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特許7325112情報提供装置、流体制御機器、情報提供方法、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】情報提供装置、流体制御機器、情報提供方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20230804BHJP
   F16K 37/00 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
G05B23/02 Z
F16K37/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020032884
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021135865
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】丹野 竜太郎
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 航大
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀信
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕也
(72)【発明者】
【氏名】篠原 努
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-199896(JP,A)
【文献】特開2019-164542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
F16K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体制御機器の変更管理情報を提供する情報提供装置であって、
前記流体制御機器ごとの変更管理情報を記憶する変更管理情報記憶部と、
新たな前記変更管理情報を前記変更管理情報記憶部に登録する登録処理部と、
前記流体制御機器の動作情報に基づき、新たに登録された前記変更管理情報の提供が必要な流体制御機器を識別する識別処理部と、
識別した前記流体制御機器に対し、新たに登録された前記変更管理情報を送信する変更管理情報送信部と、を有する、
情報提供装置。
【請求項2】
前記変更管理情報送信部は、新たに登録された前記変更管理情報の提供が必要な流体制御機器を管理するコントローラに対して、当該新たに登録された前記変更管理情報を送信する、
請求項1記載の情報提供装置。
【請求項3】
流体制御機器の変更管理情報を提供する情報提供装置であって、
前記流体制御機器ごとの変更管理情報を記憶する変更管理情報記憶部と、
新たな前記変更管理情報を前記変更管理情報記憶部に登録する登録処理部と、
前記流体制御機器から、稼働していることを示す稼働情報を受信する稼働情報受信部と、
稼働している前記流体制御機器に対し、新たに登録された前記変更管理情報を送信する変更管理情報送信部と、を有する、
情報提供装置。
【請求項4】
前記稼働情報受信部は、前記流体制御機器を管理するコントローラから、稼働している前記流体制御機器に係る情報を受信し、
前記変更管理情報送信部は、前記コントローラに対し、稼働している前記流体制御機器について新たに登録された前記変更管理情報を送信する、
請求項3記載の情報提供装置。
【請求項5】
変更管理情報を取得可能な流体制御機器であって、
前記変更管理情報を提供する情報提供装置と、通信可能に構成され、
前記情報提供装置に対し、稼働していることを示す稼働情報を送信する稼働情報送信部と、
前記情報提供装置から、前記変更管理情報を受信する変更管理情報受信部と、
前記変更管理情報を出力する出力部と、を有する、
流体制御機器。
【請求項6】
流体制御機器の変更管理情報を提供する方法であって、
前記流体制御機器ごとの変更管理情報を記憶する変更管理情報記憶部、を有するコンピュータが、
新たな前記変更管理情報を前記変更管理情報記憶部に登録する登録処理と、
前記流体制御機器の動作情報に基づき、新たに登録された前記変更管理情報の提供が必要な流体制御機器を識別する識別処理と、
識別した前記流体制御機器に対し、新たに登録された前記変更管理情報を送信する変更管理情報送信処理と、を実行する、
情報提供方法。
【請求項7】
流体制御機器の変更管理情報を提供するためのコンピュータプログラムであって、
前記流体制御機器ごとの変更管理情報を記憶する変更管理情報記憶部、を有するコンピュータに対し、
新たな前記変更管理情報を前記変更管理情報記憶部に登録する登録処理と、
前記流体制御機器の動作情報に基づき、新たに登録された前記変更管理情報の提供が必要な流体制御機器を識別する識別処理と、
識別した前記流体制御機器に対し、新たに登録された前記変更管理情報を送信する変更管理情報送信処理と、を実行させる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新たな変更管理情報を必要とする流体制御機器に対して、当該新たな変更管理情報を自動的に送信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハの表面に薄膜を形成する成膜処理においては薄膜の微細化が求められ、近年では原子レベルや分子レベルの厚さで薄膜を形成するALD (Atomic Layer Deposition)という成膜方法が使われている。
しかし、薄膜の微細化は流体制御機器に今まで以上の高頻度な開閉動作を要求するため、その負荷により流体の漏出等を惹き起こしやすくなる場合がある。そのため、流体制御機器における流体の漏出を容易に検知できる技術への要求が高まっている。このような流体の漏出の検知や予期は、流体制御機器の使用頻度、温度、湿度、及び振動等、上記漏出を始めとして流体制御機器の異常に影響を及ぼす様々な環境要因情報や動作情報を収集し、異常との相関を分析することで可能になるところが多いと考えられる。
