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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】インパクト回転工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/14 20060101AFI20230804BHJP
   B25B 21/02 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
B25B23/14 620B
B25B23/14 620E
B25B23/14 610K
B25B23/14 610Y
B25B21/02 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022169789
(22)【出願日】2022-10-24
(62)【分割の表示】P 2021058298の分割
【原出願日】2017-01-31
(65)【公開番号】P2022183377
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2022-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 博
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-128802(JP,A)
【文献】特開2012-200809(JP,A)
【文献】特開2009-083038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/14
B25B 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ出力によって出力軸に間欠的な回転衝撃力を発生させるインパクト機構と、
前記インパクト機構により出力軸に加えられた衝撃を検出する衝撃検出部と、
モータまたはアンビルの回転角を検出する回転角検出部と、
トルク管理のための複数のパラメータ値を設定するためのパラメータ設定モードまたは作業モードを設定するモード設定部と、
前記衝撃検出部による検出結果および前記回転角検出部による検出結果を用いて締付トルク値を算出するトルク推定部と、
パラメータ設定モードにおいて、ユーザ操作による締付作業中に前記トルク推定部により算出された締付トルク値を記憶する作業情報記憶部と、
パラメータ設定モードにおいて、前記作業情報記憶部に記憶された締付トルク値にもとづいて、複数のパラメータ値を設定するパラメータ設定部と、
作業モードにおいて、前記パラメータ設定部により設定された複数のパラメータ値および前記トルク推定部により算出された締付トルク値にもとづいて、モータの回転を停止させる制御部と、を備えたインパクト回転工具であって、
ユーザからパラメータ値の変更指示を受け付ける受付部を、さらに備え、
前記パラメータ設定部は、ユーザからの変更指示にしたがって、設定したパラメータ値を更新する、
ことを特徴とするインパクト回転工具。
【請求項2】
前記トルク推定部は、前記インパクト機構により出力軸に加えられる衝撃ごとに締付トルク値を算出し、
前記作業情報記憶部は、衝撃ごとに算出された締付トルク値を記憶する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインパクト回転工具。
【請求項3】
前記パラメータ設定部は、少なくとも、着座を判定するためのトルク値である着座判定レベルと、着座後の前記インパクト機構のシャットオフ衝撃数に対応するトルク設定段数を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインパクト回転工具。
【請求項4】
前記パラメータ設定部は、少なくとも、締付終了を判定するためのトルク値である目標トルク値を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインパクト回転工具。
【請求項5】
前記パラメータ設定部により設定された複数のパラメータ値を表示するパラメータ表示部を、さらに備えることを特徴とする請求項1に記載のインパクト回転工具。
【請求項6】
前記パラメータ設定部は、複数回の締付作業のそれぞれについて、複数のパラメータ値を設定可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載のインパクト回転工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルトやナットなどのねじ部材を間欠的な回転衝撃力により締め付けるインパクト回転工具に関する。
【背景技術】
【0002】
