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特許7325177組成物、組成物を含む薄膜、及び薄膜を含む有機発光素子
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  • 特許-組成物、組成物を含む薄膜、及び薄膜を含む有機発光素子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】組成物、組成物を含む薄膜、及び薄膜を含む有機発光素子
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/12 20230101AFI20230804BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20230804BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20230804BHJP
   H10K 101/20 20230101ALN20230804BHJP
   H10K 101/30 20230101ALN20230804BHJP
【FI】
H10K50/12
C09K11/06 645
C09K11/06 690
H10K85/60
H10K101:20
H10K101:30
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018216296
(22)【出願日】2018-11-19
(65)【公開番号】P2019096876
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-09-24
(31)【優先権主張番号】10-2017-0156612
(32)【優先日】2017-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0140098
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沈 明 善
(72)【発明者】
【氏名】印 守 康
(72)【発明者】
【氏名】金 鍾 秀
(72)【発明者】
【氏名】金 重 赫
(72)【発明者】
【氏名】宮 崎 浩
(72)【発明者】
【氏名】李 河 燮
(72)【発明者】
【氏名】田 順 玉
(72)【発明者】
【氏名】鄭 ヨン 淑
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0141323(US,A1)
【文献】特開2017-059826(JP,A)
【文献】国際公開第2016/202251(WO,A1)
【文献】特開2017-123463(JP,A)
【文献】国際公開第2012/002221(WO,A1)
【文献】IHN, Soo-Ghang et al.,An Alternative Host Material for Long-Lifespan Blue Organic Light-Emitting Diodes Using Thermally Activated Delayed Fluorescence,ADVANCED SCIENCE,2017年03月23日,1600502-(1-7)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/12
C09K 11/06
H10K 85/60
H10K 101/20
H10K 101/30
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される第1化合物と、
前記第1化合物と異なる下記化学式2-21で表される第2化合物と、
下記条件1を満足する第3化合物と、を有することを特徴とする組成物。
[化1]
11-L11-A12
【化2-21】
【化(10-1)-(10-2)】
【化(11-1)-(11-3)】
[条件1]
0eV≦ES1(C3)-ET1(C3)≦0.3eV
前記条件1で、
S1(C3)は、前記第3化合物の最低励起一重項エネルギーレベルであり、
T1(C3)は、前記第3化合物の最低励起三重項エネルギーレベルであり、
ここで、ES1(C3)及びET1(C3)は、B3LYP/6-31G(d,p)レベルで構造最適化されたDFT方法を利用して評価したものであり、
前記化学式1で、
11は、前記化学式10-1で表される基であり、
12は、前記化学式10-2で表される基であり、
11は、前記化学式11-1~11-3のうちのいずれか一つで表される基であり、
前記化学式2-21で、
22a ないしL 22f は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルキレン基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキレン基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルケニレン基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルケニレン基、置換若しくは非置換のC-C60アリーレン基、置換若しくは非置換のC-C60ヘテロアリーレン基、置換若しくは非置換の二価非芳香族縮合多環基、及び置換若しくは非置換の二価非芳香族ヘテロ縮合多環基のうちから選択され、
a22aないしa22fは、それぞれ独立して、0、1、2,3、4、及び5のうちから選択され、
22a ないしR 22e は、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基(CN)、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、置換若しくは非置換のC-C60アルキル基、置換若しくは非置換のC-C60アルケニル基、置換若しくは非置換のC-C60アルキニル基、置換若しくは非置換のC-C60アルコキシ基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルキル基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルケニル基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルケニル基、置換若しくは非置換のC-C60アリール基、置換若しくは非置換のC-C60アリールオキシ基、置換若しくは非置換のC-C60アリールチオ基、置換若しくは非置換のC-C60ヘテロアリール基、置換若しくは非置換の一価非芳香族縮合多環基、置換若しくは非置換の一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、-Si(Q)(Q)(Q)、-N(Q)(Q)、及び-B(Q)(Q)のうちから選択され、
22a ないしR 22e から選択される2つ以上が、選択的に結合されて環を形成し、
b22a、b22c、及びb22dは、それぞれ独立して、1、2、3、及び4のうちから選択され、
b22bは、それぞれ独立して、1、2、及び3のうちから選択され、
ないしQは、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、C-C60アルキル基、C-C60アルケニル基、C-C60アルキニル基、C-C60アルコキシ基、C-C10シクロアルキル基、C-C10ヘテロシクロアルキル基、C-C10シクロアルケニル基、C-C10ヘテロシクロアルケニル基、C-C60アリール基、C-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、ビフェニル基、及びターフェニル基のうちから選択され、
*及び*’は、隣接する原子との結合サイトである。
【請求項2】
11aないしR11h、R12aないしR12h、及びR13aないしR13hにおいて、1個、2個、又は3個は、シアノ基であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
11aないしR11h、R12aないしR12h、及びR13aないしR13hは、それぞれ独立して、水素、重水素、シアノ基、C-C10アルキル基、及びC-C10アルコキシ基と、
重水素及びシアノ基のうちから選択される少なくとも一つで置換された、C-C10アルキル基及びC-C10アルコキシ基と、
フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基と、
重水素、シアノ基、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基のうちから選択される少なくとも一つで置換された、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基と、のうちから選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
11は、下記化学式10-11で表され、A12は、下記化学式10-21で表され、L11は、下記化学式11-15~11-22、11-27~11-34、及び化学式11-37~11-40のうちのいずれか一つで表されるか、
11は、下記化学式10-12及び10-13のうちのいずれか一つで表され、A12は、下記化学式10-21~10-23のうちのいずれか一つで表され、L11は、下記化学式11-11~11-40のうちのいずれか一つで表されるか、或いは
11は、下記化学式10-11で表され、A12は、下記化学式10-22及び10-23のうちのいずれか一つで表され、L11は、下記化学式11-11~11-40のうちのいずれか一つで表されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【化(10-11)-(10-23)】
【化(11-11)-(11-40)】
前記化学式10-11~10-13,10-21~10-23、及び化学式11-11~11-40で、
11c、R11f、R12c、R12f、及びR13aないしR13fは、それぞれ独立して、水素、重水素、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基と、
重水素で置換された、C-C10アルキル基及びC-C10アルコキシ基と、
重水素、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基のうちから選択される少なくとも一つで置換された、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基と、のうちから選択され、
*及び*’は、隣接する原子との結合サイトである。
【請求項5】
前記第1化合物は、下記化合物E-3E-6及びE-9E-18のうちから選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【化(E-3)-(E-6)(E-9)-(E-18)】
【請求項6】
前記第2化合物は、下記化合物H2であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【化(H-2)】
【請求項7】
前記第3化合物は、遅延蛍光を放出することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記第3化合物は、下記化学式3及び4のうちのいずれか一つで表されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【化3】
【化(12-1)-(12-2)】
【化4】
【化(13-1)-(14-1)】
前記化学式3、4、12-1、12-2、13-1、及び14-1で、
31ないしR36は、それぞれ独立して、前記化学式12-1で表される基、前記化学式12-2で表される基、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、置換若しくは非置換のC-C60アルキル基、置換若しくは非置換のC-C60アルコキシ基、置換若しくは非置換のC-C60アリール基、置換若しくは非置換のC-C60アリールオキシ基、置換若しくは非置換のC-C60アリールチオ基、及び置換若しくは非置換のC-C60ヘテロアリール基のうちから選択され、
31ないしR36のうちの少なくとも一つは、シアノ基であり、
31ないしR36のうちの少なくとも一つは、前記化学式12-1で表される基、及び前記化学式12-2で表される基のうちから選択され、
は、前記化学式13-1で表される基であり、
は、前記化学式14-1で表される基であり、
41は、単一結合、O、S、N(R47)、及びC(R47)(R48)のうちから選択され、
41及びA42は、互いに独立して、ベンゼン基、フルオレン基、カルバゾール基、ジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、インドロフルオレン基、インドロカルバゾール基、インドロジベンゾフラン基、インドロジベンゾチオフェン基、インデノフルオレン基、インデノカルバゾール基、インデノジベンゾフラン基、インデノジベンゾチオフェン基、ベンゾフラノフルオレン基、ベンゾフラノカルバゾール基、ベンゾフラノジベンゾフラン基、ベンゾフラノジベンゾチオフェン基、ベンゾチエノフルオレン基、ベンゾチエノカルバゾール基、ベンゾチエノジベンゾフラン基、及びベンゾチエノジベンゾチオフェン基のうちから選択され、
41及びL42は、互いに独立して、置換若しくは非置換のC-C30炭素環式基、及び置換若しくは非置換のC-C30ヘテロ環式基のうちから選択され、
41及びa42は、互いに独立して、0、1、2、及び3のうちから選択され、