また、このような情報の収集は、異常の予期や検知のほかにも、ユーザの使用状況に最適な流体制御機器の選択、精密な製膜処理を実現する流体制御機器の製造等にも役立つと考えられる。
【0003】
この点、特許文献1では、流体制御機器に取り付けたセンサによって動作情報を取得し、当該動作情報に基づいて流体制御機器の動作を分析するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WO2018/168873
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシステムでは、流体制御機器から動作情報を取得することはできるが、どのようにすれば動作情報を有効に活用できるかは示されておらず、その点はこれからの課題となっている。
ところで、流体制御機器のメーカは、流体制御機器の仕様変更等に係る変更管理情報を適切に管理し、これを当該流体制御機器のユーザに提供しなければならない。しかしながら、多種の流体制御機器を提供するユーザにとって、変更管理情報の適切な管理とユーザへの提供は大きな負担となっている。
【0006】
そこで本発明は、新たな変更管理情報を必要とする流体制御機器に対して、当該新たな変更管理情報を適切に提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る情報提供装置は、流体制御機器の変更管理情報を提供する情報提供装置であって、前記流体制御機器ごとの変更管理情報を記憶する変更管理情報記憶部と、新たな前記変更管理情報を前記変更管理情報記憶部に登録する登録処理部と、前記流体制御機器の動作情報に基づき、新たに登録された前記変更管理情報の提供が必要な流体制御機器を識別する識別処理部と、識別した前記流体制御機器に対し、新たに登録された前記変更管理情報を送信する変更管理情報送信部と、を有する。
【0008】
また、前記変更管理情報送信部は、新たに登録された前記変更管理情報の提供が必要な流体制御機器を管理するコントローラに対して、当該新たに登録された前記変更管理情報を送信するものとしてもよい。
【0009】
また、本発明の他の観点に係る情報提供装置は、流体制御機器の変更管理情報を提供する情報提供装置であって、前記流体制御機器ごとの変更管理情報を記憶する変更管理情報記憶部と、新たな前記変更管理情報を前記変更管理情報記憶部に登録する登録処理部と、前記流体制御機器から、稼働していることを示す稼働情報を受信する稼働情報受信部と、稼働している前記流体制御機器に対し、新たに登録された前記変更管理情報を送信する変更管理情報送信部と、を有する。
【0010】
また、前記稼働情報受信部は、前記流体制御機器を管理するコントローラから、稼働している前記流体制御機器に係る情報を受信し、前記変更管理情報送信部は、前記コントローラに対し、稼働している前記流体制御機器について新たに登録された前記変更管理情報を送信するものとしてもよい。
【0011】
本発明の他の観点に係る流体制御機器は、変更管理情報を取得可能な流体制御機器であって、前記変更管理情報を提供する情報提供装置と、通信可能に構成され、前記情報提供装置に対し、稼働していることを示す稼働情報を送信する稼働情報送信部と、前記情報提供装置から、前記変更管理情報を受信する変更管理情報受信部と、を有する。
【0012】
また、前記変更管理情報を出力する出力部、をさらに有するものとしてもよい。
【0013】
また、本発明の別の観点に係る情報提供方法は、流体制御機器の変更管理情報を提供する方法であって、前記流体制御機器ごとの変更管理情報を記憶する変更管理情報記憶部、を有するコンピュータが、新たな前記変更管理情報を前記変更管理情報記憶部に登録する登録処理と、前記流体制御機器の動作情報に基づき、新たに登録された前記変更管理情報の提供が必要な流体制御機器を識別する識別処理と、識別した前記流体制御機器に対し、新たに登録された前記変更管理情報を送信する変更管理情報送信処理と、を実行する。
【0014】
また、本発明のさらに別の観点に係るコンピュータプログラムは、流体制御機器の変更管理情報を提供するためのコンピュータプログラムであって、前記流体制御機器ごとの変更管理情報を記憶する変更管理情報記憶部、を有するコンピュータに対し、新たな前記変更管理情報を前記変更管理情報記憶部に登録する登録処理と、前記流体制御機器の動作情報に基づき、新たに登録された前記変更管理情報の提供が必要な流体制御機器を識別する識別処理と、識別した前記流体制御機器に対し、新たに登録された前記変更管理情報を送信する変更管理情報送信処理と、を実行させる。
【0015】
なお、コンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、コンピュータ読み取り可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、新たな変更管理情報を必要とする流体制御機器に対して、当該新たな変更管理情報適切に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る情報提供装置において、動作情報を収集する流体制御機器を示した(a)外観斜視図、(b)平面図である。
図2】本発明の実施形態に係る情報提供装置において、動作情報を収集する流体制御機器の内部構造を示したA-A断面図であって、(a)弁閉状態、(b)弁開状態を示す。
図3】本発明の実施形態に係る情報提供装置において、動作情報を収集する流体制御機器の内部構造を示したB-B断面図であって、(a)弁閉状態、(b)弁開状態を示す。
図4】本発明の実施形態に係る情報提供装置において、動作情報を収集する流体制御機器を示した分解斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る情報提供装置において、動作情報を収集する流体制御機器を示した分解斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る情報提供装置において、動作情報を収集する流体制御機器を示した分解斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係る情報提供装置の構成を示した機能ブロック図である。
図8】本発明の実施形態に係る情報提供装置の構成の他の例を示した機能ブロック図である。
