特許 7325244 二重着陸装置航空機用の制動システム

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2023-08-03

(45)【発行日】2023-08-14

(54)【発明の名称】二重着陸装置航空機用の制動システム

(51)【国際特許分類】

   B64C 25/44 20060101AFI20230804BHJP

   B60T 17/18 20060101ALI20230804BHJP

   B60T 8/88 20060101ALI20230804BHJP

   B60T 8/17 20060101ALI20230804BHJP

   B60T 8/1761 20060101ALI20230804BHJP

【ＦＩ】

B64C25/44

B60T17/18

B60T8/88

B60T8/17 B

B60T8/1761

【請求項の数】 9

【外国語出願】

(21)【出願番号】P 2019116985

(22)【出願日】2019-06-25

(65)【公開番号】P2020023308

(43)【公開日】2020-02-13

【審査請求日】2022-06-08

(31)【優先権主張番号】16/019,729

(32)【優先日】2018-06-27

(33)【優先権主張国・地域又は機関】US

(73)【特許権者】

【識別番号】500520743

【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー

【氏名又は名称原語表記】Ｔｈｅ Ｂｏｅｉｎｇ Ｃｏｍｐａｎｙ

(74)【代理人】

【識別番号】110002077

【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人

(72)【発明者】

【氏名】ハバード， テイラー アール．

(72)【発明者】

【氏名】ヤマモト， デーヴィッド ティー．

【審査官】伊藤 秀行

(56)【参考文献】

【文献】特表２００３－５０２１９７（ＪＰ，Ａ）

【文献】米国特許出願公開第２００５／０１８９８１４（ＵＳ，Ａ１）

【文献】米国特許出願公開第２００６／０１０８８６４（ＵＳ，Ａ１）

【文献】米国特許出願公開第２０１０／００６３７０３（ＵＳ，Ａ１）

【文献】特開２００８－０３７４１６（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１１－０９３５２３（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ６４Ｃ ２５／４４

Ｂ６４Ｃ ２５／４２

Ｂ６０Ｔ ８／１７

Ｂ６０Ｔ ８／８８

Ｂ６０Ｔ １７／１８

Ｂ６０Ｔ １３／７４

Ｂ６０Ｔ １３／６６

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

左と右の着陸装置であって、それぞれが前方及び後方インボード車輪並びに前方及び後方アウトボード車輪を有する左と右の着陸装置を備える二重着陸装置航空機用の制動システム（１０）であって、
パイロット入力に応答して、前記アウトボード前方車輪（６９）だけを備えた第１の車輪ペアと前記アウトボード後方車輪（６９）だけを備えた第２の車輪ペアの制動を対称に制御するために、制動制御信号を生成する少なくとも１つの第１の処理回路（２１）を備えた、アウトボード制動システム制御ユニット（２０）、
前記パイロット入力に応答して、前記インボード前方車輪（６９）だけを備えた第３の車輪ペアと前記インボード後方車輪（６９）だけを備えた第４の車輪ペアの制動を対称に制御するために、制動制御信号を生成する少なくとも１つの第２の処理回路（２１）を備え、前記アウトボード制動システム制御ユニット（２０）から独立している、インボード制動システム制御ユニット（３０）、並びに
前記制動制御信号に応答して、前記車輪（６９）に制動力を加える液圧システム（４０）を備え、
前記アウトボード制動システム制御ユニット（２０）が、前記左と右の両方の着陸装置の前記アウトボード前方車輪（６９）だけを制動するために、第１の制御レーン（９１）に沿って前記制動制御信号を送信し、前記左と右の両方の着陸装置の前記アウトボード後方車輪（６９）だけを制動するために、第２の制御レーン（９２）に沿って前記制動制御信号を送信し、前記第１の制御レーン（９１）が、前記第２の制御レーン（９２）から独立している、制動システム。

【請求項2】

前記インボード制動システム制御ユニット（３０）が、前記左と右の両方の着陸装置の前記インボード前方車輪（６９）だけを制動するために、第３の制御レーン（９３）に沿って前記制動制御信号を送信し、前記左と右の両方の着陸装置の前記インボード後方車輪（６９）だけを制動するために、第４の制御レーン（９４）に沿って前記制動制御信号を送信し、前記第３の制御レーン（９３）が、前記第４の制御レーン（９４）から独立している、請求項１に記載の制動システム。

【請求項3】

前記インボード及びアウトボード制動システム制御ユニット（２０、３０）が、個別の第１及び第２の入力を含む前記パイロット入力を受け取る入力インターフェースを（２３）更に備える、請求項１に記載の制動システム。

【請求項4】

前記液圧システム（４０）が、
前記車輪（６９）において制動器（５０）に液圧流体を供給する第１の液圧ライン（４９）及び代替的なライン（７５）と、
前記アウトボード及びインボード制動システム制御ユニット（２０、３０）から受信した前記制動制御信号に応答して、前記制動器（５０）に供給される前記液圧流体の圧力を調節するための、前記第１の液圧ライン（４９）及び前記代替的なライン（７５）に沿って位置決めされたサーボ弁（４６）と、
前記第１の液圧ライン（４９）及び前記代替的なライン（７５）を動作可能に連結するシャトル弁（８１）であって、前記第１の液圧ライン（４９）と前記代替的なライン（７５）のうちの一方からの液圧流体を供給するシャトル弁（８１）と
を備える、請求項１に記載の制動システム。

【請求項5】

前記第１の液圧ライン（４９）に沿って位置決めされた前記サーボ弁（４６）のそれぞれが、前記制動器（５０）のうちの１つに対する圧力を調節し、前記代替的なライン（７５）に沿って位置決めされた前記サーボ弁（４６）が、前記左と右の着陸装置のうちの一方の前記制動器（５０）のペアに対する圧力を調節する、請求項４に記載の制動システム。

【請求項6】

前記左と右の着陸装置のうちの一方の前記制動器（５０）に対する前記第１の液圧ライン（４９）に沿った前記液圧流体の前記圧力を調節する前記サーボ弁（４６）のそれぞれを収容する第１のモジュール（４１）、及び前記左と右の着陸装置のうちの他方の前記制動器（５０）に対する前記代替的なライン（７５）に沿った前記液圧流体の前記圧力を調節する前記サーボ弁（４６）のそれぞれを収容する第２のモジュール（４２）を更に備える、請求項４に記載の制動システム。

