(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】靴底洗浄機
(51)【国際特許分類】
A47L 23/26 20060101AFI20230803BHJP
【FI】
A47L23/26
(21)【出願番号】P 2023078395
(22)【出願日】2023-05-11
【審査請求日】2023-05-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】395019993
【氏名又は名称】中島 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】中島 健一
(72)【発明者】
【氏名】中島 康裕
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0116729(KR,A)
【文献】中国実用新案第201088571(CN,Y)
【文献】特開2005-040252(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112790718(CN,A)
【文献】実開昭62-204564(JP,U)
【文献】特開2015-192843(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0076000(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L23/24-23/26
B08B1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴底の付着物を取り除く靴底洗浄機であって、
前記靴底が載置される載置面を有するとともに、前記載置面と前記載置面に対して反対側の裏面とを貫通する複数のスリットが設けられた靴載置板と、
前記靴載置板の前記裏面側に配置された回転ブラシと、
前記回転ブラシを回転させる駆動部と、
を備え、
前記回転ブラシは、
回転軸線を中心に回転する回転軸と、
前記回転軸の外周面に取り付けられた複数の毛によってそれぞれ構成された複数のブラシ部と、
を有し、
複数の前記スリットは、前記回転軸線に沿って互いに所定の間隔を空けて並んでおり、
複数の前記ブラシ部は、複数の前記スリット同士の間隔に対応するように、前記回転軸線に沿って互いに間隔を空けて設けられ、
前記回転ブラシは、前記ブラシ部の前記毛の先端部が前記スリットから突出するように配置され、
前記スリットにおける前記回転軸線に直交する方向の長さは、前記ブラシ部の外周部の直径よりも短
く、
前記回転ブラシは2つ設けられており、2つの前記回転ブラシのうちの一方の前記回転ブラシである第1回転ブラシと他方の前記回転ブラシである第2回転ブラシとは、互いの前記回転軸線同士が平行となるように配置され、
複数の前記スリットは、前記第1回転ブラシに対して設けられた複数の前記スリットである複数の第1スリットと、前記第2回転ブラシに対して設けられた複数の前記スリットである複数の第2スリットとを含み、
前記第1回転ブラシの前記回転軸線と前記第2回転ブラシの前記回転軸線との間隔は、前記第1回転ブラシの前記ブラシ部の外周部の半径と前記第2回転ブラシの前記ブラシ部の外周部の半径との合計の長さよりも小さく、
前記第1回転ブラシと前記第2回転ブラシとは、前記回転軸線に沿った方向において、前記第1回転ブラシの前記ブラシ部と前記第2回転ブラシの前記ブラシ部とが交互に並ぶように配置され、
複数の前記第1スリットと複数の前記第2スリットとは、前記回転軸線に沿った方向において、前記第1スリットと前記第2スリットとが交互に並ぶように設けられ、
前記第1スリットの一部分は、互いに隣接する前記第2スリット同士の間に入り込み、
前記第2スリットの一部分は、互いに隣接する前記第1スリット同士の間に入り込み、
前記第1回転ブラシの前記回転軸線と前記第2回転ブラシの前記回転軸線との中間位置においても、前記第1スリットから前記第1回転ブラシの前記毛の先端部が突出し、前記第2スリットから前記第2回転ブラシの前記毛の先端部が突出するように、前記靴載置板に対して前記第1回転ブラシ及び前記第2回転ブラシが配置されている、靴底洗浄機。
【請求項2】
前記第1回転ブラシの前記回転軸において、互いに隣接する前記ブラシ部同士の間には、周方向に延在する第1溝が設けられ、
前記第2回転ブラシの前記回転軸において、互いに隣接する前記ブラシ部同士の間には、周方向に延在する第2溝が設けられ、
前記第1回転ブラシ及び前記第2回転ブラシは、前記第1回転ブラシの前記ブラシ部の先端部が前記第2回転ブラシの前記第2溝内に入り込み、前記第2回転ブラシの前記ブラシ部の先端部が前記第1回転ブラシの前記第1溝内に入り込むように配置されている、請求項
1に記載の靴底洗浄機。
【請求項3】
前記駆動部は、
前記第1スリットから突出する前記第1回転ブラシの前記毛の先端部が前記第2回転ブラシ側に向って移動するように、前記第1回転ブラシを回転させ、
前記第2スリットから突出する前記第2回転ブラシの前記毛の先端部が前記第1回転ブラシ側に向って移動するように、前記第2回転ブラシを回転させる、請求項
2に記載の靴底洗浄機。
【請求項4】
前記第1スリットにおける前記回転軸線に沿った方向の長さは、互いに隣接する前記第2スリット同士の間隔よりも短く、
前記第2スリットにおける前記回転軸線に沿った方向の長さは、互いに隣接する前記第1スリット同士の間隔よりも短く、
前記第1スリットと前記第2スリットとは互いに離間して設けられている、請求項
1に記載の靴底洗浄機。
【請求項5】
前記靴載置板の前記裏面及び前記回転ブラシを覆う形状を呈し、前記靴載置板とによって前記回転ブラシを収容する収容空間を形成するボックス部と、
前記収容空間内を負圧にする吸引機と、を更に備える、請求項1~
4のいずれか一項に記載の靴底洗浄機。
【請求項6】
前記靴載置板の前記裏面及び前記回転ブラシを覆う形状を呈し、前記靴載置板とによって前記回転ブラシを収容する収容空間を形成するボックス部を更に備え、
前記ボックス部は、少なくとも前記回転ブラシの下部が浸かる水位まで前記収容空間内に洗浄液を収容可能な構成となっている、請求項1~
4のいずれか一項に記載の靴底洗浄機。
【請求項7】
