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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】眼科装置、及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/103 20060101AFI20230804BHJP
【FI】
A61B3/103 ZDM
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019164119
(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公開番号】P2021040850
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100124626
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 智和
(72)【発明者】
【氏名】内藤 朋子
(72)【発明者】
【氏名】大森 和宏
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-277076(JP,A)
【文献】国際公開第2019/138916(WO,A1)
【文献】特開2017-086485(JP,A)
【文献】特開2008-161406(JP,A)
【文献】特開平06-245909(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0375952(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を空間的に変調する空間光変調器を含み、変形可能な投影形状のパターン光を被検眼に投影する投影部と、
前記被検眼からの前記パターン光の戻り光を受光し、前記戻り光の受光結果に基づいて前記被検眼の画像を取得する取得部と、
前記投影部に第1投影形状のパターン光を前記被検眼に投影させると共に、前記取得部に前記被検眼の第1画像を取得させる制御部と、
前記第1画像に描出された前記戻り光に基づく像に基づいて前記被検眼の眼屈折力値を算出する眼屈折力値算出部と、
を含み、
前記制御部は、前記空間光変調器を制御することにより第1投影形状のパターン光を前記投影部に投影させて前記取得部に前記被検眼の第1画像を取得させると共に、前記空間光変調器を制御することにより所定の開口方向に延びる第2投影形状のパターン光を前記開口方向に直交する方向に前記投影部に順次に投影させて前記取得部に前記被検眼の第2画像を取得させる、眼科装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記第2画像をローリングシャッター方式により取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記第1画像をグローバルシャッター方式により取得する
ことを特徴とする請求項1又請求項2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記パターン光及び前記戻り光の光路に配置された合焦機構を含み、
前記制御部は、前記眼屈折力値に基づいて前記合焦機構を制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記パターン光及び前記戻り光の光路に配置された補正光学系を含み、
前記制御部は、前記眼屈折力値に基づいて前記補正光学系を制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記補正光学系は、バリアブルクロスシリンダレンズを含む
ことを特徴とする請求項5に記載の眼科装置。
【請求項7】
前記被検眼の前眼部像における瞳孔領域を特定し、前記瞳孔領域のサイズが所定の閾値以下であるか否かを判定する瞳孔判定部を含み、
前記制御部は、前記瞳孔判定部より前記瞳孔領域のサイズが所定の閾値以下であると判定されたとき、前記第1投影形状として前記サイズに対応した径のリング状の投影形状のパターン光を前記投影部に投影させる
ことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の眼科装置。
【請求項8】
前記空間光変調器は、複数のミラー素子が2次元に配列されたデジタルマイクロミラーデバイスを含む
ことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の眼科装置。
【請求項9】
光源からの光を空間的に変調する空間光変調器を含み、変形可能な投影形状のパターン光を被検眼に投影する眼科装置の制御方法であって、
前記空間光変調器を制御することにより第1投影形状の第1パターン光を前記被検眼に投影する第1投影ステップと、
前記被検眼からの前記第1パターン光の第1戻り光を受光し、前記第1戻り光の受光結果に基づいて前記被検眼の第1画像を取得する第1取得ステップと、
前記空間光変調器を制御することにより所定の開口方向に延びる第2投影形状の第2パターン光を前記開口方向に直交する方向に前記被検眼に順次に投影する第2投影ステップと、
前記被検眼からの前記第2パターン光の第2戻り光を受光し、前記第2戻り光の受光結果に基づいて前記被検眼の第2画像を取得する第2取得ステップと、
前記第1画像に描出された前記第1戻り光に基づく像に基づいて前記被検眼の眼屈折力値を算出する算出ステップと、
を含む眼科装置の制御方法。
【請求項10】
前記第2取得ステップは、前記第2画像をローリングシャッター方式により取得する
ことを特徴とする請求項9に記載の眼科装置の制御方法。
【請求項11】
前記第1取得ステップは、前記第1画像をグローバルシャッター方式により取得する
ことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の眼科装置の制御方法。
【請求項12】
前記第2投影ステップの前に、前記眼屈折力値に基づいて前記第2パターン光の焦点位置を変更する合焦ステップを含む
ことを特徴とする請求項9~請求項11のいずれか一項に記載の眼科装置の制御方法。
【請求項13】
前記第2投影ステップの前に、前記眼屈折力値に基づいて前記第2パターン光の光路に配置された光学素子の屈折特性を補正する補正ステップを含む
ことを特徴とする請求項9~請求項12のいずれか一項に記載の眼科装置の制御方法。
【請求項14】
前記被検眼の前眼部像における瞳孔領域を特定し、前記瞳孔領域のサイズが所定の閾値以下であるか否かを判定する判定ステップを含み、
前記第1投影ステップは、前記判定ステップにおいて前記瞳孔領域のサイズが所定の閾値以下であると判定されたとき、前記第1投影形状として前記サイズに対応した径のリング状の投影形状のパターン光を投影する
ことを特徴とする請求項9~請求項13のいずれか一項に記載の眼科装置の制御方法。
【請求項15】
前記空間光変調器は、複数のミラー素子が2次元に配列されたデジタルマイクロミラーデバイスを含む
ことを特徴とする請求項9~請求項14のいずれか一項に記載の眼科装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、眼科装置、及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スクリーニングにおいて眼科装置を用いた眼科検査が行われる。このような眼科装置は、自己検診への応用も期待されており、より一層の小型化、軽量化が望まれる。
【0003】
例えば、特許文献1及び特許文献2には、スリット光を用いて被検眼をパターン照明し、その戻り光をCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサで検出するように構成された眼科装置が開示されている。この眼科装置は、照明パターンと、CMOSイメージセンサによる受光タイミングとを調整することにより、簡素な構成で被検眼の画像を取得することが可能である。
【0004】
このような眼科装置において、被検眼の画像と共に被検眼の屈折力の測定結果を得ることができれば、スクリーニングや自己検診に有用な情報を提供できる可能性がある。
【0005】
例えば、特許文献3には、被検眼の画像を取得するための撮影光学系に加えて、被検眼の屈折力を測定するための屈折力測定光学系を備えた眼科装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第7831106号明細書
【文献】米国特許第8237835号明細書
【文献】特許第4523338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、撮影光学系に従来の屈折力測定光学系を単純に追加すると、装置の大型化を招く。従って、撮影光学系に被検眼の屈折力を測定するための光学系を簡便に追加するための新たな技術が望まれる。
【0008】
この発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、簡素な構成で、被検眼の屈折力を測定するための新たな技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
いくつかの実施形態の第1態様は、変形可能な投影形状のパターン光を被検眼に投影する投影部と、前記被検眼からの前記パターン光の戻り光を受光し、前記戻り光の受光結果に基づいて前記被検眼の画像を取得する取得部と、前記投影部に第1投影形状のパターン光を前記被検眼に投影させると共に、前記取得部に前記被検眼の第1画像を取得させる制御部と、前記第1画像に描出された前記戻り光に基づく像に基づいて前記被検眼の眼屈折力値を算出する眼屈折力値算出部と、を含む眼科装置である。
【0010】
