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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】電気化学分析チップ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/28 20060101AFI20230804BHJP
   G01N 27/30 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
G01N27/28 M
G01N27/30 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022510349
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2020014117
(87)【国際公開番号】W WO2021192247
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】322008069
【氏名又は名称】朱 子誠
(73)【特許権者】
【識別番号】513064210
【氏名又は名称】山口 佳則
(73)【特許権者】
【識別番号】521021373
【氏名又は名称】光馳科技(上海)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000464
【氏名又は名称】弁理士法人いしい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朱 子誠
(72)【発明者】
【氏名】山口 佳則
(72)【発明者】
【氏名】山中 啓一郎
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-117342(JP,A)
【文献】特開平01-291153(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0302097(US,A1)
【文献】国際公開第2021/009845(WO,A1)
【文献】特開2019-105637(JP,A)
【文献】国際公開第94/002631(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26-27/49
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極を有するとともに絶縁性の基材に設けられたセンサ部と、前記基材に設けられて試料液を前記センサ部に導く流路部とを備えた電気化学分析チップであって、
前記基材に複数の前記センサ部が設けられており、
前記流路部は、前記基材の外面に開口した試料液供給口と、同一の試料液を前記試料液供給口から複数の前記センサ部に導く試料液流路とを備えており
前記センサ部は、前記基材に装着可能な電極チップに設けられており、
前記基材は、前記基材の外面に開口して前記電極チップが挿入される電極チップ配置部を備えており、
前記電極チップ配置部に前記試料液流路が繋がっているとともに、前記電極チップ配置部の内壁と前記電極チップとの間に、試料液が毛細管現象によって前記試料液流路から前記電極チップ配置部の開口に向けて浸透する隙間が設けられている、電気化学分析チップ。
【請求項2】
前記流路部は、1つの前記試料液供給口に繋がる複数の前記試料液流路を備えている、請求項1に記載の電気化学分析チップ。
【請求項3】
前記流路部は、複数の前記センサ部ごとに前記試料液供給口と前記試料液流路とを備えており、
複数の前記試料液供給口は、前記基材の外面に互いに近接配置されている、請求項1に記載の電気化学分析チップ。
【請求項4】
前記センサ部は、前記電極として、作用電極と参照電極とを備えており、又は作用電極と参照電極と対極を備えており、
前記電極は、絶縁性の基板の上に形成された金属層と、前記基板上に前記金属層を覆って形成された炭素層と、前記金属層の上面と前記炭素層との間に形成された上部接着層と、を備え、
前記上部接着層はシリコンで形成されている、請求項1~のいずれか一項に記載の電気化学分析チップ。
【請求項5】
複数の電極を有するとともに絶縁性の基材に設けられたセンサ部と、前記基材に設けられて試料液を前記センサ部に導く流路部とを備えた電気化学分析チップであって、
前記基材に複数の前記センサ部が設けられており、
前記流路部は、前記基材の外面に開口した試料液供給口と、同一の試料液を前記試料液供給口から複数の前記センサ部に導く試料液流路とを備えており、
前記センサ部は、前記電極として、作用電極と参照電極とを備えており、又は作用電極と参照電極と対極を備えており、
前記電極は、絶縁性の基板の上に形成された金属層と、前記基板上に前記金属層を覆って形成された炭素層と、前記金属層の上面と前記炭素層との間に形成された上部接着層と、を備え、
前記上部接着層はシリコンで形成されている、電気化学分析チップ。
【請求項6】
