(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】日射反射コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20230804BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20230804BHJP
B64C 1/00 20060101ALI20230804BHJP
C09B 3/14 20060101ALI20230804BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20230804BHJP
C09B 67/22 20060101ALI20230804BHJP
C09D 5/33 20060101ALI20230804BHJP
C09D 7/41 20180101ALI20230804BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20230804BHJP
G02B 5/08 20060101ALN20230804BHJP
【FI】
C09D201/00
B32B7/023
B64C1/00 Z
C09B3/14
C09B67/20 F
C09B67/22 F
C09D5/33
C09D7/41
C09D7/61
G02B5/08 F
(21)【出願番号】P 2020523415
(86)(22)【出願日】2018-10-29
(86)【国際出願番号】 US2018057944
(87)【国際公開番号】W WO2019084534
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-08-20
(32)【優先日】2017-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502328466
【氏名又は名称】ピーアールシー-デソト インターナショナル,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マックイーン、スティーブン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】スロムスキー、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルリング、ステュアート ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ホルシング、ルアン
(72)【発明者】
【氏名】ジル、テジビーン ケイ.
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-501638(JP,A)
【文献】特開2005-000821(JP,A)
【文献】特開2014-129435(JP,A)
【文献】特表2014-531484(JP,A)
【文献】特表2014-534982(JP,A)
【文献】特表2013-509484(JP,A)
【文献】特開2012-200681(JP,A)
【文献】特開2003-041145(JP,A)
【文献】特表2013-519780(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0269975(US,A1)
【文献】特開2005-002238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 201/00
B32B 7/023
B64C 1/00
C09B 3/14
C09B 67/20
C09B 67/22
C09D 5/33
C09D 7/41
C09D 7/61
G02B 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
日射反射コーティング組成物であって、
皮膜形成性樹脂と、
前記皮膜形成性樹脂中に分散し、第1のペリレン顔料および前記第1のペリレン顔料とは異なる第2のペリレン顔料を含む、複数の近赤外線透過顔料と、
前記皮膜形成性樹脂中に分散し、前記第1のペリレン顔料および前記第2のペリレン顔料とは異なる近赤外線反射顔料と、を含み、
基材上で硬化コーティングへと形成された場合、前記硬化コーティングは、オフホワイトまたは灰色を呈し、
前記日射反射コーティング組成物は、カーボンブラックを実質的に含まず、すなわち0.02重量%以下の量で組成物中に存在し、
前記硬化コーティングが、ASTM E903-12に従って測定される場合に、少なくとも45%の全日射反射率を呈し、
前記硬化コーティングが、正反射成分込みで10°観測者により、D65光源を用いて積分球を使用して測定される場合に、
40~95の範囲のL
*値、
-2~2の範囲のa
*値、および
-6~6の範囲のb
*値のCIELAB値によって定義される前記オフホワイトまたは灰色を呈する、
コーティング組成物。
【請求項2】
前記第1のペリレン顔料が、緑の色合いのペリレン顔料を含み、前記第2のペリレン顔料が、紫の色合いのペリレン顔料を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記硬化コーティングが、
少なくとも75のL
*値、を呈する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記近赤外線反射顔料が二酸化チタンを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記二酸化チタンが、粉末形態で前記皮膜形成性樹脂中に分散している、請求項4に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記硬化コーティングが、ASTM D6762による
0.0635mm以下の乾燥膜厚で前記基材を完全に隠蔽している、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の日射反射コーティング組成物で少なくとも部分的にコーティングされた表面を含む、基材。
【請求項8】
前記基材が、航空宇宙用構成部品である、請求項7に記載の基材。
【請求項9】
前記航空宇宙用構成部品が、炭素繊維強化ポリマー複合材を含む、請求項8に記載の基材。
【請求項10】
前記日射反射コーティング組成物が、硬化したときに、前記基材上の唯一のコーティング層である、請求項7に記載の基材。
【請求項11】
前記日射反射コーティング組成物が、硬化したときに、
0.0635mm以下の乾燥膜厚を有する、請求項7に記載の基材。
【請求項12】
前記日射反射コーティング組成物の少なくとも一部の下にある下塗り層をさらに含む、請求項7に記載の基材。
【請求項13】
前記近赤外線反射顔料が二酸化チタンを含む、請求項7に記載の基材。
【請求項14】
前記二酸化チタンが、粉末形態で前記皮膜形成性樹脂中に分散している、請求項13に記載の基材。
【請求項15】
前記第1のペリレン顔料が、緑の色合いのペリレン顔料を含み、前記第2のペリレン顔料が、紫の色合いのペリレン顔料を含む、請求項7に記載の基材。
【請求項16】
軽量航空宇宙用構成部品を調製する方法であって、
請求項1に記載のコーティング組成物で航空宇宙用構成部品の表面の少なくとも一部をコーティングすることと、
前記日射反射コーティング組成物を硬化させて、日射反射層を形成することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記日射反射層が、
0.0635mm以下の乾燥膜厚を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項1に記載の日射反射コーティング組成物で少なくとも部分的にコーティングされた表面を含む、運搬手段。
【請求項19】
前記運搬手段が航空機である、請求項18に記載の運搬手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年10月27日に出願の米国特許出願第15/796,101号に対する優先権を主張し、その開示は本発明において参考としてその全体が含まれる。
【0002】
