(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】電気的刺激装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/18 20060101AFI20230804BHJP
【FI】
A61N1/18
(21)【出願番号】P 2023057515
(22)【出願日】2023-03-31
【審査請求日】2023-03-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000153041
【氏名又は名称】株式会社日本メディックス
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【氏名又は名称】村田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100166327
【氏名又は名称】舟瀬 芳孝
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】太田 淳
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-505292(JP,A)
【文献】特開2000-126311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00 - 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2組の対をなす一対の電極
間に刺激用電流を流して、該一対の電極間に挟まれる生体に刺激用電流を供給する電気的刺激装置おいて、
前記2組のうちの一方の組における一方の電極と該2組のうちの他方の組における一方の電極とが
、その両組における
少なくとも一方の電極間にベース部材を介在させた状態で該ベース部材に保持されて、該両組における一方の電極と該ベース部材とにより、ユーザの臀部が着座するための着座面が形成され、
前記ベース部材の
外周面部のうち、前記着座面に沿う方向であって、前記両組における一方の電極の並設方向に対して直交する方向側に位置するものの一つが、前部とされ、
前記ベース部材の
前部であって、前記両組における一方の電極間の中間部
が臨む領域から、前記刺激用電流を流すための2本のコードがそれぞれ延出され、
前記各コードの先端部に、前記両組における他方の各電極がそれぞれ接続されている、
ことを特徴とする電気的刺激装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ベース部材が、前記両組における一方の電極を所定間隔だけ離間した状態で該ベース部材の表面上に配置できる大きさに形成され、
前記ベース部材の前部が、少なくとも前記両組における一方の電極間に臨む領域において該両組における一方の電極
の並設方向に平行に延びる
ように設定され、
前記ベース部材の表面に、前記ユーザの臀部の着座領域において、前記両組における一方の電極が、その各電極面を該ベース部材の表面から露出させた状態で配置されている、
ことを特徴とする電気的刺激装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記ベース部材の前部に、前記両組における一方の電極間の中間部
が臨む領域において、前記2組の対をなす一対の電極に対する刺激用電流の供給調整を行うコントロールボックスが取付けられ、
前記2本のコードが、
前記ベース部材から前記コントロールボックス
を介して外部へ延出されている、
ことを特徴とする電気的刺激装置。
【請求項4】
請求項2において、
前記両組における各一方の電極が、前記ベース部材の表面に対して段差を生じるように突出されている、
ことを特徴とする電気的刺激装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記両組における各一方の電極は、その一部が前記ベース部材中に埋設される一方で、該両組における各一方の電極の他部が該ベース部材の表面から突出され、
前記両組における各一方の電極に対するコードが前記ベース部材中に埋設されている、
ことを特徴とする電気的刺激装置。
【請求項6】
請求項3において、
前記2本の
各コードは、前記両組における各他方の電極を、前記着座面に臀部を着座させたユーザの
下腹部まで移動できる長さとして、前記コントロールボックスから25cm~35cm程度の長さが設定されている、
ことを特徴とする電気的刺激装置。
【請求項7】
請求項2において、
前記2本のコードは、前記ベース部材の前部の延び方向に並設された状態で
該前部の外方に延出されている、
ことを特徴とする電気的刺激装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記ベース部材の前部に、前記両組における一方の電極間の中間部が臨む領域において、前記2組の対をなす一対の電極に対する刺激用電流の供給調整を行うコントロールボックスが取付けられ、
前記2本のコードは、前記
コントロールボックスの前面から、前記ベース部材の前部の延び方向に離間した状態で延出され、
前記各コードは、該各コードに接続される他方の電極が、前記着座面に着座するユーザの下腹部のうち、該各コードの配置側の下腹部分にのみに届く
長さとして、前記コントロールボックスから25cm~35cm程度の長さが設定されている、
ことを特徴とする電気的刺激装置。
【請求項9】
請求項2において、
前記両組における一方の電極の電極面
は、前記ベース部材の表面上において、該両組における一方の電極の並設方向
に対して直交する方向の長さに比して該両組における一方の電極の並設方向の長さが長くされている、
ことを特徴とする電気的刺激装置。
