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特許7325095遊技機用演出装置及びこれを備えた遊技機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】遊技機用演出装置及びこれを備えた遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20230804BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
A63F7/02 326Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019125527
(22)【出願日】2019-07-04
(65)【公開番号】P2021010478
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】591150270
【氏名又は名称】日本ぱちんこ部品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山之内 正樹
(72)【発明者】
【氏名】土屋 翔
(72)【発明者】
【氏名】足立 義一
【審査官】進藤 利哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-110991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体部に備えた基板と、前記装置本体部より移動可能に設けられた可動体に備えた
電気部品が配線接続される遊技機用演出装置であって、
前記装置本体部に対して第一位置と前記第一位置より変位した第二位置との間を移動可能に設けられた前記可動体と、
前記配線の余剰分を前記装置本体部内に収納する余剰配線収納空間部と、
前記余剰配線収納空間部内で前記配線をS字状に湾曲して誘導する配線誘導部材と、を備え、
前記配線誘導部材は、前記可動体が第一位置にあるとき前記余剰配線収納空間部内で前記配線の余剰分をS字状の湾曲の度合いが大きくなるように誘導し、前記可動体の第一位置から第二位置への変位に応じてS字状の湾曲の度合いが小さくなるように誘導するとともに、
前記配線誘導部材は、正逆回転可能に軸支された一対の平行な作用部を備えており、前記作用部間に形成される通過孔を通過する前記配線がS字状になるように所定方向に付勢されていることを特徴とする遊技機用演出装置。
【請求項2】
前記余剰配線収納空間部は、前記配線の一方の湾曲をガイドする第一ガイド壁と、前記配線の他方の湾曲をガイドする第二ガイド壁が湾曲形成されており、前記配線が前記第一ガイド壁及び前記第二ガイド壁に沿ってS字状に誘導される請求項記載の遊技機用演出装置。
【請求項3】
前記装置本体部側を配線方向上流側、前記可動体側を配線方向下流側とすると、前記余剰配線収納空間部より配線方向上流側の前記装置本体部に固定される第一配線固定部及び前記余剰配線収納空間部より配線方向下流側の前記可動体に固定される第二配線固定部が設けられており、前記第一配線固定部と前記第二配線固定部との間の余剰配線が前記余剰配線収納空間部に収納される請求項1又は請求項2のいずれかに記載の遊技機用演出装置。
【請求項4】
前記配線は、前記装置本体部の基板と前記可動体に備えた電気部品とを電気的に接続するフレキシブルフラットケーブルである請求項1乃至請求項のいずれかに記載の遊技機用演出装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の遊技機用演出装置を備えたことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遊技機用演出装置及びこれを備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機などの遊技機は、球受け皿に貯留された遊技球を球発射装置の発射位置へ誘導し、前枠又は内枠に設けた発射ハンドルの操作により球発射装置を作動させて遊技盤の遊技領域に向かって遊技球を発射させる。遊技盤は、液晶表示装置やその周囲に演出効果を高めるために役物が配置され、液晶表示装置の画面表示と連動して役物が移動及び発光する演出装置が用いられる。
【0003】
