(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】屈折率のナノ勾配を示すポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
A61F 2/16 20060101AFI20230803BHJP
A61L 27/14 20060101ALI20230803BHJP
A61L 27/50 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
A61F2/16
A61L27/14
A61L27/50
(21)【出願番号】P 2022207732
(22)【出願日】2022-12-26
(62)【分割の表示】P 2021532286の分割
【原出願日】2019-08-19
【審査請求日】2022-12-26
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504363706
【氏名又は名称】スター サージカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】オシッポフ, アレクセイ, ヴィ.
(72)【発明者】
【氏名】ホリディ, キース
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2363426(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0221283(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0228238(US,A1)
【文献】特表2011-519674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/16
A61L 27/14
A61L 27/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元ポリマーマトリックスを有するコポリマーから作製された光学体を含む眼内レンズ(IOL)であって、
前記コポリマーの前記三次元ポリマーマトリックスは、不均一な架橋密度を有しかつ第2領域よりも架橋が少ない第1領域を含み、
前記光学体は、眼内レンズの光学体でありかつ既
に硬化されており、
前記三次元ポリマーマトリックスの前記不均一な架橋密度は、前記既に
硬化された光学体に特定のパターンでイオン化エネルギーを照射して架橋結合を破壊することで達成され、
前記照射された光学体は、その後、水和溶液中に配置され、前記三次元高分子マトリックスは、前記水和溶液中に配置された結果として不均一に膨潤し、前記光学体は、前記三次元元ポリマーマトリックスの膨潤の結果として不均一な屈折率を有し、
前記不均一な架橋密度は、眼に配置されて房水に曝されると、前記光学体を適合させて形状を動かしたり変化させたりすることなく、広範囲の距離から光を集束させることを特徴とする、眼内レンズ。
【請求項2】
前記三次元ポリマーマトリックスは、蒸気滅菌により寸法的に安定であり、長期使用中に加水分解的に安定である、請求項1に記載のレンズ。
【請求項3】
前記不均一な架橋密度は、眼に配置されて房水に曝されると、前記光学体を適合させて形状を動かしたり変化させたりすることなく、0~3Dの輻輳で広範囲の距離から光を集束させる、請求項1に記載のレンズ。
【請求項4】
前記不均一な架橋密度は、眼に配置されて房水に曝されると、前記光学体を適合させて形状を動かしたり変化させたりすることなく、0~2.5Dの輻輳で広範囲の距離から光を集束させる、請求項3に記載のレンズ。
【請求項5】
前記不均一な架橋密度は、眼に配置されて房水に曝されると、前記光学体を適合させて形状を動かしたり変化させたりすることなく、0~2Dの輻輳で広範囲の距離から光を集束させる、請求項4に記載のレンズ。
【請求項6】
前記不均一な架橋密度は、眼に配置されて房水に曝されると、前記光学体を適合させて形状を動かしたり変化させたりすることなく、0~1.5Dの輻輳で広範囲の距離から光を集束させる、請求項5に記載のレンズ。
【請求項7】
前記不均一な架橋密度は、眼に配置されて房水に曝されると、前記光学体を適合させて形状を動かしたり変化させたりすることなく、0~1Dの輻輳で広範囲の距離から光を集束させる、請求項6に記載のレンズ。
【請求項8】
前記不均一な架橋密度は、眼に配置されて房水に曝露されると、前記光学体を適合させて乱視を矯正する、請求項1に記載のレンズ。
【請求項9】
前記三次元ポリマーマトリックスは、前記光学体の表
面近く
の架橋密度が該表面に対してさらに内側の領域よりも低
い、請求項1に記載のレンズ。
【請求項10】
前記レンズは、非光学触覚部をさらに含み、
前記非光学触覚部は、非光学三次元ポリマーマトリックスを含み、
前記非光学三次元ポリマーマトリックスは、不均一な架橋密度を有する、請求項1に記載のレンズ。
【請求項11】
前記水和溶液は、平衡塩類溶液を含む、請求項1に記載のレンズ。
【請求項12】
前記不均一な架橋密度は、眼に配置されて房水に曝露されると、球面補正のための球面レンズになるように前記光学体を適合させる、請求項1に記載のレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願のクロスリファレンス)
本出願は、2018年8月17日に出願された米国仮特許出願第62/765,088号の優先権を主張し、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
屈折率の多方向変化を示す、電離放射線吸収、線量感受性及び非常に柔軟なポリマー組成物が提供される。また、ポリマー組成物において屈折率の精密な多方向勾配を生成する方法も提供される。
【背景技術】
【0003】
レンズ本体全体で制御された方法で変化する屈折率を有するレンズは、屈折率勾配(GRIN)レンズと呼ばれる。屈折率は、通常、レンズ本体全体で徐々に変化するという点で、勾配として変化する。天然に存在する人間の水晶体は、屈折率勾配を有するレンズの一例である。
【0004】
様々な屈折率(オリゴウレタンメタクリレート)を有する(紫外線)光硬化材料の転写型において段階的重合技術を用いて製造された、単一の折り畳み式多焦点勾配眼内レンズ(IOL)の製造が報告されている。Malyuginら、Middle East Afr.J.Ophthalmol.2014年1~3月;21(1):32-39を参照
する。この技術は、勾配光学系を備えた多焦点人工レンズを製造し得る。ただし、製造プロセスでは、材料の重合段階とレンズ製造を同時に組み合わせる。
【発明の概要】
【0005】
屈折率の変化を制御することにより、製造されたレンズに対して、画質、焦点距離、及び焦点深度等の光学パラメータを定義し得るという点で、GRIN IOLを形成するための方法論が望ましい。この方法論により、眼内レンズ(例えば、IOL等)を特定の患者の視力矯正要件の仕様に合わせて製造することができる。眼内使用以外の用途のGRINレンズの調製のための方法論と同様に、前もって製造された眼科用レンズの屈折率修正を可能にする方法論が望ましいであろう。
【0006】
