(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】開閉装置の改修方法及び開閉装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/58 20060101AFI20230804BHJP
E06B 1/56 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
E06B9/58 A
E06B1/56 A
(21)【出願番号】P 2019185083
(22)【出願日】2019-10-08
【審査請求日】2022-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 昇
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-285004(JP,A)
【文献】特開2009-114801(JP,A)
【文献】特開昭58-164885(JP,A)
【文献】特開2001-065275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00- 1/70
E06B 9/00- 9/18
9/40- 9/50
9/56- 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を開閉する開閉体と、該開閉体の幅方向端部側を内側壁部と外側壁部の間に通して開閉方向へ案内する既設ガイドレールとを備えた開閉装置について、改修を行う開閉装置の改修方法であって、
前記既設ガイドレールの前記開口部の側に、補助ガイドレールを装着する工程を含み、前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレールの内側壁部と外側壁部とのうち、少なくともその一方を前記開口部の側へ延長する補助壁部を有
し、
前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレールの内側壁部と外側壁部の間に、前記開口部の側から挿入されて装着されることを特徴とする開閉装置の改修方法。
【請求項2】
前記補助ガイドレールは、開閉体厚さ方向の幅を狭めるように弾性変形して、前記既設ガイドレール内に挿入され、その後、元の状態に復元して前記既設ガイドレール内に嵌り合うことを特徴とする請求項1記載の開閉装置の改修方法。
【請求項3】
前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレール内に挿入された後、該補助ガイドレールの先端側が前記既設ガイドレール内の対抗面に押し付けられることで、開閉体厚さ方向の幅を拡げるように変形し、前記既設ガイドレール内に嵌り合うことを特徴とする請求項1記載の開閉装置の改修方法。
【請求項4】
開口部を開閉する開閉体と、該開閉体の幅方向端部側を内側壁部と外側壁部の間に通して開閉方向へ案内する既設ガイドレールとを備えた開閉装置について、改修を行う開閉装置の改修方法であって、
前記既設ガイドレールの前記開口部の側に、補助ガイドレールを装着する工程を含み、前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレールの内側壁部と外側壁部とのうち、少なくともその一方を前記開口部の側へ延長する補助壁部を有し、
前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレールの内側壁部と外側壁部の間に対し開放方向側から挿入されて装着されることを特徴とする開閉装置の改修方法。
【請求項5】
開口部を開閉する開閉体と、該開閉体の幅方向端部側を内側壁部と外側壁部の間に通して開閉方向へ案内する既設ガイドレールとを備えた開閉装置について、改修を行う開閉装置の改修方法であって、
前記既設ガイドレールの前記開口部の側に、補助ガイドレールを装着する工程を含み、前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレールの内側壁部と外側壁部とのうち、少なくともその一方を前記開口部の側へ延長する補助壁部を有し、
前記既設ガイドレールには、前記内側壁部と前記外側壁部の間を部分的に狭める幅狭部が設けられ、前記補助ガイドレールは、前記幅狭部に嵌り合うことを特徴とする開閉装置の改修方法。
【請求項6】
