(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20230804BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20230804BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20230804BHJP
H01M 10/653 20140101ALI20230804BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20230804BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20230804BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/653
H01M10/6554
H01M50/262 S
(21)【出願番号】P 2020558127
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(86)【国際出願番号】 JP2019038297
(87)【国際公開番号】W WO2020110447
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】P 2018222204
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】江頭 拓也
(72)【発明者】
【氏名】高田 浩志
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-185415(JP,A)
【文献】国際公開第2012/133708(WO,A1)
【文献】特開2019-009084(JP,A)
【文献】国際公開第2016/174855(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/031612(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の電池を有する電池積層体と、
前記電池積層体に熱的に接続される冷却プレートと、
前記複数の電池を電池の積層方向に
拘束するとともに前記電池積層体および前記冷却プレートをこれらの配列方向に挟み込む拘束部材と、
前記積層方向における前記電池積層体の両端に配置される一対のエンドプレートと、
サイドセパレータと、を備え
、
前記拘束部材は、前記電池積層体に沿って前記積層方向に延びる平面部と、前記平面部の端部から前記電池積層体側に突出するとともに前記配列方向で対向する一対の腕部と、を有し、
前記拘束部材は、前記平面部の前記積層方向における両端部が前記一対のエンドプレートと係合して前記複数の電池を拘束し、前記一対の腕部で前記電池積層体および前記冷却プレートを挟み込み、
前記サイドセパレータは、
前記電池積層体に沿って前記積層方向に延びるとともに前記電池積層体と前記拘束部材の前記平面部との間に介在する第1部分と、
前記第1部分から前記電池積層体側に突出するとともに前記冷却プレートと前記拘束部材の一方の前記腕部との間に介在する第2部分と、
前記第1部分から前記電池積層体側に突出するとともに前記電池積層体と前記拘束部材の他方の前記腕部との間に介在する第3部分と、を有することを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
前記第2部分は、前記積層方向に延び、
前記サイドセパレータは、前記第2部分の前記積層方向における端部から前記電池積層体側に突出する凸部を有する請求項
1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記電池積層体と前記冷却プレートとの間に介在する、絶縁性の熱伝導層をさらに備える請求項1
または2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記熱伝導層は、前記電池積層体および前記冷却プレートに押圧されて、弾性変形または塑性変形する請求項
