(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】ジベンゾ[d,b]シロール系反応性メソゲン
(51)【国際特許分類】
C07F 7/08 20060101AFI20230804BHJP
C07F 7/10 20060101ALI20230804BHJP
C08F 30/08 20060101ALI20230804BHJP
C09K 19/38 20060101ALI20230804BHJP
C09K 19/40 20060101ALI20230804BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20230804BHJP
H10K 50/16 20230101ALI20230804BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20230804BHJP
【FI】
C07F7/08 R CSP
C07F7/10 V
C08F30/08
C09K19/38
C09K19/40
H05B33/14 B
H05B33/22 B
H05B33/22 D
(21)【出願番号】P 2021076184
(22)【出願日】2021-04-28
(62)【分割の表示】P 2019537900の分割
【原出願日】2017-10-06
【審査請求日】2021-05-24
(32)【優先日】2016-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514285519
【氏名又は名称】ロモックス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LOMOX LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャッド、ルーク ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】アルドレッド、マシュー ピー.
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】特許第6963757(JP,B2)
【文献】特開2010-215759(JP,A)
【文献】米国特許第09112157(US,B1)
【文献】国際公開第2008/091096(WO,A1)
【文献】特表2014-506393(JP,A)
【文献】国際公開第2015/159098(WO,A1)
【文献】MO, Yue-Qi et al.,Blue Electroluminescence from 3,6-Silafluorene-Based Copolymers,Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry,2009年,Vol. 47,pp.3286-3295
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C08F
C09K
H10K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物であって、
D-S
1-A-S
2-B
1、式(I)
式中、
Aは、下記構造
-Ar
a-(E-Ar
a)
n-
を有する共役鎖を表し、
式中、各Ar
aは、独立して、結合、芳香族部分を含むジラジカル、ヘテロ芳香族部分を含むジラジカル、E部分、または2~5個の芳香族および/またはヘテロ芳香族部分が単結合で連結された鎖からなる群から選択され、nは1であり、
Eは、
下記構造のジベンゾ[d,b]シロール部分であり、
【化1】
Eは、Aの前記共役鎖中で、かつ任意選択でYおよびZでの共有結合を介してS
1またはS
2に結合しており、
各Rは、独立して、直鎖状または分枝鎖状のC
4~C
20アルキルおよびC
4~C
20アルケニルからなる群から選択され、任意選択で、1~5個のCH
2基が、それぞれ酸素で置換され、ただし、アセタール、ケタール、ペルオキシド、またはビニルエーテルは、前記R基には存在せず、任意選択で、各R基中のCに結合している各Hは、独立してハロゲンで置換されていてもよく、
X部分は、同一であり、水素、直鎖状または分岐鎖状のC
1~C
8アルキル、直鎖状または分岐鎖状のC
1~C
8アルコキシル、およびハロゲンからなる群から選択され、各E部分は、同一または異なるX部分を有してもよく、
Dは、1つ以上の架橋性官能基を有する部分を表し、
S
1およびS
2は、柔軟なリンカー基であり、
-S
1、および-S
2が、各存在において、式IIであって、
-K
1-R
3、式(II)
式中、R
3は、直鎖状または分枝鎖状のC
5~C
14アルキルであり、任意選択で
、1~5個のCH
2基が、それぞれ酸素で置換され、
ただし、-S
1
又は-S
2
部分にアセタール、ケタール、ペルオキシド又はビニルエーテルは存在せず、
K
1は、結合、またはエーテル、エステル、カーボネート、チオエーテル、アミン、あるいはアミド結合であり、
B
1は、1つ以上の架橋性官能基を有する部分または水素原子を表し、ただし、B
1が水素原子を表す場合、Dは、少なくとも2つの架橋性官能基を有する部分を表し、
ここで、架橋性官能基は、エチレン性、ジエン、チオールおよびオキセタンの架橋性基からなる群から選択される、
(ただし、以下の化合物を除く、
J8-8MET:(((5,5-dioctyl-5H-dibenzo[b,d]silole-3,7-diyl)bis([1,1’-biphenyl]-4’,4-diyl))bis(oxy))bis(octane-8,1-diyl) bis(2-methylacrylate)、
J8-8VE:3,7-bis(4’-((8-(allyloxy)octyl)oxy)-[1,1’-biphenyl]-4-yl)-5,5-dioctyl-5H-dibenzo[b,d]silole、
J8-8FUM:O,O’-((((5,5-dioctyl-5H-dibenzo[b,d]silole-3,7-diyl)bis([1,1’-biphenyl]-4’,4-diyl))bis(oxy))bis(octane-8,1-diyl)) dimethyl difumarate、
J8-8MAL:O,O’-((((5,5-dioctyl-5H-dibenzo[b,d]silole-3,7-diyl)bis([1,1’-biphenyl]-4’,4-diyl))bis(oxy))bis(octane-8,1-diyl)) diethyl dimaleate、
J8-8MI:1,1’-((((5,5-dioctyl-5H-dibenzo[b,d]silole-3,7-diyl)bis([1,1’-biphenyl]-4’,4-diyl))bis(oxy))bis(octane-8,1-diyl))bis(1H-pyrrole-2,5-dione)、および、
K8-8MI:1,1’-(((((5,5-dioctyl-5H-dibenzo[b,d]silole-3,7-diyl)bis(benzo[c][1,2,5]thiadiazole-7,4-diyl))bis(4,1-phenylene))bis(oxy))bis(octane-8,1-diyl))bis(1H-pyrrole-2,5-dione))、
化合物。
【請求項2】
Aは、2つ以上のEを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
各Ar
aが、独立して、C
6~C
22芳香族部分を含むジラジカル、4~22個の炭素原子を有するヘテロ芳香族部分を含むジラジカル、E部分、または単結合で相互に結合している2もしくは3個の芳香族、および/もしくはヘテロ芳香族を含む鎖からなる群から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
C
6~C
22芳香族部分を含む前記ジラジカルが、1,3-フェニレン、1,4-フェニレン、ナフタレン-1,4-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、ペリレン-3,10-ジイル、ペリレン-2,8-ジイル、ペリレン-3,9-ジイル、およびピレン-2,7-ジイル、9,9-ジアルキルフルオレン-2,7-ジイル、9,9-ジアルキルフルオレン-3,6-ジイル、9-(1’-アルキリデン)フルオレン-2,7-ジイル、6,12-ジヒドロ-6,6,12,12-テトラオクチル-インデノ[1,2-b]フルオレン-2,8-ジイル、6,12-ジヒドロ-6,6,12,12-テトラオクチル-インデノ[1,2-b]フルオレン-3,9-ジイルからなる群から選択され、
かつ/または
4~22個の炭素原子を有するヘテロ芳香族部分を含む前記ジラジカルが、2,2’-ジチオフェン-5,5’-ジイル、チオフェン-2,5-ジイル、ピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、1,2,4-オキサゾール-3,5-ジイル、1,3,4-オキサジアゾール-2,5-ジイル、1,2,5-オキサジアゾール-3,4-ジイル、チエノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジイル、ジチエノ[3,2-b:2’,3’-d]チオフェン-2,6-ジイル、ジチエノ[3,2-b:2’,3’-d]チオフェン-3,7-ジイル、ジベンゾチオフェン-3,7-ジイル、ジベンゾチオフェン-4,6-ジイル、およびジベンゾチオフェン-2,8-ジイル、ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ビス[1]ベンゾチオフェン-3,9-ジイル、チアゾロ[5,4-d]チアゾール-2,5-ジイル、オキサゾロ[5,4-d]オキサゾール-2,5-ジイル、チアゾロ[5,4-d]オキサゾール-2,5-ジイル、チアゾロ[4,5-d]チアゾール-2,5-ジイル、オキサゾロ[4,5-d]オキサゾール-2,5-ジイル、チアゾロ[4,5-d]オキサゾール-2,5-ジイル、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-4,7-ジイル、4-チエン-2-イル-2,1,3-ベンゾチアゾール-7,5’-ジイル、4,7-ジチエン-2-イル-2,1,3-ベンゾチアゾール-5’,5’’-ジイル、イミダゾ[4,5-d]イミダゾール-2,5-ジイル、4-アルキル-1,2,4-トリアゾール-3,5-ジイル、9-アルキルカルバゾール-2,7-ジイル、9-アルキルカルバゾール-3,6-ジイル、1,7-ジアルキルインドロ[2,3-b]カルバゾール-3,9-ジイル、1,7-ジアルキルインドロ[2,3-b]カルバゾール-2,8-ジイル、2,9-ジアルキルカルバゾロ[3,2-b]カルバゾール-4,11-ジイル、2,9-ジアルキルカルバゾロ[3,2-b]カルバゾール-5,12-ジイル、1,7-ジアルキルジインドロ[3,2-b]チオフェン-3,9-ジイル、1,7-ジアルキルジインドロ[3,2-b]チオフェン-4,10-ジイル、ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン-2,6-ジイル、ベンゾ[1,2-b:5,4-b’]ジチオフェン-2,6-ジイル、[1]ベンゾチエノ[3,2-b][1]ベンゾチオフェン-2,7-ジイル、ベンゾ[1,2-d:4,5-d’]ビスオキサゾール-2,6-ジイル、ベンゾ[1,2-d:5,4-d’]ビスオキサゾール-2,6-ジイル、および5,5-ジオキソジベンゾチオフェン-3,7-ジイルからなる群から選択される、請求項2または3に記載の化合物。
【請求項5】
前記Siに結合している各R基が、C
4~C
20ハロアルキル、C
4~C
20アルキル、またはC
4~C
20アルケニルを含み、各柔軟なリンカー基-S
1および-S
2が、直鎖状のC
5~C
14アルキルを含み、任意選択で、前記1~5個のCH
2基が、それぞれ酸素で置換され、ただし、アセタール、ケタール、ペルオキシド、またはビニルエーテルは、前記-S
1または-S
2部分には存在しない、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
Aが少なくとも3種の異なる芳香族部分を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
B
1が水素であり、Dが、
-B
2-S
3-B
3-S
1a-A-S
2a-B
1a、
-S
3(B
2)-B
3-S
1a-A-S
2a-B
1a、
-S
3(B
2)(B
3)-S
1a-A-S
2a-B
1a、または
-S
3(B
2)(B
3)であるような、Dが2つ以上の架橋性官能基を有する部分を表し、
式中、B
1aは、架橋性官能基を有する部分、または水素原子を表し、
B
2およびB
3はそれぞれ、架橋性官能基を有する部分を表し、
S
1aおよびS
2aは、柔軟なリンカー基であり、
-S
1a、および-S
2aが、各存在において、式IIであって、
-K
1-R
3、式(II)
式中、R
3は、直鎖状または分枝鎖状のC
5~C
14アルキルであり、任意選択で
、1~5個のCH
2基が、それぞれ酸素で置換され、ただし、アセタール、ケタール、ペルオキシド、またはビニルエーテルは、前記-S
1、-S
2、-S
1a、もしくは-S
2a部分には存在せず、
K
1は、結合、またはエーテル、エステル、カーボネート、チオエーテル、アミン、あるいはアミド結合であり、
S
3は、スペーサー基であり、各存在において、式IIIであって、
-K
2-R
4、式(III)
式中、R
4は、それぞれ独立して、結合、エーテル結合、またはエステル結合によって結合している1~5個のR
5部分であり、
各R
5部分は、独立して、直鎖状または分岐鎖状のC
1~C
20アルキル基、C
3~C
8シクロアルキル基、C
6~C
16アリール基、またはC
4~C
15ヘテロアリール基から選択され、任意選択で、各R
5基中のCに結合している各Hは、独立してハロゲンで置換されていてもよく、
K
2は、結合、またはエーテル、エステル、カーボネート、チオエーテル、アミン、あるいはアミド結合である、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
Dが、以下である、
-A-S
2-B
1
請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
前記化合物中の各-A-S
2-B
1は、同一である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
前記架橋性官能基が、直鎖状および環状α、β-不飽和エステル、α、β-不飽和アミド、ビニルエーテル、および非共役ジエン架橋性基からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
前記架橋性官能基が、メタクリレート、エタクリレート、エチルマレエート、エチルフマレート、N-マレイミド、ビニルオキシ、アルキルビニルオキシ、ビニルマレエート、ビニルフマレート、N-(2-ビニルオキシマレイミド)、および1,4-ペンタジエン-3-イルからなる群から選択される、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
D、ならびに、存在する場合、B
1、B
2、およびB
3が、放射線活性化架橋性基である、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
前記化合物が液晶秩序を示す、請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
前記化合物がネマチックである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物の放射線、任意選択で前記放射線が紫外線光、への露光によって形成されたネットワークポリマー。
【請求項16】
請求項15に記載のネットワークポリマー、または請求項1~
14のいずれか1項に記載の化合物を含む、1つ以上の電荷輸送層および/または発光性層を含む装置。
【請求項17】
前記装置がOLED装置、光起電力装置、または薄膜トランジスタ(TFT)装置である、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
請求項
15に記載のネットワークポリマー、または請求項1~
14のいずれか1項に記載の化合物が、電子輸送層または正孔輸送層に隣接して直接設けられた正孔輸送層または電子輸送層にそれぞれ提供される、請求項
16または請求項17に記載の装置。
【請求項19】
発光性層を有するOLED装置であって、請求項
15に記載のネットワークポリマー、または請求項1~
14のいずれか1項に記載の化合物が、均一に配向した液晶構造を形成し、それによって前記発光性層が直線偏光を発する、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
装置を形成する方法であって、請求項1~
14のいずれか1項に記載の化合物を含む層を提供することと、前記層に選択的に放射線を照射して、ネットワークポリマーを形成することと、照射されていない未重合化合物を洗い流すことと、を含む、請求項16~19のいずれか1項に記載の装置を形成する方法。
【請求項21】
前記放射線が紫外放射線である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項1~
14のいずれか1項に記載の化合物を含むさらなる層を提供することと、前記層に選択的に放射線を照射して、ネットワークポリマーを形成することと、照射されていない未重合化合物を洗い流すことと、をさらに含む、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記放射線が紫外放射線である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
式IVによる化合物の使用であって、
【化2】
式中、Lgは、ハロゲン原子またはボレート脱離基であり、
各Rは、独立して、直鎖状または分枝鎖状のC
4~C
20アルキルおよびC
4~C
20アルケニルからなる群から選択され、任意選択で、1~5個のCH
2基が、それぞれ酸素で置換され、ただし、アセタール、ケタール、ペルオキシド、またはビニルエーテルは、前記R基には存在せず、任意選択で、各R基中のCに結合している各Hは、独立してハロゲンで置換されていてもよく、
前記X部分は、同一であり、水素、直鎖状または分岐鎖状のC
1~C
8アルキル、直鎖状または分岐鎖状のC
1~C
8アルコキシル、およびハロゲンからなる群から選択され、
式IVの化合物は、1つ以上のE部分を提供する、請求項1~
14のいずれか1項に記載の化合物を合成するための、化合物の使用。
【請求項25】
前記Lgは、臭素である、請求項24の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それらを電気装置の生成に役立たせる電子および光電子特性を有する新規化
合物に関する。本発明はさらに、これらの化合物を含む層を組み込む電子装置に関し、こ
れらの化合物は、電荷輸送材料または光輝性材料および電界発光材料として機能する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(OLED)は、発光性電界発光材料が電流に応答して発光する有
機材料の膜である発光ダイオードである。OLEDの発光性有機層は、2つの電気接触層
の間に挟まれている。効率を高めるために、発光層に加えて、OLED装置は、発光性層
と電気接触層との間に電荷輸送材料の層を組み込むことができる。これらの電荷輸送層は
、正孔または電荷輸送材料のいずれかを含むことができる。これらの電荷輸送材料は、正
孔および電子が発光性層まで移動することを可能にし、それによってそれらの組み合わせ
が励起子と称される束縛状態を形成するのを容易にする。これらの励起子は、OLED装
置の場合、波長が大抵の場合可視領域にある放射線を放出することによって、やがてより
低いエネルギーの基底状態に緩和する。
【0003】
OLED装置の製造に使用するのに好適な改善された特性を有する新規材料の研究開発
に向けられている学界および産業界において、かなりの継続的な関心が寄せられている。
例えば、発光体、電子輸送体、および正孔輸送体として機能する材料は、特に興味深い。
改善されたOLED装置、具体的には最適な光出力、エネルギー効率、および寿命を有す
る装置を生成する試みにおいて、長年にわたって多くの材料が開発されてきた。加えて、
さらに注目すべき目標は、装置製造プロセスを単純化することを可能にする材料の実現で
ある。既存の材料にもかかわらず、OLED装置および他の電子装置製造のための特性の
優れた組み合わせを有する、上記で特定されたものなどの特性を有する材料の継続的な必
要性が存在する。
【0004】
下記の一般式の、いくつかの反応性メソゲン(架橋ポリマーマトリックスに化学的に重
合することができる液晶材料)が知られている。
B-S-A-S-B
式中、Aは、C-9で2個のアルキル基で置換されたフルオレンを含む直鎖状芳香族分子
コアを表し、Sは、柔軟なスペーサー単位を表し、Bは、メタクリレート基などの架橋性
基を表し、かつ有機電子装置の製造に有用であり得る。これらの材料の薄層が、光、特に
UV光へのパターン露光によって有用な電子構造にパターン化され得るフォトレジストと
して、材料が本質的に機能するので、Bが光架橋性基を表す場合は、これは特に当てはま
る。
【0005】
さらに、直鎖状芳香族コアAが、本質的に発光性である場合、これらの反応性メソゲン
材料は、有機発光ダイオード(OLED)および有機ダイオードレーザーなどの電界発光
装置における活性発光層にパターン化することができる。しかしながら、B-S-A-S
-B構造の有用なOLED装置は、失望させる低寿命、または困難な低収率合成経路を示
した。これらのB-S-A-S-B構造において使用される材料は、装置製造の困難性を
増大させる、遅い硬化時間を示した。
【0006】
高分子シラフルオレンを含有するOLEDは、文献(Chan,K.L.;McKie
rnan,M.J.;Towns,C.R.;Holmes,A.B.J.Am.Che
m.Soc.2005,127,7662-7663)において公知であり、これらは、
これらのフルオレン対応物よりも改善された光安定性を示すことが示された。フォトリソ
グラフィ法によってパターン化可能な高分子シラフルオレン材料もまた、文献(McDo
well,J.J.;Maier-Flaig,F.;Wolf,T.J.A.;Unt
erreiner,A.N.;Lemmer,U.;Ozin,G.ACS Appl.