【請求項7】

前記第１及び第２のモジュール（４１、４２）のそれぞれが、前記液圧流体の漏れを低減させるための遮断弁（４７）を備える、請求項６に記載の制動システム。

【請求項8】

前記アウトボード制動システム制御ユニット（２０）が、前記前方及び後方アウトボード車輪（６９）のそれぞれに液圧流体を供給する前記サーボ弁（４６）を制御し、前記インボード制動システム制御ユニット（３０）が、前記前方及び後方インボード車輪（６９）のそれぞれに液圧流体を供給する前記サーボ弁（４６）を制御する、請求項４に記載の制動システム。

【請求項9】

請求項１に記載の制動システム（１０）を有する航空機。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、広くは、航空機用の制動システムに関し、特に、単純でロバストな制動システムを生成する二重着陸装置航空機用の制動器組み合わせスキームに関する。

【背景技術】

【0002】

航空機は、複数の車輪セットを含む二重着陸装置アーキテクチャを含むことができる。各車輪セットは、２つ以上のインボード車輪及び２つ以上のアウトボード車輪として配置された車輪を含む。車輪は、更に、航空機の前部により近い前方車輪及び航空機の後部に向いた後方車輪のセットとして配置された。

【0003】

従来の制動システムは、航空機を左制動システムと右制動システムに分割した。これらの従来のシステムの故障は、航空機の片側だけに沿って制動が加えられる制動の非対称損失をもたらした。これは、パイロットの作業負荷を増加させ、航空機が引き続き出発することを妨げる場合もあった。これらの従来のシステムは、しばしば、複雑で高価な冗長システム及びモニタリングシステムを含んだ。

【0004】

したがって、制動の非対称損失を低減させ且つ／又は防止する航空機制動システムが必要である。

【発明の概要】

【0005】

本出願は、航空機用の制動システムを対象としている。該制動システムは、航空機の車輪の対称な制動を提供するように構成されている。

【0006】

一態様は、左と右の着陸装置であって、それぞれが前方及び後方インボード車輪並びに前方及び後方アウトボード車輪を有する左と右の着陸装置を含む二重着陸装置航空機用の制動システムを対象とする。該制動システムは、パイロット入力に応答して、アウトボード前方車輪だけを含む第１の車輪ペア及びアウトボード後方車輪だけを含む第２の車輪ペアの制動を対称に制御するために、制動制御信号を生成する少なくとも１つの第１の処理回路を有する、アウトボード制動システム制御ユニットを含む。インボード制動システム制御ユニットは、パイロットの入力に応答して、インボード前方車輪だけを含む第３の車輪ペア及びインボード後方車輪だけを含む第４の車輪ペアの制動を対称に制御するために、制動制御信号を生成する少なくとも１つの第２の処理回路を含む。インボード制動システム制御ユニットは、アウトボード制動システム制御ユニットから独立している。制動制御信号に応答して、液圧システムが車輪に制動力を加える。

【0007】

一態様では、アウトボード制動システム制御ユニットが、左と右の両方の着陸装置のアウトボード前方車輪だけを制動するために、第１の制御レーンに沿って制動制御信号を送信し、左と右の両方の着陸装置のアウトボード後方車輪だけを制動するために、第２の制御レーンに沿って制動制御信号を送信する。この場合、第１の制御レーンは、第２の制御レーンから独立している。

【0008】

一態様では、インボード制動システム制御ユニットが、左と右の両方の着陸装置のインボード前方車輪だけを制動するために、第３の制御レーンに沿って制動制御信号を送信し、左と右の両方の着陸装置のインボード後方車輪だけを制動するために、第４の制御レーンに沿って制動制御信号を送信する。この場合、第３の制御レーンは、第４の制御レーンから独立している。

【0009】

一態様では、インボード及びアウトボード制動システム制御ユニットが、個別の第１及び第２の入力を含むパイロット入力を受け取るように構成された入力インターフェースを更に含む。

【0010】

一態様では、液圧システムが、車輪において制動器に液圧流体を供給する第１の液圧ライン及び代替的なライン、第１及び第２の制動システム制御ユニットから受信した制動制御信号に応答して、制動器に供給される液圧流体の圧力を調節するための、第１の液圧ライン及び代替的なラインに沿って位置決めされたサーボ弁、第１の液圧ライン及び代替的なラインを動作可能に連結するシャトル弁であって、第１の液圧ラインと代替的なラインのうちの一方からの液圧流体を供給するように構成されたシャトル弁を含む。

【0011】

一態様では、第１の液圧ラインに沿って位置決めされたサーボ弁のそれぞれが、制動器のうちの１つに対する圧力を調節し、代替的な供給ラインに沿って位置決めされたサーボ弁が、左と右の着陸装置のうちの一方の制動器のペアに対する圧力を調節する。

【0012】

一態様では、第１のモジュールが、左と右の着陸装置のうちの一方の制動器に対する第１の液圧ラインに沿った液圧流体の圧力を調節するサーボ弁のそれぞれを収容し、第２のモジュールが、左と右の着陸装置のうちの他方の制動器に対する第２の液圧ラインに沿った液圧流体の圧力を調節するサーボ弁のそれぞれを収容する。

【0013】

一態様では、第１及び第２のモジュールのそれぞれが、液圧流体の漏れを低減させるための遮断弁を含む。

【0014】

一態様では、アウトボード制動システム制御ユニットが、前方及び後方アウトボード車輪のそれぞれに液圧流体を供給するサーボ弁を制御し、インボード制動システム制御ユニットが、前方及び後方インボード車輪のそれぞれに液圧流体を供給するサーボ弁を制御する。