メカニカル方式のインパクト回転工具は、モータ出力で回転するハンマが出力軸を回転方向に打撃することで出力軸に間欠的な回転衝撃力を発生させて、ねじ部材を締め付ける。またインパクト回転工具の一種であるオイルパルス工具は、モータ出力で回転するライナが油室間に圧力差を生じさせることで出力軸に間欠的な回転衝撃力を発生させて、ねじ部材を締め付ける。インパクト回転工具は組立工場などで使用されるため、ねじ部材の締付トルクは、目標のトルク値となるように正確に管理される必要がある。
【0003】
締付トルクの管理精度を高めるためには、出力軸にトルク測定手段を設けて実際の締付トルクを直接測定することが好ましいが、工具の高コスト化および大型化を招くという問題がある。そのため従来より、締付トルクが目標トルク値になったことを推定することでモータを自動停止するシャットオフ機能を備えたインパクト回転工具が提供されている。
【0004】
特許文献1は、ハンマーによる出力軸の打撃を検出する打撃検出手段と、駆動軸の回転速度を検出する入力側回転速度検出手段と、打撃間の出力軸の回転角を検出する打撃間出力側回転角検出手段と、打撃間の駆動軸の平均回転速度から算出した打撃エネルギを打撃間出力側回転角で除算することで締付トルク値を算出する演算手段と、算出した締付トルク値が予め設定されたトルク値以上となるときに回転駆動部を停止させる制御手段とを備えたインパクト回転工具を開示する。
【0005】
特許文献2は、ねじ部材の頭部が被締付部材に接する着座を検出する着座検出手段と、インパクト機構による打撃を検出する打撃検出手段と、ねじ部材の着座検出後に打撃検出手段で検出された打撃数をカウントして、カウントした打撃数が所定打撃数になるとモータを自動停止させる制御手段とを備えたインパクト回転工具を開示する。
【0006】
特許文献3は、測定モードにおいて、トリガースイッチがオンされるとトリガースイッチがオフされるまで駆動源を駆動するとともに、最初の衝撃力の発生が検出されてからトリガースイッチがオフされるまでの駆動時間、又はトリガースイッチがオンされてからオフされるまでにセンサにより検出された衝撃力の発生回数を測定する締付工具を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2005-118910号公報
【文献】特開2009-83038号公報
【文献】特開2003-231068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
着座検出後にカウントした衝撃数が所定衝撃数になるとモータを自動停止させるインパクト回転工具において、目標トルク値と所定衝撃数(以下、「シャットオフ衝撃数」とも呼ぶ)との対応関係は、メモリのマスターテーブルに記憶されている。インパクト回転工具の製造メーカは、所定のねじ部材および被締付部材を用いて、複数の締付トルク値のそれぞれを実現するためのシャットオフ衝撃数を実測してマスターテーブルを作成する。これによりマスターテーブルは、締付トルクの各設定値に対応するシャットオフ衝撃数を保持する。
【0009】
しかしながら実際の作業対象となるねじ部材および被締付部材は、マスターテーブル作成時のねじ部材および被締付部材と異なることがある。たとえば作業対象である被締付部材が、マスターテーブル作成時の被締付部材より軟らかい場合、インパクト回転工具が、マスターテーブルに保持されたシャットオフ衝撃数でモータ回転を自動停止すると、締付トルク値が目標トルク値に達しないことがある。また逆に、作業対象である被締付部材が、マスターテーブル作成時の被締付部材より硬い場合、インパクト回転工具が、マスターテーブルに保持されたシャットオフ衝撃数でモータ回転を自動停止すると、締付トルク値が目標トルク値を超えることがある。
【0010】
最近のインパクト回転工具には、作業対象に適した締付工程を実施することを目的として、作業開始前にトルク管理のための複数のパラメータ値をユーザに設定させるものがある。同じ締付作業を繰り返し行う組立工場等の作業現場では、工程管理者が、所定の目標トルク値を得るための複数のパラメータ値をインパクト回転工具に設定し、ライン作業を行う作業者に渡す。そのため工程管理者は、インパクト回転工具を作業者に渡す前に、複数のパラメータ値を仮設定して実際に締付作業を実施し、締め付けられたねじ部材のトルク値を測定して目標トルク値が得られたか確認する確認作業を行っている。このとき目標トルク値が得られていなければ、工程管理者は、パラメータ値を別の値に再設定し、確認作業を繰り返す。
【0011】
インパクト回転工具において、トルク管理のために複数のパラメータ値を設定可能とすることは、トルク管理精度を向上させる要因となる一方で、工程管理者にとっては、最適なパラメータ値の組合せを探し出すことが難しいという側面がある。特に設定したパラメータ値によって実際の締付トルク値と目標トルク値とが大きく異なる場合には、工程管理者は、どのパラメータを変更すればよいか判断に迷い、最適なパラメータ値の組合せを探し出すために多くの労力と時間を要することがある。
【0012】
