(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】電解水生成装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/461 20230101AFI20230804BHJP
【FI】
C02F1/461 Z
(21)【出願番号】P 2022005774
(22)【出願日】2022-01-18
(62)【分割の表示】P 2018133656の分割
【原出願日】2018-07-13
【審査請求日】2022-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【氏名又は名称】細川 覚
(72)【発明者】
【氏名】山口 友宏
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 賢一郎
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/168475(WO,A1)
【文献】特開2014-100648(JP,A)
【文献】特開2016-064383(JP,A)
【文献】特表2009-520596(JP,A)
【文献】実開昭59-165465(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/461
C25B 1/13、13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と、
陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に設けられた陽イオン交換膜と、
水が流入する流入口と、前記水が流出する流出口とを有し、前記陽極、前記陰極、および前記陽イオン交換膜を内包するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、前記陽極、前記陰極、および前記陽イオン交換膜を受け入れる容器部と、前記容器部の開口を閉塞する蓋部と、を含み、
前記容器部の底面と前記陽極、前記陰極、および前記陽イオン交換膜との間に設けられた弾性体をさらに備え、
前記蓋部が前記陽極、前記陰極、および前記陽イオン交換膜を前記弾性体に向かって押さえ付けるように構成されており、
前記弾性体は、前記弾性体が前記容器部の側壁に向かって変形することを抑制する中空部を含み、
前記弾性体は、長手方向の両側面に嵌合部を含み、前記容器部は、前記嵌合部と嵌合する被嵌合部を含む、電解水生成装置。
【請求項2】
前記弾性体は、通水方向に垂直な仮想平面に対して鏡面対称となるよう構成される、請求項1に記載の電解水生成装置。
【請求項3】
前記弾性体の嵌合部と前記容器部の被嵌合部は、前記弾性体の上下方向の一端側に設けられる、請求項1又は2に記載の電解水生成装置。
【請求項4】
陽極と、
陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に設けられた陽イオン交換膜と、
水が流入する流入口と、前記水が流出する流出口とを有し、前記陽極、前記陰極、および前記陽イオン交換膜を内包するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、前記陽極、前記陰極、および前記陽イオン交換膜を受け入れる容器部と、前記容器部の開口を閉塞する蓋部と、を含み、
前記容器部の底面と前記陽極、前記陰極、および前記陽イオン交換膜との間に設けられた弾性体をさらに備え、
前記蓋部が前記陽極、前記陰極、および前記陽イオン交換膜を前記弾性体に向かって押さえ付けるように構成されており、
前記弾性体は、前記弾性体が前記容器部の側壁に向かって変形することを抑制する中空部を含み、
前記容器部の底部に、前記中空部に入る突部を有する、電解水生成装置。
【請求項5】
前記中空部は、前記蓋部から前記容器部の底面に向かう方向に延びる貫通孔である、請求項1
~4のいずれか1項に記載の電解水生成装置。
【請求項6】
前記弾性体は、ある方向に沿って延びる実質的に直方体の形状を有し、
前記中空部は、前記直方体の長手方向に沿って一列に並べられた、請求項1