【請求項10】
請求項3において、
前記ベース部材が、矩形状の板体として形成され、
前記ベース部材の前部が、前記矩形状の板体の対向する一対の長辺
が存在する部分のうちの一方側部分とされ、
前記ベース部材の表面に、前記長辺の延び方向中央を基準として、前記両組における一方の電極が対称に配置されると共に、該ベース部材の前部の延び方向中央部に前記コントロールボックスが取付けられている、
ことを特徴とする電気的刺激装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項において、
前記各組における一対の電極に対して、互いに周波数の相違する中周波の刺激用電流が供給されるように設定されている、
ことを特徴とする電気的刺激装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として骨盤底筋を強化する電気的刺激装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的刺激装置には、例えば、低周波(例えば1~200HZ)の刺激用電流を供給する低周波式のもの、中周波(例えば2500~6000HZ)の刺激用電流を供給する中周波式のもの(低周波式に対応して高周波式と称することもある)、互いに周波数の相違する中周波同士を干渉させて低周波の刺激用電流を得る干渉低周波式のものがある。このうち、干渉低周波式のものは、2組の対をなす一対の電極を用いることから、肘やひざ等の患者の立体的な部分への刺激付与として好適であり、また中周波による患者深部への刺激付与と、干渉低周波による大きな刺激感付与とを得ることができる。このような干渉低周波式の電気的刺激装置は、改良が進み、特許文献1に示すように、干渉低周波による利点を活かしつつ、中周波での刺激感をも十分に感じるものが提案されている。
【0003】
ところで、電気的刺激装置には、2組の対をなす一対の電極により刺激用電流を骨盤底筋に与えて他動的に筋肉を収縮させるものが開発されつつある。骨盤底筋の機能が低下すると、尿失禁等の症状が生じ、これら症状を、骨盤底筋群を筋力強化トレーニングにより改善しようとしても、的確且つ継続的に行うことは容易ではなく、しかもその改善効果が少ないからである。このような電気的刺激装置としては、非特許文献1に示すように、一方の組における一対の電極と、他方の組における一対の電極と、各組における一対の各電極に対してコードを介して接続され各コードを利用して各組の電極に刺激用電流を供給する装置本体と、を備え、その使用に当たって、ユーザの臀部(皮膚)に、一方の組における一方の電極と、他方の組における一方の電極とを貼り付けると共に、ユーザの下腹部(皮膚)に、一方の組における他方の電極と、他方の組における他方の電極とを貼り付けるものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
【文献】株式会社メディカルタスクフォース,"干渉低周波 頻尿・尿失禁治療器 ウロマスター",[online], 2022年11月23日,[2023年3月14日検索],インターネット,(URL:http://www.medical-taskforce.com/item/details21)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記電気的刺激装置においては、その使用に当たり、ユーザは、臀部に対して一方の組における一方の電極と他方の組における一方の電極とを貼り付けると共に、下腹部に対して一方の組における他方の電極と他方の組における他方の電極を貼り付けなければならないばかりか、臀部に対する電極の貼り付け作業においては、臀部側を見ることができない状況の下で所定ルール(電極の配置に関し、下腹部と臀部とでは互い違いの配置関係)を踏まえつつ貼り付けなければならない。このため、ユーザの使用負担は軽くはない。
【0007】
また、生体(下腹部及び臀部)に対して各電極を貼り付けるためには、装置本体からその貼り付け個所までの距離を確保すべく、各電極を、装置本体から延びる比較的長いコードにそれぞれ接続しなければならず、その4本のコードの存在は、煩雑さを与えるばかりでなく、生体に対する各電極の貼り付けに当たって、各コードが身体にまとわりついて、その各電極の貼り付け作業を妨げるおそれがある。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、その目的は、ユーザの使用負担を極力軽減できる簡素な電気的刺激装置を提供することにある。
【0009】
前記目的を達成するために本発明にあっては、次のような構成とされている。
【0010】
(1)2組の対をなす一対の電極間に刺激用電流を流して、該一対の電極間に挟まれる生体に刺激用電流を供給する電気的刺激装置おいて、
前記2組のうちの一方の組における一方の電極と該2組のうちの他方の組における一方の電極とが、その両組における少なくとも一方の電極間にベース部材を介在させた状態で該ベース部材に保持されて、該両組における一方の電極と該ベース部材とにより、ユーザの臀部が着座するための着座面が形成され、
前記ベース部材の外周面部のうち、前記着座面に沿う方向であって、前記両組における一方の電極の並設方向に対して直交する方向側に位置するものの一つが、前部とされ、
前記ベース部材の前部であって、前記両組における一方の電極間の中間部が臨む領域から、前記刺激用電流を流すための2本のコードがそれぞれ延出され、
前記各コードの先端部に、前記両組における他方の各電極がそれぞれ接続されている構成とされている。
【0011】
