(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】作業機特定装置および作業管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20120101AFI20230804BHJP
A01B 71/02 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
G06Q50/02
A01B71/02 Z
(21)【出願番号】P 2019164596
(22)【出願日】2019-09-10
【審査請求日】2022-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100086391
【氏名又は名称】香山 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100110799
【氏名又は名称】丸山 温道
(74)【代理人】
【識別番号】100206704
【氏名又は名称】西尾 明洋
(72)【発明者】
【氏名】久本 圭司
(72)【発明者】
【氏名】新熊 章浩
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-212941(JP,A)
【文献】特開2013-163482(JP,A)
【文献】特開2019-109791(JP,A)
【文献】特開2005-151953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
A01B 71/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の作業機を装着することが可能であり、かつ前記作業機を牽引する牽引力を検出するための牽引力検出部を有するトラクタから、前記牽引力検出部によって検出される牽引力を取得する牽引力取得部と、
前記複数種類の作業機毎に作業機の重量が記憶された
作業機情報記憶部と、
前記牽引力取得部によって取得される牽引力と、前記
作業機情報記憶部に記憶された
作業機の重量とに基づいて、前記トラクタに装着された作業機を特定する作業機特定部とを含む、作業機特定装置。
【請求項2】
前記作業機特定部は、前記トラクタの走行に伴う前記作業機の作業の進展に伴って、前記牽引力検出部によって検出される牽引力が減少していく傾向にあるか否かをも考慮して、前記トラクタに装着された作業機を特定するように構成されている、請求項1に記載の作業機特定装置。
【請求項3】
複数種類の作業機を装着することが可能なトラクタに設けられ、当該トラクタに装着された作業機を牽引する牽引力を検出するための牽引力検出部と、
前記牽引力検出部によって検出される牽引力が記憶される牽引力記憶部と、
前記複数種類の作業機毎に作業機の重量が記憶された
作業機情報記憶部と、
前記トラクタの走行位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部によって検出されたる位置情報が記憶される位置情報記憶部と、
前記牽引力記憶部に記憶された牽引力と、前記作業機情報記憶部に記憶された作業機の重量とに基づいて、前記トラクタに装着された作業機を特定する作業機特定部と、
前記作業機特定部によって特定された作業機の情報を、前記位置情報記憶部に記憶された位置情報に紐づけして作業情報記憶部に記憶する作業情報記憶処理部とを含む、作業管理システム。
【請求項4】
前記作業機特定部は、前記トラクタの走行に伴う前記作業機の作業の進展に伴って、前記牽引力検出部によって検出される牽引力が減少していく傾向にあるか否かをも考慮して、前記トラクタに装着された作業機を特定するように構成されている、請求項3に記載の作業管理システム。
【請求項5】
前記トラクタの走行に伴う前記作業機の作業の進展に伴って、前記牽引力検出部によって検出される牽引力が減少していく傾向にある場合には、前記作業機特定部は、前記トラクタに装着された作業機が、散布系作業機であると判断するように構成されている、請求項4に記載の作業管理システム。
【請求項6】
