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7324930カルバメート置換スチリルスルホン類化合物及びその製造方法ならびにその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】カルバメート置換スチリルスルホン類化合物及びその製造方法ならびにその使用
(51)【国際特許分類】
   C07C 317/18 20060101AFI20230803BHJP
   C07D 213/64 20060101ALI20230803BHJP
   C07D 333/36 20060101ALI20230803BHJP
   C07D 307/10 20060101ALI20230803BHJP
   C07D 295/205 20060101ALI20230803BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20230803BHJP
   A61P 17/18 20060101ALI20230803BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230803BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230803BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20230803BHJP
   A61K 31/27 20060101ALI20230803BHJP
   A61K 31/695 20060101ALI20230803BHJP
   A61K 31/4402 20060101ALI20230803BHJP
   A61K 31/381 20060101ALI20230803BHJP
   A61K 31/341 20060101ALI20230803BHJP
   A61K 31/40 20060101ALI20230803BHJP
   A61K 31/495 20060101ALI20230803BHJP
   C07C 315/04 20060101ALI20230803BHJP
   C07F 7/18 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
C07C317/18 CSP
C07D213/64
C07D333/36
C07D307/10
C07D295/205
A61P39/06
A61P17/18
A61P29/00
A61P25/00
A61P25/16
A61K31/27
A61K31/695
A61K31/4402
A61K31/381
A61K31/341
A61K31/40
A61K31/495
C07C315/04
C07F7/18 U
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022503475
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-21
(86)【国際出願番号】 CN2019096502
(87)【国際公開番号】W WO2021007840
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】522022708
【氏名又は名称】フアシアシェンシェン ファーマシューティカル ベイジン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ルー シンアン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ジュンイー
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ショウシン
(72)【発明者】
【氏名】アオ シアン
(72)【発明者】
【氏名】マー ジーチョン
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-107322(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104230770(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103936637(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
C07F
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化1】
(I)
(式(I)中、
及びRのうちの少なくとも一方は、独立して無置換もしくは1~2個のRにより置換されているカルバモイルオキシ基から選ばれる。R及びRのうちの他方は、独立して無置換もしくは1~2個のRにより置換されているカルバモイルオキシ基;無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、-N(R又は-ORにより置換されているC1-6アルコキシ基;無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、-N(R又は-ORにより置換されているC1-6アルキルアシルオキシ基又はC7-10アリールアシルオキシ基;C1-3アルキル基又はC6-8アリール基により置換されているスルホニルオキシ基;-OSi(R;及び-OHから選ばれる。
Wは、無置換もしくは1~3個ハロゲン元素、ニトロ基、C1-6アルキル基、-N(R又は-ORにより置換されているC1-6アルキレン基又はC2-6アルケニレン基である。
各々のRは、独立してハロゲン元素;ニトロ基;-OR;-N(R;無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、ニトロ基、-N(R又は-ORにより置換されているC1-6アルキル基、C6-10アリール基又はC5-9ヘテロアリール基から選ばれる。
nは、0~5の整数である。
ただし、
各々のRは、独立して無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、ニトロ基、-N(R又は-ORにより置換されているC1-6飽和アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C6-10アリール基、C5-9ヘテロアリール基、C1-6アルキルアシル基又はC7-10アリールアシル基;C1-3アルキル基又はC6-8アリール基により置換されているスルホニル基から選ばれる。或いは、2つのRは、それらと連結する窒素原子とともに、無置換もしくは1~2個のRにより置換されている5~7員窒素含有飽和ヘテロ環基(例えば、1-ピロリジニル基、1-ピペリジル基、4-モルホリニル基又は1-ピペラジニル基)を形成する。
各々のRは、独立して-H又はC1-6飽和アルキル基である。
各々のRは、独立して-H、C1-6飽和アルキル基、C2-4アルケニル基、C6-10アリール基とC5-9ヘテロアリール基から選ばれる。
各々のRは、独立して無置換もしくは1-6個のハロゲン元素により置換されているC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基とC6-8アリール基から選ばれる。
各々のRは、独立してH;無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、N(R又はORにより置換されているC1-6飽和アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C6-10アリール基、C5-9ヘテロアリール基、C1-6アルキルアシル基又はC7-10アリールアシル基;C1-3アルキル基又はC6-8アリール基により置換されているスルホニル基;Si(Rから選ばれる。)
【請求項2】
及びRのうちの少なくとも一方は、独立して無置換もしくは1~2個のRにより置換されているカルバモイルオキシ基から選ばれる。R及びRのうちの他方は、独立して無置換もしくは1~2個のRにより置換されているカルバモイルオキシ基;無置換もしくは1~6個のハロゲン元素又はORにより置換されているC1-6アルコキシ基;無置換もしくは-N(R又は-ORにより置換されているC1-6アルキルアシルオキシ基;C1-3アルキル基又はC6-8アリール基により置換されているスルホニルオキシ基;及び-OSi(Rから選ばれる。
より好ましくは、R及びRのうちの少なくとも一方は、独立してカルバモイルオキシ基、N-メチルカルバモイルオキシ基、N,N-ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N-ジエチルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-エチルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-(2-メトキシエチル)カルバモイルオキシ基、N-(5-メチル-2-ニトロアニリノ)カルバモイルオキシ基、N-(2-メチル-5-ニトロアニリノ)カルバモイルオキシ基、N-(p-メトキシフェニル)カルバモイルオキシ基、N-(p-メチルアミノフェニル)カルバモイルオキシ基、N-メチル-N-フェニルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-p-クロロフェニルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-p-ブロモフェニルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-p-ヨードフェニルカルバモイルオキシ基、N-チエニルカルバモイルオキシ基、N-フリルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-メタンスルホニルカルバモイルオキシ基とN-メチル-N-p-トルエンスルホニルカルバモイルオキシ基からなる群より選ばれる。
及びRのうちの他方は、独立してカルバモイルオキシ基、N-メチルカルバモイルオキシ基、N,N-ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N-ジエチルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-エチルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-(2-メトキシエチル)カルバモイルオキシ基、N-(5-メチル-2-ニトロアニリノ)カルバモイルオキシ基、N-(2-メチル-5-ニトロアニリノ)カルバモイルオキシ基、N-(p-メトキシフェニル)カルバモイルオキシ基、N-(p-メチルアミノフェニル)カルバモイルオキシ基、N-メチル-N-フェニルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-p-クロロフェニルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-p-ブロモフェニルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-p-ヨードフェニルカルバモイルオキシ基、N-チエニルカルバモイルオキシ基、N-フリルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-メタンスルホニルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-p-トルエンスルホニルカルバモイルオキシ基からなる群より選択され、或いは、独立してメトキシ基、エトキシ基、t-ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,3-ジブロモブトキシ基、2-メトキシエトキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ピバロイルオキシ基、メトキシアセトキシ基、4-メトキシブチリルオキシ基、3-アミノプロピオニルオキシ基、2-アミノプロピオニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基、トリメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基、クロロメチル(ジメチル)シロキシ基及びジメトキシ(フェニル)シロキシ基からなる群より選ばれる、ことを特徴とする請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
Wは、無置換もしくは1~2個のハロゲン元素、ニトロ基、C1-6アルキル基又は-ORにより置換されているC1-6アルキレン基又はC2-6アルケニレン基であり、
より好ましくは、Wは、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(F)-、-CH(Cl)-、-CH(Br)-、-CF-、-CH(Cl)CH-、-CHCH(Cl)-、-CH(Cl)CH(Cl)-、-CHCH(Cl)CH-、-CH(NO)-、-CHCH(NO)-、-CHCH(NO)CH-、-CH(CH)-、-CH(CH)CH-、-CH(OCH)-、-CHCH(OCHCH)CH(OCHCH)-、-CHCH(OH)-、-CH=CH-、-CHCH=CHCH-、-CH=CHCH-、-CH=C(CH)-、-CH(Cl)CH=CHCH-からなる群より選ばれる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
各々のRは、独立してハロゲン元素;ニトロ基;-OR;-N(R及び無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、ニトロ基、-ORにより置換されているC1-6アルキル基、C6-10アリール基から選ばれ、
より好ましくは、各々のRは、独立してフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ニトロ基、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t-ブトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、2-メチルアミノエトキシ基、N,N-ジメチルアミノメトキシ基、アリルオキシ基、フェノキシ基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、ジメチルアミノアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基、クロロメチル(ジメチル)シロキシ基、ジメトキシ(フェニル)シロキシ基、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、p-クロロフェニル基、p-ニトロフェニル基と3,4-ジメトキシフェニル基からなる群より選ばれる、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
nは、0~3の整数である。
好ましくは、各々のRは、独立して無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、ニトロ基、-N(R又は-ORにより置換されているC1-6飽和アルキル基、C6-10アリール基、C5-9ヘテロアリール基;C1-3アルキル基又はC6-8アリール基により置換されているスルホニル基から選ばれる、ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
及びRのうちの少なくとも一方は、独立して無置換もしくは1~2個のRにより置換されているカルバモイルオキシ基から選ばれる。R及びRのうちの他方は、独立して無置換もしくは1~2個のRにより置換されているカルバモイルオキシ基;無置換もしくは1~6個のハロゲン元素又はORにより置換されているC1-6アルコキシ基;無置換もしくは-N(R又は-ORにより置換されているC1-6アルキルアシルオキシ基;C1-3アルキル基又はC6-8アリール基により置換されているスルホニルオキシ基;及び-OSi(Rから選ばれる。
Wは、無置換もしくは1-2個のハロゲン元素、ニトロ基、C1-6アルキル基又は-ORにより置換されているC1-6アルキレン基又はC2-6アルケニレン基である。
各々のRは、独立してハロゲン元素;ニトロ基;-OR;-N(R;及び無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、ニトロ基、-ORにより置換されているC1-6アルキル基、C6-10アリール基から選ばれる。
nは、0~3の整数である。
ただし、各々のRは、独立して無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、ニトロ基、-N(R又は-ORにより置換されているC1-6飽和アルキル基、C6-10アリール基、C5-9ヘテロアリール基;C1-3アルキル基又はC6-8アリール基により置換されているスルホニル基から選ばれる。
好ましくは、以下の化合物からなる群より選ばれる、ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化2】
化合物(B1-1)
【化3】
化合物(C1-1)
【化4】
化合物(D1-1)
【化5】
化合物(G1-1)
【化6】
化合物(E2-2)
【化7】
化合物(K3-3)
【化8】
化合物(K1-4)
【化9】
化合物(M1-3)
【化10】
化合物(L1-4)
【化11】
化合物(K1-3)
【化12】
化合物(J1-4)
【化13】
化合物(M1-1)
【化14】
化合物(R1-5)
【化15】
化合物(D5-4)
【化16】
化合物(S1-6)
【化17】
化合物(S6-6)
【化18】
化合物(P1-1)
【請求項7】
a) 一般式(II)で表される化合物とトリホスゲンを塩基性条件下で反応させ、一般式(III)で表される化合物を生成するステップと、
【化24】
b) 一般式(III)で表される化合物とNH、RNH又は(RNHを反応させ、一般式(I)で表される化合物を生成するステップと、
【化25】
c) 一般式(I)で表される化合物をその薬学的に許容される塩に変換しても良いステップと、を含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の一般式(I)で表される化合物の製造方法。
ただし、RとRのうちの少なくとも一方は、独立して-OHである。RとRのうちの他方は、独立して-OH;無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、-N(R又は-ORにより置換されているC1-6アルコキシ基;無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、-N(R又は-ORにより置換されているC1-6アルキルアシルオキシ基又はC7-10アリールアシルオキシ基;C1-3アルキル基又はC6-8アリール基により置換されているスルホニルオキシ基;-OSi(Rから選ばれる。
