(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】3次元ゲーム画像生成プログラム、3次元ゲーム画像生成装置および3次元ゲーム画像生成方法
(51)【国際特許分類】
A63F 13/5252 20140101AFI20230804BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20230804BHJP
【FI】
A63F13/5252
G06T19/00 300B
(21)【出願番号】P 2019188472
(22)【出願日】2019-10-15
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】519370430
【氏名又は名称】東 克也
(74)【代理人】
【識別番号】100110766
【氏名又は名称】佐川 慎悟
(74)【代理人】
【識別番号】100165515
【氏名又は名称】太田 清子
(74)【代理人】
【識別番号】100169340
【氏名又は名称】川野 陽輔
(74)【代理人】
【識別番号】100195682
【氏名又は名称】江部 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100206623
【氏名又は名称】大窪 智行
(72)【発明者】
【氏名】東 克也
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-128630(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0018868(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-98
G06T 19/00-20
G06F 3/048-04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立方体で構成されている基準空間をX・Y・Zの各軸方向に複数個配置して形成された仮想3次元ゲーム空間を、表示画像として生成するための3次元ゲーム画像生成プログラムであって、
X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のいずれかの方向に沿って撮影する仮想第1カメラによって、1つの基準空間の厚さと等しい厚さを有する第1撮影空間を平行投影図法に則して撮影した平行投影画像を取得する第1カメラ画像取得部と、
前記仮想第1カメラの撮影方向と同方向を撮影する仮想第2カメラよって、前記第1撮影空間の撮影方向奥側に連続する第2撮影空間を透視投影図法に則して撮影した透視投影画像を取得する第2カメラ画像取得部と、
前記仮想第1カメラで撮影された前記平行投影画像を前面側、前記仮想第2カメラで撮影された前記透視投影画像を背面側に配置して両画像を重ね合わせて表示画像を生成する表示画像生成部と
してコンピュータを機能させる、前記3次元ゲーム画像生成プログラム。
【請求項2】
前記第1撮影空間と前記第2撮影空間が撮影方向に対して前記基準空間の厚さの1/2倍より薄い空間内で互いに重なり合っている、請求項1に記載の3次元ゲーム画像生成プログラム。
【請求項3】
第1撮影空間内に配置されているゲーム操作の対象となる操作オブジェクトの操作信号を取得するオブジェクト操作信号取得部と、
このオブジェクト操作信号取得部が取得した前記操作信号に従って前記仮想第1カメラおよび前記仮想第2カメラを前記操作オブジェクトの移動に追従させる仮想カメラ移動部と
してコンピュータを機能させる、請求項1または請求項2に記載の3次元ゲーム画像生成プログラム。
【請求項4】
撮影方向をX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のいずれかに切り替えるためのカメラ方向切替信号を受信する方向切替信号取得部と、
この方向切替信号取得部が前記カメラ方向切替信号を取得した場合に、前記仮想第1カメラおよび前記仮想第2カメラの撮影方向を前記カメラ方向切替信号に従った軸方向に切り替える撮影方向切替部と
してコンピュータを機能させる、請求項1から請求項3のいずれかに記載の3次元ゲーム画像生成プログラム。
【請求項5】
前記仮想第1カメラの撮影方向と同方向を撮影する仮想第3カメラによって、前記基準空間の厚さの1/2倍より薄い第3撮影空間を平行投影図法に則して撮影した第3平行投影画像を取得する第3カメラ画像取得部と、
前記仮想第3カメラを前記第1撮影空間の中間位置より手前側で最も近い前記基準空間の中間位置を撮影可能な位置に配置し、前記仮想第1カメラの撮影方向への移動により前記第1撮影空間の中間位置が前記基準空間の中間位置を越えたときに、前記仮想第3カメラを前記第1撮影空間の中間位置より手前側で最も近い前記基準空間の中間位置を撮影可能な位置に移動させる第3カメラ移動部としてコンピュータを機能させるとともに、
前記表示画像生成部は、背面側に前記透視投影画像を重ね合わせられた前記平行投影画像より前面側に前記仮想第3カメラにより撮影された第3平行投影画像を重ね合わせて表示画像を生成する、請求項1から請求項4のいずれかに記載の3次元ゲーム画像生成プログラム。
【請求項6】
立方体で構成されている基準空間をX・Y・Zの各軸方向に複数個配置して形成された仮想3次元ゲーム空間を、表示画像として生成するための3次元ゲーム画像生成装置であって、
X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のいずれかの方向に沿って撮影する仮想第1カメラによって、1つの基準空間の厚さと等しい厚さを有する第1撮影空間を平行投影図法に則して撮影した平行投影画像を取得する第1カメラ画像取得部と、
前記仮想第1カメラの撮影方向と同方向を撮影する仮想第2カメラよって前記第1撮影空間の撮影方向奥側に連続する第2撮影空間を透視投影図法に則して撮影した透視投影画像を取得する第2カメラ画像取得部と、
前記仮想第1カメラで撮影された前記平行投影画像を前面側、前記仮想第2カメラで撮影された前記透視投影画像を背面側に配置して両画像を重ね合わせて表示画像を生成する表示画像生成部と
を有する、前記3次元ゲーム画像生成装置。
【請求項7】
立方体で構成されている基準空間をX・Y・Zの各軸方向に複数個配置して形成された仮想3次元ゲーム空間を、表示画像として生成するための3次元ゲーム画像生成方法であって、
X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のいずれかの方向に沿って撮影する仮想第1カメラによって、1つの基準空間の厚さと等しい厚さを有する第1撮影空間を平行投影図法に則して撮影した平行投影画像を取得する第1カメラ画像取得ステップと、
