(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】光学活性シクロペンテノン誘導体
(51)【国際特許分類】
C07F 7/18 20060101AFI20230807BHJP
C07C 49/753 20060101ALI20230807BHJP
C07C 45/61 20060101ALI20230807BHJP
C12P 7/24 20060101ALI20230807BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20230807BHJP
【FI】
C07F7/18 H CSP
C07C49/753 A
C07C45/61
C12P7/24
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2020548449
(86)(22)【出願日】2019-09-13
(86)【国際出願番号】 JP2019036015
(87)【国際公開番号】W WO2020059646
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】P 2018173190
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(73)【特許権者】
【識別番号】598014814
【氏名又は名称】株式会社コンポン研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000207517
【氏名又は名称】大内新興化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】弁理士法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠井 均
(72)【発明者】
【氏名】小関 良卓
(72)【発明者】
【氏名】神島 尭明
(72)【発明者】
【氏名】青柳 重信
【審査官】坂口 岳志
(56)【参考文献】
【文献】BARROS, M. Teresa et al.,On the diastereoselectivity of the 1,2-reduction of 2-alkyl-4-hydroxycyclopentenones with sodium bor,Tetrahedron Letters,1995年,vol.36, no.13,p.2321-2324,compound 4, Table 1.
【文献】RUEDIGER, Edward et al.,Novel 3'-deoxy analogs of the anti-HBV agent entecavir: synthesis of enantiomers from a single chira,Tetrahedron Letters,2004年,vol.45,p.739-742,Scheme 2, compound 13
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C07C
C12P
C07B
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
(式中、
R
1
は、tert-ブチルジメチルシリル(TBS)基であり、R
2
は、水素原子、アセチル基、プロプオニル基、n-ブチリル基、iso-ブチリル基、n-バレリル基、またはカプロイル基であり、*の符号は不斉炭素原子を表わす。)で表される化合物またはその光学活性体。
【請求項2】
R
1が、tert-ブチルジメチルシリル(TBS)基であり、R
2が、アセチル基である、請求項1に記載の化合物またはその光学活性体。
【請求項3】
式(I)
(
式中、R
1
は、トリフェニルメチル基であり、R
2
は、水素原子、またはアシル基であり、*の符号は不斉炭素原子を表わす。)で表される化合物またはその光学活性体。
【請求項4】
R
1が、トリフェニルメチル基であり、R
2が、アセチル基、プロプオニル基、n-ブチリル基、iso-ブチリル基、n-バレリル基、またはカプロイル基である、請求項3に記載の化合物またはその光学活性体。
【請求項5】
R
1が、トリフェニルメチル基であり、R
2が、アセチル基である、請求項3に記載の化合物またはその光学活性体。
【請求項6】
式(1)の化合物を塩基の存在下、シリルハライドまたはアリールアルキルハライドと反応させることを特徴とする、式(2)(式中、R
1
はtert-ブチルジメチルシリル(TBS)基、またはトリフェニルメチル基である。)の化合物またはその光学活性体を製造する方法。
【請求項7】
式(2)の化合物と、不飽和アルコールのカルボン酸エステルとを、加水分解酵素の存在下に反応させ、式(3)および式(4)(ここで、
R
1
はtert-ブチルジメチルシリル(TBS)基、またはトリフェニルメチル基であり、R
2はアシル基である。)の混合物を得、次いで該混合物を分離して、式(3)および式(4)の光学活性シクロペンテノンを製造する方法。
【請求項8】