とRのうちの少なくとも一方は、独立して、-OCOClである。RとRのうちの他方は、独立して-OCOCl;無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、-N(R又は-ORにより置換されているC1-6アルコキシ基;無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、-N(R又は-ORにより置換されているC1-6アルキルアシルオキシ基又はC7-10アリールアシルオキシ基;C1-3アルキル基又はC6-8アリール基により置換されているスルホニルオキシ基;-OSi(R;-OHから選ばれる。
ただし、W、R、nとR、R、R、Rの定義は、請求項1ないし6のいずれか一項の通りである。
好ましくは、ステップa)で使用される塩基は、中アルカリ性または弱アルカリ性の無機塩基または有機塩基である。前記無機塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸セシウムからなる群より選ばれる1種又は複数種である。前記有機塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、DBU(1,8-ジアザビシクロウンデカン-7-エン)、DBN(1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン-5-エン)及びMTBD(7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカン-5-エン)からなる群より選ばれる。
好ましくは、ステップb)において、塩基を使用しなくてもよい。塩基を使用する場合、前記塩基は、中アルカリ性または弱アルカリ性の無機塩基または有機塩基である。前記無機塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸セシウムからなる群より選ばれる1種又は複数種である。前記有機塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、DBU(1,8-ジアザビシクロウンデカン-7-エン)、DBN(1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン-5-エン)及びMTBD(7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカン-5-エン)からなる群より選ばれる。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩及び少なくとも1種の薬用担体を含む、薬物組成物。
【請求項9】
抗酸化、抗炎症、抗神経コリナーゼ又は神経保護の薬物の調製における請求項1ないし6のいずれか一項に記載の一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩又は請求項8に記載の薬物組成物の使用。
【請求項10】
パーキンソン病の治療及び/又は予防する薬物における請求項1ないし6のいずれか一項に記載の一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩又は請求項8に記載の薬物組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物化学の技術分野に属し、具体的にカルバメート置換スチリルスルホン類化合物及びその製造方法ならびにその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
パーキンソン病は、臨床上よく見られる中枢神経系変性疾患であり、主に65歳以上の中年者、高齢者が患い、年齢の上昇に伴って発症率が年々高まる傾向にあり、中国では65歳以上の者の罹病率が約1.7%である。パーキンソン病が、複数種の要素により引き起こされ、従来の研究では、その危険要素が年齢要素、遺伝要素、環境要素などを含み、発症の機序が主に脳脊髄液生物学、p38経路、酸化ストレス、免疫炎症反応及び神経経路異常などに関連すると考えられている。
【0003】
脳脊髄液生物学の観点から、パーキンソン病患者の脳脊髄液内で選択的にリン酸化されたα-シヌクレイン(p-α-s)が非パーキンソン病患者より遥かに高く、多くの研究により、p-α-sが参与して形成されたレビー小体は、パーキンソン病の主な病理学的な特徴の1つであることが見い出された。さらに、パーキンソン病マウスモデルのドパミン作動性ニューロンのマーカーであるチロシンヒドロキシラーゼ(TH)の含有量が正常対照群より顕著に低いことが見い出された。
【0004】
パーキンソン病を引き起こす主な機序は、黒質内のドパミン神経細胞のアポトーシスである。p38マイトージェン活性化プロテインキナーゼ(p38 MAPK)は、各種の刺激による神経細胞のアポトーシスの強力なエフェクターである。p38 MAPKは、脱リン酸化状態では非活性である。細胞が各種の刺激を受けると、MKK3及びMKK6遺伝子はp38 MAPKのリン酸化を迅速に媒介してpp38を形成させることにより、複数のルート及び制御方式により炎症反応、細胞の分化、細胞周期停止、細胞のアポトーシス等を誘発し得る。パーキンソン病患者に対して死体検査を行うと、脳組織内にpp38が発見され、パーキンソン病動物モデル及び細胞モデルにおいてもpp38活性型が発見され、pp38が主に神経炎症反応及びニューロンアポトーシスの誘発によってパーキンソン病の進行過程に参与することを示す証拠が多くなりつつある。
【0005】
酸化ストレス説は、パーキンソン病の機序の研究において重要であり、遅発性神経損傷及び蓄積性神経損傷をよく解釈することができる。酸化ストレスとは、生体が各種の有害刺激を受けるとき、体内で高活性分子、例えば活性酸素ラジカル及び活性窒素ラジカルを過剰に生成し、酸化の程度が酸化物消去の程度を上回り、酸化系と抗酸化系のバランスが崩れ、組織が損傷することを指す。パーキンソン患者に対する死体検査により、黒質中、幾つかの酸化により損傷したマーカーが顕著に増加し、また、抗酸化物の作用を有する還元型グルタチオンレベルが30~60%低下したことがわかった。第II相解毒酵素は、内在性の保護性タンパク質であり、ラジカルから非毒性生成物への転化を促進すること、及びその水溶性を増加させることにより、ラジカルの消去に寄与して保護作用を発揮し得る。第II相解毒酵素は、ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)、グルタミン酸システインリガーゼ触媒サブユニット(GCLC)などを含み、大量の研究により、それらがパーキンソン病において神経保護作用を有することが明らかにされている。
【0006】
神経炎症は諸刃の剣である。一方、正常の場合、ミクログリア細胞及びアストロサイト細胞が中枢神経系正常組織の定常状態を維持している。他方、それらが炎症因子を過剰に生成した場合、これらの炎症因子がそれぞれ各自の毒性を強め、最後にニューロンの損傷、変性ひいては死亡を引き起こす。ミクログリア細胞は、脳内で防御反応を実施する主なイン・サイチュ免疫細胞であり、活性化されたミクログリア細胞は異なる表面抗原、例えばCD11bなどを発現し、活性化されたミクログリア細胞は、複数のルートによりドパミン作動性ニューロンを損傷し得る。アストロサイト細胞は、中枢神経系内で最も数が多く、最も広く分布し、最も体積が大きいグリア細胞であり、その特異性マーカーがグリア繊維性酸性タンパク質(GFAP)であり、活性化されたアストロサイト細胞は、複数のルートによりドパミン作動性ニューロンを損傷し得る。
【0007】
多くの研究では、パーキンソン病は、典型的に化学の神経伝達物質異常による神経変性疾患であり、黒質線条体系のドパミン作動性ニューロンの減少を主な病理学の特徴とし、パーキンソン病患者の前頭葉、側頭葉、頭頂葉及び右側海馬等の皮質中のコリントランスフェラーゼ活性の低下、コリン作動性ニューロンの損傷は、パーキンソン病認知機能障害及び認知症が発生する主な生化学の機序である可能性があると考えられている。多くの研究により、コリンエステラーゼ阻害剤、特にアセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、パーキンソン病認知症患者の予後状況の改善、その認知機能の向上に有利であることが示されている。リバスチグミンは、カルバメート類薬物の1種であり、アセチルコリンエステラーゼのアセチルコリンに対する加水分解作用を可逆的に阻害することにより薬理作用を発揮し、パーキンソン病に関連する軽度から中程度までの認知症の治療への使用が許可されている。
【0008】
発症機序の複雑化、多様化により、従来の治療薬は、主に単一ターゲットを絞り込んだものであり、疾患の早期段階において患者の症状に応じて適切な薬物を選択し、単独治療又は組合せ治療を行う必要がある。一般的な薬物としては、ドパミン類薬物(レボドパ、カルビドパ)、ドパミン受容体アゴニスト(カベルゴリン、プラミペキソール)、ドパミン保留剤(セレギリン、エンタカポン)、抗コリン作動薬(塩酸トリヘキシフェニジル)、その他の薬物(アダマンタンアミン)などが挙げられ、さらに、臨床実験中の薬物もあり、例えば、抗炎症剤(ミノサイクリン、ピオグリタゾン)、抗酸化剤(補酵素Q10、エダラボン)、コリンエステラーゼ阻害剤(ドネペジル、リバスチグミン)、興奮性アミノ酸受容体アンタゴニスト(メマンチン)などが挙げられ、これらの薬物のうち、パーキンソン病による併発症、例えば認知症などの改善だけのために用いられるものが多い。パーキンソン病自体又は中間期、進行期のパーキンソン病にとって、既存の治療薬による症状制御効果は、通常、限られており、新規な治療薬に対して依然として臨床上の需要が高い。従って、有効率が高く、マルチターゲットにより作用するパーキンソン病を治療又は予防する薬物の開発は、重要な社会の意義及び経済の価値を有する。
【0009】
天然生成物であるカフェイン酸フェネチルを基礎として改造してなるスチリルスルホン類化合物は、マルチターゲット神経保護活性を有する化合物であり、カフェイン酸フェネチルを踏まえて、生体内安定性を強化し、血液脳関門透過能力を改善しながら、抗酸化活性、抗炎症作用、興奮性毒性損傷阻害作用などを維持又は強化した。一部の化合物、その製造方法及び生物活性が特許文献CN104230770Bに記載されている。この特許は、関連化合物のパーキンソン病治療作用を絞り込んで検証しておらず、抗酸化活性実験結果及び膜透過能力評価結果から、パーキンソン病を含む複数種の神経変性疾患に対して治療作用を有する可能性があると推測しているに過ぎない。コリンエステラーゼ阻害剤は、コリンエステラーゼと結合し、コリンエステラーゼ活性を阻害し得る薬物である。その作用は、コリン作動性神経終末から放出されたアセチルコリンを堆積させ、M様及びN様作用を強化してコリン受容体を興奮させる作用を示すので、このような薬物は、コリン様作動薬とも称される。それが2種類に分けられ、第1種類は、高可逆性あるいは一時的なコリンエステラーゼ阻害剤、例えばリバスチグミン、ネオスチグミンブロミド、フィゾスチグミン等であり、それらがいずれもカルバメート官能基を有することを共通の特徴としている。第2種類は、低可逆性あるいは不可逆的なコリンエステラーゼ阻害剤、例えば有機リン酸エステル類であり、農業用殺虫剤及び戦争用毒ガスを含み、人体に対する毒性が非常に強く、薬物として開発することが難しい。このような化合物は、アセチルコリンエステラーゼのアセチルコリンに対する加水分解作用を阻害し、アセチルコリン濃度を向上させ、コリン作動性ニューロンを保護することにより、パーキンソン病関連の認知症の症状を改善することができる一方、複数種のカルバメート類化合物との長期間接触によりパーキンソン病の罹病確率が高まることが実証されており、FDAにより許可されたリバスチグミンであっても、最もよく見られる不良反応が振せん(発生率が5%超え)を含み、また、対照群と比べて、パーキンソン病悪化、運動機能減退又は障害等、複数種の変性不良反応がさらに存在する。
【発明の概要】
【0010】
本発明が解決する技術課題は、神経保護活性を有するスチリルスルホン類化合物を踏まえ、カルバメート官能基を導入することにより、パーキンソン病の治療及び/又は予防に利用可能な新規な化合物を得、さらにその製造方法、及びパーキンソン病を治療及び/又は予防する薬物の製造への使用を提供することである。本発明の設計の初志は、カフェイン酸フェネチル類化合物のマルチターゲット神経保護活性に対してなるべく影響を与えない上、カルバメート官能基のアセチルコリンエステラーゼ阻害活性を導入することにより、パーキンソン病の進展を遅延できるとともにパーキンソン病認知症の症状を改善できる新規な薬物を得ることである。実験結果により、本発明者は、驚くべきことに、目標化合物がカルバメート類陽性薬物と比べて顕著に強化したアセチルコリンエステラーゼ阻害活性を有するとともに、構造が類似するカフェイン酸フェネチル類化合物と比べて顕著に強化したパーキンソン病治療作用を有することを見出した。従来技術によれば、この見出しは予見不可である。本発明は、以下の技術的な解決手段により上記技術課題を解決する。
【0011】
一つの態様では、本発明は、一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【化1】
【0012】
式I中、
及びRのうちの少なくとも一方は、独立して無置換もしくは1~2個のRにより置換されているカルバモイルオキシ基から選ばれる。R及びRのうちの他方は、独立して無置換もしくは1~2個のRにより置換されているカルバモイルオキシ基、無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、-N(R又は-ORにより置換されているC1-6アルコキシ基、無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、-N(R又は-ORにより置換されているC1-6アルキルアシルオキシ基又はC7-10アリールアシルオキシ基、C1-3アルキル基又はC6-8アリール基により置換されているスルホニルオキシ基、-OSi(Rと-OHから選ばれる。
【0013】
Wは、無置換もしくは1~3個ハロゲン元素、ニトロ基、C1-6アルキル基、-N(R又は-ORにより置換されているC1-6アルキレン基又はC2-6アルケニレン基である。
【0014】
各々のRは、独立してハロゲン元素、ニトロ基、-OR、-N(R、無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、ニトロ基、-N(R又は-ORにより置換されているC1-6アルキル基、C6-10アリール基又はC5-9ヘテロアリール基からなる群より選ばれる。
【0015】
nは、0~5の整数である。
【0016】
ただし、
各々のRは、独立して無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、ニトロ基、-N(R又は-ORにより置換されているC1-6飽和アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C6-10アリール基、C5-9ヘテロアリール基、C1-6アルキルアシル基又はC7-10アリールアシル基、C1-3アルキル基又はC6-8アリール基により置換されているスルホニル基からなる群より選ばれ、或いは、2つのRは、それらと連結する窒素原子とともに無置換もしくは1-2個のRにより置換されている5-7員窒素含有飽和ヘテロ環基(例えば、1-ピロリジニル基、1-ピペリジル基、4-モルホリニル基又は1-ピペラジニル基)からなる群より選ばれる。
【0017】
各々のRは、独立しては、-H又はC1-6飽和アルキル基である。
【0018】
各々のRは、独立して-H、C1-6飽和アルキル基、C2-4アルケニル基、C6-10アリール基とC5-9ヘテロアリール基からなる群より選ばれる。
【0019】
各々のRは、独立して無置換もしくは1-6個ハロゲン元素により置換されているC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基とC6-8アリール基からなる群より選ばれる。
【0020】
各々のRは、独立してH、無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、N(R又はORにより置換されているC1-6飽和アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C6-10アリール基、C5-9ヘテロアリール基、C1-6アルキルアシル基又はC7-10アリールアシル基、C1-3アルキル基又はC6-8アリール基により置換されているスルホニル基、Si(Rからなる群より選ばれる。
【0021】
好ましくは、R及びRのうちの少なくとも一方は、独立して無置換もしくは1~2個のRにより置換されているカルバモイルオキシ基から選ばれる。R及びRのうちの他方は、独立して無置換もしくは1~2個のRにより置換されているカルバモイルオキシ基、無置換もしくは1~6個のハロゲン元素又はORにより置換されているC1-6アルコキシ基、無置換もしくは-N(R又は-ORにより置換されているC1-6アルキルアシルオキシ基、C1-3アルキル基又はC6-8アリール基により置換されているスルホニルオキシ基と-OSi(Rから選ばれる。
【0022】
より好ましくは、R及びRのうちの少なくとも一方は、独立してカルバモイルオキシ基、N-メチルカルバモイルオキシ基、N,N-ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N-ジエチルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-エチルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-(2-メトキシエチル)カルバモイルオキシ基、N-(5-メチル-2-ニトロアニリノ)カルバモイルオキシ基、N-(2-メチル-5-ニトロアニリノ)カルバモイルオキシ基、N-(p-メトキシフェニル)カルバモイルオキシ基、N-(p-メチルアミノフェニル)カルバモイルオキシ基、N-メチル-N-フェニルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-p-クロロフェニルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-p-ブロモフェニルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-p-ヨードフェニルカルバモイルオキシ基、N-チエニルカルバモイルオキシ基、N-フリルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-メタンスルホニルカルバモイルオキシ基とN-メチル-N-p-トルエンスルホニルカルバモイルオキシ基からなる群より選ばれる。
【0023】
