBOLD反応を示す。値は平均値±動物全体のs.e.m.である(各周波数に対してそれぞれ、n=16、10、および16)。(図1F)中心視床光刺激の際の局所生体内オプトロード記録の図。差し込み図は記録されたニューロンの棘波波形を示す。(図1G)この3つの試験された周波数の各々での光刺激の際に、中心視床内で発火頻度の増加を示す記録されたニューロンの代表的ペリイベント時間ヒストグラム。図7も参照。
【0216】
図7.CaMKIIaポジティブ細胞を標的としたChR2の特異性。免疫組織化学では、ChR2-EYFPが中心視床中のCaMKIIaポジティブニューロンを特異的に標的としていることが確認されている。バルク注入領域内の同定された細胞のうち35%がEYFPポジティブで、EYFPポジティブ細胞のうち97%は共発現CaMKIIaである(n=2ラット、831細胞)。縮尺バー、10μm。
【0217】
髄板内核に限定された小容積の直接興奮した組織を実現するために、直径62.5μmの光ファイバーを使用した。ChR2の活性化には1mW/mm2 の強度が必要であると仮定すると、本実験において(2.5mW)光ファイバーのチップから出た比出力は、ChR2+ニューロンが興奮する1.08mmの侵入深さおよび0.08mm3 の容積に対応する。図1Aは、標的細胞核に対応するこの侵入深さと活性化コーン(発散半角11.7°)とを図示し、刺激は上手に中心視床に限定されていることを示す。この2つのファクター(MR検証の定位ファイバー固定と小容積の興奮した組織)は、ここに報告した影響が主に中心視床内の興奮性リレーニューロンの刺激に由来することを示す。
【0218】
中心視床中でトランスフェクトしたニューロンの解剖学的結合を探索するため、ChR2-EYFP発現の生体外蛍光顕微鏡画像を収集した。ウィルス性トランスフェクションの拡散のため(図1A)、報告された蛍光は隣接する視床核からの投射も反映することが可能である。にもかかわらず公知の中心視床の投射系に一致して、前頭皮質および線条体を含む前脳の全体にわたってEYFP発現軸索が観察された(図8)。特に内側前頭前皮質、外側前頭前皮質、帯状皮質、運動皮質、および感覚皮質はすべて強い投射を受けた。このインプットは表面層に非常に収束性があり、中間層にも中程度ではあるが弱い投射が存在した。さらに投射は、両側の皮質および線条体に関するウィルス注入に対して有意に同側半球に限定されていた。この解剖学的結合は中心視床がどのように脳状態に影響を及ぼし得るかという理解に強力な基礎を提供するが、この回路のダイナミックな性質-例えば中心視床の異なる周波数での刺激がどのように別個の行動反応に導き得るか-をほとんど説明しない。それゆえ、この大量前脳投射の機能的有意性を解剖して、中心視床刺激によって誘発された大規模な空間的、時間的ダイナミックスを可視化するため、光刺激を同時生体内全脳機能イメージングと組み合わせた。
【0219】
図8.遠隔標的のChR2-EYFPの代表的蛍光画像は、右中心視床においてトランスフェクトされたリレーニューロンから前脳への大量投射を図示する。下2列は、定量ofMRI解析に使用された皮質領域および線条体領域の拡大画像を示す。上2列は、この拡大画像が由来する全脳スライスを示す。EYFP発現軸索投射は主として、同側半球と皮質中の表面層とに局在する。
【0220】
光遺伝学fMRI実験の際に、面内分解能0.5×0.5mm2 、厚さ0.5mmの23個のコロナルスライスを、スパイラルk空間軌道とスライディングウィンドウ再構成アルゴリズムを使用してフレームレート750msで得て、全脳をカバーする高時空間解像度を実現した(ブレグマ+5.2~-5.3mm、図1D)。新しい逆ガウスニュートン法も使用して、可能な運動アーチファクトを補正し、光遺伝学的に誘発された反応を検出するロバスト性を最適化した。それぞれの実験について、20sの期間の刺激が10、40、または100Hzで6分間の間、毎分出力された。この形式の連続的定常状態の刺激は、臨床DBSで使用されたアプローチを模倣し、光遺伝学的刺激によってロバストなfMRI反応を誘発することが示された。実際に3つすべての周波数での刺激は、結果として光出力と大きく同期した刺激部位で、光活性化で増加したロバストな正の血液-酸素-レベル-依存(BOLD)シグナルとなり、次第に刺激の終りに続くベースラインに復帰した(図1E)。このBOLDシグナルがベースのニューロン発火パターンを反映したことを確認するため、中心視床でのオプトロードを使用して刺激を用いて単一ユニットの同時記録を実施した(図1F)。fMRIシグナルに一致して、10、40、100Hzでの刺激はすべて、ローカルニューロン発火頻度のロバストな増加となった(図1G、n=5ニューロン、P<0.05、20s予備刺激と刺激期間との間のウィルコクソン符号順位検定、各ニューロンについて12試験を実施)。
