(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】上部構造物の支持構造
(51)【国際特許分類】
E02D 27/34 20060101AFI20230804BHJP
E02D 27/12 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
E02D27/34 B
E02D27/12 Z
(21)【出願番号】P 2020045386
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】田 啓祥
(72)【発明者】
【氏名】馮 徳民
(72)【発明者】
【氏名】中川 太郎
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-121752(JP,A)
【文献】特開2002-122171(JP,A)
【文献】特開平05-248119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/34
E02D 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭頭に上方に開放された空間部を有する杭を介して上部構造物を支持する上部構造物の支持構造であって、
前記上部構造物と前記杭頭とにわたって抵抗機構が設けられ、
前記抵抗機構は、
前記上部構造物の下面から下方に突設され前記空間部に挿入されるロッドと、
前記ロッドに取着されその内部の流体室への流体の給排により膨張縮小可能で膨張することで前記空間部を構成する前記杭頭の内周面に圧接する摩擦部材と、
前記流体室への前記流体の充填および前記流体室からの前記流体の排出を行なう流体給排部と、
地震を検知する地震検知部と、
前記地震検知部による地震の検知に基づいて前記流体給排部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする上部構造物の支持構造。
【請求項2】
前記摩擦部材は、前記ロッドの延在方向に沿った厚さを有し、
前記摩擦部材の中心には前記流体室と区画された中心孔が前記摩擦部材の厚さ方向に貫通して設けられ、
前記ロッドは前記摩擦部材の厚さ方向の全長にわたって前記中心孔に挿通され前記中心孔に取着されている、
ことを特徴とする請求項1記載の上部構造物の支持構造。
【請求項3】
前記摩擦部材は、その内部を前記流体室とした円筒状を呈し、
前記ロッドの下端は前記摩擦部材の上部に取着されている、
ことを特徴とする請求項1記載の上部構造物の支持構造。
【請求項4】
前記地震検知部は、地震の初期微動であるP波を検出するP波検出器を備え、
前記制御部による前記流体給排部の制御は、前記P波検出器で検出された前記P波の加速度が予め定められた充填開始しきい値を上回ったならば、前記流体給排部による前記流体室への前記流体の充填を行なうことでなされる、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の上部構造物の支持構造。
【請求項5】
前記制御部による前記流体給排部の制御は、前記P波検出器によって検出される前記P波の加速度が大きいほど、前記流体給排部によって前記流体室へ充填される前記流体の量を増加させるようになされる、
ことを特徴とする請求項4記載の上部構造物の支持構造。
【請求項6】
前記地震検知部は、前記P波に遅れて到達する地震の主要動であるS波を検出するS波検出器をさらに備え、
前記制御部による前記流体給排部の制御は、前記流体室への前記流体の充填後、前記S波検出器によって検出される前記S波の加速度が予め定められた充填解除しきい値を下回った状態が予め定められた解除判定時間以上継続したならば、前記流体給排部による前記流体の前記流体室への充填を停止し前記流体室から前記流体の排出を行なうようになされる、
ことを特徴とする請求項4または5記載の上部構造物の支持構造。
【請求項7】
前記上部構造物と前記杭頭との間に、前記杭頭に対して前記上部構造物の上方への変位を許容しつつ前記上部構造物の水平方向の位置決めを行なう位置決め部が設けられ、
前記抵抗機構は、前記位置決め部の内側に設けられている、
ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載の上部構造物の支持構造。
【請求項8】
前記位置決め部は、前記上部構造物の下面に取着され、その下部が前記空間部にはめ込まれ前記上部構造物の下面から下方に離れるにつれて断面積が次第に小さくなる中空状の杭頭キャップを含んで構成され、
前記抵抗機構は、前記杭頭キャップの内側を通って設けられている、
ことを特徴とする請求項7記載の上部構造物の支持構造。
【請求項9】
前記上部構造物と前記杭頭との間に、前記杭頭に対して前記上部構造物の上方への変位を許容しつつ前記上部構造物の水平方向の位置決めを行なう位置決め部が設けられ、
