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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】拡散体及び照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20230804BHJP
   F21S 8/02 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
F21S2/00 432
F21S8/02 410
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023523895
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 JP2021020331
(87)【国際公開番号】W WO2022249433
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-05-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100203677
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 力
(72)【発明者】
【氏名】岡垣 覚
(72)【発明者】
【氏名】西村 将利
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/220656(WO,A1)
【文献】特開2018-60624(JP,A)
【文献】国際公開第2020/240933(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/175523(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21S 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光を入射して散乱光を含む光を出射する拡散体であって、
前記第1の光が第1の方向に入射する光入射面と、
第1の光出射面と
を有し、
前記光入射面は、前記拡散体の端面に形成され、
前記第1の光出射面から第1の出射光が出射し、
前記拡散体の前記第1の光出射面以外の面である第2の光出射面から第2の出射光が出射し、
前記第1の出射光の強度は、前記第1の出射光の出射方向が前記第1の方向に近づくほど高くなり、
前記第1の光の相関色温度は、前記第1の出射光の相関色温度より低く、前記第2の出射光の相関色温度より高い、
ことを特徴とする拡散体。
【請求項2】
前記拡散体は、
前記光入射面、前記第1の光出射面及び前記第2の光出射面が備えられた樹脂部材と、
前記樹脂部材内に分散された複数の散乱粒子と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の拡散体。
【請求項3】
前記複数の散乱粒子の平均粒子径は、10nmから3000nmまでの範囲内である、
ことを特徴とする請求項2に記載の拡散体。
【請求項4】
前記複数の散乱粒子の平均粒子径は、50nmから2000nmまでの範囲内である、
ことを特徴とする請求項3に記載の拡散体。
【請求項5】
前記光入射面は、前記拡散体の複数の端面を含み、
前記第1の光は、前記複数の端面の各々に入射する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の拡散体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の拡散体と、
前記第1の光を発する第1の光源と、
前記拡散体のうち前記光入射面と反対側の端部に配置されたフレームと
を有する、ことを特徴とする照明装置。
【請求項7】
第2の光を発する第2の光源を更に有し、
前記フレームは、前記第2の光の少なくとも一部を前記第1の光出射面と面する空間に導く、
ことを特徴とする請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記フレームは、前記第1の光出射面と面する空間を囲う部材であって、明部領域と暗部領域とを有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、拡散体及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