及びRのうちの他方は、独立してカルバモイルオキシ基、N-メチルカルバモイルオキシ基、N,N-ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N-ジエチルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-エチルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-(2-メトキシエチル)カルバモイルオキシ基、N-(5-メチル-2-ニトロアニリノ)カルバモイルオキシ基、N-(2-メチル-5-ニトロアニリノ)カルバモイルオキシ基、N-(p-メトキシフェニル)カルバモイルオキシ基、N-(p-メチルアミノフェニル)カルバモイルオキシ基、N-メチル-N-フェニルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-p-クロロフェニルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-p-ブロモフェニルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-p-ヨードフェニルカルバモイルオキシ基、N-チエニルカルバモイルオキシ基、N-フリルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-メタンスルホニルカルバモイルオキシ基、N-メチル-N-p-トルエンスルホニルカルバモイルオキシ基からなる群より選ばれ、或いは、メトキシ基、エトキシ基、t-ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,3-ジブロモブトキシ基、2-メトキシエトキシ基、2-ベンジルオキシエトキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ピバロイルオキシ基、メトキシアセトキシ基、4-メトキシブチリルオキシ基、3-アミノプロピオニルオキシ基、2-アミノプロピオニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基、トリメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基、クロロメチル(ジメチル)シロキシ基とジメトキシ(フェニル)シロキシ基からなる群より選ばれる。
【0024】
好ましくは、Wは、無置換もしくは1-2個のハロゲン元素、ニトロ基、C1-6アルキル基又は-ORにより置換されているC1-6アルキレン基又はC2-6アルケニレン基である。
【0025】
より好ましくは、Wは、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(F)-、-CH(Cl)-、-CH(Br)-、-CF-、-CH(Cl)CH-、-CHCH(Cl)-、-CH(Cl)CH(Cl)-、-CHCH(Cl)CH-、-CH(NO)-、-CHCH(NO)-、-CHCH(NO)CH-、-CH(CH)-、-CH(CH)CH-、-CH(OCH)-、-CHCH(OCHCH)CH(OCHCH)-、-CHCH(OCH)CH-、-CHCH(OH)-、-CH=CH-、-CHCH=CHCH-、-CH=CHCH-、-CH=C(CH)-、-CH(Cl)CH=CHCH-からなる群より選ばれる。
【0026】
好ましくは、各々のRは、独立してハロゲン元素、ニトロ基、-OR、-N(Rと無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、ニトロ基、-ORにより置換されているC1-6アルキル基、C6-10アリール基からなる群より選ばれる。
【0027】
より好ましくは、各々のRは、独立してフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ニトロ基、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t-ブトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、2-メチルアミノエトキシ基、N,N-ジメチルアミノメトキシ基、アリルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、p-メチルアミノベンジルオキシ基、3,4-ジメトキシベンジルオキシ基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、ジメチルアミノアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、フェニルアセトキシ基、p-メトキシベンゼンアセトキシ基、トリメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基、クロロメチル(ジメチル)シロキシ基、ジメトキシ(フェニル)シロキシ基、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、p-クロロフェニル基、p-ニトロフェニル基と3,4-ジメトキシフェニル基からなる群より選ばれる。
【0028】
好ましくは、nは、0~3の整数である。
【0029】
好ましくは、各々のRは、独立して無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、ニトロ基、-N(R又は-ORにより置換されているC1-6飽和アルキル基、C6-10アリール基、C5-9ヘテロアリール基、C1-3アルキル基又はC6-8アリール基により置換されているスルホニル基からなる群より選ばれる。
【0030】
好ましくは、1つの具体的な実施形態では、R及びRのうちの少なくとも一方は、独立して無置換もしくは1~2個のRにより置換されているカルバモイルオキシ基から選ばれる。R及びRのうちの他方は、独立して無置換もしくは1~2個のRにより置換されているカルバモイルオキシ基、無置換もしくは1~6個のハロゲン元素又はORにより置換されているC1-6アルコキシ基、無置換もしくは-N(R又は-ORにより置換されているC1-6アルキルアシルオキシ基、C1-3アルキル基又はC6-8アリール基により置換されているスルホニルオキシ基と-OSi(Rから選ばれる。
【0031】
Wは、無置換もしくは1-2個のハロゲン元素、ニトロ基、C1-6アルキル基又は-ORにより置換されているC1-6アルキレン基又はC2-6アルケニレン基である。
【0032】
各々のRは、独立してハロゲン元素、ニトロ基、-OR、-N(Rと無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、ニトロ基、-ORにより置換されているC1-6アルキル基、C6-10アリール基からなる群より選ばれる。
【0033】
nは、0~3の整数である。
【0034】
ただし、各々のRは、独立して無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、ニトロ基、-N(R又は-ORにより置換されているC1-6飽和アルキル基、C6-10アリール基、C5-9ヘテロアリール基、C1-3アルキル基又はC6-8アリール基により置換されているスルホニル基からなる群より選ばれる。
【0035】
1つのより具体的な実施形態では、一般式(I)で表される化合物は、以下の化合物からなる群より選ばれる。
【化2】
化合物B1-1
【化3】
化合物C1-1
【化4】
化合物D1-1
【化5】
化合物G1-1
【化6】
化合物E2-2
【化7】
化合物K3-3
【化8】
化合物K1-4
【化9】
化合物P1-7
【化10】
化合物H2-4
【化11】
化合物M1-3
【化12】
化合物L1-4
【化13】
化合物K1-3
【化14】
化合物J1-4
【化15】
化合物A1-3
【化16】
化合物M1-1
【化17】
化合物P1-3
【化18】
化合物M1-5
【化19】
化合物R1-5
【化20】
化合物D5-4
【化21】
化合物S1-6
【化22】
化合物S6-6
【化23】
化合物P1-1
【0036】
もう一つの態様では、本発明は、上述の一般式(I)で表される化合物の製造方法を提供する。当該方法は、
a) 一般式(II)で表される化合物とトリホスゲンを塩基性条件下で反応させ、一般式(III)で表される化合物を生成するステップと、
【化24】
b) 一般式(III)化合物とNH、RNH又は(RNHを反応させ、一般式(I)で表される化合物を生成するステップと、
【化25】
c) 一般式(I)で表される化合物をその薬学的に許容される塩に変換しても良いステップと、を含み、
ただし、RとRのうちの少なくとも一方は、独立しては、-OHである。RとRのうちの他方は、独立して-OH、無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、-N(R又は-ORにより置換されているC1-6アルコキシ基、無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、-N(R又は-ORにより置換されているC1-6アルキルアシルオキシ基又はC7-10アリールアシルオキシ基、C1-3アルキル基又はC6-8アリール基により置換されているスルホニルオキシ基、-OSi(Rからなる群より選ばれる。
【0037】
とRのうちの少なくとも一方は、独立しては、-OCOClである。RとRのうちの他方は、独立して-OCOCl、無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、-N(R又は-ORにより置換されているC1-6アルコキシ基、無置換もしくは1~6個のハロゲン元素、-N(R又は-ORにより置換されているC1-6アルキルアシルオキシ基又はC7-10アリールアシルオキシ基、C1-3アルキル基又はC6-8アリール基により置換されているスルホニルオキシ基、-OSi(R、-OHからなる群より選ばれる。
【0038】
ただし、W、R、nとR、R、R、Rの定義は、前記の通りである。
【0039】
好ましくは、ステップa)で使用される塩基は、中アルカリ性または弱アルカリ性の無機塩基または有機塩基であり、上記無機塩基は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸セシウム等のいずれも使用可能であり、塩基の強度に応じて使用量と濃度を調整すれば良い。有機塩基は、アミノ基、第一級および第二級アミン構造を含まないのであれば使用しても良い。例えば、ピリジン、トリエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、DBU(1,8-ジアザビシクロウンデク-7-エン)、DBN(1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン)、MTBD(7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン)である。
【0040】
好ましくは、ステップb)において、塩基を使用せず、反応原料NH、RNH又は(RNH自体のアルカリ性で反応を完了させても良く、反応の完了を促進するようにステップa)で使用される中アルカリ性または弱アルカリ性の無機塩基または有機塩基を適量添加しても良い。
【0041】
もう一つの態様では、本発明は、更に、上述の一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩及び少なくとも1種の薬用担体を含む薬物組成物を提供する。
【0042】
本発明の化合物にかかる薬物組成物は、経口、スプレー吸入、直腸用薬、鼻腔用薬、頬部用薬、局所用薬、非腸管用薬、例えば皮下、静脈、筋内、腹膜内、鞘内、心内室、胸骨内又は静脈内投与方式のいずれかで使用しても良い。本発明の薬物組成物は、単独で、または他の神経保護薬物と組み合わせて投与することができる。治療される動物は、哺乳動物、爬行動物、甲殻動物、両生類、魚類、家禽類を含む。主な範囲は、哺乳動物、特に人類である。
【0043】
経口投与される場合、本発明の化合物は、任意の経口的に許容される制剤形態とすることができ、錠剤、カプセル、水溶液或水懸濁液を含んでも良いが、これに限らない。ただし、錠剤に使用される担体は、充填剤、滑剤、崩壊剤、粘合剤を含んでも良い。充填剤は、デンプン、α化デンプン、デキストリン、粉飴、乳糖、マンニトール、微結晶セルロースを含んでも良いが、これに限らない。滑剤は、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、酸化植物油、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、微粉末シリカゲル、タルクを含んでも良いが、これに限らない。崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプンおよびその誘導体、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、発泡性崩壊剤を含んでも良いが、これに限らない。粘合剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、デンプンシロップ、デキストリン、粉飴、シロップ、コロイド溶液、セルロースおよびその誘導体を含んでも良いが、これに限らない。カプセル制剤に使用される希釈剤は、一般的に、乳糖及び乾燥コーンスターチを含む。水性懸濁液制剤は、有効成分と適当な懸濁液とを混合してなるものであり、懸濁液は、湿潤剤、凝集剤、凝集防止剤を含んでも良いが、これに限らない。必要に応じて、以上の経口制剤には、更に、いくつかの甘味料、香味料又は着色剤を添加しても良い。
【0044】
局所投与される場合、特に、局所施用で容易に効く患部表面または器官、例えば、眼、皮膚又は下部腸管神経性疾患を治療する際に、異なる患部表面又は器官によって、本発明の化合物を異なる局所用薬制剤形態に作製することができる。具体的な説明は以下の通りである。
【0045】
眼に局所投与される場合、本発明の化合物は、微粉化懸濁液又は溶液のような制剤形態に調製することができる。使用される担体は、特定のpHの等張滅菌生理食塩水であり、そこに防腐剤、例えばベンジルアルコキシドクロリドを添加しても、添加しなくても良い。眼科用の場合、化合物をワセリン軟膏などの軟膏の形態に調製することができる。
【0046】
皮膚に局所投与される場合、本発明の化合物は、適切に、軟膏、洗剤又はクリーム製剤形態に調製することができ、そこで、有効成分を1種または複種の担体に懸濁又は溶解させる。軟膏制剤に使用される担体は、鉱油、液体ワセリン、白ワセリン、プロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、乳化ワックス及び水を含んでも良いが、これに限らない。洗剤又はクリーム製剤に使用される担体は、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、Tween 60、セチルエステルワックス、ヘキサデセンアリールアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水を含んでも良いが、これに限らない。
【0047】
本発明の化合物は、更に、無菌の注射可能な製剤形態で投与されてもよく、無菌の注射水、油懸濁又は無菌の注射溶液を含む。ここで、使用される担体又は溶剤は、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液が含まれる。また、滅菌される非揮発油は、溶剤或懸濁媒介として使用してもよく、例えば、モノグリセリドまたはジグリセリドである。
【0048】
もう一つの態様では、本発明は、抗酸化、抗炎症、抗神経コリナーゼ又は神経保護薬の調製における上述の一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩又は薬物組成物の使用を提供する。
【0049】
好ましくは、本発明は、パーキンソン病の治療及び/又は予防する薬物における上述一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩又は薬物組成物の使用を提供する。
【0050】
もう一つの態様では、本発明は、必要とする患者に上述一般式(I)で表される化合物又はその薬学に許容される塩又は上述薬物組成物を投与することを含む、パーキンソン病の治療方法を提供する。
【0051】
本発明における一般式(I)で表される化合物は、価値のある薬理学の特性、特に抗酸化、抗炎症、抗神経コリナーゼ等の薬理学の活性、更には神経保護特性を有し、パーキンソン病の治療及び/又は予防に使用することができる。
【0052】
なお、本発明の化合物の投与量と使用方法は、患者の年齢、体重、性別、健康状况、化合物の活性強度、投与時間、代謝の速度、病気の重症度などの多くの要因に依存しており、具体的な投与量と使用方法は、主治医が患者の具体的な病状に応じて判断される。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明をさらに説明するために、以下、一連の実施例を示す。これらの実施例は、完全に例示的なものであり、本発明を具体的に説明するために使用され、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。特に説明のない限り、以下の実施例における“減圧で溶剤を蒸発乾燥”は、一般的に“ウォーターポンプの減圧条件でロータリーエバポレーターを用いて溶剤を蒸発乾固させる”を指すことである。
【0054】
本発明の出発原料は、CN104230770Bにおける方法又は当技術分野で知られている方法に従って合成することができ、或いはBailingwei Technology社、Aladdin Reagent(Shanghai)社、BEIJING OUHE TECHNOLOGY社などの試薬会社から直接に購入しても良い。
【0055】
実施例1:(E)-4-{2-[(4-トリフルオロメチルフェニル)メタンスルホニル]ビニル}-1,2-フェニレンビス(ジエチルカルバメート)(化合物B1-1)の製造
【0056】
ステップ1、(E)-4-{2-[(4-トリフルオロメチルフェニル)メタンスルホニル]ビニル}-1,2-フェニレンビスクロロホルメート(化合物B1-1-a)の製造
【化26】
化合物B1-1-a
【0057】
トリホスゲン(475mg、1.6mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、氷水浴で0℃に冷却し、30分内で(E)-4-{2-[(4-トリフルオロメチルフェニル)メタンスルホニル]ビニル}ベンゼン-1,2-ジオール(860mg、2.4mmol)のジクロロメタン溶液(20mL)をゆっくりと滴下した。15分間撹拌した後、更に15分内でピリジン(0.40mL、5.0mmol)のジクロロメタン溶液(5mL)をゆっくりと滴下した。以上の滴下過程中、反応液の温度は5℃を超えないように制御する必要がある。滴下後、反応液を自然に室温まで温め、2時間撹拌した。反応液を予備冷水で洗浄し(25mL×3回)、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮して、淡黄色の油性液体である化合物B1-1-aを得た。精製せずに次の反応に使用しても良い。
【0058】
ステップ2、(E)-4-{2-[(4-トリフルオロメチルフェニル)メタンスルホニル]ビニル}-1,2-フェニレンビス(ジエチルカルバメート)(化合物B1-1)の製造
【化27】
化合物B1-1
【0059】
ステップ1で得た化合物B1-1-aをテトラヒドロフラン(5mL)に溶解し、0-5℃でジエチルアミン(0.52mL、5.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液(10mL)に添加し、反応液を室温にゆっくりと温め、一晩撹拌した。TLCで反応をモニターした後、30mLの水を加えて、エーテルで抽出した(25mL×3回)。有機相を合わせて、0.01mol/L塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水溶液で各50mLで順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮し、その残存物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル系、v/v=9:1)で精製して、オフホワイトの固体生成物である化合物B1-1を得た(606mg、2段階の収率45%)。