前記靴載置板の前記裏面及び前記回転ブラシを覆う形状を呈し、前記靴載置板とによって前記回転ブラシを収容する収容空間を形成するボックス部と、
前記収容空間内に設けられ、前記回転ブラシに洗浄液を吹き付け可能な吹付部と、を更に備える、請求項1~
4のいずれか一項に記載の靴底洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴底の付着物を取り除く靴底洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されているように、回転ブラシを靴底に当接させ、靴底に付着する付着物(汚れ、ごみ等)を除去する靴底洗浄機がある。このような靴底洗浄機は、靴を乗せる靴載置部を備えている。靴載置部には孔が設けられている。回転ブラシは、ブラシ部が靴載置部の孔の部分に位置するように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような靴底洗浄機では、使用者が靴を履いたまま靴底洗浄機の靴載置部に足(靴)を乗せる。このため、靴載置部には剛性が求められる。この靴載置部を板によって形成する場合、剛性を確保することが困難となり易い。
【0005】
そこで、本発明は、靴載置板の剛性を確保可能な靴底洗浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る靴底洗浄機は、[1]「靴底の付着物を取り除く靴底洗浄機であって、前記靴底が載置される載置面を有するとともに、前記載置面と前記載置面に対して反対側の裏面とを貫通する複数のスリットが設けられた靴載置板と、前記靴載置板の前記裏面側に配置された回転ブラシと、前記回転ブラシを回転させる駆動部と、を備え、前記回転ブラシは、回転軸線を中心に回転する回転軸と、前記回転軸の外周面に取り付けられた複数の毛によってそれぞれ構成された複数のブラシ部と、を有し、複数の前記スリットは、前記回転軸線に沿って互いに所定の間隔を空けて並んでおり、複数の前記ブラシ部は、複数の前記スリット同士の間隔に対応するように、前記回転軸線に沿って互いに間隔を空けて設けられ、前記回転ブラシは、前記ブラシ部の前記毛の先端部が前記スリットから突出するように配置され、前記スリットにおける前記回転軸線に直交する方向の長さは、前記ブラシ部の外周部の直径よりも短い、靴底洗浄機。」である。
【0007】
この靴底洗浄機では、靴載置板の裏面側に配置された回転ブラシの毛の先端部が、スリットを介して載置面側に突出している。これにより、靴載置板の載置面に乗せられた靴底の付着物を、回転ブラシによって除去できる。また、この靴底洗浄機において、スリットにおける回転軸線に直交する方向の長さは、ブラシ部の外周部の直径よりも短い。つまり、靴底洗浄機は、回転ブラシの毛の先端部をスリットを介して載置面側に突出させつつ、スリットの大きさを小さくできる。スリットの大きさが小さいことにより、靴載置板の剛性の低下が抑制される。このように、靴底洗浄機は、靴載置板にスリットを設けた場合であっても、靴載置板の剛性を確保できる。
【0008】
上記の靴底洗浄機は、[2]「前記回転ブラシは2つ設けられており、2つの前記回転ブラシのうちの一方の前記回転ブラシである第1回転ブラシと他方の前記回転ブラシである第2回転ブラシとは、互いの前記回転軸線同士が平行となるように配置され、複数の前記スリットは、前記第1回転ブラシに対して設けられた複数の前記スリットである複数の第1スリットと、前記第2回転ブラシに対して設けられた複数の前記スリットである複数の第2スリットとを含み、前記第1回転ブラシの前記回転軸線と前記第2回転ブラシの前記回転軸線との間隔は、前記第1回転ブラシの前記ブラシ部の外周部の半径と前記第2回転ブラシの前記ブラシ部の外周部の半径との合計の長さよりも小さい、上記[1]に記載の靴底洗浄機。」であってもよい。
【0009】
ここで、載置面側から靴載置板及び回転ブラシを見た場合、ブラシ部の毛は、回転軸線上においてスリットから最も突出し、回転軸線に直交する方向において回転軸線から離れるに従ってスリットからの突出高さが低くなる。このため、第1回転ブラシと第2回転ブラシとを並べて配置した場合、第1回転ブラシの回転軸線と第2回転ブラシの回転軸線との中間位置において、スリットからのブラシ部の毛の突出高さが低くなる。つまり、スリットからのブラシ部の毛の突出高さが低くなることにより、ブラシ部の毛が靴底に当接し難くなる。
【0010】
そこで、この靴底洗浄機では、第1回転ブラシの回転軸線と第2回転ブラシの回転軸線との間隔を、第1回転ブラシのブラシ部の外周部の半径と第2回転ブラシのブラシ部の外周部の半径との合計の長さよりも小さい構成とする。これにより、第1回転ブラシの回転軸線と第2回転ブラシの回転軸線との中間位置において、スリットからのブラシ部の毛の突出高さを高い状態とすることができる。従って、靴底洗浄機は、2つの回転ブラシを靴底全体により均一に当接させることができ、靴底の付着物をより効率よく除去することができる。
【0011】
上記の靴底洗浄機は、[3]「前記第1回転ブラシと前記第2回転ブラシとは、前記回転軸線に沿った方向において、前記第1回転ブラシの前記ブラシ部と前記第2回転ブラシの前記ブラシ部とが交互に並ぶように配置されている、上記[2]に記載の靴底洗浄機。」であってもよい。
【0012】
この場合、靴底洗浄機は、回転軸線方向において第1回転ブラシのブラシ部と第2回転ブラシのブラシ部とが干渉すること無く、第1回転ブラシと第2回転ブラシとを互いに近づけて配置することができる。
【0013】
上記の靴底洗浄機は、[4]「前記第1回転ブラシの前記回転軸において、互いに隣接する前記ブラシ部同士の間には、周方向に延在する第1溝が設けられ、前記第2回転ブラシの前記回転軸において、互いに隣接する前記ブラシ部同士の間には、周方向に延在する第2溝が設けられ、前記第1回転ブラシ及び前記第2回転ブラシは、前記第1回転ブラシの前記ブラシ部の先端部が前記第2回転ブラシの前記第2溝内に入り込み、前記第2回転ブラシの前記ブラシ部の先端部が前記第1回転ブラシの前記第1溝内に入り込むように配置されている、上記[3]に記載の靴底洗浄機。」であってもよい。
【0014】