前記トラクタの走行に伴う前記作業機の作業の進展に伴って、前記牽引力検出部によって検出される牽引力が減少していく傾向にない場合には、前記作業機特定部は、前記トラクタに装着された作業機が、耕起系作業機であると判断するように構成されている、請求項4に記載の作業管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機特定装置および作業管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業機が装着されたトラクタを圃場内で走行させることによって、作業機に農作業を実行させ、作業機の機械情報、トラクタの位置情報および作業内容データを、作業情報として遠隔のサーバに記憶する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、トラクタと作業機とを電気的に接続することによって、作業機の種類等を示す機械情報をトラクタが取得してトラクタのメモリに記憶するようになっている。
近年では、トラクタと作業機とを無線接続することによって、作業機の機械情報をトラクタが取得する方法も提案されている。
しかし、トラクタと作業機との間でデータ通信を実現するためには、トラクタと作業機とに通信装置を設置する必要がある。また、旧型の作業機を使用する場合には、作業機に通信装置を設置できないこともある。
【0005】
そこで、多くの場合には、作業を開始する前に、トラクタのオペレータが作業機の機械情報をトラクタに手動入力することにより、トラクタのメモリに作業機の機械情報を記憶させるようにしている。しかし、この方法では、作業機を交換する度に機械情報を手動入力する必要があるため、その操作が面倒であるとともに入力忘れも発生しやすいという問題がある。
【0006】
この発明の目的は、トラクタのオペレータがトラクタに装着された作業機の機械情報を手動入力しなくとも、トラクタに装着された作業機を新規な方法で自動的に特定することが可能となる作業機特定装置および作業管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一実施形態は、複数種類の作業機を装着することが可能であり、かつ前記作業機を牽引する牽引力を検出するための牽引力検出部を有するトラクタから、前記牽引力検出部によって検出される牽引力を取得する牽引力取得部と、前記複数種類の作業機毎に作業機の重量が記憶された重量記憶部と、前記牽引力取得部によって取得される牽引力と、前記重量記憶部に記憶された重量とに基づいて、前記トラクタに装着された作業機を特定する作業機特定部とを含む、作業機特定装置を提供する。
【0008】
この構成では、トラクタのオペレータがトラクタに装着された作業機の機械情報を手動入力しなくとも、トラクタに装着された作業機を自動的に特定することが可能となる。なお、この発明は、トラクタとトラクタに装着された作業機とが有線通信接続または無線通信接続されている場合においても適用可能である。
この発明の一実施形態では、前記作業機特定部は、前記トラクタの走行に伴う前記作業機の作業の進展に伴って、前記牽引力検出部によって検出される牽引力が減少していく傾向にあるか否かをも考慮して、前記トラクタに装着された作業機を特定するように構成されている。
【0009】
この発明の一実施形態は、複数種類の作業機を装着することが可能なトラクタに設けられ、当該トラクタに装着された作業機を牽引する牽引力を検出するための牽引力検出部と、前記牽引力検出部によって検出される牽引力が記憶される牽引力記憶部と、前記複数種類の作業機毎に作業機の重量が記憶された重量記憶部と、前記トラクタの走行位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部によって検出される位置情報が記憶される位置情報記憶部と、前記牽引力記憶部に記憶された牽引力と、前記作業機情報記憶部に記憶された作業機の重量とに基づいて、前記トラクタに装着された作業機を特定する作業機特定部と、前記作業機特定部によって特定された作業機の情報を、前記位置情報記憶部に記憶された位置情報に紐づけして作業情報記憶部に記憶する作業情報記憶処理部とを含む、作業管理システムを提供する。
【0010】
この構成では、トラクタのオペレータがトラクタに装着された作業機の機械情報を手動入力しなくとも、トラクタに装着された作業機を自動的に特定することが可能となる。
この発明の一実施形態では、前記作業機特定部は、前記トラクタの走行に伴う前記作業機の作業の進展に伴って、前記牽引力検出部によって検出される牽引力が減少していく傾向にあるか否かをも考慮して、前記トラクタに装着された作業機を特定するように構成されている。
【0011】