前記仮想第1カメラの撮影方向と同方向を撮影する仮想第2カメラよって前記第1撮影空間の撮影方向奥側に連続する第2撮影空間を透視投影図法に則して撮影した透視投影画像を取得する第2カメラ画像取得ステップと、
前記仮想第1カメラで撮影された前記平行投影画像を前面側、前記仮想第2カメラで撮影された前記透視投影画像を背面側に配置して両画像を重ね合わせて表示画像を生成する表示画像生成ステップと
を有する、前記3次元ゲーム画像生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想3次元ゲーム空間をディスプレイに表示させるための表示画像を生成する3次元ゲーム画像生成プログラム、3次元ゲーム画像生成装置および3次元ゲーム画像生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テレビにゲーム機を接続して遊ぶテレビゲームやスマートフォンなど携帯端末を利用して遊ぶアプリゲームは、世界的に人気が高く、老若男女問わず多くのユーザーが遊びに興じている。このようなゲームでは、コントローラやタッチパネル等により操作可能なオブジェクトを仮想のゲーム世界を自由に移動させ、イベントなどをクリアしながらストーリーを展開させている。
【0003】
ところで、従来のゲーム機においては、ゲームコンピュータの処理能力や記憶容量の限界から、ゲーム世界は2次元で構築されていることが多かった。例えば、2次元画像により形成された町などの背景画像を予め記憶させておき、その画像上に操作オブジェクトを配置し、背景画像を移動させることであたかも操作オブジェクトが移動しているように表示させていた。
【0004】
その後、基本的な構成は2次元ゲームと同様であるものの、背景画像の移動速度を画面手前側の操作オブジェクトの移動速度よりも遅くすることによって奥行き感を演出し、あたかも3次元で構築されたゲーム世界を移動するような表示方法が開発された。
【0005】
しかし、2次元で構築されたゲームは、操作オブジェクトの移動範囲が前後または左右などに限定されるため、ゲーム演出の限界が生じていた。
【0006】
一方、近年では、ゲームコンピュータによる処理能力や記憶容量の増加により、3次元空間で構築されたゲーム世界を記憶することまたはリアルタイムに構築することが可能になり、多くのゲーム世界が仮想3次元空間で構築されるようになっている。また、特許第5044549号公報では、仮想3次元仮想空間によって構築されたゲーム世界を表示するプログラムに関する発明が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された発明など、3次元空間を自由な角度から表示するものは、「3D酔い」または「ゲーム酔い」という、3次元空間を自由に動くゲーム表示画像を見ることによって乗り物酔いに類似した体調不良を起こすという問題がある。
【0009】
また、2次元ゲームへの慣れや愛着等から2次元ゲームファンは多く、近年では、ストーリーはそのままに、2次元と3次元を選択的に遊べるようにしたゲームソフトなども販売されている。しかし、2次元および3次元のストーリーを共通化させるため、ゲーム演出に制限をかけざるを得ないという問題があった。
【0010】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであって、3次元で形成された仮想3次元ゲーム空間を、2次元ゲーム感を与える表示画像として生成することのできる、3次元ゲーム画像生成プログラム、3次元ゲーム画像生成装置および3次元ゲーム画像生成方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る3次元ゲーム画像生成プログラムは、2次元ゲーム感を残しつつ3次元で形成された仮想3次元ゲーム空間を自由に移動可能なゲームの表示画像を生成するという課題を解決するために、立方体で構成されている基準空間をX・Y・Zの各軸方向に複数個配置して形成された仮想3次元ゲーム空間を、表示画像として生成するための3次元ゲーム画像生成プログラムであって、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のいずれかの方向に沿って撮影する仮想第1カメラによって、1つの基準空間の厚さと等しい厚さを有する第1撮影空間を平行投影図法に則して撮影した平行投影画像を取得する第1カメラ画像取得部と、前記仮想第1カメラの撮影方向と同方向を撮影する仮想第2カメラよって、前記第1撮影空間の撮影方向奥側に連続する第2撮影空間を透視投影図法に則して撮影した透視投影画像を取得する第2カメラ画像取得部と、前記仮想第1カメラで撮影された前記平行投影画像を前面側、前記仮想第2カメラで撮影された前記透視投影画像を背面側に配置して両画像を重ね合わせて表示画像を生成する表示画像生成部としてコンピュータを機能させる。
【0012】
また、本発明の一態様として、第1撮影空間と第2撮影空間との境界にあるオブジェクトを確実に表示させるという課題を解決するために、前記第1撮影空間と前記第2撮影空間が撮影方向に対して前記基準空間の厚さの1/2倍より薄い空間内で互いに重なり合っていてもよい。
【0013】
さらに、本発明の一態様として、仮想3次元ゲーム空間を自由に移動する操作オブジェクトを有するゲームの表示画像を生成するという課題を解決するために、第1撮影空間内に配置されているゲーム操作の対象となる操作オブジェクトの操作信号を取得するオブジェクト操作信号取得部と、このオブジェクト操作信号取得部が取得した前記操作信号に従って前記仮想第1カメラおよび前記仮想第2カメラを前記操作オブジェクトの移動に追従させる仮想カメラ移動部としてコンピュータを機能させるようにしてもよい。
【0014】
また、本発明の一態様として、表示方向をX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のいずれかに沿った方向に自由に切り替えるという課題を解決するために、撮影方向をX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のいずれかに切り替えるためのカメラ方向切替信号を受信する方向切替信号取得部と、この方向切替信号取得部が前記カメラ方向切替信号を取得した場合に、前記仮想第1カメラおよび前記仮想第2カメラの撮影方向を前記カメラ方向切替信号に従った軸方向に切り替える撮影方向切替部としてコンピュータを機能させるようにしてもよい。
【0015】
