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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】床支持ユニット、高さ調整部材
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/00 20060101AFI20230804BHJP
【FI】
E04F15/00 101F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019104999
(22)【出願日】2019-06-05
(65)【公開番号】P2020197095
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000010065
【氏名又は名称】フクビ化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014029
【氏名又は名称】株式会社八木熊
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】星野 敦実
(72)【発明者】
【氏名】黒田 悠生
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊也
(72)【発明者】
【氏名】堀田 知佳
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-076967(JP,A)
【文献】特開2013-032697(JP,A)
【文献】特開2001-098746(JP,A)
【文献】実開昭61-003850(JP,U)
【文献】特開2005-030134(JP,A)
【文献】特開2015-175126(JP,A)
【文献】特開2011-032750(JP,A)
【文献】国際公開第2008/072982(WO,A1)
【文献】実開平07-021887(JP,U)
【文献】特開2011-001787(JP,A)
【文献】特開2003-074171(JP,A)
【文献】特開2018-048457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00
E04F 15/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に立設される柱部を備えた束部材および前記柱部の鉛直方向に沿って移動自在に係合する台座部材を有する床支持具の前記台座部材に重ねて載置される板状部材であり、前記床支持具の鉛直方向に沿った高さを調整する高さ調整部材であって、
鉛直方向の耐荷重が20kN以上であり、
前記高さ調整部材は、板状の基材と、前記台座部材に重ねたときに鉛直方向の上面となる前記基材の一面から他面側に向けて延び、前記一面で開口する複数の第1孔部と、前記基材の他面から一面側に向けて延び、前記他面で開口する第2孔部と、を有し、
前記基材は円板状の部材であり、前記基材の前記他面から立ち上がり、互いに同心円上に沿って延びる複数の円周壁と、前記基材の前記他面から立ち上がり、前記基材の外周面側から中心側に向かって延びる複数の放射状壁とを有し、前記第2孔部は、前記円周壁と前記放射状壁とで区画された扇状領域の底部を成す前記他面に形成され、
前記基材の外周面から前記他面よりも鉛直方向の下側まで延び、前記台座部材の周面に接する位置決めリブを有することを特徴とする高さ調整部材。
【請求項2】
前記位置決めリブは、その一部が最外周の前記円周壁と一体に形成され、前記円周壁の稜部よりも鉛直方向の下側まで延びることを特徴とする請求項に記載の高さ調整部材。
【請求項3】
前記基材の前記一面から前記他面までを貫通するネジ穴が更に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の高さ調整部材。
【請求項4】
鉛直方向に立設される柱部を備えた束部材、および前記柱部の鉛直方向に沿って移動自在に係合する台座部材を有する床支持具と、前記台座部材に重ねて載置される板状部材であり、前記床支持具の鉛直方向に沿った高さを調整する、請求項1からのいずれか一項に記載の1つまたは複数の前記高さ調整部材と、を備えた床支持ユニットであって、