【0015】

一態様は、パイロット入力に応答して、アウトボード前方車輪だけを含む第１の車輪ペア及びアウトボード後方車輪だけを含む第２の車輪ペアの制動を対称に制御するために、制動制御信号を生成する少なくとも１つの第１の処理回路を有する、アウトボード制動システム制御ユニットを含む制動システムを有する、航空機を対象とする。該制動システムは、パイロットの入力に応答して、インボード前方車輪だけを含む第３の車輪ペア及びインボード後方車輪だけを含む第４の車輪ペアの制動を対称に制御するために、制動制御信号を生成する少なくとも１つの第２の処理回路を含む、インボード制動システム制御ユニットを含む。インボード制動システム制御ユニットは、アウトボード制動システム制御ユニットから独立している。該制動システムは、制動制御信号に応答して車輪に制動力を加える液圧システムを含む。

【0016】

一態様は、左と右の着陸装置であって、それぞれが前方及び後方インボード車輪並びに前方及び後方アウトボード車輪を有する左と右の着陸装置を含む二重着陸装置航空機用の制動システムを対象とする。該制動システムは、複数の供給ラインであって、それぞれが車輪のうちの１つの制動を制御するために液圧流体を供給する複数の供給ラインを有する、液圧システムを含む。供給ラインのそれぞれは、複数の弁、及び車輪のうちの１つに制動力を加える制動器を含む。該制動システムは、パイロット入力に応答して、アウトボード前方車輪だけを有する第１の車輪ペアの弁及びアウトボード後方車輪だけを有する第２の車輪ペアの弁を制御するために、制動制御信号を生成する第１の処理回路を有する、アウトボード制動システム制御ユニットを含む。インボード制動システム制御ユニットは、インボード前方車輪だけを有する第３の車輪ペアの弁及びインボード後方車輪だけを含む第４の車輪ペアの弁を制御するために、制動制御信号を生成する第２の処理回路を含む。アウトボード及びインボード制動システム制御ユニットは、パイロット入力を受け取り、車輪ペアのそれぞれの弁を制御して、車輪ペアのそれぞれの車輪に対称な制動力を加える。

【0017】

一態様では、第１の制御レーンが、アウトボード制動システム制御ユニットと、アウトボード前方車輪の供給ラインのうちの１つの弁のうちの１つとの間で延在し、第２の制御レーンが、アウトボード制動システム制御ユニットと、アウトボード後方車輪の供給ラインのうちの１つ弁のうちの１つとの間で延在し、第３の制御レーンが、インボード制動システム制御ユニットと、インボード前方車輪の供給ラインのうちの１つの弁のうちの１つとの間で延在し、且つ、第４の制御レーンが、インボード制動システム制御ユニットと、インボード後方車輪の供給ラインのうちの１つの弁のうちの１つとの間で延在する。この場合、制御レーンのそれぞれは、互いに独立している。

【0018】

一態様では、液圧システムが、第１の液圧供給ライン及び代替的な液圧供給ラインを含み、供給ラインのそれぞれが、パイロット入力に基づいて、第１の液圧供給ラインと代替的な液圧供給ラインのうちの一方から制動器に液圧流体を選択的に供給するためのシャトル弁を更に含む。

【0019】

一態様では、インボード及びアウトボード制動システム制御ユニットのそれぞれが、第１及び第２のパイロットの両方からパイロット入力を受け取る。

【0020】

一態様は、航空機を制動する方法を対象とする。該方法は、アウトボード制動システム制御ユニットとインボード制動システム制御ユニットの両方においてパイロット入力を受け取ることを含む。該方法は、パイロット入力に基づいて、アウトボード制動システム制御ユニットから第１の制動信号を送信すること、並びに右の着陸装置と左の着陸装置の前方アウトボード車輪の第１のペア及び右の着陸装置と左の着陸装置の後方アウトボード車輪の第２のペアを対称に制動することを含む。該方法は、パイロット入力に基づいて、インボード制動システム制御ユニットから第２の制動信号を送信すること、並びに右の着陸装置と左の着陸装置の前方インボード車輪の第３のペア及び右の着陸装置と左の着陸装置の後方インボード車輪の第４のペアを対称に制動することを含む。

【0021】

一態様では、該方法が、第１の制御レーンを介してアウトボード制動システム制御ユニットから前方アウトボード車輪の第１のペアに第１の制動信号を送信すること、及び独立した第２の制御レーンを介してアウトボード制動システム制御ユニットから後方アウトボード車輪の第２のペアに第１の制動信号を送信することを含む。

【0022】

一態様では、該方法が、第３の制御レーンを介してインボード制動システム制御ユニットから前方インボード車輪の第３のペアに第２の制動信号を送信すること、及び独立した第４の制御レーンを介してインボード制動システム制御ユニットから後方インボード車輪の第４のペアに第２の制動信号を送信することを含む。

【0023】

一態様では、該方法が、パイロット入力から第１の入力と第２の入力のうちの大きい方を決定すること、第１の入力と第２の入力のうちの大きい方に基づいて、アウトボード制動システム制御ユニットから第１の制動信号を送信すること、アウトボード車輪の第１のペアと第２のペアを対称に制動すること、第１の入力と第２の入力のうちの大きい方に基づいて、インボード制動システム制御ユニットから第２の制動信号を送信すること、及びインボード車輪の第３のペアと第４のペアを対称に制動することを含む。

【0024】

一態様では、該方法が、パイロット入力から前方車輪ペアと後方車輪ペアの制動命令のうちの小さいほうを決定すること、及び前方車輪ペアと後方車輪ペアの制動命令のうちの小さい方に基づいて、代替的な制動を制御することを含む。