さらに、本発明の一態様として、2次元画像によるオブジェクトが配置されている仮想3次元ゲーム空間を違和感なく表示させるという課題を解決するために、前記仮想第1カメラの撮影方向と同方向を撮影する仮想第3カメラによって、前記基準空間の厚さの1/2倍より薄い第3撮影空間を平行投影図法に則して撮影した第3平行投影画像を取得する第3カメラ画像取得部と、前記仮想第3カメラを前記第1撮影空間の中間位置より手前側で最も近い前記基準空間の中間位置を撮影可能な位置に配置し、前記仮想第1カメラの撮影方向への移動により前記第1撮影空間の中間位置が前記基準空間の中間位置を越えたときに、前記仮想第3カメラを前記第1撮影空間の中間位置より手前側で最も近い前記基準空間の中間位置を撮影可能な位置に移動させる第3カメラ移動部としてコンピュータを機能させるとともに、前記表示画像生成部は、背面側に前記透視投影画像を重ね合わせられた前記平行投影画像より前面側に前記仮想第3カメラにより撮影された第3平行投影画像を重ね合わせて表示画像を生成するようにしてもよい。
【0016】
本発明に係る3次元ゲーム画像生成装置は、2次元ゲーム感を残しつつ3次元で形成された仮想3次元ゲーム空間を自由に移動可能なゲームの表示画像を生成するという課題を解決するために、立方体で構成されている基準空間をX・Y・Zの各軸方向に複数個配置して形成された仮想3次元ゲーム空間を、表示画像として生成するための3次元ゲーム画像生成装置であって、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のいずれかの方向に沿って撮影する仮想第1カメラによって、1つの基準空間の厚さと等しい厚さを有する第1撮影空間を平行投影図法に則して撮影した平行投影画像を取得する第1カメラ画像取得部と、前記仮想第1カメラの撮影方向と同方向を撮影する仮想第2カメラよって前記第1撮影空間の撮影方向奥側に連続する第2撮影空間を透視投影図法に則して撮影した透視投影画像を取得する第2カメラ画像取得部と、前記仮想第1カメラで撮影された前記平行投影画像を前面側、前記仮想第2カメラで撮影された前記透視投影画像を背面側に配置して両画像を重ね合わせて表示画像を生成する表示画像生成部とを有する。
【0017】
本発明に係る3次元ゲーム画像生成方法は、2次元ゲーム感を残しつつ3次元で形成された仮想3次元ゲーム空間を自由に移動可能なゲームの表示画像を生成するという課題を解決するために、立方体で構成されている基準空間をX・Y・Zの各軸方向に複数個配置して形成された仮想3次元ゲーム空間を、表示画像として生成するための3次元ゲーム画像生成方法であって、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のいずれかの方向に沿って撮影する仮想第1カメラによって、1つの基準空間の厚さと等しい厚さを有する第1撮影空間を平行投影図法に則して撮影した平行投影画像を取得する第1カメラ画像取得ステップと、前記仮想第1カメラの撮影方向と同方向を撮影する仮想第2カメラよって前記第1撮影空間の撮影方向奥側に連続する第2撮影空間を透視投影図法に則して撮影した透視投影画像を取得する第2カメラ画像取得ステップと、前記仮想第1カメラで撮影された前記平行投影画像を前面側、前記仮想第2カメラで撮影された前記透視投影画像を背面側に配置して両画像を重ね合わせて表示画像を生成する表示画像生成ステップとを有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、3次元で形成された仮想3次元ゲーム空間を、2次元ゲーム感を与える表示画像として生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る3次元ゲーム画像生成装置の一実施形態を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態における仮想3次元ゲーム空間を示す斜視図(鳥瞰図)である。
【
図3】本実施形態における仮想3次元ゲーム空間において、基準空間にオブジェクトとして2次元画像を配置した状態を示す(a)撮影方向視図および(b)この側面図である。
【
図4】本実施形態における第1撮影空間および第2撮影空間を示す斜視図である。
【
図5】本実施形態における第1撮影空間および第2撮影空間に対する仮想第1カメラおよび仮想第2カメラの状態を示す撮影方向視図である。
【
図7】本実施形態における仮想第1カメラによって第1撮影空間を平行投影図法に即して撮影した平行投影画像を示す図である。
【
図8】本実施形態における仮想第2カメラによって第2撮影空間を透視投影図法に即して撮影した透視投影画像を示す図である。
【
図9】第1撮影空間と第2撮影空間とを撮影方向に対して互いに重なり合わせた実施形態を示す側面方向視図である。
【
図10】本実施形態における第1撮影空間内に配置された操作オブジェクトの配置状態を示す側面方向視図である。
【
図11】本実施形態における撮影方向切替部により撮影方向をY軸方向からZ軸方向に切り替えた状態を示す表示画像である。
【
図12】本実施形態における第3カメラ移動部によって仮想第3カメラの移動を示す側面方向視図である。
【
図13】本実施形態における仮想第3カメラによって第3撮影空間を平行投影図法に即して撮影した第3平行投影画像を示す図である。
【
図14】本実施形態における表示画像生成部により生成された表示画像を示す図である。
【
図15】本実施形態の3次元ゲーム画像生成方法を示すフローチャート図である。
【
図16】本実施例1において操作オブジェクトが階段オブジェクトを昇る様子を示す(a)Y軸方向に撮影した表示画像、および(b)Z軸方向に撮影した表示画像である。
【
図17】本実施例1において操作オブジェクトが木のオブジェクトを並べて構成された森の中を移動する状態をZ軸方向から撮影した表示画像である。
【
図18】本実施例1において
図17に対応した状態を(a)仮想第3カメラを使用せずにY軸方向から撮影した表示画像、および(b)仮想第3カメラを使用してY軸方向から撮影した表示画像である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る3次元ゲーム画像生成プログラム、3次元ゲーム画像生成装置および3次元ゲーム画像生成方法の一実施形態について図面を用いて説明する。
【0021】
本実施形態の3次元ゲーム画像生成装置1は、仮想3次元ゲーム空間についてゲーム機本体に接続されたテレビ等のディスプレイ装置やゲームアプリがインストールされた携帯端末のディスプレイ等に表示させる表示画像を生成するためのものであって、
図1に示すように、3次元ゲーム画像生成プログラム1aや仮想3次元ゲーム空間等を記憶する記憶手段2と、主に前記3次元ゲーム画像生成プログラム1aに基づく演算処理を実行する演算処理手段3とを有しており、コントローラ4やディスプレイ5に接続されている。
【0022】
