(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】浴室暖房乾燥機
(51)【国際特許分類】
F24D 15/00 20220101AFI20230804BHJP
F26B 9/02 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
F24D15/00 B
F26B9/02 A
(21)【出願番号】P 2019098991
(22)【出願日】2019-05-28
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】向井 達哉
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-119760(JP,A)
【文献】特開2016-156508(JP,A)
【文献】特開平09-313791(JP,A)
【文献】特開2009-275989(JP,A)
【文献】特開2002-025306(JP,A)
【文献】特開2014-017055(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0072538(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 13/00-15/04
F26B 9/02
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の本体ケースと、熱交換器と、送風ファンと、前記送風ファンを駆動するための電動機を有し、前記電動機が前記本体ケースの収容部に収容された状態で固定カバーによって前記本体ケースに固定され、前記電動機の電力線接続部は樹脂封止が施されていると共に、
前記収容部の前記電力線接続部に臨む部分に防火処理が施されている浴室暖房乾燥機において、
前記電力線接続部から外部に延びる電力線は、前記電力線接続部から延び
る細線部と、前記細線部の端部から外方に延びる前記細線部よりも太い太線部を有し、
前記電動機を固定した状態で所定の位置に形成される前記本体ケースと前記固定カバーの間の隙間から前記電力線が外部に引き出されるように構成され、
前記細線部の長さは前記電力線接続部から前記隙間を通して外部に引き出すことができる長さであり、前記隙間が前記細線部を通し且つ前記太線部を通せない大きさに設定され
、前記隙間に前記細線部を通すことによって限定される前記電力線接続部の周方向の位置に対応する範囲に前記防火処理が施されたことを特徴とする浴室暖房乾燥機。
【請求項2】
前記太線部は複数の被覆電線を外装材で被覆して構成され、前記細線部は前記外装材による被覆がない複数の被覆電線であることを特徴とする請求項1に記載の浴室暖房乾燥機。
【請求項3】
前記太線部は複数の被覆電線を保護チューブで覆って構成され、前記細線部は前記保護チューブに覆われていない複数の被覆電線であることを特徴とする請求項1に記載の浴室暖房乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室暖房乾燥機に関し、特にトラッキング現象を防いで安全を確保する浴室暖房乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室内は、入浴による高温高湿環境とそれ以外の通常環境との間で繰り返し環境が変化する。浴室用の設備機器には、このように繰り返し変化するサイクル環境下で使用しても水分の侵入によって故障等が発生しないことが求められる。例えば特許文献1のように、密閉容器に収容した照明装置の電源線を密閉容器内と浴室外部とを連通する管部材に通すことによって、密閉容器内に水分が侵入し難い構造が知られている。
【0003】
浴室には、浴室内の暖房や換気を行うための浴室暖房乾燥機が浴室の天井等に配設されている。浴室暖房乾燥機は、合成樹脂製の本体ケース内に送風ファンや熱交換器等の機器が収容されており、長期間の使用によって埃が溜まる。この浴室暖房乾燥機も上記のサイクル環境下で使用されるので、高湿環境下では水分によって埃に電流が流れ易くなってトラッキング現象が発生して発火する虞がある。
【0004】