融点107-109℃。
H NMR (CDCl) δ: 1.19 (t, 12H, J=8.1Hz, NCHCH), 3.23 (q, 8H, J=8.1Hz, NCHCH), 4.65 (s, 2H, SOCH), 7.06-7.17 (m, 3H, CH=CHSO, ArH), 7.35-7.41 (m, 3H, ArH), 7.52 (m, 2H, ArH), 7.88 (d, 1H, J=15.0Hz, CH=CHSO); 13C NMR (CDCl) δ: 12.7 (NCHCH*4), 42.4 (NCHCH*4), 62.8 (SOCH), 118.7 (CH=CHSO), 120.6 (ArC), 121.7 (ArC), 124.2 (CF), 125.8 (ArC), 126.1 (ArC*2), 128.8 (ArC*2), 129.5 (ArC), 130.1 (ArC), 132.0 (ArC), 134.5 (CH=CHSO), 143.6 (ArC), 145.1 (ArC), 154.3 (NCOO), 154.8 (NCOO); HRMS-EI(M+): C2631S, 計算値:556.1855, 実測値:556.1865。
【0060】
実施例2:(E)-4-[2-(3-フェニルプロパンスルホニル)ビニル]-1,2-フェニレンビス(ジエチルカルバメート)(化合物C1-1)の製造
【化28】
化合物C1-1
【0061】
(E)-4-{2-[(3-フェニルプロピル)スルホニル]ビニル}ベンゼン-1,2-ジオールを出発原料とし、実施例1の製造方法に従って、2つのステップで、淡黄色の固体である化合物C1-1を得た(2段階の収率42%)。
融点96-99℃。
H NMR (CDCl) δ: 1.26 (m, 12H, NCHCH), 2.19 (tt, 2H, J=7.6, 5.4Hz, SOCHCHCH), 2.81 (t, 2H, J=7.6Hz, SOCHCHCH), 3.06 (t, 2H, J=5.4Hz, SOCHCHCH), 3.43 (m, 8H, NCHCH), 6.77 (d, 1H, J=15.4Hz, CH=CHSO), 7.20-7.42 (m, 8H, ArH), 7.54 (d, 1H, J=15.4Hz, CH=CHSO); 13C NMR (CDCl) δ: 13.3 (NCHCH*2), 14.1 (NCHCH*2), 24.2 (SOCHCHCH), 34.2 (SOCHCHCH), 42.0 (NCHCH*2), 42.4 (NCHCH*2), 54.4 (SOCHCHCH), 123.4(ArC), 124.3 (ArC), 125.0 (CH=CHSO), 126.5 (ArC), 126.6 (ArC), 128.5 (ArC*2), 128.7 (ArC*2), 130.1(ArC), 139.9 (CH=CHSO), 143.6 (ArC), 143.9 (ArC), 146.0 (ArC), 152.8 (NCOO), 153.0 (NCOO); HRMS-EI(M+): C2736S, 計算値:516.2294, 実測値:516.2282。
【0062】
実施例3:(E)-4-{2-[(4-クロロフェニル)メタンスルホニル]ビニル}-1,2-フェニレンビス(ジエチルカルバメート)(化合物D1-1)の製造
【化29】
化合物D1-1
【0063】
(E)-4-{2-[(4-クロロフェニル)メタンスルホニル]ビニル}ベンゼン-1,2-ジオールを出発原料とし、実施例1の製造方法に従って、2つのステップで、淡黄色の固体である化合物D1-1を得た(2段階の収率53%)。
融点108-110℃。
H NMR (CDCl) δ: 1.28 (m, 12H, NCHCH), 3.46 (m, 8H, NCHCH), 4.31 (s, 2H, SOCH), 6.71 (d, 1H, J=15.4Hz, CH=CHSO), 7.32-7.45 (m, 8H, CH=CHSO, ArH); 13C NMR (CDCl) δ: 13.3 (NCHCH), 14.2 (NCHCH), 42.0 (NCHCH), 42.4 (NCHCH), 61.2 (SOCH), 123.5(ArC), 124.1 (CH=CHSO), 124.4 (ArC), 126.5 (ArC), 129.2 (ArC*2), 130.0(ArC), 132.3 (ArC*2), 134.9 (ArC), 135.3 (CH=CHSO), 144.0 (ArC), 144.7 (ArC), 146.1 (ArC), 152.8 (NCOO), 153.0 (NCOO); HRMS-EI(M+): C2531ClNS,計算値:522.1591,実測値:522.1585。
【0064】
実施例4:(E)-4-{2-[(4-t-ブチルフェニル)メタンスルホニル]ビニル}-1,2-フェニレンビス(ジエチルカルバメート)(化合物G1-1)の製造
【化30】
化合物G1-1
【0065】
(E)-4-{2-[(4-t-ブチルフェニル)メタンスルホニル]ビニル}ベンゼン-1,2-ジオールを出発原料とし、実施例1の製造方法に従って、2つのステップで、白い固体である化合物G1-1を得た(2段階の収率56%)。
融点95-98℃。
H NMR (CDCl) δ: 1.23 (m, 12H, NCHCH), 1.36 (m, 9H, t-Bu), 3.42 (m, 8H, NCHCH), 4.30 (s, 2H, SOCH), 6.70 (d, 1H, J=15.5Hz, CH=CHSO), 7.24-7.33 (m, 5H, ArH), 7.40 (d, 1H, J=15.5Hz, CH=CHSO), 7.45 (d, 2H, J=7.6Hz, ArH); 13C NMR (CDCl) δ: 13.3 (NCHCH), 14.1 (NCHCH), 31.3 (C(CH), 34.7 (C(CH), 42.0 (NCHCH), 42.4 (NCHCH), 61.6 (SOCH), 123.4(ArC), 124.3 (ArC), 124.6 (ArC), 124.9 (CH=CHSO), 125.9 (ArC*2), 126.4 (ArC), 130.2 (ArC), 130.6 (ArC*2), 143.9 (ArC), 144.1 (CH=CHSO), 145.9 (ArC), 152.0 (t-Bu-ArC), 152.8 (NCOO), 153.0 (NCOO); HRMS-EI(M+): C2940S,計算値:544.2607,実測値:544.2604。
【0066】
実施例5:(E)-4-{2-[2-クロロ-2-(4-クロロ-3-ニトロフェニル)エタンスルホニル]ビニル}-2-ヒドロキシフェニル-N-メチルカルバメート(化合物E2-2)の製造
【0067】
ステップ1、(E)-4-{2-[2-クロロ-2-(4-クロロ-3-ニトロフェニル)エタンスルホニル]ビニル}-2-ヒドロキシフェニルクロロホルメート(化合物E2-2-a)の製造
【化31】
化合物E2-2-a
【0068】
トリホスゲン(237mg、0.8mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、氷水浴で0℃に冷却し、30分内で(E)-4-{2-[2-クロロ-2-(4-クロロ-3-ニトロフェニル)エタンスルホニル]ビニル}ベンゼン-1,2-ジオール(1003mg、2.4mmol)のジクロロメタン溶液(20mL)をゆっくりと滴下した。15分間撹拌した後、更に15分内でピリジン(0.20mL、2.5mmol)のジクロロメタン溶液(5mL)をゆっくりと滴下した。以上の滴下過程中、反応液の温度は5℃を超えないように制御する必要がある。滴下後、反応液を自然に室温まで温め、2時間撹拌した。反応液を予備冷水で洗浄し(25mL×3回)、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮して、黄色の油性液体である化合物E2-2-aを得た。精製せずに次の反応に使用しても良い。
【0069】
ステップ2、(E)-4-{2-[2-クロロ-2-(4-クロロ-3-ニトロフェニル)エタンスルホニル]ビニル}-2-ヒドロキシフェニル-N-メチルカルバメート(化合物E2-2)の製造
【化32】
化合物E2-2
【0070】
ステップ1で得た化合物E2-2-aをテトラヒドロフラン(5mL)に溶解し、0-5℃でメチルアミン(2Mテトラヒドロフラン溶液、1.25mL、2.5mmol)のテトラヒドロフラン溶液(10mL)に添加し、反応液を室温にゆっくりと温め、一晩撹拌した。TLCで反応をモニターした後、30mLの水を加えて、エーテルで抽出した(25mL×3回)。有機相を合わせて、0.01mol/L塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水溶液で各50mLで順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮して残存物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル系、v/v=15:2)で精製して、淡黄色の固体生成物である化合物E2-2を得た(403mg、2段階の収率35%)。
融点211-213℃。
H NMR (CDCl) δ: 2.89 (s, 3H, NHCH), 3.85 (dd, 1H, J=12.5, 7.0Hz, SOCH), 4.11 (dd, 1H, J=12.5, 7.0Hz, SOCH), 4.82 (brs, 1H, CONH), 5.67 (m, 1H, CHCl), 6.87 (d, 1H, J=7.5Hz, ArH), 6.95-7.33 (m, 6H, CH=CHSO, ArOH, ArH), 7.41 (d, 1H, J=7.4Hz, ArH),7.63 (d, 1H, J=15.5Hz, CH=CHSO); 13C NMR (CDCl) δ: 27.5 (NHCH), 49.3 (CHCl), 62.5 (SOCH), 115.2 (ArC), 120.9 (CH=CHSO), 121.6 (ArC), 122.7 (ArC), 126.1 (ArC), 125.9 (ArC), 128.7 (ArC), 130.2 (ArC), 130.8 (ArC), 134.9 (ArC), 139.3 (ArC-OCO), 142.5 (ArC-NO), 143.8 (CH=CHSO), 149.1 (ArC-OH), 155.2 (NCOO); HRMS-EI(M+): C1816ClS,計算値:474.0055,実測値:474.0072。
【0071】
実施例6:(E)-2-メトキシ-4-{2-[(3,4,5-トリメトキシフェニル)メタンスルホニル]ビニル}-フェニル-N,N-ジフェニルカルバメート(化合物K3-3)の製造
【化33】
化合物K3-3
【0072】
(E)-2-メトキシ-4-{2-[(3,4,5-トリメトキシフェニル)メタンスルホニル]ビニル}フェノールを出発原料とし、実施例5の製造方法に従って、2つのステップで、オフホワイトの固体である化合物K3-3を得た(2段階の収率51%)。
融点195-197℃。
H NMR (CDCl) δ: 3.85 (m, 12H, OCH), 4.66 (s, 2H, SOCH), 6.75-7.21 (m, 6H, CH=CHSO, ArH), 7.35-7.51 (m, 10H, N-ArH), 7.90 (d, 1H, J=15.5Hz, CH=CHSO); 13C NMR (CDCl) δ: 56.0 (OCH*2), 56.2 (OCH), 59.3 (SOCH), 60.7 (OCH), 108.9 (ArC*2), 111.4(ArC), 120.5 (CH=CHSO), 122.3 (ArC), 122.6 (ArC), 126.9 (ArC*4), 127.2 (ArC), 128.1 (ArC*2), 129.9 (ArC), 130.2 (ArC*4), 137.1 (ArC), 137.5 (CH=CHSO), 141.2 (ArC*2), 144.6 (ArC), 149.9 (ArC*2), 150.7 (ArC), 154.7 (NCOO); HRMS-EI(M+): C3231NOS,計算値:589.1770,実測値:589.1761。
【0073】
実施例7:4-{(E)-2-[(E)-3-(4-アリルオキシフェニル)プロプ-1-エン-1-イル]スルホニルビニル}-2-(N,N-ジアリルカルバモイルオキシ)フェニルアセテート(化合物K1-4)の製造
【化34】
化合物K1-4
【0074】
4-{(E)-2-[(E)-3-(4-アリルオキシフェニル)プロプ-1-エン-1-イル]スルホニルビニル}-2-ヒドロキシフェニル酢酸エステルを出発原料とし、実施例5の製造方法に従って、2つのステップで、白い固体である化合物K1-4を得た(2段階の収率38%)。
融点146-149℃。
H NMR (CDCl) δ: 2.54 (s, 3H, CHCO), 3.42 (m, 2H, CHAr), 3.66 (d, 4H, J=6.1Hz, CH=CHCHN), 4.63 (d, 2H, J=6.0Hz, CH=CHCHO), 5.19-5.53 (m, 6H, CH=CHCHN, CH=CHCHO), 5.89-6.05 (m, 3H, CH=CHCHN, CH=CHCHO), 6.36 (d, 1H, J=15.2Hz, SOCH=CHCH), 6.73-7.30 (m, 8H, ArCH=CHSO, ArH), 7.46 (dt, 1H, j=15.1Hz, 6.2Hz, SOCH=CHCH), 8.05 (d, 1H, J=15.3Hz, ArCH=CHSO); 13C NMR (CDCl) δ: 20.3 (CHCO), 38.1 (CHAr), 49.8 (CH=CHCHN*2), 68.5 (CH=CHCHO), 115.0 (ArC*2), 117.5 (CH=CHCHN*2), 117.9 (CH=CHCHO), 122.1 (ArC), 122.6 (ArC), 124.7 (ArC), 126.1 (ArCH=CHSO), 129.1 (ArC*2), 130.8 (ArC), 132.7 (CH=CHCHN*2), 133.1 (CH=CHCHO), 133.9 (ArCH=CHSO), 135.0 (ArC), 137.4 (SOCH=CHCH), 142.1 (ArC), 142.9 (ArC), 143.3 (SOCH=CHCH), 153.6 (NCOO), 157.4 (ArC), 168.6 (CHCOO); HRMS-EI(M+): C2931NOS,計算値:537.1821,実測値:537.1804。
【0075】
実施例8:4-{(E)-1-[(E)-3-(クロロメチルジメチルシロキシ)-4-(N,N-ジメチルカルバモイルオキシ)スチリルスルホニル]プロプ-1-エン-2-イル}フェニル-2-(4-メトキシフェニル)アセテート(化合物P1-7)の製造
【化35】
化合物P1-7
【0076】
4-{(E)-1-[(E)-3-(クロロメチルジメチルシロキシ)-4-ヒドロキシスチリルスルホニル]プロプ-1-エン-2-イル}フェニル-2-(4-メトキシフェニル)アセテートを出発原料とし、実施例5の製造方法に従って、2つのステップで、白い固体である化合物P1-7を得た(2段階の収率43%)。
融点123-125℃。
H NMR (CDCl) δ: 0.13 (s, 6H, SiCH*2), 2.24 (s, 3H, CHC=CH), 2.72 (s, 2H, ClCHSi), 3.15 (s 3H, CHN), 3.27 (s 3H, CHN), 3.81 (s, 3H, OCH), 4.11 (s, 2H, OCOCH), 6.75 (SOCH=C), 6.85-7.05 (m, 6H, CH=CHSO, ArH), 7.20-7.32 (m, 6H, ArH), 8.08 (CH=CHSO); 13C NMR (CDCl) δ: -1.8 (SiCH*2), 15.3 (CHC=CH), 29.8 (ClCHSi), 36.8 (NCH*2), 41.2 (OCOCH), 55.3 (OCH), 114.4 (ArC*2), 116.7 (ArC), 121.0 (ArC), 121.3 (ArC*2), 121.5 (ArC), 124.9 (CH=CHSO), 126.7 (ArC), 126.9 (ArC*2), 128.7 (SOCH=C), 130.0 (ArC), 130.5 (ArC*2), 131.7 (CH=CHSO), 137.6 (ArC), 142.2 (ArC), 147.8 (ArC), 148.8 (CHC=CH), 150.9 (ArC), 154.8 (NCOO), 158.0 (ArC), 169.7 (OCOCH); HRMS-EI(M+): C3236ClNOSSi,計算値:657.1619,実測値:657.1633。
【0077】
実施例9:(E)-4-{2-[3-(4-ベンジルオキシ-3-ヒドロキシフェニル)-2,3-ジエトキシプロピル]スルホニルビニル}-2-[N-(4-メチルアミノフェニル)カルバモイルオキシ]フェニルアセテート(化合物H2-4)の製造
【化36】
化合物H2-4
【0078】
(E)-4-{2-[3-(4-ベンジルオキシ-3-ヒドロキシフェニル)-2,3-ジエトキシプロピル]スルホニルビニル}-2-ヒドロキシフェニル酢酸エステルを出発原料とし、実施例5の製造方法に従って、2つのステップで、淡黄色の固体である化合物H2-4を得た(2段階の収率18%)。
融点182-183℃。
H NMR (CDCl) δ: 1.19 (m, 6H, OCHCH*2), 2.49 (s, 3H, CHCO), 2.70 (s, 3H, CHNH), 3.03 (m, 2H, OCHCH), 3.40 (m, 1H, SOCH), 3.62 (m, 1H, SOCH), 3.81 (dq, 1H, J=12.5, 8.1Hz, OCHCH), 4.19 (dq, 1H, J=12.5, 8.1Hz, OCHCH), 4.30 (brs, 1H, CHNH), 4.55 (m, 1H, SOCHCH), 4.72 (m, 1H, OCHAr), 5.22 (m, 2H, OCHPh), 5.90 (brs, 1H, Ar-OH), 6.48 (d, 2H, J=7.5Hz, ArH), 6.68-6.81 (m, 3H, NHCOO, ArH), 6.98-7.09 (m, 2H, ArH), 7.16 (d, 1H, J=15.3Hz, CH=CHSO), 7.25-7.45 (m, 9H, ArH), 8.11 (d, 1H, J=15.2Hz, CH=CHSO); 13C NMR (CDCl) δ: 15.3 (OCHCH), 15.4 (OCHCH), 20.5 (CHCO), 29.8 (CHNH), 50.7 (SOCH), 64.8 (OCHCH), 65.2 (OCHCH), 70.7 (OCHPh), 71.9 (SOCHCH), 81.5 (OCHAr), 114.9 (ArC), 115.8 (ArC), 116.9 (CH=CHSO), 117.1 (ArC*2), 119.9 (ArC), 121.9 (ArC), 122.3 (ArC), 122.8 (ArC*2), 125.3 (ArC), 127.6 (ArC*2), 127.8 (ArC), 128.5 (ArC*2), 129.8 (ArC), 133.0 (ArC), 133.3 (ArC), 134.2 (CH=CHSO), 135.1 (ArC), 142.3 (ArC), 143.2 (ArC), 146.1 (ArC), 146.2 (ArC), 151.6 (ArC), 154.1 (NHCOO), 168.6 (CHCO); HRMS-EI(M+): C384210S,計算値:718.2560,実測値:718.2537。
