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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】多孔質顆粒の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20230804BHJP
   A23P 10/40 20160101ALI20230804BHJP
   A23P 10/20 20160101ALI20230804BHJP
   A23P 10/30 20160101ALI20230804BHJP
【FI】
A23L5/00 D
A23P10/40
A23P10/20
A23P10/30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019057385
(22)【出願日】2019-03-06
(65)【公開番号】P2020141648
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000210067
【氏名又は名称】池田食研株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大隅 賢
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-018005(JP,A)
【文献】特開2013-223480(JP,A)
【文献】特開2004-313001(JP,A)
【文献】特表2002-504065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L、A23P
(57)【特許請求の範囲】
【請求項5】
ラクトース主剤とする多孔質顆粒であって、
ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、寒天又はペクチンの少なくとも1つを分散質とし、ラクトース含むヒドロゲルを減圧乾燥したキセロゲルからなり、分散質が顆粒全体の3~15重量%である、非球形多孔質顆粒。
【請求項8】
圧縮度が25以、Hausner比が1.00~1.34である、請求項記載の油吸着顆粒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質顆粒の製造方法及び該方法により得られる多孔質顆粒、油吸着顆粒及びその製造方法、並びに該油吸着顆粒を含む食品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1で、溶解性が良く、油吸着能のある多孔質顆粒及びその製造方法が知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5276199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、溶解性が良く、物質を吸着させることが可能な多孔質顆粒であって、高い収率で多孔質顆粒を製造することができる製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために検討した結果、ラクトース、グルコース、糖アルコール、塩、アミノ酸及びアミノ酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1つを含む粉末と、分散質を含む溶液とを混合し、固体状のヒドロゲルとした後、細切し、減圧乾燥、及び篩別することで、多孔質であり、溶解性が良く、物質を吸着できる優れた顆粒を高収率で効率的に製造できることを見出し、本発明に至った。
【0006】
すなわち本発明は、以下の[1]~[9]の態様に係る。
[1]
主剤としてラクトース、グルコース、糖アルコール、塩、アミノ酸又はアミノ酸塩の少なくとも1つを含む粉末と、分散質としてゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、寒天又はペクチンの少なくとも1つを含む溶液とを混合し、冷却により、固体状のヒドロゲルとした後、細切し、減圧乾燥及び篩別工程を含むことにより得られる、非球形多孔質顆粒の製造方法。
[2]
分散質を5~15重量%含む溶液を用いる、[1]に記載の製造方法。
[3]
粉末と、分散質を含む溶液との重量比が、40~60:60~40である、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]