まず、コントローラ4とディスプレイ5について簡単に説明する。コントローラ4は、3次元ゲームにおいてゲーム操作を行うためのコントローラである。方向指示ボタンや、各種コマンドを入力する複数の入力ボタンを有している。本実施形態におけるコントローラ4は、方向指示ボタンによる入力操作が行われることにより、3次元ゲームの世界を移動する操作オブジェクトOCを操作するためのオブジェクト操作信号を発するようになっている。また、他の入力ボタンを入力することで表示画像を生成する方向を切り替えるカメラ方向切替信号を発するようになっている。
【0023】
ディスプレイ5は、3次元ゲーム画像生成装置1により生成された表示画像を表示するためのものであり、液晶ディスプレイ等によって構成されている。
【0024】
なお、コントローラ4およびディスプレイ5は、3次元ゲーム画像生成装置1に直接的に接続されるものに限定されるものではなく、図示しないが、ゲーム機本体を介して接続されていてもよい。また、3次元ゲーム画像生成装置1がゲーム機本体の一部として構成されていてもよい。
【0025】
次に、本実施形態の3次元ゲーム画像生成装置1における各構成について詳細に説明する。
【0026】
記憶手段2は、ROM、RAM、ハードディスク、フラッシュメモリ等によって構成されており、各種のデータを記憶するとともに、演算処理手段3が演算を実行する際のワーキングエリアとして機能するものである。本実施形態における記憶手段2は、主に、3次元ゲーム画像生成プログラム1aを記憶するプログラム記憶部21と、仮想3次元ゲーム空間を記憶する3次元ゲーム空間記憶部22とを有する。
【0027】
プログラム記憶部21には、3次元ゲーム画像生成プログラム1aがインストールされている。そして、演算処理手段3が、前記3次元ゲーム画像生成プログラム1aを実行し、主に、後述する第1カメラ画像取得部31、第2カメラ画像取得部32、オブジェクト操作信号取得部33、仮想カメラ移動部34、方向切替信号取得部35、撮影方向切替部36、第3カメラ画像取得部37、第3カメラ移動部38および表示画像生成部39として機能させることにより、コンピュータを3次元ゲーム画像生成装置1として機能させるようになっている。
【0028】
なお、3次元ゲーム画像生成プログラム1aの利用形態は、上記構成に限られるものではない。例えば、CD-ROMやUSBメモリ等のように、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に3次元ゲーム画像生成プログラム1aを記憶させておき、この記録媒体から直接読み出して実行してもよい。また、外部サーバ等からクラウドコンピューティング方式やASP(application service provider)方式等で利用してもよい。
【0029】
3次元ゲーム空間記憶部22は、ゲーム作成ソフトウエアや3次元モデリングソフトウエア等を利用して形成された仮想3次元ゲーム空間を記憶するものである。仮想3次元ゲーム空間は、立方体で構成されている基準空間Bを基本単位としてなり、前記基準空間Bを相互に直交するX・Y・Zの各軸方向に複数個配置して形成されている。なお、本実施形態では、水平方向をX軸およびY軸に設定するとともに、高さ方向をZ軸に設定している。
【0030】
本実施形態における仮想3次元ゲーム空間は、
図2に示すように、プレイヤー自身がゲーム内の登場人物となって進行する、いわゆるロールプレイングゲームの世界を3次元の仮想空間で形成したものである。各基準空間Bには、床、壁、扉、樽、宝箱、木等のオブジェクトが指定されており、操作オブジェクトO
Cが移動可能、移動不可能等の条件が設定されている。また、オブジェクトが配置されていない基準空間Bは、移動可能などの条件が設定されている。
【0031】
なお、オブジェクトの条件は、特に限定されるものではなく、ゲーム内容に応じて適宜設定されるものである。
【0032】
また、基準空間Bの外周面にはオブジェクトに対応したテクスチャと呼ばれる模様が貼り付けられている。また、基準空間Bの内部には、必要に応じて配色が施されている。このようにテクスチャが貼り付けられたり、内部に配色が施された基準空間Bは、単に「オブジェクト」や「ブロック」等と呼ばれることがある。仮想3次元ゲーム空間は、このようなテクスチャ等が施された基準空間BをX・Y・Zの各軸方向に適宜配置するとこで形成されており、後述する仮想第1カメラC1、仮想第2カメラC2および仮想第3カメラC3により撮影することができるようになっている。
【0033】
また、基準空間Bには、データ容量の削減や2次元ゲーム感を演出する等のため、表面に貼り付けられるテクスチャ等の代わりとして2次元画像からなるオブジェクトを配置する場合がある。本実施形態では、木や樽が2次元画像オブジェクトO
2Dで形成されている。また、本実施形態における2次元画像オブジェクトO
2Dは、
図3に示すように、基準空間Bの撮影方向(奥行き方向)の厚さに対して中心である中間位置M1に配置している。なお、2次元画像オブジェクトの配置は、基準空間Bの中間位置M1に限定されるものではなく、オブジェクトの種類や撮影方向等に応じて適宜設定することができる。
【0034】
立方体からなる基準空間Bの大きさ(各辺の長さ寸法)については、特に限定されるものではないが、例えば、表示画像を生成したときに2次元ゲーム感を得られ易くするため、従来の2次元ゲームと同様に、操作オブジェクトOCの大きさと同程度の大きさにすることが好ましい。
【0035】
次に、演算処理手段3について説明する。演算処理手段3は、CPU(Central Processing Unit)等から構成されており、
図1に示すように、記憶手段2にインストールされた3次元ゲーム画像生成プログラム1aを実行させることにより、コンピュータを、第1カメラ画像取得部31、第2カメラ画像取得部32、オブジェクト操作信号取得部33、仮想カメラ移動部34、方向切替信号取得部35、撮影方向切替部36、第3カメラ画像取得部37、第3カメラ移動部38および表示画像生成部39として機能させることにより、コンピュータを3次元ゲーム画像生成装置1として機能させるようになっている。
【0036】
第1カメラ画像取得部31は、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のいずれかの方向に沿って撮影する仮想第1カメラC1によって、1つの基準空間Bの厚さと等しい厚さを有する第1撮影空間SP1を平行投影図法に則して撮影した平行投影画像を取得するものである。
【0037】
仮想第1カメラC1は、表示画像を生成するために仮想3次元ゲーム空間に配置される仮想的なカメラである。仮想3次元ゲーム空間の所定の位置に配置され、X・Y・Zのいずれかの軸方向に沿った方向を撮影することができる。
【0038】
第1撮影空間SP1は、仮想第1カメラC1により撮影される空間であって、
図4に示すように、連続して並べられた複数の基準空間Bからなる直方体として構成される空間である。本実施形態における第1撮影空間SP1は、撮影方向に対して直交する面が、