この場合、靴底洗浄機は、第1回転ブラシと第2回転ブラシとを、より一層互いに近づけて配置することができる。これにより、靴底洗浄機は、第1回転ブラシの回転軸線と第2回転ブラシの回転軸線との中間位置においても、スリットからのブラシ部の毛の突出高さをより一層高い状態とすることができる。従って、靴底洗浄機は、2つの回転ブラシを靴底全体により均一に当接させることができ、靴底の付着物をより一層効率よく除去することができる。
【0015】
上記の靴底洗浄機は、[5]「前記駆動部は、前記第1スリットから突出する前記第1回転ブラシの前記毛の先端部が前記第2回転ブラシ側に向って移動するように、前記第1回転ブラシを回転させ、前記第2スリットから突出する前記第2回転ブラシの前記毛の先端部が前記第1回転ブラシ側に向って移動するように、前記第2回転ブラシを回転させる、上記[2]~[4]のいずれかに記載の靴底洗浄機。」であってもよい。
【0016】
この場合、靴載置板の載置面上に靴を置いたときに、靴は、回転する2つの回転ブラシが靴底に当接することによって、2つの回転ブラシの中間位置に移動する方向の力を受ける。これにより、靴底洗浄機は、靴載置板の載置面上に置かれた靴が回転ブラシが設けられた領域の外側に押し出されてしまうことを防止でき、靴底の付着物をより効率よく除去することができる。
【0017】
上記の靴底洗浄機は、[6]「複数の前記第1スリットと複数の前記第2スリットとは、前記回転軸線に沿った方向において、前記第1スリットと前記第2スリットとが交互に並ぶように設けられている、上記[2]~[5]のいずれかに記載の靴底洗浄機。」であってもよい。
【0018】
このように、靴底洗浄機では、第1スリットと第2スリットとが交互に配置され、これらのスリットからブラシ部の毛が突出している。これにより、靴底洗浄機は、靴底全体により均一にブラシ部を当接させることができる。
【0019】
上記の靴底洗浄機は、[7]「前記第1スリットの一部分は、互いに隣接する前記第2スリット同士の間に入り込み、前記第2スリットの一部分は、互いに隣接する前記第1スリット同士の間に入り込んでいる、上記[6]に記載の靴底洗浄機。」であってもよい。
【0020】
この場合、靴底洗浄機は、第1回転ブラシと第2回転ブラシとを、より一層互いに近づけて配置することができる。従って、靴底洗浄機は、2つの回転ブラシを靴底全体により均一に当接させることができ、靴底の付着物をより一層効率よく除去することができる。
【0021】
上記の靴底洗浄機は、[8]「前記第1スリットにおける前記回転軸線に沿った方向の長さは、互いに隣接する前記第2スリット同士の間隔よりも短く、前記第2スリットにおける前記回転軸線に沿った方向の長さは、互いに隣接する前記第1スリット同士の間隔よりも短く、前記第1スリットと前記第2スリットとは互いに離間して設けられている、上記[7]に記載の靴底洗浄機。」であってもよい。
【0022】
この場合、靴底洗浄機は、第1スリットの一部分が互いに隣接する第2スリット同士の間に入り込み、第2スリットの一部分が互いに隣接する第1スリット同士の間に入り込むように第1スリット及び第2スリットを設ける場合であっても、第1スリット及び第2スリットを互いに独立して設けることができる。これにより、靴底洗浄機は、靴載置板に第1スリット及び第2スリットを設けた場合であっても、靴載置板の剛性を確保できる。
【0023】
上記の靴底洗浄機は、[9]「前記靴載置板の前記裏面及び前記回転ブラシを覆う形状を呈し、前記靴載置板とによって前記回転ブラシを収容する収容空間を形成するボックス部と、前記収容空間内を負圧にする吸引機と、を更に備える、上記[1]~[8]のいずれかに記載の靴底洗浄機。」であってもよい。
【0024】
この場合、靴底洗浄機は、靴底から除去されてボックス部内に入り込んだ付着物を吸引機によって吸引できる。また、靴底洗浄機は、靴載置板の載置面上に存在する付着物を、スリットと回転ブラシのブラシ部との隙間を介してボックス部内に引き込み、吸引機によって吸引できる。なお、この靴底洗浄機は、スリットにおける回転軸線に直交する方向の長さがブラシ部の外周部の直径よりも短い。つまり、この靴底洗浄機は、回転軸線に直交する方向においてスリットとブラシ部の外周部との隙間を小さくすることができる。このように、靴底洗浄機は、スリットとブラシ部との隙間が小さいことにより、隙間が大きい場合に比べて強い気流によって載置面上に存在する付着物をボックス部内に引き込むことができる。また、靴底洗浄機は、スリットとブラシ部との隙間が小さいことにより、ボックス部内に引き込まれた付着物が当該隙間を介してボックス部外に飛散することを抑制できる。
【0025】
上記の靴底洗浄機は、[10]「前記靴載置板の前記裏面及び前記回転ブラシを覆う形状を呈し、前記靴載置板とによって前記回転ブラシを収容する収容空間を形成するボックス部を更に備え、前記ボックス部は、少なくとも前記回転ブラシの下部が浸かる水位まで前記収容空間内に洗浄液を収容可能な構成となっている、上記[1]~[8]のいずれかに記載の靴底洗浄機。」であってもよい。
【0026】
この場合、靴底洗浄機は、ボックス部内に収容された洗浄液によって、回転ブラシを洗浄できる。これにより、靴底洗浄機は、洗浄液によって洗浄された回転ブラシによって靴底の付着物を効率よく除去することができる。
【0027】
上記の靴底洗浄機は、[11]「前記靴載置板の前記裏面及び前記回転ブラシを覆う形状を呈し、前記靴載置板とによって前記回転ブラシを収容する収容空間を形成するボックス部と、前記収容空間内に設けられ、前記回転ブラシに洗浄液を吹き付け可能な吹付部と、を更に備える、上記[1]~[8]のいずれかに記載の靴底洗浄機。」であってもよい。
【0028】
この場合、靴底洗浄機は、吹付部によって吹き付けられた洗浄液によって回転ブラシを洗浄できる。これにより、靴底洗浄機は、洗浄液によって洗浄された回転ブラシによって靴底の付着物を効率よく除去することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、靴載置板の剛性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、実施形態に係る靴底洗浄機を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、ブラシユニットの内部構成を示す断面図である。
【
図3】
図3は、靴載置板が取り外された状態において、ブラシユニットの内部構造を示す上面図である。