この構成によれば、ユーザの臀部が着座面に着座するだけで、両組における各一方の電極がユーザ臀部に的確に当接することになり、臀部に対する両組における各一方の電極の配置(貼り付け)作業を不要にして、電極の配置作業を、下腹部に対する両組における各他方の電極の配置作業だけとすることができる。この場合、仮に、両組における一方の電極とユーザ臀部との当接位置を多少変更したい場合には、各一方の電極との当接を感じながら着座し直す等、ユーザ臀部の着座面に対する着座位置をずらすだけで、ユーザ臀部に対する両組における一方の電極の当接位置を簡単に調整できる。
【0012】
また、両組における一方の電極がベース部材に保持され、その電気的刺激装置の使用に当たり、その各電極を手でもって移動させる必要がないことから、両組における各他方の電極を接続するための2本のコードだけが装置本体から延出することになり、装置を簡素化できると共に、生体に対する各電極の配置作業に当たって、各コードが身体にまとわりつくことを少なくして、両組における各他方の電極の配置作業を容易にすることができる。
【0013】
さらには、前記ベース部材の前部であって、両組における一方の電極間の中間部が臨む領域から、2本のコードが延出していることから、ユーザが着座面に着座するに際して、2本のコードを、ユーザの大腿間に位置させる目印とすることができ、その目印としての2本のコードをユーザが跨ぎつつ着座面に臀部を着座させるだけで、両組における一方の電極の位置を考慮することなく、その各一方の電極にユーザ臀部を的確に当接させることができる。
【0014】
(2)前述の(1)の構成の下で、
前記ベース部材が、前記両組における一方の電極を所定間隔だけ離間した状態で該ベース部材の表面上に配置できる大きさに形成され、
前記ベース部材の前部が、少なくとも前記両組における一方の電極間に臨む領域において該両組における一方の電極の並設方向に平行に延びるように設定され、
前記ベース部材の表面に、前記ユーザの臀部の着座領域において、前記両組における一方の電極が、その各電極面を該ベース部材の表面から露出させた状態で配置されている構成とされている。
【0015】
この構成によれば、ユーザの臀部をベース部材表面に安定して着座させることができるだけでなく、両組における一方の電極の並設方向に平行に延びるベース部材の前部を基準として、ベース部材表面にユーザの臀部を着座させるだけで自ずと、両組における一方の電極にユーザの臀部の所定位置を的確に当接させることができ、使い勝手を高めることができる。
【0016】
(3)前述の(2)の構成の下で、
前記ベース部材の前部に、前記両組における一方の電極間の中間部が臨む領域において、前記2組の対をなす一対の電極に対する刺激用電流の供給調整を行うコントロールボックスが取付けられ、
前記2本のコードが、前記ベース部材から前記コントロールボックスを介して外部へ延出されている構成とされている。
【0017】
この構成によれば、ベース部材の前部にコントロールボックスを取付けることにより、構成部品がばらつくことをなくして簡素な構成にすることができる。また、ユーザが着座面に着座するに際して、コントロールボックス及び2本のコードを、ユーザの大腿間に位置させる目印とすることができ、ユーザは、目印としてのコントロールボックス及び2本のコードに邪魔されることなく、また、両組における一方の電極の位置を考慮することなく、着座面に着座することができ、その両組における一方の電極にユーザ臀部を的確に当接させることができる。
【0018】
(4)前述の(2)の構成の下で、
前記両組における各一方の電極が、前記ベース部材の表面に対して段差を生じるように突出されている構成とされている。
【0019】
この構成によれば、ユーザの臀部が着座面に着座したとき、両組における各一方の電極がユーザの臀部に押し込まれた状態(臀部を撓ませて入り込む状態)となる。このため、ユーザは、両組における各一方の電極と臀部との当接、その当接位置を感じ取ることができ、両組における各一方の電極がユーザの臀部に的確に当接されたことを確認できる。しかもこのとき、両組における各一方の電極とユーザの臀部との密着性を高めることになり、刺激用電流の供給を確実に行うことができる。
【0020】
(5)前述の(4)の構成の下で、
前記両組における各一方の電極は、その一部が前記ベース部材中に埋設される一方で、該両組における各一方の電極の他部が該ベース部材の表面から突出され、
前記両組における各一方の電極に対するコードが前記ベース部材中に埋設されている構成とされている。
【0021】
この構成によれば、ベース部材に対する両組における各一方の電極の保持を高めることができると共に、両組における各一方の電極に対するコードをベース部材中に埋設することにより、煩雑さをなくして簡素な構成とすることができる。
【0022】
(6)前述の(3)の構成の下で、
前記2本の各コードは、前記両組における各他方の電極を、前記着座面に臀部を着座させたユーザの下腹部まで移動できる長さとして、前記コントロールボックスから25cm~35cm程度の長さが設定されている構成とされている。
【0023】
この構成によれば、必要最小限としたコード長さの下で、使用時において、両組における各他方の電極を、自ずとユーザの下腹部にだけ当接させることができ、ユーザが両組における各他方の電極を下腹部以外の個所に当接させることをなくし、電気的刺激を骨盤底筋に的確に与えることができる。また、コードが必要最小限の長さとされていることから、両組における各他方の電極を移動できるとしても、極力、簡素な構成とすることができる。
【0024】
(7)前述の(2)の構成の下で、
前記2本のコードは、前記ベース部材の前部の延び方向に並設された状態で該前部の外方に延出されている構成とされている。
【0025】
この構成によれば、両組における各他方の電極に連なるコードを、左右配置関係をもって配置されることになり、ユーザが、両組における各他方の電極を取り違えて下腹部に当接させることを防ぐことができる。
