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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】一字軸式ボールヒンジ伝動軸
(51)【国際特許分類】
   F16C 11/06 20060101AFI20230804BHJP
   F16D 3/16 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
F16C11/06 N
F16D3/16 J
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023502729
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 CN2021109954
(87)【国際公開番号】W WO2022037399
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】202021793026.3
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521047144
【氏名又は名称】青島極致創新科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO ACME INNOVATION TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】朱 徳▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】栄 暁▲ユー▼
(72)【発明者】
【氏名】曹 栄仁
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107605980(CN,A)
【文献】国際公開第2016/198824(WO,A1)
【文献】特開昭57-086616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/00-11/12
F16D 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケット(W)と、ボール(Q)と、一字軸(S)と、を含み、ボール外球面(Q-2)がソケット(W)の位置決め内球面(W-1)内に位置決めされ、摺動嵌合が形成され、ボール(Q)に伝動孔(Q-1)が設けられ、一字軸(S)はボール(Q)の伝動孔(Q-1)を挿通して軸受け(Z)を介してソケット(W)の軸受け孔(W-2)内にヒンジ連結される一字軸式ボールヒンジ伝動軸であって、
一字軸(S)には一字軸(S)の軸線を旋回中心とする旋回体である転動体(M)がさらに同軸設置され、転動体(M)の外部が軸受け(Z)に接し、
ボール(Q)の伝動孔(Q-1)の両端に転動体(M)の外形に適合する曲面である開口部面(Q-4)がさらに設けられ、転動体(M)はボール(Q)の伝動孔(Q-1)の両端の開口部面(Q-4)内に嵌合して組み立てられ、ボール(Q)はソケット(W)の位置決め内球面(W-1)、一字軸(S)及び転動体(M)の全てにより拘束されることを特徴とする一字軸式ボールヒンジ伝動軸。
【請求項2】
転動体(M)の開口部面(Q-4)と嵌合する外面は円錐面であり、該円錐面と開口部面(Q-4)との接触母線(M-1)は直線であることを特徴とする請求項1に記載の一字軸式ボールヒンジ伝動軸。
【請求項3】
前記接触母線(M-1)の延長線はソケット(W)の内球面の球心を通ることを特徴とする請求項2に記載の一字軸式ボールヒンジ伝動軸。
【請求項4】
転動体(M)の開口部面(Q-4)と嵌合する外面は旋回曲面であり、該旋回曲面と開口部面(Q-4)との接触母線(M-1)は曲線であることを特徴とする請求項1に記載の一字軸式ボールヒンジ伝動軸。
【請求項5】
前記接触母線(M-1)は円弧線、双曲線又はインボリュートであることを特徴とする請求項4に記載の一字軸式ボールヒンジ伝動軸。
【請求項6】
前記軸受け(Z)は円錐ころ軸受けであることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の一字軸式ボールヒンジ伝動軸。
【請求項7】
前記軸受け(Z)は円錐ころ軸受け(Z)であり、転動体(M)と軸受け(Z)のインナーレースとは一体式構造とされることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の一字軸式ボールヒンジ伝動軸。
【請求項8】
ソケット(W)は一体式又は別体式構造であることを特徴とする請求項1に記載の一字軸式ボールヒンジ伝動軸。
【請求項9】
2組のボール(Q)とソケット(W)とが摺動嵌合してペアとして使用され、2つのソケット(W)はそれぞれ伝動軸(C)アセンブリの両端に設けられ、伝動軸(C)はスプライン軸とスプラインスリーブを含み、スプライン軸とスプラインスリーブが嵌合することにより、伝動軸が伸縮されることを特徴とする請求項1に記載の一字軸式ボールヒンジ伝動軸。
【請求項10】
2つのソケット(W)は対向するように対称的に接続され、一体化して使用されることを特徴とする請求項1に記載の一字軸式ボールヒンジ伝動軸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機械設備の分野に関し、具体的には、一字軸式ボールヒンジ伝動軸に関する。
【背景技術】
【0002】
