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特許7324999防汚ガス供給装置及びレーザ加工ヘッドの防汚方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】防汚ガス供給装置及びレーザ加工ヘッドの防汚方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/142 20140101AFI20230804BHJP
   B23K 26/16 20060101ALI20230804BHJP
   B23K 26/70 20140101ALI20230804BHJP
【FI】
B23K26/142
B23K26/16
B23K26/70
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020521757
(86)(22)【出願日】2019-04-05
(86)【国際出願番号】 JP2019015166
(87)【国際公開番号】W WO2019230193
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-10-18
(31)【優先権主張番号】P 2018104500
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 静波
(72)【発明者】
【氏名】西尾 正敏
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-213577(JP,A)
【文献】特開2007-268610(JP,A)
【文献】特開2014-188556(JP,A)
【文献】国際公開第2017/203862(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/142
B23K 26/16
B23K 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバで伝送されたレーザビームをケーシング内部に収容された光学系で集光し、保護ガラスを介して被加工物に向けて出射するレーザ加工ヘッドに設けられ、前記保護ガラスと被加工物との間に、レーザビームの光軸と交差する方向から防汚ガスを噴射するガスノズルを備えた防汚ガス供給装置であって、
前記被加工物の加工中に、前記ガスノズルから噴射される防汚ガスの噴射態様を異ならせる噴射態様調整機構を備えており、
前記噴射態様調整機構は、前記レーザビームの光軸に沿う方向に前記ガスノズルの位置を調整するガスノズル移動機構を備えている、防汚ガス供給装置。
【請求項2】
光ファイバで伝送されたレーザビームをケーシング内部に収容された光学系で集光し、保護ガラスを介して被加工物に向けて出射するレーザ加工ヘッドに設けられ、前記保護ガラスと被加工物との間に、レーザビームの光軸と交差する方向から防汚ガスを噴射するガスノズルを備えた防汚ガス供給装置であって、
前記被加工物の加工中に、前記ガスノズルから噴射される防汚ガスの噴射態様を異ならせる噴射態様調整機構を備えており、
前記噴射態様調整機構は、前記レーザビームの光軸と直交する平面に対して、前記ガスノズルから噴射される防汚ガスの噴射方向を調整する噴射角度調整機構を備えている、防汚ガス供給装置。
【請求項3】
光ファイバで伝送されたレーザビームをケーシング内部に収容された光学系で集光し、保護ガラスを介して被加工物に向けて出射するレーザ加工ヘッドに設けられ、前記保護ガラスと被加工物との間に、レーザビームの光軸と交差する方向から防汚ガスを噴射するガスノズルを備えた防汚ガス供給装置であって、
前記被加工物の加工中に、前記ガスノズルから噴射される防汚ガスの噴射態様を異ならせる噴射態様調整機構を備えており、
前記被加工物の溶接位置及び/または前記被加工物を保持する位置決め治具の配置位置に基づいて前記噴射態様が変更される、防汚ガス供給装置。
【請求項4】
光ファイバで伝送されたレーザビームをケーシング内部に収容された光学系で集光し、保護ガラスを介して被加工物に向けて出射するレーザ加工ヘッドに設けられ、前記保護ガラスと被加工物との間に、レーザビームの光軸と交差する方向から防汚ガスを噴射するガスノズルを備えた防汚ガス供給装置であって、
前記被加工物の加工中に、前記ガスノズルから噴射される防汚ガスの噴射態様を異ならせる噴射態様調整機構を備えており、
前記ガスノズルは、前記レーザビームの光軸に沿う方向に沿って複数段設けられ、前記噴射態様調整機構は被加工物に最も近い側の前記ガスノズルに設けられている、防汚ガス供給装置。
【請求項5】