3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記電池積層体と前記冷却プレートとは、ねじで非締結である請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両用等の、高い出力電圧が要求される電源として、複数個の電池が電気的に接続された電池モジュールが知られている。このような電池モジュールに関して、特許文献1には、積層された複数の電池を有する電池積層体と、電池の積層方向における電池積層体の両端に配置される一対のエンドプレートと、一対のエンドプレート間に掛け渡されて、複数の電池を積層方向に拘束するバインドバーと、電池積層体の底面に接続される冷却プレートと、を備えた電池モジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電池モジュールでは、冷却プレートを電池積層体にねじ止めしていた。本発明者らは従来の電池モジュールについて鋭意研究を重ねた結果、従来の電池モジュールには、構造を簡素化する余地があることを認識するに至った。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、電池モジュールの構造を簡素化するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、電池モジュールである。この電池モジュールは、積層された複数の電池を有する電池積層体と、電池積層体に熱的に接続される冷却プレートと、複数の電池を電池の積層方向に挟み込むとともに電池積層体および冷却プレートをこれらの配列方向に挟み込む拘束部材と、を備える。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電池モジュールの構造を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る電池モジュールの斜視図である。
【
図3】
図3(A)は、電池モジュールの上部を拡大して示す断面図である。
図3(B)は、電池モジュールの底部を拡大して示す断面図である。
【
図4】電池モジュールの底部を拡大して示す斜視図である。
【
図5】実施の形態2に係る電池モジュールの底部を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る電池モジュールの斜視図である。
図2は、電池モジュールの分解斜視図である。電池モジュール1は、電池積層体2と、一対のエンドプレート4と、冷却プレート6と、熱伝導層8と、サイドセパレータ10と、拘束部材12と、を備える。
【0012】
電池積層体2は、複数の電池14と、セル間セパレータ16と、を有する。各電池14は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル-水素電池、ニッケル-カドミウム電池等の充電可能な二次電池である。電池14は、いわゆる角形電池であり、扁平な直方体形状の外装缶18を有する。外装缶18の一面には図示しない略長方形状の開口が設けられ、この開口を介して外装缶18に電極体や電解液等が収容される。外装缶18の開口には、外装缶18を封止する封口板20が設けられる。
【0013】
封口板20には、長手方向の一端寄りに正極の出力端子22が設けられ、他端寄りに負極の出力端子22が設けられる。一対の出力端子22はそれぞれ、電極体を構成する正極板、負極板と電気的に接続される。以下では適宜、正極の出力端子22を正極端子22aと称し、負極の出力端子22を負極端子22bと称する。また、出力端子22の極性を区別する必要がない場合、正極端子22aと負極端子22bとをまとめて出力端子22と称する。外装缶18、封口板20および出力端子22は導電体であり、例えば金属製である。封口板20と外装缶18の開口とは、溶接等により接合される。各出力端子22は、封口板20に形成された貫通孔(図示せず)に挿通される。各出力端子22と各貫通孔との間には、絶縁性のシール部材(図示せず)が介在する。
【0014】
本実施の形態では、説明の便宜上、外装缶18の封口板20が設けられる側の面を電池14の上面、外装缶18の上面に背向する面を電池14の底面とする。また、電池14は、上面および底面をつなぐ2つの主表面を有する。この主表面は、電池14が有する6つの面のうち面積の最も大きい面である。また、主表面は、上面および底面の長辺に接続される長側面である。上面、底面および2つの主表面を除いた残り2つの面は、電池14の側面とする。この側面は、上面および底面の短辺に接続される短側面である。
【0015】
また、説明の便宜上、電池積層体2において電池14の上面側の面を電池積層体2の上面とし、電池14の底面側の面を電池積層体2の底面とし、電池14の短側面側の面を電池積層体2の側面とする。また、電池積層体2の上面側を鉛直方向上方とし、電池積層体2の底面側を鉛直方向下方とする。これらの方向および位置は、便宜上規定したものである。したがって、例えば、本発明において上面と規定された部分は、底面と規定された部分よりも必ず上方に位置することを意味するものではない。