図9】本発明の実施形態に係る情報提供装置によって実行される処理の流れを示したシーケンス図である。
図10】本発明の実施形態に係る情報提供装置によって実行される他の処理の流れを示したシーケンス図である。
図11】本発明の実施形態に係る情報提供装置によって実行される他の処理の流れを示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る情報提供システムについて、図を参照して説明する。
情報提供システムは、流体制御機器Vのユーザから、当該流体制御機器Vのユーザに流体制御機器Vの変更管理情報を提供するシステムである。
【0019】
まず、動作情報の収集が可能な流体制御機器の一例について図を参照して説明する。
なお、流体制御機器に関する以下の説明では、便宜的に図面上での方向によって部材等の方向を上下左右と指称することがあるが、これらは本発明の実施あるいは使用の際の部材等の方向を限定するものではない。
【0020】
●流体制御機器V
図1に示される流体制御機器Vは、エア作動式のダイレクトダイヤフラムバルブであり、他の流体制御機器や流量制御装置等とガスユニットを構成して、プロセス流体を制御し、被処理体を処理する。この流体制御機器Vは、図1図3に示されるように、バルブボディ1、ボンネット部2、カバー部3、アクチュエータ部4を備える。
【0021】
バルブボディ1は図2及び図3に示されるように、流路が形成された基台部11と、基台部11上に設けられた略円筒形状の円筒部12とからなる。
基台部11は平面視矩形状からなり、複数の流体制御機器Vによってガスユニットを構成する場合には、基板あるいはマニホールドブロック上に設置される部分となる。
【0022】
円筒部12は図4に示されるように、ボンネット部2が配設される側の端面が開口した中空形状からなり、中空の内部はボンネット部2が収容される凹部12aを構成する。
この円筒部12には、軸心方向に長さを有し、ボンネット部2が配設される側であって基台部11とは反対側の一端が開口すると共に、外側から凹部12a側へ貫通したスリット12bが設けられている。このスリット12bを介して、ボンネットウォール25から延び出したフレキシブルケーブル26が内側から外側へ導出される。
【0023】
凹部12aの下方及び基台部11内には、流体が流入する流入路111と流体が流出する流出路113、及び当該流入路111と流出路113に連通する弁室112が形成されている。流入路111、流出路113、及び弁室112は、流体が流通する流路を一体的に構成している。
【0024】
環状のシート21は、弁室112における流入路111の開口部周縁に設けられている。シート21にダイヤフラム22を当接離反させることによって流入路111から流出路113へ流体を流通させたり、流通を遮断させたりすることができる。
【0025】
ダイヤフラム22は、ステンレス、Ni-Co系合金等の金属からなると共に、中心部が凸状に膨出した球殻状の部材であり、流路とアクチュエータ部4が動作する空間とを隔離している。このダイヤフラム22は、ダイヤフラム押え23により押圧されていない状態では、図2(b)及び図3(b)に示されるように、シート21から離反しており、流入路111と流出路113とが連通した状態となる。一方、ダイヤフラム押え23により押圧された状態では、図2(a)及び図3(a)に示されるように、ダイヤフラム22の中央部が変形してシート21に当接しており、流入路111と流出路113が遮断された状態となる。
【0026】
ダイヤフラム押え23は、ダイヤフラム22の上側に設けられ、ピストン43の上下動に連動してダイヤフラム22の中央部を押圧する。
このダイヤフラム押え23は、図5に示されるように、略円柱状の基体部231と、ダイヤフラム22に当接する側の一端側において拡径した拡径部232からなる。
【0027】
基体部231には、軸心方向に長さを有し、拡径部232とは反対側の一端が開口した有底の条溝231aが形成されている。この条溝231aには、ボンネットウォール25のネジ孔25cにねじ込まれたネジ25dの軸棒部分が摺動可能に嵌合する。条溝231aとネジ25dは、ダイヤフラム押え23の周方向の回動を規制する回動規制手段を構成し、これによりダイヤフラム押え23は、ピストン43に連動して上下動しつつも、周方向の回動を規制される。
【0028】
また、基体部231には、磁石M1が取り付けられている。この磁石M1は、本実施例では、基体部231の条溝231aの反対側に取り付けられているが、位置センサM2が磁石M1の磁力を検出するのに支障がなく、また、流体制御機器Vの動作に支障がない限り、基体部231上の他の位置に取り付けることもできる。
【0029】
ボンネット24は、略円筒状からなり、バルブボディ1の凹部12a内に収容される。
ダイヤフラム22の周縁はボンネット24の下端部とバルブボディ1との間に挟持されており、この部分でダイヤフラム22とバルブボディ1との間のシールが形成される。
ボンネット24の内部には、ダイヤフラム押え23が貫挿される貫挿孔241aが中心部に形成された略円盤状の仕切部241が設けられている。
仕切部241の上方ないしは、アクチュエータ部4が配設される側に形成される凹部24aには、ボンネットウォール25が収容される。仕切部241とボンネットウォール25にはそれぞれ、互いに対応する位置にネジ穴241bと貫通孔25eが設けられており、ボンネット24にボンネットウォール25がボルト25fによって螺設される。
【0030】
ボンネット24の仕切部241は、一定の厚みを有しており、仕切部241に形成されている貫挿孔241aの内周面とダイヤフラム押え23の間にはOリングO1が介装されている。これにより、仕切部241、ダイヤフラム22、及びダイヤフラム押え23によって画定される閉空間S2の気密性が確保されている。
また、ボンネット24の仕切部241には、ボンネットウォール25に取り付けられている圧力センサPに連通する連通孔241dが設けられている。連通孔241dを介して圧力センサPが設けられていることにより、仕切部241、ダイヤフラム22、及びダイヤフラム押え23によって画定された閉空間S2内の圧力を測定することができる。
【0031】