開口部を開閉する開閉体と、該開閉体の幅方向端部側を内側壁部と外側壁部の間に通して開閉方向へ案内する既設ガイドレールとを備えた開閉装置について、改修を行う開閉装置の改修方法であって、
前記既設ガイドレールの前記開口部の側に、補助ガイドレールを装着する工程を含み、前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレールの内側壁部と外側壁部とのうち、少なくともその一方を前記開口部の側へ延長する補助壁部を有し、
前記補助ガイドレールの内側には、前記開閉体に係合して前記開閉体が開口部側へ抜けるのを阻む抜止め係合部が設けられていることを特徴とする開閉装置の改修方法。
【請求項7】
前記補助壁部が、前記内側壁部と前記外側壁部との両方を前記開口部の側へ延長するように形成されていることを特徴とする請求項1~6何れか1項記載の開閉装置の改修方法。
【請求項8】
開口部を開閉する開閉体と、該開閉体の幅方向端部側を内側壁部と外側壁部の間に通して開閉方向へ案内する既設ガイドレールと、前記既設ガイドレールの前記開口部の側に装着された補助ガイドレールとを備えた開閉装置であって、
前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレールの内側壁部と外側壁部とのうち、少なくともその一方を前記開口部の側へ延長する補助壁部を有し、
前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレールの内側壁部と外側壁部の間に、前記開口部の側から挿入されて装着されるように形成されていることを特徴とする開閉装置。
【請求項9】
前記補助ガイドレールは、開閉体厚さ方向の幅を狭めるように弾性変形して、前記既設ガイドレール内に挿入され、その後、元の状態に復元して前記既設ガイドレール内に嵌り合うように形成されていることを特徴とする請求項8記載の開閉装置。
【請求項10】
前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレール内に挿入された後、該補助ガイドレールの先端側が前記既設ガイドレール内の対抗面に押し付けられることで、開閉体厚さ方向の幅を拡げるように変形し、前記既設ガイドレール内に嵌り合うように形成されていることを特徴とする請求項8記載の開閉装置。
【請求項11】
開口部を開閉する開閉体と、該開閉体の幅方向端部側を内側壁部と外側壁部の間に通して開閉方向へ案内する既設ガイドレールと、前記既設ガイドレールの前記開口部の側に装着された補助ガイドレールとを備えた開閉装置であって、
前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレールの内側壁部と外側壁部とのうち、少なくともその一方を前記開口部の側へ延長する補助壁部を有し、
前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレールの内側壁部と外側壁部の間に対し開放方向側から挿入されて装着されるように形成されていることを特徴とする開閉装置。
【請求項12】
開口部を開閉する開閉体と、該開閉体の幅方向端部側を内側壁部と外側壁部の間に通して開閉方向へ案内する既設ガイドレールと、前記既設ガイドレールの前記開口部の側に装着された補助ガイドレールとを備えた開閉装置であって、
前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレールの内側壁部と外側壁部とのうち、少なくともその一方を前記開口部の側へ延長する補助壁部を有し、
前記既設ガイドレールには、前記内側壁部と前記外側壁部の間を部分的に狭める幅狭部が設けられ、前記補助ガイドレールは、前記幅狭部に嵌り合うように形成されていることを特徴とする開閉装置。
【請求項13】
開口部を開閉する開閉体と、該開閉体の幅方向端部側を内側壁部と外側壁部の間に通して開閉方向へ案内する既設ガイドレールと、前記既設ガイドレールの前記開口部の側に装着された補助ガイドレールとを備えた開閉装置であって、
前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレールの内側壁部と外側壁部とのうち、少なくともその一方を前記開口部の側へ延長する補助壁部を有し、
前記補助ガイドレールの内側には、前記開閉体に係合して前記開閉体が開口部側へ抜けるのを阻む抜止め係合部が設けられていることを特徴とする開閉装置。
【請求項14】