【0016】
封口板20には、一対の出力端子22の間に弁部24が設けられる。弁部24は、安全弁とも呼ばれ、電池14の内部のガスを放出するための機構である。弁部24は、外装缶18の内圧が所定値以上に上昇した際に開弁して、内部のガスを放出できるように構成される。弁部24は、例えば、封口板20の一部に設けられる、他部よりも厚さが薄い薄肉部と、この薄肉部の表面に形成される線状の溝とで構成される。この構成では、外装缶18の内圧が上昇すると、溝を起点に薄肉部が裂けることで開弁される。各電池14の弁部24は、後述する排気ダクト38に接続され、電池内部のガスは弁部24から排気ダクト38に排出される。
【0017】
また、電池14は、絶縁フィルム26を有する。絶縁フィルム26は、例えば筒状のシュリンクチューブであり、外装缶18を内部に通した後に加熱される。これにより、絶縁フィルム26は収縮し、外装缶18の2つの主表面および2つの側面を被覆する。絶縁フィルム26により、隣り合う電池14間、あるいは電池14とエンドプレート4との間の短絡を抑制することができる。
【0018】
複数の電池14は、隣り合う電池14の主表面同士が対向するようにして所定の間隔で積層される。なお、「積層」は、任意の1方向に複数の部材を並べることを意味する。したがって、電池14の積層には、複数の電池14を水平に並べることも含まれる。また、各電池14は、出力端子22が同じ方向を向くように配置される。本実施の形態では便宜上、各電池14は、出力端子22が鉛直方向上方を向くように配置される。隣接する2つの電池14は、一方の電池14の正極端子22aと他方の電池14の負極端子22bとが隣り合うように積層される。
【0019】
セル間セパレータ16は、絶縁スペーサとも呼ばれ、例えば絶縁性を有する樹脂シートからなる。セル間セパレータ16を構成する樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ノリル(登録商標)樹脂(変性PPE)等の熱可塑性樹脂が例示される。セル間セパレータ16は、隣接する2つの電池14の間に配置されて、当該2つの電池14間を電気的に絶縁する。
【0020】
電池積層体2は、一対のエンドプレート4で挟まれる。一対のエンドプレート4は、電池14の積層方向Xにおける電池積層体2の両端に配置される。一対のエンドプレート4は、積層方向Xにおける両端に位置する電池14と、外端セパレータ5を介して隣り合う。外端セパレータ5は、セル間セパレータ16と同じ樹脂材料で構成することができる。各エンドプレート4は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属で構成される金属板である。エンドプレート4と電池14との間に外端セパレータ5が介在することで、両者が絶縁される。
【0021】
各エンドプレート4は、電池14の積層方向Xと直交する方向Y、つまり一対の出力端子22が並ぶ方向を向く2つの面に、締結孔4aを有する。本実施の形態では、3つの締結孔4aが、電池積層体2および冷却プレート6の配列方向Zに所定の間隔をあけて配置されている。締結孔4aが設けられる面は、拘束部材12の平面部54と対向する面である。
【0022】
電池積層体2の上面には、バスバープレート28が載置される。バスバープレート28は、複数の電池14における出力端子22が設けられた面を覆う板状の部材である。バスバープレート28は、各電池14の弁部24に対応する位置に、弁部24を露出させる複数の開口部32を有する。また、バスバープレート28は、開口部32の上方を覆うダクト天板34と、開口部32の側方を囲う側壁36と、を有する。ダクト天板34が側壁36の上端に固定されることで、バスバープレート28に排気ダクト38が形成される。各弁部24は、開口部32を介して排気ダクト38に連通される。
【0023】
また、バスバープレート28は、電池14の出力端子22に対応する位置に、出力端子22を露出させる開口部40を有する。各開口部40には、バスバー42が載置される。複数のバスバー42は、バスバープレート28によって支持される。各開口部40に載置されたバスバー42によって、隣り合う電池14の正極端子22aと負極端子22bとが電気的に接続される。
【0024】
バスバー42は、銅やアルミニウム等の金属で構成される略帯状の部材である。バスバー42は、一方の端部が一方の電池14の正極端子22aに接続され、他方の端部が他方の電池14の負極端子22bに接続される。なお、バスバー42は、隣接する複数個の電池14における同極性の出力端子22どうしを並列接続して電池ブロックを形成し、さらに電池ブロックどうしを直列接続してもよい。
