(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】点灯装置、防災照明器具、及び防災照明システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/20 20200101AFI20230804BHJP
H05B 45/385 20200101ALI20230804BHJP
F21S 9/02 20060101ALI20230804BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20230804BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230804BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20230804BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20230804BHJP
【FI】
H05B47/20
H05B45/385
F21S9/02 200
F21V23/00 110
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2019130651
(22)【出願日】2019-07-12
【審査請求日】2022-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 浩司
(72)【発明者】
【氏名】本多 由明
(72)【発明者】
【氏名】受田 高明
(72)【発明者】
【氏名】小西 洋史
(72)【発明者】
【氏名】八木 佐奈
(72)【発明者】
【氏名】重松 大輝
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-55824(JP,A)
【文献】特開2011-134512(JP,A)
【文献】特開2004-119151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
H05B 45/00
F21S 9/02
F21V 23/00
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源の停止時に電池から供給される非常用電力で光源を点灯させる非常点灯を実行する点灯回路と、
前記電池を放電させる放電回路と、
前記電池の電池電圧を検出する電圧検出回路と、
前記電圧検出回路による前記電池電圧の検出値に基づいて前記電池の異常を検出する異常検出処理を行う異常検出回路と、を備え、
前記異常検出回路は、前記放電回路を制御して前記電池を放電させ、前記電池の放電開始によって前記電池電圧が立ち下がったときの前記検出値、又は前記電池電圧が立ち下がる前後の前記検出値の低下量に基づいて、前記異常検出処理を行う
点灯装置。
【請求項2】
前記放電回路は、前記電池の放電時に前記電池から出力される放電電流をCレートで1Cとし、
前記異常検出回路は、前記電池電圧の下限値を閾値とし、前記電池電圧が立ち下がったときの前記検出値が前記閾値より低ければ、前記電池の異常を検出する
請求項1の点灯装置。
【請求項3】
前記放電回路は、αを正数とすると、前記電池の放電時に前記電池から出力される放電電流をCレートでαCとし、
前記異常検出回路は、前記電池電圧の下限値を閾値とし、前記電池電圧が立ち下がる前後の前記検出値の低下量を正数αで除した値を、前記電池電圧が立ち下がる前の前記検出値から引いた値が前記閾値より低ければ、前記電池の異常を検出する
請求項1の点灯装置。
【請求項4】
前記放電回路は、前記異常検出処理の回数が増えるほど、前記放電電流の値を小さくする
請求項2又は3の点灯装置。
【請求項5】
前記異常検出処理を行っていない期間を未判定期間として計時する異常タイマを更に備え、
前記異常検出回路は、前記未判定期間の計時値が予め決められた判定値に達した後、前記異常検出処理を行う
請求項1乃至4のいずれか一項の点灯装置。
【請求項6】
前記点灯回路は、前記放電回路の少なくとも一部を兼用する
請求項1乃至5のいずれか一項の点灯装置。
【請求項7】
前記電池の放電電力を入力されて、制御電圧を出力する制御電源を更に備え、
前記制御電源は、前記放電回路を兼用する
請求項1乃至5のいずれか一項の点灯装置。
【請求項8】
前記異常検出回路が前記電池の異常を検出したことを報知する報知回路を更に備える
請求項1乃至7のいずれか一項の点灯装置。
【請求項9】
前記電池の使用期間である電源使用期間を計時する電源タイマと、
前記電源使用期間の計時値が予め決められた点検時間に達した後、前記電池を所定期間に亘って放電させる点検を実行する点検制御回路と、を更に備える、
請求項1乃至8のいずれか一項の点灯装置。
【請求項10】
前記電池の使用期間である電源使用期間を計時する電源タイマと、
前記電源使用期間の計時時間が予め決められた報知時間に達した後、報知を行う報知回路と、更に備える
請求項1乃至8のいずれか一項の点灯装置。
【請求項11】
前記点灯装置は、防災照明器具に含まれ、
前記電池の使用期間である電源使用期間を計時し、前記電池が交換された場合に前記電源使用期間の計時時間をリセットする電源タイマと、
前記防災照明器具の使用期間である器具使用期間を計時する器具タイマと、
前記電源使用期間の計時時間が点検報知時間に達した後に点検報知を行い、前記器具使用期間の計時時間が器具交換報知時間に達した後に器具交換報知を行う報知回路と、更に備える
請求項1乃至8のいずれか一項の点灯装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の点灯装置と、
前記点灯装置の出力によって点灯する光源と、
前記点灯装置に前記光源を点灯させるための非常用電力を供給する電池と、
前記点灯装置、前記光源、及び前記電池が取り付けられる本体と、を備える
ことを特徴とする防災照明器具。
【請求項13】
請求項12記載の複数の防災照明器具を備える
ことを特徴とする防災照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点灯装置、防災照明器具、及び防災照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の従来の照明装置は、例えば停電時などの非常時に点灯する非常灯であり、非常点灯回路、及び非常電源である二次電池を備える。非常点灯回路は、外部電源の停電などの非常時に、二次電池を電源として光源を定電流によって点灯させる。このような照明装置では、二次電池により光源が所定時間点灯するかどうかを定期的に点検することが法令等で義務付けられている。
【0003】
そこで、従来の照明装置は、点検時には、所定時間に亘り二次電池によって光源を点灯させ、そのときの二次電池の電圧を検出する。そして、検出した二次電池の電圧を閾値と比較し、その比較結果に基づいて二次電池の状態を判断する。この判断結果に基づき、表示用モニタを点灯制御することで外部に二次電池の寿命等の異常をお知らせする機能を備えた照明装置もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
防災照明器具などの照明器具に用いられる点灯装置では、電池の点検精度の向上が求められている。
【0006】
本開示の目的は、電池の点検精度の向上を図ることができる点灯装置、防災照明器具、及び防災照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る点灯装置は、点灯回路と、放電回路と、電圧検出回路と、異常検出回路と、を備える。前記点灯回路は、外部電源の停止時に電池から供給される非常用電力で光源を点灯させる非常点灯を実行する。前記放電回路は、前記電池を放電させる。前記電圧検出回路は、前記電池の電池電圧を検出する。前記異常検出回路は、前記電圧検出回路による前記電池電圧の検出値に基づいて前記電池の異常を検出する異常検出処理を行う。前記異常検出回路は、前記放電回路を制御して前記電池を放電させ、前記電池の放電開始によって前記電池電圧が立ち下がったときの前記検出値、又は前記電池電圧が立ち下がる前後の前記検出値の低下量に基づいて、前記異常検出処理を行う。
【0008】
本開示の一態様に係る防災照明器具は、上述の点灯装置と、前記点灯装置の出力によって点灯する光源と、前記点灯装置に前記光源を点灯させるための非常用電力を供給する電池と、本体と、を備える。前記本体は、前記点灯装置、前記光源、及び前記電池が取り付けられる。
【0009】
本開示の一態様に係る防災照明システムは、上述の複数の防災照明器具を備える。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本開示は、電池の点検精度の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る点灯装置を備える防災照明器具の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の点灯装置が備える電池の放電時の電圧変動を示す波形図である。
【
図3】
図3は、同上の点灯装置の電圧変動の立ち下がりを拡大した波形図である。
【
図4】
図4は、同上の点灯装置の電圧変動の立ち上がりを拡大した波形図である。
【
図5】
図5は、同上の電池の等価回路を示す回路図である。
【
図6】
図6は、同上の電池の内部抵抗と電池容量との関係を示す特性図である。
【
図7】
図7は、同上の点灯装置が備える直流電源回路の構成を示す回路図である。
【
図8】
図8は、同上の点灯装置が備える点灯回路の第1具体例を示す回路図である。
【
図9】
図9は、同上の第1具体例の動作を説明するための図である。
【
図10】
図10は、同上の点灯装置が備える点灯回路の第2具体例を示す回路図である。
【
図11】
図11は、同上の第2具体例の動作を説明するための図である。
【
図12】
図12は、同上の点灯装置が備える放電回路の変形例を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、同上の放電回路の構成例を示す回路図である。
【
図15】
図15は、本開示の実施形態に係る防災照明システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0013】
(1)防災照明器具の概略