それ故、暖房乾燥機の送風ファンを駆動する電動機は、円筒状の電動機ケースに収容されて電力線が電動機ケースの側壁部(円筒壁部)の電力線接続部から電動機ケース外に引き出され、埃や水分の侵入、付着を防ぐために電力線接続部が樹脂封止されている。これによりトラッキング現象を防止して、故障や火災の発生を防いでいる。
【0005】
この電力線接続部を封止する樹脂は、サイクル環境下で長期間使用する間に徐々に劣化する。劣化が進行して水分等の侵入を防ぐことができなくなると、トラッキング現象が発生して火災が発生する虞がある。そのため、電力線接続部の周囲には例えば金属製防火部材の配設等による防火処理を施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図9に示すように、電動機ケースに収容された電動機36は、浴室暖房乾燥機の本体ケース30上面部を円形状に凹入させて設けられた収容部30aに収容され、電動機ケースの上側を覆う固定カバー38によって固定されている。電動機作動時の振動が浴室に伝わらないようにするため、電動機ケースを本体ケース30に直接固定せず、電動機ケースの上面と下面に装備された防振材を介して、電動機ケースの上側を覆う固定カバー38と収容部30aの底部に挟まれて固定されている。電力線接続部から延びる電力線31は、収容部30aと固定カバー38の間の隙間を通して外部の電源端子まで引き出される。
【0008】
このように固定カバー38と収容部30aの底部に挟まれて固定される浴室暖房乾燥機の電動機36は、収容部30aの周方向の任意の位置にその電力線接続部が位置した状態で固定することができるので、収容部30a全体に防火処理を施して安全を確保している。しかし、防火処理を施す部分が大きいので、浴室暖房乾燥機の製造コストの増加を招いていた。
【0009】
本発明の目的は、防火処理による安全確保と製造コストの低減を両立することができる浴室暖房乾燥機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明の浴室暖房乾燥機は、合成樹脂製の本体ケースと、熱交換器と、送風ファンと、前記送風ファンを駆動するための電動機を有し、前記電動機が前記本体ケースの収容部に収容された状態で固定カバーによって前記本体ケースに固定され、前記電動機の電力線接続部は樹脂封止が施されていると共に、前記収容部の前記電力線接続部に臨む部分に防火処理が施されている浴室暖房乾燥機において、前記電力線接続部から外部に延びる電力線は、前記電力線接続部から延びる細線部と、前記細線部の端部から外方に延びる前記細線部よりも太い太線部を有し、前記電動機を固定した状態で所定の位置に形成される前記本体ケースと前記固定カバーの間の隙間から前記電力線が外部に引き出されるように構成され、前記細線部の長さは前記電力線接続部から前記隙間を通して外部に引き出すことができる長さであり、前記隙間が前記細線部を通し且つ前記太線部を通せない大きさに設定され、前記隙間に前記細線部を通すことによって限定される前記電力線接続部の周方向の位置に対応する範囲に前記防火処理が施されたことを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、電動機の電力線は、電力線接続部から延びる細線部と細線部端部から更に外方に延びる細線部よりも太い太線部を有している。そして電動機を固定した状態で本体ケースと固定カバーの間の隙間が所定の位置に形成され、その隙間の大きさは、電力線の細線部を通し且つ太線部を通せないように設定されている。細線部の長さは電力線接続部から隙間を通して外部に引き出すことができる長さであるため、収容部における電動機の電力線接続部の周方向位置が、細線部を本体ケースと固定カバーの間の隙間に通すことができる範囲内に限定される。この限定された範囲の電力線接続部に臨む部分に防火処理を施すことにより、収容部の防火処理を施す部分を縮小させることができるので、浴室暖房乾燥機の安全確保と製造コストの低減を両立することができる。
【0012】
請求項2の発明の浴室暖房乾燥機は、請求項1の発明において、前記太線部は複数の被覆電線を外装材で被覆して構成され、前記細線部は前記外装材による被覆がない複数の被覆電線であることを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、細線部と太線部を備えた電力線を容易に形成できると共に浴室暖房乾燥機の安全を確保できる。
【0014】
