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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】軟質容器の鍔形成装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/18 20060101AFI20230807BHJP
   B29C 53/36 20060101ALI20230807BHJP
   B65D 1/00 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
B29C65/18
B29C53/36
B65D1/00 120
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019188642
(22)【出願日】2019-10-15
(65)【公開番号】P2021062550
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】391052781
【氏名又は名称】株式会社ポリマーシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】田中 洋二
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 弘巳
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-189682(JP,A)
【文献】特開2019-155867(JP,A)
【文献】特公昭49-018788(JP,B1)
【文献】特開2005-254802(JP,A)
【文献】特開昭60-132737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00 - 65/82
B29C 33/00 - 33/76
B29C 53/08
B29C 53/36
B65D 1/00 - 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質容器の胴部に鍔を形成する装置であって、
前記胴部となる筒状フィルムが外周に被さるコアと、
前記コアの外周面に開口された噴射路を含み、前記噴射路からのガス噴射によって前記筒状フィルムの一部分を径方向外側へ膨出させる膨出手段と、
前記コアの外周上において前記コアの軸方向に対向する一対の挟み付け部材と、
前記ガス噴射の少なくとも直前には、前記一対の挟み付け部材どうしを前記噴射路の開口を挟んで前記軸方向に離間させ、前記ガス噴射と同時又は直後に前記一対の挟み付け部材どうしを前記軸方向に接近させて前記一部分を挟み付ける作動機構と、
何れかの挟み付け部材に設けられ、前記挟み付けた状態において作動される溶着手段と
を備えたことを特徴とする軟質容器の鍔形成装置。
【請求項2】
一方の挟み付け部材が、前記コアを挟んで対向する一対のクランプを含み、
前記作動機構が、前記筒状フィルムの前記コアへの被さり時及び前記コアからの取り出し時には、前記一対のクランプどうしを前記コアから離間させ、前記ガス噴射の少なくとも直前には前記一対のクランプどうしを接近させて前記コアの外周上に配置させるクランプ開閉作動部を更に含み、
少なくとも一方のクランプ部には前記コアが嵌る凹部が形成され、
前記凹部の内縁には、前記コアの外周に被せられた筒状フィルムに押し当てられる当接部材が設けられており、前記当接部材と筒状フィルムとの間の摩擦係数が前記コアと筒状フィルムとの間の摩擦係数より大きいことを特徴とする請求項1に記載の鍔形成装置。
【請求項3】
軟質容器の胴部に鍔を形成する方法であって、
コアの外周に前記胴部となる筒状フィルムを被せる工程と、
前記コアの外周面に開口された噴射路からガスを噴射して前記筒状フィルムの一部分を径方向外側へ膨出させる工程と、
前記ガス噴射と同時又は直後に、前記コアの外周上の一対の挟み付け部材によって前記膨出された部分を挟み付けて二つ折りに折り畳む工程と、
前記折り畳まれた部分を展開不能に溶着する工程と、
を備えたことを特徴とする軟質容器の鍔形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質容器の胴部に鍔を形成する装置及び方法に関し、特に樹脂主体のフィルムからなる軟質容器の胴部に適した鍔形成装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
