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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】鋳造送り出しシステム
(51)【国際特許分類】
   B22D 29/04 20060101AFI20230804BHJP
   B22D 25/04 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
B22D29/04 A
B22D25/04 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022541980
(86)(22)【出願日】2020-10-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-07
(86)【国際出願番号】 CN2020122508
(87)【国際公開番号】W WO2021179613
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】202010167918.0
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202020297747.9
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512163510
【氏名又は名称】江西瑞林装▲備▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100205730
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 重輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213551
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 智貴
(72)【発明者】
【氏名】トン,アイミン
(72)【発明者】
【氏名】ツォン,ファンチョン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,シアオコアン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,チェン
(72)【発明者】
【氏名】リー,カン
(72)【発明者】
【氏名】リン,チンチャン
(72)【発明者】
【氏名】フー,ミンヨン
(72)【発明者】
【氏名】トゥー,ムーリエン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,タオシュン
(72)【発明者】
【氏名】リー,レイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チアリャン
(72)【発明者】
【氏名】ポン,ホンタオ
(72)【発明者】
【氏名】ホアン,チエンフェイ
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-058127(JP,A)
【文献】特開2010-082664(JP,A)
【文献】特開平06-344119(JP,A)
【文献】特開2015-160216(JP,A)
【文献】特表2011-506102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 25/04,29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳造送り出しシステムであって、
回転可能なディスク本体を有する鋳造機と、
前記ディスク本体の板取り出し位置の前方に配置された移載ロボットと、
前記移載ロボットの実行末端に接続された専用治具と、
冷却水タンクと、密集装置と、廃板棚と、を含み、
前記冷却水タンク及び前記廃板棚がそれぞれ前記移載ロボットに隣接して配置され、前記密集装置が前記冷却水タンク及び前記移載ロボットに隣接して配置され、前記移載ロボットは、前記専用治具を動かして前記ディスク本体で鋳造された陽極板を取り出し、合格した陽極板を前記冷却水タンクに置き、合格しない陽極板を前記廃板棚に置き、前記冷却水タンクで冷却が完了した陽極板を引き上げてから前記密集装置に置いて積み上げ
前記ディスク本体は複数であり、各前記ディスク本体に対応して1つの前記冷却水タンクが設けられ、前記冷却水タンク内に少なくとも3つの陽極板が置かれ、前記少なくとも3つの陽極板が互いに間隔をあけている、
ことを特徴とする鋳造送り出しシステム。
【請求項2】
鋳造送り出しシステムであって、
回転可能なディスク本体を有する鋳造機と、
前記ディスク本体の板取り出し位置の前方に配置された移載ロボットと、
前記移載ロボットの実行末端に接続された専用治具と、
冷却水タンクと、密集装置と、廃板棚と、を含み、