いくつかの実施形態の第2態様では、第1態様において、前記制御部は、前記投影部に第1投影形状のパターン光を前記投影部に投影させることにより前記取得部に前記被検眼の第1画像を取得させると共に、前記投影部に第2投影形状のパターン光を前記投影部に投影させることにより前記取得部に前記被検眼の第2画像を取得させる。
【0011】
いくつかの実施形態の第3態様では、第2態様において、前記取得部は、前記第2画像をローリングシャッター方式により取得する。
【0012】
いくつかの実施形態の第4態様では、第1態様~第3態様のいずれかにおいて、前記取得部は、前記第1画像をグローバルシャッター方式により取得する。
【0013】
いくつかの実施形態の第5態様は、第1態様~第4態様のいずれかにおいて、前記パターン光及び前記戻り光の光路に配置された合焦機構を含み、前記制御部は、前記眼屈折力値に基づいて前記合焦機構を制御する。
【0014】
いくつかの実施形態の第6態様は、第1態様~第5態様のいずれかにおいて、前記パターン光及び前記戻り光の光路に配置された補正光学系を含み、前記制御部は、前記眼屈折力値に基づいて前記補正光学系を制御する。
【0015】
いくつかの実施形態の第7態様では、第6態様において、前記補正光学系は、バリアブルクロスシリンダレンズを含む。
【0016】
いくつかの実施形態の第8態様は、第1態様~第7態様のいずれかにおいて、前記被検眼の前眼部像における瞳孔領域を特定し、前記瞳孔領域のサイズが所定の閾値以下であるか否かを判定する瞳孔判定部を含み、前記制御部は、前記瞳孔判定部より前記瞳孔領域のサイズが所定の閾値以下であると判定されたとき、前記第1投影形状として前記サイズに対応した径のリング状の投影形状のパターン光を前記投影部に投影させる。
【0017】
いくつかの実施形態の第9態様では、第1態様~第8態様のいずれかにおいて、前記投影部は、光源と、前記光源からの光を空間的に変調する空間光変調器と、を含む。
【0018】
いくつかの実施形態の第10態様は、変形可能な投影形状のパターン光を被検眼に投影する眼科装置の制御方法である。眼科装置の制御方法は、第1投影形状の第1パターン光を前記被検眼に投影する第1投影ステップと、前記被検眼からの前記第1パターン光の第1戻り光を受光し、前記第1戻り光の受光結果に基づいて前記被検眼の第1画像を取得する第1取得ステップと、第2投影形状の第2パターン光を前記被検眼に投影する第2投影ステップと、前記被検眼からの前記第2パターン光の第2戻り光を受光し、前記第2戻り光の受光結果に基づいて前記被検眼の第2画像を取得する第2取得ステップと、前記第1画像に描出された前記第1戻り光に基づく像に基づいて前記被検眼の眼屈折力値を算出する算出ステップと、を含む。
【0019】
いくつかの実施形態の第11態様では、第10態様において、前記第2取得ステップは、前記第2画像をローリングシャッター方式により取得する。
【0020】
いくつかの実施形態の第12態様では、第10態様又は第11態様において、前記第1取得ステップは、前記第1画像をグローバルシャッター方式により取得する。
【0021】
いくつかの実施形態の第13態様は、第10態様~第12態様のいずれかにおいて、前記第2投影ステップの前に、前記眼屈折力値に基づいて前記第2パターン光の焦点位置を変更する合焦ステップを含む。
【0022】
いくつかの実施形態の第14態様は、第10態様~第13態様のいずれかにおいて、前記第2投影ステップの前に、前記眼屈折力値に基づいて前記第2パターン光の光路に配置された光学素子の屈折特性を補正する補正ステップを含む。
【0023】
いくつかの実施形態の第15態様は、第10態様~第14態様のいずれかにおいて、前記被検眼の前眼部像における瞳孔領域を特定し、前記瞳孔領域のサイズが所定の閾値以下であるか否かを判定する判定ステップを含み、前記第1投影ステップは、前記判定ステップにおいて前記瞳孔領域のサイズが所定の閾値以下であると判定されたとき、前記第1投影形状として前記サイズに対応した径のリング状の投影形状のパターン光を投影する。
【0024】
なお、上記した複数の態様に係る構成を任意に組み合わせることが可能である。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、簡素な構成で、被検眼の屈折力を測定するための新たな技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態に係る眼科装置の構成例を示す概略図である。
図2】実施形態に係る眼科装置の構成例を示す概略図である。
図3】実施形態に係る眼科装置の構成例を示す概略図である。
図4】実施形態に係る眼科装置の構成例を示す概略図である。
図5】実施形態に係る眼科装置の動作例のフロー図である。
図6】実施形態に係る眼科装置の動作例のフロー図である。
図7】実施形態に係る眼科装置の動作例のフロー図である。
図8】実施形態の変形例に係る眼科装置の構成例を示す概略図である。
図9】実施形態の変形例に係る眼科装置の構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明に係る眼科装置、及びその制御方法の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書に記載された文献の記載内容を、以下の実施形態の内容として適宜援用することが可能である。
【0028】
実施形態に係る眼科装置は、変形可能な投影形状のパターン光を被検眼に投影する投影系と、被検眼からのパターン光の戻り光を受光する受光系とを含み、受光系により得られた戻り光の受光結果に基づいて被検眼の所定の撮影部位(眼底、前眼部)の画像を取得することが可能である。ここで、パターン光の投影形状の変更は、被検眼におけるパターン光の投影位置及び投影範囲(形状を含む)の変更を意味する。
【0029】
例えば、投影系は、投影形状を変更することにより屈折力測定用のリング状のパターン光を被検眼に投影することが可能である。眼科装置は、受光系により得られた戻り光の受光結果からリング状の受光像(リング像)を取得し、取得された受光像を解析することにより被検眼の眼屈折力値を求める。
【0030】
更に、投影系は、投影形状を変更することにより受光側の開口方向に略平行な撮影用のスリット状のパターン光を被検眼に投影することが可能である。眼科装置は、受光系により得られた戻り光の受光結果から、開口形状に対応した受光像を取得する。眼科装置は、投影系により開口方向に直交する方向にスリット状のパターン光を被検眼に順次に投影することにより得られた戻り光の受光結果から被検眼の1フレーム分の画像を取得する。
【0031】
なお、この明細書において、パターン光の「方向」、開口形状又は受光像の「方向」、及び開口方向のそれぞれは、絶対座標系における各位置での方向を意味するものではなく、所定の光学面(例えば、受光系における受光面)上の方向を意味するものとする。
【0032】
<光学系の構成>
まず、主に、実施形態に係る眼科装置の光学系の構成について説明する。
【0033】
図1図4に、実施形態に係る眼科装置の構成例のブロック図を示す。図1及び図2は、実施形態に係る眼科装置1の光学系の構成例のブロック図を表す。図3は、図1のデータ処理部30の構成例のブロック図を表す。図4は、眼科装置1の制御系の構成例のブロック図を表す。図1図4において、同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0034】
眼科装置1は、変形可能なパターン光を被検眼Eに投影し、その戻り光を受光することにより被検眼Eの画像を取得する。この実施形態では、眼科装置1は、屈折力測定用のパターン光を被検眼Eに投影し、その戻り光を受光することにより被検眼Eの画像を取得し、取得された画像に描出された戻り光に基づく像を解析し、被検眼Eの眼屈折力値を算出する。更に、眼科装置1は、撮影用のパターン光を被検眼Eに所望の撮影部位(眼底、前眼部)に投影し、その戻り光を受光することにより被検眼Eの撮影部位の画像を取得する。いくつかの実施形態では、被検眼Eの眼屈折力値に基づいてパターン光の合焦制御が行われる。いくつかの実施形態は、被検眼Eの眼屈折力値に基づいて、乱視補正(乱視状態の矯正)が行われる。
【0035】
眼科装置1は、投影系10と、受光系20と、データ処理部30と、画像出力部40とを含む。
【0036】
眼科装置1は、屈折力測定を行うための屈折力測定モードと撮影を行うための撮影モードにおいて、パターン光を被検眼Eに投影し、各モードにおいて受光像を取得する。
【0037】
[屈折力測定モード]
投影系10は、例えば、屈折力測定用のリング状の投影形状のパターン光を被検眼Eに投影する。受光系20は、投影系10により被検眼Eに投影されたパターン光の戻り光を受光する。データ処理部30は、受光系20による戻り光の受光結果から受光像を取得する。いくつかの実施形態では、データ処理部30は、グローバルシャッター方式により受光像を取得する。データ処理部30は、受光像に描出された戻り光に基づくリング像を解析し、被検眼Eの眼屈折力値を算出する。
【0038】
[撮影モード]
投影系10は、合焦制御後に、開口方向に延びる投影形状(例えば、スリット状、ライン状)を有する撮影用のパターン光を、開口方向に直交する方向に順次に被検眼Eに投影する。受光系20は、投影系10により被検眼Eに投影されたパターン光の戻り光を受光する。いくつかの実施形態では、データ処理部30は、ローリングシャッター方式により受光像を取得する。例えば、データ処理部30は、受光系20による戻り光の受光結果から、開口形状を開口方向に直交する方向(又は開口交差方向)にシフトしつつ開口形状に対応した受光像を順次に取得し、取得された受光像を合成することで、被検眼Eの眼底の画像を取得する。
【0039】
(投影系10)
投影系10は、パターン光発生部11と、光学系12とを含む。
【0040】
(パターン光発生部11)