この発明の一実施形態では、前記トラクタの走行に伴う前記作業機の作業の進展に伴って、前記牽引力検出部によって検出される牽引力が減少していく傾向にある場合には、前記作業機特定部は、前記トラクタに装着された作業機が、散布系作業機であると判断するように構成されている。
この発明の一実施形態では、前記トラクタの走行に伴う前記作業機の作業の進展に伴って、前記牽引力検出部によって検出される牽引力が減少していく傾向にない場合には、前記作業機特定部は、前記トラクタに装着された作業機が、耕起系作業機であると判断するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る作業機特定装置が適用された作業管理システムの構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、トラクタおよび管理サーバの電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、あるユーザU1に対するユーザ別トラクタ情報テーブルの内容例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、あるユーザU1に対するユーザ別作業機情報テーブルの内容例を示す模式図である。
【
図5A】
図5Aは、作業機特定部によって実行される作業機特定処理の手順の一部を示すフローチャートである。
【
図5B】
図5Bは、作業機特定部によって実行される作業機特定処理の手順の一部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る作業機特定装置が適用された作業管理システムの構成を示す模式図である。
作業管理システム1は、トラクタ2と、トラクタ2に装着される作業機3と、管理サーバ4とを含む。管理サーバ4は、作業機特定装置の一例である。管理サーバ4は、管理センター5内に設けられている。トラクタ2は、通信網6を介して管理サーバ4と通信可能である。
【0014】
トラクタ2には、複数種類の作業機を装着することが可能である。トラクタ2に装着される作業機3には、例えば、散布系作業機や耕起系(耕耘系、砕土系、整地系を含む)作業機がある。散布系作業機には、播種機、スプレーヤ(防除機)、ブロードキャスタ(施肥機)等がある。耕起系作業機には、ロータリー(耕耘機)、ソイラ、ケンブリッジローラ、モア(草刈機)等がある。散布系作業機には、トラクタ2のPTO軸の回転力が伝達される。耕起系作業機のうち、ロータリーおよびモアには、トラクタ2のPTO軸の回転力が伝達される。ソイラには、トラクタ2のPTO軸の回転力が伝達されるものと、トラクタ2のPTO軸の回転力が伝達されないものとがある。ケンブリッジローラには、トラクタ2のPTO軸の回転力は伝達されない。
【0015】
トラクタ2は、測位衛星7を利用してトラクタ2の位置を測位する機能を備えている。また、トラクタ2は、作業機3を牽引する牽引力を検出するための牽引力センサ22を備えている。
トラクタ2は、トラクタ識別情報(この例では、トラクタ2の型式および機番)と、牽引力情報と、位置情報と、稼働情報とを含む情報を管理サーバ4に送信する。
【0016】
図2は、トラクタ2および管理サーバ4の電気的構成を示すブロック図である。
トラクタ2は、トラクタ制御部10を含む。トラクタ制御部10は、CPUおよびメモリ(揮発性メモリ、不揮発性メモリ等)11を備えたマイクロコンピュータを含む。トラクタ制御部10は、トラクタ2の動作(前進、後進、停止、旋回等の動作)を制御する。トラクタ制御部10には、トラクタ2の各部を制御するための複数のコントロ-ラ(コントローラ類21)が電気的に接続されている。複数のコントローラは、エンジンの回転数等を制御するエンジンコントローラ、トラクタ2の車速を制御する車速コントローラ、トラクタ2の前輪の転舵角を制御する操向コントローラ、PTO軸の回転を制御するPTO軸コントローラ等を含む。
【0017】
トラクタ2は、PTO軸(動力伝達軸)への動力の伝達/遮断を切り替えるためのPTOクラッチを備えている。PTO軸コントローラは、トラクタ制御部10から入力される制御信号に基づいて、PTOクラッチを切り換えて、PTO軸を介して作業機3を回転駆動させたり、停止させたりすることができる。
トラクタ制御部10には、さらに、牽引力センサ22、位置情報算出部23、通信部24、表示部25、操作部26、記憶部27等が接続されている。牽引力センサ22は、本発明の牽引力検出部の一例である。位置情報算出部23は、本発明の位置検出部の一例である。
