IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図1
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図2
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図3
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図4
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図5
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図6
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図7
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図8
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図9
  • 特許-画像形成装置及び画像形成方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20230807BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 301
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019164633
(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公開番号】P2021041584
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115831
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】山本 武徳
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-331648(JP,A)
【文献】特開2018-083350(JP,A)
【文献】特開2008-273191(JP,A)
【文献】特開2013-157966(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0078139(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて画像形成媒体上にインクを吐出して画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成媒体を前記画像形成部に搬送するための搬送経路を有する搬送部と、
前記搬送経路において、前記画像の形成が可能な前記画像形成媒体上の領域である画像形成可能領域を特定するための媒体領域データを取得する媒体読取部と、
前記画像を構成する複数の画素にインクドットを形成して、前記画像データを再現するための画像形成制御データを生成する画像処理部と、
前記複数の画素から着目画素を選択し、前記媒体領域データに基づいて前記選択された着目画素が前記画像形成可能領域内であるか否かを判断し、前記選択された着目画素が前記画像形成可能領域内である場合には、前記着目画素をインクの吐出対象とし、前記選択された着目画素が前記画像形成可能領域の外部に存在する場合には、前記着目画素を前記インクの吐出が制限されるマスク処理の対象とする画像形成制御部と、
前記画像データによって表される画像に対する相対的な位置であって、前記マスク処理の対象であると最初に判断された着目画素である起点マスク画素の位置と、前記マスク処理の対象であると最後に判断された着目画素である終点マスク画素の位置とを取得し、前記起点マスク画素の位置と前記終点マスク画素の位置とを使用して前記マスク処理の対象の発生原因を推定し、前記マスク処理の対象の発生原因の推定結果を表す第1のテキストメッセージを生成する異常推定部と、
前記マスク処理の対象の発生に応じて、前記第1のテキストメッセージを表示し、前記起点マスク画素の位置と前記終点マスク画素の位置とを使用して生成された表示を、前記画像データによって表される画像に重畳して前記マスク処理の対象とされた領域を示す操作表示部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記異常推定部は、前記画像データによって表される画像の四隅のいずれか1つから予め設定された範囲内に前記起点マスク画素の位置及び前記終点マスク画素の位置の双方が入っている場合には、前記マスク処理の対象の発生原因の推定結果が耳折れであるとの前記第1のテキストメッセージを生成する画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記異常推定部は、前記推定の根拠として使用された前記起点マスク画素の位置及び前記終点マスク画素の位置の解釈を表す第2のテキストメッセージを生成し、