図5に示すように、複数個の基準空間Bによる矩形状の面として構成しており、生成される表示画像に相当する大きさを有する。この矩形面(表示画像)の縦横比は、表示画像が表示されるディスプレイ5に応じて適宜選択されるものであり、例えば、ワイド型のテレビに接続する場合では一般的なワイド型のテレビにおけるディスプレイの縦横比である、横:縦が16:9として設定される。仮想第1カメラC1により撮影される空間は、基準空間Bの整数倍に限定されるものではなく、例えば、表示画像の縦横比が16:9であり、撮影範囲を横方向に並べた13個の基準空間Bに設定した場合、縦方向には7つの基準空間Bとその上下方向に約0.15倍の基準空間Bを加えた合計約7.3個分の基準空間Bを撮影するようにしてもよい。
【0039】
また、第1撮影空間SP1は、操作オブジェクトO
Cが移動した場合に生成される表示画像が違和感なく連続的に表示されるようにするため、
図6に示すように、奥行き方向に1つの基準空間Bの厚さと等しい厚さを有する。この基準空間Bの厚さとは、
図6で示す、正方形状の一つの基準空間Bの一辺の長さである。なお、基準空間Bの厚さと等しい厚さとは、厳密な一致を示すものではなく、技術的に等しいと見なせる範囲を含むものである。
【0040】
第1カメラ画像取得部31は、仮想第1カメラC1を用いて第1撮影空間SP1を平行投影図法に則して撮影した平行投影画像を取得する。平行投影図法とは、製図法における立体図法のうちの一つであり、視点から物体までの視線を平行にした作図方法である。
【0041】
本実施形態における第1カメラ画像取得部31は、
図5および
図6に示すように、第1撮影空間SP1内に配置された操作オブジェクトO
Cが表示画像の中央位置に配置されるように仮想第1カメラC1を配置し、平行投影図法によって前記第1撮影空間SP1を撮影する。これにより、
図7に示すように、2次元的な平行投影画像を取得することができるようになっている。ここで中央位置とは、表示画像における厳密な意味における中央位置に限定されるものではなく、技術的に中央位置と見なせる範囲を含むものである。なお、表示画面における操作オブジェクトO
Cの表示位置は、中央位置に限定されるものではなく、仮想3次元ゲーム空間やゲーム内容に応じて中央位置からずれた位置など、適宜選択してもよい。
【0042】
第2カメラ画像取得部32は、仮想第1カメラC1の撮影方向と同方向を撮影する仮想第2カメラC2よって、第1撮影空間SP1の撮影方向奥側に連続する第2撮影空間SP2を透視投影図法に則して撮影した透視投影画像を取得するものである。
【0043】
仮想第2カメラC2は、仮想第1カメラC1と同様に、表示画像を生成するために仮想3次元ゲーム空間に配置される仮想的なカメラである。本実施形態における仮想第2カメラC2は、操作オブジェクトO
Cが移動した場合に生成される表示画像が違和感なく連続的に表示されるようにするため、
図5および
図6に示すように、第2撮影空間SP2が第1撮影空間SP1の撮影方向奥側に連続するように、仮想第1カメラC1と撮影方向に沿った同軸線上であって第1撮影空間SP1の奥側の面と交差する位置に配置されている。
【0044】
第2撮影空間SP2は、仮想第2カメラC2によって透視投影図法に則して撮影される空間である。ここで透視投影図法とは、製図法における立体図法のうちの一つであり、視点から物体までの視線を一つの視点に収束するように作図する作図方法である。つまり、第2撮影空間SP2は、
図4に示すように、第1撮影空間SP1を基端として奥側に向けて広がるように設定される。第2撮影空間SP2の奥行き方向の最大値は、特に限定されるものではないが、例えば、数百個から数千個程度の基準空間Bの厚さに相当する範囲に設定される。
【0045】
第2カメラ画像取得部32は、透視投影図法によって第2撮影空間SP2を撮影し、
図8に示すように、3次元的な透視投影画像を取得することができるようになっている。
【0046】
また、本実施形態における第1カメラ画像取得部31および第2カメラ画像取得部32では、
図9に示すように、第1撮影空間SP1と第2撮影空間SP2が撮影方向に対して互いに重なり合うように各撮影空間を設定してもよい。例えば、仮想第2カメラC2により撮影する第2撮影空間SP2に対して、仮想第1カメラC1により撮影する第1撮影空間SP1を奥行き方向に1つの基準空間Bの厚さよりも僅かに厚くすることで、第1撮影空間SP1と第2撮影空間SP2が撮影方向に対して互いに重なり合うようにする。これにより、操作オブジェクトO
Cが基準空間Bの中間位置M1に移動したときに、第1撮影空間SP1と第2撮影空間SP2の境界にある基準空間Bの表面に貼り付けられたテクスチャが表示されたりされなかったりする不安定な状態を回避することができる。
【0047】
重なり合う空間は、操作オブジェクトOCが移動した場合に生成される表示画像が違和感なく連続的に表示されるようにするために、基準空間Bの厚さの1/2倍より薄い空間内としており、例えば、0.000001倍から0.1倍程度の範囲内で設定することが好ましく、0.001倍程度に設定されることがより好ましい。
【0048】
オブジェクト操作信号取得部33は、次に説明する仮想カメラ移動部34により操作オブジェクトO
Cに追従して仮想第1カメラC1および仮想第2カメラC2を移動させるために、コントローラ4から発せられるオブジェクト操作信号を取得するものである。本実施形態における操作オブジェクトO
Cは、第1撮影空間SP1内に配置されている。具体的には、
図5および
図10に示すように、第1撮影空間SP1の撮影方向(奥行き方向)の厚さに対して真ん中の中間地点に相当する中間位置mに配置されている。ここで第1撮影空間SP1の中間位置mとは、第1撮影空間SP1における厳密な意味における中間位置に限定されるものではなく、技術的に中間位置と見なせる範囲を含むものである。なお、操作オブジェクトO
Cを配置する位置は、中間位置mに限定されるものではなく、撮影方向に応じて中間位置からずれた位置に配置してもよい。
【0049】
仮想カメラ移動部34は、オブジェクト操作信号取得部33が取得した操作オブジェクトの操作信号に従って仮想第1カメラC1および仮想第2カメラC2を移動するものである。具体的には、オブジェクト操作信号取得部33がオブジェクト操作信号を取得したか否かを判別する。オブジェクト操作信号を取得したと判別した場合は、取得したオブジェクト操作信号に従い仮想第1カメラC1および仮想第2カメラC2を前記操作オブジェクトOCの移動方向と同方向に移動させるようになっている。本実施形態における仮想カメラ移動部34では、操作オブジェクトOCが表示画像の中央位置に配置されるように仮想第1カメラC1および仮想第2カメラC2を移動させるようになっている。
【0050】
