(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】工事車両の運行管理システムおよび運行管理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20230804BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20230804BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/13
G08G1/01 A
(21)【出願番号】P 2023082700
(22)【出願日】2023-05-19
【審査請求日】2023-05-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390036515
【氏名又は名称】株式会社鴻池組
(74)【代理人】
【識別番号】100087491
【氏名又は名称】久門 享
(74)【代理人】
【識別番号】100104271
【氏名又は名称】久門 保子
(72)【発明者】
【氏名】波多野 純
(72)【発明者】
【氏名】森山 祐三
(72)【発明者】
【氏名】上代 真之輔
(72)【発明者】
【氏名】若林 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】三宅 真司
【審査官】宮本 礼子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-138690(JP,A)
【文献】国際公開第2019/013008(WO,A1)
【文献】特開2014-238875(JP,A)
【文献】特開2015-232854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工事車両の運行データを蓄積するデータ管理サーバと、前記データ管理サーバに各工事車両の位置情報を発信する位置情報発信アプリと、前記データ管理サーバに蓄積された
前記運行データを確認する運行管理webアプリとを備えてなる工事車両運行管理システムを用いた工事車両の運行管理方法であって、前記工事車両が移動する出発地と到着地を結ぶルート上にGNSSによる位置情報を利用した多数のジオフェンスを、間隔をおいて設定し、前記各工事車両が各ジオフェンスを通過する毎に、前記各工事車両の前記ジオフェンスへの入退出時刻を前記データ管理サーバに発信して蓄積し、前記データ管理サーバに蓄積されたデータに基づいて、前記各工事車両の位置、
走行速度に基づいた走行位置における渋滞状況、前記工事車両どうしの間隔を算定し、これらの算定結果に基づいて、前記各工事車両に対して走行速度の調整、またはルート変更の指示を発するようにすることを特徴とする工事車両の運行管理方法。
【請求項2】
請求項1記載の工事車両の運行管理方法において、前記位置情報発信アプリは前記工事車両のドライバーが携帯する通信端末にインストールされていることを特徴とする工事車両の運行管理方法。
【請求項3】
複数の工事車両の運行データを蓄積するデータ管理サーバと、前記データ管理サーバに各工事車両の位置情報を発信する位置情報発信アプリと、前記データ管理サーバに蓄積された
前記運行データを確認する運行管理webアプリとを備えてなる工事車両運行管理システムであって、前記工事車両が移動する出発地と到着地とを結ぶルート上に、間隔をおいて設定された、GNSSによる位置情報を利用した多数のジオフェンスと、前記各工事車両が各ジオフェンスを通過する毎に、前記各工事車両の前記ジオフェンスへの入退出時刻を前記データ管理サーバに発信する工事車両入退出時刻発信手段と、前記データ管理サーバに蓄積されたデータに基づいて、前記各工事車両の位置、
走行速度に基づいた走行位置における渋滞状況、前記工事車両どうしの間隔を算定する算定手段と、前記算定手段によって算定された算定結果に基づいて、前記各工事車両に対して走行速度の調整またはルート変更の指示を発する指示手段を備えていることを特徴とする工事車両の運行管理システム。
【請求項4】