胴部の上下の端部に鍔を形成して、蓋フィルムや底フィルムの周縁を前記鍔と接合した容器は公知である(特許文献1、2など参照)。鍔は、金型を用い、折り曲げたり、カールさせて押し潰したりして成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-151188号公報
【文献】特開2017-095105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前掲公報などの従来の鍔形成方法は、成形用の金型を要し、製造設備コストが高い。
本発明は、かかる事情に鑑み、軟質容器の胴部に鍔を低コストで簡易に形成可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明装置は、
軟質容器の胴部に鍔を形成する装置であって、
前記胴部となる筒状フィルムが外周に被さるコアと、
前記コアの外周面に開口された噴射路を含み、前記噴射路からのガス噴射によって前記筒状フィルムの一部分を径方向外側へ膨出させる膨出手段と、
前記コアの外周上において前記コアの軸方向に対向する一対の挟み付け部材と、
前記ガス噴射の少なくとも直前には、前記一対の挟み付け部材どうしを前記噴射路の開口を挟んで前記軸方向に離間させ、前記ガス噴射と同時又は直後に前記一対の挟み付け部材どうしを前記軸方向に接近させて前記一部分を挟み付ける作動機構と、
何れかの挟み付け部材に設けられ、前記当接された状態において作動される溶着手段と
を備えたことを特徴とする。
【0006】
一方の挟み付け部材が、前記コアを挟んで対向する一対のクランプを含むことが好ましい。
前記作動機構が、前記筒状フィルムの前記コアへの被さり時及び前記コアからの取り出し時には、前記一対のクランプどうしを前記コアから離間させ、前記ガス噴射の少なくとも直前には前記一対のクランプどうしを接近させて前記コアの外周上に配置させるクランプ開閉作動部を更に含むことが好ましい。
少なくとも一方のクランプ部には前記コアが嵌る凹部が形成されていることが好ましい。
前記凹部の内縁には、前記コアの外周に被せられた筒状フィルムに押し当てられる当接部材が設けられていることが好ましい。
前記当接部材と筒状フィルムとの間の摩擦係数が前記コアと筒状フィルムとの間の摩擦係数より大きいことが好ましい。
【0007】
本発明方法は、
軟質容器の胴部に鍔を形成する方法であって、
コアの外周に前記胴部となる筒状フィルムを被せる工程と、
前記コアの外周面に開口された噴射路からガスを噴射して前記筒状フィルムの一部分を径方向外側へ膨出させる工程と、
前記ガス噴射と同時又は直後に、前記コアの外周上の一対の挟み付け部材によって前記膨出された部分を挟み付けて二つ折りに折り畳む工程と、
前記折り畳まれた部分を展開不能に溶着する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、軟質容器の胴部に鍔を低コストで簡易に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1実施形態を示し、軟質容器の正面断面図である。
図2図2は、図1の円部IIの拡大断面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る鍔形成装置を、前記軟質容器の胴部となる筒状フィルムをコアに被せた状態で示す、図4のIII-III線に沿う平面断面図である。
図4図4は、図3のIV-IV線に沿う、前記鍔形成装置の正面断面図である。
図5図5(a)~図5(h)は、前記鍔形成装置による鍔形成工程を順次示す断面図である。
図6図6(a)は、本発明の第2実施形態に係る鍔形成装置を仮想線で示す、軟質容器の正面図である。図6(b)は、本発明の第3実施形態に係る鍔形成装置を仮想線で示す、軟質容器の正面図である。
図7図7(a)は、本発明の第4実施形態に係る鍔形成装置を仮想線で示す、軟質容器の正面断面図である。図7(b)は、前記第4実施形態の軟質容器のスタッキング状態を示す正面断面図である。図7(c)は、同図(b)の円部VIIcの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態>