前記冷却水タンク及び前記廃板棚がそれぞれ前記移載ロボットに隣接して配置され、前記密集装置が前記冷却水タンク及び前記移載ロボットに隣接して配置され、前記移載ロボットは、前記専用治具を動かして前記ディスク本体で鋳造された陽極板を取り出し、合格した陽極板を前記冷却水タンクに置き、合格しない陽極板を前記廃板棚に置き、前記冷却水タンクで冷却が完了した陽極板を引き上げてから前記密集装置に置いて積み上げ、
前記ディスク本体は複数であり、各前記ディスク本体に対応して複数の前記冷却水タンクが設けられ、各前記冷却水タンク内に1つの陽極板が対応して置かれる、
ことを特徴とする鋳造送り出しシステム。
【請求項3】
前記移載ロボットと前記専用治具との間で相対的な回転を可能にするように、前記移載ロボットと前記専用治具とがフレキシブルに接続される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の鋳造送り出しシステム。
【請求項4】
前記移載ロボットの接続フランジと前記専用治具の接続フランジとの間の回動角度は0°~5°である、
ことを特徴とする請求項に記載の鋳造送り出しシステム。
【請求項5】
前記冷却水タンクは複数であり、複数の前記冷却水タンクは互いに間隔をあけている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の鋳造送り出しシステム。
【請求項6】
複数の前記冷却水タンクは、前記移載ロボットの対向両側に複数列に配列されており、前記密集装置は複数であり、各列の前記冷却水タンクが少なくとも1つの前記密集装置に対応する、
ことを特徴とする請求項に記載の鋳造送り出しシステム。
【請求項7】
各前記陽極板は、冷却水タンクで垂直に配置されている姿勢を呈する、
ことを特徴とする請求項に記載の鋳造送り出しシステム。
【請求項8】
前記陽極板は、前記冷却水タンクで水平、または傾斜に配置されている姿勢を呈する、
ことを特徴とする請求項に記載の鋳造送り出しシステム。
【請求項9】
前記ディスク本体は複数であり、前記移載ロボットは複数であり、複数の前記ディスク本体が複数の前記移載ロボットに1対1で対応する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の鋳造送り出しシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権情報
本出願は、中国特許出願番号がそれぞれ202010167918.0と202020297747.9であり、出願日がいずれも2020年3月11日である2つの中国特許出願に基づいて提出され、この2つの中国特許出願の優先権を請求し、この2つの中国特許出願のすべての内容は参照として本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、非鉄冶金設備技術の分野に関し、具体的には、鋳造送り出しシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
非鉄業界では、ディスク鋳造機の陽極板の送り出し方式は主に以下の2種類がある。
【0004】
米国特許3938672には、ディスク鋳造機から陽極板を送り出す装置が開示されている。把持要素は「耳をつかむ」の形態で陽極板の両側の吊り耳を支え、ラック移動または旋回する形態で陽極板を水タンクに移動させる。陽極板の吊り耳が完全に冷却されておらず、薄くて柔らかいため、陽極板の吊り耳が変形しやすく、高所から落下しやすく、安全事故が発生するとともに、故障率が高く、信頼性が悪い。
【0005】
特許CN1224562Cには、板状製品を運搬するための装置が開示されている。フレキシブル把持要素は、「腰を抱く」の形態でディスク本体上の陽極板の板体の中央部を挟み込んだ後、回転する把持アームによって陽極板を冷却水タンク内のチェーンの末端に置き、チェーン頭部への前進運搬中に陽極板を冷却して密集させ、さらに冷却水タンク内の押し上げ装置で陽極板全体を押し上げ、最後にフォークリフトで陽極板全体をフォークする。このような「腰を抱く」ことで陽極板を取り出す方式は「耳をつかむ」方式に比べて、陽極板の輸送がより安定で信頼できるため、当該装置は広く適用されている。しかしながら、このディスク鋳造機の送り出し用の冷却水タンクのスペースは広く、水タンク内にチェーンコイルコンベア、押し上げ機構などの運動装置が含まれており、構造が複雑で、メンテナンス費用が高く、陽極板の冷却が不均一で、変形が大きく、品質が悪い。
【0006】