前記抵抗機構は、前記位置決め部と前記空間部とにわたって設けられている、
ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載の上部構造物の支持構造。
【請求項10】
前記位置決め部は、前記上部構造物の下面に取着されその下部が前記空間部にはめ込まれ前記上部構造物の下面から下方に離れるにつれて断面積が次第に小さくなる中実状の杭頭キャップを含んで構成され、
前記抵抗機構は、前記杭頭キャップの下面と前記空間部とにわたって設けられている、
ことを特徴とする請求項9記載の上部構造物の支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部構造物の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤に打設された杭によって建物(上部構造物)を支持する構造として、上端に上方に開放された空間部を有する杭と、建物の下面に取着されその下部が空間部にはめ込まれる截頭円錐形の杭頭キャップとを備え、杭頭キャップの下部に抜け止め部材を垂下させたものが提案されている(特許文献1参照)。
上記構造では、地震発生時に建物および杭頭キャップが杭に対して傾動することで建物に作用するモーメントが低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、地震により水平方向の力が建物に作用して建物が浮き上がるロッキングと呼ばれる現象が生じた場合、建物の浮き上がり量が過大となり建物が損傷することが懸念され、また、建物の浮き上がり後の降下により、杭頭キャップが杭の上部に勢いよくぶつかることで発生した衝撃力が建物に加わり建物が損傷することが懸念される。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、地震時の上部構造物の過大な浮き上がりを抑制し、かつ、浮き上がった上部構造物が降下する際の衝撃を緩和する上で有利な上部構造物の支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、杭頭に上方に開放された空間部を有する杭を介して上部構造物を支持する上部構造物の支持構造であって、前記上部構造物と前記杭頭とにわたって抵抗機構が設けられ、前記抵抗機構は、前記上部構造物の下面から下方に突設され前記空間部に挿入されるロッドと、前記ロッドに取着されその内部の流体室への流体の給排により膨張縮小可能で膨張することで前記空間部を構成する前記杭頭の内周面に圧接する摩擦部材と、前記流体室への前記流体の充填および前記流体室からの前記流体の排出を行なう流体給排部と、地震を検知する地震検知部と、前記地震検知部による地震の検知に基づいて前記流体給排部を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、前記摩擦部材は、前記ロッドの延在方向に沿った厚さを有し、前記摩擦部材の中心には前記流体室と区画された中心孔が前記摩擦部材の厚さ方向に貫通して設けられ、前記ロッドは前記摩擦部材の厚さ方向の全長にわたって前記中心孔に挿通され前記中心孔に取着されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記摩擦部材は、その内部を前記流体室とした円筒状を呈し、前記ロッドの下端は前記摩擦部材の上部に取着されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記地震検知部は、地震の初期微動であるP波を検出するP波検出器を備え、前記制御部による前記流体給排部の制御は、前記P波検出器で検出された前記P波の加速度が予め定められた充填開始しきい値を上回ったならば、前記流体給排部による前記流体室への前記流体の充填を行なうことでなされることを特徴とする。
また、本発明は、前記制御部による前記流体給排部の制御は、前記P波検出器によって検出される前記P波の加速度が大きいほど、前記流体給排部によって前記流体室へ充填される前記流体の量を増加させるようになされることを特徴とする。
また、本発明は、前記P波に遅れて到達する地震の主要動であるS波を検出するS波検出器をさらに備え、
前記制御部による前記流体給排部の制御は、前記流体室への前記流体の充填後、前記S波検出器によって検出される前記S波の加速度が予め定められた充填解除しきい値を下回った状態が予め定められた解除判定時間以上継続したならば、前記流体給排部による前記流体の前記流体室への充填を停止し前記流体室から前記流体の排出を行なうようになされることを特徴とする。
