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特許7325605低いTHF含量のポリブチレンテレフタレート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】低いTHF含量のポリブチレンテレフタレート
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/02 20060101AFI20230804BHJP
【FI】
C08L67/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022506225
(86)(22)【出願日】2020-07-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(86)【国際出願番号】 EP2020071156
(87)【国際公開番号】W WO2021018848
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-01-28
(31)【優先権主張番号】19188765.2
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505422707
【氏名又は名称】ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・ビーンミュラー
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン・ハルムス
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-36442(JP,A)
【文献】特開2000-154306(JP,A)
【文献】特開2001-261953(JP,A)
【文献】特表2010-508414(JP,A)
【文献】国際公開第2013/146281(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L67/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
VDA 277に準拠して測定して50μgC/g未満のTVOC(総揮発性有機化合物)びVDA 278に準拠して測定して8μg/g未満のVOCTHF (THF放出)を有するように、自動車インテリアにおける構成部品へと射出成形によって加工するためのポリブチレンテレフタレートを含んでなる配合物からのテトラヒドロフラン放出を低減するためのポリエチレンテレフタレートの使用方法であって、
この方法は、ポリブチレンテレフタレートの100質量部当たり5~30質量部のポリエチレンテレフタレートを前記配合物に添加することによるものであり、但し、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートコポリマーとしてではなく混合物として存在する、ポリエチレンテレフタレートの使用方法
【請求項2】
前記ポリエチレンテレフタレートは、ウベローデ粘度計を使用して25℃で、1:1の重量部のフェノール/o-ジクロロベンゼン中でISO 1628-1に準拠して測定される30cm/g~150cm/gの範囲の固有粘度を有することを特徴とする、請求項に記載の使用方法
【請求項3】
前記ポリエチレンテレフタレートは、ウベローデ粘度計を使用して25℃で、1:1の重量部のフェノール/o-ジクロロベンゼン中でISO 1628-1に準拠して測定される40cm /g~130cm /gの範囲の固有粘度を有することを特徴とする、請求項1に記載の使用方法。
【請求項4】
前記ポリエチレンテレフタレートは、ウベローデ粘度計を使用して25℃で、1:1の重量部のフェノール/o-ジクロロベンゼン中でISO 1628-1に準拠して測定される50cm /g~100cm /gの範囲の固有粘度を有することを特徴とする、請求項1に記載の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形による低いTVOC含量及び低いテトラヒドロフラン含量を有するポリブチレンテレフタレートベースの自動車内装品の製造のためのポリエチレンテレフタレートの使用であって、TVOCが「全揮発性有機化合物」を表す使用に関する。
【背景技術】
【0002】
明白な複雑性にもかかわらず、過去に、インテリアに見られる、揮発性有機化合物、略してVOCの多様性を評価する手段を見出そうとする試みは不足していなかった。この目的のために、インテリアにおけるVOC濃度についての指標として個々の化合物の濃度の合計が用いられ、TVOC値(全揮発性有機化合物)を決定するために使用される指標パラメータの形態での構成概念が使用されている;(非特許文献1)を参照されたい。
【0003】
「測定物体」、例えば特にn-デカン、トルエン又はホルムアルデヒドが明確に定義されている、屋内空気中の個々の物質を測定する場合とは違って、VOC混合物の分析においては、どの物質がVOCとして記載されるべきであるかを考慮することが必要である。これに関連して一様なアプローチを達成するために、屋内空気中の有機物質を取り組んでいる世界保健機関のワーキングループは、初期段階において有機化合物の分類を実施した。沸点に基づいている、このWHO分類は表1に示され、この定義に従い、ホルムアルデヒドもジエチルヘキシルフタレートもVOCに属することが指摘されなければならない。
【0004】
【表1】
【0005】
(非特許文献2)によれば、好ましくはガラス繊維で強化された、配合物の形態でのポリブチレンテレフタレート(PBT)は、電気工学/エレクトロニクス部門及び車両産業、とりわけ自動車産業における絶対必要なプラスチックである。こうして(非特許文献3)は、自動車内装品におけるデリケートな拡声器グリル及び換気装置グリルのためのPBTブレンドの使用を記載している。(特許文献1)は、その製造がとりわけ、マトリックスプラスチックとしてPBTを用い得る、動力車用の機能化内装トリム部品を記載している。
【0006】
半結晶性プラスチックとして、PBTは、220℃~225℃の範囲の狭い融解範囲を有する。高い結晶割合は、PBTでできたストレスフリーの成形部品が変形及び損傷なしに溶融温度の下までの短期間加熱にさらされることが可能にする。純PBT溶融物は、280℃まで短期熱安定性を示し、実質的な分子分解を受けず、ガス及び蒸気の実質的な発生も示さない。しかしながら、全ての熱可塑性ポリマーのように、PBTは、過度の熱ストレス下に、特に過熱時に又は焼失方法によるクリーニング中に分解する。これは、ガス状分解生成物を形成する。分解は、約300℃超で加速し、最初に主にテトラヒドロフラン(THF)及び水が形成される。
【0007】
(特許文献2)によれば、THFは、モノマー1,4-ブタンジオール(BDO)から分子内縮合によってPBTの製造中に既に形成される。この反応は、用いられるテレフタル酸(PTA)によって及びPBTを製造するために通常使用されるチタン系触媒によっての両方で触媒され得る。或いは、PTAの代わりにジメチルテレフタレート(DMT)を使用することが可能である。
【0008】
しかしながら、THFはまた、高温でのPBT溶融物においても連続的に再生される。「バックバイティング」とも言われる、このプロセスは、BDO末端基で起こる。BDOモノマーからのTHF形成と同様に、この反応は、望ましくない副生成物テトラヒドロフランを与える分子内縮合である。溶融物におけるポリマーからのTHF再生は、また、酸末端基(PTA)によって及び存在する任意の(チタン系)触媒によっての両方で触媒される。