天井の凹部に取り付けられ、疑似的な天窓の形態を備えた照明装置の提案がある(例えば、特許文献1を参照)。この照明装置は、天井の凹部に取り付けられた照明パネルとそのまわりの側壁とを有している。側壁は、独立して制御可能な三角形発光領域を有しており、日なた部分と影部分とを模している。日なた部分と影部分とは、照明パネルが実際の天窓であったならば天窓から差し込む光によって形成されると思われる日なた領域と、光の当たらない影領域とを模している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6081663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、観察者が照明パネルを観察した際に、当該照明パネルにおける明るさ及び色が自然な造景(例えば、自然な青空)と異なるため、観察者に不自然さを感じさせるという課題がある。
【0005】
本開示は、青空を視認できず、実際に太陽からの差し込み光がないような環境であっても、あたかも太陽からの差し込み光が照射されているかのような自然な造景を観察者に与えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る拡散体は、第1の光を入射して散乱光を含む光を出射する拡散体であって、前記第1の光が第1の方向に入射する光入射面と、第1の光出射面とを有し、前記光入射面は、前記拡散体の端面に形成され、前記光出射面から第1の出射光が出射し、前記拡散体の前記第1の光出射面以外の面である第2の光出射面から第2の出射光が出射し、前記第1の出射光の強度は、前記第1の出射光の出射方向が前記第1の方向に近づくほど高くなり、前記第1の光の相関色温度は、前記第1の出射光の相関色温度より低く、前記第2の出射光の相関色温度より高い、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、あたかも太陽からの差し込み光が照射されているかのような自然な造景を観察者に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る照明装置の概略的な構成を示す断面図である。
図2図1に示される拡散体の拡大断面図である。
図3】実施の形態2に係る照明装置の概略的な構成を示す断面図である。
図4】実施の形態2の変形例1に係る照明装置の概略的な構成の一例を示す断面図である。
図5】実施の形態2の変形例1に係る照明装置の概略的な構成の他の例を示す断面図である。
図6】実施の形態2の変形例1に係る照明装置の概略的な構成の他の例を示す断面図である。
図7】実施の形態2の変形例1に係る照明装置の概略的な構成の他の例を示す断面図である。
図8】実施の形態2の変形例2に係る照明装置の概略的な構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施の形態に係る拡散体及び照明装置を、図面を参照しながら説明する。以下の実施の形態は、例にすぎず、実施の形態を適宜組み合わせること及び各実施の形態を適宜変更することが可能である。
【0010】
図面には、説明の理解を容易にするために、XYZ直交座標系の座標軸が示されている。Y軸方向は、拡散体の光出射面の法線方向である。なお、光出射面が曲面又は傾斜面又はこれらの両方を含んでいる場合、Y軸方向は、光出射面の中心部の法線方向又は光出射面の法線ベクトルの和が示す方向としてもよい。照明装置が天井に取り付けられた場合、-Y軸方向は鉛直下方向であり、+Y軸方向は鉛直上方向である。X軸方向及びZ軸方向は、Y軸方向に直交する方向である。照明装置が天井に取り付けられた場合、X軸方向及びZ軸方向は、水平方向である。+Z軸方向は、光入射面から入射した光の拡散体内における進行方向である。
【0011】
《実施の形態1》
図1は、実施の形態1に係る照明装置100の概略的な構成を示す断面図である。図1に示されるように、照明装置100は、拡散体10と、光源20とを有している。
【0012】
光源20は、第1の光としての光L1を発する。光源20は、例えば、光L1を光入射面10aに向けて発する。光源20は、例えば、光入射面10aと向き合うように配置されている。なお、以下の説明では、光源20を「第1の光源20」とも呼ぶ。
【0013】
拡散体10は、例えば、板状の部材である。拡散体10は、光入射面10aと、第1の光出射面10bとを有している。拡散体10は、光入射面10aに入射した光L1を全反射によって導光しつつ、当該光L1の少なくとも一部を散乱させて第1の光出射面10b(X-Z平面)から出射する。図1では、全反射する光は、符号L11で示されている。
【0014】