前記操作表示部は、前記第2のテキストメッセージを表示する画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置であって、
前記異常推定部は、前記画像データによって表される画像の四隅のいずれか1つから予め設定された範囲内に前記起点マスク画素の位置及び前記終点マスク画素の位置の双方が入っている場合には、前記マスク処理の対象の発生原因の推定結果が耳折れであるとの前記第1のテキストメッセージと、前記解釈を前記四隅のいずれか1つの近傍に前記起点マスク画素の位置及び前記終点マスク画素の位置の双方が存在しているとする前記第2のテキストメッセージとを生成する画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記異常推定部は、前記画像形成媒体の搬送方向に交差する方向のいずれか一方の端部から予め設定された範囲内に前記起点マスク画素の位置及び前記終点マスク画素の位置の双方が入っている場合において、前記画像形成媒体の搬送方向の両端部から予め設定された範囲内に前記起点マスク画素の位置及び前記終点マスク画素の位置のそれぞれが入っているときには、前記マスク処理の対象の発生原因が搬送位置のズレであるとする前記第1のテキストメッセージを生成する画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記異常推定部は、前記画像形成媒体の搬送方向に交差する方向のいずれか一方の端部から予め設定された範囲内に前記起点マスク画素の位置及び前記終点マスク画素の位置の双方が入っている場合において、前記画像形成媒体の搬送方向の両端部から予め設定された範囲内に前記起点マスク画素の位置と前記終点マスク画素の位置の一方のみが入っているときには、前記マスク処理の対象の発生原因が斜行であるとする前記第1のテキストメッセージを生成する画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記異常推定部は、前記画像データによって表される画像の内部に前記起点マスク画素の位置及び前記終点マスク画素の位置の双方が入っているときには、前記マスク処理の対象の発生原因が前記画像形成媒体の穴であるとする前記第1のテキストメッセージを生成する画像形成装置。
【請求項8】
画像形成媒体上にインクを吐出して画像を形成する画像形成部で、画像データに基づいて画像を形成する画像形成工程と、
前記画像形成媒体を前記画像形成部に搬送するための搬送経路を有する搬送工程と、
前記搬送経路において、前記画像の形成が可能な前記画像形成媒体上の領域である画像形成可能領域を特定するための媒体領域データを取得する媒体読取工程と、
前記画像を構成する複数の画素にインクドットを形成して、前記画像データを再現するための画像形成制御データを生成する画像処理工程と、
前記複数の画素から着目画素を選択し、前記媒体領域データに基づいて前記選択された着目画素が前記画像形成可能領域内であるか否かを判断し、前記選択された着目画素が前記画像形成可能領域内である場合には、前記着目画素をインクの吐出対象とし、前記選択された着目画素が前記画像形成可能領域の外部に存在する場合には、前記着目画素を前記インクの吐出が制限されるマスク処理の対象とする画像形成制御工程と、
前記画像データによって表される画像に対する相対的な位置であって、前記マスク処理の対象であると最初に判断された着目画素である起点マスク画素の位置と、前記マスク処理の対象であると最後に判断された着目画素である終点マスク画素の位置とを取得し、前記起点マスク画素の位置と前記終点マスク画素の位置とを使用して前記マスク処理の対象の発生原因を推定し、前記マスク処理の対象の発生原因の推定結果を表す第1のテキストメッセージを生成する異常推定工程と、
前記マスク処理の対象の発生に応じて、前記第1のテキストメッセージを表示し、前記起点マスク画素の位置と前記終点マスク画素の位置とを使用して生成された表示を、前記画像データによって表される画像に重畳して前記マスク処理の対象とされた領域を示す操作表示工程と、
を備える画像形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成方法に関し、特に画像形成媒体外へのインクの吐出の原因を特定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
商業印刷業界では、大量の印刷処理を実行するため印刷媒体やその搬送に関する異常によって印刷媒体外へのインクの吐出が発生してしまうことがある。このような問題に対しては、たとえば特許文献1は、全面印刷を行うインク噴射方式の画像形成装置において、印刷速度を向上させつつ、記録媒体幅の検出精度を向上させて、はみ出しインク量を適切に削減する技術を提案している。特許文献2は、画像データの印刷サイズと印刷媒体のサイズの不一致に対し、画像出力を中止させて用紙の無駄を避けるとともに、エラー画像をホストコンピュータ装置側に表示させて、如何なるエラーなのかを目視させて確認させる技術を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-289275号公報