【0009】
ヒトの健康及び環境へのテトラヒドロフランの影響は、REACHの下での物質評価の一環として2013年に独国によって試験されている。IARC(国際がん研究機関)は、2017年に、テトラヒドロフランを発がん性物質であり得るものとして分類した。
【0010】
PBTの製造中にTHFを回避するための技術的手段は別として、増加しつつある健康意識及び動力車の嗅覚的品質に関する増加しつつある消費者需要は、特に、日射の結果としての高温の影響下に、自動車内装に使用された材料からのいかなるガス放出も低減するか、又は更に完全に回避するための努力が行われつつあることを意味する。この目的に向けて、ドイツ自動車工業会(Verband der Automobilhersteller)(VDA)は、車両インテリアに使用される構成部品からのガス放出を定量するための、異なるガスクロマトグラフ方法に基づく2つの試験仕様書VDA 277及びVDA 278を発行している。
【0011】
静的ヘッドスペース法及び炎イオン化検出(FID)に基づく、且つ、揮発性炭素化合物の全TVOC含量を示す(TVOC=Total Volatile Organic Compounds(総揮発性有機化合物))、VDA 277は、1995年に公表された。これに、2002年に、動的ヘッドスペース法、いわゆる熱吸着に基づく、且つ、揮発性有機化合物(VOC)及び凝縮できる成分(霧値)の両方を示すVDA 278が続いた。射出成形後の成分に常に適用される、相当する閾値は、自動車メーカー(OEM)によって設定されるが、通常、VDAの提案に基づいている。
【0012】
VDA 277の要求を考慮して、それゆえ、PBTのTHF放出を低減するための多くの試みがこれまで行われてきた:
(特許文献3)スルホン酸成分がそれら自体、健康に有害な~発がん性として現在分類されているが、重合中のスルホン酸成分の添加;
(特許文献4)((特許文献5))PBT製造に使用されるSn又はSb触媒を失活させるための重合中の乳酸をベースとするポリエステルへのポリアクリル酸の添加;
(特許文献6)((特許文献7))PBT製造に使用されたチタン触媒を失活させるためのリン含有成分の添加。(特許文献6)に明記されている放出の値は、百分率である、すなわち、それらは、絶対値ではなく、いかなる場合にも改善の必要がある;
(特許文献8)0.01%~2%の濃度でのスチレン-アクリルポリマー(例えばJoncryl(登録商標)ADR-4368)の添加、しかし、これは、鎖延長及びPBTの分子量の増加をもたらした;
(特許文献9)次亜リン酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、EDTAの二ナトリウム塩、EDTAの二アンモニウム塩、EDTA、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン二コハク酸及び、特に、1,3-プロピレンジアミン四酢酸の群からのキレート剤の添加;
(特許文献10)は、その実施例において、100重量部のポリブチレンテレフタレート、8.4又は8.7重量部のポリエチレンテレフタレート及び50又は52重量部のシラン被覆ガラス繊維を含む射出成形組成物を開示している;
(特許文献11)は、実施例1において、100重量部のポリブチレンテレフタレート、約13重量部のポリエチレンテレフタレート及びガラス繊維を含む射出成形組成物を教示している;
(特許文献12)((特許文献13))VDA277に従って100μgC/g以下のTVOCを含むPBT成形部品の製造のための次亜リン酸ナトリウム又はエポキシ官能化スチレン-アクリル酸ポリマーの添加。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】国際公開第2013/020627 A1号パンフレット
【文献】欧州特許出願公開第2 029 271 A1号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0 683 201 A1号明細書
【文献】欧州特許出願公開第1 070 097 A1号明細書
【文献】国際公開第99/50345 A1号パンフレット
【文献】欧州特許出願公開第1 999 181 A2号明細書
【文献】国際公開第2007/111890A2号パンフレット
【文献】欧州特許第2 427 511 B1号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2 816 081 A1号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3 287 493 A1号明細書
【文献】特開2016 145333号公報
【文献】欧州特許出願公開第3 004 242 A1号明細書
【文献】国際公開第2014/195176 A1号パンフレット
【非特許文献】
【0014】
【文献】B.Seifert,Bundesgesundheitsblatt-Gesundheitsforschung-Gesundheitsschutz,42,pages 270-278,Springer-Verlag 1999
【文献】G.Blinne,Kunststoffe 10/1999
【文献】AutomobilKONSTRUKTION 2/2011,pages 18-19
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
この先行技術から始まって、最適化されたTVOC値及びTHFガス放出挙動を有する自動車内装品を射出成形するためのPBTベースの配合物を提供することが本発明の目的であり、ここで、射出成形部品に関して測定されるガス放出挙動は、ドイツ自動車工業会(VDA)によるVDA 277に従って50μgC/g未満のTVOC及びVDA 278に従って5μg/g未満VOCTHFを意味するものとして理解されるべきである。この目的は、好ましくは、上記の先行技術において列挙された添加剤の使用なしに達成されるものとする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
意外にも、ポリエチレンテレフタレート(PET)が単独で、PBTからのTHFのガス放出の低減をもたらし、こうして、自動車インテリアにおけるPBTベースの構成部品に対するVDA 277の要件の遵守のみならず、加えてVDA 278の要件の遵守をも達成することを可能にすることが今や見出された。
【0017】
本発明との関連における実験は、意外にも、本発明により用いられるPETの添加が、PETの希釈効果を越える、総放出TVOC及びTHF放出TVOCTHF又はVOCTHFの著しい低減をもたらすことを示している。単に、本発明によるPETの使用によって、VDA 277に従って射出成形によって製造された構成部品についての測定可能なTVOC値は、平均90~100μgC/gから45μgC/g未満まで減少した。THF含量は、平均80~85μgC/gから30μgC/g未満に減少した。PETの存在は、平均6~7μg/gから2μg/g未満までだけVDA 278に従ったVOCTHFを低減した。全ての情報は、本明細書で以下に記載されるような対応するテスト仕様に定義された条件に関係する。
【0018】
本発明は、PBT及びPETをベースとする配合物を含有する自動車内装品であって、PBTの100質量部当たり、配合物が5~30質量部のPETを用い、好ましくは、50μgC/g未満のVDA 277に従って測定されるTVOC及び5μg/g未満のVDA 278に従って測定されるVOCTHFを有する、但し、PET及びPBTがコポリマーとしてではなく、むしろ混合物として存在する自動車内装品に関する。