【
図5】
図5は、回転ブラシ及びスリット周りの拡大断面図である。
【
図6】
図6は、第1変形例に係る靴底洗浄機のブラシユニットの内部構成を示す断面図である。
【
図7】
図7は、第2変形例に係る靴底洗浄機のブラシユニットの内部構成を示す断面図である。
【
図8】
図8は、回転ブラシの変型例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一又は相当する要素同士には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0032】
図1に示されるように、靴底洗浄機1は、靴Sの靴底の付着物を取り除く装置である。靴底洗浄機1は、ブラシユニット2、及び吸引機3を備える。ブラシユニット2は、靴底の付着物を取り除く。吸引機3は、ブラシユニット2で取り除かれた付着部を吸引する。
【0033】
より詳細には、
図1~
図4に示されるように、ブラシユニット2は、第1回転ブラシ(回転ブラシ)10、第2回転ブラシ(回転ブラシ)20、靴載置板30、ボックス部40、第1モータ(駆動部)51、第2モータ(駆動部)52、及び制御ユニット60を備えている。
【0034】
靴載置板30には、靴Sの靴底Saが載置される。靴載置板30は、靴底Saが載置される載置面30aと、載置面30aに対して反対側の裏面30bとを有する板状の部材である。また、靴載置板30には、載置面30aと裏面30bとを貫通する複数の第1スリット(スリット)31及び複数の第2スリット(スリット)32が設けられている。靴載置板30は、使用者が靴Sを履いたまま足(靴S)を乗せ易いように、載置面30aが略上方を向くように配置される。
【0035】
第1回転ブラシ10及び第2回転ブラシ20は、それぞれ、靴載置板30の裏面30b側に配置される。第1回転ブラシ10は、第1回転軸(回転軸)11、及び複数の第1ブラシ部(ブラシ部)12を備えている。第1回転軸11は、第1回転軸線(回転軸線)L1に沿って延在しており、第1回転軸線L1を中心に回転する。複数の第1ブラシ部12は、第1回転軸11の外周面に取り付けられた複数の毛Tによってそれぞれ構成されている。一例として、第1回転軸11は、軸部11aと、軸部11aの外周面に設けられた外周部11bとを備えている。例えば、毛Tの根元部分は、外周部11bに植え込まれている。
【0036】
ここで、靴載置板30に設けられた複数の第1スリット31は、第1回転ブラシ10に対して設けられている。具体的には、
図4に示されるように、複数の第1スリット31は、第1回転ブラシ10の第1回転軸線L1に沿って互いに所定の間隔を空けて並んでいる。複数の第1ブラシ部12は、複数の第1スリット31同士の間隔に対応するように、第1回転軸線L1に沿って互いに間隔を空けて設けられている。第1回転ブラシ10は、第1ブラシ部12の毛Tの先端部が第1スリット31から載置面30a側に突出するように配置されている(
図2参照)。
【0037】
第2回転ブラシ20は、第2回転軸(回転軸)21、及び複数の第2ブラシ部(ブラシ部)22を備えている。第2回転軸21は、第2回転軸線(回転軸線)L2に沿って延在しており、第2回転軸線L2を中心に回転する。複数の第2ブラシ部22は、第2回転軸21の外周面に取り付けられた複数の毛Tによってそれぞれ構成されている。一例として、第2回転軸21は、軸部21aと、軸部21aの外周面に設けられた外周部21bとを備えている。毛Tの根元部分は、外周部21bに植え込まれている。第1回転ブラシ10と第2回転ブラシ20とは、互いの回転軸線(第1回転軸線L1及び第2回転軸線L2)同士が平行となるように配置されている。
【0038】
ここで、靴載置板30に設けられた複数の第2スリット32は、第2回転ブラシ20に対して設けられている。具体的には、
図4に示されるように、複数の第2スリット32は、第2回転ブラシ20の第2回転軸線L2に沿って互いに所定の間隔を空けて並んでいる。複数の第2ブラシ部22は、複数の第2スリット32同士の間隔に対応するように、第2回転軸線L2に沿って互いに間隔を空けて設けられている。第2回転ブラシ20は、第2ブラシ部22の毛Tの先端部が第2スリット32から載置面30a側に突出するように配置されている(
図2参照)。
【0039】
図3に示されるように、第1回転ブラシ10と第2回転ブラシ20とは、第1回転軸線L1(第2回転軸線L2)に沿った方向において、第1回転ブラシ10の第1ブラシ部12と第2回転ブラシ20の第2ブラシ部22とが交互に並ぶように配置されている。また、第1ブラシ部12の一部分(第2回転ブラシ20側の部分)は、互いに隣接する第2ブラシ部22同士の間に入り込んでいる。第2ブラシ部22の一部分(第1回転ブラシ10側の部分)は、互いに隣接する第1ブラシ部12同士の間に入り込んでいる。
【0040】
すなわち、第1回転ブラシ10の第1回転軸線L1と第2回転ブラシ20の第2回転軸線L2との間隔Aは、第1回転ブラシ10の第1ブラシ部12の外周部の半径B1と第2回転ブラシ20の第2ブラシ部22の外周部の半径B2との合計の長さ(B1+B2)よりも小さい。
【0041】
これに対応するように、靴載置板30に設けられた複数の第1スリット31と複数の第2スリット32とは、
図4に示されるように、第1回転軸線L1(第2回転軸線L2)に沿った方向において、第1スリット31と第2スリット32とが交互に並ぶように設けられている。また、第1スリット31の一部分(第2回転ブラシ20側の部分)は、互いに隣接する第2スリット32同士の間に入り込んでいる。第2スリット32の一部分(第1回転ブラシ10側の部分)は、互いに隣接する第1スリット31同士の間に入り込んでいる。
【0042】
本実施形態において、第1スリット31は、載置面30a側から靴載置板30を見たときに、第1回転軸線L1に沿った方向の長さよりも、第1回転軸線L1に直交する方向の長さが長い。本実施形態において、第1スリット31は、一例として矩形状を呈している。つまり、第1スリット31において、第1回転軸線L1に直交する方向の長さ(長辺の長さ)をC1とし、第1回転軸線L1に沿った方向の長さ(短辺の長さ)をD1とする。この場合、C1>D1となる。第2スリット32は、載置面30a側から靴載置板30を見たときに、第2回転軸線L2に沿った方向の長さよりも、第2回転軸線L2に直交する方向の長さが長い。本実施形態において、第2スリット32は、一例として矩形状を呈している。つまり、第2スリット32において、第2回転軸線L2に直交する方向の長さ(長辺の長さ)をC2とし、第2回転軸線L2に沿った方向の長さ(短辺の長さ)をD2とする。この場合、C2>D2となる。