本願は中国特許技術CN201710956327.X(出願日:2017年10月16日、公開番号:CN107605980A)及びCN201721322884.8(出願日:2017年10月16日、公開番号:CN207333486U)に基づいて最適化、改良したものである。上記の特許技術では、伝動過程において、一字軸と伝動孔との間に大きな接触応力が存在し、接触応力の分布が合理的ではなく、主に伝動孔の開口部の位置に集中し、その結果、伝動孔の開口部の摩損が速く、製品の耐用年数が短縮され、また、円柱状の一字軸が伝動孔の表面上を転動すると同時に、その接触母線と伝動孔との接触面との間に大きな相対摺動が存在し、これにより、接触面の摩損が促進され、製品の寿命延長に不利である。本願は上記の欠点を解決して、製品の寿命を延ばすことを目的とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の主な目的は、一字軸と伝動孔との間に大きな接触応力が存在し、接触応力の分布が合理的ではなく、その結果、伝動孔の開口部の摩損が速く、製品の耐用年数が短縮されるという従来技術の問題を解決する一字軸式ボールヒンジ伝動軸を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決手段を採用する。
【0005】
ソケットと、ボールと、一字軸と、を含み、ボール外球面がソケットの位置決め内球面内に位置決めされ、摺動嵌合が形成され、ボールに伝動孔が設けられ、一字軸はボールの伝動孔を挿通して軸受けを介してソケットの軸受け孔内にヒンジ連結される一字軸式ボールヒンジ伝動軸であって、一字軸には一字軸の軸線を旋回中心とする旋回体である転動体がさらに同軸設置され、転動体の外部が軸受けに接し、ボールの伝動孔の両端に転動体の外形に適合する曲面である開口部面がさらに設けられ、転動体はボールの伝動孔の両端の開口部面内に嵌合して組み立てられ、ボールはソケットの位置決め内球面、一字軸及び転動体の全てにより拘束され、ボールのボールレバーがソケットの位置決め内球面の球心を中心にして揺動するときに、転動体は一字軸の軸線を中心にして回動しながら、伝動孔の開口部面の表面上を転動し、これにより、ボールレバーの軸線とソケットの軸線とが所定の夾角をなした状態で両方間の動力及び回転数が伝達される。
【0006】
さらに、転動体は開口部面と嵌合する外面が円錐面であり、該円錐面の開口部面との接触母線は直線である。
【0007】
さらに、前記接触母線の延長線はソケットの内球面の球心を通る。
【0008】
さらに、転動体は開口部面と嵌合する外面が旋回曲面であり、該旋回曲面の開口部面との接触母線は曲線である。
【0009】
さらに、前記接触母線は円弧線、双曲線又はインボリュートである。
【0010】
さらに、前記軸受けは円錐ころ軸受けである。
【0011】
さらに、前記軸受けは円錐ころ軸受けであり、転動体と軸受けのインナーレースとは一体式構造である。
【0012】
さらに、ソケットは一体式又は別体式構造である。
【0013】
さらに、2組のボールとソケットとは摺動嵌合してペアとして使用され、2つのソケットはそれぞれ伝動軸アセンブリの両端に設けられ、伝動軸はスプライン軸とスプラインスリーブを含み、スプライン軸とスプラインスリーブが嵌合することにより、伝動軸が伸縮される。
【0014】
さらに、2つのソケットは対向するように対称的に接続され、一体化して使用される。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以下の有益な効果を有する。
(1)転動体と伝動孔の開口部面が設けられることにより、伝動孔の受力の状況が改善され、応力集中が低減され、製品の寿命が長くなる。
(2)転動体は伝動孔の開口部面と嵌合する外面が円錐面又は旋回曲面であり、これにより、伝動時の接触受力面積が増大し、伝動時の接触応力が低下する。
(3)一字軸伝動を行うときに転動体と伝動孔の開口との接触面との間の相対摺動が低減又は解消され、滑り摩擦損失が減少し、接触面での滑り摩損が低減する。
(4)メンテナンスが容易であり、転動体の摩損が発生した場合に一字軸ではなく転動体だけを交換すればよく、これにより、メンテナンスコストが節約される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例1の構造概略図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3】本発明の実施例2の構造概略図である。
図4図3のC-C断面図である。
図5図1のB-B断面図である。
図6図3のD-D断面図である。
図7】別体式ソケットにおいて転動体と円錐ころ軸受けのインナーレースとが一体化したときの構造概略図である。
図8】一体式ソケットにおいて転動体と円錐ころ軸受けのインナーレースとが一体化したときの構造概略図である。
図9】一体式ボールソケットの立体構造概略図である。
図10】一体式ボールソケットの分解構造概略図である。
図11】別体式ボールソケットの立体構造概略図である。
図12】別体式ボールソケットの分解構造概略図である。
図13】2対のボール、ソケットが摺動嵌合してペアとして使用されたときの概略図であり、伝動軸は長手方向に伸縮可能である。
図14】2つのソケットが対向して対称的に一体化して使用されたときの概略図である。
図15】伝動軸のボールがソケット内を所定の角度だけ回転して伝動を行うときの状態概略図であり、ボールレバーの軸線とソケットの軸線とは所定の夾角をなす。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明についてさらに説明する。
【0018】
実施例1