不飽和アルコールのカルボン酸エステルが、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルバレレート、イソプロペニルアセテート、イソプロペニルプロピオネート、またはイソプロペニルバレレートであり、加水分解酵素が、リパーゼである、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
不飽和アルコールのカルボン酸エステルが、ビニルアセテートであり、加水分解酵素が、リパーゼPS、またはリパーゼAKである、請求項
7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学活性シクロペンテノン誘導体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロスタグランジンE1(以下 PGE1と略称する)は、血小板凝集抑制作用、血圧低下作用等の特徴ある作用を有し、末梢循環障害を改善するための医薬品として既に実用化されており、このため多数のPGE1類縁体も検討されている。
【0003】
PGE1およびその誘導体を製造するために、これまでにコーリーラクトン法(特許文献1)、共役付加反応法(非特許文献1)、3成分連結法(非特許文献2)および2成分連結法(非特許文献3および特許文献2)が開発されている。これらの方法では、工程数が多く、効率が悪いという問題点がある。
【0004】
また、4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテノン誘導体が、PGE1およびその誘導体並びにその他の薬理活性物質の製造中間体となりうるが、シクロペンテノンの骨格において、等価なアリルアルコール体を選択的に保護することは、化学的に非常に困難であり、その効率の良い方法が技術は未だ確立されていない。更に光学活性な4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテノン誘導体の効率の良い方法の開発が待望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO2010/104344
【文献】特開平2-128
【非特許文献】
【0006】
【文献】J.Am.Chem.Soc.,1972, 94, 9256
【文献】J.Am.Chem.Soc.,1988, 110, 4718-4126
【文献】J.Org.Chem., 1988, 53, 5590
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記した従来技術における欠点または問題を解決することであり、式(I)で表される化合物またはその光学活性体およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような状況に鑑み、本発明者らは、PGE1およびその誘導体の合成中間体として利用可能なシクロペンテノン誘導体およびその製造方法について鋭意研究した。その結果、本発明者らは、単糖からの水熱反応により簡便に4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテノン(式(1)で表される化合物)を製造することに成功した。本発明者らは、この4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテノンを出発原料とし、位置選択的に1級アルコールのみ保護を行った後、この保護した化合物(2)に対し、加水分解酵素の存在下、不飽和アルコールのカルボン酸エステルと反応させることにより、一挙に光学活性体(3)および(4)を製造できることを見出した。本発明者らはこの知見に基づき本発明の完成に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記〔1〕から〔11〕項に記載の発明を提供することにより上記課題を解決したものである。
【0010】
〔1〕
式(I)
(式中、R
1は、式(i)
(式中、R
3、R
4及びR
5は、それぞれ置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいアリールアルキル基である。)で表されるシリル基、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または水酸基の酸素原子と共にアセタール結合を形成する基であり、R
2は、水素原子またはアシル基であり、*の符号は不斉炭素原子を表わす。)で表される化合物またはその光学活性体。
〔2〕
R
1が、式(i)で表されるシリル基(ここで、R
3、R
4およびR
5は〔1〕で定義した通りである。)、またはアリールアルキル基である、〔1〕に記載の化合物またはその光学活性体。
〔3〕
前記R
3、R
4及びR
5が、それぞれ置換基を有していてもよいC
1~C
6アルキル基、置換基を有していてもよいC
6~C
10アリール基または置換基を有していてもよいC
7~C
14アリールアルキル基である、〔1〕または〔2〕に記載の化合物またはその光学活性体。
〔4〕
前記R
3、R
4及びR
5が、それぞれ置換基を有していてもよいC
1~C
6アルキル基である、〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の化合物またはその光学活性体。
〔5〕
前記アリールアルキル基が、C
7~C
20アリールアルキル基である、〔1〕または〔2〕に記載の化合物またはその光学活性体。