パターン光発生部11は、後述の制御部から制御を受け、任意の投影形状のパターン光を発生する。それにより、被検眼Eにおけるパターン光の投影位置及び投影範囲が変更される。パターン光発生部11は、2以上の投影形状のパターン光を選択的に発生し、被検眼E(眼底)における2以上の投影領域にパターン光を選択的に投影することが可能である。
【0041】
図2に示すように、パターン光発生部11は、光源11Aと、光学系11Bと、空間光変調器11Cとを含む。このような構成を有するパターン光発生部11の例として、プロジェクタがある。すなわち、パターン光発生部11は、プロジェクタのタイプに対応した光源11A、光学系11B、及び空間光変調器11Cを含む。光源11Aは、被検眼Eの撮影部位(例えば、眼底、前眼部)と光学的に略共役な位置に配置可能である。
【0042】
いくつかの実施形態では、光源11Aは、赤外領域又は近赤外領域の光、可視領域の光を切り替えて出力可能な光源である。例えば、光源11Aは、屈折力測定のとき赤外領域又は近赤外領域の光を出力し、所望の撮影部位の撮影のとき可視領域の光を出力する。
【0043】
いくつかの実施形態では、パターン光発生部11は、デジタルマイクロミラーデバイスを用いたDLP(Digital Light Processing(登録商標))方式のプロジェクタの機能を有する。この場合、第1構成例では、赤外領域又は近赤外領域の光に対して単一のデジタルマイクロミラーデバイスが用いられる。第2構成例では、白色光源からの光に対してRGBの色成分に共通のデジタルマイクロミラーデバイスが用いられる。第3構成例では、白色光源からの光に対してRGBの色成分毎にデジタルマイクロミラーデバイスが用いられる。
【0044】
第1構成例では、光源11Aは、例えば、赤外領域又は近赤外領域の光を発光するLED(Light Emitting Diode)光源を含む。また、光学系11Bは、リレー光学系と、光学レンズとを含む。また、空間光変調器11Cは、複数のミラー素子が2次元に配列されたデジタルマイクロミラーデバイスを含む。複数のミラー素子のそれぞれは、独立に制御可能である。なお、空間光変調器11Cは、デジタルマイクロミラーデバイスにより空間的に変調された光を投影するための投影レンズを含むことができる。
【0045】
第2構成例では、光源11Aは、白色光源又はRGBの各色成分の光を出力可能な光源を含む。また、光学系11Bは、光源11Aからの光から時分割でRGBの各色成分の光を出力するためのカラーホイールと、リレー光学系と、光学レンズとを含む。また、空間光変調器11Cは、複数のミラー素子が2次元に配列されたデジタルマイクロミラーデバイスを含む。なお、空間光変調器11Cは、デジタルマイクロミラーデバイスにより空間的に変調された光を投影するための投影レンズを含むことができる。
【0046】
第3構成例では、光源11Aは、白色光源又はRGBの各色成分の光を出力可能な光源を含む。また、光学系11Bは、リレー光学系と、光学レンズとを含む。また、空間光変調器11Cは、RGBの色成分毎に設けられた複数のデジタルマイクロミラーデバイスを含む。なお、空間光変調器11Cは、デジタルマイクロミラーデバイスにより空間的に変調された光を投影するための投影レンズを含むことができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、パターン光発生部11は、LCoS(Liquid Crystal on Silicon)を用いた反射型液晶方式のプロジェクタの機能を有する。この場合、光源11Aは、白色光源を含む。また、光学系11Bは、1以上の反射ミラーと、1以上のダイクロイックミラーと、1以上の偏光ビームスプリッタとを含む。また、空間光変調器11Cは、RGBの色成分毎に反射型の液晶パネルと、色成分毎に空間的に変調された光を合成するためのクロスダイクロイックプリズムと、合成された光を投影するための投影レンズとを含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、パターン光発生部11は、透過型液晶方式のプロジェクタの機能を有する。この場合、光源11Aは、白色光源を含む。また、光学系11Bは、1以上の反射ミラーと、1以上のダイクロイックミラーとを含む。また、空間光変調器11Cは、RGBの色成分毎に透過型の液晶パネルと、色成分毎に空間的に変調された光を合成するためのクロスダイクロイックプリズムと、合成された光を投影するための投影レンズとを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、パターン光発生部11は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を用いた公知のプロジェクタの機能を有する。
【0050】
以上のようなプロジェクタは、ピクセル化されたパターン光発生器としての機能を実現する。なお、上記のようなプロジェクタの構成は公知であるため、詳細な説明を省略する。パターン光発生部11は、形状や投影位置を任意に変更可能な照明パターンに対応したパターン光(照明光)を出力可能なものである。
【0051】
パターン光発生部11は、後述の制御部から制御を受け、任意の投影形状のパターン光を発生する。投影形状は、例えば、後述の操作部を用いてユーザが設定可能である。ユーザが操作部を用いて、形状パターン、外形、サイズなどを指定すると、制御部は、指定された形状パターンなどに基づいて照明パターンを特定し、特定された照明パターンに基づいて空間光変調器11Cを制御することが可能である。
【0052】
(光学系12)
光学系12は、パターン光発生部11により発生されたパターン光をリレーするためのリレー光学系を含む。いくつかの実施形態では、光学系12は、更に、コリメートレンズと、光スキャナとを含む。この場合、光スキャナは、後述の制御部から制御を受け、パターン光を偏向することが可能である。
【0053】
光学系12を経由したパターン光は、光合波分波器50によって反射され、光学系51に導かれる。
【0054】
(光合波分波器50)
光合波分波器50は、投影系10からの光を光学系51に導くと共に、光学系51からの光を受光系20に導く。このような光合波分波器50の機能は、ビームスプリッタ、又はダイクロイックミラーにより実現可能である。
【0055】
(光学系51)
光学系51は、光合波分波器50と被検眼Eとの間に配置される。光学系51は、合焦機構52と、補正光学系53とを含む。いくつかの実施形態では、光学系51は、更に、合焦機構52と被検眼Eとの間に配置される対物レンズを含む。いくつかの実施形態では、光学系51は、パターン光の焦点位置を前眼部の近傍に移動するための前置レンズを含む。この場合、前置レンズは、パターン光の光路に対して挿脱可能に設けられる。
【0056】
合焦機構52の例として、光軸方向(パターン光の光路の方向)に沿って移動可能な合焦レンズ、屈折率を変更可能な液体レンズ、屈折率を変更可能な液晶レンズ、光軸方向に沿って移動可能な対物レンズがある。
【0057】
合焦レンズ又は対物レンズは、自動又は手動で光軸方向に移動可能である。例えば、眼科装置1は、合焦レンズ及び対物レンズの少なくとも一方を光軸方向に移動する移動機構を含み、制御部が移動機構を制御することにより合焦レンズ及び対物レンズの少なくとも一方を光軸方向に移動することで合焦制御を行うことができる。また、例えば、ユーザが移動機構を操作することにより合焦レンズ及び対物レンズの少なくとも一方を光軸方向に移動することで、手動で合焦状態を調整することができる。
【0058】
また、制御部は、液体レンズ又は液晶レンズを制御することにより屈折率を変更することで合焦制御を行うことができる。
【0059】
補正光学系53の例として、バリアブルクロスシリンダレンズがある。バリアブルクロスシリンダレンズは、例えば、特開2015-223518号公報に開示されているように、被検眼Eの乱視度数及び乱視軸角度を補正するために用いられる。後述の制御部は、被検眼Eの乱視状態(乱視度数、乱視軸角度)に基づいて、この乱視状態が矯正されるようにバリアブルクロスシリンダレンズを制御することが可能である。例えば、バリアブルクロスシリンダレンズは、光軸上に直列に配置され、且つ、光軸の回りに独立に回転可能に構成された2つのシリンダレンズを含む。乱視度数は、2つのシリンダレンズを独立に互いに逆方向に回転させることにより変更可能である。乱視軸角度は、2つのシリンダレンズを同方向に同じ角度だけ回転させることにより変更可能である。
【0060】
光合波分波器50により反射された投影系10からのパターン光は、光学系51を経由して被検眼Eに投影される。被検眼Eからのパターン光の戻り光は、光学系51を経由し、光合波分波器50により反射されて受光系20に導かれる。
【0061】
(受光系20)
受光系20は、光学系21と、イメージセンサ22とを含む。
【0062】
(光学系21)
光学系21には、光合波分波器50によって反射された被検眼Eからのパターン光の戻り光が入射する。光学系21は、戻り光をイメージセンサ22の検出面に結像させる結像レンズを含む。いくつかの実施形態では、光学系21は、更に、戻り光をリレーするためのリレー光学系を含む。
【0063】
(イメージセンサ22)
イメージセンサ22は、ピクセル化された受光器としての機能を実現する。例えば、イメージセンサ22は、CMOSイメージセンサを含む。
【0064】
イメージセンサ22がCMOSイメージセンサを含む場合、イメージセンサ22は、2次元的に配列された複数のフォトダイオードと、複数の垂直信号線と、水平信号線とを含む。複数の垂直信号線は、垂直方向のフォトダイオード群毎に設けられる。各垂直信号線は、受光結果に対応した電荷が蓄積されたフォトダイオード群と選択的に電気的に接続される。水平信号線は、複数の垂直信号線と選択的に電気的に接続される。これにより、ピクセル毎に設けられたフォトダイオードは、戻り光の受光結果に対応した電荷を蓄積し、蓄積された電荷は、例えば水平方向のフォトダイオード群毎に順次読み出される。すなわち、水平方向のライン毎に、各フォトダイオードに蓄積された電荷に対応した電圧が垂直信号線に供給される。複数の垂直信号線は、選択的に水平信号線と電気的に接続される。垂直方向に順次に上記の水平方向のライン毎の読み出し動作を行うことで、2次元的に配列された複数のフォトダイオードの受光結果が読み出される。