また、本発明は、前記上部構造物と前記杭頭との間に、前記杭頭に対して前記上部構造物の上方への変位を許容しつつ前記上部構造物の水平方向の位置決めを行なう位置決め部が設けられ、前記抵抗機構は、前記位置決め部の内側に設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記位置決め部は、前記上部構造物の下面に取着され、その下部が前記空間部にはめ込まれ前記上部構造物の下面から下方に離れるにつれて断面積が次第に小さくなる中空状の杭頭キャップを含んで構成され、前記抵抗機構は、前記杭頭キャップの内側を通って設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記上部構造物と前記杭頭との間に、前記杭頭に対して前記上部構造物の上方への変位を許容しつつ前記上部構造物の水平方向の位置決めを行なう位置決め部が設けられ、前記抵抗機構は、前記位置決め部と前記空間部とにわたって設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記位置決め部は、前記上部構造物の下面に取着されその下部が前記空間部にはめ込まれ前記上部構造物の下面から下方に離れるにつれて断面積が次第に小さくなる中実状の杭頭キャップを含んで構成され、前記抵抗機構は、前記杭頭キャップの下面と前記空間部とにわたって設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、地震が発生すると、地震検知部が地震を検知し地震動が上部構造物の直下の地盤に到達する前に流体給排部により流体室に流体を充填し、摩擦部材を膨張させる。
やがて地震動が上部構造物の直下の地盤に到達すると、上部構造物に大きな水平力が作用し、そのモーメントにより上部構造物が傾動し、上部構造物の一側が浮き上がる方向に変位しようとする。
この場合、膨張した摩擦部材と杭の内周面との間に摩擦抵抗が生じ、上部構造物の上方への変位に対しての抵抗を生じる。
したがって、上部構造物の浮き上がりを許容しつつ抵抗を生じ、上部構造物の過大な浮き上がりを抑制し、上部構造物の損傷を抑制する上で有利となる。
また、上部構造物の浮き上がり後の降下時には、膨張した摩擦部材による摩擦抵抗が生じ、上部構造物の下方への変位に対しての抵抗を生じる。
したがって、上部構造物の浮き上がり後の降下時に降下に対して降下を許容しつつ抵抗を生じ、上部構造物の衝撃を抑制する上で有利となり、上部構造物の損傷を抑制する上で有利となる。
また、摩擦部材の中心孔にロッドを取着すると、摩擦部材の保守、点検、交換などを簡単に行なう上で有利となる。
また、摩擦部材が、その内部を流体室とした円筒状を呈し、ロッドの下端を摩擦部材の上部に取着すると、摩擦部材に中心孔を設ける必要がないことから、摩擦部材の構成を簡素化でき、摩擦部材のコストダウンを図る上で有利となる。
また、P波検出器で検出された地震の初期微動であるP波の加速度が予め定められた充填開始しきい値を上回ったならば、流体給排部による流体室への流体の充填を行なうようにすると、上部構造物の直下の地盤に地震の主要動であるS波が到達する前に摩擦部材を膨張させるので、上部構造物の損傷を抑制する上でより有利となる。
また、P波の加速度が大きくなるほど、流体室に充填する流体の量を増加させると、P波の加速度が小さく地震によって生じる上部構造物の上方への僅かな変位に対しては、摩擦部材による摩擦抵抗が抑制されるため、上部構造物の浮き上がりを許容しつつ低めの摩擦抵抗を生じ、上部構造物の損傷を抑制する上で有利となる。また、P波の加速度が大きく、地震によって生じる上部構造物の上方への大きな変位に対しては、摩擦部材による摩擦抵抗が大きくなるため、上部構造物の浮き上がりを許容しつつ高めの摩擦抵抗を生じ、上部構造物の損傷を抑制する上で有利となり、また、摩擦部材の杭頭からの抜落を阻止する上で有利となる。
また、S波検出器によって検出されるS波の加速度が予め定められた充填解除しきい値を下回った状態が予め定められた解除判定時間以上継続したならば、流体給排部による流体の流体室への充填を停止し流体室から流体の排出を行なうようにすると、地震が収束した段階で摩擦部材を収縮させるので、摩擦部材を膨張させている時間を最小限に短縮できるため、流体給排部の無駄な動作を抑制できると共に、摩擦部材の耐久性の向上を図る上で有利となる。
また、上部構造物と杭頭との間に、杭頭に対して上部構造物の上方への変位を許容しつつ上部構造物の水平方向の位置決めを行なう位置決め部を設け、抵抗機構を位置決め部の内側に設けると、地震時、上部構造物に過大な水平力が加わることで一時的に上部構造物の浮き上がりや水平方向へのずれが生じても、位置決め部により上部構造物の水平方向の位置が元の位置に戻るため、地震の収束後に上部構造物を水平に支持する上で有利となる。
また、位置決め部を、上部構造物の下面に取着され、その下部が空間部にはめ込まれ前記上部構造物の下面から下方に離れるにつれて断面積が次第に小さくなる中空状の杭頭キャップを含んで構成し、抵抗機構を、杭頭キャップの内側を通って設けると、杭頭キャップが杭頭の空間部に対しあらゆる方向に傾動可能となるため、仮に杭が傾斜していても上部構造物を水平に支持する上で有利となる。