光ファイバで伝送されたレーザビームをケーシング内部に収容された光学系で集光し、保護ガラスを介して被加工物に向けて出射するレーザ加工ヘッドに設けられ、前記保護ガラスと被加工物との間に、レーザビームの光軸と交差する方向から防汚ガスを噴射するガスノズルを備えた防汚ガス供給装置を用いたレーザ加工ヘッドの防汚方法であって、
前記被加工物の加工中に、前記ガスノズルから噴射される防汚ガスの噴射態様を異ならせる噴射態様調整ステップを備えており、
前記噴射態様調整ステップは、前記レーザビームの光軸に沿う方向に前記ガスノズルの位置を調整するガスノズル移動ステップを備えている、レーザ加工ヘッドの防汚方法。
【請求項6】
光ファイバで伝送されたレーザビームをケーシング内部に収容された光学系で集光し、保護ガラスを介して被加工物に向けて出射するレーザ加工ヘッドに設けられ、前記保護ガラスと被加工物との間に、レーザビームの光軸と交差する方向から防汚ガスを噴射するガスノズルを備えた防汚ガス供給装置を用いたレーザ加工ヘッドの防汚方法であって、
前記被加工物の加工中に、前記ガスノズルから噴射される防汚ガスの噴射態様を異ならせる噴射態様調整ステップを備えており、
前記噴射態様調整ステップは、前記レーザビームの光軸と直交する平面に対して、前記ガスノズルから噴射される防汚ガスの噴射方向を調整する噴射角度調整ステップを備えている、レーザ加工ヘッドの防汚方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防汚ガス供給装置及びレーザ加工ヘッドの防汚方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工システムは、レーザ発振器と、レーザ発振器によって発振されたレーザビームを伝送する光ファイバと、光ファイバで伝送されたレーザビームを集光して被加工物に向けて出射するレーザ加工ヘッドと、レーザ加工ヘッドを被加工物に向けて位置決め保持するマニピュレータと、マニピュレータを制御するロボット制御装置などを備えている。
【0003】
レーザ加工法は、高いエネルギー密度のレーザビームを使用することによって高速で高い加工品質を得ることができる加工方法である。
【0004】
しかし、例えば溶接加工では、被加工物から溶融金属の蒸発に伴い発生したヒュームや、溶融金属自身の飛散によって発生したスパッタが、レーザ加工ヘッドに収容された光学部品に付着し得る。光学部品に汚れや破損が発生すると、所期の性能を発揮することが困難になる。
【0005】
そこで、ヒュームやスパッタが光学部品に付着することがないように、レーザ加工ヘッドの出口側に保護ガラスが設けられる。保護ガラスは、汚れた時に交換できるように、レーザ加工ヘッドに対して着脱自在に構成されている。
【0006】
さらに、保護ガラスの防汚のために、保護ガラスと被加工物との間に、レーザビームの光軸と交差する方向から防汚ガスを噴射するガスノズルを備えた防汚ガス供給装置が設けられる。防汚ガスとしては、例えば圧縮空気が好適に用いられる。
【0007】
例えば、特許文献1には、内部に備えた集光レンズで集光されたレーザビームが先端部に設けられたレーザノズルから照射されるレーザ加工ヘッドであって、集光レンズとレーザノズルの間には集光レンズを保護する保護ガラスが設けられ、前記レーザ加工ヘッドの下部には高速エアを噴射できるエアブロー装置が設けられ、エアブロー装置によってレーザ加工ヘッドの先端部に高速エアの層流が形成されるレーザ加工ヘッドが提案されている。
【0008】
特許文献2には、レーザビームを収束させるレンズと、前記レンズによって収束されたレーザビームの光路の側方に配置された少なくとも2つのノズルベースとを有するレーザ加工ヘッドが提案されている。該2つのノズルベースは、収束された前記レーザビームの光軸方向に関して相互に異なる位置に配置され、該ノズルベースの各々は、該レーザビームの光路に向かってガスを噴出するスリット状のノズルを有し、該ノズルは相互に平行に配置されている。
【0009】
特許文献3には、内部に備えられた集光レンズで集光されたレーザビームを加工点に出射するレーザ加工ヘッドにおいて、集光レンズと加工点の間で、レーザビームの光軸に対して垂直方向に、前記集光レンズ側から順に第1の保護ガラスと第2の保護ガラスとを間隔をあけて配置し、第1の保護ガラスと第2の保護ガラスの隙間と、第2の保護ガラスの加工点側表面と、第2の保護ガラスと加工点間に、レーザビームの光軸に対して垂直方向に高速エアを噴射するエアブローノズルをそれぞれ設けたことを特徴とするレーザ加工ヘッドが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2000-263276号公報
【文献】特開2002-192374号公報