上記演出装置に設けられた役物には発光装置等が搭載されており、例えば大当たり抽選画面に合わせて役物が移動(回転・往復動等)しながら発光することにより、遊技者の興趣を増大させて、液晶画面表示の装飾効果を高めている。役物や液晶表示装置に給電する配線(フレキシブルフラットケーブル)が接続されている。この役物を構成する可動体が変位する際に、配線(フレキシブルフラットケーブル)の余剰分が可動体と接触したり弛みにより可動体と干渉して動きに支障が発生したりするおそれがある。また、フレキシブルフラットケーブルは、負荷がかかると損傷し易く、テンションの増大や曲げ等による断線が発生し易く、これらを解消するための工夫が必要となる。
【0004】
例えば、ゼンマイが設けられたボビンにフレキシブルフラットケーブルの一端が巻き取られた巻取装置を設け、フレキシブルフラットケーブルの他端は可動役物と接続され、フレキシブルフラットケーブルに常時巻き取る方向にテンションを発生させる遊技機が提案されている(特許文献1:特開2017-113416号公報)。
また、可動体に設けられた可動側中継基板と遊技盤の背後に設けられた固定中継基板とが配線接続され、これらの間に筐体状の配線保持ユニットを設け、該配線保持ユニット内を配線支持部材に案内されてU字状に引き回されている。配線支持部材は軸部を中心に回動可能に支持されており、引張ばねにより配線保持ユニット内で配線が張った状態で引き回されるように常時付勢されている(特許文献2:特許第6034246号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-113416号公報
【文献】特許第6034246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に開示された遊技機は、ゼンマイによりフレキシブルフラットケーブルをボビンに完全に巻き取る構造であるために常時ケーブルに強いテンション(負荷)がかかった状態となるため、接続部に負荷がかかりケーブルが断線するおそれがある。また、可動体にも常時負荷がかかった状態となるため、可動体の変位動作に支障をきたすおそれがある。
特許文献2に開示された遊技機は、配線保持ユニット内の引き回し空間を利用して配線支持部材を介して配線をU字状に引き回しているため、広い配線空間が必要となる。配線をU字状に引き回すために配線支持部材の最大移動位置を規制する必要があり、より確実なケーブルの線長の調整が必要となる煩わしさがある。
【0007】
以下に述べるいくつかの実施形態に適用される開示は、上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、装置本体部と可動体を接続する配線の余剰分を当該可動体の変位に即応してコンパクトに収容することができる遊技機用演出装置を提供し及び該遊技機用演出装置を備えることで、可動体の変位動作に支障をきたすことなく演出効果を高めて遊技者の興趣を増大させることが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に述べるいくつかの実施形態に関する開示は、少なくとも次の構成を備える。
装置本体部に備えた基板と、前記装置本体部より移動可能に設けられた可動体に備えた電気部品が配線接続される遊技機用演出装置であって、前記装置本体部に対して第一位置と前記第一位置より変位した第二位置との間を移動可能に設けられた前記可動体と、前記配線の余剰分を前記装置本体部内に収納する余剰配線収納空間部と、前記余剰配線収納空間部内で前記配線をS字状に湾曲して誘導する配線誘導部材と、を備え、前記配線誘導部材は、前記可動体が第一位置にあるとき前記余剰配線収納空間部内で前記配線の余剰分をS字状の湾曲の度合いが大きくなるように誘導し、前記可動体の第一位置から第二位置への変位に応じてS字状の湾曲の度合いが小さくなるように誘導することを特徴とする。
このように、配線誘導材は、可動体が第一位置にあるとき配線の余剰分を余剰配線収納空間部内でS字状の湾曲の度合いが大きくなるように誘導し、可動体の第一位置から第二位置への変位に応じてS字状の湾曲の度合いが小さくなるように誘導するので、装置本体部と可動体を接続する配線の余剰分を当該可動体の変位に即応してコンパクトに収容することができる。
【0009】
前記配線誘導部材は、正逆回転可能に軸支された一対の平行な作用部を備えており、前記作用部間に形成される通過孔を通過する前記配線がS字状になるように所定方向に付勢されていてもよい。
これによれば、一対の平行な作用部が所定方向に付勢されていることで作用部間の通過孔を通過する配線が作用部の傾きに伴って所定方向に傾き、配線の余剰分を余剰配線収納空間部内でS字状に誘導することができる。
【0010】
前記余剰配線収納空間部は、前記配線の一方の湾曲をガイドする第一ガイド壁と、前記配線の他方の湾曲をガイドする第二ガイド壁が湾曲形成されており、前記配線が前記第一ガイド壁及び前記第二ガイド壁に沿ってS字状に誘導されるのが好ましい。