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、トルク管理のための複数のパラメータ値を容易に設定可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のインパクト回転工具は、モータ出力によって出力軸に間欠的な回転衝撃力を発生させるインパクト機構と、インパクト機構により出力軸に加えられた衝撃を検出する衝撃検出部と、トルク管理のための複数のパラメータ値を設定するためのパラメータ設定モードまたは作業モードを設定するモード設定部と、衝撃検出部による検出結果を用いて締付トルク値を算出するトルク推定部と、パラメータ設定モードにおいて複数のパラメータ値を設定するパラメータ設定部と、作業モードにおいてパラメータ設定部により設定された複数のパラメータ値にもとづいて、トルク推定部により算出された締付トルク値にしたがってモータの回転を停止させる制御部と、パラメータ設定モードにおいて、ユーザ操作による締付作業中にトルク推定部により算出された締付トルク値を記憶する作業情報記憶部とを備える。パラメータ設定モードにおいてパラメータ設定部は、作業情報記憶部に記憶された締付トルク値にもとづいて、複数のパラメータ値を設定する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トルク管理のための複数のパラメータ値を容易に設定可能とする技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係るインパクト回転工具の構成を示す図である。
図2】ハンマがアンビルに回転方向の打撃を加える様子を示す図である。
図3】動作モードを説明するための図である。
図4】実締付トルク値の時間推移の一例を示す図である。
図5】作業情報記憶部に記憶された衝撃ごとの締付トルク値の一例を示す図である。
図6】設定される複数のパラメータ値を示す図である。
図7】作業情報記憶部に記憶された衝撃ごとの締付トルク値の別の例を示す図である。
図8】作業情報記憶部に記憶された衝撃ごとの締付トルク値のさらに別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係るメカニカル方式のインパクト回転工具の構成を示す。インパクト回転工具1において、電力はバッテリパックに内蔵されたバッテリ13により供給される。駆動源であるモータ2はモータ駆動部11により駆動され、モータ2の回転出力は、減速機3によって減速されて駆動軸5に伝達される。駆動軸5には、カム機構(図示せず)を介してハンマ6が連結され、ハンマ6は、ばね4により出力軸8を備えるアンビル7に向けて付勢される。
【0017】
ハンマ6とアンビル7との間に所定値以上の負荷が作用しない間は、ハンマ6とアンビル7とが回転方向に係合し、ハンマ6は、駆動軸5の回転をアンビル7に伝達する。しかしながらハンマ6とアンビル7との間に所定値以上の負荷が作用すると、ハンマ6がカム機構によりばね4に抗して後退し、ハンマ6とアンビル7との係合状態が解除される。その後、ばね4による付勢とカム機構による誘導により、ハンマ6は回転しながら前進してアンビル7に回転方向の打撃を加える。インパクト回転工具1において、ばね4、駆動軸5、ハンマ6およびカム機構は、モータ出力によってアンビル7および出力軸8に打撃衝撃を加えて、アンビル7および出力軸8に間欠的な回転衝撃力を発生させるインパクト機構9を構成する。
【0018】
インパクト回転工具1において、制御部10、パラメータ設定部15、モード設定部17、トルク推定部19などの構成は、制御基板に搭載されるマイクロコンピュータなどにより実現される。制御部10は、モータ2の回転を制御する機能を有する。操作スイッチ16はユーザにより操作されるトリガスイッチであって、制御部10は、操作スイッチ16の操作によりモータ2のオンオフを制御するとともに、操作スイッチ16の操作量に応じた駆動指示をモータ駆動部11に供給する。モータ駆動部11は、制御部10から供給される駆動指示によりモータ2の印加電圧を制御して、モータ回転数を調整する。
【0019】
衝撃検出部12は、インパクト機構9により出力軸8に加えられた衝撃を検出する。衝撃検出部12は、ハンマ6がアンビル7を打撃することによる衝撃を検出する衝撃センサと、衝撃センサの出力を増幅して制御部10およびトルク推定部19に供給する増幅器を含んで構成されてよい。たとえば衝撃センサは、圧電式ショックセンサであって衝撃に応じた電圧信号を出力し、増幅器は、出力された電圧信号を増幅して制御部10およびトルク推定部19に供給する。なお衝撃検出部12は、別の構成を採用してもよく、たとえば打撃音を検出することで、インパクト機構9により出力軸8に加えられた衝撃を検出する音センサであってもよい。
【0020】