【0026】
(8)前述の(7)の構成の下で、
前記ベース部材の前部に、前記両組における一方の電極間の中間部が臨む領域において、前記2組の対をなす一対の電極に対する刺激用電流の供給調整を行うコントロールボックスが取付けられ、
前記2本のコードは、前記コントロールボックスの前面から、前記ベース部材の前部の延び方向に離間した状態で延出され、
前記各コードは、該各コードに接続される他方の電極が、前記着座面に着座するユーザの下腹部のうち、該各コードの配置側の下腹部分にのみに届く長さとして、前記コントロールボックスから25cm~35cm程度の長さが設定されている構成とされている。
【0027】
この構成によれば、各コードに接続される他方の電極が、ユーザの下腹部のうち、該各コードの配置側とは異なる下腹部分に届かず、各コードの配置側の下腹部分にのみ届くことになり、各他方の電極を、使用時に取り違えることを確実に防止できる。
【0028】
(9)前述の(2)の構成の下で、
前記両組における一方の電極の電極面は、前記ベース部材の表面上において、該両組における一方の電極の並設方向に対して直交する方向の長さに比して該両組における一方の電極の並設方向の長さが長くされている構成とされている。
【0029】
この構成によれば、比較的広いベース部材表面を利用して、そのベース部材表面上で、その両組における一方の電極の電極面をその両電極の並設方向に延ばすことから、その各一方の電極の電極面の面積を効果的に増大させることができる。このため、ベース部材の前部からの所定距離をもって、両組における一方の電極の前後の位置決めを行うことと相まって、ユーザの着座面への着座に伴い、各一方の電極とユーザ臀部の所望位置との当接を確実なものにできる。特に、ユーザは、ベース部材の前後方向に比して、横方向に自己の臀部を移動させにくく、しかも、その移動量(臀部の振り量)も限られる状況にあるものの、そのことを、両組における一方の電極の電極面の延び構成に基づき補い、各一方の電極とユーザ臀部の所望位置との当接を確実なものにできる。さらには、各一方の電極とユーザ臀部との接触面積を増大させることができることになり、それに基づいて皮膚表面の刺激緩和を図ることができる。
【0030】
(10)前述の(3)の構成の下で、
前記ベース部材が、矩形状の板体として形成され、
前記ベース部材の前部が、前記矩形状の板体の対向する一対の長辺が存在する部分のうちの一方側部分とされ、
前記ベース部材の表面に、前記長辺の延び方向中央を基準として、前記両組における一方の電極が対称に配置されると共に、該ベース部材の前部の延び方向中央部に前記コントロールボックスが取付けられている構成とされている。
【0031】
この構成によれば、骨盤底筋を強化するための電気的刺激装置として、具体的で使い勝手の高いものを提供できる。
【0032】
(11)前述の(1)~(10)のいずれかの構成の下で、
前記各組における一対の電極に対して、互いに周波数の相違する中周波の刺激用電流が供給されるように設定されている構成とされている。
【0033】
この構成によれば、使い勝手を高めた状況の下で、互いに周波数の相違する中周波同士を干渉させることにより低周波の刺激用電流を得て(干渉低周波式として)、中周波による患者深部への刺激付与と、干渉低周波による大きな刺激感付与とにより、ユーザの骨盤底筋を効果的に強化できる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、ユーザの使用負担を極力軽減できる簡素な電気的刺激装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】実施形態に係る電気的刺激装置を示す説明図。
【
図2】実施形態に係る電気的刺激装置におけるベース部材を折り畳んだ状態を示す説明図。
【
図3】実施形態に係る電気的刺激装置におけるコントロールボックスの内部構成を説明する説明図。
【
図4】干渉低周波による刺激付与の一例を説明する説明図。
【
図5】実施形態に係る電気的刺激装置におけるベース部材の内部構造を説明する断面図。
【
図6】実施形態に係る電気的刺激装置の使用態様を示す説明図。
【
図7】実施形態に係る電気的刺激装置の別の使用態様を示す説明図。
【
図8】先行技術に係る電気的刺激装置を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0037】
図1において、符号1は、実施形態に係る電気的刺激装置を示す。この電気的刺激装置1は、ベース部材2を備えている。ベース部材2は、その表面(上面)2aが平坦面とされた矩形状の板体として形成されている。このベース部材2の対向する一対の長辺のうち、一方側部分が前部2Fとされ、その対向する一対の長辺のうちの他方側部分が後部2Bとされている。このベース部材2の横方向長さ(前部2F及び後部2Bの延び方向長さ)には、ユーザ一般の臀部の幅(横長さ:例えば30cm~40cm)程度の長さが確保され、前部2Fから後部2Bまでの奥行きは、前部2Fを基準としてユーザが後ろ向きに着座したとき、そのユーザの臀部が該ベース部材2の後部2Bまでに着座できる長さ(例えば20cm~35cm)とされている。このベース部材2は、本実施形態においては、絶縁性を有する可撓性材料、弾性材料等を用いて形成されており、非使用時には、
図2に示すように、ベース部材2を折り畳むことができることになっている。しかも、そのベース部材2の材料の特性を利用して、少なくともベース部材2の平坦な表面2aは、クッション性を有している。
【0038】
前記電気的刺激装置1は、
図1、
