(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230804BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20230804BHJP
H01L 21/306 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
H01L21/304 651B
H01L21/68 N
H01L21/304 644A
H01L21/304 643A
H01L21/306 K
(21)【出願番号】P 2019176703
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】沖田 展彬
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-187490(JP,A)
【文献】特開2000-105076(JP,A)
【文献】特開2006-157008(JP,A)
【文献】特開平03-011749(JP,A)
【文献】特表2015-506588(JP,A)
【文献】特開平10-135178(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0233361(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/683
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を水平に保持して回転する基板保持部を備える基板処理装置であって、
前記基板保持部は、
前記基板の一方の主面に対向して設けられるスピンベースと、
前記スピンベースに設けられ、前記基板を水平に保持するチャックピンと、
鉛直方向に延びる回転軸を中心に、前記スピンベースと前記チャックピンとを一体として回転させる回転機構と
を有し、
前記スピンベースは、
前記基板と対向する第1主面と、
第2主面と、
前記第1主面および前記第2主面を連通する側面と
を有し、
前記スピンベースは、
前記第1主面上に設けられた第1端部と、
前記第2主面
に設けられた第2端部と、
前記第1端部と前記第2端部とを連通する流路と
を有し、
前記基板保持部は、前記スピンベースの前記第2主面に設けられ、前記流路と少なくとも一部の領域で重なるフィンをさらに有する、基板処理装置。
【請求項2】
基板を水平に保持して回転する基板保持部を備える基板処理装置であって、
前記基板保持部は、
前記基板の一方の主面に対向して設けられるスピンベースと、
前記スピンベースに設けられ、前記基板を水平に保持するチャックピンと、
鉛直方向に延びる回転軸を中心に、前記スピンベースと前記チャックピンとを一体として回転させる回転機構と
を有し、
前記スピンベースは、
前記基板と対向する第1主面と、
第2主面と、
前記第1主面および前記第2主面を連通する側面と
を有し、
前記スピンベースは、
前記第1主面上に設けられた第1端部と、
前記第2主面に設けられた第2端部と、
前記第1端部と前記第2端部とを連通する流路と
を有し、
前記基板保持部は、前記スピンベースの前記第1主面に設けられ、前記流路を通過した気体が前記基板の径方向内側に向けて流れるように規制する規制部をさらに
有する、基板処理装置。
【請求項3】
前記流路は、前記スピンベースに設けられた複数の貫通孔を含む、請求項1
または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記複数の貫通孔は、前記スピンベースに対して、前記回転軸を中心として対称に配置される、請求項
3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記複数の貫通孔は、第1貫通孔と、前記第1貫通孔よりも開口面積の小さい第2貫通孔とを含み、
前記第1貫通孔と前記スピンベースの前記回転軸との間の距離は、前記第2貫通孔と前記スピンベースの前記回転軸との間の距離よりも短い、請求項
3に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記回転機構は、前記回転軸を中心として前記スピンベースを回転し、
前記第1端部と前記回転軸との間の距離は、前記第2端部と前記回転軸との間の距離よりも短い、請求項1から
5のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記スピンベースの前記流路に設けられた羽根部材をさらに備える、請求項1から
6のいずれかに記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板を処理する基板処理装置が知られている。例えば、基板処理装置は半導体基板またはガラス基板の製造に用いられる。基板処理装置は、保持した基板を回転させながら基板に処理液を供給して基板を処理する(特許文献1)。特許文献1の基板処理装置では、処理液によって基板を均一に処理するために基板を回転させている。また、特許文献1の基板処理装置では、基板から処理液を乾燥させるために基板を回転させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の基板処理装置では、基板の回転に伴って基板が変形するおそれがある。特に、基板を高速に回転する場合または基板が薄い場合には、基板の回転時に基板が変形しやすい。基板の回転時に基板が変形すると、基板は全面にわたって均一に処理されず、基板の特性にばらつきが生じることがある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板の回転に伴う基板の変形を抑制可能な基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、基板を水平に保持して回転する基板保持部を備える。前記基板保持部は、スピンベースと、チャックピンと、回転機構とを有する。前記スピンベースは、前記基板の一方の主面に対向して設けられる。前記チャックピンは、前記スピンベースに設けられ、前記基板を水平に保持する。前記回転機構は、鉛直方向に延びる回転軸を中心に、前記スピンベースと前記チャックピンとを一体として回転させる。前記スピンベースは、前記基板と対向する第1主面と、第2主面と、前記第1主面および前記第2主面を連通する側面とを有する。前記スピンベースは、前記第1主面上に設けられた第1端部と、前記第2主面に設けられた第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とを連通する流路とを有する。前記基板保持部は、前記スピンベースの前記第2主面に設けられ、前記流路と少なくとも一部の領域で重なるフィンをさらに有する。
【0009】
本発明の別の局面によれば、基板処理装置は、基板を水平に保持して回転する基板保持部を備える。前記基板保持部は、スピンベースと、チャックピンと、回転機構とを有する。前記スピンベースは、前記基板の一方の主面に対向して設けられる。前記チャックピンは、前記スピンベースに設けられ、前記基板を水平に保持する。前記回転機構は、鉛直方向に延びる回転軸を中心に、前記スピンベースと前記チャックピンとを一体として回転させる。前記スピンベースは、前記基板と対向する第1主面と、第2主面と、前記第1主面および前記第2主面を連通する側面とを有する。前記スピンベースは、前記第1主面上に設けられた第1端部と、前記第2主面に設けられた第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とを連通する流路とを有する。前記基板保持部は、前記スピンベースの前記第1主面に設けられ、前記流路を通過した気体が前記基板の径方向内側に向けて流れるように規制する規制部をさらに有する。
【0011】
ある実施形態において、前記流路は、前記スピンベースに設けられた複数の貫通孔を含む。
【0012】
ある実施形態において、前記複数の貫通孔は、前記スピンベースに対して、前記回転軸を中心として対称に配置される。
【0013】
ある実施形態において、前記複数の貫通孔は、第1貫通孔と、前記第1貫通孔よりも開口面積の小さい第2貫通孔とを含み、前記第1貫通孔と前記スピンベースの前記回転軸との間の距離は、前記第2貫通孔と前記スピンベースの前記回転軸との間の距離よりも短い。
【0014】
ある実施形態において、前記回転機構は、前記回転軸を中心として前記スピンベースを回転し、前記第1端部と前記回転軸との間の距離は、前記第2端部と前記回転軸との間の距離よりも短い。
【0015】
ある実施形態において、前記基板処理装置は、前記スピンベースの前記流路に設けられた羽根部材をさらに備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基板の回転に伴う基板の変形を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態の基板処理システムの模式図である。