41aは、N又はC(R41a)であり、X41bは、N又はC(R41b)であり、X41cは、N又はC(R41c)であり、X41dは、N又はC(R41d)であり、X11eは、N又はC(R41e)であり、X41aないしX41eのうちの少なくとも一つは、Nであり、
32aないしR32h、R41ないしR48、及びR41aないしR41eは、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、置換若しくは非置換のC-C60アルキル基、置換若しくは非置換のC-C60アルケニル基、置換若しくは非置換のC-C60アルキニル基、置換若しくは非置換のC-C60アルコキシ基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルキル基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルケニル基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルケニル基、置換若しくは非置換のC-C60アリール基、置換若しくは非置換のC-C60アリールオキシ基、置換若しくは非置換のC-C60アリールチオ基、置換若しくは非置換のC-C60ヘテロアリール基、置換若しくは非置換の一価非芳香族縮合多環基、置換若しくは非置換の一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、-Si(Q)(Q)(Q)、-N(Q)(Q)、及び-B(Q)(Q)のうちから選択され、
b45及びb46は、互いに独立して、1、2,3、4、5、6、7、及び8のうちから選択され、
ないしQは、それぞれ独立して、水素、C-C60アルキル基、C-C60アルケニル基、C-C60アルキニル基、C-C60アルコキシ基、C-C10シクロアルキル基、C-C10ヘテロシクロアルキル基、C-C10シクロアルケニル基、C-C10ヘテロシクロアルケニル基、C-C60アリール基、C-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基のうちから選択され、
*は、隣接する原子との結合サイトである。
【請求項9】
31ないしR36において、1個、2個、又は3個は、シアノ基であり、
31ないしR36において、1個、2個、3個、4個、又は5個は、前記化学式12-1で表される基、及び前記化学式12-2で表される基のうちから選択されることを特徴とする請求項に記載の組成物。
【請求項10】
前記第3化合物は、下記化学式3-1~3-5のうちのいずれか一つで表されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【化(3-1)-(3-3)】
【化(3-4)-(12-11)】
前記化学式3-1~3-5、12-1、及び12-2で、
は、前記化学式12-11で表される基であり、
33、R34、及びR36は、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、C-C10アルキル基、及びC-C10アルコキシ基のうちから選択され、
32b及びR32gは、互いに独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基、C-C30アリール基、及びC-C30ヘテロアリール基のうちから選択され、
*は、隣接する原子との結合サイトである。
【請求項11】
前記第3化合物は、下記化合物D-1~D-23のうちから選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【化(D-1)-(D-23)】
【請求項12】
遷移金属含有有機金属化合物を含まないことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
下記化学式1で表される第1化合物と、
前記第1化合物と異なる下記化学式2で表される第2化合物と、
下記条件1を満足する第3化合物と、を有し、
前記第1化合物は、下記に示す化合物E-1、E-2、E-7、E-8、E-19、及びE-20を含まず、
前記第2化合物は、下記に示す化合物H-3及びH-5~H-19を含まないことを特徴とする組成物。
[化1]
11-L11-A12
[化2]
21-(L21a21-A22
【化(10-1)-(10-2)】
【化(11-1)-(11-3)】
【化(20-1)-(20-2)】
[条件1]
0eV≦ES1(C3)-ET1(C3)≦0.3eV
前記条件1で、
S1(C3)は、前記第3化合物の最低励起一重項エネルギーレベルであり、
T1(C3)は、前記第3化合物の最低励起三重項エネルギーレベルであり、
ここで、ES1(C3)及びET1(C3)は、B3LYP/6-31G(d,p)レベルで構造最適化されたDFT方法を利用して評価したものであり、
前記化学式1及び2で、
11は、前記化学式10-1で表される基であり、
12は、前記化学式10-2で表される基であり、
11は、前記化学式11-1~11-3のうちのいずれか一つで表される基であり、
21は、前記化学式20-1及び20-2のうちのいずれか一つで表される基であり、
22は、前記化学式20-1で表される基、前記化学式20-2で表される基、フェニル基、ナフチル基、及びベンズイミダゾリル基;並びに重水素、ヒドロキシル基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C-C20アルキル基、C-C20アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基のうちから選択される少なくとも一つで置換された、フェニル基、ナフチル基、及びベンズイミダゾリル基;のうちから選択され、
21は、単一結合、C[(L27a27-R26][(L28a28-R27]、O、及びSのうちから選択され、
22は、N[(L26a26-R25]、C[(L29a29-R28][(L30a30-R29]、O、及びSのうちから選択され、
21ないしL30は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルキレン基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキレン基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルケニレン基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルケニレン基、置換若しくは非置換のC-C60アリーレン基、置換若しくは非置換のC-C60ヘテロアリーレン基、置換若しくは非置換の二価非芳香族縮合多環基、及び置換若しくは非置換の二価非芳香族ヘテロ縮合多環基のうちから選択され、
a21ないしa30は、それぞれ独立して、0、1、2,3、4、及び5のうちから選択され、
11aないしR11h、R12aないしR12h、R13aないしR13h、及びR21ないしR29は、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基(CN)、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、置換若しくは非置換のC-C60アルキル基、置換若しくは非置換のC-C60アルケニル基、置換若しくは非置換のC-C60アルキニル基、置換若しくは非置換のC-C60アルコキシ基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルキル基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルケニル基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルケニル基、置換若しくは非置換のC-C60アリール基、置換若しくは非置換のC-C60アリールオキシ基、置換若しくは非置換のC-C60アリールチオ基、置換若しくは非置換のC-C60ヘテロアリール基、置換若しくは非置換の一価非芳香族縮合多環基、置換若しくは非置換の一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、-Si(Q)(Q)(Q)、-N(Q)(Q)、及び-B(Q)(Q)のうちから選択され、R21ないしR29から選択される2つ以上が、選択的に結合されて環を形成し、
11aないしR11h、R12aないしR12h、及びR13aないしR13hのうちの少なくとも一つは、シアノ基であり、
b21、b22、及びb24は、それぞれ独立して、1、2、3、及び4のうちから選択され、
b23は、1、2、及び3のうちから選択され、
ないしQは、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、C-C60アルキル基、C-C60アルケニル基、C-C60アルキニル基、C-C60アルコキシ基、C-C10シクロアルキル基、C-C10ヘテロシクロアルキル基、C-C10シクロアルケニル基、C-C10ヘテロシクロアルケニル基、C-C60アリール基、C-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、ビフェニル基、及びターフェニル基のうちから選択され、
*及び*’は、隣接する原子との結合サイトである。
【化(E-1)-(E-2)】
【化(E-7)-(E-8)】
【化(E-19)-(E-20)】
【化(H-3)(H-5)-(H-19)】
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の組成物を有することを特徴とする薄膜。
【請求項15】
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に介在する有機層と、を備え、
前記有機層は、請求項14に記載の薄膜を含むことを特徴とする有機発光素子。
【請求項16】
前記薄膜は、発光層であることを特徴とする請求項15に記載の有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、組成物を含む薄膜、及び薄膜を含む有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子(organic light emitting device)は、自発光型素子であり、従来の素子に比べて、視野角が広く、コントラストに優れるだけではなく、応答時間が短く、輝度、駆動電圧、及び応答速度の特性が優れ、多色化が可能である。
【0003】
一例によると、有機発光素子は、アノード、カソード、及びアノードとカソードとの間に介在する発光層を含む有機層を有する。アノードと発光層との間には正孔輸送領域が具備され、発光層とカソードとの間には電子輸送領域が具備される。アノードから注入された正孔は正孔輸送領域を経由して発光層に移動し、カソードから注入された電子は電子輸送領域を経由して発光層に移動する。正孔及び電子は、発光層領域で再結合して励起子(exciton)を生成する。励起子が励起状態から基底状態に変わりながら光が生成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、所定の第1化合物、第2化合物、及び第3化合物を含む組成物、組成物を含む薄膜、及び薄膜を含む有機発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による組成物は、下記化学式1で表される第1化合物と、前記第1化合物と異なる下記化学式2で表される第2化合物と、下記条件1を満足する第3化合物と、を有する。
[化1]
11-L11-A12
[化2]
21-(L21a21-A22
【化(10-1)-(10-2)】
【化(11-1)-(11-3)】
【化(20-1)-(20-2)】
[条件1]
0eV≦ES1(C3)-ET1(C3)≦0.3eV
前記条件1で、
S1(C3)は、前記第3化合物の最低励起一重項エネルギーレベルであり、
T1(C3)は、前記第3化合物の最低励起三重項エネルギーレベルであり、
ここで、ES1(C3)及びET1(C3)は、B3LYP/6-31G(d,p)レベルで構造最適化されたDFT方法を利用して評価したものであり、
前記化学式1及び2で、
11は、前記化学式10-1で表される基であり、
12は、前記化学式10-2で表される基であり、
11は、前記化学式11-1~11-3のうちのいずれか一つで表される基であり、
21は、前記化学式20-1及び20-2のうちのいずれか一つで表される基であり、
22は、前記化学式20-1で表される基、前記化学式20-2で表される基、フェニル基、ナフチル基及びベンズイミダゾリル基;並びに重水素、ヒドロキシル基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C-C20アルキル基、C-C20アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基のうちから選択される少なくとも一つで置換された、フェニル基、ナフチル基、及びベンズイミダゾリル基;のうちから選択され、
21は、単一結合、C[(L27a27-R26][(L28a28-R27]、O、及びSのうちから選択され、
22は、N[(L26a26-R25]、C[(L29a29-R28][(L30a30-R29]、O、及びSのうちから選択され、