【文献】特開2004-306106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上述した従来の防汚ガス供給装置は、何れもレーザ加工ヘッドの出口側に設けた保護ガラスの近傍に固定設置されている。また、噴射ノズルから噴射された防汚ガスは、レーザビームの光軸と直交する平面に沿うように、吹付角度が制限された状態で噴射されている。そのため、保護ガラスへのヒュームまたはスパッタの付着の防止効果が不十分になる虞がある。
【0012】
そこで、保護ガラスからある程度離隔した位置から防汚ガスが供給されるように防汚ガス供給装置を設けることが想定される。しかし、噴射ノズルから噴射された防汚ガスが被加工物または被加工物を固定する治具に当たり、偏流された防汚ガスが、例えば溶接時のシールドガスと干渉することがある。この場合、シールド効果が阻害され、溶接金属が酸化する虞がある。
【0013】
本発明は、上述の問題点に鑑み、レーザ加工時に発生するヒュームやスパッタの保護ガラスへの付着を効果的に防止し、しかも溶接部位のガスシールド状態を乱すことがなく高い加工品質が得られる、防汚ガス供給装置及びレーザ加工ヘッドの防汚方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一側面は、光ファイバで伝送されたレーザビームをケーシング内部に収容された光学系で集光し、保護ガラスを介して被加工物に向けて出射するレーザ加工ヘッドに設けられ、前記保護ガラスと被加工物との間に、レーザビームの光軸と交差する方向から防汚ガスを噴射するガスノズルを備えた防汚ガス供給装置であって、前記ガスノズルから噴射される防汚ガスの噴射態様を異ならせる噴射態様調整機構を備えている、防汚ガス供給装置に関する。
【0015】
また、本発明の別の側面は、光ファイバで伝送されたレーザビームをケーシング内部に収容された光学系で集光し、保護ガラスを介して被加工物に向けて出射するレーザ加工ヘッドに設けられ、前記保護ガラスと被加工物との間に、レーザビームの光軸と交差する方向から防汚ガスを噴射するガスノズルを備えた防汚ガス供給装置を用いたレーザ加工ヘッドの防汚方法であって、前記ガスノズルから噴射される防汚ガスの噴射態様を異ならせる噴射態様調整ステップを備えている、レーザ加工ヘッドの防汚方法に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、レーザ加工時に発生するヒュームやスパッタの保護ガラスへの付着を効果的に防止し、しかも溶接部位のガスシールド状態を乱すことがなく高い加工品質が得られる、防汚ガス供給装置及びレーザ加工ヘッドの防汚方法を提供することができるようになる。
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成および内容の両方に関し、本発明の他の目的および特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】レーザ加工システムの説明図である。
図2】レーザ加工ヘッドの要部断面図である。
図3A】レーザ加工ヘッドの備えた防汚ガスの噴射態様調整機構の説明図である。
図3B図3Aに示すA-A線断面図である。
図4A】レーザ加工ヘッドの備えた防汚ガスの噴射態様調整機構の別実施形態の説明図である。
図4B図4Aに示すA-A線断面図である。
図5A】レーザ加工ヘッドの備えた防汚ガスの噴射態様調整機構の別実施形態の説明図である。
図5B図5Aに示すB-B線断面図である。
図6A】ノーマルな水平方向へ噴射された防汚ガスの噴射方向説明図である。
図6B】噴射された防汚ガスが位置決め治具により偏流される場合の噴射方向説明図である
図6C】噴射態様調整機構により位置決め治具を回避するように上方に角度偏向して噴射された防汚ガスの噴射方向説明図である。
図6D】噴射態様調整機構により位置決め治具を回避するようにノズル位置を上方に位置偏向して噴射された防汚ガスの噴射方向説明図である。
図6E】噴射態様調整機構によりノズルの偏向角度が自動調整される場合の防汚ガスの噴射方向説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を適用した防汚ガス供給装置及びレーザ加工ヘッドの防汚方法の実施形態を説明する。
【0019】
[防汚ガス供給装置及びレーザ加工ヘッドの防汚方法の基本的態様]
本発明に係る防汚ガス供給装置は、光ファイバで伝送されたレーザビームをケーシング内部に収容された光学系で集光し、保護ガラスを介して被加工物に向けて出射するレーザ加工ヘッドに設けられ、保護ガラスと被加工物との間に、レーザビームの光軸と交差する方向から防汚ガスを噴射して保護ガラスを防汚するガスノズルを備え、ガスノズルから噴射される防汚ガスの噴射態様を異ならせる噴射態様調整機構を備えている。噴射態様は、例えば被加工物の設置環境もしくは設置条件に基づいて変化させてよい。また、噴射態様は、例えば被加工物の設置環境もしくは設置条件に基づいて、自動的もしくは手動操作で変化させてよい。