図1図2に示すように、一字軸式ボールヒンジ伝動軸は、ソケットWと、ボールQと、一字軸Sとを含み、ボール外球面Q-2がソケットの位置決め内球面W-1内に位置決めされ、摺動嵌合が形成され、図1に示すように、ボールには伝動孔Q-1が設けられ、伝動孔の両端に開口部面Q-4がさらに設けられる。一字軸には、一字軸の軸線を旋回中心とする円錐体である転動体Mがさらに同軸設置され、一字軸はボールの伝動孔を挿通した後、その両端が軸受けZを介してソケット軸受け孔W-2内にヒンジ連結され、転動体の軸方向の位置を規制し、転動体の外円錐面はボールの伝動孔の両端の開口部面と嵌合する。転動体の開口部面と嵌合する接触母線M-1は直線であり、その延長線はボールの球心を通る。
【0019】
図2に示すように、ボールQはソケットの位置決め内球面W-1、一字軸S及び転動体Mの全てにより拘束され、ボールQのボールレバーQ-3はソケットの位置決め内球面の球心を中心にして揺動可能であり、転動体は一字軸の軸線を中心にして回動しながら、伝動孔の開口部面の表面上を転動可能であり、これにより、図15に示すように、ボールレバーの軸線とソケットの軸線とが所定の夾角をなした状態で両方間の動力/回転数が伝達される。
【0020】
本実施例では、転動体が円錐体として構成され、転動体の開口部面との接触母線の延長線はボールの球心を通ることにより、ボールレバーの軸線とソケットの軸線とが所定の夾角を維持したままで動力が伝達されるときに、転動体の開口部面上の純粋な転動状態を維持し、転動体と開口部面との接触面での滑り摩擦を減少又は解消し、開口部面及び転動体の摩損や発熱を低減させ、製品の耐用年数を延ばすことができる。
【0021】
実施例2
図3図4に示すように、実施例2は実施例1の変形であり、主要な相違点としては、転動体の外形が異なり、実施例2の転動体の伝動孔の開口部面と嵌合する外面は旋回曲面であり、該旋回曲面の伝動孔の開口部面との接触母線は曲線である。実際のニーズに応じて、該曲線は円弧線、双曲線、インボリュートなどの様々な曲線の形態としてもよく、このように、転動体とボールの伝動孔の開口部面との間での動力を伝達する時の有効な接触面積が増大し、接触応力が低下し、製品の寿命が長くなる。
【0022】
実施例3
図5図6図9~12に示すように、ソケットは必要に応じて一体式構造又は別体式構造としてもよく、図5図9図10では一体式ソケットであり、図6図11図12では別体式ソケットであり、残りは上記と類似するので、詳しく説明しない。
【0023】
実施例4
図7図8に示すように、軸受けは円錐ころ軸受けとしてもよく、転動体は円錐ころ軸受けのインナーレースと一体化してもよく、これにより、部品点数が減少され、構造が簡素化され、品質が向上し、コストが下がる。残りは上記と類似するので、詳しく説明しない。
【0024】
実施例5
図13は2対のボールとソケットとが摺動嵌合してペアとして使用されるときの概略図を示しており、2つのソケットはそれぞれ伝動軸Cアセンブリの両端に設けられ、伝動軸は長手方向に伸縮可能であり、この伸縮はスプライン軸とスプラインスリーブとの嵌合により実現されてもよく、これにより、伝動軸の取り付け距離の変化に対応できる。防塵カバーGはスプライン軸とスプラインスリーブの外側に嵌設され、防塵及び潤滑油に対するシールを行い、もちろん、伝動軸の伸縮は他の形態で実現されてもよく、上記方式に限定されるものではなく、伝動の安定性を確保するために、一字軸を取り付ける方向は一致に維持しなければならない。残りは上記と類似するので、詳しく説明しない。
【0025】
実施例6
図14は2つのソケットが背中合わせで一体化されて使用されたときの概略図であり、2つのボールはそれぞれ伝動軸アセンブリの両端に設けられ、ボールレバーを介して伝動システムに接続される。残りは上記と類似するので、詳しく説明しない。
【0026】
なお、本発明の説明においては、「先端」、「後端」、「左右」「上」、「下」、「水平」等の用語により示される方向又は位置関係は図面に示される方向又は位置関係に基づくものであり、本発明の説明及び説明の簡素化のために過ぎず、係る装置又は要素が必ずしも特定の方向を有したり、特定の方向構成、操作されたりすることを指示又は示唆するものではなく、このため、本発明を制限するものとして理解すべきではない。
【0027】
また、本発明の説明においては、別に明確な規定や限定がない限り、「設置」、「取り付け」、「連結」、「接続」、「連通」という用語は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能な接続、又は一体的な接続であってもよいし、機械的接続、電気的接続であってもよいし、直接連結、中間部品を介した間接的連結、2つの要素の内部連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本発明での具体的な意味を理解することができる。
【0028】
もちろん、上記内容は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明の実施例の範囲を限定するものとして理解すべきではない。本発明は上記例に限定されるものではなく、当業者が本発明の実質的な範囲を逸脱することなく行った均等な変化や改良などは全て本発明の特許による範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0029】
Q ボール
Q-1 伝動孔
Q-2 ボール外球面
Q-3 ボールレバー
Q-4 開口部面
S 一字軸
W ソケット
W-1 位置決め内球面
W-2 軸受け孔
Z 軸受け
M 転動体
M-1 接触母線
G 防塵カバー
C 伝動軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15