21ないしL30は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルキレン基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキレン基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルケニレン基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルケニレン基、置換若しくは非置換のC-C60アリーレン基、置換若しくは非置換のC-C60ヘテロアリーレン基、置換若しくは非置換の二価非芳香族縮合多環基、及び置換若しくは非置換の二価非芳香族ヘテロ縮合多環基のうちから選択され、
a21ないしa30は、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、及び5のうちから選択され、
11aないしR11h、R12aないしR12h、R13aないしR13h、及びR21ないしR29は、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基(CN)、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、置換若しくは非置換のC-C60アルキル基、置換若しくは非置換のC-C60アルケニル基、置換若しくは非置換のC-C60アルキニル基、置換若しくは非置換のC-C60アルコキシ基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルキル基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルケニル基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルケニル基、置換若しくは非置換のC-C60アリール基、置換若しくは非置換のC-C60アリールオキシ基、置換若しくは非置換のC-C60アリールチオ基、置換若しくは非置換のC-C60ヘテロアリール基、置換若しくは非置換の一価非芳香族縮合多環基、置換若しくは非置換の一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、-Si(Q)(Q)(Q)、-N(Q)(Q)、及び-B(Q)(Q)のうちから選択され、R21ないしR29から選択される2つ以上が、選択的に結合されて環を形成し、
11aないしR11h、R12aないしR12h、及びR13aないしR13hのうちの少なくとも一つは、シアノ基であり、
b21、b22、及びb24は、それぞれ独立して、1、2、3、及び4のうちから選択され、
b23は、1、2、及び3のうちから選択され、
ないしQは、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、C-C60アルキル基、C-C60アルケニル基、C-C60アルキニル基、C-C60アルコキシ基、C-C10シクロアルキル基、C-C10ヘテロシクロアルキル基、C-C10シクロアルケニル基、C-C10ヘテロシクロアルケニル基、C-C60アリール基、C-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、ビフェニル基、及びトフェニル基のうちから選択され、
*及び*’は、隣接する原子との結合サイトである。
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による薄膜は、前記組成物を有する。
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による有機発光素子は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在する有機層と、を備え、前記有機層は、前記薄膜を含む。
前記有機発光素子において、薄膜は、発光層である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1化合物、第2化合物、及び第3化合物を含む薄膜を具備する有機発光素子によれば、低いロールオフ、高効率、及び長寿命を同時に有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施例による有機発光素子を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の組成物は、下記化学式1で表される第1化合物と、第1化合物と異なる下記化学式2で表される第2化合物と、下記条件1を満足する第3化合物と、を有する。
〔化1〕
11-L11-A12
〔化2〕
21-(L21a21-A22
[条件1]
0eV≦ES1(C3)-ET1(C3)≦0.3eV
【0011】
上記条件1で、ES1(C3)は、上記第3化合物の最低励起一重項エネルギーレベルであり、ET1(C3)は、上記第3化合物の最低励起三重項エネルギーレベルである。
ここで、ES1(C3)及びET1(C3)は、B3LYP/6-31G(d,p)レベルで構造最適化されたDFT(discrete Fourier transformation)方法を利用して評価したものである。具体的には、ES1(C3)及びET1(C3)は、Gaussianプログラムを利用して評価される。
【0012】
上記化学式1で、A11は、下記化学式10-1で表される基であり、A12は、下記化学式10-2で表される基である。
【0013】
【化(10-1)-(10-2)】
【0014】
上記化学式10-1及び10-2で、R11aないしR11h、及びR12aないしR12hについての説明は、後述する箇所を参照し、*は、隣接する原子との結合サイトである。
【0015】
上記化学式1で、L11は、下記化学式11-1~11-3のうちのいずれか一つで表される基である。
【0016】
【化(11-1)-(11-3)】
【0017】
上記化学式11-1~11-3、R13aないしR13hについての説明は、後述する箇所を参照し、*は、隣接する原子との結合サイトである。
【0018】
例えば、上記化学式1で、L11は、上記化学式11-1で表される基であるが、それに限定されるものではない。
【0019】
上記化学式10-1、10-2、及び化学式11-1~11-3で、R11aないしR11h、R12aないしR12h、R13aないしR13hは、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、置換若しくは非置換のC-C60アルキル基、置換若しくは非置換のC-C60アルケニル基、置換若しくは非置換のC-C60アルキニル基、置換若しくは非置換のC-C60アルコキシ基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルキル基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルケニル基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルケニル基、置換若しくは非置換のC-C60アリール基、置換若しくは非置換のC-C60アリールオキシ基、置換若しくは非置換のC-C60アリールチオ基、置換若しくは非置換のC-C60ヘテロアリール基、置換若しくは非置換の一価非芳香族縮合多環基(non-aromatic condensed polycyclic group)、置換若しくは非置換の一価非芳香族ヘテロ縮合多環基(non-aromatic condensed heteropolycyclic group)、-Si(Q)(Q)(Q)、-N(Q)(Q)、及び-B(Q)(Q)のうちから選択され、
11aないしR11h、R12aないしR12h、及びR13aないしR13hのうちの少なくとも一つは、シアノ基であり、
ないしQは、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、C-C60アルキル基、C-C60アルケニル基、C-C60アルキニル基、C-C60アルコキシ基、C-C10シクロアルキル基、C-C10ヘテロシクロアルキル基、C-C10シクロアルケニル基、C-C10ヘテロシクロアルケニル基、C-C60アリール基、C-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、ビフェニル基、及びターフェニル基のうちから選択される。
【0020】
例えば、上記化学式10-1、10-2、及び化学式11-1~11-3で、R11aないしR11h、R12aないしR12h、及びR13aないしR13hにおいて、1個、2個、又は3個は、シアノ基であるが、それに限定されるものではない。
【0021】
他の例として、上記化学式10-1、10-2、及び化学式11-1~11-3で、R11aないしR11h、R12aないしR12h、及びR13aないしR13hは、それぞれ独立して、水素、重水素、シアノ基、C-C10アルキル基、及びC-C10アルコキシ基;
重水素及びシアノ基のうちから選択される少なくとも一つで置換された、C-C10アルキル基及びC-C10アルコキシ基;
フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基;並びに
重水素、シアノ基、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基のうちから選択される少なくとも一つで置換された、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基;のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0022】
更に他の例として、上記化学式10-1、10-2、及び化学式11-1~11-3で、R11aないしR11h、R12aないしR12h、及びR13aないしR13hは、それぞれ独立して、水素、重水素、シアノ基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル基;
重水素及びシアノ基のうちから選択される少なくとも一つで置換された、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル基;
フェニル基、ナフチル基、ピリジニル基、ピラジニル基、及びピリミジニル基;並びに
重水素、シアノ基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、フェニル基、及びピリジニル基のうちから選択される少なくとも一つで置換された、フェニル基、ナフチル基、ピリジニル基、ピラジニル基、及びピリミジニル基;のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0023】
一実施例によると、上記化学式1で、A11は、下記化学式10-11で表され、A12は、下記化学式10-21で表され、L11は、下記化学式11-15~11-22、11-27~11-34、及び化学式11-37~11-40のうちのいずれか一つで表されるか、
11は、下記化学式10-12及び10-13のうちのいずれか一つで表され、A12は、下記化学式10-21~10-23のうちのいずれか一つで表され、L11は、下記化学式11-11~11-40のうちのいずれか一つで表されるか、或いは
11は、下記化学式10-11で表され、A12は、下記化学式10-22及び10-23のうちのいずれか一つで表され、L11は、下記化学式11-11~11-40のうちのいずれか一つで表されるが、それらに限定されるものではない。
【0024】
【化(10-11)-(10-23)】
【化(11-11)-(11-40)】
【0025】
上記化学式10-11~10-13、10-21~10-23、及び化学式11-11~11-40で、
11c、R11f、R12c、R12f、及びR13aないしR13fは、それぞれ独立して、水素、重水素、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基;
重水素で置換された、C-C10アルキル基及びC-C10アルコキシ基;並びに
重水素、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基のうちから選択される少なくとも一つで置換された、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基;のうちから選択され、
*及び*’は、隣接する原子との結合サイトである。
【0026】
他の実施例によると、上記化学式1で、A11は、上記化学式10-11で表され、A12は、上記化学式10-21で表され、L11は、上記化学式11-27~11-34、及び11-37~11-40のうちのいずれか一つで表されるか、
11は、上記化学式10-12及び10-13のうちのいずれか一つで表され、A12は、上記化学式10-21~10-23のうちのいずれか一つで表され、L11は、上記化学式11-23~11-40のうちのいずれか一つで表されるか、或いは
11は、上記化学式10-11で表され、A12は、上記化学式10-22及び10-23のうちのいずれか一つで表され、L11は、上記化学式11-23~11-40のうちのいずれか一つで表されるが、それらに限定されるものではない。
【0027】
更に他の実施例によると、上記化学式1で、A11は、上記化学式10-11で表され、A12は、上記化学式10-21で表され、L11は、上記化学式11-27~11-34、及び11-37~11-40のうちのいずれか一つで表されるか、
11は、上記化学式10-12及び10-13のうちのいずれか一つで表され、A12は、上記化学式10-21~10-23のうちのいずれか一つで表され、L11は、上記化学式11-23~11-40のうちのいずれか一つで表されるか、或いは
11は、上記化学式10-11で表され、A12は、上記化学式10-22及び10-23のうちのいずれか一つで表され、L11は、上記化学式11-23~11-40のうちのいずれか一つで表され、