本開示の一様態は、三次元ポリマーマトリックスを有するコポリマーから作製された光学体を含むレンズ、任意で眼科用レンズであり、コポリマーの三次元ポリマーマトリックスは、不均一な架橋密度を有する。
【0007】
三次元ポリマーマトリックスは、第2領域よりも架橋が少ない第1領域を含んでもよい。
【0008】
第1領域及び第2領域は、架橋密度勾配内にあってもよい。三次元ポリマーマトリックスは、勾配内にない第3領域をさらに含んでもよく、第3領域は、均一な架橋密度を有する層を含む。第1領域は、第2領域よりも光学体の周辺に近くてもよい。
【0009】
第1領域は、第1架橋密度を備えた第1層であってもよく、第2領域は第2架橋密度を備えた第2層であってもよい。第1領域は、光学体の表面層であってもよく、第2領域よりも少ない架橋を有する。
【0010】
第1領域は、光学体の周辺により近くてもよい。
【0011】
光学体全体は、架橋密度勾配を有してもよい。
【0012】
三次元ポリマーマトリックスは、天然水晶体の屈折率分布と実質的に同じ屈折率分布を有してもよい。
【0013】
光学体の形状は、天然水晶体の形状と実質的に同じであってもよい。
【0014】
光学体全体は、架橋密度勾配を有さなくてもよい。
【0015】
光学体はトーリックレンズであってもよい。
【0016】
コポリマーは、少なくとも1つの非イオン性アクリルモノマーと、少なくとも1つのイオン性モノマーとを含んでもよい。コポリマーは、コラーゲン材料をさらに含んでもよい。イオン性モノマーは有機酸でもよい。非イオン性アクリルモノマーとイオン性モノマーとの重量比は、10:1~10,000:1、例えば50:1~200:1、例えば75:1~175:1、例えば75:1、100:1、125:1、150:1、又は175:1であってもよい。非イオン性アクリルモノマーは、ヒドロキシエチルメタクリレートであってもよい。
【0017】
マトリックスの不均一な架橋密度は、光学体が眼の房水に曝されたときに、光学体に反射防止表面層を生成するように適合されてもよい。反射防止層は、50nm~400nmの厚さであるマトリックスの領域を含んでもよい。反射防止層は、0.1μm~10μmの厚さであるマトリックスの領域を含んでもよい。反射防止層は、1μm~100μmの厚さであるマトリックスの領域を含んでもよい。反射防止表面層は、光学体に形成された中央開口の周りに少なくとも部分的に配置されてもよい。
【0018】
光学体は、IOLの光学体であってもよい。
【0019】
三次元マトリックスは、「湿布」の一部として蒸気滅菌に対して寸法的に安定であってもよく、長期間の使用中に加水分解的に安定である。
【0020】
不均一な架橋密度は、眼に配置されて房水に曝されたときに、光学体を適応させて、形状を動かしたり変化させたりすることなく、任意で0~3D、任意で0~2.5D、任意で0~2D、任意で0~1.5D、任意で0~1.0Dの輻輳で広範囲の距離から光を集束させてもよい。
【0021】
不均一な架橋密度は、眼に配置されて房水に曝露されたときに、乱視を矯正するために光学体を適合させてもよい。
【0022】
三次元ポリマーマトリックスは、光学体の表面の近くで、表面に対してさらに内側の領域よりも低い架橋密度を有してもよい。
【0023】
レンズは、非光学体部(例えば、1つ又は複数の触覚部)をさらに含んでもよく、非光学体部は非光学三次元ポリマーマトリックスを含み、非光学三次元ポリマーマトリックスは不均一な架橋密度を有する。
【0024】
レンズは、光学体が曝された水和溶液をさらに含んでもよく、不均一な架橋密度は、溶液中で水和すると、三次元ポリマーマトリックスを不均一に膨潤させる。これにより、光学体内に不均一な屈折率が生じる。
【0025】
水和溶液は平衡塩類溶液であってもよい。
【0026】
水和溶液は、レンズが眼の房水に曝されたときに、三次元ポリマーマトリックスの膨潤量が実質的に変化しないような構成部分を含んでもよい。水和溶液は平衡塩類溶液であってもよい。
【0027】
水和溶液は、レンズが眼の房水に曝されたときに、三次元ポリマーマトリックスの膨潤量が増加するような構成部分を含んでもよい。水和溶液は、塩化ナトリウム溶液であってもよい。
【0028】
水和溶液は、レンズが眼の房水に曝されたときに、三次元ポリマーマトリックスの膨潤量が減少するような構成部分を含んでもよい。
【0029】
水和溶液は、マグネシウムイオン又はカルシウムイオンのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0030】
不均一な屈折率は、第1及び第2屈折率をそれぞれ有する第1及び第2離散層を含んでもよい。不均一な架橋密度は、架橋密度勾配をさらに含んでもよい。
【0031】
本開示の一様態は、本明細書のレンズのいずれかを水和溶液に配置する方法であり、レンズを水和溶液に配置すると、マトリックスの不均一な膨潤を引き起こし、それによって光学体に不均一な屈折率を生成する。この方法は、レンズを平衡塩類溶液に配置することを含んでもよい。
【0032】
本開示の一様態は、本明細書のレンズのいずれかを移植する方法であり、この移植方法は、マトリックスの膨潤の変化を引き起こす。移植により、マトリックスの少なくとも一部でマトリックスがさらに膨潤してもよい。移植は、マトリックスの少なくとも一部の膨潤の減少を引き起こしてもよい。レンズを移植すると、移植された構成に対してレンズの全体積が増加してもよい。
【0033】
本開示の一様態は、本明細書のレンズのいずれかを移植する方法であり、この移植方法は、マトリックスの膨潤に実質的な変化を引き起こさない。
【0034】
本開示の一様態は、本明細書のレンズのいずれかを移植する方法であり、レンズの移植は、完全に水和した移植された状態でレンズがレンズ体積よりも小さい体積を有する状態で、送達デバイスを通してレンズを挿入することを含む。
【0035】
本開示の一様態は、三次元ポリマーマトリックスに屈折率勾配を誘導する方法であり、この方法は、少なくとも1つの非イオン性アクリルモノマーと、少なくとも1つのイオン性モノマーとから調製されたコポリマー系を含む三次元ポリマーマトリックスを有する(例えば、すでに硬化された)形成体を提供すること、及びマトリックス内に不均一な架橋密度を生成するように構成されたパターンで三次元ポリマーマトリックスにイオン化エネルギーを照射することを含む。
【0036】
この方法は、本明細書のレンズのいずれかと組み合わせて使用され得る。
【0037】
イオン化エネルギーは、電子ビームであってもよい。イオン化エネルギーはX線であってもよい。
【0038】
この方法は、形成体を静止位置に維持することをさらに含んでもよく、照射は、イオン化エネルギー源を少なくとも一方向に移動させることを含む。この方法は、イオン化エネルギー源を静止位置に維持すること、及び照射ステップ中に形成体を少なくとも一方向に動かすことを含んでもよい。この方法は、形成体とエネルギー源の両方を同時に又は連続して、又はそれらの任意の組み合わせで動かすことを含んでもよい。
【0039】
照射ステップは、マトリックスの少なくとも一部に架橋密度勾配を生成してもよい。
【0040】
照射ステップは、実質的にマトリックス全体に架橋密度勾配を生成してもよい。
【0041】
照射ステップは、マトリックスの第2領域の架橋密度よりも低い第1架橋密度を有する第1層を生成してもよい。第1層は、形成体の表面層であってもよい。