【0019】
本発明はまた、50μgC/g未満のVDA 277に従って測定されるTVOC及び5μg/g未満のVDA 278に従って測定されるVOCTHFを有する自動車インテリアにおける構成部品へと射出成形によって加工するためのPBTベースの配合物であって、PBTの100質量部当たり5~30質量部のPETが用いられる、但し、PET及びPBTがコポリマーとしてではなく、むしろ混合物として存在する配合物の製造のためのPETの使用に関する。
【0020】
本発明は最後に、PBTベースの自動車内装品におけるTHF含量の低減方法であって、射出成形によるそれらの製造が、少なくともポリエチレンテレフタレートを含むポリブチレンテレフタレートベースの配合物を用い、ここで、ポリブチレンテレフタレートの100質量部当たり5~30質量部のポリエチレンテレフタレートが存在する、但し、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレートは、コポリマーとしてではなく、むしろ混合物として存在することを特徴とする方法に関する。
【0021】
分かりやすくするために、本発明の範囲は、一般に又は任意の所望の組合せでの好ましい範囲で以下に列挙される定義及びパラメータの全てを含むことが指摘される。特に明記しない限り、本出願との関連で列挙される標準は、本発明の出願日における最新版に関係している。メルトインデックス、MFR=メルトマスフローレイト又はMFI=メルトフローインデックスは、熱可塑性材料の流動挙動を特徴付けるために用いられる。メルトインデックスの測定は、キャピラリレオメータの特別な実施形態を表すメルトインデックス測定機器を用いて達成される。メルトインデックス測定は、DIN EN ISO 1133[2]に標準化されている。これは、特定の圧力及び特定の温度で10分間に規定の寸法を有するキャピラリを通って流れるグラム単位の材料の量を規定するMFR値をメルトインデックスとして定義している。メルトインデックスは、g・(10分)-1の単位で報告される;https://wiki.polymerservice-merseburg.de/index.php?title=Schmelze-Masseflie%C3%9Frate&printable=yesを参照されたい。
【0022】
VDA 277に関しては、本発明は、1995年版を指し、一方、VDA 278に関しては、本発明は、2011年10月版を指す。
【0023】
本発明との関連でTVOC、TVOCTHFの及びVOCTHFの試験は、それぞれの標準の仕様に従って実施された:
VDA 277は、サンプリングが商品の受取り直後に又はそれに相当する条件で実施されなければならないことを明記している。新たに射出成形された部品の輸送及び保管は、一般に調整なしに、アルミニウム被覆PE(ポリレチレン)バッグ中で気密に実施されるべきである。
【0024】
VDA 278は、検査される材料は、普通は、製造の8時間以内にアルミニウム被覆PEバッグ中に気密に包装されるべきであること、及びサンプルは直ちに実験室に送付されるべきであることを明記している。測定前に、サンプルは、標準気候条件(23℃、50%相対湿度)下で7日間調整されるべきである。
【0025】
本発明との関連で測定されるTVOCTHFは、VDA 277に従ったTVOCと同じ方法によって測定され、ここで、評価は、個々の物質THFに基づくものであった。本発明との関連で、TVOCTHFは、それ故、サンプルのTHF放出挙動を示す。
【0026】
本発明との関連で、VOCTHFは、VDA 278に従ったVOCと同じ方法によって測定され、ここで、評価は、個々の物質THFに基づくものである。VOCTHFは、それ故、サンプルのTHF放出挙動を示す。
【0027】
配合(配合すること=「まとめること」)は、特性の所望のプロファイルを達成するための補助剤の、好ましくは充填材、添加剤等の混合によるプラスチックの処理を記述するプラスチック業界からの用語である。本発明との関連で、配合は、真空脱ガス帯を有する二軸スクリュー押出機において、好ましくは真空脱ガス帯を有する共回転二軸スクリュー押出機において実施される。配合は、搬送、融解、分散、混合、脱ガス及び加圧のプロセス操作を含む。配合の製品は配合物である。
【0028】
配合の目的は、プラスチック原材料、本発明の場合には、ブタンジオールとPTA又はDMTとの反応から生じるPBTを、ここでは、VDA 277及びVDA 278に従った自動車内装品の形態での、加工及びその後の使用にとって最良の可能な特性を有するプラスチック成形配合物へ変換することである。配合の目的には、粒径を変えること、添加剤を組み入れること、及び構成成分を除去することである。多くのプラスチックは、粉末又は大きい粒径の樹脂として生成し、それ故、加工機、とりわけ射出成形機にとって適切ではないので、これらの原材料のさらなる処理は、特に重要である。ポリマー、ここではPBTと、添加剤との最終混合物は、成形配合物と呼ばれる。処理前に、成形配合物の個々の構成要素は、粉状、粒状又は液体/流動性などの物質の様々な状態にあり得る。配合機を使用する目的は、構成要素をできる限り均質に混合して成形配合物を与えることである。配合は、好ましくは、以下の添加剤:酸化防止剤、滑剤、衝撃改質剤、帯電防止剤、繊維、タルク、硫酸バリウム、チョーク、熱安定剤、鉄粉、光安定剤、剥離剤、離型剤、核形成剤、UV吸収剤、難燃剤、PTFE、ガラス繊維、カーボンブラック、ガラス球、シリコーンを用いる。
【0029】
配合は、また、構成成分を除去するためにも用いられ得る。それは、好ましくは、2つの構成成分、すなわち水分分画を除去すること(除湿)又は低分子量構成要素を除去すること(脱ガス)である。本発明との関連で、PBTの合成における副生成物として得られるTHFは、真空を適用することによって成形配合物から除去される。
【0030】
配合における2つの必要不可欠なステップは、混合及びペレット化である。混合との関連で、分配混合、すなわち、成形配合物中の全ての粒子の一様な分配と、分散混合、すなわち、組み入れられる構成要素の分配及び粉砕との間で区別が行われる。混合プロセスは、それ自体、粘性相においてか又は固相においてかのどちらかで行われ得る。固相における混合の場合、添加剤は、既に粉砕された形態にあるので、分配効果は好ましい。固相における混合は、良好な混合品質を達成するのにめったに十分ではないので、それは、多くの場合プレミキシングと言われる。プレミックスは、次いで融解状態で混合される。粘性混合は、一般に、5つの操作:ポリマー及び添加された物質を(後者の場合にはできる限り)融解させること、固体塊(塊は集塊である)を粉砕すること、添加剤をポリマー溶融物で湿らすこと、構成要素を一様に分配させること、並びに望ましくない構成成分、好ましくは空気、水分、溶媒及び、本発明により考慮されるPBTの場合には、THFを分離することを含む。粘性混合のために必要とされる熱は、せん断及び構成要素の摩擦によって実質的に生じる。本発明により考慮されるPBTの場合には、粘性混合を用いることが好ましい。
【0031】
添加された物質のペレットへの吸収及び拡散を改善するために、比較的高い温度での混合を行うことが必要であり得る。加熱/冷却ミキサー系がここでは用いられる。混合される材料は、加熱ミキサーで混合され、次いで冷却ミキサーへ流れ、そこで、それは一時的に保管される。これは、乾燥ブレンドの製造方法である。
【0032】