また、上部構造物と杭頭との間に、杭頭に対して上部構造物の上方への変位を許容しつつ上部構造物の水平方向の位置決めを行なう位置決め部を設け、抵抗機構を位置決め部と空間部とにわたって設けると、地震時、上部構造物に過大な水平力が加わることで一時的に上部構造物の浮き上がりや水平方向へのずれが生じても、位置決め部により上部構造物の水平方向の位置が元の位置に戻るため、地震の収束後に上部構造物を水平に支持する上で有利となる。
また、位置決め部を、上部構造物の下面に取着されその下部が空間部にはめ込まれ前記上部構造物の下面から下方に離れるにつれて断面積が次第に小さくなる中実状の截頭の杭頭キャップを含んで構成し、抵抗機構を、杭頭キャップの下面と空間部とにわたって設けると、杭頭キャップが杭頭の空間部に対しあらゆる方向に傾動可能となるため、仮に杭が傾斜していても上部構造物を水平に支持する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施の形態の上部構造物の支持構造の構成の一部を破断して示す説明図である。
【
図2】第1の実施の形態の上部構造物の支持構造において上部構造物の浮き上がりが発生した場合の説明図である。
【
図3】第1の実施の形態の上部構造物の支持構造の動作を示すフローチャートである。
【
図4】第2の実施の形態の上部構造物の支持構造の構成の一部を破断して示す説明図である。
【
図5】第2の実施の形態の上部構造物の支持構造において上部構造物の浮き上がりが発生した場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、本実施の形態の上部構造物の支持構造10Aは、上部構造物12を支持するものであり、杭18と、抵抗機構20Aとを備えている。
上部構造物12は、体育館、倉庫、鉄塔などの構造物であり、水平方向に延在する基礎梁14と、基礎梁14から立設された複数の柱16とを含んで構成されている。
基礎梁14として、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨造(S造)のもの、あるいは、木製の基礎梁など従来公知の様々なものが使用可能である。
【0009】
杭18は、杭本体22と、空間部24とを含んで構成されている。なお、杭18として、RC杭などのコンクリート杭、鋼管杭、あるいは、木製杭など従来公知の様々な杭が使用可能であり、本実施の形態では、鋼管杭である。
杭本体22は地盤Gに打設され、杭頭2202の上面は地盤G上に露出されている。
空間部24は、杭頭2202に上方に開放状に形成されている。
本実施の形態では、杭本体22は鋼管杭であるため、空間部24は杭本体22の内部で杭本体22の全長にわたって形成され、空間部24は杭本体22の内周面で円柱状に形成されている。なお、杭本体22がコンクリート杭である場合には、空間部24を杭頭2202に予め形成しておく。
また、図中符号25は、杭本体22の上部の外周面の全周に沿って設けられた補強用のリングであり、リング25は溶接によって杭本体22に接合されている。
【0010】
更に本実施の形態では、位置決め部26が設けられている。
位置決め部26は、上部構造物12と杭頭2202との間に設けられ、杭頭2202に対して上部構造物12の上方への変位を許容しつつ上部構造物12の水平方向の位置決めを行なうものである。
本実施の形態では、位置決め部26は杭頭キャップ28と杭頭2202を含んで構成されている。
杭頭キャップ28は、鋼製であり、キャップ本体2802と、蓋板部2804とを備えている。
キャップ本体2802は、上部構造物基礎梁14の下面1402から下方に離れるにつれて断面積が次第に小さくなる中空状を呈し、本実施の形態では、截頭円錐形の中空の枠状を呈し、キャップ本体2802の下部は空間部24にはめ込まれ、言い換えると杭頭2202の上端にはめ込まれている。
蓋板部2804は、キャップ本体2802の上縁よりも大きな輪郭を有する正方形の鋼板で構成され、蓋板部2804の中心には、後述するロッド30Aのフランジ3002を収容する孔部2805が形成されている。
蓋板部2804は、キャップ本体2802の軸心と蓋板部2804の中心とを合致させた状態でキャップ本体2802の上縁と蓋板部2804の下面とが溶接で接合されている。
蓋板部2804は、基礎梁14の下面1402にボルトB1とナットN1を介して締結されている。
キャップ本体2802の下部が空間部24にはめ込まれた状態でキャップ本体2802の下部は杭頭2202の内周面2204の上縁2206に摩擦接触している。
なお、本明細書において、截頭円錐形は部分球形状、球面形状などの形状を広く含む。
本発明において杭頭キャップ28は省略可能であるが、杭頭キャップ28を用いることにより以下の効果が奏される。
1)杭頭2202の空間部24にキャップ本体2802をはめ込むことで、キャップ本体2802が杭頭2202の空間部24に対しあらゆる方向に傾動可能となるため、杭頭2202の損傷が避けられる。