前記基材は、前記センサ部が形成されたベース基板と、前記流路部を形成する流路基板と、前記流路基板を覆うカバー基板とが積層されて構成されている、請求項5に記載の電気化学分析チップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料液中に含まれ得る特定物質の濃度を測定するための電気化学分析チップに関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学測定の原理を利用した測定は、溶液中の重金属の高感度測定や、酵素電極を利用したグルコース測定、イオン電極を利用したpH(ペーハー)の測定、残留農薬の電気化学検出に代表される食物検査など、多くの場面で使用されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
電気化学測定において、絶縁性の基板の上に電極を形成した電気化学分析チップを使用できることが知られている。電気化学分析チップにおいて、電極は基本的に単層構造であり、電極材料としては、銀、白金、金、アルミニウムなどの金属材料、又は炭素などの導電性材料が用いられる。
【0004】
ところで、従来の電気化学分析チップを用いて多項目の測定を同時に行う場合には、それぞれにサンプリング操作が必要であった。しかし、それぞれにサンプリング操作を行なうと、濃度斑(サンプル検体の位置や、サンプリング箇所、初期のものなのか、中間なのか等で濃度が異なる)が生じ、測定精度や再現性が低下するという問題があった。また、同一の試料液に対して複数回のサンプリング操作を行うには、多量の試料液が必要になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-248668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記現状を改善すべく成されたものであり、1回のサンプリング操作で複数項目の測定を行える電気化学分析チップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気化学分析チップは、複数の電極を有するとともに絶縁性の基材に設けられたセンサ部と、前記基材に設けられて試料液を前記センサ部に導く流路部とを備えたものであって、前記基材に複数の前記センサ部が設けられており、前記流路部は、前記基材の外面に開口した試料液供給口と、同一の試料液を前記試料液供給口から複数の前記センサ部に導く試料液流路とを備えているものである。
【0008】
本発明の電気化学分析チップによれば、試料液流路によって同一の試料液を試料液供給口から複数のセンサ部に導くことができるので、1回のサンプリング操作で複数のセンサ部に同一の試料液を接触させることができる。これにより、微量の試料液であっても1回のサンプリング操作で複数項目の測定を行えるようになる。
【0009】
本発明の電気化学分析チップにおいて、前記流路部は、1つの前記試料液供給口に繋がる複数の前記試料液流路を備えているようにしてもよい。
【0010】
このような態様によれば、1つの試料液供給口に試料液を接触させるだけで、複数のセンサ部に試料液を導入できるので、サンプリング操作が容易であるとともに、サンプリング操作に要する時間を短時間化できる。
【0011】
本発明の電気化学分析チップにおいて、前記流路部は、複数の前記センサ部ごとに前記試料液供給口と前記試料液流路とを備えており、複数の前記試料液供給口は、前記基材の外面に互いに近接配置されているようにしてもよい。
【0012】
このような態様によれば、センサ部ごとに試料液供給口と試料液流路とを設けることで、各センサ部に試料液を確実に導入できる。また、センサ部ごとに設けられた試料液供給口が基材の外面に互いに近接配置されていることで、それらの試料液供給口に1回のサンプリング操作で試料液を確実に接触させることができ、サンプリング処理の確実性を向上できる。
【0013】
本発明の電気化学分析チップにおいて、前記センサ部は、前記基材に装着可能な電極チップに設けられており、前記基材は、前記基材の外面に開口して前記電極チップが挿入される電極チップ配置部を備えており、前記電極チップ配置部に前記試料液流路が繋がっているとともに、前記電極チップ配置部の内壁と前記電極チップとの間に、試料液が毛細管現象によって前記試料液流路から前記電極チップ配置部の開口に向けて浸透する隙間が設けられているようにしてもよい。
【0014】
このような態様によれば、測定項目に応じて電極チップを交換することで、多数の測定項目に対応可能とできるので、汎用性が向上する。
【0015】
本発明の電気化学分析チップにおいて、前記基材は、前記センサ部が形成されたベース基板と、前記流路部を形成する流路基板と、前記流路基板を覆うカバー基板とが積層されて構成されているようにしてもよい。
【0016】
このような態様によれば、センサ部をベース基板に一体化することで、電気化学分析チップの小型化が可能になる。
【0017】
本発明の電気化学分析チップにおいて、前記センサ部は、前記電極として、作用電極と参照電極とを備えており、又は作用電極と参照電極と対極を備えており、前記電極は、絶縁性の基板の上に形成された金属層と、前記基板上に前記金属層を覆って形成された炭素層と、前記金属層の上面と前記炭素層との間に形成された上部接着層と、を備え、前記上部接着層はシリコンで形成されているようにしてもよい。
【0018】