方向切替信号取得部35は、次に説明する撮影方向切替部36により仮想第1カメラC1および仮想第2カメラC2により撮影する方向を切り替えるためにコントローラ4から発せられるカメラ方向切替信号を取得するものである。本実施形態では、コントローラ4の所定のボタンの入力操作が行われる度に発せられるカメラ方向切替信号を取得するようになっている。なお、コントローラ4により発せられるカメラ方向切替信号は、各軸方向を各々異なるボタンに設定し、各ボタンの入力操作により発せられるようにしてもよい。
【0051】
撮影方向切替部36は、方向切替信号取得部35が取得したカメラ方向切替信号に従った軸方向に仮想第1カメラC1および仮想第2カメラC2の撮影方向を切り替えるものである。本実施形態における撮影方向切替部36は、方向切替信号取得部35によりカメラ方向切替信号が取得されると、操作オブジェクトO
Cが向いている方向に切り替わるか、あるいは仮想第1カメラC1および仮想第2カメラC2の撮影方向がX軸方向またはY軸方向であって操作オブジェクトO
Cが向いている方向と一致している場合はZ軸方向に切り替わるようになっている。これにより、
図11に示すように、撮影方向をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に適宜切り替えることができる。なお、撮影方向の切り替えは、操作オブジェクトO
Cの向いている方向に対応したものに限定されるものではなく、例えばカメラ方向切替信号を受信するたびに、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、X軸方向・・・の順番に適宜切り替えるようにしてもよい。
【0052】
第3カメラ画像取得部37は、主に、基準空間Bの中間位置M1,M2に配置された2次元画像を取得するため、仮想第1カメラC1の撮影方向と同方向を撮影する仮想第3カメラC3によって、第3撮影空間SP3を平行投影図法に則して撮影した第3平行投影画像を取得するものである。
【0053】
第3撮影空間SP3は、仮想第3カメラC3により撮影される空間であって、
図12に示すように、厚さの薄い直方体として構成される空間である。第3撮影空間SP3の軸方向と直交する面の大きさは、仮想第1カメラC1により撮影される第1撮影空間SP1の大きさと同じ大きさである。また、第3撮影空間SP3は、基準空間Bの厚さの1/2倍より薄い空間に形成されている。ここで第3撮影空間SP3の厚さは、基準空間Bの中間位置M1,M2に配置されているオブジェクトとしての2次元画像を撮影可能な厚さを有していればよく、例えば、0.000001倍から0.1倍程度の範囲内で設定することが好ましく、本実施形態では、0.001倍程度に設定されている。
【0054】
第3カメラ移動部38は、基準空間Bの中間位置M1,M2に配置された2次元画像を撮影するために仮想第3カメラC3を移動させるためのものである。具体的には、まず、
図12(a)に示すように、仮想第1カメラC1と同軸線上であって、仮想第3カメラC3を第1撮影空間SP1の中間位置mより手前側で最も近い基準空間Bの中間位置M1を撮影可能な位置に配置する。そして、第3カメラ移動部38は、操作オブジェクトO
Cの移動に伴う仮想第1カメラC1の撮影方向への移動により第1撮影空間SP1の中間位置mが基準空間Bの中間位置M2を越えたか否かを判別する。そして、中間位置M2を越えていない、つまり基準空間Bの中間位置M1より手前側から中間位置M2に重なる範囲である場合は、
図12(b)に示すように、仮想第3カメラC3をそれまで配置していた位置と同じ中間位置M1にとどめる。一方、仮想第1カメラC1の移動により第1撮影空間SP1の中間位置mが基準空間Bの中間位置M2を越えたと判別された場合は、
図12(c)に示すように、仮想第3カメラC3を第1撮影空間SP1の中間位置mより手前側で最も近い基準空間Bの中間位置M2を撮影可能な位置に移動させるようになっている。
【0055】
なお、第3カメラ移動部38は、仮想第1カメラC1の移動が撮影方向に対して交差する方向の場合には、同軸線上に配置されるように仮想第1カメラC1の移動に従い仮想第3カメラC3を移動させるようになっている。
【0056】
第3カメラ画像取得部37は、平行投影図法に即して第3撮影空間SP3を撮影し、
図13に示すように、2次元的な第3平行投影画像を取得することができるようになっている。
【0057】
表示画像生成部39は、平行投影画像、透視投影画像および第3平行投影画像を重ね合わせて表示画像を生成するものである。本実施形態における表示画像生成部39は、第1カメラ画像取得部31により取得された仮想第1カメラC1で撮影された前記平行投影画像を前面側、第2カメラ画像取得部32により取得された仮想第2カメラC2で撮影された前記透視投影画像を背面側に配置して両画像を重ね合わせる。また、本実施形態では、この両画像を重ね合わせた画像より前面側に仮想第3カメラC3により撮影された第3平行投影画像を重ね合わせて、
図14に示すように、表示画像を生成するようになっている。
【0058】
また、表示画像生成部39は、例えば1秒間に30枚、いわゆる30フレームの表示画像の生成し、逐次ディスプレイ5に出力するようになっている。
【0059】
次に、3次元ゲーム画像生成プログラム1a、3次元ゲーム画像生成装置1および3次元ゲーム画像生成方法の各構成における作用について説明する。
【0060】
図15に示すように、第1カメラ画像取得部31は、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のいずれかの方向に沿って撮影する仮想第1カメラC1によって、1つの基準空間Bの厚さと等しい厚さを有する第1撮影空間SP1を平行投影図法に則して撮影した平行投影画像を取得する(S1:第1カメラ画像取得ステップ)。これにより、
図7に示すように、平行投影画像を取得することができる。
【0061】
撮影する軸方向は、方向切替信号取得部35がコントローラ4のボタン操作により発せられるカメラ方向切替信号を取得し、撮影方向切替部36が前記カメラ方向切替信号に従って仮想第1カメラC1の方向を適宜切り替えることで設定される。
【0062】
次に、第2カメラ画像取得部32は、仮想第1カメラC1の撮影方向と同方向を撮影する仮想第2カメラC2よって第1撮影空間SP1の撮影方向奥側に連続する第2撮影空間SP2を透視投影図法に則して撮影した透視投影画像を取得する(S2:第2カメラ画像取得ステップ)。これにより、
図8に示すように、透視投影画像を取得することができる。
【0063】
そして、第3カメラ画像取得部37が、仮想第1カメラC1の撮影方向と同方向を撮影する仮想第3カメラC3によって第3撮影空間SP3を平行投影図法に則して撮影した、第3平行投影画像を取得する(S3:第3カメラ画像取得ステップ)。これにより、
図13に示すように、第3平行投影画像を取得することができる。