本発明は、日射反射コーティング組成物と、日射反射コーティング組成物で少なくとも部分的にコーティングされた表面を有する基材と、軽量航空宇宙用構成部品を調製する方法と、に関する。
【背景技術】
【0003】
炭素繊維強化ポリマー複合材の航空機翼など、航空宇宙用構成部品に塗布するコーティング組成物により、太陽放射の吸収から温度影響を受けやすい航空宇宙用構成部品の発熱を防ぐことが望ましい。ある種の純白色コーティング組成物により、航空宇宙用構成部品の発熱を防ぐことができる一方、それらの純白色には、構成部品表面を完全に隠蔽するために、航空宇宙用構成部品に塗布する、より膜厚のコーティング層が必要である。より膜厚のコーティング層により、構成部品の実質的な重量増加へとつながり、航空機の設計上容認できないことがある。例えば、より重い構成部品は、航空機全体の燃料効率を低下させることがある。
【0004】
加えて、航空機製造業は、多くの場合、航空宇宙用構成部品に非純白色コーティングを審美的に好む。特定の製造業は、オフホワイト(off-white)または灰色の航空宇宙用構成部品を好む。しかしながら、既存のオフホワイトまたは灰色コーティング組成物は、カーボンブラックを含むため、オフホワイトまたは灰色となり、カーボンブラックは、太陽放射を吸収し、温度影響を受けやすい航空宇宙用構成部品を受容できないレベルまで熱する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、皮膜形成性樹脂と、皮膜形成性樹脂中に分散し、第1のペリレン顔料および第1のペリレン顔料とは異なる第2のペリレン顔料を含む、複数の近赤外線透過顔料と、皮膜形成性樹脂中に分散し、第1のペリレン顔料および第2のペリレン顔料とは異なる近赤外線反射顔料と、を含む、日射反射コーティング組成物を対象とする。基材上で硬化コーティングへと形成された場合、硬化コーティングは、オフホワイトまたは灰色を呈する。日射反射コーティング組成物は、カーボンブラックを実質的に含まない。
【0006】
本発明はまた、日射反射コーティング組成物で少なくとも部分的にコーティングされた表面を有する基材を対象とする。日射反射コーティング組成物は、皮膜形成性樹脂と、皮膜形成性樹脂中に分散し、第1のペリレン顔料および第1のペリレン顔料とは異なる第2のペリレン顔料を含む、複数の近赤外線透過顔料と、皮膜形成性樹脂中に分散し、第1のペリレン顔料および第2のペリレン顔料とは異なる近赤外線反射顔料と、を含む。基材上で硬化コーティングへと形成された場合、硬化コーティングは、オフホワイトまたは灰色を呈する。日射反射コーティング組成物は、カーボンブラックを実質的に含まない。
【0007】
本発明はまた、航空宇宙用構成部品の表面の少なくとも一部を日射反射コーティング組成物でコーティングすることと、日射反射コーティング組成物を硬化させて、日射反射層を形成することと、を含む、軽量航空宇宙用構成部品を調製する方法を対象とする。日射反射コーティング組成物は、皮膜形成性樹脂と、皮膜形成性樹脂中に分散し、第1のペリレン顔料および第1のペリレン顔料とは異なる第2のペリレン顔料を含む、複数の近赤外線透過顔料と、皮膜形成性樹脂中に分散し、第1のペリレン顔料および第2のペリレン顔料とは異なる近赤外線反射顔料と、を含む。基材上で硬化コーティングへと形成された場合、硬化コーティングは、オフホワイトまたは灰色を呈する。日射反射コーティング組成物は、カーボンブラックを実質的に含まない。
【0008】
本発明はまた、日射反射コーティング組成物で少なくとも部分的にコーティングされた表面を含む運搬手段を対象とする。日射反射コーティング組成物は、皮膜形成性樹脂と、皮膜形成性樹脂中に分散し、第1のペリレン顔料および第1のペリレン顔料とは異なる第2のペリレン顔料を含む、複数の近赤外線透過顔料と、皮膜形成性樹脂中に分散し、第1のペリレン顔料および第2のペリレン顔料とは異なる近赤外線反射顔料と、を含む。基材上で硬化コーティングへと形成された場合、硬化コーティングは、オフホワイトまたは灰色を呈する。日射反射コーティング組成物は、カーボンブラックを実質的に含まない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明のために、本発明は、反対に明示的に記載された場合を除き、様々な代替的な変形および工程順序を仮定し得ることを理解すべきである。さらに、任意の操作例以外に、または他に指定がない限り、例えば、本明細書および本特許請求の範囲で使用される成分量を表す全ての数字は、「約」という用語によって全ての場合において修正されるものとして理解されるべきである。したがって、特に異議を唱えない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に説明される数値パラメータは概算であり、本発明により得られるべき所望の特性に応じて変更してもよい。最低限でも、また特許請求の範囲の均等物の原則の適用を限定しようとするものではなく、各数値パラメータは少なくとも、報告された有効数字の数を考慮して、また通常の端数処理技術を適用することによって解釈されるべきである。
【0010】
本発明の広い範囲に説明される数の範囲およびパラメータは概算であるが、具体例な例における数値は、できる限り正確に報告されている。しかしながら、任意の数値は、それらのそれぞれの試験測定で見出された標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を本来的に含む。
【0011】
また、本明細書で引用されたあらゆる数値の範囲は、その中に包含される全ての部分範囲を含むことを意図すると理解すべきである。例えば、「1~10」の範囲は、引用される最小値の1と引用される最大値の10との間(および両方を含む)、すなわち、1以上の最小値および10以下の最大値を有する全ての部分範囲を含むことを意図する。
【0012】
本出願では、別段具体的に明記されない限り、単数形の使用は、複数形を含み、複数形は、単数形を包含する。加えて、本出願では、「または」の使用は、別段具体的に明記されない限り、特定の場合に「および/または」を明示的に使用し得ても、「および/または」を意味する。さらに、本出願では、「a」または「an」の使用は、別段具体的に明記されない限り、「少なくとも1つ(at least one)」を意味する。例えば、「an」航空宇宙用構成部品(an aerospace component)、「a」顔料(a pigment)などは、これらの品物のうちの1つ以上を指す。また、本明細書で使用する場合、用語「ポリマー」は、プレポリマー、オリゴマー、およびホモポリマーとコポリマーとの両方を指すことができる。用語「樹脂」は、「ポリマー」と言い換え可能で使用される。
【0013】
本明細書で使用する場合、移行用語「含む(comprising)」(および他の同等な用語、例えば、「含有する(containing)」および「含む(including)」)は、「オープンエンド」であり、本発明に欠くことができない組成物、方法、およびそれらのそれぞれの構成要素に関して使用されるが、特定されていない物事の包含に開かれている。
【0014】
本明細書で報告されるCIELABのL*、a*、b*、C*、h°、およびΔE値は、特に指示がない限り、ASTM 308に従って、正反射成分込みで10°観測者により、D65光源を用いて積分球を使用して全て決定された。CIELAB表色系では、L*は、0=純粋な黒~100=拡散白(diffuse white)の尺度で明度/暗度を表し、a*は、-a*の緑~+a*の赤のバランスを表し、b*は、-b*の青~+b*の黄色のバランスを表し、C*は彩度を表し、h°は色相角を表す。ΔE*値は、2色間の3次元色モデル差を表す。
【0015】
本発明は、(a)皮膜形成性樹脂と、(b)皮膜形成性樹脂中に分散している複数の近赤外線(near-IR)透過顔料と、(c)皮膜形成性樹脂中に分散している近赤外線反射顔料と、を含む、日射反射コーティング組成物を対象とする。複数の近赤外線透過顔料は、第1のペリレン顔料および第1のペリレン顔料とは異なる第2のペリレン顔料を含む。近赤外線反射顔料は、第1のペリレン顔料および第2のペリレン顔料とは異なる。日射反射コーティング組成物が、基材上で硬化し、コーティングを形成する場合、硬化コーティングは、オフホワイトまたは灰色を呈する。日射反射コーティング組成物は、カーボンブラックを実質的に含まない。