【0018】
牽引力センサ22は、トラクタ2が作業機3を牽引する牽引力を検出する。
位置情報算出部23には、衛星信号受信用アンテナ28が電気的に接続されている。衛星信号受信用アンテナ28は、衛星測位システムを構成する測位衛星7(
図1参照)からの信号を受信するものである。衛星測位システムは、たとえば、GNSS(Global Navigation Satellite System)である。位置情報算出部23は、衛星信号受信用アンテナ28で受信された測位信号に基づいて、トラクタ2(厳密には、衛星信号受信用アンテナ28)の位置を算出する。具体的には、位置情報算出部23は、時刻情報と位置情報とを含む測位情報を生成する。位置情報は、例えば、緯度情報と経度情報とからなる。
【0019】
通信部24は、トラクタ制御部10が通信網6を介して管理サーバ4と通信するための通信インタフェースである。表示部25は、例えば液晶表示器からなる。操作部26には、複数のレバーやスイッチ等が設けられている。
記憶部27は、不揮発性メモリ等の記憶デバイスから構成されている。記憶部27には、牽引力記憶部31、位置情報記憶部32、稼働情報記憶部33等が設けられている。
【0020】
トラクタ制御部10は、情報取得処理部12を含んでいる。情報取得処理部12は、エンジンがオンされてからオフされるまでの間に、牽引力センサ22によって検出される牽引力を所定時間毎に取得して、牽引力記憶部31に記憶する。また、情報取得処理部12は、エンジンがオンされてからオフされるまでの間に、位置情報算出部23によって所定時間毎に算出される位置情報を取得して位置情報記憶部32に記憶する。また、情報取得処理部12は、エンジンがオンされてからオフされるまでの間に、トラクタ制御部30から所定時間毎に与えられる稼働情報を取得して稼働情報記憶部33に記憶する。稼働情報には、エンジン回転数、PTOクラッチのオンオフ状態等が含まれる。
【0021】
そして、情報取得処理部12は、牽引力記憶部31に記憶された時刻毎の牽引力情報、位置情報記憶部32に記憶された時刻毎の位置情報および稼働情報記憶部33に記憶された時刻毎の稼働情報を、トラクタ識別情報とともに、所定のタイミング(例えば、電源キーがオフ操作されたタイミング)で管理サーバ4に送信する。以下において、管理サーバ4に送信される「時刻毎の牽引力情報、位置情報および稼働情報」を、「時刻毎の車両側情報」という場合がある。
【0022】
管理サーバ4は、サーバ制御部40を備えている。サーバ制御部40には、通信部51、操作表示部52、操作部53、記憶部54等が接続されている。通信部51は、サーバ制御部40が通信網6を介してトラクタ制御部10と通信するための通信インタフェースである。操作表示部52は、例えば、タッチパネル式ディスプレイからなる。操作部53は、例えば、キーボード、マウス等を含む。記憶部54は、ハードディスク、不揮発性メモリ等の記憶デバイスから構成されている。
【0023】
記憶部54には、時系列情報記憶部61、ユーザ別トラクタ情報テーブル62、ユーザ別作業機情報テーブル63、ユーザ別圃場テーブル64、ユーザ別作業情報記憶テーブル65等が設けられている。
時系列情報記憶部61には、トラクタ制御部10から受信した時刻毎の車両側情報がトラクタ制御部10から受信したトラクタ識別情報に関連付けられて記憶される。
【0024】
ユーザ別トラクタ情報テーブル62には、ユーザ毎に、当該ユーザが所有するトラクタ識別情報(型式および機番)が記憶される。
図3は、あるユーザU1に対するユーザ別トラクタ情報テーブル62の内容例を示している。
図3の例では、ユーザU1は、3台のトラクタT1,T2,T3を所有している。
ユーザ別作業機情報テーブル63には、ユーザ毎に、当該ユーザが所有している作業機に関する情報(作業機情報)が記憶される。
図4は、あるユーザU1に対するユーザ別作業機情報テーブル63の内容例を示している。
図4の例では、作業機情報には、作業機名、散布系作業機であるか耕起系作業機であるかの区別、重量、PTO軸によって回転駆動されるか否かの区別、作業機が散布系作業機である場合の散布物(種、農薬、肥料等)の最大積載量等が含まれる。ユーザ別作業機情報テーブル63は、本発明の重量記憶部の一例である。
【0025】