【0025】

一態様では、該方法が、サーボ弁に制動信号を送信すること、液圧流体の流れを調整すること、及び制動器のペアの制動を調整することを含む。

【図面の簡単な説明】

【0026】

【図1】制動システムの概略図である。

【図2】長手軸の両側にある車輪群のペアを有する二重着陸装置の概略図である。

【図3】ペダル入力を受け取り着陸装置の車輪の制動を制御する制動システムの概略図である。

【図4】インボード制動システム制御ユニット又はアウトボード制動システム制御ユニットのうちの一方の概略図である。

【図5】制動システム制御ユニット内で制動命令を生成するための概略図である。

【図6】液圧システムの概略図である。

【図7】航空機を制動する方法のフローチャートである。

【発明を実施するための形態】

【0027】

本出願は、二重着陸装置航空機で使用される制動システムを対象とする。制動システムは、アウトボード制動制御をアウトボード制動システム制御ユニット（BSCU）の中に組み込み、インボード制動制御を第２のインボード制動システム制御ユニット（BSCU）の中に組み込む。各BSCUは、２つの独立した制御レーンで設計されている。その場合、前方車輪セットは一方の制御レーン内に組み込まれ、後方車輪セットは他方の制御レーン内に組み込まれる。所与のBSCU内の制御レーン間の通信によって、車輪のロック及びハイドロプレーンの防止が提供される。前方及び後方車輪の組み合わせ内に設置された代替的な制動モジュールを介して、代替的な制動が提供される。その代替的な制動は、各BSCUで共有された制御レーンを介して命令される。制御弁を制動器の非常に近くに維持しながら、アーキテクチャは、好適なインボード／アウトボードアーキテクチャを最適に混合する。

【0028】

各BSCUは、第１及び第２のパイロットのペダルからの制動制御信号を受信する。BSCU論理では、タイヤの滑り圧力未満で制動が加えられるときに、第１のパイロット命令と第２のパイロット命令のうちの大きい方が選択されるようになっている。タイヤの滑り圧力よりも上では、制動命令が滑り防止機能を介して生成される。前方車輪ペアと後方車輪ペアの制動命令のうちの小さい方を使用して、代替的な制動制御命令が生成される。

【0029】

図１は、車輪群６０のペアを有する航空機用の制動システム１０の概略的な表現である。制動システム１０は、アウトボードBSCU２０及びインボードBSCU３０を含む。アウトボードBSCU２０とインボードBSCU３０のそれぞれは、パイロットの制動ペダル６５から入力を受け取る。アウトボードBSCU２０とインボードBSCU３０は、独立してアクチュエータ制御信号を生成し、それらの信号を液圧システム４０に印加して、独立して航空機の車輪群６０のうちの車輪６９に対する制動を制御する。

【0030】

図２で示されているように、制動システム１０は、二重車輪群６０を有する着陸装置を有する航空機で使用されるように構成されている。車輪群６０は、航空機の長手中心線Ｃの両側（すなわち、右側と左側）に位置決めされ得る。更に又は代替的に、車輪群６０は、長手中心線Ｃの同じ側に位置決めすることもできる。各車輪群６０は、２つ以上の前方車輪６９の列６１及び２つの以上の後方車輪６９の列６２を有する二次元アレイとして描かれている。車輪群６０はまた、中心線Ｃから遠いアウトボードの列６４より中心線Ｃの近くにある２つ以上の車輪６９のインボードの列６３を含むようにも並べられている。車輪群６０は、３つ以上の車輪６９の１以上の列を含む様々な配置を含むことができるが、それらに限定されるものではない。

【0031】

図３は、航空機の文脈における制動システム１０のより詳細な概略表現を示している。制動システム１０は、パイロットペダル６５から信号を受信し、車輪群６０の車輪６９の制動を制御するように位置決めされている。アウトボードBSCU２０及びインボードBSCU３０は、パイロット制動ペダル６５から入力を受け取る。図３で示されているように、第１のパイロット制動ペダル６５からのペダル入力は、アウトボードBSCU２０によって受け取られる。第２のパイロット制動ペダル６５からのペダル入力は、インボードBSCU３０によって受け取られる。更に又は代替的に、BSCU２０、３０は、異なるペダル入力を受け取ることもできる。例えば、各BSCUが、各パイロットから１つの入力を受け取る（例えば、BSCU２０が、両方のパイロットからの右ペダル入力を受け取り、BSCU３０が、両方のパイロットからの左ペダル入力を受け取る）。

【0032】

アウトボードBSCU２０とインボードBSCU３０のそれぞれは、第１の信号を直接的に受信し、他方のBSCU２０、３０を介して第２の信号を間接的に受信する。図３で示されているように、各パイロットには、左制動ペダル６５及び右制動ペダル６５などの２つの制動ペダル６５が設けられている。パイロットペダル６５は、第１のパイロット（例えば、機長）に設けられたペダル６５の第１のペア、及び第２のパイロット（例えば、副操縦士）に設けられたペダル６５の第２のペアを含み得る。パイロットは、ペダル６５を物理的に操作して、パイロットペダル物理入力を生成する。第１及び第２のパイロットペダル６５の物理入力は、センサ又はそれと等価な構成要素によってそれらの中立位置から測定され、変換器又はそれと等価な構成要素によって第１及び第２のパイロット命令制御信号に変換される。第１のパイロットの制動ペダル６５からの信号は、アウトボードBSCU２０において受信され、第２のパイロット制動ペダル６５からの信号は、インボードBSCU３０において受信される。

【0033】

インボードBSCU２０及びアウトボードBSCU３０は、制動ペダル６５から信号を受信し、それらの信号を処理し、液圧システム４０内の弁を制御するように構成されている。図４で示されているように、インボードBSCU２０とアウトボードBSCU３０のそれぞれは、同じであってよく、同じ構成要素を含むことができる。インボードBSCU２０とアウトボードBSCU３０のそれぞれは、１以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路（ACIS）、フィールドプログラマブルゲートアレイ（FPGA）、デジタル信号プロセッサ（DSP）、並びに／又は、メモリ回路２２内に記憶されたプログラム指示命令に従って様々な構成要素を制御する適切なソフトウェア及び／若しくはファームウェアを用いて構成された他の回路を（非限定的に）含む、１以上の汎用並びに／又は専用プロセッサを有する処理回路２１を含む。メモリ回路２２は、処理回路２１によって使用される処理論理、プログラムコード、及び動作情報を記憶する。メモリ回路２２は、様々な実施形態に従って、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、又はそれらの両方を含むことができる。

【0034】

各BSCU２０、３０は、独立したイネーブル回路を有する共有制御レーンを含む。その回路は、液圧イネーブルソレノイドに給電して、液圧制動システム内の遮断弁４７を制御する。該回路は、２つの通常システム制動命令のうちの小さい方を選択する隔離された弁駆動回路である代替的な制動命令ドライバーを制御することもできる。