【0016】
本出願で使用する場合、用語「実質的に含まない」は、コーティング組成物中のカーボンブラックの量に関して使用される場合、カーボンブラックは、組成物の全固形物重量に基づいて、0.01%以下など、0.02重量%以下の量で組成物中に存在することを意味する。本明細書で使用する場合、用語「完全に含まない」は、コーティング組成物中のカーボンブラックの量に関して使用される場合、カーボンブラックが、組成物中に全く存在しないことを意味する。
【0017】
皮膜形成性樹脂は、熱硬化性の皮膜形成性樹脂を含み得る。本明細書で使用する場合、用語「熱硬化性」は、ポリマー構成成分のポリマー鎖が、共有結合によって共に結合した硬化または架橋によって不可逆的に「硬化する」樹脂を指す。本特性は、通常、例えば、熱または放射によって誘導されることが多い組成物成分の架橋反応と関連付けられる。硬化または架橋反応はまた、周囲条件下にて行われ得る。硬化条件はまた、周囲条件でないこともある。一旦硬化または架橋すると、熱硬化性樹脂は、加熱されても溶解せず、溶媒中で不溶性である。その他の実施例では、本明細書に記載されたコーティング内に含まれる皮膜形成性樹脂は、熱可塑性樹脂を含み得る。本発明で使用する場合、用語「熱可塑性の」は、共有結合により結合していないポリマー構成成分を含み、それにより、加熱により液体流を起こすことがあり、溶媒に可溶である樹脂を指す。
【0018】
皮膜形成性樹脂は、当該技術分野において既知の様々な熱可塑性および/または熱硬化性組成物のうちのいずれかを含んでもよい。日射反射コーティング組成物は、水系または溶媒系の液体組成物、または代わりに、固体粒子形態(例えば、粉末コーティング)の組成物から堆積され得る。
【0019】
熱硬化性コーティング組成物は、例えば、アミノプラスト、ブロックイソシアネートを含むポリイソシアネート、ポリエポキシド、β-ヒドロキシアルキルアミド、ポリ酸、無水物、有機金属酸官能性材料、ポリアミン、ポリアミド、および前述のうちのいずれかの混合物から選択され得る架橋剤を含み得る。熱硬化性または硬化性コーティング組成物は、典型的には、架橋剤と反応する官能基を有する皮膜形成性樹脂を含む。
【0020】
日射反射コーティング組成物の皮膜形成性樹脂は、当該技術分野において既知の様々なポリマーのうちのいずれかから選択され得る。皮膜形成性樹脂は、例えば、アクリルポリマー、ポリエステルポリマー、ポリウレタンポリマー、ポリ尿素ポリマー、ポリアミドポリマー、ポリエーテルポリマー、ポリシロキサンポリマー、これらのコポリマー、およびこれらの混合物から選択され得る。一般に、これらのポリマーは、当業者に既知の任意の方法によって作製されたこれらのタイプのうちの任意のポリマーであり得る。皮膜形成性樹脂上の官能基は、例えば、カルボン酸基、アミン基、エポキシ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルバメート基、アミド基、尿素基、イソシアネート基(ブロックイソシアネート基を含む)、メルカプタン基、アルコキシ-シラン官能基およびこれらの組み合わせを含む、様々な反応性官能基のうちのいずれかから選択され得る。いくつかの実施例では、皮膜形成性樹脂はポリウレタンであるが、皮膜形成性樹脂は、本発明の反射性機能を妨げる太陽放射をある程度吸収する構成成分を含有しない任意の樹脂系であり得る。
【0021】
皮膜形成性樹脂の適切な混合物はまた、本明細書に記載された日射反射コーティング組成物の調製に使用され得る。
【0022】
日射反射コーティング組成物は、複数の近赤外線透過顔料を含み得る。本発明で使用する場合、用語「近赤外線透過顔料」は、米国特許出願公開第2004/0191540号の[0020]~[0026]にて記載されているように、近赤外線領域(700~2500nm)で実質的に透明であり、このような波長で放射のはっきりと認められる散乱も吸収もない顔料を指すことができ、その引用部分は、本明細書に参照により組み込まれる。ある実施例では、近赤外線透過顔料は、近赤外線波長領域において少なくとも70%の平均透過率を有し得る。近赤外線透過顔料は、可視吸収性であってもよい。本発明で使用する場合、用語「可視吸収性」は、400nm~700nmの可視領域内の少なくともいくつかの波長の放射を実質的に吸収する顔料を指すことができる。
【0023】
日射反射コーティング組成物は、複数の近赤外線透過顔料を含み、複数の近赤外線透過顔料は、少なくとも第1のペリレン顔料および第2のペリレン顔料を含む、複数のペリレン顔料を含む。ペリレン顔料は、以下に例示されるペリレン型構造に一部依存する顔料を指すことができる。
【化1】
【0024】
このような顔料の市販の例としては、BASF Corporation(Ludwigshafen、Germany)から入手可能なPALIOGEN(登録商標)顔料、例えば、PALIOGEN(登録商標)Black EH 0788顔料、PALIOGEN(登録商標)Black L0086、ならびにPALIOGEN(登録商標)Black S0084などが挙げられる。本発明のある実施形態での使用に好適な赤外線透過黒色顔料のさらなる例は、米国特許出願公開第2009/0098476号の[0030]~[0034]に記載されており、その引用部分は、本明細書に参照により組み込まれる。
【0025】
いくつかの実施形態では、コーティング組成物は、式(a)または(b)による少なくとも1つのペリレン顔料を含み得る。
【化2】
【0026】
このような顔料は、PALIOGEN(登録商標)Black EH 0788として市販されている。
【0027】
ある実施形態では、コーティング組成物は、式(C)によるペリレン顔料を含み得る。
【化3】
【0028】
このようなペリレン顔料はまた、「CI Pigment Black 32」として既知であり、PALIOGEN(登録商標)Black L 0086として市販されている。
【0029】
前述したように、複数のペリレン顔料は、第1のペリレン顔料および第2のペリレン顔料を含み得る。第1のペリレン顔料は、緑の色合いのペリレン顔料であり得る。緑の色合いのペリレン顔料は、十分に高い濃度で単独で利用され、好適な乾燥膜厚で塗布される場合、人間の目には黒色に見えることがある。しかしながら、緑の色合いのペリレン顔料が、コーティング組成物(例えば、多層コーティング組成物の同一層)中で近赤外線反射顔料(例えば、二酸化チタンなど)と組み合わされて利用される場合、コーティング組成物は、人間の目には緑の色合いのに見えることがある。緑の色合いとは、40~95のL*および275~325のh°の正反射成分込みで10°観測者により、D65光源を用いて積分球を使用して、CIELAB値を呈することを意味する。
【0030】
さらに、第2のペリレン顔料は、紫の色合いのペリレン顔料であり得る。紫の色合いのペリレン顔料は、十分に高い濃度で単独で使用され、好適な乾燥膜厚で塗布される場合、人間の目には黒色に見えることがある。しかしながら、紫の色合いのペリレン顔料が、コーティング組成物(例えば、多層コーティング組成物の同一層)中で近赤外線反射顔料(例えば、二酸化チタンなど)と組み合わされて利用される場合、コーティング組成物は、人間の目には紫の色合いのに見えることがある。紫の色合いとは、40~95のL*および170~200のh°の正反射成分込みで10°観測者により、D65光源を用いて積分球を使用して、CIELAB値を呈することを意味する。
【0031】
コーティング組成物(例えば、多層コーティング組成物の同一層)中に二酸化チタンを含む緑の色合いのペリレン顔料と紫の色合いのペリレン顔料との組み合わせは、オフホワイトまたは灰色を呈する硬化コーティング組成物をもたらし得る。オフホワイトまたは灰色が、正反射成分込みで10°観測者により、D65光源を用いて積分球を使用して測定された場合に、40~95の範囲のL*値、-2~2の範囲のa*値、および-6~6の範囲のb*値のCIELAB値を呈することを意味し得る。いくつかの実施例では、L*値は、少なくとも70、例えば、少なくとも75、少なくとも80、または少なくとも85であり得る。オフホワイトまたは灰色コーティング組成物は、前述した「純白色」コーティング組成物とは異なる色を有し、それは、正反射成分込みで10°観測者により、D65光源を用いた積分球を使用して測定された場合に、95超のL*値ならびにほぼ0、例えば、-1~1または-2~2などのa*およびb*値のCIELAB値を有する。