2)地震時、上部構造物12に過大な水平力が加わることで一時的に上部構造物12の浮き上がりや水平方向へのずれが生じても、キャップ本体2802が杭頭2202の空間部24にはめ込まれることで上部構造物12の水平方向の位置が元の位置に戻るため、地震の収束後に基礎梁14を水平に支持する上で有利となる。
なお、位置決め部26は杭頭キャップ28に限定されず、従来公知の様々な構造が適用可能であるが、杭頭キャップ28を用いると上述の効果を奏する点で有利となる。
また、本実施の形態では、杭18が断面形状が円形の鋼管杭で構成されている場合について説明したが、杭は断面矩形であってもよく、その場合、杭頭キャップは、基礎梁14の下面1202から下方に離れるにつれて断面積が次第に小さくなる中空状、あるいは、中実状を呈していればよく、具体的には截頭角錐形となる。
【0011】
抵抗機構20Aは、上部構造物12と杭18の空間部24とにわたって設けられている。
抵抗機構20Aは、上部構造物12の浮き上がりに対して浮き上がりを許容しつつ抵抗を生じ、かつ、上部構造物12の浮き上がり後の降下時に降下に対して降下を許容しつつ抵抗を生じるものである。
抵抗機構20Aは、ロッド30Aと、摩擦部材32Aと、流体給排部34と、地震検知部36と、制御部38とを含んで構成されている。
ロッド30Aは、上部構造物12の基礎梁14の下面1402から杭頭キャップ28の内側を通り杭頭キャップ28の下方に突設され、空間部24に挿入されている。
ロッド30Aは、その上端フランジ3002が基礎梁14の下面1402にボルトB2、ナットN2を介して締結されることで配設されている。
したがって、抵抗機構20Aは、杭頭キャップ28の内側を通って設けられ、言い換えると、抵抗機構20Aは、位置決め部26の内側に設けられている。
なお、杭頭キャップ28が中実の截頭円錐形を呈している場合には、杭頭キャップ28の下面は、上部構造物12の下面を構成するため、ロッド30Aは杭頭キャップ28の下面から突設されることになる。
その場合、抵抗機構20Aは、杭頭キャップ28の下面と空間部24とにわたって設けられ、言い換えると、抵抗機構20Aは、位置決め部26と空間部24とにわたって設けられることになる。
【0012】
摩擦部材32Aは、ロッド30Aに取着されその内部の流体室40Aへの流体の給排により膨張縮小可能で膨張することで空間部24を構成する杭頭2202の内周面2204に圧接するものである。
本実施の形態では、摩擦部材32Aは、ロッド30Aの延在方向に沿った厚さを有し、摩擦部材32Aの中心には流体室40Aと区画された中心孔3210が摩擦部材32Aの厚さ方向に貫通して設けられ、ロッド30Aは摩擦部材32Aの厚さ方向の全長にわたって中心孔3210に挿通され中心孔3210の内周面3212に取着され、したがって、摩擦部材32Aはロッド30Aと一体的に杭頭2202の空間部24内を上下に変位可能に構成されている。
本実施の形態では、摩擦部材32Aは、弾性変形可能なゴム材料で円板状に形成され、円形の上端面3202および下端面3204と、それら上端面3202および下端面3204を接続する外周面3206とを備えている。
流体室40Aは、摩擦部材32Aの中心部の周囲全周にわたって形成されており、断面が矩形状の環状を呈している。
ロッド30Aは、流体室40Aの内周面から離れた摩擦部材32Aの中心部に貫通されている。
摩擦部材32Aは、ロッド30Aの雄ねじ3006に螺合する一対のナットN3と、一対のワッシャWを介してロッド30Aの軸方向に移動不能に取着されている。
摩擦部材32Aは縮小した状態では杭本体22の空間部24に挿入可能な外径であり、摩擦部材32Aの空間部24への配置と、空間部24からの取り外しが円滑になされるように図られている。
摩擦部材32Aは、上部構造物12が杭頭2202に対して浮き上がっていない上部構造物12の静止状態で、空間部24において、杭頭キャップ28よりも下方に離れた初期位置に位置し、上部構造物12の浮き上がりにより摩擦部材32Aは初期位置から上昇する。
【0013】
流体給排部34は、流体室40Aへの流体の給排、すなわち、流体室40Aへの流体の充填、および、流体室40Aからの流体の排出を行なうものである。
本実施の形態では、流体として空気を用いるが、流体として油や水などの液体、あるいは、炭酸ガスなどの気体を用いることができる。
なお、流体として液体を用いる場合は、流体室40Aと流路を介して連通する液体タンクを設け、この液体タンクに液体を蓄えておく必要がある。また、流体として炭酸ガスなど空気とは異なる気体を用いる場合は、流体室40Aと流路を介して連通する気体タンクを設け、この気体タンクに気体を蓄えておく必要がある。
これに対して、本実施の形態のように流体として空気を用いると、大気中の空気を用いればよいため、液体タンクや気体タンクなどの専用の部材が不要となり、構成の簡素化を図りコストダウンを図る上で有利となる。
【0014】