ユーザ別圃場テーブル64には、ユーザ毎に、そのユーザが所有する圃場に関する情報が記憶される。あるユーザに対する圃場テーブル64には、例えば、当該ユーザが所有する圃場毎に、圃場ID、圃場位置を特定するための情報(圃場位置特定情報)等が記憶される。
ユーザ別作業情報記憶テーブル65には、ユーザ毎に、作業情報が記憶される。あるユーザに対するユーザ別作業情報記憶テーブル65には、作業が行われた圃場に対して、例えば、時刻毎の位置情報が当該作業に使用された作業機に紐付けされて記憶される。
【0026】
サーバ制御部40は、CPUおよびメモリ(ROM、RAM等)41を備えたマイクロコンピュータを含む。制御部40は、情報取得部42と、作業機特定部43と、作業情報記憶処理部44を含む。情報取得部42は、本発明の牽引力取得部の一例である。
情報取得部42は、トラクタ2からトラクタ識別情報とともに時刻毎の車両側情報を受信したときに、受信した時刻毎の車両側情報を受信したトラクタ識別情報に関連付けて時系列情報記憶部61に記憶する。以下において、トラクタ2に装着された作業機3によって作業が行われている間(エンジンがオンされてからオフされるまでの間)に、トラクタ2の記憶部27(31,32,33)に蓄積された時刻毎の車両側情報を「処理対象の時系列情報」ということにする。時系列情報記憶部61には、処理対象の時系列情報が記憶されているものとする。
【0027】
作業機特定部43は、処理対象の時系列情報に含まれている牽引力情報およびユーザ別作業機情報テーブル63に記憶されている作業機の重量を用いて、トラクタ2に装着された作業機3を特定する。
作業情報記憶処理部44は、作業機特定部43によって特定された作業機の情報を、処理対象の時系列情報に含まれている位置情報に紐づけしてユーザ別作業情報記憶テーブル65に記憶する。
【0028】
図5Aおよび
図5Bは、作業機特定部43によって実行される作業機特定処理の手順を示すフローチャートである。
図5Aを参照して、まず、作業機特定部43は、処理対象の時系列情報に関連付けられて記憶されているトラクタ識別情報と、ユーザ別トラクタ情報テーブル62とに基づいて、トラクタ2を所有するユーザを特定する(ステップS1)。
【0029】
次に、作業機特定部43は、ステップS1で特定されたユーザに対応するユーザ別作業機情報テーブル63に基づいて、ステップS1で特定されたユーザが所有している全ての作業機を第1作業機候補として抽出するとともに、これらの第1作業機候補の作業機情報を抽出する(ステップS2)。
次に、作業機特定部43は、処理対象の時系列情報に含まれている牽引力情報のうち、エンジンがオンされてからトラクタ2が走行を開始した直後付近での牽引力情報を、作業開始時の牽引力情報wsとして抽出する(ステップS3)。具体的には、作業機特定部43は、エンジンがオンされたときの位置情報(最も早い時刻に対応する位置情報)に対応する位置からのトラクタ2の移動距離が所定距離を超えたときの牽引力情報を、作業開始時の牽引力情報wsとして抽出する。
【0030】
次に、作業機特定部43は、処理対象の時系列情報に含まれている牽引力情報のうち、エンジンがオンされてからオフされるまでの間においてトラクタ2が最後に停止される直前付近での牽引力情報を、作業終了時の牽引力情報wsとして抽出する(ステップS4)。具体的には、作業機特定部43は、エンジンがオフされたときの位置情報(最も遅い時刻に対応する位置情報)に対応する位置から遡って、トラクタ2の移動距離が所定距離を超えたときの牽引力情報を、作業終了時の牽引力情報weとして抽出する。
【0031】
次に、作業機特定部43は、作業開始時の牽引力情報wsと作業終了時の牽引力情報weとの差Δw(=ws-we)を演算する(ステップS5)。
次に、作業機特定部43は、トラクタ2の走行に伴う作業機3の作業の進展に伴って、牽引力センサ22によって検出される牽引力が減少していく傾向にあるかを判別する(ステップS6)。具体的には、ステップS5で演算された牽引力偏差Δw(=ws-we)が所定の閾値α(>0)以上であれば、作業機特定部43は、牽引力が減少していく傾向にあると判別する。一方、ステップS5で演算された牽引力偏差Δw(=ws-we)が所定の閾値α(>0)未満であれば、作業機特定部43は、牽引力が減少していく傾向にないと判別する。
【0032】