~5のいずれか1項に記載の電解水生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電解水生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、オゾン水のような電解水を生成する電解水生成装置の開発が行われている。電解水生成装置は、陽極と、陰極と、陽極と陰極との間に設けられた陽イオン交換膜と、を備えている。電解水生成装置は、水が流入する流入口と、水が流出する流出口とを有し、陽極、陰極、および陽イオン交換膜を内包するハウジングを備えている。ハウジングは、陽極、陰極、および陽イオン交換膜を受け入れる容器部と、容器部の開口を閉塞する蓋部と、を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の電解水生成装置は、蓋部が、陽極、陰極、および陽イオン交換膜を容器部の底面側に向かって押さえるようにして組み立てられる。また、電解水生成装置は、容器部の底面と陽極、陰極、および陽イオン交換膜との間に設けられた弾性体を備えている。この弾性体は、電解水姿勢装置の組み立て時に蓋側から陽極、陰極、および陽イオン交換膜に加わる圧力を吸収し、陽極、陰極、および陽イオン交換膜が適度な押圧状態となるよう調整する機能を有する。
【0005】
しかしながら、従来の電解水生成装置においては、前述の弾性体が中実であるため、弾性体が、蓋部側から受ける圧力の大きさ次第では、容器部の側壁を外側に押し出すように変形することによって、容器部を変形させたり、破損させたりする可能性がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、弾性体の変形が容器部に悪影響を及ぼすことを抑制することができる電解水生成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の態様に係る電解水生成装置は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間に設けられた陽イオン交換膜と、水が流入する流入口と、前記水が流出する流出口とを有し、前記陽極、前記陰極、および前記陽イオン交換膜を内包するハウジングと、を備え、前記ハウジングは、前記陽極、前記陰極、および前記陽イオン交換膜を受け入れる容器部と、前記容器部の開口を閉塞する蓋部と、を含み、前記容器部の底面と前記陽極、前記陰極、および前記陽イオン交換膜との間に設けられた弾性体をさらに備え、前記蓋部が前記陽極、前記陰極、および前記陽イオン交換膜を前記弾性体に向かって押さえ付けるように構成されており、前記弾性体は、前記弾性体が前記容器部の側壁に向かって変形することを抑制する中空部を含んでいる。そして、蓋部が陽極、陰極、および陽イオン交換膜を弾性体に向かって押さえ付けたとき、中空部の内面が内側に向かうように変形して弾性体を押さえ付ける力を吸収する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の電解水生成装置によれば、弾性体の変形が容器部に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態の電解水生成装置の分解斜視図である。
【
図2】実施の形態の電解水生成装置の幅方向に沿って切った縦断面図である。
【
図3】実施の形態の電解水生成装置の弾性体の裏表逆入れ防止構造の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態の電解水生成装置を説明する。複数の図面同士の間において、同一の参照符号が付された部分同士は、図面上における形状に多少の相違があっても、特段の記載がない限り、互いに同一の機能を発揮するものとする。
【0011】
本実施の形態においては、電解水生成装置100は、電解水としてオゾン水を生成するオゾン水生成装置である。なお、オゾン水は、殺菌または有機物分解に有効であるため、水処理分野、食品、または医学分野において利用されており、残留性が低いこと、および、副生成物が生成されないという利点を有している。
【0012】
本明細書においては、
図1のX方向は、水の流路に沿った方向であり、通水方向と呼ばれる。
図1に示されるように、電解水生成装置100は、X方向が長手方向となる直方体形状を有している。
図1のY方向は、水の流路を横切る方向であり、幅方向と呼ばれる。
Y方向は、水平面に沿った方向であるものとする。