これにより、配線の一方の湾曲を第一ガイド壁でガイドし配線の他方の湾曲を第二ガイド壁でガイドすることで配線をS字状に誘導し易く、余剰配線をコンパクトに収納することができる。
【0011】
前記装置本体部側を配線方向上流側、前記可動体側を配線方向下流側とすると、前記余剰配線収納空間部より配線方向上流側の前記装置本体部に固定される第一配線固定部及び前記余剰配線収納空間部より配線方向下流側の前記可動体に固定される第二配線固定部が設けられており、前記第一配線固定部と前記第二配線固定部との間の余剰配線が前記余剰配線収納空間部に収納されることが望ましい。
これにより、第一配線固定部と装置本体部、第二配線固定部と可動体を接続する配線に弛みは発生せず、可動体の移動に伴うテンションが作用することは無くなる。
また、第一配線固定部と第二配線固定部との間の限られた配線長を余剰分としてコンパクトに余剰配線収納空間部に収納することができる。
【0012】
前記配線は、前記装置本体部の基板と前記可動体に備えた電気部品とを電気的に接続するフレキシブルフラットケーブルであってもよい。
この場合、可動体が移動しても厚さが薄いフレキシブルフラットケーブルに作用する負荷が少ないので、ケーブルが損傷するおそれは無くなる。
【0013】
上述したいずれかの遊技機用演出装置を備えた遊技機にあっては、演出効果を高めて遊技者の興趣を増大させることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
装置本体部と可動体を接続する配線の余剰分を当該可動体の変位に即応してコンパクトに収容することができる遊技機用演出装置を提供することができる。
また、上記遊技機用演出装置を備えることで、演出効果を高めて遊技者の興趣を増大させることが可能な遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】パチンコ機の正面図である。
図2図1の遊技機用演出装置の動作前の状態を示す垂直部分断面図である。
図3図1の遊技機用演出装置の動作後の状態を示す垂直部分断面図である。
図4図1の遊技機用演出装置の可動部の駆動伝達機構の一例を示す斜視図である。
図5図1の遊技機用演出装置の可動体の動作前の状態を示す水平断面図である。
図6図1の遊技機用演出装置の可動体の動作後の状態を示す水平断面図である。
図7】余剰配線収納空間部の構成を示す分解斜視図である。
図8】他例にかかる作用部の構成を示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明を実施するための一実施形態について添付図面に基づいて詳細に説明する。図1を参照して本実施形態に係る遊技機用演出装置及び遊技機の概略構成について説明する。本実施例としては、遊技機の一例としてパチンコ機について説明するものとする。
【0017】
先ずパチンコ機1の概略構成について説明すると、図1においてパチンコ機1の外形をなす矩形状の外枠2の側部に対して内枠ヒンジ3a,3bにより内枠(図示せず)が開閉可能に取り付けられ、該内枠の側部に対して前枠ヒンジ4a,4bにより前面枠5が開閉可能に取り付けられている。また、前面枠5の開放側にはシリンダ錠5aが設けられている。図示しないキーを鍵穴に挿入して回転操作することでシリンダ錠5aの開錠施錠が行われる。シリンダ錠5aはキーを差し込んで一方向へ回転させると外枠2と内枠の施錠が開錠され、他方向へ回転させると前面枠5と内枠の施錠が開錠するようになっている。
【0018】
前面枠5の後方には遊技盤6を備えた遊技盤ユニットが設けられている。遊技盤6には液晶表示装置7(図柄表示装置)が一体に組み付けられている。前面枠5の中央には開口窓5bが形成され、ガラス板等の透明板を介して遊技領域6aが視認可能となっている。開口窓5bの上方には装飾ランプ8などが設けられている。また、開口窓5bの下方には、貸球や賞球を貯留して球発射装置(図示せず)へ遊技球を誘導する球受け皿9が設けられている。球受け皿9の背面側には、図示しない球発射装置が設けられている。球受け皿9の前面部右側には、操作部材10の操作量に応じて遊技球の発射力を調整するための発射ハンドル11が設けられている。球発射装置は、モータ或いはソレノイド駆動により槌が所定量変動して遊技球をガイドレール12に沿って遊技領域6aに打ち出すようになっている。また、球受け皿9の前面部中央部には、球受け皿9に貯留した遊技球を皿底部に設けられた開閉孔を開口させてドル箱等に排出する球抜きボタン13が設けられている。
【0019】