図2に示すように、コントロールボックス3を備えている。コントロールボックス3は、前記ベース部材前部2Fに該前部2Fから前方に張り出すように取付けられている。このコントロールボックス3は、その外形が一定厚みを維持しつつ延びる形状とされており、そのコントロールボックス3は、ベース部材前部2Fの延び方向中央部において、その前部2Fに沿って延びるように取付けられていて、このコントロールボックス3の延び方向長さは、ベース部材2に対するユーザの着座時にそのユーザの大腿間に収まる程度の長さに設定されている。このコントロールボックス3の底面はベース部材2の底面に対して面一となるように形成され、コントロールボックス3及びベース部材2は、安定した状態で使用時の使用配置面に載置できることになっている。他方、コントロールボックス3は、その上面3aがベース部材2の表面2aよりも多少、上方に位置するように突出されているが、その突出状態は、ベース部材2に対するユーザの着座を阻害しないものとなっている。このコントロールボックス3の上面3aには、電源スイッチSW1、強度増大スイッチSW2、強度減少スイッチSW3、強度表示Dが、コントロールボックス3の延び方向に並ぶように配置されている。電源スイッチSW1、強度増大スイッチSW2及び強度減少スイッチSW3は、いずれも押し式スイッチとされ、電源スイッチSW1は当該装置1のON,OFFを決定して、後述のサイン波生成回路7,8、アンプ回路9,10等の作動を開始させ、強度増大スイッチSW2及び強度減少スイッチSW3は、電流の増減を調整して強度を調整する。強度表示Dは、強度増大スイッチSW2、強度減少スイッチSW3の押圧操作に応じ、現状の強度状態を数字をもって示す。
【0039】
前記コントロールボックス3内には、
図3に示すように、2組の対をなす一対の電極4,5(各組の電極の代表符号として示す)に対して刺激用電流を供給する刺激用電流供給調整部6が収納されている。刺激用電流供給調整部6は、本実施形態では、周波数が相違する中周波同士を干渉させて低周波の刺激用電流を得るもの(干渉低周波式のもの)が構成されている。このため、刺激用電流供給調整部6は、
図3に示すように、第1刺激用電流供給手段としての第1サイン波生成回路7と、第2刺激用電流供給手段としての第2サイン波生成回路8と、第1サイン波生成回路7に接続されたアンプ回路(増幅回路)9と、第2サイン波生成回路8に接続されたアンプ回路(増幅回路)10と、を備えている。各サイン波生成回路7,8は、それぞれ中周波(例えば2500~6000HZ)のサイン波を生成するもので、本実施形態では、第1サイン波生成回路7が5000HZのサイン波を生成し、第2サイン波生成回路8が5020HZのサイン波を生成する。各サイン波生成回路7と8とで生成される中周波の周波数の差分の周波数(実施形態では20HZ)が、干渉低周波の周波数となる。アンプ回路9は、第1サイン波生成回路7で生成されたサイン波を出力調整して、2組のうちの一方の組における一対の電極4A、4Bに供給することになっており、アンプ回路10は、第2サイン波生成回路8で生成されたサイン波を出力調整して、2組のうちの他方の組における一対の電極5A、5Bに供給することになっている。
【0040】
これにより、第1サイン波生成回路7から一方の組における電極4A、4Bに例5000HZの刺激用電流が供給される一方(
図4の(a)参照)、第2サイン波生成回路8から他方の組における電極5A、5Bに対して5020HZの刺激用電流が供給される(
図4の(b)参照)。これにより、
図4(c)に示すように、干渉低周波が得られることになる。
【0041】
前記コントロールボックス3内にはまた、
図3に示すように、前記刺激用電流供給調整部6を制御するコントローラ(制御ユニット)Uが収納されている。コントローラUは、マイクロコンピュータを利用して構成されており、そのコントローラUには、前述の電源スイッチSW1、強度増大スイッチSW2及び強度減少スイッチSW3からの入力信号が入力される一方、このコントローラUUからは、各サイン波生成回路7,8に対してON、OFFの切換制御信号、アンプ回路9,10に対してON、OFF制御やその出力大小の切換制御等の制御信号が出力されることになっている。これにより、電源スイッチSW1のON状態の下で、2組の対をなす一対の電極4,5により、所定強度にある干渉低周波の刺激用電流が作り出される。
【0042】
前記ベース部材2の表面2aには、
図1に示すように、前記一方の組における一対の電極4A、4Bのうちの一方の電極4Aと、前記他方の組における一対の電極5A、5Bのうちの一方の電極5Aとが保持されている。この各一方の電極4A,5Aとしては、前記ベース部材表面2aと協働してユーザの臀部が着座するための着座面30を形成すべく、帯状の導電性シート4AS,5ASが用いられており、その両導電性シート4AS,5ASは、ベース部材表面2a(着座面30)におけるユーザの臀部着座領域HSAにおいて、その板面を上下方向に向けると共にその延び方向をベース部材2の前部2Fの延び方向に向けつつ、所定間隔をあけて配置されている。この所定間隔は、ユーザ臀部の間隔をあけた所望位置に各導電性シート4AS,5ASを当接させることを考慮して決められており、その両導電性シート4AS,5AS間の中間領域には前記コントロールボックス3が臨んでいる。この場合、各導電性シート4AS,5ASが帯状とされてベース部材2の前部2Fの延び方向に延びていることは、横方向(左右方向)において、各導電性シート4AS,5ASがユーザの臀部の所望位置に当接する確実性を高める。これは、特に、ユーザが、ベース部材の前後方向に比して横方向に自己の臀部を移動させにくく、しかも、その移動量(臀部の振り量)も限られる状況にあることから、そのことを考慮し、両組における導電性シート4AS,5ASの電極面の延び構成に基づき補うこととしたのである。
【0043】