図1に示すように、軟質容器10は、胴部11と、底シート部12と、肩部13と、口部14を含む。胴部11は、ポリエチレンなどの軟質樹脂からなる筒状フィルム19によって構成されている。筒状フィルム19は、平面状のシートを丸めて封筒貼りすることによって形成されている。
胴部11がアルミなどの金属層を含んでいてもよい。
なお、図1等において、胴部11などの厚みは、軟質容器10全体の縦横寸法に対して誇張されている。
【0011】
胴部11は、胴本体11aと、鍔15を含む。胴本体11aは、ストレートな筒形状をなしている。胴本体11aの底部に鍔15(フランジ)が形成されている。鍔15は、胴本体11aから径方向外側へ突出されるとともに、胴本体11aの全周にわたる環状になっている。
【0012】
図2に示すように、鍔15は、胴部11の底部分を二つ折に折り畳むことによって形成されている。詳しくは、鍔15は、胴本体11aに連なる上折片部15aと、該上折片部15aと折曲部15cを介して一体に連なる下折片部15bを含む。折曲部15cによって、鍔15の外縁が構成されている。下折片部15bが、上折片部15aの下面に重ね合わされている。これら折片部15a,15bが、ほぼ全域にわたって剥離不能に溶着され、展開不能になっている。
底シート部12の外周部が、下折片部15bひいては鍔15と溶着されている。
【0013】
図3及び図4は、軟質容器10の製造装置における、特に胴部11に鍔15を形成するための鍔形成装置20を示したものである。
鍔形成装置20は、コア21と、一対のクランプ22(一方の挟み付け部材)と、台座23(他方の挟み付け部材)を備えている。平板上の台座23の中央部にコア21が立設されている。言い換えると、コア21の底部の外周上に台座23が配置されている。台座23及びコア21は、互いに同体の金属によって構成されているが、これに限らず硬質樹脂などによって構成されていてもよい。
【0014】
図3及び図4に示すように、コア21は、胴部11の形状に合わせて、例えば円形断面の柱形状に形成されている。コア21の高さ寸法は、胴部11の高さ寸法より短い。コア21の上端部には、先細のテーパ部21bが形成されている。
コア21の外周に筒状フィルム19が被せられる。筒状フィルム19の内周面の周長は、コア21の外周面の周長と略等しいか、コア21の外周面の周長より僅かに小さい。したがって、コア21の外周面21aと筒状フィルム19の内周面との間はクリアランスが殆ど無いか、マイナスクリアランスである。図4においては、マイナスクリアランスになっている。
【0015】
図4に示すように、コア21に2系統のガス路33,34が接続されている。主系統の噴射路33は、開閉バルブ35を介してエアコンプレッサ31(圧縮ガス源)と接続されている。補助系統の吹出路34は、開閉バルブ36を介して噴射路33と合流してエアコンプレッサ31と接続されている。
なお、噴射路33及び吹出路34が、互いに別の圧縮ガス源に接続されていてもよい。
噴射路33及び吹出路34はコア21の内部に延びている。
【0016】
図3及び図4に示すように、コア21内における噴射路33は、ヘッダ路33aと、8つ(複数)の分配路33bを含む。コア21の軸線上にヘッダ路33aが配置されている。ヘッダ路33aから8つの分配路33bが放射状に分岐されている。各分配路33bが、コア21の外周面21aにおける下端近傍部(台座23の近傍部)に開口されている。8つの分配路33bの前記開口33cどうしは、コア21の周方向に好ましくは等間隔置きに配置されている。
分配路33bの数は、8つに限らず、7つ以下でもよく、9つ以上でもよい。
エアコンプレッサ31(圧縮ガス源)とバルブ35と噴射路33とによって、膨出手段30が構成されている。
【0017】
コア21内における補助系統の吹出路34は、ヘッダ路34aと、8つ(複数)の分配路34bを含む。ヘッダ路34aは、コア21の軸線(軸方向)に沿って配置されている。ヘッダ路34aから8つの分配路34bが放射状に分岐されている。各分配路34bが、コア21の外周面21aにおける上端近傍部(台座23から遠い部分)に開口されている。8つの分配路34bの前記開口34cどうしは、コア21の周方向に好ましくは等間隔置きに配置されている。
分配路34bの数は、8つに限らず、7つ以下でもよく、9つ以上でもよい。
エアコンプレッサ31(圧縮ガス源)とバルブ36と吹出路34とによって、挿抜補助手段32が構成されている。