前記高さ調整部材の鉛直方向の耐荷重は、前記床支持具の鉛直方向の耐荷重と同じかそれよりも大きいことを特徴とする床支持ユニット。
【請求項5】
前記床支持具の鉛直方向の耐荷重は5kN以上、前記高さ調整部材の鉛直方向の耐荷重は20kN以上であることを特徴とする請求項に記載の床支持ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、床材等を支持する床支持ユニット、および高さ調整部材に関する。
【背景技術】
【0002】
床支持具は、基礎(土台)の上で大引や根太などの床を構成する部材(以下、床材という。)を支持する支持脚として、基礎の上に複数並べた状態で設置される。このとき、床材を支持する高さに合わせて、それぞれの床支持具の高さ(長さ)を調整する必要がある。
【0003】
床支持具として、高さ調整が可能な合成樹脂(プラスチック)製の束柱(床束ともいう。)が知られている(例えば、特許文献1~4を参照。)。しかしながら、このような高さ調整機能付きの床支持具は、可動部分を長くすると耐荷重が低下する懸念があるため、高さ調整が可能な範囲が比較的小さい。この0かため、床支持具を設置する基礎の凹凸が大きい場合や、基礎から高い位置に床材を設置する場合、従来の床支持具では対応できないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-170302号公報
【文献】特開2000-170356号公報
【文献】特開2003-074171号公報
【文献】特開2007-107330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、簡易な構造で高さの調整範囲が広い床支持ユニット、および床支持具の高さの調整範囲を広げることが可能な高さ調整部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
即ち、本発明の床支持ユニットは、鉛直方向に立設される柱部を備えた束部材、および前記柱部の鉛直方向に沿って移動自在に係合する台座部材を有する床支持具と、前記台座部材に重ねて載置される板状部材であり、前記床支持具の鉛直方向に沿った高さを調整する、後述する1つまたは複数の前記高さ調整部材と、を備えた床支持ユニットであって、前記高さ調整部材の鉛直方向の耐荷重は、前記床支持具の鉛直方向の耐荷重と同じかそれよりも大きいことを特徴とする。
【0007】
また、本発明では、前記床支持具の鉛直方向の耐荷重は5kN以上、前記高さ調整部材の鉛直方向の耐荷重は20kN以上であってもよい。
【0008】
本発明の高さ調整部材は、鉛直方向に立設される柱部を備えた束部材および前記柱部の鉛直方向に沿って移動自在に係合する台座部材を有する床支持具の前記台座部材に重ねて載置される板状部材であり、前記床支持具の鉛直方向に沿った高さを調整する高さ調整部材であって、鉛直方向の耐荷重が20kN以上であり、前記高さ調整部材は、板状の基材と、前記台座部材に重ねたときに鉛直方向の上面となる前記基材の一面から他面側に向けて延び、前記一面で開口する複数の第1孔部と、前記基材の他面から一面側に向けて延び、前記他面で開口する第2孔部と、を有し、前記基材は円板状の部材であり、前記基材の前記他面から立ち上がり、互いに同心円上に沿って延びる複数の円周壁と、前記基材の前記他面から立ち上がり、前記基材の外周面側から中心側に向かって延びる複数の放射状壁とを有し、前記第2孔部は、前記円周壁と前記放射状壁とで区画された扇状領域の底部を成す前記他面に形成され、前記基材の外周面から前記他面よりも鉛直方向の下側まで延び、前記台座部材の周面に接する位置決めリブを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明では、前記高さ調整部材は、板状の基材と、前記台座部材に重ねたときに鉛直方向の上面となる前記基材の一面から他面側に向けて延び、前記一面で開口する複数の第1孔部と、前記基材の他面から一面側に向けて延び、前記他面で開口する第2孔部と、を有していてもよい。
【0012】
また、本発明では、前記位置決めリブは、その一部が最外周の前記円周壁と一体に形成され、前記円周壁の稜部よりも鉛直方向の下側まで延びていてもよい。
【0013】