【0043】
また、第2回転軸線L2に沿った方向において、互いに隣接する第2スリット32同士の間隔をE2とする。本実施形態では、第1スリット31における第1回転軸線L1に沿った方向の長さD1は、互いに隣接する第2スリット32同士の間隔E2よりも短い。同様に、第1回転軸線L1に沿った方向において、互いに隣接する第1スリット31同士の間隔をE1とする。本実施形態では、第2スリット32における第2回転軸線L2に沿った方向の長さD2は、互いに隣接する第1スリット31同士の間隔E1よりも短い。
【0044】
つまり、互いに隣接する第2スリット32同士の間に第1スリット31の一部分が入り込む構成としても、第2スリット32に干渉することなく第1スリット31を配置することができる。同様に、互いに隣接する第1スリット31同士の間に第2スリット32の一部分が入り込む構成としても、第1スリット31に干渉することなく第2スリット32を配置することができる。このように、本実施形態において、第1スリット31及び第2スリット32は、互いに離間して設けられている。
【0045】
また、
図5に示されるように、第1スリット31における第1回転軸線L1に直交する方向の長さ(長辺の長さ)C1は、第1回転ブラシ10の第1ブラシ部12の外周部の直径F1よりも短い。つまり、第1回転ブラシ10の第1回転軸線L1は、靴載置板30よりも下側(靴載置板30の裏面30b側)に位置している。同様に、第2スリット32における第2回転軸線L2に直交する方向の長さ(長辺の長さ)C2は、第2回転ブラシ20の第2ブラシ部22の外周部の直径F1よりも短い。つまり、第2回転ブラシ20の第2回転軸線L2は、靴載置板30よりも下側(靴載置板30の裏面30b側)に位置している。
【0046】
図3び
図4に示されるように、靴載置板30の載置面30a側から見たときに、第1回転ブラシ10の第1回転軸線L1は、第1スリット31における第1回転軸線L1に直交する方向の辺(長辺)の中央位置を通っている。つまり、第1スリット31の一方の短辺と第1回転軸線L1との間隔と、第1スリット31の他方の短辺と第1回転軸線L1との間隔とは同じとなっている。同様に、靴載置板30の載置面30a側から見たときに、第2回転ブラシ20の第2回転軸線L2は、第2スリット32における第2回転軸線L2に直交する方向の辺(長辺)の中央位置を通っている。つまり、第2スリット32の一方の短辺と第2回転軸線L2との間隔と、第2スリット32の他方の短辺と第2回転軸線L2との間隔とは同じとなっている。
【0047】
図3に示されるように、第1モータ51は、第1回転軸線L1を中心に第1回転ブラシ10を回転させる。第1モータ51は、例えば、ベルト51aを介して回転力を第1回転ブラシ10に伝達する。これに限定されず、第1モータ51は、ギヤ等の伝達部材を介して回転力を伝達する構成であってもよく、第1回転ブラシ10を直接回転させてもよい。同様に、第2モータ52は、第2回転軸線L2を中心に第2回転ブラシ20を回転させる。第2モータ52は、例えば、ベルト52aを介して回転力を第2回転ブラシ20に伝達する。これに限定されず、第2モータ52は、ギヤ等の伝達部材を介して回転力を伝達する構成であってもよく、第2回転ブラシ20を直接回転させてもよい。
【0048】
図1及び
図2に示されるように、第1モータ51は、第1スリット31から突出する第1回転ブラシ10の第1ブラシ部12の毛Tの先端部が第2回転ブラシ20側に向って移動するように、第1回転ブラシ10を回転させる。つまり、第1回転ブラシ10は、矢印Y1の方向に回転する。第2モータ52は、第2スリット32から突出する第2回転ブラシ20の第2ブラシ部22の毛Tの先端部が第1回転ブラシ10側に向って移動するように、第2回転ブラシ20を回転させる。つまり、第2回転ブラシ20は、矢印Y2の方向に回転する。
【0049】
ボックス部40は、靴載置板30の裏面30b並びに第1回転ブラシ10及び第2回転ブラシ20を覆う形状を呈している。ボックス部40は、靴載置板30とによって第1回転ブラシ10及び第2回転ブラシ20を収容する収容空間Rを形成する。本実形態において第1モータ51及び第2モータ52は、一例として、収容空間R内に収容されている。一例として、ボックス部40は、第1回転ブラシ10の第1回転軸11及び第2回転ブラシ20の第2回転軸21を回転可能に支持している。
【0050】
図1に示されるように、吸引機3は、ホース3aを介してボックス部40に接続されている。吸引機3は、ホース3aを介して、収容空間R内の気体を吸引して負圧にすることができる。吸引機3が収容空間R内を負圧にすることにより、靴載置板30の載置面30a側の気体等が第1スリット31及び第2スリット32を介してボックス部40(収容空間R)内に吸引される。
【0051】
なお、靴載置板30及びボックス部40は、第1スリット31及び第2スリット32の部分を除いて気密となるように収容空間Rを形成できる構成であるとよい。なお、ここでの気密とは、吸引機3が収容空間R内の気体を吸引することによって、第1スリット31及び第2スリット32を介して載置面30a側の付着物を吸引する場合に、付着物を適切に吸引できる程度の気密性能であればよい。このため、例えば、第1スリット31及び第2スリット32以外に、電気配線を通すための小さな孔等がボックス部40に設けられていてもよい。
【0052】
制御ユニット60は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及び、RAM(Random Access Memory)等を備える電子制御ユニットである。制御ユニット60は、第1モータ51及び第2モータ52の動作と、吸引機3の動作とを制御する。制御ユニット60は、例えば、ボックス部40内に設けられている。但し、制御ユニット60が設けられる位置はボックス部40内に限定されず、適宜の位置に設けられていればよい。
【0053】