前記補助壁部が、前記内側壁部と前記外側壁部との両方を前記開口部の側へ延長するように形成されていることを特徴とする請求項8~13何れか1項記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーヘッドドアを含むシャッター装置、折戸を含むスライドドア、門扉、ゲート、スライディングウォール装置等、ガイドレールに沿って開閉体を閉鎖動作するようにした開閉装置、特にシャッター装置として好適な開閉装置を改修するようにした開閉装置の改修方法及び開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、前記開閉体の幅方向の端部を断面凹状に囲んで閉鎖方向へ案内するガイドレールと、前記開閉体をその開放方向側で収納する収納ケースと、閉鎖された前記開閉体を閉鎖方向側で受ける下枠とを備えた窓用シャッター装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の開閉装置は、台風等の暴風により開閉体が煽られた場合や、犯罪者等により開閉体の幅方向端部側が抉られた場合等に、開閉体の幅方向端部側がガイドレールから抜け出してしまうおそれがある。
そこで、近年では、開閉体の幅方向端部にフック状の抜止め具を設け、この抜止め具をガイドレール内の突起等に係合して、開閉体の幅方向端部側がガイドレールから抜け出してしまうのを防ぐようにした開閉装置もある。
しかしながら、既設の開閉装置に対し、前記した抜止め具や突起等の抜止め構造を後付けするのは困難な場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記した課題の少なくとも一部を解決するために、以下の構成を具備するものである。
開口部を開閉する開閉体と、該開閉体の幅方向端部側を内側壁部と外側壁部の間に通して開閉方向へ案内する既設ガイドレールとを備えた開閉装置について、改修を行う開閉装置の改修方法であって、前記既設ガイドレールの前記開口部の側に、補助ガイドレールを装着する工程を含み、前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレールの内側壁部と外側壁部とのうち、少なくともその一方を前記開口部の側へ延長する補助壁部を有し、前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレールの内側壁部と外側壁部の間に、前記開口部の側から挿入されて装着されることを特徴とする開閉装置の改修方法。
また、本発明の他の一例としては、以下の構成を具備する。
開口部を開閉する開閉体と、該開閉体の幅方向端部側を内側壁部と外側壁部の間に通して開閉方向へ案内する既設ガイドレールと、前記既設ガイドレールの前記開口部の側に装着された補助ガイドレールとを備えた開閉装置であって、前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレールの内側壁部と外側壁部とのうち、少なくともその一方を前記開口部の側へ延長する補助壁部を有し、前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレールの内側壁部と外側壁部の間に、前記開口部の側から挿入されて装着されるように形成されていることを特徴とする開閉装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、開閉体の抜止め構造を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る開閉装置の修復方法の一例を説明する斜視図である。
【
図2】同修復方法により修復された開閉装置を示す斜視図である。
【
図3】既設ガイドレールの一例を示す横断面図である。
【
図4】既設ガイドレールに補助ガイドレールを装着する手順を(a)(b)に順次に示す横断面図である。
【
図5】既設ガイドレールに補助ガイドレールを装着する手順を(c)(d)に順次に示す横断面図である。
【
図6】本発明に係る開閉装置の修復方法の他例について、既設ガイドレールに補助ガイドレールを装着する手順を(a)(b)に順次に示す横断面図である。
【
図7】本発明に係る開閉装置の修復方法の他例について、既設ガイドレールに補助ガイドレールを装着する前の状態を示す横断面図である。
【
図8】本発明に係る開閉装置の修復方法の他例について、既設ガイドレールに補助ガイドレールを装着する手順を(a)(b)に順次に示す横断面図である。
【