上記化学式10-11~10-13、10-21~10-23、及び化学式11-23~11-40で、R11c、R11f、R12c、R12f、及びR13aないしR13fは、それぞれ独立して、水素、重水素、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、フェニル基、ナフチル基、ピリジニル基、ピラジニル基、及びピリミジニル基;
重水素で置換されたメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル基;並びに
重水素、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、フェニル基、ナフチル基、ピリジニル基、ピラジニル基、及びピリミジニル基のうちから選択される少なくとも一つで置換された、フェニル基、ナフチル基、ピリジニル基、ピラジニル基、及びピリミジニル基;のうちからも選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0028】
具体的に、上記第1化合物は、下記化合物E-1~E-20のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0029】
【化(E-1)-(E-20)】
【0030】
上記化学式2で、A21は、下記化学式20-1及び20-2のうちのいずれか一つで表される基であり、A22は、下記化学式20-1で表される基、下記化学式20-2で表される基、フェニル基、ナフチル基、及びベンズイミダゾリル基;並びに
重水素、ヒドロキシル基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C-C20アルキル基、C-C20アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基のうちから選択される少なくとも一つで置換された、フェニル基、ナフチル基、及びベンズイミダゾリル基;のうちから選択される。
【0031】
【化(20-1)-(20-2)】
【0032】
上記化学式20-1及び20-2で、X21は、単一結合、C[(L27a27-R26][(L28a28-R27]、O、及びSのうちから選択され、X22は、N[(L26a26-R25]、C[(L29a29-R28][(L30a30-R29]、O、及びSのうちから選択され、L22ないしL30、a22ないしa30、R21ないしR29、及びb21ないしb24についての説明は、後述する箇所を参照し、*は、隣接する原子との結合サイトである。
【0033】
例えば、上記化学式20-1及び20-2で、X21は、単一結合であり、X22は、N(R25)、C(R28)(R29)、O、及びSのうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0034】
上記化学式2、20-1、及び20-2で、L22ないしL30は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルキレン基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキレン基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルケニレン基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルケニレン基、置換若しくは非置換のC-C60アリーレン基、置換若しくは非置換のC-C60ヘテロアリーレン基、置換若しくは非置換の二価非芳香族縮合多環基、及び置換若しくは非置換の二価非芳香族ヘテロ縮合多環基のうちから選択される。
【0035】
例えば、上記化学式2、20-1、及び20-2で、L21ないしL30は、それぞれ独立して、C-C10シクロアルキレン基、C-C10ヘテロシクロアルキレン基、C-C10シクロアルケニレン基、C-C10ヘテロシクロアルケニレン基、C-C60アリーレン基、二価非芳香族縮合多環基、及び二価非芳香族ヘテロ縮合多環基;並びに
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C-C60アルキル基、C-C60アルケニル基、C-C60アルキニル基、C-C60アルコキシ基、C-C10シクロアルキル基、C-C10ヘテロシクロアルキル基、C-C10シクロアルケニル基、C-C10ヘテロシクロアルケニル基、C-C60アリール基、ビフェニル基、ターフェニル基、C-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、及び-Si(Q31)(Q32)(Q33)のうちから選択される少なくとも一つで置換された、C-C10シクロアルキレン基、C-C10ヘテロシクロアルキレン基、C-C10シクロアルケニレン基、C-C10ヘテロシクロアルケニレン基、C-C60アリーレン基、二価非芳香族縮合多環基、及び二価非芳香族ヘテロ縮合多環基;のうちから選択され、
31ないしQ33は、それぞれ独立して、水素、C-C10アルキル基、C-C30アリール基、ビフェニル基、ターフェニル基、C-C30ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0036】
他の例として、上記化学式2、20-1、及び20-2で、L21ないしL30は、それぞれ独立して、フェニレン基、ナフチレン基、ピリジニレン基、ピラジニレン基、ピリミジニレン基、キノリニレン基、イソキノリニレン基、フルオレニレン基、カルバゾリレン基、ジベンゾフラニレン基、及びジベンゾチオフェニレン基;並びに
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、シアノ基、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基のうちから選択される少なくとも一つで置換された、フェニレン基、ナフチレン基、ピリジニレン基、ピラジニレン基、ピリミジニレン基、キノリニレン基、イソキノリニレン基、フルオレニレン基、カルバゾリレン基、ジベンゾフラニレン基、及びジベンゾチオフェニレン基;のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0037】
上記化学式2で、a21は、L21の反復個数を意味し、0、1、2、3、4、及び5のうちから選択される。a21が0である場合、(L21a21は、単一結合であり、a21が2以上である場合、複数個のL21は、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
【0038】
同様に、上記化学式20-1及び20-2で、a22ないしa30は、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、及び5のうちから選択される。
【0039】
例えば、上記化学式2、20-1、及び20-2で、a21ないしa30は、それぞれ独立して、0、1、及び2のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0040】
上記化学式2、20-1、及び20-2で、R21ないしR29は、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、置換若しくは非置換のC-C60アルキル基、置換若しくは非置換のC-C60アルケニル基、置換若しくは非置換のC-C60アルキニル基、置換若しくは非置換のC-C60アルコキシ基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルキル基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルケニル基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルケニル基、置換若しくは非置換のC-C60アリール基、置換若しくは非置換のC-C60アリールオキシ基、置換若しくは非置換のC-C60アリールチオ基、置換若しくは非置換のC-C60ヘテロアリール基、置換若しくは非置換の一価非芳香族縮合多環基、置換若しくは非置換の一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、-Si(Q)(Q)(Q)、-N(Q)(Q)、及び-B(Q)(Q)のうちから選択され、R21ないしR29から選択される2つ以上が、選択的に結合されて環を形成し、
ないしQは、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、C-C60アルキル基、C-C60アルケニル基、C-C60アルキニル基、C-C60アルコキシ基、C-C10シクロアルキル基、C-C10ヘテロシクロアルキル基、C-C10シクロアルケニル基、C-C10ヘテロシクロアルケニル基、C-C60アリール基、C-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、ビフェニル基、及びターフェニル基のうちから選択される。
【0041】
例えば、上記化学式2、20-1、及び20-2で、R21ないしR29は、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、シアノ基、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基、C-C10シクロアルキル基、及びC-C10ヘテロシクロアルキル基;
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、及びシアノ基のうちから選択される少なくとも一つで置換された、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基、C-C10シクロアルキル基、及びC-C10ヘテロシクロアルキル基;
-C30アリール基、ビフェニル基、ターフェニル基、C-C30アリールオキシ基、C-C30アリールチオ基、C-C30ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基;
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、シアノ基、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基、C-C10シクロアルキル基、C-C10ヘテロシクロアルキル基、C-C30アリール基、ビフェニル基、ターフェニル基、C-C30アリールオキシ基、C-C30アリールチオ基、C-C30ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基のうちから選択される少なくとも一つで置換された、C-C30アリール基、ビフェニル基、ターフェニル基、C-C30アリールオキシ基、C-C30アリールチオ基、C-C30ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基;並びに
-Si(Q)(Q)(Q)、-N(Q)(Q)、及び-B(Q)(Q)のうちから選択され、
21ないしR29から選択される2つ以上が、選択的に結合されて環を形成し、
ないしQは、それぞれ独立して、水素、C-C10アルキル基、C-C30アリール基、ビフェニル基、ターフェニル基、C-C30ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0042】
他の例として、上記化学式2、20-1、及び20-2で、R21ないしR29は、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、シアノ基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、iso-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基;
重水素、-F、-Cl、-Br、-I及びシアノ基のうちから選択される少なくとも一つで置換された、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、iso-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基;
フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基;
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、シアノ基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、iso-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基のうちから選択される少なくとも一つで置換された、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基;並びに
-Si(Q)(Q)(Q)、-N(Q)(Q)、及び-B(Q)(Q)のうちから選択され、
21ないしR29から選択される2つ以上が、選択的に結合されて環を形成し、
ないしQは、それぞれ独立して、水素、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基;のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0043】
上記化学式20-1で、b21は、(L22a22-R21の個数を示し、1、2、3、及び4のうちから選択される。b21が2以上である場合、複数個の(L22a22-R21は、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