多孔質顆粒の空隙容量が顆粒全体の38~57容量%である、[1]~[3]の何れかに記載の製造方法。
[5]
ラクトース、グルコース、糖アルコール、塩、アミノ酸又はアミノ酸塩の少なくとも1つを主剤とする多孔質顆粒であって、
ゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、寒天又はペクチンの少なくとも1つを分散質とし、ラクトース、グルコース、糖アルコール、塩、アミノ酸又はアミノ酸塩の少なくとも1つを含むヒドロゲルを減圧乾燥したキセロゲルからなる、非球形多孔質顆粒。
[6]
分散質が顆粒全体の3~15重量%である、[5]に記載の多孔質顆粒。
[7]
空隙容量が顆粒全体の38~57容量%である、[5]又は[6]に記載の多孔質顆粒。
[8]
[5]~[7]に記載の多孔質顆粒に油溶性物質を吸着させた、油吸着顆粒。
[9]
圧縮度が25以上、Hausner比が1.00~1.34である、[8]記載の油吸着顆粒。
【発明の効果】
【0007】
本発明の多孔質顆粒の製造方法は、煩雑な工程が無く、簡便であることに加え、特殊な設備が不要で、収率が高いため、製造コストが抑えられる。更に、該製造方法によって得られる顆粒は、多孔質の構造を有しているため溶解性に優れ、かつ優れた物質能力を有しており、油溶性物質吸着後の流動性に優れ、更に多孔質構造ながら十分な強度を兼ね備えている。その上、篩別工程で微粉末が発生し難く、多孔質顆粒の収率を高めることができる。
本発明の油吸着顆粒は、油溶性物質吸着時に乳化剤が不要なため油溶性物質自体の風味を損なうこと無く保持しており、流動性が高く、流通過程で衝撃を受けても潰れ難いため油漏れし難く、更に水や湯に添加した際は速やかに溶解することができる優れた溶解性を有している。加えて、その製造方法においても、油溶性物質と顆粒との添加方法や順番に制限は無く、一般的な方法で混合して、高い油吸着量を実現できる。
更に、該油吸着顆粒を含む食品は流動性が高く、簡便に該食品を製造できるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に記載の多孔質顆粒は、主剤としてラクトース、グルコース、糖アルコール、塩、アミノ酸又はアミノ酸塩の少なくとも1つを含む粉末と、分散質としてゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、寒天又はペクチンの少なくとも1つを含む溶液とを混合し、冷却により、固体状のヒドロゲルとした後、細切し、減圧乾燥及び篩別工程を含むことで得られる。
【0009】
本発明に用いられる粉末は、ラクトース、グルコース、糖アルコール、塩、アミノ酸及びアミノ酸塩からなる群より選ばれた少なくとも一つを主剤をして含む粉末であれば特に限定されず、単独又は2つ以上を組み合わせて使用することができ、20℃での水100mLに対する溶解度は好ましくは多くとも100g、より好ましくは5~100g、さらに好ましくは10~80gである。例えば、ラクトース、グルコース、糖アルコール、塩、溶解度が多くとも100gであるアミノ酸又はその塩が例示でき、ラクトース、エリスリトール又は塩が好ましい。塩は特に限定されず、天然塩でも塩化ナトリウムでも塩化カリウムでも良い。20℃の水100mLに対する溶解度は、ラクトースが16.1g、グルコースが100g、塩化ナトリウムが35.8g、グリシンが22.5g、セリンが38.0g、グルタミン酸ナトリウムが60.0gである。該粉末を用いれば、多孔質顆粒が得られ、溶解性に優れると共に、物質吸着能が優れている。溶解度が100より大きい原料、例えばショ糖を用いると、発泡するため減圧乾燥が困難で、更に原料の溶解度が高いため、目的の多孔質顆粒が得られない。20℃での水100mLに対する溶解度が多くとも100gであれば、ラクトース、グルコース、糖アルコール、塩、アミノ酸又はアミノ酸塩以外のその他の粉末を混合することもできるが、ラクトース、グルコース、糖アルコール、塩、アミノ酸及びアミノ酸塩からなる群より選ばれた少なくとも一つが、粉末全体を100重量%とした場合に好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90重量%、さらに好ましくは少なくとも95重量%、特に好ましくは少なくとも99重量%であれば、多孔質顆粒が得られ、溶解性に優れると共に、油溶性物質吸着能が優れている。
【0010】