【0032】
近赤外線反射顔料(二酸化チタンなど)を含む緑の色合いのペリレン顔料と紫の色合いのペリレン顔料との組み合わせは、オフホワイトまたは灰色の硬化コーティングを形成することができるが、ペリレン顔料の他の組み合わせを近赤外線反射顔料(二酸化チタンなど)と組み合わせて、オフホワイトまたは灰色の硬化コーティングを形成することができることが理解されよう。したがって、ペリレン顔料の他の組み合わせを利用して、オフホワイトまたは灰色の硬化コーティングを達成することができる。
【0033】
複数のペリレン顔料を含むコーティング組成物中に、他の追加の近赤外線透過顔料を含むこともできる。好適な追加の可視吸収性近赤外線透過顔料の非限定的な例としては、例えば、銅フタロシアニン顔料、ハロゲン化銅フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、キノフタロン顔料、インダントロン顔料、ジオキサジン顔料、イソインドリン顔料、ジアリライドイエロー顔料、臭素化アントラントロン(anthranthrone)顔料、アゾ金属錯体顔料などが挙げられ得る。これら近赤外線透過顔料の組み合わせを使用することができる。
【0034】
日射反射コーティング組成物はまた、少なくとも1つの近赤外線透過染料を含んでもよく、または追加の近赤外線透過顔料の代わりに含んでもよい。本発明で使用する場合、用語「近赤外線透過染料」は、このような波長で放射のはっきりと認められる散乱も吸収もない、近赤外線領域(700nm~2500nm)で実質的に透明である染料を指すことができる。ある実施例では、近赤外線透過顔料は、近赤外線波長領域において少なくとも70%の平均透過率を有し得る。本発明で使用する場合、用語「可視吸収性」は、400nm~700nmの可視領域内の少なくともいくつかの波長の放射を実質的に吸収する顔料を指す。
【0035】
日射反射コーティング組成物は、少なくとも1つの近赤外線反射顔料を含む。近赤外線反射顔料は、複数の近赤外線透過顔料(複数のペリレン顔料を含む)と同一の日射反射コーティング組成物に含まれる。言い換えると、単一のコーティング層は、複数の近赤外線透過顔料(複数のペリレン顔料を含む)および少なくとも1つの近赤外線反射顔料を含む。
【0036】
本明細書で使用する場合、用語「近赤外線反射顔料」は、コーティング組成物中に含まれる場合、近赤外線反射顔料を含まない同一の組成物から同一の方式で堆積された硬化コーティングよりも大きい近赤外線放射の反射率を有する硬化コーティングを提供する顔料を指すことができる。
【0037】
近赤外線反射顔料の一例は、二酸化チタンであり得る。二酸化チタンは、最初に、それ自体が、皮膜形成性樹脂中に分散した粉末形態の二酸化チタンのような薄フレーク(以下で説明する)に接着されることなく、コーティング組成物中に提供され得る。標準等級の二酸化チタン粉末を使用することも、もしくは可視領域での散乱を提供するように最適化された二酸化チタン粉末の粒径分布を選択することもでき、かつ/または近赤外線領域を近赤外線反射顔料として使用することができる。
【0038】
その他の好適な近赤外線反射顔料としては、薄フレークの金属または金属合金の近赤外線反射顔料を含み得、例えば、アルミニウム、クロム、コバルト、鉄、銅、マンガン、ニッケル、銀、金、鉄、スズ、亜鉛、青銅、黄銅などが含まれ得、また、これらの合金、例えば、亜鉛-銅合金、亜鉛-スズ合金および亜鉛-アルミニウム合金などが含まれ得る。いくつかの具体例としては、ニッケルアンチモンチタン、ニッケルニオブチタン、クロムアンチモンチタン、クロムニオブ、クロムタングステンチタン、クロム鉄ニッケル、酸化クロム鉄、酸化クロム、クロムチタネート、マンガンアンチモンチタン、マンガンフェライト、クロムグリーン-ブラック、コバルトチタネート、クロマイト、またはホスフェート、コバルトマグネシウム、およびアルミナイト、酸化鉄、鉄コバルトフェライト、鉄チタン、亜鉛フェライト、亜鉛鉄クロマイト、ならびに銅クロマイト、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
このような顔料は、薄フレークの形態であってもよい。例えば、「リーフィング(leafing)」アルミニウムフレークは、多くの場合、好適である。本発明で使用する場合、用語「薄フレーク」は、粒子が、少なくとも2であり、多くの場合、3~400、または場合によっては、10~150を含む10~200などの10~2,000の範囲に収まる、その幅とその厚さとの比率(「アスペクト比」と称される)を有することを意味する。そのため、「薄フレーク」粒子は、実質的に平坦な構造を有するものである。このようなフレークは、シリカでコーティングした銅フレークの場合のように、その上に堆積されたコーティングを備え得る。
【0040】
このような薄フレーク粒子は、0.5ミクロン~5ミクロンなど、0.05ミクロン未満~10ミクロンの厚みを備え得る。ある実施例では、このような薄フレーク粒子は、10ミクロン~30ミクロンなど、10ミクロン~150ミクロンの最大幅を備える。
【0041】
薄フレーク粒子は、ギザギザした端とは対照的に、丸い端および平滑で平坦な表面を備え得る。角のある端および不均質な表面を備えるフレークは、「コーンフレーク」として当該技術分野において既知である。他方では、より丸い端、より平滑でより平坦な表面によって区別されるフレークは、「1ドル硬貨」フレークと呼ばれる。さらに、ある実施例では、丸い端を有する薄フレーク金属または金属合金粒子は、ISO 1524に従って測定される場合、10ミクロン~15ミクロンなど、25ミクロン以下の最大幅を備え得る。
【0042】
追加の好適な薄フレーク金属または金属合金近赤外線反射顔料としては、有色金属顔料、例えば、着色顔料が、金属顔料の表面に化学的に吸着されているものが挙げられ得る。このような有色金属顔料は、米国特許第5,037,745号、第2欄第55行~第7欄第54行に記載されており、その引用部分は、本明細書に参照により組み込まれる。このようないくつかの有色金属顔料は、市販もされており、U.S.Aluminum,Inc.(Flemington、N.J.)製FIREFLAKE(登録商標)の商標名にて入手可能なものが挙げられる。以下で説明するペリレン系顔料など、近赤外線透過顔料は、金属顔料の表面に化学的に吸着させて、暗色の、時には黒色の、有色近赤外線反射金属顔料を提供することができる。
【0043】
日射反射コーティング組成物は、追加の近赤外線反射顔料を含み得る。このような追加の近赤外線反射顔料は、有色または実質的に無色であってもよく、半透明または不透明であってもよい。本発明で使用する場合、用語「実質的に無色」とは、顔料が色を有さない、例えば、顔料の吸収曲線には400ナノメートル~700ナノメートル領域に吸収ピークがなく、太陽光の下で見た場合、反射光にも透過光にも色合いまたは色相が存在しないことを意味する。有色近赤外線反射顔料は、本質的に無色ではない近赤外線反射顔料であり得る。言い方を変えれば、「有色」近赤外線反射顔料は、可視吸収性であり得るものである。「半透明」顔料は、可視光が拡散して顔料を通過することができることを意味する。「不透明」顔料は、かなりの量の光を散乱させるものである。(十分な少ない量でコーティングに使用される場合)半透明で本質的に無色であり得る近赤外線反射顔料の一例は、Merck KGaA(Darmstadt、Germany)から市販されているSOLARFLAIR(登録商標)9870顔料である。この市販顔料はまた、二酸化チタンでコーティングしたマイカ基材を有する干渉顔料(以下で説明する)の一例であり得る。
【0044】