【
図3】本実施形態の基板処理システムのブロック図である。
【
図4】(a)は、本実施形態の基板処理装置におけるスピンベースの模式的な斜視図であり、(b)本実施形態の基板処理装置における基板保持部の斜視図である。
【
図5】(a)および(b)は、本実施形態の基板処理装置における基板保持部の模式的な断面図である。
【
図6】本実施形態の基板処理装置におけるスピンベースの斜視図である。
【
図7】(a)は、本実施形態の基板処理装置におけるスピンベースの斜視図であり、(b)は、(a)のスピンベースの平面図である。
【
図8】(a)および(b)は、本実施形態の基板処理装置における基板保持部の模式的な断面図であり、(c)は、(b)の基板保持部の模式的な平面図である。
【
図9】(a)は、本実施形態の基板処理装置における基板保持部の模式的な断面図であり、(b)は、(a)の基板保持部の模式的な平面図である。
【
図10】本実施形態の基板処理装置における基板保持部の模式的な断面図である。
【
図11】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
【
図12】本実施形態の基板処理装置における基板保持部の模式的な断面図である。
【
図13】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
【
図14】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
【
図15】本実施形態の基板処理装置における基板保持部の模式的な断面図である。
【
図16】(a)は、本実施形態の基板処理装置におけるスピンベースの模式的な斜視図であり、(b)は、本実施形態の基板処理装置の基板保持部の模式的な斜視図である。
【
図17】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
【
図18】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
【
図19】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明による基板処理装置の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。なお、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載することがある。典型的には、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0019】
まず、
図1を参照して、本発明による基板処理装置1の実施形態を備えた基板処理システム100を説明する。
図1は、本実施形態の基板処理システム100の模式的な平面図である。
【0020】
基板処理システム100は、基板Wを処理する。基板処理システム100は、基板Wに対して、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去および洗浄のうちの少なくとも1つを行うように基板Wを処理する。
【0021】
基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板および太陽電池用基板を含む。例えば、基板Wは略円板状である。ここでは、基板処理システム100は、基板Wを一枚ずつ処理する。
【0022】
図1に示すように、基板処理システム100は、複数の基板処理装置1と、流体キャビネット100Aと、流体ボックス100Bと、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置101とを備える。制御装置101は、ロードポートLP、インデクサーロボットIRおよびセンターロボットCRを制御する。制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。
【0023】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと基板処理装置1との間で基板Wを搬送する。基板処理装置1の各々は、基板Wに液体を吐出して、基板Wを処理する。例えば、液体は、処理液、リンス液および/または薬液を含む。流体キャビネット100Aは、液体を収容する。なお、流体キャビネット100Aは、ガスを収容してもよい。
【0024】
具体的には、複数の基板処理装置1は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置された複数のタワーTW(
図1では4つのタワーTW)を形成している。各タワーTWは、上下に積層された複数の基板処理装置1(
図1では3つの基板処理装置1)を含む。流体ボックス100Bは、それぞれ、複数のタワーTWに対応している。流体キャビネット100A内の液体は、いずれかの流体ボックス100Bを介して、流体ボックス100Bに対応するタワーTWに含まれる全ての基板処理装置1に供給される。また、流体キャビネット100A内のガスは、いずれかの流体ボックス100Bを介して、流体ボックス100Bに対応するタワーTWに含まれる全ての基板処理装置1に供給される。
【0025】
基板処理システム100は、制御装置101をさらに備える。制御装置101は、基板処理システム100の各種動作を制御する。
【0026】
制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。制御部102は、プロセッサーを有する。制御部102は、例えば、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。または、制御部102は、汎用演算機を有してもよい。
【0027】
記憶部104は、データおよびコンピュータプログラムを記憶する。データは、レシピデータを含む。レシピデータは、複数のレシピを示す情報を含む。複数のレシピの各々は、基板Wの処理内容および処理手順を規定する。
【0028】
記憶部104は、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部104はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部102は、記憶部104の記憶しているコンピュータプログラムを実行して、基板処理動作を実行する。
【0029】
次に、
図2を参照して、本実施形態の基板処理装置1を説明する。
図2は、基板処理装置1の模式図である。
【0030】
基板処理装置1は、チャンバー110と、基板保持部120と、液体供給部130とを備える。チャンバー110は、チャンバー110内部に基板Wを収容する。基板保持部120は、基板Wを保持する。
【0031】
チャンバー110は、内部空間を有する略箱形状の筐体であり、チャンバー110の内部と外部とは区画される。チャンバー110には、図示しないシャッターおよびその開閉機構が設けられる。通常、シャッターは閉じてチャンバー110内外の雰囲気は遮断される。センターロボットCRにより基板Wがチャンバー110内部に搬入される際または基板Wがチャンバー110内部から搬出される際には、シャッターが開放される。チャンバー110の上部には図示しないFFUユニット(ファンフィルタユニット)が設置され、チャンバー110の上部から下方に向けてダウンフローで塵埃の除去されたエアーまたは不活性ガスが供給される。
【0032】
基板処理装置1は、基板Wを水平に保持して1枚ずつ処理するいわゆる枚葉型の基板処理装置であり、チャンバー110には基板Wが1枚ずつ収容される。基板Wは、チャンバー110内に収容され、チャンバー110内で処理される。チャンバー110には、基板保持部120および液体供給部130のそれぞれの少なくとも一部が収容される。
【0033】
基板保持部120は、基板Wを保持する。例えば、基板保持部120は、基板Wの端部を挟持する。基板保持部120は、基板Wの上面Waを上方に向け、基板Wの下面Wbを鉛直下方に向くように基板Wを水平に保持する。また、基板保持部120は、基板Wを保持した状態で基板Wを回転させる。例えば、基板Wは、鉛直上方から見た場合に、反時計周りに回転する。
【0034】
例えば、基板保持部120は、スピンベース121と、チャックピン122と、シャフト123と、電動モーター124と、基部124Bとを含む。例えば、スピンベース121は、XY平面に延びる板状である。ここでは、スピンベース121は、ディスク形状(薄い円板形状)である。スピンベース121は、基板Wの下面Wbと対向する。
【0035】
スピンベース121は、上面(表面)121aと、裏面(下面)121bと、側面121cとを有する。上面121aおよび裏面121bは、スピンベース121の主面である。上面121aは、鉛直上方に向いており、基板Wの下面Wbと対向する。裏面121bは、鉛直下方に向いている。
