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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】画像処理装置及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20230804BHJP
   G06T 5/00 20060101ALI20230804BHJP
   G09G 5/37 20060101ALI20230804BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
G09G5/00 550H
G06T5/00 735
G09G5/37 100
G09G5/00 510A
G09G5/00 550C
B60K35/00 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019208570
(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公開番号】P2021081575
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】木村 充宏
(72)【発明者】
【氏名】高橋 明秀
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0019863(US,A1)
【文献】特開2017-197044(JP,A)
【文献】国際公開第2012/053105(WO,A1)
【文献】特開2011-237690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00-5/42
G06T 5/00
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載カメラからの映像入力信号から映像出力信号及びバックライト制御信号を生成し表示装置に出力する画像処理装置であって、
前記映像入力信号から映像の全体領域と、前記全体領域を複数の領域に分割した分割領域を取得して、前記全体領域の輝度値の特徴を示す第一の特徴データと、前記分割領域ごとの輝度値の特徴を示す第二の特徴データ群とを算出する特徴データ算出部と、
前記映像入力信号から映像に含まれている車両および人を含むオブジェクトを検出し、検出された前記オブジェクトの位置情報を含むオブジェクト情報を出力する検出部と、
前記画像処理装置が搭載される車両の車速およびステアリング制御の情報である走行情報から前記映像入力信号の運転シーンを判別し、運転情報を出力する判別部と、
前記第一の特徴データと前記第二の特徴データ群とから前記分割領域ごとの第一の補正強度を設定し、前記オブジェクト情報に基づいて第二の補正強度を設定し、前記運転情報に基づいて第三の補正強度を設定する補正強度部と、
前記第一の補正強度と前記第二の補正強度と前記第三の補正強度に基づいて補正データを調整する補正データ算出部と、
前記補正データに基づいて前記全体領域の映像補正を行って前記映像出力信号を生成する補正処理部と、
を有し、
前記補正強度部は、前記第一の特徴データと前記第二の特徴データ群とを比較し、各前記分割領域に対して、補正後に隣合う前記分割領域間で輝度値の逆転や白飛び・黒潰れが発生するかどうかを判定し、隣合う前記分割領域間で輝度値の逆転や白飛び・黒潰れが発生すると判定した前記分割領域には、対応するテーブルの要素に、不自然なグラデーションが発生しない程度の弱い補正強度を前記第一の補正強度として設定する、画像処理装置。
【請求項2】
前記全体領域の画素の輝度値および各前記分割領域の画素の輝度値についての頻度分布を算出するヒストグラム検出部と、
前記全体領域の前記頻度分布に基づいて前記全体領域の輝度値の中で最も高い輝度値(GA最高輝度値)および各前記分割領域の前記頻度分布に基づいて各前記分割領域の輝度値の中で最も高い輝度値(LA最高輝度値)を検出するピーク値検出部と、
前記GA最高輝度値に応じたゲインであるGAピーク制御ゲインおよび前記LA最高輝度値に応じたゲインであるLAピーク制御ゲインを算出するピーク制御ゲイン算出部と、
前記全体領域の前記頻度分布及び各前記分割領域の前記頻度分布に対して、前記GAピーク制御ゲインおよび各前記LAピーク制御ゲインのそれぞれで変調処理を行うヒストグラム変調部と、をさらに有し、
前記特徴データ算出部は、さらに、前記GAピーク制御ゲインで変調処理された前記全体領域の前記頻度分布の分布状態および各前記LAピーク制御ゲインで変調処理された各前記分割領域の前記頻度分布のそれぞれの分布状態に基づいて輝度分布率を算出する、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記輝度分布率に応じて、前記全体領域及び各前記分割領域に適切なガンマ特性を算出する絵柄適応ガンマ特性算出部と、
前記ガンマ特性に従って、前記全体領域の輝度変調用ゲイン及び各前記分割領域の輝度変調用ゲインを算出する輝度変調用ゲイン算出部と、
をさらに有し、