本実施形態においては、両組における各導電性シート4AS,5AS(各電極4A,5A)は、
図5に示すように、ベース部材表面2aに形成される保持孔12内にそれぞれ保持されている。各導電性シート4AS,5ASは、その厚み方向(
図5中、上下方向)一方側部分が保持孔12内に埋め込まれ、各導電性シート4AS,5ASの厚み方向他方側部分がベース部材表面2aから多少の段差を生ずるように突出されている。この段差は、0mmを超えて2mm程度が好ましい。この各導電性シート4AS,5ASには、その厚み方向一方側面に対して刺激用電流を流すためのコード13A,14Aの一端部が接続されており、そのコード13A,14Aの他端部は、ベース部材2の内部を通って前記コントロールボックス3内の刺激用電流供給調整部6に接続されている。このため、本実施形態においては、
図5に示すように、ベース部材2が上側部材16と下側部材17の上下二層の積層構造とされ、上側部材16には前記各保持孔12と、その各保持孔12から下側に向けて延びる連通孔18とが形成される一方、下側部材17にはコントロールボックス3に連なる溝19が形成されて、その下側部材17と上側部材16とを積層構造とすることによりコード通路20が形成されている。その連通孔18、コード通路20にコード13A(14A)を通すことにより、各導電性シート4AS,5ASはコード13A,14Aを介してコントロールボックス3内の刺激用電流供給調整部6(アンプ回路9,10)に接続されている。
【0044】
前記コントロールボックス3の前面3bからは、
図1、
図2に示すように、コネクタ21を経て外部へ2本のコード13B,14Bが延出され、そのコード13B,14Bの先端部には、前記一方の組における一対の電極4のうちの他方の電極4Bと、前記他方の組における一対の電極5のうちの他方の電極5Bとが接続されている。この場合、一方の組における他方の電極4Bは、同じ一方の組における一方の導電性シート4AS(一方の電極4A)と対をなすべく、アンプ回路9にコード13Bを介して接続され、他方の組における他方の電極5Bは、同じ他方の組における一方の導電性シート5AS(一方の電極5A)と対をなすべく、アンプ回路10にコード14Bを介して接続されている。また、ベース部材2上における一方の組における一方の導電性シート4ASと他方の組における一方の導電性シート5ASとに対して、その各組における他方の電極4B、5Bを基本的に互い違いの配置にするべく、一方の組における他方の電極4Bのためのコード13Bと他方の組における他方の電極5Bのためのコード14Bとは、前記ベース部材2上における各組における一方の導電性シート4AS,5ASに対して互い違いの関係をもってコントロールボックス前面3bのコネクタ21から延出されている。一方の組における一対の電極4間を流れる刺激用電流と、他方の組における一対の電極5間を流れる刺激用電流とを交差させて、干渉低周波の刺激用電流を生成するためである。このため、一方の組における一方の導電性シート4ASがベース部材2表面2aの左右方向左側に配置され、他方の組における一方の導電性シート5ASがベース部材表面2aの左右方向右側に配置されているときには、一方の組における他方の電極4Bのためのコード13Bは、コントロールボックス前面3bの左右方向右側から延出され、他方の組における他方の電極5Bのためのコード14Bは、コントロールボックス前面3bの左右方向左側から延出される(
図1、
図2参照)。
【0045】
前記2本の各コード13B,14Bの長さは、着座面30にユーザの臀部が着座したとき、各他方の電極4B,5Bを該ユーザの下腹部周囲までの範囲で移動できるように設定されている。具体的には、コントロールボックス3から25cm~35cm程度とされている。この場合、その2本のコード13B,14Bは、コントロールボックス3の前面3b(コネクタ21)から、その延び方向に並設された状態で延出されている。この各コード13B,14Bの延出配置をもって、各コード13B,14Bを用いる他方の電極4B,5Bの使用配置側(ユーザの左右いずれかの下腹部)を理解できることになると共に、コントロールボックス3の前面3b近傍部分において、各コード13B,14Bが並設方向配置側とは逆側に屈曲されることが、互いの当接により規制されることとから、ユーザの左右の下腹部に対して当接させるべき各組における他方の電極4B,5Bを取り違えて使用することを抑制できることになる。
【0046】
前記各組における各他方の電極4B,5Bは、背面から前面にかけて保護カバー23により覆われ、その保護カバー23の開口から各他方の電極4B,5Bの電極面が露出されている。この各保護カバー23の背部23aには、その中央部を中心とした一定の範囲で平坦面が形成され、その平坦面には、リング状の引っ掛け部24が取付けられている。この引っ掛け部24は、比較的広い孔を有しており、その孔には指等を挿入できることになっている。
【0047】
このような電気的刺激装置1を使用するに当たっては、当該装置1を使用配置面に置き、ユーザPは、
図6に示すように、ベース部材前部2Fのコントロールボックス3等を目印として、ベース部材前部2Fに対して後ろ向きの状態で、コントロールボックス3等を跨ぐようにしつつ、臀部をベース部材2の表面2aに着座させる。これにより、ベース部材表面2aの導電性シート4AS,5ASにユーザPの臀部の所望位置が当接することになる。このとき、各導電性シート4AS,5ASがベース部材表面2aから段差を生じるように突出していることから、ユーザPは、その臀部の所望位置が導電性シートに当接したことを感ずることができる(
図5参照)。仮に、導電性シート4AS,5ASとユーザ臀部との当接位置を変えたい場合には、導電性シート4AS,5ASとの当接を感じながら着座し直すことができ、導電性シート4AS,5ASとユーザ臀部との当接位置を簡単に調整できる。