【文献】特開2008-65309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、印刷媒体外へのインクの吐出が発生すると、その原因の特定が困難であった。一方、従来は、このような問題に対する検討が必ずしも十分ではなかった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、画像形成媒体の異常の特定を支援するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、画像データに基づいて画像形成媒体上にインクを吐出して画像を形成する画像形成部と、前記画像形成媒体を前記画像形成部に搬送するための搬送経路を有する搬送部と、前記搬送経路において、前記画像の形成が可能な前記画像形成媒体上の領域である画像形成可能領域を特定するための媒体領域データを取得する媒体読取部と、前記画像を構成する複数の画素にインクドットを形成して、前記画像データを再現するための画像形成制御データを生成する画像処理部と、前記複数の画素から着目画素を選択し、前記媒体領域データに基づいて前記選択された着目画素が前記画像形成可能領域内であるか否かを判断し、前記選択された着目画素が前記画像形成可能領域内である場合には、前記着目画素をインクの吐出対象とし、前記選択された着目画素が前記画像形成可能領域の外部に存在する場合には、前記着目画素を前記インクの吐出が制限されるマスク処理の対象とする画像形成制御部と、前記画像データによって表される画像に対する相対的な位置であって、前記マスク処理の対象であると最初に判断された着目画素である起点マスク画素の位置と、前記マスク処理の対象であると最後に判断された着目画素である終点マスク画素の位置とを取得し、前記起点マスク画素の位置と前記終点マスク画素の位置とを使用して前記マスク処理の対象の発生原因を推定し、前記マスク処理の対象の発生原因の推定結果を表す第1のテキストメッセージを生成する異常推定部と、前記マスク処理の対象の発生に応じて、前記第1のテキストメッセージを表示し、前記起点マスク画素の位置と前記終点マスク画素の位置とを使用して生成された表示を、前記画像データによって表される画像に重畳して前記マスク処理の対象とされた領域を示す操作表示部とを備える。
【0007】
本発明の画像形成方法は、画像形成媒体上にインクを吐出して画像を形成する画像形成部で、画像データに基づいて画像を形成する画像形成工程と、前記画像形成媒体を前記画像形成部に搬送するための搬送経路を有する搬送工程と、前記搬送経路において、前記画像の形成が可能な前記画像形成媒体上の領域である画像形成可能領域を特定するための媒体領域データを取得する媒体読取工程と、前記画像を構成する複数の画素にインクドットを形成して、前記画像データを再現するための画像形成制御データを生成する画像処理工程と、前記複数の画素から着目画素を選択し、前記媒体領域データに基づいて前記選択された着目画素が前記画像形成可能領域内であるか否かを判断し、前記選択された着目画素が前記画像形成可能領域内である場合には、前記着目画素をインクの吐出対象とし、前記選択された着目画素が前記画像形成可能領域の外部に存在する場合には、前記着目画素を前記インクの吐出が制限されるマスク処理の対象とする画像形成制御工程と、前記画像データによって表される画像に対する相対的な位置であって、前記マスク処理の対象であると最初に判断された着目画素である起点マスク画素の位置と、前記マスク処理の対象であると最後に判断された着目画素である終点マスク画素の位置とを取得し、前記起点マスク画素の位置と前記終点マスク画素の位置とを使用して前記マスク処理の対象の発生原因を推定し、前記マスク処理の対象の発生原因の推定結果を表す第1のテキストメッセージを生成する異常推定工程と、前記マスク処理の対象の発生に応じて、前記第1のテキストメッセージを表示し、前記起点マスク画素の位置と前記終点マスク画素の位置とを使用して生成された表示を、前記画像データによって表される画像に重畳して前記マスク処理の対象とされた領域を示す操作表示工程とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成媒体の異常の特定を支援するための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る高速印刷システム10の機能構成を示すブロックダイアグラムである。
図2】一実施形態に係るマスク処理の内容を示す説明図である。
図3】一実施形態に係る印刷処理手順の内容を示すフローチャートである。
図4】一実施形態に係る画像形成処理の内容を示すフローチャートである。
図5】一実施形態に係る媒体搬送ベルトの媒体搬送面を示す説明図である。
図6】印刷用紙の耳折れの状態を示す説明図である。
図7】異常推定の結果として耳折れを示すエラー表示画面を示す説明図である。
図8】印刷用紙の異常推定の結果が穴である場合を示す説明図である。
図9】印刷用紙の異常推定の結果がズレである場合を示す説明図である。