【0018】
図3及び図4に示すように、コア21の径方向(軸方向と交差する交差方向)の外側には一対のクランプ22が配置されている。各クランプ22は、クランプ本体24と、当接部材26を含む。クランプ本体24は、平板形状に形成されている。クランプ本体24は、金属製であるが、これに限らず硬質樹脂によって構成されていてもよい。
クランプ本体24における、他方のクランプとの対向端面には、半円凹面24cが形成されている。クランプ22には、前記半円凹面24cによって半円状の凹部25が形成されている。半円凹面24cの内半径r24は、コア21の外半径と筒フィルム19の厚さとの合計rと同等か、又は前記合計rより僅かに大きい(r24≧r)。
【0019】
凹部25の内縁には、当接部材26が設けられている。詳しくは、クランプ本体24の半円凹面24cには凹溝24dが形成されている。凹溝24dは、半円凹面24cの周方向の全域にわたって半環状に延びている。凹溝24dに当接部材26が嵌め込まれている。
【0020】
当接部材26は、円弧状のシート状になっている。当接部材26は、筒フィルム19に対して難滑性すなわち高い摩擦抵抗を生じ得る材質によって構成されている。当接部材26と筒状フィルム19との間の摩擦係数(特に静止摩擦係数)は、コア21と筒状フィルム19との間の摩擦係数(特に静止摩擦係数)より大きい。
さらに当接部材26は、厚み方向に圧縮されるように弾性変形可能である。
より好ましくは、当接部材26の材質はゴムである。
【0021】
自然状態(非圧縮時)の当接部材26の厚みは、凹溝24dの深さより大きい。当接部材26の内周側部分は、凹溝24dひいては半円凹面24cから径方向内側へ突出されている。したがって、厳密には、当接部材26の内周面によって凹部25が画成されている。非圧縮時の当接部材26の内周面の曲率半径すなわち凹部25の内半径r25は、コア21の外半径と筒フィルム19の厚さとの合計rより僅かに小さい(r25<r)。
【0022】
一対のクランプ22は、コア21を挟んで水平方向(前記交差方向)に対向している。これらクランプ22どうしは、コア21を中心にして前記水平方向(交差方向)に互いに同期して接近離間可能である。
かつ、各クランプ22が、台座23と上下(コア21の軸方向)に対向している。一対のクランプ22は、互いに同期して昇降可能であり、ひいては台座23に対して接近離間可能である。
クランプ22と台座23とによって、一対の挟み付け部材が構成されている。一対のクランプ22が一方の挟み付け部材となり、台座23が他方の挟み付け部材となっている。
【0023】
図4において簡略化して示すように、クランプ22に作動機構40が接続されている。作動機構40は、挟み付け作動部41と、クランプ開閉作動部42とを含む。挟み付け作動部41は、昇降ガイド、昇降スライダ、昇降アクチュエータなどを含み、一対のクランプ22を昇降させる。クランプ開閉作動部42は、水平ガイド、水平スライダ、水平アクチュエータなどを含み、一対のクランプ22を水平に接近離間させる。
【0024】
図3及び図4に示すように、台座23には、インパルスシール電極50(溶着手段)が設けられている。インパルスシール電極50は、コア21を囲む平環状に形成されて、台座23の上面(クランプ22との対向面)に配置されている。
【0025】
図4に示すように、一対のクランプ22の各々の底面には、シール受け部材51が設けられている。各クランプのシール受け部材51は、半円環状の板状になっている。シール受け部材51は、例えばシリコーンゴムによって構成されている。
【0026】
軟質容器10の製造過程において、次のようにして鍔15が形成される。
<被せ工程>
図5(a)に示すように、作動機構40によって、一対のクランプ22を台座23の上方に離し、かつコア21の水平外方へ離しておく。
そして、胴部11となる筒状フィルム19を鍔形成装置20のコア21の外周に被せる。言い換えると、コア21を筒状フィルム19に挿し入れる。コア21の先端部をテーパ部21bにしておくことによって、前記挿し入れを容易に行うことができる。このとき、好ましくは、挿抜補助手段32のバルブ36を開けて吹出路34を開通させ、開口34cからエア(ガス)を吹き出す。該エアは、後述する膨出手段30の開口33cからのエアより低圧でよく、吹き出し時間は長くてよい。該エアによって筒状フィルム19を拡径できる。これによって、コア21の外周面と筒状フィルム19との間がゼロクリアランスないしはマイナスクリアランスであっても、前記挿し入れ操作を一層容易に行うことができる。挿し入れ操作後はバルブ36を閉じる。