【0221】
刺激の周波数は、同側性および対側性のBOLD活性化の範囲を、視床中の局所および下流、シナプスによって連結された脳領域、と決定することに影響を与えたが、本開示では、ブロック刺激パラダイムに有意に同期した正のBOLDシグナルとして規定された(実施例1参照)。一般に、10Hzの刺激に比較して40Hzと100Hzとの刺激によって、より多くの容積の脳組織が活性化され、前頭皮質野および線条体が高周波数で強く活性化された(図2A~2C)。漸増パターンにおけるこの空間的差異を定量化するため、正で統計的に有意で、選択ROIにおいて刺激によって誘発されたBOLDシグナルの全容積を計算した(図2D)。低(10Hz)および高(40Hzと100Hz)刺激周波数間の活性化容積のこの差異は、視床、線条体、および内側前頭前皮質、外側前頭前皮質、帯状皮質、運動皮質、および感覚皮質で有意であった(図2E~G)。線条体活動は主として背側肝に局在し、腹側領域において無視できる活動が発生した(図2B、C)。さらに、BOLD活性化は概して同側半球に限定されていた、ただ10Hzの刺激に比較して100Hzの刺激の際には、対側線条体、外側前頭前皮質、運動皮質、および感覚皮質における活性化容積はすべて有意に大きかった(図2F~H)。
【0222】
図2.誘発されたfMRIシグナルの空間的特徴付け。(図2A~2C)興奮性中心視床リレーニューロンを10、40、100Hzで刺激した際の脳全体の活動のコヒーレンス平均値マップ。暖色は正のBOLD反応を示し、他方寒色は負のBOLD反応を示す(方法を参照)。(図2D)空間的ofMRI活性化パターンの定量解析に使用された関心領域(ROI)。(図2E)同側視床における活動容積量(コヒーレンス>0.35の正のシグナル)は、40Hzと100Hzとの刺激の際の方が10Hzの刺激の際より有意に大きい。視床漸増は、比較的対側性側に限定される。(図2F)同側線条体の活性化は、40Hzと100Hzとの刺激の際の方が10Hzの刺激の際より有意に大きい。対側線条体の活性化は全周波数にわたって限定されるが、それでも10Hzから100Hzに向かって増加する。(図2G)内側前頭前皮質と外側前頭前皮質とは40Hzおよび/または100Hzの際の刺激の方が10Hzの刺激の際より有意に大きい活性化容積を示す。対側半球の活動は試験した全周波数にわたって限定されているが、それでも10Hzから100Hzに向かって増加する。(図2H)帯状皮質、運動皮質、および体性感覚皮質の活性化はそれぞれ、40Hzと100Hzとの際の方が10Hzの刺激の際より大きい。対側運動皮質および感覚皮質もまた、40Hzおよび/または100Hzの刺激の際により大きい範囲で活性化される。図2A図2Cの縮尺バーは2mmを表す。図2E図2Hの星印は、10Hz対40Hzと10Hz対100Hzとについて刺激の有意な差異を示す。*P<0.05、**P<0.005、***P<0.001、片側ウィルコクソン符号順位検定、複数比較のために補正。エラーバーは平均値±動物全体のs.e.m.を表す。それぞれ10、40、100Hzについてn=16、10、および16の動物である。i-(同側性)、c-(対側性)、Cg(帯状皮質)、MC(運動皮質)、MPFC(内側前頭前皮質)、LPFC(外側前頭前皮質)、SC(感覚皮質)、Str(線条体)、Th(視床)の略称を使用。また図8図9A図9B、および図10A図10Cを参照。
【0223】
この結果は、中心視床が前脳に及ぼした広範な駆動効果の直接で領域特異的視覚効果をもたらし、また覚醒調節についての先行する解剖学的および生理学的研究を、皮質性線条体活性化の空間的に正確な定量的指標に関連付ける。例えば誘発された反応は、視床皮質投射の一側性の性質に一致するが(図8)、対側皮質はなお中心視床の一側性刺激によって、とりわけ高周波時に変調され得ることが判明する。重要なことに、他の視床核の刺激は、線条体と皮質とにおいて同様に広範な活動を誘発できなかった(図9A)。さらに10Hzと40Hzとの刺激間の前脳活性化における大きな差異は、他の形式の皮質下刺激について観察されず(図9B)、これが中心視床の独特な特性であることを示唆した。