【0036】
スピンベース121には、流路121Lが設けられる。例えば、流路121Lは、一方向に延びる。ここでは、流路121Lの一方側の端部121Laは、スピンベース121の上面121aに位置しており、流路121Lの他方側の端部121Lbは、スピンベース121の裏面121bに位置している。詳細は後述するが、スピンベース121の回転により、気体は、流路121Lの端部121Lbから端部121Laに流れる。
【0037】
チャックピン122は、スピンベース121に設けられる。チャックピン122は、基板Wを水平に保持(チャック)する。典型的には、スピンベース121には、複数のチャックピン122が設けられる。
【0038】
シャフト123は、中空軸でもよい。シャフト123は、回転軸Axに沿って鉛直方向に延びている。シャフト123の上端には、スピンベース121が結合されている。基板Wは、スピンベース121の上方に載置される。
【0039】
シャフト123は、スピンベース121の中央部から下方に延びる。電動モーター124は、シャフト123に回転力を与える。シャフト123は、基部124Bに対して回転する。基部124Bは、シャフト123を回転可能に支持する。電動モーター124は、シャフト123を回転方向に回転させることにより、回転軸Axを中心に基板W、スピンベース121およびチャックピン122を一体として回転させる。電動モーター124は、回転機構の一例である。
【0040】
液体供給部130は、基板Wに液体を供給する。典型的には、液体供給部130は、基板Wの上面Waに液体を供給する。例えば、液体は、リンス液または薬液を含む。
【0041】
リンス液は、脱イオン水(Deionized Water:DIW)、炭酸水、電解イオン水、オゾン水、アンモニア水、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水、または、還元水(水素水)のいずれかを含んでもよい。
【0042】
薬液は、フッ酸を含む。例えば、フッ酸は、40℃以上70℃以下に加熱されてもよく、50℃以上60℃以下に加熱されてもよい。ただし、フッ酸は、加熱されなくてもよい。また、薬液は、水または燐酸を含んでもよい。
【0043】
さらに、薬液は、過酸化水素水をさらに含んでもよい。また、薬液は、SC1(アンモニア過酸化水素水混合液)、SC2(塩酸過酸化水素水混合液)または王水(濃塩酸と濃硝酸との混合物)を含んでもよい。
【0044】
薬液を基板Wに供給することによる基板の洗浄処理は、例えば、基板Wのデバイス面、すなわちパターンが形成されているデバイス面についた汚れを落とすために行われる。基板Wを洗浄する場合、ブラシ洗浄の対象となる基板Wの上面Waは、デバイス面となる。
【0045】
基板処理装置1は、カップ180をさらに備える。カップ180は、基板Wから飛散した液体を回収する。カップ180は昇降する。例えば、カップ180は、液体供給部130が基板Wに液体を供給する期間にわたって基板Wの側方にまで鉛直上方に上昇する。この場合、カップ180は、基板Wの回転によって基板Wから飛散する液体を回収する。また、カップ180は、液体供給部130が基板Wに液体を供給する期間が終了すると、基板Wの側方から鉛直下方に下降する。
【0046】
上述したように、制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。制御部102は、基板保持部120、液体供給部130および/またはカップ180を制御する。一例では、制御部102は、電動モーター124、バルブ130bおよび/またはカップ180を制御する。
【0047】
本実施形態の基板処理装置1は、半導体の設けられた半導体装置の作製に好適に用いられる。基板処理装置1は、半導体装置の製造時に、半導体装置の洗浄および/または加工(例えば、エッチング、特性変化等)に好適に用いられる。
【0048】
次に、
図1~
図3を参照して、本実施形態の基板処理システム100を説明する。
図3は、基板処理システム100のブロック図である。
【0049】
図3に示すように、制御装置101は、基板処理システム100の各種動作を制御する。制御装置101は、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、基板保持部120および液体供給部130を制御する。具体的には、制御装置101は、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、基板保持部120および液体供給部130に制御信号を送信することによって、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、基板保持部120および液体供給部130を制御する。
【0050】
具体的には、制御部102は、インデクサーロボットIRを制御して、インデクサーロボットIRによって基板Wを受け渡しする。
【0051】
制御部102は、センターロボットCRを制御して、センターロボットCRによって基板Wを受け渡しする。例えば、センターロボットCRは、未処理の基板Wを受け取って、複数の基板処理装置1のうちのいずれかに基板Wを搬入する。また、センターロボットCRは、処理された基板Wを基板処理装置1から受け取って、基板Wを搬出する。
【0052】
制御部102は、基板保持部120を制御して、基板Wの回転の開始、回転速度の変更および基板Wの回転の停止を制御する。例えば、制御部102は、基板保持部120を制御して、基板保持部120の回転速度を変更することができる。具体的には、制御部102は、基板保持部120の電動モーター124の回転速度を変更することによって、基板Wの回転速度を変更できる。
【0053】
制御部102は、液体供給部130のバルブ130bを制御して、バルブ130bの状態を開状態と閉状態とに切り替えることができる。具体的には、制御部102は、液体供給部130のバルブ130bを制御して、バルブ130bを開状態にすることによって、ノズル130nに向かって配管130a内を流れる液体を通過させることができる。また、制御部102は、液体供給部130のバルブ130bを制御して、バルブ130bを閉状態にすることによって、ノズル130nに向かって配管130a内を流れる液体の供給を停止させることができる。
【0054】
次に、
図1~
図4を参照して、本実施形態の基板処理装置1の基板保持部120を説明する。
図4(a)は、スピンベース121の模式的な斜視図であり、
図4(b)は、基板保持部120の模式的な斜視図である。
【0055】
図4(a)および
図4(b)に示すように、スピンベース121の上面121aには、チャックピン122が設けられる。ここでは、6個のチャックピン122が、スピンベース121の上面121aの外周部において円周方向に沿って等間隔に配置される。
【0056】
また、スピンベース121には、流路121Lが設けられる。ここでは、流路121Lとしてほぼ同じ大きさの4つの貫通孔HAが設けられる。貫通孔HAは、スピンベース121を貫通するように設けられる。4つの貫通孔HAは、貫通孔HA1と、貫通孔HA2と、貫通孔HA3と、貫通孔HA4とを含む。貫通孔HA1~HL4が、スピンベース121において円周方向に沿って等間隔に配置される。このため、スピンベース121の中心から貫通孔HA1~HA4までの距離は一定である。
【0057】
貫通孔HAは、内側部HAaと、外側部HAbと、連通部HAcと、連通部HAdとを有する。内側部HAaは、貫通孔HAを規定する内周面の径方向内側に位置している。外側部HAbは、貫通孔HAを規定する内周面の径方向外側に位置している。外側部HAbは、内側部HAaに対向する。
【0058】
連通部HAcは、内側部HAaの端部と外側部HAbの端部とを連通する。連通部HAdは、内側部HAaの別の端部と外側部HAbの別の端部とを連通する。連通部HAdは、連通部HAcに対向する。
【0059】
ここでは、連通部HAcおよび連通部HAdは、それぞれ、径方向外側に向かうにつれて円周方向に沿って広がる方向に延びる。そのため、貫通孔HAの外側部HAbのXY平面上の長さLbは、貫通孔HAの内側部HAaのXY平面上の長さLaよりも大きい。
【0060】
ここでは、貫通孔HAは、円周方向に沿って等間隔に配置されている。このため、スピンベース121の重心は、スピンベース121の回転軸Ax上に位置しており、スピンベース121および基板Wを安定的に回転できる。
【0061】
また、
図4(b)に示すように、スピンベース121の裏面121bの中央部は、シャフト123に当接する。スピンベース121の流路121Lは、シャフト123よりも径方向外側に位置している。このため、流路121Lの端部121Lbは、スピンベース121の裏面121bのうちのシャフト123の当接領域よりも径方向外側に位置する。