図10】印刷用紙の異常推定の結果が斜行である場合を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る高速印刷システム10の機能構成を示すブロックダイアグラムである。高速印刷システム10は、高速印刷装置100と、パーソナルコンピュータ200と、LANとを備えている。LANは、パーソナルコンピュータ200と高速印刷装置100とを接続している。高速印刷装置100は、画像形成装置とも呼ばれる。
【0012】
パーソナルコンピュータ200は、画像形成制御部210と、異常推定部220と、操作表示部230と、記憶部240とを備えている。画像形成制御部210は、画像処理部として機能し、画像データに対して色変換処理やハーフトーン処理(RIP処理)を実行して画像形成ユニット130で使用されるインクで画像を再現するためのドットデータである印刷データを生成する。操作表示部230は、タッチパネルとして機能し、様々なメニューを入力画面として表示してユーザーの操作入力を受け付ける。異常推定部220の機能について後述する。印刷データは、画像形成制御データとも呼ばれる。
【0013】
画像形成制御部210は、RAMやROM等の主記憶手段、及びMPU(Micro Processing Unit)やCPU(Central Processing Unit)等の制御手段を備えている。記憶部240は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリー等からなる記憶装置(図示略)を有し、パーソナルコンピュータ200が実行する処理の制御プログラム(画像形成プログラムを含む。)や画像データ等を記憶する。
【0014】
高速印刷装置100は、印刷媒体供給部110と、マスクデータ生成部120と、画像形成ユニット130と、画像読取部140と、印刷物収容部150と、媒体搬送部160とを備える。媒体搬送部160は、媒体搬送ベルト161と、レジストローラ対162(図2参照)とを有している。媒体搬送ベルト161は、印刷媒体供給部110から供給される印刷用紙を、マスクデータ生成部120、画像形成ユニット130、画像読取部140及び印刷物収容部150に順に搬送する。画像読取部140は、媒体読取部とも呼ばれる。
【0015】
画像形成ユニット130は、印刷制御部131と、吐出制御回路132と、印刷ヘッド133と、記憶部134とを有している。画像形成ユニット130は、画像を構成する複数の画素にCMYKのインクドットを形成して印刷対象である印刷対象画像を印刷用紙上に再現する。印刷ヘッド133は、CMYKのインクを吐出する。吐出制御回路132は、印刷データに基づいてCMYKのインクを吐出するための吐出制御信号を出力する。印刷制御部131は、高速印刷装置100の全体を制御する。
【0016】
記憶部134は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリー等からなる記憶装置(図示略)を有し、印刷制御部131が実行する処理の制御プログラムやデータ等を記憶する。記憶部134は、印刷データとしてRIP(Raster Image Processing)処理後のCMYKのドットの形成状態を表すドットデータ(画像形成制御データ)をパーソナルコンピュータ200から入力して格納し、吐出制御回路132に供給する。
【0017】
吐出制御回路132は、ドットデータに基づいて各色のインクの液滴サイズ(たとえばS,M,L,LL及び3Lの5階調)を表す吐出制御信号を出力する。吐出制御信号は、マスク信号に基づいて印刷データに対してマスク処理を施すことによって生成される。画像形成ユニット130は、吐出制御信号に基づいて5階調の液滴サイズでCMYKのインクドットを形成することができる。
【0018】
レジストローラ対162は、媒体搬送ベルト161における画像形成(インク吐出プロセス)のタイミングに合わせて、印刷用紙を媒体搬送ベルト161に搬送する。印刷用紙は、印刷媒体又は画像形成媒体とも呼ばれる。画像形成ユニット130は、画像形成部とも呼ばれる。
【0019】
印刷媒体供給部110は、たとえばA4サイズの印刷用紙を格納する第1カセット111と、A3サイズの印刷用紙を格納する第2カセット112とを有している。なお、印刷媒体供給部110は、ロール紙ロール(図示略)を格納し、ロール紙ロールから印刷媒体としてのロール紙を供給するように構成されていてもよい。この例では、高速印刷装置100は、A3サイズが印刷可能な最大幅サイズ(A3サイズの短辺方向のサイズが主走査方向サイズ)となるように構成されている。
【0020】
図2は、一実施形態に係るマスク処理の内容を示す説明図である。マスクデータ生成部120は、画像形成ユニット130に印刷用紙を搬送するための搬送経路に配置されているCIS方式のモノクロラインスキャナ121を有している。モノクロラインスキャナ121は、媒体搬送ベルト161上を副走査方向に搬送される印刷用紙を照射する光源(図示略)と、搬送方向に交差する主走査方向に沿って配置されている1本のCCDラインセンサ(図示せず)とを有している。
【0021】