光入射面10aは、光源20から発せられた光L1を第1の方向であるZ軸方向から入射する。光入射面10aは、第1の光出射面10bの-Z軸方向の端部と接する端面である。このように、光入射面10aは、第1の光出射面10bの端部を含む拡散体10の端面に形成されている。図1に示す例では、拡散体10は、1つの光入射面10aを有している。なお、拡散体10は、少なくとも1つの光入射面10aを有していればよい。言い換えれば、光入射面10aは、拡散体10の複数の端面を含み、当該複数の端面の各々に光L1が入射してもよい。
【0015】
拡散体10の具体的な構成の一例として、光を透過、反射及び導光させることによって拡散させる光透過性部材である導光パネルが挙げられる。この場合、導光パネルには、透明樹脂と、入射した光を散乱させて散乱光を発生させる散乱構造とが備えられている。散乱構造は、拡散体10と異なる屈折率を有する散乱粒子、結晶、ボイド又は拡散体10の表面上の凹部などによって形成されている。以下の説明では、拡散体10が、透明樹脂11と散乱粒子12とによって形成される例を説明する。
【0016】
図2は、図1に示される拡散体10の拡大断面図である。図2に示されるように、拡散体10は、例えば、透明の樹脂部材である透明樹脂11と、透明樹脂11内に分散された複数の散乱粒子12とによって形成されている。
【0017】
次に、拡散体10における散乱現象について説明する。光入射面10aから拡散体10内に入射した光L1の一部は、散乱粒子12によって散乱する。図2では、散乱によって発生した光は、符号L12で示されている。光L12は、散乱角度及び光L1の波長に対する依存性を有している。散乱粒子12の大きさが光L1の波長に対して十分小さい場合、光L12は等方的であるため、散乱角度に対する依存性は小さく、光L1の波長が短いときの散乱強度は、当該波長が長いときの散乱強度より相対的に高くなる。一方で、散乱粒子12の大きさが光L1の波長と近しい場合は、前方散乱の程度が後方散乱の程度より相対的に大きくなる。また、散乱粒子12の大きさが光L1の波長と近しい大きさである場合も、光L1の波長が短いときの散乱強度は、光L1の波長が長いときの散乱強度より相対的に高くなる。
【0018】
図1に示されるように、拡散体10内に入射した光L1の少なくとも一部は、第1の出射光L21及び第2の出射光L22として出射される。第1の出射光L21は、第1の光出射面10bから出射する。第2の出射光L22は、拡散体10の第1の光出射面10b以外の面である第2の光出射面10cから出射する。図1に示す例では、第2の光出射面10cは、拡散体10の+Z軸方向を向く端面である。なお、第2の光出射面10cは、+Z軸方向を向く端面に限らず、拡散体10の+Y軸方向を向く端面及び-Y軸方向を向く端面のうちの少なくとも1つであってもよく、-Z軸方向を向く端面であってもよい。言い換えれば、第2の光出射面10cは、拡散体10の+Y軸方向を向く端面、-Y軸方向を向く端面、+Z軸方向を向く端面及び-Z軸方向を向く端面のうちの少なくとも1つを含んでいればよく、これらの端面の組み合わせによって構成されていてもよい。また、拡散体10は、少なくとも1つの第1の光出射面10bを有していればよい。そのため、拡散体10は、複数の第1の光出射面10bを有していてもよい。
【0019】
このように、入射した光L1は散乱粒子12によって多重散乱されることによって、光L1の少なくとも一部が第1の出射光L21、第2の出射光L22として拡散体10から出射する。また、入射した光L1の少なくとも一部は散乱されずに、第2の出射光L22の一部として拡散体10から出射する。
【0020】
ここで、上述した通り、散乱粒子12の大きさが光L1の波長と近しい場合、散乱した光L12では、光L1の入射方向(言い換えれば、光源20から出射される光L1の出射方向)の散乱である前方散乱が強い傾向にある。拡散体10内で多重散乱が発生した場合においても当該傾向は同様であるため、第1の出射光L21は、角度に対する依存性を有している。すなわち、第1の出射光L21の強度は、第1の出射光L21の出射方向が第1の光出射面10bの法線方向(Y軸方向)から+Z軸方向に近づくほど、高くなる。
【0021】
光L1の波長が長い場合の散乱粒子12による散乱強度は、光L1の波長が短い場合の散乱強度より低くなる。そのため、例えば、幅広い波長スペクトルを含む光L1が光入射面10aに入射した場合、短波長の光L1が優先的に散乱され、第1の出射光L21の相関色温度は、光L1の相関色温度より高くなる。この現象は、実際の青空の発生原理と同一であり、観察者に対して拡散体10を青空として視認させるために有効である。また、第2の出射光L22は、入射した光L1の内の散乱した光と散乱されなかった光とを含む。そのため、光L1の相関色温度は、第1の出射光L21の相関色温度より低く、第2の出射光L22の相関色温度より高くなる。
