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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】ターンテーブル装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 13/02 20060101AFI20230804BHJP
【FI】
B60S13/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020135931
(22)【出願日】2020-08-11
(65)【公開番号】P2022032296
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2022-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】594125576
【氏名又は名称】協和機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】安本 宣興
(72)【発明者】
【氏名】伊崎 長春
【審査官】川口 真一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-083868(JP,A)
【文献】特開2005-132132(JP,A)
【文献】特開2001-002239(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102019109494(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌を載置した状態で回転することにより該車輌の進行方向を変更する、ターンテーブル装置であって、
ターンテーブルを形成する二つの分割テーブルと、
二つの前記分割テーブルの一端同士を回動自在に連結する回動軸部材と、
二つの前記分割テーブルの他端側の下面に取り付けられている、車輪及び該車輪を回転させる駆動手段と、
前記ターンテーブルの長手方向の中心に配設され、前記回動軸部材及び前記ターンテーブルを回転自在に支持する回転支持体と、を有することを特徴とする、ターンテーブル装置。
【請求項2】
一方の前記分割テーブルの前記一端から雄部材が突出し、該雄部材には前記回動軸部材が挿通される第一貫通孔が設けられており、
他方の前記分割テーブルの前記一端から雌部材が突出し、該雌部材には前記回動軸部材が挿通される第二貫通孔が設けられており、
前記雌部材に前記雄部材が嵌め込まれ、前記第一貫通孔と前記第二貫通孔が位置合わせされて連通孔を形成し、該連通孔に前記回動軸部材が挿通されることにより、前記ターンテーブルが形成されることを特徴とする、請求項1に記載のターンテーブル装置。
【請求項3】
前記回転支持体は、前記回動軸部材及び前記ターンテーブルを直接支持する回転ベースと、該回転ベースの周囲に配設されているベアリング機構と、を有し、
前記回転ベースは、上方に突出する突部材を有し、該突部材には前記回動軸部材が挿通される第三貫通孔が設けられており、
前記雌部材に前記雄部材が嵌め込まれ、該雌部材の側方に前記突部材が配設され、前記第一貫通孔と前記第二貫通孔と前記第三貫通孔が位置合わせされて前記連通孔を形成し、該連通孔に前記回動軸部材が挿通されており、
ベアリング機構は、アウタリング及びインナリングと、該アウタリング及び該インナリングの間に配設されている複数のボールベアリングと、を有し、
前記回転ベースが前記インナリングに固定され、前記アウタリングが基礎に固定されることを特徴とする、請求項2に記載のターンテーブル装置。
【請求項4】
前記分割テーブルは、間隔を置いて併設される複数の型鋼材と、複数の該型鋼材の上面に取り付けられている平鋼材と、を少なくとも備え、平面視矩形もしくは略矩形を呈していることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のターンテーブル装置。
【請求項5】
前記車輪の移動軌跡に沿う環状の平鋼からなる走行盤が配設され、該走行盤が基礎に固定されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のターンテーブル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はターンテーブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外的な制約条件等により車輌自身の方向転換が不可能もしくは困難な場合に、車輌を載置して車輌の進行方向を変更する、ターンテーブル装置が適用されており、このターンテーブル装置を適用することにより様々な車輌の走行形態が形成されている。