【0224】
図9A~9B.光遺伝学による広範で周波数依存の前脳の漸増は、中心視床の髄板内核の刺激とは異なる。(図9A)中心視床の40Hz刺激の際の線条体活性化と皮質活性化の容積(つまり0.35より大きなコヒーレンスによる正のBOLDシグナル)を、他の視床核の刺激の際の活性化容積と共に示す。中心視床は、結果として線条体領域と前頭前皮質領域、および前頭皮質領域に有意の漸増を生む唯一の標的である。(図9B)中心視床刺激の周波数依存効果を中間海馬(IH)刺激の効果と比較。10Hzより40Hzで線条体、運動皮質、および感覚皮質でより多くの容積を有意に漸増させる中心視床刺激とは違い(*P<0.05、**P<0.005、***P<0.001、片側ウィルコクソン符号順位検定)、海馬刺激の際のこの領域の漸増は周波数に対する有意の依存性を示さなかった。視野界の差異による海馬刺激について、活性化データはMPFCまたはLPFCで利用できなかった(N/A)ことに注意。i-(同側性)、c-(対側性)、Cing.ctx(帯状皮質)、MPFC(内側前頭前皮質)、LPFC(外側前頭前皮質)、Sens.ctx(感覚皮質)の略称を使用する。
【0225】
この実験を通して、30%の一定デューティサイクルを使用して、周波数にわたって全光出力量を維持し、考えられる発熱アーチファクトを制御した。全刺激周波数に対して20sのパルス列が保たれ、ニューロンの適応による差異の可能性を防止するため、一定のデューティサイクルの維持は各周波数について一意のパルス幅を必要とした(つまり10、40、100Hzについてそれぞれ30、7.5、および3ms)。パルス幅のこの変化が前脳漸増における上記差異の主要原因である可能性を除外するため、3msのパルス幅を維持しながら刺激を繰り返した。誘発されたfMRI反応の可視化および定量化は、周波数による皮質活性化と線条体活性化との増加が維持されたことを示す(図10Aおよび図10B)。このデータは、刺激周波数が前脳fMRI活性化の変調の主要ファクターであったことを示唆している。
【0226】
図10A~10C.中心視床による前脳の周波数依存的漸増とそれの皮質性BOLDシグナル極性の制御とは、パルス幅が一定に保持される場合に維持される。(図10A)3msの一定パルス幅を使用して興奮性中心視床リレーニューロンを10、40、100Hzで刺激した際の、脳全体の活動の代表的コヒーレンスマップ。暖色は正のBOLD反応を示し、他方寒色は負のBOLD反応を示す(実施例1を参照)。(図10B)皮質および線条体における正のBOLD反応の定量化(n=3動物)。灰色のラインは、100Hz刺激に正規化された動物特異的結果を示す。黒色のラインは、動物全体の平均値を示す。6つの領域すべては、デューティサイクルと全光出力量を一定に維持するためにパルス幅が変化する場合に、本研究の主結果に一致して、周波数とともに漸増の増加を示す。関心領域(ROI)は図2で使用された領域と同じである。(図10C)一定のパルス幅3msを使用して10、40、100Hzで中心視床を刺激した際に、体性感覚皮質中で誘発された血液動態反応関数。本研究の主な結果と一致して、10Hzで負のBOLDシグナルが誘発され、他方遅いおよび早い正のBOLD反応がそれぞれ40Hzと100Hzとで誘発された。
【0227】
実施例3:中心視床刺激周波数は、皮質性興奮/抑制のバランスを制御
低周波数および高周波数の中心視床刺激の際に誘発された皮質性反応の時間的ダイナミックスが次に調査された。標的とした興奮性ニューロンの活性化にもかかわらず、体性感覚皮質は10Hz刺激の際に強い負のBOLDシグナルを示し、ベースライン活動の抑制を示唆した(図2A、3A、3B)。対照的に40、100Hzでの中心視床刺激は、体性感覚皮質でBOLDシグナルの正の変化を引き起こした(図2B、2C、3A、3B)。したがって、異なる周波数での同じ興奮性集団の刺激は、下流標的で完全に反対の反応を招いた。重要なことに、対照実験においてパルス幅が一定に保たれた場合にこの反応が維持されたことで、刺激周波数がこの効果を制御する主要なファクターであることを示す(図10Aと10C)。