【0079】
実施例10:(E)-2-[(メチルアミノ)メトキシ]-4-{2-[1-(4’-ニトロ-[1,1’-ジフェニル]-4-イル)エチルスルホニル]ビニル}フェニルカルバメート(化合物M1-3)の製造
【化37】
化合物M1-3
【0080】
(E)-2-[(メチルアミノ)メトキシ]-4-{2-[1-(4’-ニトロ-[1,1’-ジフェニル]-4-イル)エチルスルホニル]ビニル}フェノールを出発原料とし、実施例5の製造方法に従って、2つのステップで、黄色の固体である化合物M1-3を得た(2段階の収率33%)。
融点256-258℃。
H NMR (CDCl) δ: 1.12 (brs, 1H, CHNH), 1.73 (d, 3H, J=6.8Hz, CHCH), 2.44 (s, 3H, CHNH), 4.39 (q, 1H, J=6.8Hz, CHCH), 4.89 (brs, 2H, NHCOO), 5.02 (d, 1H, J=12.5Hz, NHCHO), 5.53 (d, 1H, J=12.5Hz, NHCHO), 6.88 (d, 1H, J=7.6Hz, ArH), 7.12-7.33 (m, 5H, CH=CHSO, ArH), 7.61 (d, 2H, J=7.6Hz, ArH), 7.68 (m, 4H, ArH), 8.12 (d, 1H, J=15.2Hz, CH=CHSO); 13C NMR (CDCl) δ: 15.3 (CHCH), 35.0 (CHNH), 67.5 (CHCH), 82.1 (NHCHO), 113.8 (ArC), 122.6 (ArC), 123.9 (ArC), 124.6 (CH=CHSO), 126.7 (ArC*2), 128.2 (ArC*2), 128.9 (ArC*2), 129.5 (ArC*2), 130.9 (ArC), 134.7 (ArC), 136.0 (ArC), 137.5 (ArC), 138.5 (CH=CHSO), 138.9 (ArC), 142.7 (ArC), 148.5 (ArC), 156.1 (NHCOO); HRMS-EI(M+): C2525S,計算値:511.1413,実測値:511.1418。
【0081】
実施例11:(E)-5-{2-[(4-[ピリジン-2-イル-オキシ]フェニル)ジフルオロメチルスルホニル]ビニル}-2-[N-(2,2,2-トリフルオロアセチル)カルバモイルオキシ]フェニル-2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピオネート(化合物L1-4)の製造
【化38】
化合物L1-4
【0082】
(E)-5-{2-[(4-[ピリジン-2-イル-オキシ]フェニル)ジフルオロメチルスルホニル]ビニル}-2-ヒドロキシフェニル-2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピオネートを出発原料とし、実施例5の製造方法に従って、2つのステップで、淡黄色の固体である化合物L1-4を得た(2段階の収率40%)。
融点153-156℃。
H NMR (CDCl) δ: 6.36 (brs, 1H, CFCONH), 6.79-6.91 (m, 2H, ArH), 7.03-7.09 (m, 3H, ArH), 7.16 (d, 1H, J=15.1Hz, CH=CHSO), 7.23-7.32 (m, 1H, ArH), 7.33-7.54 (m, 4H, ArH), 8.09 (d, 1H, J=15.1Hz, CH=CHSO), 8.79 (d, 1H, J=5.0Hz, ArH); 13C NMR (CDCl) δ: 9.3 (CFCFCO), 23.9 (CFCO), 27.2 (CFCFCO), 58.5 (SOCF), 112.9 (ArC), 119.1 (CH=CHSO), 120.4 (ArC), 120.9 (ArC), 121.5 (ArC*2), 123.8 (ArC), 125.2 (ArC), 126.9 (ArC), 129.5 (ArC*2), 130.7 (ArC), 134.6 (CH=CHSO), 139.4 (ArC), 141.8 (ArC), 143.6 (ArC), 147.7 (ArC), 151.9 (NHCOO), 153.0 (ArC), 162.8 (ArC), 169.1 (CFCO),172.8 (CFCFCO); HRMS-EI(M+): C261410S,計算値:704.0311,実測値:704.0336。
【0083】
実施例12:(E)-2-(2,3-ジブロモブトキシ)-4-{2-[4-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)フェネチルスルホニル]ビニル}フェニル-N-(チオフェン-3-イル)カルバメート(化合物K1-3)の製造
【化39】
化合物K1-3
【0084】
(E)-2-(2,3-ジブロモブトキシ)-4-{2-[4-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)フェネチルスルホニル]ビニル}フェノールを出発原料とし、実施例5の製造方法に従って、2つのステップで、オレンジイエローの固体である化合物K1-3を得た(2段階の収率25%)。
融点110-113℃。
H NMR (CDCl) δ: 1.79 (d, 3H, J=7.0Hz, CHCHBr), 3.09-3.28 (m, 4H, SOCHCH), 4.17 (m, 1H, OCHCHBr), 4.25-4.35 (m, 3H, CFCHO, CHCHBr), 4.65 (m, 1H, OCHCHBr), 4.97 (m, 1H, OCHCHBr), 6.12 (s, 1H, ArH), 6.45 (m, 1H, ArH), 6.63 (brs, 1H, NHCOO), 6.85 (m, 2H, ArH), 7.01 (d, 1H, J=7.6Hz, ArH), 7.15-7.29 (m, 5H, CH=CHSO, ArH), 7.41 (d, 1H, J=7.5Hz, ArH), 8.11 (d, 1H, J=15.4Hz, CH=CHSO); 13C NMR (CDCl) δ: 14.7 (CF), 23.0 (CHCHBr), 30.1 (SOCHCH), 49.5 (CHCHBr), 52.6 (SOCHCH), 60.2 (OCHCHBr), 64.2 (OCHCF), 70.1 (OCHCHBr), 105.7 (ArC), 113.8 (ArC), 114.7 (ArC*2), 120.3 (CH=CHSO), 122.6 (ArC), 123.4 (ArC), 124.1 (ArC), 126.8 (ArC), 129.5 (ArC*2), 130.4 (ArC), 130.8 (ArC), 133.1 (ArC), 136.0 (CH=CHSO), 144.4 (ArC), 149.2 (ArC), 154.1 (NHCOO), 157.1 (ArC); HRMS-EI(M+): C2726BrNO,計算値:740.9500,実測値:740.9495。
【0085】
実施例13:(E)-2-[N-(2-メトキシエチル)-N-メチルカルバモイルオキシ]-4-{2-[3-(5-メチルフラン-2-イル)フェネチルスルホニル]ビニル}フェニルアセテート(化合物J1-4)の製造
【化40】
化合物J1-4
【0086】
(E)-2-ヒドロキシ-4-{2-[3-(5-メチルフラン-2-イル)フェネチルスルホニル]ビニル}フェニルアセテートを出発原料とし、実施例5の製造方法に従って、2つのステップで、淡黄色の固体である化合物J1-4を得た(2段階の収率43%)。
融点191-193℃。
H NMR (CDCl) δ: 2.34 (furan-CH), 2.52 (CHCO), 3.13 (m, 5H, SOCHCH, CHN), 3.36 (CHO), 3.60 (t, 2H, J=4.0Hz, CHNCH), 3.75 (m, 4H, CHOCH, SOCHCH), 6.10 (d, 1H, J=7.5Hz, ArH), 6.84 (d, 1H, J=7.5Hz, ArH), 6.96 (d, 1H, J=7.4Hz, ArH), 7.08 (d, 1H, J=15.1Hz, CH=CHSO), 7.15-7.32 (m, 3H, ArH), 7.42 (t, 1H, J=7.5Hz, ArH), 7.55 (m, 2H, ArH), 8.10 (d, 1H, J=15.2Hz, CH=CHSO); 13C NMR (CDCl) δ: 13.5 (furan-CH), 20.7 (CHCO), 30.2 (SOCHCH), 42.7 (CHN), 49.8 (CHNCH), 53.1 (SOCHCH), 58.2 (CHO), 72.7 (CHOCH), 107.1 (ArC), 108.5 (ArC), 120.4 (CH=CHSO), 121.9 (ArC), 122.5 (ArC), 122.8 (ArC), 124.8 (ArC), 127.1 (ArC), 127.9 (ArC), 129.6 (ArC), 130.0 (ArC), 130.9 (ArC), 135.9 (CH=CHSO), 138.0 (ArC), 142.1 (ArC), 143.2 (ArC), 150.9 (ArC), 152.6 (ArC), 154.5 (NCOO), 168.8 (CHCOO); HRMS-EI(M+): C2831NOS,計算値:541.1770,実測値:541.1793。
【0087】
実施例14:(E)-2-(2-ベンジルオキシエトキシ)-4-{2-[4-(N,N-ジイソプロピルアミノ)フェネチルスルホニル]ビニル}フェニル-N-(4-ヨードフェニル)-N-メチルカルバメート(化合物A1-3)の製造
【化41】
化合物A1-3
【0088】
(E)-2-(2-ベンジルオキシエトキシ)-4-{2-[4-(N,N-ジイソプロピルアミノ)フェネチルスルホニル]ビニル}フェノールを出発原料とし、実施例5の製造方法に従って、2つのステップで、オレンジレッドの固体である化合物A1-3を得た(2段階の収率31%)。
融点170-172℃。
H NMR (CDCl) δ: 1.32 (m, 12H, CH(CH*2), 3.02 (t, 2H, J=8.3Hz, SOCHCH), 3.77 (t, 2H, J=8.3Hz, SOCHCH), 3.84 (m, 5H, BzOCH, NCH), 4.18 (t, 2H, J=7.2Hz, CHOAr), 4.47 (m, 4H, PhCHO, CH(CH*2), 6.67 (d, 2H, J=7.4Hz, ArH), 7.02 (d, 2H, J=7.5Hz, ArH), 7.06-7.21 (m, 6H, CH=CHSO, ArH), 7.35 (m, 5H, ArH), 7.52 (d, 2H, J=7.5Hz, ArH), 8.12 (d, 1H, J=15.3Hz, CH=CHSO); 13C NMR (CDCl) δ: 20.9 (CH(CH*2), 30.3 (SOCHCH), 35.1 (NCH), 48.9 (CH(CH*2), 52.8 (SOCHCH), 69.3 (CHOAr), 70.2 (BzOCH), 73.0 (PhCHO), 88.2 (I-ArC), 114.1 (ArC), 118.1 (ArC*2), 119.7 (CH=CHSO), 120.6 (ArC*2), 122.8 (ArC), 123.0 (ArC), 127.9 (ArC*2), 128.1 (ArC), 128.8 (ArC*2), 129.9 (ArC*2), 130.2 (ArC), 131.1 (ArC), 136.0 (CH=CHSO), 136.8 (ArC*2), 138.1 (ArC), 143.9 (ArC), 144.7 (ArC), 147.6 (ArC), 149.3 (ArC), 155.4 (NCOO); HRMS-EI(M+): C3945INS,計算値:796.2043,実測値:796.2048。
【0089】
実施例15:(E)-4-{2-[2-(3’,4’-ジメトキシ-[1,1’-ジフェニル]-4-イル)2-ニトロエチルスルホニル]ビニル}-1,2-フェニレンビス(N-エチル-N-メチルカルバメート)(化合物M1-1)の製造
【化42】
化合物M1-1
【0090】
(E)-4-{2-[2-(3’,4’-ジメトキシ-[1,1’-ジフェニル]-4-イル)2-ニトロエチルスルホニル]ビニル}ベンゼン-1,2-ジオールを出発原料とし、実施例1の製造方法に従って、2つのステップで、白い固体である化合物M1-1を得た(2段階の収率67%)。
融点159-161℃。
H NMR (CDCl) δ: 1.22 (t, 6H, J=8.0Hz, NCHCH*2), 3.16 (s, 6H, NCH*2), 3.38-3.55 (m, 4H, SOCHCH, NCHCH*2), 3.72 (m, 1H, SOCHCH), 3.85 (s, 3H, OCH), 3.91 (s, 3H, OCH), 4.06 (m, 1H, NCHCH), 4.20 (m, 1H, NCHCH), 7.02 (d, 1H, J=7.6Hz, ArH), 7.15-7.33 (m, 6H, CH=CHSO, ArH), 7.46 (m, 2H, ArH), 7.58 (d, 2H, J=7.5Hz, ArH), 8.10 (d, 1H, J=15.3Hz, CH=CHSO); 13C NMR (CDCl) δ: 12.0 (NCHCH*2), 32.3 (CHNO), 36.1 (NCH*2), 46.3 (NCHCH*2), 54.3 (SOCH), 56.5 (OCH*2), 112.0 (ArC), 113.5 (ArC), 117.6 (CH=CHSO), 119.0 (ArC), 121.6 (ArC), 123.1 (ArC), 126.1 (ArC), 126.8 (ArC*2), 128.2 (ArC*2), 128.9 (ArC), 134.1 (ArC), 136.2 (CH=CHSO), 138.3 (ArC), 141.9 (ArC), 143.2 (ArC), 144.7 (ArC), 150.6 (ArC), 151.1 (ArC), 154.7 (NCOO), 154.9 (NCOO); HRMS-EI(M+): C323710S,計算値:655.2200,実測値:655.2174。
【0091】
実施例16:(E)-4-{1-アミノ-2-[4-t-ブトキシ-3-(N-メチル-N-フェニルカルバモイルオキシ)スチレンスルホニル]エチル}フェニル-2-(4-メトキシフェニル)アセテート(化合物P1-3)の製造
【化43】
化合物P1-3
【0092】
(E)-4-{1-アミノ-2-[4-t-ブトキシ-3-ヒドロキシスチリルスルホニル]エチル}フェニル-2-(4-メトキシフェニル)アセテートを出発原料とし、実施例5の製造方法に従って、2つのステップで、ベージュ色の固体である化合物P1-3を得た(2段階の収率58%)。
融点146-149℃。
H NMR (CDCl) δ: 1.36 (brs, 11H, NH, OC(CH), 3.69 (m, 2H, SOCH, OCOCHHb), 3.81 (s, 3H, OCH), 3.98 (s, 3H, NCH), 4.11 (m, 2H, SOCH, OCOCHHb), 4.59 (m, 1H, NHCH), 6.84 (d, 2H, J=7.5Hz, ArH), 6.93 (d, 2H, J=7.4Hz, ArH), 7.10 (d, 1H, J=7.5Hz, ArH), 7.18 (m, 3H, CH=CHSO, ArH), 7.30-7.42 (m, 5H, ArH), 7.55 (d, 2H, J=7.6Hz, ArH), 7.73 (m, 2H, ArH), 8.09 (d, 1H, J=15.2Hz, CH=CHSO); 13C NMR (CDCl) δ: 28.2 (OC(CH), 34.9 (NCH), 42.3 (OCOCH), 52.9 (SOCH), 54.6 (NHCH), 55.8 (OCH), 81.5 (OC(CH), 112.7 (ArC*2), 116.9 (CH=CHSO), 120.3 (ArC), 121.9 (ArC*2), 122.2 (ArC*2), 123.5 (ArC), 125.3 (ArC*2), 127.1 (ArC), 128.2 (ArC*2), 128.9 (ArC), 129.7 (ArC*2), 130.8 (ArC*2), 134.9 (CH=CHSO), 137.8 (ArC), 142.5 (ArC), 143.1 (ArC), 145.9 (ArC), 151.0 (ArC), 154.7 (NCOO), 158.3 (ArC), 170.1 (OCOCH); HRMS-EI(M+): C3740S,計算値:672.2505,実測値:672.2501。
【0093】
実施例17:(E)-4-{2-[4-(4-ジメチルアミノベンジル)フェニルブロモスルホニル]ビニル}-2-[2-(4-ジメチルアミノフェニル)アセチル]フェニル-2-トリフルオロメチルピロリジン-1-カルボキシレート(化合物M1-5)の製造
【化44】
化合物M1-5
【0094】
(E)-5-{2-[4-(4-ジメチルアミノベンジル)フェニルブロモスルホニル]ビニル}-2-ヒドロキシフェニル-2-(4-ジメチルアミノフェニル)アセテートを出発原料とし、実施例5の製造方法に従って、2つのステップで、淡黄色の固体である化合物M1-5を得た(2段階の収率44%)。
融点213-215℃。
H NMR (CDCl) δ: 1.73-2.01 (m, 4H, NCHCHCH), 2.98 (s, 12H, NCH*4), 3.16 (m, 1H, NCHHb), 3.55 (m, 1H, NCHHb), 3.68 (m, 2H, NCHCF, CHCOO), 3.83 (s, 2H, PhCHPh), 4.25 (d, 1H, J=12.5Hz, CHCOO), 6.58 (m, 5H, CHBr, ArH), 6.83 (d, 1H, J=7.5Hz, ArH), 6.91 (d, 2H, J=7.4Hz, ArH), 7.13 (d, 1H, J=15.0Hz, CH=CHSO), 7.22 (m, 3H, ArH), 7.38 (m, 3H, ArH), 7.63 (d, 2H, J=7.4Hz, ArH), 8.12 (d, 1H, J=15.1Hz, CH=CHSO); 13C NMR (CDCl) δ: 17.6 (CF), 24.9 (NCHCH), 35.1 (NCHCHCH), 40.5 (CHCOO), 41.2 (NCH*4), 41.9 (PhCHPh), 47.0 (NCH), 56.4 (NCHCF), 61.5 (CHBr), 114.0 (ArC*2), 114.5 (ArC*2), 117.6 (CH=CHSO), 120.9 (ArC), 121.7 (ArC), 125.0 (ArC), 126.3 (ArC), 128.1 (ArC*2), 129.6 (ArC*2), 129.8 (ArC*2), 129.9 (ArC*2), 130.7 (ArC), 131.5 (ArC), 132.5 (ArC), 135.0 (CH=CHSO), 140.2 (ArC), 142.3 (ArC), 144.0 (ArC), 151.1 (ArC*2), 155.3 (NCOO), 170.4 (CHCOO); HRMS-EI(M+): C4041BrFS,計算値:827.1852,実測値:827.1829。