実施形態に係る防災照明器具1は、建物の屋内の天井に設けられた埋込孔に埋め込まれる、埋込型の非常灯である。ただし、防災照明器具は埋込型の非常灯に限定されない。防災照明器具は、天井に直付けされる露出型の非常灯であってもよいし、誘導灯などの非常灯以外の防災照明器具であってもかまわない。
【0014】
以下の実施形態は、一般に点灯装置、防災照明器具、及び防災照明システムに関する。より詳細に、以下の実施形態は、非常時に光源を点灯させる点灯装置、防災照明器具、及び防災照明システムに関する。
【0015】
図1は、本実施形態の防災照明器具1のブロック構成を示す。防災照明器具1は、光源2と、電池3と、点灯装置4と、放電回路5と、を備える。
【0016】
光源2は、複数の固体発光素子を有する。例えば、光源2は、複数の固体発光素子として複数のLED(Light Emitting Diode)が直列接続されたLEDアレイを有している。なお、光源2は、固体発光素子としてLEDを有する構成に限らない。光源2は、例えば、有機EL(Organic Electro Luminescence、OEL)、又は半導体レーザダイオード(Laser Diode、LD)などの他の固体発光素子を有していてもよい。
【0017】
電池3は、充電可能な蓄電池(二次電池)であり、非常電源に相当する。電池3は、特定の種類の二次電池に限定されないが、電池3は、例えばニッケル・水素電池、又はニッケル・カドミウム電池であることが好ましい。そして、電池3は、停電時に、蓄電している電荷を放電することで、非常用電力を出力することができる。すなわち、停電時に電池3から供給される電力が非常用電力である。
【0018】
点灯装置4は、充電回路40と、点灯回路41と、制御回路42とを備える。点灯装置4は、報知回路43(報知部)をさらに備えることが好ましい。また、点灯装置4は、直流電源回路45と、停電検出回路46と、受信部47と、モニタランプ48と、押釦スイッチ49とをさらに備えることが好ましい。本実施形態の点灯装置4は、3つの押釦スイッチ49を備えており、3つの押釦スイッチ49を区別する場合、押釦スイッチ49A、49B、49Cとそれぞれ称す。
【0019】
直流電源回路45は、例えば、フライバックコンバータなどのスイッチング電源回路で構成され、外部電源(例えば、商用の電力系統)9から供給される交流電圧を、当該交流電圧の実効値よりも低い直流電圧に変換することが好ましい。充電回路40は、外部電源9から給電されているときに動作し、直流電源回路45から電池3へ充電電流を流すように構成されることが好ましい。点灯回路41は、電池3から供給される直流電流を定電流化して光源2に供給するように構成されることが好ましい。停電検出回路46は、直流電源回路45の出力電圧から外部電源9の停電を検出して制御回路42に通知するように構成される。外部電源9は、100V系又は200V系の商用電力系統である。
【0020】
モニタランプ48は、例えば、緑色光を放射する発光ダイオードで構成される。受信部47は、赤外線を通信媒体とする無線信号を受信し、受信した無線信号から送信フレームを復調して制御回路42に渡すように構成される。この無線信号は、定期点検、及びユーザ点検などの点検を行う点検者などによって操作されるワイヤレス送信器から送信される。
【0021】
なお、定期点検は、法令で定められた期間ごとに実施され、点灯回路41を強制的に動作させ、電池3を規定の時間以上放電させて、光源2による床面照度を確保できているか否かを確認することを目的とする。ユーザ点検は、放電回路5を強制的に動作させ、電池3を短時間放電させて電池3の劣化の程度を確認することを目的とする。
【0022】
図1では、放電回路5は、点灯回路41と光源2とで構成される。すなわち、点灯回路41は、放電回路5の一部を兼用している。したがって、点灯装置4は、ユーザ点検(後述の異常検出処理)のために専用の放電回路を追加する必要はなく、構成の簡略化を図ることができる。
【0023】
報知回路43は、報知機能を有する報知部であり、例えば、単色の表示素子431と、圧電サウンダなどの発音部432と、表示素子431及び発音部432を駆動する駆動回路433とを備える。駆動回路433は、表示素子431を駆動して発光させ、発音部432を駆動して音を発音させる。なお、報知回路43は、モニタランプ48を表示素子として利用してもかまわない。
【0024】
制御回路42は、電圧検出回路421、異常検出回路422、異常タイマ423、電源タイマ424、点検タイマ425、器具タイマ426、報知制御回路427、及び点検制御回路428の各機能を有するように構成されている。
【0025】
制御回路42は、外部電源9、電池3、又は制御電源から電力を供給されることで動作する。制御回路42は、コンピュータシステムを備えることが好ましい。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御回路42としての機能の少なくとも一部が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリにあらかじめ記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む一ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large ScaleIntegration)、又はULSI(Ultra Large ScaleIntegration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、一つ以上のプロセッサ及び一つ以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む一ないし複数の電子回路で構成される。
【0026】
制御回路42は、停電検出回路46が停電を検出していないとき、充電回路40を動作させるように構成される。また、制御回路42は、停電検出回路46が停電を検出しているとき、充電回路40を停止させて、かつ、電池3から非常用電力を点灯回路41に供給するように構成される。非常用電力を供給された点灯回路41は、非常用電力で光源2を点灯させる非常点灯を実行する。また、電池3の充電状態にかかわらず、充電回路40を停止させ、点灯回路41を動作させて光源2を定常点灯(例えば、全点灯)させる場合もある。また、充電回路40の充電量が点灯回路41への放電量より十分小さければ(例えばトリクル充電)、充電回路40を停止させず、点灯回路41を動作させて光源2を定常点灯(例えば、全点灯)させる場合もある。
【0027】
さらに、制御回路42は、押釦スイッチ49Aが押操作された場合、あるいは、受信部47から定期点検信号の送信フレームを受け取った場合、点検者などから定期点検の指示があったと判断する。そして、制御回路42は、電池3が満充電状態であれば、予め決められた規定時間に亘って、充電回路40を停止させ、かつ、点灯回路41を動作させて電池3を放電させ、定期点検を行うように構成される。制御回路42は、電池3が満充電状態でなければ、まず充電回路40を動作させて電池3を満充電状態にした後に、予め決められた規定時間に亘って、充電回路40を停止させ、かつ、点灯回路41を動作させて電池3を放電させ、定期点検を行う。また、制御回路42は、電池3が満充電状態でなければ、充電回路40を動作させて電池3を充電しながら、予め決められた規定時間に亘って、点灯回路41を動作させて電池3を放電させてもよい。また、電池3の充電状態にかかわらず、充電回路40を停止させ、点灯回路41を動作させて光源2を定常点灯(例えば、全点灯)させる場合もある。また、充電回路40の充電量が点灯回路41への放電量より十分小さければ(例えばトリクル充電)、充電回路40を停止させず、点灯回路41を動作させて光源2を定常点灯(例えば、全点灯)させる場合もある。なお、定期点検の実行時に電池3を放電させることは必須ではなく、電池3を放電させることなく実行可能な定期点検であってもよい。
【0028】
制御回路42は、押釦スイッチ49Bが押操作された場合は、充電回路40の動作を停止させて、電池3の放電電力を点灯回路41に供給し、点灯回路41を電池3の放電電力で数秒間動作させる非常点灯確認を行う。
【0029】
制御回路42は、押釦スイッチ49Cが押操作された場合、あるいは、受信部47からユーザ点検信号の送信フレームを受け取った場合、点検者などからユーザ点検の指示があったと判断する。そして、制御回路42は、充電回路40を停止させ、かつ、放電回路5を動作させて電池3を放電させ、ユーザ点検を行うように構成される。
【0030】
放電回路5は、点灯回路41と光源2とで構成される。制御回路42は、点灯回路41を制御し、点灯回路41が電池3の放電電力を用いて光源2に点灯電力を供給することで、電池3を放電させる。制御回路42は、点灯回路41を制御することで、電池3の放電電流を調整できる。
【0031】
(2)ユーザ点検
以下、
図2~
図5を用いて、ユーザ点検について説明する。
【0032】
電圧検出回路421は、電池3の正極及び負極に電気的に接続している。そして、電圧検出回路421は、電池3の両端電圧である電池電圧Vbのアナログ値をAD変換して、電池電圧Vbをデジタル値で表した検出値のデータを異常検出回路422へ引き渡す。すなわち、電圧検出回路421は、電池電圧Vbを検出し、電池電圧Vbの検出値|Vb|のデータを異常検出回路422へ引き渡す。
【0033】
図2は、放電時の電池電圧Vbの変動量の一例を特性X1~X8で表す。特性X1~X8は、電池3の放電電流の値を0.1C、0.2C、0.3C、0.4C、0.5C、0.6C、0.8C、1Cの各Cレートにそれぞれ設定したときの電池電圧Vbの時間変化を示す。満充電状態の電池3を1CのCレートで放電させると、電池電圧Vbは、放電開始から1時間後に放電終止電圧まで低下し、電池3は完全な放電状態になる。
図2では、時間t1に放電が開始されると、電池電圧Vbは時間t1において急峻に立ち下がった後、放電が停止する時間t2まで時間の経過に伴って緩やかに低下する。そして、電池電圧Vbは、時間t2において急峻に立ち上がる。時間t1~t2の放電期間T1では、放電電流の値が大きいほど(Cレートが大きいほど)、電池電圧Vbの低下量が大きくなる。なお、
図2の放電期間T1は、10秒程度である。また、電池3が備える複数の電池セルの1個当たりの放電終止電圧は、例えば約1Vである。
【0034】
図3は、