〔6〕
R
1が、式(i)で表されるシリル基、またはアリールアルキル基であり、
R
2が、水素原子である、〔1〕に記載の化合物またはその光学活性体。
〔7〕
R
1が、式(i)で表されるシリル基、またはアリールアルキル基であり、
R
2が、アシル基である、〔1〕に記載の化合物またはその光学活性体。
〔8〕
式(1)の化合物を塩基の存在下、シリルハライドまたはアリールアルキルハライドと反応させることを特徴とする、式(2)(式中、R
1は〔1〕で定義した通りである。)の化合物またはその光学活性体を製造する方法。
〔9〕
式(2)の化合物と、不飽和アルコールのカルボン酸エステルとを、加水分解酵素の存在下に反応させ、式(3)および式(4)(ここで、R
1は〔1〕で定義した通りであり、R
2はアシル基である。)の混合物を得、次いで該混合物を分離して、式(3)および式(4)の光学活性シクロペンテノンを製造する方法。
〔10〕
不飽和アルコールのカルボン酸エステルが、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルバレレート、イソプロペニルアセテート、イソプロペニルプロピオネート、またはイソプロペニルバレレートであり、加水分解酵素が、リパーゼである、〔9〕に記載の方法。
〔11〕
不飽和アルコールのカルボン酸エステルが、ビニルアセテートであり、加水分解酵素が、リパーゼPS(アマノ社製)またはリパーゼAK(アマノ社製)である、〔9〕に記載の方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明方法により、式(I)で表される化合物およびその光学活性体並びにこれらの新規な工業的製造方法が提供される。
【0012】
本発明の方法によれば、4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテノンの二つの水酸基の中、一つの水酸基のみを選択的に保護することができ、目的物とする化合物(I)を容易に得ることに成功した。
【0013】
また、本発明の方法では、化合物(1)を用いて、加水分解酵素の存在下に不飽和アルコールのカルボン酸エステルと反応させることにより、目的物とする化合物(I)の光学活性体を容易に得ることに成功した。
【0014】
なお、本発明の方法では、化合物(1)を用いて、目的とするPGE1またはその誘導体を高収率かつ効率的に、工業的規模で簡便に製造可能である。
【0015】
さらには、本発明の方法により、医薬品およびその中間体として有用な、式(I)で表される化合物またはその光学活性体を提供することができる。本発明の方法によって得られた新規な化合物は、PGE1等の医薬品等の中間体および試薬として、その有用性が期待される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において用いられる用語について以下に説明する。
特に言及しない限り、本明細書および特許請求の範囲で用いた用語は以下に述べる意味を有する。
【0017】
「アルキル基」とは、特に限定しない限り、飽和脂肪族炭化水素基、例えば、炭素数が1~20の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のC1~C6アルキル基、ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、1,1-ジメチルペンチル基、2,2-ジメチルペンチル基、4,4-ジメチルペンチル基、1-エチルペンチル基、2-エチルペンチル基、1,1,3-トリメチルブチル基、1,2,2-トリメチルブチル基、1,3,3-トリメチルブチル基、2,2,3-トリメチルブチル基、2,3,3-トリメチルブチル基、1-プロピルブチル基、1,1,2,2-テトラメチルプロピル基、オクチル基、1-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、6-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、5,5-ジメチルヘキシル基、2,4,4-トリメチルペンチル基、1-エチル-1-メチルペンチル基、ノニル基、1-メチルオクチル基、2-メチルオクチル基、3-メチルオクチル基、7-メチルオクチル基、1-エチルヘプチル基、1,1-ジメチルヘプチル基、6,6-ジメチルヘプチル基、デシル基、1-メチルノニル基、2-メチルノニル基、6-メチルノニル基、1-エチルオクチル基、1-プロピルヘプチル基、n-ノニル基、n-デシル基等の基を挙げることができるが、C1~C6アルキル基が好ましい。C1~C6アルキル基の好ましい例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、ペンチル基またはヘキシル基である。
【0018】
「アリール基」とは、単環式または二環式芳香族性炭化水素基を示し、好ましくはフェニル基、ナフチル基等のC6~10アリール基であり、より好ましくはフェニル基である。
【0019】