回転角検出部18は、モータ2および/またはアンビル7の回転角を検出する。実施形態において回転角検出部18は、モータ2の回転角を検出するホール素子や磁気ロータリエンコーダであってよい。回転角検出部18は、モータ回転角検出信号をトルク推定部19に供給する。トルク推定部19は、モータ回転角検出信号から、アンビル7の回転角を演算により取得する。ここでトルク推定部19は、インパクト機構9による衝撃ごとにアンビル7が回転する角度を取得する。以下、1回の衝撃によりアンビル7が回転する角度を、単に「アンビル回転角」と呼ぶ。
【0021】
図2(a)~図2(c)は、ハンマ6がアンビル7に回転方向の打撃を加える様子を示す。ハンマ6は、前面から立設する一対のハンマ爪6a、6bを有し、アンビル7は、中心部から径方向に延びる一対のアンビル爪7a、7bを有する。
【0022】
図2(a)は、ハンマ爪とアンビル爪とが周方向に係合した状態を示す。ハンマ爪6aおよびハンマ爪6bは、それぞれアンビル爪7aおよびアンビル爪7bに係合して、矢印Aで示す方向に回転力を加える。
図2(b)は、ハンマ爪とアンビル爪との係合状態が解除された状態を示す。係合状態においてハンマ6とアンビル7の間に所定値以上の負荷が作用すると、ハンマ6はカム機構(図示せず)により後退し、ハンマ爪6aとアンビル爪7aとの係合状態、およびハンマ爪6bとアンビル爪7bとの係合状態がそれぞれ解除される。
図2(c)は、ハンマ爪がアンビル爪を打撃してアンビル7を回転させた状態を示す。ハンマ爪6a、6bとアンビル爪7a、7bとの係合状態が解除されると、ハンマ6は矢印Aで示す方向に回転しながら前進して、ハンマ爪6a、ハンマ爪6bが、それぞれアンビル爪7b、アンビル爪7aを打撃する。この打撃衝撃によりアンビル7は、l1とl2のなす角度φだけ回転し、このときハンマ6の回転角は(π+φ)となる。
【0023】
トルク推定部19は、衝撃検出部12による検出結果および回転角検出部18による検出結果を用いて、締付トルク値Tを算出する。
まずトルク推定部19は、以下の式1を用いて、衝撃間のモータ回転角θから、1衝撃あたりのアンビル回転角φを取得する。衝撃検出部12がインパクト機構9による衝撃を検出すると、トルク推定部19は、衝撃が検出されたタイミングで、モータ回転角検出信号から衝撃間のアンビル回転角φを導出する。
φ=(θ/η)-π ・・・ (式1)
ここでηは減速機3による減速比を示す。
ハンマ6がアンビル7を打撃するたびに、ねじ部材の締付トルクは大きくなるため、ねじ部材着座後に打撃衝撃ごとに取得されるアンビル回転角φは徐々に小さくなる傾向を示す。
【0024】
トルク推定部19は、アンビル7および出力軸8の慣性モーメントをJ、衝撃間の打撃速度ωとするとき、以下の式2を用いて、締付トルク値Tを算出する。
T=(J×ω)/(2×φ) ・・・ (式2)
【0025】
このようにトルク推定部19は、衝撃間のモータ回転角θを用いて1回の衝撃によるアンビル回転角φを取得するが、別の例では回転角検出部18が、アンビル7の回転角を直接検出してもよい。このときトルク推定部19は、回転角検出部18から供給されるアンビル回転角検出信号にもとづいて、衝撃間のアンビル回転角φを取得し、式2を用いて締付トルク値Tを算出する。
【0026】
実施形態のインパクト回転工具1は、動作モードとして「パラメータ設定モード」と「作業モード」を少なくとも有して構成される。ユーザがたとえばリモートコントローラ(以下、「リモコン」と呼ぶ)からモード選択を行うことで、選択された動作モードがインパクト回転工具1に設定される。図3は、インパクト回転工具における動作モードを説明するための図である。
【0027】
「パラメータ設定モード」は、トルク管理のための複数のパラメータ値を設定するためのモードであり、作業開始前に選択されて、工程管理者が複数のパラメータ値を決定するために使用される。パラメータ設定モードにおいて、パラメータ設定部15が、複数のパラメータ値を設定する。
【0028】
「パラメータ設定モード」は「自動設定モード」と「調整モード」を有する。自動設定モードは、ユーザ操作による締付作業において算出した推定トルク値をもとに、複数パラメータの初期値を自動設定するモードであり、調整モードは、複数パラメータ値の設定値をユーザが調整するモードである。
【0029】
「作業モード」は、締付作業を実施するモードである。「作業モード」は「トルク管理モード」と「通常モード」を有する。トルク管理モードにおいて制御部10は、パラメータ設定部15により設定された複数のパラメータ値にもとづき、トルク推定部19により算出された締付トルク値にしたがってモータ2の回転を停止させるシャットオフ機能を実施する。
【0030】
一方、通常モードにおいて制御部10は、シャットオフ機能を実施せず、ユーザによる操作スイッチ16の操作量に応じてモータ2を制御し、ユーザが操作スイッチ16をオフすると、モータ2の回転を停止させる。
【0031】