【0022】
また、実施の形態1に係る拡散体10の好適な構成例として、複数の散乱粒子12の平均粒子径は、10nmから3000nmまでの範囲内であって、更に好ましくは50nmから2000nmまでの範囲内である。これにより、第1の出射光L21の強度が、第1の出射光L21の出射方向が第1の光出射面10bの法線方向(Y軸方向)から+Z軸方向に近づくほど、高くなる。
【0023】
また、第1の出射光L21の相関色温度と第2の出射光L22の相関色温度との差の好適例としては、100Kと同程度又は100K以下である。また、第1の出射光L21がZ軸方向に進むときの当該第1の出射光L21の出射角度を0degとし、第1の出射光L21が第1の光出射面10bの法線方向に進むときの当該第1の出射光L21の出射角度を90degとする。ここで、出射角度が90degのときの第1の出射光L21の強度に対する出射角度が45degのときの第1の出射光L21の強度比の好適例は1.01倍から10倍までの範囲内であって、更に好ましくは1.1倍から5倍までの範囲内である。
【0024】
仮に、拡散体10が屋内の天井に取り付けられ、光源20が光入射面10aの近傍に固定された状態において、観察者が第1の光出射面10bを+Y軸方向に観察したとする。このとき、観察者は、第1の出射光L21によって第1の光出射面10bを青空と視認できる。また、観察者が、第1の光出射面10bの法線方向から光L1の入射方向(すなわち、+Z軸方向)に近づく方向である斜め方向(例えば、図1に示される矢印Vの向き)に第1の光出射面10bを観察したときの輝度は、第1の光出射面10bの法線方向(すなわち、鉛直下方向)に第1の光出射面10bを観察したときの輝度より高い。このような観察者の視線の変化(以下、「観察変化」とも呼ぶ。)に伴う第1の光出射面10bの輝度の変化は、自然な青空においても発生する現象である。人が実際に自然な青空を観察した場合にも、高度及び太陽の位置次第で、青空の輝度は変化する。すなわち、実施の形態1に係る拡散体10は、従来技術と比べてより自然な青空を再現することができる。よって、実施の形態1によれば、青空を視認できず、実際に太陽からの差し込み光がないような環境であっても、太陽からの差し込み光が照射されているかのような自然な造景を観察者に与えることができる。
【0025】
また、第1の光出射面10bに対する観察変化が微小な場合、例えば、拡散体10の真下から第1の光出射面10bを観察した場合には、第1の光出射面10bにおける輝度の変化は小さいことが好ましい。そのため、拡散体10の拡散の強さを散乱粒子12の大きさ、濃度等で設計することによって、第1の出射光L21の強度を第2の出射光L22の強度と同等もしくは低く設定する。これにより、拡散体10は、より自然な青空を再現することができる。
【0026】
また、図1に示す例では、拡散体10は1つの光入射面10aを有しているが、拡散体10が2つ以上の光入射面10aを有していることにより、第1の光出射面10bにおける輝度の変化を更に小さくすることができる。これにより、上述したように、自然な青空を再現することができる。
【0027】
〈実施の形態1の効果〉
以上に説明した実施の形態1によれば、第1の出射光L21の強度が、第1の出射光L21の出射方向が光L1の入射方向である+Z軸方向に近づくほど高くなる。また、光L1の相関色温度は、第1の出射光L21の相関色温度より低く、第2の出射光L22の相関色温度より高い。これにより、第1の光出射面10bに対する観察変化が生じた場合に、第1の光出射面10bの輝度の変化を生じさせることができる。この観察変化に伴う第1の光出射面10bの輝度の変化は、人が自然な青空を見るときにも発生する現象である。よって、青空を視認できず、実際に太陽からの差し込み光がないような環境であっても、あたかも太陽からの差し込み光が照射されているかのような自然な造景を観察者に与えることができる。
【0028】
また、実施の形態1によれば、拡散体10は、光入射面10aと第1の光出射面10bとが備えられた透明樹脂11と、透明樹脂11内に分散された複数の散乱粒子12とを含み、複数の散乱粒子12は、第1の出射光L21の強度が第1の出射光L21の出射方向がZ軸方向に近づくほど高くなるように、且つ光L1の相関色温度が第1の出射光L21の相関色温度より低く、第2の出射光L22の相関色温度より高くなるように透明樹脂11内に分散されている。これにより、第1の光出射面10bに対する観察変化が生じた場合に、第1の光出射面10bの輝度の変化を生じさせることができ、人が自然な青空を見るときと同じ現象を発生させることができる。