【0025】
積層方向Xにおいて両端に位置する電池14の出力端子22に接続されるバスバー42は、外部接続端子44を有する。外部接続端子44は、後述するトップカバー60の端子部62に電気的に接続される。外部接続端子44は、端子部62を介して外部負荷(図示せず)に接続される。また、バスバープレート28には、電圧検出線46が載置される。電圧検出線46は、複数の電池14に電気的に接続されて各電池14の電圧を検出する。電圧検出線46は、複数の導線(図示せず)を有する。各導線は、一端が各バスバー42に接続され、他端がコネクタ48に接続される。コネクタ48は、外部の電池ECU(図示せず)等に接続される。電池ECUは、各電池14の電圧等の検知、各電池14の充放電等を制御する。
【0026】
冷却プレート6は、アルミニウム等の熱伝導性の高い材料で構成される。冷却プレート6は、電池積層体2に熱的に接続されて、つまり電池積層体2に熱交換可能に接続されて、各電池14を冷却する。本実施の形態では、冷却プレート6の主表面に電池積層体2が載置される。電池積層体2は、底面が冷却プレート6側を向くようにして、冷却プレート6に載置される。なお、冷却プレート6は、水やエチレングリコール等の冷媒が流れる流路を内部に有してもよい。これにより、電池14の冷却効率をより高めることができる。
【0027】
電池積層体2と冷却プレート6との間には、絶縁性の熱伝導層8が介在する。つまり、冷却プレート6は、熱伝導層8を介して電池積層体2に熱的に接続される。本実施の形態の熱伝導層8は、電池積層体2の底面全体を覆っている。熱伝導層8の熱伝導率は空気の熱伝導率よりも高い。熱伝導層8は、例えばアクリルゴムシートやシリコーンゴムシート等の、良好な熱伝導性を有する公知の樹脂シート等で構成することができる。
【0028】
熱伝導層8を電池積層体2と冷却プレート6との間に介在させることで、各電池14の冷却効率を高めることができるとともに、各電池14をより均一に冷却することができる。また、熱伝導層8が絶縁性を有することで、熱伝導層8を介して電池積層体2と冷却プレート6とが電気的に接続されてしまうことを回避することができる。さらに、熱伝導層8によって、電池積層体2および冷却プレート6の配列方向Zと垂直な方向(つまり、XY平面の延在方向)における電池積層体2と冷却プレート6とのずれを抑制することができる。
【0029】
サイドセパレータ10は、電池14の積層方向Xに長い長尺状の部材である。本実施の形態では、電池14の積層方向Xと直交する方向Yに、一対のサイドセパレータ10が配列される。各サイドセパレータ10は、例えば絶縁性を有する樹脂からなる。サイドセパレータ10を構成する樹脂としては、セル間セパレータ16と同様に、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ノリル(登録商標)樹脂(変性PPE)等の熱可塑性樹脂が例示される。
【0030】
一対のサイドセパレータ10の間には、電池積層体2、一対のエンドプレート4、冷却プレート6および熱伝導層8が配置される。各サイドセパレータ10は、第1部分50と、第2部分52と、第3部分53と、を有する。第1部分50は、矩形状であり、電池積層体2の側面に沿って電池14の積層方向Xに延びる。第2部分52は、積層方向Xに延びる帯状であり、第1部分50の下辺から電池積層体2側に突出する。第3部分53は、積層方向Xに延びる帯状であり、第1部分50の上辺から電池積層体2側に突出する。
【0031】
拘束部材12は、バインドバーとも呼ばれ、電池14の積層方向Xに長い長尺状の部材である。本実施の形態では、電池14の積層方向Xと直交する方向Yに、一対の拘束部材12が配列される。各拘束部材12は、鉄やステンレス鋼等の金属で構成される。一対の拘束部材12の間には、電池積層体2、一対のエンドプレート4、冷却プレート6、熱伝導層8および一対のサイドセパレータ10が配置される。
【0032】
各拘束部材12は、平面部54と、一対の腕部56と、を有する。平面部54は、矩形状であり、電池積層体2の側面に沿って積層方向Xに延びる。一対の腕部56は、平面部54の端部から電池積層体2側に突出するとともに、電池積層体2および冷却プレート6の配列方向Zで対向する。つまり、一方の腕部56は、平面部54の上辺から電池積層体2側に突出し、他方の腕部56は、平面部54の下辺から電池積層体2側に突出する。一対の腕部56の間には、電池積層体2、冷却プレート6、熱伝導層8および一対のサイドセパレータ10が配置される。