PBTを配合するために、共回転二軸スクリュー押出機/配合押出機を用いることが好ましい。配合機/押出機の目的には、それに供給されるプラスチック組成物の取入れ、それの圧縮、エネルギーを供給することによる同時の可塑化及び均質化、並びに圧力下でのプロファイリング金型への供給が含まれる。共回転スクリューペアを有する二軸スクリュー押出機は、それらの良好な混合のために、プラスチックの、とりわけPBTの処理(配合)に好適である。共回転二軸スクリュー押出機は、幾つかの処理帯へ分割される。これらの帯は、連結されており、互いに独立して考えることはできない。したがって例えば、溶融物への繊維の組入れは、所定の分散帯においてのみならず、排出帯においても及び他のスクリューチャンネルにおいても実施される。
【0033】
ほとんどの処理装置がプラスチックを必要とするので、本ケースにおける、ペレットの形態にある、PBTでは、ペレット化がこれまで以上に重要な役割を果たす。熱間切断と冷間切断との間で基本的な区別が行われる。これは、処理に従って異なる粒子形態をもたらす。熱間切断の場合には、プラスチックは、好ましくは、真珠又はレンズ状ペレット形で得られる。冷間切断の場合には、プラスチックは好ましくは円筒形又は立方体形で得られる。
【0034】
熱間切断の場合には、押し出されたストランドは、水がその上を流れる回転ナイフによってダイの直下流で細断される。水は、個々のペレットがくっつくのを防ぎ、材料を冷却する。冷却は、好ましくは、水を使用して行われるが、空気を使用することも可能である。適切なクーラントの選択は、それ故、材料に依存する。水冷却のデメリットは、ペレットがその後の乾燥を必要とすることである。冷間切断の場合には、ストランドは先ず、水浴を通して延伸され、次いで、回転ナイフローラー(造粒機)によって固体状態で所望の長さに切断される。本発明により用いられるPBTの場合には、冷間切断が用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、好ましくは、PBT及び少なくともPETをベースとする配合物を含有する射出成形によって得られる車両内装品であって、50μgC/g未満のVDA 277に従って測定されるTVOC及び5μg/g未満のVDA 278に従って測定されるVOCTHFを有する、PBTの100質量部当たり5~30質量部のPETが用いられる車両内装品に関する。
【0036】
配合機
本発明によれば、配合押出機として、特に好ましくは共回転スクリュー対を有する二軸スクリュー押出機を用いて、自動車内装品のためにPBTの配合を行うことが好ましい。配合機の、特に二軸スクリュー押出機の形態での配合機の目的には、それに供給されるプラスチック組成物の取入れ、それの圧縮、エネルギーを供給することによる同時可塑化及び均質化、並びにプロファイリング金型への圧力下での供給が含まれる。本発明により好ましくは使用され得る二軸スクリュー押出機は、PBTを配合するのに、好ましくは少なくとも1種の充填材をPBT中へ組み入れるのに好適である。
【0037】
本発明により用いられる二軸スクリュー押出機は、例えば独国実用新案第203 20 505 U1号明細書から当業者に公知であり、好ましくは、Coperion Werner & Pfleiderer GmbH & Co.KG,Stuttgartによって市場に出されている。本発明により用いられる二軸スクリュー押出機は、複数の処理帯に分割される。これらの帯は、連結しており、互いに独立して考えることはできない。その内容が参照により本発明に本明細書によって完全に援用される、独国実用新案第203 20 505 U1号明細書は、本発明により好ましくは使用可能な二軸スクリュー押出機の、本発明との関連で配合区域とも言われる、処理帯を、供給手段(14)、取入れ帯(15)、融解帯(16)、大気脱ガス帯(17)、少なくとも1つの充填材供給帯(18)、充填材組入れ帯(19)、バックアップ帯(20)、真空脱ガス帯(21)、加圧帯(22)及び排出帯(23)に分割している。
【0038】
本発明によれば、二軸スクリュー押出機は、3~10t/h(1時間当たりのメトリックトン)の範囲の処理量で好ましくは運転される。
【0039】
本発明によれば、60mm~100mmの範囲のスクリュー径を有する二軸スクリュー押出機を用いることが好ましい。
【0040】
本発明によれば、300±50mbarの範囲の圧力が、二軸スクリュー押出機の真空脱ガス帯に使用されることが好ましい。本発明との関連で、報告圧力は、大気圧より低い圧力/真空であり、それぞれの行き渡った大気圧を基準としている(相対圧力)。DIN 28400-1によれば、真空は、「ガスの圧力、従って粒子数密度が外側よりも容器中で低い場合、又はガスの圧力が300mbarよりも低い、すなわち、地球表面上の最低大気圧未満である場合のガスの状態」と定義される。
【0041】
本発明に従って求められるような二軸スクリュー押出機の真空脱ガス帯での300±50mbarの圧力は、回転羽根ポンプ、液封ポンプ、スクロールポンプ、Rootsポンプ及びスクリューポンプの範囲からの真空ポンプを使用して達成される。https://www.pfeiffer-vacuum.com/de/know-how/einfuehrung-in-die-vakuumtechnik/allgemeines/vakuum-definition/を参照されたい。
【0042】
本発明により用いられる二軸スクリュー押出機の配合区域は、供給手段、取入れ帯、融解帯、大気脱ガス帯、少なくとも1つの充填材供給帯、充填材組入れ帯、バックアップ帯、真空脱ガス帯、加圧帯及び排出帯を含む。本発明によれば、真空脱ガス帯は、配合区域の最後の三分の一に置かれており、ここで、最後の三分の一は、二軸スクリュー押出機の全長を基準としている。二軸スクリュー押出機の全長は、取入れ帯の始まりと排出帯の終わりとの間の距離と定義される。最後の三分の一は、明確に排出帯を含む。
【0043】
好ましくは二軸スクリュー押出機における、PBTとPETとの配合の結果は、非常に低いTHF含量のペレットの形態での低THFのPBT配合物である。このTHF含量は非常に低いので、分解プロセスがTHF再生をもたらす、射出成形におけるペレットの加工後でさえも、50μgC/g未満のVDA 277に従って測定されるTVOC及び5μg/g未満のVDA 278に従って測定されるVOCTHFを有する、製品、とりわけ自動車内装品を成形することが依然として可能である。
【0044】
ポリブチレンテレフタレート
本発明により使用可能なPBT[CAS No.24968-12-5]は、例えば、商品名Pocan(登録商標)でLanxess Deutschland GmbH,Cologneから入手可能である。
【0045】
DIN EN ISO 1628-5に従ってフェノール/o-ジクロロベンゼン混合物中の0.5重量%溶液(25℃で1:1の重量比)で測定される、本発明により用いられるPBTの粘度数は、好ましくは50~220cm/gの範囲に、特に好ましくは80~160cm/gの範囲にある;Schott Instruments GmbH冊子,O.Hofbeck,2007-07を参照されたい。
【0046】
滴定方法、特に電位差滴定法によって測定されるそのカルボキシル末端基含量が、100meq/kg以下、好ましくは50meq/kg以下、特に40meq/kg以下のポリエステルであるPBTがとりわけ好ましい。そのようなポリエステルは、例えば独国特許出願公開第A 44 01 055号明細書の方法によって製造可能である。本発明により用いられるPBT中のカルボキシル末端基(CEG)の含量は、本発明との関連で、ニトロベンゼンに溶解させられたPBTのサンプルが規定される過剰の酢酸カリウムと反応させられるときに遊離する酢酸の電位差滴定法によって測定された。