【0035】

入力インターフェース２３は、シリアルUSB、マイクロUSB、ファイヤーワイヤー（FIREWIRE）、ライトニング（Lightning）、及び／又はサンダーボルト（Thunderbolt）接続などの、有線接続を経由してパイロット入力を受け取るように構成されている。入力インターフェース２３は、無線、電気、及び／又は光信号を介して、パイロット入力を受け取るようにも構成され得る。入力インターフェース２３は、航空機の動作を監視する飛行コントローラなどの、１以上の他の送信元からも信号を受信することができる。各BSCU２０、３０は、デジタルイネーブル信号を変換するデジタルアナログ変換器２４を含むことができる。

【0036】

図４で示されているように、アウトボードBSCU２０とインボードBSCU３０のそれぞれは、最初に制動ペダル６５のうちの特定の１つから入力信号を受信する。制動ペダル６５の起動を示す受信されたデジタル信号に基づくアナログ信号が、他方のBSCU２０、３０に送信される。制動ペダル６５の位置及びパイロットが制動を加える程度を示すデジタル位置情報も受信される。図４で示されているように、各BSCU２０、３０は、制動ペダルの起動の示すアナログイネーブル信号及びペダルがパイロットによって起動された程度を示すデジタル位置信号を、他方と共有する。したがって、各BSCU２０、３０は、制動信号のそれぞれを解析することができる。

【0037】

各BSCU２０、３０は、入力を解析し、２つのパイロットペダル入力のうちの大きい方を選択する。２つのパイロット制動命令のうちの大きい方が選択されて、液圧システム４０のうちの第１の制動モジュール４１を使用して制動器５０に加えられる。２つの前方又は後方制動命令のうちの小さい方が、代替的な制動モジュール４２を使用して代替的な制動のために使用される。

【0038】

図３で示されているように、各BSCU２０、３０は、第１の制動モジュール４１内のサーボ弁４６を制御するための２つの独立した制御レーンを含む。アウトボードBSCU２０は、車輪６９ａ、６９ｂの前方アウトボードペアの制動器５０を組み合わせる第１の制御レーン９１、及び後方アウトボード車輪６９ｃ、６９ｄの制動器５０を組み合わせる第２の制御レーン９２を含む。同様に、インボードBSCU３０からの第１の制御レーン９３は、前方インボード車輪６９ｅ、６９ｆの制動器５０を組み合わせ、第２の制御レーン９４は、後方インボード車輪６９ｇ、６９ｈの制動器５０を組み合わせる。

【0039】

各BSCU２０、３０は、代替的な制動を制御するために共有制御されたレーンも含む。BSCU２０は、代替的な制動モジュール４２に導く共有制御レーン９５を含み、同様に、BSCU３０は、代替的な制動モジュール４２に導く共有制御レーン９６を含む。

【0040】

図５は、各BSCU２０、３０による制動命令処理を示している。制動ペダル命令が、BSCU２０、３０によって受け取られる。BSCU２０、３０は、２つのパイロット制動信号のうちの大きい方を決定する（ブロック１８０）。滑り圧力未満では、制動圧力が、ペダル展開の角度に基づいて決定される（ブロック１８２）。制動圧力は、参照表（lookup table）を介して決定され得る。次いで、決定された制動圧力が、自動制動圧力命令と比較され（ブロック１９０）、２つのうちの大きい方が、第１の制動モジュール４１を制御するために使用される（ブロック１８４）。

【0041】

滑り圧力よりも上の制動圧力では、制動命令が、通常の滑り防止機能を介して生成される。滑り防止命令（ブロック１９２）は、制動圧力における解放（ブロック１８６）が、滑りを防止させることをもたらす。この場合、第１の制動モジュール４１を制御するために、制動命令が送られる。

【0042】

代替的な制動では、前方及び後方制動命令のうちの小さい方が、共有されたチャネルに送られる。共有されたチャネルは、他方のBSCU２０、３０から前方及び後方制動命令のうちの小さい方を受け取ることもできる（ブロック１９４）。これらの信号は、代替的な制御レーンを通じて送信され、代替的な制動モジュール４２を制御する。

【0043】

アウトボードBSCU２０は、第１の車輪群６０のアウトボード車輪６９ａ、６９ｃの制動器５０を制御するサーボ弁４６、及び第２の車輪群６０のアウトボード車輪６９ｂ、６９ｄの制動器５０を制御するサーボ弁４６を制御するための、代替的な制動モジュール４２に対する制御レーン９５を含む。インボードBSCU３０は、第１の車輪セット６０のインボード車輪６９ｅ、６９ｇの制動器、及び第２の車輪セット６０のインボード車輪６９ｆ、６９ｈの制動器５０を制御するサーボ弁４６のための制御レーン９６を含む。

【0044】

図３で示されているように、各着陸装置の車輪セット６０は、第１の制動モジュール４１を共有する。単一の第１の制動モジュール４１は、車輪群６０の車輪のそれぞれに対する制動を制御するサーボ弁４６を含む。

【0045】

図３及び図６で示されているように、液圧システム４０は、第１の制動モジュール４１と代替的な制動モジュール４２を含む。第１の制動モジュール４１は、１以上の第１のライン４３を通じて液圧流体が供給される。代替的な制動モジュール４２は、１以上の第２のライン７０を通じて液圧流体が供給される。これらのライン４３、７０は、液圧システム４０の１つのセクション内で故障が生じた場合に冗長システムを提供するために、個別の液圧流体供給源を含むことができる。液圧流体は、車輪６９の制動を確実にするために、非不全（non-failing）の供給源を通じて制動器５０に供給され得る。

【0046】

ライン４３は、第１の制動モジュール４１に液圧流体を供給し、ライン７０は、代替的な制動モジュール４２に液圧流体を供給する。供給ライン４９は、第１の制動モジュール４１からシャトル弁モジュール８０に延在する。供給ライン７５は、代替的な制動モジュール４２からシャトル弁モジュール８０に延在する。供給ライン８２は、シャトル弁モジュール８０から、車輪６９のそれぞれの制動器５０に延在する。