Mater.Interfaces 2014,6,83-93)において存在する。高
分子OLED材料は、多分散性および活性高分子材料の不十分な純度に起因して、再現性
に問題があることが知られている。
【0007】
JP 2010/215759Aは、有機電界発光素子、ディスプレイ、照明装置、お
よび有機電界発光素子用材料を開示している。
【0008】
JP 2013/155294は、有機電界発光素子用材料、およびその使用を開示し
ている。
【0009】
WO 2015/159098は、フルオロアルキルフルオレン誘導体を開示している
。
【0010】
WO 2012/098410は、ポリマーネットワークを開示している。
【0011】
WO 2006/058182は、照明素子、装置、および方法を開示している。
【0012】
WO 2005/034184は、照明素子、装置、および方法を開示している。
【0013】
US 2003/0119936は、発光ポリマーを開示している。
【0014】
本発明の目的は、既存のフルオレン誘導体に関連する問題を克服する、もしくは実質的
に低減させる、または少なくともそれに対して商業的に有用な代替物を提供する、電子装
置に使用するための新規シラフルオレン含有材料を提供することである。
【発明の概要】
【0015】
本発明の第1の態様において、式(I)の化合物であって、
D-S
1-A-S
2-B
1、式(I)
式中、
Aは、独立して、芳香族部分、ヘテロ芳香族部分、およびE部分からなる群から選択され
る1~30個の芳香族部分の共役鎖を表し、ただしAは、少なくとも1個のE部分を含み
、
Eは、
下記構造のジベンゾ[d,b]シロール部分であるE
1、
【化1】
下記構造の部分であるE
2、
【化2】
および下記構造の部分であるE
3、からなる群から選択され、
【化3】
Eは、Aの共役鎖中で、かつ任意選択でYおよびZでの共有結合を介してS
1またはS
2
に結合しており、
各Rは、独立して、直鎖状または分枝鎖状のC
1~C
20アルキルおよびC
2~C
20ア
ルケニルからなる群から選択され、任意選択で、1~5個のCH
2基が、それぞれ酸素で
置換され、ただし、アセタール、ケタール、ペルオキシド、またはビニルエーテルは、R
基には存在せず、任意選択で、各R基中のCに結合している各Hは、独立してハロゲンで
置換されていてもよく、
X部分は、同一であり、水素、直鎖状または分岐鎖状のC
1~C
8アルキル、直鎖状また
は分岐鎖状のC
1~C
8アルコキシル、およびハロゲンからなる群から選択され、各E部
分は、同一または異なるX部分を有してもよく、
Wは、酸素原子または硫黄原子のいずれかであり、
Dは、1つ以上の架橋性官能基を有する部分を表し、
S
1およびS
2は、柔軟なリンカー基であり、
B
1は、1つ以上の架橋性官能基を有する部分または水素原子を表し、ただし、B
1が水
素原子を表す場合、Dは、少なくとも2つの架橋性官能基を有する部分を表す、化合物。
【0016】
式(I)の化合物は、OLEDの作製に使用するためのものである。具体的には、その
ようなジベンゾ[d,b]シロール含有材料(シラフルオレン材料としても知られている
)の安定性は、OLEDにとって有益であると考えられている。
【0017】
本明細書で使用される「芳香族/ヘテロ芳香族部分」という用語によって、単一の芳香
環または縮合環系が意味される。したがって、ビフェニル環系は、完全に共役されていて
も、鎖中の2個の芳香族部分を表すことになる。
【0018】
「鎖」という用語によって、芳香族/ヘテロ芳香族部分が一列に結合されていることが
意味される。鎖長を延長しない置換基として提供されるそのような部分は、1から30個
の芳香族部分の制限に対してカウントされない。芳香族/ヘテロ芳香族部分は、共有結合
によって、またはエチンもしくはエテンリンカーによって、直接結合することができる。
エテンまたはエチンリンカーは、鎖の共役を維持するが、鎖の合成を促進することができ
る。エテンリンカーが使用される場合、好ましくは、それらはトランスエテンである。リ
ンカー構造は、例示的な芳香族部分としてベンゼンを用いて以下に示される。好ましくは
、これらの部分は共有結合によって直接結合される。
【化4】
【0019】
芳香族/ヘテロ芳香族部分は、原子が鎖の共役を妨害しない限り、介在原子によって結
合することができる。共役鎖中のリンカー原子(窒素原子など)は、鎖内にないさらなる
芳香族またはヘテロ芳香族基で置換することができる。上記のように、そのような部分は
、1~30個の芳香族部分の制限に対してカウントされない。好ましくは、鎖は、そのよ
うなリンカー原子を全く含まない。
【化5】
【0020】
上述のように、Aは、独立して、芳香族部分、ヘテロ芳香族部分、およびE部分からな
る群から選択される1~20個の芳香族部分の共役鎖を表し、ただしAは、少なくとも1
個のE部分を含む。各E部分は、YおよびZ位置を介して鎖内で結合している。E部分が
鎖の末端にある場合、それはC-3およびC-7での共有結合を介して、S1またはS2
のいずれかに結合するであろう。
【0021】
好ましくは、Aは下記構造を有する。
-Ara-(E-Ara)n-
式中、各Araは、独立して、価標、芳香族部分を含むジラジカル、ヘテロ芳香族部分を
含むジラジカル、E部分、または単結合で相互に結合している2~5個の芳香族、ヘテロ
芳香族、および/もしくはE部分を含む鎖からなる群から選択され、nは、1~8の整数
である。
【0022】
好ましくは、各Araは、独立して、C6~C22芳香族部分を含むジラジカル、4~
22個、好ましくは4~18個の炭素原子を有するヘテロ芳香族部分を含むジラジカル、
E部分、または単結合で相互に結合している2または3個の芳香族、ヘテロ芳香族、およ
び/もしくはE部分を含む鎖からなる群から選択される。
【0023】
好ましくは、C6~C22芳香族部分を含むジラジカルは、1,3-フェニレン、1,
4-フェニレン、1,4-フェニレンビニレン、ナフタレン-1,4-ジイル、ナフタレ
ン-2,6-ジイル、9,9-ジアルキルフルオレン-2,7-ジイル、9,9-ジアル
キルフルオレン-3,6-ジイル、9-(1’-アルキリデン)フルオレン)-2,7-
ジイル、1,3-キシレン-2,5-ジイル、1,4-キシレン-2,5-ジイル、ズレ
ン-3,6-ジイル、ペリレン-3,10-ジイル、ペリレン-2,8-ジイル、ペリレ
ン-3,9-ジイル、およびピレン-2,7-ジイルからなる群から選択され、かつ/ま
たは4~22個の炭素原子を有するヘテロ芳香族部分を含むジラジカルは、2,2’-ジ
チオフェン-5,5’-ジイル、フラン-2,5-ジイル、チオフェン-2,5-ジイル
、ピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、1,2,4,5-テトラジ
ン-3,6-ジイル、1,2,4-オキサゾール-3,5-ジイル、1,3,4-オキサ
ジアゾール-2,5-ジイル、1,2,5-オキサジアゾール-3,4-ジイル、2,5
-ジオキシベンゼン-1,4-ジイル、チエノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジイ
ル、ジチエノ[3,2-b:2’,3’-d]チオフェン-2,6-ジイル、ジチエノ[
3,2-b:2’,3’-d]チオフェン-3,7-ジイル、ジベンゾチオフェン-3,
7-ジイル、ジベンゾチオフェン-4,6-ジイル、およびジベンゾチオフェン-2,8
-ジイル、ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ビス[1]ベンゾチオフェン-3,9-
ジイル、チアゾロ[5,4-d]チアゾール-2,5-ジイル、オキサゾロ[5,4-d
]オキサゾール-2,5-ジイル、チアゾロ[5,4-d]オキサゾール-2,5-ジイ
ル、チアゾロ[4,5-d]チアゾール-2,5-ジイル、オキサゾロ[4,5-d]オ
キサゾール-2,5-ジイル、チアゾロ[4,5-d]オキサゾール-2,5-ジイル、
2,1,3-ベンゾチアジアゾール-4,7-ジイル、4-チエン-2-イル-2,1,
3-ベンゾチアゾール-7,5’-ジイル、4,7-ジチエン-2-イル-2,1,3-
ベンゾチアゾール-5’,5’’-ジイル、イミダゾ[4,5-d]イミダゾール-2,
5-ジイル、4-アルキル-1,2,4-トリアゾール-3,5-ジイル、9-アルキル
カルバゾール-2,7-ジイル、9-アルキルカルバゾール-3,6-ジイル、1,7-
ジアルキルインドロ[2,3-b]カルバゾール-3,9-ジイル、1,7-ジアルキル
インドロ[2,3-b]カルバゾール-2,8-ジイル、2,9-ジアルキルカルバゾロ
[3,2-b]カルバゾール-4,11-ジイル、2,9-ジアルキルカルバゾロ[3,
2-b]カルバゾール-5,12-ジイル、1,7-ジアルキルジインドロ[3,2-b
]チオフェン-3,9-ジイル、1,7-ジアルキルジインドロ[3,2-b]チオフェ
ン-4,10-ジイル、ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン-2,6-ジ
イル、ベンゾ[1,2-b:5,4-b’]ジチオフェン-2,6-ジイル、[1]ベン
ゾチエノ[3,2-b][1]ベンゾチオフェン-2,7-ジイル、ベンゾ[1,2-d
:4,5-d’]ビスオキサゾール-2,6-ジイル、ベンゾ[1,2-d:5,4-d
’]ビスオキサゾール-2,6-ジイル、および5,5-ジオキソジベンゾチオフェン-
3,7-ジイルジラジカルからなる群から選択される。好ましくは、ジラジカルは、4~
18個の炭素原子を有するC6~C20芳香族部分またはヘテロ芳香族部分を含む。
【0024】
好ましくは、Aは、1~10個のE部分を含み、かつ/またはAは、8~16個の芳香
族部分の共役鎖を表す。好ましくは、Aは、少なくとも3個の異なる芳香族部分を含む。
特定の好ましい態様において、各-Ar1-(E-Ar2)n-基中のEの数は、1~6
、1~3、3~6、または5、または6から選択される。
【0025】
上述のように、Eは、構造E
1のジベンゾ[d,b]シロール部分、
【化6】
またはより大きなジベンゾ[d,b]シロール系構造E
2、
【化7】
またはE
3、
【化8】
である。
【0026】
各Rは、独立して、直鎖状または分枝鎖状のC1~C20アルキルおよびC2~C20
アルケニルからなる群から選択され、任意選択で、1~5個のCH2基が、それぞれ酸素
で置換され、ただし、アセタール、ケタール、ペルオキシド、またはビニルエーテルは、
R基には存在せず、任意選択で、各R基中のCに結合している各Hは、独立してハロゲン
で置換されていてもよい。
【0027】
C4~C20アルキルおよびC4~C20アルケニルを含むR基は、溶解性が増加する
ので好ましい。より短い鎖長が、溶解性を増加させるために、Xのより長い鎖長と共に使
用することができる。例えば、XがC5~C8アルキルまたはアルコキシルである場合、
C1~C3アルキルまたはアルケニルが使用され得る。
【0028】
特定の実施形態において、R基は、-CF2-CF2-R6を含み、式中、R6は、C
1~C18アルキルおよびC2~C18アルケニルであり、任意選択で、1~5個のCH
2基が、それぞれ酸素で置換され、ただし、アセタール、ケタール、ペルオキシド、また
はビニルエーテルは、R基には存在せず、任意選択で、各R基中のCに結合している各H
は、独立してハロゲンで置換されていてもよい。
【0029】
【0030】
この構造は、化合物の合成に関連する利点を提供するので、好ましくは、各Eは、E1
構造である。
【0031】
B1は、1つ以上の架橋性官能基を有する部分または水素原子を表し、ただし、B1が
水素原子を表す場合、Dは、少なくとも2つの架橋性官能基を有する部分を表す。B1は
、水素であり、Dが、
-B2-S3-B3-S1a-A-S2a-B1a
-S3(B2)-B3-S1a-A-S2a-B1a
-S3(B2)(B3)-S1a-A-S2a-B1a
-S3(B2)(B3)、または
--A-S2-B1であるように、Dは、2つ以上の架橋性官能基を有する部分を
表す。
式中、B1aは、架橋性官能基を有する部分、または水素原子を表し、
B2およびB3はそれぞれ、架橋性官能基を有する部分を表し、
S1aおよびS2aは、柔軟なリンカー基であり、S3は、スペーサー基である。前述の
部分のいずれかが、化合物中に2つ以上存在する場合、それぞれの場合において、それら
は同一または異なっていてもよく、すなわちそれらは独立して前述の定義から選択される
。
【0032】
好ましくは、1つ以上または2つ以上の架橋性官能基を有する部分において、架橋性官
能基が、エチレン系、ジエン、チオール、およびオキセタンからなる群から選択される。
【0033】
好ましくは、架橋性部分は、直鎖状および環状α、β-不飽和エステル、α、β-不飽
和アミド、ビニルエーテル、および非共役ジエン架橋性基からなる群から選択され、好ま
しくは、メタクリレート、エタクリレート、エチルマレエート、エチルフマレート、N-
マレイミド、ビニルオキシ、アルキルビニルオキシ、ビニルマレエート、ビニルフマレー
ト、N-(2-ビニルオキシマレイミド)、および1,4-ペンタジエン-3-イルから
なる群から選択される。ビニルエーテル官能基は、4-ビニルオキシフェニルオキシおよ
び2-ビニルオキシエチル基などの介在ヒドロカルビル構造を介して、柔軟なリンカーま
たはスペーサー(S1、S1a、S2、S2a、またはS3)に結合されている。
【0034】
本発明の化合物が、単一の架橋性基のみを有する場合、2つ以上の架橋性基を有する第
2のモノマー(またはポリマー)と組み合わせて提供される場合を除いて、それらはネッ
トワークポリマーを形成することができない。
【0035】
好ましい態様において、重合性架橋性基は、エチレン性、ジエン、チオールおよびオキ
セタン重合性架橋性基の群から選択される。エチレン架橋性基は、炭素-炭素二重結合を
含有する架橋性基である。好ましい態様において、すべての架橋性基は、独立して、エチ
レン系架橋性基を表す。好ましいエチレン性架橋性基としては、電子豊富および電子不足
エチレン性架橋性基が挙げられる。
【0036】
好ましい態様において、架橋性基は、放射線露光で架橋反応を受ける。好ましい態様に
おいて、架橋性基は、光架橋性基、すなわち紫外線(UV)光の露光で架橋反応を受ける
基である。
【0037】
好ましい架橋性基の例は、直鎖状および環状のα、β-不飽和エステルおよびα、β-
不飽和アミド、直鎖末端アルケン、架橋環状アルケン、チオール、ビニルエーテル、環状
エーテルおよび非共役ジエン架橋性基である。したがって、好ましい架橋性基としては、
これらの基が光架橋、特にUV光架橋に特に好適であるので、アクリレート、メタクリレ
ート、モノメチルマレエート、モノエチルマレエート、モノメチルフマレート、モノエチ
ルフマレート、4,4,4-トリフルオロクロトネート、N-マレイミド、エテニル、N
-ビニルピロリドン、N-置換-N-ビニルホルムアミド、N-置換-Nービニルアルキ
ルアミド、ノルボルネン、スルフヒドリル、ビニルオキシ、メチルビニルオキシ、1,3
-プロピレンオキシド(オキセタン)、1,4-ペンタジエン、1,6-ヘプタジエン、
およびジアリルアミンが挙げられる。
【0038】
好ましい態様において、架橋性基は、電子豊富エチレン性架橋性基である。電子豊富エ
チレン性架橋性基は、1つ以上の電子供与基で置換されたエチレン基を含有する。電子供
与基は、O、N、またはSなどのヘテロ原子を含むことができる。好ましい態様において
、電子豊富架橋性基は、ビニルオキシ基である。他の電子供与基置換架橋性基は、プロペ
ン-1-イルオキシ基およびブテン-1-イルオキシ基などの1-アルケニルエーテル;
シクロヘキセン-1-イルオキシ、シクロペンテン-1-イルオキシなどの環状ビニルエ
ーテル;2-ノルボルネン-2-イルオキシ基などの二環式ビニルエーテルである。架橋
性基は、S基を介して、構造の残りの部分に結合している。
【化10】
上記の基は、スペーサー基S(エチル基およびフェニル基)の一部も含む架橋性基(ビニ
ルオキシ)の例を示す。
【化11】
【0039】
好ましい態様において、架橋性基は、電子不足エチレン性架橋性基である。電子不足エ
チレン性架橋性基は、1個以上の電子求引基で置換されたエチレン基を含有する。電子求
引基は、カルボニル基を含むことができ、例えばエステルまたはアミドであってもよい。
好ましい態様において、電子不足架橋性基は、モノアルキルマレエート基、モノアルキル
フマレート基、モノアリールマレエート基、モノアリールフマレート基またはマレイミド
基を含む。電子不足架橋性基の他の例は,アクリレート基、メタクリレート基、4,4,
4-トリフルオロクロトネート基、Z-およびE-3-シアノアクリレート、Z-および
E-3-シアノメタクリレート、モノアルキルシクロヘキセン-1,2-ジカルボキシレ
ート、およびモノアルキルシクロペンテン-1,2-ジカルボキシレートである。
【0040】
好ましくは、存在する場合、D、ならびにB1、B2、およびB3は、放射線活性化架
橋性基である。
【0041】
好ましくは、-S1、-S2、-S1a、および-S2aは、各存在において、式II
とは無関係である。
-K1-R3、式(II)
式中、R3は、直鎖状または分枝鎖状のC5~C14アルキルであり、任意選択で、1~
5個のCH2基が、それぞれ酸素で置換され、ただし、アセタール、ケタール、ペルオキ
シド、またはビニルエーテルは、-S1、-S2、-S1a、または-S2a部分には存
在せず、K1は、価標、またはエーテル、エステル、カーボネート、チオエーテル、アミ
ン,あるいはアミド結合である。
【0042】
好ましくは、-R3は、各存在において、直鎖状のC5~C14アルキルであり、任意
選択で、1~5個のCH2基が、それぞれ酸素で置換され、ただし、アセタール、ケター
ル、ペルオキシド、またはビニルエーテルは、-S1、-S2、-S1a、または-S2
a部分には存在しない。
【0043】
好ましくは、-S3は、各存在において、式IIIとは無関係である。
-K2-R4、式(II)
式中、R4は、それぞれ独立して、価標、エーテル結合、またはエステル結合によって結
合している1~5個のR5部分であり、各R5部分は、独立して、直鎖状または分岐鎖状
のC1~C20アルキル基、C3~C8シクロアルキル基、C6~C16アリール基、ま
たはC4~C15ヘテロアリール基から選択され、任意選択で、各R5基中のCに結合し
ている各Hは、独立してハロゲンで置換されていてもよく、K2は、価標、またはエーテ
ル、エステル、カーボネート、チオエーテル、アミン,あるいはアミド結合である。R5
部分は、鎖を形成するように配置されてもよく、またはさらなるK2基と共に結合したR
5部分のうちの1つ以上と分岐構造を形成してもよく、または一実施形態において、K2
が炭素(C、CH、CH2)または窒素中心(N、NH、NH2)を表す場合、それぞれ
は、K2部分に結合する。
【0044】
好ましい実施形態において、Siに結合している各R基は、C4~C20アルキル、ま
たはC4~C20アルケニルを含み、各スペーサー基-S1および-S2は、直鎖状のC
5~C14アルキルを含み、任意選択で、1~5個のCH2基が、それぞれ酸素で置換さ
れ、ただし、アセタール、ケタール、ペルオキシド、またはビニルエーテルは、-S1ま
たは-S2部分には存在しない。柔軟なスペーサーは、分子の芳香族部分が、液晶相に配
向することを可能にする。
【0045】
好ましい実施形態において、Siに結合している各R基は、C4~C20アルキル、ま
たはC4~C20アルケニルを含み、各スペーサー基-S1、-S2、-S1a、および
-S2aは、直鎖状のC5~C14アルキルを含み、任意選択で、1~5個のCH2基が
、それぞれ酸素で置換され、ただし、アセタール、ケタール、ペルオキシド、またはビニ
ルエーテルは、-S1、-S2、-S1a、または-S2a部分には存在しない。
【0046】
好ましくは、化合物は、液晶秩序を示し、好ましくはネマチックである。他の実施形態
において、化合物は、スメクチック相を示す。
【0047】
本発明者らは、本発明の化合物がスメクチック相を示す場合、スメクチック相にある間
に材料を架橋することが、架橋効率を向上させ得ることを見出した。
【0048】
さらなる態様によれば、本明細書に開示されるような化合物の放射線、任意選択で前記
放射線が紫外線光、への露光によって形成されるネットワークポリマーが提供される。
【0049】
さらなる態様によれば、本明細書に開示されるようなネットワークポリマーまたは化合
物を含む1つ以上の電荷輸送層および/または発光性層を含む装置が提供される。
【0050】
好ましくは、装置がOLED装置、光起電力装置、または薄膜トランジスタ(TFT)
装置である。
【0051】
好ましくは、本明細書に開示されるネットワークポリマーまたは化合物は、それぞれ電
子輸送層または正孔輸送層に隣接して直接設けられた正孔輸送層または電子輸送層に提供
される。
【0052】
好ましくは、装置は、発光発光性層を有するOLED装置であり、ネットワークポリマ
ーまたは化合物は、均一に配向した液晶構造を形成し、それによって発光層は、直線偏光
を発する。
【0053】
さらなる態様によれば、本明細書に開示されるような装置を形成する方法が提供され、
本方法は、本明細書に開示される化合物を含む層を用意することと、この層に選択的に放
射線、好ましくは紫外線放射線を照射して、ネットワークポリマーを形成することと、照
射されていない未重合化合物を洗い流すことと、を含む。
【0054】
好ましくは、本方法は、本明細書に開示されるような化合物を含むさらなる層を用意す
ることと、この層に選択的に放射線、好ましくは紫外線放射線を照射して、ネットワーク
ポリマーを形成することと、照射されていない未重合化合物を洗い流すことと、をさらに
含む。
【0055】
さらなる態様によれば、本明細書に開示される方法によって得られ得る装置が提供され
、それぞれパターン化構造を形成する2つ以上のネットワークポリマーを含み、前記構造
が、本質的に電界発光性である材料から構成され、1つのパターン化構造によって発せら
れる電界発光の波長が、少なくとも1つの他のパターン化構造によって発せられる電界発
光の波長と異なる。
【0056】
さらなる態様によれば、本明細書に開示される化合物を合成するために、式IVによる
化合物の使用が提供される。
【化12】
式中、Lgは、ハロゲン原子またはボレート脱離基であり、好ましくはLgは、臭素で
あり、
各Rは、独立して、直鎖状または分枝鎖状のC
1~C
20アルキルおよびC
2~C
20
アルケニルからなる群から選択され、任意選択で、1~5個のCH
2基が、それぞれ酸素
で置換され、ただし、アセタール、ケタール、ペルオキシド、またはビニルエーテルは、
R基には存在せず、任意選択で、各R基中のCに結合している各Hは、独立してハロゲン
で置換されていてもよく、
X部分は、同一であり、水素、直鎖状または分岐鎖状のC
1~C
8アルキル、直鎖状ま
たは分岐鎖状のC
1~C
8アルコキシル、およびハロゲンからなる群から選択され、
式IVの化合物は、1つ以上のE
1部分を提供する。
【0057】
さらなる態様によれば、本明細書に開示される化合物を合成するために、式Vによる化
合物の使用が提供される。
【化13】
式中、R
1およびR
2は、独立して、C
1~C
12アルキル、C
6~C
10アリール、
またはC
5~C
9ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、
L
1およびL
2は、独立して、脱離基、任意選択で、Cl、Br、I、O-トシル、O
-メシル、またはO-トリフリルから選択され、
mおよびsは、それぞれ独立して、1~10から選択される整数であり、
合成は、フェノール性酸素を式Vの化合物を用いてアルキル化する工程を含み、
式Vの化合物は、1つ以上のS
3部分を提供する。
【0058】
好ましくは、式Vによる化合物が、ジエチル-2,5-ジ(ブロモヘキシル)オキシテ
レフタレートである。
【0059】
本明細書では、とりわけC6~C22芳香族部分、および4~22個の炭素原子ジラジ
カルを有するヘテロ芳香族部分を含むジラジカルから独立して選択され得る化学種Ara
が開示される。本明細書では様々なリストが提供され、特に2つの別個の区分に分割され
ているが、好ましい実施形態の完全なリストは以下の通りである。フェニレン-1,3-
ジイル、フェニレン-1,4-ジイル、フェニレンビニレン-1,4-ジイル、シアノフ
ェニレンビニレン-1,4-ジイル、フェニレンエチニレン-1,4-ジイル、2,5-
ジアルコキシベンゼン-1,4-ジイル、ナフタレン-1,4-ジイル、ナフタレン-2
,6-ジイル、アントラセン-9,10-ジイル、9,9-ジアルキルフルオレン-2,
7-ジイル、9,9-ジアルキルフルオレン-3,6-ジイル、6,12-ジヒドロ-6
,6,12,12-テトラオクチル-インデノ[1,2-b]フルオレン-2,8-ジイ
ル、6,12-ジヒドロ-6,6,12,12-テトラオクチル-インデノ[1,2-b
]フルオレン-3,9-ジイル、9-(1’-アルキリデン)フルオレン)-2,7-ジ
イル、2-メチルベンゼン-1,4-ジイル、2,6-キシレン-1,4-ジイル、2,
5-キシレン-1,4-ジイル、2,3-キシレン-1,4-ジイル、2,3,5-トリ
メチルベンゼン-1,4-ジイル、2,3,5,6-ズレン-1,4-ジイル、2-フル
オロベンゼン-1,4-ジイル、2,6-ジフルオロベンゼン-1,4-ジイル、2,5
-ジフルオロベンゼン-1,4-ジイル、2,3-ジフルオロベンゼン-1,4-ジイル
、2,3,5-トリフルオロベンゼン-1,4-ジイル、2,3,5,6-テトラフルオ
ロベンゼン-1,4-ジイル、ペリレン-3,10-ジイル、ペリレン-2,8-ジイル
、ペリレン-3,9-ジイル、およびピレン-2,7-ジイル、2,2’-ジチオフェン
-5,5’-ジイル、フラン-2,5-ジイル、チオフェン-2,5-ジイル、ピリミジ
ン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、1,2,4,5-テトラジン-3,6
-ジイル、1,2,4-オキサゾール-3,5-ジイル、1,3,4-オキサジアゾール
-2,5-ジイル、1,2,5-オキサジアゾール-3,4-ジイル、2,5-ジオキシ
ベンゼン-1,4-ジイル、チエノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジイル、ジチエ
ノ[3,2-b:2’,3’-d]チオフェン-2,6-ジイル、ジチエノ[3,2-b
:2’,3’-d]チオフェン-3,7-ジイル、ジベンゾチオフェン-3,7-ジイル
、ジベンゾチオフェン-4,6-ジイル、ジベンゾチオフェン-2,8-ジイル、ベンゾ
[1,2-b:4,5-b’]ビス[1]ベンゾチオフェン-3,9-ジイル、チアゾロ
[5,4-d]チアゾール-2,5-ジイル、オキサゾロ[5,4-d]オキサゾール-
2,5-ジイル、チアゾロ[5,4-d]オキサゾール-2,5-ジイル、チアゾロ[4
,5-d]チアゾール-2,5-ジイル、オキサゾロ[4,5-d]オキサゾール-2,
5-ジイル、チアゾロ[4,5-d]オキサゾール-2,5-ジイル、2,1,3-ベン
ゾチアジアゾール-4,7-ジイル、4-チエン-2-イル-2,1,3-ベンゾチアゾ
ール-7,5’-ジイル、9-フルオレノン-2,7-ジイル、4,7-ジチエン-2-
イル-2,1,3-ベンゾチアゾール-5’,5’’-ジイル、2,1,3-ベンゾオキ
サジアゾール-4,7-ジイル、イミダゾ[4,5-d]イミダゾール-2,5-ジイル
、4-アルキル-1,2,4-トリアゾール-3,5-ジイル、N-アルキルカルバゾー
ル-2,7-ジイル、N-アルキルカルバゾール-3,6-ジイル、5,11-ジアルキ
ルインドロ[3,2-b]カルバゾール-3,9-ジイル、5,11-ジアルキルインド
ロ[3,2-b]カルバゾール-2,8-ジイル、2,9-ジアルキルカルバゾロ[3,
2-b]カルバゾール-4,11-ジイル、2,9-ジアルキルカルバゾロ[3,2-b
]カルバゾール-5,12-ジイル、5,7-ジヒドロインドロ[2,3-b]カルバゾ
ール-2,10-ジイル、11,12-ジヒドロインドロ[2,3-a]カルバゾール-
3,8-ジイル、1,7-ジアルキルジインドロ[3,2-b]チオフェン-3,9-ジ
イル、1,7-ジアルキルジインドロ[3,2-b]チオフェン-4,10-ジイル、ベ
ンゾ[b]ベンゾ[4,5]チエノ[2,3-d]チオフェン-2,7-ジイル、ベンゾ
[1,2-d:4,5-d’]ビス(オキサゾール)-2,6-ジイル、ベンゾ[1,2