モノクロラインスキャナ121は、媒体搬送ベルト161上を副走査方向に搬送される印刷用紙Pを撮像し、印刷用紙Pの媒体領域PZを表す媒体領域データを生成する。媒体領域PZは、CMYKのインクを受け止める画像形成媒体が存在する領域である。一方、印刷データは、RIP(Raster Image Processing)処理後のCMYKのドットの形成状態を表すドットデータである。
【0022】
マスクデータ生成部120は、画像形成媒体が存在しない領域へのドットの形成、すなわち媒体外吐出を検出し、媒体外吐出を排除するための媒体領域データを生成する。これにより、高速印刷装置100は、媒体外吐出に起因して媒体搬送ベルト161を介する印刷物のインクによる汚損を抑制することができる。
【0023】
具体的には、印刷用紙Pに耳折れが発生している場合(図2参照)には、モノクロラインスキャナ121は、媒体領域PZ1を示す媒体領域データを生成する。これにより、画像形成ユニット130は、媒体領域PZ1以外へのインクの吐出を制限し、すなわち媒体外吐出領域Ms1へのインクの吐出を排除してマスク領域M1を有するマスク処理後の印刷物PAm1を生成する。一方、印刷用紙Pに穴が存在している場合(図2参照)には、モノクロラインスキャナ121は、媒体領域PZ2を示す媒体領域データを生成する。これにより、画像形成ユニット130は、媒体外吐出領域Ms2へのインクの吐出を排除してマスク領域M2を有するマスク処理後の印刷物PAm2を生成する。
【0024】
画像読取部140は、主走査方向に沿って配置されているCIS方式のカラーラインスキャナ141を有している。画像読取部140は、媒体搬送ベルト161上を副走査方向に搬送される印刷物を照射する光源(図示略)と、主走査方向に沿って配置されているRGBの3本のCCDラインセンサ(図示せず)とを有する。画像読取部140は、印刷用紙に所望の画像が形成された印刷物の品質を確認する処理である印刷物品質確認処理で使用される。印刷物収容部150は、印刷物品質確認処理で品質が確認された印刷物を収容する。
【0025】
図3は、一実施形態に係る印刷処理手順の内容を示すフローチャートである。ステップS100では、ユーザーは、印刷設定処理を実行する。印刷設定処理では、ユーザーは、パーソナルコンピュータ200の操作表示部230において画像データの内容を確認するとともに、たとえばハーフトーン処理の方法や印刷枚数を設定する。
【0026】
ステップS200では、ユーザーは、印刷設定内容を確認し、パーソナルコンピュータ200から印刷開始を指示する。これにより、高速印刷システム10は、印刷処理を開始し、処理をステップS300に進める。
【0027】
図4は、一実施形態に係る画像形成処理(ステップS300)の内容を示すフローチャートである。図5は、一実施形態に係る媒体搬送ベルト161の媒体搬送面160Sを示す説明図である。この例では、媒体搬送面160Sは、印刷媒体供給部110から供給されたA3サイズの印刷用紙P1を搬送方向Tに搬送して画像形成ユニット130に供給する。媒体搬送面160Sは、白色と顕著に相違する色、たとえばグレーの色を有している。
【0028】
媒体搬送面160Sには、主走査方向の印刷可能な最大幅である印刷可能幅WAが設定されている。印刷可能幅WAは、第1印刷可能端部位置160E1と第2印刷可能端部位置160E2との間に設定されている。画像形成ユニット130は、印刷可能幅WAの範囲内においてインクの吐出が可能である。
【0029】
ステップS310では、マスクデータ生成部120は、媒体画像取得処理を実行する。媒体画像取得処理では、マスクデータ生成部120は、印刷用紙P1の搬送中の画像である搬送画像を取得する。搬送画像は、媒体搬送面160Sにおいて予め設定されている画像読取範囲RZの範囲内の印刷用紙P1の画像である。画像読取範囲RZは、印刷可能幅WAと同一範囲に設定されている。この例では、印刷用紙P1には耳折れが発生しており、モノクロラインスキャナ121は、搬送画像から媒体領域PZ1を示す媒体領域データを生成する。
【0030】
ステップS320では、マスクデータ生成部120は、媒体領域データ生成処理を実行する。媒体領域データ生成処理では、マスクデータ生成部120は、印刷用紙P1の色と媒体搬送面160Sのグレーの色とを識別するための閾値を設定して2値化し、印刷用紙P1を表す画素の画素値を「0」とし、媒体搬送面160Sを表す画素の画素値を「1」とすることによって媒体領域データを生成する。
【0031】
マスクデータ生成部120は、2値データを画像読取範囲RZ内で印刷データの座標系にマッピングし、媒体領域データを生成する。本実施形態では、媒体領域データは、印刷データの座標系において、画像形成が可能な印刷用紙上の領域である画像形成可能領域を特定するためのデータである。マスクデータ生成部120は、媒体領域データを記憶部134に格納する。
【0032】