【0044】
同様に、b22及びb24は、互いに独立して、1、2、3、及び4のうちから選択される。
【0045】
同様に、b23は、1、2、及び3のうちから選択される。
【0046】
一実施例によると、上記化学式2で、A21及びA22は、互いに独立して、上記化学式20-1で表されるか、
21は、上記化学式20-1で表され、A22は、上記化学式20-2で表されるか、或いは
21及びA22は、互いに独立して、上記化学式20-2で表されるが、それらに限定されるものではない。
【0047】
一実施例によると、上記化学式20-2で表される基は、下記化学式20-21~20-24のうちのいずれか一つで表されるが、それらに限定されるものではない。
【0048】
【化(20-21)-(20-24)】
【0049】
上記化学式20-21~20-24で、X21、X22、L24、L25、a24、a25、R23、R24、b23、及びb24の定義は、上記化学式20-2における定義を参照し、
*は、隣接する原子との結合サイトである。
【0050】
他の実施例によると、上記第2化合物は、下記化学式2-1~2-3のうちのいずれか一つで表されるが、それらに限定されるものではない。
【0051】
【化2-1】
【化2-2】
【化2-3】
【0052】
上記化学式2-1~2-3で、
21aは、N[(L21ga21g-R21f]、並びにO及びSのうちから選択され、X22aは、N[(L22fa22f-R22e]、並びにO及びSのうちから選択され、
21aないしL21g、L22aないしL22f、及びL23aないしL23eは、それぞれ独立して、上記化学式2におけるL21の定義を参照し、
a21aないしa21g、a22aないしa22f、及びa23aないしa23eは、それぞれ独立して、上記化学式2におけるa21の定義を参照し、
21aないしR21f、R22aないしR22e、及びR23aないしR23dは、それぞれ独立して、上記化学式2におけるR21の定義を参照し、
b21b、b21e、b22a、b22c、b22d、及びb23aないしb23dは、それぞれ独立して、上記化学式2におけるb21の定義を参照し、
b21c、b21d、及びb22bは、それぞれ独立して、上記化学式2におけるb23の定義を参照する。
【0053】
例えば、上記化学式2-3で、(L23ea23eは、下記化学式9-1~9-6のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0054】
【化(9-1)-(9-6)】
【0055】
上記化学式9-1~9-6で、
91ないしR100は、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C-C60アルキル基、C-C60アルケニル基、C-C60アルキニル基、C-C60アルコキシ基、C-C10シクロアルキル基、C-C10ヘテロシクロアルキル基、C-C10シクロアルケニル基、C-C10ヘテロシクロアルケニル基、C-C60アリール基、ビフェニル基、ターフェニル基、C-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、及び-Si(Q31)(Q32)(Q33)のうちから選択され、
31ないしQ33は、それぞれ独立して、水素、C-C10アルキル基、C-C30アリール基、ビフェニル基、ターフェニル基、C-C30ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基のうちから選択される。
【0056】
例えば、上記化学式9-1~9-6で、
91ないしR100は、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、シアノ基、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0057】
更に他の実施例によると、上記第2化合物は、下記化学式2-11、2-21、及び化学式2-31~2-33のうちのいずれか一つで表されるが、それらに限定されるものではない。
【0058】
【化2-11】
【化2-21】
【化2-31】
【化2-32】
【化2-33】
【0059】
上記化学式2-11、2-21、及び化学式2-31~2-33で、
、X、及びXは、それぞれ独立して、C及びN(R)のうちから選択され、
、X、及びXが、同時にN(R)ではなく、
21aないしL21e、L21g、L22aないしL22f、及びL23aないしL23dは、それぞれ独立して、上記化学式2におけるL21の定義を参照し、
a21aないしa21e、a21g、a22aないしa22f、及びa23aないしa23dは、それぞれ独立して、上記化学式2におけるa21の定義を参照し、
21bないしR21f、R22aないしR22e、及びR23aないしR23dは、それぞれ独立して、上記化学式2におけるR21の定義を参照し、
b21b、b21e、b22a、b22c、b22d、及びb23aないしb23dは、それぞれ独立して、上記化学式2におけるb21の定義を参照し、
b21c、b21d、及びb22bは、それぞれ独立して、上記化学式2におけるb23の定義を参照し、
91ないしR100、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、シアノ基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基のうちから選択される。
【0060】
具体的に、上記第2化合物は、下記化合物H-1~H-19のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0061】
【化(H-1)-(H-19)】
【0062】
例えば、上記第3化合物は、遅延蛍光を放出する。
【0063】
一実施例によると、上記第3化合物は、下記化学式3及び4のうちのいずれか一つで表されるが、それらに限定されるものではない。
【0064】
【化3】
【化(12-1)-(12-2)】
【化4】
【化(13-1)-(14-1)】
【0065】
上記化学式3、4、12-1、12-2、13-1、及び14-1で、
31ないしR36は、それぞれ独立して、上記化学式12-1で表される基、上記化学式12-2で表される基、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、置換若しくは非置換のC-C60アルキル基、置換若しくは非置換のC-C60アルコキシ基、置換若しくは非置換のC-C60アリール基、置換若しくは非置換のC-C60アリールオキシ基、置換若しくは非置換のC-C60アリールチオ基、及び置換若しくは非置換のC-C60ヘテロアリール基のうちから選択され、
31ないしR36のうちの少なくとも一つは、シアノ基であり、
31ないしR36のうちの少なくとも一つは、上記化学式12-1で表される基、及び上記化学式12-2で表される基のうちから選択され、
は、上記化学式13-1で表される基であり、
は、上記化学式14-1で表される基であり、
41は、単一結合、O、S、N(R47)、及びC(R47)(R48)のうちから選択され、
41及びA42は、互いに独立して、ベンゼン基、フルオレン基、カルバゾール基、ジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、インドロフルオレン基、インドロカルバゾール基、インドロジベンゾフラン基、インドロジベンゾチオフェン基、インデノフルオレン基、インデノカルバゾール基、インデノジベンゾフラン基、インデノジベンゾチオフェン基、ベンゾフラノフルオレン基、ベンゾフラノカルバゾール基、ベンゾフラノジベンゾフラン基、ベンゾフラノジベンゾチオフェン基、ベンゾチエノフルオレン基、ベンゾチエノカルバゾール基、ベンゾチエノジベンゾフラン基、及びベンゾチエノジベンゾチオフェン基のうちから選択され、
41及びL42は、互いに独立して、置換若しくは非置換のC-C30炭素環式基、及び置換若しくは非置換のC-C30ヘテロ環式基のうちから選択され、
a41及びa42は、互いに独立して、0、1、2、及び3のうちから選択され、
41aは、N又はC(R41a)であり、X41bは、N又はC(R41b)であり、X41cは、N又はC(R41c)であり、X41dは、N又はC(R41d)であり、X11eは、N又はC(R41e)であり、X41aないしX41eのうちの少なくとも一つは、Nであり、
32aないしR32h、R41ないしR48、及びR41aないしR41eは、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、置換若しくは非置換のC-C60アルキル基、置換若しくは非置換のC-C60アルケニル基、置換若しくは非置換のC-C60アルキニル基、置換若しくは非置換のC-C60アルコキシ基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルキル基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル基、置換若しくは非置換のC-C10シクロアルケニル基、置換若しくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルケニル基、置換若しくは非置換のC-C60アリール基、置換若しくは非置換のC-C60アリールオキシ基、置換若しくは非置換のC-C60アリールチオ基、置換若しくは非置換のC-C60ヘテロアリール基、置換若しくは非置換の一価非芳香族縮合多環基、置換若しくは非置換の一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、-Si(Q)(Q)(Q)、-N(Q)(Q)、及び-B(Q)(Q)のうちから選択され、
b45及びb46は、互いに独立して、1、2、3、4、5、6、7、及び8のうちから選択され、
ないしQは、それぞれ独立して、水素、C-C60アルキル基、C-C60アルケニル基、C-C60アルキニル基、C-C60アルコキシ基、C-C10シクロアルキル基、C-C10ヘテロシクロアルキル基、C-C10シクロアルケニル基、C-C10ヘテロシクロアルケニル基、C-C60アリール基、C-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基のうちから選択され、
*は、隣接する原子との結合サイトである。
【0066】
例えば、上記化学式3で、R31ないしR36において、1個、2個、又は3個は、シアノ基であり、
31ないしR36において、1個、2個、3個、4個、又は5個は、上記化学式12-1で表される基、及び上記化学式12-2で表される基のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0067】
他の例として、上記化学式3で、R31ないしR36において、1個又は2個は、シアノ基であり、
31ないしR36において、1個、2個、3個、4個、又は5個は、上記化学式12-1で表される基、及び上記化学式12-2で表される基のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0068】
更に他の例として、上記化学式3で、R31ないしR36において、1個は、シアノ基であり、R31ないしR36において、3個、4個、又は5個は、上記化学式12-1で表される基、及び上記化学式12-2で表される基のうちから選択されるか、或いは
31ないしR36において、2個は、シアノ基であり、R31ないしR36において、3個又は4個は、上記化学式12-1で表される基、及び上記化学式12-2で表される基のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0069】
例えば、上記化学式3で、R31ないしR36は、それぞれ独立して、上記化学式12-1で表される基、上記化学式12-2で表される基、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、C-C10アルキル基、及びC-C10アルコキシ基のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0070】
他の例として、上記化学式3で、R31ないしR36は、それぞれ独立して、上記化学式12-1で表される基、上記化学式12-2で表される基、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、iso-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、及びtert-ブトキシ基のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0071】
例えば、上記化学式12-1及び12-2で、R32aないしR32hは、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、iso-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、ピリジニル基、ピラジニル基、及びピリミジニル基のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0072】
例えば、上記化学式13-1で、A41は、ベンゼン基であり、