【0033】
平面部54における各エンドプレート4と対向する領域には、コンタクトプレート68が溶接等により固定される。コンタクトプレート68は、配列方向Zに長い部材である。コンタクトプレート68には、エンドプレート4の締結孔4aに対応する位置に、コンタクトプレート68を方向Yに貫通する貫通孔70が設けられる。また、平面部54は、コンタクトプレート68の貫通孔70に対応する位置に、平面部54を方向Yに貫通する貫通孔58を有する。
【0034】
各拘束部材12の平面部54に一対のエンドプレート4が係合することで、複数の電池14が積層方向Xに拘束される。具体的には、複数の電池14と複数のセル間セパレータ16とが交互に配列されて電池積層体2が形成され、電池積層体2が外端セパレータ5を介して一対のエンドプレート4で方向Xに挟まれる。また、電池積層体2の底面に熱伝導層8が配置され、さらに熱伝導層8を挟んで電池積層体2と対向するように冷却プレート6が配置される。この状態で、電池積層体2、一対のエンドプレート4、冷却プレート6および熱伝導層8が、一対のサイドセパレータ10で方向Yに挟まれる。さらに、一対のサイドセパレータ10の外側から、一対の拘束部材12が全体を方向Yに挟み込む。
【0035】
一対のエンドプレート4と一対の拘束部材12とは、締結孔4a、貫通孔70および貫通孔58が重なり合うように、互いに位置合わせされる。そして、ねじ等の締結部材59が貫通孔58および貫通孔70に挿通され、締結孔4aに螺合される。これにより、一対のエンドプレート4と一対の拘束部材12とが固定される。一対のエンドプレート4と一対の拘束部材12とが係合されることで、複数の電池14は、積層方向Xにおいて締め付けられて拘束される。これにより、各電池14は、積層方向Xにおいて位置決めされる。また、複数の電池14の上面および底面は、配列方向Zにおいて互いに対向する2つの腕部56に挟まれる。これにより、複数の電池14は、配列方向Zにおいて位置決めされる。
【0036】
一例として、これらの位置決めが完了した後に、電池積層体2にバスバープレート28が載置される。そして、各電池14の出力端子22にバスバー42が取り付けられて、複数の電池14の出力端子22どうしが電気的に接続される。例えばバスバー42は、溶接により出力端子22に固定される。
【0037】
バスバープレート28の上面には、トップカバー60が積層される。トップカバー60により、電池14の出力端子22や弁部24、バスバー42等への結露水や塵埃等の接触が抑制される。トップカバー60は、例えば絶縁性を有する樹脂からなる。トップカバー60は、配列方向Zで外部接続端子44と重なる位置に、端子部62を有する。トップカバー60は、例えばスナップフィットによりバスバープレート28に固定される。トップカバー60がバスバープレート28に載置された状態で、外部接続端子44と端子部62とが接続される。
【0038】
図3(A)は、電池モジュールの上部を拡大して示す断面図である。
図3(B)は、電池モジュールの底部を拡大して示す断面図である。
図4は、電池モジュールの底部を拡大して示す斜視図である。
図3(A)では、バスバープレート28およびトップカバー60の図示を省略している。また、
図3(A)および
図3(B)では、電池14の内部構造の図示を省略している。
図4では、エンドプレート4の図示を省略している。
【0039】
本実施の形態の拘束部材12は、複数の電池14を電池14の積層方向Xに挟み込むとともに、電池積層体2および冷却プレート6をこれらの配列方向Zに挟み込む。具体的には、拘束部材12は、電池14の積層方向Xにおける平面部54の両端部が一対のエンドプレート4と係合することで、複数の電池14を積層方向Xに挟み込む(
図1,2参照)。また、拘束部材12は、一対の腕部56で電池積層体2、熱伝導層8および冷却プレート6を配列方向Zに挟み込む。つまり、拘束部材12は、複数の電池14を締結する機能と、電池積層体2と冷却プレート6とを締結する機能とを兼ね備えている。したがって、電池積層体2と冷却プレート6とは、従来の構造とは異なり、ねじで非締結である。
【0040】
サイドセパレータ10の第1部分50は、電池積層体2の側面に沿って電池14の積層方向Xに延在する。拘束部材12の平面部54は、第1部分50の外側で、電池積層体2の側面に沿って電池14の積層方向Xに延在する。したがって、サイドセパレータ10の第1部分50は、電池積層体2の側面と拘束部材12の平面部54との間に介在する。これにより、各電池14の側面と拘束部材12とが電気的に絶縁される。
【0041】