本発明に用いられる分散質を含む溶液は、分散質としてゼラチン、ジェランガム、カラギーナン、寒天又はペクチンの少なくとも1つを含む溶液であれば特に限定されず、単独又は2つ以上を組み合わせて使用することができるが、口溶け等の溶解性が最も良い点でゼラチンが好ましい。該溶液は、前記粉末との混合後、冷却により固形化できる量の分散質を含んでいれば良いが、分散質を3~15重量%含むのが好ましく、4~13重量%がより好ましく、5~12重量%がさらに好ましい。本発明で用いる粉末と分散質を含む溶液との重量比は、本発明の多孔質顆粒が製造できる重量比であれば特に限定されないが、粉末:分散質を含む溶液=40~60:60~40が好ましい。乾燥後の多孔質顆粒において、分散質が多孔質顆粒全体の3~15重量%となるように加えるのが好ましく、4~14重量%がより好ましく、5~12重量%がさらに好ましい。分散質の含有量が少な過ぎると強度のあるゲルができず、細切ができないため、多孔質顆粒が製造できないが、一方で多過ぎると、多孔質顆粒自体の溶解性が悪くなり、本発明の顆粒が得られない。
【0011】
本発明では、粉末と分散質を含む溶液とを混合し、冷却により、固体状のヒドロゲルとした後、細切する工程を有する。冷却時には、前記混合物を容器に入れ、混合物が固まる温度で冷却すればよく、冷却温度は常温、冷蔵温度又は氷点下の何れでも良い。ヒドロゲルは固体のため、冷凍又は乾燥により固形化した凍結物又は乾燥物にしなくても形状を維持できるため、そのまま、ミンチ機、チョッパー、裁断機、粉砕機等により細切することができる。
【0012】
本発明では、細切したヒドロゲルを、減圧乾燥する工程及び篩別する工程を含んでいれば良く、細切後に篩別し減圧乾燥しても良く、細切後に減圧乾燥し篩別しても良く、減圧乾燥後にさらに細かく砕いて篩別しても良い。細切したヒドロゲルを乾燥することで、乾燥後にさらに細かく砕く工程を含む場合であっても、最終的な篩別工程で微粉末が発生し難く、多孔質顆粒の収率を高めることができる。
【0013】
減圧乾燥は、通常の方法で減圧乾燥すれば特に限定されないが、減圧乾燥前に予備凍結しても良く、真空凍結乾燥で乾燥しても良い。減圧乾燥することにより、ヒドロゲル中の水が除去され、空隙を持つ網目構造となったキセロゲルとなり、本発明の多孔質顆粒として使用できる。多孔質顆粒の空隙容量は、顆粒全体の好ましくは38~57容量%、より好ましくは40~55容量%である。該顆粒は、多孔質であり、溶解性に優れると共に、物質吸着能が優れており、更に多孔質構造ながら十分な強度も兼ね備えている。
【0014】
本発明の多孔質顆粒は、非球形であれば特に限定されないが、多孔質顆粒の粒子径は、好ましくは100μm~20mm、より好ましくは200μm~10mm、更に好ましくは300μm~5mmであり、篩別して得ることができる。篩別には、前記粒子径を得るために最適な目開きを有するJIS規格Z8801-1:2006のふるいを使用することができる。
【0015】
本発明の多孔質顆粒は、種々の素材と組み合わせる基材として用いることができる。例えば、油吸着用の基材である油吸着用顆粒として利用すれば、油吸着顆粒が得られ、粉末と組み合わせて利用すれば、調味料、色素、野菜、果実、香辛料、薬剤等の粉末を多孔質中に保持させた粉末保持顆粒が得られ、油と粉末とを組合せて吸着させてもよい。
【0016】
多孔質顆粒に吸着させる油溶性物質としては、多孔質顆粒を溶解しない物質であれば特に限定されず、例えば、油脂であれば常温で液体でも固体でも良く、脂溶性ビタミン、油性香料、油性色素でも良い。常温で液体の油では、ごま油、サラダ油、しらしめ油、コーン油、大豆油、菜種油(キャノーラ油)、こめ油、糠油、小麦胚芽油、椿油、ベニバナ油、ヤシ油(パーム核油)、綿実油、ひまわり油、エゴマ油、アマニ油、オリーブオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボカドオイル、ヘーゼルナッツオイル、ウォルナッツオイル、グレープシードオイル、マスタードオイル、レタス油、魚油、鯨油、鮫油、肝油等が例示でき、常温で固体の脂では、カカオバター、ピーナッツバター、パーム油、ラード(豚脂)、ヘット(牛脂)、鶏油、兎脂、羊脂、馬脂、シュマルツ、ショートニング等が例示できる。更に、水分含量を好ましくは多くとも10重量%、より好ましくは多くとも7重量%、更に好ましくは多くとも4重量%に調整したバター又はマーガリン等が例示できる。その上、顆粒に吸着させる油溶性物質は、顆粒を溶解しなければ、混合物中の油溶性物質でも良い。本発明の多孔質顆粒は、油吸着能が高く、特に今まで保持が困難だった常温で液体の油脂も吸着させることができる。
【0017】