【0062】
次に、
図5を参照して、本実施形態の基板処理装置1における基板Wの回転を説明する。
図5(a)および
図5(b)は、基板処理装置1の基板保持部120の模式的な断面図である。
図5(a)は、回転していない基板保持部120の断面を示し、
図5(b)は、回転中の基板保持部120の断面を示す。
【0063】
図5(a)に示すように、基板保持部120は、基板Wを保持する。基板Wは、チャックピン122に当接して保持される。チャックピン122は、基板Wを水平に保持する。
【0064】
なお、本明細書において、基板Wの上方の領域を上方領域Raと記載することがあり、基板Wとスピンベース121とに挟まれた領域を間隙領域Rbと記載することがある。上方領域Raは、基板Wを介して間隙領域Rbと対向する。上方領域Raは、比較的広く開放されているのに対して、間隙領域Rbは、基板Wとスピンベース121との間に挟まれており、比較的狭い。例えば、基板Wとスピンベース121との間の距離は、5mm以上50mm以下である。基板Wとスピンベース121との間の距離は、10mm以上30mm以下であってもよい。
【0065】
また、本明細書において、スピンベース121の下方の領域を下方領域Rcと記載することがあり、スピンベース121よりも径方向外側に位置する領域を側方領域Rdと記載することがある。上方領域Ra、間隙領域Rbおよび下方領域Rcの外縁は円柱形状の外周面に対応し、下方領域Rcの内縁は円筒形状の内周面に対応する。
【0066】
上述したように、スピンベース121には、流路121Lが設けられる。流路121Lの一方側の端部121Laは、間隙領域Rbに面しており、流路121Lの他方側の端部121Lbは、下方領域Rcに面している。このため、スピンベース121の流路121Lを介して間隙領域Rbと下方領域Rcとは連通する。
【0067】
図5(b)に示すように、基板保持部120は、基板Wを保持して回転する。詳細には、電動モーター124によってシャフト123が回転方向Rに回転するのにともない、スピンベース121およびチャックピン122も回転方向Rに回転するため、チャックピン122に保持された基板Wも回転方向Rに回転する。
【0068】
基板Wが回転方向Rに回転すると、基板Wの回転に伴って基板Wとスピンベース121との間の間隙領域Rbの気体が遠心力に伴って径方向外側に移動する。仮に、スピンベース121に流路121Lが設けられていないとすると、間隙領域Rbの気体が径方向外側に移動するのに伴って間隙領域Rbの気圧が低下する一方で、上方領域Raは広く開放されているため、上方領域Raの気圧はほとんど変化しない。このため、間隙領域Rbの気圧は上方領域Raの気圧よりも低下して、間隙領域Rbが負圧状態になる。したがって、上方領域Raと間隙領域Rbとの間の気圧差に伴って基板Wが変形するおそれがある。特に、基板Wの回転速度が高いほど、気圧差が増大して基板Wは変形しやすい。また、基板Wが薄いほど基板Wは変形しやすい。
【0069】
基板Wの回転時に基板Wが変形すると、基板Wに対して処理液が均一に接触しないため、基板Wの領域に応じて処理が不均一になるおそれがある。また、基板Wが変形すると、基板Wによって液が跳ねる際に、跳ねた液が径方向に大きく飛んでしまい、基板処理装置1自体が汚染されてしまうおそれがある。また、基板Wが変形した状態で回転すると、チャンバー内の気流が乱れるため、基板Wに意図せぬ不純物が付着してしまうおそれがある。
【0070】
本実施形態の基板処理装置1では、スピンベース121に流路121Lが設けられる。このため、間隙領域Rbの気体が径方向外側に移動するのに伴い、スピンベース121の下方領域Rcの気体が流路121Lを介して間隙領域Rbに移動する。このため、間隙領域Rbの気圧が上方領域Raの気圧よりも低くなることを抑制でき、基板Wの変形を抑制できる。
【0071】
さらに、仮に、スピンベース121に流路121Lが設けられていないとすると、基板Wの下面Wbの乾燥に時間を要することがある。典型的には、基板Wを乾燥するために、基板Wは回転される。基板Wの乾燥時に、基板Wの上面Waでは、乾いた気体が上方領域Raから基板Wの上面Waに連続的に供給されるため、基板Wの上面Waの液体は気体の流れとともに気化しやすい。一方、基板Wの下面Wbには、間隙領域Rbの気体が遠心力に伴って径方向外側に移動するため、基板Wの下面Wbには乾いた気体がほとんど供給されない。このため、基板Wの下面Wbの乾燥には時間を要することがある。
【0072】
本実施形態の基板処理装置1では、スピンベース121に流路121Lが設けられる。このため、間隙領域Rbの気体が径方向外側に移動するのに伴い、スピンベース121の下方領域Rcの気体が流路121Lを介して間隙領域Rbに移動する。したがって、間隙領域Rbには、気体が連続的に供給されるため、基板Wの下面Wbを効率的に乾燥できる。
【0073】
このように、本実施形態では、スピンベース121に流路121Lを設けたことにより、基板Wの変形を抑制するとともに乾燥を促進できる。なお、スピンベース121の流路121Lは、スピンベース121の径方向内側に位置することが好ましい。特に、流路121Lの端部121Laは、スピンベース121の中心に近いことが好ましい。
【0074】
上述したように、上方領域Raの気圧と間隙領域Rbの気圧との間の差(気圧差)は、基板Wの位置に応じて異なる。基板Wの回転に伴って間隙領域Rbの気体は径方向外側に移動するため、基板Wの中心ほど、上方領域Raと間隙領域Rbとの気圧差は大きい。このため、スピンベース121の流路121Lがスピンベース121の径方向内側に位置することにより、気圧差を効率的に解消できる。
【0075】
図4(a)に示したスピンベース121では、貫通孔HAの外側部HAbの長さLbは、貫通孔HAの内側部HAaの長さLaよりも大きかったが、本実施形態はこれに限定されない。貫通孔HAの外側部HAbの長さLbは、貫通孔HAの内側部HAaの長さLaよりも大きくなくてもよい。
【0076】
次に、
図5および
図6を参照して、本実施形態の基板処理装置1の基板保持部120におけるスピンベース121を説明する。
図6は、スピンベース121の斜視図である。
図6のスピンベース121は、貫通孔HAの内側部HAaの長さLaおよび外側部HAbの長さLbが異なる点を除き、
図4(a)を参照して上述したスピンベース121と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0077】
図6に示すように、ここでも、流路121Lとしてほぼ同じ大きさの4つの貫通孔HAが設けられる。ただし、貫通孔HAの内側部HAaの長さLaは、貫通孔HAの外側部HAbの長さLbよりも大きい。
【0078】
上方領域Raの気圧と間隙領域Rbの気圧との間の差(気圧差)は、基板Wの位置に応じて異なる。基板Wの回転に伴って間隙領域Rbの気体は径方向外側に移動するため、基板Wの中心ほど、上方領域Raと間隙領域Rbとの気圧差は大きい。このため、貫通孔HAの内側部HAaの長さLaが外側部Hbaの長さLbよりも大きいことにより、スピンベース121の流路121Lを介して基板Wの下面Wbの中心近傍により多くの気体を供給できる。このため、気圧差を効率的に解消できる。
【0079】
なお、
図4および
図6に示したスピンベース121では、貫通孔HAの内側部HAaの長さLaは、貫通孔HAの外側部HAbの長さLbとは異なったが、本実施形態はこれに限定されない。貫通孔HAの内側部HAaの長さLaは、流路121Lの貫通孔HAの外側部HAbの長さLbと等しくてもよい。
【0080】
なお、
図4および
図6に示したスピンベース121には、流路121Lとしてほぼ同じ大きさの貫通孔HA1~HA4が設けられたが、本実施形態はこれに限定されない。流路121Lとして異なる大きさの貫通孔が設けられてもよい。
【0081】
次に、
図5および
図7を参照して、本実施形態の基板処理装置1におけるスピンベース121を説明する。
図7(a)は、本実施形態の基板処理装置1におけるスピンベース121の斜視図であり、
図7(b)は、スピンベース121の平面図である。
【0082】
図7(a)および
図7(b)に示すように、本実施形態の基板処理装置1では、流路121Lとして、ほぼ同じ大きさの4つの貫通孔HAと、ほぼ同じ大きさの4つの貫通孔HBとが設けられる。貫通孔HAおよび貫通孔HBは、スピンベース121を貫通するように設けられる。ここでは、貫通孔HAおよび貫通孔HBはほぼ円柱形状である。貫通孔HBの開口面積の大きさは、貫通孔HAの開口面積の大きさよりも小さい。
【0083】
4つの貫通孔HAは、貫通孔HA1と、貫通孔HA2と、貫通孔HA3と、貫通孔HA4とを含む。貫通孔HA1~HL4が、スピンベース121において円周方向に沿って等間隔に配置される。このため、スピンベース121の中心から貫通孔HA1~HA4までの距離は一定である。