【0047】

第１の制動モジュール４１は、それぞれ、アウトボードセクション４４とインボードセクション４５を含む。アウトボードセクション４４は、車輪群６０の各アウトボード車輪６９の制動器５０に結合されたサーボ弁４６を含む。インボードセクション４５は、車輪群６０の各インボード車輪６９の制動器５０に結合されたサーボ弁４６を含む。アウトボードセクション４４のサーボ弁４６は、アウトボードBSCU２０によって制御され、インボードセクション４５のサーボ弁４６は、インボードBSCU３０によって制御される。下流の漏れによる液圧システムの枯渇を防止するために、ヒューズ４８がライン４９に沿って位置付けられている。アウトボードセクション４４とインボードセクション４５のそれぞれは、液圧流体の漏れを低減させるために遮断弁４７を含む。遮断弁４７は、単一のスレッド故障が車輪６９を不注意で制動することを防止することもできる。

【0048】

代替的な制動モジュール４２は、サーボ弁４６のペアを含む。第１のサーボ弁４６は、第１のライン７５に結合されている。第１のライン７５を通って、液圧流体が、アウトボード制動器５０のペアに供給される。第２のサーボ弁４６は、第２のライン７５に結合されている。第２のライン７５は、液圧流体をインボード制動器５０のペアに供給する。各制動器５０に専用のサーボ弁を含む第１の制動モジュール４１とは異なり、代替的な制動モジュール４２は、２つの制動器５０に対して単一のサーボ弁４６を含む。各代替的な制動モジュール４２では、アウトボード制動器５０に結合されたサーボ弁４６が、アウトボードBSCU２０によって制御され、インボード制動器５０に結合されたサーボ弁４６が、インボードBSCU３０によって制御される。下流の漏れによる液圧システムの枯渇を防止するために、ヒューズ４８がライン７５のそれぞれに沿って位置決めされている。図３で示されているように、代替的な制動モジュール４２は、液圧流体の流れを防止するために、遮断弁４７を含むことができる。

【0049】

シャトル弁モジュール８０が、制動器５０のそれぞれに結合されたシャトル弁８１を含む。各シャトル弁８１は、第１の制動モジュール４１からの液圧ライン４９、及び代替的な制動モジュール４２からの液圧ライン７５に接合する。シャトル弁８１のそれぞれは、液圧流体が、そこを通ってこれらのライン４９、７５のうちの一方からライン８２の中に流れ、結合された制動器５０を制御することを可能にする。流体圧力を検出する液圧センサ８９が、液圧システム４０に沿った様々な位置に位置決めされ得る。図６で示されているように、これは、ライン８２のそれぞれに沿って位置決めされた圧力センサ８９を含むことができる。

【0050】

液圧システム４０は、供給ラインであって、それぞれが車輪６９のうちの１つの制動を制御するために液圧流体を供給する供給ラインのセットを含む。各セットは、ライン４９、７５、８２、及び弁４６、４７、８１のうちの１以上を含む。各セットは、車輪６９のうちの１つに制動力を加える制動器５０も含む。

【0051】

アウトボードBSCU２０は、パイロット入力に応答して制動制御信号を生成し、アウトボード前方車輪６９だけの第１の車輪ペアの弁４６、４７、８１を含むラインの２つのセット、及びアウトボード後方車輪６９だけの第２の車輪ペアの弁４６、４７、８１を含むラインの２つのセットを制御する。インボードBSCU３０は、パイロット入力に応答して制動制御信号を生成し、インボード前方車輪６９だけの第３の車輪ペアの弁４６、４７、８１を含むラインの２つのセット、及びインボード後方車輪６９だけの第４の車輪ペアの弁４６、４７、８１を含むラインの２つのセットを制御する。

【0052】

制動システム１０は、パイロットから制動入力を受け取り、対応する制動力を加えるように構成されている。図７は、航空機を制動する方法を示している。最初に、制動ペダル６５から制動入力が受け取られる（ブロック２００）。これは、２人以上のパイロットからの入力を含み得る。更に、これは、パイロットのそれぞれからの１以上の入力を含み得る。図３の実施形態では、制動入力が、２人のパイロットのそれぞれからの入力のペアを含む。

【0053】

BSCU２０、３０において、パイロットから制動入力が受け取られる。BSCU２０、３０は、何れのパイロット入力が大きいか計算する（ブロック２０２）。これは、各BSCU２０、３０が、異なるペダル入力に基づいて各パイロット入力の程度を計算することを含み得る。図３では、これが、アウトボードBSCU２０が各パイロットからのペダル入力の第１のセットに基づいて入力の程度を決定すること、及びインボードBSCU３０がパイロット入力の第２のセットに基づいて入力の程度を決定することを含む。BSCU２０、３０は、それらの計算を共有することができ、それぞれが、最も大きい入力を決定する。パイロット入力の程度の決定は、他のやり方でも計算することができる。

【0054】

より大きい入力が決定されると、BSCU２０、３０は、より大きいパイロット入力を使用して、第１の制動モジュール４１を制御し、制動を制御する（ブロック２０４）。例えば、機長の入力が副操縦士の入力より大きいならば、パイロット入力は、第１の制動モジュール４１を使用して制動を制御するために使用されることになる。これは、アウトボードBSCU２０が、アウトボード車輪６９に結合された第１の制動モジュール４１のサーボ弁４６に制動命令を送ることを含む。これは、インボードBSCU３０が、インボード車輪６９に結合された第１の制動モジュール４１のサーボ弁４６に制動命令を送ることも含む。これらの命令は、航空機の制動のために提供される。

【0055】

代替的な制動のために、前方及び後方車輪ペアの制動命令のうちの小さい方が使用される（ブロック２０６）。これは、BSCU２０からアウトボード車輪６９に結合された代替的な制動モジュール４２のサーボ弁４６に、及びBSCU３０からインボード車輪６９に結合されたサーボ弁４６に、制動命令を送ることを含む。

【0056】

上述された制動システムはまた、BSCU２０、３０のうちの一方が故障した場合に、航空機の制動を提供する。この場合、動作可能BSCU２０、３０は、航空機を停止させるために制動を制御することができる。