前記補正データ算出部は、前記GAピーク制御ゲイン、各前記LAピーク制御ゲイン、前記全体領域の輝度変調用ゲイン及び各前記分割領域の輝度変調用ゲインを、ユーザ設定のMIX比または前記分割領域毎の前記第一の補正強度および前記第二の補正強度に基づいてトータルゲイン値を算出し、
前記補正処理部は、前記トータルゲイン値を使用して前記映像入力信号の1画素毎の輝度をその輝度の値に応じて別の輝度に変換する輝度変調を行って前記映像出力信号を生成する、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記特徴データ算出部は、前記頻度分布に対して、輝度ごとの重み付けを行う前処理を行い、その重み付け後の前記頻度分布の検出値を累積し、その値から分布率を算出する、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第一の特徴データと前記第二の特徴データ群は、少なくとも輝度値の最大値、最小値、平均値、ヒストグラムのいずれか一つを含んでいる、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第一の補正強度、前記第二の補正強度、および前記第三の補正強度は、前記分割領域ごとの補正強度が設定されたマップ形式のデータである、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項7】
車載カメラからの映像入力信号から映像出力信号及びバックライト制御信号を生成し表示装置に出力する画像処理装置における画像処理方法であって、
前記映像入力信号から映像の全体領域と、前記全体領域を複数の領域に分割した分割領域を取得して、前記全体領域の輝度値の特徴を示す第一の特徴データと、前記分割領域ごとの輝度値の特徴を示す第二の特徴データ群とを算出する特徴データ算出ステップと、
前記映像入力信号から映像に含まれている車両および人を含むオブジェクトを検出し、検出された前記オブジェクトの位置情報を含むオブジェクト情報を出力する検出ステップと、
前記画像処理装置が搭載される車両の車速およびステアリング制御の情報である走行情報から前記映像入力信号の運転シーンを判別し、運転情報を出力する判別ステップと、
前記第一の特徴データと前記第二の特徴データ群とから前記分割領域ごとの第一の補正強度を設定し、前記オブジェクト情報に基づいて第二の補正強度を設定し、前記運転情報に基づいて第三の補正強度を設定する補正強度ステップと、
前記第一の補正強度と前記第二の補正強度と前記第三の補正強度に基づいて補正データを調整する補正データ算出ステップと、
前記補正データに基づいて前記全体領域の映像補正を行って前記映像出力信号を生成する補正処理ステップと、
を有し、
前記補正強度ステップは、前記第一の特徴データと前記第二の特徴データ群とを比較し、各前記分割領域に対して、補正後に隣合う前記分割領域間で輝度値の逆転や白飛び・黒潰れが発生するかどうかを判定し、隣合う前記分割領域間で輝度値の逆転や白飛び・黒潰れが発生すると判定した前記分割領域には、対応するテーブルの要素に、不自然なグラデーションが発生しない程度の弱い補正強度を前記第一の補正強度として設定する、画像処理方法。
【請求項8】
前記全体領域の画素の輝度値および各前記分割領域の画素の輝度値についての頻度分布を算出するヒストグラム検出ステップと、
前記全体領域の前記頻度分布に基づいて前記全体領域の輝度値の中で最も高い輝度値(GA最高輝度値)および各前記分割領域の前記頻度分布に基づいて各前記分割領域の輝度値の中で最も高い輝度値(LA最高輝度値)を検出するピーク値検出ステップと、
前記GA最高輝度値に応じたゲインであるGAピーク制御ゲインおよび前記LA最高輝度値に応じたゲインであるLAピーク制御ゲインを算出するピーク制御ゲイン算出ステップと、
前記全体領域の前記頻度分布及び各前記分割領域の前記頻度分布に対して、前記GAピーク制御ゲインおよび各前記LAピーク制御ゲインのそれぞれで変調処理を行うヒストグラム変調ステップと、をさらに有し、
前記特徴データ算出ステップは、さらに、前記GAピーク制御ゲインで変調処理された前記全体領域の前記頻度分布の分布状態および各前記LAピーク制御ゲインで変調処理された各前記分割領域の前記頻度分布のそれぞれの分布状態に基づいて輝度分布率を算出する、請求項記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記輝度分布率に応じて、前記全体領域及び各前記分割領域に適切なガンマ特性を算出する絵柄適応ガンマ特性算出ステップと、
前記ガンマ特性に従って、前記全体領域の輝度変調用ゲイン及び各前記分割領域の輝度変調用ゲインを算出する輝度変調用ゲイン算出ステップと、
をさらに有し、
前記補正データ算出ステップは、前記GAピーク制御ゲイン、各前記LAピーク制御ゲイン、前記全体領域の輝度変調用ゲイン及び各前記分割領域の輝度変調用ゲインを、ユーザ設定のMIX比または前記分割領域毎の前記第一の補正強度および前記第二の補正強度に基づいてトータルゲイン値を算出し、