図1のZ方向は、給電体F、陽極A、陽イオン交換膜I、および陰極Cが積層される方向であり、積層方向と呼ばれる。
図1では、電解水生成装置100の蓋部2が上側に位置付けられる状態で、上下方向がZ方向として示されている。X方向、Y方向、Z方向は、
図1に示される方向の組合せに限定されず、電解水生成装置100は、どのような姿勢で設けられていてもよい。
【0013】
ただし、実施の形態の電解水生成装置100は、その流路が鉛直方向に沿って延びるような姿勢で他の装置に組み込まれることが望ましい。より具体的には、電解水生成装置100は、その流入口Finが下を向き、かつ、その流出口Foutが上を向くような姿勢で他の装置へ組み込むことが好ましい。言い換えると、電解水生成装置100の姿勢は、水が下方から上方へ流れるように設定されていることが好ましい。その理由は、陽極Aの表面で発生したオゾンが気泡成長する前に速やかに陽極Aの表面からオゾンを引き離すことが好ましいためである。つまり、流入口Finが下を向き、かつ、流出口が上を向いていると、浮力によって、オゾンが速やかに陽極Aの表面から離れるためである。これによれば、オゾンが、気泡の状態で残存することを抑制され、水に溶け込み易くなることにより、オゾン水の生成効率が向上する。ただし、電解水生成装置100は、その流路が鉛直方向に沿って延びるような姿勢以外のいかなる姿勢で他の装置に組み込まれてもよい。
【0014】
図1に示されるように、電解水生成装置100は、給電体Fおよび陽極本体AMからなる陽極Aと、陰極Cと、陽極Aと陰極Cとの間に設けられた陽イオン交換膜Iと、を備えている。本実施の形態においては、陽極Aが陽極本体AMと給電体Fとからなる例が示されているが、陽極Aが1つの材料によって構成されていてもよいとともに、3以上の材料によって構成されていてもよい。
【0015】
給電体F、陽極本体AM、陽イオン交換膜I、および陰極Cは、積層構造4を構成している。給電体F、陽極本体AM、陽イオン交換膜I、および陰極Cは、いずれも、平板形状を有している。平板形状は、X方向、すなわち通水方向を長手方向とし、Y方向を短手方向とする長方形の平面形状を有しており、Z方向、すなわち上下方向に厚さを有している。給電体F、陽極本体AM、陽イオン交換膜I、および陰極Cは、この順番で下から上へ向かって、Z方向に積層されている。
【0016】
陰極Cは、平面視においてV字状の貫通孔を有している。陽イオン交換膜Iは、通水方向を横切る方向に複数の貫通孔が設けられている。陰極Cの貫通孔および陽イオン交換膜Iの貫通孔の中でオゾンが発生し、容器部1内の水に溶解する。これにより、オゾン水が生成される。
【0017】
図1に示されるように、本実施の形態の電解水生成装置100は、ハウジング5を備えている。ハウジング5は、水が流入する流入口Finと、水が流出する流出口Foutとを有し、陽極A、陰極C、および陽イオン交換膜Iを内包している。ハウジング5は、給電体F、陽極A、陰極C、および陽イオン交換膜Iを受け入れる容器部1と、容器部1の開口を閉塞する蓋部2と、を含んでいる。
【0018】
図1に示されるように、容器部1の底には、弾性体3が置かれる。弾性体3の上には、積層構造4が置かれる。蓋部2は、積層構造4を押さえ付けるように、容器部1の上面に固定される。
【0019】
図1および
図2に示されるように、ハウジング5は、外部装置200の凸部Pと嵌合する位置決め用凹部Tを含んでいる。そのため、電解水生成装置100を外部装置200に対して容易に位置決めすることができる。本実施の形態においては、位置決め用凹部Tは、蓋部2に設けられている。そのため、位置決め用凹部Tに起因した強度の低下を抑制しながら、容器部1を形成することができる。ただし、位置決め用凹部Tは、容器部1に設けられていてもよい。
【0020】
外部装置200は、その外縁から垂れ下がる爪部201を有している。外部装置200の爪部201が容器部1の上端から外方へ延びる鍔部12の下側に引っ掛けられるように、電解水生成装置100が外部装置200の爪部201同士の間に挿入される。それにより、電解水生成装置100が外部装置200に固定される。なお、外部装置200は、電解水生成装置100で生成された電解水、たとえば、オゾン水を利用する装置である。
【0021】