一例を挙げると、トンネル工事においては、トンネル内空が資機材の搬送車輌等の方向転換に十分な寸法を有していない場合や、あるいは、限られた内空のトンネル内における車輌の走行性を担保することを目的として、トンネル内にターンテーブル装置が設置され、切羽側に向かって前進してきた車輌が資機材を積み下ろした後、ターンテーブル装置にて進行方向を180度転換され、トンネルの坑口側へ車輌が待避する搬送形態がある。
また、他の例を挙げると、比較的狭幅の搬送路を介してトンネル立坑等にセグメント等の資材や各種機材を搬送する場合に、この搬送路への進入前方位置にターンテーブル装置が設置され、ターンテーブル装置上に載置された車輌が進行方向を180度転換され、車輌がバック走行にて搬送路に進入してトンネル立坑付近で荷台にある資機材を受け渡した後、搬送路を前進して退避する走行形態がある。
【0003】
ここで、特許文献1には、回転盤を回転させることにより車輌の方向転換を行うに当たり、駆動用車輪の回転を回転盤に伝達する機構を簡素にすることを可能にした車輌用ターンテーブルが提案されている。このターンテーブルは、地盤上に載置される架台と、架台上に立設された回転軸を中心に回転可能に支持された回転盤と、回転盤を回転させるための回転手段と、車輌の左右一対の駆動用車輪のうち、一方の駆動用車輪の回転を回転手段に伝達するための回転伝達手段と、他方の駆動用車輪の回転を阻止するための回転阻止手段と、車輌が回転盤に対して進入及び退出するためのスロープとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-96728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のターンテーブルによれば、従来のターンテーブルに比べて構成を簡素化することが可能な駆動用車輪の駆動トルクを利用した、車輌用ターンテーブルを提供できるとしている。ところで、特許文献1に記載のターンテーブルをはじめとして、従来のターンテーブル装置には、三点支持構造のものが多い。この三点支持構造とは、ターンテーブルの外側の対角位置にある車輪と、これら車輪の中間に位置してターンテーブルの回転中心となる中心支点の三点にてターンテーブルが支持される構造のことである。
このような三点支持構造のターンテーブル装置では、積載車輌等がターンテーブルに搭載された際に、積載物の状態等により、車輌の重心が回転中心に一致しないことが往々にしてある。この場合、重心が近い側の外側支点と中心支点の二点に車輌の重量が集中的に作用する結果、重心から遠い側の外側支点には車輌の重量が作用し難くなる。ターンテーブルの有する車輪は駆動手段にて駆動され、車輪とその下のレールとの間の摩擦力にてターンテーブルが回転し得るが、車輌の重量が作用しない、もしくは作用し難い外側支点を形成する車輪とその下のレールの間においては十分な摩擦力が取れないこととなり、当該車輪が空回りして駆動が阻害される恐れがある。
尚、他方の車輪が空回りした状態でも一方の車輪とレールとの間の摩擦力のみによりターンテーブルの回転を可能にするべく、高摩擦車輪を適用する方策も考えられるが、例えば結露等により車輪とレールの間の摩擦力が低下してしまうと、ターンテーブルの回転が困難になることから好ましい対策とは言い難い。
【0006】
そこで、車輌の運転手は、積載物により変化し得る車輌のターンテーブル上における載置位置を、車輌の重心がターンテーブルの中心支点(回転中心)に一致するように車輌を微動させる微調整を行い、微調整の後にターンテーブルを駆動させてその回転の可否を確認し、ターンテーブルがスムーズに回転しない場合はその載置位置を再度微調整し、ターンテーブルの回転の可否を再度確認するといった手間と時間のかかる操作を行っている。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ターンテーブル上の車輌の位置に関わらず、ターンテーブルのスムーズな回転を実現することのできるターンテーブル装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成すべく、本発明によるターンテーブル装置の一態様は、
車輌を載置した状態で回転することにより該車輌の進行方向を変更する、ターンテーブル装置であって、
ターンテーブルを形成する二つの分割テーブルと、
二つの前記分割テーブルの一端同士を回動自在に連結する回動軸部材と、
二つの前記分割テーブルの他端側の下面に取り付けられている、車輪及び該車輪を回転させる駆動手段と、