前面枠5の一部(図上開口窓5bの右端部)には、遊技機用演出装置14が装置手前側に移動可能に設けられている。遊技盤6の遊技領域6aの中央部にはセンター役物6bが設けられ、センター役物6bには液晶表示装置7が設けられている。遊技盤6の盤面上には、釘15、スルーチャッカー16、風車17、始動口18、アタッカー19(大入賞口)、一般入賞口20等が各々設けられている。遊技球が始動口18に入球すると、液晶表示装置7にて図柄等が変動して大当たり抽選が開始される。遊技機用演出装置14は液晶表示装置7の表示態様に応じて動作するようになっており、後述する可動体24が装置手前側に変位し、遊技者が押圧操作可能となったり、前後動を繰り返したりして液晶表示画面とタイミングを合わせて一気に前方に突出する演出表示を行うようになっている。また、液晶表示装置7に例えば「7,7,7」が表示されると「大当たり」となりアタッカー19が所定時間若しくは所定数の遊技球が入球するまで開口するようになっている。始動口18に複数の遊技球が入球すると、入球した遊技球の数をセンサ(図示せず)でカウントして所定数の保留球数を保留記憶する。液晶表示装置7は、保留球の数だけ抽選動作を継続するようになっている。また、遊技領域の最下端にはアウト球(始動口18、アタッカー19、一般入賞口20に入賞しなかった遊技球)を回収するアウト口21が設けられている。
【0020】
ここで、パチンコ機1の制御系について概略説明する。
パチンコ機1の背面側には図示しない主制御基板が設けられ、遊技動作を統括制御する。主制御基板は、CPU(Central Processing Unit)と、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、生成された処理情報の一時記憶および記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等が実装されており、CPUがROMに格納された各種プログラムやデータをRAMに読み出して実行することにより、遊技動作を統括制御する。主制御基板には図示しない球払出装置の払い出し動作を制御する払出制御基板、液晶表示装置7の画像表示を制御する画像処理基板、パチンコ機1に電源を供給する電源基板などが電気的に接続されて設けられており、主制御基板は後述する遊技機用演出装置14の動作を制御する。
【0021】
次に、遊技機用演出装置14の一例について、図1乃至図7を参照して説明する。
遊技機用演出装置14は、装置本体部22と装置本体部22に対して変位移動する可動体24とを備え、遊技者が可動体24を操作可能な演出装置として使用される。図2において、装置本体部22には遊技機用演出装置14の動作を制御する主制御基板(図示せず)と電気的に接続された中継基板23が設けられている。可動体24は、装置本体部22より装置手前側に往復動可能に設けられている。図5に示すように可動体24の装飾操作部24fには、LED等の電気部品が搭載された電飾基板24aが設けられている。中継基板23に設けられたコネクタ23aと電飾基板24aに設けられたコネクタ24dは、フレキシブルフラットケーブル25(以下単に「フラットケーブル」という)により配線接続されている。
【0022】
可動体24は、装置本体部22に近接した第一位置(図2参照)と第一位置より変位した第二位置(図3参照)との間を往復動可能に設けられ、第一位置(図2参照)のとき、装置本体部22および可動体24の装飾操作部24f以外は装飾カバー29に覆われている(図2図5参照)。
図2に示すように、装置本体部22には駆動源であるモータ22aが設けられている。モータ22aとしては、任意の回転量で正逆回転駆動することができるステッピングモータが好適に用いられる。図4に示すように、モータ22aのモータ軸にはモータ歯車22bが一体に組み付けられている。モータ歯車22bは、二段歯車22cの大径歯車22c1と噛み合っており、小径歯車22c2は二段歯車22dの大径歯車22d1と噛み合っている。二段歯車22dの小径歯車22d2は、円筒カム22fと一体に設けられたカム歯車22eと噛み合っている。
【0023】
図4において、円筒カム22fの外周には2条のスクリュー溝22gが長手方向に沿って形成されている。それぞれのスクリュー溝22gには、可動体24に取り付けられるガイドローラ24bが上下に位置して嵌まり込んでいる。各ガイドローラ24bはローラ取付部24cに回転可能に各々支持されている。ローラ取付部24cは可動体24に一体に組み付けられ可動体24と共に往復動する。