図4及び図5(b)に示すように、コア21の外周に被せた筒状フィルム19の下端縁を台座23の上面に突き当てる。
筒状フィルム19は、全周にわたってコア21の外周面21aにぴったり接する。マイナスクリアランスの場合は、筒状フィルム19がコア21に圧入され、コア21に被さる部分が少し拡径される。
【0027】
<クランプ閉じ工程>
続いて、図5(c)に示すように、クランプ開閉作動部42によって、一対のクランプ22どうしを接近させて閉じる。これによって、クランプ22がコア21の外周上に配置される。このとき、クランプ22は、開口33cより少しだけ上方に位置されている。したがって、後述する膨出手段30のガス噴射の少なくとも直前には、クランプ22と台座23が開口33cを挟んで上下(軸方向)に離れて対峙される。
【0028】
一対のクランプ22が閉じられることで、各クランプ22の凹部25にコア21の半部が嵌る。かつ、当接部材26が筒状フィルム19に押し当てられて、厚み方向に弾性的に圧縮される。筒状フィルム19は、全周にわたって当接部材26とコア21とによって挟み付けられる。
【0029】
<膨出工程>
続いて、図5(d)に示すように、膨出手段30のバルブ35を開けて噴出路33を開通させ、開口33cから圧縮エア(圧縮ガス)を短時間だけ噴射する。該ガス噴射によって、図4において二点鎖線にて示すように、筒状フィルム19の一部分19fが径方向外側へ膨出される。具体的には、筒状フィルム19における、クランプ22と台座23の間の、開口33cの高さに配置された部分19fが膨出される。膨出部分19fは、少なくとも瞬間的又は一時的に断面C字状の環状をなす。
【0030】
<折り畳み工程>
図5(e)に示すように、前記膨出手段30のガス噴射と同時又は直後(遅くとも数秒以内、好ましくは1秒未満)に、挟み付け作動部41によって、一対のクランプ22を下降させて台座23に接近させる。これによって、断面C字状の膨出部分19fが上下に挟み付けられて潰されていく。このとき、当接部材26と筒状フィルム19との間に強い摩擦抵抗が働くために、筒状フィルム19における膨出部分19fより上側の胴本体11aとなる筒状フィルム部分19aが、クランプ22と共に下降される。筒状フィルム部分19aは、コア21に対して滑る。
膨出部分19fが上下に潰されるのに伴って、膨出部分19fの内部のエアが、筒状フィルム19の下端縁と台座23との間から排出される。
筒状フィルム19とコア21の間がゼロクリアランス又はマイナスクリアランスであり、しかも、当接部材26によって、筒状フィルム19が全周にわたってコア21の外周面に強く押し当てられているために、前記内部のエアが、筒状フィルム部分19aとコア21との間に入り込むのを阻止できる。これによって、筒状フィルム部分19aひいては胴本体11aにシワが出来るのを防止できる。
Oリングなどの封止部材は不要である。
さらに、下降されたクランプ22によって開口33cが塞がれる。
【0031】
図5(f)に示すように、やがて一対のクランプ22が台座23に着座(当接)される。これらクランプ22と台座23との間の膨出部分19fは、二つ折りに折り畳まれた状態で(図2)、インパルスシール電極50とシール受け部材51とによって挟み付けられる。ひいては、クランプ22が台座23の間に膨出部分19fが挟み付けられる。
【0032】
<溶着工程>
前記挟み付けた状態でインパルスシール電極50に通電し、膨出部分19fの上下の折片部15a,15bどうしを溶着して展開不能にする。これによって、膨出部分19fが鍔15となる。筒状フィルム19が鍔15付きの胴部11となる。
【0033】
<クランプ開き工程>
次に、図5(g)に示すように、作動機構40によって、一対のクランプ22を上昇させるとともに、コア21の水平外方へ離間させてクランプ開放状態にする。
【0034】
<胴部抜き取り工程>
その後、図5(g)の白抜き矢印及び図5(h)に示すように、胴部11を引き上げてコア21から抜き取る。このとき、好ましくは被せ工程時と同様に、挿抜補助手段32のバルブ36を開けて吹出路34を開通させ、開口34cからエア(ガス)を吹き出す。該エアによって筒状フィルム19を拡径できるから、前記抜き取り操作を容易に行うことができる。抜き取り操作後はバルブ36を閉じる。