このような態様によれば、各電極は金属層を有しているので、電気抵抗を低くして、測定感度を向上できる。また、金属層を炭素層で覆うことで、金属層の酸化還元を防止でき、測定感度及び再現性を向上できる。さらに、金属層の上面と炭素層との間にシリコンで形成された上部接着層を設けることで、金属層と炭素層との密着性を向上させるとともに、シリコンは金属に比べて電気抵抗率が高いので、測定中における金属層上面での水素の発生を抑制し、金属層と炭素層との剥離を防止して、測定感度及び再現性を向上できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、1回のサンプリングで複数項目の測定を行える電気化学分析チップを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】電気化学測定装置の一例を示す概略構成図である。
図2】電気化学分析チップの一実施形態を示す平面図である。
図3】同電気化学分析チップの分離斜視図である。
図4】同電気化学分析チップの側面視中央縦断面図である。
図5】電極チップを示す概略的な平面図である。
図6図5のA-A位置に対応する概略的な断面図である。
図7】実施形態に取り付ける電極チップと比較チップとを使用して得られた電流電位曲線を示すグラフである。
図8】測定後の電極チップ及び比較チップの作用電極を基板側から撮像した顕微鏡写真であり、(A)は実施形態(電極チップ)を示し、(B)は比較例(比較チップ)を示す。
図9】電極チップの他の構成を示す概略的な断面図である。
図10】電気化学分析チップの他の実施形態を示す平面図である。
図11】電気化学分析チップのさらに他の実施形態を示す平面図である。
図12】同電気化学分析チップの分離斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
電気化学分析チップの実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、電気化学測定装置の一例を示す概略構成図である。図2は、電気化学分析チップの一実施形態を示す平面図である。図3は、同電気化学分析チップの分離斜視図である。図4は、同電気化学分析チップの側面視中央縦断面図である。なお、図2では、カバー基板213の図示は省略している。また、図4では、便宜上、各部材の厚みを大きくして図示している。
【0022】
図1に示すように、電気化学測定装置1は、電気化学分析チップ2と、電気化学分析チップ2に接続されるポテンショスタット3と、ポテンショスタット3に接続される操作部4、表示部5、電源部6及び外部出力部7を備えている。本実施形態では、電気化学分析チップ2は使い捨て型のものである。
【0023】
図2図4に示すように、電気化学分析チップ2は、絶縁性の基材21と、基材21に設けられた複数のセンサ部22と、基材21に設けられて試料液を各センサ部22に導く流路部23とを備えている。本実施形態では、3つのセンサ部22が設けられているが、本発明の電気化学分析チップにおいて、センサ部の数は、2つ又は4つ以上であってもよい。
【0024】
基材21は、ベース基板211の上に、流路基板212を介してカバー基板213が配置されて構成されている。ベース基板211、流路基板212及びカバー基板213は、略四角形の絶縁性基板で構成されている。
【0025】
流路基板212には、センサ部22を有する電極チップ24を差込み可能な切欠き部214と、流路部23を構成する試料液供給口231及び試料液流路232を形成するための溝215が形成されている。本実施形態では、3つの切欠き部214が形成されている。
【0026】
切欠き部214は、流路基板212の第1側面212aに開口しており、電極チップ24の幅寸法よりもわずかに大きい幅寸法で形成されている。切欠き部214がベース基板211とカバー基板213とで覆われることで、電極チップ配置部216が形成されている。
【0027】
溝215は、流路基板212の一表面に形成されており、流路基板212の第1側面212aに対向する第2側面212bから第1側面212aへ向かって延び、中途部で3本に分岐されて、3つの切欠き部214に繋がっている。溝215がカバー基板213で覆われることで、基材21の外面(流路基板212の第2側面212b)に開口した試料液供給口231と、同一の試料液を試料液供給口231から複数のセンサ部22に導く試料液流路232とを有する流路部23が形成されている。
【0028】
ベース基板211、流路基板212及びカバー基板213を構成する絶縁性基板の材質は特に限定されず、例えば、ガラス、石英ガラス、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオキシメチレン(POM)、ABS樹脂(ABS)、メタクリル樹脂(PMMA)などを挙げることができる。また、絶縁性基板の形状、厚み及び大きさは、特に限定されない。
【0029】
また、試料液供給口231及び試料液流路232の寸法は、試料液を毛細管現象によって試料液供給口231から試料液流路232に導入してセンサ部22に導くことができる寸法であればよい。また、試料液流路232の内壁面(溝215の内壁面及びカバー基板213の流路基板212との接合面)に、濡れ性を向上させる親水性処理層を形成するようにしてもよい。
【0030】
図3及び図4に示すように、電気化学分析チップ2の基材21は、ベース基板211、流路基板212及びカバー基板213をこの順序で積層し、一体化することで形成される。ベース基板211と流路基板212との接合、及び、流路基板212とカバー基板213との接合には、例えば接着剤や熱融着を使用できる。