-b:4,5-b’]ジチオフェン-2,6-ジイル、ベンゾ[1,2-b:5,4-b
’]ジチオフェン-2,6-ジイル、[1]ベンゾチエノ[3,2-b][1]ベンゾチ
オフェン-2,7-ジイル、ベンゾ[1,2-d:4,5-d’]ビスオキサゾール-2
,6-ジイル、ベンゾ[1,2-d:5,4-d’]ビスオキサゾール-2,6-ジイル
、ジベンゾ[b,d]チオフェン-5,5-ジオキシド-3,7-ジイル、5,5-ジオ
キソジベンゾチオフェン-3,7-ジイル、3,4,5-トリフェニル-4H-1,2,
4-トリアゾール-4,4-ジイル、ベンゾ[d]オキサゾール-2,6-ジイル、トリ
フェニルアミン-4,4-ジイル、N,N-ジフェニルナフタレン-2-アミン-4,4
-ジイル、N,N-ジフェニルナフタレン-1-アミン-4,4-ジイルジラジカル。
【0060】
好ましいリストは以下の通りである:フェニレン-1,4-ジイル、フェニレンビニレ
ン-1,4-ジイル、フェニレンエチニレン-1,4-ジイル、9,9-ジアルキルフル
オレン-2,7-ジイル、9,9-ジアルキルフルオレン-3,6-ジイル、9-(1’
-アルキリデン)フルオレン-2,7-ジイル、2,5-ジアルコキシベンゼン-1,4
-ジイル、6,12-ジヒドロ-6,6,12,12-テトラオクチル-インデノ[1,
2-b]フルオレン-2,8-ジイル、6,12-ジヒドロ-6,6,12,12-テト
ラオクチル-インデノ[1,2-b]フルオレン-3,9-ジイル、5,11-ジアルキ
ルインドロ[3,2-b]カルバゾール-3,9-ジイル、5,11-ジアルキルインド
ロ[3,2-b]カルバゾール-2,8-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、ナフタ
レン-1,4-ジイル、シアノフェニレンビニレン-1,4-ジイル、ベンゾ[b]ベン
ゾ[4,5]チエノ[2,3-d]チオフェン-2,7-ジイル、ベンゾ[1,2-b:
4,5-b’]ジチオフェン-2,6-ジイル、ベンゾ[1,2-d:4,5-d’]ビ
ス(オキサゾール)-2,6-ジイル、ジベンゾ[b,d]チオフェン-5,5-ジオキ
シド-3,7-ジイル、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-4,7-ジイル、2,1,
3-ベンゾオキサジアゾール-4,7-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、ピリミジン
-2,5-ジイル、1,2,4,5-テトラジン-3,6-ジイル、フラン-2,5-ジ
イル、チオフェン-2,5-ジイル、1,3,4-チアジアゾール-2,5-ジイル、1
,3,4-オキサジアゾール-2,5-ジイル、9-フルオレノン-2,7-ジイル、N
-アルキルカルバゾール-2,7-ジイル、N-アルキルカルバゾール-3,6-ジイル
、2-メチルベンゼン-1,4-ジイル、2,6-キシレン-1,4-ジイル、2,5-
キシレン-1,4-ジイル、2,3-キシレン-1,4-ジイル、2,3,5-トリメチ
ルベンゼン-1,4-ジイル、2,3,5,6-ズレン-1,4-ジイル、トリフェニル
アミン-4,4-ジイル、N,N-ジフェニルナフタレン-2-アミン-4,4-ジイル
、N,N-ジフェニルナフタレン-1-アミン-4,4-ジイル、2-フルオロベンゼン
-1,4-ジイル、2,6-ジフルオロベンゼン-1,4-ジイル、2,5-ジフルオロ
ベンゼン-1,4-ジイル、2,3-ジフルオロベンゼン-1,4-ジイル、2,3,5
-トリフルオロベンゼン-1,4-ジイル、2,3,5,6-テトラフルオロベンゼン-
1,4-ジイル、3,4,5-トリフェニル-4H-1,2,4-トリアゾール-4,4
-ジイル、ベンゾ[d]オキサゾール-2,6-ジイルジ-ラジカル。
【0061】
好ましい実施形態
以下において、「架橋性基」という用語は、「架橋性官能基を有する部分」という用語
の略語として用いられる。
【0062】
以下において、「単結合によって相互に結合されている」という用語は、これらの部分
が共役鎖を形成するという要件に対する略語として用いられる。
【0063】
一実施形態において、式Iaの化合物が提供される。式中、各E部分のR基は、同一ま
たは異なっており、直鎖状または分岐鎖状のC4~C12アルキル、C4~C12ハロア
ルキル、C4~C12フルオロアルキル、C4~C12アルケニル基からなる群から選択
され、任意選択で、1、2、または3個のCH2基が、酸素で置換され、ただし、アセタ
ール、ケタール、ペルオキシド、またはビニルエーテルは、R基には存在せず、さらに、
D、B1、B2、B3、S1、S1a、S2、S2a、S3、Ar1、Ar2、E、およ
びnは、式(I)の化合物に関して上記に定義された通りである。
【0064】
一実施形態において、式Ibの化合物が提供される。式中、各E部分のR基は、同一ま
たは異なっており、直鎖状のC4~C12アルキル、C4~C12ハロアルキル、C4~
C12フルオロアルキル、C4~C12アルケニル基からなる群から選択され、任意選択
で、1、2、または3個のCH2基が、酸素で置換され、ただし、アセタール、ケタール
、ペルオキシド、またはビニルエーテルは、R基には存在せず、さらに、D、B1、B2
、B3、S1、S1a、S2、S2a、S3、Ar1、Ar2、E、およびnは、式(I
)の化合物に関して上記に定義された通りである。
【0065】
一実施形態において、式Icの化合物が提供される。式中、各E部分のR基が同一また
は異なり、直鎖状または分岐鎖状のC4~C12アルキル、およびC4~C12フルオロ
アルキルからなる群から選択され、さらにD、B1、B2、B3、S1、S1a、S2、
S2a、S3、Ar1、Ar2、E、およびnは、式(I)の化合物に関して上記に定義
された通りである。
【0066】
一実施形態において、式Idの化合物が提供される。式中、各E部分のR基が同一また
は異なり、直鎖状または分岐鎖状のC1~C16アルキル、好ましくはC4~C12アル
キル、好ましくはC3~C8アルキルからなる群から選択され、またはメチル、エチル、
プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルから選択
され、さらにD、B1、B2、B3、S1、S1a、S2、S2a、S3、Ar1、Ar
2、E、およびnは、式(I)の化合物に関して上記に定義された通りである。
【0067】
一実施形態において、式Ieの化合物が提供される。式中、各E部分のR基が同一また
は異なり、直鎖状のC1~C16アルキル、好ましくはC4~C12アルキル、好ましく
はC3~C8アルキルからなる群から選択され、またはメチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルから選択され、さらにD
、B1、B2、B3、S1、S1a、S2、S2a、S3、Ar1、Ar2、E、および
nは、式(I)の化合物に関して上記に定義された通りである。
【0068】
好ましくは、上記の実施形態のそれぞれにおいて、各E部分の各R基は、合成を容易に
するために同一の対として提供される。すなわち、好ましくは各E部分は、対称的である
。
【0069】
一実施態様において、式Ifの化合物が提供される。式中、nは、1~6の整数であり
、さらにD、B1、B2、B3、S1、S1a、S2、S2a、S3、Ar1、Ar2、
E、およびRは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、または(Ie)
の化合物に関して上記に定義された通りである。
【0070】
一実施態様において、式Igの化合物が提供される。式中、nは、3~6の整数であり
、さらにD、B1、B2、B3、S1、S1a、S2、S2a、S3、Ar1、Ar2、
E、およびRは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、または(Ie)
の化合物に関して上記に定義された通りである。
【0071】
一実施形態において、式Ihの化合物が提供される。式中、Ar1およびAr2は、各
存在において、独立して、Araおよび価標を含む基から選択され、Araは、1個の芳
香族、ヘテロ芳香族、もしくはE部分、または単結合によって相互に結合されている2個
または3個の芳香族、ヘテロ芳香族、もしくはE部分を含むジラジカルを表し、さらにD
、B1、B2、B3、S1、S1a、S2、S2a、S3、E、R、およびnは、式(I
)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、または(Ig)、
の化合物に関して上記に定義された通りである。
【0072】
一実施形態において、式Iiの化合物が提供される。式中、Ar1およびAr2は、各
存在において、独立して、Araおよび価標を含む基から選択され、Araは、1個の芳
香族、ヘテロ芳香族、もしくはE部分、または単結合によって相互に結合されている2個
または3個の芳香族、ヘテロ芳香族、もしくはE部分を含むジラジカルを表し、芳香族、
ヘテロ芳香族部分は、各存在において、独立して、1,3-フェニレン、1,4-フェニ
レン、1,4-フェニレンビニレン、ナフタレン-1,4-ジイル、ナフタレン-2,6
-ジイル、9,9-ジアルキルフルオレン-2,7-ジイル、9,9-ジアルキルフルオ
レン-3,6-ジイル、9-(1’-アルキリデン)フルオレン)-2,7-ジイル、1
,3-キシレン-2,5-ジイル、1,4-キシレン-2,5-ジイル、ズレン-3,6
-ジイル、ペリレン-3,10-ジイル、ペリレン-2,8-ジイル、ペリレン-3,9
-ジイル、およびピレン-2,7-ジイル、2,2’-ジチオフェン-5,5’-ジイル
、フラン-2,5-ジイル、チオフェン-2,5-ジイル、ピリミジン-2,5-ジイル
、ピリジン-2,5-ジイル、1,2,4,5-テトラジン-3,6-ジイル、1,2,
4-オキサゾール-3,5-ジイル、1,3,4-オキサジアゾール-2,5-ジイル、
1,2,5-オキサジアゾール-3,4-ジイル、2,5-ジオキシベンゼン-1,4-
ジイル、チエノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジイル、ジチエノ[3,2-b:2
’,3’-d]チオフェン-2,6-ジイル、ジチエノ[3,2-b:2’,3’-d]
チオフェン-3,7-ジイル、ジベンゾチオフェン-3,7-ジイル、ジベンゾチオフェ
ン-4,6-ジイル、およびジベンゾチオフェン-2,8-ジイル、ベンゾ[1,2-b
:4,5-b’]ビス[1]ベンゾチオフェン-3,9-ジイル、チアゾロ[5,4-d
]チアゾール-2,5-ジイル、オキサゾロ[5,4-d]オキサゾール-2,5-ジイ
ル、チアゾロ[5,4-d]オキサゾール-2,5-ジイル、チアゾロ[4,5-d]チ
アゾール-2,5-ジイル、オキサゾロ[4,5-d]オキサゾール-2,5-ジイル、
チアゾロ[4,5-d]オキサゾール-2,5-ジイル、2,1,3-ベンゾチアジアゾ
ール-4,7-ジイル、4-チエン-2-イル-2,1,3-ベンゾチアゾール-7,5
’-ジイル、4,7-ジチエン-2-イル-2,1,3-ベンゾチアゾール-5’,5’
’-ジイル、イミダゾ[4,5-d]イミダゾール-2,5-ジイル、4-アルキル-1
,2,4-トリアゾール-3,5-ジイル、9-アルキルカルバゾール-2,7-ジイル
、9-アルキルカルバゾール-3,6-ジイル、1,7-ジアルキルインドロ[2,3-
b]カルバゾール-3,9-ジイル、1,7-ジアルキルインドロ[2,3-b]カルバ
ゾール-2,8-ジイル、2,9-ジアルキルカルバゾロ[3,2-b]カルバゾール-
4,11-ジイル、2,9-ジアルキルカルバゾロ[3,2-b]カルバゾール-5,1
2-ジイル、1,7-ジアルキルジインドロ[3,2-b]チオフェン-3,9-ジイル
、1,7-ジアルキルジインドロ[3,2-b]チオフェン-4,10-ジイル、ベンゾ
[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン-2,6-ジイル、ベンゾ[1,2-b:5
,4-b’]ジチオフェン-2,6-ジイル、[1]ベンゾチエノ[3,2-b][1]
ベンゾチオフェン-2,7-ジイル、ベンゾ[1,2-d:4,5-d’]ビスオキサゾ
ール-2,6-ジイル、ベンゾ[1,2-d:5,4-d’]ビスオキサゾール-2,6
-ジイル、および5,5-ジオキソジベンゾチオフェン-3,7-ジイルジラジカルから
なる群から選択され、さらにD、B1、B2、B3、S1、S1a、S2、S2a、S3
、E、R、およびnは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)
、(If)、または(Ig)の化合物に関して上記に定義された通りである。
【0073】
一実施形態(例えば、化合物が正孔輸送材料として使用される実施形態)において、式
Ijの化合物が提供される。式中、Ar1およびAr2は、各存在において、独立して、
Araおよび価標を含む基から選択され、Araは、1個の芳香族、ヘテロ芳香族、もし
くはE部分、または単結合によって相互に結合されている2個または3個の芳香族、ヘテ
ロ芳香族、もしくはE部分を含むジラジカルを表し、芳香族、ヘテロ芳香族部分は、各存
在において、独立して、1,3-フェニレン、1,4-フェニレン、ナフタレン-1,4
-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、1,3-キシレン-2,5-ジイル、1,4-
キシレン-2,5-ジイル、ズレン-3,6-ジイル、チオフェン-2,5-ジイル、ペ
リレン-3,10-ジイル、ピレン-2,7-ジイル、ペリレン-2,8-ジイル、ペリ
レン-3,9-ジイル、2,2’-ジチオフェン-5,5’-ジイル、チエノ[3,2-
b]チオフェン-2,5-ジイル、ジチエノ[3,2-b:2’,3’-d]チオフェン
-2,6-ジイル、ジベンゾチオフェン-3,7-ジイル、ベンゾ[1,2-b:4,5
-b’]ビス[1]ベンゾチオフェン-3,9-ジイル、9-アルキルカルバゾール-2
,7-ジイル、9-アルキルカルバゾール-3,6-ジイル、1,7-ジアルキルインド
ロ[2,3-b]カルバゾール-3,9-ジイル、1,7-ジアルキルインドロ[2,3
-b]カルバゾール-2,8-ジイル、2,9-ジアルキルカルバゾロ[3,2-b]カ
ルバゾール-4,11-ジイル、2,9-ジアルキルカルバゾロ[3,2-b]カルバゾ
ール-5,12-ジイル、ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン-2,6-
ジイル、ベンゾ[1,2-b:5,4-b’]ジチオフェン-2,6-ジイル、または[
1]ベンゾチエノ[3,2-b][1]ベンゾチオフェン-2,7-ジイルジラジカルか
らなる群から選択され、さらにD、B1、B2、B3、S1、S1a、S2、S2a、S
3、E、R、およびnは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie
)、(If)、または(Ig)の化合物に関して上記に定義された通りである。
【0074】
一実施形態(例えば、化合物が電子輸送材料として使用される実施形態)において、式
Ikの化合物が提供される。式中、Ar1およびAr2は、各存在において、独立して、
Araおよび価標を含む基から選択され、Araは、1個の芳香族、ヘテロ芳香族、もし
くはE部分、または単結合によって相互に結合されている2個または3個の芳香族、ヘテ
ロ芳香族、もしくはE部分を含むジラジカルを表し、芳香族、ヘテロ芳香族部分は、各存
在において、独立して、1,3-フェニレン、1,4-フェニレン、ナフタレン-1,4
-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、ピリミジン-2,5-ジイル、ペリレン-3,
10-ジイル、ペリレン-2,8-ジイル、ペリレン-3,9-ジイル、ピレン-2,7
-ジイル、オキサゾール-2,5-ジイル、1,3,4-オキサジアゾール-2,5-ジ
イル、オキサゾロ[4,5-d]オキサゾール-2,5-ジイル、オキサゾロ[5,4-
d]オキサゾール-2,5-ジイル、4-アルキル-1,2,4-トリアゾール-3,5
-ジイル、イミダゾ[4,5-d]イミダゾール-2,5-ジイル、ベンゾ[1,2-d
:4,5-d’]ビスオキサゾール-2,6-ジイル、ベンゾ[1,2-d:5,4-d
’]ビスオキサゾール-2,6-ジイル、または5,5-ジオキソジベンゾチオフェン-
3,7-ジイルジラジカルからなる群から選択され、さらにD、B1、B2、B3、S1
、S1a、S2、S2a、S3、E、R、およびnは、式(I)、(Ia)、(Ib)、
(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、または(Ig)の化合物に関して上記に定義
された通りである。
【0075】
一実施態様において、式Ilの化合物が提供される。式中、S1、S1a、S2、およ
びS2aは、各存在において、独立して、直鎖状または分岐鎖状のC5~C14アルキル
基から選択され、任意選択で、1、2、3、4、または5個のメチレン基が、酸素原子で
置換され、ただし、アセタール、ケタール、またはペルオキシドは存在せず、価標または
エーテル、エステル、カーボネート、チオエーテル、アミンまたはアミド結合のいずれか
を介して、Aに結合し、価標またはエーテル、エステル、カーボネート、チオエーテル、
アミンまたはアミド結合のいずれかを介して、Dの性質によって決定されるように、D、
B1、B2、B3、またはS3に結合し、さらにD、B1、B2、B3、S3、Ar1、
Ar2、E、R、およびnは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(
Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、または(Ik)の化合物
に関して上記に定義された通りである。
【0076】
一実施態様において、式Imの化合物が提供される。式中、S1、S1a、S2、およ
びS2aは、各存在において、独立して、直鎖状または分岐鎖状のC5~C14アルキル
基から選択され、任意選択で、1、2、3、4、または5個のメチレン基が、酸素原子で
置換され、ただし、アセタール、ケタール、またはペルオキシドは存在せず、価標または
エーテル、エステル、またはカーボネート結合のいずれかを介して、Aに結合し、価標ま
たはエーテル、エステル、またはカーボネート結合を介して、Dの性質によって決定され
るように、D、B1、B2、B3、またはS3に結合し、さらにD、B1、B2、B3、
S3、Ar1、Ar2、E、R、およびnは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)
、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、または(
Ik)の化合物に関して上記に定義された通りである。
【0077】
一実施態様において、式Inの化合物が提供される。式中、S1、S1a、S2、およ
びS2aは、各存在において、独立して、直鎖状または分岐鎖状のC7~C12アルキル
基から選択され、任意選択で、2、3、または4個のメチレン基が、酸素原子で置換され
、ただし、アセタール、ケタール、またはペルオキシドは生成されず、価標またはエーテ
ル、エステル、カーボネート、チオエーテル、アミンまたはアミド結合のいずれかを介し
て、Aに結合し、価標、エーテル、エステル、カーボネート、チオエーテル、アミンまた
はアミド結合を介して、Dの性質によって決定されるように、D、B1、B2、B3、ま
たはS3に結合し、さらにD、B1、B2、B3、S3、Ar1、Ar2、E、R、およ
びnは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(
Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、または(Ik)の化合物に関して上記に定義さ
れた通りである。
【0078】
一実施態様において、式Ioの化合物が提供される。式中、S1、S1a、S2、およ
びS2aは、各存在において、独立して、直鎖状または分岐鎖状のC7~C12アルキル
基から選択され、任意選択で、1、2、3、または4個のメチレン基が、酸素原子で置換
され、ただし、アセタール、ケタール、またはペルオキシドは生成されず、価標またはエ
ーテル、エステル、またはカーボネート結合のいずれかを介して、Aに結合し、価標また
はエーテル、エステル、またはカーボネート結合を介して、Dの性質によって決定される
ように、D、B1、B2、B3、またはS3に結合し、さらにD、B1、B2、B3、S
3、Ar1、Ar2、E、R、およびnは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、
(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、または(I
k)の化合物に関して上記に定義された通りである。
【0079】
一実施形態において、式Ipの化合物が提供される。式中、B1、B2、B3、および
Dは、架橋性基を表す場合、各存在において、独立して、放射線活性化架橋性基、任意選
択で光重合性架橋性基を表し、さらにS1、S1a、S2、S2a、S3、Ar1、Ar
2、E、R、およびnは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie
)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(IL)、(Im
)、(In)、または(Io)の化合物に関して上記に定義された通りである。
【0080】
一実施形態において、式Iqの化合物が提供される。式中、B1、B2、B3、および
Dは、架橋性基を表す場合、各存在において、アルケン架橋性基を含む基から選択され、
さらにS1、S1a、S2、S2a、S3、Ar1、Ar2、E、R、およびnは、式(
I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(I
h)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(IL)、(Im)、(In)、または(Io)
の化合物に関して上記に定義された通りである。
【0081】
一実施形態において、式Irの化合物が提供される。式中、B1、B2、B3、および
Dは、架橋性基を表す場合、各存在において、独立して、電子豊富および電子不足アルケ
ン架橋性基を表し、さらにS1、S1a、S2、S2a、S3、Ar1、Ar2、E、R
、およびnは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If
)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(IL)、(Im)、(In
)、または(Io)の化合物に関して上記に定義された通りである。
【0082】
一実施形態において、式Isの化合物が提供される。式中、B1、B2、B3、および
Dは、架橋性基を表す場合、各存在において、独立して、光重合性アルケン架橋性基を表
し、さらにS1、S1a、S2、S2a、S3、Ar1、Ar2、E、R、およびnは、
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、
(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(IL)、(Im)、(In)、または(I
o)の化合物に関して上記に定義された通りである。
【0083】
一実施形態において、式Itの化合物が提供される。式中、B1、B2、B3、および
Dは、架橋性基を表す場合、各存在において、独立して、直鎖状および環状α、β-不飽
和エステル、α、β-不飽和アミド、ビニルエーテル、非共役ジエンからなる群から選択
されるアルケン架橋性基を表し、さらにS1、S1a、S2、S2a、S3、Ar1、A
r2、E、R、およびnは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(I
e)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(IL)、(I
m)、(In)、または(Io)の化合物に関して上記に定義された通りである。
【0084】
一実施形態において、式Iuの化合物が提供される。式中、B1、B2、B3、および
Dは、架橋性基を表す場合、各存在において、独立して、メタクリレート、エタクリレー
ト、エチルマレエート、エチルフマレート、N-マレイミド、ビニルオキシ、アルキルビ
ニルオキシ、ビニルマレエート、ビニルフマレート、N-(2-ビニルオキシマレイミド
)、および1,4-ペンタジエン-3-イル基からなる群から選択されるアルケン架橋性
基を表し、さらにS1、S1a、S2、S2a、S3、Ar1、Ar2、E、R、および
nは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(I
g)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(IL)、(Im)、(In)、また
は(Io)の化合物に関して上記に定義された通りである。
【0085】
一実施態様において、式Ivの化合物が提供される。式中、S3は、C1~C20アル
キル基、C1~C20ハロアルキル基、C3~C8シクロアルキル基、C6~C16アリ
ール基、またはC4~C15ヘテロアリール基、またはそれぞれ独立して、価標、エーテ
ル結合、もしくはエステル結合によって結合している、1、2、3、4、もしくは5個の
C1~C20アルキル、C1~C20ハロアルキル、C3~C8シクロアルキル、C6~
C16アリール、および/もしくはC4~C15ヘテロアリール部分からなる鎖を表し、
S1、S1a、S2、S2a、D、B1、B2、B3、Ar1、Ar2、E、R、および
nは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(I
g)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(IL)、(Im)、(In)、(I
o)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、または(Iu)の化合物に
関して上記に定義された通りである。
【0086】
一実施態様において、式Iwの化合物が提供される。式中、S3は、C1~C14アル
キル基、C1~C14ハロアルキル基、C5~C6シクロアルキル基、C6~C14アリ
ール基、またはそれぞれ独立して、価標、エーテル結合、もしくはエステル結合によって
結合している、1、2、3、4、もしくは5個のC1~C14アルキル、C1~C14ハ
ロアルキル、C3~C8シクロアルキル、および/もしくはC6~C14アリール部分か
らなる鎖を表し、S1、S1a、S2、S2a、D、B1、B2、B3、Ar1、Ar2
、E、R、およびnは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)
、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(IL)、(Im)
、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、または(
Iu)の化合物に関して上記に定義された通りである。
【0087】
一実施態様において、式Ixの化合物が提供される。式中、S3は、C2~C10アル
キル基、C2~C10ハロアルキル基、C5~C6シクロアルキル基、C6~C14アリ
ール基、またはそれぞれ独立して、価標、エーテル結合、もしくはエステル結合によって
結合している、1、2、3、4、もしくは5個のC1~C14アルキル、C2~C10ハ
ロアルキル、C3~C8シクロアルキル、および/もしくはC6~C14アリール部分か
らなる鎖を表し、S1、S1a、S2、S2a、D、B1、B2、B3、Ar1、Ar2
、E、R、およびnは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)
、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(IL)、(Im)
、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、または(