【0048】
次に、電源スイッチSW1をONとした状態の下で、各組の他方の電極4B,5Bを、
図6に示すように、左右の手25L,25Rでそれぞれ持ち、その各電極面をユーザPの左右の下腹部26に所定間隔離間した状態で当接させ、下腹部26に対する各電極面の当接位置を刺激を確認しながら決める。このとき、ユーザPの体内では、一方の組における一対の電極4間を流れる刺激用電流と、他方の組における一対の電極5間を流れる刺激用電流とが交差して、干渉低周波の刺激用電流が生成されており、その干渉低周波の刺激用電流による大きな刺激が骨盤底筋を強化する。この際、ベース部材2上における各組における導電性シート4AS,5ASと、各手25L,25Rでそれぞれ持つ各組における他方の電極4B,5Bとは、互い違いの配置にする必要があるが、それを考慮して、一方の組における他方の電極4Bのためのコード13Bと、他方の組における他方の電極5Bのためのコード14Bとが、前記ベース部材2上における各組における導電性シート4AS,5ASの配置に対して互い違いの状態でコントロールボックス前面3bから延出されている。このため、ユーザPは、コントロールボックス前面3bから延出するコード13B,14Bの左右配置状態に基づき、各組における他方の電極4B,5Bを、下腹部26において、左右いずれ側で使用するかを理解することができる。しかも、本実施形態においては、各組における他方の電極4B,5Bのためのコード13B,14Bの長さが、ユーザPの下腹部26周囲までの範囲に限られていることに加えて、その限られた長さの一部を、コントロールボックス前面3bに設けられたコネクタ21により置き換え、自由に屈曲できるコードの長さを短縮していることから、そのコード13B,14B同士が絡み合うことを抑制して、各組における他方の電極4B,5Bを使用時に取り違えることを抑制できる。さらには、
図6に示すように、コネクタ21において、コード13B,14Bを左右に多少、離間させた状態で延出させ、コード13B,14Bの区別化を高めていることから、そのことは、各組における他方の電極4B,5Bを左右いずれの側の下腹部26で使用するものかの理解を高める。
【0049】
また、各組における他方の電極4B,5Bをユーザの左右の下腹部26に当接させるに際して、
図6に示すように、各電極4B,5B(保護カバー23)におけるリング状の引っ掛け部24内に指25LF,25LFを入れてその各他方の電極4B,5Bをユーザの下腹部26に当接させることができる。これによれば、その各他方の電極4B,5Bを把持する力が必要でなくなり、その各他方の電極4B,5Bを下腹部26に押圧するだけで足りることになる。このため、各組における他方の電極4B,5Bを扱うことについてのユーザ負担が軽減されることになる。
【0050】
さらに、各組における他方の電極4B,5Bをユーザの下腹部26に当接させるに際して、
図7に示すように、ユーザPの下腹部26を巻くバンド27を用意し、そのバンド27を各組における他方の電極4B,5B(保護カバー23)のリング状引っ掛け部24内に通し、その電極4B,5Bを保持したバンド27をユーザの下腹部26に巻くことができる。これにより、各他方の電極4B,5Bを手25L,25Rで持たなくても、その各他方の電極4B,5Bをユーザの下腹部26に当接させることができる。このとき、ユーザの下腹部26に対する各他方の電極4B,5Bの当接位置を決めるに当たっては、バンド27をガイドとして利用して、各他方の電極4B,5Bのリング状引っ掛け部24をスライドさせ、各他方の電極4B,5Bを下腹部26の所望位置に移動させることができる。
【0051】
したがって、電気的刺激装置1おいては、ユーザPの臀部が着座面30に着座するだけで、両組における導電性シート4AS,5AS(一方の電極4A,5A)がユーザ臀部に的確に当接することになり、臀部に対する両組における各一方の電極の配置(貼り付け)作業を不要にして、電極の配置作業を、下腹部26に対する各組における他方の電極4B,5Bの配置作業だけとすることができる。この場合、ユーザPが着座面30に着座するに際して、コントロールボックス3及び2本のコード13B,14Bを、ユーザPの大腿間に位置させる目印とすることができ、ユーザPが、それらを目印として、跨ぎつつ着座面30に着座するだけで、各組における導電性シート4AS,5ASの位置を考慮することなく、その各導電性シート4AS,5ASにユーザ臀部を的確に当接させることができる。また、各組における各他方の電極4B,5Bを接続するための2本のコード13B,14Bだけがコントロールボックス3から延出することになり、装置1を簡素化できると共に、生体に対する各電極の配置作業に当たって、各コードが身体にまとわりつくことを少なくして、各組における各他方の電極4B,5Bの配置作業を容易にすることができる。
【0052】
これに対して、前述の非特許文献1(先行技術)においては、