「アリールアルキル基」とは、たとえばフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アセナフチレニルなど、アリールで置換されたアルキルを意味する。例えばベンジル、2-フェニルエチル、3-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、1-フェニルプロピル、α-ナフチルメチル、α-ナフチルエチル、β-ナフチルメチル、β-ナフチルエチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチルなどが挙げられる。好ましくはトリフェニルメチル基である。
【0020】
「置換基を有していてもよい」とは、置換基を有していても、または無置換であってもよいことを意味する。置換を有している場合、置換基は前記の置換可能な位置に、1~5個、好ましくは1~3個を有していてもよく、置換基数が2個以上の場合は、各置換基はそれぞれ同一または異なっていてもよい。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられるが、好ましい置換基の例は、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基またはハロゲン原子である。
【0021】
C1~C6アルキル基の例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、ペンチル基またはヘキシル基等を含むが、これらに限定されるものではない。
【0022】
C1~C6アルコキシ基の例は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基等を含むが、これらに限定されるものではない。
【0023】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を示し、好ましくはフッ素原子および塩素原子である。
【0024】
式(i)で表されるシリル基のR3、R4及びR5の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基またはこれらの組合せ等が挙げられ、tert-ブチルジメチルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、メチルジフェニルシリルが挙げられる。tert-ブチルジメチルシリルは好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0025】
水酸基の酸素原子と共にアセタール結合を形成する基としては、例えば、メトキシメチル、1エトキシエチル、(2-メトキシエトキシ)メチル、テトラヒドロピラニル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
アシル基の具体例としては、アセチル、プロプオニル、n-ブチリル、iso-ブチリル、n-バレリル、カプロイル、ベンゾイル等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
不飽和アルコールのカルボン酸エステルの具体例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルバレレート、イソプロペニルアセテート、イソプロペニルプロピオネート、イソプロペニルバレレート等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
加水分解酵素の具体例としては、市販されている加水分解酵素リパーゼAK(アマノ社製)、リパーゼPS(アマノ社製)、リパーゼ PSアマノSD(アマノ社製)、リパーゼAYS(アマノ社製)、リパーゼ G アマノ 50(アマノ社製)、リパーゼ PSIM(アマノ社製)、リパーゼ F-AP15(アマノ社製)、CHIRAZYME L-6 (ロシュ社製)、リパーゼ-OML(名糖産業社製)、リパーゼTL(名糖産業社製)、リパーゼ-MY-30(名糖産業社製)、リパーゼ-SL(名糖産業社製)、リリパーゼA-10D(ナガセケムテックス社製)、KM-109(ナガセケムテックス社製)、Immobilizedlipase (東洋紡社製)が使用でき、好ましくは、リパーゼAK(アマノ社製)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
本明細書に記載の化合物は不斉中心を含んでいてもよく、したがって鏡像異性体として存在してもよい。本明細書に記載の化合物が2つ以上の不斉中心を有する場合、それらはさらにジアステレオマーとして存在してもよい。鏡像異性体およびジアステレオマーはより広いクラスの立体異性体に入る。実質的に純粋な分割された鏡像異性体、そのラセミ混合物、ならびにジアステレオマーの混合物などの、すべての可能な立体異性体は、含まれることが意図される。本明細書において開示する化合物のすべての立体異性体は、含まれることが意図される。特に記載がないかぎり、1つの異性体への言及は任意の可能な異性体に適用される。異性体組成が明記されていない場合はいつも、すべての可能な異性体が含まれる。
【0030】
[本発明の化合物(I)の製造方法]
化合物(1)の水酸基の保護(化合物(2)の製造