【0084】
4つの貫通孔HBは、貫通孔HB1と、貫通孔HB2と、貫通孔HB3と、貫通孔HB4とを含む。貫通孔HB1~HL4が、スピンベース121において円周方向に沿って等間隔に配置される。このため、スピンベース121の中心から貫通孔HB1~HB4までの距離は一定である。
【0085】
ここでは、貫通孔HAおよび貫通孔HBは、それぞれ円周方向に沿って等間隔に配置されている。ただし、貫通孔HAに対して隣接する2つの貫通孔HBは、この貫通孔HAに対して等しい距離に配置される。このため、スピンベース121の重心は、スピンベース121の回転軸Ax上に位置しており、スピンベース121および基板Wを安定的に回転できる。
【0086】
なお、スピンベース121の中心から貫通孔HBまでの距離は、スピンベース121の中心から貫通孔HAまでの距離よりも大きい。より大きい貫通孔HAがスピンベース121の中心の近くに位置しているため、上方領域Raと間隙領域Rbとの間の気圧差を効率的に抑制できる。
【0087】
なお、
図2~
図7に示した基板処理装置1では、流路121Lは、鉛直方向(Z軸方向)に延びていたが、本実施形態はこれに限定されない。流路121Lは、鉛直方向(Z軸方向)に対して斜めに延びてもよい。
【0088】
次に、
図8(a)を参照して、本実施形態の基板処理装置1における基板保持部120を説明する。
図8(a)は、本実施形態の基板処理装置1の基板保持部120の模式的な断面図である。
【0089】
図8(a)に示すように、流路121Lは、鉛直方向(Z軸方向)に対して斜めに向けられる。この場合、流路121Lの端部121Laは、流路121Lの端部121Lbよりも径方向内側に位置することが好ましい。これにより、流路121Lは、負圧の大きくなりやすい間隙領域Rbの中央付近に気体を効率的に送ることができるため、基板Wの変形を効率的に抑制できるとともに基板Wの下面Wbの中央近傍を効率的に乾燥できる。
【0090】
なお、スピンベース121の流路121Lが同じであっても、スピンベース121の回転速度を向上させることにより、流路121Lの通過する気体の量は増加する。ただし、スピンベース121の流路121Lおよびスピンベース121の回転速度が一定であっても、スピンベース121には、流路121Lを通過する気体の量を増加させる構成が設けられることが好ましい。
【0091】
次に、
図8(b)および
図8(c)を参照して、本実施形態の基板処理装置1における基板保持部120を説明する。
図8(b)は、本実施形態の基板処理装置1の基板保持部120の模式的な断面図であり、
図8(c)は、基板保持部120の模式的な平面図である。
【0092】
図8(b)に示すように、スピンベース121には、フィン121fが設けられる。フィン121fは、スピンベース121の裏面121bに配置される。フィン121fは、スピンベース121の流路121Lに対応する位置に配置される。例えば、スピンベース121を鉛直下方からみた場合、フィン121fは、フィン121fの少なくとも一部の領域が流路121Lと重なるように配置される。
【0093】
スピンベース121の回転とともにフィン121fも回転する。このため、フィン121fを設けたことにより、より多くの気体がスピンベース121の流路121Lを通過する。したがって、フィン121fは、間隙領域Rbに気体を送るファンとして機能する。なお、フィン121fは、間隙領域Rbにより多くの気体を送るように配置されることが好ましい。
【0094】
図8(c)に示すように、フィン121fは、内側部121faと、外側部121fbと、連通部121fcと、連通部121fdとを有する。内側部121faは、径方向内側に位置している。外側部121fbは、径方向外側に位置している。内側部121faは、スピンベース121に当接する一方で、外側部121fbは、スピンベース121から離れて位置する。
【0095】
連通部121fcは、内側部121faの端部と外側部121fbの端部とを連通する。連通部121fdは、内側部121faの別の端部と外側部121fbの別の端部とを連通する。連通部121fdは、連通部121fcに対向する。
【0096】
ここでは、スピンベース121は、反時計回りに回転する。連通部121fcは、内側部121faおよび外側部121fbに対して、反時計回り方向に位置しており、連通部121fdは、内側部121faおよび外側部121fbに対して、時計回り方向に位置している。
【0097】
連通部121fcおよび連通部121fdは、スピンベース121から離れて位置する。ただし、連通部121fdとスピンベース121との間の距離は、連通部121fcとスピンベース121との間の距離よりも短い。このため、連通部121fcが連通部121fdよりも鉛直下方側に位置するようにフィン121fは傾いており、フィン121fのうちのスピンベース121と対向する面の法線は、反時計回り方向の成分を有している。このようなフィン121fがスピンベース121とともに回転するため、フィン121fは、流路121Lに気体を効率的に送ることができる。
【0098】
なお、
図8(b)および
図8(c)に示した基板保持部120では、スピンベース121の裏面121bにフィン121fが配置されていたが、本実施形態はこれに限定されない。流路121Lを通過する気体の量を増加させる構成は、スピンベース121の裏面121bに配置されなくてもよい。
【0099】
次に、
図9(a)および
図9(b)を参照して、本実施形態の基板処理装置1における基板保持部120を説明する。
図9(a)は、本実施形態の基板処理装置1の基板保持部120の模式的な断面図であり、
図9(b)は、基板保持部120の模式的な平面図である。
【0100】
図9(a)および
図9(b)に示すように、スピンベース121の流路121Lには、羽根部材121hが配置されている。ここでは、流路121Lとしてほぼ同じ大きさの4つの貫通孔HAが設けられる。貫通孔HAは、スピンベース121を貫通するように設けられる。4つの貫通孔HAは、貫通孔HA1と、貫通孔HA2と、貫通孔HA3と、貫通孔HA4とを含む。貫通孔HA1~HL4が、スピンベース121において円周方向に沿って等間隔に配置される。このため、スピンベース121の中心から貫通孔HA1~HA4までの距離は一定である。貫通孔HA1~HA4は、円柱形状である。
【0101】
貫通孔HAのそれぞれには、羽根部材121hが配置される。羽根部材121hは、貫通孔HAの内周面をつなぐ板を含む。例えば、板は、スピンベース121の中心から径方向に沿って延びる。ここでは、羽根部材121hは、1つの貫通孔HA内に3つの板を含む。また、羽根部材121hは、径方向内側において貫通孔HAの鉛直上方に位置するとともに径方向外側に進むにつれて貫通孔HAの鉛直下方に位置するように延びる。
【0102】
図8(b)および
図8(c)に示したフィン121fと同様に、羽根部材121h自体は、スピンベース121に対して回転するものでないが、スピンベース121の回転に伴い、羽根部材121hも回転する。羽根部材121hにより、気体は、貫通孔HAを迅速に通過するため、流路121Lを通過する気体の量を増加できる。
【0103】
なお、
図8(b)から
図9(b)を参照した上述の説明では、スピンベース121の上面121aよりも鉛直下方側に、流路121Lを通過する気体の量を増加させる構成が配置されたが、本実施形態はこれに限定されない。スピンベース121の上面121a側に、部材を設けてもよい。
【0104】
次に、
図10を参照して、本実施形態の基板処理装置1における基板保持部120を説明する。
図10は、本実施形態の基板処理装置1の基板保持部120の模式的な断面図である。
【0105】
図10に示すように、スピンベース121の上面121aに、規制部121rが設けられる。規制部121rは、流路121Lを覆うとともに、流路121Lを通過した気体の流れを規制する。
【0106】
規制部121rは、筒形状である。規制部121rの一方側の端部121raは、基板Wの下面Wbに対向しており、規制部121rの他方側の端部121rbは、スピンベース121の流路121Lと連通している。規制部121rの端部121raは、基板Wの下面Wbの径方向内側に向いていることが好ましい。特に、規制部121rの端部121raは、基板Wの下面Wbの中心を向いていることが好ましい。
【0107】
規制部121rは、流路121Lを通過した気体が基板Wの下面Wbに供給される位置を規定する。規制部121rの端部121raが基板Wの下面Wbの径方向内側に向いていることにより、流路121Lを通過した気体は、規制部121rによって規制されて、基板Wの下面Wbのほぼ中央に供給される。このため、基板Wの変形を効率的に抑制できるとともに、基板Wの下面Wbの中央近傍を効率的に乾燥できる。
【0108】