【0065】
イメージセンサ22がCMOSイメージセンサを含む場合、ローリングシャッター方式により戻り光の受光結果に対応した画像が取得される。それにより、所望の開口形状に対応した読み出し制御を行うことで、当該開口形状に対応した受光像が取得される。このような制御については、例えば、米国特許第8237835号明細書等に開示されている。
【0066】
更に、制御部は、パターン光発生部11を制御することにより、少なくとも開口方向に延びるスリット状(ライン状)のパターン光を、開口方向に直交する方向に順次に発生させることができる。制御部は、米国特許第8237835号明細書等に開示されているように、パターン光発生部11によるパターン光の発生タイミングと、ローリングシャッター方式でのイメージセンサ22からの戻り光の受光結果の読み取りタイミングとを同期させる。それにより、簡素な構成で、被検眼の画像を取得することが可能である。
【0067】
イメージセンサ22の検出面は、被検眼Eの撮影部位(例えば、眼底、前眼部)と光学的に略共役な位置に配置可能である。すなわち、イメージセンサ22の検出面は、光源11Aと光学的に略共役な位置に配置可能である。
【0068】
このようなイメージセンサ22に対する読み出し制御は、後述の制御部からの制御を受け実行することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、イメージセンサ22は、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサを含む。
【0070】
イメージセンサ22がCCDイメージセンサを含む場合、イメージセンサ22は、2次元的に配列された複数のフォトダイオードと、2以上の垂直転送レジスタと、水平転送レジスタとを含む。2以上の垂直転送レジスタは、垂直方向のフォトダイオード群毎に設けられる。水平転送レジスタは、2以上の垂直転送レジスタと選択的に電気的に接続される。これにより、ピクセル毎に設けられたフォトダイオードは、戻り光の受光結果に対応した電荷を蓄積し、蓄積された電荷は、例えば垂直転送レジスタに読み出される。複数の垂直転送レジスタは、選択的に水平転送レジスタと電気的に接続される。例えば、1つの垂直転送レジスタに読み出された電荷に対応した信号が水平転送レジスタに転送され、転送された信号を水平転送レジスタから順次に読み出される。これを、複数の垂直転送レジスタについて繰り返すことで、2次元的に配列された複数のフォトダイオードの受光結果が読み出される。イメージセンサ22がCCDイメージセンサを含む場合、グローバルシャッター方式又はローリングシャッター方式により戻り光の受光結果に対応した画像が取得される。
【0071】
(データ処理部30)
データ処理部30は、イメージセンサ22により得られた受光像に対して、各種の画像処理や解析処理を施す。画像処理には、受光像に対するノイズ除去処理、受光像に描出された所定の部位を識別しやすくするための輝度補正処理がある。解析処理には、小瞳孔処理、眼屈折力値算出処理がある。
【0072】
小瞳孔処理は、被検眼Eの前眼部像に対して実行される。いくつかの実施形態では、被検眼Eの前眼部像は、上記のパターン光発生部11により発生されたパターン光を前眼部に投影し、その戻り光をイメージセンサ22により受光することにより取得される。いくつかの実施形態では、図1に示す光学系とは別途に設けられた前眼部カメラ(不図示)を用いて取得される。小瞳孔処理は、瞳孔領域の特定処理と、瞳孔領域のサイズ判定処理とを含む。
【0073】
データ処理部30は、制御部からの制御を受けてグローバルシャッター方式によりイメージセンサ22から読み出された受光結果に基づいて、受光像を取得することが可能である。また、データ処理部30は、制御部からの制御を受けてローリングシャッター方式によりイメージセンサ22から読み出された受光結果に基づいて、任意の開口形状に対応した受光像を取得することが可能である。
【0074】
データ処理部30は、屈折力測定用のリング状(第1投影形状)のパターン光の戻り光に対応した受光像(眼底像)を取得すると共に、撮影用の投影形状(第2投影形状)のパターン光に対応した開口形状の受光像を取得する。これにより、データ処理部30は、屈折力測定用の受光像を取得すると共に、撮影用の開口形状に対応した受光像をすることができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、光学系21は、結像レンズとイメージセンサ22との間に配置される開口絞りを含む。この場合、イメージセンサ22の検出面には、開口絞りを通過した戻り光が結像される。従って、データ処理部30は、制御部からの制御を受けてグローバルシャッター方式によりイメージセンサ22から読み出された受光結果に基づいて、上記の開口絞りの開口形状に対応した受光像を取得することが可能である。
【0076】
図3に示すように、データ処理部30は、解析部31と、眼屈折力値算出部32とを含む。
【0077】
(解析部31)
解析部31は、瞳孔領域特定部31Aと、瞳孔判定部31Bとを含む。
【0078】
瞳孔領域特定部31Aは、上記のようにイメージセンサ22又は前眼部カメラ(不図示)を用いて取得された被検眼Eの前眼部像に対して瞳孔領域特定処理を実行する。
【0079】
例えば、瞳孔領域特定部31Aは、取得された前眼部像の画素値(輝度値など)の分布に基づいて、被検眼Eの瞳孔に相当する画像領域(瞳孔領域)を特定する。一般に、瞳孔は他の部位よりも低い輝度で表現されるため、低輝度の画像領域を探索することによって瞳孔領域を特定することができる。このとき、瞳孔の形状を考慮して瞳孔領域を特定するようにしてもよい。つまり、略円形かつ低輝度の画像領域を探索することによって瞳孔領域を特定するように構成することができる。
【0080】
瞳孔判定部31Bは、瞳孔領域特定部31Aにより特定された瞳孔領域に基づいて、被検眼Eが小瞳孔であるか否かを判定する。
【0081】
例えば、瞳孔判定部31Bは、特定された瞳孔領域の輪郭を特定し、特定された輪郭の近似円を求め、求められた近似円の直径(又は半径)を瞳孔領域の直径(又は半径)(広義には、サイズ)として求める。
【0082】
いくつかの実施形態では、瞳孔判定部31Bは、特定された瞳孔領域の輪郭における互いに異なる2以上の区間のそれぞれの曲率半径を求め、求められた2以上の曲率半径の統計値を用いて瞳孔領域の直径(又は半径)を求める。統計値には、平均値、中心値、最頻値、最大値、最小値がある。
【0083】
いくつかの実施形態では、瞳孔判定部31Bは、瞳孔領域の輪郭における互いに異なる2以上の区間のそれぞれの曲率中心を求め、求められた2以上の曲率中心の中心位置又は重心位置を瞳孔領域の中心位置として設定する。瞳孔判定部31Bは、設定された中心位置から輪郭までの距離(半径)の統計値を用いて瞳孔領域の直径(又は半径)を求めることが可能である。ここでも、統計値には、平均値、中心値、最頻値、最大値、最小値がある。
【0084】
瞳孔判定部31Bは、求められた瞳孔領域の直径(又は半径)と所定の閾値とを比較する。所定の閾値は、被検眼の瞳孔が小瞳孔であると判定するための閾値である。所定の閾値の例として、2mm(直径)がある。
【0085】
解析部31は、瞳孔判定部31Bにより瞳孔領域の直径(又は半径)が所定の閾値以下であると判定されたとき、被検眼Eが小瞳孔であると判定する。一方、解析部31は、瞳孔判定部31Bにより瞳孔領域の直径(又は半径)が所定の閾値以下ではないと判定されたとき、被検眼Eが小瞳孔ではないと判定する。
【0086】
被検眼Eが小瞳孔であると判定されたとき、後述の制御部は、パターン光発生部11を制御して、小瞳孔用の直径(又は半径)のリング状のパターン光を被検眼Eに投影させる。いくつかの実施形態では、小瞳孔用の直径は、瞳孔判定部31Bにより求められた被検眼Eの瞳孔領域の直径(又は半径)に対応する。例えば、制御部は、瞳孔判定部31Bにより求められた被検眼Eの瞳孔領域の直径(又は半径)に対応したリング径のパターン光を被検眼Eに投影させる。被検眼Eの瞳孔領域の直径に対応したリング径には、瞳孔領域の直径から所定の定数を差し引いた値、瞳孔領域の直径に対して1より小さい所定の比率を乗算した値、瞳孔領域の直径を変数とする所定の関数値などがある。
【0087】
(眼屈折力値算出部32)
眼屈折力値算出部32は、イメージセンサ22による受光結果に基づいて取得された被検眼Eの眼底像に描出されたパターン光の戻り光に基づくリング像(パターン像)を解析する。
【0088】
例えば、眼屈折力値算出部32は、取得された受光像(眼底像)の輝度分布を求め、求められた輝度分布からリング像の重心位置を求める。更に、眼屈折力値算出部32は、求められた重心位置から放射状に延びる複数の走査方向に沿った輝度分布を求め、この輝度分布からリング像を特定する。続いて、眼屈折力値算出部32は、特定されたリング像の近似楕円を求め、この近似楕円の長径及び短径を公知の式に代入することによって球面度数S、乱視度数C及び乱視軸角度Aを求める。いくつかの実施形態では、眼屈折力値として等価球面度数SE(=S+C/2)が算出される。
【0089】
いくつかの実施形態では、眼屈折力値算出部32は、基準パターンに対するリング像の変形及び変位に基づいて、球面度数S、乱視度数C及び乱視軸角度A、又は等価球面度数SEを求める。
【0090】
データ処理部30は、プロセッサを含み、記憶部等に記憶されたプログラムに従って処理を行うことで、上記の機能を実現する。