請求項3記載の工事車両の運行管理システムにおいて、前記位置情報発信アプリは、前記工事車両のドライバーが携帯する通信端末にインストールされていることを特徴とする工事車両の運行管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事車両の運行管理システムおよび運行管理方法に関し、例えば、生コン車や残土を運搬するダンプ、或は資材を運ぶトラック等の工事現場で用いられる工事車両の運行状況をリアルタイムで把握し、工事車両が走行する道路状況に合わせて適正な間隔で走行させることで、多数の車両の連行、渋滞による走行経路における周辺住民への迷惑を最小化するとともに、工事現場等における工事車両の集中による非効率化を防止できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
特に、建物の躯体コンクリートの打設は、高品質のコンクリート躯体を作り上げる大切な工程であり、生コンクリートがスムーズに打設されるよう打設個所の状況と生コン車の運行状況等を常に確認しつつ、最大限の安全と品質管理が求められる。
【0003】
例えば、特許文献1には生コンプラントと工事現場双方が生コンクリートの出荷、納入および打設等についての状況をリアルタイムで共有できる、生コンクリートの出納入および打設管理システムの発明が開示されている。
【0004】
簡単に説明すると、生コン車の運行データを蓄積するデータベースを備えたホストコンピュータと、データベースに生コン車の運行データを送信するとともに、データベースに蓄積された生コン車の運行データを確認する複数の通信端末とを備え、通信端末は生コンプラントの担当者、生コン車のドライバー、工事現場、現場事務所、さらには本店や支店、その他工事関係者が携帯している。
【0005】
また、生コン車の運行データには生コンクリートの仕様の他に、生コンクリートの練混ぜ開始時刻、生コン車の生コンプラント出荷順、工事現場の生コンクリートの納入時刻および打設完了時刻などが含まれる。
【0006】
そして、生コンクリートの練混ぜ開始時、出荷時、納入および生コンクリートの打設時に、生コンプラントの担当者と生コン車のドライバーが各時刻を自己の携帯する通信端末において押しボタン操作により逐一入力する。
【0007】
入力された運行データは、ホストコンピュータのデータベースに送信されて蓄積され、これを工事現場、現場事務所、さらには本店や支店、その他工事関係者が各自の携帯する通信端末によって確認することにより生コンクリートの出荷、納入および打設等についての進捗状況を共有することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第6709117号公報
【文献】特開2014-233914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の管理システムの発明では、生コンクリートの練混ぜ開始時刻、生コン車の生コンプラント出荷時刻などの情報は、生コンプラントの担当者と生コン車のドライバーが自己の通信端末においてその都度押しボタン操作によって入力するため、データ入力が煩わしいだけでなく、入力ミスや入力をし忘れることがあった。
【0010】
また、作業中に通信端末を落として故障させてしまう恐れがあることや、高所作業などでもあるため、作業中の通信端末の操作自体に抵抗が大きいという課題があった。
【0011】
また、そもそも、特許文献1の管理システムの発明は、生コン車の運行状況を管理するための発明であり、市街地を走る生コン車等の工事車両による連行運転による交通障害や交通渋滞を解消するものではないため、多数の工事車両の連行、渋滞によって走行経路における周辺住民に迷惑をかけ、また工事現場等における工事車両の集中により非効率化が避けられないものであった。
【0012】
ところで、GNSS(GPS等)による位置情報を利用して携帯端末の画面に表示される地図上に設定したジオフェンスへの入退場を確認することにより車両の現在位置を確認し、出発や到着時間の記録や通知などを行う方法が知られており、特に運送業界では業務の効率化、事故防止、労働環境の整備等といった面で注目されている。