牽引力が減少していく傾向にあると判別された場合には(ステップS6:YES)、作業機特定部43は、作業機3は散布系作業機であると判断し(ステップS7)、ステップS2で抽出された第1作業機候補に散布系作業機が含まれているか否かを判別する(ステップS8)。第1作業機候補に散布系作業機が含まれている場合には(ステップS8:YES)、作業機特定部43は、第1作業機候補に含まれている散布系作業機を第2作業機候補とし、第2作業機候補が2台以上存在するか否かを判別する(ステップS9)。
【0033】
第2作業機候補が2台以上含まれていない場合、すなわち、第2作業機候補が1台のみ存在する場合には(ステップS9:NO)、作業機特定部43は、当該第2作業機候補をトラクタ2に装着されていた作業機3であるとして特定する(ステップS10)。そして、今回の処理を終了する。
第2作業機候補が2台以上存在する場合には、作業機特定部43は、各第2作業機候補の重量を用いて、トラクタ2に装着されていた作業機3を特定する(ステップS11)。そして、今回の処理を終了する。
【0034】
具体的には、作業機特定部43は、例えば、複数の第2作業機候補のうち、その重量が作業終了時の牽引力情報weに最も近いものを、トラクタ2に装着されていた作業機3として特定する。
作業機特定部43は、次のようにして、トラクタ2に装着されていた作業機3を特定するようにしてもよい。すなわち、複数の第2作業機候補のうち、その重量が作業終了時の牽引力情報weよりも大きいものや、その重量に散布物の最大積載量を加算した値が作業開始時の牽引力情報wsよりも小さいものを除外することにより、複数の第2作業機候補のうちから、トラクタ2に装着されていた作業機3を特定する。
【0035】
ステップS8において、第1作業機候補に散布系作業機が含まれていないと判別された場合には(ステップS8:NO)、作業機特定部43は、特定不能であると判断して(ステップS12)、今回の処理を終了する。なお、ステップS8において、第1作業機候補に散布系作業機が含まれていないと判別された場合に(ステップS8:NO)、作業機特定部43は、例えば、第1作業機候補のうち、その重量が作業終了時の牽引力情報weに最も近いものを、トラクタ2に装着されていた作業機3として特定してもよい。
【0036】
ステップS6において、牽引力が減少していく傾向にないと判別された場合には(ステップS6:NO)、
図5BのステップS13に移行し、作業機特定部43は、作業機3が耕起系作業機であると判断する。そして、作業機特定部43は、ステップS2で抽出された第1作業機候補に耕起系作業機が含まれているか否かを判別する(ステップS14)。第1作業機候補に耕起系作業機が含まれている場合には(ステップS14:YES)、作業機特定部43は、作業機候補に含まれている耕起系作業機を第3作業機候補とし、第3作業機候補が2台以上存在するか否かを判別する(ステップS15)。
【0037】
第3作業機候補が2台以上存在していない場合、すなわち、第3作業機候補が1台のみ存在する場合には(ステップS15:NO)、作業機特定部43は、当該第3作業機候補トラクタ2に装着されていた作業機3であるとして特定する(ステップS16)。そして、今回の処理を終了する。
第3作業機候補が2台以上存在していると判別された場合には(ステップS15:YES)、作業機特定部43は、各第3作業機候補のPTO軸による回転駆動の有無に基づく候補絞り込み処理を行う(ステップS17)。具体的には、作業機特定部43は、処理対象の時系列情報に含まれているPTOクラッチのオンオフ状態がオン状態である場合には、複数の第3作業機候補のうちPTO軸によって回転駆動されるものを第4作業機候補とする。一方、処理対象の時系列情報に含まれているPTOクラッチのオンオフ状態がオフ状態である場合には、作業機特定部43は、複数の第3作業機候補のうちPTO軸によって回転駆動されないものを第4作業機候補とする。
【0038】
次に、作業機特定部43は、第4作業機候補が2台以上存在するか否かを判別する(ステップS18)。
第4作業機候補が2台以上含まれていない場合、すなわち、第2作業機候補が1台のみ存在する場合には(ステップS18:NO)、作業機特定部43は、当該第4作業機候補をトラクタ2に装着されていた作業機3であるとして特定する(ステップS19)。そして、今回の処理を終了する。
【0039】
第4作業機候補が2台以上存在する場合には、作業機特定部43は、各第4作業機候補の重量を用いて、トラクタ2に装着されていた作業機3を特定する(ステップS20)。そして、今回の処理を終了する。