例えば、制御ユニット60は、靴載置板30の載置面30aに靴Sが載置された場合に、第1モータ51及び第2モータ52と、吸引機3とをそれぞれ作動させる。例えば、靴底洗浄機1には、靴載置板30の載置面30a上に靴Sが載置されたことを検出するセンサ(例えば光センサ、感圧センサ等)が設けられている。制御ユニット60は、このようなセンサの検出結果に基づいて載置面30a上における靴Sの有無を判定し、第1モータ51等の動作を制御することができる。
【0054】
例えば、制御ユニット60は、靴Sが載置されて第1モータ51及び第2モータ52を作動させた後、所定の作動時間が経過した場合に、第1モータ51及び第2モータ52の動作を停止させてもよい。この所定の作動時間とは、例えば、靴底Saの付着物の除去に要すると想定される時間に基づいて予め設定されてもよい。この場合、使用者は、足(靴S)を靴載置板30に乗せて付着物の除去をしている状態で第1モータ51及び第2モータ52が停止したときに、靴底Saの付着物の除去動作が完了したことを認識することができる。
【0055】
制御ユニット60は、第1モータ51及び第2モータ52の動作の停止と共に、吸引機3の吸引動作を停止させてもよい。また、制御ユニット60は、第1モータ51及び第2モータ52の動作を停止させた後、所定の掃除時間の経過後に、吸引機3による吸引動作を停止させてもよい。この場合、吸引機3は、ボックス部40内に入り込んだ付着物をより確実に吸引すること、及び靴載置板30の載置面30a側に浮遊等する付着物を第1スリット31及び第2スリット32を介してより確実にボックス部40内に吸引することができる。
【0056】
このように、使用者が足(靴S)を靴載置板30上に載置すると、第1スリット31及び第2スリット32が回転し、靴底Saの付着物の除去が行われる。靴底Saから除去された付着物は、吸引機3によって吸引される。
【0057】
以上のように、この靴底洗浄機1では、靴載置板30の裏面30b側に配置された第1回転ブラシ10及び第2回転ブラシ20の毛Tの先端部が、それぞれ第1スリット31及び第2スリット32を介して載置面30a側に突出している。これにより、靴載置板30の載置面30aに乗せられた靴Sの靴底Saの付着物を、第1回転ブラシ10及び第2回転ブラシ20によって除去できる。
【0058】
また、この靴底洗浄機1では、
図5に示されるように、第1スリット31における第1回転軸線L1に直交する方向の長さ(長辺の長さ)C1は、第1ブラシ部12の外周部の直径F1よりも短い。同様に、第2スリット32における第2回転軸線L2に直交する方向の長さ(長辺の長さ)C2は、第2ブラシ部22の外周部の直径F2よりも短い。つまり、靴底洗浄機1は、第1回転ブラシ10及び第2回転ブラシ20の毛Tの先端部を第1スリット31及び第2スリット32を介して載置面30a側に突出させつつ、第1スリット31及び第2スリット32のそれぞれの大きさを小さくできる。第1スリット31及び第2スリット32の大きさが小さいことにより、靴載置板30の剛性の低下が抑制される。このように、靴底洗浄機1は、靴載置板30に第1スリット31及び第2スリット32を設けた場合であっても、靴載置板30の剛性を確保できる。
【0059】
ここで、載置面30a側から靴載置板30及び第1回転ブラシ10を見た場合、第1ブラシ部12の毛Tは、第1回転軸線L1上において第1スリット31から最も突出し、第1回転軸線L1に直交する方向において第1回転軸線L1から離れるに従って第1スリット31からの突出高さが低くなる。同様に、第2ブラシ部22の毛Tは、第2回転軸線L2上において第2スリット32から最も突出し、第2回転軸線L2に直交する方向において第2回転軸線L2から離れるに従って第2スリット32からの突出高さが低くなる。このため、第1回転ブラシ10と第2回転ブラシ20とを並べて配置した場合、第1回転ブラシ10の第1回転軸線L1と第2回転ブラシ20の第2回転軸線L2との中間位置において、第1スリット31及び第2スリット32からの第1ブラシ部12及び第2ブラシ部22の毛Tの突出高さが低くなる。つまり、第1スリット31及び第2スリット32からの毛Tの突出高さが低くなることにより、第1ブラシ部12及び第2ブラシ部22の毛Tが靴底Saに当接し難くなる。
【0060】
そこで、この靴底洗浄機1では、第1回転ブラシ10の第1回転軸線L1と第2回転ブラシ20の第2回転軸線L2との間隔Aを、第1回転ブラシ10の第1ブラシ部12の半径B1と第2回転ブラシ20の第2ブラシ部22の半径B2との合計の長さ(B1+B2)よりも小さい構成とする。これにより、第1回転ブラシ10の第1回転軸線L1と第2回転ブラシ20の第2回転軸線L2との中間位置において、第1スリット31及び第2スリット32からの第1ブラシ部12及び第2ブラシ部22の毛Tの突出高さを高い状態とすることができる。従って、靴底洗浄機1は、2つの回転ブラシ(第1回転ブラシ10及び第2回転ブラシ20)を靴底Sa全体により均一に当接させることができ、靴底Saの付着物をより効率よく除去することができる。
【0061】
ここで、
図2に示されるように、靴底Saが第1回転ブラシ10及び第2回転ブラシ20に当接するように靴Sを靴載置板30の載置面30a上に乗せたとする。また、靴底Saにおいて、第1回転軸線L1と第2回転軸線L2と間に対応する部位を中間部位Hとする。靴底Saにおいて中間部位Hの両脇に位置する部位のうち、第1回転ブラシ10上の部位を第1側部H1とし、第2回転ブラシ20上の部位を第2側部H2とする。なお、
図2において、第1回転ブラシ10及び第2回転ブラシ20に靴Sが載置されることにより、実際には第1ブラシ部12及び第2ブラシ部22の毛Tは湾曲した状態となる。
【0062】
第1回転ブラシ10が矢印Y1の方向に回転すると、第1回転ブラシ10の毛Tは、靴底Saの第1側部H1に徐々に接近して第1側部H1に押し付けられ、第1側部H1に付着する付着物を掻き取る。また、第1回転ブラシ10の毛Tは、靴底Saの中間部位Hにおいては、中間部位Hの付着物を掻き取りつつ徐々に中間部位Hから離間する。同様に、第2回転ブラシ20が矢印Y2の方向に回転すると、第2回転ブラシ20の毛Tは、靴底Saの第2側部H2に徐々に接近して第2側部H2に押し付けられ、第2側部H2に付着する付着物を掻き取る。また、第2回転ブラシ20の毛Tは、靴底Saの中間部位Hにおいては、中間部位Hの付着物を掻き取りつつ徐々に中間部位Hから離間する。