前記ターンテーブルの長手方向の中心に配設され、前記回動軸部材及び前記ターンテーブルを回転自在に支持する回転支持体と、を有することを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、ターンテーブルを二つの分割テーブルの一端同士を回転軸部材を介して回動自在に連結することにより形成し、二つの分割テーブルの他端側の下面に車輪が設けられていることにより、二点支持構造の二つの分割テーブルにてターンテーブルが形成されることとなり、ターンテーブル上に載置された車輌の重心位置に応じて按分される車輌の按分重量を双方の分割テーブルに支持させることが可能になる。すなわち、回転軸部材を介して二つの分割テーブルの一端同士がピン結合されることにより、各分割テーブルの一端における回動が許容される結果、ターンテーブルが二点支持構造の二つ分割テーブルにより構成されることになる。このことにより、各分割テーブルを支持する車輪と回転支持体に按分された車輌の按分重量が各分割テーブルに載荷されることとなり、従来の三点支持構造のターンテーブル装置のように車輌の重心位置に応じて一方の車輪が空回りし、ターンテーブルのスムーズな回転が阻害されるといった課題は生じない。
また、ターンテーブル装置を構成するターンテーブルが二つの分割テーブルに分割されることから、ターンテーブル装置の設置に際して、ターンテーブルをはじめとする構成部材を搬送する際の搬送性や設置の際の組み付け性が良好になる。
【0010】
ターンテーブルの平面視形状には様々なものがあり、平面視円盤状の形態、載置予定の車輌に対応する幅(例えば車輌の幅よりも若干広い幅)を有する平面視矩形の形態、平面視矩形の長手方向の長さを直径とする円弧を端辺に備えた略矩形の形態などが挙げられる。平面視円盤状のターンテーブルでは、二つの半円盤状の分割テーブルが双方の直線状の一端同士を回動自在に連結されることとなる。一方、平面視矩形もしくは略矩形のターンテーブルでは、これら矩形もしくは略矩形の長手方向の半分の長さの二つの矩形もしくは略矩形の分割テーブルが、双方の直線状の一端同士を回動自在に連結されることとなる。
本態様において「ターンテーブルの長手方向」とは、ターンテーブルが平面視円盤状の場合はその中心を通る様々な直径に沿う方向のことであり、ターンテーブルが平面視矩形もしくは略矩形の場合は矩形の長辺に沿う方向のことである。
【0011】
ターンテーブルの長手方向の中心に配設される回転支持体は、地盤、地盤上に施工された土間コンクリート、もしくは鉄筋コンクリート製の基礎等に固定される。回転支持体は、鉄筋コンクリート製の基礎等に固定される固定部と、固定部に対して回転する回転部とを備え、回転部が回動軸部材とターンテーブルを支持することにより、基礎に固定される回転部に対してターンテーブルが回転可能に支持される。
また、車輪を回転させる駆動手段にはモータ等が適用でき、モータの駆動軸と車輪の回転軸は、例えばギヤを介して、もしくは、スプロケット及びチェーンを介して、モータの駆動力を車輪に伝達自在に連結される。
また、本態様のターンテーブル装置は、ターンテーブルに対して車輌が進入し、さらに退出するためのスロープを当該ターンテーブルに取り付け及び取り外し自在に備えているのがよい。
【0012】
また、本発明によるターンテーブル装置の他の態様において、一方の前記分割テーブルの前記一端から雄部材が突出し、該雄部材には前記回動軸部材が挿通される第一貫通孔が設けられており、
他方の前記分割テーブルの前記一端から雌部材が突出し、該雌部材には前記回動軸部材が挿通される第二貫通孔が設けられており、
前記雌部材に前記雄部材が嵌め込まれ、前記第一貫通孔と前記第二貫通孔が位置合わせされて連通孔を形成し、該連通孔に前記回動軸部材が挿通されることにより、前記ターンテーブルが形成されることを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、一方の分割テーブルの一端から突出する雄部材の備える第一貫通孔(下方に開口を有する平面視U形の係合孔(引っ掛け孔)、円形孔等)と、他方の分割テーブルの一端から突出する雌部材の備える第二貫通孔(下方に開口を有する平面視U形の係合孔(引っ掛け孔)、円形孔等)が位置合わせされて形成される連通孔に回動軸部材が挿通されることにより、比較的シンプルな連結構造にて、二つの分割テーブルの一端同士を回動自在に連結することができる。例えば、回動軸部材に対して、ともに下方に開口を有する係合孔である第一貫通孔と前記第二貫通孔が上方から落とし込まれることにより、回動軸部材に対して双方の分割テーブルの一端が回動自在に係合される。