蓋部2は、相対的に肉厚が小さい薄肉部21と、相対的に肉厚が大きい厚肉部22とを含んでいる。位置決め用凹部Tは、厚肉部22に設けられている。そのため、蓋部2の強度が低下することを抑制することができる。位置決め用凹部Tは、蓋部2の長手方向に沿って延びる溝部である。そのため、電解水生成装置100を外部装置200の凸部Pに対して安定的に位置決めすることができる。
【0022】
蓋部2は、相対的にレーザを透過し易い色を有するレーザ透過性樹脂を含んでいる。容器部1は、相対的にレーザ光を吸収し易い色のレーザ吸収性樹脂を含んでいる。蓋部2のZ方向の上側からレーザが薄肉部21に照射される。それにより、薄肉部21を透過したレーザが、蓋部2の薄肉部21の下面と容器部1の上面とを加熱する。その結果、本実施の形態においては、蓋部2の薄肉部21と容器部1とがレーザ樹脂溶着によって互いに固定される。そのため、蓋部2と容器部1とを容易に固定することができる。なお、容器部1は、黒色またはそれに近い色を有し、蓋部2は、透明や白色またはそれに近い色を有している。
【0023】
また、蓋部2の薄肉部21は、蓋部2に形成された溝の底部を構成し、溝に容器部1の凸部11が挿入されている。そのため、蓋部2と容器部1とを強固に固定することができる。
【0024】
図1に示されるように、陽極Aには、陽極A用の給電シャフトASが電気的に接続されている。陽極Aと陽極A用の給電シャフトASとは陽極A用のバネ部ABを介して接続されている。陽極A用の給電シャフトASは、容器部1の底面に設けられた貫通孔1Aに挿入される。陽極A用の給電シャフトASの容器部1の外部に突出する部分が電力供給部の正極に電気的に接続される。
【0025】
図1に示されるように、陰極Cには、陰極C用の給電シャフトCSが電気的に接続されている。陰極Cと陰極C用の給電シャフトCSとは陰極C用のバネ部Bを介して接続されている。陰極C用の給電シャフトCSは、容器部1の底面に設けられた貫通孔1Cに挿入される。陰極C用の給電シャフトCSの容器部1の外部に突出する部分が電力供給部の負極に電気的に接続される。
【0026】
陽極A用の給電シャフトASの容器部1の外部に突出する部分および陰極C用の給電シャフトCSの容器部1の外部に突出する部分が、オーリングO、ワッシャW、座金S、および六角ナットNに挿入される。その結果、積層構造4を構成する給電体F、陽極A、陽イオン交換膜I、および陰極Cを六角ナットNの締め付けによって固定することができる。
【0027】
ハウジング5は、給電体F、陽極A、陰極C、および陽イオン交換膜Iを受け入れる容器部1と、容器部1の開口を閉塞する蓋部2と、を含んでいる。電解水生成装置100は、容器部1の底面と給電体F、陽極A、陰極C、および陽イオン交換膜Iからなる積層構造4との間に弾性体3を備えている。
【0028】
容器部1は、その底面に接するように弾性体3を受け入れている。容器部1は、弾性体3の形状に対応する形状を有している。弾性体3の上面に接するように積層構造4が設けられている。蓋部2が給電体F、陽極A、陰極C、および陽イオン交換膜Iを弾性体3に向かって押さえ付けるように構成されている。具体的には、蓋部2の下側において蓋部2から下方へ突出している突出部が陰極Cの上面を押さ付ける。それにより、積層構造4は、下方へ押し下げられる。このとき、弾性体3は、積層構造4の下側で、蓋部2から積層構造4へ加えられる力を吸収する。
【0029】
弾性体3は、一般に、蓋部2が積層構造4を介して上方から下方へ押さえ付ける力によって側方へ膨らむように変形しようとする。しかしながら、本実施の形態の弾性体3は、弾性体3が容器部1の側壁に向かって変形することを抑制する中空部Hを含んでいる。そのため、弾性体3の貫通孔としての中空部Hの内面が内側へ向かうように変形する。弾性体3の変形が容器部1の内壁へ悪影響を与えること、具体的には、容器部1の変形や損傷を抑制することができる。また、弾性体3の変形が、容器部1、ならびに、給電体F、陽極A、陰極C、および陽イオン交換膜Iに悪影響を与えることを抑制することができる。
【0030】
中空部Hは、蓋部2から容器部1の底面に向かう方向に延びる複数の貫通孔である。複数の貫通孔は、上下方向に互いに平行に延びている。そのため、簡単に中空部Hを形成することができる。弾性体3の変形が容器部1、ならびに、積層構造4に悪影響を与えることを抑制することができるのであれば、中空部Hとして、貫通孔の代わりに、弾性体3の上面および下面のそれぞれに凹部が弾性体3に設けられていてもよい。