【0020】
例えば被加工物の溶接位置に対応して、保護ガラスへのヒュームやスパッタの付着を効果的に防止可能な噴射態様で防汚ガスが噴射される。或いは、固定治具を含む被加工物との干渉によって防汚ガスの偏流が生じる場合には、その偏流によってシールドガスによる加工部位のシールド状態が乱されないような噴射態様で、防汚ガスが噴射される。ここで、防汚ガスの噴射態様は、噴射態様調整機構によって調整される。
【0021】
噴射態様調整機構は、レーザビームの光軸に沿う方向にガスノズルの位置を調整するガスノズル移動機構を備えてもよい。例えば、ガスノズルから噴射された防汚ガスが被加工物やその固定治具によって偏流されてシールドガスによる加工部位のシールド状態が乱されることがないように、ガスノズル移動機構によってガスノズルをレーザビームの光軸に沿う方向に移動させることができる。
【0022】
また、噴射態様調整機構は、レーザビームの光軸と直交する平面に対して、ガスノズルから噴射される防汚ガスの噴射方向を調整する噴射角度調整機構を備えてもよい。例えば、ガスノズルから噴射された防汚ガスが被加工物やその固定治具によって偏流されてシールドガスによる加工部位のシールド状態が乱されることがないように、噴射角度調節機構によってガスノズルから噴射される防汚ガスの噴射方向を調整することができる。
【0023】
被加工物の設置環境もしくは設置条件に応じ、例えば、被加工物の溶接位置及び/または被加工物を保持する位置決め治具の配置位置に基づいて噴射態様が変更される。位置決め治具は、被加工物を加工に適した姿勢に保持する。これにより、被加工物のみならず位置決め治具によって防汚ガスが偏流され、シールドガスによる加工部位のシールド状態が乱されることがないように調整できるようになる。
【0024】
ガスノズルもしくはこれを備えた防汚ガス供給装置は、レーザビームの光軸に沿う方向に沿って複数段設けられてもよい。噴射態様調整機構は、被加工物に最も近い側のガスノズルもしくは防汚ガス供給装置に設けられていることが好ましい。
【0025】
保護ガラスの近傍に設けられたガスノズルから噴射される防汚ガスによって、保護ガラスに向うヒュームやスパッタの飛翔軌跡が変化し、保護ガラスへの付着が抑制される。一方、被加工物に最も近い側のガスノズルに備えた噴射態様調整機構によって、被加工物の設置環境もしくは設置条件に対応した適切な態様で防汚ガスが噴射される。
【0026】
本発明に係るレーザ加工ヘッドの防汚方法は、光ファイバで伝送されたレーザビームをケーシング内部に収容された光学系で集光し、保護ガラスを介して被加工物に向けて出射するレーザ加工ヘッドに設けられ、保護ガラスと被加工物との間に、レーザビームの光軸と交差する方向から防汚ガスを噴射して前記保護ガラスを防汚するガスノズルを備えた防汚ガス供給装置を用いたレーザ加工ヘッドの防汚方法であって、ガスノズルから噴射される防汚ガスの噴射態様を異ならせる噴射態様調整ステップを備えている。噴射態様は、例えば被加工物の設置環境もしくは設置条件に基づいて変化させてよい。また、噴射態様は、例えば被加工物の設置環境もしくは設置条件に基づいて、自動的もしくは手動操作で変化させてよい。
【0027】
噴射態様調整ステップは、例えば、レーザビームの光軸に沿う方向に前記ガスノズルの位置を異ならせるガスノズル移動ステップを備えてよい。
【0028】
噴射態様調整ステップは、例えば、レーザビームの光軸と直交する平面に対して、ガスノズルから噴射される防汚ガスの噴射方向を調整する噴射角度調整ステップを備えてよい。
【0029】
[レーザ加工装置及び防汚ガス供給装置の構成]
以下に、溶接加工用のレーザ加工システムに組み込まれた防汚ガス供給装置を説明する。なお、防汚ガス供給装置が組み込まれるレーザ加工システムは、溶接加工用に限るものではなく、孔開け加工などの他の用途に用いられるものであってもよい。
【0030】
図1に示すように、レーザ加工システム100は、レーザ発振器110と、レーザ発振器110によって発振されたレーザビームを伝送する光ファイバ11と、光ファイバ11で伝送されたレーザビームを集光して被加工物に向けて出射するレーザ加工ヘッド10と、レーザ加工ヘッド10を被加工物に向けて位置決め保持するロボット装置120と、ロボット装置120を制御するロボット制御装置130と、ロボット制御装置130に接続されたティーチペンダント140などを備えている。
【0031】
ロボット装置120は、複数のリンク121がそれぞれジョイント122を介して回動可能に結合された多関節型アームでなるマニピュレータ123を備える。マニピュレータ123の先端部には、レーザ加工ヘッド10が取り付けられている。