図2の時間t1付近における特性X5の拡大図である。時間t1に放電が開始されると、電池電圧Vbは、時間t1~時間t11までの第1期間T11では急峻に立ち下がる。電池電圧Vbは、時間t11~時間t12までの第2期間T12では傾きを徐々に小さくしながら低下する。時間t12以降、時間の経過に伴って電池3の蓄電量が減少し、電池電圧Vbは、緩やかに低下する。
図3では、第1期間T11における電池電圧Vbの低下量をΔVb11とする。また、第2期間T12における電池電圧Vbの低下量をΔVb12とする。
【0035】
図4は、
図2の時間t2付近における特性X5の拡大図である。時間t2に放電が停止されると、電池電圧Vbは、時間t2~時間t21の第3期間T21では急峻に立ち上がる。電池電圧Vbは、時間t21~時間t22までの第4期間T22では傾きを徐々に小さくしながら増加する。電池電圧Vbは、時間t22以降、時間の経過に伴って緩やかに増加しながら所定値に収束する。
図4では、第3期間T21における電池電圧Vbの増加量をΔVb21とする。また、第4期間T22における電池電圧Vbの増加量をΔVb22とする。
【0036】
図5は、電池3の等価回路を示す。電池3の等価回路は、内部抵抗のない理想的な電圧源3a、溶液抵抗に相当する第1内部抵抗3b、電荷移動抵抗に相当する第2内部抵抗3c、及び電気二重層に相当するコンデンサ3dで構成される。第2内部抵抗3cとコンデンサ3dとは並列接続されて、RC並列回路3eを構成し、電圧源3aと第1内部抵抗3bとRC並列回路3eとが直列接続される。電池電圧Vbは、電圧源3aと第1内部抵抗3bとRC並列回路3eとの直列回路の両端電圧である。
【0037】
そして、放電開始直後の放電電流は、第1期間T11(
図3参照)では第1内部抵抗3bとコンデンサ3dを主に通り、電池電圧Vbは急峻に立ち下がる。第1期間T11では、電池3の内部抵抗(直流抵抗)は、第1内部抵抗3bで主に構成される。その後、第2期間T12(
図3参照)の放電電流は第1内部抵抗3bとRC並列回路3eを通り、電池電圧Vbは傾きを徐々に小さくしながら低下する。第2期間T12の終了タイミングである時間t12では、電池3の内部抵抗は、第1内部抵抗3bと第2内部抵抗3cとの直列回路で主に構成される。すなわち、第2期間T12の内部抵抗の値は、第1期間T11の内部抵抗の値よりも大きくなる。なお、第1期間T11の開始タイミングである時間t1に、電池3の両端間が放電回路5を通って電気的に導通し、第2期間T12の開始タイミングである時間t11に電池3から放電回路5に放電電流が流れ始める。
【0038】
図6は、電池3の容量(電池容量)と第1内部抵抗3bの抵抗値との関係を示す。電池3の使用時間が経過するにつれて、電池3は劣化し、電池3の容量は低下する。そして、電池3の容量が低下するにつれて、第1内部抵抗3bの抵抗値は増加する。すなわち、第1内部抵抗3bの抵抗値は、電池3の劣化が進むにつれて大きくなる。したがって、異常検出回路422は、電池3の内部抵抗が第1内部抵抗3bで主に構成される第1期間T11の電池電圧Vbの立ち下がり(第1内部抵抗3bの電圧降下)に基づいて、電池3の劣化の程度を確認することで、電池3の異常を精度よく検出できる。
【0039】
そこで、異常検出回路422は、電池3の放電開始によって電池電圧Vbが立ち下がったときの検出値|Vb|、又は電池3の放電開始によって電池電圧Vbが立ち下がった前後の検出値|Vb|の低下量に基づいて、電池3の異常を検出する異常検出処理を行う。具体的に、「電池3の放電開始によって電池電圧Vbが立ち下がったとき」とは、第1期間T11の終了タイミングである時間t11であり、時間t11における検出値|Vb|を検出値|Vb11|とする(
図3参照)。「電池3の放電開始によって電池電圧Vbが立ち下がった前後の検出値|Vb|の低下量」とは、第1期間T11における低下量ΔVb11である(
図3参照)。そして、異常検出回路422は、検出値|Vb11|又は低下量ΔVb11に基づいて異常検出処理を行う。
【0040】
第1期間T11の長さは、電池3及び放電回路5の各仕様によって決まる設計値にほぼ等しくなる。制御回路42がRTC(Real Time Clock)を具備している場合、異常検出回路422は、RTCの値を周期的に読み取って、カウント値を積算することで、放電回路5による放電を開始した時間t1からの経過時間を計時する計時動作を行うことが好ましい。あるいは、異常検出回路422は、カウント値を一定周期(例えば、クロック周波数の周期など)でインクリメントすることで時間t1からの経過時間の計時動作を行うカウンタを有していてもよい。異常検出回路422は、放電回路5に対して放電開始を指示したタイミングを時間t1として、計時動作を開始する。
【0041】
異常検出回路422は、検出値|Vb11|に基づく異常検出処理を以下のように行う。
【0042】
異常検出回路422は、放電回路5に対して放電開始を指示したタイミングを時間t1とする。異常検出回路422は、時間t1からの経過時間が設計値に達すると、第1期間T11の終了タイミング(時間t11)であるとみなして、このときの検出値|Vb|を検出値|Vb11|とする。異常検出回路422は、検出値|Vb11|を閾値K1(
図3参照)と比較する。すなわち、異常検出回路422は、[|Vb11|<K1]であるか否かを判定する。異常検出回路422は、検出値|Vb11|が閾値K1未満であれば、電池3の劣化が進んでいるとして、電池3の異常を検出する。異常検出回路422は、検出値|Vb11|が閾値K1以上であれば、電池3は正常であるとして、電池3の異常を検出しない。この場合、異常検出処理での放電電流の値をCレートで1Cにすると、閾値K1は電池電圧Vbの下限値に設定される。電池電圧Vbの下限値は、電池3の放電終止電圧である。また、異常検出処理での放電電流の値をCレートでαCにすると、閾値K1は、αが大きいほど小さくなり、αが小さいほど大きくなる。
【0043】
また、異常検出回路422は、低下量ΔVb11に基づく異常検出処理を以下のように行う。
【0044】
異常検出回路422は、放電回路5に対して放電開始を指示したタイミングを時間t1とし、時間t1の検出値|Vb|を|Vb1|とする。異常検出回路422は、時間t1からの経過時間が設計値に達すると、第1期間T11の終了タイミング(時間t11)であるとみなして、このときの検出値|Vb|を検出値|Vb11|とする。異常検出回路422は、時間t1の検出値|Vb1|から時間t11の検出値|Vb11|を引いた値を、低下量ΔVb11として求める。
【0045】
そして、異常検出処理での放電電流の値がCレートでαCであれば、異常検出回路422は、低下量ΔVb11をαで除する除算処理を行う(なお、αは正数)。異常検出回路422は、検出値|Vb1|から除算処理の結果を引いた値を閾値K1(
図4参照)と比較する。すなわち、異常検出回路422は、[|Vb1|-ΔVb11/α<K1]]であるか否かを判定する。異常検出回路422は、[|Vb1|-ΔVb11/α]が閾値K1未満であれば、電池3の劣化が進んでいるとして、電池3の異常を検出する。異常検出回路422は、[|Vb1|-ΔVb11/α]が閾値K1以上であれば、電池3は正常であるとして、電池3の異常を検出しない。この場合、閾値K1は電池電圧Vbの下限値であり、例えば電池3の放電終止電圧である。
【0046】
そして、上述のαが大きいほど、低下量ΔVb11が大きくなり、電池3の劣化を確認しやすくなる。一方、αが小さいほど、低下量ΔVb11が小さくなり、電池電圧Vbの低下を抑えて、電池3の容量を維持しやすくなる。なお、異常検出処理での放電電流の値は、停電時の放電電流の値と同じであることが好ましい。
【0047】
異常検出回路422は、上述の異常検出処理の放電期間T1を1~10msec程度に設定することが好ましい。すなわち、異常検出回路422は、第1期間T11の電池電圧Vbの立ち下がり(第1内部抵抗3bの電圧降下)に基づいて、電池3の劣化の程度を確認することで、異常検出処理の放電期間T1を短くすることができる。したがって、異常検出処理による電池3の容量低下及び電池3の劣化を抑えることができる。また、異常検出処理による光源2の点灯時間も短時間(瞬間的)であり、光源2の照明空間に生じる違和感を抑制できる。さらに、異常検出処理に要する時間を短縮できる。
【0048】
また、放電回路5は、異常検出処理の回数が増えるほど、異常検出処理での放電電流の値を小さくしてもよい。この場合、異常検出回路422は、同一の電池3に対する異常検出処理の回数をカウントする処理カウンタを有している。そして、異常検出回路422は、処理カウンタのカウント値が1つ増えると、放電回路5に供給される放電電流の値が前回の異常検出処理の放電電流の値に比べて減少するように(上述のαが減少するように)、放電回路5を制御する。したがって、点灯装置4は、同一の電池3の使用期間が長くなるにつれて、異常検出処理での放電電流の値を減少させることで、電池3の異常検出の精度と電池3の容量の維持とを両立させることができる。
【0049】
異常タイマ423は、異常検出処理を行っていない期間を未判定期間として計時する。そして、異常検出回路422は、未判定期間の計時値が予め決められた判定値に達した後、異常検出処理を行うことが好ましい。したがって、異常検出回路422は、点検者などからユーザ点検の指示がなくても、異常検出処理を定期的に自動的に実行することができる。判定値は、例えば異常検出処理の実行周期が定期点検の周期より短くなるように設定される。
【0050】
また、異常タイマ423は、ユーザ点検が実行された場合、あるいは電池3が交換された場合にリセットされ、計時時間がゼロになる。本実施形態では、点検者又は管理者が、ユーザ点検後及び電池3の交換後に、押釦スイッチ49B、49Cを同時に押操作する。制御回路42は、押釦スイッチ49B、49Cが同時に押操作されると、異常タイマ423をリセットする。または、異常検出回路422が異常検出処理を実行した場合に、制御回路42が異常タイマ423をリセットしてもよい。または、制御回路42は、電池3の交換作業が実施されると、後述の電源タイマ424と同様に異常タイマ423をリセットしてもよい。
【0051】
報知回路43は、異常検出回路422が検出した電池3の異常を報知する。すなわち、駆動回路433は、異常検出回路422が電池3の異常を検出すると、表示素子431を点灯又は点滅させることで、電池異常報知を行う。また、駆動回路433は、異常検出回路422が電池3の異常を検出すると、発音部432から音声を出力することで、電池異常報知を行ってもよい。発音部432が出力する音声は、例えば電池3の異常を通知するメッセージ「電池3の異常を検出しました。電池3の交換をお勧めします。」、又はブザー音などである。本実施形態における電池異常報知とは、電池3が異常であることを人に通知して、電池3の交換を人に促す報知をいう。