前記補正処理ステップは、前記トータルゲイン値を使用して前記映像入力信号の1画素毎の輝度をその輝度の値に応じて別の輝度に変換する輝度変調を行って前記映像出力信号を生成する、請求項記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記特徴データ算出ステップは、前記頻度分布に対して、輝度ごとの重み付けを行う前処理を行い、その重み付け後の前記頻度分布の検出値を累積し、その値から分布率を算出する、請求項記載の画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では、高コントラスト化(視認性向上)の要求(特に外光環境下で視聴される車載機器でのニーズ)がある。そこで、車載カメラシステムに搭載されるSoC(System on Chip)の画像処理ミドルウェアの機能として、車載カメラからの入力映像(画像)に対してローカルエリア単位の輝度値に対するガンマ補正を用いて画像の視認性を向上する技術が必要とされてきている。画像視認性の向上に係る従来技術では、ローカルエリア境界付近での視認性向上の副作用として、不自然な画像を生成してしまう問題が発生してしまう。
【0003】
従来技術は、ピークACL(Automatic Contrast Limit)制御によるゲイン値と輝度分布から算出した絵柄にあわせたガンマ補正値を基にトータルゲインを算出し、一度の演算で輝度変調を行うことで、階調劣化を抑制しつつ、絵柄特性(輝度分布)に応じた高コントラスト化と明るさ向上を可能にする技術である。この技術は表示部のバックライトのシステム構造が単一光源のものだけでなく、複数光源のシステム構造も対象としている。このため、複数光源によりローカルエリア単位でガンマ補正が制御可能であるシステム構造の場合には、ローカルエリア単位で絵柄適応ガンマ特性を算出することが可能であると記載されている。(例えば、特開2016-31492号公報)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-31492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術を使用するだけでは、液晶表示装置、特に車載カメラシステムにおける高コントラスト化としての視認性の向上には不十分な場合がある。通常、ローカルエリア(Local Area、以下LAと称する)単位での絵柄適応ガンマ特性を算出する場合、LA毎に各LAに最適なガンマ補正値を算出する。そして、LA間の補正値の急激な変化を防ぐために、LA間の境界付近では、線形補間を用いつつ補正を行う。しかしながら、特徴が大きく異なるLA同士が隣接する場合、各LAに最適なガンマ補正を行うと、境界付近で輝度値が逆転し、不自然な映像になる問題がある。不自然な映像になる例として、図15(A)の画像を図15(B)のように格子状のエリアに分割し、ガンマ補正を行った結果を図15(C)に示す。
【0006】
図15(A)と図15(C)を比較すると、画像内のオブジェクト(人、車)の視認性は向上しているが、画像全体では段差ノイズ(グラデーション)が発生している。このような画像は単純に画質が劣化していると捉えられ、視聴者やドライバーに不快感を与える原因となってしまう。さらに、特に車載カメラシステムでは、視認が必要な領域以外の不自然な領域にドライバーの注意が向くこととなり、安全運転の妨害となる。
【0007】
本発明の課題は、視認性がよい高画質な画像を生成する画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
画像処理装置は、入力画像から画像の全体領域(Global Area、以下GAと称する)の特徴量(輝度値の最大値、最小値、平均値、ヒストグラムなど)及び各LAの特徴量を取得し、GA及び各LAに対する複数の変調ゲイン値(ガンマ補正カーブ)を算出する。さらに、画像処理装置は、GAの特徴量及び各LAの特徴量から、LA毎に補正強度を決定し、LA補正強度マップを作成する。最後に、画像処理装置は、LA補正強度マップに基づいて複数の変調ゲイン値を合成した結果を最終的に入力画像に適用する。
【発明の効果】
【0009】
一実施の形態に係る画像処理装置によれば、高画質で視認性のよい画像が生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第一の実施形態における画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2(A)及び図2(B)は、輝度分布率算出のための前処理を説明するための図である。
図3図3(A)及び図3(B)は、LA補正強度マップの例を示す表である。
図4図4(A)は、LAに対してオブジェクトの座標情報を反映するイメージを示す図であり、図4(B)は本実施形態適用後のイメージを示す図である。
図5図5は、第一の実施形態におけるLA補正強度部の処理フローである。
図6図6は、第一の実施形態における画像処理装置のSoCの構成例を示すブロック図である。
図7図7は、第二の実施形態における画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
図8図8(A)及び図8(B)は、車速に応じたLA補正強度マップの例(高速時)である。