【0013】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、生コン車等の工事車両が移動するルート上にGNSSによる位置情報を利用した複数のジオフェンスを間隔をおいて設定して、生コン車などの工事車両の運行状況をリアルタイムで把握し、かつ工事車両が走行する道路状況に合わせて適正な間隔で走行させることにより、多数の工事車両の連行、渋滞による走行経路における周辺住民への迷惑を最小化するとともに、工事現場(到着地)等における工事車両の渋滞やバラツキにより、工事現場等での処理、対応ができなくなるのを防止できるようにした工事車両の運行管理システムおよび運行管理方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、工事車両の運行データを蓄積するデータ管理サーバと、前記データ管理サーバに前記工事車両の位置情報を発信する位置情報発信アプリと、前記データ管理サーバに蓄積された前記運行テータを確認する運行管理webアプリとを備えてなる工事車両運行管理方法であって、前記工事車両が移動する出発地と到着地を結ぶルート上にGNSSによる位置情報を利用した多数のジオフェンスを間隔をおいて設定し、前記工事車両が各ジオフェンスを通過する毎に、前記各工事車両の前記ジオフェンスへの入退出時刻を前記データ管理サーバに発信して蓄積し、前記データ管理サーバに蓄積されたデータに基づいて、前記各工事車両の位置(前記工事車両の走行速度に基づいた走行位置における渋滞状況)、前記工事車両どうしの間隔を計算し、これらの算定結果に基づいて、前記各工事車両に対して走行速度の調整(停止含む)またはルート変更の指示を発するようにすることにより、前記生コン車等の工事車両のジオフェンス設定区間における運行速度や発着予想時刻などの運行状況をリアルタイムで把握し、工事関係者間で共有することができる。
【0015】
前記データ管理サーバはホストコンピユータが備えている。前記ホストコンピュータはまた、前記データ管理サーバに蓄積された各工事車両の運行データに基づいて、各工事車両の位置(走行速度に基づいた走行位置における渋滞状況)および各工事車両どうしの間隔を算定する算定手段と、前記算定手段によって算定された算定結果に基づいて、各工事車両に対し走行速度の調整またはルート変更等の指示を発する指示手段を備えている。
【0016】
前記位置情報発信アプリは、前記工事車両のドライバーが携帯する通信端末にインストールされ、前記通信端末は、各工事車両の位置情報、特に各工事車両が各ジオフェンスを通過する毎に、各工事車両の各ジオフェンスへの入退出時刻を前記データ管理サーバに発信する工事車両入退出時刻発信手段を備えている。
【0017】
これにより、道路状況に合わせて工事車両を適正な間隔で走行させることにより、多数の工事車両の連行、渋滞による走行経路における周辺住民への迷惑を最小化することができるとともに、工事現場等における工事車両の集中による非効率化を防止することができる。
【0018】
前記ジオフェンスは、工事車両の渋滞等が予測される場所などマークする場所を緯度と経度によって指定し、その場所を中心とする円形または矩形等の仮想的な境界線によって領域(フェンス)を指定することにより設定することができる。領域を指定することによりマークする場所の近さを調整することができる。
【0019】
また、通学路や工事現場などを侵入禁止区域、或いは工事現場などにより迂回すべき場所として、その周囲にジオフェンスを設定し、工事車両に対して進路変更等を指示することにより運行時の安全を図ることができる。
【0020】
前記位置情報発信アプリは、前記工事車両のドライバーが携帯する通信端末にインストールさせれていればよい。また、前記工事車両のドライバーが携帯する通信端末にはタブレットまたはスマートフォン等を利用することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は以下の効果を有する。
(1)道路上にGNSSによる位置情報を利用した多数のジオフェンスを設定することにより、生コン車や残土を運搬するダンプ、或いは資材を運搬するトラック等、現場で用いられる工事車両の運行状況等を確認し、工事関係者間で共有することができる。
【0022】
例えば、工事車両の移動するルート上に複数のジオフェンスを間隔をおいて設定して、工事車両がジオフェンスを通過する通過時間を把握することにより、ジオフェンス設定区間における工事車両の運行速度と発着予想時刻を把握することができる。