【0228】
図3.誘発された皮質活動のサインは、中心視床刺激の周波数に依存する。(図3A、3B)中心視床の10Hzの刺激は、同側体性感覚皮質の全体にわたって強い負のBOLDシグナルを誘発するが、他方40Hzと100Hzとの刺激は正の反応を誘発する。時系列は、図2Dで規定された感覚皮質ROIに由来する。血液動態反応関数(HRF)は、青色バーで示した単一の20sの刺激期間に対する平均的反応を示す。エラーバーは平均値±動物全体のs.e.m.を表す。10、40、100Hzそれぞれについてn=16、10、および16。(図3C)興奮性中心視床リレーニューロンを刺激した際の、体性感覚皮質での生体内記録の図。差し込み図は記録されたニューロンの棘波波形を示す。(図3D、3E)記録されたニューロンの代表的なペリイベント時間ヒストグラム、および刺激前、刺激中または刺激後の、20s期間の際の発火頻度の対応する定量化。体性感覚皮質内の神経発火頻度は、10Hzの中心視床刺激の際に減少したが、ただし40Hzと100Hzの刺激の際には増加した(それぞれn=17試験、*P<0.05、***P<0.001、予備対オン、両側ウィルコクソン符号順位検定、詳細な解析については表1参照)。値は平均値±s.e.m.、図10も参照。
【0229】
以前の研究では周波数に依存する極性変化についての類似した研究成果が示唆されたが、異なる周波数での興奮性ニューロンの選択的刺激に起因する下流の正および負のBOLDシグナルはまだ、電気生理学によって可視化されておらず、また検証されていない。このシグナルのニューロン的な裏付けを規定するため、体性感覚皮質において中心視床刺激の際に単一ユニットの細胞外記録法が実施された(図3C)。ofMRI実験の際に観察されたBOLD活動に一致して、10Hzの刺激は予備刺激期間と刺激期間との間にニューロン発火頻度の減少を招いた(図3D,3E、n=11の記録されたニューロンのうちの10)。逆に40Hzおよび100Hzでの刺激はともに、ニューロン発火の増加を引き起こした(図3D,3E、n=11の記録されたニューロンのうちの11)。誘発された発火頻度は刺激中に変化するように見えたため、20sの刺激のうちの連続する5sの期間の際に、平均発火頻度に対する予備刺激発火頻度を特別に比較した(つまり0~5s、5~10s、10~15s、および15~20s、未補正のP<0.05、ウィルコクソン符号順位検定、各ニューロンで17試験を実施)。面白いことに、10Hz刺激の際の発火頻度の減少が、主として刺激開始後5~15sの間隔で発生したが、他方40Hz刺激の際の発火頻度の増加は主として最初の10sに生じた(表1)。他方100Hz刺激の際のニューロン発火頻度の増加は概して20s刺激期間の全体にわたって維持された(表1)。そのような相違は、視床皮質経路の短期可塑性を反映し得て、この視床皮質経路は以前に周波数依存特性を示していたものである。また刺激前後時間ヒストグラムは、抑制の際に発生する棘波事象が不均一な経時分布を有し、この分布は光発現の後6ms~34msの間にピークを迎えたことを明らかにした(図11)。このデータは、10Hzでのグルタミン酸作動性視床皮質入力が時に活動電位を生成したことを示唆している。ただしとりわけ、すべての光パルスが直接の活動電位を招くわけではない。
【0230】
表1.感覚皮質の単一ユニット記録から得た電気生理学の結果。また表1-ソースデータ1を参照のこと。
【0231】
【表1】
【0232】
図11.10Hzの中心視床刺激によって駆動される抑制期間に発生する皮質性棘波は、不均一経時分布を示す。(上部パネル)6匹の動物について10Hzの中心視床刺激の際の体性感覚皮質中の棘波事象の平均刺激前後時間ヒストグラム(PSTH)。解析は、各動物について抑制された最大数のニューロンを有した5sの時間ビンに限定された。棘波カウントを個々の30msの光パルス発現に位置合わせし、5s刺激期間の際に出力された50パルスを合計し、試験全体を平均し、各抑制されたニューロンについて5msの間隔でビニングすることで、PSTHを計算した。ヒストグラムは20sの予備刺激ベースライン期間の対応する棘波カウント値で正規化し(破線で表す)、また、各動物のニューロン全体にわたって平均をとった。斜線部の長方形は30msの光パルスを表す。