図9図9(A)及び図9(B)は、車速に応じたLA補正強度マップの例(中速時)である。
図10図10(A)及び図10(B)は、車速に応じたLA補正強度マップの例(低速時)である。
図11図11(A)及び図11(B)は、進行方向に応じたLA補正強度マップの例(左折時)である。
図12図12(A)及び図12(B)は、進行方向に応じたLA補正強度マップの例(右折時)である。
図13図13は、第二の実施形態におけるLA補正強度部の処理フローである。
図14図14は、第二の実施形態における画像処理装置のSoCの構成例を示すブロック図である。
図15図15(A)、図15(B)及び図15(C)は、従来技術における補正画像イメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第一の実施形態)
以下、第一の実施形態に係る画像処理装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、明細書及び図面において、同一の構成要件または対応する構成要件には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。また、実施の形態と各変形例との少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。
【0012】
(画像処理装置の全体構成)
第一の実施形態に係る画像処理装置(1a)には、映像入力信号が入力され、接続される表示装置としての液晶パネル(1m)に供給する映像出力信号と、表示パネル(1m)に付属するバックライト制御部(1n)に供給するバックライト制御信号とを、それぞれ算出して出力する。また、図1に示す通り、画像処理装置(1a)は、ヒストグラム検出部(1b)、ピーク値検出部(1c)、ピークACL(Automatic Contrast Limit)制御ゲイン算出部(1d)、輝度変調部(1h)、バックライト制御ゲイン算出部(1k)及びゲイン変換部(1l)を備える。さらに、画像処理装置(1a)は、ヒストグラム変調部(1e)、輝度分布率算出部(1f)、絵柄適応ガンマ特性算出部(1g)、輝度変調用ゲイン算出部(1j)、トータル制御ゲイン算出部(1i)、物体検出部(1o)及びLA補正強度部(1p)を備える。
【0013】
ヒストグラム検出部(1b)は、入力される映像信号の全体GAの輝度値と各LAの輝度値についての頻度分布を算出する。ここで、LAはGAを複数の領域に分割した分割領域である。
【0014】
ピーク値検出部(1c)は、入力される映像信号のGAの画素が持つ映像レベル(輝度)の中で最も高い輝度(すなわち最も明るい輝度)を検出する。さらに、各LAにLAの画素が持つ映像レベルの中で最も高い輝度を検出する。
【0015】
本実施形態のように、ヒストグラム検出部(1b)が抽出する輝度のヒストグラム(頻度分布)からピーク値を検出することで、入力される映像信号から直接ピーク値を検出する場合と比較して、検出の安定度が向上する。なぜならば、例えば、1画面(1フレーム)内の総画素数を100%とし、輝度の低い方から順に頻度(画素数)を累積していった時に、ヒストグラムの累積値がその98%に達した時の輝度値をピーク値として検出することで、ノイズ等により数画素が突出して高い輝度を持つ時にはその輝度をピーク値として検出しないからである。
【0016】
ピークACL制御ゲイン算出部(1d)は、検出されたGAのピーク値に応じたゲインである画像全体のピークACL制御ゲインを算出してトータル制御ゲイン算出部(1i)及びヒストグラム変調部(1e)に変調ゲイン値を供給する。同様に、ピークACL制御ゲイン算出部(1d)は、検出された各LAのピーク値に応じたゲインである各LAのピークACL制御ゲインを算出してトータル制御ゲイン算出部(1i)及びヒストグラム変調部(1e)に変調ゲイン値を供給する。
【0017】
バックライト制御ゲイン算出部(1k)は、ゲイン変換部(1l)に対して、ピーク値検出部(1c)で検出されたGAのピーク値及び各LAのピーク値のそれぞれに応じたゲイン処理を実行させる。
【0018】
ヒストグラム変調部(1e)は、ヒストグラム検出部(1b)から出力されるGAのヒストグラム及び各LAのヒストグラムに対して、ピークACL制御ゲイン算出部(1d)から得られたゲインで変調処理を行う。実際には、ヒストグラム変調部(1e)は映像レベルに対してのゲイン変調を行うことになる。ヒストグラムに対するピークACL制御ゲインでの変調処理とは、各映像レベルにおけるヒストグラム検出値を、そのピークACL制御ゲイン倍の映像レベルにおけるヒストグラム検出値と読み替える処理である。
【0019】
例えば映像信号が8bitの場合、映像レベルは256階調となるため、このレベルに対しゲイン処理を行う。ピーク検出値が50%の場合には、50%の輝度を表す映像レベル128以上にはヒストグラムが存在しないことになり、ピークACL制御ゲインは2倍となる。そして、映像レベル128に存在していたヒストグラムを、128×2のゲイン処理を施して、映像レベル256(実際の処理では8ビットにおける最大値の255)に存在しているヒストグラムと読み替える処理を行う。ここではヒストグラムの階調数を映像信号と同じ256で説明したが、ヒストグラムの階調数は、一般的に採用される16もしくは64などの場合でも同様の処理となる。