【0042】
コポリマー系は、コラーゲン材料をさらに含んでもよい。
【0043】
イオン性モノマーは有機酸であってもよい。
【0044】
少なくとも1つの非イオン性アクリルモノマーは、ヒドロキシエチルメタクリレートであってもよく、少なくとも1つのイオン性モノマーは、アクリルモノマーであってもよい。
【0045】
形成体は、眼内レンズの光学体であってもよい。
【0046】
照射された三次元ポリマーマトリックスは、「湿布」の一部としての蒸気滅菌に対して寸法的に安定であってもよく、長期間の使用中に加水分解的に安定である。
【0047】
照射ステップは、任意で50nm~400nm、任意で0.1μm~10μm、又は任意で1μm~100μmの厚さの反射防止表面層を生成してもよい。
【0048】
照射ステップは、不均一な架橋密度を生成してもよく、その結果、形成体を眼の房水で水和するとき、形成体を適応させて、形状を動かしたり変化させたりすることなく、任意で0~3D、任意で0~2.5D、任意で0~2D、任意で0~1.5Dの輻輳で広範囲の距離から光を集束させてもよい。
【0049】
照射ステップは、1つ又は複数の周辺支持体(例えば、触覚部)が形成体と一体的に形成された後に開始され得る。
【0050】
イオン化エネルギーは、X線であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】
図1は、イオン化エネルギーをポリマー体に適用するための例示的なシステムである。
【
図2】
図2は、イオン化エネルギーをレンズ本体に適用する場合の例示的な手法を示す。
【
図3】
図3Aは、架橋を有する、形成された(例えば、硬化された)ポリマー材料を示す。
図3Bは、膨潤を引き起こす、溶液中で水和された後の
図3Aの形成されたポリマー材料を示す。
【
図4】
図4Aは、イオン化エネルギーに曝された後に形成されたポリマー材料を示す。
図4Bは、膨潤を引き起こす、溶液中で水和された後の
図4Aのポリマー材料を示す。
図4Bの膨潤は、
図3Bよりも大きくなっている。
【
図5】
図5は、本明細書で膨潤が起こる方法をさらに詳細に示す。
【
図6】
図6は、主要なレンズ本体部分を含む、薄い反射防止層を備えた例示的なレンズを示す。
【
図7】
図7は、改質表面層の厚さが電子エネルギーによってどのように影響を受けるかを示す。
【
図8】
図8は、
図7と比較して、ベータ線の比較的高いエネルギー範囲を示す。
【
図9】
図9は、屈折率の変化率を示す。100%は、バルクから変化していない表面RIを示し、0%は、表面RIが保持されている溶液のRIに還元されていることを示す。
【
図10】
図10は、天然水晶体と実質的に同じ屈折率分布を有し得る例示的なレンズである。
【
図11】
図11は、本明細書の方法を使用して作成され得る、光学体に様々なRIを有する例示的な光学体を示す。
【
図12】
図12は、アクリル酸側鎖(左)とメタクリレート側鎖(右)を備えたポリマー鎖の一部を示す。
【
図13】
図13Aは、本明細書の方法を使用して照射される例示的なレンズを示し、該レンズは、光学体に1つ又は複数の開口を含む。
図13Bは、光学体の中央開口と、該開口の位置に反射防止層を作成するために本明細書の方法を使用して照射される該開口周りの領域を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本開示の一様態は、それらのレンズ本体全体にわたって制御された方法で変化する屈折率(「RI」)で製造されたレンズ(例えば、眼科用レンズ)を含む。場合によっては、RIはレンズ本体の一部でのみ変化する。場合によっては、変化するRIはRI勾配であってもよいが、いくつかの例では、一般に、それぞれが異なるRIを有するレンズ本体の1つ又は複数の層を指してもよい。本明細書のレンズは、RI勾配を有する1つ又は複数のレンズ本体領域、並びに均一なRIを有する1つ又は複数のレンズ本体領域、及びそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0053】
本開示の一様態は、レンズ内に変化するRIを生成する方法に関連している。
【0054】
一般に、(本明細書では光学体と呼ばれる)レンズ本体に可変RIを生成する方法は、材料のレンズ本体が形成された後、すなわち、1つ又は複数のモノマーを硬化してポリマー材料の硬化体を形成した後に行われる。これは、レンズ本体を形成する過程で様々なRIを生成する可能性のある代替アプローチとは対照的である。
【0055】
様々なRIを生成する本明細書の方法は、1つ又は複数の光学面が光学体にすでに形成された後に(例えば、1つ又は複数の光学面を生成するための旋盤加工を介して)行われてもよい。又は、様々なRIを生成する方法は、光学体の1つ又は複数の光学面を形成する前に行われてもよい。例えば、方法は、光学体の前面及び/又は後面が形成される(例えば、旋盤加工)前に行われてもよい。これらの代替例では、方法は、例えば、ポリマー材料の硬化体(例えば、円筒形ボタン)に対して実行されてもよく、その後、1つ又は複数の光学面がその上に形成されてもよい。
【0056】
本明細書に記載の方法の例示的な利点は、既知の硬化技術を使用して形成された多種多様な光学体に使用され得ることである。これにより、既存の技術を使用して材料(例えば、硬化)の光学体を形成することができ、その後、本明細書の方法を利用して、非常に制御された方法でレンズの1つ又は複数の領域のRIを変更して、多種多様な光学的障害(例えば、乱視)を処理し得るか、又は他の方法でレンズを変更して所望の光学的効果を生成(例えば、レンズの最も外側の領域に反射防止表面層を生成)し得る。
【0057】
本明細書における「屈折率」(「RI」)という用語は、半透明/透明物質、特に眼球媒体における屈折率の測定を包含する。RIは、真空中の光速と比較して、別の媒体(例えば、ポリマー材料)における光の相対速度として測定される。例えば、水のRI(n)は1.33である。
【0058】
本明細書のレンズのいずれかは、RI勾配を有する1つ又は複数の領域を有してもよい。本明細書のレンズのいずれかは、領域間でRIが急激に変化する場所にインタフェースする1つ又は複数の領域を有してもよい。本明細書のレンズのいずれかは、一定のRIを有する1つ又は複数の領域を有してもよい。本明細書のレンズのいずれかは、本段落に記載された例示的な領域の任意の組み合わせを含んでもよい。本明細書で使用するいずれかの方法を利用して、本段落に記載のレンズのいずれかを作成してもよい。
【0059】
天然ヒト水晶体は、屈折率勾配レンズ(GRIN)であり、RIは、通常、レンズの本体全体にわたって徐々に変化するという点で、勾配として変化する。一例として、本明細書の方法は、屈折率の変化を制御することによって、画質、焦点距離、及び焦点深度等の光学パラメータを定義することで、眼の水晶体と同様の性能を有するレンズの製造を容易にし得、製造されたレンズはGRINレンズである。ただし、いくつかのレンズでは、勾配の代わりに、又は勾配に加えて、RIの1つ又は複数の急激な変化を有する人工レンズを提供することが有利であってもよい。レンズの部分も一定のRIを有してもよい。
【0060】