適切な有色および/または不透明近赤外線反射顔料の例としては、例えば、様々な金属および金属合金、無機酸化物ならびに干渉顔料のうちのいずれかが挙げられる。例示的な色としては、例えば、二酸化チタンの場合の白色、鉄チタンブラウンスピネルの場合の褐色、酸化クロムグリーンの場合の緑色、酸化鉄レッドの場合の赤色、クロムチタネートイエローおよびニッケルチタネートイエローの場合の黄色、ならびに特定の二酸化チタンコーティングマイカフレークの場合の青色および紫色が挙げられる。
【0045】
近赤外線反射顔料を含有する好適な無機酸化物としては、中でも、例えば、酸化鉄、酸化チタン顔料、複合酸化物系顔料、酸化チタンコーティングマイカ顔料、酸化鉄コーティングマイカ顔料、および酸化亜鉛顔料が挙げられる。いくつかの実施例では、適切な有色および/または不透明近赤外線反射顔料は、薄フレークに塗布され得ない。
【0046】
本出願にて使用する場合、用語「干渉顔料」は、異なる屈折率の材料の交互層を有する多層構造を有する顔料を指す。好適な光干渉顔料としては、例えば、マイカ、SiO2、Al2O3、TiO2、または二酸化チタン、酸化鉄、酸化チタン鉄もしくは酸化クロムまたはこれらの組み合わせなどのうちの1つ以上の層でコーティングしたガラスの基材を含む顔料、または金属と酸化鉄層および/または二酸化ケイ素の層でコーティングしたアルミニウムなどの金属酸化物との組み合わせを含む顔料が挙げられる。
【0047】
日射反射コーティング組成物としては、配合表面コーティングの分野において既知の他の任意の材料、例えば、可塑剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤、UV線吸収剤および安定剤、界面活性剤、流動制御剤、チキソトロープ剤、例えば、ベントナイトクレー、顔料、充填剤、有機共溶剤、ならびにホスホン酸を含む触媒、ならびに他の通例の助剤が挙げられ得る。
【0048】
日射反射コーティング組成物を堆積させことができる基材は、多数の形態を取ることができ、様々な材料から生成することができる。ある実施形態では、基材は、(i)自動車構成部品、例えば、内部もしくは外部金属パネル、革製もしくは布製座席領域、プラスチック製構成部品、例えばダッシュボードもしくはハンドル、および/または他の内部車両表面、(ii)航空宇宙用構成部品、例えば、航空機外部パネル(例えば、航空機翼)(金属、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、もしくは他の合金であり得るか、または例えば、ポリマー複合材(例えば、炭素繊維強化ポリマー複合材)から製造することができる)、革製、プラスチック製または布製座席領域およびコントロールパネルなどを含む内部パネル、(iii)建築構成要素、例えば、外部パネルおよび屋根材、ならびに(iv)工業構成部品などの形態を取る。
【0049】
好適な基材材料としては、例えば、紙、板紙、厚紙、合板およびプレス繊維板、硬材、軟材、単板、パーティクルボード、チップボード、配向性ストランドボードおよび繊維板を含む、セルロース含有材料が挙げられる。このような材料は、全体が松、オーク、カエデ、マホガニー、桜などの木材で作製され得る。しかしながら、場合によっては、材料は、樹脂材料などの別の材料との組み合わされた木材、すなわち、木材/樹脂複合材、例えば、フェノール系複合材、木繊維および熱可塑性ポリマーの複合材、ならびにセメント、繊維またはプラスチッククラッドで強化された木材複合材を含み得る。
【0050】
好適な金属基材材料としては、冷間圧延鋼、ステンレス鋼ならびに亜鉛金属、亜鉛化合物および亜鉛合金(電気亜鉛メッキ鋼、溶融亜鉛メッキ鋼、ガルバニール鋼、および亜鉛合金でメッキされた鋼を含む)、銅、マグネシウム、ならびにこれらの合金、アルミニウム合金、亜鉛-アルミニウム合金、例えばGALFAN(登録商標)アルミニウムメッキ鋼のうちのいずれかで表面処理された鋼から構成された箔、シートまたは被加工品が挙げられるが、これらに限定されず、アルミニウム合金メッキ鋼基材も使用され得る。溶接可能な亜鉛リッチまたはリン化鉄リッチ有機コーティングでコーティングされた鋼基材(例えば、冷間圧延鋼、または上に列挙した鋼基材のうちのいずれか)も好適である。このような溶接可能なコーティング組成物は、例えば、米国特許第4,157,924号および同第4,186,036号に開示されている。例えば、金属リン酸塩溶液、少なくとも1つのIIIB族またはIVB族金属を含有する水溶液、有機リン酸塩溶液、有機ホスホン酸塩溶液、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される溶液で前処理した場合、冷間圧延鋼も好適である。また、好適な金属基材としては、銀、金、およびこれらの合金が挙げられる。
【0051】
好適なシリカ基材の非限定的な例は、ガラス、磁器およびセラミックである。
【0052】
好適なポリマー基材の非限定的な例は、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、メラミン樹脂、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドンならびに対応するコポリマーおよびブロックコポリマー、生分解性ポリマーおよび天然ポリマー、例えばゼラチンである。
【0053】
好適な織物基材の非限定的な例は、ポリエステル、変性ポリエステル、ポリエステル混紡布、ナイロン、綿、綿混紡布、ジュート、亜麻、麻およびラミー、ビスコース、羊毛、絹、ポリアミド、ポリアミド混紡布、ポリアクリロニトリル、トリアセテート、アセテート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステルマイクロファイバーならびにガラス繊維織物からなる、繊維、紡績糸、糸、ニット、織布、不織布および衣服である。
【0054】
好適な皮革基材の非限定的な例は、銀面皮(例えば、羊、山羊または雌牛からのナパ、および仔牛または雌牛からのボックスレザー)、スエード皮革(例えば、羊、山羊または仔牛からのベロア、およびハンティングレザー)、スプリットベロア(例えば、雌牛または仔牛皮からのもの)、バックスキンおよびヌバック皮革、さらにまた、ウールの皮および毛皮(例えば、毛皮付きスエード皮革)である。皮革は、任意の従来のなめし法によるなめし、特に、植物、鉱物、および合成または複合したなめし(例えば、クロムなめし、ジルコニルなめし、アルミニウムなめし、または半クロムなめし)が施され得る。所望であれば、皮革に再なめしを施すこともでき、再なめしには、再なめしに従来用いられる任意のなめし剤、例えば、鉱物、植物、または合成なめし剤、例えば、クロム、ジルコニルもしくはアルミニウム誘導体、ケブラチョ、クリもしくはミモザ抽出物、芳香族シンタン、ポリウレタン、(メタ)アクリル酸化合物の(コ)ポリマーまたはメラミン、ジシアノジアミドおよび/もしくは尿素/ホルムアルデヒド樹脂を使用し得る。
【0055】
好適な圧縮性基材の非限定的な例としては、発泡体基材、液体が充填されたポリマーブラダー、空気および/もしくはガスが充填されたポリマーブラダー、ならびに/またはプラズマが充填されたポリマーブラダーが挙げられる。本明細書で使用する場合、用語「発泡体基材」は、連続気泡発泡体および/または独立気泡発泡体を含む、ポリマー材料または天然材料を意味する。本明細書で使用する場合、用語「連続気泡発泡体」は、発泡体が、複数の相互接続された気泡室を含むことを意味する。本明細書で使用する場合、用語「独立気泡発泡体」は、発泡体が、一連の分離した閉じた気孔を含むことを意味する。発泡体基材の例としては、ポリスチレン発泡体、ポリメタクリルイミド発泡体、ポリ塩化ビニル発泡体、ポリウレタン発泡体、ポリプロピレン発泡体、ポリエチレン発泡体、およびポリオレフィン発泡体が挙げられるが、これらに限定されない。ポリオレフィン発泡体の例としては、例えば、ポリプロピレン発泡体、ポリエチレン発泡体および/またはエチレン酢酸ビニル(EVA)発泡体が挙げられる。EVA発泡体としては、フラットシートもしくはスラブまたは成形EVA形態、例えば、靴のミッドソールを挙げることができる。異なる型のEVA発泡体は、異なる型の表面多孔性を有することができる。成形EVAは、稠密な表面または「外皮」を含み得、これに対して、フラットシートまたはスラブは、多孔性表面を呈することができる。
【0056】