【0031】
基材21の電極チップ配置部216には、センサ部22を有する電極チップ24が取り付けられる。電極チップ24は平板状の絶縁性の基板241を備え、基板241上に作用電極242、対極243及び参照電極244が互いに絶縁されて設けられている。基板241は平面視で略長方形の形態を有している。作用電極242、対極243及び参照電極244は、基板241の長手方向の一端近傍から他端近傍にわたって設けられている。作用電極242、対極243及び参照電極244の長手方向中途部は、基板241上に形成された絶縁層245で覆われている。作用電極242、対極243及び参照電極244の一端側はセンサ部22を構成している。
【0032】
電極チップ24の一端側が基材21の電極チップ配置部216に差し込まれることで、センサ部22(作用電極242、対極243及び参照電極244の一端側)が、電極チップ配置部216の内部に配置される。電極チップ配置部216の内壁と電極チップ24との間には、毛細管現象によって流路部23に導入された試料液が、毛細管現象によって電極チップ配置部216の開口側(第1側面212a側)へ浸透する程度の小さな隙間が形成されている。
【0033】
なお、電極チップ配置部216の内壁と電極チップ24との間の隙間の大きさは、試料液が毛細管現象によって試料液流路232から電極チップ配置部216の開口に向けて浸透する程度の大きさであれば、特に限定されない。また、電極チップ配置部216の内壁面(切欠き部214の内壁面、ベース基板211の流路基板212との接合面、及びカバー基板213の流路基板212との接合面)に濡れ性を向上させる親水性処理層を形成するようにしてもよい。
【0034】
電極チップ24の他端側に位置する作用電極242、対極243及び参照電極244の他端側は、基材21の外部に配置され、コネクタ8及びケーブル9(図2参照)を介してポテンショスタット3(図1参照)に電気的に接続される。電極チップ24は、コネクタ8に着脱可能に取り付けられる。
【0035】
電気化学分析チップ2の試料液供給口231に試料液が供給されると、試料液は、毛細管現象によって、試料液流路232内を3つの電極チップ配置部216(切欠き部214)のそれぞれに向かって流れ、各電極チップ配置部216に導入される。電極チップ配置部216に導入された試料液は、毛細管現象によって、電極チップ配置部216と電極チップ24との間の隙間を電極チップ配置部216の開口側(第1側面212a側)へ向かって流れ、電極チップ24のセンサ部22に接触する。
【0036】
図1図4に示すように、本実施形態の電気化学分析チップ2は、複数の電極242,243,244を有するとともに絶縁性の基材21に設けられたセンサ部22と、基材21に設けられて試料液をセンサ部22に導く流路部23とを備えている。基材21に複数のセンサ部22が設けられており、流路部23は、基材21の外面に開口した試料液供給口231と、同一の試料液を試料液供給口231から複数のセンサ部22に導く試料液流路232とを備えている。
【0037】
電気化学分析チップ2によれば、試料液流路232によって同一の試料液を試料液供給口231から複数のセンサ部22に導くことができるので、1回のサンプリング操作で複数のセンサ部22に同一の試料液を接触させることができる。これにより、微量の試料液であっても1回のサンプリング操作で複数項目の測定を行えるようになる。
【0038】
電気化学分析チップ2において、流路部23は、1つの試料液供給口231に繋がる複数の試料液流路232を備えている。これにより、1つの試料液供給口231に試料液を接触させるだけで、複数のセンサ部22に試料液を導入できるので、サンプリング操作が容易であるとともに、サンプリング操作に要する時間を短時間化できる。
【0039】
電気化学分析チップ2において、センサ部22は、基材21に装着可能な電極チップ24に設けられている。基材21は、基材21の外面に開口して電極チップ24が挿入される電極チップ配置部216を備えている。電極チップ配置部216に試料液流路232が繋がっているとともに、電極チップ配置部216の内壁と電極チップ24との間に、試料液が毛細管現象によって試料液流路232から電極チップ配置部216の開口に向けて浸透する隙間が設けられている。これにより、測定項目に応じて電極チップ24を交換することで、多数の測定項目に対応可能とできるので、電気化学分析チップ2の汎用性が向上する。
【0040】
次に、図5及び図6も参照しながら、センサ部22を有する電極チップ24の電極について説明する。電極チップ24の基板241の少なくとも一表面は、平坦な絶縁性材料で形成されている。基板241としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ガラス基板、エポキシガラス(ガラエポ)基板などである。ただし、基板241の材料は、これらに限定されず、セラミックスや石英ガラスなどであってもよい。
【0041】
電極チップ24において、作用電極242、対極243及び参照電極244のそれぞれは、基板241の上に形成された金属層251と、基板241上に金属層251を覆って形成された炭素層252と、基板241と金属層251との間に形成された下部接着層253と、金属層251の上面と炭素層252との間に形成された上部接着層254とを備えている。参照電極244の一端側の炭素層252上面に、銀塩化銀層255が形成されている。