【0031】
弾性体3は、ある方向に沿って延びる実質的に直方体の形状を有している。実質的に直方体の形状とは、数学的な意味での厳密な直方体を意味するのではなく、全体として直方体を想起させる形状であれば、多少の凹凸を有していてもよい。
【0032】
中空部Hは、直方体の長手方向に沿って一列に並べられている。具体的には、中空部Hは、弾性体3が建築用コンクリートブロックまたは格子形状に類似した形状になるように設けられている。また、中空部Hは、通水方向に沿って複数の貫通孔が一列に並べられた形状によって構成されている。
【0033】
図2および
図3に示されるように、容器部1は、容器部1の底面と容器部1の内側面とを連続するように接続する円弧状コーナー部R1を含んでいる。弾性体3は、弾性体3の下面と弾性体3の側面とを連続するように接続する円弧状面取り部R2を含んでいる。円弧状面取り部R2は、円弧状コーナー部R1に対応する形状、すなわち、円弧状コーナー部R1に嵌り合う形状を有し、円弧状コーナー部R1に密着する。そのため、弾性体3は、容器部1にしっかりと密着し、安定的に容器部1に固定される。
【0034】
弾性体3の積層構造4側の面は、面一の平面である。したがって、弾性体3は、積層構造4の下面に密着し、積層構造4の安定的に支持する。
【0035】
弾性体3は、弾性体3の長手方向の両側面のそれぞれから外部へ突出する弾性体嵌合部PRを含んでいる。本実施の形態においては、弾性体嵌合部PRは、凸部であるが、凹部であってもよい。容器部1は、2つの弾性体嵌合部PRのそれぞれを受け入れる2つの容器被嵌合部REを含んでいる。本実施の形態においては、容器被嵌合部REは、凹部であるが、凸部であってもよい。弾性体嵌合部PRおよび容器被嵌合部REは、互いに嵌合する形状であれば、いかなる形状を有していてもよい。
【0036】
また、弾性体3は、Z軸方向に沿って見たとき、X軸の方向およびY軸の方向のそれぞれに沿った中心軸に対して、鏡面対称の形状を有している。一方、弾性体3は、Z軸方向においては、非対称な構造となっている。また、弾性体3は、水の通水方向に垂直な仮想平面に対して鏡面対称である。そのため、弾性体3は、2つの弾性体嵌合部PRのいずれを2つの容器被嵌合部REのいずれにも入れることができる。つまり、長手方向を有する弾性体3は、その長手方向が通水方向に沿って延びるように配置さえしていれば、その長手方向の両端部がどちらの向きを向いていても、容器部1に適切に嵌め込まれ得る。そのため、弾性体3の容器部1への嵌め込みが容易になる。
【0037】
仮に、弾性体3が容器部1に積層方向において裏表逆向きで入れられると、容器部1と弾性体3との間に隙間が残存するため、弾性体3が変形するおそれがあり、陽極A、陰極C、および陽イオン交換膜Iの位置が安定しない。しかしながら、弾性体嵌合部PRおよび容器被嵌合部REは、陽極A、陽イオン交換膜I、および陰極Cの積層方向において弾性体3がハウジング5へ裏表、すなわち
図2および
図3における上下逆向きに入れられることを防止する構造を有している。具体的には、弾性体嵌合部PRは、凸部であり、弾性体3の側面の上端側の一部においてのみ突出している。容器被嵌合部REは、弾性体嵌合部PRとしての凸部に嵌合する凹部形状を有している。そのため、弾性体3のハウジング5への上下方向が逆向きになった状態での挿入、すなわち裏表逆入れを容易に防止することができる。その結果、積層方向における弾性体3の裏表逆入れによって円弧状凹部R1と円弧状凸部R2とが密着しないという不具合を容易に防止することができる。したがって、弾性体3は、積層構造4を安定的に支持することができる。
【0038】
実施の形態の電解水生成装置100は、オゾン水を生成するオゾン水生成装置であるが、生成させる物質はオゾン水に限定されない。たとえば、電解水生成装置は、次亜塩素酸を生成することにより、殺菌作用を発揮するものであってもよい。また、電解水生成装置は、酸素水、水素水、塩素含有水、または過酸化水素水等を生成するものであってもよい。
【0039】