【0023】
通常のカーナビではタイヤの回転と連動して速度超過やエコ運転を知らせるが、ジオフェンスを設定することによりスマートフォン等の通信端末のみで工事車両の運行状況を管理することができる。
【0024】
(2)一般道路などの交差点や渋滞予測個所にジオフェンスを設定することにより、ジオフェンス内における工事車両の滞在時間を確認できるため、渋滞個所や到着時刻をリアルタイムで予測できる(1秒毎にわかるのでロスタイムがない)。通常のカーナビはVICS(登録商標)等の情報から判断しているが、ジオフェンスを設定することによりスマートフォン等の通信端末のみで判断することができる。
【0025】
(3)一般道路などに複数のジオフェンスを一定間隔に設定することにより、各ジオフェンスを通過する工事車両の通過時刻を確認できるため、前車両が通過した時間差から運行間隔(時刻の差分から運行間隔時間を算出、運行間隔時間とジオフェンス区間距離から運行速度を算出し、前車両と運行間隔距離を算出)を計算できるため、連行運転を防止することができる。なお、通常のカーナビでは他の車両情報を把握できない。
【0026】
(4)工事車両の移動ルート上にジオフェンスを一定間隔に設定することにより、各ジオフェンス間の区間速度や到着予想時刻を把握することができる。
【0027】
(5)工事車両のドライバーにはそれぞれ気象条件や路面状況を含む運転者特有の癖(例えば、平地ではスピードを出し過ぎる、上り坂ではふかし過ぎる、雪積時や雨天時でもスピードを出し過ぎる等)があるため、各ドライバー毎に到着時間が異なる。そこで、各ドライバーのジオフェンス間の距離(高さを含む)から速度、運行時間を生コン積載時と空車時でそれぞれ算出することが可能となる。これによって、各ドライバーの特徴を把握し、到着予想時刻を推測することができる。
【0028】
一旦、各ドライバーの特徴を入力することにより運行ルートが変更になっても、その特徴を生かして正確に予測することができる。また、民家付近やカーブ等でのスピードの出し過ぎ等がドライバー毎にかわるため、安全運転教育等に活用することができる(各ドライバー毎に安全メッセージを地図上に登録し、音声メッセージを送ることもできる。)。通常のカーナビではドライバーの癖は考慮されない。
【0029】
(6)各ジオフェンス間(高さも考慮)における生コン積載時、空車時の平地、坂道の走行距離と速度、停車時間と全体の燃量消費量との関係をまとめ、各運行状況に応じた燃費を算出する。これらの作業を繰り返すことで燃費の算出精度が向上する。これにより、工事車両の移動ルート上の走行速度から燃費を逆算し、さらにCO2排出量を算出することができるため、少燃費運転やCO2発生の抑制に活用できる。
【0030】
通常のCO2排出量の国交省の算出方法では、車両の大きさ、走行距離、使用燃料から決まるため、生コン積載時、空車時の平地、坂道等の条件は考慮されていない。本発明の管理システムでは、ルート条件等を考慮して燃費を算出できるため、CO2排出量を正確に算出することができる。さらに、ルートが変更になっても、ルートの高低差と走行速度がわかればCO2排出量を精度よく算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の工事車両の運行管理システムおよび運行管理方法の一実施形態を図示した模式図である。
【
図2】
図1に図示する工事車両の運行管理システムおよび運行管理方法の動作を示す説明図である。
【
図3】
図1に図示する工事車両の運行管理システムおよび運行管理方法の動作を示す説明図である。
【
図4】トンネル内を走行する工事車両の運行管理方法を示す説明図である。
【
図5】
図1に図示する工事車両の運行管理システムおよび運行管理方法の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本発明の工事車両の運行管理システムおよび運行管理方法の一実施形態を示す模式図、
図2-
図5はその運用方法を示す説明図である。
【0033】
図において、符号1は、生コン車2の運行データを蓄積するデータベースを備えたホストコンピュータであり、生コン車2の運行データを蓄積するためのデータ管理サーバ(図省略)を備えている。
【0034】