【0047】
ポリアルキレンテレフタレートは、好ましくは、Ti触媒を使って製造される。重合後に、本発明により用いられるPBTは、好ましくは250ppm以下、特に好ましくは200ppm未満、とりわけ好ましくは150ppm未満の、DIN 51418に従ってX線蛍光分析(XRF)によって測定されるTi含量を有する。そのようなポリエステルは、好ましくは、その内容が参照により本明細書によって完全に援用される、独国特許第101 55 419 B4号明細書の方法に従って製造される。
【0048】
ポリエチレンテレフタレート(PET)
PBTにおけるTHF含量を低減するための混合パートナーとして用いられるPET(CAS No.25038-59-9)は、芳香族ジカルボン酸又はそれの反応性誘導体、好ましくはジメチルエステル若しくは酸無水物と、脂肪族、脂環式又は芳香脂肪族ジオール及びこれらの反応剤の混合物との反応生成物である。本発明により好ましくは使用可能なPETは、テレフタル酸(又はその反応性誘導体)及び2個の炭素原子を有する脂肪族ジオールから公知の方法によって製造される(Kunststoff-Handbuch,Vol.VIII,pp.695-703,Karl-Hanser-Verlag,Munich 1973)。PETは、好ましくは、二軸スクリュー押出機の配合区域における少なくとも1つの充填材供給帯を通って組み入れられる。
【0049】
好ましくは使用可能なPETは、ジカルボン酸を基準として、少なくとも80モル%、特に好ましくは少なくとも90モル%のテレフタル酸基及びジオール成分を基準として、少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも90モル%のエチレングリコール基を含有する。
【0050】
好ましくは使用可能なPETは、テレフタル酸基のみならず、20モル%以下の、8~14個の炭素原子を有する他の芳香族ジカルボン酸の基又は4~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸の基、特に好ましくはフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、シクロヘキサン二酢酸又はシクロヘキサンジカルボン酸の基をまた含有し得る。
【0051】
好ましくは使用可能なPETは、エチレングリコール基のみならず、20モル%以下の、3~12個の炭素原子を有する他の脂肪族ジオール又は6~21個の炭素原子を有する脂環式ジオールをまた含有し得る。プロパン-1,3-ジオール、2-エチルプロパン-1,3-ジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、3-メチルペンタン-2,4-ジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,6-ジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、2,2-ジエチルプロパン-1,3-ジオール、ヘキサン-2,5-ジオール、1,4-ジ(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,4-ジヒドロキシ-1,1,3,3-テトラメチルシクロブタン、2,2-ビス(3-β-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン又は2,2-ビス(4-ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパンの基が特に好ましい(独国特許出願公開第A 24 07 674号明細書、独国特許出願公開第A 24 07 776号明細書、独国特許出願公開第A 27 15 932号明細書)。
【0052】
一実施形態において、本発明による混合パートナーとして用いられるPETは、例えば独国特許出願公開第A 19 00 270号明細書に記載されているなどの、比較的少量の三価若しくは四価のアルコール又は三塩基性若しくは四塩基性カルボン酸の組入れによって分岐していてもよい。好ましい分岐剤は、トリメシン酸、トリメリット酸、トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパン、並びにペンタエリスリトールである。
【0053】
本発明によるPBTの混合パートナーとして用いられるPETは、好ましくは、各場合に、Ubbelohde粘度計を使用して25℃でフェノール/o-ジクロロベンゼン-1:1重量部-中でISO 1628-1に類似的に測定される、約30cm/g~150cm/gの範囲の、特に好ましくは40cm/g~130cm/gの範囲の、とりわけ好ましくは50cm/g~100cm/gの範囲の固有粘度を有する。粘度は、120℃で市販の空気循環乾燥機中で、当業者に公知のカールフィッシャー法によって測定される、0.02%以下の含水率まで材料を乾燥させることによって測定される。
【0054】
充填材
好ましい実施形態において、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレートに加えて、少なくとも1種の充填材が、二軸スクリュー押出機の配合区域における少なくとも1つの充填材供給帯を通って組み入れられる。この場合に、本発明による配合物は、各場合にポリブチレンテレフタレートの100質量部を基準として、好ましくは、0.001~70質量部、特に好ましくは5~50質量部、非常に特に好ましくは9~48質量部の、少なくとも1種の充填材を含有する。
【0055】
本発明により使用される充填材は、タルク、雲母、シリケート、石英、二酸化チタン、ウォラストナイト、カオリン、カヤナイト、非晶質シリカ、炭酸マグネシウム、チョーク、長石、硫酸バリウム、ガラス球及び繊維状充填材、特にガラス繊維又は炭素繊維からなる群から好ましくは選択される。ガラス繊維を用いることがとりわけ好ましい。
【0056】
「http://de.wikipedia.org/wiki/Faser-Kunststoff-Verbund」によれば、0.1~1mmの範囲の長さを有する、短繊維としても知られる、細断ファイバー、1~50mmの範囲の長さを有する長繊維、及び50mm超の長さを有する連続繊維の間で区別される。短繊維は、射出成形に使用され、押出機で直接処理される。長繊維は、同様に依然として押出機で処理することができる。前記繊維は、繊維噴霧において広く使用されている。長繊維は、充填材として熱硬化性樹脂に頻繁に添加される。連続繊維は、繊維強化プラスチックにおいてロービング又は布の形態で使用される。連続繊維を含む製品は、最高の剛性及び強度値を達成する。細砕ガラス繊維も利用可能であり、細砕後のこれらの長さは、典型的には70~200μmの範囲にある。
【0057】
本発明によれば、1~50mmの範囲の、特に好ましくは1~10mmの範囲の、非常に特に好ましくは2~7mmの範囲の出発長さを有する細断された長ガラス繊維を充填材として用いることが好ましい。初期長さは、本発明による成形配合物を与えるための本発明による配合物の配合前に存在するようなガラス繊維の平均長さを指す。充填材として使用可能な、繊維、好ましくはガラス繊維は、配合の結果として、自動車内装品の形態での製品中に、元々用いられた繊維又はガラス繊維よりも小さいd90及び/又はd50値を有し得る。こうして、処理後の繊維長/ガラス繊維長の算術平均は、頻繁に、ISO 13320に従ってレーザ回折法によって測定されるように、たったの150μm~300μmの範囲にある。