モータ22aを正転駆動すると、ガイドローラ24bがスクリュー溝22gに沿って溝内を転動するため、可動体24は、装置本体部22に近接した第一位置から装置手前側に突出する第二位置へ移動する。また、モータ22aを逆転駆動すると、ガイドローラ24bがスクリュー溝22g内を逆向きに転動するため、可動体24は、装置手前側に突出した第二位置から装置本体部22に近接した第一位置へ移動する。
【0024】
図2に示すように装置本体22には、円筒カム22fの両側に一対のガイド軸22hが平行に設けられている。一対のガイド軸22hは可動体24を貫通して組み付けられており、可動体24が第一位置と第二位置との間を直線往復動するのをガイドする(図3参照)。また、可動体24をガイド軸22hが貫通しているので、円筒カム22fのスクリュー溝22gに沿ってガイドローラ24bが転動する際に可動体24が連れ回りすることはない。また、可動体24は装置本体22の上下一対で設けられたスライドレール22pに沿って第一位置と第二位置との間を直線往復動するようになっている。
図5に示すように、可動体24の装置本体部22側端部には、検知片24eが設けられている。また、装置本体部22には、検知片24eに対応してフォトセンサ22iが配置されている。フォトセンサ22iは、可動体24が第一位置にあるとき検知片24eにより遮光される。このため、可動体24が原点位置(第一位置)にあることを検知して、中継基板23を介して主制御基板に情報を送ることができる。
【0025】
図5において、装置本体部22には、フラットケーブル25の余剰配線25a(余剰分)を収納する余剰配線収納空間部26が設けられている。この余剰配線収納空間部26内にはフラットケーブル25をS字状に湾曲して誘導する配線誘導部材27が設けられている。配線誘導部材27は、可動体24が第一位置にあるときフラットケーブル25の余剰配線25a(余剰分)を余剰配線収納空間部26内でS字状の湾曲の度合いが大きくなるように誘導して収納し、可動体24の第一位置から第二位置への変位に応じてS字状の湾曲の度合いが小さくなるように誘導する(図6参照)。
【0026】
このように、配線誘導部材27は、可動体24が第一位置にあるときフラットケーブル25の余剰配線25a(余剰分)を余剰配線収納空間部26内でS字状の湾曲の度合いが大きくなるように誘導し、可動体24の第一位置から第二位置への変位に応じてS字状の湾曲の度合いが小さくなるように誘導するので、装置本体部22と可動体24を接続するフラットケーブル25の余剰配線25a(余剰分)を当該可動体24の変位に即応してコンパクトに収容することができる。
【0027】
図7に示すように、配線誘導部材27には正逆回転可能に軸支される一対の回転板27aを連結するように設けられる一対の作用部27bを備えている。作用部27b間には配線(フラットケーブル25)が通過する通過孔27fが貫通形成されている。回転板27aの外側面には回転軸27cが突設されており、装置本体部22のベース部材22jに設けられた一対の軸受部22kにより、正逆いずれの方向にも回転可能に支持される。一対の回転板27aは作用部27b間(通過孔27f)を通過した配線(フラットケーブル25)の横ずれを防ぐガイドの役割を果たす。
【0028】
また、図7に示すように、一方の回転板27aの側面部には係止部27dが設けられており、対応する軸受部22kにも係止部22nが設けられている。回転軸27cには捩じりコイルばね27eのコイル部27e1が嵌め込まれて、一端27e2が係止部27dに係止され他端27e3が係止部22nに係止されて組み付けられる。
これにより、図5に示すように、配線誘導部材27が反時計回り方向に常時付勢されるため、作用部27bが所定方向に傾き、フラットケーブル25の余剰配線25a(余剰分)を余剰配線収納空間部26内でS字状の湾曲の度合いが大きくなるように誘導収納することができる。図5では、一対の作用部27bのうち左側の作用部27bがフラットケーブル25を押し下げるため、余剰配線収納空間部26内で余剰配線25a(余剰分)のS字状の湾曲の度合いが大きくなる。
【0029】
また、余剰配線収納空間部26は、図7に示すように、装置本体部22に組み付けられるガイド部材28と対向する装置本体部22のベース部材22jとの間に形成される。具体的には、ベース部材22jには第一ガイド壁22mが起立して湾曲形成されている。ガイド部材28には第二ガイド壁28aが垂下して湾曲成形され、第二ガイド壁28aに連なるように、可動部材24に接続するフラットケーブル25を案内するガイドリブ28bが突設されている。
【0030】