本実施の形態では、流体給排部34は、流路3402と、空気ポンプ(流体ポンプ)3404と、電磁弁3406とを備えている。
空気ポンプ3404は、大気中の空気を流体室40Aに接続された流路3402を介して流体室40Aに圧送するものであり、制御部38によって運転の開始、停止が制御される。
このような空気ポンプ(流体ポンプ)3404として従来公知の様々な構成のポンプが使用可能である。
また、流体室40Aと空気ポンプ3404とを連通する流路3402は、流体室40Aが摩擦部材32Aとともに杭18の長手方向に沿って移動できるように、伸縮する構造となっている。
電磁弁3406は、その一端が流体室40Aに連通し、他端が大気中に開放され、制御部38によって開弁、閉弁が制御される。電磁弁3406は、摩擦部材32Aに不図示の取付具を介して支持されている。
【0015】
地震検知部36は地震を検知するものであり、本実施の形態では、地震の初期微動(P波)を検出するP波検出器3602と、P波から時間的に遅れて到達する主要動(S波)を検出するS波検出器3604とを含んで構成されている。
P波検出器3602およびS波検出器3604は、上部構造物12の直下の地盤G、言い換えると、杭18が打設された近傍の地盤Gに設置され、P波検出器3602およびS波検出器3604は、地盤Gの加速度からP波、S波の加速度を検出する。
なお、P波検出器3602およびS波検出器3604はP波、S波を検出できればよく、P波検出器3602およびS波検出器3604の設置場所は、上部構造物12の直下の地盤Gから離れた地盤の箇所であっても、上部構造物12の箇所であってもよい。
【0016】
制御部38は、地震検知部36による地震の検知に基づいて流体給排部34を制御するものである。
本実施の形態では、制御部38は、P波検出器3602で検出されたP波の加速度が、予め定められた充填開始しきい値A1を上回ったならば、直ちに空気ポンプ3404を作動させ、流体室40Aに空気を充填させることで摩擦部材32Aを膨張させ摩擦部材32Aの外周面3206を杭頭2202の内周面2204に圧接させる圧接制御を実施する。
また、本実施の形態では、制御部38による圧接制御は、充填開始しきい値A1を超えたP波の加速度が大きくなるほど、空気ポンプ3404により流体室40Aに充填する空気量を増加させ、摩擦部材32Aの膨張量を高め杭頭2202の内周面2204への圧接力を高めるようになされる。
また、制御部38は、S波検出器3604で検出されるS波の加速度が、予め定められた充填解除しきい値A2を下回った状態が予め定められた解除判定時間Tr以上継続したならば、空気ポンプ3404を停止させて空気の流体室40Aへの充填を停止すると共に、電磁弁3406を開弁して流体室40Aから空気を排出させ、摩擦部材32Aを収縮させ摩擦部材32Aの外周面3206の杭頭2202の内周面2204への圧接を解除し電磁弁3406を閉弁する圧接解除制御を実施する。
【0017】
次に本実施の形態の上部構造物の支持構造10Aの動作について
図3のフローチャートを参照して説明する。
予め電磁弁3406は閉弁されているものとする。
制御部38は、P波検出器3602でP波を検出したか否かを判定する(ステップS10)。
ステップS10が否定ならばステップS10を繰り返す。
ステップS10が肯定ならば、制御部38は、P波検出器3602で検出されたP波の加速度Apが予め定められた充填開始しきい値A1を上回ったか否かを判定する(ステップS12)。
ステップS12が肯定ならば、制御部38は圧接制御を実施する(ステップS14)。すなわち、制御部38は、直ちに空気ポンプ3404を作動させ、
図2に示すように、流体室40Aに空気を充填させることで摩擦部材32Aを膨張させ摩擦部材32Aの外周面3206を杭頭2202の内周面2204に圧接させる。これにより、摩擦部材32Aと杭頭2202の内周面2204との摩擦抵抗が発生する。さらに、制御部38は、充填開始しきい値A1を超えたP波の加速度Apが大きくなるほど、空気ポンプ3404により流体室40Aに充填する空気量を増加させ、摩擦部材32Aの膨張量を高め杭頭2202の内周面2204への圧接力を高める。
また、制御部38は、S波検出器3604がP波から時間的に遅れて到達するS波を検出したか否かを判定する(ステップS16)。
ステップS16が否定ならばステップS16に戻る。
ステップS16が肯定ならば、制御部38は、S波検出器3604で検出されたS波の加速度Asが予め定められた充填解除しきい値A2を下回ったか否かを判定する(ステップS18)。
ステップS18が否定ならばステップS18に戻る。
ステップS18が肯定ならば、制御部38は、S波の加速度Asが充填解除しきい値A2を下回った状態が解除判定時間Tr以上継続したか否かを判定する(ステップS20)。
ステップS20が否定ならばステップS18に戻る。