【0058】
本発明との関連で、繊維長及び繊維長分布/ガラス繊維長及びガラス繊維長分布は、処理された繊維/ガラス繊維の場合には、サンプルを最初に625℃で灰化することを規定する、ISO 22314に従って測定される。その後、灰は、顕微鏡スライド上へ置かれ、好適な結晶皿において脱塩水で覆われ、灰は、機械力の作用なしに超音波浴中で分配させられる。次のステップは、130℃でのオーブン中における乾燥、引き続く光学顕微鏡画像の助けを借りた繊維長の測定を含む。この目的のために、少なくとも100個のガラス繊維が3つの画像から測定され、そのようにして合計300個のガラス繊維が長さを突き止めるために使用される。ガラス繊維長は、本明細書では、方程式
【数1】
(ここで、I=i番目の繊維の長さであり、n=測定された繊維の数である)
に従って算術平均Iとして計算し、好適にはヒストグラムとして示すことができるか、又は測定ガラス繊維長の仮定正規分布についてIは、方程式
【数2】
に従ってガウス関数を用いて決定され得るかのどちらかである。
【0059】
この方程式において、I及びσは、正規分布の特定のパラメータであり:Iは平均であり、σは標準偏差である(M.Schossig,Schaedigungsmechanismen in faserverstaerkten Kunststoffen,1,2011,Vieweg und Teubner Verlag,page 35、ISBN 978-3-8348-1483-8を参照されたい)。ポリマーマトリックス中へ組み入れられないガラス繊維は、上記の方法によって、しかし灰化による処理及び灰からの分離なしでそれらの長さに関して分析される。
【0060】
本発明による充填材として好ましくは使用可能なガラス繊維[CAS No.65997-17-3]は、
当業者に利用可能な少なくとも1つの手段によって測定可能な、特に、「Quantitative Messung von Faserlaengen und-verteilung in faserverstaerkten Kunststoffteilen mittels μ-Roentgen-Computertomographie」,J.KASTNERら,DGZfP-Jahrestagung 2007-Vortrag 47に類似してX線コンピュータ計算トモグラフィによって測定可能な、好ましくは7~18μmの範囲の、特に好ましくは9~15μm範囲の繊維径を有する。充填材として好ましくは使用可能なガラス繊維は、好ましくは、細断又は細砕ガラス繊維の形態で添加される。
【0061】
好ましい実施形態において、充填材、好ましくはガラス繊維は、好適なサイズシステム又は接着促進剤/接着促進剤システムで処理される。シラン系サイズシステム又は接着促進剤を使用することが好ましい。充填材として好ましくは使用可能なガラス繊維の処理のための特に好ましいシラン系の接着促進剤は、一般式(I)
(X-(CH-Si-(O-CrH2r+14-k (I)
(式中、
Xは、NH-、カルボキシル-、HO-又は
【化1】
であり、
qは、2~10、好ましくは3~4の整数であり、
rは、1~5、好ましくは1~2の整数であり、
kは、1~3の整数、好ましくは1である)
のシラン化合物である。
【0062】
とりわけ好ましい接着促進剤は、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノブチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシラン及び置換基Xとしてグリシジル基又はカルボキシル基を含む相当するシランの群からのシラン化合物であり、ここで、カルボキシル基がとりわけ特に好ましい。
【0063】
充填材として好ましくは使用可能なガラス繊維の処理のために、接着促進剤、好ましくは式(I)のシラン化合物は、各場合に充填材の100重量%を基準として、好ましくは0.05重量%から2重量%の量で、特に好ましくは0.25重量%~1.5重量%の量で、非常に特に好ましくは0.5重量%~1重量%の量で用いられる。
【0064】
配合物を与えるための/製品を与えるための加工の結果として、充填材として好ましくは使用可能なガラス繊維は、元々用いられたガラス繊維よりも、配合物において/製品において短いものであり得る。従って、高解像度x線コンピュータ計算トモグラフィによって測定される、加工後のガラス繊維長の算術平均は、頻繁に、わずか150μm~300μmの範囲にある。
【0065】
「http://www.r-g.de/wiki/Glasfasern」によれば、ガラス繊維は、融解紡糸プロセス(ダイ延伸、ロッド延伸及びダイブローイングプロセス)において製造される。ダイ延伸プロセスにおいて、ガラスの熱塊が白金紡糸口金プレートの数百のダイ穴を通って重力下で流れる。フィラメントは、無限長で3~4km/分の速度で延伸することができる。
【0066】
当業者は、それらのいくつかが例としてここでリストアップされる、異なるタイプのガラス繊維:
・ Eガラス、最適の費用-便益比を有する最も一般的に使用される材料(R&G製のEガラス)
・ Hガラス、減量のための中空ガラス繊維(R&G中空ガラス繊維布 160g/m及び216g/m
・ R,Sガラス、高い機械的要求のための(R&G製のS2ガラス)
・ Dガラス、高い電気的要求のためのホウケイ酸ガラス
・ Cガラス、増加した耐薬品性を有する
・ 石英ガラス、熱安定性を有する
を区別する。
【0067】
さらなる例は、「http://de.wikipedia.org/wiki/Glasfaser」において見出すことができる。Eガラス繊維は、プラスチック強化のために最大の重要性を得ている。Eは、それが元々特に電気産業において元々使用されていたので、電気ガラスを表す。
【0068】
Eガラスの製造のために、ガラス溶融物は、石灰石、カオリン及びホウ酸を添加した純石英から製造される。二酸化ケイ素と同じように、それらは、異なる量の様々な金属酸化物を含有する。組成は、製品の特性を決定する。Eガラス、Hガラス、R,Sガラス、Dガラス、Cガラス及び石英ガラスの群からの少なくとも1つのタイプのガラス繊維を使用することが本発明に従って好ましく、Eガラスでできたガラス繊維を使用することが特に好ましい。
【0069】
Eガラスでできたガラス繊維は、最も一般的に使用される強化材である。強度特性は、金属(例えばアルミニウム合金)のそれらに相当し、Eガラス繊維を含有するラミネートの比重は、金属のそれよりも低い。Eガラス繊維は、不燃性であり、約400℃まで耐熱性であり、ほとんどの化学薬品及び気候影響に対して安定である。
【0070】
小板形状の無機充填材もまた、充填材として特に好ましく用いられる。小板形状の無機充填材は、本発明によれば、カオリン、雲母、タルク、クロライト並びにクロライトタルク及びプラストライト(雲母/クロライト/石英)などの連晶の群からの、非常に目立つ小板形状キャラクターを有する少なくとも1つの無機充填材を意味するとして理解されるべきである。タルクが特に好ましい。
【0071】
小板形状の無機充填材は、好ましくは、高解像度x線コンピュータ計算トモグラフィによる測定に関して2:1~35:1の範囲の、より好ましくは3:1~19:1の範囲の、とりわけ好ましくは4:1~12:1の範囲の長さ/直径比を有する。高解像度x線コンピュータ計算トモグラフィによる測定に関して小板形状の無機充填材の平均粒径は、好ましくは20μm未満、特に好ましくは15μm未満、とりわけ好ましくは10μm未満である。