図5に示すように、フラットケーブル25は、第一ガイド壁22mに沿って右に凸形状に湾曲するようにガイドされ、ベース部材22j上に回転可能に軸支された回転板27aの作用部27b間の通過孔27fを配線経路として通過し、ガイド部材28の第二ガイド壁28aに沿って左に凸形状に湾曲するようにS字状に誘導される。また、フラットケーブル25は、ガイドリブ28bにより高さが押さえられて余剰配線収納空間部26から可動体24に向かって配線されている。これにより、回転板27aの作用部27b間の通過孔27fを配線経路とし余剰配線25aを通過させることで第一ガイド壁22m及び第二ガイド壁28aに沿ってS字状に誘導し易く、余剰配線25aをコンパクトに収納することができる。
【0031】
また、図5において、装置本体部22側を配線方向上流側、可動体24側を配線方向下流側とすると、フラットケーブル25は、余剰配線収納空間部26より配線方向上流側のベース部材22jと第二ガイド壁28aに挟み込まれて装置本体部22に固定される(第一配線固定部30a)。また、フラットケーブル25は余剰配線収納空間部26より配線方向下流側を可動体24の端部に固定具により固定される(第二配線固定部30b)。このように、第一配線固定部30aと第二配線固定部30bとの間のフラットケーブル25の余剰配線25aが、余剰配線収納空間部26に収納されるようになっている。
これにより、第一配線固定部30aと装置本体部22、第二配線固定部30bと可動体24を接続するフラットケーブル25に弛みは発生せず、可動体24の移動に伴うテンションが作用することは無くなる。また、第一配線固定部30aと第二配線固定部30b間の限られた長さのフラットケーブル25の余剰配線25a(余剰分)をコンパクトに余剰配線収納空間部26に収納することができる。
【0032】
上述した実施例は、配線として装置本体部22の中継基板23と可動体24に備えた電飾基板24aとを電気的に接続するフラットケーブル25を例示したが、通常の絶縁被膜に覆われた配線ケーブル等を用いてもよい。
尚、フラットケーブル25を用いた場合、可動体24が移動しても厚さが薄いフラットケーブル25に作用する負荷が少ないので、ケーブルが損傷するおそれは無くなる。
【0033】
次に遊技機用演出装置14の動作例について説明する。
可動体24は、図2若しくは図5に示すように、装置本体部22に対して近接した第一位置にある。このとき、可動体24の検知片24eがフォトセンサ22iを遮光した状態にある。またフラットケーブル25の第一配線固定部30aと第二配線固定部30b間の余剰配線25a(余剰分)は、図5に示すように余剰配線収納空間部26内で回転板27a間に設けられた作用部27bに押されてS字状の湾曲の度合いが大きくなるように誘導される。
【0034】
例えば、遊技球が始動口18に入賞したり、液晶表示装置7で大当たり抽選が開始されリーチ状態になったりすると、主制御基板から中継基板23を介して、モータ22aを起動して可動体24を装置手前側に前進移動させ、遊技者が操作可能状態になる。例えば、モータ22aを正転させると、円筒カム22fの外周に設けられたスクリュー溝22gに沿ってガイドローラ24bが転がり移動して可動体24が一対のガイド軸22hに沿って前進する(図3図6参照)。
このとき、可動体24の第一位置から第二位置への変位に応じて図6に示すように余剰配線収納空間部26内でフラットケーブル25の余剰配線25a(余剰分)が捩じりコイルばね27eの付勢に抗して引き出されるため、作用部27bによってS字状の湾曲の度合いが小さくなるように誘導される。そして、遊技者が前進移動した可動体24を押圧操作すると、可動体24のガイドローラ24bが円筒カム22fのスクリュー溝22gの溝壁を押すことにより円筒カム22fが逆回転して、可動体24が第一位置に変位復動し、検知片24eによりフォトセンサ22iが遮光されることで、抽選結果を可動体24の電飾基板24aを発光させたり点滅させたりして演出表示することができる。
尚、可動体24は、モータ22aを正逆回転させて、前進及び後退を繰り返し行わせてもよい。
【0035】
以上説明したように、装置本体部22と可動体24を接続するフラットケーブル25の余剰配線25a(余剰分)を当該可動体24の変位に即応してコンパクトに収容することができる遊技機用演出装置14を提供することができる。
また、上記技機用演出装置14を備えることで、遊技者の興趣を増大させて、演出効果を高めることが可能な遊技機を提供することができる。
【0036】
尚、配線誘導部材27は、一対の回転板27a間を作用部27bに連結された回転体が用いられていたが、これに限定されるものではない。例えば、図8(a)に示すように通過孔27fを有する枠体27gの幅方向両側に回転軸27cが突設されており、装置本体部22のベース部材22jに設けられた一対の軸受部22kによりシーソーのように傾動(正逆回転)可能に支持される。回転軸27cには図7と同様に捩じりコイルばね27eが嵌め込まれて、枠体27gは例えば反時計回り方向に付勢されて組み付けられる。この通過孔27fを通過する余剰配線25aをS字状に案内するようにしてもよい。