また、ホストコンピュータ1は、データ管理サーバに蓄積された各生コン車2の運行データに基づいて、各生コン車2の位置(走行速度に基づいた走行位置における渋滞状況)および各生コン車2どうしの間隔を算定する算定手段(図省略)と、前記算定手段(図省略)によって算定された算定結果に基づいて、各生コン車2に対して走行速度の調整またはルート変更等の指示を発する指示手段(図省略)を備えている。
【0035】
生コン車2の運行データには、生コン車2が走行する道路上における各生コン車2の位置、各生コン車2が道路上に設定された、後述する各ジオフェンスA,B,C,D,Eに到着した各生コン車2の到着時刻と各ジオフェンスA,B,C,D,Eを出発した出発時刻、さらに各ジオフェンスA,B,C,D,Eにおける各生コン車2の滞在時間等が含まれる。
【0036】
符号3は、ホストコンピュータ1に各生コン車2の位置情報を発信し、かつホストコンピュータ1で算出され、発信された各生コン車2の運行間隔等の運行データを確認する通信端末であり、生コン車2の位置情報発信アプリと生コン車2の運行管理webアプリがインストールされている。
【0037】
また、通信端末3は、各生コン車2の位置情報、特に各生コン車2が各ジオフェンスA,B,C,D,Eを通過する毎に、各生コン車2のジオフェンスA,B,C,D,Eへの入退出時刻をホストコンピュータ1が備えるデータ管理サーバに発信する生コン車入退出時刻発信手段(図省略)を備えている。
【0038】
符号4は、ホストコンピュータ1で算出された各生コン車2の運行間隔等の運行データを確認する通信端末であり、各生コン車2の運行管理webアプリがインストールされている。
【0039】
通信端末3は生コン車2のドライバーが携帯し、通信端末4は生コンプラントの担当者、工事現場の現場監督・関係者、本店や支店の工務管理本部、その他発注者や設計事務所などの工事関係者が携帯している。なお、通信端末3にはスマートフォンやダブレット等が用いられ、通信端末4にはスマートフォンやダブレットの他、PC等も用いられる。
【0040】
通信端末3と通信端末4の画面には生コン車2が走行する道路を含む一定領域の地図が表示され(
図2参照)、当該地図上の生コンプラントの所在地(出発地)xと建設現場の所在地(到着地)yにそれぞれジオフェンスX、Yが設定されている。
【0041】
ジオフェンスXは、生コンプラントの所在地xを含む一定領域(エリア)を囲むように設定され、ジオフェンスYは建設現場の所在地yを含む一定領域(エリア)を囲むように設定されている。
【0042】
また、生コンプラントの所在地xと建設現場の所在地yとの間における、例えば交差点a,b,c,dや渋滞予測地e等の生コン車2の通る各地点に、ジオフェンスA,B,C,D,Eがそれぞれ設定されている。ジオフェンスA,B,C,D,Eは、それぞれ各交差点a,b,c,dや渋滞予測地点eを含む一定領域を囲むように設定されている。
【0043】
このような構成において、各生コン車2が生コンプラントの所在地xを出発し、ジオフェンスA,B,C,D,Eの設定された各交差点a,b,c,dおよび渋滞予測地点eを通過する毎に、各生コン車2が各ジオフェンスA,B,C,D,Eに到達した到達時刻と各ジオフェンスA,B,C,D,Eを出発した出発時刻および各ジオフェンスA,B,C,D,E内における滞在時間等が、各生コン車2のドライバーが携帯する通信端末3に自動的に登録される。
【0044】
また、登録された各生コン車2の入退出時刻などの運行データはホストコンピュータ1に送信され、かつホストコンピュータ1のデータ管理サーバに自動的に蓄積される。
【0045】
また、ホストコンピュータ1において、データ管理サーバに蓄積された各生コン車2の運行データに基づいて、各生コン車2の位置(走行速度に基づいた走行位置における渋滞状況)、各生コン車2どうしの間隔が算定され、これらの算定結果に基づいて、各生コン車2に対し走行速度の調整(停止を含む)またはルート変更等の指示が発せられる。
【0046】
なお、各ジオフェンスA,B,C,D,Eを通過する各生コン車2,2間の時間差から適切な運行間隔(時刻の差分から運行間隔時間を算出、運行間隔時間とジオフェンス区間距離から運行速度を算出し、前車両と運行間隔距離を算出)が算出される。