【0029】
また、実施の形態1によれば、第1の出射光L21の強度は、第2の出射光L22の強度と同等もしくは低い。これにより、拡散体10の真下から第1の光出射面10bを観察した場合には、第1の光出射面10bにおける輝度の変化は小さい。よって、拡散体10は、より自然な青空を再現することができる。
【0030】
《実施の形態2》
図3は、実施の形態2に係る照明装置200の概略的な構成を示す断面図である。図3において、図1に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図1に示される符号と同じ符号が付される。実施の形態2に係る照明装置200は、フレーム30を更に有する点で、実施の形態1に係る照明装置100と相違する。これ以外の点については、実施の形態2に係る照明装置200は、実施の形態1に係る照明装置100と同じである。
【0031】
図3に示されるように、照明装置200は、拡散体10と、光源20と、フレーム30とを有している。
【0032】
フレーム30は、拡散体10のうち光入射面10aと反対側の端部に配置されている。図3に示す例では、フレーム30は、拡散体10の+Z軸方向の端部10eに配置されている。+Z軸方向の端部10eは、拡散体10のうち第2の光出射面10cを含む端部である。フレーム30は、光入射面10aを含む平面Sと対向する部位を有している。
【0033】
フレーム30は、拡散体10の+Z軸方向の端部10eの+Y軸方向を向く端面10dに固定される部位である第1の部分31と、平面Sと対向する部位である第2の部分32とを有している。第1の部分31は、Z軸方向に伸びている。第2の部分32は、第1の部分31の+Z軸方向の端部から-Y軸方向に伸びている。
【0034】
フレーム30は、光透過性を有する材料、又は光反射性を有する材料から形成される。フレーム30は、例えば、金属、樹脂、ガラス又はフィルムなどで構成される。フレーム30は、入射した光を反射、拡散又は透過等させることによって、観察者が存在する空間に向けて出射する。これにより、観察者が照明装置200を観察したときに、フレーム30が照明装置200の他の領域より輝度の高い領域であると観察者に知覚させることができる。そのため、図3に示される矢印Aの向きに太陽光がフレーム30に差し込んでいるようかのような造景を観察者に与えることができる。よって、観察者に、より一層自然な造景を与えることができる。
【0035】
フレーム30に入射する光は、例えば、光源20から出射した光L1、第1の出射光L21及び第2の出射光L22のうちの少なくとも一部である。上述した通り、図3に示す例では、フレーム30は、拡散体10において、第2の光出射面10cを含む+Z軸方向の端部10eに固定されている。第2の光出射面10cからは、第2の出射光L22が出射するため、フレーム30に入射する光は、主に、第2の出射光L22である。また、フレーム30の近傍に、光源20とは異なる他の光源(図示せず)が配置されていてもよい。この場合、フレーム30は、当該他の光源から入射する光を反射、拡散及び透過等させることによって、フレーム30の輝度を照明装置200の他の領域の輝度より高くすることができる。
【0036】
〈実施の形態2の効果〉
以上に説明した実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に、第1の光出射面10bに対する観察変化が生じた場合に、第1の光出射面10bの輝度の変化を生じさせることができる。この観察変化に伴う第1の光出射面10bの輝度の変化は、人が自然な青空を見るときにも発生する現象である。よって、青空を視認できず、実際に太陽からの差し込み光がないような環境であっても、あたかも太陽からの差し込み光が照射されているかのような自然な造景を観察者に与えることができる。
【0037】
また、実施の形態2によれば、照明装置200は、拡散体10のうち光入射面10aと反対側の端部10eに配置されたフレーム30を有している。これにより、拡散体10から出射した光(例えば、第1の出射光L21、第2の出射光L22など)がフレーム30に入射し、フレーム30の輝度を照明装置200の他の領域の輝度より高くすることができる。そのため、太陽光がフレーム30に差し込んでいるかのような造景を観察者に与えることができる。よって、観察者に、より一層自然な造景を与えることができる。