化合物(1)の水酸基のシリル化反応およびアルキル化反応について説明する。化合物(1)の水酸基のシリル化反応は、塩基の存在下に、シリルハライドを作用させて行うことができる。 例えば、以下に示す方法又はこれに準じた方法等(例えば、Corey, E.J. et al., J. Am. Chem. Soc., 94, 6190, 1972; Morita, T. et al., Tetrahedron Lett., 21, 835, 1980; Y. Kita, et al., Tetrahedron Lett., 4311, 1979に記載されたシリルエーテル化等。総説として、Lalonde, M.,Chan, T.H., Synthesis, 817-845, 1985等も参照のこと)によって化合物(i)をシリルハライド化合物と反応させて行うことができる。化合物(1)の水酸基のアルキル化反応は、塩基の存在下に、アルキルハライドを作用させて行うことができる。例えば、以下に示す方法又はこれに準じた方法等(例えば、S. K. Chaudhary et al., Tetrahderon let., 20, 95, 1979;S. Schiltz et al., J. Organomet. Chem., 691, 5438, 2006に記載されたシリルエーテル化等)によって化合物(i)をシリルハライド化合物と反応させて行うことができる。
【0031】
(シリルハライド)
シリルハライド化合物の種類は特に限定されず、当業界で用いられるものはいずれも本発明の方法に使用できる。例えば、トリアルキルシリルハライド化合物、モノアルキルジアリールシリルハライド化合物、トリアリールシリルハライド化合物等を用いることができる。シリルハライド化合物がアルキル基を有する場合には、アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、又はtert-ブチル基等を用いることができる。これらのうち、メチル基又はエチル基が好ましい。シリルハライド化合物がアリール基を有する場合にはフェニル基等を用いることができる。シリルハライド化合物を構成するハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子等を用いることができ、塩素原子を用いることが好ましい。シリルハライド化合物として、より具体的には、トリメチルシリルクロライド(トリメチルクロロシランと呼ばれる場合もある。以下の化合物についても同様である。)、トリエチルシリルクロライド、tert-ブチルジメチルシリルクロライド、tert-ブチル、tert-ブチルジフェニルシリルクロライド、トリフェニルシリルクロライド等を挙げることができる。
【0032】
(アリールアルキルハライド)
アリールアルキルハライドとしては、例えば、ベンジルクロリド、2-フェニルエチルクロリド、3-フェニルプロピルクロリド、2-フェニルプロピルクロリド、1-フェニルプロピルクロリド、α-ナフチルメチルクロリド、α-ナフチルエチルクロリド、β-ナフチルメチルクロリド、β-ナフチルエチルクロリド、ジフェニルメチルクロリド、トリフェニルメチルクロリド、
ベンジルブロミド、2-フェニルエチルブロミド、3-フェニルプロピルブロミド、2-フェニルプロピルブロミド、1-フェニルプロピルブロミド、α-ナフチルメチルブロミド、α-ナフチルエチルブロミド、β-ナフチルメチルブロミド、β-ナフチルエチルブロミド、ジフェニルメチルブロミド、トリフェニルメチルブロミド、
ベンジルヨージド、2-フェニルエチルヨージド、3-フェニルプロピルヨージド、2-フェニルプロピルヨージド、1-フェニルプロピルヨージド、α-ナフチルメチルヨージド、α-ナフチルエチルヨージド、β-ナフチルメチルヨージド、β-ナフチルエチルヨージド、ジフェニルメチルヨージド、トリフェニルメチルヨージド等が挙げられる。
【0033】
(塩基)
使用塩基としては、有機塩基および無機塩基が挙げられ、有機塩基としては、これらに限られないが、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、イミダゾール、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、n-ブチルリチウム、カリウムtert-ブトキシドが挙げられ、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミンが好ましい。無機塩基としては、これらに限られないが、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム又は炭酸セシウムが挙げられる。塩基の使用量としては、原料化合物の当量以上が好ましい。さらには、原料化合物1モルに対して通常1.0~10.0モルの範囲を例示できるが、好ましくは2.0~6.0モルの範囲が良く、より好ましくは2.0~4.0モルの範囲であることが良い。
【0034】
(溶媒)
反応の円滑な進行等の観点から、本発明の反応は溶媒の存在下で実施することが好ましい。本発明の反応における溶媒は、反応が進行する限りは、いずれの溶媒でもよい。
【0035】