ステップS330では、印刷制御部131は、インク吐出制御処理を実行する。インク吐出制御処理では、印刷制御部131は、印刷データに基づいてインク吐出処理のための制御データを生成する。具体的には、印刷制御部131は、CMYKの印刷データにおいて処理の対象となる着目画素を選択し、着目画素に対応する媒体領域データの画素値が「0」である場合には、吐出制御回路132にインクを吐出するための制御信号を出力して所定の液滴サイズでインクを吐出可能な状態(インクの吐出対象)とし、媒体領域データの画素値が「1」である場合には、制御信号をマスク(カット)してインクの吐出を排除(禁止又は制限)する(マスク処理又は画素除去とも呼ばれる。)。
【0033】
ステップS340では、印刷制御部131は、マスク処理が実行された場合には、処理をステップS350に進め、マスク処理が実行されなかった場合には、処理をステップS380に進める。ステップS380では、印刷制御部131は、全画素の処理が完了するまで処理をステップS330に戻し、次の着目画素に対してインク吐出制御処理を実行する。
【0034】
ステップS350では、印刷制御部131は、起点マスク画素の座標値を取得する。起点マスク画素は、印刷データによる印刷対象領域である印刷対象領域PAにおいて最初にマスク処理が実行された画素の座標である。印刷制御部131は、起点マスク画素を表す座標データを記憶部134の所定の第1の格納領域に格納する。
【0035】
ステップS360では、印刷制御部131は、終点マスク画素の座標値を取得する。終点マスク画素は、印刷データによる印刷対象領域である印刷対象領域PAにおいて最後にマスク処理が実行された画素の座標である。印刷制御部131は、2回目以降のマスク画素を表す座標データを記憶部134の所定の第2の格納領域に格納する。
【0036】
ステップS370では、印刷制御部131は、全画素の処理が完了するまで処理をステップS330に戻し、次の着目画素に対してインク吐出制御処理を実行する。これにより、第2の格納領域には、2回目以降のマスク画素を表す座標データが順次格納され、更新されるので結果的に最後にマスク処理が実行された画素の座標が格納されることになる。
【0037】
ステップS400では、印刷制御部131は、少なくとも1つの画素についてマスク処理が実行済みである場合には、処理をステップS500に進め、マスク処理が一度も実行されていない場合には、処理をステップS800に進める。ステップS800では、印刷制御部131は、印刷枚数が設定枚数に達するまで処理をステップS300に戻し、次の印刷用紙に対して画像形成処理を実行する。
【0038】
ステップS500では、印刷制御部131は、マスク処理が実行された印刷の完了後に印刷停止処理を実行する。すなわち、印刷制御部131は、マスク処理が実行された印刷用紙への画像形成が完了した後に印刷を停止する。マスク処理が実行された印刷用紙への画像形成を完了させるのは、印刷用紙の異常の特定に使用するためである。印刷制御部131は、高速印刷装置100に対して、印刷処理の停止を通知し、起点マスク画素及び終点マスク画素の座標値をパーソナルコンピュータ200に送信する。
【0039】
ステップS600では、異常推定部220は、異常モード推定処理を実行する。異常モード推定処理では、異常推定部220は、印刷処理の対象である画像データを記憶部240から読み出して、起点マスク画素の座標値、終点マスク画素の座標値及び画像データを使用してマスク処理の原因となった印刷用紙の異常の原因を推定する。
【0040】
異常推定部220は、起点マスク画素及び終点マスク画素の座標値を、RIP処理前の画像データの画素に基づく座標系の値に変換する。これにより、起点マスク画素S1及び終点マスク画素E1の座標値は、画像データによって表される画像に対する相対的な位置を表す座標値となる。
【0041】
図6は、印刷用紙P1の耳折れの状態を示す説明図である。図6は、画像読取範囲RZの範囲内にマスク処理で使用された媒体領域PZ1が示されている。媒体領域PZ1には、主走査方向や副走査方向のズレやスキューが無く、その内部には周囲にマージンMsを有する状態で印刷対象領域PAが存在している。この例では、印刷用紙P1に耳折れが発生し、耳折れに起因して媒体外吐出領域Ms1が発生している。媒体外吐出領域Ms1は、マスク処理が実行されなかったと仮定すると、インクが吐出される印刷用紙の外部の領域である。
【0042】
印刷対象領域PAは、印刷データの座標系において、X軸方向(主走査方向)に5000画素を有し、Y軸方向(副走査方向)に7000画素を有している。この例では、起点マスク画素S1の座標値は、(100,1)であり、終点マスク画素E1の座標値の座標値は、(1,100)である。
【0043】
画像形成制御部210は、起点マスク画素S1及び終点マスク画素E1の座標値が、いずれも印刷用紙の四隅、すなわち4つの角部(この例では、(1,1)、(5000,1)、(1,7000)及び(5000,7000))の近傍である場合には、耳折れが媒体外吐出領域Ms1の原因であると推定することができる。耳折れは、専ら印刷用紙の角部の近傍で発生するからである。
【0044】
ステップS700では、画像形成制御部210は、異常内容表示処理を実行する。異常内容表示処理では、画像形成制御部210は、予め設定されているエラー判定基準に基づいてエラーモードを判定する。本実施形態では、耳折れのエラー判定基準は、起点マスク画素S1及び終点マスク画素E1の座標値が、いずれも印刷用紙の同一の角部から50%以内(すなわちX軸方向に2500画素内でY軸方向に3500画素内)に存在することを基準としているものとする。