また、本発明では、前記基材の前記一面から前記他面までを貫通するネジ穴が更に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡便な構造を有しつつ、高さの調整範囲が広い床支持ユニット、および床支持具の高さの調整範囲を広げることが可能な高さ調整部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態の床支持ユニットの構成を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態の床支持ユニットの鉛直方向に沿った断面図である。
図3】本発明の一実施形態の高さ調整部材を示す外観斜視図である。
図4】高さ調整部材の鉛直方向に沿った断面図である。
図5】高さ調整部材の一面側の平面図である。
図6】高さ調整部材の他面側の平面図である。
図7】本発明の一実施形態の床支持ユニットの使用状態を示す外観斜視図である。
図8】本発明の一実施形態の床支持ユニットの使用状態を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態の床支持ユニット、および高さ調整部材について説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態の床支持ユニットの構成を示す斜視図である。また、図2は、床支持ユニットの鉛直方向に沿った断面図である。
床支持ユニット1は、鉛直方向に沿った高さ調整が可能な束柱(床束)であり、基礎(土台)Gの上で大引や根太などの床を構成する部材(床材)を任意の高さで支持する支持脚として使用される。
【0018】
床支持ユニット1は、床支持具10と、1つないし複数の高さ調整部材20とから構成されている。
床支持具10は、束部材12と、台座部材13とを備えている。束部材12と台座部材13とはそれぞれ、例えば、合成樹脂材料により一体成形されたものからなる。合成樹脂材料としては、屋外用という過酷な自然環境での使用に耐え得る耐候性樹脂として、例えば、ポリプロピレン(PP)等の熱可塑性樹脂や、ポリプロピレン(PP)とガラス繊維とを混合したガラス繊維強化ポリプロピレン(GFPP)等の複合材料などを好適に用いることができる。
【0019】
なお、束部材12及び台座部材13の構成材料は、上述した合成樹脂材料を用いたものに限定されるものではなく、例えば、金属材料や、金属と合成樹脂材料とを組み合わせて構成するなど、最適な材料を適宜選択して使用できる。
【0020】
束部材12は、中空円筒状の柱部14と、柱部14の基端側に位置して柱部14を立設した状態で支持する脚部15と、柱部14の外周面に形成された雄ネジ部16とを有している。
【0021】
柱部14は、脚部15の中央部分から鉛直方向Hに沿って上向きに所定の高さ(長さ)で立ち上がるように形成されている。雄ネジ部16は、例えば鋸歯ネジからなり、柱部14の基端部14aと先端部14bとの間に亘って設けられている。
【0022】
なお、柱部14の外周面には、柱部14の基端部14aから鉛直方向Hに沿った高さ位置の基準を示す目盛り表示部(図示略)などを設けておくこともできる。この場合、目盛り表示部の形成部分は雄ネジ部16を切り欠いておくことが好ましい。
【0023】
また、中空円筒状の柱部14の内部には、柱部14の剛性を高めるためのリブ壁(図示略)などを形成しておくことも好ましい。こうしたリブ壁は、例えば、柱部14の内周面の周方向に沿って、等間隔に複数形成された補強壁であればよい。
【0024】
脚部15は、円板状の底板32と、この底板32の中心付近から立ち上がり、柱部14の基端部14aを挿入、支持する円筒形の柱部支持体17と、柱部支持体17の外周面17aと底板32の上面32aとを繋ぐ、放射状に広がる複数の補強リブ31,31…と、を有している。
【0025】
底板32は、床支持ユニット1の使用時に、下面32bが基礎(土台)Gに接するように載置される。
この底板32には、上面32aと下面32bとの間で貫通する。円弧状の開口32cが同心円上に多数形成される。こうした開口32cを形成することによって、脚部15を軽量化することができる。
【0026】