【0020】
輝度分布率算出部(1f)は、GAピークACL制御ゲインで変調処理されたGAのヒストグラムの分布状態を解析する。同様に、各LAピークACL制御ゲインで変調処理された各LAのヒストグラムのそれぞれの分布状態を解析する。ヒストグラムの分布状態には、例えば、一部の映像レベル領域に偏った分布、複数の映像レベル領域に偏った分布、顕著な遍在のない比較的均等な分布等がある。輝度分布率算出部(1f)は、入力されるヒストグラムに対して、映像レベルごとの重み付けを行う前処理を行い、その重み付け後のヒストグラム検出値を累積し、その値から分布率を算出する。輝度分布率算出部(1f)はGAの特徴を示す第一の特徴データとしての特徴量と各LAの特徴を示す第二の特徴データ群としての特徴量を算出する特徴データ算出部である。特徴量は輝度値の最大値、最小値、平均値、ヒストグラムである。映像中の各画素の輝度値の分布より、最大/最小の輝度値、輝度値の平均値を算出することができる。また、輝度値ごとの画素数を算出することでヒストグラムを作成することができる。
【0021】
具体例としては、輝度分布率算出部(1f)は、ヒストグラム検出値に対して、低映像レベルから中間映像レベルまでに重み付け処理を行い、重み付け後のヒストグラム検出値を累積し、その値の大きさから低/中間映像レベルの分布率を算出する(図2(A))。
【0022】
また、輝度分布率算出部(1f)は、中間映像レベル付近に重み付け処理を行い、重み付け後のヒストグラム検出値を累積し、その値の大きさから中間映像レベル付近の分布率を算出する(図2(B))。勿論、低/中間映像レベル分布率及び中間映像レベル付近の分布率を算出する方法は、これらに限定されるものではない。
【0023】
絵柄適応ガンマ特性算出部(1g)では、算出された映像レベル分布率に応じて、GA及び各LAに適切なガンマ特性を自動で算出する。例えば、バックライト制御用の明るさ向上効果を得ることを目的とした絵柄適応ガンマ処理する場合には、小ガンマ値補正(ヒストグラムの分布状態が顕著な遍在のない比較的均等な分布である場合)やSカーブ補正(ヒストグラムの分布状態が1ヵ所に遍在する場合)を行う。また、輝度変調後のヒストグラム分布状態が低映像レベルから高映像レベルまで均一に分布させることを目的とした補正処理する場合には、ヒストグラムイコライゼンション(平坦化)を行う。
【0024】
以上のように、絵柄に適応したガンマ特性を自動算出して輝度変調を行う効果には、以下の二点がある。一点目は、元より高コントラストで、明るい画像が入力されている場合には、固定ガンマ特性による輝度変調処理では、高映像レベル領域での飽和(白つぶれ)や低映像レベル領域での飽和(黒つぶれ)を生じる危険が想定される。しかし、絵柄適応処理により、これらの危険を防止することができる。二点目は、絵柄特性(映像レベルの分布中心=集中している明るさレベル)に応じて、最も効果的に高コントラスト化及び明るさ向上の効果を得ることができる。
【0025】
輝度変調用ゲイン算出部(1j)は、絵柄適応ガンマ特性算出部(1g)から与えられるガンマ特性に従って、輝度変調用ゲインをGA及び各LAに算出する。輝度変調用ゲインは、GA及び各LAに、変調後の映像レベルの値を対応付ける関数として与えられる。
【0026】
トータル制御ゲイン算出部(1i)では、ピークACL制御ゲイン算出部(1d)及び輝度変調用ゲイン算出部(1j)から得られた複数の変調ゲイン値を、ユーザ設定のMIX比またはLA補正強度部(1p)が算出したLA毎の補正強度に応じて乗じ、予めトータルゲイン値を算出する。ガンマ補正カーブの合成は、LA補正強度をαとした場合、以下のような加重平均を用いる。
合成後の補正量 = LAの補正量×α+GAの補正量×(1-α)
ここで、0<=α<=1、αが1に近いほどLAの補正強度が強くなる。
【0027】
輝度変調部(1h)では、このトータルゲイン値を使用して輝度変調を行う。輝度変調とは、入力される映像信号の1画素毎の映像レベル(輝度)をその映像レベルの値に応じて別の映像レベルに変換する処理を指す。輝度変調部(1h)は、例えば1次元のルックアップテーブルによって構成される。映像信号が8bit、256階調の場合には、256word×8bitのメモリによって構成することができる。ルックアップテーブルによる実装に代えて、予め関数化されたハードウェア、又はソフトウェアによって実装することもできる。
【0028】
検出部としての物体検出部(1o)は、入力画像からROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)に記録されているオブジェクトを検出する。オブジェクトを検出する方法としては、画像中から対象物と背景の間のエッジを利用する方法などがある。検出したオブジェクトは、パターン認識によりROMやRAMに記録されたオブジェクトと照合を行い、特定する。最後に、物体検出部(1o)は、オブジェクトの位置情報(座標)、領域及び照合結果をオブジェクト情報としてLA補正強度部(1p)に出力する。