本発明の反応における溶媒としては、例えば、用いる溶媒系の具体的な好ましい例としては、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、メチル-tert-ブチルエーテル、より好ましくはテトラヒドロフラン(THF))、アミド類(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルピロリドン(NMP)等、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチルピロリドン(NMP)、より好ましくはN,N-ジメチルホルムアミド(DMF))、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)等)を含むが、これらに限定されるものではない。溶媒の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。本発明の反応における溶媒の使用量は当業者により適切に調整されることができる。
【0036】
(反応温度)
本発明の反応温度は、特に制限されない。一つの態様においては、収率の向上、副生成物の抑制、および経済効率等の観点から、-20℃~50℃(すなわち、マイナス20℃~プラス50℃)、好ましくは-10℃~30℃(すなわち、マイナス10℃~プラス30℃)、より好ましくは0℃~25℃の範囲を例示できる。
【0037】
(反応時間)
本発明の反応時間は、特に制限されない。一つの態様においては、収率の向上、副生成物の抑制、および経済効率等の観点から、0.5時間~120時間、好ましくは1時間~72時間、より好ましくは1時間~48時間、さらに好ましくは1時間~24時間の範囲を例示できる。しかしながら、本発明の反応時間は当業者により適切に調整されることができる。
【0038】
本反応の後処理としては、反応液から生成物を取得するための一般的な処理を行えば良い。例えば、反応終了後の反応液に水、塩酸等を添加して中和し、一般的な抽出溶媒、例えば、酢酸エチル、ジエチルエーテル、塩化メチレン、トルエン、ヘキサン等を用いて抽出操作を行う。得られた抽出液から反応溶媒及び抽出溶媒を減圧留去すると、目的物が得られる。このようにして得られる目的物は、必要であれば、シリカゲルクロマトグラフィーや蒸留、再結晶等の一般的精製を行い、さらに純度を高めても良い。
【0039】
化合物(2)のアシル化反応
化合物(2)のアシル化反応について説明する。化合物(2)のアシル化反応は、加水分解酵素の存在下に、化合物(2)と不飽和アルコールのカルボン酸エステルを作用させて行うことができる。
【0040】
(加水分解酵素)
使用する加水分解酵素としては、例えば市販されている加水分解酵素リパーゼAK(アマノ社製)、リパーゼ PS(アマノ社製)、リパーゼ PSアマノSD(アマノ社製)、リパーゼAYS(アマノ社製)、リパーゼ G アマノ 50(アマノ社製)、リパーゼ PSIM(アマノ社製)、リパーゼ F-AP15(アマノ社製)、CHIRAZYME L-6 (ロシュ社製)、リパーゼ-OML(名糖産業社製)、リパーゼTL(名糖産業社製)、リパーゼ-MY-30(名糖産業社製)、リパーゼ-SL(名糖産業社製)、リリパーゼA-10D(ナガセケムテックス社製)、KM-109(ナガセケムテックス社製)、Immobilizedlipase (東洋紡社製)が使用でき、好ましくは、リパーゼAK(アマノ社製)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
加水分解酵素の形態としては、精製酵素、ケイソウ土等に吸着させたもの、ビーズガラス等に固定化したもの等、種々のものを使用することができる。酵素の量は、化合物(2)に対し、通常0.01~1重量倍、好ましくは0.03~0.5重量倍、更に好ましくは0.05~0.2重量倍である。
【0042】
(不飽和アルコールのカルボン酸エステル)
使用する不飽和アルコールのカルボン酸エステルとしては、例えばビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルバレレート、イソプロペニルアセテート、イソプロペニルプロピオネート、イソプロペニルバレレート等を挙げることができ、その使用量は化合物(2)に対し、通常0.5モル倍以上、好ましくは2モル倍以上である。また、不飽和アルコールのカルボン酸エステルを溶媒として用いることもできる。
【0043】
(溶媒)
該反応においては溶媒を使用することもでき、その溶媒としては前記した不飽和アルコールのカルボン酸エステルの他、例えばヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、ジクロルメタン、クロロホルム、ジブチルエーテル等の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル類等の単独または混合物を挙げることができる。その使用量は化合物(2)に対し、通常0.5~10重量倍である。
【0044】
(反応温度と反応時間)