【0095】
実施例18:(E)-4-{2-[4-(ジエチルフェニルシロキシ)フェニルクロロメタンスルホニル]ビニル}-2-(3-クロロ-2-メトキシベンゾイルオキシ)フェニル-2,6-ジメチルモルホリン-4-カルボキシレート(化合物R1-5)の製造
【化45】
化合物R1-5
【0096】
(E)-5-{2-[4-(ジエチルフェニルシロキシ)フェニルクロロメタンスルホニル]ビニル}-2-ヒドロキシフェニル-3-クロロ-2-メトキシベンゾエートを出発原料とし、実施例5の製造方法に従って、2つのステップで、黄色の固体である化合物R1-5を得た(2段階の収率37%)。
融点167-170℃。
H NMR (CDCl) δ: 0.78 (m, 4H, SiCH*2), 1.02 (t, 6H, J=7.9Hz, SiCHCH*2), 1.25 (d, 3H, J=6.8Hz, CHCH), 1.34 (d, 3H, J=6.8Hz, CHCH), 3.32 (dd, 1H, J=12.5, 6.9Hz, NCHHb), 3.41 (dd, 1H, J=12.5, 6.9Hz, NCHHb), 3.63 (s, 3H, OCH), 3.72 (m, 2H, OCHCH*2), 3.99 (dd, 1H, J=12.5, 6.9Hz, NCHHb), 4.08 (dd, 1H, J=12.5, 6.9Hz, NCHHb), 6.29 (s, 1H, ClCH), 7.15 (m, 4H, CH=CHSO, ArH), 7.24-7.43 (m, 8H, ArH), 7.55 (d, 2H, J=7.6Hz, ArH), 7.61 (dd, 1H, J=7.5, 1.7Hz, ArH), 7.73 (dd, 1H, J=7.3, 2.0Hz, ArH), 8.10 (d, 1H, J=15.0Hz, CH=CHSO); 13C NMR (CDCl) δ: 6.9 (SiCHCH*2), 11.2 (SiCHCH*2), 18.9 (OCHCH*2), 52.1 (NCH*2), 62.8 (OCH), 71.4 (OCHCH*2), 79.5 (ClCH), 120.1 (ArC), 121.5 (ArC*2), 121.8 (ArC), 123.5 (ArC), 124.6 (ArC), 124.9 (ArC), 125.3 (ArC), 125.8 (CH=CHSO), 126.1 (ArC*2), 127.9 (ArC), 130.2 (ArC*2), 130.4 (ArC), 131.1 (ArC), 132.5 (ArC), 134.1 (ArC), 134.6 (ArC*2), 140.2 (ArC), 142.3 (ArC), 144.0 (ArC), 152.8 (ArC), 154.0 (NCOO), 155.7 (CH=CHSO), 159.2 (ArC), 167.3 (ArCOO); HRMS-EI(M+): C4043ClNOSSi,計算値:811.1805,実測値:811.1788。
【0097】
実施例19:(E)-2-[N-(3-メチル-4-ニトロベンゾイル)カルバモイルオキシ]-4-{2-[(パーフルオロフェニル)メタンスルホニル]ビニル}フェニルアセテート(化合物D5-4)の製造
【化46】
化合物D5-4
【0098】
(E)-2-ヒドロキシ-4-{2-[(パーフルオロフェニル)メタンスルホニル]ビニル}フェニルアセテートを出発原料とし、実施例5の製造方法に従って、2つのステップで、黄色の固体である化合物D5-4を得た(2段階の収率42%)。
融点264-267℃。
H NMR (CDCl) δ: 2.32 (s, 3H, Ph-CH), 2.54 (s, 3H, CHCO), 4.69 (s, 2H, SOCH), 5.50 (brs, 1H, CONH), 7.01 (d, 1H, J=7.5Hz, ArH), 7.09 (s, 1H, ArH), 7.18 (d, 1H, J=15.2Hz, CH=CHSO), 7.23 (d, 1H, J=7.5Hz, ArH), 7.49 (m, 2H, ArH), 7.58 (dd, 1H, J=7.5, 2.0Hz, ArH), 8.13 (d, 1H, J=15.2Hz, CH=CHSO); 13C NMR (CDCl) δ: 19.9 (Ph-CH), 20.8 (CHCO), 56.1 (SOCH), 105.3 (ArC), 118.6 (CH=CHSO), 122.3 (ArC), 123.1 (ArC), 125.2 (ArC), 127.6 (ArC), 129.1 (ArC), 130.4 (ArC),130.6 (ArC), 133.5 (ArC), 134.8 (CH=CHSO), 136.7 (ArC), 137.8 (ArC), 138.8 (ArC), 141.7 (ArC), 142.2 (ArC*2), 143.1 (ArC), 144.0 (ArC), 145.8 (ArC), 152.4 (NHCOO), 165.7 (CONHCOO), 169.1 (CHCO); HRMS-EI(M+): C2617S,計算値:628.0575,実測値:628.0553。
【0099】
実施例20:(E)-4-{[4-(エチルスルホニルオキシ)-3-(N-メチル-N-メタンスルホニルアミノメタンスルホニルオキシ)スチリルスルホニル]メチル}フェニルエタンスルホネート(化合物S1-6)の製造
【化47】
化合物S1-6
【0100】
(E)-4-{[4-(エチルスルホニルオキシ)-3-ヒドロキシスチリルスルホニル]メチル}フェニルエタンスルホネートを出発原料とし、実施例5の製造方法に従って、2つのステップで、淡黄色の固体である化合物S1-6を得た(2段階の収率29%)。
融点255-257℃。
H NMR (CDCl) δ: 1.41 (t, 3H, J=8.1Hz, CHCHSO), 1.53 (t, 3H, J=8.0Hz, CHCHSO), 2.75 (s, 3H, CHN), 2.92 (s, 3H, CHSO), 3.07 (q, 4H, J=8.0Hz, CHCHSO*2), 4.68 (s, 2H, SOCHPh), 7.15 (d, 1H, J=15.1Hz, CH=CHSO), 7.25 (m, 2H, ArH), 7.38 (d, 1H, J=7.6Hz, ArH), 7.44 (d, 2H, J=7.5Hz, ArH), 7.67 (d, 2H, J=7.4Hz, ArH), 8.10 (d, 1H, J=15.2Hz, CH=CHSO); 13C NMR (CDCl) δ: 8.5 (CHCHSO*2), 31.5 (CHN), 42.3 (CHSO), 45.7 (CHCHSO*2), 59.3 (SOCHPh), 118.8 (CH=CHSO), 120.6 (ArC), 122.3 (ArC), 123.5 (ArC*2), 125.0 (ArC), 126.9 (ArC), 127.6 (ArC*2), 128.1 (ArC), 134.8 (CH=CHSO), 141.5 (ArC), 146.3 (ArC), 148.6 (ArC), 150.2 (NCOO); HRMS-EI(M+): C2227NO12,計算値:625.0416,実測値:625.0404。
【0101】
実施例21:(E)-2-(N-メチル-N-p-トルエンスルホニルカルバモイルオキシ)-4-{2-[(4-p-トルエンスルホニルオキシフェニル)メタンスルホニル]ビニル}フェニル-p-トルエンスルホネート(化合物S6-6)の製造
【化48】
化合物S6-6
【0102】
(E)-2-ヒドロキシ-4-{2-[(4-p-トルエンスルホニルオキシフェニル)メタンスルホニル]ビニル}フェニル-p-トルエンスルホネートを出発原料とし、実施例5の製造方法に従って、2つのステップで、オフホワイトの固体である化合物S6-6を得た(2段階の収率47%)。
融点271-274℃。
H NMR (CDCl) δ: 2.42 (s, 9H, CHPh*3), 3.03 (s, 3H, CHN), 4.68 (s, 2H, SOCHPh), 7.11 (m, 1H, ArH), 7.15-7.23 (m, 4H, CH=CHSO, ArH), 7.26-7.35 (m, 5H, ArH), 7.48 (m, 4H, ArH), 7.73 (m, 4H, ArH), 8.01 (d, 2H, J=7.6Hz, ArH), 8.11 (d, 1H, J=15.3Hz, CH=CHSO); 13C NMR (CDCl) δ: 21.5 (CHPh*3), 32.6 (CHN), 59.5 (SOCHPh), 119.3 (CH=CHSO), 121.3 (ArC), 122.0 (ArC), 124.1 (ArC), 124.6 (ArC*2), 126.5 (ArC), 127.9 (ArC*2), 128.6 (ArC*2), 128.8 (ArC*2), 128.9 (ArC), 129.3 (ArC*2), 129.5 (ArC*2), 130.1 (ArC*4), 134.6 (CH=CHSO), 136.3 (ArC), 136.8 (ArC), 137.2 (ArC), 140.4 (ArC*2), 142.1 (ArC), 143.0 (ArC), 144.5 (ArC), 146.9 (ArC), 149.9 (NCOO); HRMS-EI(M+): C3835NO12,計算値:825.1042,実測値:825.1019。
【0103】
実施例22:(E)-4-{2-[4-(ジメチルアミノ)-4-(4-(N,N-ジメチルグリシルオキシ)フェニル)ブチルスルホニル]ビニル}-2-(N-メチル-N-フェニルカルバモイルオキシ)フェニル-4-(p-トリル)ピペラジン-1-カルボキシレート(化合物P1-1)の製造
【化49】
化合物P1-1
【0104】
(E)-4-{4-[(3,4-ジヒドロキシスチリル)スルホニル]-1-(ジメチルアミノ)ブチル}フェニル-N,N-ジメチルグリシネートを出発原料とし、実施例5の製造方法に従って、2つのステップで(E)-4-{2-[4-(ジメチルアミノ)-4-(4-(N,N-ジメチルグリシルオキシ)フェニル)ブチルスルホニル]ビニル}-2-ヒドロキシフェニル-4-(p-トリル)ピペラジン-1-カルボキシレート(化合物P1-1-a)が得られ、2段階の収率は26%であり、更に、化合物P1-1-aを出発原料とし、実施例5の製造方法に従って、2つのステップで、淡黄色の固体である化合物P1-1を得た(2段階の収率43%)。
融点271-274℃。
H NMR (CDCl) δ: 1.44 (m, 1H, NCHCHHb), 1.77 (m, 1H, SOCHCHHb), 2.03 (m, 1H, SOCHCHHb), 2.24 (s, 3H, CHNCH), 2.27 (s, 3H, CHNCH), 2.32 (s, 3H, CHPh), 2.39 (s, 3H, CHNCH), 2.48 (s, 3H, CHNCH), 2.85 (m, 1H, SOCHHb), 2.99-3.08 (m, 3H, NCHCH, CHNCO, SOCHHb), 3.18-3.30 (m, 3H, ArNCH*2, COCHN), 3.39-3.43 (m, 2H, ArCHN, CHNCO), 3.59 (s, 3H, PhNCH), 3.72 (m, 2H, ArNCH, COCHN), 3.88 (m, 1H, CHNCO), 4.17 (m, 1H, ArNCHHb), 4.33 (m, 1H, CHNCO), 6.63 (d, 2H, J=7.5Hz, ArH), 6.95 (d, 2H, J=7.5Hz, ArH), 7.03 (m,. 3H, ArH), 7.05 (s, 1H, ArH), 7.16 (d, 1H, J=15.2Hz, CH=CHSO), 7.22 (m, 1H, ArH), 7.31-7.37 (m, 3H, ArH), 7.40 (d, 2H, J=7.4Hz, ArH), 7.49 (dd, 2H, J=7.5, 2.0Hz, ArH), 8.15 (d, 1H, J=15.2Hz, CH=CHSO); 13C NMR (CDCl) δ: 18.9 (SOCHCH), 21.0 (CHPh), 32.6 (CHCHN), 35.7 (PhNCH), 42.7 (CHN(CH), 45.8 (CON(CH), 46.5 (ArN(CH), 47.2 (CHN(CH), 55.1 (SOCH), 60.6 (COCHN), 72.1 (ArCHN), 112.9 (ArC*2), 119.3 (CH=CHSO), 120.8 (ArC), 121.5 (ArC), 121.8 (ArC*2), 122.3 (ArC*2), 125.0 (ArC), 125.5 (ArC), 127.3 (ArC), 128.6 (ArC*2), 129.1 (ArC), 129.4 (ArC*2), 130.1 (ArC*2), 135.6 (CH=CHSO), 137.5 (ArC), 140.1 (ArC), 141.3 (ArC), 143.2 (ArC), 149.0 (ArC), 149.5 (ArC), 152.3 (CHNCOO), 154.7 (CHNCOO), 168.3 (CHCOO); HRMS-EI(M+): C4453S,計算値:811.3615,実測値:811.3652。
【化50】
化合物P1-1-a
【0105】
実施例23:目標化合物のラット胎児中脳ニューロンパーキンソン病損傷に対する阻害活性の評価(MPP+で誘導された初代中脳ニューロンの生存率を評価指標とする)
【0106】
一.実験原理
パーキンソン病(PD)の主な病理学な特徴は、中脳黒質-線条体ドパミン作動性ニューロンの変性、欠損である。1-メチル-4-フェニルピリジニウムイオン(1-Methyl-4-phenylpyridinium、MPP+)は、ドパミンキャリアに高親和性であり、ドパミン作動性ニューロンに対して選択的に毒性作用を生じるので、MPP+は、PD細胞モデルの製造にとって最も理想的な典型的に神経毒素の1つとなる。ラット胎児中脳初代細胞の培養は、近年、PD細胞モデルの確立によく用いられ、細胞株の培養と比べて繁雑で、技術要求が高いが、よりPDの病理学の特徴に接近するため、ラット胎児中脳初代細胞の培養したニューロンを用いてMPP+誘導によりPD細胞モデルを確立し、目標化合物の当該モデルニューロンに対する保護作用を評価する。
【0107】
二.実験方法
妊娠15日のSDラットの胎児の中脳を剥がして、断片に切り、トリプシン処理、ピペッティング、濾過、再懸濁等のステップを経て、予めポリ-D-リシンでコーディングされた24メッシュの細胞培養プレートに接種し、12h培養した後、シタラビンを加えてグリア細胞の増殖を阻害し、ニューロン増殖から5日目、毒素MPP+を加え、PD細胞モデルを作製することができる。目標化合物の活性を検出する際に、目標化合物と中脳ニューロンとを3hプレインキュベートし、次いで、MPP+を加え、48h共同インキュベートした後、CCK-8法でニューロンの生存能力を検出し、ニューロンの生存率を算出することにより、目標化合物の中脳ニューロンPD損傷に対する阻害活性を評価する。実験は、ブランク対照群、MPP+モデル群、陽性対照群(カフェイン酸フェネチルCAPE)、プロトタイプ対照群(スチリルスルホン類化合物3B、3C、3Dおよび3G)及び目標化合物群(本発明の実施例1~22で製造されてなる)を含む。
【0108】
ここで、プロトタイプ対照群の構造式は、以下の通りである。
【化51】
三.実験結果
各群のMPP+によって誘発された初代中脳ニューロン損傷作用に対する影響を以下の表に示す。
【0109】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0110】
*同一濃度の陽性薬対照群のデータと比較分析する
【0111】
**B1-1、C1-1、D1-1及びG1-1の4つの化合物群のみを、それぞれ対応する構造のプロトタイプ化合物(即ち、スチリルスルホン類3B、3C、3D及び3G)と比較分析する
【0112】
全ての化合物群の生存率は、モデル群と比較して、統計学の有意差の上昇が見られ、これらの化合物がMPPで誘導された初代中脳ニューロン損傷に対して明らかな保護作用を有することが証明されている。ほとんどの化合物は、陽性対照物CAPEと比べて、生存率がやや顕著又は顕著に上昇し、これらの化合物は、MPPで誘導された初代中脳ニューロン損傷に対する保護作用が陽性対照物CAPEよりも強いことが証明されている。B1-1、C1-1、D1-1、G1-1の4つの化合物群は、それぞれスチリルスルホン類プロトタイプ化合物3B、3C、3D、3Gと比べて、生存率がいずれも顕著に上昇し、これらの化合物は、カルバメート官能基を導入しなかったプロトタイプ化合物と比べて、MPPで誘導された初代中脳ニューロン損傷に対する保護作用が顕著に強くなったことが証明されている。
【0113】
実施例24:目標化合物の神経グリア細胞炎症反応に対する阻害活性の評価(LPSで誘導された初代神経グリア細胞のNO放出に対する阻害作用について、細胞培養液中のNO含有量を評価指標とする)
【0114】
一.実験原理
リポ多糖類(LPS)は、グラム陰性細菌の細胞壁の主な組成部分であり、強力な炎症性作用因子であり、グリア細胞を直接に活性化することができ、活性化されたグリア細胞が大量の炎症媒介物質、例えば腫瘍壊死因子、インターロイキン及び一酸化窒素などを分泌することにより、炎症反応及び酸化ストレス反応を誘発し、最後にニューロンの変性、死亡を招く。近年、ラットの黒質又は線条体に対してLPSを所定位置注射して神経炎症を誘発することでPDモデルを成功に作製することができ、このモデルは、PDのほとんどの臨床的な発現及び病理学の特徴をシミュレーションすることができ、PDに関連する神経炎症機序の研究に用いられている。LPSで誘導された初代神経グリア細胞PD炎症性モデルは、神経保護剤の抗神経炎症の初歩的な選別に適し、LPSで初代神経グリア細胞を直接に活性化し、神経炎症発症機序をシミュレーションすることにより、目標化合物の初代神経グリア細胞炎症反応に対する阻害活性を考察することができる。
【0115】
二.実験方法
ラット胎児の脳組織から素材を採取し、初代神経グリア細胞を培養し、7~10日間培養し、LPSを加えてグリア細胞を活性化し、一酸化窒素(NO)を放出し、目標化合物を加えた後、細胞培養液におけるNO含有量の低下値を測定し、化合物の抗神経炎症活性を評価する。実験は、ブランク対照群、LPSモデル群、陽性対照群(カフェイン酸フェネチルCAPE)、プロトタイプ対照群(スチリルスルホン類化合物3B、3C、3Dと3G、化合物構造は前記の通り)及び目標化合物群を含む。
【0116】
三.実験結果
各群のLPSによって誘発された初代神経ケラチノサイトのNO放出に対する阻害作用を以下の表に示す。