図8に示すように、電気的刺激装置101としては、一方の組における一対の電極104(104A,104B)と、他方の組における一対の電極105(105A,105B)と、各組における一対の各電極104A,104B,105A,105Bに対してコード113A,113B,114A,114Bを介して接続され各コード113A,113B,114A,114Bを利用して各組の電極に刺激用電流を供給する装置本体103と、を備えており、その使用に当たって、ユーザの臀部に、一方の組における一方の電極104Aと、他方の組における一方の電極105Aとを貼り付けると共に、ユーザの下腹部に、一方の組における他方の電極104Bと、他方の組における他方の電極105Bとを貼り付けることとされる。しかし、各組における一対の電極(4つの電極)104A,104B,105A,105Bの貼り付け作業が必要となるばかりか、干渉低周波による大きな刺激感を得る場合には、臀部側を見ることができない状況の下で、臀部において、左臀部に一方の組における一方の電極104Aを貼り付けると共に右臀部に他方の組における一方の電極105Aを貼り付け、これに伴い、下腹部においては、右下腹部に一方の組における他方の電極104Bを貼り付けると共に左下腹部に他方の組における他方の電極105Bを貼り付けなければならない。しかも、各電極104A,104B,105A,105Bを貼り付けるためには、装置本体103からその貼り付け個所までの距離を確保すべく、各電極104A,104B,105A,105Bを、装置本体103から延びる比較的長いコード113A,113B,114A,114Bにそれぞれ接続しなければならず、その4本のコード113A,113B,114A,114Bの存在は、煩雑さを与えるばかりでなく、生体に対する各電極113A,113B,114A,114Bの貼り付けに当たって、各コード113A,113B,114A,114Bが身体にまとわりついて、その各電極113A,113B,114A,114Bの貼り付け作業を妨げるおそれがある。
【0053】
以上実施形態について説明したが本発明にあっては、次の態様を包含する。
(1)本装置1(刺激用電流供給調整部6)が、各組における一対の電極4,5に対して、干渉低周波の刺激用電流に限らず、種々の刺激用電流を供給すること。例えば、低周波(例えば1~200HZ)の刺激用電流、中周波(例えば2500~6000HZ)の刺激用電流、干渉低周波の刺激用電流と中周波の刺激用電流とを交互に繰り返すもの等を、適宜供給すること。
(2)ベース部材2上において、一方の組における一方の電極4A(導電性シート4AS)、他方の組における一方の電極5A(導電性シート5AS)の少なくとも一つが、スライド可能とされること。スライド方向は、ベース部材前部2Fの延び方向、そのベース部材前部2Fの延び方向に対して直交する方向等、適宜決めること。
(3)コード13B,14Bを、コントロールボックス前面3bの延び方向に離間した状態でそのコントロールボックス前面3bから延出させ、各コード13B(14B)の長さを、その各コード13B(14B)に接続された電極4B(5B)が、ユーザPの下腹部26のうち、そのコード13B(14B)配置側の下腹部分にのみ届くようにし、コード13B(14B)の配置側とは異なる下腹部分に届かないようにすること。これにより、他方の電極4B(5B)を、使用時に取り違えることを確実に防止できる。
(4)コントロールボックス前面3bから延出するコード13B,14B部分を、前部3aの延び方向に当接した状態で並設し、その当接状態を、コントロールボックス3の前面から一定距離だけ互いに一体化すること。これにより、その一体化された部分よりも先端側において初めて、各コード13B,14Bは、自由に屈曲できることになり、各コード13B,14Bは、前述の限られた長さの下でさらに、コントロールボックス3の前面3bから一定距離だけ、並設状態が維持されることになる。この結果、各コード13B,14Bは、自由に屈曲できる部分を少なくして、配置側とは逆側に屈曲される等して絡み合うことが起きにくくすることができ、各組における他方の電極4B,5Bを取り違えて使用することを抑制できることになる。
(5)他方の電極4Bを接続するコード13Bと、他方の電極5Bを接続するコード14Bとに関し、色彩を異ならせて、コード13B,14Bの識別化を図ること。
(6)コントロールボックス3を、ベース部材2の前部2F以外の部分(側部、後部2B)設けること、さらには、コントロールボックス3をベース部材2に対して離間させて独立した配置とすること。
(7)各導電性シート4AS,5AS(一方の電極4A,5A)の電極面がベース部材表面2aに対して面一であること(突出しないこと)。
(8)ベース部材2の表面2a(着座面30)を、人間工学的に、ユーザが着座するときに、その着座位置をサポートすべく、そのユーザの大腿から臀部を案内することになるような面とすること。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、電気的刺激装置を用いて骨盤底筋を強化するに際して、ユーザの使用負担を極力軽減すると共に、その構成を簡素とすることに利用できる。
【符号の説明】
【0055】
1 電気的刺激装置
2 ベース部材
2a ベース部材の表面
3 コントロールボックス
3a コントロールボックス上面
3b コントロールボックス前面
4 一方の組における一対の電極
4A 一方の組における一方の電極
4B 一方の組における他方の電極
5 他方の組における一対の電極
5A 他方の組における一方の電極
5B 他方の組における他方の電極
6 刺激用電流供給調整部
13B 一方の組における他方の電極4Bのためのコード
14B 他方の組における他方の電極5Bのためのコード
30 着座面
HSA 臀部着座領域
【要約】
【課題】ユーザの使用負担を極力軽減できる簡素な骨盤底筋強化装置を提供する。
【解決手段】2組の対をなす一対の電極4,5により生体に刺激用電流を供給する電気的刺激装置1おいて、2組のうちの一方の組の一方の電極4Aと他方の組における一方の電極5Aとが、少なくともその一方の電極4A,5A間にベース部材2を介在させた状態でベース部材2に保持されて、両組における一方の電極4A,5Aとベース部材2とにより着座面30が形成され、ベース部材2の前部2F側であって、両組における一方の電極4A,5A間の中間部に臨む領域から、刺激用電流を流すための2本のコード13B,14Bがそれぞれ延出され、各コード13B,14Bの先端部に両組の他方の各電極4B,5Bがそれぞれ接続されている。
【選択図】
図1