【0063】
このため、第1回転ブラシ10及び第2回転ブラシ20の回転の向きにより、靴底Saの中間部位Hでは、第1側部H1及び第2側部H2に比べて付着物を掻き取る力が弱くなる傾向がある。そこで、この靴底洗浄機1では、上述したように第1回転軸線L1と第2回転軸線L2との間隔Aを、第1ブラシ部12の半径B1と第2ブラシ部22の半径B2との合計の長さ(B1+B2)よりも小さい構成とした。これにより、靴底洗浄機1は、付着物を掻き取る力が弱くなり易い中間部位Hをより小さくすることができ、靴底Sa全体の付着物をより均一に除去することができる。
【0064】
第1回転軸線L1(第2回転軸線L2)に沿った方向において、第1回転ブラシ10の第1ブラシ部12と第2回転ブラシ20の第2ブラシ部22とは、交互に並ぶように配置されている。この場合、靴底洗浄機1は、第1回転軸線L1(第2回転軸線L2)方向において第1回転ブラシ10の第1ブラシ部12と第2回転ブラシ20の第2ブラシ部22とが干渉すること無く、第1回転ブラシ10と第2回転ブラシ20とを互いに近づけて配置することができる。
【0065】
第1モータ51は、第1スリット31から突出する第1回転ブラシ10の毛Tの先端部が第2回転ブラシ20側に向って移動するように、第1回転ブラシ10を回転させる。第2モータ52は、第2スリット32から突出する第2回転ブラシ20の毛Tの先端部が第1回転ブラシ10側に向って移動するように、第2回転ブラシ20を回転させる。この場合、靴載置板30の載置面30aに使用者が足(靴S)を置いたときに、回転する第1回転ブラシ10及び第2回転ブラシ20が靴底Saに当接することによって、靴Sは、第1回転ブラシ10及び第2回転ブラシ20の中間位置に移動する方向の力を受ける。これにより、靴底洗浄機1は、靴載置板30の載置面30a上に置かれた靴Sが第1回転ブラシ10及び第2回転ブラシ20が設けられた領域の外側に押し出されてしまうことを防止でき、靴底Saの付着物をより効率よく除去することができる。
【0066】
複数の第1スリット31と複数の第2スリット32とは、第1回転軸線L1(第2回転軸線L2)に沿った方向において、第1スリット31と第2スリット32とが交互に並ぶように設けられている。このように、靴底洗浄機1では、第1スリット31と第2スリット32とが交互に配置され、これらの第1スリット31及び第2スリット32から第1ブラシ部12及び第2ブラシ部22の毛Tが突出している。これにより、靴底洗浄機1は、靴底Sa全体により均一に第1ブラシ部12及び第2ブラシ部22を当接させることができる。
【0067】
第1スリット31の一部分は、互いに隣接する第2スリット32同士の間に入り込んでいる。また、第2スリット32の一部分は、互いに隣接する第1スリット31同士の間に入り込んでいる。この場合、靴底洗浄機1は、第1回転ブラシ10と第2回転ブラシ20とを、より一層互いに近づけて配置することができる。従って、靴底洗浄機1は、2つの回転ブラシ(第1回転ブラシ10及び第2回転ブラシ20)を靴底Sa全体により均一に当接させることができ、靴底Saの付着物をより一層効率よく除去することができる。
【0068】
また、第1スリット31における第1回転軸線L1に沿った方向の長さD1は、互いに隣接する第2スリット32同士の間隔E2よりも短い。第2スリット32における第2回転軸線L2に沿った方向の長さD2は、互いに隣接する第1スリット31同士の間隔E1よりも短い。この場合、靴底洗浄機1は、第1スリット31の一部分が互いに隣接する第2スリット32同士の間に入り込み、第2スリット32の一部分が互いに隣接する第1スリット31同士の間に入り込むように第1スリット31及び第2スリット32を設ける場合であっても、第1スリット31及び第2スリット32を互いに独立して設けることができる。これにより、靴底洗浄機1は、靴載置板30に第1スリット31及び第2スリット32を設けた場合であっても、靴載置板30の剛性を確保できる。
【0069】
靴底洗浄機1は、靴載置板30とによって第1回転ブラシ10等を収容する収容空間Rを形成するボックス部40を備えている。このボックス部40には、吸引機3が接続されている。これにより、靴底洗浄機1は、靴底Saから除去されてボックス部40内に入り込んだ付着物を吸引機3によって吸引できる。また、靴底洗浄機1は、靴載置板30の載置面30a上に存在する付着物を、第1スリット31と第1ブラシ部12との隙間及び第2スリット32の第2ブラシ部22との隙間を介してボックス部40内に引き込み、吸引機3によって吸引できる。
【0070】
なお、この靴底洗浄機1は、第1スリット31における第1回転軸線L1に直交する方向の長さC1が第1ブラシ部12の外周部の直径F1よりも短い。つまり、この靴底洗浄機1は、第1回転軸線L1に直交する方向において第1スリット31と第1ブラシ部12の外周部との隙間を小さくすることができる。同様に、靴底洗浄機1は、第2スリット32における第2回転軸線L2に直交する方向の長さC2が第2ブラシ部22の外周部の直径F2よりも短い。つまり、この靴底洗浄機1は、第2回転軸線L2に直交する方向において第2スリット32と第2ブラシ部22の外周部との隙間を小さくすることができる。このように、靴底洗浄機1は、第1スリット31と第1ブラシ部12との隙間及び第2スリット32と第2ブラシ部22との隙間が小さいことにより、隙間が大きい場合に比べて強い気流によって載置面30a上に存在する付着物をボックス部40内に引き込むことができる。また、靴底洗浄機1は、この隙間が小さいことにより、ボックス部40内に引き込まれた付着物が当該隙間を介してボックス部40外に飛散することを抑制できる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、
図6に示される靴底洗浄機1Aのように、ボックス部40は、少なくとも第1回転ブラシ10及び第2回転ブラシ20の下部が浸かる水位まで収容空間R内に洗浄液Wを収容可能な構成となっていてもよい。この場合、靴底洗浄機1Aは、ボックス部40内に収容された洗浄液Wによって、第1回転ブラシ10及び第2回転ブラシ20を洗浄できる。これにより、靴底洗浄機1Aは、洗浄液Wによって洗浄された第1回転ブラシ10及び第2回転ブラシ20によって靴底Saの付着物を効率よく除去することができる。第1回転ブラシ10等を洗浄液Wによって洗浄する場合、靴底洗浄機1Aは、吸引機3を備えていなくてもよい。