【0057】

制動システム１０は、様々な異なる航空機で使用することができる。１つの航空機は、座席の複数の列であって、それぞれが乗客を受け入れるように構成された座席の複数の列を含む、民間航空機を含む。他の航空機は、有人航空機、無人航空機、有人宇宙船、無人宇宙船、有人回転翼航空機、無人回転翼航空機、人工衛星、ロケット、ミサイル、有人地上車、無人地上車、及びそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されるものではない。

【0058】

本開示は、本開示の本質的な特徴から逸脱することなく、本明細書で具体的に説明された方法とは異なる他の方法で実施することが可能である。本明細書の実施例は、あらゆる点で、全て例示的且つ非限定的であるとみなすべきであり、特許請求の範囲の意味及び均等性の範囲内に入るすべての変更は、特許請求の範囲に包含されることが意図されている。

【0059】

更に、本発明は、以下の条項による実施形態を含む。
条項１．
左と右の着陸装置であって、それぞれが前方及び後方インボード車輪並びに前方及び後方アウトボード車輪を有する左と右の着陸装置を備える二重着陸装置航空機用の制動システム（１０）であって、
パイロット入力に応答して、前記アウトボード前方車輪（６９）だけを備えた第１の車輪ペアと前記アウトボード後方車輪（６９）だけを備えた第２の車輪ペアの制動を対称に制御するために、制動制御信号を生成する少なくとも１つの第１の処理回路（２１）を備えた、アウトボード制動システム制御ユニット（２０）、
前記パイロット入力に応答して、前記インボード前方車輪（６９）だけを備えた第３の車輪ペアと前記インボード後方車輪（６９）だけを備えた第４の車輪ペアの制動を対称に制御するために、制動制御信号を生成する少なくとも１つの第２の処理回路（２１）を備え、前記アウトボード制動システム制御ユニット（２０）から独立している、インボード制動システム制御ユニット（３０）、並びに
前記制動制御信号に応答して、前記車輪（６９）に制動力を加える液圧システム（４０）を備える、制動システム。
条項２．
前記アウトボード制動システム制御ユニット（２０）が、前記左と右の両方の着陸装置の前記アウトボード前方車輪（６９）だけを制動するために、第１の制御レーン（９１）に沿って前記制動制御信号を送信し、前記左と右の両方の着陸装置の前記アウトボード後方車輪（６９）だけを制動するために、第２の制御レーン（９２）に沿って前記制動制御信号を送信し、前記第１の制御レーン（９１）が、前記第２の制御レーン（９２）から独立している、条項１に記載の制動システム。
条項３．
前記インボード制動システム制御ユニット（３０）が、前記左と右の両方の着陸装置の前記インボード前方車輪（６９）だけを制動するために、第３の制御レーン（９３）に沿って前記制動制御信号を送信し、前記左と右の両方の着陸装置の前記インボード後方車輪（６９）だけを制動するために、第４の制御レーン（９４）に沿って前記制動制御信号を送信し、前記第３の制御レーン（９３）が、前記第４の制御レーン（９４）から独立している、条項２に記載の制動システム。
条項４．
前記インボード及びアウトボード制動システム制御ユニット（２０、３０）が、個別の第１及び第２の入力を含む前記パイロット入力を受け取る入力インターフェースを（２３）更に備える、条項１に記載の制動システム。
条項５．
前記液圧システム（４０）が、
前記車輪（６９）において制動器（５０）に液圧流体を供給する第１の液圧ライン（４９）及び代替的なライン（７５）と、
前記アウトボード及びインボード制動システム制御ユニット（２０、３０）から受信した前記制動制御信号に応答して、前記制動器（５０）に供給される前記液圧流体の圧力を調節するための、前記第１の液圧ライン（４９）及び前記代替的なライン（７５）に沿って位置決めされたサーボ弁（４６）と、
前記第１の液圧ライン（４９）及び前記代替的なライン（７５）を動作可能に連結するシャトル弁（８１）であって、前記第１の液圧ライン（４９）と前記代替的なライン（７５）のうちの一方からの液圧流体を供給するシャトル弁（８１）と
を備える、条項１に記載の制動システム。
条項６．
前記第１の液圧ライン（４９）に沿って位置決めされた前記サーボ弁（４６）のそれぞれが、前記制動器（５０）のうちの１つに対する圧力を調節し、前記代替的な供給ライン（７５）に沿って位置決めされた前記サーボ弁（４６）が、前記左と右の着陸装置のうちの一方の前記制動器（５０）のペアに対する圧力を調節する、条項５に記載の制動システム。
条項７．
前記左と右の着陸装置のうちの一方の前記制動器（５０）に対する前記第１の液圧ライン（４９）に沿った前記液圧流体の前記圧力を調節する前記サーボ弁（４６）のそれぞれを収容する第１のモジュール（４１）、及び前記左と右の着陸装置のうちの他方の前記制動器（５０）に対する前記第２の液圧ライン（７５）に沿った前記液圧流体の前記圧力を調節する前記サーボ弁（４６）のそれぞれを収容する第２のモジュール（４２）を更に備える、条項５に記載の制動システム。
条項８．
前記第１及び第２のモジュール（４１、４２）のそれぞれが、前記液圧流体の漏れを低減させるための遮断弁（４７）を備える、条項７に記載の制動システム。
条項９．
前記アウトボード制動システム制御ユニット（２０）が、前記前方及び後方アウトボード車輪（６９）のそれぞれに液圧流体を供給する前記サーボ弁（４６）を制御し、前記インボード制動システム制御ユニット（３０）が、前記前方及び後方インボード車輪（６９）のそれぞれに液圧流体を供給する前記サーボ弁（４６）を制御する、条項５に記載の制動システム。
条項１０．
条項１に記載の制動システム（１０）を有する航空機。
条項１１．
左と右の着陸装置であって、それぞれが前方及び後方インボード車輪並びに前方及び後方アウトボード車輪を有する左と右の着陸装置を備える二重着陸装置航空機用の制動システム（１０）であって、