【0037】
図8(b)に示すように通過孔27fを有する枠体27gを構成する平行軸である一方の作用部27bの両側に回転軸27cが突設され、ベース部材22jに設けられた一対の軸受部22kにより他方の作用部27bが傾動(正逆回転)可能に支持される。回転軸27cには図7と同様に捩じりコイルばね27eが嵌め込まれて、枠体27gは例えば反時計回り方向に付勢されて組み付けられる。この場合、通過孔27fを通過する余剰配線25aを他方の作用部27bがS字状に案内するようにしてもよい。
【0038】
或いは図8(c)に示すように、板状部材27hの幅方向両側に回転軸27cが突設され、ベース部材22jに設けられた一対の軸受部22kにより一対の作用部27bが傾動(正逆回転)可能に支持される。板状部材27hには回転軸27cを中心として長手方向両側に一対の通過孔27fが形成され、長手方向両端部に平行軸である作用部27bが各々形成されている。回転軸27cには図7と同様に捩じりコイルばね27eが嵌め込まれて、板状部材27hは例えば反時計回り方向に付勢されて組み付けられる。この場合、一対の通過孔27fを通じて余剰配線25aをS字状に案内するようにしてもよい。
尚、余剰配線25aを案内する枠体27g或いは板状部材27hは剛性のある樹脂材等であってもよいが、板ばね状の弾性部材等であってもよい。
【0039】
また、フラットケーブル25を固定する第一配線固定部30a及び第二配線固定部30bは、ケーブルを完全固定する必要はなく、所定のテンションまでは移動せずに固定しそれ以上のテンションが作用した際にケーブルの移動を許容するように固定することが好ましい。これにより、フラットケーブル25の引き出し及び巻き取りに際して、予め余剰配線収納空間部26内に引き出し可能に定めたケーブル長に誤差等が生じてもフラットケーブル25に負荷が作用するのを回避し誤差を吸収することができる。
【0040】
また、遊技機用演出装置14は、液晶表示装置7の画面表示と連繋して演出表示させる場合について説明したがこれに限らず、液晶表示画面とは独立して動作するようにしてもよい。遊技機用演出装置14は、前面枠5側に設けられていたが、遊技盤6に設けたり、内枠ユニットの一部として設けたりしてもよい。
また、遊技機用演出装置14は、可動体24が装置本体部22に対してスライド変位するようにしたが、可動体24が装置本体部22に対して回動変位するようにしてもよい。
また、上述した実施形態は、遊技機の一例としてパチンコ機1について説明したが、他に例えば雀球遊技機やアレンジボール遊技機などの遊技球を使用する弾球遊技機、さらにはコインを遊技媒体とした回胴式遊技機などに適用してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 パチンコ機 2 外枠 3a,3b 内枠ヒンジ 4a,4b 前枠ヒンジ 5 前面枠 5a シリンダ錠 5b 開口窓 6 遊技盤 6a 遊技領域 6b センター役物 7 液晶表示装置 8 装飾ランプ 9 球受け皿 10 操作部材 11 発射ハンドル 12 ガイドレール 13 球抜きボタン 14 遊技機用演出装置 15 釘 16 スルーチャッカー 17 風車 18 始動口 19 アタッカー 20 一般入賞口 21 アウト口 22 装置本体部 22a モータ 22b モータ歯車 22c,22d 二段歯車 22c1,22d1 大径歯車 22c2,22d2 小径歯車 22e カム歯車 22f 円筒カム 22g スクリュー溝 22h ガイド軸 22i フォトセンサ 22j べース部材 22k 軸受部 22m 第一ガイド壁 22n,27d 係止部 22p スライドレール 23 中継基板 23a コネクタ 24 可動体 24a 電飾基板 24b ガイドローラ 24c ローラ取付部 24d コネクタ 24e 検知片 24f 装飾操作部 25 フラットケーブル 25a 余剰配線(余剰分) 26 余剰配線収納空間部 27 配線誘導部材 27a 回転板 27b 作用部 27c 回転軸 27e 捩じりコイルばね 27f 通過孔 27g 枠体 27h 板状部材 28 ガイド部材 28a 第二ガイド壁 28b ガイドリブ 29 装飾カバー 30a 第一配線固定部 30b 第二配線固定部
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8