ステップS20が肯定ならば、制御部38は、圧接解除制御を実施する(ステップS22)。すなわち、制御部38は、空気ポンプ3404の停止させると共に、電磁弁3406を開弁して流体室40Aから空気を排出させ、摩擦部材32Aを収縮させ摩擦部材32Aの外周面3206の杭頭2202の内周面2204への圧接を解除し電磁弁3406を閉弁する。
これにより、摩擦部材32Aが縮小し摩擦部材32Aの外周面3206の杭頭2202の内周面2204への圧接が解除され、摩擦部材32Aと内周面2204との摩擦抵抗が予め設定された値に低下する。
以上で地震の発生から収束に至るまでの一連の制御が終了する。
【0018】
本実施の形態によれば、地震が発生した場合、地震検知部36により地震が検出されると、流体室40Aに空気を充填させることで摩擦部材32Aを膨張させ、摩擦部材32Aの外周面3206を杭頭2202の内周面2204に圧接させる圧接制御を実施する。
そして、地震動が上部構造物12の直下の地盤Gに到達すると、上部構造物12に大きな水平力が作用し、そのモーメントにより上部構造物12が傾動し、上部構造物12の一側が浮き上がる方向に変位しようとする。
この場合、膨張した摩擦部材32Aの外周面3206と杭18の内周面2204との間に摩擦抵抗が生じ、上部構造物12の上方への変位に対しての抵抗を生じる。
したがって、上部構造物12の浮き上がりを許容しつつ抵抗を生じ、上部構造物12の損傷を抑制する上で有利となり、上部構造物12に所在する人の不快感を軽減させる上で有利となる。
また、上部構造物12の浮き上がり後の降下時には、膨張した摩擦部材32Aの外周面3206と杭18の内周面2204との間に摩擦抵抗が生じ、上部構造物12の下方への変位に対しての抵抗を生じる。
したがって、上部構造物12の浮き上がり後の降下時に降下に対して降下を許容しつつ抵抗を生じ、上部構造物12の衝撃を抑制する上で有利となる。
そのため、上部構造物12の損傷を抑制する上で有利となり、上部構造物12に所在する人の不快感を軽減させる上で有利となる。
【0019】
また、本実施の形態では、摩擦部材32Aの中心孔3210にロッド30Aが取着されるので、摩擦部材32Aをロッド30Aから取り外すことができ、摩擦部材32Aの保守、点検、交換などを簡単に行なう上で有利となる。
【0020】
また、本実施の形態では、P波検出器3602で検出された地震の初期微動であるP波の加速度Apが予め定められた充填開始しきい値A1を上回ったならば、流体給排部34による流体室40Aへの空気の充填を行なうようにした。
したがって、上部構造物12の直下の地盤Gに地震の主要動(S波)が到達する前に、摩擦部材32Aを膨張させ摩擦部材32Aの外周面3206を杭頭2202の内周面2204に圧接させる圧接制御を実施するので、上部構造物12の損傷を抑制する上でより有利となり、上部構造物12に所在する人の不快感を軽減させる上でより有利となる。
【0021】
また、本実施の形態では、制御部38は、充填開始しきい値A1を超えたP波の加速度Apが大きくなるほど、空気ポンプ3404により流体室40Aに充填する空気量を増加させ、摩擦部材32Aの膨張量を高め杭頭2202の内周面2204への圧接力を高めるようにした。
したがって、P波の加速度Apが小さく、したがって、比較的弱い地震によって生じる上部構造物12の上方への僅かな変位に対しては、摩擦部材32Aの内周面2204への圧接力が低めとなり摩擦部材32Aと内周面2204との摩擦抵抗が抑制されるので、上部構造物12の浮き上がりを許容しつつ低めの摩擦抵抗を生じ、上部構造物12の損傷を抑制する上で有利となり、上部構造物12に所在する人の不快感を軽減させる上で有利となる。
また、比較的弱い地震時には、上部構造物12の浮き上がり後の降下時には、低めの摩擦抵抗が生じ、上部構造物12の下方へ僅かな変位に対しての低めの抵抗を生じることから、上部構造物12の浮き上がり後の降下時に降下に対して降下を許容しつつ低めの抵抗を生じ、上部構造物12の衝撃を抑制する上で有利となり、上部構造物12に所在する人の不快感を軽減させる上で有利となる。
【0022】
また、P波の加速度Apが大きく、したがって、比較的強い地震によって生じる上部構造物12の上方への大きな変位に対しては、摩擦部材32Aの内周面2204への圧接力が高めとなり摩擦部材32Aと内周面2204との摩擦抵抗が大きくなるので、上部構造物12の浮き上がりを許容しつつ高めの摩擦抵抗を生じ、上部構造物12の損傷を抑制する上で有利となり、上部構造物12に所在する人の不快感を軽減させる上で有利となり、また、摩擦部材32Aの杭頭2202からの抜落を阻止する上で有利となる。
また、比較的強い地震時には、上部構造物12の浮き上がり後の降下時には、高めの摩擦抵抗が生じ、上部構造物12の下方への大きな変位に対して高めの抵抗を生じることから、上部構造物12の浮き上がり後の降下時に降下に対して降下を許容しつつ高めの抵抗を生じ、上部構造物12の衝撃を抑制する上で有利となり、上部構造物12に所在する人の不快感を軽減させる上で有利となる。
【0023】