棘波事象は大多数の100ms刺激中断期間にベースラインに対して減少したが、それでも発生する棘波事象は不均一分布を有し、その分布のピークは刺激発現後の6~34msであることに注意。このパターンは、いくつかの視床刺激は、予備刺激レベルに比較して活動の純抑制にもかかわらず、皮質中に棘波事象を誘起することを示唆する。呈示の動物は、表1中のChR2電気生理学実験に使用された2つと、図5中のChR2-eNpHRを組み合せた電気生理学実験に使用された4つとを含む。(下の表)体性感覚皮質における抑制性ニューロンについての、PSTHピークレイテンシーと棘波忠実度の概要。ピークレイテンシーは、各ニューロンのPSTHについて最大の棘波カウントのある5msビンとして定義された。棘波忠実度は、30msパルスの際に少なくとも1つの棘波を誘発する所定の抑制5sビンの光パルスのパーセンテージを表す。値は平均値±図と表中の細胞にまたがるs.t.e.を表す。
【0233】
同時に、このofMRIと電気生理学データとは、体性感覚皮質全体にわたる神経活動が、低周波数の中心視床刺激で抑制されて、および高周波数の刺激で増加することを示す。刺激は中心視床に位置する細胞体の興奮性ニューロンに限定されたため、刺激周波数と皮質興奮/抑制との間の因果関係はニューロンの初期発火パターンに起因し得る。この結果はシステム神経科学中の成長する文献に追加され、ニューロン集団の発火パターンが、特異的時間的コードによって下流領域に非常に異なる-反対でさえある-影響を及ぼすことを示唆する。
【0234】
実施例4:低周波中心視床刺激は不確帯発振を駆動
刺激が興奮性ニューロンに限定された場合、10Hz刺激の際の皮質の抑制はGABA作動性集団の周波数依存変調に関係あり得ると仮定された。ラットにおける自然発生的欠神発作中の10Hzの棘徐波活動の強力なGABA作動変調に関与している、不確帯(ZI)の反応特性を調査した。解剖学的にみてZIは直接のGABA作動投射を、体性感覚視床核と感覚皮質とに送信する。機能的にいえばZIもまた、GABA作動抑制を通して高次視床核で処理する感覚情報を選択的にゲート制御する。不確帯の関与を調査するため、中心視床の10Hzまたは40Hzでの同時光遺伝学的刺激の際に、この領域で単一ユニットと電場電位の電気生理学的記録とを実施した(図4A)。EEG記録が前頭皮質において同時に収集されて、ZI活動と全脳覚醒状態との関係を直接に評価したが、この関係は主として前脳EEGを用いて測定された。不確帯は、定位的局在およびこの領域の明確な体性感覚性表現を使用して標的とされた。電極は、硬膜から-3.96mmAP、+2.2~2.6mmML、+6.7~7.2mmDVを標的とした。不確帯は、適合する深さ指示値、多シナプス性反応に一致する棘波レイテンシー(10msのオーダー、図4B)、および不確帯があるのは公知の対側ウィスカー刺激に反応する受容野、に従って同定された(64)。電極は、当初VP視床の背側部分(不確帯の上約1.5mm)を通って下げられたが、この背側部分もまた、記録されたニューロンがそのような刺激に対応しなくなるまでウィスカー刺激に反応した。電極は次いで、記録されたニューロンがウィスカー刺激に反応して発火し、不確帯に到達したことを示すまで、さらに1.5mmまで下げられた。
【0235】
図4.不確帯(ZI)で周波数依存スピンドル状発振が誘発される。(図4A)麻酔をかけた動物において中心視床を光刺激する際の、不確帯の生体内記録と前頭皮質中の同時EEG記録との図。(図4B)個々の光パルスの発現に位置合わせし、パルスと試験全体を合計した、記録されたZIニューロンからの棘波活動の代表的ペリイベント時間ヒストグラム。ピーク棘波レイテンシーは、10Hz(左)および40Hz(右)の刺激では約10msおよび約8msであり、中心視床中の刺激された集団から離れた少なくとも1つのシナプスで記録を実施したことを示唆する。上の概略図は、各周波数で20s続いた30%デューティサイクルパルス列を図示する。(図4C)20s超の期間の刺激の代表的ペリイベント時間ヒストグラムは、10Hzと40Hzとの刺激の際にZI発火の増加を示す。不確帯における28の分離された単一ユニット(n=2動物)の中で、ほとんどが刺激の際の発火頻度について有意の増加を示した(n=28ニューロンのうちそれぞれ26と22、P<0.05、各細胞について20試験の片側ウィルコクソン符号順位検定を行った)。