【0091】
本明細書において「プロセッサ」は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路を意味する。プロセッサは、例えば、記憶回路や記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。
【0092】
(画像出力部40)
画像出力部40は、後述の制御部の制御を受けて各種の情報を表示する。例えば、画像出力部40は、データ処理部30により得られた受光像を出力する。データ処理部30により得られた受光像には、屈折力測定用に取得された受光像と、撮影用に取得された受光像(撮影画像)とが含まれる。
【0093】
画像出力部40は、LCD(Liquid Crystal Display)等のフラットパネルディスプレイなどの表示デバイスを含んで構成される。
【0094】
(その他の構成)
いくつかの実施形態では、眼科装置1は、更に、固視投影系を含む。例えば、固視投影系の光路は、図1に示す光学系の構成において、パターン光の光路に結合される。固視投影系は、内部固視標、外部固視標、又は屈折力測定のための視標を被検眼Eに提示することが可能である。内部固視標又は視標を被検眼Eに提示する場合、固視投影系は、制御部からの制御を受けて内部固視標又は視標を表示するLCDを含み、LCDから出力された光束を被検眼Eの眼底に投影する。LCDは、その画面上における固視標の表示位置を変更可能に構成されている。LCDにおける固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの眼底における固視標の投影位置を変更することが可能である。LCDにおける固視標の表示位置は、操作部を用いることによりユーザが指定可能である。
【0095】
いくつかの実施形態では、固視投影系は、LCDに代えて、たとえば複数のLEDが配列されたパネルを含み、いずれかのLEDを点灯させることにより固視標の投影を行うように構成される。
【0096】
また、被検眼Eの眼底における固視標の投影位置を変更することにより固視を誘導することができるため、観察方向を変更することも可能になる。
【0097】
いくつかの実施形態では、眼科装置1は、アライメント系を含む。いくつかの実施形態では、アライメント系は、XYアライメント系と、Zアライメント系とを含む。XYアライメント系は、装置光学系(対物レンズ)の光軸に交差する方向に装置光学系と被検眼Eとの位置合わせを行うために用いられる。Zアライメント系は、眼科装置1(対物レンズ)の光軸の方向に装置光学系と被検眼Eとの位置合わせを行うために用いられる。
【0098】
例えば、XYアライメント系は、被検眼Eに輝点を投影する。データ処理部30は、輝点が投影された被検眼Eの前眼部像を取得し、取得された前眼部像に描出された輝点像とアライメント基準位置との変位を求める。後述の制御部は、求められた変位がキャンセルされるように図示しない移動機構により装置光学系と被検眼Eとを光軸の方向と交差する方向に相対的に移動させる。
【0099】
例えば、Zアライメント系は、装置光学系の光軸から外れた位置からアライメント光を投影し、被検眼Eの前眼部で反射されたアライメント光を受光する。データ処理部30は、装置光学系に対する被検眼Eの距離に応じて変化するアライメント光の受光位置から、装置光学系に対する被検眼Eの距離を特定する。後述の制御部は、特定された距離が所望の作動距離になるように図示しない移動機構により装置光学系と被検眼Eとを光軸の方向に相対的に移動させる。
【0100】
いくつかの実施形態では、アライメント系の機能は、装置光学系の光軸から外れた位置に配置された2以上の前眼部カメラにより実現される。例えば、特開2013-248376号公報に開示されているように、データ処理部30は、2以上の前眼部カメラで実質的に同時に取得された被検眼Eの前眼部像を解析して、公知の三角法を用いて被検眼Eの3次元位置を特定する。後述の制御部は、装置光学系の光軸が被検眼Eの軸に略一致し、かつ、被検眼Eに対する装置光学系の距離が所定の作動距離になるように図示しない移動機構により装置光学系と被検眼Eとを3次元的に相対的に移動させる。
【0101】
<制御系の構成>
次に、実施形態にかかる眼科装置1の制御系について説明する。
【0102】
眼科装置1の制御系について、図4を参照しながら説明する。図4に示すように、眼科装置1の制御系は、制御部100を中心に構成されている。なお、制御系の構成の少なくとも一部が眼科装置1に含まれていてもよい。
【0103】
(制御部100)
制御部100は、眼科装置1の各部を制御する。制御部100は、主制御部101と、記憶部102とを含む。主制御部101は、プロセッサを含み、記憶部102に記憶されたプログラムに従って処理を実行することで、眼科装置1の各部の制御処理を実行する。
【0104】
(主制御部101)
主制御部101は、投影系10の制御、受光系20の制御、データ処理部30の制御、画像出力部40の制御、光学系51の制御を行う。光学系51の制御には、合焦機構52の制御、補正光学系53の制御が含まれる。
【0105】
投影系10の制御には、パターン光発生部11の制御が含まれる。パターン光発生部11の制御には、光源11Aの制御、空間光変調器11Cの制御が含まれる。光源11Aの制御には、光源の点灯や消灯の切り替え、光源の光量の変更制御が含まれる。空間光変調器11Cの制御には、光源11Aからの光に対する空間的な振幅制御、位相制御、及び偏光制御、光源11Aからの光に対する時間的な振幅制御、位相制御、及び偏光制御が含まれる。
【0106】
投影系10が光スキャナを含む場合、主制御部101は、光スキャナを制御することが可能である。光スキャナの制御には、スキャン範囲(スキャン開始位置及びスキャン終了位置)及びスキャン速度の制御が含まれる。
【0107】
受光系20の制御には、イメージセンサ22の制御がある。イメージセンサ22の制御には、露光タイイング、感度、及びフレームレートの少なくとも1つの変更制御、ローリングシャッター方式又はグローバルシャッター方式による読み出し制御がある。
【0108】
データ処理部30の制御には、上記の画像処理の実行制御と、解析処理の実行制御とが含まれる。画像出力部40の制御には、上記の各種情報の表示制御が含まれる。
【0109】
合焦機構52の制御には、パターン光を合焦するための機構に応じた制御が含まれる。例えば、合焦機構52は、眼屈折力値算出部32により算出された眼屈折力値のうち球面度数S又は等価球面度数SEに基づいて制御される。
【0110】
合焦機構52が合焦レンズを含む場合、主制御部101は、眼屈折力値算出部32により算出された球面度数S(眼屈折力値)に対応した合焦制御内容を特定し、特定された合焦制御内容に基づいて、合焦レンズを光軸方向に移動する移動機構を制御する。
【0111】
合焦機構52が対物レンズを含む場合、主制御部101は、眼屈折力値算出部32により算出された球面度数Sに対応した合焦制御内容を特定し、特定された合焦制御内容に基づいて、装置本体又は対物レンズを光軸方向に移動する移動機構を制御する。
【0112】
合焦機構52が液体レンズ又は液晶レンズを含む場合、主制御部101は、眼屈折力値算出部32により算出された球面度数Sに対応した合焦制御内容を特定し、特定された合焦制御内容に基づいて、液体レンズ又は液晶レンズを制御する。
【0113】
補正光学系53の制御には、被検眼の乱視状態を補正するための機構に応じた制御が含まれる。例えば、補正光学系53は、眼屈折力値算出部32により算出された眼屈折力値のうち乱視度数C及び乱視軸角度Aに基づいて制御される。
【0114】
例えば、主制御部101は、眼屈折力値算出部32により算出された乱視度数Cに対応した乱視補正制御内容を特定し、特定された乱視補正制御内容に基づいて、乱視度数が矯正されるように補正光学系53を制御する。また、例えば、主制御部101は、眼屈折力値算出部32により算出された乱視軸角度Aに対応した乱視補正制御内容を特定し、特定された乱視補正制御内容に基づいて、乱視軸角度が矯正されるように補正光学系53を制御する。
【0115】
補正光学系53がバリアブルクロスシリンダレンズを含む場合、主制御部101は、乱視度数Cに対応した乱視補正制御内容に基づいて2つのシリンダレンズを独立に互いに逆方向に回転させることにより乱視度数を矯正する。また、主制御部101は、乱視軸角度Aに対応した乱視補正制御内容に基づいて2つのシリンダレンズを同方向に同じ角度だけ回転させることにより乱視軸角度を矯正する。
【0116】
例えば、図3に示す記憶部102には、制御情報があらかじめ記憶されている。制御情報は、パターン光の焦点位置を変更するための合焦機構52に対する合焦制御内容(制御量、制御信号の種別)に屈折度数を対応付けた対応情報を含む。主制御部101は、対応情報を参照して、眼屈折力値算出部32により求められた球面度数Sから合焦機構52に対する合焦制御内容を特定し、特定された合焦制御内容に基づいて合焦機構52を制御することが可能である。
【0117】
また、例えば、制御情報は、パターン光の光路における屈折特性を変更するための補正光学系53に対する乱視補正制御内容(制御量、制御信号の種別)に、乱視度数C及び乱視軸角度Aの組み合わせを対応付けた対応情報を含む。主制御部101は、対応情報を参照して、眼屈折力値算出部32により求められた乱視度数C及び乱視軸角度Aから補正光学系53に対する乱視補正制御内容を特定し、特定された乱視補正制御内容に基づいて補正光学系53を制御することが可能である。
【0118】
(記憶部102)
記憶部102は、各種のコンピュータプログラムやデータを記憶する。コンピュータプログラムには、眼科装置1を制御するための演算プログラムや制御プログラムが含まれる。更に、記憶部102は、上記のように制御情報を記憶する。
【0119】