また、上記のような把持要素を備えた取り出し装置は、陽極板を把持し、置く位置と姿勢が相対的に固定されているため、対応する冷却水タンクと廃板棚の位置も基本的に固定されている。そのため、一部のスペースで制限がある改造プロジェクトでは、新たに追加されたディスク鋳造機の冷却水タンク、廃板棚またはフォークリフト通路は、現場の支柱などの既存の設備と往々にして距離が近すぎたり干渉したりして、フォークリフトのフォーク板に不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願は、従来技術に存在する技術的課題の少なくとも1つを解決することを目的とする。そのため、本出願は、占有スペースが小さく、配置が柔軟で、故障率が低く、知能化の程度が高く、安定性が高く、陽極板の冷却効果が高く、変形が少なく、酸化量が少ないなどの利点を有する鋳造送り出しシステムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願の実施例に係る鋳造送り出しシステムは、回転可能なディスク本体を有する鋳造機と、前記ディスク本体の板取り出し位置の前方に配置された移載ロボットと、前記移載ロボットの実行末端に接続された専用治具と、冷却水タンクと、密集装置と、廃板棚とを含み、前記冷却水タンク及び前記廃板棚がそれぞれ前記移載ロボットに隣接して配置され、前記密集装置が前記冷却水タンク及び前記移載ロボットに隣接して配置され、前記移載ロボットは、前記専用治具を動かして前記ディスク本体で鋳造された陽極板を取り出し、合格した陽極板を前記冷却水タンクに置き、合格しない陽極板を前記廃板棚に置き、前記冷却水タンクで冷却が完了した陽極板を引き上げてから前記密集装置に置いて積み上げる。
【0009】
本出願の実施例に係る鋳造送り出しシステムによれば、陽極板の確実な輸送を保証する前提で、設備の敷地スペースを小さくし、故障率とメンテナンスコストを削減することができる。
【0010】
また、本出願の実施例に係る鋳造送り出しシステムは、以下のような追加の技術的特徴を有する。
【0011】
本出願の一例によれば、前記移載ロボットと前記専用治具との間で相対的な回転を可能にするように、前記移載ロボットと前記専用治具とがフレキシブルに接続される。
【0012】
本出願の一例によれば、前記移載ロボットの接続フランジと前記専用治具の接続フランジとの間の回転角度は0°~5°である。
【0013】
本出願の一例によれば、前記冷却水タンクは複数であり、複数の前記冷却水タンクは互いに間隔をあけている。
【0014】
本出願の一例によれば、複数の前記冷却水タンクは、前記移載ロボットの対向両側に複数列に配列されており、前記密集装置は複数であり、各列の前記冷却水タンクが少なくとも1つの前記密集装置に対応する。
【0015】
本出願の一例によれば、前記ディスク本体は複数であり、各前記ディスク本体に対応して1つの前記冷却水タンクが設けられ、前記冷却水タンク内に少なくとも3つの陽極板が置かれ、前記少なくとも3つの陽極板が互いに間隔をあけている。
【0016】
本出願の一例によれば、各前記陽極板は、前記冷却水タンクで垂直に配置されている姿勢を呈する。
【0017】
本出願の一例によれば、前記ディスク本体は複数であり、各前記ディスク本体に対応して複数の前記冷却水タンクが設けられ、各前記冷却水タンクに1つの陽極板が対応して置かれる。
【0018】
本出願の一例によれば、前記陽極板は、前記冷却水タンクで水平、または傾斜に配置されている姿勢を呈する。
【0019】
本出願の一例によれば、前記ディスク本体は複数であり、前記移載ロボットは複数であり、複数の前記ディスク本体が複数の前記移載ロボットに1対1で対応する。
【0020】
本出願の追加の態様及び利点は、以下の説明において部分的に示され、一部が以下の説明により明らかになり、又は本出願の実践によって理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本出願の実施例に係る鋳造送り出しシステムの概略構造図である。
図2】本出願の実施例に係る鋳造送り出しシステムの移載ロボットの実行末端と専用治具との接続の概略図である。
図3】本出願の選択可能な一実施例に係る鋳造送り出しシステムの概略構造図である。
【符号の説明】
【0022】
鋳造送り出しシステム1、鋳造機10、ディスク本体11、移載ロボット20、専用治具30、冷却水タンク40、密集装置50、廃板棚60、フレキシブル要素70。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本出願の実施例について詳細に説明し、記載される実施例の例は添付図面に示され、その中には最初から最後まで同じまたは類似の符号が同じまたは類似の要素、または同じまたは類似の機能を有する要素を示す。以下、添付図面を参照して説明される実施例は例示的であり、本出願を説明するためにのみ使用され、本出願に対する制限としては理解してはいけない。
【0024】
以下、図面を参照しながら、本出願の実施例に係る鋳造送り出しシステム1を説明する。
【0025】
図1図3に示すように、本出願の実施例に係る鋳造送り出しシステム1は、鋳造機10、移載ロボット20、専用治具30、冷却水タンク40、密集装置50及び廃板棚60を含む。
【0026】