【0029】
LA補正強度部(1p)では、輝度分布率算出部(1f)より得られたGAと各LAの特徴量(輝度値の最大値、最小値、平均値、ヒストグラム)を基に各LAの補正強度(第一の補正強度)を設定するため、第1LA補正強度マップを作成する。LA補正強度マップはLAに対応するテーブルで、数値はLA補正強度を意味する。LA補正強度には、例えば0~1の値が設定される。具体的には、LA補正強度部(1p)は、輝度分布状態解析結果から得られた全体特徴量とLA特徴量を比較し、各LAに対して、補正後に隣合うLA間で輝度値の逆転や白飛び・黒潰れが発生するかどうかを判定する。LA補正強度部(1p)は、隣合うLA間で輝度値の逆転や白飛び・黒潰れが発生すると判定したLAには、対応するテーブルの要素に、課題として挙げた不自然なグラデーションが発生しない程度の弱いLA補正強度を設定する。
【0030】
以上の処理により、高画質で視認性のよい画像が生成できる。さらに、LA補正強度部(1p)は、物体検出部(1o)より得られたオブジェクトの位置情報(座標情報)、領域及び照合結果を基にLAごとの補正強度(第二の補正強度)を設定するため、第2LA補正強度マップを作成する。例えば、オブジェクトの座標情報及び領域として図4(A)の破線で囲まれたエリアが与えられた場合、図3(B)に示すように、LA補正強度部(1p)はこのエリアに含まれるLAの補正強度を強く設定するような補正強度マップ(第2LA補正強度マップ)を作成する。
【0031】
ここでは、LA補正強度部(1p)は、ROMやRAMに記録された注目すべき物体のランク付けに従い、テーブルの各要素にLA補正強度を設定する。例えば、LA補正強度が0~1の範囲の値を取る場合、LA補正強度部(1p)は、1に近いほどそのLAが重要と判断する。図3(A)及び図3(B)の例では、車両は1、人は0.9としている。図3(B)に示すように、この第2LA補正強度マップを作成することで、図4(B)に示すように、撮影シーンに含まれているオブジェクトに適した高画質で視認性のよい画像が生成できる。
【0032】
最後に、LA補正強度部(1p)は、下記の式に示すように、2つの補正強度マップを加算することにより、トータル制御ゲイン算出部(1i)に供給する補正強度マップを決定する。
LA補正強度マップ(m,n)= 第1LA補正強度マップ(m,n)
+第2LA補正強度マップ(m,n)
その後、LA補正強度部(1p)は、各LA補正強度が最大値1となるように正規化を実施する。なお、合成前のLA補正強度マップのどちらかで0が設定されている場合は正規化を行わずに、片方の強度をそのまま用いてもよい。
【0033】
図5は、第一の実施形態における補正強度マップ作成処理をフローにしたものである。輝度分布状態の解析結果を取得し(ステップS501)、白飛びや黒潰れを防ぐための補正に必要な第1LA補正強度マップを作成する(ステップS502)。次に、物体検出部(1o)により物体検出結果を取得し(ステップS503)、注目すべき物体が存在するかどうかを判定し(ステップS504)、注目すべき物体が存在する場合は物体位置情報に基づく第2LA補正強度マップを作成し(ステップS505)、第1LA補正強度マップと第2LA補正強度マップを合成する(ステップS506)。ステップS504において注目すべき物体が存在しない場合には、第1LA補正強度マップのみが使用される。なお、ここで示した処理順はこれに限ったものではなく、第1LA補正強度マップの前に、第2LA補正強度マップを作成してもよい。
【0034】
図1に示した本実施形態の画像処理装置(1a)は、ハードウェアによって実装されてもよいし、搭載される画像処理方法の一部がソフトウェアによって実装された、ミドルウェアによって実装されてもよい。
【0035】
図6は、第一の実施形態に係る画像処理装置のSoCでの構成例を示すブロック図である。画像処理装置(6a)には、バックライト制御部(6n)が付属する液晶などの表示パネル(6m)と、映像信号を入力する映像機器(6b)とが接続される。さらに、外光センサ(6c)が接続されてもよい。映像機器(6b)は、例えば、カメラ、ブルーレイやDVDなどの映像コンテンツメディアプレーヤー、ディジタルテレビジョン受像機(DTV)などである。画像処理装置(6a)は、映像処理ユニット(6d)、CPU(6j)、ROM(6k)、RAM(6i)、バックライト制御インターフェース(I/F)ユニット(6g)、通信インターフェース(I/F)ユニット(6h)、その他の周辺ユニット(6l)が、バスを介して互いに接続されて構成される。
【0036】
映像処理ユニット(6d)は、映像機器(6b)から入力される映像信号を受信して、ROM(6k)に格納されるソフトウェアによって実装された物体検出部(不図示)、輝度変調部(6e)及びヒストグラム検出部(6f)にそれぞれ供給し、輝度変調部(6e)から出力される映像出力信号を液晶パネルに出力する。バックライト制御インターフェース(I/F)ユニット(6g)は、バックライト制御信号を、接続される表示パネルのバックライト制御部(6n)に出力する。外光センサ(6c)が接続され場合には、例えばI2C(Inter-Integrated Circuit)などの通信インターフェース(I/F)ユニット(6h)に接続される。