ユーザがリモコンを操作してモード選択を行うと、受付部14が、ユーザによるモード選択操作を受け付け、モード設定部17がインパクト回転工具1の動作モードとして、パラメータ設定モードまたは作業モードを設定する。作業現場において、まず工程管理者がパラメータ設定モードの自動設定モードを選択して、複数パラメータの設定値を初期設定する。工程管理者は、必要に応じてパラメータ設定モードの調整モードを選択して、複数パラメータの設定値を調整し、最終的な設定値を決定する。複数パラメータ値の設定を終了すると、工程管理者は、動作モードのトルク管理モードを選択して、作業者に渡す。これにより作業者は、最適なパラメータ値を設定されたインパクト回転工具1を使用して、ライン作業を実施する。作業現場においてモード選択の権限は工程管理者のみに与えられ、作業者は、モード選択できない運用としてもよい。
【0032】
インパクト回転工具1はトルク管理モードにおいて、トルク推定部19により算出される締付トルク値を用いてねじ部材の着座を判定し、着座後に衝撃検出部12により検出される衝撃数をカウントしてモータ2の回転を自動停止するシャットオフ制御を行う。そのためインパクト回転工具1は、トルク管理のためのパラメータとして、「着座判定レベル」と「トルク設定段数」の設定を要求する。
【0033】
着座判定レベルは、ねじ部材の着座を判定するためのトルク値を定めるパラメータであり、たとえば9つの選択肢(L1~L9)を用意される。作業対象に塗装などが付着して途中負荷が高い場合には高い着座判定レベルが設定され、途中負荷が低い場合には小さい着座判定レベルが設定されることが好ましい。
【0034】
トルク設定段数は、モータ2を自動停止させるための着座後の衝撃数(シャットオフ衝撃数)を定めるパラメータであり、たとえば100の選択肢(N00~N99)を用意される。各設定段数には、着座後のシャットオフ衝撃数が対応付けられており、たとえばN00には10回、N01には12回、N02には14回、N06には16回、とシャットオフ衝撃数が対応付けられていてよい。着座判定レベルおよびトルク設定段数のパラメータ値は、マスターテーブル21に記憶されている。
【0035】
工程管理者は作業開始前に、所定の目標トルク値を得るための「着座判定レベル」と「トルク設定段数」をインパクト回転工具1に設定しなければならない。
以下、工程管理者が、適切と考える「着座判定レベル」と「トルク設定段数」を設定してトルク管理モードで締付作業を行い、実際の締付トルク値(以下、「実締付トルク値」とも呼ぶ)が目標トルク値に一致するか確認する作業について検討する。工程管理者は、ねじ部材の実締付トルクを測定し、実締付トルク値が目標トルク値に一致していれば、そのままの状態でインパクト回転工具1を作業に使用できることを確認する。
【0036】
しかしながら、実締付トルク値は目標トルク値に一致しないことの方が多く、工程管理者は、着座判定レベルおよび/またはトルク設定段数を別のパラメータ値に再設定して、確認作業を再度実施する。この確認作業は、実締付トルク値が目標トルク値に一致するまで繰り返される。特に実施形態のインパクト回転工具1のように、設定するパラメータが複数存在し、また各パラメータの選択肢が多い場合には、工程管理者は、最適なパラメータ値を決めるために多くの労力と時間を要することになる。
【0037】
そこで実施形態のインパクト回転工具1は、熟練者が通常モードで作業対象であるねじ部材の締付作業を行った作業情報を記憶し、複数のパラメータ値を作業情報をもとに初期設定可能および調整可能とするパラメータ設定モードを用意している。
【0038】
工程管理者がリモコンを操作して、パラメータ設定モードの自動設定モードを選択すると、受付部14がリモコンからのモード選択操作を受け付け、モード設定部17が動作モードを自動設定モードに設定する。これによりパラメータ設定部15が、自動設定モードで動作する。なお自動設定モードにおいて、制御部10は通常モードで動作する。
【0039】
自動設定モードでは、熟練者である工程管理者が自身の経験と勘を頼りに、通常モードで作業対象の締付作業を実施する。通常モードでは、操作スイッチ16が引き操作されている間、モータ2が回転し、操作スイッチ16がオフにされると、モータ2の回転が停止する。工程管理者は、ねじ部材の締付トルク値が目標トルク値になったと判断したときに操作スイッチ16をオフにする。自動設定モードでは、熟練者である工程管理者が締め付けたねじ部材の締付トルク値が、目標トルク値またはその近傍値となることを利用する。自動設定モードにおいて、作業情報記憶部20は、工程管理者の操作による締付作業中にトルク推定部19により衝撃ごとに算出された締付トルク値を記憶する。
【0040】
図4は、自動設定モードにおける実締付トルク値の時間推移の一例を示す。なお図4における実締付トルク値は、インパクト回転工具1により実際に測定されるものではなく、ねじ部材の着座までの間に途中負荷が存在したときの推移例として示したものであることに留意されたい。