また、ボンネット24の側面には、内側に収容したボンネットウォール25から導出されたフレキシブルケーブル26を外側へ導出させるための貫通孔241cが設けられている。
【0032】
ボンネットウォール25は、ボンネット24内に配設される部材である。このボンネットウォール25は肉厚の略円盤状の部材を平面視略C字状に刳り貫いた形状からなる。このボンネットウォール25の中心には、ダイヤフラム押え23の基体部231を貫挿させる貫挿孔25aが設けられている。また、貫挿孔25aをボンネットウォール25の半径方向外側に向かって開口させる開口部25bが設けられている。
【0033】
ボンネットウォール25の厚み部分の所定の箇所には、貫挿孔25aから半径方向外側に向かってねじ切られたネジ孔25cが形成されている。このネジ孔25cには外側からネジ25dが螺合し、螺合したネジ25dの軸心部分は、貫挿孔25a側へ抜け出して、貫挿孔25aに貫挿されたダイヤフラム押え23の条溝231aに摺動可能に嵌合する。
【0034】
ボンネットウォール25には、ボンネット24のネジ穴241bに対応する位置に貫通孔25eが設けられている。ネジ穴241bと貫通孔25eには、ボンネット24の仕切部241上にボンネットウォール25が配設された状態でボルト25fが螺合し、これによりボンネット24にボンネットウォール25が固定される。
【0035】
ボンネットウォール25の外周面のうち、開口部25b近傍には、開口部25bを塞ぐように掛け渡して固定された平板状の位置センサM2が取り付けられている。この位置センサM2は、ダイヤフラム押え23に取り付けられた磁石M1との間の距離変化をセンシングする磁気センサであり、センシングにより、流体制御機器Vの開閉状態のみならず、開度を計測することができる。なお、ボンネットウォール25に取り付けられた位置センサM2は、流体制御機器Vの開閉操作に伴うピストン43やダイヤフラム押え23の上下動にかかわらず、所定の位置に固定されている。
【0036】
カバー部3は図6に示されるように、アクチュエータボディ41とバルブボディ1を挟圧して一体的に保持すると共に、回路基板27及び回路基板27に設けられたコネクタ28を流体制御機器Vに固定する固定手段を構成する。
このカバー部3は、カバー31と平板状のプレート32、33を備える。
【0037】
カバー31は、略U字状からなり、その内側にはアクチュエータボディ41とバルブボディ1の端部が嵌め込まれる。
カバー31の両側面には、アクチュエータボディ41が嵌め込まれる位置に対応してネジ孔31aが設けられている。これにより、バルブボディ1が内側にはめ込まれた状態でネジ孔31aにネジ31bを螺入させ、ネジ31bの先端をバルブボディ1に圧接させると、バルブボディ1をカバー31の内側に挟持することができる。
【0038】
また、カバー31の厚み部分には、ネジ穴31cが設けられている。このネジ穴31cに、ネジ31dがプレート32、33の貫通孔32b、33bを介して螺合することで、カバー31にプレート32、33が取り付けられる。
【0039】
プレート32、33は、カバー31の内側にアクチュエータボディ41とバルブボディ1の端部を嵌めた状態でカバー31とネジ止め固定され、固定された状態においては、カバー31との間にアクチュエータボディ41とバルブボディ1を挟圧保持する。
このプレート32の下方には、舌片状に切り欠いた切欠部32aが形成されており、フレキシブルケーブル26はこの切欠部32aを介して、コネクタ28が設けられた回路基板27へ導出される。
【0040】
プレート33は、プレート32との間に回路基板27を介装させた状態でプレート32及びカバー31にネジ止め固定され、プレート32との間に回路基板27を挟圧保持する。
このプレート33には、中央部に略矩形状の貫通孔33aが設けられており、回路基板27に設けられたコネクタ28はこの貫通孔33aから外側へ抜け出る。
【0041】
ここで、基台部11が平面視矩形状からなるところ、カバー部3は図1(b)に示されるように、コネクタ28を矩形状の基台部11の対角線方向に向けて流体制御機器Vに固定している。このような向きにコネクタ28を固定するのは以下の理由による。即ち、複数の流体制御機器Vによってガスユニットを構成する場合には、集積化の要請から、隣り合う矩形状の基台部11の向きを揃えてできる限り隙間をなくし、基盤あるいはマニホールドブロック上に流体制御機器Vを配設するのが好適である。他方、このように配設して集積させた場合には、コネクタ28に端子等を接続しにくくなる。そのため、コネクタ28を基台部11の対角線方向に向けることで、真横に配設されている流体制御機器Vの方に向ける場合と比べ、接続するスペースを広く取ることができる。その結果、コネクタ28に端子等を接続するのが容易であるし、端子等の折れや撚れによる断線等の不具合を防いだり、端子等が流体制御機器Vに当たって流体制御機器Vの動作に異常をもたらすといった不具合を防ぐこともできる。
【0042】
アクチュエータ部4は、ボンネット部2上に配設される。
このアクチュエータ部4は図4に示されるように、アクチュエータボディ41、アクチュエータキャップ42、ピストン43、バネ44を備える。なお、図4においては、アクチュエータ部4の内部構造を省略しているが、内部構造は図2及び図3に示されるとおりである。
【0043】
アクチュエータボディ41は、ピストン43とボンネット24の間に介装される。
このアクチュエータボディ41は図4に示されるように略円柱形状からなり、中心部には、ピストン43とダイヤフラム押え23が貫挿される貫挿孔41aが長さ方向に沿って設けられている。図2及び図3に示されるように、貫挿孔41a内ではピストン43とダイヤフラム押え23が当接しており、ダイヤフラム押え23はピストン43の上下動に連動して上下動する。
【0044】
ピストン43が配設される側の上端面には、環状の突条からなる周壁411が形成されており、周壁411の内側の平坦な水平面とピストン43の拡径部431の下端面との間には、駆動圧が導入される駆動圧導入室S1が形成される。
【0045】
また、アクチュエータボディ41のピストン43が配設される側の外周面上には、雄ネジが切られており、アクチュエータキャップ42の内周面に切られた雌ネジと螺合することにより、アクチュエータボディ41はアクチュエータキャップ42の一端に取り付けられる。