42は、ベンゼン基、フルオレン基、カルバゾール基、ジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、インドロフルオレン基、インドロカルバゾール基、インドロジベンゾフラン基、インドロジベンゾチオフェン基、インデノフルオレン基、インデノカルバゾール基、インデノジベンゾフラン基、インデノジベンゾチオフェン基、ベンゾフラノフルオレン基、ベンゾフラノカルバゾール基、ベンゾフラノジベンゾフラン基、ベンゾフラノジベンゾチオフェン基、ベンゾチエノフルオレン基、ベンゾチエノカルバゾール基、ベンゾチエノジベンゾフラン基、及びベンゾチエノジベンゾチオフェン基のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0073】
例えば、上記化学式13-1で、X41は、単一結合及びC(R47)(R48)のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0074】
他の実施例によると、上記第3化合物は、下記化学式3-1~3-5のうちのいずれか一つで表されるが、それらに限定されるものではない。
【0075】
【化(3-1)-(3-3)】
【化(3-4)-(12-11)】
【0076】
上記化学式3-1~3-5、12-1、及び12-2で、
は、上記化学式12-11で表される基であり、
33、R34、及びR36は、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、C-C10アルキル基、及びC-C10アルコキシ基のうちから選択され、
32b及びR32gは、互いに独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基、C-C30アリール基、及びC-C30ヘテロアリール基のうちから選択され、
*は、隣接する原子との結合サイトである。
【0077】
更に他の実施例によると、上記第3化合物は、下記化合物D-1~D-23のうちから選択されるが、それに限定されるものではない。
【0078】
【化(D-1)-(D-23)】
【0079】
一実施例によると、上記第1化合物及び上記第2化合物は、互いに異なっていてもよいが、それに限定されるものではない。
【0080】
一実施例によると、上記第2化合物は、下記条件2を満足するが、それに限定されるものではない。
【0081】
[条件2]
HOMO(C2)>-5.45eV
【0082】
上記条件2で、
HOMO(C2)は、上記第2化合物の最高準位占有分子オービタル(highest occupied molecular orbital)エネルギーレベルである。
ここで、EHOMO(C2)は、B3LYP/6-31G(d,p)レベルで構造最適化されたGaussianプログラムのDFT方法を利用して評価したものである。
【0083】
一実施例によると、上記第3化合物は、下記条件3を満足するが、それに限定されるものではない。
[条件3]
LUMO(C3)<-1.70eV
【0084】
上記条件3で、
LUMO(C3)は、上記第3化合物の最低準位非占有分子オービタル(lowest unoccupied molecular orbital)エネルギーレベルである。
ここで、ELUMO(C3)は、B3LYP/6-31G(d,p)レベルで構造最適化されたGaussianプログラムのDFT方法を利用して評価したものである。
【0085】
組成物は、上記化学式1で表される第1化合物、上記化学式2で表される第2化合物、及び上記条件1を満足する第3化合物を含むことで、電子及び正孔の移動性が向上する。それにより、組成物を含む電子素子、例えば有機発光素子は、低いロールオフ及び高い発光効率を有する。
【0086】
上記化学式1で表される第1化合物は、少なくとも1以上のシアノ基を必ず含む。それにより、上記化学式1で表される第1化合物は、優秀な耐熱性を有し、上記第1化合物、第2化合物、及び第3化合物を含む薄膜を具備した電子素子、例えば有機発光素子は、長寿命を有する。
【0087】
具体的に、組成物は、上記化学式1で表される第1化合物を必ず含むために、電荷移動度及び材料安定性に優れ、低いロールオフ及び長寿命を有する。
【0088】
具体的に、組成物は、上記化学式2で表される第2化合物を必ず含むために、正孔移動度及び材料安定性に優れ、第1化合物との混合時、相対的に高い効率及び長寿命を有する。
【0089】
組成物は、遷移金属含有有機金属化合物を含まない。即ち、組成物は、リン光ドーパントを含まない。従って、組成物は、第1化合物~第3化合物のうちのいずれか1以上がリン光ホストとして作用する他の組成物とは、明確に区別される。
【0090】
具体的に、組成物において、上記第1化合物及び上記第2化合物はホストとして作用し、上記第3化合物は、ドーパント、特に遅延蛍光ドーパントとして作用する。
【0091】
例えば、下記化合物に対して、B3LYP/6-31G(d,p)レベルで構造最適化されたGaussianプログラムのDFT方法を利用して評価したHOMO、LUMO、一重項(S)、及び三重項(T)のエネルギーレベル値は、下記表1を参照する。
【0092】
【表1】
【0093】
組成物において、上記第1化合物と第2化合物との重量比は、0.1:99.9~99.9:0.1、例えば1:9~9:1の範囲内で選択される。一実施例によると、上記第1化合物と第2化合物との重量比は、3:7~7:3の範囲内で選択される。組成物、及び上記第1化合物と第2化合物との重量比が、上述のような範囲を満足する場合、発光層において、効果的な電荷均衡を達成し、低いロールオフ、高効率、及び長寿命の有機発光素子が具現される。
【0094】
組成物において、上記第3化合物の含量は、一般的に上記第1化合物、上記第2化合物、及び上記第3化合物の総重量を基準にして、約0.01~約30重量%の範囲で選択されるが、それに限定されるものではない。具体的に、組成物において、上記第3化合物の含量は、上記第1化合物、上記第2化合物、及び上記第3化合物の総重量を基準にして、約5~約20重量%範囲で選択されるが、それに限定されるものではない。上記第3化合物の含量が上記範囲を満足する場合、消光現象のない発光具現が可能になる。
【0095】
他の側面によると、組成物を含む薄膜が提供される。薄膜は、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB(Langmuir-Blodgett)法のような多様な方法を利用して形成される。
【0096】
真空蒸着法によって薄膜を形成する場合、蒸着条件は、薄膜材料として使用される化合物、目的とする薄膜の構造、熱的特性などによって異なり、例えば蒸着温度約100~約500℃、真空度約10-8~約10-3torr、蒸着速度約0.01~約100Å/secの範囲で選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0097】
スピンコーティング法によって薄膜を形成する場合、コーティング条件は、薄膜材料として使用される化合物、目的とする薄膜の構造、熱的特性などによって異なり、約2,000rpm~約5,000rpmのコーティング速度、コーティング後の溶媒除去のための熱処理温度は、約80℃~200℃の温度範囲で選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0098】
薄膜は、上述のような組成物を有する。
【0099】
薄膜は、電子素子、例えば有機発光素子の有機層に適用される。従って、他の側面によると、有機発光素子は、第1電極と、第2電極と、第1電極と第2電極との間に介在する有機層と、を備え、有機層は、上記組成物又は薄膜を含む。
【0100】
一実施例によると、有機層に含まれる薄膜は、発光層である。ここで、発光層に含まれる上記第1化合物及び上記第2化合物は、ホストの役割を担う。発光層に含まれる上記第3化合物は、ドーパントの役割を担う。
【0101】
具体的に、上記第3化合物は、遅延蛍光を放出する。発光層中の上記第3化合物は、リバースインターシステムクロシング(reverse intersystem crossing)を介して、n-π*励起状態から1π-π*励起状態に移動した励起子が基底状態に発光遷移されることにより、遅延蛍光を放出する。発光層から放出される光量(light amount)のうち、遅延蛍光の比率は、90%以上、例えば92%以上、他の例として95%以上であるが、それらに限定されるものではない。
【0102】
薄膜が組成物を含む発光層である場合、発光層において、上記第1化合物及び上記第2化合物は、有機発光素子において、電子及び正孔の移動性を高め、発光層において、電荷均衡が調節されるため、低いロールオフ、高効率長寿命を有する有機発光素子の具現が可能になる。
【0103】
一方、薄膜が上記組成物を含む場合、青色光を放出する有機発光素子が具現される。
【0104】
図1は、本発明の一実施例による有機発光素子10を概略的に示した断面図である。以下、図1を参照して、本発明の一実施例による有機発光素子の構造及び製造方法について説明すると、次の通りである。有機発光素子10は、第1電極11、有機層15、及び第2電極19が順に積層された構造を有する。
【0105】
第1電極11の下部又は第2電極19の上部には、基板が追加して配置される。基板としては、一般的な有機発光素子で使用される基板が使用され、機械的強度、熱安定性、透明性、表面平滑性、取り扱い容易性、及び防水性に優れたガラス基板又は透明プラスチック基板が使用される。
【0106】
第1電極11は、例えば基板上部に第1電極用物質を蒸着法又はスパッタリング法などを利用して提供することによって形成される。第1電極11は、アノードである。第1電極用物質は、正孔注入が容易であるように高い仕事関数を有する物質のうちから選択される。第1電極11は、反射型電極、半透過型電極、又は透過型電極である。第1電極用物質としては、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などが利用される。或いは、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム-リチウム(Al-Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム-インジウム(Mg-In)、マグネシウム-銀(Mg-Ag)のような金属が利用される。
【0107】
第1電極11は、単一層構造又は2以上の層を含む多層構造を有する。例えば、第1電極11は、ITO/Ag/ITOの3層構造を有するが、それに限定されるものではない。
【0108】
第1電極11の上部には、有機層15が配置される。
【0109】
有機層15は、正孔輸送領域(hole transport region)、発光層(emission layer)、及び電子輸送領域(electron transport region)を含む。
【0110】
正孔輸送領域は、第1電極11と発光層との間に配置される。
【0111】
正孔輸送領域は、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、バッファ層、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0112】
正孔輸送領域は、正孔注入層のみを含むか又は正孔輸送層のみを含む。或いは、正孔輸送領域は、第1電極11から順に積層された、正孔注入層/正孔輸送層、又は正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層の構造を有する。
【0113】
正孔輸送領域が正孔注入層を含む場合、正孔注入層(HIL)は、第1電極11上部に真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような多様な方法を利用して形成される。
【0114】
真空蒸着法によって正孔注入層を形成する場合、蒸着条件は、正孔注入層材料として使用される化合物、目的とする正孔注入層の構造、熱的特性などによって異なり、例えば蒸着温度約100~約500℃、真空度約10-8~約10-3torr、蒸着速度約0.01~約100Å/secの範囲で選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0115】
スピンコーティング法によって正孔注入層を形成する場合、コーティング条件は、正孔注入層材料として使用される化合物、目的とする正孔注入層の構造、熱的特性などによって異なり、約2,000rpm~約5,000rpmのコーティング速度、コーティング後の溶媒除去のための熱処理温度は、約80℃~200℃の温度範囲で選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0116】
正孔輸送層及び電子阻止層の形成条件は、正孔注入層形成条件を参照する。
【0117】
正孔輸送領域は、例えばm-MTDATA、TDATA、2-TNATA、NPB、β-NPB、TPD、spiro-TPD、spiro-NPB、methylated-NPB、TAPC、HMTPD、4,4’,4”-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Pani/DBSA)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Pani/CSA)、ポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホネート)(PANI/PSS)、下記化学式201で表される化合物、及び下記化学式202で表される化合物のうちの少なくとも一つを含む。
【0118】
【化(m-MTDATA)-(HMTPD)】
【化201】
【化202】
【0119】
上記化学式201で、Ar101及びAr102は、互いに独立して、
フェニレン基、ペンタレニレン基、インデニレン基、ナフチレン基、アズレニレン基、ヘプタレニレン基、アセナフチレン基、フルオレニレン基、フェナレニレン基、フェナントレニレン基、アントラセニレン基、フルオランテニレン基、トリフェニレニレン基、ピレニレン基、クリセニレニレン基、ナフタセニレン基、ピセニレン基、ペリレニレン基、及びペンタセニレン基;並びに