本明細書の開示は、すでに形成されたレンズ内に所望のRIプロファイルを生成する方法を含む。本明細書の技術は、特定のパターン又は方法で、形成されたポリマー材料にイオン化エネルギーを適用し、場合によっては、イオン化エネルギーは、電子ビームであってもよい。電子ビーム(又は他のイオン化エネルギー)により、形成されたポリマー材料の結合が切断される。続いて、ポリマー材料を溶液(例えば、平衡塩類溶液(「BSS」)又は他の溶媒(例えば、水))で水和すると、ポリマー材料は膨潤する。ポリマー材料の膨潤は、RIの低下を引き起こす。このようにして、印加されたエネルギーを使用して、制御された予測可能な方法でレンズ内のRIを変化させて、レンズに所望のRIプロファイルを生成し得る。
【0061】
ポリマー体を形成するために、最初に架橋が行われる。これは、本明細書では「硬化」と呼ばれることがあり、既知の技術を使用して実行され得る。いくつかの実施形態では、第1及び第2成分は、三次元構造ランダムコポリマーを生成するために架橋される。化学的架橋は、開始剤及び/又は架橋剤及び/又は触媒の組み合わせを使用して実施され得る。又は、核照射装置で間接的に生成されたコンプトン電子を使用して架橋が開始され得る。例えば、レンズの材料に浸透し、材料をイオン化し、コンプトン電子(すなわち、イオン化中に分離される電子)を生成するガンマ線を提供するセシウム137又はコバルト60源が使用され得る。化学架橋法及び核照射剤架橋法の両方が、反応領域内で均一な架橋速度をもたらす環境を提供し、したがって、均質なポリマーを製造し得る。
【0062】
コポリマーは、線形である代わりに、BSSにおけるもつれたコイルの形態をとり得る。ランダムな三次元架橋コイルは、コポリマーと溶媒分子との間の分子間力が溶媒分子間の力に等しく、またコポリマー鎖セグメント間の力に等しい場合にのみ形成される。ランダムな三次元架橋コイルは、重合/架橋プロセス中に、最終ゲル化平衡点中に破壊プロセスが発生して構築速度と破壊速度が等しくなると形成される。繰り返すが、これは化学架橋又は放射線プロセスのいずれかで可能であり得る。化学的架橋プロセスでは、架橋を促進している開始剤及び/又は架橋剤及び/又は触媒の組み合わせは、阻害剤の作用によって一致する。放射線プロセスでは、架橋密度が臨界レベルに達すると、架橋と結合の切断が同じ速度で起こり始める。
【0063】
ポリマー体が形成された後、イオン化エネルギーがポリマー体に適用され、架橋結合の破壊をもたらす。
図1は、イオン化エネルギー源12、イオン化エネルギー14、及びすでに形成された(硬化された)ポリマー体15を含むシステム10を概念的に示している。ポリマー体15は、その上に形成された光学面を有する場合と有しない場合がある。ポリマー体15は、安定した方法で取り付けられ、イオン化エネルギー14を使用して照射されてもよい。電子ビームがイオン化エネルギーである場合、半導体製造のための電子ビームリソグラフィーで使用される電子ビーム技術は、本明細書の実施形態の方法での使用に容易に適用され得る。電子ビーム技術により、10nm未満の解像度でカスタムパターンを描画(直接書き込み)できる。例えば、Altissimo,M.、E-beam lithography for micro-/nanofabrication Biomicrofluidics 4、026503(2010)を参照する。偏向板13も示されており、ビームをポリマー体15に偏向させる電位を生成するために使用される。
【0064】
様々なシステム構成が考えられる。例えば、静的レンズが提供され得、静的レンズに対して移動して照射パターンを生成し得る電子ビームが提供され得る。又は、静止源を使用してもよく、
図1の矢印として示される任意の自由度に示されるように、ポリマー体を動かすように適用させてもよい。又は、静止源とレンズの両方を動かしてもよい。
【0065】
照射パターンは、電子エネルギーと、電子がレンズに当たる方向と位置、及び空間内の任意の位置が照射されている時間によって定義される。逆に、静的電子ビームの経路に配置され、ビームに応じて移動して照射パターンを生成する、(例えば、
図1に示されるように6自由度で)移動に適したレンズが提供され得る。レンズと電子ビームの両方を動かす構成も採用され得る。
【0066】
レンズの結果として生じるRIプロファイルを制御するために変更し得る方法の例示的な様態は、電子の入射角である。特定の実施形態では、電子が(例えば、レンズの表面全体にわたって)視射角でレンズに当たることが望ましい。これは、例えば、表面層を調製する際に、より高いエネルギーを有利に使用することを可能にする。これは、入射角を制御することにより、吸収エネルギー量又は電子ビームの強度を制御するものとみなし得る。
図2は、この概念を示しており、レンズ20とエネルギー22が視射(浅い)角でレンズに当たっていることを示している。レンズ20は、エネルギー源(ここでは簡単にするために示されている)に対して移動してもよく、エネルギー源はレンズに対して又はレンズとエネルギー源の両方に対して移動してもよい。
【0067】
イオン化エネルギー(例えば、電子ビーム)の適用は、このステップにおけるイオン化エネルギーがレンズ全体に特定のパターンで向けられるという点で、架橋用(ポリマー体形成用)の上述の照射器とは異なる。ビームがポリマー材料と相互作用する場合、ポリマー主鎖の結合が切断され、溶液(BSS、房水等)に配置されたときにポリマー体が膨潤すると屈折率が変化する。結果として得られる選択されたパラメータの組み合わせにより、(材料内に水がある場合)蒸気滅菌に耐えることが可能な材料にGRINを生成し得る。異なる吸収線量の放射線は、膨潤指数に正比例する効果があり、ポリマー系に結果として生じる効果は、GRINを形成するメカニズムを提供する。
【0068】
図3A、3B、4A及び4Bは、一般に、ポリマー材料に適用されたイオン化エネルギーが、水和したときに膨潤量を増加させ、その結果、RIのより大きな減少をもたらし得る方法を示す。
図3Aは、一般に正方形として示される(3つのみラベル付けされている)架橋30を有する形成されたポリマー材料を示す。これは「乾燥」状態と呼ばれることがある。
図3Bは、溶液(例えば、BSS、マグネシウム、カルシウム等)で水和したと
きのポリマー材料を示している。
図3Bでは、ポリマー材料は
図3Aの乾燥状態に比べて膨潤している。正電荷32(明確にするために3つだけラベル付けされている)は互いに無効になる。
【0069】
図4Aは、イオン化エネルギー40への曝露後のポリマー材料を示している。図示されているように、いくつかの架橋42は、イオン化エネルギー41の曝露により破壊されている。
図4Aは、
図3Aと同様に、ポリマー材料の乾燥状態と呼ばれ得る。
【0070】
図4Bは、溶液(例えば、BSS、マグネシウム、カルシウム等)で水和した後のポリマーを示している。
図3Bと4Bを比較するとわかるように、(少なくともイオン化エネルギーに曝された)ポリマー材料は、イオン化エネルギーに曝されていない場合と比較して、イオン化エネルギー吸収後に大きく膨潤する。
【0071】
図5は、膨潤が発生する方法をさらに詳細に示している。IOLの場合、レンズが眼の中に配置されたときのレンズの光学特性が問題になる。コポリマーは、カルシウム及びマグネシウムカチオンの存在下で溶液中での膨潤を増加させる。レンズが配置されている溶液(例えば、房水)からの拡散により、Ca