図9】同他例について、既設ガイドレールに補助ガイドレールを装着する手順を(c)(d)に順次に示す横断面図である。
【
図10】本発明に係る開閉装置の修復方法の他例について、既設ガイドレールに補助ガイドレールを装着する手順を(a)(b)に順次に示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第一の特徴は、開口部を開閉する開閉体と、該開閉体の幅方向端部側を内側壁部と外側壁部の間に通して開閉方向へ案内する既設ガイドレールとを備えた開閉装置について、改修を行う開閉装置の改修方法であって、前記既設ガイドレールの前記開口部の側に、補助ガイドレールを装着する工程を含み、前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレールの内側壁部と外側壁部とのうち、少なくともその一方を前記開口部の側へ延長する補助壁部を有する(
図1~
図10参照)。
【0009】
ここで、前記「内側壁部」と前記「外側壁部」は、開閉体厚さ方向の一方の壁部と他方の壁部を意味し、建物等の内側や外側に壁部が位置することを限定するものではない。
【0010】
第二の特徴は、前記改修方法において、前記補助壁部が、前記内側壁部と前記外側壁部との両方を前記開口部の側へ延長するように形成されている(
図4~
図9参照)。
【0011】
第三の特徴として、前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレールの内側壁部と外側壁部の間に、前記開口部の側から挿入されて装着される(
図4~6、及び
図8~
図10参照)ことを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置の改修方法。
【0012】
第四の特徴として、前記補助ガイドレールは、開閉体厚さ方向の幅を狭めるように弾性変形して、前記既設ガイドレール内に挿入され、その後、元の状態に復元して前記既設ガイドレール内に嵌り合う(
図4~
図6参照)。
【0013】
第五の特徴として、前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレール内に挿入された後、該補助ガイドレールの先端側が前記既設ガイドレール内の対抗面に押し付けられることで、開閉体厚さ方向の幅を拡げるように変形し、前記既設ガイドレール内に嵌り合う(
図8~
図9参照)。
【0014】
第六の特徴として、前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレールの内側壁部と外側壁部の間に対し開放方向側から挿入されて装着される(
図7参照)。
【0015】
第七の特徴として、前記既設ガイドレールには、前記内側壁部と前記外側壁部の間を部分的に狭める幅狭部が設けられ、前記補助ガイドレールは、前記幅狭部に嵌り合う(
図4~
図10参照)。
【0016】
第八の特徴として、前記補助ガイドレールの内側には、前記開閉体に係合して前記開閉体が開口部側へ抜けるのを阻む抜止め係合部が設けられている(
図5,
図6,
図9及び
図10参照)。
【0017】
第九の特徴は、開口部を開閉する開閉体と、該開閉体の幅方向端部側を内側壁部と外側壁部の間に通して開閉方向へ案内する既設ガイドレールと、前記既設ガイドレールの前記開口部の側に装着された補助ガイドレールとを備えた開閉装置であって、前記補助ガイドレールは、前記既設ガイドレールの内側壁部と外側壁部とのうち、少なくともその一方を前記開口部の側へ延長する補助壁部を有する(
図1~
図10参照)。
【0018】
第十の特徴は、前記開閉装置おいて、前記補助壁部が、前記内側壁部と前記外側壁部との両方を前記開口部の側へ延長するように形成されている(
図4~
図9参照)。
【0019】
<具体的実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明において、「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体の厚さ方向を意味する。また、「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。また、「開閉体開閉方向」とは、開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
また、「開口部Xの側」又は「開口部X側」とは、開閉体幅方向において、開閉体10によって開閉される開口部Xを有する側を意味し、「反開口部側」とは、前記開口部X側に対する反対方向側を意味する。