日射反射コーティング組成物を、運搬手段の表面の少なくとも一部に塗布することができる。本開示では、用語「運搬手段」には、その最も広い意味で使用され、全ての型の航空機、宇宙機、船艇、および地上車両が含まれる。例えば、運搬手段には、例えば、飛行機(例えば、自家用飛行機、および小型、中型、または大型の旅客機、貨物用飛行機、および軍用飛行機)、ヘリコプター(例えば、自家用、事業用、および軍用のヘリコプター)、航空宇宙飛行体(例えば、ロケットおよび他の宇宙機)などの航空機が含まれ得るが、これらに限定されない。運搬手段には、地上車両、例えば、動物用トレーラー(例えば、馬用トレーラー)、自動車、トラック、バス、バン、重機、ゴルフカート、単車、自転車、列車、貨車なども含むことができる。運搬手段には、船艇、例えば、船舶、ボート、ホバークラフトなども含むことができる。いくつかの実施形態では、日射反射コーティング組成物は、F/A-18ジェット(またはその派生型もしくは異型、例えば、F/A-18E Super HornetおよびF/A-18Fなど);McDonnell Douglas/Boeing and Northrop製造)および/またはBoeing 787 Dreamliner、737、747、および/もしくは717ジェット旅客機(またはその派生型もしくは異型;Boeing Commercial Airplanes製造);V-22 Osprey;VH-92およびS-92(またはその派生型もしくは異型;NAVAIRおよびSikorsky製造);G650、G600、G550、G500、およびG450(またはその派生型もしくは異型;Gulfstream製造);ならびにA350、A320、および/またはA330(またはその派生型もしくは異型;Airbus製造)の表面に塗布することができる。日射反射コーティング組成物は、軍用機、または民間航空機、例えば、Bombardier Inc.および/またはBombardier Aerospace製造の航空機(例えば、Canadair Regional Jet(CRJ)およびその派生型)、Lockheed Martin製造の航空機(例えば、F-22 Raptor、F-35 Lightning、およびその派生型)、Northrop Grumman製造の航空機(例えば、B-2 Spiritおよびその派生型)、Pilatus Aircraft Ltd.、およびEclipse Aviation Corporation or Eclipse Aerospace(現Kestrel Aircraft)製造の航空機などの表面に塗布することができる。
【0057】
上で説明したコーティングのそれぞれを堆積させたコーティング組成物を、中でも、ディッピングもしくは浸漬、噴霧、間欠噴霧、ディッピング後の噴霧、噴霧後のディッピング、および/もしくは噴霧後のディッピング、はけ塗り、またはロールコーティングを含む、様々な方法のうちのいずれかによって基材に塗布することができる。しかしながら、ある実施形態では、コーティング組成物は噴霧によって塗布され、したがって、このような組成物は、多くの場合、周囲条件での噴霧による塗布に好適である粘度を有する。
【0058】
基材への日射反射コーティング組成物の塗布後、それを合着させて、基材上に実質的に連続皮膜を形成する。乾燥膜厚は、0.01ミル~20ミル(0.254ミクロン~508ミクロン)、例えば、0.1ミル~5ミル(2.54ミクロン~127ミクロン)、0.2ミル~10ミル(5.08ミクロン~254ミクロン)、0.5ミル~2.5ミル(12.7ミクロン~63.5ミクロン)、またはその中の任意の他の部分範囲であり得る。この量では、日射反射コーティング組成物が、Lenata白黒隠蔽ストリップ(Lenata black and white hiding strips)を使用して、ASTM D6762に従って塗布された、基材または下層の表面を完全に隠蔽するのに十分であり得る。日射反射コーティング組成物は、2.5ミル以下(63.5ミクロン)、例えば、2.0ミル(50.8ミクロン)以下、1.5ミル(38.1ミクロン)以下、1.0ミル(25.4ミクロン)以下の乾燥膜厚で、基材または下層を完全に隠蔽することができる。
【0059】
基材または下層上で硬化させてコーティングを形成した場合、日射反射コーティング組成物は、ASTM E903-12に従って測定される場合に少なくとも45%、例えば、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、または少なくとも85%の全日射反射率(TSR%)を呈し得る。
【0060】
いくつかの実施例では、日射反射コーティング組成物は、航空宇宙用構成部品上の単独のコーティング層など、基材上の単独コーティング層である。日射反射コーティング層が単独コーティング層である実施例では、日射反射コーティング組成物上または下の基材に、他の処理を適用することができる。Cytec Solvay Group(Woodland Park、NJ)の製品であるSURFACE MASTER(登録商標)などの被膜サーフェーサーを塗布することができ、例えば、繊維強化ポリマー複合材の基材上に塗布することができる。様々な前処理をアルミニウム基材などの金属基材上に適用することができる。例えば、前処理は、洗浄処理、脱酸素処理、および/または変換処理(例えば、Henkel Corporation(Dusseldorf、Germany)製ALODINE(登録商標))であり得る。接着促進剤を処理として適用してもよい。単独の日射反射コーティング層とあわせて基材上に適用したこれらの処理は、追加のコーティング層ではなく、基材上に連続皮膜を形成しないことが理解されよう。
【0061】
その他の実施例では、日射反射コーティング層は、多層システム中の単層である。日射反射コーティング層は、下塗り層(日射反射層の下にある下塗り層)の少なくとも一部上に塗布することができる。下塗り層の例としては、DESOPRIME(登録商標)CA7502A(エポキシアミン)またはDESOTHANE(登録商標)HS CA8000 B7067(ポリウレタン)が挙げられる。日射反射コーティングを、プライマー層の少なくとも一部上に塗布することができる。上塗りおよび/またはクリアコート層を日射反射コーティング層上に塗布することができる。多層システムは、研磨-サーフェーサー層も含み得る。多層システムは、選択的に剥離可能な層も含み得る。これらの様々な層の任意の組み合わせは、日射反射コーティングを組み合わせて使用し得ることが理解されよう。既に定義したように、その他の層はまた、カーボンブラックを実質的に含まないか、またはカーボンブラックを完全に含まないことがある。いくつかの実施例では、日射反射層および下塗り層は、基材上の唯一のコーティング層(例えば、追加のコーティング層がない)であり得る。日射反射コーティング層は、それが、直接太陽放射にさらされるコーティング層であるような、基材上に塗布した最外層であり得る。
【0062】
その他の実施例では、クリアコート層を日射反射コーティング層上に塗布することができる。クリアコート層は、実質的にクリアであり得る。本明細書で使用する場合、「実質的にクリア」は、実質的に透明であり、不透明ではないコーティングを指す。クリアコートは、着色剤を含むことができるが、かかる場合、着色剤は、コーティングを不透明にするのに十分な量では存在しない。例えば、米国特許第5,989,642号、同第6,245,855号、同第6,387,519号、および同第7,005,472号に記載されているクリアコートは、本発明のコーティングシステムに使用することができ、それらの開示は、本明細書に参照により組み込まれる。ある実施例では、クリアコートは、クリアコート中(例えば、クリアコートの表面)に分散するシリカ粒子などの粒子を含むことができる。
【0063】
航空機翼などの軽量航空宇宙用構成部品は、日射反射コーティング組成物を使用して調製することができる。航空宇宙用構成部品の表面の少なくとも一部を、上述したように日射反射コーティング組成物でコーティングすることができる。日射反射コーティング組成物を硬化させて、航空宇宙用構成部品上に日射反射層を形成することができる。日射反射層は、2.5ミル(63.5ミクロン)以下、例えば、2.0ミル(50.8ミクロン)以下、1.5ミル(38.1ミクロン)以下、または1.0ミル(25.4ミクロン)以下の乾燥膜厚を有し得る。この日射反射層は、航空宇宙用構成部品を完全に隠蔽することができる。