【0032】
ロボット制御装置130は、CPU、CPUで実行される制御プログラムなどが格納されたメモリ及び入出力回路などで構成された電子制御回路を備える。当該電子制御回路により、マニピュレータ123を制御するマニピュレータ制御部131や、レーザ発振器110を制御するレーザ発振器制御部132などの機能ブロックが構成されている。
【0033】
レーザ加工ヘッド10は、ブラケットを介してマニピュレータ123の先端に取り付けられたケーシング12と、ケーシング12に収容された光学系13(13A,13B)及び保護ガラス14などを備えて構成されている。
【0034】
レーザ発振器110から光ファイバ11を介してレーザ加工ヘッド10に伝送されたレーザビームは、光学系13A,13Bで集光されて、ワークテーブルWTに設置された溶接対象物となる被加工物Wの溶接部位に照射される。
【0035】
当該ケーシング12には、溶接個所に向けて溶接ワイヤを供給するとともに溶接ワイヤの周囲からシールドガスを供給するシールドガスノズルを備えたワイヤ供給機構40が設けられている。ワイヤ供給機構40から供給される溶接ワイヤが、レーザビームにより溶融して被加工物Wが溶接される。そして、溶接時に溶融した金属が周囲の空気による酸化で劣化しないように、アルゴンガスなどのシールドガス42が溶接部位に供給される。
【0036】
なお、図1には、ワイヤ供給機構40のシールドガスノズルしか示されていないが、実際には、シールドガスノズルの先端が溶接部位に延びるようにワイヤ供給機構40の本体がケーシング12の側壁に取付けられていてよい。
【0037】
また、図示していないが、ワイヤ供給機構40は、ケーシング12の側壁に取付けられている部分が、別置きのワイヤ収納部と、ワイヤ送給駆動部とに接続されていてよい。そして、ワイヤ供給機構40は、ワイヤを供給せずに、シールドガスのみを供給することができる。
【0038】
レーザ加工ヘッド10は、さらに保護ガラス14と被加工物Wとの間に、レーザビームの光軸Lと交差する方向から防汚ガスを噴射して保護ガラス14を防汚する第1の防汚ガス供給装置20A(20)及び第2の防汚ガス供給装置20B(20)を備える。第2の防汚ガス供給装置20Bは、被加工物の設置環境もしくは設置条件に基づいてガスノズルから噴射される防汚ガスの噴射態様を異ならせる噴射態様調整機構を備えている。
【0039】
ティーチペンダント140は、ロボット制御装置130との通信インタフェース回路、各種の情報を表示するための表示部141、溶接条件の設定等を行うためのデータ設定部142などを備えて構成されている。
【0040】
教示者は、ティーチペンダント140のデータ設定部142を操作して、マニピュレータ123に対する動作パラメータや、レーザ加工ヘッド10及びレーザ発振器110に対する溶接パラメータなどの教示データの入力作業を行なう。入力された教示データの集合体つまりティーチング情報は、通信インタフェース回路を介してティーチペンダント140からロボット制御装置130に送信され、ロボット制御装置130のメモリに記憶される。
【0041】
ロボット制御装置130は、溶接作業の開始に際してメモリから読み出したティーチング情報に基づいて演算部で必要な演算処理を実行し、マニピュレータ123に必要な動作指令を出力するとともに、レーザ発振器110にレーザビームの発振指令などを出力する。ロボット制御装置130が溶接作業の進捗に伴ってマニピュレータ123、レーザ発振器110及びレーザ加工ヘッド10に必要な指令を更新出力することにより、教示データ通りにマニピュレータ123とレーザ発振器110及びレーザ加工ヘッド10が制御される。レーザ加工ヘッド10に出力される指令には噴射態様調整機構に対する指令が含まれる。
【0042】
ロボット制御装置130からマニピュレータ123に出力される動作指令には、レーザ加工ヘッド10を所定の移動経路及び速度で移動させるために必要な各ジョイントに対する回転方向及び回転速度が含まれる。レーザ発振器110に出力される発信指令には、レーザビームのパワー、発振指令、停止指令、連続駆動かパルス駆動かの選択指令、パルス駆動の場合には繰返し周波などが含まれる。噴射態様調整機構に対する指令には、噴射角度などが含まれる。
【0043】
[防汚ガス供給装置及び噴射態様調整機構の説明]
図2に示すように、レーザ加工ヘッド10のケーシング12の底部に第1の保護ガラス14Aが封止され、さらに下方に第2の保護ガラス14Bが配置されている。第2の保護ガラス14Bは、ガラス保持部15に着脱可能に取り付けられ、当該ガラス保持部15がケーシング12の下部にネジ止めされている。なお、ケーシング12に対するガラス保持部15の取り付け態様は例示に過ぎず、ネジ止めに限るものではない。