【0038】
《実施の形態2の変形例1》
図4は、実施の形態2の変形例1に係る照明装置200Aの構成の一例を概略的に示す断面図である。図5、6及び7は、実施の形態2の変形例1に係る照明装置200Aの構成の他の例を概略的に示す断面図である。図4から7において、図3に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図3に示される符号と同じ符号が付される。実施の形態2の変形例1に係る照明装置200Aは、フレーム30Aの配置場所の点で、実施の形態2に係る照明装置200と相違する。これ以外の点については、実施の形態2の変形例1に係る照明装置200Aは、実施の形態2に係る照明装置200と同じである。
【0039】
図4に示されるように、照明装置200Aは、拡散体10と、光源20と、フレーム30Aとを有している。
【0040】
図4に示す例では、フレーム30Aも、図3に示されるフレーム30と同様に、拡散体10の+Z軸方向の端部10eに配置されている。具体的には、フレーム30Aは、光入射面10aを含む平面Sと対向する位置で且つ第1の光出射面10bと接する位置に配置されている。この場合も、フレーム30Aには、光源20から出射した光L1、第1の出射光L21及び第2の出射光L22のうちの少なくとも一部が入射する。フレーム30Aは、入射した光を反射、拡散及び透過等させることによって、フレーム30Aの輝度を照明装置200Aの他の領域の輝度より高くすることができる。
【0041】
フレーム30Aは、第1の光出射面10bに固定されて且つ光入射面10aを含む平面Sと対向する部位である第1の部分31Aと、第1の部分31Aの-Y軸方向の端部から+Z軸方向に伸びる部位である第2の部分32Aとを有している。図4に示す例では、第1の部分31Aと第2の部分32Aとのなす角度は、直角である。
【0042】
図5に示されるように、照明装置200Aは、フレーム30Aの近傍に配置された第2の光源40を更に有していてもよい。第2の光源40は、フレーム30Aの外側に配置されている。具体的には、第2の光源40は、フレーム30Aの第2の部分32Aと-Y軸方向に対向して且つ拡散体10の第2の光出射面10cより+Z軸側に配置されている。第2の光源40は、第2の光としての光L2を発する。第2の光源40は、例えば、第1の光源20と同様の構成を有している。なお、第2の光源40は、第1の光源20と異なる構成を有していてもよい。
【0043】
図5に示す例では、フレーム30Aは、第2の光源40から入射した光L2を第1の光出射面10bと面する空間110(すなわち、第1の出射光L21が出射される空間)に導く。具体的には、フレーム30Aは、光L2を反射、拡散及び透過等させる。これにより、フレーム30Aの輝度を照明装置200Aの他の領域の輝度より一層高くすることができる。
【0044】
図6に示されるように、第2の光源40は、拡散体10の第1の光出射面10bと反対側の+Y軸方向を向く端面10dの近傍に配置されていてもよい。図6に示す例では、第2の光源40は、拡散体10の+Y軸方向を向く端面10dより+Y軸側に配置されている。すなわち、第2の光源40は、拡散体10の+Y軸方向を向く端面10dと向き合う位置に配置されていてもよい。この場合、フレーム30Aは、第2の光源40が発した光L2のうち拡散体10を透過した光を反射、拡散及び透過等させる。このように、フレーム30Aは、光L2の少なくとも一部を第1の光出射面10bと面する空間110に導いてもよい。図6に示す例においても、フレーム30Aの輝度を照明装置200Aの他の領域の輝度より一層高くすることができる。
【0045】
フレーム30Aの形状は、図4から6に示される形状に限られない。図7に示されるように、フレーム30Aのうち第1の光出射面10bに固定される第1の部分31Aは、第1の光出射面10bから離れるほど第1の光出射面10bの前の空間が広がるように、第1の光出射面10bの法線に対して傾斜していてもよい。
【0046】
〈実施の形態2の変形例1の効果〉
以上に説明した実施の形態2の変形例1によれば、実施の形態1又は2と同様に、第1の光出射面10bに対する観察変化が生じた場合に、第1の光出射面10bの輝度の変化を生じさせることができる。この観察変化に伴う第1の光出射面10bの輝度の変化は、人が自然な青空を見るときにも発生する現象である。よって、青空を視認できず、実際に太陽からの差し込み光がないような環境であっても、あたかも太陽からの差し込み光が照射されているかのような自然な造景を観察者に与えることができる。