【0064】
次に、表示画像生成部39が、仮想第1カメラC1で撮影された平行投影画像を前面側、仮想第2カメラC2で撮影された透視投影画像を背面側に配置して両画像を重ね合わせて表示画像を生成する(S4:表示画像生成ステップ)。本実施形態では、さらに背面側に透視投影画像を重ね合わせられた平行投影画像より前面側に仮想第3カメラC3により撮影された第3平行投影画像を重ね合わせて表示画像を生成する。これにより、
図14に示すように、2次元ゲーム感を有する表示画像を生成することができる。
【0065】
そして、表示画像生成部39が、ディスプレイ5に表示画像を出力する(S5:表示画像出力ステップ)。ディスプレイ5では、出力された表示画像を表示する。
【0066】
次に、仮想カメラ移動部34は、オブジェクト操作信号取得部33がオブジェクト操作信号を取得したか否かを判別する(S6:オブジェクト操作信号判別ステップ)。ここで、オブジェクト操作信号が取得されていないと判別した場合は(S6:NO)、S1に戻り、表示画像生成処理を繰り返す。ディスプレイ5には、逐次出力された表示画像が表示される。
【0067】
一方、オブジェクト操作信号が取得されたと判別した場合は(S6:YES)、オブジェクト操作信号に従い仮想第1カメラC1および仮想第2カメラC2を移動させる(S7:仮想カメラ移動ステップ)。
【0068】
次に、第3カメラ移動部38が、仮想第1カメラC1の撮影方向への移動により第1撮影空間SP1の中間位置mが基準空間Bの中間位置M2を越えたか否かを判別する(S8:第1撮影空間中間位置判別ステップ)。ここで、基準空間Bの中間位置M2を越えていないと判別した場合は(S8:NO)、
図12(b)に示すように、仮想第3カメラC3は撮影方向に対して移動させずに、それまで配置していた位置と同じ中間位置M1を撮影可能な位置にとどめる。そして、S1に戻り、表示画像生成処理を繰り返す。
【0069】
一方、基準空間Bの中間位置M2を越えたと判別された場合は(S8:YES)、
図12(c)に示すように、仮想第3カメラC3を第1撮影空間SP1の中間位置mより手前側で最も近い基準空間Bの中間位置M2に移動させる(S9:第3カメラ移動ステップ)。そして、S1に戻り、表示画像生成処理を繰り返す。これにより、後述の実施例1で説明するように、第3撮影空間SP3内に基準空間Bの中間位置M1,M2に配置された2次元画像を表示画像に反映することができる。よって、操作オブジェクトO
Cの位置に応じて2次元画像からなるオブジェクトが表示されない問題や、2次元画像からなるオブジェクトが並べられた中を移動する場合に、操作オブジェクトO
Cと2次元画像オブジェクトO
2Dとが交互に表示されるという問題を防止することができる。
【0070】
以上のような本実施形態の3次元ゲーム画像生成プログラム1a、3次元ゲーム画像生成装置1および3次元ゲーム画像生成方法によれば、以下の効果を奏することができる。
1.2次元ゲーム感を残しつつ3次元で形成された仮想3次元ゲーム空間を自由に移動可能なゲームの表示画像を生成することができる。
2.第1撮影空間SP1と第2撮影空間SP2とを連続的に配置したことにより、操作オブジェクトOCが撮影方向に移動した場合に切れ間のないスムーズな表示画像を生成することができる。
3.仮想第3カメラC3を用いることで、操作オブジェクトOCの位置によって実際にはあるはずの2次元画像からなるオブジェクトが表示されなかったり、操作オブジェクトOCと2次元画像オブジェクトO2Dとが交互に表示されるのを防止することができる。
4.表示画像をX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に任意に選択することができ、表示方向に応じて生成方法を変えることなく、表示画像を生成することができる。
5.第1撮影空間SP1と第2撮影空間SP2の境界にある基準空間Bの表面に貼り付けられたテクスチャが表示されたりされなかったりする不安定な状態が起きたときに、それを回避することができる。
【0071】
つぎに、本発明に係る3次元ゲーム画像生成プログラム、3次元ゲーム画像生成装置および3次元ゲーム画像生成方法の具体的な実施例について説明する。
【実施例1】
【0072】
本実施例1では、仮想3次元ゲーム空間を作成し、本発明に係る3次元ゲーム画像生成プログラムにより、複数のゲーム場面において表示画像の生成を行った。
【0073】
『階段オブジェクトの昇降場面』
仮想3次元ゲーム空間に形成された階段オブジェクトO
Sを操作オブジェクトO
Cが昇降する場面における表示画像を生成した。
図16(a)に示すように、左側に並べた表示画像は、Y軸方向に仮想第1カメラ、仮想第2カメラおよび仮想第3カメラを配置し、操作オブジェクトO
Cが階段オブジェクトO
Sを昇っていく様子を撮影して生成された表示画像である。
図16(a)(1)~(4)に示すように、操作オブジェクトO
Cの移動に従い各カメラの位置も移動するため、操作オブジェクトO
Cは表示画像の中央位置に配置され、階段オブジェクトO
Sなど周囲のオブジェクト位置が移動するように見える。これにより、操作オブジェクトO
Cが、階段オブジェクトO
Sを順次上に昇っていく状態が表示される。
【0074】
このとき、仮想第1カメラにより撮影された第1撮影空間の平行投影画像がその奥側を撮影した透視投影画像よりも手前側に表示されているため、2次元ゲームの表示画像のように見える。
【0075】
一方、撮影方向に対して奥側は、透視投影図法を用いた透視投影画像が用いられているため、3次元空間としての情報を同じ表示画像内に表示することができる。例えば、操作オブジェクトOCや階段オブジェクトOSの周囲のオブジェクトの大きさなどが、操作オブジェクトOCのいる第1撮影空間の移動に伴い拡大縮小されて表示される。よって、ゲームユーザーは、単なる背景としての画像ではなく、奥側に何があるかの情報を得ながら操作オブジェクトOCを操作することができる。
【0076】
また、
図16(b)に示すように、右側に並べた表示画像は左側に並べた表示画像と同じ状態をZ軸方向から撮影して生成された表示画像である。各表示画像を見ると、Y軸方向で撮影した場合と同様に、2次元ゲームの表示画像のように見える。しかし、実際には、3次元で形成された仮想3次元ゲーム空間を移動している。そのため、例えば、
図16(b)の(1)および(2)に示すように、操作オブジェクトO
Cが、階段オブジェクトO
Sの隣にある宝箱のある部屋が存在する高さ(Z軸方向の位置)にいる場合は、部屋が表示画像に現れるが、
図16(b)の(3)および(4)に示すように、操作オブジェクトO
Cが、部屋が存在しない高さまで昇ってくると、前記部屋は表示画像に現れなくなる。
【0077】