(操作部110)
操作部110は、操作デバイス又は入力デバイスを含む。操作部110には、眼科装置1に設けられたボタンやスイッチ(たとえば操作ハンドル、操作ノブ等)や、操作デバイス(マウス、キーボード等)が含まれる。また、操作部110は、トラックボール、操作パネル、スイッチ、ボタン、ダイアルなど、任意の操作デバイスや入力デバイスを含んでいてよい。
【0120】
いくつかの実施形態では、画像出力部40及び操作部110の少なくとも一部が一体的に構成される。その具体例として、画像出力部40及び操作部110の機能は、タッチスクリーンにより実現される。
【0121】
投影系10は、実施形態に係る「投影部」の一例である。受光系20、及びイメージセンサ22を制御する制御部100は、実施形態に係る「取得部」の一例である。
【0122】
[動作]
次に、眼科装置1の動作について説明する。
【0123】
図5図7に、実施形態に係る眼科装置1の動作例のフロー図を示す。記憶部102には、図5図7に示す処理を実現するためのコンピュータプログラムが記憶されている。主制御部101は、このコンピュータプログラムに従って動作することにより、図5図7に示す処理を実行する。
【0124】
ここでは、図示しないアライメント系により被検眼Eに対して装置光学系のアライメントが完了し、図示しない固視投影系により所望の固視位置に導くように被検眼Eの眼底に対して固視標が投影されているものとする。
【0125】
(S1:眼屈折力測定)
まず、主制御部101は、屈折力測定を行う。
【0126】
すなわち、主制御部101は、投影系10に屈折力測定用の所定の直径のリング状のパターン光を被検眼Eに投影させ、その戻り光の受光結果に基づいて被検眼Eの眼底像(受光像)をデータ処理部30に取得させる。その後、主制御部101は、取得された眼底像に描出されたリング像に基づいて被検眼Eの眼屈折力値を眼屈折力値算出部32に算出させる。
【0127】
ステップS1の詳細については、後述する。
【0128】
(S2:合焦制御)
次に、主制御部101は、ステップS1において算出された眼屈折力値のうち球面度数Sに基づいて合焦機構52を制御することにより所望の撮影部位の近傍にパターン光の焦点位置を配置させる。
【0129】
具体的には、主制御部101は、記憶部102に記憶された制御情報において、ステップS1において算出された眼屈折力値のうち球面度数Sに対応付けられた合焦制御内容を特定し、特定された合焦制御内容に基づいて合焦機構52を制御する。それにより、被検眼Eの球面度数Sに応じて、パターン光の焦点位置が所望の撮影部位の近傍に配置される。
【0130】
(S3:乱視補正)
続いて、主制御部101は、ステップS1において算出された眼屈折力値のうち乱視度数C及び乱視軸角度Aに基づいて補正光学系53を制御することにより被検眼Eの乱視状態を補正する。
【0131】
具体的には、主制御部101は、記憶部102に記憶された制御情報において、ステップS1において算出された眼屈折力値のうち乱視度数C及び乱視軸角度Aに対応付けられた乱視補正制御内容を特定し、特定された乱視補正制御内容に基づいて補正光学系53を制御する。それにより、被検眼Eの乱視度数C及び乱視軸角度Aに応じて、被検眼Eの乱視状態が強制される。
【0132】
(S4:撮影)
次に、主制御部101は、被検眼Eの眼底を撮影させる。
【0133】
すなわち、主制御部101は、投影系10に撮影用の開口方向に略平行なスリット状のパターン光を被検眼Eに投影させ、その戻り光の受光結果に基づいて被検眼Eの眼底像(受光像)をデータ処理部30に取得させる。
【0134】
ステップS4の詳細については、後述する。
【0135】
以上で、眼科装置1の動作は終了である(エンド)。
【0136】
図6は、図5のステップS1の動作例のフロー図を表す。
【0137】
(S11:前眼部像を取得)
まず、主制御部101は、被検眼Eの瞳孔に相当する画像領域を含む前眼部像を取得させる。
【0138】
例えば、イメージセンサ22がCCDイメージセンサを含む場合、主制御部101は、パターン光発生部11により前眼部撮影用の投影形状のパターン光を発生させ、発生されたパターン光を前眼部に投影し、その戻り光をイメージセンサ22により受光することにより前眼部像を取得させる。パターン光発生部11は、例えば、開口形状の開口方向に略平行な方向(例えば、開口方向)に延びるパターン光を発生する。パターン光発生部11により発生されたパターン光は、光学系12、光合波分波器50、及び光学系51を経由し、被検眼Eに投影される。被検眼Eに投影されたパターン光は、被検眼Eにより反射される。被検眼Eからのパターン光の戻り光は、光学系51、光合波分波器50、及び光学系21を経由して、イメージセンサ22の検出面に結像する。主制御部101は、イメージセンサ22による戻り光の受光結果を、グローバルシャッター方式により読み出す。
【0139】
例えば、イメージセンサ22がCMOSイメージセンサ(又はCCDイメージセンサ)を含む場合、前眼部撮影用の投影形状は、図5のステップS4における撮影用の投影形状と同様であってよい。この場合、主制御部101は、イメージセンサ22による戻り光の受光結果を、所定の開口形状に対応したローリングシャッター方式により読み出す。データ処理部30は、読み出された受光結果に基づいて、開口形状に対応した受光像を取得する。続いて、主制御部101は、例えば、開口方向に直交する方向にシフトした投影位置に上記と同様の投影形状のパターン光を投影させ、上記と同様に開口位置をシフトさせてイメージセンサ22による戻り光の受光結果の読み出し制御を行う。このような制御を複数回繰り返して1フレーム分の受光像を取得することで、被検眼Eの前眼部像が取得される。
【0140】
いくつかの実施形態では、例えば、主制御部101は、図1に示す光学系とは別途に設けられた前眼部カメラ(不図示)を用いて前眼部を撮影させてもよい。それにより、被検眼Eの前眼部像が取得される。
【0141】
いくつかの実施形態では、外部から前眼部像の画像データを受信することにより前眼部像が取得される。
【0142】
(S12:瞳孔領域を特定)
次に、主制御部101は、ステップS11において取得された前眼部像において、瞳孔に相当する画像領域を瞳孔領域として瞳孔領域特定部31Aに特定させる。
【0143】
瞳孔領域特定部31Aは、上記のように前眼部像における瞳孔領域を特定する。
【0144】
(S13:所定の瞳孔サイズ以下?)
続いて、主制御部101は、ステップS12において特定された瞳孔領域から被検眼Eの瞳孔が小瞳孔であるか否かを瞳孔判定部31Bに判定させる。
【0145】
具体的には、瞳孔判定部31Bは、ステップS12において特定された瞳孔領域の輪郭を特定し、特定された輪郭に基づいて瞳孔領域の直径(又は半径)を求め、求められた瞳孔領域の直径(又は半径)と所定の閾値とを比較する。所定の閾値は、所定の瞳孔サイズに対応する。瞳孔判定部31Bは、瞳孔領域の直径(又は半径)が所定の閾値以下であるとき被検眼Eの瞳孔が小瞳孔であると判定し、瞳孔領域の直径(又は半径)が所定の閾値を超えるとき被検眼Eの瞳孔が小瞳孔ではないと判定する。
【0146】
ステップS13において、ステップS12において特定された瞳孔領域から被検眼Eの瞳孔が小瞳孔であると判定されたとき(S13:Y)、眼科装置1の動作はステップS15に移行する。一方、ステップS13において、ステップS12において特定された瞳孔領域から被検眼Eの瞳孔が小瞳孔ではないと判定されたとき(S13:N)、眼科装置1の動作はステップS14に移行する。
【0147】
(S14:投影形状を変更)
ステップS13において、特定された瞳孔領域から被検眼Eの瞳孔が小瞳孔であると判定されたとき(S13:Y)、主制御部101は、パターン光発生部11を制御することにより、屈折測定用のリングの所定の直径を変更するようにパターン光の投影形状を変更する。
【0148】
(S15:パターン光を投影)
ステップS14に続いて、又はステップS13において被検眼Eの瞳孔が小瞳孔ではないと判定されたとき(S13:N)、主制御部101は、屈折力測定用のリング状のパターン光をパターン光発生部11に発生させる。
【0149】
ステップS14においてパターン光の投影形状が変更された場合、パターン光発生部11は、小瞳孔の屈折力測定用の直径のリング状のパターン光を発生する。いくつかの実施形態では、パターン光発生部11は、あらかじめ決められた小瞳孔の屈折力測定用の直径のリング状のパターン光を発生する。いくつかの実施形態では、パターン光発生部11は、ステップS13において特定された瞳孔領域の直径に対応する直径のリング状のパターン光を発生する。
【0150】
ステップS13において被検眼Eの瞳孔が小瞳孔ではないと判定されたとき(S13:N)、パターン光発生部11は、屈折力測定用にあらかじめ決められた直径のリング状のパターン光を発生する。
【0151】
パターン光発生部11により発生されたパターン光は、光学系12、光合波分波器50、及び光学系51を経由し、被検眼Eに投影される。
【0152】
(S16:受光像を取得)
次に、主制御部101は、データ処理部30に受光像を取得させる。
【0153】
具体的には、投影系10により被検眼Eに投影されたパターン光は、被検眼Eにより反射される。被検眼Eからのパターン光の戻り光は、光学系51、光合波分波器50、及び光学系21を経由して、イメージセンサ22の検出面に結像する。
【0154】
イメージセンサ22がCCDイメージセンサを含む場合、主制御部101は、例えばグローバルシャッター方式によりイメージセンサ22による戻り光の受光結果を読み出して、データ処理部30に被検眼Eの受光像(眼底像)を取得する。
【0155】
イメージセンサ22がCMOSイメージセンサを含む場合、主制御部101は、例えばローリングシャッター方式によりイメージセンサ22による戻り光の受光結果を読み出して、データ処理部30に被検眼Eの受光像(眼底像)を取得する。