【0041】
この締付作業では、工程管理者が時間t0で、操作スイッチ16の引き操作を開始する。時間t1でハンマ6による打撃が開始され、時間t2で打撃が一旦終了する。時間t1から時間t2までの間の打撃は、途中負荷に対するものである。その後、時間t3でハンマ6による打撃が再開され、時間t4で工程管理者が操作スイッチ16から指を離してスイッチオフにする。これによりモータ回転が停止して、締付作業が終了する。熟練者による締付作業により、モータ回転の停止時、ねじ部材の締付トルク値は、目標トルク値またはその近傍値となっている。
【0042】
締付作業中、トルク推定部19は、衝撃検出部12による検出結果および回転角検出部18による検出結果を用いて衝撃ごとの締付トルク値を算出し、作業情報記憶部20に記憶する。締付作業の終了後、パラメータ設定部15は、作業情報記憶部20に記憶された締付トルク値にもとづいて、複数のパラメータ値、つまり「着座判定レベル」と「トルク設定段数」の設定値を導出する。
【0043】
図5は、作業情報記憶部20に記憶された衝撃ごとの締付トルク値の一例を示す。図5は、図4に示すように実締付トルク値が推移したときに、トルク推定部19が算出する締付トルク値を表現している。この締付作業では、衝撃検出部12が、インパクト機構9による衝撃をNe回検出している。
【0044】
パラメータ設定部15は、着座判定レベルとトルク設定段数のうち、最初に着座判定レベルを設定する。図5に示す例では、途中負荷によるピーク推定トルク値TaがL1より大きい。そのためパラメータ設定部15は、L1を着座判定レベルに設定できないことを判断する。
【0045】
上記したようにトルク推定部19は、式2を用いて、締付トルク値Tを算出する。ねじ部材の締付工程では、着座後に、衝撃間のアンビル回転角φは次第に小さくなるため、回転角検出部18の分解能が低ければ、トルク推定部19による計算誤差が大きくなる。そのため着座判定レベルは、着座直後のトルク値に設定することが理想的である。着座判定レベルの最低トルク値であるL1が着座直後のトルク値に設定されている場合、パラメータ設定部15は、L2を着座判定レベルに設定してよい。なお図5に示すように途中負荷がある場合、途中負荷のばらつきに配慮して、パラメータ設定部15は、ピーク推定トルク値Taよりも所定値以上大きいトルク値、たとえばL3を着座判定レベルに設定してもよい。
【0046】
図6は、パラメータ設定部15により設定される複数のパラメータ値を示す図である。パラメータ設定部15は、L3を着座判定レベルに設定すると、算出した締付トルク値がL3となる衝撃数Naを導出する。パラメータ設定部15は、トータルの衝撃数Neから衝撃数Naを減算した衝撃数をシャットオフ衝撃数と定め、シャットオフ衝撃数に対応するトルク設定段数を導出する。以下、(Ne-Na)回のシャットオフ衝撃数に対応するトルク設定段数が「N25」であるとする。
【0047】
パラメータ設定部15が、着座判定レベルを「L3」、トルク設定段数を「N25」として初期設定すると、パラメータ表示部22は、パラメータ設定部15により設定された複数のパラメータ値を表示する。パラメータ表示部22は、たとえば7セグメントディスプレイや液晶ディスプレイで構成されてよい。パラメータ表示部22が、パラメータ設定部15により設定された複数のパラメータ値を表示することで、工程管理者は、実際に行った締付作業をトルク管理モードで再現するための複数のパラメータ値を知ることになる。
【0048】
工程管理者は、ねじ部材の実締付トルクを、戻しトルク法、マーク法、増し締めトルク法などの既知の検査手法により測定する。このとき実締付トルク値が目標トルク値に一致していれば、工程管理者は、インパクト回転工具1の着座判定レベルを「L3」、トルク設定段数を「N25」に設定して、作業者に渡す。
【0049】
実締付トルク値が目標トルク値に一致していない場合であっても、熟練者である工程管理者が締付作業を行っているため、実締付トルク値は目標トルク値の近傍値となっている。工程管理者がリモコンを操作して、パラメータ設定モードの調整モードを選択すると、受付部14がリモコンからのモード選択操作を受け付け、モード設定部17が動作モードを調整モードに設定する。これによりパラメータ設定部15が、調整モードで動作する。なお自動設定モードにおいて、制御部10はトルク管理モードで動作する。
【0050】
調整モードにおいて工程管理者はリモコンを操作して、パラメータ値の変更指示をインパクト回転工具1に送信する。たとえば実締付トルク値が目標トルク値よりも小さければ、工程管理者は、その差分に応じてシャットオフ衝撃数を増やすように、「N25」よりも高いトルク設定段数への変更指示をリモコンに入力する。逆に、実締付トルク値が目標トルク値よりも大きければ、工程管理者は、その差分に応じてシャットオフ衝撃数を減らすように、「N25」よりも低いトルク設定段数への変更指示をリモコンに入力する。受付部14はリモコンからパラメータ値の変更指示を受け付け、パラメータ設定部15は、工程管理者からの変更指示にしたがって、設定したパラメータ値を更新する。パラメータ設定部15がパラメータ値を更新すると、工程管理者は、更新されたパラメータ値を設定したインパクト回転工具1を用いて締付作業を実施し、締め付けたねじ部材の実締付トルク値を測定して、目標トルク値に一致するか確認する作業を行う。