また、以下の説明では、開閉体厚さ方向において、屋外側を前、屋内側を後と表現する場合がある。
【0020】
図1と
図2は、本実施の形態の開閉装置の改修方法を適用する前と後を示している。
この改修方法の適用対象となる開閉装置1は、上下方向へのスライドにより開口部Xを開閉する開閉体10と、開閉体10の幅方向端部側を内側壁部21と外側壁部22の間に通して開閉方向へ案内する左右の既設ガイドレール20,20と、開閉体10をその開放方向側で収納する収納部30と、全閉状態の開閉体10の閉鎖方向端部に対向する下枠50とを具備する(
図1参照)。
【0021】
この開閉装置1は、構造物開口部の窓サッシSの屋外側に位置するように、構造物壁面に固定されて窓用シャッター装置を構成する。
図1中、符号W1、W2は、横方向へスライドして開閉する窓である。
【0022】
本実施の形態の開閉装置の改修方法では、上記開閉装置1における既設ガイドレール20の開口部Xの側に、補助ガイドレール70を装着し、開閉体10を、抜止め部材13を有する開閉体10’(
図2及び
図5参照)に交換する。
【0023】
改修前の開閉体10は、横長略矩形状の磁性金属板を曲げ加工してなるスラット11aを、上下に隣接するスラット11a,11a間で回動するように複数連接することで、略平板状の開閉体本体11を構成し、この開閉体本体11の下側の端部に、下枠50に当接させるための座板部材12(水切り又は幅木と呼称される場合もある。)を、開閉体幅方向にわたって接続している。
改修前の開閉体10には、抜止め部材13(
図5参照)が設けられていない。
【0024】
既設ガイドレール20は、開閉体10を開閉方向へ案内する部材であり、開閉体10の幅方向の両側各々で、収納部30と下枠50との間にわたって略鉛直状に設けられる。
この既設ガイドレール20は、開閉体10の幅方向端部側を間に通す内側壁部21及び外側壁部22と、これら内側壁部21と外側壁部22を開閉体幅方向における反開口部側(
図3によれば左方向側)で接続する接続壁部23とを有し、
図3に示すように、口部20aを開口部X側へ向けた横断面凹状に形成される。
【0025】
この既設ガイドレール20には、内側壁部21と外側壁部22の間を部分的に狭める幅狭部24が設けられる。
この幅狭部24は、既設ガイドレール20の口部20a側において、内側壁部21からレール内側へ突出する凹状突部24aと、この凹状突部に対向するようにして、外側壁部22からレール内側へ突出する凹状突部24bとによって構成される。
【0026】
凹状突部24a,24bの各々には、モヘア等と呼称されるブラシ状の緩衝材25が上下方向へ連続するように嵌め合わせられている。
【0027】
上記構成の既設ガイドレール20は、後方側の柱状部材40に支持されて上下方向へ連続している。
柱状部材40は、既設ガイドレール20の後方側で上下方向へ延設され、その上端部を収納部30に接続するとともに、下端部を下枠50に接続している。
この柱状部材40は、ネジ止めや嵌合等の接続手段により、既設ガイドレール20に一体化されている(
図3参照)。
【0028】
下枠50は、左右の既設ガイドレール20,20の下端部間にわたって設けられた長尺状の部材であり、全閉した際の開閉体10の座板部材12を、その下方側から受ける。
【0029】
また、収納部30は、横長箱状の収納ケース31内に、開閉体10をその開方方向側で巻き取ったり繰り出したりする巻取軸(図示せず)や、この巻取軸を電動で回転させる開閉機(図示せず)等を収納している。
【0030】
また、補助ガイドレール70は、既設ガイドレール20の内側壁部21と外側壁部22を、それぞれ開口部Xの側へ延長する内側補助壁部71及び外側補助壁部72と、これら内側補助壁部71及び外側補助壁部72を反開口部側で接続する接続壁部73とを一体的に有し、口部70aを開口部X側へ向けた横断面凹状に形成される(
図4参照)。
この補助ガイドレール70の材質は、内側補助壁部71と外側補助壁部72の間隔を変化させるように、弾性的に撓み可能な材料であればよく、例えば、弾性的に撓み可能な金属材料や、弾性的に撓み可能な合成樹脂材料、ゴム材料等とすることが可能である。さらに、補助ガイドレール70の材質の他例としては、弾性的に撓み可能な材料と、弾性を有していない材料とからなる複合材料等とすることも可能である。
【0031】