【0052】
(3)直流電源回路の具体例
図7は、直流電源回路45の具体例として、フライバックコンバータを用いた回路を示す。直流電源回路45は、整流器DB1、入力コンデンサC1、トランスTr1、インテリジェントパワーデバイスIC1、ダイオードD3、及び出力コンデンサC6を主構成として備える。
【0053】
整流器DB1は、フルブリッジ接続された複数のダイオードを有して、外部電源9の交流電圧を全波整流する。整流器DB1の出力端間には、入力コンデンサC1が接続されている。入力コンデンサC1は、整流器DB1が出力する整流電圧を平滑する。入力コンデンサC1の両端間には、トランスTr1の1次巻線N1とインテリジェントパワーデバイスIC1との直列回路が接続されている。
【0054】
図7のインテリジェントパワーデバイスIC1は、例えばパナソニック株式会社製のMIP0222である。インテリジェントパワーデバイスIC1は、Nチャネルのエンハンスメント型のパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)、及びパワーMOSFETを制御する内部回路を内蔵する。内部回路は、エラーアンプ、発振器、フリップフロップ、ゲートドライバ、及び起動用電源などを有する。なお、インテリジェントパワーデバイスIC1に内蔵されているパワーMOSFETのドレインはインテリジェントパワーデバイスIC1のドレイン端子P1に接続している。また、パワーMOSFETのソースは、インテリジェントパワーデバイスIC1のソース端子P2に接続している。内部回路は、インテリジェントパワーデバイスIC1のコントロール端子P3に接続している。
【0055】
1次巻線N1の第1端は、入力コンデンサC1の正極に接続されている。インテリジェントパワーデバイスIC1のドレイン端子P1は1次巻線N1の第2端に接続されている。インテリジェントパワーデバイスIC1のソース端子P2は入力コンデンサC1の負極に接続されている。
【0056】
1次巻線N1の両端(第1端及び第2端)間には、ダイオードD1、抵抗R1、及びコンデンサC2を有するスナバ回路が接続される。ダイオードD1のアノードは、ドレイン端子P1(1次巻線N1の第2端)に接続され、ダイオードD1のカソードは、抵抗R1を介して入力コンデンサC1の正極(1次巻線N1の第1端)に接続される。抵抗R1には、コンデンサC2が並列接続される。
【0057】
トランスTr1の2次巻線N2の両端間には、ダイオードD3と出力コンデンサC6との直列回路が接続される。ダイオードD3のアノードは2次巻線N2の第1端に接続し、ダイオードD3のカソードは出力コンデンサC6の正極に接続する。出力コンデンサC6の負極は、2次巻線N2の第2端に接続する。
【0058】
そして、インテリジェントパワーデバイスIC1のパワーMOSFETがオンすると、1次巻線N1に電流が流れ、エネルギーが蓄えられる。パワーMOSFETがオフすると、1次巻線N1に蓄えられたエネルギーが2次巻線N2からダイオードD3を通じて出力され、出力コンデンサC6の両端間に直流の常用電圧Vd1が生成される。すなわち、インテリジェントパワーデバイスIC1(のパワーMOSFET)がオンオフすることで、出力コンデンサC6の両端間に常用電圧Vd1が生成される。
【0059】
直流電源回路45は、常用電圧Vd1をフィードバックして、インテリジェントパワーデバイスIC1をスイッチング制御することで、常用電圧Vd1の値を所定値に制御する。
【0060】
具体的に、出力コンデンサC6の両端間には、抵抗R6と抵抗R7との直列回路が接続されている。抵抗R6と抵抗R7との接続点は、シャントレギュレータSR1の制御端子に接続されている。シャントレギュレータSR1のカソードは、抵抗R4と抵抗R5との直列回路を介して、出力コンデンサC6の正極に接続される。シャントレギュレータSR1のカソードと制御端子との間には、抵抗R8とコンデンサC7との直列回路が接続される。抵抗R5には、フォトカプラPC1の入力ダイオードが並列接続される。
【0061】
さらに、トランスTr1の3次巻線N3の両端間には、ダイオードD2と抵抗R2とコンデンサC3との直列回路が接続される。コンデンサC3の両端間には、フォトカプラPC1の出力トランジスタと抵抗R3とコンデンサC4との直列回路が接続される。抵抗R3とコンデンサC4との直列回路には、コンデンサC5が並列接続される。コンデンサC5の正極はインテリジェントパワーデバイスIC1のコントロール端子P3に接続され、コンデンサC5の負極はインテリジェントパワーデバイスIC1のソース端子P2のソースに接続される。
【0062】
直流電源回路45の起動時には、インテリジェントパワーデバイスIC1のドレイン端子P1から内部回路へ起動電流が供給され、起動電流は、コントロール端子P3を通ってコンデンサC5に流れ込む。コンデンサC5の電圧が起動電圧を上回ると、パワーMOSFETの発振が開始されると同時に、ドレイン端子P1からの電流供給はカットオフされる。パワーMOSFETの発振開始後、3次巻線N3の誘起電圧によってコンデンサC3が充電される。
【0063】
そして、常用電圧Vd1の値がシャントレギュレータSR1内部の基準電圧を上回ると、シャントレギュレータSR1のアノード-カソード間が導通して、フォトカプラPC1の入力ダイオードに電流が流れ、フォトカプラPC1の出力トランジスタがオンする。フォトカプラPC1の出力トランジスタがオンすると、3次巻線N3の誘起電圧によって充電されたコンデンサC3の電圧がコントロール端子P3-ソース端子P2間に印加される。インテリジェントパワーデバイスIC1の内部回路は、コンデンサC3の電圧が上昇すると、直流電源回路45の出力を低減させるように、パワーMOSFETを制御する。この結果、常用電圧Vd1は、低下する方向に制御される。
【0064】
次に、常用電圧Vd1の値が基準電圧を下回ると、シャントレギュレータSR1のアノード-カソード間が遮断されて、フォトカプラPC1の入力ダイオードに電流が流れず、フォトカプラPC1の出力トランジスタがオフする。フォトカプラPC1の出力トランジスタがオフすると、コンデンサC3の電圧が低下し、インテリジェントパワーデバイスIC1の内部回路は、直流電源回路45の出力を増加させるように、パワーMOSFETを制御する。この結果、常用電圧Vd1は、上昇する方向に制御される。
【0065】
このように、直流電源回路45は、フォトカプラPC1を介して常用電圧Vd1をフィードバックして、インテリジェントパワーデバイスIC1をスイッチング制御することで、常用電圧Vd1の値を所定値に制御する。直流電源回路45は、さらに降圧機能及び力率改善機能を有することが好ましい。
【0066】
なお、直流電源回路45は、フライバックコンバータを用いた構成に限定されず、外部電源9の交流電圧を常用電圧Vd1に変換できる構成であればよい。
【0067】
(4)点灯回路の第1具体例
図8は、点灯回路41の第1具体例の回路構成を示す。点灯回路41は、切替回路41a、非常用点灯回路41b、及び電流調整回路41cを備える。なお、
図8では、充電回路40は、常用電圧Vd1を入力され、逆流防止用のダイオードD10を介して電池3を充電する。
【0068】
切替回路41aは、光源2を点灯させる電源を、直流電源回路45及び電池3のいずれかに切り替える機能を有する。具体的に、切替回路41aは、トランジスタQ11~Q13、抵抗R11~R13、及びコンデンサC11、C12を備える。トランジスタQ11、Q12は、PNP型のバイポーラトランジスタである。トランジスタQ13は、NPN型のバイポーラトランジスタである。
【0069】
トランジスタQ11のエミッタは、出力コンデンサC6(
図7参照)の正極に接続され、トランジスタQ11のコレクタは、トランジスタQ12のコレクタに接続される。トランジスタQ11のベースは、抵抗R11を介してトランジスタQ13のコレクタに接続され、トランジスタQ13のエミッタは、出力コンデンサC6(
図7参照)の負極に接続される。トランジスタQ11のベースとエミッタとの間にはコンデンサC11が接続される。トランジスタQ12のベースとエミッタとの間にはコンデンサC12が接続される。トランジスタQ12のベースは、抵抗R12を介して制御回路42に接続される。トランジスタQ13のベースは、抵抗R13を介して制御回路42に接続される。
【0070】
非常用点灯回路41bは、電池電圧Vbを昇圧して、直流の非常用電圧Vd2を出力する。非常用電圧Vd2の値は、常用電圧Vd1と同じ(又はほぼ同じ)である。具体的に、非常用点灯回路41bは、トランジスタQ21、Q22、抵抗R21~R25、出力コンデンサC21、インダクタL21、ダイオードD21、及びスイッチングコントローラ411(以降、SWコントローラ411と略称する)を備える。トランジスタQ21は、Nチャネルのエンハンスメント型のMOSFETである。トランジスタQ22は、NPN型のバイポーラトランジスタである。
【0071】
電池3の両端間には、インダクタL21とトランジスタQ21との直列回路が接続される。トランジスタQ21のドレイン-ソース間にはダイオードD21と出力コンデンサC21との直列回路が接続される。出力コンデンサC21の両端間には、抵抗R21と抵抗R22との直列回路が接続される。トランジスタQ21のゲートは抵抗R23を介してSWコントローラ411に接続される。さらに、電池3の両端間には、抵抗R24とトランジスタQ22との直列回路が接続される。トランジスタQ22のベースは抵抗R25を介して制御回路42に接続される。
【0072】
本実施形態では、SWコントローラ411の一例として、エイブリック株式会社製のS-8355を用いる。SWコントローラ411は、電池電圧Vbを動作電源とする。SWコントローラ411は、トランジスタQ22のコレクタに接続され、トランジスタQ22のコレクタ電圧Vc1がLレベルであれば、トランジスタQ21をオフ状態に維持して、電池電圧Vbの昇圧動作を停止する。SWコントローラ411は、トランジスタQ22のコレクタ電圧Vc1がHレベルであれば、トランジスタQ21をオンオフさせて、電池電圧Vbの昇圧動作を行う。昇圧動作を行うSWコントローラ411は、抵抗R21と抵抗R22との接続点の電圧を非常用電圧Vd2の検出値として取得し、非常用電圧Vd2の値が所定値となるようにトランジスタQ21をオンオフさせる。