本実施の形態の電解水生成装置100の陽極Aは、導電性シリコン、導電性ダイヤモンド、チタン、白金、酸化鉛、または酸化タンタル等の電解水を生成することができ、導電性および耐久性を有するのであれば、いかなる物質により構成されていてもよい。本実施の形態においては、たとえば、陽極本体AMが導電性ダイヤモンドで構成されており、給電体Fがチタンで構成されている。陽極Aがダイヤモンド電極である場合、陽極Aの製造方法は、成膜による製造方法に限定されず、また、金属以外の材料を用いるものであってもよい。
【0040】
陰極Cは、導電性と耐久性を備えた電極であればよく、例えば白金やチタン、ステンレス、導電性シリコンなどで構成することも可能である。
【0041】
本実施の形態の電解水生成装置100は、電解処理した液中の電解水生成濃度を高めることを可能にする装置に取り付けることによって使用することができる。その装置は、たとえば、浄水装置等の水処理機器、洗濯機、食洗機、温水洗浄便座、冷蔵庫、給湯給水装置、殺菌装置、医療用機器、空調機器、または厨房機器等である。
【0042】
以下、実施の形態の電解水生成装置100の特徴的構成およびそれにより得られる効果が述べられる。
【0043】
(1) 電解水生成装置100は、陽極Aと、陰極Cと、陽極Aと陰極Cとの間に設けられた陽イオン交換膜Iと、を備えている。電解水生成装置100は、水が流入する流入口Finと、水が流出する流出口Foutとを有し、陽極A、陰極C、および陽イオン交換膜Iを内包するハウジング5を備えている。ハウジング5は、陽極A、陰極C、および陽イオン交換膜Iを受け入れる容器部1と、容器部1の開口を閉塞する蓋部2と、を含んでいる。電解水生成装置100は、容器部1の底面と陽極A、陰極C、および陽イオン交換膜Iとの間に設けられた弾性体3をさらに備えている。蓋部2が陽極A、陰極C、および陽イオン交換膜Iを弾性体3に向かって押さえ付けるように構成されている。弾性体3は、弾性体3が容器部1の側壁に向かって変形することを抑制する中空部Hを含んでいる。これによれば、弾性体3の変形が陽極A、陰極C、および陽イオン交換膜Iに悪影響を与えることを抑制することができる。
【0044】
(2) 中空部Hは、蓋部2から容器部1の底面に向かう方向に延びる貫通孔である。これによれば、簡単に中空部Hを形成することができる。
【0045】
(3) 弾性体3は、ある方向に沿って延びる実質的に直方体の形状を有し、中空部Hは、直方体の長手方向に沿って一列に並べられていてもよい。これによっても、通水方向に沿って貫通孔を一列に並べることができる。
【0046】
(4) 電解水生成装置100は、陽極Aと、陰極Cと、陽極Aと陰極Cとの間に設けられた陽イオン交換膜Iと、を備えている。電解水生成装置100は、水が流入する流入口Finと、水が流出する流出口Foutとを有し、陽極A、陰極C、および陽イオン交換膜Iを内包するハウジング5を備えている。ハウジング5は、陽極A、陰極C、および陽イオン交換膜Iを受け入れる容器部1と、容器部1の開口を閉塞する蓋部2と、を含んでいる。電解水生成装置100は、容器部1の底面と陽極A、陰極C、および陽イオン交換膜Iとの間に設けられた弾性体3をさらに備えている。容器部1は、容器部1の底面と容器部1の内側面とを連続するように接続する円弧状コーナー部R1を含んでいてもよい。弾性体3は、弾性体3の下面と弾性体3の側面とを連続するように接続し、円弧状コーナー部R1に密着する円弧状面取り部R2を含んでいてもよい。容器部1は、容器部1の内側の側面に容器被嵌合部REを含んでいてもよい。弾性体3は、弾性体3の側面に容器被嵌合部REと嵌合する弾性体嵌合部PRを含んでいてもよい。弾性体嵌合部PRおよび容器被嵌合部REは、陽極A、陽イオン交換膜I、および陰極Cの積層方向において弾性体3がハウジング5へ裏表逆向きに入れられることを防止する構造を構成していてもよい。これによれば、弾性体3のハウジング5への積層方向における裏表逆入れを容易に防止することができる。
【0047】
(5) 弾性体3は、水の通水方向に垂直な仮想平面に対して鏡面対称である。これによれば、弾性体3は、通水方向に沿って延びるように配置さえしていれば、その両端部がいずれの向きを向いていても、容器部1に適切に嵌め込まれ得る。そのため、弾性体3の容器部1への嵌め込みが容易になる。
【符号の説明】
【0048】
1 容器部
2 蓋部
3 弾性体
5 ハウジング
100 電解水生成装置
A 陽極
C 陰極
Fin 流入口
Fout 流出口
H 中空部
I 陽イオン交換膜
PR 弾性体嵌合部
RE 容器被嵌合部
R1 円弧状コーナー部
R2 円弧状面取り