Iu)の化合物に関して上記に定義された通りである。
【0088】
一実施態様において、式Iyの化合物が提供される。式中、S3は、価標、エーテル結
合、またはエステル結合によって相互に結合している、3個のC2~C12アルキル基、
および2個のC6~C16アリール基からなる基を表し、各C6~C16アリール基は、
i)C2~C12アルキル基によって第2のC6~C16アリール基に、ii)C2~C
12アルキル基によって架橋剤B2またはB3に、かつiii)直接S1およびS1aに
結合し、S1、S1a、S2、S2a、D、B1、B2、B3、Ar1、Ar2、E、R
、およびnは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If
)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(IL)、(Im)、(In
)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、または(Iu)の
化合物に関して上記に定義された通りである。
【0089】
一実施態様において、式Izの化合物が提供される。式中、S3は、価標、エーテル結
合、またはエステル結合によって相互に結合している、中央のC6~C16アリール基に
結合している4個のC2~C12アルキル基からなる基を表し、中央のC6~C16アリ
ール基に結合していない各独立したC2~C12アルキル基の末端は、B2、B3、S1
、およびS1aに結合して終結し、S1、S1a、S2、S2a、D、B1、B2、B3
、Ar1、Ar2、E、R、およびnは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(
Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(
IL)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(
It)、または(Iu)の化合物に関して上記に定義された通りである。
【0090】
一実施形態において、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)
、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(IL)、(Im)
、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)、(It)、(Iu)
、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、または(Iz)の複数のモノマーを架橋す
ることによって形成されるネットワークポリマーが提供される。
【0091】
一実施形態において、OLED装置の製造に使用するために、式(I)、(Ia)、(
Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(
Ij)、(Ik)、(IL)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(
Ir)、(Is)、(It)、(Iu)、(Iv)、(Iw)、(Ix)、(Iy)、ま
たは(Iz)による構造を有する化合物が提供される。
【0092】
前述の化合物は、本明細書に記載されるようなネットワークポリマーまたは装置に使用
することができる。好ましくは、化合物は、発光性層内のOLED装置に使用される。あ
るいは、化合物は、化合物としてまたは架橋ネットワークポリマーとして電荷輸送層内の
装置に使用することができる。
【0093】
正孔輸送層と電子輸送層との間の界面を含む装置において、好ましくは前記層のいずれ
かまたは両方は、本明細書に記載されるような化合物を含む。好ましくは、このような装
置は、光起電力装置、または薄膜トランジスタ(TFT)装置である。
【0094】
好ましくは、装置は、本明細書に記載されるような化合物を含む複数の層を含有し、各
層は、反復逐次堆積およびインサイチュー重合プロセスによって形成される(または得ら
れ得る)。
【0095】
好ましくは、装置は、化合物を含む材料の複数の層を露光することによって生成される
(または得られる)複数のパターン化構造を含む。装置は、紫外線光などの放射線のパタ
ーン化範囲を用いて作製することができ、紫外線光は、前記材料層を重合させ、次いで未
露光かつ未重合材料を洗い流す。
【0096】
一実施形態において、上記のパターン化構造のうちの2つ以上を含有する装置が提供さ
れ、前記構造が、本質的に電界発光性である材料から構成され、1つのパターン化構造に
よって発する電界発光の波長が、少なくとも1つの他のパターン化構造によって発する電
界発光の波長と異なる。
【0097】
一実施形態において、各画素が上記のパターン化構造のうちの1つ以上を含む、複数の
色の多数の画素を含む多色ドットマトリックスディスプレイが提供される。
【0098】
一実施形態において、上記のパターン化構造のうちの2つ以上を含有する装置が提供さ
れ、前記構造は、本質的に電界発光性である材料から構成され、上記のパターン化構造の
うちの2つ以上は、積み重ね状に覆われ、さらに各積み重ねのパターン化構造のうちの2
つ以上の電界発光波長は異なる。
【0099】
本明細書に開示される化合物は、重合液晶材料として、または重合液晶材料を冷却する
ことによって形成されるガラスとして、電子装置において有用であり得る。好ましくは、
液晶材料は、スメクチックおよびネマチック中間相を示す。
【0100】
本発明者らは、本明細書に記載されるような化合物を含有する液晶性流体を放射線、好
ましくは紫外線に露光することによって、ネマチック液晶構造を「固定する」ことが可能
であることを見出した。
【0101】
代替の実施形態において、本発明者らは、本明細書に記載されるような化合物を含有す
る液晶性流体を放射線、好ましくは紫外線に露光することによって、スメクチック液晶構
造を「固定する」ことが可能であることを見出した。本発明者らは、本明細書に開示され
る化合物が、スメクチック相にあるとき、そうでない場合に予想されるよりも大きな架橋
効率を示し得ることを見出した。これは、化合物を含有する装置を生成するときの処理効
率に関して利点を提供する。
【0102】
一実施形態において、本明細書に開示されるような化合物を含有する均一に配向した液
晶構造を含む材料を放射線に露光することによって、生成される発光層が提供される。そ
のような層は、直線偏光を発することができる。
【0103】
一実施形態において、本明細書に開示されるような化合物を含有する均一に配向した液
晶構造を含む材料を放射線のパターン化範囲に露光することによって、生成されるパター
ン化偏光発光構造が提供される。
【0104】
一実施形態において、上記に記載されたパターン化偏光発光構造の2つ以上を含む装置
が提供され、少なくとも第1の偏光発光構造が、少なくとも第2の偏光発光構造の偏光軸
と配向していない発光の偏光軸を有する。
【0105】
一実施形態において、本明細書に記載されるような架橋性モノマーを含有する、均一に
配向した液晶流体、または均一に配向した液晶流体を冷却して形成される(得られ得る)
ガラスの配向層の逐次堆積によって、生成される(または得られ得る)3Dディスプレイ
が提供される。このようなディスプレイは、各層のパターン化範囲を順番に逐次重合し、
続いて各層の未重合範囲を順番に洗い流して、発光構造を提供して、したがって液晶配向
、および各層の発光の偏光軸は、各隣接する層内の発光の偏光軸と異なる方向にある。
【0106】
一実施形態において、液晶構造を有するホスト材料中の発光ドーパントとして、本明細
書に開示されるようなネットワークポリマーを含むOLED装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0107】
本発明の一態様によれば、基D、B1、S1、S2およびAが、本明細書で定義される
化学基である、式D-S1-A-S2-B1の化合物が提供される。Aは、式-Ar1-
(E-Ar2)n-の基を表す。系の構成要素部分は、共有結合を介して互いに結合して
いる。
【0108】
EがE
1である場合、この基は、式1の化合物としても表すことができる。
【化14】
【0109】
その結果、本発明は、構成成分基の性質をより理解することができ、それらの機能は、
本明細書に定義される。
【化15】
【0110】
本発明の化合物は、Aと略される-Ar
1-(E-Ar
2)
n-基を含み、これは化合
物の「実質的に直鎖状」または「旋盤様」の芳香族コアを形成する。一態様において、E
は、下記構造のシラフルオレンジラジカルである。
【化16】
式中、各E部分のX基は同一であり、水素、直鎖状または分岐鎖状のC
1~C
8アルキル
、直鎖状または分岐鎖状のC
1~C
8アルコキシル、およびハロゲンから選択され、Yお
よびZでの共有結合を介して鎖に組み込まれる。
【0111】
別の態様において、Eは、多重縮合五環性および/または六環性アレーンからなる縮合
シラフルオレン単位である。
E
2:
【化17】
および
E
3:
【化18】
式中、Wは、酸素原子または硫黄原子のいずれかであり、それはYおよびZでの共有結合
を介して、分子の残りの部分に組み込まれる。
【0112】
-Ar1-(E-Ar2)n-中の整数nは、1~8が好ましい。合計で各-Ar1-
(E-Ar2)n-基は、好ましくは1~8個のE基を含む。特定の好ましい態様におい
て、各-Ar1-(E-Ar2)n-基中のEの数は、1~6、1~3、3~6、または
5、または6から選択される。
【0113】
驚くべきことに、本発明者らは、本明細書に開示される化合物が、従来の材料と比較し
てより広い液晶範囲を示すことを見出した。すなわち、分子の液晶相の温度範囲は、フル
オレン系材料などの従来の材料の温度範囲よりも広い。有利なことに、より広い液晶範囲
は、本明細書に記載される化合物を含む装置を生成する場合に、処理上の利点を提供する
。
【0114】
本発明者らは、本発明のケイ素含有分子が、先行技術の化合物よりも安価で合成が容易
であり、具体的には、本発明のケイ素含有分子は、フルオロアルキルフルオレン系材料よ
りも安価で合成が容易であることを見出した。
【0115】
加えて、本発明者らはまた、これらの化合物が、類似のn-アルキルフルオレン系材料
と比較して、架橋および非架橋性青色発光性材料の、改善された光架橋効率、および改善
されたCIE(x、y)座標も示すことを見出した。
【0116】
本発明の化合物が、発光体として使用するのに好適である好ましい態様において、各-
Ar1-(E-Ar2)n-基は、3~6個の間のE基を含む。これは、より低いn値が
、より低い発光効率を有する分子をもたらすためである。エネルギー効率のさらなるわず
かな増加は、分子コアをさらにn=7または8に長くすることによって達成することがで
きるが、効率の増加は、そのような分子を合成するための増加したコストと釣り合わなけ
ればならない。本発明の化合物が、正孔輸送体、電子輸送体、または発光ドーパント用の
ホストとして使用するのに好適である実施形態において、1~3個のE基を有する、-A
r1-(E-Ar2)n-基は、それらの合成の容易さ、より低い融点、およびより高い
溶解度のために好ましい。
【0117】
この-Ar1-(E-Ar2)n-、またはA構造において、nが1より大きい場合、
各個々のEのR基は、精製を困難にする材料の複数の異性体の可能性のために同一である
。異なるE基中に異なるR基を有する、n=1の材料について、これは融点を低下させる
可能性があるので有利であり得る。R基は、直鎖状または分岐鎖状のC1~C16アルキ
ル、C1~C16ハロアルキル、C1~C16フルオロアルキル、C2~C16アルケニ
ル基から選択され、任意選択で、1、2、3、4、または5個のCH2基がそれぞれ、酸
素で置換され、ただし、アセタール、ケタール、ペルオキシド、またはビニルエーテルは
存在しない。言い換えれば、2つ以上のメチレン基が酸素原子によって置換されている場
合、それは少なくとも3個の共有結合によって鎖中の隣の酸素原子から引き離すことにな
る。R基がアルケニル基である場合、アルケンはシスであり、炭化水素の中央に向かって
位置していることが好ましく、これは生成物の粘度、その結果としてガラス転移温度を低
下させることになる。
【0118】
Ar1およびAr2は、各存在において、独立して、Araおよび価標を含む群から選
択される。Araは、1個の芳香族、ヘテロ芳香族、もしくはE部分、または単結合によ
って相互に結合されている2、3、4もしくは5個の芳香族、ヘテロ芳香族および/もし
くはE部分を含むジラジカルを表す。
【0119】
Ar1-(E-Ar2)n鎖全体は、好ましくは「実質的に直鎖状」であり、その直鎖
状性、または隣接する分子と配向するおよび液晶性を促進するその能力を破壊することに
なる有意な分岐がない。鎖の特定の要素は、直鎖状構造から突き出ている場合がある。例
えば、Ar1がナフタレン-1,4-ジイルである場合、たとえナフチル構造が鎖に不可
欠であるとしても、5~8個の炭素は鎖の側面から突き出る。鎖は全体として直鎖状とし
て記載されるが、鎖の構成要素部分を結合する化学結合の性質は、鎖中のすべての化学結
合が正確には配向していないであろうことを要求するが理解され得る。材料分子の分子コ
アの骨格のいかなる湾曲が、材料の液晶性質または液晶分子によって配向される少なくと
もその能力を破壊しない限り、前記湾曲は許容される。同様に、材料の液晶性質を保存す
る分岐もまた可能である。
【0120】
R
R基は、直鎖状または分岐鎖状のC1~C16アルキル、C1~C16ハロアルキル、
C1~C16フルオロアルキル、C2~C16アルケニル基から選択され、任意選択で、
1、2、3、4、または5個のメチレン(CH2)基が、酸素で置換され、ただし、アセ
タール、ケタール、ペルオキシド、またはビニルエーテルは存在しない。言い換えれば、
2つ以上のメチレン基が酸素原子によって置換されている場合、それは少なくとも3個の
共有結合によって鎖中の隣の酸素原子から引き離すことになり、酸素原子は、単結合を介
して、炭素-炭素二重結合に結合してない。いくつかの態様において、各個々のEのR基
は同一である。別の態様において、鎖中すべてのEのR基は同一である。
【0121】
好ましい態様において、各E部分のR基は同一であり、直鎖状または分岐鎖状のC4~
C12アルキル、C4~C12ハロアルキル、C4~C12フルオロアルキル、C4~C
12アルケニル基からなる群から選択され、任意選択で、1、2、または3個のCH2基
が、酸素で置換され、ただし、アセタール、ケタール、またはペルオキシドは存在しない
。
【0122】
好ましい態様において、R基は、アルケニル基である。アルケニル基は、炭素-炭素二
重結合を含有する。好ましいアルケニル基は、ただ1つの炭素-炭素二重結合を含有する
。好ましい態様において、R基がアルケニル基である場合、それは中央およびシスの炭素
-炭素二重結合である。好ましい態様において、シスアルケンは、式-CH=CH-のも
のである。
【0123】
「中央」という用語によって、R基が末端位置にはなく、好ましくは実質的に鎖の中央
にあり、鎖の末端から除去されていることが意味される。例えば、9個の炭素原子の鎖に
おいて、R基は、両端を含めて4~6の間であろう(すなわち4~5、または5~6)。
【0124】
上記のように、場合によっては、R基中の1、2、3、4または5個のメチレン基は、
酸素原子で置換することができる。この場合、R基は、エーテルまたはポリエーテルであ
る。メチレン基は。CH2基である。2個以上のメチレン基が酸素原子によって置換され
ている場合、それらの間の鎖中に少なくとも2個の炭素原子が存在する。さらに、酸素原
子は、単結合を介して、炭素-炭素二重結合に結合していない。これは、ペルオキシド、
ケタール、アセタール、およびビニルエーテル単位が、潜在的に不安定であり、したがっ
て本発明の化合物の構造内に含まれないためである。
【0125】
R基の長さの変化は、化合物の融点を調節することができるので有用である。例えば、
液晶化合物が必要とされる場合、C1-アルキル誘導体が、多くの場合高い融点を示すの
で、鎖中に4~16個の炭素原子および酸素原子を有するR基を使用することが有利であ
り得る。好ましい態様において、R基は、鎖中に6~12個の間の炭素原子および酸素原
子を含有する。
【0126】
R基への酸素原子の導入は、化合物がそのガラス転移および/または液晶転移温度を受
ける温度を調節するために有利に使用することができ、これはガラス状材料が必要とされ
る場合、用途にとって有利であり得る。
【0127】
炭素-炭素二重結合の導入は、材料の粘度を低下させるために有利に使用することがで
き、これは溶液処理されるべき化合物にとって特に興味深い。鎖の中央に向かってシス炭
素-炭素二重結合を導入することは、材料の粘度および液晶転移温度を調節するのに特に
有利である。
【0128】
完全に引き出されたR基を有するE構造の選択された例が以下に提供される。
【化19】
【0129】
特定の実施形態において、R基は、-CF2-CF2-R6を含む。式中、R6は、C
1~C18アルキルおよびC2~C18アルケニルであり、任意選択で、1~5個のCH
2基がそれぞれ、酸素で置換され、ただし、アセタール、ケタール、ペルオキシド、また
はビニルエーテルは、R基には存在せず、任意選択で、各R基中のCに結合している各H
は、独立してハロゲンで置換されていてもよい。
【0130】
そのようなR基の例は、下記である。
【化20】
化合物の構造
【化21】
またはそれらのE
2およびE
3等価物は、
それらの合成有用性のために、それらのシラフルオレン誘導体発光体コアを含有する化合
物の合成のための好ましい中間体である。
【0131】
Ar
1およびAr
2
Ar
1およびAr
2は、各存在において、独立して、Ar
aおよび価標を含む群から選
択される。Ar
aは、1個の芳香族、ヘテロ芳香族、もしくはE部分、または単結合によ
って相互に結合されている2、3、4もしくは5個の芳香族、ヘテロ芳香族および/もし
くはE部分を含むジラジカルを表す。ジラジカルは、化合物構造全体内の2個の他の部分
に共有結合している基であり、いくつかの典型的な例が以下に示される。「|」は、典型
的な結合部位を示す。
【化22】
【0132】
上記の構造において、R基は、E部分に関して記載されるように選択される。
【0133】
選択されるAra基の正確な性質は、系において望まれる特性に依存する。例えば、発
光化合物が必要とされる場合、2、3、4、5または6個の連続するE基が構造中に特徴
付けることができる。あるいは、Ara基の高い割合、例えば50%以上が、E基であっ
てもよい。
【0134】
Araで構成される構成成分芳香族およびヘテロ芳香族基が、置換基を有していてもよ
いC6~C16芳香族基、およびC4~C12ヘテロ芳香族の群から選択することができ
る。任意の置換基は、分岐してもよい分岐または非分岐C1~C10アルキル、C4~C
10ヘテロ芳香族基、またはエーテル基の群から選択することができる。
【0135】
本発明の材料中のAra構造単位として有用な芳香族ジラジカルとしては、1,4-フ
ェニレン、ナフタレン-1,4-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、チオフェン-2
,5-ジイル、ピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、ペリレン-3
,10-ジイル、ピレン-2,7-ジイル、2,2’-ジチオフェン-5,5’-ジイル
、オキサゾール-2,5-ジイル、1,3,4-オキサジアゾール-2,5-ジイル、チ
エノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジイル、ジチエノ[3,2-b:2’、3’-
d]チオフェン-2,6-ジイル、ジベンゾチオフェン-3,7-ジイル、ベンゾ[1,
2-b:4,5-b’]ビス[1]ベンゾチオフェン-3,9-ジイル、チアゾロ[5,
4-d]チアゾール-2,5-ジイル、オキサゾロ[5,4-d]オキサゾール-2,5
-ジイル、チアゾロ[5,4-d]オキサゾール-2,5-ジイル、チアゾロ[4,5-
d]チアゾール-2,5-ジイル、オキサゾロ[4,5-d]オキサゾール-2,5-ジ
イル、チアゾロ[4,5-d]オキサゾール-2,5-ジイル、2,1,3-ベンゾチア
ジアゾール-4,7-ジイル、4-チエン-2-イル-2,1,3-ベンゾチアゾール-
7,5’-ジイル、4,7-ジチエン-2-イル-2,1,3-ベンゾチアゾール-5’
,5’’-ジイル、イミダゾ[4,5-d]イミダゾール-2,5-ジイル、4-アルキ
ル-1,2,4-トリアゾール-3,5-ジイル、9-アルキルカルバゾール-2,7-
ジイル、6,12-ジアルキルインドロ[2,3-b]カルバゾール-2,8-ジイル、
ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン-2,6-ジイル、ベンゾ[1,2-
b:5,4-b’]ジチオフェン-2,6-ジイル、[1]ベンゾチエノ[3,2-b]
[1]ベンゾチオフェン-2,7-ジイル、ベンゾ[1,2-d:4,5-d’]ビスオ
キサゾール-2,6-ジイル、ベンゾ[1,2-d:5,4-d’]ビスオキサゾール-
2,6-ジイル、または5,5-ジオキソジベンゾチオフェン-3,7-ジイルジラジカ
ルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
正孔輸送特性が望ましい場合は、以下に示されるものなどのインドールおよびチオフェ
ン含有部分が好ましい場合がある。*典型的な結合部位を表す。
【化23】
【0137】
上記の構造において、R基は、E部分に関して記載されるように選択される。
【0138】
電子輸送特性が望ましい場合は、以下に示されるものなどのオキサゾールおよびオキサ
ジアゾール含有部分が好ましい場合がある。*典型的な結合部位を表す。
【化24】
【0139】
鎖長を延長しない置換基として提供されるそのような部分は、1から20個の芳香族/
ヘテロ芳香族部分の制限に対してカウントされない。すなわち、鎖中の部分は、他の芳香
環またはヘテロ芳香環で置換することができる。例えば、結合の位置によって、以下の構
造のそれぞれは、単一の部分を構成することになる。
【化25】
【0140】
好ましい態様において、化合物は発光材料であり、nは1~6である。さらに好ましい
態様において、nは3~6である。好ましい態様において、nは5~6である。好ましい
態様において、nは5である。さらに好ましい態様において、nは6である。分子の芳香
族コアの長さが増すにつれて、装置のエネルギー効率が向上するので、より長い分子が好
ましい。発光減衰時間の測定から、エネルギー効率の増加は、より長い分子コアで起こる
三重項-三重項励起子消滅によるものであるが、より短い分子コアでは起こる可能性が低
いという証拠がある。エネルギー効率のさらなるわずかな増加は、分子コアをさらにn=
7または8に長くすることによって達成することができるが、効率の増加は、そのような
分子を合成するための増加したコストと釣り合わなければならない。
【0141】
本発明のさらに好ましい態様は、本発明の発光材料がE単位で終結する分子コア構造A
を含むことである。電荷輸送またはホスト材料分子において、複数の隣接するフェニル-
1,4-ジイルなどのAr単位による分子コアの停止は、末端Ar基間のπ-π相互作用
によって媒介される強い分子間相互作用によって、材料の液晶特性を強化することができ
、電荷キャリア輸送を強化することができるので、有利であり得る。しかしながら、発光
材料の場合には、これらの同じ相互作用が励起子エネルギーの消光をもたらす可能性があ
り、したがって9位に比較的かさ高い置換基を有する末端E基が好ましい。
【0142】
柔軟なリンカー基S1、S1a、S2およびS2a
Dが架橋性基を表す場合、本発明の化合物は、2個の柔軟なリンカー基S1およびS2
を含有する。本明細書中で論じされるように、Dはまた、S1およびS2基に類似してい
る追加の柔軟なリンカー基S1aおよびS2aを含有するより複雑な構造も表すことがで
きる。S1、S1a、S2、およびS2aは、各存在において、独立して、直鎖状または
分岐鎖状のC5~C14アルキル基から選択され、任意選択で、1、2、3、4、または
5個のメチレン基が、酸素原子で置換され、ただし、Sは、ペルオキシド、ケタール、ま
たはアセタール基を含有せず、すなわち、価標またはエーテル、エステル、カーボネート
、チオエーテル、アミンまたはアミド結合のいずれかを介して、Aに結合しており、すな
わち、価標またはエーテル、エステル、カーボネート、チオエーテル、アミンまたはアミ
ド結合のいずれかを介して、Dの性質によって決定されるように、D、B1、B2、B3
、またはS3に結合している。
【0143】
柔軟なリンカー基S1、S1a、S2およびS2aは、A内の蛍光体系を架橋性基から
引き離すように機能する。材料がネットワークポリマーマトリックスに架橋される場合、
柔軟なリンカーは、蛍光体を機械的および電子的にポリマーマトリックスから隔離する。
したがって、材料がポリマーマトリックスに架橋される場合、柔軟なリンカーは、非発光
性励起子消光を低減させるように機能し、それによって効率的な発光を促進する。
【0144】
D、B1、B2、およびB3
Dは、架橋性基を表すか、またはB1が水素を表す場合、Dは、-B2-S3-B3-
S1a-A-S2a-B1a、-S3(B2)-B3-S1a-A-S2a-B1a、-
S3(B2)(B3)-S1a-A-S2a-B1a、-S3(B2)(B3)、-A-
S2-B1、または架橋性基を表し、式中、鎖の左端のダッシュは、S1への結合点を表
す。B1、B2、およびB3は、それぞれ独立して、架橋性基または水素を表す。
【0145】
Dが、-AS
2-B
1を表す場合、DのA、S
2、およびB
1は、残りのD-S
1-A
-S
2-B
1構造のA、S
2、およびB
1と同一または異なっていてもよい。好ましくは
それらは同一である。すなわち、好ましくは、化合物は、本質的にS
1が分子の半分の間
の結合を形成する二量体型対称構造である。二量体型B
1-S
2A-S
1-A-S
2-B
1構造の一例を以下に提供する。
【化26】
【0146】
本発明者らは、これらの二量体型構造が、分子量を増大させ、それによって粘度の増大
に起因するOLED材料の膜形成特性を改善するための合成的に単純な手法であることを
見出した。
【0147】
したがって、本発明の化合物は、架橋性基を含み、架橋されるとネットワークポリマー
を形成する。これは、好ましい架橋性基が2個の他の架橋性基と反応して連鎖反応および
ポリマーマトリックスをもたらすからである。
【0148】
好ましい態様において、架橋性基は、エチレン性、ジエン、チオールおよびオキセタン
架橋性基の群から選択される。エチレン架橋性基は、炭素-炭素二重結合を含有する架橋
性基である。ジエン架橋性基は、エチレン性架橋性基のサブセットと見なすことができる
。好ましい態様において、すべての架橋性基は、独立して、エチレン系架橋性基を表す。
好ましいエチレン性架橋性基としては、電子豊富および電子不足エチレン性架橋性基が挙
げられる。
【0149】
好ましい態様において、架橋性基は、放射線露光で架橋反応を受ける。好ましい態様に
おいて、架橋性基は、紫外線(UV)光露光で架橋反応を受ける。
【0150】
好ましい架橋性基の例は、直鎖状および環状のα、β-不飽和エステル、α、β-不飽
和アミド、ビニルエーテル、および非共役ジエン架橋性基である。したがって、好ましい
架橋性基としては、メタクリレート、エタクリレート、エチルマレエート、エチルフマレ
ート、N-マレイミド、ビニルオキシ、アルキルビニルオキシ、ビニルマレエート、ビニ
ルフマレート、N-(2-ビニルオキシマレイミド)、および1,4-ペンタジエン-3
-イルが挙げられる。
【0151】
好ましい態様において、架橋性基は、電子豊富エチレン性架橋性基である。電子豊富エ
チレン性架橋性基は、1つ以上の電子供与基で置換されたエチレン基を含有する。電子供
与基は、O、N、またはSなどのヘテロ原子を含むことができる。好ましい態様において
、電子豊富架橋性基は、ビニルオキシ基である。他の電子供与基置換架橋性基は、p-ア
ルコキシスチレン、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアルキ
ルアミド、および1-アルケニルエーテル、例えばプロペン-1-イルオキシ基およびブ