2+及びMg
2+イオンが材料内に存在するため、レンズ内の膨潤の変動が制御され得る。膨潤が大きいほど、マトリックス内の水分が多いため、屈折率が低くなる。
図5は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)に関連する化学プロセスを示しており、アクリレートで使用するために変更され得る。
【0072】
図5の左上には、弱い架橋を示すために、2つのメタクリレート基の間に一対の水素結合が示されている。Ca
2+及びMg
2+イオンの存在下では、カチオンがメタクリレート基の末端の酸素原子と結合し、4つ以上の弱く結合したユニットの束を生成するため、より強い錯体が構築される可能性がある。これらの種は親水性であるため、マトリックスに水を引き込み、膨潤を引き起こし、屈折率を低下させる。高エネルギー電子がポリマーに入射すると、ポリマー主鎖の結合が切断され、フローリーハギンズ溶液理論によれば、追加の膨潤が発生し、その結果、屈折率がさらに低下する場合がある。要約すると、最初の重合により、Ca
2+及びMg
2+イオンの存在下で膨潤する親水性ポリマーが生成される。電子ビームを照射すると(その例を
図4Aに示す)、この合成ポリマー鎖の結合が切断され、RI変化(RI勾配等)を生成できる。この技術は、本明細書の(例えば、反射防止層を生成する)方法のいずれかで使用され得る。
【0073】
本明細書のレンズは、架橋後、一般に、乾燥状態にあると呼ばれる。溶液(例えば、BSS、眼の房水)に配置されると、ポリマー材料は乾燥状態に比べて膨潤する。膨潤量は、レンズが配置されている溶液によって異なる。一般に、レンズは輸送及び/又は保存のために包装され、使用の準備ができたときに眼に埋め込まれる。場合によっては、本明細書のレンズは、(乾燥ポリマー材料のある程度の膨潤を引き起こすために曝された)BSSに包装され得、移植されると、それらは房水に曝され、わずかな追加の膨潤を引き起こす場合がある。
【0074】
本明細書のレンズのいずれも、移植後にレンズが実質的に追加の膨潤を受けないように、溶液中に保存/包装され得る。これは、移植時のレンズを可能な限り最終サイズに近づけることが望まれる場合に有益である場合がある。例えば、レンズは、移植直後に適切に安定するように「フル」サイズで移植されることが望ましい場合がある。
【0075】
又は、その最終的な完全に移植されたサイズよりも小さい(すなわち、より少ない膨潤)サイズでレンズを移植することが望ましい場合がある。例えば、移植されたレンズは、送達ツールを通って前進しやすくなるようにより小さく、その後、最終的な移植されたサイズまでより大きく拡張することが望ましい場合がある。
【0076】
このようにして、移植後の膨潤の程度は、用途に基づいて必要に応じて制御され得る。
【0077】
電子ビームを利用してレンズの少なくとも一部に屈折率勾配プロファイルを生成する本明細書の一般的な方法を使用して、個々の患者に合わせてレンズをカスタマイズし得る。このアプローチは、本明細書の技術を使用することによって多くの患者の要求を満たし得るという点で、多種多様な可能性を提供する。特定の患者は、レンズの特定のRIプロファイルから恩恵を受ける場合がある。本明細書の技術は、レンズに特定のRIプロファイルを生成するために必要に応じて調整され得る。これらの特性及び他の特性は、光学特性がレンズの形態によってのみ決定される単一屈折率材料とは対照的に、実施形態の方法を使用して提供され得る。
【0078】
電子ビームは、表面又はバルク修飾に有利に使用され得、X線、レプトン、陽子、陽電子、又はαもしくはβ源等の放射線源からの電離放射線等の他のエネルギーも使用され得る。
【0079】
本明細書に記載の一般的な方法には、多種多様な特定の用途がある。いくつかの特定の例が本明細書に提供されているが、一般的な方法を他の用途で使用して、多種多様なレンズに所望のRIプロファイルを生成し得ることが理解される。
【0080】
本開示の一様態は、眼内レンズ(例えば、IOL、眼の水晶体の人工代替物)等のレンズを製造する製造方法であり、大きさ及び絶えず変化する多数の方法で制御され得る屈折率の多方向勾配(GRIN)を有する。GRINレンズの材料は、「湿布」の一部として蒸気滅菌に対して寸法的に安定しており、長期間の使用でも加水分解的に安定している。GRINレンズはレンズの材料によるものであり、三次元架橋分布が狭いため、長期間使用しても変化しない。これらの製造方法により、多くの問題を解決するようにレンズを設計することができる。
【0081】
例えば、限定されないが、これらの方法の例示的な用途は、屈折率が低下したベース材料の薄層を生成することによって、レンズ内に反射防止層を生成することである。
図6は、その中に形成された薄い反射防止層52を備え、主なレンズ本体部分54を備えた例示的なレンズ50を示している。
【0082】
反射防止層(すなわち、表面層)は、視力障害を引き起こし得る眼内の迷光を低減し、また、IOL以外のレンズ用途における望ましくない反射を低減するため、有用である場合がある。
【0083】
図13A及び13Bは、光学体102及び周辺支持体104を含む追加の例示的なレンズ100を示している。光学体102は、光学体102を通って延びる開口106(この実施形態では中央開口である)を含む。
図13Bは、本明細書の方法を使用して照射されて、開口の位置に反射防止層を生成する開口を形成する光学体の領域108を示している。これは、開口部の位置での光の散乱を低減するのに役立つ場合がある。
【0084】
本明細書に記載の製造プロセスは、反射防止層を形成するように操作され得る。一般に、低エネルギー(例えば、500eVから10keVまで)及び任意で高フラックス(表面を通る電子の高流量)を有する電子を、レンズの表面改質に使用し得る。例えば、反射防止層は、例えば表面で化学結合を切断することによって生成され得、それによって、RI及び/又は反射率が低下する。
【0085】
反射防止層を生成するために、0.5keV~2keVの範囲の電子が使用され得、吸
収された放射線量は4~8Mradの範囲である。線量はより高くても又はより低くてもよく、照射された基質化学物質の組成にも依存され得る。又は、約0.3~1keVのエネルギーを持つ電子を高フラックスで使用し得る。吸収線量が約8Mradに達すると、照射深度による屈折率の変化は実質的に均一になり、75%の相対的な減少でほぼ同じ屈折率を持つ層(例えば、層52)が生成される。電子のエネルギーと線量を適切に選択することにより、レンズ材料に干渉反射防止層が生成され得る。
【0086】
修飾された表面層の厚さは、主に電子エネルギーによって影響を受ける。これは
図7に示され、Anderson,C.A.編、1973年、Microprobe Analysis、John Wiley&Sons、571ppから取得した理論式に従って計算される。
【数1】
ここで、Rはμm単位の電子の最大侵入深さ、ρはg/ml単位の材料の密度、E
0はkeV単位の表面と衝突したときの電子のエネルギーである。
【0087】