【0156】
(S17:眼屈折力値を算出)
続いて、主制御部101は、ステップS16において取得された受光像に描出されたリング像を解析部31に解析させ、眼屈折力値を眼屈折力値算出部32に算出させる。
【0157】
例えば、主制御部101は、戻り光に基づくリング像を取得できたか否かを解析部31に判定させる。解析部31は、戻り光に基づくリング像のエッジの位置(画素)を検出し、リング像の幅(外径と内径との差)が所定値以上であるか否かを判定する。或いは、解析部31は、所定の高さ(リング径)以上の点(像)に基づいてリングを形成できるか否かを判定することにより、リング像を取得できたか否かを判定してもよい。
【0158】
リング像を取得できたと判定されたとき、眼屈折力値算出部32は、取得された受光像に描出されたリング像を公知の手法で解析し、球面度数S、乱視度数C、及び乱視軸角度Aを求める。
【0159】
リング像を取得できないと判定されたとき、主制御部101は、強度屈折異常眼である可能性を考慮して、合焦機構52を制御することにより、あらかじめ設定したステップでマイナス度数側(例えば-10D)、プラス度数側(例えば+10D)へパターン光の焦点位置を移動させる。主制御部101は、再び、パターン光を被検眼Eに投影させ、各位置でリング像を検出させる。それでもリング像を取得できないと判定されたとき、主制御部101は、所定の測定エラー処理を実行する。このとき、眼科装置1の動作は次のステップに移行してもよい。制御部100では、屈折力測定結果が得られなかったことを示す情報が記憶部102に記憶される。
【0160】
いくつかの実施形態では、仮測定が完了した後に本測定により屈折力測定結果が取得される。
【0161】
この場合も、まず、主制御部101は、戻り光に基づくリング像を取得できたか否かを解析部31に判定させる。リング像を取得できたと判定されたとき、眼屈折力値算出部32は、戻り光に基づくリング像を公知の手法で解析し、仮の球面度数S及び仮の乱視度数Cを求める。主制御部101は、求められた仮の球面度数S及び乱視度数Cに基づき、合焦機構52を制御することにより、等価球面度数(S+C/2)に対応した位置(仮の遠点に相当する位置)へパターン光の焦点位置を移動させる。
【0162】
次に、主制御部101は、雲霧制御を実行する。
【0163】
具体的には、主制御部101は、求められた等価球面度数の位置から所定のディオプター(例えば、1.5ディオプター)分だけ図示しない視標チャートを、被検眼Eを雲霧させる位置に配置させる。その後、主制御部101は、本測定として、屈折力測定用のリング状のパターン光を被検眼Eに投影させ、リング像を再び取得させる。主制御部101は、前述と同様に得られたリング像の解析結果と合焦機構52の制御内容から球面度数、乱視度数及び乱視軸角度を眼屈折力値算出部32に算出させる。
【0164】
以上で、図5のステップS1の動作は終了である(エンド)。
【0165】
図7は、図5のステップS4の動作例のフロー図を表す。
【0166】
(S21:パターン光を投影)
ステップS4では、まず、主制御部101は、パターン光発生部11を制御することにより撮影用の投影形状のパターン光を発生させる。
【0167】
具体的には、パターン光発生部11は、開口形状の開口方向に略平行な方向(例えば、開口方向)に延びるパターン光を発生する。パターン光発生部11により発生されたパターン光は、光学系12、光合波分波器50、及び光学系51を経由し、被検眼Eに投影される。
【0168】
(S22:受光像を取得)
次に、主制御部101は、データ処理部30に受光像を取得させる。
【0169】
被検眼Eに投影されたパターン光は、被検眼Eにより反射される。被検眼Eからのパターン光の戻り光は、光学系51、光合波分波器50、及び光学系21を経由して、イメージセンサ22の検出面に結像する。
【0170】
イメージセンサ22がCCDイメージセンサを含む場合、主制御部101は、イメージセンサ22による戻り光の受光結果をグローバルシャッター方式により読み出す。データ処理部30は、読み出された受光結果に基づいて、受光像を取得する。
【0171】
イメージセンサ22がCMOSイメージセンサを含む場合、主制御部101は、イメージセンサ22による戻り光の受光結果を、所定の開口形状に対応したローリングシャッター方式により読み出す。データ処理部30は、読み出された受光結果に基づいて、開口形状に対応した受光像を取得する。続いて、主制御部101は、例えば、開口方向に直交する方向にシフトした投影位置に上記と同様の投影形状のパターン光を投影させ、上記と同様に開口位置をシフトさせてイメージセンサ22による戻り光の受光結果の読み出し制御を行う。このような制御を複数回繰り返して1フレーム分の受光像を取得することで、被検眼Eの眼底像が取得される。
【0172】
以上で、図5のステップS4の動作は終了である(エンド)。
【0173】
<変形例>
実施形態に係る眼科装置の構成及び制御は、上記の態様に限定されるものではない。以下、実施形態の変形例について、実施形態との相違点を中心に説明する。
【0174】
(第1変形例)
実施形態では、パターン光発生部11が光源と非発光型のデバイスとを用いて、光源からの光を空間的に変調することによりパターン光を発生する場合について説明したが、実施形態に係る構成はこれに限定されるものではない。本変形例では、パターン光発生部が、自発光型のデバイスを含む。
【0175】
図8に、実施形態の変形例に係るパターン光発生部の構成例のブロック図を示す。本変形例に係る眼科装置は、パターン光発生部11に代えて、図8に示すパターン光発生部11aを含む。
【0176】
本変形例に係るパターン光発生部11aは、自発光デバイス120と、光学系121とを含む。自発光デバイス120は、画素毎に変調された光を発生することで、ピクセル化されたパターン光発生器としての機能を実現する。自発光デバイス120の例として、ブラウン管(Cathode-Ray Tube:CRT)、プラズマディスプレイ(Plasma Display Panel:PDP)、有機EL(Organic Electro-Luminescence:OEL)、LED、無機EL(Inorganic Electro-Luminescence:IEL)、蛍光表示管(Vaccum Floorescent Display:VFD)、電界電子放出ディスプレイ(Field Emission Dsiplay:FED)などがある。
【0177】
自発光デバイス120は、被検眼Eの撮影部位(例えば、眼底、前眼部)と光学的に略共役な位置に配置可能である。光学系121は、自発光デバイス120により空間的に変調された光を投影するための投影レンズを含む。
【0178】
本変形例に係る眼科装置の動作は、実施形態と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0179】
(第2変形例)
実施形態又はその変形例では、イメージセンサ22が、CMOSイメージセンサ及びCCDイメージセンサのいずれか一方を含む場合について説明したが、実施形態に係る構成はこれに限定されるものではない。ここで、CMOSイメージセンサは、ローリングシャッター方式によりパターン光の戻り光の受光結果の読み出しが可能なイメージセンサの一例である。CCDイメージセンサは、グローバルシャッター方式によりパターン光の戻り光の受光結果の読み出しが可能なイメージセンサの一例である。本変形例では、イメージセンサは、CCDイメージセンサとCMOSイメージセンサとを含む。
【0180】
図9に、実施形態の変形例に係る眼科装置の構成例のブロック図を示す。図9において、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0181】
本変形例に係る眼科装置1aの構成が実施形態に係る眼科装置1の構成と異なる点は、受光系20に代えて受光系20aが設けられている点である。受光系20aの構成が受光系20の構成と異なる点は、イメージセンサ22に代えてイメージセンサ22aが設けられている点である。
【0182】
イメージセンサ22aは、光分波器22Aと、CCDイメージセンサ22Bと、CMOSイメージセンサ22Cとを含む。
【0183】
光分波器22Aは、光学系21Aからの戻り光を2つの戻り光に分割し、分割された2つの戻り光をCCDイメージセンサ22B及びCMOSイメージセンサ22Cに導く。このような光分波器22Aの機能は、ビームスプリッタにより実現することができる。ビームスプリッタには、ハーフミラー、ダイクロイックミラー、偏光ビームスプリッタ、コールドミラー、ホットミラーなどがある。
【0184】
例えば、光分波器22Aは、屈折力測定用のパターン光の戻り光をCCDイメージセンサ22Bに導き、所望の撮影部の撮影用のパターン光の戻り光をCMOSイメージセンサ22Cに導く。
【0185】
本変形例では、主制御部101は、CCDイメージセンサ22Bによる戻り光の受光結果をグローバルシャッター方式により読み出すことにより受光像をデータ処理部30に取得させることができる。また、主制御部101は、CMOSイメージセンサ22Cによる戻り光の受光結果をローリングシャッター方式により読み出すことにより受光像をデータ処理部30に取得させることができる。
【0186】
本変形例に係る眼科装置1aのその他の動作は、実施形態と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0187】
[作用・効果]
実施形態に係る眼科装置、及びその制御方法の作用および効果について説明する。
【0188】