テン-1-イルオキシ基、環状ビニルエーテル、例えばシクロヘキセン-1-イルオキシ
およびシクロペンテン-1-イルオキシ、二環式ビニルエーテル、例えば2-ノルボルネ
ン-2-イルオキシ基、ならびにビニルエーテル基が、4-ビニルオキシフェニルオキシ
および2-ビニルオキシエチル基などの介在ヒドロカルビル構造を介して、柔軟なリンカ
ーまたはスペーサー(S
1、S
1a、S
2、S
2a、またはS
3)に結合されている基で
ある。
【化27】
【0152】
上記の構造において、nは、各存在において、独立して1~20である。
【0153】
好ましい態様において、架橋性基は、電子不足エチレン性架橋性基である。電子不足エ
チレン性架橋性基は、1つ以上の電子求引基で置換されたエチレン基を含有する。電子求
引基は、カルボニル基を含むことができ、例えばエステルまたはアミドであってもよい。
好ましい態様において、電子不足架橋性基は、モノアルキルマレエート基、モノアルキル
フマレート基、モノアリールマレエート基、モノアリールフマレート基またはマレイミド
基を含む。電子不足架橋性基の他の例は、4,4,4-トリフルオロクロトネート基、Z
-4,4,4-トリフルオロブテノエート基、3-トリフルオロメチル-4,4,4-ト
リフルオロクロトネート基、Z-およびE-3-シアノアクリレート、Z-およびE-3
-シアノメタクリレート、モノアルキルシクロヘキセン-1,2-ジカルボキシレート、
およびモノアルキルシクロペンテン-1,2-ジカルボキシレートである。
【化28】
【0154】
上記の構造において、nは、各存在において、独立して1~20である。
【0155】
上記のように、Dは、架橋性基を表すか、またはB1が水素を表す場合、Dは、-B2
-S3-B3-S1a-A-S2a-B1a、-S3(B2)-B3-S1a-A-S2
a-B1a、-S3(B2)(B3)-S1a-A-S2a-B1a、または-S3(B
2)(B3)、または架橋性基を表すことができ、式中、鎖の左端のダッシュは、S1へ
の結合点を表す。
【0156】
したがって、一態様において、Dは、構造-B
2-S
3-B
3-S
1a-A-S
2a-
B
1aのものであり、Dのすべての元素は直鎖状で結合されている。説明のために、架橋
性基B
2およびB
3がフマレート基であり、B
1およびB
1aが水素を表す、この配置の
例では、構造全体は、以下に示される「型1」S
3スペーサーである。
【化29】
【0157】
第2の態様において、Dは、構造-S
3(B
2)-B
3-S
1-A-S
2a-B
1aの
ものであり、1つの架橋性基B
2は、S
3から分岐してS
3に結合する側鎖を形成する。
説明のために架橋性基B
2およびB
3がフマレート基であり、B
2がメチル基で終結し、
B
1およびB
1aが水素を表す、この配置の一例では、構造全体は、以下に示される「型
2」S
3スペーサーである。
【化30】
【0158】
第3の態様において、Dは、構造S
3(B
2)(B
3)-S
1-A-S
2a-B
1aの
ものであり、構造内の両方のS
1基は、2つの架橋性基が結合して、突き出ているリンカ
ーS
3によって架橋される。説明のために、架橋性基B
2およびB
3がモノメチルフマレ
ート基であり、B
1aおよびB
1が水素を表す、この配置の一例では、構造全体は、以下
に示される「型3」S
3スペーサーである。
【化31】
【0159】
第4の態様において、Dは、構造-S
3(B
2)(B
3)のものである。この構造にお
いて、スペーサー基S
3は、二つの架橋性基で飾られている。説明のために、架橋性基B
2およびB
3がモノメチルフマレート基であり、B
1が水素を表す、この配置の一例では
、構造全体は、以下に示される「型4」S
3スペーサーである。
【化32】
【0160】
S3
Dは、架橋性基を表すか、またはB1が水素を表す場合、Dは、-B2-S3-B3-
S1a-A-S2a-B1a、-S3(B2)-B3-S1a-A-S2a-B1a、-
S3(B2)(B3)-S1a-A-S2a-B1a、または-S3(B2)(B3)、
または架橋性基を表すことができ、式中、鎖中の左端のダッシュは、S1への結合点を表
し、B1aは、水素を表す。この構造において、さらなるスペーサーS3が存在する。
【0161】
S3は、剛性または可撓性であり得る非発色性スペーサー基を表す。S3は、C1~C
20アルキル基、C1~C20ハロアルキル基、C3~C8シクロアルキル基、C6~C
16アリール基、またはC4~C15ヘテロアリール基、またはそれぞれ独立して、価標
、エーテル結合、またはエステル結合によって結合している、1、2、3、4もしくは5
個のC1~C20アルキル、C1~C20ハロアルキル、C3~C8シクロアルキル、C
6~C16アリール、および/もしくはC4~C15のヘテロアリール部分からなる鎖を
含むことができる。S3は、価標、エーテル、エステル、またはカーボネート結合を介し
て、B2および/またはB3に結合している。
【0162】
スペーサーS3の好ましい例は、C2~C12アルキル基、C3~C8シクロアルキル
基、もしくはC6~C16アリール基、またはそれぞれ独立して、価標、エーテル結合、
またはエステル結合によって結合している、1、2、3、4もしくは5個のC1~C20
アルキル、C1~C20ハロアルキル、C3~C8シクロアルキル、C6~C16アリー
ル、および/もしくはC4~C15のヘテロアリール部分からなる鎖を含む。
【0163】
明確にするために提示されるB
2およびB
3架橋性基を有する型1 S
3スペーサー基
の例が、以下に提示される(波線は、S
1およびS
1aへの結合点を示す)。
【化33】
【0164】
上記の構造において、nは各存在において、独立して1~20であり、mは1~5であ
る。
【化34】
【0165】
明確にするために提示されるB
2およびB
3架橋性基を有する型2 S
3スペーサー基
の例が、以下に提示される(波線は、他の鎖構成要素への結合点を示す)。
【化35】
【0166】
明確にするために提示されるB
2およびB
3架橋性基を有する型3 S
3スペーサー基
の例が、以下に提示される(波線は、他の鎖構成要素への結合点を示す):
【化36】
【0167】
型3 S3スペーサー基は、これらの基をB1-S2-A-S1-S3(B2)(B3
)-S1a-A-S2a-B1a構造全体に組み込むための化学中間体であるので、特に
興味深い。型3 S3スペーサー基の好ましい例は、C2~C12アルキル基、C3~C
8シクロアルキル基、もしくはC6~C16アリール基、またはそれぞれ独立して、価標
、エーテル結合、またはエステル結合によって結合している、1、2、3、4もしくは5
個のC1~C20アルキル、C1~C20ハロアルキル、C3~C8シクロアルキル、C
6~C16アリール、および/もしくはC4~C15ヘテロアリール部分からなる鎖を含
む。好ましい例において、型3 S3スペーサー基は、C2~C12アルキル基、もしく
はC6~C16アリール基、またはそれぞれ独立して、価標、エーテル結合、またはエス
テル結合によって結合している、1、2、3、4もしくは5個のC2~C12アルキル基
、および/もしくはC6~C16アリール基からなる鎖を含む。好ましい例において、型
3 S3スペーサー基は、それぞれ独立して、価標、エーテル結合、またはエステル結合
によって結合している、3、4、または5個のC2~C12アルキル基、および/もしく
はC6~C16アリール基を含む。
【0168】
好ましい例において、型3 S3スペーサー基は、それぞれ独立して、価標、エーテル
結合、またはエステル結合によって結合している、C2~C12アルキル基およびC6~
C16アリール基から選択される5個の基を含む。型3 S3スペーサー基において、架
橋性基B2およびB3が、C3~C12アルキル基、任意選択でC4~C10アルキル基
に結合していることは、この構成が、より優れた構造柔軟性を提供し、B2およびB3と
隣接する分子内に存在する架橋性基との、結果として起こる架橋反応を促進するため、好
ましい。これは、穏やかな条件下で架橋する可能性を与え、起こり得る分解を最小限に抑
える。
【0169】
好ましい例において、型3 S
3スペーサー基は、価標、エーテル結合、またはエステ
ル結合のいずれかによって、中央のC
6~C
16アリール基に結合している、4個のC
2
~C
12アルキル基を含む。このような型3 S
3スペーサー基において、それぞれ独立
したC
2~C
12アルキル基の他方の末端は、それぞれB
2、B
3、S
1、およびS
1a
に結合して終結する。この好ましい種類の型3 S
3スペーサー基の例が以下に提示され
る。式中、波線は、他の鎖構成要素への結合点を示し、S
1およびS
1a、基X、Y、お
よびZは、独立して、価標、エーテル結合、またはエステル結合を示し、aおよびdは、
それぞれの場合において、2~12の整数であり、aおよびcは、それぞれの場合におい
て、1~11の整数である。
【化37】
X、Y、およびZは、独立して、価標、エーテル(O)、またはエステル結合(-CO
2
)から選択され、a、b、c、d、およびeは、C
1~C
20結合(アルキル、ハロアル
キル)を提供する整数である。
【0170】
さらなる好ましい例において、型3 S
3スペーサー基は、価標、エーテル結合、また
はエステル結合のいずれかによって、互いに結合される、3個のC
2~C
12アルキル基
、および2個のC
6~C
16アリール基を含む。このような構造において、各C
6~C
1
6アリール基は、i)C
2~C
12アルキル基によって、第2のC
6~C
16アリール基
に、ii)C
2~C
12アルキル基によって、架橋剤B
2またはB
3に、iii)直接S
1およびS
1aに、結合される。この好ましい種類の型3 S
3スペーサー基の例が以下
に提示される。式中、波線は、他の鎖構成要素への結合点を示し、S
1およびS
1a、基
X、Y、およびZは、独立して、価標、エーテル結合、またはエステル結合を示し、bお
よびdは1~11の整数であり、aおよびcは1~10の整数である。
【化38】
X、Y、およびZは、独立して、価標、エーテル(O)、またはエステル結合(-CO
2
)から選択され、a、b、c、d、およびeは、C
1~C
20結合(アルキル、ハロアル
キル)を提供する整数である。
【0171】
好ましい型3 S
3スペーサー基を組み込む構造の例が以下に提示される。
【化39】
【0172】
明確にするために提示されるB
2およびB
3架橋性基を有する型4 S
3スペーサー基
の例が、以下に提示される(波線は、S
1への結合点を示す)。
【化40】
【0173】
上記の構造において、nおよびmは、各存在において、独立して1~20である。
【0174】
したがって、場合によっては、基Dは、以下に提示される一般構造型のものであると理
解することができる。
【化41】
式中、B
1およびB
1aは水素を表す。
【0175】
本発明の材料の構造Dのさらなる例は、例示のために以下に提供される。R基における
分岐は、材料の融点を調節するために使用することができる。
【化42】
【0176】
材料特性
本発明の材料は、それらの電荷輸送および発光特性の両方に特に有用である。したがっ
て、本明細書に記載される材料は、電子装置、例えば有機発光ダイオードおよび光起電力
装置の製造に有用である。
【0177】
本発明のオリゴマー材料の1つの有利な特性は、それらが一般的な有機溶媒に可溶であ
ることである。オリゴマーの溶解度特性が、例えばポリマー材料と比較して装置製造に関
して明確な利点を提供するので、これは重要である。より詳細には、これらのオリゴマー
材料は、溶液処理手法によって装置を製造するために使用することができる。概説すると
、これは最初に材料を溶解し、この溶液を基板に塗布し、次いで蒸発させて基板上に膜コ
ーティングを生成することを含む。材料が膜として堆積されると、その材料をインサイチ
ューで重合させることができる。この重合は、1つの分子の架橋性基を隣接する分子の架
橋性基と架橋させてネットワークポリマーを形成させる放射線、例えば紫外線光への露光
によって開始することができる。堆積膜の領域は、開始放射線からマスクされ、非架橋材
料の区域を与え、一方、放射線に露光された区域は重合を受ける。架橋材料は、モノマー
の溶解度と比較して無視できるまたは低い溶解度を有するので、必要に応じて、未露光の
非架橋材料が洗い流されて、架橋材料のパターン化構造を残すことができる。溶液堆積お
よび重合の反復サイクルが使用されて、複雑なアーキテクチャを有する構造を生成するこ
とができる。
【0178】
逐次堆積された重合構造は、横並びまたは積み重ね/積層様式に組み立てることができ
る。一例において、赤、緑、および青の発光材料の横並び様式での逐次堆積および重合が
、カラーディスプレイ用画素を生成するために使用され得る。別の例において、赤、緑、
および青の発光体材料の積み重ねが、白色光源を得るために使用され得る。別の例におい
て、2つ以上の発光体構造が、着色光源を得るために積み重ね配置され得る。
【0179】
隣接する層が異なる最高占有または最低非占有分子軌道(HOMOおよびLUMO)エ
ネルギーレベルならびに異なる電荷キャリア移動度を有する、多層装置を安価にかつ経済
的に生成する能力は、プラスチックエレクトロニクスにおいて一般的に有用なものである
。例えば、本発明の材料およびプロセスを用いて、同等のpn接合を形成することができ
、これらはダイオード、トランジスタ、および光起電力装置において有用性を見出すこと
ができる。本発明の材料がフォトリソグラフィによってパターン化される傾向は、事実上
任意のサイズおよび明細の多数のプラスチック電子装置を製造することを可能にする。
【0180】
本発明による材料は、一緒に混合されて、液晶混合物を形成することができる。これは
、意図された用途のために材料特性を最適化するという観点から非常に有利であり得る。
例えば、本発明の個々の化合物は、それらの融点(単変的液晶相)よりはるかに低い等方
性液体転移温度まで液晶を有することができる。装置製造用途において、これは、膜内の
結晶化の危険性および後続の有用な電子特性の破壊をもたらすのに十分に熱力学的に不安
定である材料のガラス状または過冷却液体膜をもたらし得る。複数の構成要素の化合物を
一緒に混合することは、この問題を排除するために、得られる混合物の融点を液晶下で等
方性液体転移温度まで低下させるか、または少なくとも結晶化を十分に抑制することがで
きる。
【0181】
本発明の材料の混合物を用いることに関連する別の利点は、それらが純粋な材料として
使用不可能にする特定の特性を有するとしても、他の点で非常に有用な装置用途特性を有
する材料を使用できることである。例えば、低温液晶転移温度を有する発光液晶膜を調製
することが望ましい場合がある。本発明の化合物は、非常に高い効率の発光材料であり得
、他の有用な特性を保有し得るが、同時に高温液晶相を保有することが見出され得る。前
記望ましい化合物を、より低い温度の液晶相を有する本発明の他の化合物の共晶混合物中
に溶解することによって、必要な熱的性質を有する混合物が得られ得る。
【0182】
液晶材料または材料の混合物を用いることに関連するさらなる利点は、方向性組織化構
造または異方性構造が形成され得ることである。この方向性秩序は、例えば堆積膜を紫外
線光などの放射線に露光することによって、堆積膜の構成要素を架橋することによって所
定の位置に固定することができる。
【0183】
好ましい一例において、液晶膜は、光配向層などの配向層でコーティングされている基
板上に堆積させることができる。光配向層の構成要素は、露光時に方向性秩序構造を形成
する。次いで、配向層におけるこの方向性秩序は、その表面上に形成された堆積液晶膜に
転写することができ、堆積秩序膜を紫外線などの放射線に露光することによって構成要素
オリゴマーを重合させることによって所定の位置に固定することができる、高度な秩序装
置構造をもたらす。
【0184】
高度な装置秩序装置構造を得る可能性を利用して、発光体コアが同じ方向に配向し、し
たがって同じ方向に発光する偏光発光構造を生成することができる。最終的には、本明細
書に記載される材料の特性は、均一に配向した液晶流体またはガラスの配向層の逐次堆積
、順に各層のパターン化範囲の逐次重合、および順に各層の非重合範囲の逐次洗い流しを
通して、3Dディスプレイを製造する可能性を与えて、液晶配向、および各層の発光の偏
光軸が異なる方向を向くように発光構造を提供する。
【0185】
本発明の材料はまた、それらをOLEDなどの電子装置の生成に有用にする多くの追加
の望ましい特性も有する。有機発光装置では、有機発光材料による放射光の自己吸収を減
らすことも多くの場合望ましい。この自己吸収は、有機発光材料のスペクトル吸光度およ
び発光帯が様々な材料において多かれ少なかれ重なり合うために起こる。この問題に対す
る解決策は、例えば、色素レーザーの分野において周知であり、発光溶質よりも短い波長
での光を吸収するホスト中に発光材料を溶解することができる。溶液が希薄、例えば1~
2パーセントである場合、発光溶質の自己吸収はほぼ完全に抑制される。本発明の種々の
化合物の容易な相互混和性は、この種の溶液の調製を非常に容易にする。したがって、本
発明の材料は、ホスト材料ならびに発光材料として有用である。
【0186】
有機発光装置の用途において、ホスト材料から溶質発光材料への容易な励起エネルギー
移動があることが必要である。これは、光を放射する励起子(電気的に励起された分子軌
道状態)を形成するために電荷キャリア(電子および正孔)が再結合するためにホスト媒
体を通って輸送されなければならないためである。主に構成要素のホスト分子から構成さ
れる混合物において、この再結合および励起子形成は主にホスト分子内で起こることにな
る。次いで、励起エネルギーは、ホスト分子から発光溶質分子に伝達される必要がある。
ホスト材料のスペクトル発光帯が発光溶質の吸収帯と重なることが、このエネルギー移動
のための要件である。したがって、本発明の重要な態様は、構成成分構成要素の間にこの
スペクトル関係を有する、本発明の化合物の混合物の調製である。例えば、スペクトルの
青色領域で発光する化合物は、緑色発光体である化合物のホストとして機能することがで
きる。青色発光化合物中の5%緑色発光化合物の溶液のUV誘起架橋によって調製される
ポリマー膜は、純粋な緑色発光体のUV架橋によって調製される膜よりも緑色発光体によ
って放出された緑色光のかなり少ない自己吸収を示すことになる。
【0187】
本発明の材料の混合物を用いることのさらに別の利点は、イオンまたはフリーラジカル
開始とは対照的に、光開始電子供与体/受容体相互作用が使用されて重合を開始する、反
応性メソゲン材料の混合物の使用を可能にすることである。これは、同時に低いUV架橋
フルエンスを維持しながら、メタクリレート系システムにおけるよりもはるかに安定な(
貯蔵寿命に関して)反応性メソゲン材料をもたらし得る。これらの混合物において、反応
性メソゲン材料のうちの少なくとも1種が電子豊富架橋性基で置換されている一方、少な
くとも1種の他の構成要素反応性メソゲン材料が電子不足架橋性基で置換されている。材
料に入射する紫外線放射線は、いくつかの反応性メソゲン分子上の電子不足架橋性基を電
子励起状態に促進する。次いで、励起状態の電子不足架橋性基は、共重合架橋反応を開始
する他の反応性メソゲン分子上の電子豊富(電子供与体)架橋性基から電子を引き抜く。
このモードの光重合の説明は、例えば、「Photoinitiated radica
l polymerization of vinyl ether-maleate
systems」,Polymer 38,(9)pp.2229-37(1997)、
および「Co-Polymerization of Maleimides and
Vinyl Ethers:A Structural Study」,Macromo
lecules 1998,(31)pp.5681-89に見出すことができる。
【0188】
電子不足架橋性基としては、マレイミド、マレエート、フマレート、および他の不飽和
エステルが挙げられる。電子供与基としては、ビニルエーテル、プロペニルエーテル、お
よび他の類似のアルケニルエーテルが挙げられる。これらのような混合物は、個々の構成
要素が優れた貯蔵寿命と共に熱的および光化学的に安定であるという点で有利である。し
かしながら、材料が混合されると、混合物は高い光化学的感度を有し、架橋のために比較
的少量のUV量しか必要としない。
【0189】
図
本発明は、以下の非限定的な図に関して説明される。本開示のさらなる利点は、下記の
図面と併せて考慮される場合、詳細な説明を参照することによって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【
図1】非架橋性化合物に関する、溶液中のUV/Vis吸収スペクトル(青色)およびPLスペクトル(オレンジ色)を示すグラフである。トルエン中のUV/Vis吸収については、1×10-5Mの濃度であり、PLについては、1×10-6Mの濃度である。それぞれ440nmおよび300nmで励起された化合物K8-8およびL8-8を除いて、すべてのPLスペクトルを励起=350nmで記録した。x軸はnm単位の波長であり、y軸は0~1の正規化スケールでの吸光度である。
【
図2】架橋性化合物に関する、溶液中のUV/Vis吸収スペクトル(青色)およびPLスペクトル(オレンジ色)を示すグラフである。トルエン中のUV/Vis吸収については、1×10-5Mの濃度であり、PLについては、1×10-6Mの濃度である。450nmで励起された化合物K8-8MIを除いて、すべてのPLスペクトルを励起=350nmで記録した。
【
図3】非架橋性化合物の薄膜に関する、UV/Vis吸収スペクトル(青色)およびPLスペクトル(オレンジ色)を示すグラフである。それぞれ450nmおよび300nmで励起された化合物K8-8およびL8-8を除いて、すべてのPLスペクトルを励起=350nmで記録した。
【
図4】架橋性化合物の薄膜に関する、UV/Vis吸収スペクトル(青色)およびPLスペクトル(オレンジ色)を示すグラフである。それぞれ450nmおよび300nmで励起された化合物K8-8およびL8-8を除いて、すべてのPLスペクトルを励起=350nmで記録した。
【
図5】2種類のビフェニルジベンゾ[d,b]シロール架橋性供与体-受容体混合物についての感度プロットを示すグラフである。フマレート/ビニルエーテル1:1(灰色)とメタクリレート/ビニルエーテル1:1(黄色)を示す。x軸はJ/cm
2単位の露光量であり、y軸は達成された架橋パーセント、すなわちモノマー種の架橋ポリマー種への変換である。
【0191】
ビフェニルジベンゾ[d,b]シロール:
【化43】
式中、X=Siである。
【0192】
合成例
本発明の化合物は、当業者に周知の有機合成における一般的な技法によって合成するこ
とができる。これらの化合物をどの様に合成することができるかについて実例を以下に提
示する。理解され得るように、これらの材料の性質は、合成へのモジュール的手法が採用
されることを可能にし、シラフルオレンコアは、標準的な化学的技法によって材料の範囲
に統合することができる。このようにして、材料のすべての構成要素の性質、例えばコア
A、種々の柔軟なリンカー/スペーサー基(S
1、S
1a、S
2、S
2a、およびS
3)
ならびに種々の架橋剤および架橋剤含有構造(D、B
1、B
2、およびB
3)は、融点、
液晶性、および発光性特性などのバルク材料の特性を微調整するように容易に調節するこ
とができる。以下に提示される実施例は、例としてのみであり、決して本発明の範囲を限
定するものではない。
Jin et al、Macromolecules、2011、44、502-511
からの合成
【化44】
McDowell et al,Macromolecules,2013,46,67
94-6805からの合成。
【化45】
【0193】
4,4’-ジブロモ-3,3’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニルの合成:o-ジア
ニシジン(10.0g、40mmol)を、温度計および滴下漏斗を備えた1Lの三口フ
ラスコ中の40%HBr水溶液(40mL)、H2O(160mL)、およびアセトニト
リル(160mL)に混合した。出発材料がアセトニトリル中で溶解した後、反応混合物
を氷浴中で0℃に冷却した。温度が10℃を超えないように、H2O(14mL)中の硝
酸ナトリウム(7.2g、104.4mmol)の冷却溶液を、反応混合液に滴下した。
添加後、反応混合物を0℃で30分間撹拌した。この後、反応混合物の温度が10℃を超
えないように確保しながら、新たに調製した40%HBr水溶液(160mL)中のCu
Br(13.0g、90.6mmol)をカニューレを介してゆっくり添加した(大気中
のO2との副反応を避けるため)。添加後、反応混合物を室温に温め、次いで1時間加熱
還流した。次いで、溶液を室温に冷却し、CHCl3(3×100mL)で抽出した。次
いで、混合有機抽出物を、10%NaOH水溶液および塩水で洗浄し、最後に乾燥し(M
gSO4)、濾過し、減圧下で蒸発乾固した。未精製生成物をさらに精製することなく次
の工程に使用した。
【0194】
4,4’-ジブロモ-2,2’-ジヨード-5,5’-ジメトキシ-1,1’-ビフェ
ニルの合成:4,4’-ジブロモ-3,3’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル(13
.0g、34.9mmol)、KIO3(3.3g、15.4mmol)、およびI2(
9.6g、38.0mmol)を、酢酸(260mL)と7.5MH2SO4(26mL
)の混合物に溶解した。溶液を80℃で12時間加熱した。完了時に、反応混合物を室温
に冷却し、H2O(250mL)で希釈した。沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥
し、最小量のCHCl3(200mL)に溶解した。有機溶液を、10%NaOH水溶液
および塩水で洗浄し、次いで乾燥し(MgSO4)、濾過し、減圧下で蒸発乾固した。次
いで、未精製生成物を沸騰エタノールからの再結晶により精製し、褐色針状結晶として生
成物を得た。
【0195】
2,7-ジブロモ-3,6-ジメトキシ-9,9-ジヘキシルシラフルオレンの合成:
4,4’-ジブロモ-2,2’-ジヨード-5,5’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニ
ル(4.0g、6.41mmol)を、Ar下でシュレンクフラスコ中の乾燥THF(6
0mL)に溶解させ、激しく撹拌した。反応混合物を、MeOH/N2浴中で-110℃
に冷却し、次いでn-BuLi(8.07mL、12.9mmol、ヘキサン中1.6M
)を30分かけて滴下した。次いで、反応混合物を、-110℃でさらに30分間撹拌し
た。次に、ジ-n-ヘキシルジクロロシラン(1.96mL、7.1mmol)を添加し
、反応混合物を室温に温め、さらに10時間撹拌した。次いで、反応混合物を、水の添加
によりクエンチし、生成物をジエチルエーテルで抽出した。混合有機物を塩水で洗浄し、
乾燥し(MgSO4)、濾過し、次いで溶媒を減圧下で除去した。次いで、生成物を、沸
騰エタノールからの再結晶によって精製した。
【0196】
シラフルオレン化合物AおよびBのスキームおよび合成調製
【化46】
【0197】
4,4’-ジブロモ-2,2’-ジヨード-1,1’-ビフェニル
t-BuLi(15.3ml、0.0261mol、ペンタン中1.7M)を、4,4
’-ジブロモ-2,2’-ジヨードビフェニル(3.50g、6.21mmol)の乾燥
THF(40ml)溶液に、窒素不活性雰囲気下、-95℃(ヘキサン/液体窒素)で3
0分にわたって、ゆっくり添加した。反応混合物を、-95℃でさらに1時間撹拌し、続
いてジクロロヘキシルシラン(3.34g、0.0124mol)を添加し、室温で一晩
撹拌した。水(50ml)を添加し、生成物をジエチルエーテル(3×50ml)中に抽
出し、エーテル抽出物を水(150ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、減
圧下で濃縮した。未精製生成物を、重力カラムクロマトグラフィー(湿式充填、シリカゲ
ル、ヘキサン)によって精製して、無色のオイル(1.67g、53%)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)7.68(2H,d,J=2
.0Hz)、7.63(2H,d,J=8.4Hz)、7.54(2H,dd,J=2.