反応温度は通常10~50℃であり、反応時間は、通常0.5~50時間で充分である。反応の推移は、例えば光学活性化合物用の充填剤を備えた液体クロマトグラフィー等を用いて化合物(3)または化合物(4)の光学純度を測定することにより追跡することができ、またこれにより反応終点を決めることもできる。また、通常の(特に光学活性化合物用でなくともよい)液体クロマトグラフィー等により、アルコール類(化合物(2)および/または光学活性シクロペンテノン誘導体(化合物(4))とエステル類(光学活性シクロペンテノンエステル類(化合物(3))との割合を測定し、その比がほぼ1:1となるときを反応終点とすることもできる。反応終了後、必要により、反応マスにヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、ジクロルメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロルエタン、酢酸エチル、エチルエーテル等の脂肪族もしくは芳香族炭化水素、エーテル、ケトン、エステル、ハロゲン化炭化水素等の溶媒を加え、例えば酵素を濾別した後、濾液を濃縮することにより、光学活性シクロペンテノン誘導体(化合物(4))および光学活性シクロペンテノンエステル類(化合物(3))の混合物を得ることができる。また、さらに例えば通常のクロマトグラフィー処理を付すことにより、光学活性シクロペンテノン誘導体(化合物(4))と、光学活性シクロペンテノンエステル類(化合物(3))とに分離することもできる。
【0045】
実施例
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。本明細書中、室温は10℃から35℃を示す。なお、実施例および参考例の各物性の測定には次の機器を用いた。融点:Yanaco Mp‐500V(アナテック・ヤナコ社製)。1H核磁気共鳴スペクトル(1H‐NMR):AVANCE-400(Burker)内部基準物質:テトラメチルシラン。質量分析:mircOTOF-Q II-S1(Burker)
【実施例1】
【0046】
4-ヒドロキシ-2-(tert-ブチルジメチルシリル)オキシメチル)シクロペンタ-2-エン-1-オンの製造
tert-ブチルジメチルシリルクロリド (3.29 g, 21.8 mmol) とトリエチルアミン (3.8 mL, 27.3 mmol) を4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル)シクロペンタ-2-エン-1-オン(1.4 g, 10.9 mmol) の THF溶液(20 mL) に室温で加えた。反応溶液を同温度で24時間攪拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、反応を停止した。酢酸エチル (2 × 30 mL)で分液操作を行い、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧留去後に残った残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(hexane/EtOAc 2:1 → 1:1)で精製し、4-ヒドロキシ-2-(tert-ブチルジメチルシリル)オキシメチル)シクロペンタ-2-エン-1-オン(2.17 g, 82%) を無色~淡黄色の油状物質として得た。
1H NMR (400 Mz, CDCl
3): δ 0.080 (s, 3H), 0.085 (s, 3H), 0.92 (s, 3H), 1.91 (d, J = 5.2 Hz), 2.37 (dd, J = 2.0, 18.8 Hz, 1H), 2.86 (dd, J = 6.0, 18.8 Hz, 1H),4.37-4.38 (m, 2H),4.99 (brs, 1H),7.37-7.38 (m, 1H) ppm;
13C NMR (100 Mz, CDCl
3) δ 5.35, 5.32, 18.4, 26.0 (3C), 45.8, 58.0, 68.9, 148.4, 155.9, 204.8 ppm.
【実施例2】
【0047】
光学活性シクロペンテノンの製造
Lipase AK amano (1.1 g) を4-ヒドロキシ-2-(tert-ブチルジメチルシリル)オキシメチル)シクロペンタ-2-エン-1-オン (2.2 g, 9.04 mmol) のアセトン-酢酸ビニル溶液 (26 mL, 1:1)に室温で加え、同温度で一晩攪拌した。酵素をろ過で除去した後、ろ液を減圧留去した。得られた残渣を得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(hexane/EtOAc 3:1 → 1:1) で精製し、4R-アセトキシ-2-(tert-ブチルジメチルシリル)オキシメチル)シクロペンタ-2-エン-1-オン((R) -Ac体)(1.25 g, 48%) および 4S-ヒドロキシ-2-(tert-ブチルジメチルシリル)オキシシチル)シクロペンタ-2-エン-1-オン((S) -モノTBS体 )(1.1 g, 50%) をそれぞれ得た。
(R)-Ac体:
1H NMR (400 Mz, CDCl
3) δ0.084 (s, 3H), 0.086 (s, 3H), 0.92 (s, 9H), 2.10 (s, 3H), 2.41 (dd, J = 2.0, 18.8 Hz, 1H), 2.91 (dd, J = 6.0, 18.2 Hz, 1H), 4.40 (t, J = 2.0Hz, 2H),5.78-5.82 (m, 2H), 7.36 (q, J = 2.4,1H) ppm;
13C NMR (100 Mz, CDCl
3) δ 5.36, 18.4, 21.1, 26.0 (3C), 42.6, 58.1, 70.5, 150.0, 152.1, 170.7, 203.6ppm.