いくつかの実施形態に係る眼科装置(1、1a)は、投影部(投影系10)と、取得部(受光系20、及びイメージセンサ22を制御する制御部100)と、制御部(100)と、眼屈折力値算出部(32)とを含む。投影部は、変形可能な投影形状のパターン光を被検眼(E)に投影する。取得部は、被検眼からのパターン光の戻り光を受光し、戻り光の受光結果に基づいて被検眼の画像を取得する。制御部は、投影部に第1投影形状のパターン光を被検眼に投影させると共に、取得部に被検眼の第1画像を取得させる。眼屈折力値算出部は、第1画像に描出された戻り光に基づく像に基づいて被検眼の眼屈折力値を算出する。
【0189】
このような構成によれば、被検眼に投影するパターン光の投影形状を変更することにより被検眼の屈折力測定を行うようにしたので、簡素な構成で、被検眼の屈折力の測定が可能な眼科装置を提供することができるようになる。
【0190】
いくつかの実施形態に係る眼科装置では、制御部は、投影部に第1投影形状のパターン光を投影部に投影させることにより取得部に被検眼の第1画像を取得させると共に、投影部に第2投影形状のパターン光を投影部に投影させることにより取得部に被検眼の第2画像を取得させる。
【0191】
このような構成によれば、第1投影形状のパターン光を被検眼に投影することにより屈折力測定のための画像を取得し、第2投影形状のパターン光を被検眼に投影することにより撮影画像を取得することが可能になる。従って、簡素な構成で、被検眼の屈折力の測定と撮影画像の取得とが可能な眼科装置を提供することができるようになる。
【0192】
いくつかの実施形態に係る眼科装置では、取得部は、第2画像をローリングシャッター方式により取得する。
【0193】
このような構成によれば、例えば、CMOSイメージセンサを用いて第2画像を取得することが可能になるため、簡素な構成で、被検眼の屈折力測定と画像の取得とが可能な眼科装置を提供することができるようになる。
【0194】
いくつかの実施形態に係る眼科装置では、取得部は、第1画像をグローバルシャッター方式により取得する。
【0195】
このような構成によれば、例えば、CCDイメージセンサを用いて第1画像を取得することが可能になるため、簡素な構成で、被検眼の屈折力測定と画像の取得とが可能な眼科装置を提供することができるようになる。
【0196】
いくつかの実施形態に係る眼科装置は、パターン光及び戻り光の光路に配置された合焦機構(52)を含み、制御部は、眼屈折力値に基づいて合焦機構を制御する。
【0197】
このような構成によれば、被検眼の眼屈折力値に応じて、高精度に被検眼の屈折力の測定が可能な眼科装置を提供することができるようになる。
【0198】
いくつかの実施形態に係る眼科装置は、パターン光及び戻り光の光路に配置された補正光学系(53)を含み、制御部は、眼屈折力値に基づいて補正光学系を制御する。
【0199】
このような構成によれば、被検眼の乱視状態に応じて、高精度に被検眼の屈折力の測定が可能な眼科装置を提供することができるようになる。
【0200】
いくつかの実施形態に係る眼科装置では、補正光学系は、バリアブルクロスシリンダレンズを含む。
【0201】
このような構成によれば、簡素な構成で、高精度に被検眼の屈折力の測定が可能な眼科装置を提供することができるようになる。
【0202】
いくつかの実施形態に係る眼科装置は、被検眼の前眼部像における瞳孔領域を特定し、瞳孔領域のサイズが所定の閾値以下であるか否かを判定する瞳孔判定部(31B)を含み、制御部は、瞳孔判定部より瞳孔領域のサイズが所定の閾値以下であると判定されたとき、第1投影形状として上記のサイズに対応した径のリング状の投影形状のパターン光を投影部に投影させる。
【0203】
このような構成によれば、被検眼の瞳孔が小瞳孔である場合であっても、被検眼の眼底にリング状のパターン光を投影することができる。それにより、被検眼の瞳孔のサイズにかかわらず、簡素な構成で、被検眼の屈折力の測定が可能な眼科装置を提供することができるようになる。
【0204】
いくつかの実施形態に係る眼科装置では、投影部は、光源(11A)と、光源からの光を空間的に変調する空間光変調器(11B)と、を含む。
【0205】
このような構成によれば、空間光変調器を用いて光源からの光を空間的に変調することにより投影形状を変更可能なパターン光を出力するようにしたので、構成を簡素化することができる。
【0206】
いくつかの実施形態に係る眼科装置(1、1a)の制御方法は、変形可能な投影形状のパターン光を被検眼(E)に投影する眼科装置の制御方法である。眼科装置の制御方法は、第1投影ステップと、第1取得ステップと、第2投影ステップと、第2取得ステップと、算出ステップとを含む。第1投影ステップは、第1投影形状の第1パターン光を被検眼に投影する。第1取得ステップは、被検眼からの第1パターン光の第1戻り光を受光し、第1戻り光の受光結果に基づいて被検眼の第1画像を取得する。第2投影ステップは、第2投影形状の第2パターン光を被検眼に投影する。第2取得ステップは、被検眼からの第2パターン光の第2戻り光を受光し、第2戻り光の受光結果に基づいて被検眼の第2画像を取得する。算出ステップは、第1画像に描出された第1戻り光に基づく像に基づいて被検眼の眼屈折力値を算出する。
【0207】
このような方法によれば、被検眼に投影するパターン光の投影形状を変更することにより被検眼の屈折力測定を行うようにしたので、簡素な構成で、被検眼の屈折力を測定することができるようになる。
【0208】
いくつかの実施形態に係る眼科装置の制御方法では、第2取得ステップは、第2画像をローリングシャッター方式により取得する。
【0209】
このような方法によれば、例えば、CMOSイメージセンサを用いて第2画像を取得することが可能になるため、簡素な構成で、被検眼の屈折力測定と画像の取得とが可能になる。
【0210】
いくつかの実施形態に係る眼科装置の制御方法では、第1取得ステップは、第1画像をグローバルシャッター方式により取得する。
【0211】
このような方法によれば、例えば、CCDイメージセンサを用いて第1画像を取得することが可能になるため、簡素な構成で、被検眼の屈折力測定と画像の取得とが可能になる。
【0212】
いくつかの実施形態に係る眼科装置の制御方法は、第2投影ステップの前に、眼屈折力値に基づいて第2パターン光の焦点位置を変更する合焦ステップを含む。
【0213】
このような方法によれば、被検眼の眼屈折力値に応じて、高精度に被検眼の屈折力の測定が可能になる。
【0214】
いくつかの実施形態に係る眼科装置の制御方法は、第2投影ステップの前に、眼屈折力値に基づいて第2パターン光の光路に配置された光学素子の屈折特性を補正する補正ステップを含む。
【0215】
このような方法によれば、被検眼の乱視状態に応じて、高精度に被検眼の屈折力の測定が可能になる。
【0216】
いくつかの実施形態に係る眼科装置の制御方法は、被検眼の前眼部像における瞳孔領域を特定し、瞳孔領域のサイズが所定の閾値以下であるか否かを判定する判定ステップを含み、第1投影ステップは、判定ステップにおいて瞳孔領域のサイズが所定の閾値以下であると判定されたとき、第1投影形状として上記のサイズに対応した径のリング状の投影形状のパターン光を投影する。
【0217】
このような方法によれば、被検眼の瞳孔が小瞳孔である場合であっても、被検眼の眼底にリング状のパターン光を投影することができる。それにより、被検眼の瞳孔のサイズにかかわらず、簡素な構成で、被検眼の屈折力の測定が可能になる。
【0218】
以上に示された実施形態又はその変形例は、この発明を実施するための一例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内において任意の変形、省略、追加等を施すことが可能である。
【0219】
上記の実施形態又はその変形例において、眼科装置は、例えば、眼軸長測定機能、眼圧測定機能、眼底撮影機能、光干渉断層撮影(OCT)機能、超音波検査機能など、眼科分野において使用可能な任意の機能を有していてもよい。なお、眼軸長測定機能は、光干渉断層計等により実現される。また、眼軸長測定機能は、被検眼に光を投影し、当該被検眼に対する光学系のZ方向(前後方向)の位置を調整しつつ眼底からの戻り光を検出することにより、当該被検眼の眼軸長を測定するようにしてもよい。眼圧測定機能は、眼圧計等により実現される。眼底撮影機能は、眼底カメラや走査型検眼鏡(SLO)等により実現される。OCT機能は、光干渉断層計等により実現される。超音波検査機能は、超音波診断装置等により実現される。また、このような機能のうち2つ以上を具備した装置(複合機)に対してこの発明を適用することも可能である。
【0220】
いくつかの実施形態では、上記の眼科装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。このようなプログラムを、コンピュータによって読み取り可能な任意の記録媒体に記憶させることができる。この記録媒体としては、たとえば、半導体メモリ、光ディスク、光磁気ディスク(CD-ROM/DVD-RAM/DVD-ROM/MO等)、磁気記憶媒体(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などを用いることが可能である。また、インターネットやLAN等のネットワークを通じてこのプログラムを送受信することも可能である。
【符号の説明】
【0221】
1 眼科装置
10 投影系
11、11a パターン光発生部
11A 光源
11B、12、21、51、121 光学系
11C 空間光変調器
20、20a 受光系
22、22a イメージセンサ
22A 光分波器
22B CCDイメージセンサ
22C CMOSイメージセンサ
30 データ処理部
31 解析部
31A 瞳孔領域特定部
31B 瞳孔判定部
32 眼屈折力値算出部
40 画像出力部
50 光合波分波器
52 合焦機構
53 補正光学系
100 制御部
101 主制御部
102 記憶部
110 操作部
120 自発光デバイス
E 被検眼
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9