内側補助壁部71と外側補助壁部72における口部70a側には、それぞれ、レール内側へ突出する凹状突部71a,72aが設けられる。これら凹状突部71a,72aには、既設ガイドレール20のものと同様にして、緩衝材25が嵌め合わせられる。
【0032】
内側補助壁部71と外側補助壁部72の間において、凹状突部71a,72aよりも反開口部側には、内側補助壁部71と外側補助壁部72の間を部分的に狭める括れ部71b,72bが設けられる。
これら括れ部71b,72bは、補助ガイドレール70が既設ガイドレール20に接続された際に、既設ガイドレール20の幅狭部24に嵌り合う。
【0033】
また、内側補助壁部71と外側補助壁部72の間において、括れ部71b,72bよりも反開口部側には、開閉体10’の抜止め部材13に係合して、開閉体10’が開口部X側へ抜けるのを阻む抜止め係合部71c,72cが設けられている。
【0034】
一方の抜止め係合部71cは、内側補助壁部71内面から突出するとともに上下方向へ連続する片状に形成される。
他方の抜止め係合部72cは、外側補助壁部72内面から突出するとともに上下方向へ連続する片状に形成され、抜止め係合部71cとの間に抜止め部材13の基端側部分を挿通する隙間を確保している(
図5(d)参照)。
【0035】
また、接続壁部73は、内側補助壁部71と外側補助壁部72を反開口部側の端部で接続している。
この接続壁部73と内側補助壁部71の交差部分には、補助ガイドレール70の開閉体厚さ方向の寸法を反開口部側へ向かって徐々に狭めるように、面取り状の傾斜面部73aが設けられる。同様に接続壁部73と外側補助壁部72の交差部分にも、面取り状の傾斜面部73bが設けられる。
【0036】
傾斜面部73a,73bは、既設ガイドレール20の凹状突部24a,24bに対し開口部X側から当接して摺接するように形成される。
【0037】
次に、上記構成の開閉装置1を改修する手順について詳細に説明する。
【0038】
先ず、開閉体10を開放動作させて収納部30内の巻取軸に巻き取ることで、既設ガイドレール20から上方へ開閉体10を抜き出す。
【0039】
抜き出された開閉体10は、他の開閉体10’に交換される。この際、開閉体10を巻取軸ごと他の開閉体10’に交換してもよいし、開閉体10を一旦巻取軸から外して他の開閉体10’に交換するようにしてもよい。
【0040】
交換後の開閉体10’は、上記構成の開閉体10における開閉体本体11の幅方向の端部に、抜止め部材13を固定したものである。
抜止め部材13は、開閉体本体11の幅方向端部から突出する略棒状の部材であり、その突端側を横断面T字状に拡幅している(
図5(d)参照)。
【0041】
次に、補助ガイドレール70を、既設ガイドレール20の内側壁部21と外側壁部22の間に、開口部Xの側から挿入する(
図4~
図5参照)。
【0042】
詳細に説明すれば、先ず、
図4(a)に示すように、既設ガイドレール20に対し、補助ガイドレール70を、開閉体幅方向に沿って開口部X側から接近する。
そして、
図4(b)に示すように、既設ガイドレール20の凹状突部24a,24b(幅狭部24)に対し、補助ガイドレール70の両傾斜面部73a,73bを当接して、補助ガイドレール70を反開口部側へ押圧する。
【0043】
すると、補助ガイドレール70は、開閉体厚さ方向の幅を狭めるように弾性変形して、既設ガイドレール20内に挿入され(
図5(c)参照)、その後、元の状態に復元して既設ガイドレール20の内面に嵌り合う(
図5(d)参照)。この際、補助ガイドレール70の括れ部71b,72bが、既設ガイドレール20の幅狭部24に嵌り合う。
【0044】
したがって、補助ガイドレール70は、既設ガイドレール20に対し開閉体幅方向及び開閉体厚さ方向へ移動しないように一体化される。
【0045】
次に、収納部30内の巻取軸(図示せず)を繰出し方向へ回転させて、この巻取軸に巻かれた開閉体10’を繰出し、この開閉体10’の下端を、補助ガイドレール70の上端部に挿入する。
なお、補助ガイドレール70の上端部には、開閉体10’を内部へ導くためのラッバ状の導入部(図示せず)が設けられる。
【0046】
上記のようにした補助ガイドレール70内に挿入され閉鎖動作する開閉体10’は、抜止め部材13突端側のT字状部分を、抜止め係合部71cの奥側に配置する(
図5(d)参照)。
【0047】
よって、上記構成の開閉装置の改修方法によれば、補助ガイドレール70を弾性変形させて、開口部X側から既設ガイドレール20に挿入して装着するようにしたため、その組付け作業性が良好である。