【0117】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0118】
* ここで、ブランク対照群とLPSモデル群の実験結果は、計算の根拠のみとされ、阻害率として表現しない。
【0119】
**変化状況を比較するとき、一濃度の陽性群又はプロトタイプ群のみと比較し、B1-1、C1-1、D1-1及びG1-1の4つの化合物群のみを、それぞれ対応する構造のプロトタイプ化合物(即ち、スチリルスルホン類3B、3C、3D及び3G)と比較分析する
【0120】
全ての化合物群の各濃度群は、ある程度のNO阻害率が示され、これらの化合物は、LPSによって誘発された初代神経ケラチノサイトのNO放出に対して明らかな阻害作用を有することが証明されている。ここで、一部の化合物は、同一濃度陽性対照群と比べて、より強い阻害率を有し、これらの化合物は、LPSによって誘発された初代神経ケラチノサイトのNO放出に対する阻害作用が陽性対照物CAPEよりも強いことが証明されている。B1-1、C1-1、D1-1、G1-1の4つの化合物群は、それぞれスチリルスルホン類プロトタイプ化合物3B、3C、3D、3Gと比べて、変わらないか又は高い阻害率を有し、これらの化合物は、カルバメート官能基が導入されていないプロトタイプ化合物と比べて、LPSによって誘発された初代神経ケラチノサイトのNO放出に対する保護作用にある程度の増強が見られることが証明されている。
【0121】
実施例25:目標化合物のパーキンソン病モデルマウスに対する神経保護活性の評価(中脳p-α-sを評価指標とする)
【0122】
一.実験原理
神経毒素を利用してPD動物モデルを確立することができ、1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン(MPTP)は、現在、唯一に公認される、ヒト及び非ヒト霊長類動物ならびにマウスのPD症状を誘発し得る合成毒素である。MPTP亜急性モデルの確立方法を利用して、C57BL/6Jオスマウスに対して、1日に1回、5日間連続して30mg/kgのMPTPを腹腔内注射した。実験動物をブランク対照群と、MPTPモデル群と、化合物治療群とに分けた。MPTPモデル群及び化合物治療群に対して、モデル確立終了後、21日間連続して化合物を胃内注入し、MPTPモデル群に対して、モデル確立終了後、21日間連続して生理食塩水を胃内注入し、ブランク対照群に対して、まず、5日間、生理食塩水を腹腔内注射し、次いで、21日間、生理食塩水を胃内注入した。
【0123】
α-シヌクレインは、天然状態において「非フォールディングタンパク質」であり、単量体の形で存在し、神経伝達物質の放出、シナプス連結の構築およびシナプスの可塑性調節などの生理機能に参与する。病理学の状態において、α-シヌクレインの90%以上は、129位にセリンがリン酸化してリン酸化されたα-シヌクレイン(p-α-s)に転化し、レビー小体を形成する。レビー小体の形成は、パーキンソン病の主な病理学的な発現及び病理学的な機序の1つであり、PDの形成及び進行において重要な役を演ずる。PDモデルマウスの中脳及び黒質中のp-α-s発現状況を検出することにより、化合物の神経保護活性を評価することができる。
【0124】
二.実験方法
各群の実験マウスの半分を採取し、中脳の総タンパク質を抽出し、GAPDHを内部参照として使用し、western-blot法により中脳p-α-sタンパク質発現量の変化を検測した。実験は、ブランク対照群、MPTPモデル群、陽性対照群(カフェイン酸フェネチルCAPE)、プロトタイプ対照群(スチリルスルホン類化合物3B、3C、3Dと3G、その構造式は、前記の通り)及び目標化合物群を含む。
【0125】
三.実験結果
各群のパーキンソン病モデルマウス中脳p-α-sタンパク質発現量の変化に対する影響を以下の表に示す。
【0126】
【表9】
【表10】
【0127】
*B1-1、C1-1、D1-1及びG1-1の4つの化合物群のみを、それぞれ対応する構造のプロトタイプ化合物(即ち、スチリルスルホン類3B、3C、3D及び3G)と比較分析する
【0128】
モデル群と比較して、全ての化合物群のp-α-sタンパク質発現量は、統計学の有意差の低下が見られ、これらの化合物がパーキンソン病モデルマウス中脳p-α-sタンパク質発現量の上昇に対して明らかな阻害作用を有することが証明されている。全ての化合物群は、陽性対照物CAPEと比べて、p-α-sタンパク質発現量が変わらないか又はやや顕著又は顕著に低下し、これらの化合物のパーキンソン病モデルマウス中脳p-α-sタンパク質発現量上昇に対する阻害作用は陽性対照物CAPEと相当するか、ひいてはより強いことが証明されている。B1-1、C1-1、D1-1、G1-1の4つの化合物群は、それぞれスチリルスルホン類プロトタイプ化合物3B、3C、3D、3Gと比べて、変わらないか又は顕著に低い発現量が見られ、カルバメート官能基が導入されていないプロトタイプ化合物と比べて、これらの化合物は、パーキンソン病モデルマウス中脳p-α-sタンパク質発現量上昇に対する阻害作用がやや顕著な増強が見られることが証明されている。
【0129】
実施例26:目標化合物のパーキンソン病モデルマウスに対する神経保護活性の評価(黒質p-α-sを評価指標とする)
【0130】
一.実験原理
実施例25と同様である。
【0131】
二.実験方法
各群の実験マウスの半分を採取し、灌流して、固定後に中脳を採取し、組織をトリミングし、黒質-線条体領域を取り、パラフィン切片を制作し、各群のマウスの脳切片にp-α-s免疫蛍光染色を行い、p-α-sの発現情况を観察し、p-α-sタンパク質発現量の変化を統計した。実験は、ブランク対照群、MPTPモデル群、陽性対照群(カフェイン酸フェネチルCAPE)、プロトタイプ対照群(スチリルスルホン類化合物3B、3C、3Dと3G、その構造式は、前記の通り)及び目標化合物群を含む。
【0132】
三.実験結果
各群のパーキンソン病モデルマウス黒質p-α-sタンパク質発現量の変化に対する影響を以下の表に示す。
【0133】
【表11】
【表12】
【0134】
* 発現量は、ブランク対照群の免疫蛍光強度の平均値に占めす各群の免疫蛍光強度の百分率で示す
【0135】
**B1-1、C1-1、D1-1及びG1-1の4つの化合物群のみを、それぞれ対応する構造のプロトタイプ化合物(即ち、スチリルスルホン類3B、3C、3D及び3G)と比較分析する
【0136】
モデル群と比較して、全ての化合物群のp-α-sタンパク質発現量は、統計学の有意差の低下が見られ、これらの化合物がパーキンソン病モデルマウス黒質p-α-sタンパク質発現量の上昇に対して明らかな阻害作用を有することが証明されている。ほとんどの化合物は、陽性対照物CAPEと比べて、p-α-sタンパク質発現量が顕著に低下し、これらの化合物は、パーキンソン病モデルマウス黒質p-α-sタンパク質発現量上昇に対する阻害作用が陽性対照物CAPEよりも強いことが証明されている。B1-1、C1-1、D1-1、G1-1の4つの化合物群は、それぞれスチリルスルホン類プロトタイプ化合物3B、3C、3D、3Gと比べて、変わらないか又は顕著に低い発現量が見られ、これらの化合物は、カルバメート官能基が導入されていないプロトタイプ化合物と比べて、パーキンソン病モデルマウス黒質p-α-sタンパク質発現量上昇に対する阻害作用がやや顕著な増強が見られることが証明されている。
【0137】
実施例27:目標化合物のパーキンソン病モデルマウスに対する神経保護活性の評価(中脳THを評価指標とする)
【0138】
一.実験原理
PDモデルマウスの原理及び確立方法は実施例25と同様である。
【0139】
PDの主な原因は、大脳黒質-線条体投射系の病変発生、ドパミン作動性ニューロンの進行性変性、欠損である。チロシンヒドロキシラーゼ(TH)は、カテコールアミン類神経伝達物質の生合成における最初の酵素であり、ドパミン合成の最初の律速酵素であり、神経伝達物質DAの合成代謝において重要な役割を果たし、PD動物モデル及び患者のTHは、遺伝子発現から酵素タンパク質の含有量及び酵素活性まで広い異常、変化がある。PDモデルマウスの中脳及び黒質中のTH発現状況を検出することにより、化合物の神経保護活性を評価することができる。
【0140】
二.実験方法
各群の実験マウスの半分を採取し、中脳の総タンパク質を抽出し、GAPDHを内部参照として使用し、western-blot法を采用して中脳THの変化を検測した。実験は、ブランク対照群、MPTPモデル群、陽性対照群(カフェイン酸フェネチルCAPE)、プロトタイプ対照群(スチリルスルホン類化合物3B、3C、3Dと3G、その構造式は、前記の通り)及び目標化合物群を含む。
【0141】
三.実験結果
各群のパーキンソン病モデルマウス中脳TH発現量変化に対する影響を以下の表に示す。
【0142】
【表13】
【表14】
【0143】
*B1-1、C1-1、D1-1及びG1-1の4つの化合物群のみを、それぞれ対応する構造のプロトタイプ化合物(即ち、スチリルスルホン類3B、3C、3D及び3G)と比較分析する
【0144】
モデル群と比較して、全ての化合物群のTH発現量は、統計学な有意差の上昇が見られ、これらの化合物がパーキンソン病モデルマウス中脳TH発現に対して明らかな保護作用を有することが証明されている。ほとんどの化合物は、陽性対照物CAPEと比べて、TH発現量が変わらないか又はやや顕著又は顕著に上昇し、これらの化合物のパーキンソン病モデルマウス中脳TH発現の保護作用は陽性対照物CAPEと相当するか、ひいてはより強いことが証明されている。B1-1、C1-1、D1-1、G1-1の4つの化合物群は、それぞれスチリルスルホン類プロトタイプ化合物3B、3C、3D、3Gと比べて、顕著に高い発現量が見られ、これらの化合物は、カルバメート官能基が導入されていないプロトタイプ化合物と比べて、パーキンソン病モデルマウス中脳TH発現に対する保護作用の増強が見られることが証明されている。
【0145】
実施例28:目標化合物のパーキンソン病モデルマウスの神経保護活性の評価(黒質THを評価指標とする)
【0146】
一.実験原理
実施例27と同様である。
【0147】
二.実験方法
各群の実験マウスの半分を採取し、灌流して、固定後に中脳を採取し、組織をトリミングし、黒質-線条体領域を取り、パラフィン切片を制作し、各群のマウスの脳切片にTH免疫蛍光染色を行い、THの発現情况を観察し、TH陽性発現ニューロン数量の変化を統計した。実験は、ブランク対照群、MPTPモデル群、陽性対照群(カフェイン酸フェネチルCAPE)、プロトタイプ対照群(スチリルスルホン類化合物3B、3C、3Dと3G、その構造式は、前記の通り)及び目標化合物群を含む。
【0148】
三.実験結果
各群のパーキンソン病モデルマウス黒質TH発現量変化に対する影響を以下の表に示す。
【0149】
【表15】
【表16】
【0150】
* 発現量は、ブランク対照群の免疫蛍光強度の平均値に占めす各群の免疫蛍光強度の百分率で示す
【0151】
**B1-1、C1-1、D1-1及びG1-1の4つの化合物群のみを、それぞれ対応する構造のプロトタイプ化合物(即ち、スチリルスルホン類3B、3C、3D及び3G)と比較分析する
【0152】
モデル群と比較して、全ての化合物群のTH発現量は、統計学の有意差の上昇が見られ、これらの化合物がパーキンソン病モデルマウス黒質TH発現に対して明らかな保護作用を有することが証明されている。全ての化合物群は、陽性対照物CAPEと比べて、TH発現量が変わらないか又はやや顕著又は顕著に上昇し、これらの化合物のパーキンソン病モデルマウス黒質TH発現の保護作用は陽性対照物CAPEと相当するか、ひいてはより強いことが証明されている。B1-1、C1-1、D1-1、G1-1の4つの化合物群は、それぞれスチリルスルホン類プロトタイプ化合物3B、3C、3D、3Gと比べて、変わらないか又は顕著に高い発現量が見られ、これらの化合物は、カルバメート官能基が導入されていないプロトタイプ化合物と比べて、パーキンソン病モデルマウス黒質TH発現に対する保護作用がやや顕著な増強が見られることが証明されている。
【0153】
実施例29:目標化合物のパーキンソン病モデルマウスに対する神経保護作用機序の研究(p38 MAPKリン酸化活性化に対する阻害作用について、中脳pp38を評価指標とする)
【0154】
一.実験原理
p38マイトージェン活性化プロテインキナーゼ(p38 MAPK)は、ニューロン、神経グリア細胞のいずれにおいても発現し、ニューロン-グリア細胞ネットワーク情報制御の合流点であり、p38シグナル経路の活性化は、ニューロン変性の重要な初期化因子であり、複数のルートからドパミン作動性ニューロンのアポトーシスを誘導し続け、現在では、PD治療の研究焦点となっている。CAPEの、グルタミン酸で誘導された初代培養小脳顆粒ニューロンに対する死亡保護機序は、p38リン酸化の活性化を阻害し、さらにcaspase3 アポトーシスルートの活性化を阻害し、ニューロンのアポトーシスを阻止することであることを示す研究がある。従って、MPTPで誘導されたPDマウスモデルを採用して、動物全体のレベルで目標化合物のp38リン酸化活性化に対する阻害作用を考察することができる。
【0155】
二.実験方法
各群の実験マウスの半分を採取し、中脳の総タンパク質を抽出し、GAPDHを内部参照として使用し、western-blot法を采用して中脳リン酸化p38タンパク質発現量の変化を検測した。実験は、ブランク対照群、MPTPモデル群、陽性対照群(カフェイン酸フェネチルCAPE)、プロトタイプ対照群(スチリルスルホン類化合物3B、3C、3Dと3G、その構造式は、前記の通り)及び目標化合物群を含む。
【0156】
三.実験結果
各群のパーキンソン病モデルマウス中脳pp38タンパク質発現量の変化に対する影響を以下の表に示す。
【0157】
【表17】
【表18】
【0158】
*B1-1、C1-1、D1-1及びG1-1の4つの化合物群のみを、それぞれ対応する構造のプロトタイプ化合物(即ち、スチリルスルホン類3B、3C、3D及び3G)と比較分析する
【0159】
モデル群と比較して、全ての化合物群のpp38タンパク質発現量は、統計学の有意差の低下が見られ、これらの化合物がパーキンソン病モデルマウス中脳pp38タンパク質発現量の上昇に対して明らかな阻害作用を有することが証明されている。全ての化合物群は、陽性対照物CAPEと比べて、pp38タンパク質発現量が変わらないか又はやや顕著又は顕著に低下し、これらの化合物のパーキンソン病モデルマウス中脳pp38タンパク質発現量上昇に対する阻害作用は陽性対照物CAPEと相当するか、ひいてはより強いことが証明されている。B1-1、C1-1、D1-1、G1-1の4つの化合物群は、それぞれスチリルスルホン類プロトタイプ化合物3B、3C、3D、3Gと比べて、変わらないか又は顕著に低い発現量が見られ、これらの化合物は、カルバメート官能基が導入されていないプロトタイプ化合物と比べて、パーキンソン病モデルマウス中脳pp38タンパク質発現量上昇に対する阻害作用がやや顕著な増強が見られることが証明されている。
【0160】
実施例30:目標化合物のパーキンソン病モデルマウスに対する神経保護作用機序の研究(p38 MAPKリン酸化活性化に対する阻害作用について、黒質pp38を評価指標とする)
【0161】
一.実験原理
実施例29と同様である。
【0162】
二.実験方法
各群の実験マウスの半分を採取し、灌流して、固定後に中脳を採取し、組織をトリミングし、取黒質-線条体領域を取り、パラフィン切片を制作し、THとリン酸化p38の免疫蛍光二重染色を行い、THとリン酸化p38の共発現情况を観察し、リン酸化p38タンパク質発現量の変化を統計した。実験は、ブランク対照群、MPTPモデル群、陽性対照群(カフェイン酸フェネチルCAPE)、プロトタイプ対照群(スチリルスルホン類化合物3B、3C、3Dと3G、その構造式は、前記の通り)及び目標化合物群を含む。
【0163】
三.実験結果
各群のパーキンソン病モデルマウス黒質pp38タンパク質発現量の変化に対する影響を以下の表に示す。
【0164】
【表19】
【表20】
【0165】
* 発現量は、ブランク対照群の免疫蛍光強度の平均値に占めす各群の免疫蛍光強度の百分率で示す
【0166】
**B1-1、C1-1、D1-1及びG1-1の4つの化合物群のみを、それぞれ対応する構造のプロトタイプ化合物(即ち、スチリルスルホン類3B、3C、3D及び3G)と比較分析する
【0167】
モデル群と比較して、全ての化合物群のpp38タンパク質発現量は、統計学の有意差の低下が見られ、これらの化合物がパーキンソン病モデルマウス黒質pp38タンパク質発現量の上昇に対して明らかな阻害作用を有することが証明されている。全ての化合物群は、陽性対照物CAPEと比べて、pp38タンパク質発現量が顕著又はやや顕著に低下し、これらの化合物は、パーキンソン病モデルマウス黒質pp38タンパク質発現量上昇に対する阻害作用が陽性対照物CAPEよりも強いことが証明されている。B1-1、C1-1、D1-1、G1-1の4つの化合物群は、それぞれスチリルスルホン類プロトタイプ化合物3B、3C、3D、3Gと比べて、変わらないか又は顕著に低い発現量が見られ、これらの化合物は、カルバメート官能基が導入されていないプロトタイプ化合物と比べて、パーキンソン病モデルマウス黒質pp38タンパク質発現量上昇に対する阻害作用がやや顕著な増強が見られることが証明されている。
【0168】
実施例31:目標化合物のパーキンソン病モデルマウスに対する神経保護作用機序の研究(神経グリア細胞の活性化に対する阻害作用について、中脳CD11bを評価指標とする)
【0169】
一.実験原理
神経グリア細胞は、ニューロンの成長をサポートすること、及び中枢神経系の免疫生体内環境の定常状態を維持することに対して重要な役割を果たすことを示す証拠がますます多くなっている。ニューロン-グリア細胞ネットワークの定常状態のバランス崩れは、PDにおいて黒質中のDA作動性ニューロンが選択的に、進行的に死亡する重要な要素である。MPTPの神経毒性作用により、ミクログリア細胞及びアストロサイト細胞が過度に活性化して複数種の炎症誘発細胞因子および活性酸素(ROS)が発生し、これらの炎症因子及びROSがそれぞれ各自の毒性を強め、悪性フィードバック循環を媒介し、カスケード・ウォーターホール様炎症反応を誘発し、PDの病理進行過程を深刻化する。CD11b及びGFAPはそれぞれミクログリア細胞及びアストロサイト細胞の活性化のマーカータンパク質である。したがって、目標化合物の、MPTPで誘導されたPDマウス黒質領域、海馬領域および中脳のミクログリア細胞及びアストロサイト細胞の活性化に対する影響を考察し、目標化合物が神経炎症を阻害することで抗PDを機能する機序を検討することができる。
【0170】
二.実験方法
各群の実験マウスの半分を採取し、中脳の総タンパク質を抽出し、GAPDHを内部参照として使用し、western-blot法により中脳CD11bタンパク質発現量の変化を検測した。実験は、ブランク対照群、MPTPモデル群、陽性対照群(カフェイン酸フェネチルCAPE)、プロトタイプ対照群(スチリルスルホン類化合物3B、3C、3Dと3G、その構造式は、前記の通り)及び目標化合物群を含む。
【0171】
三.実験結果
各群のパーキンソン病モデルマウス中脳CD11bタンパク質発現量の変化に対する影響を以下の表に示す。
【0172】
【表21】
【表22】
【0173】
*B1-1、C1-1、D1-1及びG1-1の4つの化合物群のみを、それぞれ対応する構造のプロトタイプ化合物(即ち、スチリルスルホン類3B、3C、3D及び3G)と比較分析する
【0174】