ここで、一方の分割テーブルの一端から間隔を置いて複数の雄部材が突出し、他方の分割テーブルの一端から間隔を置いて複数の雌部材が突出し、各雌部材に対して対応する雄部材が嵌め込まれて複数の連通孔が形成され、複数の連通孔に共通の一本の回動軸部材が挿通されてもよいし、複数の連通孔に個別の回動軸部材が挿通されてもよい。また、一方の分割テーブルの一端から雄部材と雌部材がそれぞれ突出し、他方の分割テーブルの一端からも雄部材と雌部材がそれぞれ突出し、それぞれの一端から突出する雌部材に対して対応する雄部材が嵌め込まれて連通孔を形成してもよい。
また、例えば、一方の分割テーブルの一端から間隔を置いて複数の雌部材が突出する形態においては、雌部材同士を補強リブ等で補強することにより、二つの分割テーブルの一端同士を回動自在で強固な連結構造にて連結することができる。
【0014】
また、本発明によるターンテーブル装置の他の態様において、前記回転支持体は、前記回動軸部材及び前記ターンテーブルを直接支持する回転ベースと、該回転ベースの周囲に配設されているベアリング機構と、を有し、
前記回転ベースは、上方に突出する突部材を有し、該突部材には前記回動軸部材が挿通される第三貫通孔が設けられており、
前記雌部材に前記雄部材が嵌め込まれ、該雌部材の側方に前記突部材が配設され、前記第一貫通孔と前記第二貫通孔と前記第三貫通孔が位置合わせされて前記連通孔を形成し、該連通孔に前記回動軸部材が挿通されており、
ベアリング機構は、アウタリング及びインナリングと、該アウタリング及び該インナリングの間に配設されている複数のボールベアリングと、を有し、
前記回転ベースが前記インナリングに固定され、前記アウタリングが基礎に固定されることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、回転支持体を、回動軸部材とターンテーブルを直接支持する回転ベースと、その周囲に配設されているベアリング機構とにより構成し、ベアリング機構を構成するインナリングに対して回転ベースを固定し、ベアリング機構を構成するアウタリングを鉄筋コンクリート製の基礎等に固定することにより、回転性能に優れ、構造安定性に優れた回転支持体によりターンテーブルが回転可能に支持されるターンテーブル装置を形成できる。
【0016】
また、本発明によるターンテーブル装置の他の態様において、前記分割テーブルは、間隔を置いて併設される複数の型鋼材と、複数の該型鋼材の上面に取り付けられている平鋼材と、を少なくとも備え、平面視矩形もしくは略矩形を呈していることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、ターンテーブルが、載置予定の車輌に対応する幅(例えば車輌の幅よりも若干広い幅)を有する平面視矩形、もしくは平面視略矩形(平面視矩形の長手方向の長さを直径とする円弧を端辺に備えた略矩形)を呈していることにより、例えば、平面視円盤状のターンテーブルよりも全体寸法が小さく、搬送性に優れ、製作コストが可及的に安価なターンテーブルを備えたターンテーブル装置を形成することができる。例えば、長手方向に沿う複数のH形鋼等の型鋼材が間隔を置いて配設され、各型鋼材同士を短手方向に沿う複数のH形鋼等の型鋼材にて連結することにより、型鋼材フレームを形成し、当該型鋼材フレームの天端に車輌が直接載置される平鋼材が溶接等により接続されている形態を挙げることができる。
【0018】
また、本発明によるターンテーブル装置の他の態様において、前記車輪の移動軌跡に沿う環状の平鋼からなる走行盤が配設され、該走行盤が基礎に固定されていることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、車輪が移動する円形の移動軌跡に沿う環状の平鋼からなる走行盤が配設され、走行盤が鉄筋コンクリート製の基礎等に固定されていることにより、例えば溝形鋼等の型鋼材からなるレール内を車輪が移動する形態における様々な課題を解消することができる。すなわち、溝形鋼等からなるレールでは、現場で飛散される砂利や石等がレール内に入り込み、レール内の掃除がし難いといった課題が挙げられるが、本態様では環状の平鋼の上を車輪が走行する形態ゆえに清掃が容易であり、砂利等が走行盤内に入り込むことがない。さらに、溝形鋼等からなるレール内に入り込んだ石等により、車輪の回転が阻害され、ターンテーブルの回転が防止されるといった課題が挙げられるが、本態様では環状の平鋼の上を車輪が走行する形態ゆえに、走行盤内に石等が入り込むことがなく、石等により車輪の回転が阻害される恐れはない。
【発明の効果】
【0020】
本発明のターンテーブル装置によれば、ターンテーブル上の車輌の位置に関わらず、ターンテーブルのスムーズな回転を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係るターンテーブル装置の一例の側面図である。