【0044】
保護ガラス14(14A,14B)は、溶接時に発生するヒュームやスパッタが光学系13A,13Bに付着して劣化することがないように設けられている。第1の保護ガラス14Aがケーシング12に封止され、着脱不能であるため、第2の保護ガラス14Bがヒュームやスパッタの付着による汚れの程度に応じて交換可能に構成されている。
【0045】
第2の保護ガラス14Bの直下に第1の防汚ガス供給装置20Aが設けられ、さらにその下方に第2の防汚ガス供給装置20Bが設けられている。
第1の防汚ガス供給装置20Aは、ケーシング12に取付けられた第1防汚ガス供給路21と、第1防汚ガス供給路21に備えた第1防汚ガスノズル22を備えている。第1防汚ガス供給路21は、ケーシング12の側壁に沿って下方に流れる縦流路21Aと、縦流路21Aの下端で横に折れ曲がる横流路21Bとで構成される断面L字状の流路である。当該横流路21Bの基端部に第1防汚ガスノズル22が設けられている。
【0046】
横流路21Bを構成する上下の扁平流路壁には、レーザビームを遮ることがないように、光軸Lを中心とする円形の開口が形成されている。第1防汚ガスノズル22から噴射された防汚ガスは、光軸Lと直交する方向に横流路21Bを通り、円形の開口から保護ガラス14Bに向って流れるヒュームやスパッタが保護ガラス14Bに当たらないように、横流路21Bの端部開口から排出される。
【0047】
第2の防汚ガス供給装置20Bは、第1防汚ガス供給路21の縦流路21Aに隣接して設けられた第2防汚ガス供給路23と、第2防汚ガス供給路23に備えた第2防汚ガスノズル24とを備えている。第2防汚ガス供給路23は、ケーシング12の側壁に沿って下方に流れる縦流路23Aと、縦流路23Aの下端で横に折れ曲がる横流路23Bとで構成される断面L字状の流路である。当該横流路23Bの先端部に第2防汚ガスノズル24が設けられている。
【0048】
第2の防汚ガス供給装置20Bには、第2防汚ガスノズル24による防汚ガスの噴出方向を偏向させる噴射態様調整機構が設けられている。当該噴射態様調整機構により、第2防汚ガスノズル24から噴出される防汚ガスの噴出方向が、レーザビームの光軸Lに直交する方向を中心に上下方向に偏向可能に構成されている。図2の二点鎖線は防汚ガスの流れ方向を示している。
図2では、第1防汚ガス供給路21(21A)と第2防汚ガス供給路23(23A)は同一の防汚ガス(圧縮空気)から分岐されて防汚ガスが供給されるよう描かれているが、この2つの防汚ガス供給路を分離して設置し、防汚ガスがそれぞれ独立に供給されてもよい。
【0049】
防汚ガスの噴出方向が上下方向に偏向可能に構成されているのは、被加工物Wの設置環境もしくは設置条件によって、第2防汚ガスノズル24から噴出される防汚ガスが被加工物やその治具で偏流され、溶接ワイヤ供給機構40に備えたシールドガスノズルから供給されるシールドガス42によるシールド状態を乱すことがないようにするためである。なお、防汚ガスの噴出方向の調整は噴出態様の調整の一例である。
【0050】
図3(a),(b)には、噴射態様調整機構30が例示されている。当該噴射態様調整機構(噴射角度調節機構)30は、第2防汚ガス供給路23のうち縦流路23Aを構成する一対の側壁に第2防汚ガスノズル24を回動自在に支持する一対の軸受部31,31と、軸受部31,31で支持された第2防汚ガスノズル24を回動するモータ32及びギア機構33で構成されている。
【0051】
第2防汚ガスノズル24は、横流路23Bの左右開口幅と略同幅に形成されたスリット状の防汚ガス噴射口24Aと、断面視で当該防汚ガス噴射口24Aを挟んで上下方向に延出形成された一対の弧状案内壁24Bと、一対の弧状案内壁24Bの上下端部に開口された防汚ガス導入部24Cを備え、弧状案内壁24Bの左右側壁に備えた支軸34,34が軸受部31,31で支持されている。
【0052】
モータ32を正転させるとギア機構33により防汚ガス噴射口24Aが下方に回動するように駆動され、モータ32を逆転させるとギア機構33により防汚ガス噴射口24Aが上方に回動するように駆動される。つまり、噴射態様調整機構30は、レーザビームの光軸と直交する平面に対して、ガスノズルから噴射される防汚ガスの噴射方向を調整する噴射角度調整機構となる。なお、噴射態様調整機構30は、ギア機構33を設けることなく第2防汚ガスノズル24をモータ32によって直接駆動するように構成されていてもよい。
【0053】
図4(a),(b)には、噴射態様調整機構30の別実施形態が例示されている。当該噴射態様調整機構30は、上述と同様のスリット状の防汚ガス噴射口24Aが形成された断面円形の案内筒24Dを、左右一対の側壁23Bに軸受部31,31を介して回転可能に軸支し、モータ32及びギア機構33を介して防汚ガス噴射口24Aの向きを上下に調整可能に構成されている。そして、縦流路23Aに替えて案内筒24Dの壁部に第2防汚ガス供給路となるフレキシブルチューブ23Dが接続されている。