【0072】
5~250μmの範囲の、好ましくは10~150μmの範囲の、特に好ましくは15~80μmの範囲の、非常に特に好ましくは16~25μmの範囲のd90値を有するISO 13320に従ってレーザ回折法によって測定される粒度分布を有する非繊維状及び非発泡粉砕ガラスもまた、充填材として好ましくは用いられる。d90値、それらの測定及びそれらの重要性に関連して、Chemie Ingenieur Technik(72)S.273-276,3/2000,Wiley-VCH Verlags GmbH,Weinheim,2000に言及され、それによれば、d90値は、粒子の量の90%がそれよりも下にある粒径である(中央値)。
【0073】
本発明によれば、非繊維状及び非発泡粉砕ガラスは、微粒子の、非円筒形状を有し、5未満、好ましくは3未満、特に好ましくは2未満のISO 13320に従ったレーザ回折法によって測定される長さ対厚さ比を有する。ゼロの価は不可能であることは十分理解されるであろう。
【0074】
充填材として特に好ましくは使用可能な非発泡及び非繊維状粉砕ガラスは、さらに、それが、5超のISO 13320に従ったレーザ回折法によって測定される長さ対直径比(L/D)比)を有する円筒形又は卵形横断面のガラス繊維に典型的なガラスジオメトリを持たないことを特徴とする。
【0075】
本発明による充填材として特に好ましく使用可能な非発泡及び非繊維状粉砕ガラスは、ミル、好ましくはボールミルでガラスを粉砕することによって、特に好ましくはその後の篩い分け(sifting)又は篩い分け(sieving)ありで好ましくは得られる。一実施形態において充填材として使用するための非繊維状及び非発泡粉砕ガラスの粉砕用の好ましい出発原料には、特にガラス製造品の生産において望ましくない副生成物として及び/又は規格外一次産品(いわゆる規格外商品)として発生するなどのガラス廃棄物も含まれる。これには、特に窓ガラス又は瓶ガラスの生産において及びガラス含有充填材の生産において、特にいわゆるメルトケーキの形態で、発生し得るなどの廃ガラス、リサイクルガラス及び割れたガラスが特に含まれる。ガラスは、着色されていてもよいが、充填材として使用するための出発原料として非着色ガラスが好ましい。
【0076】
本発明によれば、例えば、CS 7967として、LANXESS Deutschland GmbH,Cologneから入手可能であるなどの、4.5mmの平均長さd50を好ましくは有する、Eガラスをベースとする長ガラス繊維(DIN 1259)が特に好ましい。
【0077】
他の添加剤
好ましい実施形態において、PBTは、本発明によれば、PET及び任意選択的に充填材に加えてそれにさらなる添加剤を添加されている。本発明により好ましくは使用可能な添加剤は、安定剤、特にUV安定剤、熱安定剤、ガンマ線安定剤、また帯電防止剤、エラストマー改質剤、流れ促進剤、離型剤、難燃剤、乳化剤、核形成剤、可塑剤、滑剤、染料、顔料及び導電性を高めるための添加剤である。これらの及びさらなる好適な添加剤は、例えば、Gaechter、Mueller,Kunststoff-Additive,3rd Edition,Hanser-Verlag,Munich,Vienna,1989に及びPlastics Additives Handbook,5th Edition,Hanser-Verlag,Munich,2001に記載されている。添加剤は、単独で又は混合剤で/マスターバッチの形態で用いられ得る。
【0078】
自動車内装品。本発明との関連で、自動車内装品という用語は、動力車の外面の構成成分ではない、又は動力車の外面上にいかなる割合のそれらのエリアも持たない全ての射出成形部品に関係している。
【0079】
本発明により製造される自動車内装品用の射出成形部品には、上記の先行技術において記載された構成部品のみならず、好ましくはトリムピース、プラグ、電気部品又は電子部品も含まれる。これらは、近代的自動車のインテリアにますます増える数で設置されて多くの構成要素、特に車両シート又はインフォテインメントモジュールのますます増える電化を可能にする。PBTベースの構成部品はまた、多くの場合、機械的ストレスを受ける機能性部品用に自動車において使用される。
【0080】
本発明は、好ましくは、PET及び少なくとも1種の充填材、好ましくはガラス繊維との混合剤でPBTをベースとする配合物を含有する自動車内装品であって、PBTの100質量部当たり配合物が5~30質量部のPET、好ましくは10~25質量部のPET、特に好ましくは12~17質量部のPET、及び0.001~70質量部、特に好ましくは5~50質量部、非常に特に好ましくは9~48質量部の充填材を用い、好ましくは、50μgC/g未満のVDA 277に従って測定されるTVOC及び5μg/g未満のVDA 278に従って測定されるVOCTHFを有する自動車内装品に関する。
【0081】
自動車内装品の構成部品の製造プロセス
本発明により用いられるPBTベースの配合物の加工は、4つのステップ:
1)BDO及びPTA又はBDO及びDMTからのPBTの重合;
2)PET及び任意選択的に少なくとも1種の充填材、特にタルク又はガラス繊維、並びに任意選択的に少なくとも1種のさらなる添加剤、特に熱安定剤、離型剤又は顔料の、PBT溶融物への添加、組入れ及び混合による配合;
3)溶融物の排出及び固化並びにペレット化及び高温で暖かい空気でのペレットの乾燥;
4)射出成形による乾燥ペレットからの自動車内装品の製造
において実施される。
【0082】
射出成形
射出成形による自動車内装品を製造するための本発明によるプロセスは、160℃~330℃の範囲の、好ましくは190℃~300℃の範囲の溶融温度で、及び任意選択的にまた、2500bar以下の圧力で、好ましくは2000bar以下の圧力で、特に好ましくは1500bar以下の圧力で、非常に特に好ましくは750bar以下の圧力で行われる。本発明によるPBTベースの配合物又は配合物は、並外れた溶融安定性を特徴とし、ここで、本発明との関連で、溶融安定性は、260℃超という成形配合物の融点よりも著しく上で5分超の滞留時間後でさえも、ISO 1133(1997)に従って測定可能な溶融粘度の増加が全く観察されないことを意味すると当業者によって理解されるであろう。
【0083】
射出成形のプロセスは、加熱された円筒形空洞において、本発明により用いられる配合物の形態での、好ましくはペレットの形態での原材料の融解(可塑化)、及び射出成形配合物としてのそれの、プロファイリング金型の温度制御された空洞への圧力下での供給を特徴とする。好ましくは300±50mbarの圧力での真空下で、配合機において配合することによって成形配合物へと好ましくは既に処理されている、ここで、前記成形配合物が、順繰りに、好ましくはペレットへと加工されている本発明による配合物が原材料として用いられる。しかしながら、一実施形態において、ペレット化は避けられ、成形配合物が圧力下に、プロファイリング金型に直接供給されてもよい。温度制御された空洞へ注入された成形配合物の冷却(固化)後に、射出成形部品は、離型される。
【0084】
本発明による方法は、好ましくは、50μgC/g未満のVDA 277に従って測定されるTVOC及び8μg/g未満のVDA 278に従って測定されるVOCTHFを有する自動車内装品を与える。
【0085】
本発明による方法は、好ましくは、50~220cm/gの範囲のDIN EN ISO 1628-5に従って25℃で1:1の重量比のフェノール/o-ジクロロベンゼン混合物中の0.5重量%溶液で測定される粘度数を有するポリブチレンテレフタレートを用いる。