【0045】
この例では、起点マスク画素S1の座標値が(100,1)であり、終点マスク画素E1の座標値の座標値は、(1,100)なので、角部(1,1)から50%以内である。画像形成制御部210は、マスク処理の対象の発生原因、すなわち異常推定の結果として「耳折れ」を操作表示部230に表示させる。
【0046】
図7は、異常推定の結果として耳折れを示すエラー表示画面EW1を示す説明図である。エラー表示画面EW1は、マスク処理が実行されたことを示すテキストメッセージT1と、その内容を示す説明領域SC1とを有している。説明領域SC1は、異常推定結果の内容を示すテキストメッセージT2と、フレーム表示FR1が重畳された印刷対象画像TPA1とを有している。フレーム表示FR1は、マスク処理が実行された領域を示すフレームシンボル(単に表示とも呼ばれる。)である。テキストメッセージT1及びテキストメッセージT2は、たとえば予め準備されているテキストメッセージのリストから準備することによって異常推定部220によって生成される。
【0047】
テキストメッセージT1は、「印刷用紙外へのインクの吐出を検知し、マスクしました。」とのテキスト表示であり、異常の内容が印刷用紙外へのインクの吐出が未然に検知され、吐出が防止されたことを示している。テキストメッセージT2は、印刷用紙に関する異常が「耳折れ」であると推定し、その根拠として「マスク位置が印刷用紙の角部に存在」すると異常推定部220によって解釈されたことを示している。マスク処理の対象の発生原因の推定結果を表すテキストメッセージは、第1のテキストメッセージとも呼ばれる。推定結果の根拠となった解釈を表すテキストメッセージは、第2のテキストメッセージとも呼ばれる。
【0048】
印刷対象画像TPA1は、記憶部240から読み出された画像データに基づいて表示される。印刷対象画像TPA1は、印刷用紙が正常でマスク処理が実行されなかった場合を想定した画像である。フレーム表示FR1は、起点マスク画素S1の座標値及び終点マスク画素E1の座標値を対角とする矩形、あるいはその矩形よりも一回り大きな矩形のフレームシンボルである。フレーム表示FR1は、一回り大きな矩形のフレームシンボルでマスク処理が実行された領域を包含して示している。
【0049】
これにより、ユーザーは、エラー表示画面EW1の内容を参考とし、マスク処理を伴って印刷された印刷物を検証して異常の内容を特定することができる。この際、ユーザーは、エラーモードの第1候補として「耳折れ」を考慮して、異常の内容を特定することができるとともに、その判断の根拠となるマスク処理の対象となった領域であるマスク処理対象の高速印刷装置100による解釈を表示することができるので、異常の特定の際のユーザー負担を軽減することができる。
【0050】
図8は、印刷用紙の異常推定の結果が穴である場合を示す説明図である。図8(a)は、媒体外吐出領域Ms2(図2参照)の発生の原因が印刷用紙の穴である場合を示している。印刷用紙Pに穴が存在している場合には、モノクロラインスキャナ121は、媒体領域PZ2を示す媒体領域データを生成する。
【0051】
この例では、起点マスク画素S2の座標値が(3000,6700)であり、終点マスク画素E2の座標値の座標値は、(3100,6800)なので、起点マスク画素S2及び終点マスク画素E2の座標値がいずれも媒体領域PZ2の外形輪郭の内部に存在している。
【0052】
図8(b)は、印刷用紙の異常推定の結果が穴である場合のエラー表示画面EW2を示している。エラー表示画面EW2の説明領域SC2では、テキストメッセージT3は、印刷用紙に関する異常が「穴」であると推定し、その根拠として「マスク位置が印刷用紙の内部に存在」すると異常推定部220によって解釈されたことを示している。印刷対象画像TPA2に重畳されているフレーム表示FR2は、マスク処理が実行された領域、すなわち穴があると推定される領域を矩形のシンボルで示している。
【0053】
これにより、ユーザーは、エラー表示画面EW2の内容を参考とし、マスク処理を伴って印刷された印刷物を検証し、エラーモードの第1候補として「穴」を考慮して、小さな負担で異常の内容を特定することができる。
【0054】
図9は、印刷用紙の異常推定の結果がズレである場合を示す説明図である。図9(a)は、媒体外吐出領域の発生の原因が印刷用紙の主走査方向のズレである場合を示している。印刷用紙が主走査方向にずれている場合には、モノクロラインスキャナ121は、媒体領域PZ3を示す媒体領域データを生成する。
【0055】
この例では、起点マスク画素S3の座標値が(1,1)であり、終点マスク画素E3の座標値の座標値は、(50,7000)なので、起点マスク画素S3及び終点マスク画素E3の座標値の双方が媒体領域PZ3の主走査方向の端部の一方の近傍、すなわち一端から予め設定された範囲内に入っている。さらに、搬送方向の両端部から予め設定された範囲内に、起点マスク画素S3及び終点マスク画素E3のそれぞれが入っている。すなわち、「マスク位置が印刷用紙の一端の全体に渡って存在」と異常推定部220によって解釈されている。