【0072】
また、
図7に示される靴底洗浄機1Bのように、ボックス部40(収容空間R)内に吹付部71及び72が設けられていてもよい。吹付部71及び72は、外部から供給された洗浄液を第1回転ブラシ10及び第2回転ブラシ20にそれぞれ吹き付けることができる。ボックス部40内に溜まった洗浄液は、ボックス部40の下部に接続された排水管73を介して排水される。この靴底洗浄機1Bは、吹付部71及び72によって吹き付けられた洗浄液によって第1回転ブラシ10及び第2回転ブラシ20をそれぞれ洗浄できる。これにより、靴底洗浄機1Bは、洗浄液によって洗浄された第1回転ブラシ10及び第2回転ブラシ20によって靴底Saの付着物を効率よく除去することができる。
【0073】
また、上述した第1回転ブラシ10及び第2回転ブラシ20に代えて、
図8に示される第1回転ブラシ10A及び第2回転ブラシ20Aが用いられてもよい。
図8に示されるように、第1回転ブラシ10Aの第1回転軸(回転軸)11Aにおいて、互いに隣接する第1ブラシ部(ブラシ部)12同士の間には、周方向に延在する第1溝11cが設けられている。
【0074】
例えば、互いに隣接する第1ブラシ部12同士の間の位置において、軸部11aの外周部に外周部11bを設けないことによって、第1回転軸11Aに第1溝11cが形成される構成であってもよい。つまり、軸部11aの外周部において、毛Tが設けられる位置にのみ、毛Tを植え付けるために外周部11bが設けられる構成であってもよい。但し、第1回転軸11Aに設けられた第1溝11cは、外周部11bを設けないことによって形成されていることに限定されない。例えば、第1溝11cの部分に外周部11bが設けられていてもよい。この場合、第1ブラシ部12が設けられる部位よりも外周部11bの外径を小さくすることによって、隣接する第1ブラシ部12同士の間に第1溝11cが形成されていてもよい。
【0075】
第2回転ブラシ20Aの第2回転軸(回転軸)21Aにおいて、互いに隣接する第2ブラシ部(ブラシ部)22同士の間には、周方向に延在する第2溝21cが設けられている。第2溝21cも、第1溝11cと同様に種々の態様によって形成され得る。
【0076】
第1回転ブラシ10A及び第2回転ブラシ20Aは、第1回転ブラシ10Aの第1ブラシ部12の先端部が第2回転ブラシ20Aの第2溝21c内に入り込み、第2回転ブラシ20Aの第2ブラシ部22の先端部が第1回転ブラシ10Aの第1溝11c内に入り込むように配置されている。つまり、
図3に示される上記実施形態の構成に対し、第1回転ブラシ10Aと第2回転ブラシ20Aとの間隔をより一層近づけることができる。
【0077】
このように、この構成を有する靴底洗浄機は、第1回転ブラシ10Aと第2回転ブラシ20Aとを、より一層互いに近づけて配置することができる。これにより、この靴底洗浄機は、第1回転ブラシ10Aの第1回転軸線L1と第2回転ブラシ20Aの第2回転軸線L2との中間位置においても、第1スリット31及び第2スリット32からの毛Tの突出高さをより一層高い状態とすることができる。従って、この靴底洗浄機は、2つの回転ブラシ(第1回転ブラシ10A及び第2回転ブラシ20A)を靴底Sa全体により均一に当接させることができ、靴底Saの付着物をより一層効率よく除去することができる。
【0078】
上記実施形態及び各変形例では、回転ブラシを2本備えていた。これに限定されず、靴底洗浄機は、回転ブラシを1本のみ備える構成であってもよい。また、靴底洗浄機は、回転ブラシを3本以上備える構成であってもよい。また、上記実施形態では、第1回転ブラシ10及び第2回転ブラシ20を第1モータ51及び第2モータ52によってそれぞれ回転させる場合を例に説明した。これに限定されず、靴底洗浄機は、一つのモータ(駆動部)によって、2以上の回転ブラシを回転させる構成であってもよい。
【0079】
靴載置板30の載置面30aには、第1スリット31及び第2スリット32の周りに載置面30aから立ち上がる壁部が設けられていてもよい。この壁部は、靴載置板30の載置面30a上に載置される靴Sの左側、右側、及び前側を囲む形状であってもよい。このような壁部が設けられていることにより、靴底洗浄機は、使用者が靴Sを靴載置板30上に載置したときに靴Sの位置ずれを更に抑制することができる。また、この靴底洗浄機は、第1回転ブラシ10等によって掻き取られた付着物が飛散することを抑制できる。
【0080】
また、上記では、靴載置板30に設けられた第1スリット31と第2スリット32とが互いに独立している場合を例に説明した。これに限定されず、第1スリット31と第2スリット32とが、一部つながっている構成であってもよい。
【0081】
以上に記載された実施形態及び種々の変形例の少なくとも一部が任意に組み合わせられてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1,1A,1B…靴底洗浄機、3…吸引機、10,10A…第1回転ブラシ(回転ブラシ)、11,11A…第1回転軸(回転軸)、11c…第1溝、12…第1ブラシ部(ブラシ部)、20,20A…第2回転ブラシ(回転ブラシ)、21,21A…第2回転軸(回転軸)、21c…第2溝、22…第2ブラシ部(ブラシ部)、30…靴載置板、30a…載置面、30b…裏面、31…第1スリット(スリット)、32…第2スリット(スリット)、40…ボックス部、51…第1モータ(駆動部)、52…第2モータ(駆動部)、71,72…吹付部、L1…第1回転軸線(回転軸線)、L2…第2回転軸線(回転軸線)、R…収容空間、Sa…靴底、T…毛、W…洗浄液。
【要約】
【課題】靴載置板の剛性を確保する。
【解決手段】靴底洗浄機1は、靴底Saの付着物を取り除く。靴底洗浄機1は、靴底Saが載置される載置面30aを有するとともに、複数の第1スリット31が設けられた靴載置板30と、靴載置板30の裏面30b側に配置された第1回転ブラシ10とを備える。第1回転ブラシ10は、第1ブラシ部12の毛Tの先端部が第1スリット31から突出するように配置されている。第1スリット31における第1回転軸線L1に直交する方向の長さC1は、第1ブラシ部12の外周部の直径F1よりも短い。
【選択図】
図5