このように、操作オブジェクトOCの高さに応じて、背景なども含めた表示画像を生成するのは、2次元ゲームとして作成されたゲームでは非常に難しいことであるのに対し、本発明では容易に生成することができる。ゲームユーザーはレトロな2次元ゲーム感を損なわず、操作オブジェクトOCを3次元的に自由に移動することができるという、これまでにないゲームを体験可能となる。
【0078】
『仮想第3カメラが用いられる場合』
次に、仮想第3カメラが用いられる場合について、
図3に示すような、操作オブジェクトO
Cが2次元画像からなるオブジェクトである木のオブジェクトO
Tが並んでいる森の中を移動する場合に基づき説明する。
【0079】
図17は、操作オブジェクトO
Cが木オブジェクトO
Tを並べた森の中を移動している状況をZ軸方向から撮影し、生成された表示画像である。(1)は操作オブジェクトO
Cが木オブジェクトO
Tに対し僅かに裏側にいる状態である。(2)は操作オブジェクトO
Cが木オブジェクトO
Tと木オブジェクトO
Tとの間であってその中間位置よりも僅かに奥側の木オブジェクトO
Tに近い位置にいる状態である。(3)は操作オブジェクトO
Cが奥側の木オブジェクトO
Tに対し僅かに裏側にいる状態である。
【0080】
まず、仮想第3カメラを用いない場合について説明する。
【0081】
図18(a)は
図17の(1)~(3)に対応する位置において、仮想第3カメラを使用せずにY軸方向から撮影して生成された表示画像である。(1)の状態においては、操作オブジェクトO
Cは木オブジェクトO
Tの裏側に位置する。このため、仮想第1カメラにより撮影された平行投影画像には木オブジェクトO
Tが操作オブジェクトO
Cの手前側に表示される。
【0082】
次に、操作オブジェクトO
CがY軸方向に移動して
図17(2)の状態にいる場合、第1撮影空間内における操作オブジェクトO
Cの手前側に木オブジェクトO
Tは存在せず、平行投影画像には表示されない。よって、
図18(a)の(2)に示すように、操作オブジェクトO
Cが手前側に表示されて、あたかも操作オブジェクトO
Cが森から抜け出たようになる。しかし、実際には、
図17(2)示すように、操作オブジェクトO
Cは森の中にいる状態である。
【0083】
また、
図17(3)の状態になると、
図18(a)(3)に示すように、再び操作オブジェクトO
Cの手前に木オブジェクトO
Tが表示される。仮に更に多くの木オブジェクトO
Tが並んでおり、その間を操作オブジェクトO
Cが連続的に移動すると、操作オブジェクトO
Cが点滅するように表示されることになり、ゲームユーザーは非常に見にくくなる。
【0084】
これに対し、仮想第3カメラを使用した場合は、
図18(b)のように表示画像が生成される。本実施例における操作オブジェクトO
Cは、
図10に示すように、第1撮影空間の中間位置を撮影可能な位置にある。よって、
図17(1)に示すように、操作オブジェクトO
Cが木オブジェクトO
Tより僅か奥側に位置しているため、仮想第3カメラは手前側で最も近い基準空間の中間位置にある第3撮影空間を撮影する。また、ここには木オブジェクトO
Tの2次元画像が配置されているため、第3平行投影画像には木オブジェクトO
Tが表示される。
【0085】
第3平行投影画像を仮想第1カメラで撮影された平行投影画像の手前側に重ね合わせたとしても、両画像は同じ平行投影図法に則して生成されているため、得られる表示画像は同じ状態になる。よって、
図18(b)の(1)に示すように、仮想第3カメラを用いない場合と同様の表示画像を生成することができる。
【0086】
次に、操作オブジェクトO
CがY軸方向に移動して
図17(2)の状態にいる場合、第1撮影空間内における操作オブジェクトO
Cの手前側に木オブジェクトO
Tは存在せず、平行投影画像には表示されない。しかし、操作オブジェクトO
C(第1撮影空間の中間位置)が、基準空間の中間位置(奥側の木オブジェクトO
Tの位置)を越えていないため仮想第3カメラは移動しない。よって、操作オブジェクトO
Cは、
図18(b)の(2)に示すように、仮想第3カメラで撮影された木オブジェクトO
Tの裏側に表示される。
【0087】
また、操作オブジェクトO
CがY軸方向に移動して
図17(3)の状態になると、操作オブジェクトO
C(第1撮影空間の中間位置)が、基準空間の中間位置(奥側の木オブジェクトO
Tの位置)を越えることになる。よって仮想第3カメラは奥側の木オブジェクトO
Tの位置に移動する。そして、移動後の仮想第3カメラにより、奥側の木オブジェクトO
Tが撮影されるため、
図18(b)(3)に示すように、操作オブジェクトO
Cの手前に木オブジェクトO
Tがある状態の表示を維持することができる。
【0088】
また、操作オブジェクトOCが1つの基準空間分(1マス分)、移動する毎に仮想第3カメラにより生成される第3平行投影画像が変わるため、操作オブジェクトOCが1マス移動したかどうかがわかりやすくなる。
【0089】
以上のように、仮想第3カメラを使用することによって、操作オブジェクトOCの位置に応じて本来表示されるべき2次元画像オブジェクトO2Dが表示されないという問題を回避することができる。また、木オブジェクトOTが並ぶ森のような場所を連続的に移動する場合において、操作オブジェクトOCと木オブジェクトOTが交互に点滅するように表示されることもない。さらに、基準空間毎を単位とした操作オブジェクトOCの移動が容易になるという効果を得られることがわかった。
【0090】
なお、本発明に係る3次元ゲーム画像生成プログラム、3次元ゲーム画像生成装置および3次元ゲーム画像生成方法は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。例えば、表示画像生成部39は、出力するディスプレイ5の縦横比に応じて、出力する表示画像を縦方向または横方向に対して適宜拡大・縮小したり、画像の端部を削除できるように機能してもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 3次元ゲーム画像生成装置
1a 3次元ゲーム画像生成プログラム
2 記憶手段
3 演算処理手段
4 コントローラ
5 ディスプレイ
21 プログラム記憶部
22 3次元ゲーム空間記憶部
31 第1カメラ画像取得部
32 第2カメラ画像取得部
33 オブジェクト操作信号取得部
34 仮想カメラ移動部
35 方向切替信号取得部
36 撮影方向切替部
37 第3カメラ画像取得部
38 第3カメラ移動部
39 表示画像生成部
B 基準空間
C1 仮想第1カメラ
C2 仮想第2カメラ
C3 仮想第3カメラ
OC 操作オブジェクト
O2D 2次元画像オブジェクト
OS 階段オブジェクト
OT 木オブジェクト
SP1 第1撮影空間
SP2 第2撮影空間
SP3 第3撮影空間
M1,M2 基準空間の中間位置
m 第1撮影空間の中間位置