図2図1のII-II方向矢視図であって、実施形態に係るターンテーブル装置を構成するターンテーブルを下方から見た平面図である。
図3図1のIII-III方向矢視図であって、実施形態に係るターンテーブル装置を構成する回転支持体の平面図である。
図4図1のIV-IV方向矢視図であって、実施形態に係るターンテーブル装置を構成する回転支持体の縦断面図である。
図5】相互に組み付けられる前の二つの分割テーブルと回転軸部材を示す平面図である。
図6】(a)は図5のVIa矢視図であり、(b)は図5のVIb矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施形態に係るターンテーブル装置について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0023】
[実施形態に係るターンテーブル装置]
図1乃至図6を参照して、実施形態に係るターンテーブル装置の一例について説明する。ここで、図1は、実施形態に係るターンテーブル装置の一例の側面図である。また、図2は、図1のII-II方向矢視図であって、実施形態に係るターンテーブル装置を構成するターンテーブルを下方から見た平面図であり、図3は、図1のIII-III方向矢視図であって、実施形態に係るターンテーブル装置を構成する回転支持体の平面図であり、図4は、図1のIV-IV方向矢視図であって、回転支持体の縦断面図である。さらに、図5は、相互に組み付けられる前の二つの分割テーブルと回転軸部材を示す平面図であり、図6(a)は図5のVIa矢視図であり、図6(b)は図5のVIb矢視図である。
【0024】
図1及び図2に示すように、ターンテーブル装置100は、車輌Vを載置した状態で回転するターンテーブル10と、ターンテーブル10の長手方向L1の中心に配設されてターンテーブル10を回転自在に支持する回転支持体30とを有する。また、ターンテーブル10の長手方向L1の両端には、進入・退出スロープが配設される。
【0025】
ターンテーブル10は、二つの分割テーブル10Aの一端10a同士が、回動軸部材40にて回動自在に連結されることにより形成される。ターンテーブル10は、図2に示すように、平面視略矩形を呈する二つの分割テーブル10Aがそれらの長手方向L1に沿って相互に連結されることにより、分割テーブル10Aの有する長手方向L1の長さの二倍の長さを有している。このターンテーブル10の長手方向L1の長さは、少なくとも載置予定の車輌の前後の車輪間距離よりも長く、長手方向L1に直交する短手方向L2の幅は、載置予定の車輌の幅程度(例えば若干幅広)に設定されている。
【0026】
分割テーブル10Aは、間隔を置いて配設される複数(図示例は四本)の長手方向梁11と、隣接する長手方向梁11を繋ぐ複数の短手方向梁12(図示例は、一列三個で五行の計十五本の短尺梁と、最外周の一本の長尺梁)とが相互に溶接接合されることにより形成される型鋼材フレームと、型鋼材フレームの天端に溶接接合される天端面材13とを少なくとも有する。図示例の長手方向梁11と短手方向梁12は同一の断面寸法を有するH形鋼により形成され、天端面材13は平鋼により形成されている。尚、長手方向梁と短手方向梁が溝形鋼等の他の型鋼材により形成されてもよい。
【0027】
分割テーブル10Aの一端10aには、その短手方向の幅に相当する長さの溝形鋼からなる端部材14が、各長手方向梁11の端部に溶接接合されている。そして、端部材14のウエブには、間隔を置いて二つの雄部材15と、二つの雌部材16のそれぞれの端部が溶接接合され、これらの部材が他方の分割テーブル10A側に突設している。一方の分割テーブル10Aの雄部材15が他方の分割テーブル10Aの雌部材16に嵌まり込むように、一方の分割テーブル10Aの有する雄部材15及び雌部材16と、これらに対応する他方の分割テーブル10Aの有する雌部材16及び雄部材15が、双方の端部材14のウエブに取り付けられている。図5に示すように、図示例のターンテーブル10においては、それぞれの分割テーブル10Aが二つの雄部材15と二つの雌部材16を有し、計四組の対応する雄部材15及び雌部材16が相互に嵌め合いされるようになっている。
【0028】