本発明では、前記の多孔質顆粒と前記の油溶性物質とを混合して流動性の良い油吸着顆粒を得ることができ、混合時には特段の注意点は無く、多孔質顆粒と油溶性物質との添加方法及び順番は特に限定されず、多孔質顆粒に油溶性物質を添加しても良く、油溶性物質に多孔質顆粒を添加しても良いが、多孔質顆粒に油溶性物質を添加する方が一般的であり、より簡便に流動性の良い油吸着顆粒を得られる。多孔質顆粒と油溶性物質との混合割合は、多孔質顆粒が油溶性物質を吸着できる量であれば特に限定されないが、好ましくは油吸着顆粒全体を100重量%として、多くとも油溶性物質40重量%であり、より好ましくは多くとも油溶性物質35重量%である。油溶性物質が固体であれば、多孔質顆粒との混合前又は混合時に、油溶性物質が液状になる程度に加熱する。油吸着顆粒は、多孔質顆粒が油を吸着、含有又は保持している顆粒である。
【0018】
本発明の多孔質顆粒を使用して、油吸着顆粒を含む食品を製造することができる。例えば、予め油溶性物質を吸着させた油吸着顆粒と顆粒を溶解しない食品とを混合して、流動性の良い油吸着顆粒含有食品を製造することができる。顆粒を溶解しなければ混合する食品は特に限定されないが、水分含量が好ましくは多くとも10重量%、より好ましくは多くとも7重量%、更に好ましくは多くとも4重量%の食品である。例えば固形(粉末、顆粒、小片状、ブロック状など)食品、調味料、香辛料、砂糖又は甘味料と油吸着顆粒とを混合して油吸着顆粒を含む食品を製造することができ、油吸着顆粒含有調味料、油吸着顆粒含有糖、油吸着顆粒含有菓子、油吸着顆粒含有飲料、油吸着顆粒含有健康食品が例示できる。具体的には即席ラーメンの通常別添の油脂を吸着させた油吸着顆粒を粉末スープに混ぜた油吸着顆粒入り乾燥ラーメンスープを製造することで、塊にならず流動性に優れた乾燥ラーメンスープを製造でき、喫食時に手が汚れず、喫食時の煩雑性が無い。また、ごま油等を吸着させた油吸着顆粒と粉末調味料とでふりかけやチャーハンの素を製造すれば、簡便にごま油風味を楽しむことができ、一方、香料を吸着させた油吸着顆粒をコーヒーや紅茶用の砂糖に混ぜた香味糖を製造すれば、フレーバーコーヒーやフレーバーティーを楽しむこともでき、脂溶性ビタミンを含ませた油吸着顆粒を健康食品としても利用できる。
更に、顆粒を溶解しない油溶性物質含有物と本発明の多孔質顆粒とを混合して流動性の良い油吸着顆粒含有食品を製造することができる。顆粒を溶解しなければ混合する油溶性物質含有物は特に限定されないが、該含有物中の水分含量は好ましくは多くとも10重量%、より好ましくは多くとも7重量%、更に好ましくは多くとも4重量%である。油溶性物質含有物は、油溶性物質ベースであれば形状は限定されず、固形、ペースト状又は液状の食品であり、例えば、チョコレート、ごまペースト、ナッツペースト、ルウ、水分を前記含量に調整したマヨネーズ等が例示でき、粘度が高い食品でも良い。油溶性物質含有物と本発明の多孔質顆粒とを混合すると、該含有物中の油溶性物質が顆粒に吸着し、顆粒チョコレート等の油吸着顆粒含有菓子又は飲料、油吸着顆粒含有調味料、油吸着顆粒含有トッピング等の流動性の良い油吸着顆粒含有食品を製造することができる。常温で固体の油を含む油溶性物質含有物であれば、多孔質顆粒との混合前又は混合時に、該含有物が液状になる程度に加熱する。油溶性物質含有物と多孔質顆粒との混合比は、該含有物中の油溶性物質が多孔質顆粒に吸着し、流動性のある食品が得られる混合比であれば特に限定されないが、該含有物中の油溶性物質重量を1とした場合に、多孔質顆粒が少なくとも1.5であることが好ましく、少なくとも2.0であることがより好ましい。
【0019】
本発明の油吸着顆粒又は油吸着顆粒を含有する食品は、流動性が良ければ特に限定されないが、好ましくは圧縮度が25以下、Hausner比が1.00~1.34、より好ましくは圧縮度が20以下、Hausner比が1.00~1.25である。圧縮度及びHausner比とは、第十六改正日本薬局方の1981「粉体の流動性 2.圧縮度及びHausner比測定法」に記載の方法により算出できる値で、本発明では、直径15mmで25mLのメスシリンダーに、油吸着顆粒をかさ体積が25mLになるように充填し、10回以上、かさ体積変化が生じなくなるまでタップした後、最終のかさ体積を測定して、「疎充填時のかさ体積(V0)」と「これ以上のかさ体積変化が生じなくなるまで試料をタップした後の最終かさ体積(Vf)」から次式により算出する。また、第十六改正日本薬局方の1981「粉体の流動性 2.圧縮度及びHausner比測定法」の「表2 流動性の尺度」に記載されている流動性の尺度を、表1に示した。
【0020】
【数1】
【0021】
【数2】