具体的には、鋳造機10は回転可能なディスク本体11を有し、ディスク本体11が鋳造位置Xと板取り出し位置Yを有する。移載ロボット20がディスク本体11の板取り出し位置Yの前方に配置される。専用治具30が移載ロボット20の実行末端に接続されている。冷却水タンク40と廃板棚60はそれぞれ移載ロボット20に隣接して配置され、密集装置50は冷却水タンク40と移載ロボット20に隣接して配置される。ここで、移載ロボット20は、専用治具30を動かしてディスク本体11で鋳造された陽極板を取り出し、合格した陽極板を冷却水タンク40に置き、合格しない陽極板を廃板棚60に置き、冷却水タンク40で冷却が完了した陽極板を引き上げてから密集装置50に置いて積み上げる。
【0027】
このように、移載ロボット20を使用して関連技術において水タンクに設けられたチェーンコイルコンベア、押し上げ機構などの運動装置を取り消すことができ、構造が簡素化され、陽極板の冷却効果がよく、陽極板の変形が小さく、酸化量が少なく、品質が向上し、また、移載ロボット20が成熟した標準化製品であるため、知能化の程度が高く、故障率が低く、設備メンテナンス量が少ない。
【0028】
また、冷却水タンク40、密集装置50、及び廃板棚60の数と位置は、異なる場所と機能需要に応じてモジュール化調整を行うことができ、従来の取り出し装置に比べて、配置形態がより柔軟で、スペース占有が小さい。例えば、冷却水タンク40、密集装置50、及び廃板棚60は、移載ロボット20の実行末端の動作範囲Z内で、必要に応じて数量、配置位置、及び配置角度を簡単に調整して、異なる場所の需要に適応し、フォークリフトの歩行をより快適にすることができる。
【0029】
本出願の実施例に係る鋳造送り出しシステム1によれば、陽極板の確実な輸送を保証する前提で、設備の敷地スペースを小さくし、故障率とメンテナンスコストを削減することができる。
【0030】
本出願のいくつかの実施例によれば、図2に示すように、移載ロボット20と専用治具30とがフレキシブルに接続されており、例えば、移載ロボット20と専用治具30との間で相対的な回転を可能にするように、移載ロボット20と専用治具30との間にフレキシブル要素70が設けられ、それによって陽極板を把持する位置の誤差の変化に柔軟に対応するとともに、把持された陽極板を自動的にセンタリングする機能を有し、板を把持する信頼性と板を置く正確性を向上させる。
【0031】
本出願のいくつかの具体的な実施例では、図2に示すように、移載ロボット20の接続フランジと専用治具30の接続フランジとの間の回転角度は0°~5°である。
【0032】
本出願のいくつかの実施例では、図1に示すように、冷却水タンク40は複数であり、複数の冷却水タンク40は互いに間隔を空けている。このように、複数の陽極板を同時に冷却することができる。
【0033】
本出願のいくつかの実施例では、図1に示すように、複数の冷却水タンク40は移載ロボット20の対向両側に複数列に配列されており、密集装置50は複数であり、各列の冷却水タンク40が少なくとも1つの密集装置50に対応する。例えば、移載ロボット20の対向両側にはそれぞれ1列の冷却水タンク40が設けられており、各列の冷却水タンク40が1つの密集装置50に対応し、廃板棚60が2つの密集装置50の間に設けられているため、構造が比較的コンパクトで、移載ロボット20の操作を容易にする。
【0034】
本出願のいくつかの実施例では、図3に示すように、ディスク本体11は複数であり、各ディスク本体11に対応して少なくとも1つの陽極板が設けられ、冷却水タンク40内に少なくとも3つの陽極板を置き、少なくとも3つの陽極板が互いに間隔をあけている。このように、複数の陽極板を間隔をあけて冷却水タンク40に置くことにより、冷却効果を保証することができる。さらに、各陽極板は、冷却水タンク40で垂直に配置されている姿勢を呈する。
【0035】
本出願のいくつかの実施例では、図1に示すように、ディスク本体11は複数であり、各ディスク本体11に対応して複数の冷却水タンク40が設けられ、各冷却水タンク40内に1つの陽極板を対応して置く。このように、複数の陽極板を同時に冷却することができ、各陽極板の冷却効果が良い。さらに、陽極板は冷却水タンク40で水平、または傾斜に配置されている姿勢を呈することにより、冷却効果を高める。
【0036】
本出願のいくつかの実施例では、図1及び図3に示すように、ディスク本体11は複数であり、移載ロボット20は複数であり、複数のディスク本体11が複数の移載ロボット20に1対1で対応する。
【0037】
以下、添付図面を参照しながら、本出願のいくつかの具体的な実施例を詳細に説明する。
【0038】
実施例1
図1に示すように、本実施例では、移載ロボット20がディスク本体11の板取り出し位置Yの前方に配置され、移載ロボット20は、複数の独立した単自由度関節を備えたロボットアームであり、成熟した標準化製品であり、知能化の程度が高く、故障率が低く、設備メンテナンス量が少ない。専用治具30は、陽極板の安定的な把持を確保するために、「腰を抱く」の形態で陽極板を把持し、即ち、両側に設けられた把持アームで陽極板の板体の中央部を把持する。