【0051】
調整モードでは、制御部10が、パラメータ設定部15により更新された複数のパラメータ値を取得し、トルク管理モードでモータ2の回転を制御する。制御部10が、「L3」の着座判定レベルおよび「N26」のトルク設定段数を取得した場合について説明する。工程管理者が操作スイッチ16を引き操作すると、制御部10は、トルク推定部19により算出される締付トルク値を監視し、算出された締付トルク値が「L3」に達すると、衝撃検出部12で検出される衝撃数のカウントを開始する。制御部10は、カウントした衝撃数が「N26」のトルク設定段数に対応するシャットオフ衝撃数になると、モータ2の回転を自動停止させる。
【0052】
工程管理者は、調整モードにおいて締め付けたねじ部材の実締付トルク値を測定して、目標トルク値に一致するか確認する。実施形態のインパクト回転工具1によると、自動設定モードにおいてパラメータ設定部15は、ほぼ最適な複数のパラメータ値を自動設定しているため、調整モードで工程管理者は、自動設定された複数のパラメータ値を微調整するだけでよい。そのため調整モードにおいて、工程管理者は何回も確認作業を行う必要がなく、最適なパラメータ値を短時間で探し出すことが可能となる。
【0053】
図7は、作業情報記憶部20に記憶された衝撃ごとの締付トルク値の別の例を示す。図7に示す例では、途中負荷によるピーク推定トルク値TbがL6より大きい。そのためパラメータ設定部15は、L1~L6を着座判定レベルに設定できないことを判断する。この場合、パラメータ設定部15は、途中負荷のばらつきに配慮して、ピーク推定トルク値Tbよりも所定値以上大きいトルク値、たとえばL8を着座判定レベルに設定する。
【0054】
パラメータ設定部15は、L8を着座判定レベルに設定すると、算出した締付トルク値がL8となる衝撃数Nbを導出する。パラメータ設定部15は、トータルの衝撃数Neから衝撃数Nbを減算した衝撃数をシャットオフ衝撃数と定め、シャットオフ衝撃数に対応するトルク設定段数を導出する。(Ne-Nb)回のシャットオフ衝撃数に対応するトルク設定段数が「N15」であるとする。
【0055】
パラメータ設定部15が、着座判定レベルを「L8」、トルク設定段数を「N15」として初期設定すると、パラメータ表示部22は、パラメータ設定部15により設定された複数のパラメータ値を表示する。それから工程管理者は実締付トルク値を測定して、実締付トルク値が目標トルク値に一致していれば、着座判定レベル「L8」、トルク設定段数「N15」を確定し、一致していなければ、パラメータ値を微調整して、確認作業を実施する。
【0056】
図8は、作業情報記憶部20に記憶された衝撃ごとの締付トルク値のさらに別の例を示す。図8に示す例では、途中負荷によるピーク推定トルク値TaがL1より大きい。また推定トルク値Tc以上の算出結果が安定して得られていない。この一つの要因は、上記したように、回転角検出部18の分解能が低い場合にアンビル回転角φを正確に求められないことにある。
【0057】
パラメータ設定部15は、L1を着座判定レベルに設定できず、且つ安定した推定トルク値を得られていないTc以上のトルク値も着座判定レベルに設定できないことを判断する。この場合、パラメータ設定部15は、図6に示した例と同様に、L3を着座判定レベルに設定してよい。
【0058】
以上は、1つの作業箇所における締付作業について説明したが、ライン作業では、1つの被締付部材の面上に、複数のねじ部材を所定の順序で締め付けることが多い。この場合、先にねじ部材を締結した部位が相対的に沈み込むことで、後からねじ部材を締結する部位が元の状態から若干傾く。そのため後から締め付けるねじ部材に対して、被締付部材の傾きによる途中負荷が大きくなることがある。そこで、1つの被締付部材の面上に複数のねじ部材を所定の順序で締め付ける工程に対して、工程管理者は、パラメータ設定モードで、ねじ部材の複数回の締付作業を所定の順序で実施し、パラメータ設定部15は、複数回の締付作業のそれぞれについて、複数の最適なパラメータ値を設定してよい。
【0059】
パラメータ設定部15は、作業順序ごとのパラメータ値を設定し、メモリ(図示せず)に記憶する。トルク管理モードにおいて制御部10は、パラメータ設定部15から作業順序ごとのパラメータ値を取得し、作業順序に応じたパラメータ値を用いて、モータ2の回転を制御する。このようにパラメータ設定部15が、複数回の締付作業のそれぞれについて複数のパラメータ値を設定可能とすることで、制御部10は、ねじ部材ごとの最適なパラメータ値を用いて、高精度なトルク管理を行うことができる。