0および8.0Hz)、1.19-1.33(16H,m)、0.91-0.95(4H
,m)、0.84(6H,t)。
【0198】
2,7-ビス(4-オクチルオキシビフェニル-4’-イル)-9,9-ジヘキシルシラ
フルオレン[化合物C]
4-オクチルオキシビフェニル-4’-イル-ボロン酸(2.36g、7.24mmo
l)、2,7-ジブロモ-9,9-ジヘキシルシラフルオレン(化合物A、1.60g、
3.15mmol)、K2CO3(2.17g、15.7mmol)、トルエン(30m
l)および水(15ml)をすべて、三口丸底フラスコに添加し、系を真空ポンプを用い
て排気して、窒素で3回充填した。続いて、Pd(PPh3)4(0.36g、0.31
mmol)を添加し、反応混合物を還流下で一晩撹拌した。反応混合物を分液漏斗に注ぎ
、そこにさらに水(30ml)およびトルエン(30ml)の両方を添加し、水層をトル
エン(15ml)で洗浄し、混合有機層を水(50ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO4
)、濾過した。未精製生成物を、重力カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン
中30%DCM)によって精製して、白色の粉体(2.00g、69.7%)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)7.82-7.95(4H,
m)、7.61-7.76(10H,m)、7.58(4H,d,J=8.8Hz)、6
.99(4H,d,J=8.8Hz)、4.01(4H,t)、1.82(4H,qui
nt)、1.20-1.53(36H,m)、1.00-1.04(4H,m)、0.9
1(6H,t)、0.83(6H,t)。MALDI-MS:910.5(M+)。
【0199】
2,7-ビス(4-オクチルオキシビフェニル-4’-イル)-9,9-ジオクチルシラ
フルオレン[化合物D]
4-オクチルオキシビフェニル-4’-イル-ボロン酸(0.77g、2.36mmo
l)、2,7-ジブロモ-9,9-ジオクチルシラフルオレン(化合物B、0.58g、
1.03mmol)、K2CO3(0.71g、5.14mmol)、トルエン(10m
l)、および水(5ml)をすべて、三口丸底フラスコに添加し、系を真空ポンプを用い
て排気して、窒素で3回充填した。続いて、Pd(PPh3)4(0.12g、0.10
3mmol)を添加し、反応混合物を還流下で一晩撹拌した。反応混合物を分液漏斗に注
ぎ、そこにさらに水(25ml)およびトルエン(25ml)の両方を添加し、水層をト
ルエン(10ml)で洗浄し、混合有機層を水(50ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO
4)、濾過した。未精製生成物を、重力カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサ
ン中30%DCM)によって精製して、白色の固体(0.40g、40.4%)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)7.89-7.92(4H,
m)、7.63-7.73(10H,m)、7.59(4H,d,J=8.8Hz)、7
.00(4H,d,J=8.8Hz)、4.02(4H,t)、1.82(4H,qui
nt)、1.20-1.53(44H,m)、1.00-1.04(4H,m)、0.9
0(6H,t)、0.83(6H,t)。MALDI-MS:966.6(M+)。
【0200】
ジベンゾ[d,b]シロール(シラフルオレン)系光架橋性液晶:合成、光学的特性およ
び液晶作用
以下の実施例は、OLED用途のためのn-アルキル-5H-ジベンゾ[b,d]シロ
ール系液晶材料の合成および特性評価に関し、それは合成の容易さ、より広い液晶相転移
温度範囲(すなわち、液晶状態から等方性液体状態まで)、および向上した光架橋効率の
付加的な利点を有する。実施例を通して、n-アルキル-5H-ジベンゾ[b,d]シロ
ール系材料と、類似のn-アルキルフルオレン系材料との間の比較が行われる。
【化47】
【0201】
本発明の実施例は、架橋性構造および非架橋性構造の両方の以下の構造に関する:
非架橋性:
【化48】
架橋性:
【化49】
【0202】
合成と特性評価
ジベンゾ[d,b]シロールコア構造を含有する材料の全部で10野の変種が、主要な
市販の中間体9,9-ジオクチル-9H-9-シラフルオレン-2,7-ビス(ボロン酸
)ピナコールエステル(化合物5)から合成された。
【化50】
【0203】
ボロン酸ピナコールエステルを、対応する臭化アリールとの様々なスズキカップリング
において使用して、所望のビスフェノール中間体(化合物6および14)のいずれかの供
給、またはL8-8などの最終生成物を直接供給した。異なるウィリアムソン-エーテル
合成条件の選択を用いて、ビス-フェノールを様々な臭化アルキルに結合させて、所望の
架橋可能な最終生成物(J8-8VE、J8-8MI、およびK8-8MI)を得ること
、または他の最終生成物(J8-8MET、J8-8FUM、およびJ8-8MAL)を
合成するために使用されたビス-フェノキシ-オクタン-1-オール誘導体(化合物13
)を供給することが可能であった。材料を設計する場合、分子の周囲に結合するために、
ビニルエーテル(電子豊富)などの5つの異なる架橋性基と、メタクリレート、フマレー
ト、マレエート、およびマレイミドなどの4つの電子不足基を選択した。これらはすべて
同等のスペーサーを介してビフェニル置換ジベンゾ[d,b]シロールコアに結合してい
たので、この新規な一群の材料の光架橋性特性を評価することができた。これらの光架橋
性化合物に加えて、比較のために非架橋性類似体を合成した。化学合成を、コストを低く
抑え、スケールアップの可能性を高めるために可能な限り単純になるように設計し、これ
により、材料はより商業的に実行可能になる。
【0204】
中央のジベンゾ[d,b]シロールコアに結合したフェニル-ベンゾチアジアゾール基
を含有する非架橋性(K8-8)および架橋性(K8-8MI)化合物の両方を合成した
。フェニル-ベンゾチアジアゾール単位を、発光を可視スペクトルの緑色領域に赤方偏移
するように選択した。架橋性および非架橋性の両方のバージョンを、発光性コアに架橋性
基を付加することの効果を評価することができるように合成した。マレイミド基を、青色
発光性ビフェニルバージョンで観察される非常に効率的な光架橋の結果に起因して、緑色
発光性化合物のための架橋性部分として選択した。
【0205】
青色発光性ドーパントJ8-8のための潜在的ホストとして、ズレン-フェニル置換化
合物(L8-8)を合成した。ビフェニル単位中のフェニル環のうちの1つをズレン単位
で置換すると、分子の有効な共役が減少する可能性があると仮定された。ズレン単位は、
ジベンゾ[d,b]シロール中央コアとズレン-フェニル芳香族基との間の二面角をねじ
って増大させることができるはずで、それは材料のバンドギャップを拡大し、潜在的によ
り小さなバンドギャップ発光性ドーパント材料のためのホスト材料として使用され得る化
合物を供給することができる。
【0206】
本発明の化合物は、当業者に周知である有機合成における一般的な技法によって合成す
ることができる。これらの化合物をどの様に合成することができるかについて実例を以下
に提示する。理解され得るように、これらの材料の性質は、モジュール的手法が化学合成
に採用されることを可能にする。このようにして、材料(式D-S1-A-S2-B1、
14特許ファミリを参照されたい)のすべての構成要素の性質、例えばコアA、種々の柔
軟なリンカー/スペーサー基(S1、S1a、S2、S2a、およびS3)ならびに種々
の架橋剤および架橋剤含有構造(D、B1、B2、およびB3)は、融点、液晶性、およ
び発光性特性などのバルク材料の特性を微調整するように容易に調節することができる。
以下に示される材料は、単に例であり、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0207】
スキーム1
3,7-ジブロモ-5,5-ジヘキシル-5H-ジベンゾ[b,d]シロール(2)を
、t-BuLiと共に、4,4’-ジブロモ-2,2’-ジヨードビフェニル(1)の処
理によって、良好な収率(53%)で合成して、リチウム塩を形成し、続いてジクロロヘ
キシルシランでクエンチした。化合物3を商業的に購入し、化合物(2)および(3)の
両方とボロン酸(4)とのスズキカップリング反応により、最終材料J6-8およびJ8
-8を得た。
【化51】
スキーム1。5,5-ジアルキル-5H-ジベンゾ[b,d]シロール-3,7-ビフェ
ニル誘導体J6-8およびJ8-8の合成。
【0208】
3,7-ジブロモ-5,5-ジヘキシル-5H-ジベンゾ[b,d]シロール(2)
t-BuLi(15.3mL、0.0261mol、ペンタン中1.7M)を、4,4
’-ジブロモ-2,2’-ジヨードビフェニル(化合物1、3.50g、6.21mmo
l)の乾燥THF(40mL)溶液に、窒素不活性雰囲気下、-95℃(ヘキサン/液体
窒素)で30分にわたって、ゆっくり添加した。反応混合物を、-95℃でさらに1時間
撹拌し、続いてジクロロヘキシルシラン(3.34g、0.0124mol)で添加し、
室温で一晩撹拌した。水(50mL)を添加し、生成物をジエチルエーテル(3×50m
L)中に抽出し、エーテル抽出物を水(150mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、
濾過し、減圧下で濃縮した。未精製生成物を、重力カラムクロマトグラフィー(湿式充填
、シリカゲル、ヘキサン)によって精製して、無色のオイル(1.67g、53%)とし
て化合物2を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)0.84(6H,t,J=6
.8Hz,CH3)、0.91-0.95(4H,m,CH2)、1.18-1.33(
16H,m,CH2)、7.53(2H,dd,J=2.0および8.0Hz,Ar-H
)、7.63(2H,d,J=8.4Hz,Ar-H)、7.68(2H,d,J=2.
0Hz,Ar-H)。
【0209】
3,7-ビス(4-オクチルオキシビフェニル-4’-イル)-5,5-ジヘキシル-5
H-ジベンゾ[b,d]シロール(J6-8)
4-オクチルオキシビフェニル-4’-ボロン酸(化合物4、2.36g、7.24m
mol)、3,7-ジブロモ-5,5-ジヘキシル-5H-ジベンゾ[b,d]シロール
(化合物2、1.60g、3.15mmol)、K2CO3(2.17g、15.7mm
ol)、トルエン(30ml)、および水(15ml)をすべて、三口丸底フラスコに添
加し、不活性ガスとして窒素を使用し、系を2回の凍結-ポンプ-解凍サイクルを用いて
脱気した。続いて、Pd(PPh3)4(0.36g、0.31mmol)を添加し、反
応混合物を、1回の凍結-ポンプ-解凍サイクルによって再度脱気した。反応混合物を9
0℃で18時間撹拌し、分液漏斗に注ぎ、そこにさらに水(30ml)およびトルエン(
30ml)の両方を添加し、水層をトルエン(15ml)で洗浄し、混合有機層を水(5
0ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過した。未精製生成物を、重力カラムクロ
マトグラフィー(乾式充填、シリカゲル、ヘキサン中20%ジクロロメタン)によって精
製して、白色の粉体(2.00g、69.7%)として化合物J6-8を得た。さらなる
精製を、DCM/エタノール層からの再結晶化によって実行することができる。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)0.83(6H,t,J=6
.8Hz,CH3)、0.90(6H,t,J=7.0Hz,CH3)、1.00-1.
04(4H,m,CH2)、1.19-1.51(36H,m,CH2)、1.82(4
H,quint.,CH2)、4.02(4H,t,J=6.6Hz,CH2)、7.0
0(4H,d,J=8.8Hz,Ar-H)、7.59(4H,d,J=8.8Hz,A
r-H)、7.66(4H,d,J=8.8Hz,Ar-H)、7.72(6H,d,J
=8.0Hz,Ar-H)、7.88(2H,d,J=2.0Hz,Ar-H)、7.9
2(2H,d,J=8.0Hz,Ar-H)。13C NMR(100MHz,CDCl
3):δ(ppm)12.5(CH2)、14.2(CH3)、14.3(CH3)、2
2.7(CH2)、22.8(CH2)、24.1(CH2)、26.2(CH2)、2
9.4(CH2)、29.5(x2)(CH2)、31.5(CH2)、32.0(CH
2)、33.3(CH2)、68.3(CH2)、115.0(CH)、121.4(C
H)、127.2(CH)、127.5(CH)、128.1(CH)、129.0(C
H)、131.9(CH)、133.2(C)、139.0(C)、139.5(C)、
139.6(C)、139.9(C)、147.4(C)、159.0(CO)。MAL
DI-MS:910.6(M+)。元素分析:予想値C=84.34、H=9.07、測
定値C=84.32、H=9.00。
【0210】
3,7-ビス(4-オクチルオキシビフェニル-4’-イル)-5,5-ジオクチル-5
H-ジベンゾ[b,d]シロール(J8-8)
4-オクチルオキシビフェニル-4’イル-ボロン酸(化合物4、0.77g、2.3
6mmol)、3,7-ジブロモ-5,5-ジオクチル-5H-ジベンゾ[b,d]シロ
ール(化合物3、0.58g、1.03mmol)、K2CO3(0.71g、5.14
mmol)、トルエン(10ml)、および水(5ml)をすべて、三口丸底フラスコに
添加し、不活性ガスとして窒素を使用し、系を2回の凍結-ポンプ-解凍サイクルを用い
て脱気した。続いて、Pd(PPh3)4(0.12g、0.103mmol)を添加し
、反応混合物を、1回の凍結-ポンプ-解凍サイクルによって再度脱気した。反応混合物
を90℃で18時間撹拌し、分液漏斗に注ぎ、そこにさらに水(25ml)およびトルエ
ン(25ml)の両方を添加し、水層をトルエン(10ml)で洗浄し、混合有機層を水
(50ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過した。未精製生成物を、重力カラム
クロマトグラフィー(乾式充填、シリカゲル、ヘキサン中20%ジクロロメタン)によっ
て精製して、白色の粉体(0.40g、40.4%)として化合物J8-8を得た。さら
なる精製を、DCM/エタノール層からの再結晶化によって実行することができる。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)0.83(6H,t,J=6
.8Hz,CH3)、0.90(6H,t,J=6.8Hz,CH3)、1.00-1.
04(4H,m,CH2)、1.20-1.51(44H,m,CH2)、1.82(4
H,quint.,CH2)、4.02(4H,t,J=6.6Hz,CH2)、7.0
0(4H,d,J=8.8Hz,Ar-H)、7.59(4H,d,J=8.8Hz,A
r-H)、7.65(4H,d,J=8.4Hz,Ar-H)、7.72(6H,d,J
=8.4Hz,Ar-H)、7.88(2H,d,J=1.6Hz,Ar-H)、7.9
2(2H,d,J=8.0Hz,Ar-H)。13C NMR(100MHz,CDCl
3):δ(ppm)12.5(CH2)、14.2(CH3)、14.3(CH3)、2
2.8(x2)(CH2)、24.2(CH2)、26.2(CH2)、29.3(CH
2)、29.4(x2)(CH2)、29.5(x2)(CH2)、32.0(CH2)
、33.6(CH2)、68.3(CH2)、115.0(CH)、121.4(CH)
、127.2(CH)、127.5(CH)、128.1(CH)、129.0(CH)
、131.9(CH)、133.2(C)、139.0(C)、139.5(C)、13
9.6(C)、139.8(C)、147.3(C)、159.0(CO)。MALDI
-MS:966.6(M+)。元素分析:予想値C=84.41、H=9.38、測定値
C=84.47、H=9.29。
【0211】
スキーム2
最初に、ジオキサン/H
2O(3:1)中の触媒Pd(PPh
3)
4を用いた市販のボ
ロン酸エステル(5)と4-ブロモ-4’-ヒドロキシビフェニルとの間のスズキカップ
リング反応により、良好な収率(66%)でビス-フェノール(6)を得た。中程度極性
溶媒中での化合物(6)の溶解度が低いため、精製を、ジクロロメタンで洗浄し、濾過す
ることによって簡単に実行した。ブロモ-アルキルディールス-アルダーフラン-マレイ
ミド付加物(10)を、50℃においてDMF中でウィリアムソン-エーテル反応によっ
て(6)と反応させて、中程度の収率(31%)で、J8-8MIの保護された誘導体を
得た。トルエン中で加熱することによる後続の脱保護により、中程度の収率(44%)で
、最終マレイミド材料J8-8MIを得た。化合物J8-8VEを、還流ブタノン中で塩
基として炭酸カリウムを用いるウィリアムソン-エーテル反応によって、良好な収率(5
1%)で合成した。
【化52】
スキーム2。誘導体J8-8VEおよびJ8-8MIの合成。
【0212】
3,7-ビス(4-ヒドロキシビフェニル-4’-イル)-5,5-ジオクチル-5H-
ジベンゾ[b,d]シロール(6)
4-ブロモ-4’-ヒドロキシビフェニル(3.40g、13.7mmol)、5,5
-ジオクチル-3,7-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボ
ロラン-2-イル)-5H-ジベンゾ[b,d]シロール(化合物5、3.00g、4.