【実施例】
【0064】
以下の実施例を、本発明の一般原則を証明するめたに提示する。本発明は、提示された具体例に限定されると考えるべきではない。
【0065】
実施例1
表1に列挙した構成成分を含むコーティング組成物を調製した。各コーティング組成物について、1a~1kとして列挙した構成成分を前もって混合し、着色ベースのコーティング構成成分を形成した。次に、構成成分2および3の活性剤および希釈剤を添加して、コーティング組成物を混合して均一にしてから塗布した。
【表1】
【表2】
【0066】
実施例2
実施例1で調製したコーティング組成物(赤外線透過黒色色素(灰色3)とカーボンブラックを使用して作製した灰色プライマー(混合物灰色1)との組み合わせを使用して作製した灰色プライマー)を試験した。
【0067】
表2のサンプルを以下の通り調製した:1ミルのカーボンブラック塗料(DESOTHANE(登録商標)HS CA8000/BAC701としてPPG Aerospace PRC-DeSoto(Sylmar、CA)から市販)を2024 T3アルミニウムの3インチx 6インチのパネルに塗布し、炭素繊維複合材基材の近赤外線吸収を模倣した。この上部に0.8ミルのクロムを含まないプライマー(PPG Aerospace PRC-De-Soto(Sylmar、CA)から市販されているDESOPRIME(登録商標)CF/CA7502A)を塗布した。コーティング組成物灰色3および混合物灰色1を、完全に隠蔽することができる乾燥膜厚まで、Binks Mach 3 HVLP型スプレーガンおよび95ASスプレーキャップを使用して、手作業でその上に噴霧塗布した。全日射反射率(TSR%)をASTM E903-12に従って、LAMBDA 950 S紫外線/可視光線/近赤外線分光光度計(PerkinElmer(登録商標))を使用して測定した。
【0068】
加熱ランプ下に到達した最高温度も測定した。これは、J型熱電対を使用して、断熱した木箱、赤外線ランプおよびデジタル温度計から成る、ASTM B4803-10で定義される試験装置を使用して実施された。2つのパネルを接触させず、赤外線ランプ直下15.5インチに並べて置き、両方のパネルが最高温度に達するまで、温度を監視し、これ以上は上昇しなかった。
【0069】
結果を表2に提供する。比較灰色1でコーティングしたサンプルは、43%の全日射反射率で反射したのに対して、灰色3でコーティングしたサンプルは、72%で反射し、性能は相対的に44%増加した。灰色3でコーティングしたサンプルの最高温度は、比較灰色1でコーティングしたサンプルよりも19.1°F(10.6℃)低かった。
【表3】
【0070】
実施例3
実施例1で調製したコーティング組成物のいくつかを塗布し、ビコチャートBrushout 5DX Card(Byk-GardnerカタログNo.2856)上で完全に隠蔽した。次に、サンプルを、Datacolor(商標)600分光光度計で、D65光源および正反射成分込みで10°観測者により積分球を使用して、L
*、a
*、b
*、C
*、h°、およびΔE
*色値を測定し、CIELAB色で特徴付けした。表3は、調製したサンプルのCIELABの特徴を示す。
【表4】
【0071】
灰色5(実施例1の)灰色は、表3に含まれる測定により証明されたように、2つの赤外線透過顔料(ペリレン顔料)をブレンドすることにより達成された。灰色5は、緑の色合いのペリレン顔料および紫の色合いのペリレン顔料をブレンドした。
【0072】
十分に高い濃度で単独で利用され、好適な乾燥膜厚で塗布された、比較紫1および比較緑1中の個々のペリレン顔料のそれぞれは、人間の目には黒色に見えるコーティングを生じる。しかしながら、ペリレン顔料は、単一コーティング中の(実施例1の比較紫1および比較緑1中のような)二酸化チタンと組み合わせて利用され、1つの赤外線透過性黒色顔料は紫の色合いをもたらし、他は、緑の色合いをもたらした。これを、灰色5を比較紫1および比較緑1と比較して図示する。灰色5は、2つの赤外線透過性黒色顔料のブレンドを使用した中間の灰色(neutral grey)である。比較紫1および比較緑1に対して、そのブレンドを、個々の顔料着色の重量に対して当量で置き替えた。
【0073】
表3は、灰色5と比較紫1との色差が19.61のΔE、灰色5と比較緑1との色差が5.45のΔEであることを示す。L*、a*、およびb*値は、灰色5がオフホワイトまたは灰色の色合いを呈することを指し示し、一方、L*およびh°は、比較紫1が紫の色合いを呈し、比較緑1が緑の色合いを呈することを指し示す。
【0074】
実施例4
実施例1のいくつかのコーティング組成物は、以下の通り基材およびコーティングの積層上に塗布された。着色のない白色下塗り(PPG Aerospace PRC-DeSotoから市販されているDesothane(登録商標)HS CA8000/BAC7067(Sylmar,CA))を、アルミめっきを施した紙(Alufoil Products Co.,Inc.(Hauppauge、NY)から市販されている20PAP10X15SV)上に噴霧した。コーティング組成物を、完全に隠蔽することができる乾燥膜厚まで、Binks Mach 3 HVLP型スプレーガンおよび95ASスプレーキャップを使用して、手作業でその上に噴霧塗布した。隠蔽率をLeneta白黒隠蔽ストリップでASTM D6762を使用して決定した。表4のサンプルの硬化被膜コーティング密度は、1.57g/ccであった。これらのサンプルのCIELAB色の特徴、TSR%、完全に隠蔽するために必要な厚みを表4に示す。
【表5】
【0075】
例えば、炭素繊維複合材を使用したBoeing787型航空機で典型的であるように、航空機翼の表面積が360.5m2だと仮定すると、表4に示すように、コーティング組成物を塗布する場合、完全に隠蔽するために航空機翼に21~38kgの範囲の塗料が必要となる。TSR%を最大化するには、より厚い層を適用する必要があり、し、かなりの重量による不利益を負う場合がある。したがって、比較純白2は、最善のTSR%を有する一方、構成部品に重量を加える。一方、比較灰色1の重量は最小であるが、TSR%は比較的低い。
【0076】
実施例5
表5に示すサンプル(実施例1のコーティング組成物を使用)を、黒色コーティング、続いてプライマコーティング、最後に灰色3または比較純白1を用いて、実施例2で説明したように調製した。追加のサンプルを、比較純白1を日射反射性の高い下層として噴霧して調製し、灰色3を着色上塗りとしてその上に噴霧し、2層コーティングシステムをもたらした。隠蔽率をLeneta白黒隠蔽ストリップでASTM D6762を使用して決定した。これらのサンプルの結果を表5に示す。
【表6】
【0077】
2層システムのTSR%は、灰色3の単層よりも大きかった。しかしながら、2層システムでは、2層の厚さの合計は、灰色3の1.8ミルと比較して、4.0ミルであった。したがって、灰色3は、TSR%の大幅な損失もなく、比較純白1上の灰色3よりも55%の軽量化を証明した。
【0078】
本発明は、次の条項の主題をさらに含む。
【0079】
条項1:日射反射コーティング組成物であって、皮膜形成性樹脂と、皮膜形成性樹脂中に分散し、第1のペリレン顔料および第1のペリレン顔料とは異なる第2のペリレン顔料を含む、複数の近赤外線透過顔料と、皮膜形成性樹脂中に分散し、第1のペリレン顔料および第2のペリレン顔料とは異なる近赤外線反射顔料であって、基材上に硬化コーティングに形成された場合、硬化コーティングがオフホワイトまたは灰色を呈し、日射反射コーティング組成物がカーボンブラックを実質的に含まない、近赤外線反射顔料と、を含む、日射反射コーティング組成。
【0080】
条項2:第1のペリレン顔料が、緑の色合いのペリレン顔料を含み、第2のペリレン顔料が、紫の色合いのペリレン顔料を含む、条項1に記載のコーティング組成物。
【0081】
条項3:硬化コーティングが、正反射成分込みで10°観測者により、D65光源を用いて積分球を使用して測定される場合に、40~95の範囲のL*値、-2~2の範囲のa*値、および-6~6の範囲のb*値のCIELAB値によって定義されるオフホワイトまたは灰色を呈する、条項1または2に記載のコーティング組成物。