請求項2の発明の浴室暖房乾燥機は、請求項1の発明において、前記太線部は複数の被覆電線を保護チューブで覆って構成され、前記細線部は前記保護チューブに覆われていない複数の被覆電線であることを特徴としている。
【0015】
上記構成によれば、細線部と太線部を備えた電力線を容易に形成できると共に浴室暖房乾燥機の安全を確保できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の浴室暖房乾燥機によれば、防火処理による安全確保と製造コストの低減を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例に係る浴室暖房乾燥機の斜視図である。
【
図6】電力線を引き出した切欠き部の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0019】
人の入浴時の浴室は、給湯装置から供給される温水の使用によって、室温が上昇すると共に湿度が高まって高温高湿の環境になる。高温高湿環境はカビの発生等を助長するため、入浴後には浴室内を換気して通常環境に戻す。このとき換気は、浴室に配設された換気扇や浴室暖房乾燥機等の換気運転によって行われ、窓等があればこれも開ける場合がある。以下では、換気運転を行う浴室暖房乾燥機1について説明する。
【0020】
図1,
図2に示すように、浴室暖房乾燥機1は、浴室の天井に配設される天井カセット式浴室暖房乾燥機である。この浴室暖房乾燥機1の合成樹脂製の本体ケース内には、暖房運転用及び換気運転用の空気の通路(図示略)が形成されている。本体ケースは、暖房乾燥運転を行うための熱交換器2と浴室循環ファン3等を有する暖房部が収容された第1ケース4と、換気運転を行うための送風ファン11等を有する換気部が収容された第2ケース10を有する。第1ケース4の下面部には、浴室に連通するグリル状開口部等が形成されたグリル板6が装着される。
【0021】
浴室の空気はグリル板6を介して第1ケース4内に導入される。暖房運転では、浴室循環ファン3を駆動して導入された浴室の空気が、熱交換器2で温水との熱交換により加熱されて、グリル板6を介して浴室内に送風される。熱交換器2には図示外の温水装置との間で温水を循環させるための温水配管2a,2bが接続される。
【0022】
換気運転では、送風ファン11を駆動して第1ケース4内に導入された浴室の空気が第2ケース10内に導入され、排気部13から外部に排気される。乾燥運転では、暖房運転と同時に換気運転を行う。尚、第2ケース10は、浴室以外の脱衣室等の換気も行うことができるように、他室に連通する換気配管を接続するための吸気部14,15を備えている。
【0023】
次に、第2ケース10について説明する。
図2~
図6に示すように、第2ケース10には、送風ファン11を駆動する電動機16が固定される。浴室内の空気は湿度が高いことが多いので、第2ケース10に導入した空気に含まれる水分の侵入によって故障等が発生しないように、電動機16が合成樹脂製の電動機ケース17に密閉状に収容されて第2ケース10に固定されている。
【0024】
電動機16は、例えば家庭用の交流電源で作動する交流モータであり、鉛直方向に延びる回転軸16aを備えて円柱状に形成され、回転軸16aに装着された送風ファン11を駆動する。電動機ケース17は円筒壁部と上面部と下面部を有して電動機16を密閉状に覆い、その下面部に設けられた軸穴から回転軸16aが突出している。電動機ケース17は、上面部に上側突出部17aを有し、下面部に下側突出部17bを有し、上側突出部17aと下側突出部17bに夫々防振ゴム部材17c,17dが装着されている。
【0025】
電動機16の電力線21は、電動機ケース17の円筒壁部に設けられた電力線接続部17eから電動機ケース17の外側に延び、この電力線接続部17eが例えばエポキシ樹脂等によって樹脂封止されている。この樹脂封止によって埃や水分が電力線接続部17eに侵入しないようにして、トラッキング現象を防ぐ。電力線接続部17eにおいて電力線21は、電動機16の配線基板に設けられた配線コネクタに接続されている、又は電動機16の電源端子部に電力線21が半田付け等されている。
【0026】
次に、この電動機16を収容した電動機ケース17を第2ケース10に固定する構造について説明する。