【0048】
そして、改修後の開閉装置1’は、開閉体10’を幅方向に呑み込む補助ガイドレール70の深さが、既設ガイドレール20のみの場合よりも大きくなる。
このため、開閉体10(詳細にはスラット等)が補助ガイドレール70から幅方向へ抜けてしまうのを、既設ガイドレール20のみの場合よりも効果的に阻むことができる。
【0049】
特に、図示する好ましい一例によれば、開閉体10’の抜止め部材13を、補助ガイドレール70内の抜止め係合部71c,72cに係合させるようにしているため、開閉体10’が補助ガイドレール70から抜け出してしまうのを、いっそう効果的に阻むことができる。
【0050】
そして、改修後の開閉装置1’によれば、上記した抜け出し防止作用により、耐風性能、防火性能、及び防犯性能等を向上することができる。
【0051】
<他の実施態様>
上記構成の開閉装置1’は、補助ガイドレール70を、
図6に示す補助ガイドレール70’に置換することが可能である。
【0052】
補助ガイドレール70’は、上記補助ガイドレール70の接続壁部73を、接続壁部74に置換したものである。
接続壁部74は、補助ガイドレール70の開閉体厚さ方向の寸法を反開口部側へ向かって徐々に狭めるように、開閉体厚さ方向の両側に位置する二つの傾斜面部74a,74bにより、横断面横向きV字状に形成される(
図6(a)参照)。
【0053】
上記構成の補助ガイドレール70’は、既設ガイドレール20に挿入される際に、傾斜面部74a,74bをそれぞれ凹状突部24a,24bに摺接させて幅狭方向へ弾性変形し、その後、既設ガイドレール20内にて元の形状に復元し、括れ部71b,72bを幅狭部24に嵌め合わせる(
図6(a)(b)参照)。
【0054】
よって、
図6に示す態様においても、補助ガイドレール70’の組付け作業性が良好な上、開閉体10’が補助ガイドレール70’から幅方向へ抜け出てしまうのを効果的に防ぐことができ、ひいては、耐風性能、防火性能、及び防犯性能等を向上することができる。
【0055】
また、上記実施態様によれば、補助ガイドレール70(又は70’)を既設ガイドレール20に対し開口部X側から挿入したが、他例としては、
図7に示す態様のように、補助ガイドレール70”を既設ガイドレール20の内側壁部21と外側壁部22の間に対し開放方向側から挿入する態様とすることも可能である。
【0056】
図7に示す補助ガイドレール70”は、上記補助ガイドレール70の接続壁部73を、傾斜面部の無い接続壁部75に置換して、反開口部側を横断面コ字状に形成したものである。
この補助ガイドレール70”は、既設ガイドレール20に対し、その上方側から挿入され、内側補助壁部71、外側補助壁部72及び接続壁部75等を嵌め合わせる。
なお、既設ガイドレール20の上端側には、補助ガイドレール70”を導き入れるためのラッパ状の導入部(図示せず)が設けられている。
【0057】
よって、
図7に示す態様においても、補助ガイドレール70”の組付け作業性が良好な上、開閉体10’が補助ガイドレール70”から幅方向へ抜け出てしまうのを効果的に防ぐことができ、ひいては、耐風性能、防火性能、及び防犯性能等を向上することができる。
【0058】
また、
図8及び
図9に示す補助ガイドレール70x1は、上記補助ガイドレール70を開閉体厚さ方向へ狭めた横断面形状に形成される。この補助ガイドレール70x1の材質は、内側補助壁部71と外側補助壁部72の間を離隔するように塑性変形可能な材料であればよく、例えば、硬質金属材料や、複合材料等を用いることが可能である。
この補助ガイドレール70x1は、既設ガイドレール20内に挿入された後、当該補助ガイドレール70x1における挿入方向の先端部が既設ガイドレール20の対抗面(横断面上の底面)に押し付けられることで、開閉体厚さ方向の幅を拡げるように変形し、既設ガイドレール20内に嵌り合う。
なお、
図9(d)の例示では、補助壁部71,72の挿入部分71d,72d(詳細には挿入方向の前後部分)と、既設ガイドレール20の内面との間に若干の隙間を有するが、他例としては、この隙間をより小さくしたり無くしたりすることが可能である。
【0059】
詳細に説明すれば、この補助ガイドレール70x1は、上記補助ガイドレール70と略同様の横断面形状において、内側補助壁部71における挿入部分71dの外面と、外側補助壁部72における挿入部分72dの外面との幅wが、既設ガイドレール20の口部20aの幅以下の寸法に設定される(
図8(a)(b)参照)。
【0060】