【0082】
条項4:近赤外線反射顔料が二酸化チタンを含む、条項1~3のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【0083】
条項5:二酸化チタンが、粉末形態で皮膜形成性樹脂中に分散している、条項4に記載のコーティング組成物。
【0084】
条項6:硬化コーティングが、ASTM E903-12に従って測定される場合、少なくとも45%の全日射反射率を呈する、条項1~5のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【0085】
条項7:硬化コーティングが、ASTM D6762による2.5ミル以下の乾燥膜厚で基材を完全に隠蔽している、条項1~6のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【0086】
条項8:条項1~7のいずれか一項に記載の日射反射コーティング組成物で少なくとも部分的にコーティングされた表面を含む基材。
【0087】
条項9:基材が、航空宇宙用構成部品である、条項8に記載の基材。
【0088】
条項10:航空宇宙用構成部品が、炭素繊維強化ポリマー複合材を含む、条項9に記載の基材。
【0089】
条項11:日射反射コーティング組成物が、硬化したときに、基材上の唯一のコーティング組成物である、条項8~10のいずれか一項に記載の基材。
【0090】
条項12:日射反射コーティング組成物が、硬化したときに、2.5ミル以下の乾燥膜厚を有する、条項8~11のいずれか一項に記載の基材。
【0091】
条項13:日射反射コーティング組成物の少なくとも一部の下にある下塗り層をさらに含む、条項8~12のいずれか一項に記載の基材。
【0092】
条項14:近赤外線反射顔料が二酸化チタンを含む、条項8~13のいずれか一項に記載の基材。
【0093】
条項15:二酸化チタンが、粉末形態で皮膜形成性樹脂中に分散している、条項14のいずれか一項に記載の基材。
【0094】
条項16:第1のペリレン顔料が、緑の色合いのペリレン顔料を含み、第2のペリレン顔料が、紫の色合いのペリレン顔料を含む、条項第8~15のいずれか一項に記載の基材。
【0095】
条項17:日射反射コーティング組成物が、硬化したときに、正反射成分込みで10°観測者により、D65光源を用いて積分球を使用して測定される場合に、40~95の範囲のL*値、-2~2の範囲のa*値、および-6~6の範囲のb*値のCIELAB値によって定義されるオフホワイトまたは灰色を呈する、条項8~16のいずれか一項に記載の基材。
【0096】
条項18:日射反射コーティング組成物が、硬化したときに、ASTM E903-12に従って測定される場合に、少なくとも45%の全日射反射率を呈する、条項8~17のいずれか一項に記載の基材。
【0097】
条項19:条項1に記載のコーティング組成物で航空宇宙用構成部品の表面の少なくとも一部をコーティングすることと、日射反射コーティング組成物を硬化させて、日射反射層を形成することと、を含む、軽量航空宇宙用構成部品を調製する方法。
【0098】
条項20:日射反射層が、2.5ミル以下の乾燥膜厚を有する、条項19に記載の方法。
【0099】
条項21:条項1~7のいずれか一項に記載の日射反射コーティング組成物で少なくとも部分的にコーティングされた表面を含む、運搬手段。
【0100】
条項22:運搬手段が航空機である、条項21に記載の運搬手段。
【0101】
本発明の特定の実施形態が、説明のために上記に記載されているが、添付の特許請求の範囲で定義されるように本発明から逸脱することなく、本発明の詳細の多数の改変を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
なお、下記[1]から[22]は、いずれも本発明の一形態又は一態様である。
[1]
日射反射コーティング組成物であって、
皮膜形成性樹脂と、
前記皮膜形成性樹脂中に分散し、第1のペリレン顔料および前記第1のペリレン顔料とは異なる第2のペリレン顔料を含む、複数の近赤外線透過顔料と、
前記皮膜形成性樹脂中に分散し、前記第1のペリレン顔料および前記第2のペリレン顔料とは異なる近赤外線反射顔料と、を含み、
基材上で硬化コーティングへと形成された場合、前記硬化コーティングは、オフホワイトまたは灰色を呈し、
正反射成分込みで10°観測者により、D65光源を用いて積分球を使用して測定される場合に、
40~95の範囲のL
*
値、
-2~2の範囲のa
*
値、および
-6~6の範囲のb
*
値のCIELAB値によって定義される前記オフホワイトまたは灰色を呈し、
前記日射反射コーティング組成物は、カーボンブラックを実質的に含まない、コーティング組成物。
[2]
前記第1のペリレン顔料が、緑の色合いのペリレン顔料を含み、前記第2のペリレン顔料が、紫の色合いのペリレン顔料を含む、[1]に記載のコーティング組成物。
[3]
前記硬化コーティングが、正反射成分込みで10°観測者により、D65光源を用いて積分球を使用して測定される場合に、
40~95の範囲のL
*
値、
-2~2の範囲のa
*
値、および
-6~6の範囲のb
*
値のCIELAB値によって定義される前記オフホワイトまたは灰色を呈する、[1]に記載のコーティング組成物。
[4]
前記近赤外線反射顔料が二酸化チタンを含む、[1]に記載のコーティング組成物。
[5]
前記二酸化チタンが、粉末形態で前記皮膜形成性樹脂中に分散している、[4]に記載のコーティング組成物。
[6]
前記硬化コーティングが、ASTM E903-12に従って測定される場合に、少なくとも45%の全日射反射率を呈する、[1]に記載のコーティング組成物。
[7]
前記硬化コーティングが、ASTM D6762による2.5ミル以下の乾燥膜厚で前記基材を完全に隠蔽している、[1]に記載のコーティング組成物。
[8]
[1]に記載の日射反射コーティング組成物で少なくとも部分的にコーティングされた表面を含む、基材。
[9]
前記基材が、航空宇宙用構成部品である、[8]に記載の基材。
[10]
前記航空宇宙用構成部品が、炭素繊維強化ポリマー複合材を含む、[9]に記載の基材。
[11]
前記日射反射コーティング組成物が、硬化したときに、前記基材上の唯一のコーティング層である、[8]に記載の基材。
[12]
前記日射反射コーティング組成物が、硬化したときに、2.5ミル以下の乾燥膜厚を有する、[8]に記載の基材。
[13]
前記日射反射コーティング組成物の少なくとも一部の下にある下塗り層をさらに含む、[8]に記載の基材。
[14]
前記近赤外線反射顔料が二酸化チタンを含む、[8]に記載の基材。
[15]
前記二酸化チタンが、粉末形態で前記皮膜形成性樹脂中に分散している、[14]に記載の基材。
[16]
前記第1のペリレン顔料が、緑の色合いのペリレン顔料を含み、前記第2のペリレン顔料が、紫の色合いのペリレン顔料を含む、[8]に記載の基材。
[17]
前記日射反射コーティング組成物が、硬化したときに、正反射成分込みで10°観測者により、D65光源を用いて積分球を使用して測定される場合に、
40~95の範囲のL
*
値、
-2~2の範囲のa
*
値、および
-6~6の範囲のb
*
値のCIELAB値によって定義される前記オフホワイトまたは灰色を呈する、[8]に記載の基材。
[18]
前記日射反射コーティング組成物が、硬化したときに、ASTM E903-12に従って測定される場合に、少なくとも45%の全日射反射率を呈する、[8]に記載の基材。
[19]
軽量航空宇宙用構成部品を調製する方法であって、
[1]に記載のコーティング組成物で航空宇宙用構成部品の表面の少なくとも一部をコーティングすることと、
前記日射反射コーティング組成物を硬化させて、日射反射層を形成することと、を含む、方法。
[20]
前記日射反射層が、2.5ミル以下の乾燥膜厚を有する、[19]に記載の方法。
[21]
[1]に記載の日射反射コーティング組成物で少なくとも部分的にコーティングされた表面を含む、運搬手段。
[22]
前記運搬手段が航空機である、[21]に記載の運搬手段。