【0039】
ここで、各ディスク本体11に対応して4つの冷却水タンク40が設けられ、4つの冷却水タンク40がそれぞれ移載ロボット20の両側に配置されている。さらに、4つの冷却水タンク40は互いに独立し、各冷却水タンク40に任意の時間帯に多くとも1つの陽極板を置き、すなわち各冷却水タンク40が1つの陽極板冷却ステーションを含む。4つの冷却水タンク40が陽極板を交互に冷却し、鋳造機10が連続的に安定した生産を実現した後、各陽極板の冷却時間をほぼ同じにすることができ、従来の水タンクチェーンコイルコンベア内の各陽極板の冷却時間が1つずつ減少する状況に比べて、本出願における陽極板の冷却効果はより安定している。
【0040】
これにより、本実施例では、4つの冷却水タンクには何の運動部材もなく、構造が簡単で、備品のコストが低い。なお、冷却水タンク40の数が多いほど、各陽極板の冷却時間が長くなり、冷却効果が良くなる。
【0041】
本実施例では、2つの密集装置50は、それぞれ上記4つの冷却水タンク40の外側に配置され、互いに独立しており、移載ロボット20及び専用治具30が各冷却水タンク40から輸送した冷却後の陽極板を1つずつ受け取り、陽極板の密集積み上げを実現した後、フォークリフトによって陽極板全体をフォークする。なお、密集装置50の件数が多いほど、収容能力が高くなり、フォークリフトの作業の即時性への依存性が小さくなり、システムが安定している。同時に、各冷却水タンク40と密集装置50との間は互いに独立しており、ある装置が故障しても、他の装置が実行を続けることができ、設備の安定性が高い。
【0042】
各ディスク本体11に対応して1つの廃板棚60が設けられ、廃板棚60は、上記2つの密集装置50の間に配置されており、移載ロボット20及び専用治具30がディスク本体11から輸送した合格しない陽極板を受け取る。このように、4つの冷却水タンク40、2つの密集装置50、及び廃板棚60は、すべて移載ロボット20の動作範囲Z内に配置されている。
【0043】
以下、図1を参照して、本実施例の鋳造送り出しシステム1の動作過程を説明し、ここで、開始時に各冷却ステーションに陽極板がないと仮定すると、ディスク本体11の板取り出し位置Yから送り出された陽極板は、陽極板A、陽極板B、陽極板C……を順に送り出す。
【0044】
S1において、移載ロボット20及び専用治具30がディスク本体11の板取り出し位置Yの陽極板Aを把持して、左下側の冷却水タンク40に輸送して冷却する。
【0045】
S2において、移載ロボット20及び専用治具30がディスク本体11の板取り出し位置Yの次の陽極板Bを把持して、右下側の冷却水タンク40に輸送して冷却する。
【0046】
S3において、移載ロボット20及び専用治具30がディスク本体11の板取り出し位置Yの次の陽極板Cを把持して、左上側の冷却水タンク40に輸送して冷却する。
【0047】
S4において、移載ロボット20及び専用治具30が左下側の冷却水タンク40で冷却が完了した陽極板Aを把持して、左側の密集装置50に輸送して積み上げる。
【0048】
S5において、移載ロボット20及び専用治具30がディスク本体11の板取り出し位置Yの次の陽極板Dを把持して、右上側の冷却水タンク40に輸送して冷却する。
【0049】
S6において、移載ロボット20及び専用治具30が右下側の冷却水タンク40で冷却が完了した陽極板Bを把持して、右側の密集装置50に輸送して積み上げる。
【0050】
S7において、同様に、移載ロボット20及び専用治具30が各冷却水タンクにディスク本体11からの陽極板を交互に置いて冷却し、冷却が完了した陽極板を対応側の密集装置50に置く。
【0051】
S8において、ディスク本体11の板取り出し位置Yの陽極板が不合格である場合、移載ロボット20及び専用治具30によってそれを直接把持して、廃板棚60に置く。
【0052】
S9において、2つの密集装置50で積み上げられた陽極板の数が設定された値に達すると、フォークリフトによって陽極板全体をフォークする。
【0053】
S10において、廃板棚60の廃板数が設定された値に達すると、フォークリフトによって廃板全体をフォークする。
【0054】
実施例2
図3に示すように、本実施例では、移載ロボット20がディスク本体11の板取り出し位置Yの前方に配置され、移載ロボット20は、複数の独立した単自由度関節を有するロボットアームであり、成熟した標準化製品であり、知能化の程度が高く、故障率が低く、設備メンテナンス量が少ない。専用治具30は「吊り耳」という形態で陽極板を把持し、すなわち、両側に設けられたフックによって陽極板の両側の吊り耳を支えて陽極板の把持を実施する。
【0055】