(図4D)中心視床の10Hz(上)および40Hz(下)刺激の際の同一チャネルと試験番号とに基づく代表的電場電位の記録。10Hz刺激(黒色三角形でマーク)の際に、4つの振幅変調のスピンドル状発振(SLO)が誘発されたが、他方40Hzの際に誘発されたものはなかった。差し込み図はSLOのズームインを示す。(図4E)使用可能な12チャネルのうち11チャネルについて、10Hz刺激の際のSLOの数は40Hz刺激より大きかった(n=2動物、各20試験を実施、P<0.01、片側ウィルコクソン順位和検定)。(F)2つ以上のSLOが10Hz刺激の同じ20s期間に誘発された場合、事象間間隔の分布は6.6±0.2sに中心があった(s.e.m.)。(図4G)中心視床刺激と同時ZI記録の際に前頭皮質で収集された代表的EEGの記録。10Hz刺激は棘徐波反応を誘発し、この反応は意識消失と知覚的意識とに関連し、他方40Hz刺激は覚醒を示す低電位速波脳波反応を誘発する。(図4H)不確帯においてChR2ポジティブ処理が観察され、中心視床刺激の際の漸増のベースを提供した。i.C.:内包。
【0236】
28個の分離されたZIニューロンのうち、過半数は10Hzおよび40Hzの両方で中心視床刺激の際の発火頻度の増加を示した(図4C、n=それぞれ26、22、P<0.05、20s予備刺激期間と刺激期間との間のウィルコクソン符号順位検定、各ニューロンで20試験を実施)。ただし主たる差異は、10Hz刺激の際に電場電位において大きな振幅変調スピンドル状発振(SLO)が、40Hz刺激より頻繁に有意に生じたことであった(図4D、4E)。この発振は、入眠の際に視床において観察された事柄と同様、事象間隔が約6.6±0.2(s.e.m.)を中心としたことを示した(図4F)。(図4G)これに一致して前頭皮質における同時EEG記録は、10Hz刺激と低振幅の際の強い棘徐波変調と40Hz刺激の際の高速発振を示したが、これらはそれぞれ意識消失と覚醒した脳状態とに関連している(図4G)。EYFP発現軸索はまた不確帯でも観察され(図4H)、中心視床リレーニューロンは不確帯に直接結合し得ることを示し、また、この反応に対する可能な解剖学的基質を提供した。
【0237】
実施例5:中心視床刺激によって駆動された皮質性抑制は誘発された不確帯活動に依存
40Hzではなく10Hzの中心視床刺激の際の不確帯におけるスピンドル状発振の観察は、この領域が中心視床駆動ネットワークに一意に係合し得ることを示す。ただし、不確帯において誘発された活動が、周波数依存の体性感覚皮質の抑制駆動において原因としての役割を演ずるか否かは不明である。この問題に取り組むため、mCherry蛍光マーカーに融合し、汎ニューロンhSynプロモーターによって制御された抑制オプシンハロロドプシン(eNpHR)を、中心視床中でChR2-EYEPを発現する4匹の動物の不確帯に注入した(図5A、5B、図12)。(1)20sまたは30sの連続的eNpHR活性化、および(2)連続的eNpHR活性化の30s期間以内に実施される20s、10Hzの中心視床刺激という2つの新しい刺激パラダイムを探索した。単一ユニット記録を、不確帯と感覚皮質で、この2つのオプシンの同時活性化の際に同時に実施した(図5C)。
【0238】
図5.10Hzの中心視床刺激によって駆動された皮質性抑制は正常な不確帯処理に依存する。(図5A)広視野蛍光画像は、右側不確帯に空間的に局在化したロバストなeNpHR-mCherry発現を示す。縮尺バー、1mm。(図5B)共焦点画像は、不確帯中のニューロンの体性膜に局在化したeNpHR-mCherryを示す。縮尺バー、10μm。882DAPI染色細胞のうち209がZI(24%、n=2動物)中にmCherryを共発現した。(図5C)それぞれChR2とeNpHRとを使用した中心視床の10Hz刺激および不確帯の連続的(連続的)抑制の際の、皮質性電気生理学的記録の概略図。(図5D)不確帯の代表的ニューロンのペリイベント時間ヒストグラムで、この不確帯の発火頻度は、593nm光源を用いたeNpHR活性化の際に抑制されている。(図5E)不確帯における代表的ニューロンのペリイベント時間ヒストグラムで、この不確帯の発火頻度は、eNpHR活性化の際の10Hz中心視床刺激のあいだ、抑制されたままである(図4Cと比較)。