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C-C60アルキル基、C-C60アルケニル基、C-C60アルキニル基、C-C60アルコキシ基、C-C10シクロアルキル基、C-C10シクロアルケニル基、C-C10ヘテロシクロアルキル基、C-C10ヘテロシクロアルケニル基、C-C60アリール基、C-C60アリールオキシ基、C-C60アリールチオ基、C-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基のうちから選択される少なくとも一つで置換された、フェニレン基、ペンタレニレン基、インデニレン基、ナフチレン基、アズレニレン基、ヘプタレニレン基、アセナフチレン基、フルオレニレン基、フェナレニレン基、フェナントレニレン基、アントラセニレン基、フルオランテニレン基、トリフェニレニレン基、ピレニレン基、クリセニレニレン基、ナフタセニレン基、ピセニレン基、ペリレニレン基、及びペンタセニレン基;のうちから選択される。
【0120】
上記化学式201で、xa及びxbは、互いに独立して、0~5の整数、又は0、1、若しくは2である。例えば、xaは、1であり、xbは、0であるが、それらに限定されるものではない。
【0121】
上記化学式201及び202で、R101ないしR108、R111ないしR119、及びR121ないしR124は、それぞれ独立して、
水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C-C10アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基など)、及びC-C10アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基など);
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、及びリン酸基又はその塩のうち1以上で置換された、C-C10アルキル基、及びC-C10アルコキシ基;
フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基、及びピレニル基;並びに
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C-C10アルキル基、及びC-C10アルコキシ基のうちの1以上で置換された、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基、及びピレニル基;のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0122】
上記化学式201で、R109は、
フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、及びピリジニル基;並びに
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C-C20アルキル基、C-C20アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、及びピリジニル基のうちの1以上で置換された、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、及びピリジニル基;のうちから選択される。
【0123】
一実施例によると、上記化学式201で表される化合物は、下記化学式201Aで表されるが、それに限定されるものではない。
【0124】
【化201A】
【0125】
上記化学式201Aで、R101、R111、R112、及びR109についての詳細な説明は、上述の箇所を参照する。
【0126】
例えば、上記化学式201で表される化合物、及び上記化学式202で表される化合物は、下記化合物HT1~HT20を含むが、それらに限定されるものではない。
【0127】
【化HT1-HT20】
【0128】
正孔輸送領域の厚みは、約100Å~約10,000Å、例えば約100Å~約1,000Åである。正孔輸送領域が正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1層を含む場合、正孔注入層の厚みは、約100Å~約10,000Å、例えば約100Å~約1,000Åであり、正孔輸送層の厚みは、約50Å~約2,000Å、例えば約100Å~約1,500Åである。正孔輸送領域、正孔注入層、及び正孔輸送層の厚みが上述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、満足すべき正孔輸送特性が得られる。
【0129】
正孔輸送領域は、上述のような物質以外に、導電性向上のために電荷生成物質を更に含む。電荷生成物質は、正孔輸送領域内に均一に又は不均一に分散される。
【0130】
電荷生成物質は、例えばp-ドーパントである。p-ドーパントは、キノン誘導体、金属酸化物、及びシアノ基含有化合物のうちの一つであるが、それらに限定されるものではない。例えば、p-ドーパントの非制限的な例としては、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)及び2,3,5,6-テトラフルオロ-テトラシアノ-1,4-ベンゾキノンジメタン(F4-TCNQ)のようなキノン誘導体;タングステン酸化物及びモリブデン酸化物のような金属酸化物;並びに下記化合物HT-D1、HP-1のようなシアノ基含有化合物などが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0131】
【化(HT-D1)-(HP-1)】
【0132】
正孔輸送領域は、バッファ層を更に含む。
【0133】
バッファ層は、発光層から放出される光の波長による光学的共振距離を補償し、効率を上昇させる役割を担う。
【0134】
正孔輸送領域は、電子阻止層を更に含む。電子阻止層は、公知の物質、例えばmCPを含むが、それに限定されるものではない。
【0135】
【化mCP】
【0136】
正孔輸送領域の上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような方法を利用して、発光層(EML)を形成する。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって発光層を形成する場合、蒸着条件及びコーティング条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に正孔注入層の形成と略同一の条件範囲から選択される。
【0137】
有機発光素子がフルカラー有機発光素子である場合、発光層は、赤色発光層、緑色発光層、及び青色発光層にパターニングされる。或いは、発光層は、赤色発光層、緑色発光層、及び/又は青色発光層が積層された構造を有することにより白色光を放出するというように、多様な変形例が可能である。
【0138】
発光層は、上述のような薄膜を含む。
【0139】
例えば、発光層は、薄膜のみを含む単一層構造であるか又は公知の他の発光層を更に含む多層構造であるというように、多様な変形が可能である。
【0140】
発光層の厚みは、約100Å~約1,000Å、例えば約200Å~約600Åである。発光層の厚みが上述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、優秀な発光特性が示される。
【0141】
次に、発光層の上部に、電子輸送領域が配置される。
【0142】
電子輸送領域は、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、又はその任意の組み合わせを含む。
【0143】
例えば、電子輸送領域は、正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層、又は電子輸送層/電子注入層の構造を有するが、それらに限定されるものではない。電子輸送層は、単一層構造又は2以上のそれぞれ異なる物質を含む多層構造を有する。
【0144】
電子輸送領域の正孔阻止層、電子輸送層、及び電子注入層の形成条件は、正孔注入層の形成条件を参照する。
【0145】
電子輸送領域が正孔阻止層を含む場合、正孔阻止層は、例えば下記BCP及びBphenのうちの少なくとも一つを含むが、それらに限定されるものではない。
【0146】
【化BCP-Bpen】
【0147】
或いは、正孔阻止層材料として、上記化学式1で表される第1化合物が使用されるが、それに限定されるものではない。
【0148】
正孔阻止層の厚みは、約20Å~約1,000Å、例えば約30Å~約300Åである。正孔阻止層の厚みが上述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、優秀な正孔阻止特性が得られる。
【0149】
電子輸送層は、上記BCP、Bphen、並びに下記Alq3、Balq、TAZ、及びNTAZのうちの少なくとも一つを更に含む。
【0150】
【化Alq3-NTAZ】
【0151】
或いは、電子輸送層は、下記化合物ET1~ET25のうちの少なくとも一つを含むが、それらに限定されるものではない。
【0152】
【化ET1-ET25】
【0153】
電子輸送層の厚みは、約100Å~約1,000Å、例えば約150Å~約500Åである。電子輸送層の厚みが上述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、満足すべき電子輸送特性が得られる。
【0154】
電子輸送層は、上述のような物質以外に、金属含有物質を更に含む。
【0155】
金属含有物質は、Li錯体を含む。Li錯体は、例えば下記化合物ET-D1(LiQ))又はET-D2を含む。
【0156】
【化(ET-D1)-(ET-D2)】
【0157】
また、電子輸送領域は、第2電極19からの電子注入を容易にする電子注入層(EIL)を含む。
【0158】
電子注入層は、LiF、NaCl、CsF、LiO、及びBaOのうちから選択される少なくとも一つを含む。
【0159】
電子注入層の厚みは、約1Å~約100Å、例えば約3Å~約90Åである。電子注入層の厚みが上述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、満足すべき電子注入特性が得られる。
【0160】
有機層15の上部には、第2電極19が具備される。第2電極19は、カソードである。第2電極19用物質としては、相対的に低い仕事関数を有する金属、合金、電気伝導性化合物、及びそれらの組み合わせが使用される。具体的な例としては、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム-リチウム(Al-Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム-インジウム(Mg-In)、マグネシウム-銀(Mg-Ag)などを第2電極19の形成用物質として使用する。或いは、前面発光素子を得るために、ITO、IZOを利用し、透過型第2電極19を形成するというように、多様な変形が可能である。
【0161】
以上、有機発光素子について、図1を参照して説明したが、それらに限定されるものではない。
【0162】
本明細書において、C-C60アルキル基は、炭素数1~60の線状又は分枝状の飽和脂肪族炭化水素一価基を意味し、具体的な例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、ter-ブチル基、ペンチル基、iso-アミル基、ヘキシル基などが含まれる。本明細書において、C-C60アルキレン基は、C-C60アルキル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0163】
本明細書において、C-C60アルコキシ基は、-OA101(ここで、A101は、C-C60アルキル基である)の化学式を有する一価基を意味し、具体的な例は、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基などが含まれる。
【0164】
本明細書において、C-C60アルケニル基は、C-C60アルキル基の中間又は末端に、1以上の炭素・炭素二重結合を含む構造を有し、具体的な例は、エテニル基、プロぺニル基、ブテニル基などが含まれる。本明細書において、C-C60アルケニレン基は、C-C60アルケニル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0165】
本明細書において、C-C60アルキニル基は、C-C60アルキル基の中間又は末端に1以上の炭素・炭素三重結合を含む構造を有し、具体的な例は、エチニル基、プロピニル基などが含まれる。本明細書において、C-C60アルキニレン基は、C-C60アルキニル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0166】
本明細書において、C-C10シクロアルキル基は、炭素数3~10の一価飽和炭化水素単環式基を意味し、具体的な例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などを含む。本明細書において、C-C10シクロアルキレン基は、C-C10シクロアルキル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0167】