鏡像異性体過剰率:92%ee(Chiral ART(YMC), Cellulose-SC, 250×4.6mmI.D., ヘキサン/i-プロパノール=90/10)
(S) -モノTBS体:[α]
D
19 = -11.6 (c = 1.0 in CHCl
3)
【実施例3】
【0048】
4S-ヒドロキシ-2-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)シクロペンタ-2-エン-1-オンの製造
tert-ブチルジメチルシリルクロリド (405mg, 2.69mmol) とトリエチルアミン (0.5 mL, 3.58mmol) を4S-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルシクロペンタ-2-エン-1-オン(230mg, 1.79mmol) の THF溶液(6 mL) に室温で加えた。反応溶液を同温度で24時間攪拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、反応を停止した。酢酸エチル (2 × 10 mL)で分液操作を行い、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧留去後に残った残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(hexane/EtOAc 2:1 → 1:1)で精製し、4S-ヒドロキシ-2-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)シクロペンタ-2-エン-1-オン(306mg, 70%) を無色~淡黄色の油状物質として得た。各種スペクトルデータは実施例1のデータと同じである。また、旋光度は実施例2と良い一致を示した。[α]
D
19 = -11.8 (c = 1.0 in CHCl
3)
【実施例4】
【0049】
4-ヒドロキシ-2-(トリフェニルメチルオキシメチル)シクロペンタ-2-エン-1-オンの製造
塩化トリフェニルメチル (993mg, 3.56mmol) とジイソプロピルエチルアミン (1.13 mL, 6.48mmol) を4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル)シクロペンタ-2-エン-1-オン(415mg, 3.24mmol) の THF溶液(20 mL) に室温で加えた。反応溶液を同温度で24時間攪拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、反応を停止した。酢酸エチル (2 × 30 mL)で分液操作を行い、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧留去後に残った残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(hexane/EtOAc 1:1)で精製し、4-ヒドロキシ-2-(トリフェニルメチルオキシメチル)シクロペンタ-2-エン-1-オン(390mg, 32%) を淡黄色のアモルファス~粘性油状物質として得た。
1H NMR (400 Mz, CDCl
3): δ 1.85 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 2.30 (dd, J = 2.0, 18.8 Hz, 1H), 2.80 (dd, J = 6.0, 18.8 Hz, 1H),3.93-3.94 (m, 2H), 4.98-5.02 (m, 1H), 7.22-7.45 (m, 15H) 7.61 (q, J = 2.0 Hz, 1H) ppm;
13C NMR (101 Mz, CDCl
3) δ 45.2, 58.6, 68.8, 87.1, 127.2, 127.9, 128.5, 143.6, 145.8, 156.1, 204.5 ppm.
【実施例5】
【0050】
光学活性シクロペンテノンの製造
Lipase AK amano (81mg) を4-ヒドロキシ-2-(トリフェニルメチルオキシメチル)シクロペンタ-2-エン-1-オン(81.7mg, 0.22 mmol)の酢酸ビニル-アセトン溶液(1:1、2.2 mL)に室温で加え、同温度で24時間攪拌した。酵素をろ過で除去し、ろ液を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(hexane/EtOAc=2:1)で精製し、4R-アセトキシ-2-(トリフェニルメチルオキシメチル)シクロペンタ-2-エン-1-オン((R) -Ac体)(32mg, 36%)、4S-ヒドロキシ-2-(トリフェニルメチルオキシメチル)シクロペンタ-2-エン-1-オン((S)-モノトリチル体)(40 mg, 49%)をそれぞれ得た。
1H NMR (400 Mz, CDCl
3): δ 2.13 (s, 3H), 2.36 (dd, J = 2.0, 18.8 Hz), 2.86 (dd, J = 6.0, 18.8 Hz, 1H), 3.92-3.93 (m, 2H), 5.81-5.84 (m, 1H), 7.22-7.44 (m, 15H) 7.63 (d, J = 2.4,1H)ppm;
13C NMR (101 Mz, CDCl
3) δ 20.9, 41.9, 58.7, 70.4, 87.1, 127.2, 127.9, 128.4, 143.4, 147.5, 152.0, 170.5, 203.1ppm.