当該鍔形成装置20によれば、鍔成形用の金型を用いることなく、鍔15を簡易に形成できる。したがって、製造設備コストを大幅に低減できる。
【0035】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態>
図6(a)に示すように、第2実施形態の軟質容器10Bにおいては胴部11の両端部に鍔15が形成されている。
図6(a)の二点鎖線にて示すように、第2実施形態の鍔形成装置20Bは、2組のクランプ22と台座23を有しており、両端部の鍔15を同時に形成できる。
第1実施形態と同様の鍔形成装置20を用いて、胴部11の一端部に鍔15を形成した後、胴部11を上下にひっくり返して再度コア21に装着し、胴部11の他端部に鍔15を形成してもよい。
【0036】
<第3実施形態>
図6(b)に示すように、第3実施形態の軟質容器10Cにおいては胴部11の中間部にも鍔15Cが形成されている。
図6(b)の二点鎖線にて示すように、第3実施形態の鍔形成装置20Cは、中間部の鍔15C用の一対の挟み付け部材22C,23Cを有している。挟み付け部材22C,23Cは、共に第1実施形態の一対のクランプ22と同様の構造であってもよい。
【0037】
<第4実施形態>
図7(a)に示すように、第4実施形態の軟質容器10Dにおいては、胴部11の胴本体11aが、鍔部15へ向かって拡径されるようにテーパが付けられている。
図7(a)の二点鎖線にて示すように、第4実施形態の鍔形成装置20Dのコア21Dには、同様のテーパが付けられている。コア21Dは胴部11よりも軸長が短い。したがって、テーパ付き胴部11をコア21Dに嵌め込むのに支障はない。
【0038】
軟質容器10Dにおいては、胴部11の上端部に鍔部15が形成されている。蓋(図示せず)の外周部が鍔部15と接合される。
【0039】
図7(b)に示すように、第4実施形態においては、複数の軟質容器10Dをスタッキングすることでコンパクト化できる。
図7(c)に示すように、スタッキングされた複数の軟質容器10Dにおける、内側(同図において左側)の軟質容器10Dの胴部11の下端部が、外側(同図において右側)の軟質容器10Dのボトムフィルム12Dの縁部に引っ掛かるようにして止められている。
【0040】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、1つのクランプ22だけに凹部25が形成されていてもよい。他方のクランプ22の真っ直ぐな端面と前記凹部25との間にコア21が挟まれるようにしてもよい。
クランプ22(一方の挟み付け部材)と対向する他方の挟み付け部材が、コア21に対して軸方向に移動可能であってもよい。前記他方の挟み付け部材が、接近離間可能な一対のクランプを有していてもよい。
挟み付け部材が3つ以上のクランプを有し、任意の2つのクランプが「一対のクランプ」を構成していてもよい。
インパルスシール電極50(溶着手段)が、台座23に代えて、クランプ22に設けられていてもよい。台座23にはシール受け部材51が設けられていてもよい。
溶着手段は、インパルスシールに限らず、ヒートシールや高周波シールなどであってもよい。
筒状フィルム19が平面状のシートを丸めて合掌貼りすることによって形成されていてもよく、インフレーションチューブによって構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、例えば軟質容器の製造に適用できる。
【符号の説明】
【0042】
10 軟質容器
10B,10C,10D 軟質容器
11 胴部
11a 胴本体
15 鍔
15C 鍔
19 筒状シート
19f 一部分
20 鍔形成装置
20B,20C,20D 鍔形成装置
21 コア
21D コア
22 クランプ(一方の挟み付け部材)
22C 一方の挟み付け部材
23 台座(他方の挟み付け部材)
23C 他方の挟み付け部材
25 凹部
26 当接部材
30 膨出手段
31 エアコンプレッサ(圧縮ガス源)
32 挿抜補助手段
33 噴射路
33c 開口
40 作動機構
41 挟み付け作動部
42 クランプ開閉作動部
50 インパルスシール電極(溶着手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7