【0054】
図5(a),(b)には、噴射態様調整機構30のさらに別の実施形態が例示されている。当該噴射態様調整機構(ガスノズル移動機構)30は、第1防汚ガス供給路21の縦流路21Aを構成する後壁部21Cに設けられた一対のレール38,38と、第2防汚ガス供給路23の縦流路23Aを構成する前壁部23Cに設けられ、レール38,38に沿って摺動する一対の摺動溝39,39と、後壁部21Cに設けられたモータ35及びピニオンギア36と、前壁部23Cに設けられたラックギヤ37で構成されている。
【0055】
モータ35を正転させるとピニオンギア36が回転して及びラックギヤ37が上方に移動し、レール38,38に沿って第2防汚ガス供給路23が上昇、つまり第2の防汚ガス供給装置20Bが上昇するように駆動される。モータ35を逆転させるとピニオンギア36が回転して及びラックギヤ37が下方に移動し、レール38,38に沿って第2防汚ガス供給路23が下降、つまり第2の防汚ガス供給装置20Bが下降するように駆動される。
【0056】
第2の防汚ガス供給装置20Bが上昇すると、第2防汚ガスノズル24の位置が第2の保護ガラス14B側に移動し、第2の防汚ガス供給装置20Bが下降すると、第2防汚ガスノズル24の位置が被加工物側に移動する。つまり、当該噴射態様調整機構30は、レーザビームの光軸に沿う方向にガスノズルの位置を調整するガスノズル移動機構となる。
【0057】
噴射態様調整機構30は、上述した図3(a),(b)もしくは図4(a),(b)または図5(a),(b)に示した構造の何れか一方の構造を備えていればよく、双方の構造を備えていてもよい。
【0058】
なお、噴射態様調整機構30の具体的な構造は、図3(a),(b)、図4(a),(b)及び図5(a),(b)に例示した構造に限るものではなく、少なくとも第2防汚ガスノズル24の噴射角度や噴射位置を調整できるような構造であれば他の構造であってもよい。また、第2防汚ガスノズル24の構造も、上述したスリット形状に限るものではなく、適宜公知の形状のノズルを採用すればよい。例えば、スリット形状の代わりにスリットの横幅方向に沿って一列に単段または上下複数段に微小ノズルとして機能する複数の孔を配列形成したノズル群を備えた構造としてもよい。
【0059】
[レーザ加工ヘッドの防汚方法の詳細説明]
上述した第2の防汚ガス供給装置20Bを用いたレーザ加工ヘッドの防汚方法について説明する。
図6(a)は、被加工物Wにレーザビームを照射して加工している間に、溶接ワイヤ供給機構40に備えたシールドガスノズルから供給されるシールドガス42によるシールド状態に防汚ガスが影響を与える虞がない場合を示す。この場合、保護ガラス14B(図2参照)から離隔した位置で、第2防汚ガスノズル24(図2参照)から、光軸Lに直交する向きに防汚ガスを噴射する基準位置噴射ステップが実行される。
【0060】
保護ガラスから離れた領域で防汚ガスを噴射することによって、溶接に伴って発生するヒュームやスパッタを効果的に除去することができる。また、仮に第2の防汚ガス供給装置20Bから噴射された防汚ガスによって除去しきれなかった僅かなヒュームやスパッタは、第1の防汚ガス供給装置20Aによって除去される。
【0061】
図6(b)は、被加工物Wの溶接位置を固定するために固定治具43を用いて被加工物Wを固定する場合など、被加工物の設置環境によって第2の防汚ガス供給装置20Bから噴射された防汚ガスの流れが被加工物Wや固定治具43によって偏流される場合を示す。この場合、シールドガス42によるシールド状態に防汚ガスが影響を与える虞がある。つまり、溶接部位に空気が流れ込んで溶接金属が酸化される虞がある。このような場合、基準位置噴射ステップに替えて噴射態様調整ステップが実行される。
【0062】
噴射態様調整ステップでは、第2防汚ガスノズル24から噴射される防汚ガスが、シールドガス42によるシールド状態に影響を与えないように、第2防汚ガスノズル24の向き或いは位置が調整される(図2参照)。
【0063】
例えば、図6(c)では、第2防汚ガスノズル24から噴射される防汚ガスが、被加工物Wや固定治具43によって偏流されないように、第2防汚ガスノズル24の向きが上方に変更される。
【0064】
例えば、図6(d)では、第2防汚ガスノズル24から噴射される防汚ガスが、被加工物Wや固定治具43によって偏流されないように、第2防汚ガスノズル24の位置が上方に変更される。
【0065】
第2防汚ガスノズル24から噴射される防汚ガスが、被加工物Wや固定治具43によって偏流されないように、第2防汚ガスノズル24の向き及び位置の双方が上方に変更されてもよい。