【0042】
下部接着層253は、基板241と金属層251との剥離を防止する薄膜であり、例えばシリコンで形成されている。下部接着層253の材料としては、基板241及び金属層251との密着性が良好なものであればよく、シリコンの他、例えば、クロム、チタン(炭素と共有結合する金属)などを使用できる。
【0043】
金属層251は、炭素層252よりも電気抵抗率が低い材料で形成されており、下部接着層253の上に形成されている。金属層251は、作用電極242、対極243及び参照電極244のそれぞれの一端と他端との間の電気抵抗を下げるためのものである。金属層251の材料としては、例えば、銀、ルテニウム、タンタル、チタン、銅、アルミニウム、白金、ニオブ、ジルコニウム、若しくはこれらの元素の合金、又はこれらの元素と炭素との合金などを使用できる。
【0044】
上部接着層254は、金属層251の上面に形成されており、金属層251の上面と炭素層252との剥離を防止する薄膜であり、シリコンで形成されている。
【0045】
炭素層252は、下部接着層253、金属層251及び上部接着層254を覆うようにして基板241上に形成されている。炭素層252は、例えばアモルファスカーボン、又はダイヤモンドライクカーボン(DLC)で形成されている。また、炭素層252は、平面視で下部接着層253、金属層251及び上部接着層254の輪郭を囲うように形成されており、炭素層252の下面周縁部は基板241に接触している。下部接着層253、金属層251及び上部接着層254は、基板241と炭素層252とで囲われることで、周囲雰囲気から隔離されている。
【0046】
炭素は、次のような特性を有するので、金属層251を保護する炭素層252の使用に適している。(1)3000℃の真空中(500℃の空気中)でも優れた安定性をもつ、(2)化学薬品に侵されにくい、(3)ガスや溶液を透過しない、(4)優れた硬度、強度をもつ、(5)優れた電気伝導度性をもつ、(6)金属塩などの湿潤に抵抗がある、(7)血液や組織適合性が良好である、(8)物理特性、化学特性の等方性がある。
【0047】
下部接着層253、金属層251、上部接着層254及び炭素層252の製造方法としては、各層の形状及び膜厚を高精度に制御できることから、蒸着法であることが好ましい。ここで、蒸着法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの、いわゆる物理気相成長法(PVD)や、いわゆる化学的気相成長法(CVD)を使用できる。ただし、各層の製造方法は、蒸着法に限定されず、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法などの印刷法であってもよい。
【0048】
本実施形態において、電極242,243,244は、絶縁性の基板241の上に形成された金属層251と、基板241上に金属層251を覆って形成された炭素層252と、基板241と金属層251との間に形成された下部接着層253と、を備えている。電極242,243,244は、金属層251を有することで電気抵抗を低くして、測定感度を向上できる。また、金属層251を炭素層252で覆うことで、金属層251の酸化還元を防止でき、測定感度及び再現性を向上できる。さらに、金属層251の上面と炭素層252との間にシリコンからなる上部接着層254を設けることで、金属層251と炭素層252との密着性を向上させるとともに、シリコンは金属に比べて電気抵抗率が高いことから測定中における金属層251の上面での水素の発生を抑制できる。これにより、基板241と金属層251との剥離を防止して、測定感度及び再現性を向上できる。
【0049】
また、電極242,243,244は、基板241と金属層251との間に形成された下部接着層253を備えているので、測定中における基板241と金属層251との密着性の低下を防止でき、測定感度及び再現性を向上できる。
【0050】
また、金属層251、炭素層252及び接着層253,254は、蒸着法で形成されたものであって、金属層251及び接着層253,254は平面視で同じ形状に形成されており、炭素層252は平面視で金属層251及び接着層253,254の輪郭を囲うように形成されている。各層251,252,253,254を蒸着法で形成することで、各層251,252,253,254の形状及び膜厚を高精度に制御でき、電極242,243,244のそれぞれについて、全体の電気抵抗の安定性を向上できる。
【0051】
また、下部接着層253はシリコンで形成されている。シリコンは、ガラスとの密着性及び金属との密着性がよいので、金属層251と基板241との密着性を強くできる。また、上部接着層254もシリコンで形成されている。シリコンは、金属との密着性及び炭素との密着性がよいので、金属層251と炭素層252との密着性を強くできる。
【0052】
センサ部22は、作用電極242と参照電極244と対極243とを備えているので、3電極方式の電気化学測定に適用できる。そして、作用電極242、参照電極244及び対極243について、電気抵抗を低くでき、金属層251の酸化還元を防止でき、かつ、金属層251の剥離を防止できるので、測定感度及び再現性を向上できる。