雄部材15は平鋼により形成され、図6(a)に示すように、平鋼の広幅面には、下方に開口を有する平面視U形の係合孔である第一貫通孔15aが開設されている。一方、雌部材16は、図6(b)に示すように、雄部材15が嵌まり込む隙間を備えた二枚の平鋼により形成され、各平鋼の対応する位置には、下方に開口を有する平面視U形の係合孔である第二貫通孔16aが開設されている。これら雄部材15の備える第一貫通孔15aと雌部材16の備える第二貫通孔16aは、回動軸部材40の上方から落とし込まれて回動軸部材40に回動自在に引っ掛けられるようになっている。尚、図示を省略するが、第一貫通孔と第二貫通孔が円形孔であり、回動軸部材40が双方の円形孔に側方から挿通される形態であってもよい。図5及び図6(b)に示すように、雌部材16を形成する二枚の平鋼には、当該平鋼に直交する平鋼により形成される補強リブ17が溶接接合されており、補強リブ17は端部材14のウエブにも溶接接合されている。雌部材16を形成する二枚の平鋼の間に雄部材15が嵌まり込んだ状態において、双方の第一貫通孔15aと第二貫通孔16aが位置合わせされることにより連通孔が形成される。
【0029】
図1に示すように、分割テーブル10Aのうち、他の分割テーブル10Aと連結される一端10aと反対の他端10b側の下面(型鋼材フレームの下端)には、回転自在に車輪18が取り付けられており、車輪18の近傍にはモータ20(駆動手段の一例)が配設されている。そして、モータ20の駆動軸20aと車輪18の回転軸18aは、伝達機構25を介して、モータ20の駆動力を車輪18に伝達自在に連結されている。
【0030】
ここで、図示例の伝達機構25は、スプロケット及びチェーンにより構成されているが、その他、伝達機構が駆動軸20aと回転軸18aの双方に取り付けられているギヤにより構成される形態であってもよい。図示例では、それぞれの分割テーブル10Aが他端10b側の下面に二つの車輪18を備え、それらの回転軸18aの軸心が車輪18の移動軌跡円L3(図2参照)の中心に向かうように配設され、各車輪18が伝達機構25を介して固有のモータ20にて回転駆動されるようになっている。尚、車輪18及びモータ20のユニット数は、図示例の二組以外にも、一組、三組以上の複数組であってもよいが、分割テーブル10Aの安定的な回転移動を保証する観点から複数組のユニット数が好ましい。
【0031】
図1図3及び図4に示すように、回転支持体30は、平面視円盤状の回転ベース31と、回転ベース31の周囲に配設されている平面視環状のベアリング機構35とを有する。
【0032】
図2乃至図4に示すように、回転ベース31の天端には、間隔をおいて、上方に突出する四つの突部材32が設けられており、各突部材32は対応する雄部材15及び雌部材16の側方に位置する。そして、各突部材32には、平面視円形の第三貫通孔32aが開設されている。
【0033】
ターンテーブル装置100は、設置場所において、例えば整地地盤上に砕石91を敷設し、砕石91上に均しコンクリート92を施工するとともに、ターンテーブル10の回転中心位置において回転支持体30の一部を固定する鉄筋コンクリート製の基礎50を施工し、さらに、車輪18の移動軌跡円L3に沿う環状で鉄筋コンクリート製の基礎55を施工する。そして、基礎55の上方に平鋼からなる走行盤60を配設し、アンカーボルト61を介して基礎55に対して走行盤60を固定し、中央の基礎50に対してアンカーボルト51を介して回転支持体30を固定する。
【0034】
次いで、図5に示すように、上方に突出する各突部材32の第三貫通孔32aに対して、鋼管や中実の円柱鋼棒等により形成される回動軸部材40をX1方向に挿通することにより、回動軸部材40を複数の第三貫通孔32aに設置する。次に、突部材32の側方に一方の分割テーブル10Aの雌部材16をX2方向に位置決めし、雌部材16の第二貫通孔16a(係合孔)を回動軸部材40に回動自在に引っ掛ける。この雌部材16に対して他方の分割テーブル10Aの雄部材15をX3方向に嵌め込み、雄部材15の第一貫通孔15a(係合孔)を回動軸部材40に回動自在に引っ掛ける。このように、雄部材15と雌部材16と突部材32が相互に位置決めされた状態において、それぞれの備える第一貫通孔15aと第二貫通孔16aと第三貫通孔32aが連通して連通孔を形成し、この連通孔に対して回動軸部材40が挿通されることにより、二つの分割テーブル10Aが回動軸部材40を介して相互に回動自在に連結され、ターンテーブル10が形成される。特に、図示例では、突部材32の第三貫通孔32aに設置されている回動軸部材40に対して、雄部材15の第一貫通孔15a(係合孔)と雌部材16の第二貫通孔16a(係合孔)が上方から落とし込まれて係合する形態であることから、回動軸部材40に対する双方の分割テーブル10Aの一端10aの回動自在な取り付けが容易となる。
【0035】
図示例は、二組の雄部材15と雌部材16と突部材32に亘り、回動軸部材40が挿通され、従って二本の回動軸部材40により二つの分割テーブル10Aが回動自在に連結されているが、共通する一本の回動軸部材により四組の雄部材15と雌部材16と突部材32が回動自在に連結されてもよい。