【0060】
なおインパクト回転工具1は、トルク管理のためのパラメータとして、「着座判定レベル」と「トルク設定段数」の設定を要求することとしたが、さらに「モータ回転数」の設定を要求してもよい。特に小さなねじ部材の締付作業では、目標締付トルク値が小さくモータ回転数を低くすることが好ましいため、インパクト回転工具1が「モータ回転数」の設定を要求することは好適である。パラメータ設定モードにおいて、作業情報記憶部20は、締付作業中のモータ回転数を記憶し、工程管理者による締付作業の終了後は、パラメータ表示部22が、モータ回転数を表示する。表示されたモータ回転数は、調整モードにおいて工程管理者により変更可能とされる。なお作業モードにおいて、工程管理者が操作スイッチ16の操作量を調整してモータ回転数を低速に維持することは容易でないため、パラメータ設定部15は、締付作業開始前に、工程管理者からの指示によって一定のモータ回転数を設定し、作業情報記憶部20に記憶してもよい。
【0061】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0062】
実施形態では、インパクト回転工具1が、トルク管理のためのパラメータとして「着座判定レベル」および「トルク設定段数」を要求した。変形例では、回転角検出部18の分解能が高いことを条件として、インパクト回転工具1が、トルク管理のためのパラメータとして「目標トルク値」および「モータ回転数」を要求してもよい。この変形例では、制御部10が、トルク推定部19により算出された締付トルク値が目標トルク値となると、モータ2の回転を停止するシャットオフ制御を実施してよい。
【0063】
また実施形態のインパクト回転工具1は、駆動源として電動モータであるモータ2を搭載しているが、他の種類のモータ、たとえばエアモータを搭載してもよい。また実施形態のインパクト回転工具1はメカニカル方式の回転工具であるが、他の種類のインパクト回転工具、たとえばオイルパルス工具であってもよい。
【0064】
本発明の態様の概要は、次の通りである。
本発明のある態様のインパクト回転工具(1)は、モータ出力によって出力軸(8)に間欠的な回転衝撃力を発生させるインパクト機構(9)と、インパクト機構により出力軸に加えられた衝撃を検出する衝撃検出部(12)と、トルク管理のための複数のパラメータ値を設定するためのパラメータ設定モードまたは作業モードを設定するモード設定部(17)と、衝撃検出部による検出結果を用いて締付トルク値を算出するトルク推定部(19)と、パラメータ設定モードにおいて、複数のパラメータ値を設定するパラメータ設定部(15)と、作業モードにおいて、パラメータ設定部により設定された複数のパラメータ値にもとづいて、トルク推定部により算出された締付トルク値にしたがってモータの回転を停止させる制御部(10)と、を備える。インパクト回転工具(1)は、パラメータ設定モードにおいて、ユーザ操作による締付作業中にトルク推定部により算出された締付トルク値を記憶する作業情報記憶部(20)をさらに備える。パラメータ設定部(15)は、作業情報記憶部(20)に記憶された締付トルク値にもとづいて、複数のパラメータ値を設定してよい。
【0065】
トルク推定部(19)は、インパクト機構により出力軸に加えられる衝撃ごとに締付トルク値を算出し、作業情報記憶部(20)は、衝撃ごとに算出された締付トルク値を記憶してよい。
【0066】
パラメータ設定部(15)は、少なくとも、着座を判定するためのトルク値である着座判定レベルと、着座後のインパクト機構のシャットオフ衝撃数に対応するトルク設定段数を設定してよい。またパラメータ設定部(15)は、少なくとも、締付終了を判定するためのトルク値である目標トルク値を設定してよい。
【0067】
インパクト回転工具(1)は、パラメータ設定部により設定された複数のパラメータ値を表示するパラメータ表示部(22)をさらに備えてもよい。インパクト回転工具(1)は、ユーザからパラメータ値の変更指示を受け付ける受付部(14)をさらに備え、パラメータ設定部(15)は、ユーザからの変更指示にしたがって、設定したパラメータ値を更新してもよい。パラメータ設定部(15)は、複数回の締付作業のそれぞれについて、複数のパラメータ値を設定可能であってよい。
【符号の説明】
【0068】
1・・・インパクト回転工具、2・・・モータ、9・・・インパクト機構、10・・・制御部、11・・・モータ駆動部、12・・・衝撃検出部、13・・・バッテリ、14・・・受付部、15・・・パラメータ設定部、16・・・操作スイッチ、17・・・モード設定部、18・・・回転角検出部、19・・・トルク推定部、20・・・作業情報記憶部、21・・・マスターテーブル、22・・・パラメータ表示部。
図1
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図8