【0086】
本発明による方法において、ポリブチレンテレフタレートは、好ましくは、250ppm以下のDIN 51418に従ってX線蛍光分析(XRF)によって測定されるTi含量を有する。
【0087】
本発明による方法に用いられるポリエチレンテレフタレートは、好ましくは、ジカルボン酸を基準として、少なくとも80モル%のテレフタル酸基及び、ジオール成分を基準として、少なくとも80モル%のエチレングリコール基を含有する。
【0088】
本発明による方法は、好ましくは、Ubbelohde粘度計を使用して25℃でフェノール/o-ジクロロベンゼン-1:1重量部-中でISO 1628-1に類似的に測定される約30cm/g~150cm/gの範囲の固有粘度を有するポリエチレンテレフタレートを用いる。
【0089】
本発明による方法は、好ましくは、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレートに加えて、少なくとも1種の充填材を、ポリブチレンテレフタレートの100質量部を基準として0.001~70質量部の範囲の量で用いる。特に好ましくは、タルク、雲母、シリケート、石英、二酸化チタン、ウォラストナイト、カオリン、カヤナイト、非晶質シリカ、炭酸マグネシウム、チョーク、長石、硫酸バリウム、ガラス球及び繊維状充填材、特にガラス繊維又は炭素繊維の群からの充填材、とりわけ好ましくはガラス繊維がそのために特に好ましくは用いられる。
【0090】
好ましい実施形態において、本発明による方法は、一般式(I)
(X-(CH-Si-(O-C2r+14-k (I)
(式中、
Xは、NH-、カルボキシル、HO-又はであり、
qは、2~10の整数であり、
rは、1~5の整数であり、
kは、1~3の整数である)
のシラン系接着促進剤と共に用いられる充填材を用いる。
【0091】
本発明による方法は、好ましくは、自動車内装品、特にトリムピース、プラグ、電気部品又は電子部品を与える。
【0092】
以下の実施例は、本発明を明らかにするのに役立つが、限定効果を全く持たない。
【実施例
【0093】
TVOC
本発明との関連でサンプルのTVOC値を測定するために、各場合に約2gの粉砕サンプル(約20mgの断片)を、VDA 277の仕様に従ってねじ蓋及びセプタムを有する20mLサンプルバイアルへ量り入れた。これらを120℃で、5時間ヘッドスペースオーブン中で加熱した。ガス空間の小サンプルを次いでガスクロマトグラフ(Agilent 7890B GC)へ注入し、分析した。Agilent 5977B MSD検出器を用いた。分析を三重反復で行い、アセトン較正を用いて半定量的に評価した。結果をμgC/g単位で求めた。本発明との関連で超えるべきではない閾値は50μgC/gであった。分析は、VDA 277試験仕様に基づくものであった。
【0094】
VOC
VOC値は、VDA 278の仕様に従う場合、20mgのサンプルを、Gerstel製のフリット(020801-005-00)付きのGERSTEL-TD 3.5機器用の熱脱着管へ量り入れた。前記サンプルをヘリウム流れ中で90℃に30分間加熱し、こうして脱着した物質を、下流のコールドトラップにおいて-150℃で凍結させた。脱着時間が経過したらすぐに、コールドトラップを280℃に急速加熱し、集められた物質をクロマトグラフィ(Agilent 7890B GC)によって分離した。検出は、Agilent 5977B MS半定量的にDを用いて行った。評価は、トルエン較正を用いて半定量的に行った。結果をμg/g単位で求めた。本発明との関連で超えるべきではない閾値は100μg/gの総VOC及び5μg/gのTHFであった。分析は、VDA 278試験仕様に基づくものであった。
【0095】
出発原料
ポリブチレンテレフタレート(PBT):LANXESS Pocan(登録商標)B1300
ポリエチレンテレフタレート(PET):Equipolymers LighterTMC93
ガラス繊維(GF):LANXESS CS7967D、4.5mmの範囲の平均長さ及び10マイクロメートルの平均フィラメント径を有する0.9重量%のシランで表面被覆されたEガラスでできたガラス繊維
【0096】
サンプルの調製
実施例1
用いられた配合機は、Coperion製のZSK 92二軸スクリュー押出機であった。配合機を、約270℃の溶融温度、1時間当たり4トンの処理量及び300±50mbarの圧力で運転した。ストランドを、水浴中で冷却し、空気流れ中の傾斜台上で乾燥させ、次いで乾式ペレット化に供した。
【0097】
本実施例は、PBTの100質量部当たり50質量部の細断ガラス繊維及び15質量部のPETを含有するPBT成形配合物をベースとする配合物を用いた。このように用いられたPBTは、170μgC/gのVDA 277に従って測定されるTVOC値を有した。
【0098】
配合された材料を、次いで、乾燥空気乾燥機中で120℃で4h乾燥させ、標準条件(260℃溶融温度、80℃金型温度)下での射出成形によって加工した。
【0099】
比較例
用いられた配合機は、Coperion製のZSK 92二軸スクリュー押出機であった。配合機を、約270℃の溶融温度、1時間当たり4トンの処理量及び300±50mbarの圧力で運転した。ストランドを、水浴中で冷却し、空気流れ中の傾斜台上で乾燥させ、次いで乾式ペレット化に供した。
【0100】
本実施例は、43.3質量部の細断ガラス繊維を含有するPBT成形配合物をベースとする配合物を用いた。このように用いられたPBTは、170μgC/gのVDA 277に従って測定されるTVOC値を有した。
【0101】
配合された材料を、乾燥空気乾燥機中で120℃で4h乾燥させ、標準条件(260℃溶融温度、80℃金型温度)下での射出成形によって加工した。
【0102】
【表2】
【0103】
本発明の実施例において及び比較例においての両方で、DIN EN ISO 527-2に従って、5つの多目的試験検体1Aをそれぞれ射出成形で製造し、それらのTHF含量をVDA 277及びVDA 278に従って測定した[部品(射出成形された)]。表2は、2つの測定(二重反復測定)の各々のセットからの平均値を報告する。研究ペレットの場合に、2×2g(VDA 277)又は2×20mg(VDA 278)を秤量し、それのTHF含量を、VDA 277及びVDA 278に従って二重反復測定で測定した。
【0104】
表2は、射出成形前の乾燥ペレットに関して及びDIN EN ISO 527-2に従った射出成形多目的試験検体1Aに関してVDA 277の仕様に従って測定されたTVOC及びTVOCTHF値、並びにまた全放出中のTHFの百分率%THFを示す。また、射出成形での使用の前の乾燥粒状物質に関して及びDIN EN ISO 527-2に従った射出成形多目的試験検体1Aに関してVDA 278の仕様に従って測定されたTHF値を示す。
【0105】
表2に報告されるテスト結果は、本発明の実施例における100質量部のPBTへの15質量部のPETの添加が、THFの量の、したがって全放出の際立った低減をもたらすことを示す。ここで特に意外であるのは、PETによるPBTの希釈効果をはるかに越える成形品に関して測定される、-64.5%TVOC(95.2に比べて33.8)及び-65.1%TVOCTHF(82.5に比べて28.8)及び-73.3%VOCTHF(6.0に比べて1.6)の低減の程度である。PETが何らかの反応効果を有するとは当業者は予期していなかったであろうから、TVOC及び加工中のPBTからのTHFの形成へのこの影響は、当業者には予期されなかった。