(図5F)不確帯中のeNpHRの活性化は、70個のニューロンのうち60個のニューロンで10Hz中心視床刺激によって誘発された不確帯発火頻度の変化を有意に減少させる(P<0.05、片側ウィルコクソン順位和検定)。発火頻度の変化は、予備刺激レベルに正規化された。(図5G)代表的皮質ニューロンのペリイベント時間ヒストグラムは、10Hz中心視床刺激によって誘発された抑制反応が不確帯中の同時抑制活動によって覆されることを示す。発火頻度は、平均予備刺激値に正規化される。(図5H)同時eNpHR活性化を伴う、または伴わない10Hz中心視床刺激の際の皮質発火頻度中に誘発された変化の定量化。中心視床刺激とeNpHR活性化とを組み合わせた場合、76個の細胞のうち50個の細胞が抑制の減少を示した(P<0.05、1sビンにまたがるウィルコクソン順位和検定)。発火頻度の変化は、予備刺激レベルに正規化された。(図5I)共焦点画像は、体性感覚皮質中の不確帯からのmCherryポジティブ軸索投射を示す。縮尺バー、20μm。
【0239】
図12.不確帯におけるeNpHR発現の広視野蛍光画像、一定のスケールで活性化eNpHR(つまり抑制性ニューロン)の推定コーンを用いてオーバレイされている。侵入深さと容積とは、記載された方法と5mW/mm2 の光強度しきい値を使用してそれぞれ0.64mmと0.024mm3 と計算された。光ファイバーの直径105μm、NA0.22、発散半角9.3°。侵入深さと活性化容積とは、光ファイバー先端で3mWの光パワーに対応する。刺激座標は、-3.96mmAP、+2.4mmML、および-6.7mmDVに対応する。密なGABA作動性ニューロンの別の領域である視床網様核を参照のために示す。
【0240】
不確帯中の記録された70個のニューロンのうち、593nm光の出力は、62個のニューロンで発火の減少を招いたが(P<0.05、20s予備刺激期間と20sまたは30s刺激期間との間でウィルコクソン符号順位検定、各ニューロンで15~20の試験を実施)、抑制不確帯活動においてハロロドプシンの照射が成功したことを示した。誘発されたニューロン発火頻度の減少は通常、593nm光出力期間のあいだに継続した。(図5D)。ZIにおけるハロロドプシン活性化を中心視床の10Hz刺激と組み合わせた場合、前述の不確帯発火の増加(図4C)は中断された。70個のニューロンのうち60個のニューロンにおいて、20sの10Hz中心視床刺激期間と予備刺激期間との間の不確帯発火頻度の差異は有意に減少し、同時にeNpHRが活性化された(図5F、P<0.05、片側ウィルコクソン順位和検定、n=10~20試験)。図5Eは、代表的ニューロンにおける10Hz中心視床刺激の20s期間全体にわたって不確帯活動の抑制を図示する。このデータは、ハロロドプシンの活性化が、10Hz中心視床刺激によって誘発された不確帯発火を有意に抑制し、また不確帯処理の中断に成功したことを示す。
【0241】
この不確帯の抑制が、中心視床刺激によって駆動された皮質活動に影響を及ぼしたか否かを判定するため、eNpHRの照射を伴う、または伴わないChR2活性化によって誘発された体性感覚皮質の発火頻度の変化を数値化した。76個の体性感覚皮質ニューロンを記録し、および中心視床刺激の20s期間をこれまでのように4つの5sビンに分割した。図3で呈示されたデータに一致して、68個の細胞(89%)が中心視床の10Hz刺激の際に発火の減少を示した(未補正P<0.05、ウィルコクソン符号順位検定、各ニューロンについて10~15試験を実施)。ただし目立ったことに、eNpHRqによる不確帯活動の抑制はこの効果を覆した。動物全体で76個のニューロンのうち50個のニューロンが、中心視床刺激とeNpHR活性化とを組み合わせた場合に、抑制の減少を示した(図5H、P<0.05、1sビンにまたがるウィルコクソン順位和検定、各ニューロンについて10~20試験を実施)。実際に、わずかの細胞が抑制反応から興奮反応に切り替わった。図5Gは、10Hz中心視床刺激の際に抑制反応を示した1細胞の発火パターンを図示するが、この抑制反応は、不確帯が同時にeNpHRによって抑制された場合に除去された。まとめるとこのデータは、10Hz中心視床刺激の際の不確帯活動が体性感覚皮質に純抑制的影響を及ぼしたことを示唆する。直接の解剖学的結合を通してのこの影響の裏付けとして、感覚皮質(図5I)においてmCherryポジティブ軸索を観察したが、前述した不確帯皮質性投射のレポートと一致していた。この研究成果は、中心視床覚醒回路における不確帯の概念的に新しい役割を示す。