なお、本実施の形態では、P波の加速度Apが大きいほど摩擦部材32Aの杭頭2202の内周面2204への圧接力を高めるようにした場合について説明したが、P波の加速度Apがしきい値を超えたならば、摩擦部材32Aの杭頭2202の内周面2204への圧接力を一定の値とするようにしてもよい。
しかしながら、本実施の形態のようにすると、P波の加速度Apの大きさから予測される地震の大きさに応じて摩擦部材32Aと内周面2204との摩擦抵抗を調整することで上部構造物12の損傷をより確実に抑制する上で有利となり、また、上部構造物12に所在する人の不快感を軽減させる上でより有利となる。
【0024】
また、本実施の形態では、制御部38は、流体室40Aへの空気の充填後、S波検出器3604によって検出されるS波の加速度Asが予め定められた充填解除しきい値A2を下回った状態が予め定められた解除判定時間Tr以上継続したならば、流体給排部34による空気の流体室40Aへの充填を停止し流体室40Aから空気の排出を行ない、摩擦部材32Aを収縮させ摩擦部材32Aの外周面3206の杭頭2202の内周面2204への圧接を解除する圧接解除制御を実施するようにした。
したがって、地震が収束した段階で摩擦部材32Aを収縮させるので、摩擦部材32Aを膨張させている時間を最小限に短縮できるため、流体給排部34の無駄な動作を抑制できると共に、摩擦部材32Aの耐久性の向上を図る上で有利となる。
【0025】
(第2の実施の形態)
次に
図4,
図5を参照して第2の実施の形態の上部構造物の支持構造10Bについて説明する。
なお、第1の実施の形態と同様の部分、部材については同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について重点的に説明する。
第2の実施の形態は、抵抗機構20Bを構成するロッド30B、摩擦部材32B、流体室40Bの構成が第1の実施の形態と異なっている。
図4に示すように、摩擦部材32Bは、その内部を流体室40Bとした円筒状を呈しており、弾性変形可能なゴム材料で形成され、円形の上端面3202および下端面3204と、それら上端面3202および下端面3204を接続する外周面3206を備えている。
ロッド30Bの下端に円板状の下端フランジ3010が設けられ、この下端フランジ3010の下面3012が摩擦部材32Bの上端面3202に接着によりあるいはボルト、ナットなどにより取着されている。
図4、
図5に示すように、第1の実施の形態と同様に、摩擦部材32Bは、その内部の流体室40Bへの流体の給排により膨張縮小可能で膨張することで空間部24を構成する杭頭2202の内周面2204に圧接する。
【0026】
このような第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、地震検知部36により地震が検出されると、流体室40Bに空気を充填させることで摩擦部材32Bを膨張させ、摩擦部材32Bを杭頭2202の内周面2204に圧接させる圧接制御を実施し、また、地震収束後に、空気の流体室40Bへの充填を停止し流体室40Bから空気の排出を行ない、摩擦部材32Bを収縮させ摩擦部材32Bの杭頭2202の内周面2204への圧接を解除する圧接解除制御を実施する。
【0027】
第2の実施の形態では、ロッド30B、摩擦部材32B、流体室40Bの構成が第1の実施の形態と異なるものの、圧接制御および圧接解除制御は、
図3のフローチャートで示した場合と同様に実施され、第1の実施の形態と同様の作用効果が奏される。
また、第2の実施の形態では、摩擦部材32Bは、その内部を流体室40Bとした円筒状を呈し、ロッド30Bの下端を摩擦部材32Bの上端面3202に取着するようにしたので、摩擦部材32Bに中心孔を設ける必要がないことから、摩擦部材32Bの構成を簡素化でき、摩擦部材32Bのコストダウンを図る上で有利となる。
【0028】
なお、実施の形態では、P波検出器3602およびS波検出器3604がP波、S波の加速度Ap、Asを検出する場合について説明したが、加速度に代えてP波、S波の振幅あるいは速度などのパラメータを検出するようにしてもよく、その場合、充填開始しきい値、充填解除しきい値はそれぞれ振幅値あるいは速度値などの数値となる。
【符号の説明】
【0029】
10A、10B 上部構造物の支持構造
12 上部構造物
14 基礎梁
1402 下面
16 柱
18 杭
20A、20B 抵抗機構
22 杭本体
2202 杭頭
2204 内周面
2206 上縁
24 空間部
26 位置決め部
28 杭頭キャップ
2802 キャップ本体
2804 蓋板部
30A、30B ロッド
3010 下端フランジ
3012 下面
32A、32B 摩擦部材
3202 上端面
3204 下端面
3206 外周面
34 流体給排部
3402 流路
3404 空気ポンプ
3406 電磁弁
36 地震検知部
3602 P波検出器
3604 S波検出器
38 制御部
40A、40B 流体室