ここで、各ディスク本体11に対応して1つの冷却水タンク40が設けられ、冷却水タンク40内には少なくとも3つの陽極板冷却ステーションが設けられており、3つの陽極板冷却ステーションに移載ロボット20によって陽極板を交互に置いて冷却し、鋳造機10が連続的に安定した生産を実現した後、各陽極板の冷却時間をほぼ同じにすることができ、従来の水タンクチェーンコイルコンベア内の各陽極板の冷却時間が1つずつ減少することに比べて、その冷却効果はより安定している。同時に、冷却水タンク40には簡易ブラケットが設けられており、陽極板の両側の吊り耳を支えることができ、すなわち冷却水タンク40には何の運動部材もなく、構造が簡単で、備品のコストが低い。
【0056】
なお、冷却水タンク40の冷却ステーション数が多いほど、各陽極板の冷却時間が長くなり、冷却効果が良くなる。
【0057】
本実施例では、各冷却水タンク40の外側には、密集装置50が対応して設けられ、密集装置50は、移載ロボット20及び専用治具30が冷却水タンク40から輸送した冷却後の陽極板を一枚ずつ受け取り、陽極板の密集積み上げを実現した後、フォークリフトで陽極板全体をフォークする。
【0058】
各ディスク本体11に対応して1つの廃板棚60が設けられ、廃板棚60は移載ロボット20の外側に配置され、例えば、廃板棚60と冷却水タンク40は、それぞれ移載ロボット20の左右両側に配置され、移載ロボット20及び専用治具30がディスク本体11から輸送した合格しない陽極板を受け取る。
【0059】
本出願の実施例に係る鋳造送り出しシステム1の他の構造及び操作は、当業者にとっては周知のことであり、ここでは詳細に説明しない。
【0060】
本出願の説明では、なお、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの用語が示す方位または位置関係は図面に示される方位または位置関係に基づくものであり、本出願を便利に又は簡潔に説明するためのものであり、指定された装置又は部品が必ず特定の方位にあり、特定の方位に構造され操作されると指示又は暗示するものではないので、本出願を限定するものと理解してはいけない。
【0061】
また、「第1の」、「第2の」という用語は目的を説明するためにのみ使用されるものであり、比較的な重要性を指示または暗示するか、あるいは示された技術的特徴の数を黙示的に指示すると理解してはいけない。そこで、「第1の」、「第2の」が限定された特徴は、1つまたはより多くの当該特徴を含むことを明示または暗示するものである。本出願の説明では、「複数」という意味は、別途な説明がない限り、2つ以上のことを意味する。
【0062】
本出願の説明では、「第1の特徴」、「第2の特徴」は、1つ以上の当該特徴を含むことができ、第1の特徴が第2の特徴の「上」または「下」にあることは、第1の特徴と第2の特徴が直接接触することを含んでもよいし、第1の特徴と第2の特徴が直接接触ではなく、それらの間の別の特徴によって接触することを含んでもよい。第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」、及び「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上方たまは斜め上方にあることを含み、または第1の特徴の水平高さは第2の特徴より高いことのみを表す。
【0063】
なお、本出願の説明では、特に明示的な規定と限定がない限り、「取り付け」、「連なる」、「接続」という用語は広義的な理解を意味するものとし、例えば、固定接続であってもよいし、着脱可能な接続であってもよいし、一体的な接続であってもよく、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよく、直接接続されていてもよいし、中間媒体を介して間接的に接続でされていてもよく、2つの要素の内部の連通であってもよい。当業者にとっては、具体的な状況に応じて上記用語の本出願における具体的な意味を理解することができる。
【0064】
本明細書の説明では、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「具体的な例」、「例」、または「いくつかの例」などの用語とは、当該実施例または例と組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料、または特性が、本出願の少なくとも1つの実施例または例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語に対する例的な説明は必ずしも同じ実施例または例を指すものではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料または特性は、いずれか1つまたは複数の実施例または例において適切な方法で結合されてもよい。
【0065】
本出願の実施例を示し説明したが、当業者は、本出願の原理と主旨を逸脱しない限り、これらの実施例に対して様々な変化、修正、置換、変形を行うことができ、本出願の範囲は請求項およびその均等物によって限定されると理解できる。
図1
図2
図3