具体的には、作業機特定部43は、例えば、複数の第4作業機候補のうち、その重量が作業開始時の牽引力情報wsに最も近いものを、トラクタ2に装着されていた作業機3として特定する。
【0040】
ステップS14において、第1作業機候補に耕起系作業機が含まれていないと判別された場合には(ステップS14:NO)、作業機特定部43は、特定不能であると判断して(ステップS21)、今回の処理を終了する。なお、ステップS14において、第1作業機候補に耕起系作業機が含まれていないと判別された場合に(ステップS14:NO)、作業機特定部43は、例えば、第1作業機候補のうち、その重量が作業開始時の牽引力情報wsに最も近いものを、トラクタ2に装着されていた作業機3として特定してもよい。
【0041】
本実施形態によれば、トラクタ2のオペレータがトラクタ2に装着された作業機3の機械情報を手動入力しなくとも、トラクタ2に装着された作業機を自動的に特定することが可能となる。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。
【0042】
前述の実施形態では、
図5BのステップS15において、第3作業機候補が2台以上存在していると判別された場合には(ステップS15:YES)、作業機特定部43は、作業機候補に含まれている各耕起系作業機のPTO軸による回転駆動の有無に基づく候補絞り込み処理を行っている(ステップS17参照)。
しかし、第3作業機候補が2台以上存在していると判別された場合には(ステップS15:YES)、作業機特定部43は、第3作業機候補の重量を用いて、トラクタ2に装着されていた作業機3を特定するようにしてもよい。この処理は、前述のステップS20の処理と同様である。ただし、前述のステップS20の説明中の第4作業機候補は、第3作業機候補に読み替えられる。この場合には、
図5のステップS17~S19の処理は省略される。
【0043】
また、前述の実施形態では、
図5AのステップS5において牽引力偏差Δw(=ws-we)を演算し、
図5AのステップS6において、作業機特定部43は、牽引力が減少していく傾向にあるかを判別している。しかし、作業機特定部43は、牽引力偏差Δwの算出および牽引力が減少していく傾向にあるかの判別を行わなくてもよい。この場合には、作業機特定部43は、作業開始時の牽引力情報wsおよび作業終了時の牽引力情報weのいずれか一方または両方と、各第1作業機候補の重量とに基づいて、トラクタ2に装着されていた作業機3を特定すればよい。
【0044】
例えば、作業機特定部43は、複数の第1作業機候補のうち、その重量が作業開始時の牽引力情報wsに最も近いものを、トラクタ2に装着されていた作業機3を特定する。あるいは、作業機特定部43は、複数の第1作業機候補のうち、その重量が作業終了時の牽引力情報weに最も近いものを、トラクタ2に装着されていた作業機3を特定する。あるいは、作業機特定部43は、複数の第1作業機候補のうち、その重量が、作業開始時の牽引力情報wsと作業終了時の牽引力情報weとの平均値に最も近いものを、トラクタ2に装着されていた作業機3を特定する。
【0045】
また、作業機には、トラクタ2に吊り下げられて空中に浮いた状態で使用されるものも含まれる。このような場合にも、エンジンがオンされてからトラクタ2が走行を開始した直後での牽引力情報が作業開始時の牽引力情報wsとして抽出される。また、エンジンがオンされてからトラクタ2が走行を開始した直後付近での牽引力情報が、作業終了時の牽引力情報weとして抽出される。
【0046】
なお、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0047】
1 作業管理システム
2 トラクタ
3 作業機
4 管理サーバ
6 通信網
7 測位衛星(GNSS衛星)
10 トラクタ制御部
11 メモリ
12 情報取得処理部
21 コントローラ群
22 牽引力センサ
23 位置情報算出部
24 通信部
27 記憶部
28 衛星信号受信用アンテナ
31 牽引力記憶部
32 位置情報記憶部
33 稼働情報記憶部
40 サーバ制御部
41 メモリ
42 情報取得部
43 作業機特定部
44 作業情報記憶処理部
51 通信部
54 記憶部
61 時系列情報記憶部
62 ユーザ別トラクタ情報テーブル
63 ユーザ別作業機情報テーブル
64 ユーザ別圃場テーブル
65 ユーザ別作業情報記憶テーブル