本明細書において、C-C10ヘテロシクロアルキル基は、N、O、P、Si、及びSのうちから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を、環形成原子として含む炭素数1~10の一価単環式基を意味し、具体的な例は、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオフェニル基などを含む。本明細書において、C-C10ヘテロシクロアルキレン基は、C-C10ヘテロシクロアルキル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0168】
本明細書において、C-C10シクロアルケニル基は、炭素数3~10の一価単環式基であり、環内に少なくとも1つの炭素・炭素二重結合を有するが、芳香族性(aromaticity)を有さない基を意味し、具体的な例は、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基などを含む。本明細書において、C-C10シクロアルケニレン基は、C-C10シクロアルケニル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0169】
本明細書において、C-C10ヘテロシクロアルケニル基は、N、O、P、Si、及びSのうちから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を環形成原子として含む炭素数1~10の一価単環式基であり、環内に少なくとも1つの二重結合を有する。C-C10ヘテロシクロアルケニル基の具体例は、2,3-ジヒドロフラニル基、2,3-ジヒドロチオフェニル基などを含む。本明細書において、C-C10ヘテロシクロアルケニレン基は、C-C10ヘテロシクロアルケニル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0170】
本明細書において、C-C60アリール基は、炭素原子数6~60の炭素環式芳香族系を有する一価基を意味し、C-C60アリーレン基は、炭素原子数6~60の炭素環式芳香族系を有する二価基を意味する。C-C60アリール基の具体例は、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、クリセニル基などを含む。C-C60アリール基及びC-C60アリーレン基が2以上の環を含む場合、2以上の環は、それぞれ融合される。
【0171】
本明細書において、C-C60ヘテロアリール基は、N、O、P、Si、及びSのうちから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を環形成原子として含み、炭素数1~60のヘテロ環式芳香族系を有する一価基を意味し、C-C60ヘテロアリーレン基は、N、O、P、Si、及びSのうちから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を環形成原子として含み、炭素数1~60の炭素環式芳香族系を有する二価基を意味する。C-C60ヘテロアリール基の具体例は、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基などを含む。C-C60ヘテロアリール基及びC-C60ヘテロアリーレン基が2以上の環を含む場合、2以上の環は、それぞれ融合される。
【0172】
本明細書において、C-C60アリールオキシ基は、-OA102(ここで、A102は、C-C60アリール基である)を示し、C-C60アリールチオ基は、-SA103(ここで、A103は、C-C60アリール基である)を示す。
【0173】
本明細書において、一価非芳香族縮合多環基は、2以上の環がそれぞれ縮合されて、環形成原子として炭素のみを含み(例えば、炭素数は、8~60である)、分子全体が非芳香族性(non-aromaticity)を有する一価基を意味する。非芳香族縮合多環基の具体例は、フルオレニル基などを含む。本明細書において、二価非芳香族縮合多環基は、一価非芳香族縮合多環基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0174】
本明細書において、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基は、2以上の環がそれぞれ縮合されて、環形成原子として炭素(例えば、炭素数は、1~60である)以外に、N、O、P、Si、及びSのうちから選択されるヘテロ原子を含み、分子全体が非芳香族性を有する一価基を意味する。一価非芳香族ヘテロ縮合多環基は、カルバゾリル基などを含む。本明細書において、二価非芳香族ヘテロ縮合多環基は、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0175】
本明細書において、C-C30炭素環式基は、環形成原子として、5~30の炭素のみを有する飽和又は不飽和の環式基を示す。C-C30炭素環式基は、単環式基又は多環式基であり、化学式構造により、一価基、二価基、三価基、四価基、五価基、又は六価基である。
【0176】
本明細書において、C-C30ヘテロ環式基は、環形成原子として、1~30の炭素以外に、N、O、P、Si、及びSのうちから選択されるヘテロ原子を少なくとも一つ有する飽和又は不飽和の環式基を示す。C-C30ヘテロ環式基は、単環式基又は多環式基であり、化学式構造により、一価基、二価基、三価基、四価基、五価基、又は六価基である。
【0177】
本明細書において、置換されたC-C30炭素環式基、置換されたC-C30ヘテロ環式基、置換されたC-C60アルキル基、置換されたC-C60アルケニル基、置換されたC-C60アルキニル基、置換されたC-C60アルコキシ基、置換されたC-C10シクロアルキル基、置換されたC-C10ヘテロシクロアルキル基、置換されたC-C10シクロアルケニル基、置換されたC-C10ヘテロシクロアルケニル基、置換されたC-C60アリール基、置換されたC-C60アリールオキシ基、置換されたC-C60アリールチオ基、置換されたC-C60ヘテロアリール基、置換された一価非芳香族縮合多環基、及び置換された一価非芳香族ヘテロ縮合多環基の置換基のうちの少なくとも一つは、
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、-CD、-CDH、-CDH、-CF、-CFH、-CFH、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C-C60アルキル基、C-C60アルケニル基、C-C60アルキニル基、及びC-C60アルコキシ基;
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、-CD、-CDH、-CDH、-CF、-CFH、-CFH、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C-C10シクロアルキル基、C-C10ヘテロシクロアルキル基、C-C10シクロアルケニル基、C-C10ヘテロシクロアルケニル基、C-C60アリール基、C-C60アリールオキシ基、C-C60アリールチオ基、C-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、-N(Q11)(Q12)、-Si(Q13)(Q14)(Q15)、-B(Q16)(Q17)、及び-P(=O)(Q18)(Q19)のうちの少なくとも一つで置換された、C-C60アルキル基、C-C60アルケニル基、C-C60アルキニル基、及びC-C60アルコキシ基;
-C10シクロアルキル基、C-C10ヘテロシクロアルキル基、C-C10シクロアルケニル基、C-C10ヘテロシクロアルケニル基、C-C60アリール基、C-C60アリールオキシ基、C-C60アリールチオ基、C-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基;
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、-CD、-CDH、-CDH、-CF、-CFH、-CFH、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C-C60アルキル基、C-C60アルケニル基、C-C60アルキニル基、C-C60アルコキシ基、C-C10シクロアルキル基、C-C10ヘテロシクロアルキル基、C-C10シクロアルケニル基、C-C10ヘテロシクロアルケニル基、C-C60アリール基、C-C60アリールオキシ基、C-C60アリールチオ基、C-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、-N(Q21)(Q22)、-Si(Q23)(Q24)(Q25)、-B(Q26)(Q27)、及び-P(=O)(Q28)(Q29)のうちの少なくとも一つで置換された、C-C10シクロアルキル基、C-C10ヘテロシクロアルキル基、C-C10シクロアルケニル基、C-C10ヘテロシクロアルケニル基、C-C60アリール基、C-C60アリールオキシ基、C-C60アリールチオ基、C-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基;並びに
-N(Q31)(Q32)、-Si(Q33)(Q34)(Q35)、-B(Q36)(Q37)、及び-P(=O)(Q38)(Q39);のうちから選択され、
ないしQ、Q11ないしQ19、Q21ないしQ29、及びQ31ないしQ39は、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C-C60アルキル基、C-C60アルケニル基、C-C60アルキニル基、C-C60アルコキシ基、C-C10シクロアルキル基、C-C10ヘテロシクロアルキル基、C-C10シクロアルケニル基、C-C10ヘテロシクロアルケニル基、C-C60アリール基、C-C60アルキル基・C-C60アリール基のうちの少なくとも一つで置換されたC-C60アリール基、C-C60アリールオキシ基、C-C60アリールチオ基、C-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基のうちから選択される。
【0178】
本明細書において、「常温」とは、約25℃の温度を示す。
【0179】
本明細書において、ビフェニル基とは、2個のベンゼンが単一結合を介して互いに連結される一価基である。
【0180】
本明細書において、ターフェニル基とは、3個のベンゼンが単一結合を介して互いに連結される一価基である。
【0181】
以下、合成例及び実施例を挙げ、本発明の一実施例による化合物及び有機発光素子について更に具体的に説明するが、本発明は、以下で述べる合成例及び実施例に限定されるものではない。下記合成例において、「『A』の代わりに『B』を使用した」という表現において、「B」の使用量と「A」の使用量は、モル当量基準で同一である。
【0182】
[実施例]
【0183】
≪実施例1≫
【0184】
アノードとして、ITO電極が形成されたガラス基板を50mm×50mm×0.5mmサイズに切り、アセトン、イソプロピルアルコール、及び純水の中で、それぞれ15分間超音波洗浄した後、30分間UV(ultraviolet)オゾン洗浄を行った。
【0185】
アノード上に化合物HT3及びHP-1(HP-1の濃度は、3重量%である)を共蒸着して100Å厚の正孔注入層を形成し、正孔注入層上に化合物HT3を蒸着して1,350Å厚の正孔輸送層を形成し、正孔輸送層上に化合物H-1を蒸着して100Å厚の電子阻止層を形成し、正孔輸送領域を形成した。
【0186】
正孔輸送領域上に、ホストとして化合物E-1及びH-1(9:1重量比)、及びドーパントとして化合物D-1(ホスト及びドーパントの総重量を基準に、15重量%)を共蒸着して400Å厚の発光層を形成した。
【0187】
発光層上に化合物E-1を真空蒸着して100Å厚の正孔阻止層を形成し、正孔阻止層上に化合物ET17及びLiQを5:5の重量比で共蒸着して300Å厚の電子輸送層を形成した後、電子輸送層上にLiQを蒸着して10Å厚の電子注入層を形成し、電子注入層上に1,000Å厚のAlを形成することにより、有機発光素子を作製した。
【0188】
≪実施例2~4及び比較例1~8≫
【0189】
発光層の形成時、ホスト及びドーパントを下記表2のように変更したという点を除いては、上記実施例1と同一方法を利用して有機発光素子を作製した。
【0190】
【表2】
【0191】
【化(E-1)-(DPEPO)】
【0192】
≪評価例1:素子特性評価≫
【0193】
実施例1~4及び比較例1~8で作製された有機発光素子の駆動電圧(at 10cd/m)、最大外部量子効率(EQEmax)、最大電力効率(PEmax)、輝度、外部量子効率(EQE、at 500cd/m)、効率ロールオフ(1-(EQE/EQEmax))、CIE色座標及び寿命(T50)の特性を流・電圧計(Keithley 2400)及び輝度計(Minolta Cs-1000A)を利用して測定し、その結果を表3に整理した。表3において、T50(at 500cd/m)は、初期輝度100%基準で50%輝度になるのにかかる時間を評価した寿命データである。
【0194】
【表3】
【0195】
上記表3から、実施例1~4で作製された有機発光素子は、比較例1~8の有機発光素子に比べて、高電力効率、高量子効率、及び長寿命を有することが確認される。
【0196】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0197】
本発明の、組成物、組成物を含む薄膜、及びそれを含む有機発光素子は、例えば、発光関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0198】
10 有機発光素子
11 第1電極
15 有機層
19 第2電極

図1