【0073】
そして、制御回路42は、制御信号Y1及び制御信号Y2を出力し、制御信号Y1及び制御信号Y2によって切替回路41a及び非常用点灯回路41bの各動作を制御する。制御信号Y1及び制御信号Y2は、電圧値がHレベル及びLレベルのいずれかに切替可能な二値の電圧信号である。制御信号Y1は、抵抗R12を介してトランジスタQ12のベースに伝達され、抵抗R25を介してトランジスタQ22のベースに伝達される。制御信号Y2は、抵抗R13を介してトランジスタQ13のベースに伝達される。
【0074】
図9は、制御信号Y1、Y2、及びコレクタ電圧Vc1の各波形、並びにトランジスタQ11、Q12、Q13、Q22の各状態を示すタイムチャートである。
【0075】
制御回路42は、停電検出回路46が停電を検出していない通常期間Ta1では、制御信号Y1及び制御信号Y2をそれぞれHレベルに制御する。
【0076】
制御信号Y1がHレベルであれば、トランジスタQ12はオフし、トランジスタQ22はオンする。SWコントローラ411は、トランジスタQ22のコレクタ電圧Vc1がLレベルであるので、トランジスタQ21をオフ状態に維持して、電池電圧Vbの昇圧動作を停止する。また、出力コンデンサC21の正極から光源2への電流経路は、オフ状態のトランジスタQ12によって遮断されている。
【0077】
制御信号Y2がHレベルであれば、トランジスタQ13がオンし、この結果としてトランジスタQ11がオンする。したがって、常用電圧Vd1は、トランジスタQ11を介して出力される。すなわち、切替回路41aは、停電検出回路46が停電を検出していなければ、常用電圧Vd1を出力する。
【0078】
また、制御回路42は、停電検出回路46が停電を検出している停電期間Tb1では、制御信号Y1及び制御信号Y2をそれぞれLレベルに制御する。
【0079】
制御信号Y2がLレベルであれば、トランジスタQ13がオフし、この結果としてトランジスタQ11がオフする。したがって、常用電圧Vd1による光源2への電流経路は、オフ状態のトランジスタQ11によって遮断されている。
【0080】
制御信号Y1がLレベルであれば、トランジスタQ12はオンし、トランジスタQ22はオフする。SWコントローラ411は、トランジスタQ22のコレクタ電圧Vc1がHレベルであるので、トランジスタQ21をオンオフさせて、電池電圧Vbの昇圧動作を行う。また、出力コンデンサC21の正極と光源2との間の電流経路は、オン状態のトランジスタQ12によって導通している。したがって、非常用電圧Vd2は、トランジスタQ12を介して出力される。すなわち、切替回路41aは、停電検出回路46が停電を検出していれば、非常用電圧Vd2を出力する。
【0081】
切替回路41aが出力する常用電圧Vd1又は非常用電圧Vd2は、電流調整回路41cと光源2との直列回路に印加される。なお、トランジスタQ11、Q12が同時にオン状態とならないように、トランジスタQ11、Q12の各状態が切り替わるときには、トランジスタQ11、Q12がともにオフ状態になる数msec程度の同時オフ期間を設けることが好ましい。
【0082】
電流調整回路41cは、光源2を流れる負荷電流の値を目標電流値に一致させる。具体的に、電流調整回路41cは、トランジスタQ31、Q32、抵抗R31~R33、及びシャントレギュレータSR31を備える。トランジスタQ31、Q32は、NPN型のバイポーラトランジスタである。
【0083】
切替回路41aの出力端間には、光源2とトランジスタQ31と抵抗R31との直列回路が接続される。光源2は、固体発光素子としてLED(Light Emitting Diode)を用いており、直列接続された複数のLEDを備える。隣り合う一対のLEDでは、一方のLEDのカソードが、他方のLEDのアノードに接続している。光源2は、高電位側をアノード側とし、低電位側をカソード側とする。この場合、光源2のアノード側は、トランジスタQ11、Q12の各コレクタに接続している。光源2のカソード側は、トランジスタQ31のコレクタに接続している。トランジスタQ31のエミッタは、抵抗R31を介してトランジスタQ13のエミッタに接続している。
【0084】
切替回路41aの出力端間には、さらに、抵抗R32とシャントレギュレータSR31との直列回路が接続される。抵抗R32の第1端は、光源2のアノード側に接続し、抵抗R32の第2端は、シャントレギュレータSR31のカソードに接続する。シャントレギュレータSR31のアノードは、抵抗R31を介してトランジスタQ31のエミッタに接続する。トランジスタQ31のエミッタは、シャントレギュレータSR31の制御端子に接続する。トランジスタQ31のベースは、トランジスタQ32のエミッタに接続し、トランジスタQ32のコレクタは、抵抗R33を介して光源2のアノード側に接続する。
【0085】
そして、負荷電流によって生じる抵抗R31の両端電圧がシャントレギュレータSR31内部の基準電圧(目標電流値に相当)を上回ると、シャントレギュレータSR31のアノード-カソード間が導通する。シャントレギュレータSR31のアノード-カソード間が導通すると、トランジスタQ32がオフし、トランジスタQ31がオフする。そして、抵抗R31の両端電圧がシャントレギュレータSR31内部の基準電圧を下回ると、シャントレギュレータSR31のアノード-カソード間が遮断される。シャントレギュレータSR31のアノード-カソード間が遮断されると、トランジスタQ32がオンし、トランジスタQ31がオンする。この結果、負荷電流の値は、目標電流値に一致する。
【0086】
したがって、停電検出回路46が停電を検出していなければ、光源2には常用電圧Vd1を電源とする負荷電流が流れて、光源2が点灯する。停電検出回路46が停電を検出していれば、光源2には非常用電圧Vd2を電源とする負荷電流が流れて、光源2が点灯する。電流調整回路41cは、光源2を流れる負荷電流の値を目標電流値に一致させる。
【0087】
異常検出回路422は、異常検出処理を行うときには、制御信号Y1及び制御信号Y2をそれぞれLレベルに制御して、非常用電圧Vd2を電源とする負荷電流を光源2に流す。
【0088】
(5)点灯回路の第2具体例
図10は、点灯回路41の第2具体例の回路構成を示す。点灯装置4は、制御電源44を更に備える。制御電源44は、電池電圧Vbを入力されて、制御電圧Vs1を出力する。制御電圧Vs1は、制御回路42の動作電源となる。なお、
図10では、充電回路40は、常用電圧Vd1を入力され、逆流防止用のダイオードD10を介して電池3を充電する。
【0089】
点灯回路41は、電池電圧Vbを昇圧して、直流の非常用電圧Vd3を出力する。具体的に、点灯回路41は、トランジスタQ41~Q44、抵抗R41~R411、コンデンサC41~C46、インダクタL41、ダイオードD41、及びスイッチングコントローラ412(以降、SWコントローラ412と略称する)を備える。トランジスタQ41、Q43は、Nチャネルのエンハンスメント型のMOSFETである。トランジスタQ42、Q44は、NPN型のバイポーラトランジスタである。
【0090】
コンデンサC41の両端間には、電池電圧Vbが印加される。コンデンサC41の両端間には、インダクタL41、及びトランジスタQ41の直列回路が接続される。トランジスタQ41のドレイン-ソース間には、ダイオードD41とコンデンサC42との直列回路が接続される。ダイオードD41のアノードは、トランジスタQ41のドレインに接続され、ダイオードD41のカソードは、コンデンサC42の正極に接続される。コンデンサC42の負極は、コンデンサC41の負極に接続される。コンデンサC42の両端間には、光源2と、トランジスタQ43と、抵抗R48との直列回路が接続される。光源2のアノード側は、コンデンサC42の正極に接続される。光源2のカソード側は、トランジスタQ43のドレインに接続される。トランジスタQ43のソースは、抵抗R48を介してコンデンサC42の負極に接続される。トランジスタQ43のゲートは、抵抗R49を介して制御電源44の正出力に接続され、抵抗R410を介してトランジスタQ43のソースに接続される。トランジスタQ44のコレクタ-エミッタ間には抵抗R410が接続される。トランジスタQ44のベースは、抵抗R411を介して制御回路42に接続される。トランジスタQ41のゲートは、抵抗R41を介してSWコントローラ412に接続される。トランジスタQ41のゲート-ソース間には、抵抗R42が接続される。
【0091】
抵抗R43とコンデンサC43との直列回路には、制御電圧Vs1が印加される。抵抗R43とコンデンサC43との接続点は、トランジスタQ42のコレクタに接続し、トランジスタQ42のエミッタは、コンデンサC41の負極に接続される。トランジスタQ42のベースは、抵抗R44を介して制御回路42に接続される。
【0092】
本実施形態では、SWコントローラ412の一例として、エイブリック株式会社製のS-8338を用いる。SWコントローラ412は、制御電圧Vs1が印加されたコンデンサC46の両端に接続されて、制御電圧Vs1を動作電源とする。SWコントローラ412は、トランジスタQ42のコレクタに接続され、トランジスタQ42のコレクタ電圧Vc2を監視する。SWコントローラ412は、コレクタ電圧Vc2がLレベルであれば、トランジスタQ41をオフ状態に維持して、電池電圧Vbの昇圧動作を停止する。SWコントローラ412は、コレクタ電圧Vc2がHレベルであれば、トランジスタQ42をオンオフさせて、電池電圧Vbの昇圧動作を行う。昇圧動作を行うSWコントローラ412は、抵抗R48の両端電圧を負荷電流の検出値として抵抗R47を介して取得し、負荷電流の値が目標電流値に一致するようにトランジスタQ41をオンオフさせる。
【0093】
SWコントローラ412には、抵抗R45とコンデンサC45との直列回路、コンデンサC44、及び抵抗R46が更に接続される。抵抗R45とコンデンサC45との直列回路は、SWコントローラ412の内部の誤差増幅回路の出力位相補償の素子である。コンデンサC44は、短絡保護の遅延時間設定用の素子である。抵抗R46は、発振周波数設定用の素子である。
【0094】
そして、制御回路42は、制御信号Y3を出力し、制御信号Y3によって点灯回路41の動作を制御する。制御信号Y3は、電圧値がHレベル及びLレベルのいずれかに切替可能な二値の電圧信号である。制御信号Y3は、抵抗R44を介してトランジスタQ42のベースに伝達され、抵抗R411を介してトランジスタQ44のベースに伝達される。