【0037】
輝度変調部(6e)、ヒストグラム検出部(6f)、バックライト制御インターフェース(I/F)ユニット(6g)及び通信インターフェース(I/F)ユニット(6h)は、それぞれ、CPU(6j)からバスを介してアクセス可能である。映像処理ユニット(6d)内の各処理部(図1に示すピーク値検出部(1c)、ピークACL制御ゲイン算出部(1d)、ヒストグラム変調部(1e)、輝度分布率算出部(1f)、絵柄適応ガンマ特性算出部(1g)、輝度変調用ゲイン算出部(1j)、物体検出部(1o)、LA補正強度部(1p)及びトータル制御ゲイン算出部(1i))は、ROM(6k)に格納されるソフトウェアによって実装され、トータル制御ゲイン算出部(不図示)によって算出されたトータル制御ゲインは、バスを介して輝度変調部(6e)に設定される。
【0038】
図1に示すバックライト制御ゲイン算出部(1k)とゲイン変換部(1l)も同様に、ROM(6k)に格納されるソフトウェアによって実装され、ゲイン変換部によって算出されたバックライト制御ゲインは、バックライト制御インターフェース(I/F)ユニット(6g)を介してバックライト制御信号として出力される。
【0039】
図6に示される構成は一例に過ぎず、種々変更可能である。例えば、映像処理ユニット(6d)に含まれるハードウェアの一部をソフトウェアで実装されるように変更してもよいし、逆に他の機能をハードウェアで実装して映像表示ユニットに含まれるように変更してもよい。CPU(6j)は単一の如何なるアーキテクチャのプロセッサでも良く、複数のプロセッサを含むマルチプロセッサユニットであってもよい。また、CPU(6j)またはこれに代わるプロセッサ、マルチプロセッサは、キャッシュメモリやローカルメモリを備えていてもよい。また、バスは階層化されていてもよい。ROM(6k)はフラッシュメモリなどの電気的に書き換え可能な不揮発性メモリであってもよく、或いは、不揮発性メモリを搭載しないSoCによって構成し、パワーアップシーケンス等においてソフトウェアをロードしてもよい。
【0040】
(第一の実施形態の効果)
GAの特徴量をもとにLA毎に補正強度マップを作成して補正強度を決定し、決定した各LAの補正強度に応じて、ピークACL制御ゲイン算出部及び輝度変調用ゲイン算出部から得られた複数の変調ゲイン値(ガンマ補正カーブ)を乗じ、トータルゲイン値(ガンマ補正カーブ)を算出する。これにより得られたトータルゲイン値を入力画像に適用することで、高画質で視認性のよい画像が生成できる。
【0041】
(第二の実施形態)
第二の実施形態に係る画像処理装置は第一の実施形態の画像処理装置を自動車等の車両に搭載して運用することを想定し、改良したものである。第二の実施形態における画像処理装置は、電子ミラー、リアビュー、サラウンドビュー等のカメラ映像の表示をドライバーの運転補助の目的で使用する車載カメラシステムに搭載される。第二の実施形態に係る画像処理装置(7a)は、図7に示す通り、走行情報を基に、運転シーンを判別する運転シーン判別部(7q)がある点が第一の実施形態と異なる。図7の符号7x(x=a,b,c,・・・,p)のそれぞれは図1の符号1x(x=a,b,c,・・・,p)に対応する。
【0042】
運転シーン判別部(7q)は、ECU(Electronic Control Unit)を介して得られた車速やステアリング制御の情報(走行情報)から運転シーンを判別する。運転シーン判別部(7q)では、画像処理装置(7a)が搭載された車両が高速で走っているのかまたは、低速で走っているのか、車両前方の右側に向かっているのかまたは左側に向かっているのかなどを判別する。そして、その判別結果である運転情報をLA補正強度部(7p)に供給し、LA補正強度部(7p)は運転情報を考慮したLAごとの補正強度(第三の補正強度)を設定するため、第3LA補正強度マップを作成する。運転情報は車両の車速、車両の進行方向の何れか一つ、または組み合わせた情報である。
【0043】
例えば、車が高速で走行していることを判別した場合、遠方から近づくオブジェクトの視認が重要となるため、LA補正強度部(7p)は、図8(A)に示す画像の上部が他の部分よりも重要になるように、図8(B)に示すような重要度を設定したLA補正強度マップを作成する。また、車が中速で走行していることを判別した場合、中央のオブジェクトの視認が重要となるため、LA補正強度部(7p)は、図9(A)に示す画像の中央が他の部分よりも重要になるように、図9(B)に示すような重要度を設定したLA補正強度マップを作成する。また、駐停車中の場合は低速走行かつ車両周辺の情報が重要となるため、LA補正強度部(7p)は、図10(A)に示す画像の下部が他の部分よりも重要になるように、図10(B)に示すような重要度を設定したLA補正強度マップを作成する。
【0044】