55mmol)、Na2CO3(18.0g)、DME(180mL)、および水(90
mL)をすべて三口丸底フラスコに添加した。系を真空下での超音波処理(30秒間)を
用いて脱気し、次いで窒素で埋め戻し、このプロセスを10回繰り返した。続いて、Pd
(PPh3)4(0.53g、0.45mmol)を添加し、反応混合物を窒素下還流で
18時間撹拌した。次いで、反応混合物を10%HCl(200mL)で酸性化し、次い
で分液漏斗に注ぎ、水層を酢酸エチル(3×150mL)で抽出し、混合有機物を水(2
00mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過した。濾過後、有機層を減圧下で蒸発
乾固させ、未精製生成物をジクロロメタン(50mL)下で粉砕によって精製し、ジクロ
ロメタン(2×100mL)で繰り返し洗浄することによって、白色の粉体(3.00g
、88.8%)として化合物6を得た。
1H NMR(400MHz,CO(CD3)2):δ(ppm)0.78(6H,t,
J=7.0Hz,CH3)、1.07-1.30(24H,m,CH2)、1.41-1
.49(4H,m,CH2)、6.93-6.97(4H,m,Ar-H)、7.53-
7.57(4H,m,Ar-H)、7.60(2H,dd,J=8.1,2.0Hz,A
r-H)、7.63-7.66(4H,m,Ar-H)、7.71-7.76(6H,m
,Ar-H)、8.11(2H,d,J=1.9Hz,Ar-H)、8.51(2H,s
,OH)。MALDI-MS:742.3(M+)。
【0213】
3,6-エンド,エキソ-オキソ-Δ4-テトラヒドロフタルイミド(8)
マレイミド(7、2.50g、25.8mmol)およびフラン(10mL)の酢酸エ
チル(20mL)溶液を、室温で3日間撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、真空下で乾
燥して、白色の粉体(3.00g、71%)を得た。生成物8を、エンド-付加物とエキ
ソ-付加物の混合物(1.6:1)として得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)エンド生成物:3.6(s,
2H)、5.35(s,2H)、6.6(s,2H),エキソ生成物:2.9(s,2H
)、5.35(s,2H)、6.6(s,2H).
【0214】
8-(3,6-エキソ-オキソ-Δ4-テトラヒドロフタルイミド)ブロモオクタン(1
0)
化合物8(0.76g、4.6mmol)、1,8-ジブロモオクタン(9、5.0g
、18.4mmol)、およびK2CO3(3.18g、23.0mmol)の混合物を
、乾燥DMF(10mL)中に懸濁し、窒素雰囲気下において55℃で18時間撹拌した
。DMFを減圧下で除去し、残渣をジクロロメタン(50mL)中に再溶解し、塩を濾過
によって除去した。濾液を減圧下で蒸発乾固させ、未精製生成物をカラムクロマトグラフ
ィー(シリカゲル、ヘキサン中30%酢酸エチル~ヘキサン中50%酢酸エチル)で精製
して、一晩結晶化された粘性液体として化合物10(0.40g、24%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)エキソ生成物:1.20-1
.60(m,10H)、1.85(quint.,2H)、2.9(s,2H)、3.4
0(trip.,2H)、3.50(trip.,2H)、5.35(s,2H)、6.
6(s,2H).
【0215】
J8-8MI
化合物6(1.00g、1.35mmol)、化合物10(1.44g、4.04mm
ol)、およびK2CO3(0.93g、6.73mmol)の混合物を、乾燥DMF(
50mL)中に懸濁した。反応混合物を55℃に加熱し、窒素下で20時間撹拌した。完
了後、反応混合物を室温に冷却し、塩を濾過により除去した。濾液を減圧下で蒸発させた
。残渣をジクロロメタン(100mL)中に再溶解し、水(3×100mL)で洗浄した
。有機層を乾燥し(MgSO4)、濾過し、減圧下で蒸発乾固させた。次いで、未精製生
成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中50%酢酸エチル~100%酢
酸エチル)で精製して、黄色の固体(0.54g、31%)として保護マレイミド誘導体
を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)0.84(6H,t,J=7
.0Hz,CH3)、1.01-1.05(4H,m,CH2)、1.21-1.62(
44H,m,CH2)、1.78-1.85(4H,m,CH2)、2.84(4H,s
,CH)、3.49(4H,t,J=7.3Hz,CH2)、4.01(4H,t,J=
7.5Hz,CH2)、5.28(4H,s,CH)、6.52(4H,s,=CH)、
7.00(4H,br d,J=8.7Hz,Ar-H)、7.59(4H,br d,
J=8.7Hz,Ar-H)、7.66(4H,br d,J=8.2Hz,Ar-H)
、7.72-7.74(6H,m,Ar-H)、7.90(2H,d,J=1.5Hz,
Ar-H)、7.93(2H,d,J=8.2Hz,Ar-H)。13C NMR(10
0MHz,CDCl3):δ(ppm)12.4(CH2)、14.1(CH3)、22
.6(CH2)、24.0(CH2)、25.9(CH2)、26.6(CH2)、27
.5(CH2)、29.0(CH2)、29.1(CH2)、29.2(3x)(CH2
)、31.8(CH2)、33.4(CH2)、39.0(CH2)、47.4(CH)
、68.1(CH2)、80.9(CH)、114.9(CH)、121.2(CH)、
127.0(CH)、127.3(CH)、128.0(CH)、128.9(CH)、
131.7(CH)、133.0(C)、136.5(CH)、138.8(C)、13
9.4(C)、139.5(C)、139.7(C)、147.2(C)、158.8(
C)、176.3(C=O)。MALDI-MS:1293.7(MH+)。
【0216】
保護マレイミド(0.53g、0.41mmol)を、トルエン(10mL)中で16
時間加熱還流して、フランを完全に除去した。トルエンを減圧下で除去し、未精製生成物
をフラッシュクロマトグラフィー(100%ジクロロメタン~ジクロロメタン中2%酢酸
エチル)で精製して、オフホワイトのワックス状固体を得た。これをエタノール中での粉
砕によってさらに精製して、オフホワイトの固体(0.21g、44%)としてJ8-8
MIを得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)0.84(6H,t,J=7
.0Hz,CH3)、1.01-1.05(4H,m,CH2)、1.21-1.52(
40H,m,CH2)、1.57-1.65(4H,m,CH2)、1.78-1.85
(4H,m,CH2)、3.53(4H,t,J=7.3Hz,CH2)、4.02(4
H,t,J=6.5Hz,CH2)、6.70(4H,s,CH=CH)、6.99-7
.02(4H,m,Ar-H)、7.57-7.61(4H,m,Ar-H)、7.65
-7.68(4H,m,Ar-H)、7.71-7.74(6H,m,Ar-H)、7.
90(2H,d,J=1.8Hz,Ar-H)、7.93(2H,d,J=8.1Hz,
Ar-H)。13C NMR(100MHz,CDCl3):δ(ppm)12.4(C
H2)、14.1(CH3)、22.6(CH2)、24.0(CH2)、26.0(C
H2)、26.7(CH2)、28.5(CH2)、29.0(CH2)、29.1(C
H2)、29.2(3x)(CH2)、31.8(CH2)、33.4(CH2)、37
.9(CH2)、68.0(CH2)、114.9(CH)、121.2(CH)、12
7.0(CH)、127.3(CH)、128.0(CH)、128.9(CH)、13
1.7(CH)、133.0(C)、134.0(CH)、138.8(C)、139.
4(C)、139.5(C)、139.7(C)、147.2(C)、158.8(C)
、170.9(C=O)。MALDI-MS:1156.6(M+)。元素分析:予想値
C=78.85、H=8.01、N=2.42、測定値C=78.75、H=7.93、
N=2.45。
【0217】
8-ブロモ-1-ビニルオキシオクタン(化合物12)
水冷却器を備えた三口丸底フラスコを、ヒートガンを用いて真空乾燥した。室温に冷却
した後、8-ブロモ-1-オクタノール(11、15.0g、0.0717mol)、酢
酸ビニル(K2CO3を用いて乾燥、蒸留、12.4g、0.1435mol)、Na2
CO3(真空下、80℃で5時間乾燥、4.65g、0.0430mol)、およびトル
エン(乾燥および脱気、150mL)を添加し、窒素置換した。触媒[Ir(cod)C
l]2(0.96g、0.0014mol)を添加し、反応混合物を100℃で2時間攪
拌した。反応混合物を室温に冷却し、トルエンを減圧下で除去した。未精製生成物を、短
いシリカゲルプラグ(湿式充填、ヘキサン中20%ジクロロメタン)、続いてフラッシュ
カラムクロマトグラフィー(湿式充填、ヘキサン中3%ジエチルエーテル)で精製して、
黄色のオイル(4.45g、26.3%)として、化合物12を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)1.30-1.45(m,8
H)、1.65(quint.,2H)、1.85(quint.,2H)、3.40(
t,2H)、3.67(t,2H)、3.97(dd,1H)、4.16(dd,1H)
、6.46(dd,1H).
【0218】
J8-8VE
Cs2CO3(1.10g、3.36mmol)を含む化合物6(0.50g、0.6
7mmol)および化合物12(0.47g、2.02mmol)のブタノン(20mL
)溶液を脱気し、窒素下還流で20時間撹拌した。完了後、塩を濾過により除去し、濾液
を減圧下で蒸発乾固させた。次いで、未精製生成物をジクロロメタン(50mL)中に再
溶解し、そして水(2×50mL)で洗浄した。次いで、有機層を乾燥し(MgSO4)
、濾過し、減圧下で濃縮した。次いで、未精製生成物を、エタノール中で粉砕によって精
製し、DCM/エタノール層から再結晶化して、白色の固体(0.36g、51%)を得
た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)0.84(6H,t,J=7
.0Hz,CH3)、1.01-1.05(4H,m,CH2)、1.21-1.30(
20H,m,CH2)、1.40-1.52(20H,m,CH2)、1.65-1.7
0(4H,m,CH2)、1.80-1.87(4H,m,CH2)、3.70(4H,
t,J=6.5Hz,CH2)、3.99(2H,dd,J=6.8,1.8Hz,CH
=CH2)、4.03(4H,t,J=6.5Hz,CH2)、4.19(2H,dd,
J=14.3,1.8Hz,CH=CH2)、6.49(2H,dd,J=14.3,6
.8Hz,CH=CH2)、7.01(4H,br d,J=8.6Hz,Ar-H)、
7.59(4H,br d,J=8.7Hz,Ar-H)、7.66-7.68(4H,
m,Ar-H)、7.72-7.74(6H,m,Ar-H)、7.90(2H,d,J
=1.5Hz,Ar-H)、7.93(2H,d,J=8.1Hz,Ar-H)。13C
NMR(100MHz,CDCl3):δ(ppm)12.4(CH2)、14.1(
CH3)、22.6(CH2)、24.0(CH2)、26.0(x2)(CH2)、2
9.1(x2)(CH2)、29.2(CH2)、29.3(x3)(CH2)、31.
8(CH2)、33.4(CH2)、68.1(x2)(CH2)、86.2(CH2)
、114.8(CH)、121.3(CH)、127.0(CH)、127.3(CH)
、128.0(CH)、128.9(CH)、131.7(CH)、133.0(C)、
138.8(C)、139.4(C)、139.5(C)、139.7(C)、147.
2(C)、152.0(CH)、158.8(C)。MALDI-MS:1050.6(
M+)。元素分析:予想値C=82.23、H=9.01、測定値C=81.95、H=
8.96。
【0219】
スキーム3
第1に、ブタノン-DMF溶媒混合物中での8-ブロモ-1-オクタノール(11)と
ビス-フェノール(6)との間のウィリアムソン-エーテル反応により、化合物13を中
程度の収率で得た。混合溶媒系を、ブタノン単独の場合の溶解性問題のために利用した。
室温での同様の反応条件下での3回のシュテークリヒエステル化により、最終材料J8-
8MET、J8-8FUM、およびJ8-8MALを中程度の収率で得た。
【化53】
スキーム3。誘導体J8-8MET、J8-8FUM、およびJ8-8MALの合成。
【0220】
化合物13
K2CO3(1.67g、12.1mmol)を含む化合物6(1.80g、2.42
mmol)および1-ブロモ-8-オクタノール(11、1.27g、6.06mmol
)のブタノン(20mL)および乾燥DMF(20mL)溶液を、窒素下、90℃~10
0℃の間で、2日間撹拌した。完了後、塩を濾過により除去し、濾液を減圧下で濃縮した
。次いで、未精製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(湿式充填、シリカゲル
、ジクロロメタン中30%ジエチルエーテル~ジクロロメタン中20%エタノール)で精
製し、高真空下で2日間乾燥して、残留エタノールを除去して、白色の固体(2.06g
、85.1%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)0.83(6H,t,J=7
.0Hz,CH3)、1.00-1.04(4H,m,CH2)、1.20-1.61(
44H,m,CH2)、1.82(4H,quint.,CH2)、3.66(4H,t
,J=6.6Hz,CH2)、4.01(4H,t,J=6.4Hz,CH2)、6.9
9(4H,d,J=8.8Hz,Ar-H)、7.58(4H,d,J=8.8Hz,A
r-H)、7.64-7.72(10H,m,Ar-H)、7.87-7.89(4H,
m,Ar-H)。MALDI-MS:998.6(M+)。
【0221】
J8-8MET
DCC(0.52g、2.50mmol)を、化合物13(0.50g、0.50mm
ol)、メタクリル酸(0.22g、2.50mmol)、およびDMAP(61mg、
0.50mmol)の乾燥CH2Cl2(30mL)溶液に、窒素雰囲気下、室温で少し
ずつ添加した。反応混合物を20時間撹拌し、形成されたDCUを濾過し、CH2Cl2
を減圧下で除去した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(乾式充填、シリカゲ
ル、ヘキサン中80%ジクロロメタン)によって精製して、白色の固体(0.22g、3
8.6%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)0.83(6H,t,J=6
.8Hz,CH3)、0.90(6H,t,J=6.8Hz,CH3)、1.00-1.
04(4H,m,CH2)、1.20-1.51(40H,m,CH2)、1.70(4
H,quint.,CH2)、1.82(4H,quint.,CH2)、1.95-1
.96(6H,m,CH3)4.02(4H,t,J=6.4Hz,CH2)、4.16
(4H,t,J=6.8Hz,CH2)、5.55(2H,quint.,HCH=C)
、6.11(2H,sext.,J=0.8Hz,HCH=C)、7.00(4H,d,
J=8.8Hz,Ar-H)、7.58(4H,d,J=8.8Hz,Ar-H)、7.
65(4H,d,J=8.8Hz,Ar-H)、7.70-7.73(6H,m,Ar-
H)、7.89(2H,d,J=2.0Hz,Ar-H)、7.92(2H,d,J=8
.0Hz,Ar-H)。13C NMR(100MHz,CDCl3):δ(ppm)1
2.5(CH2)、14.2(CH3)、18.5(CH3)、22.8(CH2)、2
4.2(CH2)、26.1(CH2)、26.2(CH2)、28.8(CH2)、2
9.3(CH2)、29.4(x3)(CH2)、32.0(CH2)、33.6(CH
2)、64.9(CH2)、68.2(CH2)、115.0(CH)、121.4(C
H)、125.3(CH)、127.2(CH)、127.5(CH)、128.2(C
H)、129.0(CH)、131.9(CH)、133.2(CH)、136.7(C
)、139.0(C)、139.5(C)、139.7(C)、139.8(C)、14
7.4(C)、158.9(CO)、167.7(C=O)。MALDI-MS:113
4.6(M+)。元素分析:予想値C=80.38、H=8.7、測定値C=80.18
、H=8.53。
【0222】
J8-8FUM
DCC(0.52g、2.50mmol)を、化合物13(0.50g、0.50mm
ol)、モノ-メチルフマレート(0.33g、2.50mmol)、およびDMAP(
61mg、0.50mmol)の乾燥CH2Cl2(20mL)溶液に、窒素雰囲気下、
室温で少しずつ添加した。反応混合物を20時間撹拌し、形成されたDCUを濾過し、C
H2Cl2をロータリーエバポレーターを用いて除去した。得られた残渣をカラムクロマ
トグラフィー(乾式充填、シリカゲル、ヘキサン中20%酢酸エチル)で精製して、白色
の固体を得、これをDCM/エタノール層からの再結晶によってさらに精製して、白色の
結晶固体(0.10g、16.4%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)0.83(6H,t,J=7
.0Hz,CH3)、1.00-1.04(4H,m,CH2)、1.20-1.55(
40H,m,CH2)、1.70(4H,quint.,CH2)、1.82(4H,q
uint.,CH2)、3.81(6H,s,CH3)、4.02(4H,t,J=6.
6Hz,CH2)、4.21(4H,t,J=6.6Hz,CH2)、6.87(4H,
s,CH=CH)、7.00(4H,d,J=8.8Hz,Ar-H)、7.58(4H
,d,J=8.8Hz,Ar-H)、7.65(4H,d,J=8.4Hz,Ar-H)
、7.72(6H,d,J=8.0Hz,Ar-H)、7.89(2H,d,J=1.6
Hz,Ar-H)、7.92(2H,d,J=8.0Hz,Ar-H)。13C NMR
(100MHz,CDCl3):δ(ppm)12.5(CH2)、14.2(CH3)
、22.8(CH2)、24.1(CH2)、26.0(CH2)、26.1(CH2)
、28.6(CH2)、29.2(CH2)、29.3(CH2)、29.4(x2)(
CH2)、32.0(CH2)、33.6(CH2)、52.5(CH3)、65.6(
CH3)、68.2(CH2)、115.0(CH)、121.4(CH)、125.3
(CH)、127.2(CH)、127.5(CH)、128.2(CH)、129.0
(CH)、131.9(CH)、133.2(CH)、133.3(CH)、134.1
(CH)、139.0(CH)、139.5(C)、139.6(C)、139.8(C
)、147.3(C)、158.9(CO)、165.2(C=O)、165.6(C=
O)。MALDI-MS:1222.6(M+)。元素分析:予想値C=76.56、H
=8.07、測定値C=76.11、H=7.99。
【0223】
J8-8MAL
DCC(0.49g、2.35mmol)を、化合物13(0.47g、0.47mm
ol)、エチル水素マレエート(0.34g、2.35mmol)、およびDMAP(5
7mg、0.47mmol)の乾燥CH2Cl2(20mL)溶液に、窒素雰囲気下、室
温で少しずつ添加した。反応混合物を20時間撹拌し、形成されたDCUを濾過し、CH
2Cl2を減圧下で除去した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(乾式充填、
シリカゲル、ヘキサン中20%酢酸エチル)によって精製して、白色の固体(0.20g
、33.9%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)0.84(6H,t,J=7
.0Hz,CH3)、1.00-1.04(4H,m,CH2)、1.20-1.51(
46H,m,CH2)、1.70(4H,quint.,CH2)、1.82(4H,q
uint.,CH2)、4.01(4H,t,J=6.6Hz,CH2)、4.20(4
H,t,J=6.8Hz,CH2)、4.26(4H,q,J=7.2Hz,CH2)、
6.24(4H,s,CH=CH)、6.99(4H,d,J=8.8Hz,Ar-H)
、7.58(4H,d,J=8.8Hz,Ar-H)、7.65(4H,d,J=8.4
Hz,Ar-H)、7.72(6H,d,J=8.4Hz,Ar-H)、7.89-7.
92(4H,m,Ar-H)。13C NMR(100MHz,CDCl3):δ(pp
m)12.5(CH2)、14.2(x2)(CH3)、22.8(CH2)、24.1
(CH2)、26.0(CH2)、26.1(CH2)、28.6(CH2)、29.2
(CH2)、29.3(CH2)、29.4(x2)(CH2)、32.0(CH2)、
33.6(CH2)、61.4(CH2)、65.6(CH3)、68.2(CH2)、
115.0(CH)、121.4(CH)、125.3(CH)、127.2(CH)、
127.5(CH)、128.1(CH)、129.0(CH)、129.9(CH)、
130.0(CH)、131.9(CH)、133.2(CH)、139.0(CH)、
139.5(C)、139.6(C)、139.8(C)、147.3(C)、158.
9(CO)、165.4(C=O)、165.5(C=O)。MALDI-MS:125
1.7(M+)。元素分析:予想値C=76.76、H=8.21、測定値C=76.4
8、H=8.16。
【0224】
スキーム4
ジオキサン/H
2O(2:1)中の触媒Pd(PPh
3)
4を用いたボロン酸エステル
(5)と商業的に外部委託された材料4-(7-ブロモベンゾ[c][1,2,5]チア
ジアゾール-4-イル)フェノール(化合物14)との間のスズキカップリング反応によ
り、良好な収率(%)でビス-フェノール(15)を得た。マレイミドK8-8MIを、
スキーム2のJ8-8MIについて概説されたのと同様の条件下で良好な収率(%)で合
成した。炭酸カリウムおよびブタノンを用いた還流下での化合物(15)と1-ブロモオ
クタンとの標準的なウィリアムソン-エーテル反応により、優れた収率(%)で最終生成
物K8-8を得た。
【化54】
スキーム4。5,5-ジオクチル-5H-ジベンゾ[b,d]シロール-3,7-ベンゾ
[C]-1,2,5-チアジアゾール誘導体K8-8およびK8-8MIの合成。
【0225】
化合物15
化合物14(0.51g、1.67mmol)、5,5-ジオクチル-3,7-ビス(
4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-5H-ジ
ベンゾ[b,d]シロール(化合物5、0.50g、0.76mmol)、K2CO3(
0.52g、3.80mmol)、ジオキサン(20mL)、および水(10mL)をす
べて三口丸底フラスコに添加した。系を不活性ガスとして窒素を使用して、2回の凍結-
ポンプ-解凍サイクルを用いて脱気した。続いて、Pd(PPh3)4(44mg、0.
04mmol)を添加し、反応混合物を、1回の凍結-ポンプ-解凍サイクルによって再
度脱気し、90℃~100℃に一晩(16h)加熱した。次いで、反応混合物を10%H
Cl(200mL)で酸性化し、次いで分液漏斗に注ぎ、水層をジエチルエーテル(3×
100mL)で抽出し、混合有機物を水(300mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)
、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、未精製生成物をカラムクロマトグラフィー(乾式充
填、シリカゲル、ヘキサン中30%酢酸エチル)で精製して、黄色の粉体(0.33g、
50.8%)を得た。
1H NMR(400MHz,(CD3)2SO):δ(ppm)0.70(6H,t,
J=6.6Hz,CH3)、1.05-1.30(24H,m,CH2)、1.43(4
H,quint.,CH2)、6.96(4H,d,J=8.8Hz,Ar-H)、7.
88-7.92(6H,m,Ar-H)、8.00(2H,d,J=7.6Hz,Ar-
H)、8.17(4H,s,Ar-H)、8.35(2H,s,Ar-H)、9.77(
2H,s,O-H)。MALDI-MS:858.3(M+)。
【0226】
K8-8
K2CO3(80mg、0.58mmol)を含む化合物15(0.10g、0.12
mmol)および1-ブロモオクタン(0.11g、0.58mmol)のブタノン(1
0mL)溶液を窒素下還流で18時間撹拌した。完了後、塩を濾過により除去し、濾液を
減圧下で濃縮した。次いで、未精製生成物を、カラムクロマトグラフィー(湿式充填、シ
リカゲル、1:1 DCM/ヘキサン)によって精製して、黄色の粉体(0.10g、7
6.9%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)0.82(6H,t,J=6
.8Hz,CH3)、0.91(6H,t,J=6.8Hz,CH3)、1.05-1.
09(4H,m,CH2)、1.21-1.54(44H,m,CH2)、1.85(4
H,quint.,CH2)、4.06(4H,t,J=6.4Hz,CH2)、7.0
9(4H,d,J=8.8Hz,Ar-H)、7.76(2H,d,J=7.2Hz,A
r-H)、7.85(2H,d,J=7.6Hz,Ar-H)、7.95(4H,d,J
=8.8Hz,Ar-H)、8.05(2H,d,J=8.0Hz,Ar-H)、8.1
3(2H,dd,J=8.0,1.6Hz,Ar-H)、8.22(2H,d,J=1.