柱部支持体17は、内周面に柱部14の雄ネジ部16と螺合する雌ネジ部19が形成されている。こうした柱部支持体17の雌ネジ部19と、柱部14の雄ネジ部16との螺合によって、柱部14の先端側に係合された、後述する台座部材13の束部材12に対する高さを、例えば、雌ネジ部19の形成長さの2/3程度の範囲で調整することができる。
【0027】
また、柱部14には、更にストッパ部材11を形成することも好ましい。ストッパ部材11は、例えばリング状の部材であり、内周面に柱部14の雄ネジ部16と螺合する雌ネジ(図示略)が形成されている。柱部支持体17の雌ネジ部19と、柱部14の雄ネジ部16との螺合位置、即ち台座部材13の高さを調整した後、このストッパ部材11を柱部支持体17の先端部分に接する位置まで下げることによって、柱部14の回転を抑制して、設定した台座部材13の高さ位置が変わることを防止する。
【0028】
補強リブ31,31…は、柱部支持体17によって鉛直方向Hに立設するように支持された柱部14に対して、斜め方向に応力が加わっても、柱部支持体17が屈曲したり破損したりすることを防止する。
【0029】
台座部材13は、例えば円板状の部材からなり、上面13aには後述する高さ調整部材20が積み重ねられる。台座部材13の下面13bには、柱部14の先端側に形成された係着部材18を挿入可能な凹部13cが形成されている。こうした凹部13cに係着部材18を挿入し、係着部材18に形成されたネジ穴18aを介してネジ等で係着部材18と台座部材13とを係合させることによって、柱部14の先端側に台座部材13が固定される。また、凹部13cの底面と、係着部材18とを接着剤等によって接合することも好ましい。
【0030】
また、台座部材13の下面13bには、一方が閉孔された複数の孔部13dを形成することが好ましい。こうした孔部13dは、凹部13cの底面と係着部材18とを接着剤によって接合する際に、アンカー孔として作用する。
【0031】
以上のような構成の床支持具10の鉛直方向Hに沿った耐荷重は、後述する高さ調整部材20の耐荷重と同じか、それよりも低くてもよい。床支持具10の鉛直方向Hの耐荷重は、例えば、5kN以上、より好ましくは6kN以上である。なお、床支持具10の耐荷重の上限は特に限定する必要はないが、コストや軽量化の面から、例えば20kN以下であればよい。
【0032】
なお、本実施形態では、束部材12の底板32や台座部材13は円板状に形成しているが、これに限定されるものではなく、矩形板状や六角形板状など、各種形状の板状材を用いることができる。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態の高さ調整部材を示す外観斜視図である。また、図4は、高さ調整部材の鉛直方向に沿った断面図である。また、図5は、高さ調整部材の一面側の平面図、図6は、高さ調整部材の他面側の平面図である。
【0034】
本発明の一実施形態の高さ調整部材20は、床支持ユニット1を構成する床支持具10の台座部材13に重ねて用いる。高さ調整部材20は、円板状の基材21と、床支持具10の台座部材13に重ねたときに上面となる基材21の一面21aから底部を成す他面21b側に向けて延び、一面21aで開口する複数の第1孔部22と、基材21の他面21bから一面21a側に向けて延び、他面21bで開口する第2孔部23とを有している。
【0035】
本実施形態では、第1孔部22および第2孔部23は、開口面が四角形を成す四角柱状の孔であり、それぞれ基材21の鉛直方向に沿った厚みの半分よりも浅い深さになるように形成されている。これにより、第1孔部22と第2孔部23の形成位置が重なっても、互いに連通して基材21の強度が低下することを防止する。
また、第1孔部22の形成数は、第2孔部23の形成数よりも多く、本実施形態では、第1孔部22は200個~300個程度、第2孔部23は50個~150個程度形成されている。
【0036】
また、本実施形態では、基材21の一面21aにおける全ての第1孔部22の開口面積は、基材21の他面21bにおける全ての第2孔部23の開口面積よりも大きい。
こうした第1孔部22および第2孔部23は、高さ調整部材20の鉛直方向に沿った耐荷重を低下させることなく、高さ調整部材20の軽量化、および製造コストの低減を図ることができる。また、第1孔部22は、高さ調整部材20に部材(床材)をビス等で固定する際に生じたバリを落とし込むことによって、高さ調整部材20と部材(床材)との間に浮きが生じることを防止する。