さらに、ステアリング制御に連動させ、進行方向にあわせて重要領域を設定することで運転シーンにあわせた補正強度の制御をしてもよい。左折時は、LA補正強度部(7p)は、図11(A)に示す画像の左側が他の部分よりも重要になるように、図11(B)に示すような重要度を設定したLA補正強度マップを作成する。また、右折時は、LA補正強度部(7p)は、図12(A)に示す画像の左側が他の部分よりも重要になるように、図12(B)に示すような重要度を設定したLA補正強度マップを作成する。最後に、第3LA補正強度マップと第一の実施形態に係る第1LA補正強度マップ及び第2LA補正強度マップとを加算することで、トータル制御ゲイン算出部(7i)に供給する補正強度マップを決定する。
【0045】
図13は、第二の実施形態における補正強度マップ作成処理をフローにしたものである。輝度分布状態の解析結果を取得し(ステップS1301)、白飛びや黒潰れを防ぐための補正に必要な第1LA補正強度マップを作成する(ステップS1302)。次に、物体検出部(7o)により物体検出結果を取得し(ステップS1303)、注目すべき物体が存在するかどうかを判定し(ステップS1304)、注目すべき物体が存在する場合は物体位置情報に基づく第2LA補正強度マップを作成する(ステップS1305)。運転シーン判別部(7q)により運転シーン判別結果を取得し(ステップS1306)、運転シーンに基づく第3LA補正強度マップを作成する(ステップS1307)。次に、第1LA補正強度マップ、第2LA補正強度マップ及び第3LA補正強度マップを合成し、補正に使用する補正強度マップを作成する(ステップS1308)。ステップS1304において注目すべき物体が存在しない場合には、ステップS1306及びステップS1307の処理を行い、ステップS1308において第1LA補正強度マップと第3補正強度マップを合成し、補正に使用する補正強度マップを作成する。なお、ここで示した処理順はこれに限ったものではなく、第1LA補正強度マップの前に、第3LA補正強度マップを作成してもよい。
【0046】
図14は、第二の実施形態の画像処理装置のSoCでの構成例を示すブロック図である。第一の実施形態との違いとしては、ECU(14o)が、例えばI2C等の通信インターフェース(I/F)ユニット(14h)に接続されている点である。運転シーン判別部(不図示)は、CPUからバスを介してアクセス可能である。運転シーン判別部は、ROM(14k)に格納されるソフトウェアによって実装されている。これは、図6に示される構成のように、一例に過ぎず、種々変更可能である。図14の符号14x(x=a,b,c,・・・,n)のそれぞれは図6の符号6x(x=a,b,c,・・・,n)に対応する。
【0047】
(第二の実施形態の効果)
車載カメラ以外の車載システムの情報としての走行情報を基に、運転シーンを判別する運転シーン判別部が追加したことで、物体検出部だけでは検出できない未知のオブジェクトが存在する場合でも、LAごとの補正の重み付けを変更することで、運転シーンにあわせた最適な輝度値の補正が可能になり、高画質で視認性のよい画像が生成できる。
【0048】
(変形例)
物体検出部のオブジェクト位置座標情報をもとに、LAのグループ化を実施し、グループ化された領域ごとにガンマ補正カーブの算出を実施する。これにより、処理量を削減しつつグループ化によるオブジェクトに特化した補正が可能になる。
【0049】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0050】
第二の実施形態では車載カメラシステムにおける画像処理装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、映像信号処理全般(例えば、NAVI(Navigation)、カーエンターテイメント等のカー製品、DTV(Digital Television)、PC(Personal Computer)、モニタ等のホーム製品、タブレット、スマートフォン等のモバイル製品)に適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1a、6a、7a、14a、15a 画像処理装置
1b、6f、7b、14f、15b ヒストグラム検出部
1c、7c、15c ピーク値検出部
1d、7d、15d ピークACL制御ゲイン算出部
1e、6f、7e、15e ヒストグラム変調部
1f、7f、15f 輝度分布率算出部
1g、7g、15g 絵柄適応ガンマ特性算出部
1h、6e、7h、14e、15h 輝度変調部
1i、7i、15i トータル制御ゲイン算出部
1j、7j、15j 輝度変調用ゲイン算出部
1k、7k、15k バックライト制御ゲイン算出部
1l、7l、15l ゲイン変換部
1m、6m、7m、14m、15m 液晶パネル
1n、6n、7n、14n、15n バックライト制御部
1o、7o 物体検出部
1p、7p LA補正強度部
7q 運転シーン判別部
6b、14b 映像機器
6c、14c 外光センサ
6d、14d 映像処理ユニット
6g、14g バックライト制御インターフェース(I/F)ユニット
6h、14h 通信インターフェース(I/F)ユニット
6i、14i RAM
6j、14j CPU
6k、14k ROM
6l、14l 周辺ユニット
14o ECU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15