【0053】
なお、センサ部22は、作用電極242と参照電極244とを使用する2電極方式の電気化学測定で使用する2つの電極を備えたものであってもよい。そして、作用電極と参照電極の両方が金属層、炭素層及び接着層を有する電極で構成されているようにすれば、作用電極及び参照電極の両方について、電気抵抗を低くでき、金属層の酸化還元を防止でき、かつ、金属層の剥離を防止できるので、測定感度及び再現性を向上できる。
【0054】
また、センサ部22の作用電極242、対極243及び参照電極244は、上記構造に限定されず、例えば、銀、白金、金、アルミニウム、パラジウムなどの金属材料の単層構造、もしくは炭素などの導電性材料の単層構造、又はこれらの材料のうちの複数を積層した積層構造であってもよい。また、電極242,243,244において、下部接着層253は設けられていなくてもよい。
【0055】
図1に示すように、ポテンショスタット3は、電極チップ24の作用電極242の電位が参照電極244に対して一定になるように制御するとともに、作用電極242と対極243との間に流れる電流を測定可能に構成されている。ポテンショスタット3は、概略構成として、演算制御部31、電圧印加部32及び電流検出部33を備えている。
【0056】
演算制御部31は、電気化学測定で得られた測定値を用いて所定の演算処理を行なうとともに、操作部4を介して入力されたユーザからの指令に基づいて、電圧印加部32に必要な信号を送信したり、表示部5に測定結果等の情報を表示させたりする機能である。演算制御部31は、例えばマイクロコンピュータが所定のプログラムを実行することによって実現される。
【0057】
電圧印加部32は、演算制御部31からの測定開始の信号を受信したときに、電極チップ24の作用電極242と対極243との間に所望の波形の電圧を印加して、作用電極242と参照電極244との間の電位が所望の電位になるように制御するように構成されている。
【0058】
電流検出部33は、電極チップ24の作用電極242と対極243との間を流れる電流の大きさを検出するように構成されている。電流検出部33が検出した電流の大きさに関する信号は演算制御部31に取り込まれる。
【0059】
演算制御部31は、電流検出部33から取り込んだ信号の基づき、例えば予め用意された検量線を用いて、試料溶液中の特定成分濃度等の計算を行ない、測定結果を表示部5に表示するように構成されている。
【0060】
電気化学測定装置1において、操作部4は、電源のオン・オフや測定の開始、表示部5に表示される情報の変更といった操作をユーザが行なうための入力装置である。表示部5は、例えば液晶ディスプレイによって実現されるものである。なお、表示部5をタッチパネルで構成し、表示部5に操作部4の機能を兼ね備えさせてもよい。電源部6は、例えば乾電池や蓄電池などによって実現することができる。電源部6により、ポテンショスタット3や表示部5へ必要な電力が供給される。
【0061】
また、ポテンショスタット3には、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)端子といった有線通信手段や無線通信手段によってパーソナルコンピュータ等の外部機器へ情報を出力することができるように、外部出力部7が接続されてもよい。その場合、演算制御部31は、外部出力部7を介して測定データ等を外部機器へ出力するように構成されている。
【0062】
なお、操作部4、表示部5、電源部6及び外部出力部7は、例えば、ノートパソコンやタブレットなどのモバイルコンピュータで実現されるようにしてもよい。さらに、ポテンショスタット3として小型のもの(例えば小型ポテンショスタット「miniSTAT100」(バイオデバイステクノロジー製))を用いるようにすれば、電気化学測定装置1を持ち運び可能に構成できる。これにより、電気化学測定装置1を使用したオンサイト(現場)での試料液の測定が可能になる。
【0063】
電気化学測定装置1を使用した電気化学測定は、電気化学分析チップ2のセンサ部22に試料液が接触された状態で行われる。すなわち、電気化学分析チップ2の試料液供給口231に試料液が接触され、試料液流路232及び電極チップ配置部216に試料液が導入された状態で、測定が行われる。
【0064】
次に、電極チップ24の作製例について説明する。基板241としての厚さ2500nm(2.5μm)程度のガラス基板の上に、スパッタリング法により、下部接着層形成領域に対応する開口パターンを有するメタルマスクを用いて厚さ20nm程度のシリコン層を下部接着層253として形成した。なお、シリコンからなる下部接着層253の膜厚は特に限定されない。
【0065】
そのメタルマスクの下部接着層形成領域に対応する開口パターンと同一開口パターンを有するメタルマスクを使用して、下部接着層253上に、スパッタリング法により厚さ150nm程度の銀層を金属層251として形成した。
【0066】
その後、下部接着層形成領域に対応する開口パターンと同一開口パターンを有するメタルマスクを使用して、金属層251上に、スパッタリング法により厚さ20nm程度のシリコン層を上部接着層254として形成した。なお、シリコンからなる上部接着層254の膜厚は特に限定されない。
【0067】