【0056】
図9(b)は、印刷用紙の異常推定の結果がズレである場合のエラー表示画面EW3を示している。エラー表示画面EW3の説明領域SC3では、テキストメッセージT4は、印刷用紙に関する異常が「印刷用紙の搬送位置のズレ」であると推定し、その根拠として「マスク位置が印刷用紙の一端の全体に渡って存在」すると異常推定部220によって解釈されたことを示している。TPA3に重畳されているフレーム表示FR3は、マスク処理が実行された領域、すなわち印刷対象領域PAがはみ出た領域と推定される領域を矩形のシンボルで示している。
【0057】
これにより、ユーザーは、エラー表示画面EW3の内容を参考とし、マスク処理を伴って印刷された印刷物を検証し、エラーモードの第1候補として「印刷用紙の搬送位置のズレ」を考慮して、小さな負担で異常の内容を特定することができる。
【0058】
図10は、印刷用紙の異常推定の結果が斜行である場合を示す説明図である。図10(a)は、媒体外吐出領域の発生の原因が印刷用紙の搬送における斜行(スキューとも呼ばれる。)である場合を示している。印刷用紙にスキューが発生している場合には、モノクロラインスキャナ121は、媒体領域PZ4を示す媒体領域データを生成する。
【0059】
この例では、起点マスク画素S4の座標値が(5000,400)であり、終点マスク画素E4の座標値の座標値は、(4800,7000)なので、起点マスク画素S4及び終点マスク画素E4の座標値が媒体領域PZ4の副走査方向の一部に限定され、媒体領域PZ4の主走査方向の端部近傍に存在している。
【0060】
図10(b)は、印刷用紙の異常推定の結果が斜行である場合のエラー表示画面EW4を示している。エラー表示画面EW4の説明領域SC4では、テキストメッセージT5は、印刷用紙に関する異常が「印刷用紙のスキュー」であると推定し、その根拠として「マスク位置が印刷用紙の一端の一部に存在」すると異常推定部220によって解釈されたことを示している。TPA4に重畳されているフレーム表示FR4は、マスク処理が実行された領域、すなわちスキューで媒体領域PZ4から印刷対象領域PAがはみ出た領域を矩形のシンボルで示している。
【0061】
これにより、ユーザーは、エラー表示画面EW4の内容を参考とし、マスク処理を伴って印刷された印刷物を検証し、エラーモードの第1候補として「印刷用紙のスキュー」を考慮して、小さな負担で異常の内容を特定することができる。
【0062】
このように、一実施形態に係る高速印刷システム10は、媒体外吐出領域を検出してマスク処理を実行することができる。これにより、高速印刷システム10は、媒体搬送ベルト161上への媒体外吐出を防止しつつ異常が検出された印刷媒体上への印刷を実行して、印刷媒体の異常が検出された印刷物をユーザーに提供することができる。
【0063】
さらに、高速印刷システム10は、起点マスク画素の座標値と終点マスク画素E1の座標値とを取得するだけで媒体外吐出領域の位置を特定して、媒体外吐出領域の位置に基づいて効果的に印刷用紙のエラーモードを推定することができる。高速印刷システム10は、操作表示部230を介してエラーモードの結果と、その根拠となった媒体外吐出領域の位置の解釈とを文字にして解説し、媒体外吐出領域の位置を示すフレーム表示を印刷対象画像に重畳して画像として媒体外吐出領域を示すことができる。
【0064】
このように、ユーザーは、エラーモードの結果の根拠を文字で表現された媒体外吐出領域の位置として確認し、媒体外吐出領域の位置を画像としてフレーム表示で示されたエラー表示画面EW1~EW4で確認することができる。これにより、高速印刷システム10は、エラーモードの推定結果の妥当性を視覚的に分かりやすく検証することができるので、媒体外吐出領域の発生の原因の特定に係るユーザー負担を軽減させることができる。
【0065】
本発明は、上記各実施形態だけでなく、以下のような変形例でも実施することができる。
【0066】
第1変形例:上記実施形態では、媒体領域データは、画像形成制御データと同一の解像度を有しているが、媒体領域データの解像度は、たとえば画像形成制御データの半分であってもよい。この場合には、媒体領域データの1つの画素に基づいて画像形成制御データの4画素のそれぞれについてマスク処理の対象となるか否かが判断されることになる。
【0067】
第2変形例:上記実施形態では、本発明は、高速印刷装置とパーソナルコンピュータとを備える高速印刷システムに適用されているが、高速印刷装置その他の画像形成装置単体に適用することも可能である。画像形成装置は、広い意味を有し、高速印刷システムも含んでいる。
【符号の説明】
【0068】
10 高速印刷システム
100 高速印刷装置
110 印刷媒体供給部
120 マスクデータ生成部
130 画像形成ユニット
140 画像読取部
150 印刷物収容部
200 パーソナルコンピュータ
210 画像形成制御部
220 異常推定部
230 操作表示部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10