【0047】
また、実施の形態2の変形例1によれば、照明装置200Aは、拡散体10のうち、光入射面10aを含む平面Sと対向する位置で且つ第1の光出射面10bに接する位置に配置されたフレーム30Aを有している。これにより、第1の光出射面10bから出射した第1の出射光L21がフレーム30Aに入射し易くなるため、フレーム30Aの輝度を照明装置200Aの他の領域の輝度より高くすることができる。そのため、あたかも太陽光がフレーム30Aに差し込んでいるようかのような造景を観察者に与えることができる。よって、観察者は、太陽の位置に対する認識を強めるため、より一層自然な造景を観察者に与えることができる。
【0048】
また、実施の形態2の変形例1によれば、照明装置200Aは、光L2を発する第2の光源40を更に有し、フレーム30Aは、光L2の少なくとも一部を第1の光出射面10bと面する空間110に導く。これにより、第2の光源40が発した光L2をフレーム30Aに入射させ、当該入射した光L2を反射、拡散及び透過等させることで、フレーム30Aの輝度を照明装置200Aの他の領域の輝度より一層高くすることができる。
【0049】
《実施の形態2の変形例2》
図8は、実施の形態2の変形例2に係る照明装置200Bの概略的な構成を示す断面図である。図8において、図3に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図3に示される符号と同じ符号が付される。実施の形態2の変形例2に係る照明装置200Bは、フレーム30Bの構成の点で、実施の形態2に係る照明装置200と相違する。これ以外の点については、実施の形態2の変形例2に係る照明装置200Bは、実施の形態2に係る照明装置200と同じである。
【0050】
図8に示されるように、照明装置200Bは、拡散体10と、光源20と、フレーム30Bとする。
【0051】
図8に示す例では、フレーム30Bは、第1の光出射面10bと面する空間110を囲う部材(枠体)である。なお、フレーム30Bは、拡散体10を囲う枠体であってもよい。また、フレーム30Bは、第1の光出射面10bと面する空間110と拡散体10の両方を囲う枠体であってもよい。
【0052】
フレーム30Bは、明部領域51と、暗部領域52とを有している。明部領域51は、輝度の高い領域であり、暗部領域52は、明部領域51より輝度が低い領域である。明部領域51及び暗部領域52は、フレーム30Bに光透過率又は光反射率の異なる領域を設けることによって形成される。観察者は、明部領域51と暗部領域52を、窓枠に形成された日なたと日陰のように感じることができる。つまり、観察者は、あたかも拡散体10から実際の太陽光、すなわち、自然光が図8に示される矢印Aの向きに差し込んでいるように感じることができる。よって、観察者は、照明装置200Bによって疑似的な青空が再現されていると一層感じることができる。
【0053】
〈実施の形態2の変形例2の効果〉
以上に説明した実施の形態2の変形例2によれば、実施の形態1又は2と同様に、第1の光出射面10bに対する観察変化が生じた場合に、第1の光出射面10bの輝度の変化を生じさせることができる。この観察変化に伴う第1の光出射面10bの輝度の変化は、人が自然な青空を見るときにも発生する現象である。よって、青空を視認できず、実際に太陽からの差し込み光がないような環境であっても、あたかも太陽からの差し込み光が照射されているかのような自然な造景を観察者に与えることができる。
【0054】
また、実施の形態2の変形例2によれば、照明装置200Bのフレーム30Bは、明部領域51と、暗部領域52とを有している。これにより、観察者は、明部領域51と暗部領域52を、窓枠に形成された日なたと日陰のように感じることができる。つまり、観察者は、あたかも拡散体10から実際の太陽光、すなわち、自然光が差し込んでいるように感じることができる。よって、観察者は、照明装置200Bによって疑似的な青空が再現されていると感じることができる。
【符号の説明】
【0055】
10 拡散体、 10a 光入射面、 10b 第1の光出射面、 10c 第2の光出射面、 10e 端部、 11 透明樹脂、 12 散乱粒子、 20 光源(第1の光源)、 30、30A、30B フレーム、 40 第2の光源、 51 明部領域、 52 暗部領域、 100、200、200A、200B 照明装置、 110 空間、 L1 第1の光、 L2 第2の光、 L21 第1の出射光、 L22 第2の出射光。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8