【0037】
また、基材21の一面21aには、他面21bまでを貫通するネジ穴28が更に形成されている。床支持具10の台座部材13に高さ調整部材20を重ねたのち、こうしたネジ穴28に例えばタッピングネジを挿入し、台座部材13に係合させることで、床支持具10と高さ調整部材20とを固定することができる。
【0038】
なお、本実施形態では、高さ調整部材20の基材21は円板状に形成しているが、これに限定されるものではなく、矩形板状や六角形板状など、各種形状の板状材を用いることができ、特に床支持具10の台座部材13の外形形状に合わせて形成すればよい。
【0039】
また、高さ調整部材20は、基材21の他面21bから立ち上がり、互いに同心円上に沿って延びる複数の円周壁25と、基材21の他面21bから立ち上がり、基材21の外周面側から中心側に向かって延びる複数の放射状壁26とを有している。こうした円周壁25および放射状壁26によって、基材21の他面21bには、複数の扇状領域が区画される。
【0040】
このように基材21の他面21bに円周壁25や放射状壁26を形成すれば、高さ調整部材20の重量を大きく増加させることなく、高さ調整部材20の鉛直方向の厚みを増加させて、耐荷重を向上させることができる。
【0041】
また、複数の円周壁25のうち、例えば円周壁25aは、その端部が床支持具10を構成する柱部14の先端部14bに対して、台座部材13を介して重なる位置に形成されている(図2を参照)。これにより、高さ調整部材20に加わる荷重は床支持具10の柱部14に伝わり、床支持具10全体で高さ調整部材20に加わる荷重を安定して受け止めることができる。
【0042】
また、高さ調整部材20は、基材21の外周面21cから他面21bよりも下側まで延びる位置決めリブ27が1つないし複数形成されている。こうした位置決めリブ27は、床支持具10の台座部材13に高さ調整部材20を積み重ねた際に、台座部材13の周面13eに接する。
【0043】
本実施形態では、位置決めリブ27は、基材21の外周面21cに沿って間欠的に4か所形成されている。なお、本実施形態の位置決めリブ27は、基材21の外周面21cから延びる最外周の円周壁25と一体に形成され、この円周壁25の稜部25aよりも下側まで延びるように形成されている。
【0044】
また、互いに隣接する位置決めリブ27どうしの間隔は、1つの高さ調整部材20に更に別な高さ調整部材20を積み重ねた際に、この別な高さ調整部材20の位置決めリブ27が入り込むことが可能な幅以上になるように形成されている。
【0045】
こうした位置決めリブ27は、床支持具10に高さ調整部材20を積み重ねた際に、台座部材13から高さ調整部材20が位置ズレすることを防止する。また、高さ調整部材20を複数積み重ねた際に、高さ調整部材20どうしが位置ズレすることを防止する。
【0046】
また、位置決めリブ27は、基材21の外周面21cから延びる最外周の円周壁25と一体に形成すれば、一体化した部分は位置決めリブ27の厚さに、最外周の円周壁25の厚さを加えた厚さになり、位置決めリブ27の基端部分の強度を増すことができる。
【0047】
以上のような構成の高さ調整部材20の鉛直方向Hに沿った耐荷重は、床支持具10の耐荷重と同じか、それよりも大きくなるように形成される。高さ調整部材20の鉛直方向Hの耐荷重の範囲は、例えば、20kN以上、好ましくは50kN以上である。なお、高さ調整部材20の耐荷重の上限は特に限定する必要はないが、コストや軽量化の面から、例えば200kN以下であればよい。
【0048】
以上のような構成の本発明の床支持ユニット1および高さ調整部材20の作用を、図2図7を用いて説明する。図7は、本発明の一実施形態の床支持ユニットの使用状態を示す外観斜視図である。
【0049】
高さ調整部材20およびこれを備えた床支持ユニット1は、床支持具10の高さ調整が可能な範囲を拡大させる。床支持ユニット1の使用時において、床支持ユニット1を構成する床支持具10によって可能な高さ調整範囲、即ち柱部14を回転させて柱部支持体17に対する螺合位置を調整可能な範囲を超えた高さまで床支持ユニット1の高さを上げる必要がある場合、予め床支持具10の台座部材13に高さ調整部材20を必要な枚数だけ重ねる。