第2ケース10には、電動機ケース17を収容するために、送風ファン11の上側の第2ケース10の上面部の所定の円形領域を凹入させて収容部10aが形成されている。収容部10aの底部10bの中央には電動機16の回転軸16aを挿通する軸穴が設けられている。収容部10aの周壁部は、上側周壁部10cの内径が下側周壁部10dの内径よりも大きい段付き形状に形成されている。
【0027】
下側周壁部10dの所定の部位には、上方程径方向外方に広がる傾斜部10eが設けられ、傾斜部10e近傍の段付き部10fに上方に突出するようにスペーサ10gが形成されている。傾斜部10eには、防火処理として例えばアルミ等の金属製のフィルム又は薄板の防火部材10hが配設されている。
【0028】
収容部10aは、電力線接続部17eが収容部10aの周方向のどの位置にあっても電動機ケース17を収容可能な大きさに形成されているが、防火部材10hが配設された傾斜部10eが電力線接続部17eに臨むように電力線接続部17eの位置を定めて、電動機ケース17収容する。収容された電動機ケース17は防振ゴム部材17c,17dを介して、その上側から覆う固定カバー18と収容部10aの底部10bに挟まれ、固定カバー18を第2ケース10にビスで固定することによって電動機ケース17が第2ケース10に固定される。この固定構造により、電動機16の作動に伴う振動を防振ゴム部材17c,17dによって吸収減衰させ、第2ケース10に振動を伝え難くしている。
【0029】
固定カバー18は、合成樹脂材料によって収容部12aに収まるように略円形の板状に形成され、その中央部には、電動機ケース17の上側突出部17aに装着された防振ゴム部材17cに外嵌させるための内側リング部分18bを有する。この内側リング部分18bと外縁の外側リング部分18cの間に、複数のスポーク状部分18dが形成され、それらの間が電動機16の放熱口になっている。
【0030】
外側リング部分18cの外縁近傍部には第2ケース10にビス固定するための複数(例えば4つ)のビス穴が周方向に間隔を空けて設けられ、ビス穴18e近傍の外縁部には切欠き部18fが設けられている。固定カバー18は、収容部10aの傾斜部10e近傍に形成されたスペーサ10gに切欠き部18fの周方向位置が重なるように第2ケース10に固定され、固定カバー18がスペーサ10gの上端部に当接する。
【0031】
ビス穴18eに対して切欠き部18fが設けられた側にある隣のビス穴18gと、この切欠き部18fの間は、それ以外の部分よりも外側リング部分18cが径方向外側に延び且つ放熱口が設けられていない。それ故、固定カバー18を第2ケース10に固定すると、ビス穴18gと切欠き部18fの間の領域の下方にある電力線接続部17eには、固定カバー18によって埃が溜まり難くなっている。
【0032】
図5に示すように、収容部10aに収容された電動機ケース17の電力線接続部17eから延びる電力線21は、電力線接続部17eに臨む傾斜部10eと電力線接続部17eの間のスペースに延びている。この電力線21は、傾斜部10e近傍の段付き部10fに形成されたスペーサ10gによって設定された大きさ隙間であって段付き部10fと固定カバー18の間の隙間を通り、
図6に示すように固定カバー18の切欠き部18fから外部に引き出される。隙間の大きさは適宜設定することができ、例えば高さが5mm程度、幅が20mm程度である。
【0033】
次に、電力線21について説明する。
図5,
図6に示すように、電力線21は、電力線接続部17eから延びる予め設定された長さの細線部22と、細線部22の電力線接続部17eと反対側の端部から外方に延びる細線部22よりも太い太線部23を有する。細線部22は、スペーサ10gによって大きさが設定された段付き部10fと固定カバー18の間の隙間を通すことができる太さである。
【0034】
一方、細線部22よりも太い太線部23は、スペーサ10gによって大きさが設定された段付き部10fと固定カバー18の間の隙間を通すことができない太さである。即ち、固定カバー18が固定されている状態では、段付き部10fと固定カバー18の間の隙間に太線部23を通すことができないようにしている。太線部23は、例えばナイロンクランプ25(
図4参照)等によって第2ケース10の上面部の所定位置に固定され、電力線接続部17eからの電力線21の抜け防止を図っている。