【0046】
アクチュエータボディ41の長さ方向の中心部は、断面視略六角形状に形成されており、当該断面視六角形状の部分とバルブボディ1の上端部分は、カバー31によって一体的に挟圧される。
【0047】
アクチュエータキャップ42は、下端部が開口したキャップ状の部材であり、内部にピストン43とバネ44を収容している。
アクチュエータキャップ42の上端面には、ピストン43の駆動圧導入路432に連通する開口部42aが設けられている。
アクチュエータキャップ42の下端部は、アクチュエータボディ41の上部が螺合して閉止されている。
【0048】
ピストン43は、駆動圧の供給と停止に応じて上下動し、ダイヤフラム押え23を介してダイヤフラム22をシート21に当接離反させる。
このピストン43の軸心方向略中央は円盤状に拡径しており、当該箇所は拡径部431を構成している。ピストン43は、拡径部431の上面側においてバネ44の付勢力を受ける。また、拡径部431の下端側には、駆動圧が供給される駆動圧導入室S1が形成される。
【0049】
また、ピストン43の内部には、上端面に形成された開口部43aと、拡径部431の下端側に形成される駆動圧導入室S1とを連通させるための駆動圧導入路432が設けられている。ピストン43の開口部43aはアクチュエータキャップ42の開口部42aまで連通しており、外部から駆動圧を導入するための導入管が開口部42aに接続され、これにより駆動圧導入室S1に駆動圧が供給される。
【0050】
ピストン43の拡径部431の外周面上には、OリングO21が取り付けられており、このOリングO21はピストン43の拡径部431の外周面とアクチュエータボディ41の周壁411の間をシールしている。また、ピストン43の下端側にもOリングO22が取り付けられており、このOリングO22はピストン43の外周面とアクチュエータボディ41の貫挿孔41aの内周面の間をシールしている。これらのOリングO21、O22により、ピストン43内の駆動圧導入路432に連通する駆動圧導入室S1が形成されると共に、この駆動圧導入室S1の気密性が確保されている。
【0051】
バネ44は、ピストン43の外周面上に巻回されており、ピストン43の拡径部431の上面に当接してピストン43を下方、即ちダイヤフラム22を押下する方向に付勢している。
【0052】
ここで、駆動圧の供給と停止に伴う弁の開閉動作について言及する。開口部42aに接続された導入管(図示省略)からエアが供給されると、エアはピストン43内の駆動圧導入路432を介して駆動圧導入室S1に導入される。これに応じて、ピストン43はバネ44の付勢力に抗して上方に押し上げられる。これにより、ダイヤフラム22がシート21から離反して開弁した状態となり、流体が流通する。
一方、駆動圧導入室S1にエアが導入されなくなると、ピストン43がバネ44の付勢力に従って下方に押し下げられる。これにより、ダイヤフラム22がシート21に当接して閉弁した状態となって、流体の流通が遮断される。
【0053】
流体制御機器Vは、機器内の動作情報を取得する動作情報取得機構として、圧力センサPと、位置センサM2を備えている。
圧力センサPは図3に示されるように、ボンネットウォール25の下面、ないしは流路側に取り付けられており、連通孔241dを介して、ダイヤフラム22、ボンネット24の仕切部241、及びダイヤフラム押え23によって画定された閉空間S2に連通している。この圧力センサPは、圧力変化を検出する感圧素子や、感圧素子によって検出された圧力の検出値を電気信号に変換する変換素子等によって構成される。これにより圧力センサPは、ダイヤフラム22、ボンネット24の仕切部241、及びダイヤフラム押え23によって画定された閉空間S2内の圧力を検出することができる。
なお、圧力センサPが連通孔241dに通じる箇所にはパッキン29が介装されており、気密状態が担保されている。
なお、圧力センサPは、ゲージ圧あるいは大気圧のいずれを検出するものでもよい。
【0054】
位置センサM2は、ダイヤフラム押え23に取り付けられた磁石M1との間の距離変化をセンシングすることにより、流体制御機器Vの開閉状態を把握するのみならず、リフト量を計測することができる。
この位置センサM2によって以下の通り、弁の開閉動作検知することができる。即ち、磁石M1がダイヤフラム押え23の上下動に応じて上下動するのに対し、位置センサM2はボンネットウォール25及びボンネット24と共にバルブボディ1内に固定されている。この結果、ダイヤフラム押え23の上下動に従って上下動する磁石M1と、位置が固定されている位置センサM2との間に発生する磁界の変化に基づき、ダイヤフラム押え23の動作、ひいては弁の開閉動作を検知したり、リフト量を計測したりすることができる。
【0055】
なお、位置センサM2には各種のものを用いることができるが、その一例に係る位置センサM2は平面コイル、発振回路、及び積算回路を有しており、対向する位置にある磁石M1との距離変化に応じて発振周波数が変化する。そして、この周波数を積算回路で変換して積算値を求めることにより、流体制御機器Vの開閉状態と共に、リフト量を計測することができる。
【0056】
なお、本実施形態では磁気センサからなる位置センサM2を用いたが、これに限らず、上述した位置センサM2と同様、ダイヤフラム押え23とボンネット24の位置関係、あるいはこれらの部材の所定の箇所同士の距離を測定することができる位置センサであれば、光学式の位置センサ等、他の種類のセンサを用いることもできる。
また、本実施形態に係る流体制御機器Vにおいても、位置センサM2を含む位置センサには、位置検出精度が±0.01mmから±0.001mmに収まるものを選定することが望ましい。当該半導体製造プロセス向けのバルブとしては微細な流体制御を実現するために±0.01mm程度の微細な開度制御が必要になる半面、±0.001mmを超える検出精度を用いるとバルブ近傍の真空ポンプ等が発生させる振動を検出しノイズを生じてしまうためである。
【0057】