【0022】
【表1】
【実施例
【0023】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。尚、本発明において、各原料及び素材の%は別記がない限り全て重量%である。
【実施例1】
【0024】
ゼラチンと水とを混合し、80℃に加温してゼラチン溶液を調製した後、ラクトースを添加して混合したものを、トレイに入れ、冷却して固体状のヒドロゲルとした後、常温で1.1mmのチョッパーにて細い円筒形状に細切した。細切したヒドロゲルを減圧乾燥して得た乾燥固形物をブレードミルにて粉砕し、ふるいを用いて、8.6メッシュ(公称目開き2.0mm)パス42メッシュ(公称目開き355μmのふるい)オンさせて、多孔質顆粒(製品)を得た。また、42メッシュパス品(非製品)も回収した。実施例1-1及び1-2として、ゼラチン、水及びラクトースの量を変えて実施し、原料重量、ゼラチン溶液中のゼラチン濃度、固形分(ラクトースとゼラチンとの合計)に占めるゼラチン割合、処理方法及び算出した収率を表2にまとめた。
【0025】
[比較例1]
特許文献1記載の方法に従い、澱粉0.3gと水31.4gとを混合し、80℃に加温して澱粉溶液を調製した後、ラクトース68.3gを添加して混合したものを、トレイに入れ、常法により減圧乾燥して得た乾燥固形物をブレードミルにて粉砕し、ふるいを用いて、8.6メッシュ(公称目開き2.0mmのふるい)パス42メッシュ(公称目開き355μmのふるい)オンさせて、多孔質顆粒(製品)を得た。また、42メッシュパス品(非製品)も回収し、原料重量、澱粉溶液中の澱粉濃度、固形分(ラクトースと澱粉との合計)に占める澱粉割合、処理方法及び算出した収率を表2にまとめた。
【0026】
【表2】
【0027】
表2より、製品となる42メッシュオン品の収率は、実施例1-1及び1-2は何れも85%以上だったのに対し、比較例1は60%以下だった。よって、本発明の方法により、従来の方法より製品収率を20%以上も高めることができることが分かった。
【実施例2】
【0028】
実施例1と同様の工程で、ゼラチン及び水の量を変えて実施例2-1~2-5として、実施し、得られた多孔質顆粒の溶解性試験を実施した。原料重量、溶液中のゼラチン濃度、固形分(ラクトースとゼラチンとの合計)に占めるゼラチン割合及び溶解性を表3にまとめた。
【0029】
[比較例2]
実施例1と同様の工程で、ゼラチン及び水の量を変えて比較例2-1及び2-2として、実施し、得られた多孔質顆粒の溶解性試験を実施した。原料重量、溶液中のゼラチン濃度、固形分(ラクトースとゼラチンとの合計)に占めるゼラチン割合及び溶解性を表3にまとめた。尚、比較例2-1は、冷却後に細切できるだけのゲル強度とならず、減圧乾燥工程に進めなかった。
【0030】
(溶解性試験)
各顆粒0.5gを70℃の100mL温水に加えてさじで2秒間混ぜた、直後又は1分後の溶液状態を評価した。
顆粒が溶解する場合は、まず、顆粒が水を吸収して崩壊することによって白濁し、次に、完全に溶解してクリアになった。一方、溶解しない場合は、顆粒が水を吸収しないため崩壊せず、上部で凝集したため、溶解性の評価は、○:「クリアな溶液」、△:「顆粒が崩壊して白濁」、×:「上部で凝集」とした。
【0031】
【表3】
【0032】
比較例2より、ラクトースと混合する溶液中のゼラチン濃度が2%以下であり、固形分に占めるゼラチン割合が2.4%以下の場合は、多孔質顆粒が得られないことが分かった。
また、表3より、溶液中のゼラチン濃度が16%以上であり、固形分に占めるゼラチン割合が16.7%以上の場合は、顆粒の溶解性が悪く、本発明の多孔質顆粒は得られないことが分かった。
一方、ラクトースと混合する溶液中のゼラチン濃度が4~12%であり、固形分に占めるゼラチン割合が4.8~13%の場合は、多孔質顆粒が得られると共に、溶解性にも優れていることが分かった。
【実施例3】
【0033】
実施例1-1で得られた多孔質顆粒に、ごま油を添加、混合し、油吸着顆粒を得た。油吸着顆粒について、段落[0020]に従い、「疎充填時のかさ体積(V0)」と「これ以上のかさ体積変化が生じなくなるまで試料をタップした後の最終かさ体積(Vf)」を各5回ずつ測定して、圧縮度及びHausner比を求め、各平均値を算出した。原料重量、圧縮度、Hausner比及び表1に基づく流動性の尺度を表4にまとめた。
【0034】
【表4】
【0035】
表4より、油吸着顆粒全体を100重量%として、油溶性物質を40%吸着させても、極めて良好な流動性を有する顆粒が得られることが分かった。