6Hz,Ar-H)。13C NMR(100MHz,CDCl3):δ(ppm)12
.5(CH2)、14.2(CH3)、14.3(CH3)、22.8(x2)(CH2
)、24.2(CH2)、26.2(CH2)、29.3(CH2)、29.4(x3)
(CH2)、29.5(CH2)、32.0(x2)(CH2)、33.6(CH2)、
68.3(CH2)、114.8(CH)、121.3(CH)、127.4(CH)、
128.0(CH)、129.9(C)、130.5(CH)、131.4(CH)、1
32.9(C)、133.0(C)、134.1(C)、136.5(C)、138.9
(C)、148.1(C)、154.4(C)、159.6(C)。MALDI-MS:
1082.5(M+)。元素分析:予想値C=75.37、H=8.00、N=5.17
、測定値C=75.35、H=7.95、N=4.99。
【0227】
K8-8MI
化合物15(0.40g、0.47mmol)、化合物10(0.50g、1.40m
mol)、およびK2CO3(0.32g、2.33mmol)の混合物を、乾燥DMF
(30mL)中に懸濁した。反応混合物を55℃に加熱し、窒素下で20時間撹拌した。
完了後、反応混合物を室温に冷却し、塩を濾過により除去した。濾液を減圧下で蒸発させ
、残渣をジクロロメタン(100mL)中に再溶解し、水(2×100mL)で洗浄した
。有機層を乾燥し(MgSO4)、濾過し、減圧下で蒸発乾固させた。次いで、未精製生
成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中50%酢酸エチル~100%酢
酸エチル)で精製して、明るい黄色の固体(0.38g、57%)として保護マレイミド
を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)0.81(6H,t,J=6
.7Hz,CH3)、1.05-1.09(4H,m,CH2)、1.21-1.62(
44H,m,CH2)、1.80-1.87(4H,m,CH2)、2.84(4H,s
,CH)、3.49(4H,t,J=7.3Hz,CH2)、4.06(4H,t,J=
6.5Hz,CH2)、5.28(4H,s,CH)、6.52(4H,s,CH=CH
)、7.08-7.10(4H,m,Ar-H)、7.78(2H,d,J=7.3Hz
,Ar-H)、7.86(2H,d,J=7.3Hz,Ar-H)、7.94-7.96
(4H,m,Ar-H)、8.07(2H,d,J=8.2Hz,Ar-H)、8.15
(2H,dd,J=8.2Hz,Ar-H)、8.21(2H,d,J=1.6Hz,A
r-H)。
【0228】
保護マレイミド(0.27g、0.19mmol)を、トルエン(10mL)中で16
時間加熱還流して、フランを完全に除去した。トルエンを減圧下で除去し、未精製生成物
をフラッシュクロマトグラフィー(100%ジクロロメタン~ジクロロメタン中4%酢酸
エチル)で精製して、明るい黄色のワックス状固体として化合物23を得た。これをエタ
ノールを用いた粉砕によってさらに精製して、明るい黄色の固体(0.15g、62%)
として生成物を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)0.82(6H,t,J=6
.7Hz,CH3)、1.06-1.10(4H,m,CH2)、1.21-1.54(
40H,m,CH2)、1.58-1.65(4H,m,CH2)、1.81-1.88
(4H,m,CH2)、3.54(4H,t,J=7.3Hz,CH2)、4.06(4
H,t,J=6.5Hz,CH2)、6.07(4H,s,CH=CH)、7.08-7
.11(4H,t,Ar-H)、7.78(2H,d,J=7.5Hz,Ar-H)、7
.87(2H,d,J=7.5Hz,Ar-H)、7.94-7.97(4H,m,Ar
-H)、8.07(2H,d,J=8.1Hz,Ar-H)、8.15(2H,dd,J
=8.1,1.8Hz,Ar-H)、8.21(2H,d,J=1.8Hz,Ar-H)
。13C NMR(100MHz,CDCl3):δ(ppm)12.4(CH2)、1
4.1(CH3)、22.6(CH2)、24.1(CH2)、26.0(CH2)、2
6.7(CH2)、28.5(CH2)、29.0(CH2)、29.2(4x)(CH
2)、31.9(CH2)、33.5(CH2)、37.9(CH2)、68.1(CH
2)、114.7(CH)、121.2(CH)、127.3(CH)、127.9(C
H)、129.8(C)、130.4(CH)、131.3(CH)、132.8(C)
、132.9(C)、134.0(3x)(CH,C)、136.4(C)、138.8
(C)、148.0(C)、154.3(C)、159.4(C)、170.9(C=O
)。MALDI-MS:1272.5(M+)。元素分析:予想値C=71.66、H=
6.96、N=6.60、測定値C=71.60、H=6.95、N=6.62。
【0229】
スキーム5
トルエン/H
2O(2:1)中の触媒Pd(PPh
3)
4を用いたボロン酸エステル(
5)と商業的に外部委託された材料4-ブロモ-2,3,5,6-テトラメチル-4’-
(オクチルオキシ)-1,1’-ビフェニル(化合物16)との間の90℃でのスズキカ
ップリング反応により、良好な収率(%)で最終生成物L8-8を得た。
【化55】
スキーム5。化合物L8-8の合成。
【0230】
L8-8
4-ブロモ-2,3,5,6-テトラメチル-4’-(オクチルオキシ)-1,1’-
ビフェニル(化合物16、0.70g、1.67mmol)、5,5-ジオクチル-3,
7-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)
-5H-ジベンゾ[b,d]シロール(化合物5、0.50g、0.76mmol)、K
2CO3(0.52g、3.80mmol)、トルエン(20mL)、および水(10m
L)をすべて三口丸底フラスコに添加した。系を不活性ガスとして窒素を使用して、2回
の凍結-ポンプ-解凍サイクルを用いて脱気した。続いて、Pd(PPh3)4(88m
g、0.08mmol)を添加し、反応混合物を、1回の凍結-ポンプ-解凍サイクルに
よって再度脱気した。反応混合物を窒素下で90℃で24時間加熱し、分液漏斗に注ぎ、
そこにさらに水(50ml)およびトルエン(50ml)の両方を添加し、水層をトルエ
ン(20ml)で洗浄し、混合有機層を水(50ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)
、濾過した。未精製生成物をカラムクロマトグラフィー(湿式充填、シリカゲル、ヘキサ
ン中20%ジクロロメタン)で精製して、白色の粉体を得、これをDCM/エタノール層
からの再結晶によってさらに精製した(0.56g、68.3%)。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)0.84(6H,t,J=7
.0Hz,CH3)、0.91(6H,t,J=6.8Hz,CH3)、0.94-0.
98(4H,m,CH2)、1.17-1.55(50H,m,CH2)、1.84(4
H,quint.,CH2)、2.00(12H,s,Ar-CH3)、2.03(12
H,s,Ar-CH3)、4.03(4H,t,J=6.6Hz,CH2)、6.98(
4H,d,J=8.8Hz,Ar-H)、7.08-7.13(4H,m,Ar-H)、
7.28(2H,dd,J=8.0,1.6Hz,Ar-H)、7.46(2H,s,J
=1.6Hz,Ar-H)、7.94(2H,d,J=8.0Hz,Ar-H)。13C
NMR(100MHz,CDCl3):δ(ppm)12.5(CH2)、14.2(
CH3)、14.3(CH3)、22.8(x2)(CH2)、24.2(CH2)、2
6.3(CH2)、29.2(CH2)、29.3(CH2)、29.4(CH2)、2
9.6(CH3)、32.0(CH2)、33.4(CH3)、33.5(CH2)、6
8.1(CH2)、114.4(CH)、120.7(CH)、130.6(CH)、1
31.3(CH)、132.0(CH)、132.5(CH)、134.7(C)、13
4.9(C)、138.1(C)、141.0(C)、141.4(C)、141.5(
C)、146.6(C)、157.8(CO)。MALDI-MS:1078.8(M+
)。元素分析:予想値C=84.54、H=9.90、測定値C=84.57、H=9.
85。
【0231】
光学特性
OLED装置に使用される発光材料は、電磁スペクトルの可視領域で電界発光(EL)
を示す。赤、緑、および青(RGB)のEL色は、フルカラーOLEDディスプレイ(す
なわち携帯電話)および照明(すなわち固体白色光)の実現に基本的に重要である。EL
における励起子は、電界を印加した後の電荷注入によって生成されるが、励起子が、例え
ばUV光を用いる光励起によって生成される同様のプロセスは、光発光(PL)と称され
る。過半の発光性有機半導体材料について、ELおよびPLスペクトルは同一である。材
料の物理的特性を評価するために、吸収特性と蛍光特性の両方を調査した。したがって、
溶液中および薄膜中の化合物のUV/Vis吸収およびPLスペクトルを記録した(
図5
a、5b、および6a、6b)。固体状態での高いPL量子収量(PLQY)が望まれ、
希薄溶液状態および固体状態での材料PLQYの比較は、希薄溶液状態の単離された分子
と比較して、薄膜中の分子凝集に関する貴重な情報を与えることができる。残念ながら、
材料のPLQY測定値は、このワークパッケージの範囲を超えていた。試料を以下のよう
に調製した。
(a)溶液状態:UV/Vis吸収およびPLスペクトル用のサンプルを、分析試薬グ
レードのトルエンに、UV/Vis吸収スペクトルに対しては1×10
-5M、PLスペ
クトルに対しては1×10
-6Mの濃度で溶解することによって調製した。UV/Vis
吸収スペクトルを、Unicam UV/Vis分光計を用いて記録し、PLスペクトル
を、Jobin Yvon-spex Fluorologを用いて測定した。別段記載
がない限り、PLスペクトルに使用される励起波長は350nmであった。
(b)薄膜:UV/Vis吸収およびPLスペクトル用のサンプルを、20mg/mL
の試料投入でトルエン溶液(分析試薬グレード)からスピンコーティングすることによっ
て調製した。試料を石英ディスク(φ=11mm)上に2500rpmの速度で60秒間
スピンコーティングした。UV/Vis吸収スペクトルを、Cary 5000 UV/
Vis/NIR分光計を用いて記録し、PLスペクトルを、Jobin Yvon-sp
ex Fluorologを用いて記録した。別段記載がない限り、PLスペクトルに使
用される励起波長は350nmであった。
【表1】
【0232】
全10種の化合物の溶液および薄膜についての吸収および光発光データを表1に要約す
る。
【0233】
青色発光性化合物に関して、J8-8は、408nmに等しいPLmax(膜)を示し
、これはn-アルキルフルオレン系類似化合物の409nmと比較される。緑色発光性化
合物に関して、K8-8は、556nmのPLmax(膜)を示し、これはn-アルキル
フルオレン系類似化合物の552nmと比較される。したがって、ジベンゾ[b,d]シ
ロール系材料、J8-8、およびK8-8の発光特性は、それらのn-アルキルフルオレ
ン対応物材料と比較して著しく類似しており、これは、フルオレンの9-位の炭素原子を
ケイ素原子に置換することが、発光特性にほとんど影響を及ぼさないことを示唆する。
【0234】
液晶特性
屈折率の異方性(または複屈折)は、液晶材料の際立って特徴的な物理的特性のうちの
1つである。これらの特性はまた、巨視的な分子配向の可視化も可能にする。液晶試料を
、光学顕微鏡下で2枚の交差偏光子の間に、カバースリップを上にしてガラススライド上
に配置した場合、様々なテクスチャーと複屈折色が観察され得る。これらのテクスチャー
および色は、液晶相の巨視的構造に関する情報を提供する。中間相特性評価を、偏光光学
顕微鏡(POM)および示差走査熱量測定(DSC)の両方によって実行した。最初の例
において、相転移の初期のおおよその温度値を得るためにPOMを実行し、顕微鏡下でテ
クスチャーを調べることによって中間相の型の同定を決定した。これらの初期調査の後、
温度値と中間相の指定は、より正確な値が得られるDSC分析によってさらに確認された
。POMおよびDSC分析から、以下の特性が確立されると予想された:(1)融点決定
(結晶から等方性液晶への転移、または結晶から液晶への転移のいずれか)、(2)透明
点決定(液晶から等方性液晶への転移)、(3)液晶安定性を決定するための(融点から
透明点までの)液晶転移温度範囲の大きさ、(4)中間相型の同定(ネマチック相または
スメクチック相のいずれか)、(5)結晶化傾向(および過冷却)、(6)ガラス転移温
度(Tg)値、および(7)熱安定性(熱分解および熱重合傾向)。略語:Cr=結晶、
N=ネマチック、I=等方性、Cr-N=ネマチック液晶状態への後続の相変化を伴う、
融点転移を示す相転移、Cr-I=等方性液体状態への後続の相変化を伴う、融点転移を
示す相転移、N-I=ネマチック液晶状態から等方性液体状態への相変化を示す相転移。
DSCサーモグラムを使用して、関連温度における重要な相転移を示すことができる。
【0235】
【0236】
表2、3、および4から見られるように、本発明者らは、有利なことに、Si含有分子
の液晶相の温度範囲が、フルオレン系材料などの従来の材料の温度範囲よりも広いことを
見出した。
【0237】
表3 構造
【化57】
【表3】
表4 構造
【化58】
【表4】
【0238】
DSC分析の結果から、以下のことを結論付けることができる:(1)K8-8MIお
よびL8-8は液晶ではなく、溶融後に等方性液体を形成するのみであり、(2)K8-
8MIおよびL8-8を除くすべての材料は、ネマチック液晶相を示し、(3)ジベンゾ
[d,b]シロール系材料は、n-アルキルフルオレン類似体よりもわずかに高い融点を
示し、(4)ジベンゾ[d,b]シロール系材料は、n-アルキルフルオレン類似体より
広い結晶転移温度範囲(ΔN-1)を示し、(5)側鎖アルキル鎖が、C8H17(オク
チル)からC6H13(ヘキシル)に変更される場合、ジベンゾ[d,b]シロール系材
料は、類似した標準フルオレン系材料と比較してより安定な31℃の液晶互変的ネマチッ
ク相範囲を示し、(6)ジベンゾ[d,b]シロール-ベンゾチアジアゾール材料は、標
準的なn-アルキルフルオレンによって示される単変的ネマチック相と比較して、より安
定な液晶互変的ネマチック相を示し、(7)n-アルキルフルオレン誘導体の過冷却は、
シラフルオレン類似物質よりも大きい、すなわち後者は結晶化する傾向が大きいことを示
す。これは材料の精製には有益であり得るが、装置製造中(前UV硬化)の結晶化は有害
であり得るので、OLED装置用途にとってはあまり望ましくない。しかしながら、架橋
系が材料の混合物であるという事実のために、結晶化は、単分子系と比較してより抑制さ
れるべきである。その上、光架橋およびポリマー架橋ネットワークの形成後、これらの型
の硬質ポリマーネットワークにおける結晶化は非常にありそうもないので、これらの問題
は、ある程度無視することができる。有利なことに、二量体材料、Dが--A-S2-B
1であるものは、この問題を解決し、化合物の分子量の増加による粘度の増加を起因とす
る結晶化を抑制することができる。POMまたはDSC測定によって化合物J8-8ME
Tについて透明点は検出されず、溶融後にJ8-8METは熱重合を受ける。この熱的不
安定性は、光架橋性材料の開発には魅力的ではないが、J8-8METは、熱架橋性青色
発光性材料の優れた候補となり得る。
【0239】
光架橋測定
OLED装置の正孔輸送層および/または発光性層として使用される溶液処理可能な光
架橋性活性材料は、それらの多層能力および光パターン形成性のために魅力的であり、そ
れはより高い効率および解像度の溶液処理装置を与えることができる。堅牢で、不溶性で
、不浸透性の架橋膜の形成によって、既に堆積された層を乱すことなく追加の層を溶液か
ら上部に堆積させることができる。光架橋性材料は、フォトパターニングが高解像度の画
素密度を達成することを可能にする。我々の目的は、最適な架橋条件が特定され、類似の
アルキルフルオレン誘導体と比較されることになる、新規ジベンゾ[d,b]シロール材
料に基づく青色発光性および緑色発光性膜のための開始剤フリーの光架橋プロトコルを開
発することであった。光架橋系は、電子豊富(供与体)-電子不足(受容体)型の架橋技
術に基づいていた。光架橋実験を、小さな範囲にわたって高強度の光を提供する市販のU
V硬化LEDスポットランプ系(385nm、0.5J/cm2)を用いて、不活性雰囲
気下で実行した。
【0240】
後続の実験において使用されるすべての膜を、以下のプロトコルの変形を用いて調製し
た:材料を、青色発光性材料系については1:1(電子豊富/電子不足)の重量比、緑色
発光性材料系については5:4:1(青色電子豊富/青色電子不足/緑色電子不足)の重
量比で、トルエン中20mg/mLの濃度で溶解した溶液処理技術を用いて、薄膜を調製
した。緑色発光性材料系は、ホストからドーパントへのエネルギー移動(FRET)を有
効にするために、10重量%の緑色ドーパントを含有し、続いて緑色可視光を発光する。
薄い発光性膜を、円形の石英基板(φ=11mm)上に材料の希薄溶液を2500rpm
で60秒間スピンキャスティングすることによって調製した。
【0241】
青色発光系の架橋感度研究のために、我々は、供与体J8-8VE、ならびに
図5に示
されている4種の受容体材料J8-8MET、J8-8FUM、J8-8MAL、および
J8-8MIを含有する2種の架橋性混合物(1:1重量比)を使用した。
【表5】
【0242】
以下の実験を、前述のように調製された混合物の薄膜に対して行った。光架橋を、不活
性雰囲気下で行った。架橋性混合物の11個の同一膜を、スピンコーティングにより石英
基板上に調製し、各試料についてUV/Vis吸収スペクトルを得た。次いで、試料を、
500mJ/cm
2の露光量定格で、異なる露光量の385nmのUV光(0秒、1秒、
2.5秒、5秒、7.5秒、10秒、15秒、20秒、30秒、40秒および50秒)に
露光した。露光後、UV/Vis吸収スペクトルを再度記録して、膜のUV光への露光に
起因する光劣化が起こらなかったことを確認した。次いで、11個の試料を、ジクロロメ
タン(すべての未架橋材料が容易に溶解する溶媒)ですすいで、未架橋材料を除去し、U
V/Vis吸収スペクトルを最後に測定して、すすぎ後に残っている材料の量を決定した
。このプロセスを、4種のすべての架橋性供与体-受容体混合物について繰り返した。供
与体-受容体架橋性混合物についての感度プロットを示すグラフを、
図5に示す。2つの
混合物は、供与体対受容体材料1:1の重量比で構成されており(表5参照)、受容体構
成要素は様々であり(J8-8METおよびJ8-8FUM)、ビニルエーテル系材料J
8-8VEは一定に保たれ、両方の混合物において供与体材料として使用された。
【0243】
発光性特性と安定性に及ぼす架橋性基の影響
OLED装置について、最適な光架橋系は理想的には発光性特性および安定性にほとん
ど影響を及ぼさないであろう。これにより、我々は、架橋性基およびUV硬化の効果は、
材料のCIE座標にほとんどまたは全く変化がなく、装置稼働中の材料の安定性にほとん
ど影響がないことを意味する。安定性に対する架橋性基の効果をよりよく調査するために
、我々は、非架橋性類似体(化合物J8-8およびK8-8)を合成した。
【0244】
CIE(x、y)座標
非架橋性材料に関して、CIE(x、y)座標を、トルエン中の溶液(濃度=20mg
/mL)からスピンコーティングされた材料の薄膜のPLスペクトルから計算した。架橋
性バージョンについて、溶液を、前述のように調製し、膜を石英基板上へのスピンコーテ
ィングによって形成した。次いで、膜を、不活性雰囲気下で十分な量のUV光線量に露光
して、材料を完全に架橋し(25J/cm
2)、次いでジクロロメタンですすいだ。次い
で、すすいだ膜のPLスペクトルを記録した。
【表6】
【0245】
表6は、ビフェニル-ジベンゾ[d,b]シロール材料のCIE(x、y)座標を示す
。
【0246】
CIE(x、y)座標プロットから、架橋性基が材料の発光特性に影響を及ぼすことは
明らかである。このシフトは、マレイミドとビニルエーテルとの架橋混合物(J8-8V
E/J8-8MI)の使用で最も明白であり、マレイミド含有材料によって示されるPE
Tクエンチングのために予想外のことではない。青色材料について架橋速度と架橋後のC
IE(x、y)座標との間の最良のバランスを与える架橋可能な系は、マレエートとビニ
ルエーテルとの混合物(J8-8VE/J8-8MAL)である、なぜならそれは、15
J/cm2のエネルギーで光架橋可能であり、x=0.16およびy=0.09の優れた
後架橋CIE(x、y)座標を有するためである。
【0247】
n-アルキルフルオレン対応物は、架橋性基のために発光において同様の相違を示す。
ジベンゾ[d,b]シロールマレイミド混合物と同様に、PETの効果は架橋材料の発光
特性に影響を及ぼし、0.19および0.22のCIE(x、y)座標をもたらす(表7
)。興味深いことに、他の架橋性基の効果は、2つのバージョン間で異なる。ジベンゾ[
d,b]シロール系材料は、メタクリレート、マレエート、およびフマレート架橋性基の
間に顕著な相違を示すが、n-アルキルフルオレン類似体では、発光座標はx=0.16
およびy=0.13付近の群である。
【表7】
【0248】
表7は、ビフェニルn-アルキルフルオレン材料のCIE(x、y)座標を示す。
【0249】
青色材料の最適なCIE(x、y)座標は、x=0.15、y=0.06であり、これ
は非架橋性ジベンゾ[d,b]シロール材料J8-8ついて計算された座標、x=0.1
6、y=0.06に非常に近い(表6)。
図18および
図20から、n-アルキルフルオ
レンバージョンと比較した場合、ジベンゾ[d,b]シロール材料についてはより小さな
CIE(x、y)座標のシフトが観察されることも明らかである。これらの結論は、これ
らの材料のPLスペクトルのCIEプロットから導き出されたものであり、結果は、それ
らの電界発光(EL)スペクトルとは異なり得ることに留意すべきである。また、これら
の材料をOLED装置に使用する場合、この章で説明されたもののようなニート膜に使用
することはほとんどないことは注目に値する。緑色発光性ゲスト-ホスト薄膜に使用され
る我々の上記の系と同様に、それらがホスト材料と共に使用される可能性がはるかに高い
でだろう。これは、架橋速度、CIE(x、y)座標、および材料の安定性を変える可能
性があるので、したがってこれはさらに調査されるべきである。
【0250】
光学的特性、光架橋研究、液晶作用、および電気化学が調査されてきた。上記に提示さ
れたデータは、低線量でかつ光劣化なしに、青色および緑色の両方の発光性薄膜の不活性
条件下での光架橋を実証する。フルオロアルキルフルオレン系材料と比較して、化学合成
が容易で低コストであることは、いずれも注目に値する。この新しい種類の発光性材料は
、n-アルキルフルオレン類似材料と比較してより広い液晶転移温度範囲を有するネマチ
ック液晶相を示す。これらの材料の混合物は、類似のn-アルキルフルオレン材料と比較
して、それらの薄膜において改善された光架橋効率を示す。架橋および非架橋性青色材料
のCIE(x、y)座標もまた改善を示す。さらに、ジベンゾ[d,b]シロール系材料
は、n-アルキルフルオレン系材料と比較してほぼ同一のHOMOレベルを示し、これは
添加されたケイ素原子の存在が、材料の酸化特性に対してほとんど影響を及ぼさないこと
を示唆する。予期されたように、ジベンゾ[d,b]シロール系青色材料(J8-8)の
電子親和力は、そのn-アルキルフルオレン対応物と比較してわずかに高められ、これは
ジベンゾ[d,b]シロール系材料のLUMOレベルをわずかに深めている。