【0036】
図3及び図4に示すように、ベアリング機構35は、インナリング36と、アウタリング37と、インナリング36とアウタリング37の間に配設されている複数のボールベアリング38とを有する。周方向に配設されているボールベアリング38の間には、間座39が配設されている。そして、アウタリング37はその周方向に間隔を置いて複数のアンカーボルト51を備え、鉄筋コンクリート製の基礎50に対して各アンカーボルト51が埋設されることにより、アウタリング37が基礎50に固定される。
【0037】
一方、アウタリング37の内側において回転するインナリング36に対して、回転ベース31が溶接接合もしくはボルト接合により固定される。この構成により、回転性能に優れ、構造安定性に優れた回転支持体30によりターンテーブル10が回転可能に支持される。
【0038】
尚、図3及び図4に示すように、回転ベース31の中央位置には鉛直方向に貫通する中空33が設けられており、この中空33の下方位置である基礎50上に、スリップリング70が設置される。電源から複数の電気配線が延び(いずれも図示せず)、スリップリング70を介して各モータ20に電気配線が通じている。スリップリング70を適用することにより、ターンテーブル10が回転する際に、各モータ20に通じる電気配線が絡まることが解消される。
【0039】
図1に示すように、二つの分割テーブル10Aが回動軸部材40を介してピン結合されることによりターンテーブル10が構成されていることから、各分割テーブル10Aがそれぞれ、二つの支点R1(レール支点),支点R2(中央支点)を有する二点支持構造と、二つの支点R3(レール支点),支点R4(中央支点)を有する二点支持構造を有することとなり、従来のターンテーブルのように三点支持構造が解消される。
【0040】
そのため、ターンテーブル10上に例えば積載物を搭載した車輌Vが載置された際に、積載物の重量を含む車輌Vの全重量Wは車輌Vの重心Gの位置に応じて二つの按分重量W1,W2に按分されるものの、各按分重量W1,W2が確実に二点支持構造の各分割テーブル10Aに載荷されることになる。このことにより、従来の三点支持構造のターンテーブル装置のように車輌の重心位置に応じて一方の車輪が空回りし、ターンテーブルのスムーズな回転が阻害されるといった課題は生じない。
【0041】
また、ターンテーブル装置100を構成するターンテーブル10が二つの分割テーブル10Aに分割されることから、ターンテーブル装置100の設置に際してターンテーブル10をはじめとする構成部材を搬送する際の搬送性や設置の際の組み付け性が良好になる。特に、図示例のターンテーブル10は、平面視略矩形の分割テーブル10Aにより形成されることから、平面視円盤状(この場合の分割テーブルの平面視形状は半円盤状)のターンテーブルに対してその搬送性や組み付け性は一層良好になる。
【0042】
さらに、ターンテーブル装置100では、車輪18が移動する移動軌跡円に沿う環状の走行盤60が平鋼により形成されていることから、例えば溝形鋼等の型鋼材からなるレール内を車輪が移動する形態のように、現場にて飛散される砂利や石等がレール内に入り込み、レール内の掃除がし難いといった課題が生じることはなく、走行盤60上の清掃は極めて容易となる。また、溝形鋼等からなるレール内に入り込んだ石等により、車輪の回転が阻害され、ターンテーブルの回転が防止されるといった課題が生じる恐れはない。
【0043】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、また、本発明はここで示した構成に何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0044】
10:ターンテーブル
10A:分割テーブル
10a:一端
10b:他端
11:長手方向梁
12:短手方向梁
13:天端面材
14:端部材
15:雄部材
15a:第一貫通孔(係合孔)
16:雌部材
16a:第二貫通孔(係合孔)
17:補強リブ
18:車輪
18a:回転軸
20:駆動手段(モータ)
25:伝達機構(スプロケット・チェーン)
30:回転支持体
31:回転ベース
32:突部材
32a:第三貫通孔
33:中空
35:ベアリング機構
36:インナリング
37:アウタリング
38:ボールベアリング
40:回動軸部材
50,55:基礎
60:走行盤
70:スリップリング
80:進入・退出スロープ
100:ターンテーブル装置
L1:長手方向
L2:短手方向
L3:移動軌跡円
V:車輌
G:重心
T1:前輪
T2:後輪
W:車輌重量
W1,W2:按分重量
R1、R2,R3,R4:支点
図1
図2
図3
図4
図5
図6