ここでは、基板241をスパッタリング装置のチャンバー内に搬入した後、同一メタルマスクを用いて、基板241上に下部接着層253、金属層251、上部接着層254を、チャンバーから搬出せずに成膜した。これにより、下部接着層253、金属層251及び上部接着層254の成膜に要する時間を短縮できるとともに、各層の間への異物の付着を防止できる。また、金属層251及び接着層253,254は平面視で同じ形状に形成される。
【0068】
下部接着層253、金属層251及び上部接着層254の線幅(長手方向に直交する幅方向の寸法)は、0.6mm程度である。
【0069】
スパッタリング法により、下部接着層形成領域を囲う開口パターンを有するメタルマスクを使用して、下部接着層253、金属層251及び上部接着層254を覆うように、厚さ1000nm程度の炭素層252を形成した。炭素層252の線幅は、1mm程度である。これにより、下部接着層253、金属層251、上部接着層254及び炭素層252をそれぞれ有する作用電極242、対極243及び参照電極244を形成した。
【0070】
このように、蒸着法(ここではスパッタリング法)により、下部接着層253、金属層251、上部接着層254及び炭素層252を、開口パターンを有するメタルマスクを使用して形成することで、各層の成膜後にエッチング法やリフトオフ法によるパターニングが不要であり、製造コストを低減できる。
【0071】
参照電極244の一端側の炭素層252上面に、成膜法により、厚さ100nm程度の銀層を成膜し、塩化処理して銀塩化銀層255を形成した。このようにして、電極チップ24を作製した。
【0072】
電極チップ24の各電極242,243,244において、金属層251の側面は炭素層252と接触しており、電気化学測定時には、炭素層252に浸透した水に起因して金属層251の側面での水素の発生が考えられるが、金属層251の膜厚は150nmと非常に薄いことから、金属層251の側面で仮に水素が発生しても、その水素の量は極少量であり、測定に与える影響は小さいと考えられる。
【0073】
金属層251の膜厚は、特に限定されないが、50nm以上、1000nm以下であることが好ましい。この範囲内にあると、金属層251の側面で発生する水素の量を少量に抑制しながら、電極242,243,244の全体の抵抗値を低減できるからである。なお、金属層251の膜厚が50nmよりも薄いと、電極242,243,244が高抵抗となって測定感度が低下する。また、金属層251の膜厚が1000nmよりも厚いと、金属層251の側面で発生する水素が測定に与える影響が大きくなる。特に、金属層251を蒸着法(例えばスパッタリング法)で成膜する場合には、金属層251の膜厚が1000nmよりも厚くなると、金属層251の成膜に要する時間が長くなり、生産効率が低下する。
【0074】
なお、1枚の基板241に複数の電極チップ24の領域を設けて、複数の電極チップ24を同時に形成した後、各電極チップ24を個片化することで、製造コストを低減できる。
【0075】
次に、電極チップ24を使用した測定例について説明する。100ppmの鉛標準溶液(和光純薬工業株式会社)を蒸留水で1000ppb(=1ppm)に希釈したものをサンプルとして使用した。電極チップ24の比較例として、電極チップ24に対して接着層253,254を形成せずに、基板241上に金属層251と炭素層252を形成したものを作製し、比較チップとして使用した。
【0076】
ポテンショスタット3として小型ポテンショスタット「miniSTAT100」(バイオデバイステクノロジー製)を使用した。微分パルスボルタンメトリー(DPV)により電気化学測定を行った。DPVによる測定は、作用電極の電位を-1500mVから300mVに変化させていき、電位増加0.004V、パルス振幅0.05V、パルス期間0.2秒、掃引速度0.02V/sで行った。電極チップ24と比較チップの上に上記サンプルをそれぞれ20μL程度滴下して測定を行った。得られた電流電位曲線を図7に示す。図7において、縦軸は電流、横軸は電位を示す。
【0077】
図7からわかるように、実施形態の電極チップ24を使用した測定(実線A参照)では、良好なPbピークが得られた。これに対して、比較チップを使用した測定(破線B参照)では、実施形態に比べてPbピークが小さく、Agピークが大きくなることが確認された。
【0078】
図8は、測定後の電極チップ24及び比較チップの作用電極242を基板241側から撮像した顕微鏡写真であり、(A)は実施形態(電極チップ24)を示し、(B)は比較例(比較チップ)を示す。
【0079】
図8からわかるように、(B)比較チップでは金属層251の剥離が観察されたが、(A)実施形態の電極チップでは金属層及び下部接着層253の剥離は観察されなかった。
【0080】
このように、基板241と金属層251との間に下部接着層253を設けることで、基板241と金属層251との剥離を防止して、測定感度及び再現性を向上できることが確認された。
【0081】
電極チップ24において、図9に示すように、シリコンからなる上部接着層254が金属層251の側面も覆うように形成されていてもよい。このような上部接着層254は、蒸着法(例えばスパッタリング法)によって形成できる。これにより、金属層251と炭素層252とが接触する領域を無くし、炭素層252に水が浸透しても、測定時における金属層251表面での水素の発生を防止できるとともに、金属層251と炭素層252の密着性を向上できる。これにより、炭素層252の剥離をより確実に防止できる。