【0066】
なお、第2防汚ガスノズル24は、被加工物Wや固定治具43によって防汚ガスが偏流されて、シールドガス42によるシールド状態に影響を与えるようなことがないように、向き及び/または位置が調整されればよい。向き及び/または位置が下方に調整されてもよい。
【0067】
また、被加工物Wや固定治具43によって偏流された防汚ガスの流れが、シールドガス42によるシールド状態に影響を与えない場合でも、保護ガラスに向って流れるヒュームやスパッタを効果的に阻止できないような場合には、基準位置噴射ステップに替えて噴射態様調整ステップが実行され得る。
【0068】
即ち、噴射態様調整ステップは、被加工物の設置環境もしくは設置条件に基づいてガスノズルから噴射される防汚ガスの噴射態様を異ならせるステップであって、レーザビームの光軸に沿う方向に第2防汚ガスノズルの位置を調整するガスノズル移動ステップ、及び/または、レーザビームの光軸と直交する平面に対して、第2防汚ガスノズルから噴射される防汚ガスの噴射方向を調整する噴射角度調整ステップを備えている。
【0069】
上述した例では、レーザビームの光軸Lが垂直姿勢である場合を説明した。ただし、被加工物Wの形状及び溶接部位によってレーザビームの光軸Lの被加工物に対する角度が変動する場合も本発明を適用できることはいうまでもない。
【0070】
噴射態様調整ステップは、オペレータが、噴射態様調整機構30を手動操作することで実現するように構成してもよい。また、図6(e)に示すように、オペレータが、ロボット制御装置130の操作部を介して噴射態様調整機構30を制御することによって遠隔操作してもよい。このとき、ロボット制御装置130の操作部は、モータ32(図3図4)またはモータ35(図5)を制御する。モータ32またはモータ35は、ロボット制御装置130の外部軸として制御してよい。
【0071】
ティーチペンダント140を介して溶接手順を入力する場合、同時に噴射態様調整機構30の作動条件を入力してもよい。この場合、ロボット制御装置130が、溶接作業の開始に際してメモリから読み出したティーチング情報に基づいて演算部で必要な演算処理を実行し、マニピュレータ123に必要な動作指令を出力し、レーザ発振器110にレーザビームの発振指令などを出力するとともに、レーザ加工ヘッドに備えた噴射態様調整機構30に噴射態様調整指令を出力するように構成してもよい。
【0072】
第2防汚ガスノズル24の横幅に沿う方向の軸を第1軸、第1軸に直交し光軸Lに平行な軸を第2軸、第1軸及び第2軸に直交する軸を第3軸として、上述した実施形態では、噴射態様調整機構(噴射角度調節機構)によって第1軸周りの回転角(ピッチ角)を変えることにより防汚ガス噴射口24Aの向きを調整する例を説明した。ただし、第2軸周りの回転角(ヨー角)を変えることにより防汚ガス噴射口24Aの向きを調整してもよく、第3軸周りの回転角(ロール角)を変えることにより防汚ガス噴射口24Aの向きを調整してもよく、それらの各角度調整を組み合わせてもよい。さらに、第2防汚ガスノズル24から噴射される防汚ガスの流量または圧力を調整してもよい。
【0073】
上述した実施形態では、第1の防汚ガス供給装置20Aが一段で構成された例を説明した。ただし、第1の防汚ガス供給装置20Aがレーザビームの光軸Lに沿って多段に構成されていてもよい。
【0074】
上述した実施の形態では、シールドガスとしてアルゴンガスを用いる例を説明した。ただし、シールドガスは、アルゴンガス以外に、ヘリウムガスなどの不活性ガスや、被加工物の材質に応じて炭酸ガスなどを用いてもよい。
【0075】
上述した実施形態は本発明の一例に過ぎず、各部の具体的な構成は上述した具体例に限定されるものではなく、本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明によれば、ヒュームやスパッタの保護ガラスへの付着を効果的に防止し、しかも高い加工品質が得られる防汚ガス供給装置が、レーザ加工ヘッドに好適に組み込まれるようになる。
本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形および改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、すべての変形および改変を包含する、と解釈されるべきものである。
【符号の説明】
【0077】
10:レーザ加工ヘッド
11:光ファイバ
12:ケーシング
13A,13B:光学系
14:保護ガラス
14A:第1の保護ガラス
14B:第2の保護ガラス
20:防汚ガス供給装置
30:噴射態様調整機構
L:光軸
W:被加工物
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E