上述したように、本実施形態の基板処理装置1では、基板Wとスピンベース121との間の間隙領域Rbの負圧を抑制できるため、基板Wの変形を抑制できる。なお、基板Wは、ブラシで当接されてスクラブ処理されることがある。スクラブ処理により、基板Wを充分に洗浄できる。この場合、間隙領域Rbの負圧が大きいと、スクラブ処理時において基板Wが変形しやすい。このため、流路121Lの設けられたスピンベース121を備える基板保持部120は、スクラブ処理を行う基板処理装置1に好適に用いられる。
【0109】
次に、
図11を参照して、本実施形態の基板処理装置1を説明する。
図11は、本実施形態の基板処理装置1の模式図である。
図11の基板処理装置1は、ブラシ処理部140をさらに備える点を除き、
図2を参照して上述した基板処理装置1と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0110】
図11に示すように、基板処理装置1は、ブラシ処理部140をさらに備える。ブラシ処理部140は、基板Wをブラシでスクラブ処理する。ブラシ処理部140は、基板Wの上面Waに当接して基板Wをブラシで洗浄する。典型的には、ブラシ処理部140が基板Wをブラシで洗浄する期間において、液体供給部130は、基板Wの上面Waにリンス液を供給する。
【0111】
ブラシによるスクラブ処理は、例えば、基板Wの非デバイス面、すなわちパターンが形成されているデバイス面の反対側の面についた汚れを落とすために行われる。この場合、ブラシ洗浄の対象となる基板Wの上面Waは、非デバイス面となる。
【0112】
ブラシ処理部140は、ブラシ142と、ホルダ144と、アーム146と、移動部148とを備える。ブラシ142は、ホルダ144に保持される。ホルダ144は、アーム146に取り付けられる。移動部148は、アーム146を移動させる。
【0113】
ブラシ142は、基板Wを洗浄する。ここでは、ブラシ142は、基板Wの上面Waを洗浄する。例えば、ブラシ142は、多孔質物質から構成される。ブラシ142は、スポンジ状であってもよい。また、ブラシ142は、比較的固い樹脂から構成されてもよい。一例では、ブラシ142は、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol:PVA)から構成される。または、ブラシ142は、複数の部材を組み合わせて構成されてもよい。あるいは、ブラシ142は、複数の毛を備えてもよい。
【0114】
ブラシ142の全体形状は、任意の形状であってもよい。例えば、ブラシ142は、円柱形状であってもよい。または、ブラシ142は、円筒形状であってもよい。あるいは、ブラシ142は、薄型の十字形状であってもよい。
【0115】
ホルダ144は、ブラシ142を保持する。ブラシ142は、ホルダ144に取り付けられる。ホルダ144は、アーム146の先端に取り付けられる。
【0116】
アーム146は、ケース146aと、支持軸146bと、押圧部146cとを含む。支持軸146bは、ケース146aからZ軸方向下方に突出する。支持軸146bの先端にホルダ144が取り付けられる。
【0117】
押圧部146cは、ケース146a内に収容される。押圧部146cは、支持軸146bを介してホルダ144およびブラシ142をZ軸方向下方に押圧する。このため、ブラシ142が基板Wに当接した状態で押圧部146cがブラシ142を押圧することにより、ブラシ142は、基板Wをスクラブできる。
【0118】
押圧部146cは、支持軸146bをZ軸方向に沿って上下移動させるアクチュエータを含む。例えば、押圧部146cは、エアシリンダを含む。
【0119】
移動部148は、アーム146を移動させる。移動部148により、ブラシ142は、基板Wに当接する基板当接位置と、基板Wから離れた退避位置との間を移動する。移動部148により、ブラシ142は、基板Wの上面Waから退避位置にまで移動する。また、移動部148により、ブラシ142は、退避位置から基板Wの上面Waにまで移動する。
【0120】
移動部148は、アーム146を水平方向に移動させる水平移動部148aと、アーム146を鉛直方向に移動させる鉛直移動部148bとを含む。水平移動部148aは、アーム146をXY平面内のいずれかの方向に移動させる。また、鉛直移動部148bは、アーム146をZ軸方向に移動させる。
【0121】
本実施形態の基板処理装置1では、スピンベース121の流路121Lにより、基板Wとスピンベース121との間の間隙領域Rbの負圧が抑制されるため、ブラシ処理部140が基板Wをブラシ142でスクラブ処理する場合でも、基板Wの変形を抑制できる。このため、基板Wを均一にスクラブ処理できる。
【0122】
なお、
図2~
図11を参照した上述の説明では、流路121Lの一方側の端部121Laはスピンベース121の上面121aに位置しており、流路121Lの他方側の端部121Lbはスピンベース121の裏面121bに位置していたが、本実施形態はこれに限定されない。流路121Lの他方側の端部121Lbはスピンベース121の側面121cに位置してもよい。
【0123】
次に、
図12を参照して、本実施形態の基板処理装置1を説明する。
図12は、本実施形態の基板処理装置1の模式図である。
図12の基板保持部120は、流路121Lの端部121Lbがスピンベース121の側面121cに位置する点を除き、
図5(a)を参照して上述した基板保持部120と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0124】
図12に示すように、流路121Lの一方側の端部121Laはスピンベース121の上面121aに位置しており、流路121Lの他方側の端部121Lbはスピンベース121の側面121cに位置している。このため、流路121Lの端部121Laは、間隙領域Rbに面しており、流路121Lの端部121Lbは、側方領域Rdに面している。ここでは、流路121Lの端部121Laおよび端部121Lbは、XY平面に平行な部分と、Z軸方向に平行な部分とによって連通される。
【0125】
基板Wが回転方向Rに回転すると、基板Wの回転に伴って基板Wとスピンベース121との間の間隙領域Rbの気体が遠心力に伴って径方向外側に移動する。本実施形態の基板処理装置1では、スピンベース121に流路121Lが設けられているため、間隙領域Rbの気体が径方向外側に移動するのに伴い、スピンベース121の側方領域Rdの気体が流路121Lを介して間隙領域Rbに移動する。このため、間隙領域Rbの気圧が上方領域Raの気圧よりも低くなることを抑制でき、基板Wの変形を抑制できる。
【0126】
なお、
図12に示したスピンベース121では、流路121Lの端部121Laおよび端部121Lbは、XY平面に平行な部分と、Z軸方向に平行な部分とによって連通されたが、本実施形態はこれに限定されない。流路121Lの端部121Laおよび端部121Lbは直線的に連通してもよい。
【0127】
典型的には、電動モーター124は、下方領域Rcに配置される。本実施形態では、電動モーター124に起因して粉塵等が発生するおそれがある場合でも、側方領域Rdの気体がスピンベース121の流路121Lを介して間隙領域Rbに供給されるため、電動モーター124に起因する粉塵等の影響を抑制できる。
【0128】
なお、
図2~
図12を参照した上述の説明では、基板Wの下面Wbには、スピンベース121の流路121Lを通過した気体が供給されたが、本実施形態はこれに限定されない。基板Wの下面Wbには、スピンベース121の流路121Lを通過した気体とは別の気体が供給されてもよい。
【0129】
次に、
図13を参照して本実施形態の基板処理装置1を説明する。
図13は、基板処理装置1の模式図である。
図13の基板処理装置1は、基板Wの下面Wbに流体を供給する流体供給部132をさらに備える点を除き、
図2を参照して上述した基板処理装置1と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0130】
図13に示すように、基板処理装置1は、チャンバー110と、基板保持部120と、液体供給部130に加えて、流体供給部132をさらに備える。流体供給部132は、基板Wの下面Wbに流体を供給する。流体供給部132によって供給される流体は、気体あってもよい。典型的には、流体供給部132によって供給される流体は、不活性ガスである。例えば、不活性ガスは、窒素を含む。あるいは、流体供給部132によって供給される流体は、液体であってもよい。
【0131】
流体供給部132は、配管132aと、バルブ132bと、ノズル132nとを含む。ノズル132nは、基板Wの下面Wbに対向する。ノズル132nは、スピンベース121に配置される。ノズル132nは、基板Wの下面Wbに流体を吐出する。ノズル132nは、配管132aに接続される。配管132aは、シャフト123内を通過する。配管132aには、供給源から流体が供給される。バルブ132bは、配管132a内の流路を開閉する。