屈折率の変化がステップである場合、所望の厚さは、修飾された表面層内の光の波長の4分の1であり、RIに等しい係数だけ空気中の波長から減少する。したがって、層の厚さは約100~200nmになる。単一の電子エネルギーを使用すると、実際のRI変化は指数関数的減衰である。したがって、いくつかの実施形態における厚さは、約100~200nm、例えば、約50~400nmよりもいくらか小さくても大きくてもよく、ここで、厚さは、最大RI変化の1/eとして定義される。いくつかの実施形態では、厚さは0.1μm~10μmである。いくつかの実施形態では、厚さは1μm~10μmである。曝露中に電子エネルギーを変化させることにより、より段状の層を生成し得る。さらに、レンズの中心からの距離の関数として表面層の厚さを変えることにより、レンズの曲面への光の入射角が考慮され得る。
【0088】
本明細書の開示は、主に電子ビームをイオン化エネルギーとして説明しているが、ベータ放射線等の他のタイプのイオン化エネルギーを使用してもよい。ただし、ベータ線は通常、より高いエネルギー(例えば、546keVで
90Sr→
90Y)であり、その使用は所望の層の厚さによって、又は反射防止層以外の用途の場合はレンズ自体の厚さによって制限され得る。IOLの場合、この厚さは0.05mm~5mmの間である。また、ベータ線のエネルギーは、電子線とは異なり、調整され得ない。
図7に示される電子放射グラフと比較すると、
図8はベータ放射の比較的高いエネルギー範囲を示している。
【0089】
追加の例示的な用途は、形状を移動又は変化させることなく広範囲の距離から光を集束させるレンズを作成することであり、それにより、様々な方向からレンズに入射し、レンズの様々な表面位置に入射する光は、レンズ全体のRIのばらつきにより異なるレンズを通る光経路を経験する。IOLは通常、自然のままの水晶体によって提供されるものと同様の調節を提供しないため、広範囲の距離からの光の集束は、レンズを装着した患者にとって有用である。さらに、この技術は、大きな被写界深度で設計されたカメラレンズ等、他のレンズ用途でも役立ち得る。
【0090】
バルクレンズ材料に対する表面レンズ材料の屈折率の変化は、吸収された放射線量に依存する。
図9は、屈折率の変化率を示しており、100%はバルクから変化していない表面RIを指し、0%は表面RIが保持されている溶液(例えば、包装内の平衡塩類溶液、眼の房水等)のRIに還元されていることを指す。
【0091】
本明細書に記載の一般的な技術の別の例示的な用途は、両方の表面から反射された光の
破壊的な干渉を引き起こさない、いくつかの波長の厚さにわたって拡張された表面層を生成することである。これは
図6で表され得るが、領域52は均一なRIを持つ層ではなく、RI勾配になる。この例示的な方法では、材料の外面のRIは、房水のRIに可能な限り厳密に一致(例えば、10%以下の分散、例えば5%以下の分散)するように低減される。レンズと房水との間のRIのわずかな変化により、反射が少なくなる。フレネルの式によると、下記式の通りである。
【数2】
ここで、n
lはレンズの屈折率、n
aは房水の屈折率である。この方法では、約8Mrad以上の表面線量を利用するが、表面直下の層は、受ける放射線が少ないため屈折率が徐々に変化する。したがって、このような勾配を生成するために必要な時間は、上記のように飽和を防止するように選択される必要がある。より厚い表面層を達成するには、1keV~10keVの範囲のより高いエネルギーの電子が必要であるが、それでもここで定義されている「低」エネルギーの範囲内である。
【0092】
照射の複数の指向性入射角を使用して、レンズの大部分、レンズの表面又はその両方において、屈折率勾配の異なる三次元(3D)パターンを生成し得る。RIの変化は、配向に関係なく、電子エネルギー(透過)と吸収線量(影響の大きさ)によって決定されるため、レンズビームの配向を変えることで様々なパターンが実現され得る。効果の予測は、3Dマトリックス内のすべての位置について、電子ビームの方向とその位置での吸収線量に対するレンズ内の位置の深さが計算され、ビームが移動するにつれ時間の経過とともに積分することによって行われ得る。
【0093】
前述の方法論は、レンズの表面改質において特に有用であり、その例は本明細書に記載されている。しかしながら、レンズの大部分(すなわち、表面だけではない)の変更が望まれる場合、高エネルギー(例えば、10keV~700keVまで)の電子を使用して、レンズの大部分により深く浸透し得る。したがって、ビームのエネルギーは、特定の用途に必要な深さまで透過するように必要に応じて変更され得る。電子のエネルギープロファイルとフラックス、及び入射角と照射位置を調整することにより、レンズの任意の部分全体で所望のRIプロファイルを実現し得る。
【0094】
一般に、天然水晶体によって提供されるものと同様の網膜像は、脳がそのような画像に慣れており、脳のニューラルネットワークがそのような画像をよりよく処理できる場合があるため、水晶体レシピエントにとって有利である場合がある。本明細書の方法の追加の例示的な用途は、天然水晶体によって生成されるものにより類似した画像を生成するレンズを作成することである。
図10は、本明細書の方法を使用して生成され得る例示的なレンズ60を示している。レンズ60は、天然水晶体のように機能するように作成されており、
図10の屈折率の等高線を表す内部線で示されるように、RIが徐々に変化する。レンズ60は、水晶体嚢に埋め込まれて、除去された天然水晶体に置き換えられてもよい。
図10では、前部はページの下部に向かっており、後部はページの上部に向かっている。RIはレンズ本体で変化し、RIは外側領域64よりも中央領域62の方が大きくなる。レンズ60は、天然水晶体の屈折率分布が実質的に同じである三次元ポリマーマトリックスを持つ光学体の例である。レンズ60はまた、天然水晶体の形状と実質的に同じ形状を有する光学体の例である。当業者は、天然水晶体の屈折率分布と実質的に同じ屈折率分布、及び天然水晶体と実質的に同じ形状が何を意味するかを理解するであろうから、当業者は、(対象の変動の対象となる可能性がある)天然水晶体との比較がこの説明を不明確又は曖昧にしないことを理解するであろう。
【0095】
図10のレンズ60は、移植後に最終的な移植状態(サイズ)に膨潤するように適合さ
れ得るレンズの例である。例えば、レンズ60は、レンズ挿入器具を介した送達を容易にするために、より小さな送達サイズを有し、その後、挿入されると、より大きな状態に膨潤(拡張)して、眼内(例えば、水晶体嚢内)によりよく固定されることが望ましくてもよい。
【0096】
図11は、本明細書の方法を使用して生成され得る、光学体内に様々なRIを有する代替の光学体70を示している。光学体70は、任意の適切な眼科用レンズ(例えば、1つ又は複数の触覚部を備えたIOL)に組み込まれ得る。イオン化エネルギーをポリマー体に適用して、光学体70を生成し得る。領域74は、領域72と比較してより低いRI領域とみなしてもよい。RIは、レンズ70を通して連続的に(勾配)変化してもよい。レンズ70は、屈折異常(レンズ形状の球形成分を介して)及び乱視(レンズ形状の円筒形成分を介して)を治療するように構成されたレンズの例である。領域72と74との間のRI変化の程度は、任意の適切な程度であり得る。
【0097】