【0035】
細線部22の長さは、傾斜部10eが形成された範囲内に収まるように電力線接続部17eを周方向に動かしたときに、細線部22を第2ケース10の段付き部10fと固定カバー18の間の隙間を通して切欠き部18fから外部に引き出すことができる長さ(例えば100mm程度)である。この長さは、傾斜部10eや電力線接続部17eの周方向の幅等に基づいて予め設定される。
【0036】
設定された長さの細線部22がその隙間を通って切欠き部18fから外部に引き出されるように電力線接続部17eの周方向の位置の範囲が限定され、その範囲の電力線接続部17eに臨む傾斜部10eに防火処理を施して安全確保を図る。従って、従来は収容部10aの周方向全域に施していた防火処理を、傾斜部10eに施すように限定して、防火処理を施す領域を縮小させることができる。
【0037】
図7に示すように、電力線21は複数の被覆電線として例えば2本の被覆電線21a,21bを有する。太線部23は、これらの被覆電線21a,21bが束ねられて絶縁ゴム等の外装材23aによって覆われた1本の配線になっている。細線部22は、複数の被覆電線21a,21bが外装材23aによって覆われていない複数の配線になっている。細線部22は、太線部23の外装材23aを除去して形成してもよく、予め外装材23aで覆わないように形成してもよい。
【0038】
また、
図8に示すように、太線部23は複数の被覆電線21a,21bが例えばコルゲートチューブ等の合成樹脂製の保護チューブ23bによって覆われて束ねられた1本の配線になっており、細線部22は複数の被覆電線21a,21bが保護チューブ23bによって覆われていない複数の配線になっている電力線21でもよい。細線部22は、太線部23の保護チューブ23bを除去して形成してもよく、予め保護チューブ23bで覆わないように形成してもよい。
【0039】
上記実施例の浴室暖房乾燥機1の作用、効果について説明する。
電動機16の電力線21は、電力線接続部17eから延びる細線部22と細線部22の端部から更に外方に延びる細線部22よりも太い太線部23を有している。そして電動機16を収容した電動機ケース17を固定カバー18によって固定した状態で第2ケース10の段付き部10fと固定カバー18の間の隙間が所定の位置に形成され、その隙間の大きさが、電力線21の細線部22を通し且つ太線部23を通せないように設定されている。この隙間に細線部22を通した状態では、電力線接続部17eを周方向に動かしたときに、電力線接続部17eの周方向の位置の範囲が細線部22の長さによって限定される。
【0040】
そのため、電力線接続部17eから延びて隙間を通して外部に引き出すことができる長さに設定された細線部22によって、電力線接続部17eの周方向位置に対応する収容部10aの周壁部の範囲が限定される。従って、トラッキング現象による発火を防ぐための防火処理を施す部分を、その限定された範囲の電力線接続部17eに臨む傾斜部10eに縮小させることによって、浴室暖房乾燥機1の安全確保と製造コストの低減を両立することができる。
【0041】
太線部23は複数の被覆電線21a,21bを外装材23aで被覆して構成され、細線部22は外装材23aによる被覆がない複数の被覆電線21a,21bである。従って、細線部22と太線部23を備えた電力線21を容易に形成できると共に浴室暖房乾燥機1の安全を確保できる。
【0042】
また、太線部23は複数の被覆電線21a,21bを保護チューブ23bで覆って構成され、細線部22は保護チューブ23bに覆われていない複数の被覆電線21a,21bである。従って、細線部22と太線部23を備えた電力線21を容易に形成できると共に浴室暖房乾燥機1の安全を確保できる。
【0043】
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0044】
1 :浴室暖房乾燥機
2 :熱交換器
4 :第1ケース
11 :送風ファン
10 :第2ケース
10a :収容部
10e :傾斜部
10f :段付き部
10g :スペーサ
16 :電動機
17 :電動機ケース
17c,17d :防振ゴム部材
17e :電力線接続部
18 :固定カバー
18f :切欠き部
21 :電力線
21a,21b :被覆電線
22 :細線部
23 :太線部
23a :外装材
23b :保護チューブ