【0047】
そして、ホストコンピュータ1から各生コン車2のドライバーに発せられる指示に従って、各生コン車2のドライバーは自己の生コン車2を運行することにより連行運転や交通渋滞を回避することができる。
【0048】
なお、ホストコンピュータ1から発せられる速度調整やルート変更等の指示は、通信端末3および4のボタン操作による切り替えにより、ドライバーと工事関係者等に音声によって知らせるようにすることもできる。
【0049】
これにより、生コンプラントの所在地xと建設現場の所在地y間を走行する生コン車2のジオフェンスA,B,C,D,Eの通過時間、滞在時間等を把握することで、各ジオフェンス設定区間の運行速度や発着予想時刻などの運行状況をリアルタイムで把握することができ、かつ工事関係者間で共有することができる。また、各ジオフェンスA,B,C,D,Eの設定個所における各生コン車2の滞在時間を確認することができるため、渋滞個所や到着時刻等をリアルタイムで予測することができる。
【0050】
なお、トンネル内を走行する生コン車2の運行管理は、例えば、トンネル内の天井等にビーコンまたはWifi機器をトンネルの軸方向に間隔をおいて設置し、当該ビーコンまたはWifi機器を介してトンネル内を走行する各生コン車2とトンネル外に設置された基地局(図省略)とを接続することにより行うことができる(
図4参照)。
【0051】
また、トンネルの天井等にトンネルの坑口よりトンネルの軸方向に光回線を配線し、当該光回線に間隔をおいて設けられたアンテナを介して、トンネル内を走行する各生コン車2とトンネル外に設置された基地局を接続することによっても行うことができる。
【0052】
また、通信端末3と通信端末4の画面に表示される地図上には、各生コン車2の位置情報などがリアルタイムで表示される他、生コンクリートの打設状況を表す情報として生コンクリートの打設予定量、打設実績、残量等の必要事項がリアルタイムで表示される(
図5参照)。
【0053】
なお、これら生コンクリートの打設状況に関する情報は、生コンプラントの担当者や生コン車2のドライバーが自己の携帯する通信端末3によって入力され、また、通信端末3と通信端末4の画面に自動的に、またはボタン操作により表示される。
【0054】
そして、これらの情報は生コンプラントの作業員、生コン車2のドライバー、さらに工事現場の現場監督・関係者、本店や支店の工務管理本部、その他発注者や設計事務所などの工事関係者が、各自の携帯する通信端末3,4によってリアルタイムで確認し、共有することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、生コン車などの工事車両を走行する道路状況に合わせて適正な間隔で走行させることで、多数の車両の連行、渋滞による走行経路における周辺住民への迷惑を最小化するとともに、工事現場等における工事車両の集中による非効率化を防止することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 ホストコンピュータ
2 生コン車(工事車両)
3 通信端末
4 通信端末
5 ビーコンまたはWifi機器
A,B,C,D,E 各交差点等のジオフェンス
X 生コンプラント所在地のジオフェンス
Y 建設現場所在地のジオフェンス
x 生コンプラントの所在地
y 建設現場の所在地
a,b,c,d 交差点
e 渋滞予測地
【要約】
【課題】多数の工事車両の連行、渋滞による走行経路における周辺住民への迷惑等を最小化する工事車両の運行管理方法及び運行管理システムを提供する。
【解決手段】生コンプラントの所在地xと建設現場の所在地yとを結ぶ道路上の交差点a,b,c,d及び渋滞予測地eに、GNSSによる位置情報を利用した多数のジオフェンスA,B,C,D,Eを設定する。生コン車2が各ジオフェンスA,B,C,D,Eを通過する毎に、各生コン車2のジオフェンスA,B,C,D,Eへの入退出時刻をホストコンピョュータ1のデータ管理サーバに発信して蓄積する。データ管理サーバに蓄積されたデータに基いて、各生コン車2の位置、走行速度に基づいた走行位置における渋滞状況、生コン車2どうしの間隔を算定し、これらの算定結果に基いて、各生コン車2に対して走行速度の調整またはルート変更の指示を発する。
【選択図】
図2