【0050】
例えば、高さ調整部材20の基材21の他面21b側における円周壁25および放射状壁26の端部が、台座部材13の上面13aに接するように重ねる。この時、台座部材13の周面13eを取り囲むように、複数の位置決めリブ27が接する。これにより、高さ調整部材20が台座部材13からズレることを防止する。
【0051】
また、高さ調整部材20の基材21のネジ穴28にタッピングネジなどを挿入し、台座部材13に係合させることによって、高さ調整部材20を台座部材13に固定しておくことも好ましい。これにより、台座部材13から高さ調整部材20が離脱することを防止できる。
【0052】
また、図8に示すように、高さの調整範囲が大きいために高さ調整部材20を複数重ねる際には、上に重ねる高さ調整部材20の位置決めリブ27が、下側の高さ調整部材20の位置決めリブ27どうしの間に入るように重ねる。こうした複数積み重ねた高さ調整部材20どうしも、例えばタッピングネジなどによって互いに係合しておくことが好ましい。位置決めリブ27の位置を互いにずらして複数の高さ調整部材20を積み重ねることによって、ネジ穴28の位置もずれるので、積み重ねた高さ調整部材20どうしをネジによって係合することが可能になる。
【0053】
次に、床支持具10の柱部支持体17に対して柱部14を回転させて、束部材12の底板32から、最上部の高さ調整部材20の一面21aまでの、床支持ユニット1の高さが所望の高さになるように微調整する。
この後、床支持ユニット1を束柱(床束)として、建築物の大引や根太などの床を構成する部材(床材)を設置する。
【0054】
以上のように、本実施形態の床支持ユニット1によれば、床支持具10の台座部材13に任意の枚数の高さ調整部材20を重ねるだけで、互いに螺合した柱部支持体17と柱部14との高さ調整範囲、即ち鉛直方向Hに沿った雄ネジ部16と雌ネジ部19との形成範囲を超えて、容易に床材の設置高さを調整することができる。
【0055】
そして、高さ調整部材20の鉛直方向Hに沿った耐荷重を、床支持具10の鉛直方向Hの耐荷重と同じかそれよりも大きくすることで、床支持ユニット1のうち、部材(床材)に直接接して荷重が加わる高さ調整部材20の破損を防止し、床支持具10の耐荷重と同等以上の床支持ユニット1を実現することができる。
【0056】
また、高さ調整部材20は、可動部分などがなく、樹脂等を一体成型するだけで容易に、かつ低コストに製造できるので、床支持具10の柱部支持体17と柱部14との高さ調整範囲を超えるような、部材(床材)の高さ位置の幅広い調整が可能な床支持ユニット1を低コストに提供することができる。
【0057】
なお、本実施形態における高さ調整部材の鉛直方向の耐荷重や、床支持具の鉛直方向の耐荷重は、以下のように測定される。
試験機:テンシロン万能材料試験機 RTF-1350(株式会社エー・エンド・ディ製)
試験方法;図1に示す構成の高さ調整部材20、および床支持具10を、それぞれ上記の試験機を用いて、鉛直方向に沿って試験速度20mm/minで荷重を加え、変形、破損部分が発生した直前の印加荷重を、鉛直方向の耐荷重とする。なお、高さ調整部材20は、位置決めリブ27をカットして、高さ調整部材20の実際の使用時に荷重が加わる部分と同じ部分に荷重が加わるようにする。
【0058】
以上、本発明の床支持ユニット、および高さ調整部材を説明したが、これらの床支持ユニット、高さ調整部材は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら床支持ユニット、高さ調整部材は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら床支持ユニット、高さ調整部材やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
1…床支持ユニット
10…床支持具
12…束部材
13…台座部材
14…柱部
15…脚部
16…雄ネジ部
17…柱部支持体
19…雌ネジ部
20…高さ調整部材
21…基材
22…第1孔部
23…第2孔部
27…位置決めリブ
図1
図2
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図8