モデル群と比較して、全ての化合物群のCD11bタンパク質発現量は、統計学の有意差の低下が見られ、これらの化合物がパーキンソン病モデルマウス中脳CD11bタンパク質発現量の上昇に対して明らかな阻害作用を有することが証明されている。ほとんどの化合物は、陽性対照物CAPEと比べて、CD11bタンパク質発現量が顕著又はやや顕著に低下し、これらの化合物は、パーキンソン病モデルマウス中脳CD11bタンパク質発現量上昇に対する阻害作用が陽性対照物CAPEよりも強いことが証明されている。B1-1、C1-1、D1-1、G1-1の4つの化合物群は、それぞれスチリルスルホン類プロトタイプ化合物3B、3C、3D、3Gと比べて、変わらないか又はより低い発現量が見られ、これらの化合物は、カルバメート官能基が導入されていないプロトタイプ化合物と比べて、パーキンソン病モデルマウス中脳CD11bタンパク質発現量上昇に対する阻害作用がやや顕著な増強が見られることが証明されている。
【0175】
実施例32:目標化合物のパーキンソン病モデルマウスの神経保護作用機序の研究(神経グリア細胞活性化に対する阻害作用について、黒質CD11bを評価指標とする)
【0176】
一.実験原理
実施例31と同様である。
【0177】
二.実験方法
各群の実験マウスの半分を採取し、灌流して、固定後に中脳を採取し、組織をトリミングし、黒質領域を取り、パラフィン切片を制作し、CD11b免疫組織化学染色を行い、CD11b陽性発現ミクログリア細胞数の変化を統計した。実験は、ブランク対照群、MPTPモデル群、陽性対照群(カフェイン酸フェネチルCAPE)、プロトタイプ対照群(スチリルスルホン類化合物3B、3C、3Dと3G、その構造式は、前記の通り)及び目標化合物群を含む。
【0178】
三.実験結果
各群のパーキンソン病モデルマウス黒質CD11b陽性発現ミクログリア細胞数の変化に対する影響を以下の表に示す。
【0179】
【表23】
【表24】
【0180】
*B1-1、C1-1、D1-1及びG1-1の4つの化合物群のみを、それぞれ対応する構造のプロトタイプ化合物(即ち、スチリルスルホン類3B、3C、3D及び3G)と比較分析する
【0181】
モデル群と比較して、全ての化合物群のCD11b陽性発現ミクログリア細胞数は、統計学の有意差の低下が見られ、これらの化合物がパーキンソン病モデルマウス黒質CD11b陽性発現ミクログリア細胞数の上昇に対して明らかな阻害作用を有することが証明されている。全ての化合物群は、陽性対照物CAPEと比べて、CD11b陽性発現ミクログリア細胞数が顕著又はやや顕著に低下し、これらの化合物は、パーキンソン病モデルマウス黒質CD11b陽性発現ミクログリア細胞数の上昇に対する阻害作用が陽性対照物CAPEよりも強いことが証明されている。B1-1、C1-1、D1-1、G1-1の4つの化合物群は、それぞれスチリルスルホン類プロトタイプ化合物3B、3C、3D、3Gと比べて、顕著に低い陽性細胞数が見られ、これらの化合物は、カルバメート官能基が導入されていないプロトタイプ化合物と比べて、パーキンソン病モデルマウス黒質CD11b陽性発現ミクログリア細胞数の上昇に対する阻害作用が顕著な増強が見られることが証明されている。
【0182】
実施例33:目標化合物のパーキンソン病モデルマウスの神経保護作用機序の研究(神経グリア細胞活性化に対する阻害作用について、海馬CD11bを評価指標とする)
【0183】
一.実験原理
実施例35と同様である。
【0184】
二.実験方法
各群の実験マウスの半分を採取し、灌流して、固定後に中脳を採取し、組織をトリミングし、海馬領域を取り、パラフィン切片を制作し、CD11b免疫組織化学染色を行い、CD11b陽性発現ミクログリア細胞数の変化を統計した。実験は、ブランク対照群、MPTPモデル群、陽性対照群(カフェイン酸フェネチルCAPE)、プロトタイプ対照群(スチリルスルホン類化合物3B、3C、3Dと3G、その構造式は、前記の通り)及び目標化合物群を含む。
【0185】
三.実験結果
各群のパーキンソン病モデルマウスの海馬CD11b陽性発現ミクログリア細胞数の変化に対する影響を以下の表に示す。
【0186】
【表25】
【表26】
【0187】
*B1-1、C1-1、D1-1及びG1-1の4つの化合物群のみを、それぞれ対応する構造のプロトタイプ化合物(即ち、スチリルスルホン類3B、3C、3D及び3G)と比較分析する
【0188】
モデル群と比較して、全ての化合物群のCD11b陽性発現ミクログリア細胞数は、統計学の有意差の低下が見られ、これらの化合物がパーキンソン病モデルマウスの海馬CD11b陽性発現ミクログリア細胞数の上昇に対して明らかな阻害作用を有することが証明されている。全ての化合物群は、陽性対照物CAPEと比べて、CD11b陽性発現ミクログリア細胞数が顕著に低下し、これらの化合物は、パーキンソン病モデルマウスの海馬CD11b陽性発現ミクログリア細胞数の上昇に対する阻害作用が陽性対照物CAPEよりも強いことが証明されている。B1-1、C1-1、D1-1、G1-1の4つの化合物群は、それぞれスチリルスルホン類プロトタイプ化合物3B、3C、3D、3Gと比べて、顕著に低い陽性細胞数が見られ、これらの化合物は、カルバメート官能基が導入されていないプロトタイプ化合物と比べて、パーキンソン病モデルマウスの海馬CD11b陽性発現ミクログリア細胞数の上昇に対する阻害作用が顕著な増強が見られることが証明されている。
【0189】
実施例34:目標化合物のパーキンソン病モデルマウスの神経保護作用機序の研究(神経グリア細胞活性化に対する阻害作用について、黒質GFAPを評価指標とする)
【0190】
一.実験原理
実施例31と同様である。
【0191】
二.実験方法
各群の実験マウスの半分を採取し、灌流して、固定後に中脳を採取し、組織をトリミングし、黒質領域を取り、パラフィン切片を制作し、GFAP免疫組織化学染色を行い、GFAP陽性発現アストロサイト細胞数の変化を統計した。実験は、ブランク対照群、MPTPモデル群、陽性対照群(カフェイン酸フェネチルCAPE)、プロトタイプ対照群(スチリルスルホン類化合物3B、3C、3Dと3G、その構造式は、前記の通り)及び目標化合物群を含む。
【0192】
三.実験結果
各群のパーキンソン病モデルマウス黒質GFAP陽性発現アストロサイト細胞数の変化に対する影響を以下の表に示す。
【0193】
【表27】
【表28】
【0194】
*B1-1、C1-1、D1-1及びG1-1の4つの化合物群のみを、それぞれ対応する構造のプロトタイプ化合物(即ち、スチリルスルホン類3B、3C、3D及び3G)と比較分析する
【0195】
モデル群と比較して、全ての化合物群のGFAP陽性発現アストロサイト細胞数は、統計学の有意差の低下が見られ、これらの化合物がパーキンソン病モデルマウス黒質GFAP陽性発現アストロサイト細胞数の上昇に対して明らかな阻害作用を有することが証明されている。全ての化合物群は、陽性対照物CAPEと比べて、GFAP陽性発現アストロサイト細胞数が顕著に低下し、これらの化合物は、パーキンソン病モデルマウス黒質GFAP陽性発現アストロサイト細胞数の上昇に対する阻害作用が陽性対照物CAPEよりも強いことが証明されている。B1-1、C1-1、D1-1、G1-1の4つの化合物群は、それぞれスチリルスルホン類プロトタイプ化合物3B、3C、3D、3Gと比べて、顕著に低い陽性細胞数が見られ、これらの化合物は、カルバメート官能基が導入されていないプロトタイプ化合物と比べて、パーキンソン病モデルマウス黒質GFAP陽性発現アストロサイト細胞数の上昇に対する阻害作用が顕著な増強が見られることが証明されている。
【0196】
実施例35:目標化合物のパーキンソン病モデルマウスの神経保護作用機序の研究(神経グリア細胞活性化に対する阻害作用について、海馬GFAPを評価指標とする)
【0197】
一.実験原理
実施例31と同様である。
【0198】
二.実験方法
各群の実験マウスの半分を採取し、灌流して、固定後に中脳を採取し、組織をトリミングし、海馬領域を取り、パラフィン切片を制作し、GFAP免疫組織化学染色を行い、GFAP陽性発現アストロサイト細胞数の変化を統計した。実験は、ブランク対照群、MPTPモデル群、陽性対照群(カフェイン酸フェネチルCAPE)、プロトタイプ対照群(スチリルスルホン類化合物3B、3C、3Dと3G、その構造式は、前記の通り)及び目標化合物群を含む。
【0199】
三.実験結果
各群のパーキンソン病モデルマウスの海馬GFAP陽性発現アストロサイト細胞数の変化に対する影響を以下の表に示す。
【0200】
【表29】
【表30】
【0201】
*B1-1、C1-1、D1-1及びG1-1の4つの化合物群のみを、それぞれ対応する構造のプロトタイプ化合物(即ち、スチリルスルホン類3B、3C、3D及び3G)と比較分析する
【0202】
モデル群と比較して、全ての化合物群のGFAP陽性発現アストロサイト細胞数は、統計学の有意差の低下が見られ、これらの化合物がパーキンソン病モデルマウスの海馬GFAP陽性発現アストロサイト細胞数の上昇に対して明らかな阻害作用を有することが証明されている。全ての化合物群は、陽性対照物CAPEと比べて、GFAP陽性発現アストロサイト細胞数が顕著に低下し、これらの化合物は、パーキンソン病モデルマウスの海馬GFAP陽性発現アストロサイト細胞数の上昇に対する阻害作用が陽性対照物CAPEよりも強いことが証明されている。B1-1、C1-1、D1-1、G1-1の4つの化合物群は、それぞれスチリルスルホン類プロトタイプ化合物3B、3C、3D、3Gと比べて、顕著に低い陽性細胞数が見られ、これらの化合物は、カルバメート官能基が導入されていないプロトタイプ化合物と比べて、パーキンソン病モデルマウスの海馬GFAP陽性発現アストロサイト細胞数の上昇に対する阻害作用が顕著な増強が見られることが証明されている。
【0203】
実施例36:目標化合物のパーキンソン病モデルマウスに対する神経保護作用機序の研究(酸化ストレスによる損傷に対する阻害作用について、HO-1を評価指標とする)
【0204】
一.実験原理
酸化ストレスは、PDの重要な誘発機序であり、ドパミン作動性ニューロンは、より酸化ストレスに敏感であり、より酸化ストレスによる損傷を受けやすい。ヘムオキシゲナーゼ(HO-1)は、第II相酵素であり、名高い抗酸化酵素であり、ラジカルの非毒性生成物への転化を触媒すること、およびその水溶性を増加することにより、ラジカルの消去に寄与して重要な保護作用を発揮し、生体の酸化還元のバランスを維持し、細胞を保護して酸化ストレスによる損傷を防止する過程において重要な役割を果たす。p38タンパク質のリン酸化の活性化は、第II相酵素に対してマイナス方向の調節作用を有し、研究により、PDマウスモデル及び細胞モデルにおいて、p38の活性化を阻害してNADPH酸化酵素の発現を低下させることにより、HO-1の発現を向上させ、酸化による損傷を防止できることが明らかにされている。HO-1を指標として採用することにより、目標化合物の、MPTPで誘導されたPDマウス酸化ストレスによる損傷に対する阻害作用を考察することができる。
【0205】
二.実験方法
HO-1は、アストロサイト細胞、ミクログリア細胞及ニューロンのいずれにおいても発現し、各実験群のマウス中脳組織の総タンパク質を抽出し、GAPDHを内部参照として使用し、Western blot法によりマウス中脳第II相酵素HO-1の発現情况を検測した。実験は、ブランク対照群、MPTPモデル群、陽性対照群(カフェイン酸フェネチルCAPE)、プロトタイプ対照群(スチリルスルホン類化合物3B、3C、3Dと3G、その構造式は、前記の通り)及び目標化合物群を含む。
【0206】
三.実験結果
各群のパーキンソン病モデルマウス中脳HO-1の発現量変化に対する影響を以下の表に示す。
【0207】
【表31】
【表32】
【0208】
*B1-1、C1-1、D1-1及びG1-1の4つの化合物群のみを、それぞれ対応する構造のプロトタイプ化合物(即ち、スチリルスルホン類3B、3C、3D及び3G)と比較分析する
【0209】
モデル群と比較して、全ての化合物群のHO-1の発現量は、統計学の有意差の上昇が見られ、これらの化合物がパーキンソン病モデルマウス中脳HO-1の発現に対して明らかな上昇作用があり、酸化の損傷の抑制に有用することが証明されている。全ての化合物群は、陽性対照物CAPEと比べて、HO-1の発現量が顕著の上昇が見られ、これらの化合物がパーキンソン病モデルマウス中脳HO-1の発現に対する上昇作用は、陽性対照物CAPEよりも強く、酸化の損傷を更に抑制できることが証明されている。B1-1、C1-1、D1-1、G1-1の4つの化合物群は、それぞれスチリルスルホン類プロトタイプ化合物3B、3C、3D、3Gと比べて、顕著に高い発現量が見られ、これらの化合物は、カルバメート官能基が導入されていないプロトタイプ化合物と比べて、パーキンソン病モデルマウス中脳HO-1の発現に対する上昇作用が顕著な増強が見られることが証明されている。
【0210】
実施例37:目標化合物のパーキンソン病モデルマウスに対する神経保護作用機序の研究(酸化ストレスによる損傷に対する阻害作用について、GCLCを評価指標とする)
【0211】
一.実験原理
酸化ストレスは、PDの重要な誘発機序であり、ドパミン作動性ニューロンは、より酸化ストレスに敏感であり、より酸化ストレスによる損傷を受けやすい。グルタチオン(GSH)は、細胞内の重要な抗酸化物質であり、グルタミン酸システインリガーゼ(GCL)は、GSH合成律速酵素であり、触媒サブユニット(GCLC)及び調整サブユニット(GCLM)で構成される。GCLC発現の増加により、GSHの合成を促進し、組織細胞の抗酸化ストレス能力を強化することができる。GCLは第II相酵素に属し、ラジカルの非毒性生成物への転化を触媒すること、及びその水溶性を増加することにより、ラジカルの消去に寄与して重要な保護作用を発揮し、生体の酸化還元のバランスを維持し、細胞を保護して酸化ストレスによる損傷を防止する過程において重要な役割を果たす。p38タンパク質のリン酸化の活性化は、第II相酵素に対してマイナス方向の調節作用を有し、研究により、PDマウスモデル及び細胞モデルにおいて、p38の活性化を阻害してNADPH酸化酵素の発現を低下させることにより、GCLCの発現を向上させ、酸化による損傷を防止できることが明らかにされている。GCLCを指標として採用することにより、目標化合物の、MPTPで誘導されたPDマウス酸化ストレスによる損傷に対する阻害作用を考察することができる。
【0212】
二.実験方法
GCLCは、アストロサイト細胞、ミクログリア細胞及ニューロンのいずれにおいても発現し、各実験群のマウス中脳組織の総タンパク質を抽出し、GAPDHを内部参照として使用し、Western blot 法によりマウス中脳第II相酵素HO-1の発現情况を検測した。実験は、ブランク対照群、MPTPモデル群、陽性対照群(カフェイン酸フェネチルCAPE)、プロトタイプ対照群(スチリルスルホン類化合物3B、3C、3Dと3G、その構造式は、前記の通り)及び目標化合物群を含む。
【0213】
三.実験結果
各群のパーキンソン病モデルマウス中脳GCLCの発現量変化に対する影響を以下の表に示す。
【0214】
【表33】
【表34】
【0215】
*B1-1、C1-1、D1-1及びG1-1の4つの化合物群のみを、それぞれ対応する構造のプロトタイプ化合物(即ち、スチリルスルホン類3B、3C、3D及び3G)と比較分析する
【0216】
モデル群と比較して、全ての化合物群のGCLCの発現量は、統計学の有意差の上昇が見られ、これらの化合物がパーキンソン病モデルマウス中脳GCLCの発現に対して明らかな上昇作用があり、酸化の損傷の抑制に有用することが証明されている。全ての化合物群は、陽性対照物CAPEと比べて、GCLCの発現量が顕著の上昇が見られ、これらの化合物がパーキンソン病モデルマウス中脳GCLCの発現に対する上昇作用は、陽性対照物CAPEよりも強く、酸化の損傷を更に抑制できることが証明されている。B1-1、C1-1、D1-1、G1-1の4つの化合物群は、それぞれスチリルスルホン類プロトタイプ化合物3B、3C、3D、3Gと比べて、顕著に高い発現量が見られ、これらの化合物は、カルバメート官能基が導入されていないプロトタイプ化合物と比べて、パーキンソン病モデルマウス中脳GCLCの発現に対する上昇作用が顕著な増強が見られることが証明されている。
【0217】
実施例38:目標化合物のコリンエステラーゼに対する阻害活性の評価(アセチルコリンエステラーゼIC50値を評価指標とする)
【0218】
一.実験原理
中枢コリン作動系は、中枢神経系の重要な組成部分であり、アセチルコリン(ACh)およびブチリルコリン(BCh)は、中枢コリン作動性ニューロンの合成および分泌に対して重要な神経伝達物質であり、各種のコリン作動性受容体に特異的に作用し、シナプス可塑性の調節、学習記憶機能などに対して重要な作用を有する。従って、神経伝達物質の合成、放出及び摂取などの代謝機能に障害が発生し、あるいはコリン作動性受容体及びポストレセプターシグナル伝達が破壊される場合、学習記憶機能の減退を招くことができる。研究により、PD患者の前頭葉、側頭葉、頭頂葉及び右側海馬などの皮質中のコリントランスフェラーゼ活性の低下、コリン作動性ニューロンの損害は、PD認知機能障害及び認知症が発生する主な生化学の機序であることが明らかにされている。目標化合物の、2種類のコリンエステラーゼに対する阻害活性を評価することにより、PD認知機能障害及び認知症に対する可能な治療効果を評価することができる。
【0219】
二.実験方法
改良されたEllman法を採用してアセチルコリンエステラーゼ阻害活性を測定し、その原理は、アセチルチオコリンヨージドがアセチルコリンエステラーゼ(AchE)の作用により分解し、チオコリンを生成し、チオコリンが顕色剤DTNBと迅速に作用し、黄色物質を生成し、405nmで光吸収が見られることである。96ウェルイライザプレートに、50μlの酵素反応緩衝液と、125μlのDTNB(3mM)と、25μlの測定すべき試料又は陽性対照薬と、25μlのAchE(0.2U/ml)と、をこの順に添加し、室温で5minインキュベートした後、25μlのATCI(15mM)を添加し、室温で8minインキュベートした後、イライザを用いて405nmでその吸光度の値を測定した。また、酵素を添加しなかったブランク対照群を設置した(測定すべき試料の代わりに25μlのPBSを用いた)。測定結果に基づいて阻害率を算出し、相応する化合物のモル濃度の負の対数を横座標とし、酵素阻害率を縦座標とし、線形方程式を得た。阻害率が50%である場合、当該化合物のモル濃度、即ち、当該化合物のIC50値を算出する。実験は、ブランク対照群、CAPE対照群、プロトタイプ対照群(スチリルスルホン類化合物3B、3C、3D及び3Gであり、その構造式が前述した通りである)、陽性薬対照群(リバスチグミンRivastigmine)及び目標化合物群を含む。
【0220】
三.実験結果
各群のアセチルコリンエステラーゼに対する阻害作用を以下の表に示す。
【0221】
【表35】
【0222】
全ての化合物群のIC50値は、100μM未満であることが見られ、これらの化合物がアセチルコリンエステラーゼに対して明らかな阻害作用を有することが証明されている。CAPE対照群とプロトタイプ対照群とのIC50値は、いずれも100μMより大きく、これらの化合物が明らかな阻害作用を有しなく、設計された化合物のアセチルコリンエステラーゼ阻害作用は、新しく導入されたカルバメート官能基に由来することが証明されている。陽性対照薬群と比べて、全ての化合物群がより低いIC50値を有し、これらの化合物のアセチルコリンエステラーゼに対する阻害作用が陽性対照薬よりも強いことが証明されている。