この補助ガイドレール70x1は、既設ガイドレール20内に口部20aを介して挿入され、当該補助ガイドレール70x1の前端面が既設ガイドレール20の底面に接した状態で、更に、その挿入方向へ押圧される(
図9(c)参照)。
すると、補助ガイドレール70x1は、前端側の傾斜面部73a,73bの傾斜角度を拡げるようにして塑性変形し、既設ガイドレール20の内壁面に嵌り合う(
図9(d)参照)。よって、補助ガイドレール70x1は、既設ガイドレール20に対し移動不能に固定される。
そして、この後、補助ガイドレール70x1内には、上記補助ガイドレール70と同様にして、開閉体10’の幅方向端部側が挿入される。
【0061】
よって、
図9に示す態様においても、補助ガイドレール70x1の組付け作業性が良好な上、開閉体10’が補助ガイドレール70x1から幅方向へ抜け出てしまうのを効果的に防ぐことができ、ひいては、耐風性能、防火性能、及び防犯性能等を向上することができる。
【0062】
なお、上記補助ガイドレール70x1では、傾斜面部73a.73bの近傍が塑性変形するようにしたが、他例としては、塑性変形以外の変形をする態様とすることも可能である。
例えば、傾斜面部73a,73bをそれぞれ独立した片状の部材とし、この傾斜面部73a(又は73b)の一端側と他端側を、可撓性部材(例えばテープ状部材)を介して補助壁部71(又は72)と接続壁部73に接続すれば、前記可撓性部材の撓み変形により上記同様の作用を得ることができる。
【0063】
また、横断面形状が異なる上記補助ガイドレール70’についても、補助ガイドレール70x1と同様に、既設ガイドレール20で対抗面に押し付けて、開閉体厚さ方向の幅を拡げるように構成することが可能である。
【0064】
また、上記実施態様では、特に好ましい一例として、既設ガイドレール20の内側壁部21と外側壁部22の両方を開口部Xの側へ延長するように、内側補助壁部71及び外側補助壁部72を設けたが、他例としては、
図10に示す補助ガイドレール70x2のように、内側壁部21と外側壁部22のうち、その一方のみを開口部Xの側へ延長する態様とすることも可能である。
補助ガイドレール70x2は、上記補助ガイドレール70について、内側補助壁部71を開口部Xの側の延長部分及び括れ部71bの無い内側補助壁部71’に置換し、外側補助壁部72を屋外側に配置したものである。
一般的に、開閉体の下端側が、風等により厚さ方向へバタついてガイドレールから抜けてしまう場合、サッシや網戸等の無い屋外側へずれる傾向がある。
このため、
図10に示す補助ガイドレール70x2のように、屋内側の内側補助壁部71’に延長部分が無くとも、屋外側の外側補助壁部72に延長部分があれば、この外側補助壁部72の延長部分によって、開閉体10が当該補助ガイドレール70x2から抜けるのを効果的に防ぐことができ、ひいては、耐風性能、防火性能、及び防犯性能等を向上することができる。
また、内側補助壁部71’側には、既存の緩衝材25を覆う括れ部が無いので、この緩衝材25をそのまま有効に用いて、開閉体10’面に接触又は近接させることができる。
なお、図示例以外の他例としては、
図10の態様とは逆に、屋内側の内側補助壁部71’に延長部分を形成し、屋外側の外側補助壁部72から延長部分及び括れ部72bを省くことも可能である。
【0065】
また、上記実施態様では、特に好ましい一例として、開閉体に抜止め部材13を設けるとともに補助ガイドレールには抜止め係合部71c,72cを設けたが、他例としては、抜止め部材13及び抜止め係合部71c,72cを省くことも可能である。この他例においても、補助ガイドレールによって開閉体の幅方向端部を呑み込む深さを大きく確保できるので、開閉体が補助ガイドレールから幅方向へ抜け出てしまうのを防ぐことができる。
【0066】
また、上記実施態様では、既設ガイドレール20に対し補助ガイドレール70を嵌合により接続したが、他例としては、既設ガイドレール20に対し補助ガイドレール70をネジ止めやリベット止め、接着、粘着、溶接等の接続手段により接続する態様とすることも可能である。
【0067】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0068】
1,1’:開閉装置
10,10’:開閉体
13:抜止め部材
20:既設ガイドレール
21:内側壁部
22:外側壁部
24:幅狭部
70:補助ガイドレール
71:内側補助壁部
72:外側補助壁部
71c,72c:抜止め係合部
X:開口部