サイドセパレータ10の第2部分52は、冷却プレート6の下側、つまり電池積層体2とは反対側の主表面に当接する。拘束部材12における平面部54の下端から突出する腕部56は、第2部分52の外側で、冷却プレート6の下側の主表面に沿って延在する。したがって、サイドセパレータ10の第2部分52は、冷却プレート6と拘束部材12の一方の腕部56、つまり下側の腕部56との間に介在する。これにより、冷却プレート6と拘束部材12とが電気的に絶縁される。
【0042】
サイドセパレータ10の第3部分53は、電池積層体2の上面に当接する。拘束部材12における平面部54の上端から突出する腕部56は、第3部分53の外側で、電池積層体2の上面に沿って延在する。したがって、サイドセパレータ10の第3部分53は、電池積層体2の上面と拘束部材12の他方の腕部56、つまり上側の腕部56との間に介在する。これにより、各電池14の上面と拘束部材12とが電気的に絶縁される。
【0043】
また、一対の腕部56によって電池積層体2、熱伝導層8および冷却プレート6が配列方向Zに挟み込まれた状態で、熱伝導層8は、電池積層体2および冷却プレート6に押圧されて、弾性変形または塑性変形する。これにより、電池積層体2と冷却プレート6との熱的な接続をより確実に得ることができる。また、電池積層体2全体の冷却の均一化を図ることができる。
【0044】
サイドセパレータ10の第3部分53は、折り返し部64を有する。折り返し部64は、第3部分53の電池積層体2側に突出した先端から、方向Yにおける電池モジュール1の外側に向かって延びる。第3部分53と折り返し部64との間には、配列方向Zに所定の間隔が設けられ、拘束部材12の上側の腕部56は、第3部分53と折り返し部64との間の空間に差し込まれる。したがって、上側の腕部56の先端は、サイドセパレータ10で包み込まれる。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態に係る電池モジュール1は、積層された複数の電池14を有する電池積層体2と、電池積層体2に熱的に接続される冷却プレート6と、複数の電池14を電池14の積層方向Xに挟み込むとともに電池積層体2および冷却プレート6をこれらの配列方向Zに挟み込む拘束部材12と、を備える。つまり、本実施の形態では、拘束部材12によって複数の電池14の締結と、電池積層体2および冷却プレート6の締結とを行っている。したがって、電池積層体2と冷却プレート6とは、ねじで非締結である。
【0046】
これにより、電池積層体2と冷却プレート6とをねじ止めする場合に比べて、電池モジュール1の構造を簡素化することができる。また、電池モジュール1の部品点数を削減することができ、電池モジュール1の組み立ての簡略化を図ることができる。
【0047】
また、電池モジュール1は、電池14の積層方向Xにおける電池積層体2の両端に配置される一対のエンドプレート4を備える。また、拘束部材12は、電池積層体2に沿って積層方向Xに延びる平面部54と、平面部54の端部から電池積層体2側に突出するとともに配列方向Zで対向する一対の腕部56と、を有する。そして、拘束部材12は、平面部54の積層方向Xにおける両端部が一対のエンドプレート4と係合して複数の電池14を挟み込み、一対の腕部56で電池積層体2および冷却プレート6を挟み込む。これにより、構造が簡単な拘束部材12で、複数の電池14の締結と、電池積層体2および冷却プレート6の締結とを実現することができる。
【0048】
また、電池モジュール1は、サイドセパレータ10を備える。サイドセパレータ10は、電池積層体2に沿って積層方向Xに延びるとともに電池積層体2と拘束部材12の平面部54との間に介在する第1部分50と、第1部分50から電池積層体2側に突出するとともに冷却プレート6と拘束部材12の一方の腕部56との間に介在する第2部分52と、第1部分50から電池積層体2側に突出するとともに電池積層体2と拘束部材12の他方の腕部56との間に介在する第3部分53と、を有する。これにより、拘束部材12と電池積層体2とを電気的に絶縁することができ、また拘束部材12と冷却プレート6とを電気的に絶縁することができる。
【0049】
また、電池モジュール1は、電池積層体2と冷却プレート6との間に介在する絶縁性の熱伝導層8を備える。これにより、各電池14の冷却効率を高めることができ、また各電池14の冷却の均一化を図ることができる。また、電池積層体2および冷却プレート6のずれを抑制することができる。また、熱伝導層8は、電池積層体2と冷却プレート6とに押圧されて、弾性変形または塑性変形する。これにより、電池積層体2と冷却プレート6との熱的な接続をより確実に得ることができ、また電池積層体2全体の冷却の均一化を図ることができる。さらに、電池積層体2と冷却プレート6とのずれをより一層抑制することができる。