本明細書に記載の方法のさらなる実施形態は、従来の形状のレンズ、例えば、両凸レンズ又は両凹レンズ内に埋め込まれたフレネルレンズを作成することである。光パワーを作成するには、レンズの表面を湾曲させる必要がある。両凸レンズの場合、中心が光パワーとともに増加する中心の厚さを持たなければならず、両凹レンズの場合、光パワーとともに増加するエッジの厚さを持たなければならないことを意味する。フレネルレンズは、曲率を様々なセクターに分割する形状を有しているため、レンズの厚みが薄くなる。フレネルレンズの欠点の1つは、光を散乱させ得る曲率が急激に変化し得ることである。従来の形状のレンズ内にフレネルレンズを製造することにより、出力の一部は従来のレンズの外形から得られ得、出力を増加させた湾曲ゾーンを生成することにより、従来のレンズ内にフレネルレンズを複製することによってより多くの出力が得られ得る。さらに、フレネルレンズは、複数の焦点を同時に提供するように設計され得、例えば、遠距離及び近距離での良好な焦点、又は遠距離、近距離及び中距離での良好な焦点を提供する。さらに、フレネルレンズの異なる屈折ゾーン間の相互作用は、有益な回折効果を生み出し得、屈折ゾーンの正確な形状の制御は、散乱を減らしてより良い画像を作成し得る。
【0098】
本開示の一様態は、GRINレンズを作製するために使用され得るコポリマー材料又はコポリマー材料の組み合わせである。レンズは、例えば、IOLに組み込まれ得る。IOL材料の特性は、眼への挿入を容易にする高い弾性、視力障害を回避するための低い反射率、(例えば、有毒物質を眼に浸出させない)優れた生体適合性、及び眼の既存の構造を乱したり刺激したりすることなく、レンズと支持要素とで構成される安定した形状を機械的に正確に保持可能であることを含む。
【0099】
いくつかの眼科用デバイスは、光学体から半径方向外向きに延長し、眼に配置されたときに光学体に支持を提供する1つ又は複数の周辺支持体(例えば、プレート触覚部又は腕触覚部等の1つ又は複数の触覚部)を含んでもよい。本明細書の照射方法のいずれかは、光学体及び任意の周辺支持体が(例えば、旋盤、成形、機械加工、又はそれらの任意の組み合わせを介して)一体構造に形成された後に発生してもよい。
【0100】
また、本明細書で不均一な架橋密度を生成する方法は、レンズの非光学体部(例えば、1つ又は複数の触覚部)で使用されてもよい。また、非光学体部の少なくとも一部は、変化する屈折率を生成するために照射されてもよい。これは、瞳孔のサイズが大きいために非光学部分を通過する光が多い、瞳孔が比較的大きい一部の対象者の光散乱を減らすのに役立つ場合がある。したがって、本明細書に記載の照射及び膨潤のすべての方法は、レンズの非光学部分、及び光学体に使用してもよい。
【0101】
(三次元コポリマーにおける屈折率勾配を調製する例示的な方法)
特定の実施形態のコポリマー系は、大部分の非イオン性アクリルモノマーと、小部分の有機酸などのイオン性モノマーから構成される。「有機酸」という用語は、有機ラジカル(炭素(炭化水素)含有部分)を含む分子から構成される酸を包含する。このような酸には、例えば、アクリル酸、ギ酸(H-COOH)、酢酸(CH3COOH)及びクエン酸(C6H8O7)が含まれ、それぞれイオン化可能な-COOH基を含む。モノマーに適用される「アクリル」という用語は、アクリル酸から誘導された合成プラスチック樹脂を包含する。親水性モノマー及び疎水性モノマーは、疎水性モノマーが親水性モノマーに可溶であるように選択されなければならない。親水性モノマーは、疎水性モノマーの溶媒として機能する。適切なモノマーは、本開示が関係する当業者によって容易に選択され得る。適切なアクリルモノマーの例として、4-メタクリロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、エチル-3-ベンゾイルアクリレート、N-プロピルメタクリレート)N-プロピルメタクリレート(アクリル)、エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、n-ヘプチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートポリ(エチレングリコール)nモノメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、及び当該技術分野で既知の他のモノマーが含まれる。塩化ナトリウム又は他の塩がコポリマー系に存在する場合、水中での膨潤が減少することが一般的に観察されている。したがって、レンズが眼の外側にあるときにコポリマー系内の塩分を操作することによって、目標とする膨潤量は変更され得る。レンズは、移植前に配置された溶液に応じて、房水に曝されたときに眼に移植されると多かれ少なかれ拡張され得る。
【0102】
(三次元コラーゲン含有コポリマーの屈折率勾配)
コポリマーは、コラーゲン又は類似の生体分子をポリマーに添加することによって修飾され得、その場合、放射線法が使用され得る。この配合方法は、GRINを備えたIOLを製造し得る結果として得られる材料の構造的及び寸法的特性を提供する。任意の供給源からの任意のタイプのコラーゲンが使用され得る。適切なコラーゲン材料には、ブタの眼の強膜又は角膜から得られるコラーゲン、又は(例えば、遺伝子組み換え酵母等から人工的に産生又は培養される)線維芽細胞が含まれるが、これらに限定されない。コラーゲンは、疎水性、ヒドロキシル性及び分極性アミノ酸を含む自然に安定なポリエン、例えば、テロコラーゲン等である。コラーゲン材料を含むコポリマー材料は、米国特許第5,654,349号、第5,910,537号及び第5,661,218号明細書に記載されている。コラマーは、放射線に対するその安定性のために、特定の実施形態において望ましい場合がある。ヒドロゲルは石灰化(ヒドロキシアパタイト沈着)に関連している。変性コラーゲン等の生体分子は、レンズに組み込まれると、フィブロネクチンを引き付けて保護層を形成し得る。この(個々の患者に固有の)フィブロネクチンの保護層は、異物として認識されないため、レンズの石灰化に対する感受性が低下する。したがって、レンズの構成要素として放射線学的に耐性があり、生物学的に活性である材料を提供することによって、特に光劣化に対して優れた安定性、及び生体適合性を有するレンズが得られ得る。
【0103】
ポリマー体を形成することは、非イオン性アクリルモノマーをイオン性モノマー(例えば、ギ酸等の酸)と混合することを含んでもよい。非イオン性アクリルモノマーとイオン性モノマーとの重量比は、約10:1~約10,000:1、例えば、50:1~200:1、例えば、75:1、100:1、125:1、150:1、又は175:1の範囲であり得る。例示的な材料を調製する例示的な方法における追加のステップは、米国特許出願第62/765,088号明細書に記載され、その優先権が本明細書で主張され、その開示は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0104】
したがって、ポリマーが形成されると、IOL(又は他のレンズ)は、例えば、旋盤及びミルを使用して、又は型を用いて従来の方法で製造され得、次いで、第2照射プロセスを使用して改変され得る。
【0105】