【0242】
実施例6:中心視床刺激は脳状態を周波数依存的に変調
最後に、この研究成果をより直接的に中心視床覚醒回路と前述した電気的刺激研究とに関連する行動に関連付けるため、睡眠中で無麻酔の動物において、映像とEEG記録とを同時に用いて、10、40、および100Hzの刺激を実施した(実施例1参照)。制御(前置刺激)活動は、デルタ、シータ、アルファ、およびベータバンドにおいてEEG帯域電力を用いて数値化したように、刺激周波数にわたって一貫していた(図13)。10Hz刺激の際に、過半数の動物は、刺激とその後の眠りに戻ることを通して擬死および行動停止を含む欠神発作を示す行動を示した(図6A、n=4/7)。加えてもっとも一般的なEEG反応は、遅棘徐波発射への遷移であったが(図6B,C、n=5/7)、この発射は一般に意識消失に関連する。対照的に、40Hzと100Hzとの刺激は、覚醒状態への行動遷移を招いたが、探査と目標指向運動とに反映された(図6A、n=それぞれ4/7と4/6)。同様にこの高周波刺激によって誘発された最も一般的なEEGパターンは、低電位速波脳波反応であったが(図6B、n=それぞれ3/7および6/6)、皮質活性化と脱周期とを示した。まとめると、この現象はofMRIを用いて観察された皮質漸増および線条体漸増パターンに一致する。さらに行動実験(図6C,D)の際に誘発された遅棘徐波と低電位速波脳波EEG反応とは麻酔状態で記録されたもの(図4G)と一致し、さらにofMRIによって明らかにされたネットワーク活性化パターンを本開示で報告された覚醒反応ならびに初期の刺激研究で報告されたものとに関連付ける。
【0243】
図6.睡眠中の動物における中心視床の光遺伝学的刺激は周波数依存的方法で脳状態を変調させる。(図6A)過半数の動物(n=4/7)における低周波刺激(10Hz)は行動欠神発作を誘発するが、他方高周波刺激(40、100Hz)は過半数の動物に目覚めを引き起こす(n=それぞれ4/7と4/6)。破線のボックスは、各周波数でもっとも一般的な反応を示し、付属の矢印は対応する睡眠からの遷移を示す。(図6B)低周波刺激は通常、EEGで棘徐波反応を誘発するが(n=5/7)、これは欠神発作において読み取った行動に一致する。高周波刺激の際にもっとも頻発するEEG反応は低電位速波脳波(n=3/7と6/6)であり、覚醒を示す。N:通常、SW:棘徐波、lvf:低電位速波脳波、s:棘波、e:進展性発作。(図6C、6D)棘徐波と低電位速波脳波として分類された代表的EEG反応のトレース。差し込み図は4sの拡大図を示す。重要なことに、このEEGパターンは麻酔条件下で記録されたもの(図4G)に一致し、さらにofMRIを用いて可視化された反応を報告された行動反応に関連付ける。図13も参照。
【0244】
図13.前置刺激活動は、デルタ、シータ、アルファ、およびベータバンドにおいてEEG帯域電力を用いて数値化したように、睡眠中のラットの刺激周波数にわたって一貫している。
【0245】
本発明はその特異的実施形態に関して説明されてきたが、当業者には様々な変更をなし得ること、および本発明の主旨および範囲から逸脱せずに等価物に置き換え得ることを理解すべきである。加えて、特定の状況、材料、物質組成、プロセス、プロセスステップまたは複数プロセスに適合するため、本発明の目的、主旨および範囲には多くの改変を行い得る。そのような改変はすべて、以下に追加された特許請求の範囲内にあると意図される。
【0246】
相互参照
本出願は、2015年12月9日に出願された米国特許仮出願第62/265,291号の利益を主張するものであり、その出願全体を参照によってここに組み込む。
【0247】
連邦政府による資金提供を受けた研究の記載
本発明は、契約番号NS087159に従って米国立衛生研究所から授与された政府援助を得て実施された。政府機関は、当発明に特定の権利を得る。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14-1】
図14-2】
図14-3】
図14-4】
図15-1】
図15-2】
図15-3】
図15-4】
図15-5】
図15-6】
図15-7】
【配列表】
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