【0050】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る電池モジュールは、サイドセパレータの形状を除き、実施の形態1と共通の構成を有する。以下、本実施の形態に係る電池モジュールについて実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
図5は、実施の形態2に係る電池モジュールの底部を拡大して示す斜視図である。なお、
図5では、エンドプレート4の図示を省略している。
【0051】
本実施の形態の電池モジュール1は、電池積層体2と、電池積層体2に熱的に接続される冷却プレート6と、複数の電池14を積層方向Xに挟み込むとともに電池積層体2および冷却プレート6を配列方向Zに挟み込む拘束部材12と、を備える。拘束部材12は、電池積層体2の側面に沿って延びる平面部54と、平面部54の上端および下端から電池積層体2側に突出する一対の腕部56と、を有する。平面部54の積層方向Xにおける両端部は、電池積層体2を積層方向Xに挟む一対のエンドプレート4と係合する。これにより、複数の電池14が積層方向Xに挟み込まれる。また、一対の腕部56は、電池積層体2および冷却プレート6を配列方向Zに挟み込む。電池積層体2と冷却プレート6とは、ねじで非締結である。
【0052】
また、電池積層体2と冷却プレート6との間には、絶縁性の熱伝導層8が介在する。熱伝導層8は、電池積層体2および冷却プレート6に押圧されて、弾性変形または塑性変形する。
【0053】
また、電池モジュール1は、一対のサイドセパレータ10を備える。各サイドセパレータ10は、第1部分50と、第2部分52と、第3部分53と、を有する。第1部分50は、電池積層体2に沿って積層方向Xに延びるとともに電池積層体2の側面と拘束部材12の平面部54との間に介在する。第2部分52は、第1部分50の下端から電池積層体2側に突出するとともに冷却プレート6と拘束部材12の下側の腕部56との間に介在する。第3部分53は、第1部分50の上端から電池積層体2側に突出するとともに電池積層体2の上面と拘束部材12の上側の腕部56との間に介在する。
【0054】
第2部分52は、電池14の積層方向Xに延在する。第2部分52の積層方向Xにおける端部は、冷却プレート6よりも電池モジュール1の外側に位置する。そして、サイドセパレータ10は、第2部分52の積層方向Xにおける端部から、電池積層体2側に突出する凸部66を有する。凸部66は、各サイドセパレータ10における積層方向Xの両端部に設けられる。したがって、凸部66は、電池モジュール1における四隅に設けられる。
【0055】
凸部66の先端は、冷却プレート6の電池積層体2とは反対側の主表面よりも電池積層体2側に位置する。つまり、積層方向Xから見て、凸部66は一部が冷却プレート6と重なっている。凸部66は、より好ましくは冷却プレート6の電池積層体2側の主表面まで突出し、さらに好ましくは熱伝導層8まで突出する。したがって、冷却プレート6は、凸部66によって積層方向Xに挟まれる。これにより、冷却プレート6の積層方向Xにおけるずれを抑制することができる。よって、電池モジュール1から冷却プレート6が積層方向Xに突き出してしまうことを抑制することができる。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。各実施の形態に含まれる構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0057】
電池モジュール1が備える電池14の数は特に限定されない。エンドプレート4と拘束部材12との締結構造は、特に限定されない。電池14は、円筒状等であってもよい。サイドセパレータ10は、分割された複数の部品で構成されてもよい。電池積層体2と冷却プレート6との間の熱伝導と摩擦力とが十分に確保できる場合には、熱伝導層8を省略し、PETやPCからなる絶縁シートを電池積層体2と冷却プレート6との間に介在させてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 電池モジュール、 2 電池積層体、 4 エンドプレート、 6 冷却プレート、 8 熱伝導層、 10 サイドセパレータ、 12 拘束部材、 14 電池、 50 第1部分、 52 第2部分、 53 第3部分、 54 平面部、 56 腕部、 66 凸部。