【0095】
図11は、制御信号Y3、及びコレクタ電圧Vc2の各波形、並びにトランジスタQ42、Q43、Q44の各状態を示すタイムチャートである。
【0096】
制御回路42は、停電検出回路46が停電を検出していない通常期間Ta2では、制御信号Y3をHレベルに制御する。制御信号Y3がHレベルであれば、トランジスタQ42がオンして、トランジスタQ42のコレクタ電圧Vc2がLレベルになる。さらに、トランジスタQ44がオンし、トランジスタQ43がオフする。SWコントローラ412は、コレクタ電圧Vc2がLレベルであるので、トランジスタQ41をオフ状態に維持して、電池電圧Vbの昇圧動作を停止する。また、光源2からコンデンサC42の負極への電流経路は、オフ状態のトランジスタQ43によって遮断されている。したがって、通常期間Ta2では、光源2は消灯する。
【0097】
また、制御回路42は、停電検出回路46が停電を検出している停電期間Tb2では、制御信号Y3をLレベルに制御する。制御信号Y3がLレベルであれば、トランジスタQ42がオフして、トランジスタQ42のコレクタ電圧Vc2がHレベルになる。更に、トランジスタQ44がオフし、トランジスタQ43がオンする。したがって、光源2からコンデンサC42の負極への電流経路は、オン状態のトランジスタQ43によって導通する。SWコントローラ412は、コレクタ電圧Vc2がHレベルであるので、トランジスタQ41をオンオフさせて、電池電圧Vbの昇圧動作を行い、負荷電流の値を目標電流値に一致させる。この結果、停電期間Tb2では、光源2に負荷電流が流れて、光源2は点灯する。
【0098】
異常検出回路422は、異常検出処理を行うときには、制御信号Y3をLレベルに制御して、電池電圧Vbを電源とする負荷電流を光源2に流す。
【0099】
(6)放電回路の変形例
図12に示すように、点灯装置4は、点灯回路41を含まない放電回路5Aを備えてもよい。放電回路5Aは、電池3の両端間に接続されており、制御回路42(異常検出回路422)からの放電指示信号Y10によって、電池3を放電させることができる。
【0100】
図13は、放電回路5Aの構成例を示す。放電回路5Aは、オペアンプOP51、抵抗R51~R55、コンデンサC51、及びトランジスタQ51を備える。トランジスタQ51は、Nチャネルのエンハンスメント型のMOSFETである。
【0101】
電池3の両端間には、トランジスタQ51と抵抗R51との直列回路が接続される。オペアンプOP51の正入力端子には、制御回路42から受け取った放電指示信号Y10が抵抗R53を介して入力される。オペアンプOP51の負入力端子には、抵抗R51の両端電圧が抵抗R54を介して入力される。抵抗R51の両端電圧は、放電電流に比例しており、放電電流の検出値に相当する。オペアンプOP51の負入力端子と出力端子との間には、抵抗R52とコンデンサC52との並列回路が接続される。オペアンプOP51の出力端子は、抵抗R55を介してトランジスタQ51のゲートに接続される。
【0102】
そして、制御回路42は、異常検出処理などを実行する場合、放電指示信号Y10を放電回路5Aへ出力する。放電指示信号Y10は、電圧値で放電電流の値を指示する電圧信号であり、電圧値が大きいほど放電電流の指示値が大きくなる。オペアンプOP51は、放電電流の検出値が放電電流の指示値に一致するように、トランジスタQ51のゲート電圧を調整する。この結果、放電回路5Aは、制御回路42からの指示によって、電池3を放電させることができる。この場合、異常検出処理の実行時に光源2が点灯しないので、光源2による照明環境が変化しない。
【0103】
また、電池3の放電経路にLEDなどの表示素子を接続して、電池3の放電電力を表示素子の消費電力としてもよい。
【0104】
また、点灯装置4は、電池3の放電電力で動作する制御電源を更に備えてもよい。この場合、異常検出処理時に電池3の放電電力を利用して制御電圧を生成でき、放電電力の無駄な消費を抑えることができる。例えば、
図10の制御電源44は、電池3の放電電力で動作しており、制御電源44が放電回路5Aを兼用することが好ましい。
【0105】
(7)定期点検
上述の防災照明器具1は、誘導灯又は非常用照明器具などの防災照明器具である。誘導灯、及び非常用照明器具に対しては、法令に基づく定期点検が実施されなければならない。誘導灯の定期点検の時期は消防法に規定されており、非常用照明器具の定期点検の時期は建築基準法に規定されている。
【0106】
さらに、誘導灯に搭載されている蓄電池の製造年から所定の年数を超えていなければ、蓄電池の寿命を考慮して、当該誘導灯に対する上述の定期点検において蓄電池の点検の実施は不要となる場合がある。この場合、誘導灯に搭載されている蓄電池の製造年から所定の年数を超えていれば、蓄電池の寿命を考慮して、当該誘導灯に対して上述の定期点検を実施する必要がある。例えば、蓄電池がニッケル・カドミウム電池である場合、蓄電池の製造年から3年を超えていれば、定期点検を実施する必要がある。また、蓄電池がニッケル・水素電池である場合、蓄電池の製造年から5年を超えていれば、定期点検を実施する必要がある。
【0107】
しかしながら、適切な時期(例えば、法令などによって定められた時期)に定期点検が行われているとは言い難いのが実状である。そこで、本実施形態の防災照明器具1は、蓄電池の寿命を考慮した適切な時期に定期点検を行うために、以下の報知機能、及び自動点検機能を有している。
【0108】
まず、前提として、本実施形態に係る防災照明器具1では、電池3の使用期間である電源使用期間があらかじめ決められた点検時間を超えていなければ、防災照明器具1に対する定期点検の実施は不要となる。そこで、制御回路42は、電源使用期間が予め決められた点検時間に達した後、下記の報知制御処理、及び点検制御処理を行う。
【0109】
制御回路42は、電源タイマ424、点検タイマ425、器具タイマ426、報知制御回路427、及び点検制御回路428の各機能を有するように構成されている(
図1参照)。
【0110】
制御回路42がRTC(Real Time Clock)を具備している場合、電源タイマ424、点検タイマ425、及び器具タイマ426は、RTCの値を周期的に読み取って、カウント値を積算することで、経過時間を計時する計時動作を行う。あるいは、電源タイマ424、点検タイマ425、及び器具タイマ426は、カウント値を一定周期(例えば、クロック周波数の周期など)でインクリメントすることで計時動作を行うカウンタであってもよい。
【0111】
以下、報知制御、及び自動点検制御について説明する。
【0112】
電源タイマ424は、電池3の使用期間である電源使用期間を計時する。本実施形態において、電源使用期間は、外部電源9から点灯装置4へ電力の供給が開始された時点からの経過時間である。ただし、電源使用期間の起点は、防災照明器具1に取り付けられた未使用の電池3が充電回路40によって満充電された時点であってもかまわない。そして、電源タイマ424が電源使用期間の計時を開始すると、電源使用期間の計時時間はゼロから時間の経過に伴って増加する。また、電源タイマ424は、電池3が新しい電池3に交換された場合にリセットされ、計時時間がゼロになる。電源タイマ424は、定期点検の実行時にはリセットされない。本実施形態では、点検者又は管理者が電池3の交換後に押釦スイッチ49A、49Bを同時に押操作する。制御回路42は、押釦スイッチ49A、49Bが同時に押操作されると、電源タイマ424をリセットする。
【0113】
または、制御回路42が電池3の放電電力のみで動作する場合、制御回路42は、放電電力の供給の有無に基づいて、電池3の交換作業の実施を検出してもよい。例えば、制御回路42は、放電電力の伝達経路の電圧が制御回路42の動作電圧を下回って、制御回路42の動作が停止する直前に、RTCの値に基づいて停止直前の時刻情報を記憶しておく。そして、制御回路42は、放電電力の伝達経路の電圧が制御回路42の動作電圧を上回って、制御回路42の動作が再開された直後に、RTCの値に基づいて再開直後の時刻情報を取得する。制御回路42は、停止直前の時刻情報と再開直後の時刻情報の差分から、動作を停止していた停止時間を求めて、停止時間が一定時間以上であれば、電池3の交換作業の実施を検出し、電源タイマ424をリセットする。
【0114】
点検タイマ425は、電池3を放電させる定期点検が完了してからの期間を未点検期間として計時する。未点検期間は、定期点検が実行された後に、同じ電池3に対して再び定期点検(同じ電池3に対する2回目以降の定期点検であり、以降では再定期点検と称す)を実行する時期を決定するために用いられる。点検タイマ425が未点検期間の計時を開始すると、未点検期間の計時時間はゼロから時間の経過に伴って増加する。また、点検タイマ425は、定期点検が実行された場合、あるいは電池3が交換された場合にリセットされ、計時時間がゼロになる。本実施形態では、点検者又は管理者が、定期点検後及び電池3の交換後に、押釦スイッチ49A、49Cを同時に押操作する。制御回路42は、押釦スイッチ49A、49Cが同時に押操作されると、点検タイマ425をリセットする。または、制御回路42が定期点検を実行した場合に、制御回路42が点検タイマ425をリセットしてもよい。または、制御回路42は、電池3の交換作業が実施されると、電源タイマ424と同様に点検タイマ425をリセットしてもよい。
【0115】
器具タイマ426は、防災照明器具1の使用期間である器具使用期間を計時する。本実施形態において、器具使用期間は、外部電源9から点灯装置4へ電力の供給が開始された時点からの経過時間である。ただし、器具使用期間の起点は、新品の電池3が充電回路40によって満充電された時点であってもかまわない。そして、器具タイマ426が器具使用期間の計時を開始すると、器具使用期間の計時時間はゼロから時間の経過に伴って増加する。器具タイマ426は、定期点検の実行時にリセットされない。
【0116】
そして、報知制御回路427は、電源タイマ424、点検タイマ425、器具タイマ426の各計時時間(電源使用期間、未点検期間、及び器具使用期間)に基づいて、報知回路43を制御する。言い換えると、報知回路43は、電源タイマ424、点検タイマ425、器具タイマ426の各計時時間に応じた報知を行う。
【0117】