本例では、圧力センサPと位置センサM2にそれぞれ、可撓性を有する通信用のフレキシブルケーブル26の一端が接続しており、フレキシブルケーブル26の他端は、流体制御機器Vの外側に設けられた回路基板27に接続している。回路基板27には、情報の送受信を実行する処理モジュールが構成されており、これにより、コネクタ28に接続された外部端末に対し、圧力センサPや位置センサM2から検出した情報を送信することができる。
【0058】
なお、流体制御機器Vにおいて、フレキシブルケーブル26と回路基板27にはフレキシブル基板(FPC)が用いられ、フレキシブルケーブル26、回路基板27、及びコネクタ28は一体的に構成されている。フレキシブルケーブル26と回路基板27にフレキシブル基板を用いることにより、配線経路として部材間の隙間を利用することが可能になり、その結果、被覆線を用いる場合に比べて流体制御機器V自体を小型化することができる。
また、処理モジュールは回路基板27とは別に、流体制御機器V内に格納されていてもよいし、圧力センサP又は位置センサM2の一部として構成されていてもよい。
また、コネクタ28の種類や形状は、各種の規格に応じて適宜に設計し得る。
【0059】
また、上述した圧力センサPや位置センサM2によって実現される動作情報取得機構としては他に、駆動圧を検出する駆動圧センサ、流路内の温度を測定する温度センサ、ピストン43あるいはダイヤフラム押え23の挙動を検知するリミットスイッチなどを設けることもできる。
【0060】
以上の流体制御機器Vでは、ピストン43とダイヤフラム押え23が別体で構成されているが、磁石M1はダイヤフラム押え23に取り付けられている。これにより、ダイヤフラム押え23の動作不良を判別することができる。即ち、通常であれば、弁開操作によってダイヤフラム押え23はピストン43に追随して上昇するが、弁閉時に弁室112が真空付近まで減圧されることでダイヤフラム22がシート21に吸着されることで、ピストン43が上昇したにもかかわらず、ダイヤフラム押え23がピストン43に追随せずにダイヤフラム22に当接したままとなる場合がある。この結果、ダイヤフラム22が流路を遮断したままになってしまう場合がある。しかし、このような場合でも、流体制御機器Vでは磁石M1がダイヤフラム押え23と連動しているため、位置センサM2による検出値から、ダイヤフラム押え23の動作を判別し、動作不良を判別することができる。
【0061】
なお、このようなダイヤフラム押え23の動作不良の判別は、位置センサM2が、流体制御機器Vの開閉動作に応じてピストン43やダイヤフラム押え23のように上下動しないダイヤフラム押え23に取り付けられていることで、ダイヤフラム押え23の相対的な動作を識別できるために可能となっている。したがって、ダイヤフラム押え23の動作を識別し、動作不良を判別可能とする点において、位置センサM2が取り付けられるべき部材は、流体制御機器Vの開閉動作にかかわらず所定の位置に固定されているものであればよい。
【0062】
なお、流体制御機器Vには、動作情報などを表示するための液晶パネル等の情報表示手段を設けてもよい。また、内蔵するソフトウェアによる処理結果等に応じて、報知音を出力したり、発光したりする報知手段を設けてもよい。
【0063】
以上の構成からなる流体制御機器Vは通常、複数、集積して、流量制御装置等と共に流体制御装置(ガスユニット)を構成する。
このように、複数の流体制御機器Vによって流体制御装置を構成する場合、流体制御機器Vは密集して配設される。そのため、各流体制御機器Vにおけるデータを表示するためのパネルを設ける場合には、容易に視認できるよう、アクチュエータ部4の上面、少なくとも上方に設けられるのが好適である。
【0064】
●動作情報収集装置6の機能構成
図7は、動作情報を収集する動作情報収集装置6が組み込まれた流体制御機器Vと、動作情報の提供を受けると共に、変更管理情報を提供する情報提供装置7の機能構成を示している。
流体制御機器Vは上述のとおり、動作情報取得機構5として、開閉動作を検出可能な機器動作や状態変化を検出する圧力センサPと位置センサM2を備えており、動作情報収集装置6は、当該圧力センサPと位置センサM2によって検出された検出値を動作情報として収集する。
【0065】
動作情報収集装置6は、収集処理部61、抽出処理部62、通信処理部63、設定情報記憶部64、及び動作情報記憶部65からなる機能ブロックを構成している。
【0066】
収集処理部61は、動作情報取得機構5によって取得された検出値を動作情報として収集し、収集した動作情報を動作情報記憶部65に登録する。本実施形態では例えば、圧力センサPや位置センサM2により、閉空間S2の圧力やダイヤフラム押え23のリフト量、流体制御機器Vの開度といった動作情報を収集できる。
なお、これらの動作情報は一例であって、温度センサなど、圧力センサPや位置センサM2以外の動作情報取得機構5を流体制御機器Vに備えさせることにより、他の種類の動作情報を取得することができる。
【0067】
なお、収集処理部61による動作情報の登録は、動作情報取得機構5によって取得された検出値をそのまま動作情報として登録するものであってもよいし、適宜に加工したデータとして登録するものであってもよい。ここにいう加工は例えば、検出値を時系列による変化割合に変換したり、ピストン43の推力や平均移動速度といった値を求めるべく検出値に基づいた所定の計算を実行したり、所定の閾値との比較によって適宜に取捨したりするものである。
また、収集処理部61によって登録される動作情報には、動作情報取得機構5による検出値、あるいは当該検出値に基づく加工データのほか、流体制御機器Vを識別可能な識別情報、検出値を取得した時間や流体制御機器Vの使用期間といったログ情報、使用した流体の種類やユーザによって適宜に変更される設定等の設定情報、流体制御機器Vに接続されている周辺機器から得られる駆動電圧や駆動圧といった周辺機器情報、あるいは外部環境の温度や湿度といった使用環境情報などが含まれる。
【0068】
抽出処理部62は、設定情報記憶部64を参照し、動作情報の内容ごとに設定された提供可否に応じて、提供可能に設定されている動作情報を抽出する。
【0069】
通信処理部63は、所定の通信プロトコルに基づいたデータ通信を可能とする機能部であり、インターネット等の公衆回線や専用回線等の所定の通信網を介して情報提供装置7に動作情報を送信することができる。