吸収された放射線の関数としてのRI変化は、コポリマーに架橋されるメタクリル酸及びアクリル酸等、アニオン性成分の濃度等の要因によって影響を受ける。アニオン性成分の濃度は膨潤係数に影響を与え、それが次にRIに影響を与える。より多くの膨潤はより低いRIと相関し、より高い濃度のアニオン性成分はより多くの膨潤(したがってより低いRI)をもたらす。生理学的及びBSS範囲のビカチオンの濃度は、0.7~2.0mmol/Lのマグネシウム及び1~3.5mmol/Lのカルシウムである。材料が膨潤する傾向は、コポリマーに架橋されるメタクリル酸やアクリル酸等のアニオン性成分によって決定される。過剰なモノマーは、通常、抽出プロセス中に除去される。
【0106】
コポリマー構造内の2つの異なるモノマーの比、吸収線量、及び電子エネルギーを中程度の範囲内で変化させて、得られるGRINレンズ内の特性の異なるバランスを達成し得る。このようにして、所望のRIプロファイルをレンズ内に作成し得る。一例として、患者の視覚系の光学収差は、波面収差計などのデバイスを使用して測定され得、収差を補正するために必要なレンズが計算され得る。その後、三次元照射計画が立てられ得、それにより、電子エネルギーの関数として、レンズの任意の点での線量が計算され得、ビーム位置及び角度、電子流束及び電子エネルギーからなる照射計画が作成され得る。様々な患者向けのレンズは、単一の屈折率レンズの単一設計から製造され得、又はレンズの幾何学的特性を追加の自由度(設計パラメータ)として使用され得る。したがって、本明細書の方法を使用して、所望の屈折率プロファイルに基づいて多種多様なレンズを作成し得る方法に大きな柔軟性がある。
【0107】
米国特許第9,545,340号、第9,492,323号、第9,144,491号、第9,060,847号、第8,932,352号、第8,901,190号、第8,617,147号、第8,512,320号、第8,486,055号、第8,337,553号及び第7,789,910号明細書は、レンズの屈折率を変更するためのレーザーの使用に関するものであり、これらはすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0108】
例示的なポリマーは、主成分としてのヒドロキシエチルメタクリレートモノマー及び微量成分としてのアクリル酸から生成される構造のコポリマーであってもよい。重量比は上記の通りであってもよい。
図12は、アクリル酸側鎖(左)とメタクリレート側鎖(右)を持つポリマー鎖の部分を示している。コポリマーは、化学的又は(上記の)核照射中に生成され、次に本明細書に記載の電子ビーム照射法(又は他のイオン化エネルギー源)を使用して修正されて、GRIレンズが作成される。
【0109】
上記で提示された一般化された式に従って、他のコポリマーの組み合わせを使用して、同じ最終特性を達成し得る。メタクリルイオン性モノマー及び電子ビーム衝撃に感受性のあるメタクリル非イオン性モノマーを含む吸収線量感放射線性屈折率変化性コポリマー組成物は、眼での使用にも適合性のある様々な屈折率を有する材料の調製に使用され得る。
【0110】
本明細書で使用される「低エネルギー」という用語は、広義の用語であり、500eV~10keVを含むがこれに限定されない。
【0111】
本明細書で使用される「高エネルギー」という用語は、広義の用語であり、10keV~700keVを含むがこれに限定されない。
【0112】
本明細書の説明及び実施例は、本開示の例示的な実施形態を詳細に示している。当業者は、その範囲に含まれる本明細書の発明の多数の変形及び改変があることを認識するであろう。したがって、例示的な実施形態の説明は、本明細書の発明の範囲を限定するとみな
されるべきではない。
【0113】
詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲に記載された例示的な実施形態は、限定することを意味するものではない。本明細書の教示は、例えば、特許請求の範囲によって定義及びカバーされるものを含む、多数の異なる方法で適用し得る。本明細書の様態は、多種多様な形態で具体化されてもよく、本明細書に開示される任意の特定の構造、機能、又はその両方は単に代表的なものであることは明らかであるはずである。本明細書の教示に基づいて、当業者は本明細書に開示される様態が他の様態とは独立して実施されてもよく、これらの様態のうちの2つ以上が様々な方法で組み合わされてもよいことを理解すべきである。例えば、当業者は本明細書に記載の様態の任意の合意的な数又は組み合わせを使用して、システム又は装置を実装してもよく、又は方法を実施してもよい。さらに、本明細書に記載の1つ又は複数の様態に加えて又はそれ以外の他の構造、機能又は構造及び機能を使用して、そのようなシステム又は装置を実装してもよく、又はそのような方法を実施してもよい。本明細書に提示される主題の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用してもよく、他の変更を行ってもよい。本明細書に一般的に記載され、図に示される本開示の様態は、多種多様な異なる構成で配置、置換、組み合わせ及び設計をし得、それらはすべて明示的に企図され、本開示の一部として容易に理解される。他の実施形態は本開示及び特許請求の範囲に含まれてもよいため、開示された実施形態は、以下に記載される実施例に限定されないことが理解されるべきである。
【0114】
本開示は、図面及び前述の説明において詳細に例示及び説明されているが、そのような例示及び説明は例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。本開示は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態の変形は、開示された特許請求の範囲を実施する当業者によって、図面、開示及び添付の特許請求の範囲から理解され実施され得る。
【0115】
本明細書で引用されるすべての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物及び特許又は特許出願は、本明細書に含まれる開示と矛盾する範囲で、明細書はそのような矛盾する資料に取って代わる、及び/又は優先することを意図している。
【0116】
値の範囲が提供される場合、上限と下限、及び範囲の上限と下限との間に介在する各値は、実施形態に含まれることが理解される。
【0117】
さらに「A、B、及びCなどの少なくとも1つ」に類似する規則がある場合、一般にそのような構成は、当業者が規則を理解するという意味で意図されている(例えば、「A、B及びCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBを一緒に、AとCを一緒に、BとCを一緒に、及び/又はA、B及びCを一緒に有する等のシステムを含むが、これらに限定されない)。「A、B、又はCなどの少なくとも1つ」に類似する規則がある場合、一般にそのような構成は、当業者が規則を理解するという意味で意図されている(例えば、「A、B又はCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBを一緒に、AとCを一緒に、BとCを一緒に、及び/又はA、B及びCを一緒に有する等のシステムを含むが、これらに限定されない)。