具体的に、報知制御回路427は、電源タイマ424の計時時間を用いて、報知回路43に点検報知を行わせる点検報知制御を行う。本明細書における点検報知とは、最初の定期点検の実施を人に促す報知をいう。報知制御回路427は、点検報知時間のデータをあらかじめ記憶しており、電源タイマ424の計時時間と点検報知時間との比較処理を行う。そして、電源タイマ424の計時時間が点検報知時間に達した場合、報知制御回路427は、点検報知を行うように報知回路43を制御する。点検報知時間は、法令で定められた定期点検期間であり、例えば3年又は5年に相当する。
【0118】
また、報知制御回路427は、点検タイマ425の計時時間を用いて、報知回路43に再点検報知を行わせる再点検報知制御を行う。本明細書における再点検報知とは、電池3に対する2回目以降の定期点検(再定期点検)の実施を人に促す報知をいう。報知制御回路427は、再点検報知時間のデータをあらかじめ記憶しており、点検タイマ425の計時時間と再点検報知時間との比較処理を行う。そして、点検タイマ425の計時時間が再点検報知時間に達した場合、報知制御回路427は、再点検報知を行うように報知回路43を制御する。このとき、再点検報知時間は、点検報知時間よりも短いことが好ましい。
【0119】
また、報知制御回路427は、器具タイマ426の計時時間を用いて、報知回路43に器具交換報知を行わせる器具交換報知制御を行う。本明細書における器具交換報知とは、防災照明器具1の交換を人に促す報知をいう。報知制御回路427は、器具交換報知時間のデータをあらかじめ記憶しており、器具タイマ426の計時時間と器具交換報知時間との比較処理を行う。そして、器具タイマ426の計時時間が器具交換報知時間に達した場合、報知制御回路427は、器具交換報知を行うように報知回路43を制御する。器具交換報知時間は、防災照明器具1の寿命などに基づいて予め決められた期間であり、例えば10年に相当する。
【0120】
また、報知制御回路427は、器具タイマ426の計時時間を用いて、報知回路43に交換再報知を行わせる器具交換再報知制御を行う。本明細書における器具交換再報知とは、防災照明器具1の交換を、再点検報知よりも強く人に促す報知をいう。報知制御回路427は、器具寿命時間のデータをあらかじめ記憶しており、器具タイマ426の計時時間と器具寿命時間との比較処理を行う。そして、器具タイマ426の計時時間が器具寿命時間に達した場合、報知制御回路427は、器具交換再報知を行うように報知回路43を制御する。器具寿命時間は、防災照明器具1の寿命などに基づいて予め決められた期間であり、例えば15年に相当する。
【0121】
また、点検制御回路428は、電源タイマ424、点検タイマ425、器具タイマ426の各計時時間に基づいて充電回路40及び点灯回路41を制御することで、定期点検を自動的に実行する自動点検制御を行う。
【0122】
点検制御回路428は、点検報知が実行(例えば開始)されてから第1遅延時間が経過すると、電池3の定期点検を実行する。点検報知が実行された後に、点検者が定期点検を行ってもよい。なお、電源タイマ424は、点検タイマ425の計時時間が点検報知時間に達する前に、電池3の定期点検が行われても、電源使用期間の計時を継続する。言い換えると、点検タイマ425の計時時間が点検報知期間に達するまでは、電池3の定期点検の有無に関係なく、電源タイマ424は、電源使用期間の計時を継続する。
【0123】
定期点検が完了すると、点検タイマ425は、未点検期間の計時を開始する。点検タイマ425が未点検期間の計時を開始すると、点検タイマ425の計時時間はゼロから時間の経過に伴って増加する。報知回路43は、点検タイマ425の計時時間が再点検報知時間に達すると、再点検報知を行う。点検制御回路428は、再点検報知が実行(例えば開始)されてから第2遅延時間が経過すると、電池3の再定期点検を実行する。再点検報知が実行された後に、点検者が電池3の再定期点検を行ってもよい。
【0124】
点検制御回路428は、定期点検(再定期点検を含む)の実行時には、電池3が満充電状態であれば、予め決められた規定時間に亘って、充電回路40を停止させ、かつ、点灯回路41を動作させて光源2を定常点灯(例えば、全点灯)させる。点検制御回路428は、電池3が満充電状態でなければ、まず充電回路40を動作させて電池3を満充電状態にした後に、予め決められた規定時間に亘って、充電回路40を停止させ、かつ、点灯回路41を動作させて光源2を定常点灯(例えば、全点灯)させる。すなわち、点検制御回路428は、定期点検の実行時に電池3を放電させる。また、点検制御回路428は、電池3が満充電状態でなければ、充電回路40を動作させて電池3を充電しながら、予め決められた規定時間に亘って、点灯回路41を動作させて電池3を放電させてもよい。
【0125】
また、点検制御回路428は、電池3の充電状態にかかわらず、充電回路40を停止させ、点灯回路41を動作させて光源2を定常点灯(例えば、全点灯)させてもよい。また、点検制御回路428は、充電回路40の充電量が点灯回路41への放電量より十分小さければ(例えばトリクル充電)、充電回路40を停止させず、点灯回路41を動作させて光源2を定常点灯(例えば、全点灯)させてもよい。
【0126】
そして、点検制御回路428は、定期点検を開始してから規定時間(20分間、30分間又は60分間)が経過した時点における電池3の電圧値、及び光源2に流れる電流値などに基づいて、防災照明器具1の定期点検を行い、定期点検結果を報知回路43から報知させる。例えば、点検制御回路428は、電池3が劣化しており、電池3が正常でない(異常である)と判定すれば、表示素子431の点灯又は点滅、及び発音部432の音声出力の少なくとも一方によって報知する。また、点検制御回路428は、光源2が劣化しており、光源2が正常でない(異常である)と判定すれば、表示素子431の点灯又は点滅、及び発音部432の音声出力の少なくとも一方によって報知する。電池3の異常報知時に行われる報知形態、光源2の異常報知時に行われる報知形態とは、互いに異なることが好ましい。
【0127】
また、点検制御回路428は、定期点検を開始してから規定時間が経過した時点において、点灯回路41が正常に動作していれば、電池3が正常であると判定してもよい。点検制御回路428は、規定時間が経過した時点において、電池3の出力電圧の低下により点灯回路41が正常に動作していなければ、電池3が正常でない(異常である)と判定してもよい。
【0128】
また、報知制御回路427は、電源タイマ424の計時時間を用いて、報知回路43に電池交換報知を行わせる電池交換報知制御を行う。本明細書における電池交換報知とは、電池3の交換を人に促す報知をいう。報知制御回路427は、電池交換報知時間のデータをあらかじめ記憶しており、電源タイマ424の計時時間と電池交換報知時間との比較処理を行う。そして、電源タイマ424の計時時間が電池交換報知時間に達した場合、報知制御回路427は、電池交換報知を行うように報知回路43を制御する。電池交換報知時間は、電池3の寿命などに基づいて予め決められた期間であり、例えば90000時間に相当する。
【0129】
また、点灯装置4が上述の自動点検制御を行わず、定期点検としては、点検者による定期点検(再定期点検を含む)のみが行われる構成であってもよい。この場合、点灯装置4が点検報知又は再点検報知を行っても、点検者による定期点検が行われないことが考えられる。そこで、点灯装置4が点検報知又は再点検報知を行ってから第3遅延時間が経過しても、点検者による定期点検が行われていなければ、報知制御回路427は、報知回路43に電池交換報知を行わせる電池交換報知制御を行う。
【0130】
(8)防災照明器具の構造
以下、点灯装置4を備える防災照明器具1の構造について、
図14A~
図14Cを参照して説明する。本実施形態に係る防災照明器具1は、例えば、天井材や壁材などの造営材に取り付けられており、停電時に避難用の通路などに照明光を照射する。
【0131】
防災照明器具1は、
図14A~
図14Cに示すように、本体10と、カバー11と、一対の支持具12とを備える。
【0132】
本体10は、
図14A及び
図14Bに示すように、1つの底面(下面)が開口した有底円筒状に形成されている。本体10の側面に一対の支持具12が取り付けられている。本体10の下端には、外向きに突出する円環状のフランジ100が形成されている。
【0133】
一対の支持具12は、
図14A~
図14Cに示すように、長尺の板ばね状に形成されている。各支持具12は、長手方向の一端部で本体10の側面に固定され、かつ、長手方向の他端部が本体10の底面(上面)に近付く向き(上向き)にたわみ可能に構成されている。つまり、本体10は、天井に設けられた埋込孔内に挿入される一対の支持具12と、本体10の下端面に設けられているフランジ100との間で天井材を挟み込むようにして天井材に支持される。
【0134】
カバー11は、
図14A~
図14Cに示すように、本体10のフランジ100の外径よりも大きい円盤状に形成されている。
図14Bに示すように、カバー11の中央には、円形の窓孔110が設けられている。窓孔110には、光源ユニット2Uのレンズ21が貫通している。カバー11は、一対の取付ばねが取り付けられている。カバー11は、
図14Cに示すように、一対の取付ばねにより、本体10の底面を閉塞する状態で本体10に保持される。
【0135】
本体10には、点灯装置4(
図1参照)、光源2(
図1参照)及び電池3(
図1参照)が取り付けられている。より詳細には、
図14Bに示すように、光源ユニット2U、電池ユニット3U、及び点灯ユニット4Uは、本体10内に収容されている。ただし、電池ユニット3Uは、本体10の底面の開口を通して抜き差し可能に本体10内に収容されている。
【0136】
光源ユニット2Uは、
図14Bに示すように、LEDモジュール20及びレンズ21を備える。LEDモジュール20は、光源2が実装された基板を有し、順方向に電圧が印加されることにより、白色、昼白色又は昼光色などの白色系の照明光を放射する。レンズ21は、LEDモジュール20の前方(下方)に配置され、LEDモジュール20から放射される光を集める。
【0137】
図14Bに示す電池ユニット3Uは、複数の素電池を含む電池3(
図1参照)と、電池3を収容する電池ケースとを有する。電池3は、例えば、ニッケル・水素蓄電池又はニッケル・カドミウム蓄電池である。電池ケースは、合成樹脂などの電気絶縁性を有する材料で箱形に形成されており、複数の素電池を内部に収容する。
【0138】
図14Bに示す点灯ユニット4Uは、点灯装置4(