【0070】
設定情報記憶部64は、情報提供装置7に対する動作情報の内容ごとの提供可否に係る設定情報を記憶した記憶部である。
動作情報の内容ごとの提供可否は、流体制御機器Vのユーザが任意に設定することができ、秘匿しておきたい動作情報は提供せず、提供して差し支えない動作情報は提供するといった設定が可能である。
【0071】
動作情報記憶部65は、流体制御機器Vの動作情報を記憶する記憶部である。
この動作情報記憶部65に記憶される動作情報は、収集処理部61によって収集されたものであり、抽出処理部62によって抽出され、情報提供装置7に提供される。
【0072】
●情報提供装置7の機能構成
情報提供装置7は、登録処理部71、識別処理部72、判別処理部73、抽出処理部74、通信処理部75、動作情報記憶部76、及び変更管理情報記憶部77からなる機能ブロックを構成している。
【0073】
登録処理部71は、新たな変更管理情報を変更管理情報記憶部77に登録する。
【0074】
識別処理部72は、動作情報に基づき、当該動作情報を取得した流体制御機器Vの型あるいは種別等識別することができる。流体制御機器Vの識別は、対応する変更管理情報を特定することができればよい。
【0075】
判別処理部73は、流体制御機器Vの稼働有無を判別する。稼働有無の判別は例えば、流体制御機器Vから動作情報を受信した場合に稼働していると判別したり、稼働有無の問い合わせを流体制御機器Vに送信し、これに対するレスポンスを受信した場合に稼働していると判別したりする。一方、流体制御機器Vから一定期間、動作情報を受信しなかった場合や、稼働有無の問い合わせに対するレスポンスを受信しなかった場合には、流体制御機器Vは稼働していないものと判別する。
【0076】
抽出処理部74は、変更管理情報記憶部77を参照して、所定の流体制御機器Vに対応する変更管理情報を抽出する。
【0077】
通信処理部75は、所定の通信プロトコルに基づいたデータ通信を可能とする機能部であり、インターネット等の公衆回線や専用回線等の所定の通信網を介して動作情報収集装置6から動作情報を受信したり、流体制御機器Vや、当該流体制御機器Vのユーザが利用するユーザ端末に対して変更管理情報を送信したりすることができる。
【0078】
動作情報記憶部76は、動作情報収集装置6から提供を受けた動作情報を記憶する記憶部である。
なお、流体制御機器Vのメーカは、動作情報記憶部76に記憶されている動作情報を新たな製品の開発のほか、流体制御機器Vの異常の判別や予期、所定の動作と異常発生の相関関係の分析、これら予期や分析の精度向上などに利用することができる。
【0079】
変更管理情報記憶部77は、流体制御機器Vの変更管理情報を記憶する記憶部である。
変更管理情報とは、例えば、流体制御機器Vの品番やメーカ、部品の情報などであり、その名称に関わらず、流体制御機器Vの適切な使用や管理に資する情報である。
【0080】
なお、以上の本実施形態では、動作情報の提供は、動作情報収集装置6が備える通信処理部63と情報提供装置7が備える通信処理部75により、所定の通信網を介して実行されるが、これに限らず、他の態様によることができる。
例えば、流体制御機器Vが備えるコネクタ28に接続した外部メモリを介して、あるいは当該コネクタ28に本実施形態に係る情報提供装置7を直接、接続して提供することができる。
【0081】
また、通信処理部63により、インターネット等の公衆回線や専用回線等の所定の通信網を介して情報提供装置7に動作情報を送信する場合についても、流体制御機器Vと情報提供装置7の間に中継装置を介在させ、流体制御機器Vと中継装置の間の通信は、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信、あるいはZigbee(登録商標)といった短距離無線通信によって構成し、中継装置と情報提供装置7の間は、インターネット等の公衆回線で構成することもできる。
【0082】
なお、動作情報の提供は、1時間や1日等の任意に設定された所定の周期で行われるものであってもよいし、収集処理部61によって動作情報記憶部65に動作情報が登録されたタイミングで行われるものであってもよい。
【0083】
また、流体制御機器Vの動作情報の収集と提供は、流体制御機器V自身による例に限らず、図8に示されるように、一又は複数の流体制御機器Vの動作を制御、管理等するコントローラCに備えさせた動作情報収集装置6によって実行させることもできる。
この例では、コントローラCは、一又は複数の流体制御機器VとネットワークNWを介して通信可能に構成され、当該一又は複数の流体制御機器Vを管理、制御等する機能部に加えて、動作情報収集装置6を備える。
【0084】
この場合、流体制御機器VとコントローラCとの間のネットワークNW2は、データの送受信を可能とするためのものであれば特に限定されず、赤外線通信、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、LAN(Local Area Network)、所定の専用回線や通信ケーブルなどによって構成され、有線又は無線のいずれであるかを問われることもない。
【0085】
このようなコントローラCから情報提供装置7に対する動作情報の提供は、インターネット等の公衆回線や専用回線等の通信網NW1を介して行うことができる。なお、これにかかわらず、外部メモリを媒介して行うこともできる。
【0086】
●処理フロー
本実施形態に係る情報提供システムによって実行される処理の一例を図9に示す。
流体制御機器Vでは、動作情報取得機構5を構成する圧力センサPや位置センサM2により、閉空間S2の圧力やダイヤフラム押え23のリフト量、流体制御機器Vの開度といった検出値が動作情報として得られる(S101)。
【0087】
動作情報収集装置6は、収集処理部61により動作情報を収集し、動作情報記憶部65に記憶する(S102)。
動作情報収集装置6は所定のタイミングで、抽出処理部62により動作情報記憶部65から動作情報を抽出し、情報提供装置7に対して送信する(S103)。
なお、動作情報を情報提供装置7に送信するタイミングは、任意に設定された所定の周期でもよいし、動作情報が収集される都度であってもよい。
【0088】