供給ライン（４９、７５、８２）であって、それぞれが前記車輪（６９）のうちの１つの制動を制御するために液圧流体を供給する供給ライン（４９、７５、８２）のセットを備えた液圧システム（４０）を備え、前記供給ライン（４９、７５、８２）の前記セットのそれぞれが、
複数の弁（４６、４７、８１）、
前記車輪（６９）のうちの１つに制動力を加える制動器（５０）、
パイロット入力に応答して、前記アウトボード前方車輪（６９）だけを備えた第１の車輪ペアの前記弁（４６、４７、８１）、及び前記アウトボード後方車輪（６９）だけを備えた第２の車輪ペアの前記弁（４６、４７、８１）を制御するために、制動制御信号を生成する第１の処理回路（２１）を備えた、アウトボード制動システム制御ユニット（２０）、並びに
前記インボード前方車輪（６９）だけを備えた第３の車輪ペアの前記弁（４６、４７、８１）、及び前記インボード後方車輪（６９）だけを備えた第４の車輪ペアの前記弁（４６、４７、８１）を制御するために、制動制御信号を生成する第２の処理回路（２１）を備えた、インボード制動システム制御ユニット（３０）を備え、
前記アウトボード及びインボード制動システム制御ユニット（２０、３０）が、パイロット入力を受け取り、前記車輪（６９）ペアのそれぞれの前記弁（４６、４７、８１）を制御して、前記車輪ペアのそれぞれの前記車輪（６９）に対称な制動力を加える、制動システム。
条項１２．
前記アウトボード制動システム制御ユニット（２０）と、前記アウトボード前方車輪（６９）の前記供給ライン（４９）のうちの１つの前記弁（４６）のうちの１つとの間で延在する、第１の制御レーン（９１）、
前記アウトボード制動システム制御ユニット（２０）と、前記アウトボード後方車輪（６９）の前記供給ライン（４９）のうちの１つの前記弁（４６）のうちの１つとの間で延在する、第２の制御レーン（９２）、
前記インボード制動システム制御ユニット（３０）と、前記インボード前方車輪（６９）の前記供給ライン（４９）のうちの１つの前記弁（４６）のうちの１つとの間で延在する、第３の制御レーン（９３）、及び
前記インボード制動システム制御ユニット（３０）と、前記インボード後方車輪（６９）の前記供給ライン（４９）のうちの１つの前記弁（４６）のうちの１つとの間で延在する、第４の制御レーン（９４）を更に備え、
前記制御レーン（９１、９２、９３、９４）のそれぞれが、互いに独立している、条項１１に記載の制動システム。
条項１３．
前記液圧システム（４０）が、第１の液圧供給ライン（４３）及び代替的な液圧供給ライン（７０）を備え、前記供給ライン（４３、７０）のそれぞれが、前記パイロット入力に基づいて、前記第１の液圧供給ライン（４３）と前記代替的な液圧供給ライン（７０）のうちの一方から前記制動器（５０）に前記液圧流体を選択的に供給するためのシャトル弁（８１）を更に備える、条項１１に記載の制動システム。
条項１４．
前記インボード及びアウトボード制動システム制御ユニット（２０、３０）のそれぞれが、第１及び第２のパイロットの両方から前記パイロット入力を受け取る、条項１１に記載の制動システム。
条項１５．
航空機を制動する方法であって、
アウトボード制動システム制御ユニット（２０）とインボード制動システム制御ユニット（３０）の両方においてパイロット入力を受け取ることと、
前記パイロット入力に基づいて、前記アウトボード制動システム制御ユニット（２０）から第１の制動信号を送信すること、並びに右の着陸装置と左の着陸装置の前方アウトボード車輪（６９）の第１のペア及び前記右の着陸装置及び前記左の着陸装置の後方アウトボード車輪（６９）の第２のペアを対称に制動することと、
前記パイロット入力に基づいて、インボード制動システム制御ユニット（３０）から第２の制動信号を送信すること、並びに前記右の着陸装置と前記左の着陸装置の前方インボード車輪（６９）の第３のペア及び前記右の着陸装置及び前記左の着陸装置の後方インボード車輪（６９）の第４のペアを対称に制動することと
を含む、方法。
条項１６．
第１の制御レーン（９１）を介して前記アウトボード制動システム制御ユニット（２０）から前記前方アウトボード車輪（６９）の第１のペアに前記第１の制動信号を送信することと、
独立した第２の制御レーン（９２）を介して前記アウトボード制動システム制御ユニット（２０）から前記後方アウトボード車輪（６９）の第２のペアに前記第１の制動信号を送信することと
を更に含む、条項１５に記載の方法。
条項１７．
第３の制御レーン（９３）を介して前記インボード制動システム制御ユニット（３０）から前記前方インボード車輪（６９）の第３のペアに前記第２の制動信号を送信することと、
独立した第４の制御レーン（９４）を介して前記インボード制動システム制御ユニット（３０）から前記後方インボード車輪（６９）の第４のペアに前記第２の制動信号を送信することと
を更に含む、条項１６に記載の方法。
条項１８．
前記パイロット入力から第１の入力と第２の入力のうちの大きい方を決定することと、
前記第１の入力と前記第２の入力のうちの前記大きい方に基づいて、前記アウトボード制動システム制御ユニット（２０）から前記第１の制動信号を送信することと、
前記アウトボード車輪（６９）の前記第１のペアと前記第２のペアを対称に制動することと、
前記第１の入力と前記第２の入力のうちの前記大きい方に基づいて、前記インボード制動システム制御ユニット（３０）から前記第２の制動信号を送信することと、
前記インボード車輪（６９）の前記第３のペアと前記第４のペアを対称に制動することと
を更に含む、条項１５に記載の方法。
条項１９．
前記パイロット入力から前方車輪ペアと後方車輪ペアの制動命令のうちの小さいほうを決定することと、
前記前方車輪ペアと前記後方車輪ペアの前記制動命令のうちの前記小さい方に基づいて、代替的な制動を制御することと
を含む、条項１８に記載の方法。
条項２０．
サーボ弁（４６）に前記制動信号を送信することと、
液圧流体の流れを調整することと、
制動器（５０）のペアの制動を調整することと
を含む、条項１５に記載の方法。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】