【0132】
上述したように、流体供給部132は、基板Wの下面Wbに気体を供給してもよい。この場合、流路121Lを介して基板Wの下面Wbに供給される気体の量が充分ではない場合でも、流体供給部132が基板Wの下面Wbに気体を供給することにより、間隙領域Rbの圧力の低下を抑制できるため、基板Wの変形を抑制できる。また、流路121Lを介して基板Wの下面Wbに供給される気体の量が充分ではない場合でも、流体供給部132が基板Wの下面Wbに気体を供給することにより、基板Wの下面Wbを充分に乾燥できる。
【0133】
また、流路121Lを介して基板Wの下面Wbに気体を供給する場合、スピンベース121とともに基板Wを回転することが必要である。しかしながら、流体供給部132は、基板Wの回転にかかわらず、あるいは、基板Wの回転速度に影響されることなく、基板Wの下面Wbに必要量の気体を供給できる。
【0134】
あるいは、流体供給部132は、基板Wの下面Wbに液体を供給してもよい。例えば、基板Wの下面Wbは、流体供給部132から供給された液体によって処理されてもよい。
【0135】
なお、
図2~
図13を参照して上述した説明では、スピンベース121は、電動モーター124に対して露出していたが、本実施形態はこれに限定されない。基板保持部120は、スピンベース121に対して電動モーター124を覆うカバーをさらに有することが好ましい。
【0136】
次に、
図14を参照して本実施形態の基板処理装置1を説明する。
図14は、基板処理装置1の模式図である。
図14の基板処理装置1は、基板保持部120がカバー125をさらに備える点を除き、
図2を参照して上述した基板処理装置1と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0137】
図14に示すように、基板保持部120は、スピンベース121、チャックピン122、シャフト123、電動モーター124および基部124Bに加えて、カバー125をさらに備える。カバー125は、電動モーター124に対してスピンベース121をカバーする。
【0138】
カバー125は、スピンベース121の裏面121bと接触する。このためスピンベース121の裏面121bの一部の領域は、カバー125によって覆われる。ここでは、スピンベース121の流路121Lは、カバー125によって覆われない領域に位置する。
【0139】
次に、
図14および
図15を参照して本実施形態の基板処理装置1における基板保持部120を説明する。
図15は、基板保持部120の模式的な断面図である。
図15の基板保持部120は、下方領域Rcがカバー125によって下方被覆領域Rc1と下方開放領域Rc2とに分けられている点を除き、
図5(a)を参照して上述した基板保持部120と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0140】
図15に示すように、下方領域Rcは、カバー125によって、2つの領域に分けられる。具体的には、下方領域Rcは、カバー125の内部に位置する下方被覆領域Rc1と、カバー125の外部に位置する下方開放領域Rc2とを含む。流路121Lの端部121Lbは、下方開放領域Rc2に位置する。
【0141】
スピンベース121の流路121Lを介して下方被覆領域Rc1の気体を間隙領域Rbに供給すると、電動モーター124に起因する粉塵等によって基板Wに悪影響が生じることがある。しかしながら、本実施形態では、カバー125によって下方被覆領域Rc1とは隔離された下方開放領域Rc2の気体をスピンベース121の流路121Lを介して間隙領域Rbに供給するため、電動モーター124に起因する粉塵等の影響を抑制できる。
【0142】
なお、
図15に示した基板処理装置1では、スピンベース121の流路121Lは、下方開放領域Rc2と連通したが、本実施形態はこれに限定されない。スピンベース121の流路121Lは、下方被覆領域Rc1と連通してもよい。ただし、この場合、下方被覆領域Rc1の気体は、清浄に処理されていることが好ましい。例えば、
図15には図示していないが、下方被覆領域Rc1には、下方被覆領域Rc1内を清浄に保つ目的で設置された、清浄な空気を供給する供給口を設けてもよい。
【0143】
なお、スピンベース121は、別部材に固着具で固定されてもよい。例えば、スピンベース121は、シャフト123に固着具で固定されてもよい。
【0144】
次に、
図1~
図3および
図16を参照して、本実施形態の基板処理装置1の基板保持部120を説明する。
図16(a)は、スピンベース121の模式的な斜視図であり、
図16(b)は、基板保持部120の模式的な斜視図である。なお、
図16の基板保持部120は、スピンベース121の中央に流体供給部132(
図13)のノズル132nおよび固着具126が設けられている点を除き、
図4を参照して上述した基板保持部120と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0145】
図16(a)に示すように、スピンベース121の中央には、固着具126が取り付けられる。ここでは、スピンベース121の中央に孔が設けられており、スピンベース121は、薄い円筒状である。また、スピンベース121の中央には、シャフト123の一部および流体供給部132(
図13)のノズル132nが配置される。
【0146】
固着具126は、固着具126aと、固着具126bとを含む。固着具126aは、スピンベース121をシャフト123に固着する。固着具126bは、シャフト123の部品およびスピンベース121を合わせて固着する。
【0147】
固着具126aとしてほぼ同じ大きさの4つのボルトBaが設けられる。ボルトBaは、スピンベース121を貫通するように設けられる。ボルトBaは、ボルトBa1と、ボルトBa2と、ボルトBa3と、ボルトBa4とを含む。ボルトBa1~Ba4が、スピンベース121において円周方向に沿って等間隔に配置される。このため、スピンベース121の中心からボルトBa1~Ba4までの距離は一定である。
【0148】
図16(b)に示すように、シャフト123は、本体部123aと、当接部123bと、装着部123cとを含む。本体部123aは、鉛直方向(Z軸方向)に延びる。当接部123bは、鉛直上方に鍔部の設けられた円筒形状である。ここでは、当接部123bの開口のXY平面の長さは、スピンベース121の孔の大きさとほぼ等しい。当接部123bは、本体部123aの鉛直上方に配置され、スピンベース121に当接する。当接部123bの鍔部は、XY平面に広がる。このため、当接部123bの鍔部は、スピンベース121と比較的広い面積で当接する。ただし、当接部123bの径方向の長さは、スピンベース121に径方向の長さよりも小さい。例えば、当接部123bの外縁の径方向の長さは、スピンベース121に径方向の長さの半分以下である。
【0149】
装着部123cは、当接部123bの開口およびスピンベース121の孔を充填するように装着される。また、装着部123cの鉛直上部は、XY平面に広がり、当接部123bの鉛直上方を覆う。したがって、装着部123cをスピンベース121および当接部123bに装着すると、装着部123cの鉛直上方は、スピンベース121の鉛直上方に位置する。装着部123cの上部には、ノズル132nが配置される。
【0150】
ノズル132nは、ヘッド部132hと、開口部132pとを含む。ヘッド部132hは、装着部123cの鉛直上方に配置される。開口部132pは、ヘッド部132hの中央に位置する。装着部123cの上部は、ヘッド部132hとスピンベース121との間に挟まれる。装着部123cの上部の径方向の長さは、スピンベース121の中央の孔よりも大きい。また、シャフト123の当接部123bの上面には、ボルトBb1に対応する位置に貫通孔が設けられる。また、スピンベース121には、当接部123bの貫通孔の対応する位置に貫通孔が設けられる。
【0151】
ボルトBaは、スピンベース121および当接部123bを貫通する。ボルトBaの先端には、ナットNaが取り付けられており、ボルトBaおよびナットNaにより、スピンベース121および当接部123bは固着される。
【0152】
また、
図16(a)に示すように、固着具126bとしてほぼ同じ大きさの4つのボルトBbが設けられる。ボルトBbは、装着部123cの上部およびスピンベース121を貫通するように設けられる。ボルトBbは、ボルトBb1と、ボルトBb2と、ボルトBb3と、ボルトBb4とを含む。ボルトBb1~Bb4が、スピンベース121において円周方向に沿って等間隔に配置される。このため、スピンベース121の中心からボルトBb1~Bb4までの距離は一定である。なお、スピンベース121の中心からボルトBbまでの距離は、スピンベース121の中心からボルトBaまでの距離よりも短い。
【0153】