情報提供装置7は、動作情報収集装置6から受信した動作情報を動作情報記憶部76に記憶する(S104)。
判別処理部73は、所定のタイミングで、動作情報記憶部76を参照して、稼働している流体制御機器Vを判別する(S105)。本例では、判別処理部73は、一定期間内に動作情報を提供した流体制御機器Vを稼働しているものと判別する。
識別処理部72は、稼働していると判別した流体制御機器Vについて、当該流体制御機器Vに対応する変更管理情報を特定すべく、当該流体制御機器Vの動作情報に基づき、流体制御機器Vの型や種類などを識別する(S106)。
【0089】
抽出処理部74は、識別した流体制御機器Vの変更管理情報を変更管理情報記憶部77から抽出する(S107)。抽出した変更管理情報は流体制御機器Vに対して送信され(S108)、流体制御機器Vは所定の出力部を介して変更管理情報を出力する(S109)。
変更管理情報の出力は例えば、流体制御機器Vに設けられたディスプレイ、流体制御機器Vと通信可能に構成されたユーザ端末など、変更管理情報をユーザが参照することができる態様であれば、特に限られない。
【0090】
なお、情報提供装置7は、上述した本実施形態による処理と合わせて、あるいは別に、他の異なる態様による変更管理情報を流体制御機器Vに送信してもよい。
例えば、新たな変更管理情報が変更管理情報記憶部77に登録されたタイミングで、当該変更管理情報に対応する流体制御機器Vに対して当該変更管理情報を送信する。この場合に、ユーザが使用している流体制御機器Vの情報を予めユーザ情報記憶部等に保持しておき、当該ユーザ情報記憶部を参照して、新たな変更管理情報の提供が必要なユーザ及び当該ユーザが使用する流体制御機器Vを特定する。
【0091】
このような例では、図10に示される処理が実行される。
即ち、情報提供装置7は、新たな変更管理情報が変更管理情報記憶部77に登録されると(S201)、識別処理部72により当該新たな変更管理情報が登録された流体制御機器Vを識別する(S202)。
これに応じて、抽出処理部74は、当該識別された流体制御機器Vに対応する新たな変更管理情報を抽出し(S203)、これを流体制御機器Vに対して送信する(S204)
流体制御機器Vは所定の出力部を介して変更管理情報を出力する(S205)。
【0092】
なお、本例について、図8に示されるようにコントローラCが介在するように構成される場合には、情報提供装置7はコントローラCと情報の送受信を実行する。
また、上述した実施形態と同様、変更管理情報は、コントローラCに対して送信してもよいほか、ユーザが利用するユーザ端末に対して送信してもよい。
【0093】
また、他の例では、流体制御機器Vに対して稼働の有無の問い合わせを行い、このレスポンスの内容に応じて、変更管理情報の提供如何を決定する。
【0094】
このような例では、図11に示されるような処理が実行される。
即ち、情報提供装置7は、予め所定の記憶部に登録されている流体制御機器Vに対して、稼働の有無の問い合わせを送信する(S301)。
これに対して、流体制御機器Vから稼働している旨のレスポンスが送信され(S302)、情報提供装置7が当該レスポンスを受信した場合には、当該流体制御機器Vは稼働しているものと判別する(S303)。
【0095】
抽出処理部74は、稼働している流体制御機器Vの変更管理情報を変更管理情報記憶部77から抽出し(S304)、当該変更管理情報を流体制御機器Vに対して送信する(S305)。
これに応じて、流体制御機器Vは所定の出力部を介して変更管理情報を出力する(S306)。
【0096】
なお、本例について、図8に示されるようにコントローラCが介在するように構成される場合には、情報提供装置7はコントローラCと情報の送受信を実行する。
また、上述した実施形態と同様、変更管理情報は、コントローラCに対して送信してもよいほか、ユーザが利用するユーザ端末に対して送信してもよい。
【0097】
また、以上の本実施形態に係る情報提供システムにおいて、流体制御機器Vの稼働有無に応じて、変更管理情報の提供先を変えることもできる。例えば、流体制御機器Vが稼働していると判別した場合には、変更管理情報を流体制御機器Vに対して送信する一方、流体制御機器Vが稼働していないと判別した場合には、当該流体制御機器Vのユーザのユーザ端末に対して変更管理情報を送信してもよい。
【0098】
以上の本実施形態に係る情報提供システムによれば、新たな変更管理情報を必要とする流体制御機器Vに対して、当該新たな変更管理情報が自動的に送信される。
【0099】
なお、以上の本実施形態において、変更管理情報には、変更管理情報の提供を受けるユーザごとに有用な情報を付加、あるいは含めてもよい。
具体的には、各ユーザが自社内で使用している品番等の情報である。これらのユーザごとに有用な情報は、別途設けた記憶部に登録しておき、変更管理情報をユーザに送信する際、ユーザを識別して、当該ユーザごとに有用な情報をユーザに提供してもよい。
また、これらのユーザごとに有用な情報は適宜、流体制御機器Vのユーザから受け付けて登録しておき、反映されるようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0100】
C コントローラ
M1 磁石
M2 位置センサ
P 圧力センサ
S1 駆動圧導入室
S2 閉空間
V 流体制御機器
1 バルブボディ
11 基台部
12 円筒部
2 ボンネット部
21 シート
22 ダイヤフラム
23 ダイヤフラム押え
24 ボンネット
25 ボンネットウォール
26 フレキシブルケーブル
27 回路基板
28 コネクタ
29 パッキン
3 カバー部
31 カバー
32 プレート
33 プレート
4 アクチュエータ部
41 アクチュエータボディ
42 アクチュエータキャップ
43 ピストン
44 バネ
5 動作情報取得機構
6 動作情報収集装置
61 収集処理部
62 抽出処理部
63 通信処理部
64 設定情報記憶部
65 動作情報記憶部
7 情報付与装置
71 登録処理部
72 識別処理部
73 判別処理部
74 抽出処理部
75 通信処理部
76 動作情報記憶部
77 変更管理情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11