図1参照)を有する。点灯装置4のモニタランプ48から放射される光は、カバー11に設けられた第1孔111を通してカバー11の前方(下方)に出射される。受信部47は、カバー11に設けられた第2孔112を通して無線信号を受信(受光)する。報知回路43の表示素子431から放射される光は、カバー11に設けられた第3孔114を通してカバー11の前方(下方)に出射される。3つの押釦スイッチ49A、49B、49Cの各々の押釦は、カバー11に設けられた3つの操作孔113と1つずつ対向するように配置されている。
【0139】
(9)防災照明システム
図15は、本実施形態の防災照明システムB1の構成を示す。防災照明システムB1は、複数の防災照明器具1を備える。
【0140】
防災照明システムB1では、複数の防災照明器具1のそれぞれが通信機能を有する。点灯装置4は、通信線8に接続された通信回路(図示なし)をさらに備えており、通信回路は、通信線8を介して信号の送信及び信号の受信を行う。通信回路は、イーサネット(Ethernet)(登録商標)などの有線LAN(Local Area Network)、またはRS-485などの規格(例えば、IEEE 802.3、又はRS-485など)に準拠して、信号の送信及び信号の受信を行うことが好ましい。したがって、複数の防災照明器具1の各点灯装置4は通信線8を介した通信を行い、制御回路42は、他の点灯装置4との間でデータの授受を行うことができる。
【0141】
例えば、複数の点灯装置4の各報知制御回路427は、他の点灯装置4の制御回路42から、他の点灯装置4の点検タイミングに関するデータ(次の定期点検タイミング、及び遅延時間などの各データ)を取得する。したがって、複数の点灯装置4の各報知制御回路427は、自装置の定期点検タイミングが他の点灯装置4の定期点検タイミングと重複しないように、自装置の定期点検タイミングをそれぞれ設定できる。
【0142】
また、複数の点灯装置4の各報知制御回路427は、自装置の定期点検タイミングに関するデータをマルチキャスト又はブロードキャストで送信してもよい。この場合、複数の点灯装置4のそれぞれは、他の点灯装置4の定期点検タイミングの各データを容易に取得できる。
【0143】
また、複数の点灯装置4の各報知制御回路427は、定期的に他の点灯装置4に対してデータ要求をマルチキャスト又はブロードキャストで送信してもよい。データ要求を受信した報知制御回路427は、自装置の定期点検タイミングに関するデータを、データ要求の送信元の点灯装置4へ返信する。
【0144】
また、点灯装置4の通信回路は、無線通信によって信号の送信及び信号の受信を行ってもよい。例えば、通信回路は、無線LAN、BLUETOOTH(登録商標)、又はZIGBEE(登録商標)などの規格(例えば、IEEE 802.11、IEEE 802.15.1、又はIEEE 802.15.4など)に準拠して、信号の送信及び信号の受信を行う。この場合、防災照明システムには、通信線8が不要となる。
【0145】
したがって、防災照明システムB1が有する複数の点灯装置4のそれぞれは、他の点灯装置4の定期点検タイミングを把握でき、自装置の定期点検タイミングを他の点灯装置4の定期点検タイミングと重複しないようにフレキシブルに設定できる。
【0146】
(10)まとめ
上述の実施形態に係る第1の態様の点灯装置(4)は、点灯回路(41)と、放電回路(5、5A)と、電圧検出回路(421)と、異常検出回路(422)と、を備える。点灯回路(41)は、外部電源(9)の停止時に電池(3)から供給される非常用電力で光源(2)を点灯させる非常点灯を実行する。放電回路(5、5A)は、電池(3)を放電させる。電圧検出回路(421)は、電池(3)の電池電圧(Vb)を検出する。異常検出回路(422)は、電圧検出回路(421)による電池電圧(Vb)の検出値(|Vb|)に基づいて電池(3)の異常を検出する異常検出処理を行う。異常検出回路(422)は、放電回路(5、5A)を制御して電池(3)を放電させ、電池(3)の放電開始によって電池電圧(Vb)が立ち下がったときの検出値(|Vb11|)、又は電池電圧(Vb)が立ち下がる前後の検出値(|Vb|)の低下量(ΔVb11)に基づいて、異常検出処理を行う。
【0147】
上述の点灯装置(4)は、電池(3)の点検精度の向上を図ることができる。
【0148】
また、実施形態に係る第2の態様の点灯装置(4)では、第1の態様において、放電回路(5、5A)は、電池(3)の放電時に電池(3)から出力される放電電流をCレートで1Cとすることが好ましい。異常検出回路(422)は、電池電圧(Vb)の下限値を閾値(K1)とし、電池電圧(Vb)が立ち下がったときの検出値(|Vb11|)が閾値(K1)より低ければ、電池(3)の異常を検出する。
【0149】
上述の点灯装置(4)は、電池(3)の点検精度の向上を図ることができる。
【0150】
また、実施形態に係る第3の態様の点灯装置(4)では、第1の態様において、放電回路(5、5A)は、αを正数とすると、電池(3)の放電時に電池(3)から出力される放電電流をCレートでαCとすることが好ましい。異常検出回路(422)は、電池電圧(Vb)の下限値を閾値(K1)とし、電池電圧(Vb)が立ち下がる前後の検出値(|Vb|)の低下量(ΔVb11)を正数αで除した値を、電池電圧(Vb)が立ち下がる前の検出値(|Vb1|)から引いた値が閾値(K1)より低ければ、電池(3)の異常を検出する。
【0151】
上述の点灯装置(4)は、電池(3)の点検精度の向上を図ることができる。
【0152】
また、実施形態に係る第4の態様の点灯装置(4)では、第2又は第3の態様において、放電回路(5、5A)は、異常検出処理の回数が増えるほど、放電電流の値を小さくすることが好ましい。
【0153】
上述の点灯装置(4)は、電池(3)の異常検出の精度と電池(3)の容量の維持とを両立させることができる。
【0154】
また、実施形態に係る第5の態様の点灯装置(4)は、第1乃至第4の態様のいずれか一つにおいて、異常検出処理を行っていない期間を未判定期間として計時する異常タイマ(423)を更に備えることが好ましい。異常検出回路(422)は、未判定期間の計時値が予め決められた判定値に達した後、異常検出処理を行う。
【0155】
上述の点灯装置(4)は、異常検出処理を自動的に実行することができる。
【0156】
また、実施形態に係る第6の態様の点灯装置(4)では、第1乃至第5の態様のいずれか一つにおいて、点灯回路(41)は、放電回路(5)の少なくとも一部を兼用することが好ましい。
【0157】
上述の点灯装置(4)は、異常検出処理のために専用の放電回路を追加する必要はなく、構成の簡略化を図ることができる。
【0158】
また、実施形態に係る第7の態様の点灯装置(4)は、第1乃至第5の態様のいずれか一つにおいて、電池(3)の放電電力を入力されて、制御電圧(Vs1)を出力する制御電源(44)を更に備えることが好ましい。制御電源(44)は、放電回路(5A)を兼用する。
【0159】
上述の点灯装置(4)は、放電電力の無駄な消費を抑えることができる。
【0160】
また、実施形態に係る第8の態様の点灯装置(4)は、第1乃至第7の態様のいずれか一つにおいて、異常検出回路(422)が電池(3)の異常を検出したことを報知する報知回路(43)を更に備えることが好ましい。
【0161】
上述の点灯装置(4)は、電池(3)が異常であることを人に通知して、電池(3)の交換を人に促すことができる。
【0162】
また、実施形態に係る第9の態様の点灯装置(4)では、第1乃至第8の態様のいずれか一つにおいて、電源タイマ(424)と、点検制御回路(428)と、を更に備えることが好ましい。電源タイマ(424)は、電池(3)の使用期間である電源使用期間を計時する。点検制御回路(428)は、電源使用期間の計時値が予め決められた点検時間に達した後、電池(3)を所定期間に亘って放電させる点検を実行する。
【0163】
上述の点灯装置(4)は、定期点検などをより確実に実行することができる。
【0164】
また、実施形態に係る第10の態様の点灯装置(4)では、第1乃至第8の態様のいずれか一つにおいて、電源タイマ(424)と、報知回路(43)と、を更に備えることが好ましい。電源タイマ(424)は、電池(3)の使用期間である電源使用期間を計時する。報知回路(43)は、電源使用期間の計時時間が予め決められた報知時間に達した後、報知を行う。
【0165】
上述の点灯装置(4)は、定期点検などの実施時期を知らせることができる。
【0166】
また、実施形態に係る第11の態様の点灯装置(4)は、第1乃至第8の態様のいずれか一つにおいて、防災照明器具(1)に含まれる。そして、点灯装置(4)は、電源タイマ(424)と、器具タイマ(426)と、報知回路(43)と、更に備えることが好ましい。電源タイマ(424)は、電池(3)の使用期間である電源使用期間を計時し、電池(3)が交換された場合に電源使用期間の計時時間をリセットする。器具タイマ(426)は、防災照明器具(1)の使用期間である器具使用期間を計時する。報知回路(43)は、電源使用期間の計時時間が点検報知時間に達した後に点検報知を行い、器具使用期間の計時時間が器具交換報知時間に達した後に交換報知を行う。
【0167】
上述の点灯装置(4)は、交換報知によって、防災照明器具(1)の交換時期を知らせることができる。
【0168】
また、実施形態に係る第12の態様の防災照明器具(1)は、第1乃至第11の態様のいずれか1つの点灯装置(4)と、光源(2)と、電池(3)と、本体(10)と、を備える。光源(2)は、点灯装置(4)の出力によって点灯する。電池(3)は、点灯装置(4)に光源(2)を点灯させるための非常用電力を供給する。本体(10)は、点灯装置(4)、光源(2)、及び電池(3)が取り付けられる。
【0169】
上述の防災照明器具(1)は、電池(3)の点検精度の向上を図ることができる。
【0170】
また、実施形態に係る第13の態様の防災照明システム(B1)は、第12の態様の複数の防災照明器具(1)を備える。
【0171】
上述の防災照明システム(B1)は、電池(3)の点検精度の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0172】
1 防災照明器具
2 光源
3 電池
4 点灯装置
41 点灯回路
421 電圧検出回路
422 異常検出回路
423 異常タイマ
424 電源タイマ
426 器具タイマ
428 点検制御回路
43 報知回路
44 制御電源
5、5A 放電回路
9 外部電源
10 本体
Vb 電池電圧
|Vb| 電池電圧の検出値
|Vb11| 電池電圧が立ち下がったときの検出値
ΔVb11 低下量
K1 閾値
B1 防災照明システム