ボルトBbは、装着部123cの上部およびスピンベース121を貫通する。また、シャフト123の当接部123bの上面は、ボルトBbに対応する位置にねじ切りされている。ボルトBbにより、スピンベース121および装着部123cは固着される。
【0154】
本実施形態では、スピンベース121とシャフト123は、ボルトBaおよびナットNaによって固着される。また、ボルトBaおよびナットNaはカバー125の内部に配置されているのに対して、流路121Lは、カバー125の外部に位置する。このため、ボルトBaおよびナットNaに起因して粉塵等が発生するおそれがある場合でも、カバー125の外部の気体がスピンベース121の流路121Lを介して間隙領域に供給されるため、ボルトBaおよびナットNaに起因する粉塵等の影響を抑制できる。
【0155】
なお、上述したように、スピンベース121が回転することによって、下方領域Rcの気体は、スピンベース121を介して間隙領域Rbに流れるが、この場合、下方領域Rcの気体は、乾燥していることが好ましい。これにより、基板Wの変形が抑制されるとともに、基板Wの下面Wbの乾燥が促進できる。
【0156】
次に、
図1~
図5および
図17を参照して本実施形態の基板処理装置1を説明する。
図17は、基板処理装置1の模式図である。
図17の基板処理装置1は、チャンバー110に壁110W、供給口110h1および排気口110h2が設けられている点を除き、
図2を参照して上述した基板処理装置1と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0157】
図17に示すように、基板処理装置1において、チャンバー110には壁110Wが設けられる。典型的には、壁110Wは、円筒形状である。例えば、壁110Wは、スピンベース121の側面に対応する位置に配置される。壁110Wは、下方領域Rcと側方領域Rdとの境界近傍に配置される。壁110Wの内側に下方領域Rcが位置し、壁110Wの外側に側方領域Rdが位置する。壁110Wは、スピンベース121には接触しないが、壁110Wとスピンベース121との間の距離は比較的短いことが好ましい。
【0158】
上述したように、スピンベース121の流路121Lにより、下方領域Rcの気体が間隙領域Rbに供給される。一方、基板Wを液で処理する際に、液が側方領域Rdに飛び散ることがあり、側方領域Rdの気体は充分に乾燥していないことがある。このため、乾燥していない側方領域Rdの気体が、下方領域Rcに浮遊して間隙領域Rbに供給されると、基板Wの下面Wbが充分に乾燥されないことがある。
【0159】
本実施形態では、壁110Wにより、下方領域Rcと側方領域Rdとが分離されているため、下方領域Rcの乾燥状態を維持しやすい。このため、スピンベース121の流路121Lにより、下方領域Rcの気体が間隙領域Rbに供給されると、基板Wの下面Wbを効率的に乾燥できる。
【0160】
なお、
図17に示すように、チャンバー110は、壁110Wによって分離された下方領域Rcと側方領域Rdのそれぞれに供給口および排気口を有することが好ましい。チャンバー110は、下方領域Rcに位置する供給口110h1を有する。また、チャンバー110は、側方領域Rdに位置する排気口110h2を有する。
【0161】
例えば、供給口110h1は、気体供給源Sと連結する。気体供給源Sは、供給口110h1を介して下方領域Rcに清浄な気体を供給する。例えば、気体供給源Sによって供給される気体は、空気または不活性ガスである。一例では、不活性ガスは、窒素を含む。また、排気口110h2は、排気源Hと連結する。
【0162】
このように側方領域Rdで排気が行われることにより、側方領域Rdの気体が下方領域Rcにまで浮遊することを抑制できる。このため、スピンベース121の流路121Lにより、下方領域Rcの気体が間隙領域Rbに供給されると、基板Wの下面Wbを効率的に乾燥できる。
【0163】
なお、
図17に示した基板処理装置1では、排気源Hの排気を極めて強く設定すると、下方領域Rcの気圧が低くなるため、スピンベース121の回転時に、流路121Lを介して下方領域Rcから間隙領域Rbに流れる気体の量が低下することがある。この場合、下方領域Rcに、気体を供給する気体供給源Sと接続された供給口110h1を設けることが好ましい。
【0164】
また、
図17に示した基板処理装置1では、下方領域Rcと間隙領域Rbとの間にチャンバー110の筐体から延びた壁110Wが設けられたが、本実施形態はこれに限定されない。下方領域Rcと間隙領域Rbとの間に、スピンベース121から延びた部材が設けられてもよい。
【0165】
次に、
図1~
図5、
図17および
図18を参照して本実施形態の基板処理装置1を説明する。
図18は、基板処理装置1の模式図である。
図18の基板処理装置1は、壁110W、に代えて、スピンベース121に裾部121sが取り付けられている点を除き、
図17を参照して上述した基板処理装置1と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0166】
図18に示すように、基板処理装置1において、スピンベース121には、裾部121sが取り付けられる。典型的には、裾部121sは、円筒形状である。ここでは、裾部121sは、XY平面に延びるスピンベース121の端部から鉛直下方に直線状に延びている。裾部121sは、下方領域Rcと側方領域Rdとの境界近傍に配置される。裾部121sの内側に下方領域Rcが位置し、裾部121sの外側に側方領域Rdが位置する。ここでは、裾部121sは、チャンバー110には接触しないが、裾部121sとチャンバー110との間の距離は比較的短いことが好ましい。
【0167】
図18に示した基板処理装置1では、裾部121sがスピンベース121から鉛直下方に延びる。このため、基板W処理時に基板Wの回転によって基板Wから液体が飛散しても、液体は、スピンベース121の下方に位置する下方領域Rcに侵入しにくい。したがって、スピンベース121の回転に伴ってスピンベース121の下方領域Rcの気体が流路121Lを介して間隙領域Rbに移動しても、基板Wを清浄に維持できる。
【0168】
なお、
図18に示した基板処理装置1では、裾部121sはスピンベース121から鉛直下方に直線状に延びていたが、本実施形態はこれに限定されない。裾部121sは曲がってもよい。
【0169】
次に、
図1~
図5、
図17、
図18および
図19を参照して本実施形態の基板処理装置1を説明する。
図19は、基板処理装置1の模式図である。
図19の基板処理装置1は、裾部121sの鉛直下方端部が曲がっている点を除き、
図18を参照して上述した基板処理装置1と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0170】
図19に示すように、基板処理装置1において、スピンベース121には、裾部121sが取り付けられる。ここでは、裾部121sは、直線部121s1と、折曲部121s2とを有する。直線部121s1は、スピンベース121に連結されており、XY平面に延びるスピンベース121の端部から鉛直下方に直線状に延びている。直線部121s1は、下方領域Rcと側方領域Rdとの間に位置する。
【0171】
折曲部121s2は、直線部121s1の鉛直下方端に接続される。折曲部121s2は、直線部121s1に対して回転軸Axを中心とした径方向内側に曲げられる。折曲部121s2の少なくとも一部は、下方領域Rcに位置する。
【0172】
回転軸Axから見た場合、
図19に示すように、直線部121s1に対する折曲部121s2の角度は90°よりも大きいことが好ましい。これにより、基板W処理時に基板Wの回転によって基板Wから液体が飛散しても、液体は、スピンベース121の下方に位置する下方領域Rcに侵入しにくい。したがって、スピンベース121の回転に伴ってスピンベース121の下方領域Rcの気体が流路121Lを介して間隙領域Rbに移動しても、基板Wを清浄に維持できる。
【0173】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0174】
例えば、
図2~
図19を参照した上述の説明では、基板保持部120は、鉛直下方から基板Wを保持しており、スピンベース121は、基板Wの鉛直下方に位置していたが、本実施形態はこれに限定されない。基板保持部120は、鉛直上方から基板Wを保持しており、スピンベース121は、基板Wの鉛直上方に位置していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0175】
本発明は、基板処理装置に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0176】
1 基板処理装置
100 基板処理システム
110 チャンバー
120 基板保持部
121 スピンベース
130 液体供給部
W 基板