【0082】
次に、図10を参照して、電気化学分析チップの他の実施形態を説明する。図10は、電気化学分析チップの他の実施形態を示す平面図である。なお、図10では、カバー基板213の図示は省略している。
【0083】
この実施形態の電気化学分析チップ2Aでは、流路部23は、複数のセンサ部22ごとに試料液供給口231と試料液流路232とを備えている。すなわち、流路基板212Aの一表面に形成された3本の溝215は、互いに分離して設けられている。そして、3本の溝215の一端部で構成される3つの試料液供給口231は、基材21Aの外面(流路基板212Aの第2側面212b)に互いに近接配置されている。
【0084】
電気化学分析チップ2Aによれば、センサ部22ごとに試料液供給口231と試料液流路232とを設けることで、各センサ部22に試料液を確実に導入できる。また、センサ部22ごとに設けられた試料液供給口231が基材21Aの外面に互いに近接配置されていることで、それらの試料液供給口231に1回のサンプリング操作で試料液を確実に接触させることができ、サンプリング処理の確実性を向上できる。
【0085】
次に、図11及び図12を参照して、電気化学分析チップのさらに他の実施形態を説明する。図11は、電気化学分析チップのさらに他の実施形態を示す平面図である。図12は、同電気化学分析チップの分離斜視図である。なお、図11では、カバー基板213Bの図示は省略している。
【0086】
この実施形態の電気化学分析チップ2Bでは、基材21Bは、センサ部22が形成されたベース基板211Bと、流路部23を形成する流路基板212Bと、流路基板212Bを覆うカバー基板213Bとが積層されて構成されている。
【0087】
各センサ部22は、上記実施形態の電気化学分析チップ2に設けられた電極チップ24の電極242,243,244と同じ構成の作用電極242、対極243及び参照電極244の一端部で形成されている。電極242,243,244の他端部側は、ベース基板211Bの一側部に突設されたコネクタ接続部217の上に配置されている。
【0088】
流路基板212Bには、上記実施形態の電気化学分析チップ2に設けられた切欠き部214(図2及び3などを参照)に替えて、貫通孔からなる試料液収容部218が形成されている。試料液収容部218は、ベース基板211Bと流路基板212Bとを重ねた状態で、センサ部22を囲う位置に形成されている。
【0089】
また、流路基板212Bには、上記実施形態の電気化学分析チップ2と同様に、試料液供給口231及び試料液流路232を形成するための流路部23が形成されている。試料液流路232の試料液供給口231とは反対側の端部は、試料液収容部218につながっている。
【0090】
流路基板212Bに接合されるカバー基板213Bには、平面視で試料液収容部218と重なる位置に、空気孔219が形成されている。
【0091】
サンプリング操作によって、電気化学分析チップ2Bの試料液供給口231に試料液が供給されると、試料液は、毛細管現象によって、試料液流路232内を3つの試料液収容部218のそれぞれに向かって流れ、各試料液収容部218に導入され、各センサ部22に接触する。このように、電気化学分析チップ2Bは、1回のサンプリング操作で複数のセンサ部22に同一の試料液を接触させることができる。
【0092】
このような態様によれば、複数のセンサ部22をベース基板211Bに一体化することで、電気化学分析チップ2Bの小型化が可能になる。なお、センサ部22をベース基板211Bに一体化した構成は、センサ部22ごとに試料液供給口231及び試料液流路232を設ける構成(図10参照)にも適用可能である。
【0093】
本発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えば、電気化学分析チップは、電極として作用電極242及び参照電極244を備え、対極243を備えていない構成であって、二電極方式の電気化学測定に適用可能な構成であってもよい。
【0094】
また、試料液供給口が配置される位置は、電気化学分析チップを構成する基材の側面に限定されず、試料液供給口は、基材の一平面(例えば、ベース基板211の流路基板212とは反対側の面、又はカバー基板213の流路基板212とは反対側の面)に配置されていてもよい。
【0095】
また、本発明の電気化学分析チップは、微分パルスボルタンメトリー(DPV)に限らず、リニアスイープボルタンメトリー(LSV)、クロノアンペアメトリー(CA)、サイクリックボルタンメトリー(CV)、短波形ボルタンメトリー(SWV)などの方法にも適用可能である。
【符号の説明】
【0096】
2、2A,2B 電気化学分析チップ
21,21A,21B 基材
22 センサ部
23 流路部
24 電極チップ
211,211A,211B ベース基板
212,212A,212B 流路基板
212b 第2側面(基材の外面の一例)
213,213B カバー基板
216 電極チップ配置部
231 試料液供給口
232 試料液流路
242 作用電極(電極の一例)
243 対極(電極の一例)
244 参照電極(電極の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12