(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】対話可能物体表示プログラムおよび対話可能物体表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 30/56 20200101AFI20230807BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20230807BHJP
H04N 13/302 20180101ALI20230807BHJP
G06F 3/04815 20220101ALI20230807BHJP
G10L 15/22 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
G02B30/56
G02B27/02 Z
H04N13/302
G06F3/04815
G10L15/22 300Z
(21)【出願番号】P 2020053604
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】320002533
【氏名又は名称】大▲高▼ 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100125818
【氏名又は名称】立原 聡
(72)【発明者】
【氏名】大▲高▼ 淳
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/098534(WO,A1)
【文献】特開2010-008589(JP,A)
【文献】特開2013-148599(JP,A)
【文献】実開平04-077121(JP,U)
【文献】特開2018-182535(JP,A)
【文献】特開2019-020738(JP,A)
【文献】特開2018-097185(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0285904(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 30/00 - 30/60
G02B 27/01 - 27/02
H04N 13/30 - 13/398
G06F 3/04815
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーとの対話のために仮想空間における三次元の対話可能物体を現実空間に表示する対話可能物体表示装置において実行される対話可能物体表示プログラムであって、
前記対話可能物体表示装置が、
情報処理装置と、
前記情報処理装置を着脱可能に支持可能な支持台と、
を備え、
前記情報処理装置が、
姿勢検出部と、
画像を表示するための画面を含む表示部と、
前記対話可能物体表示プログラムを実行可能なプロセッサと、
を備え、
前記支持台が、
前記画面を少なくとも部分的に反射可能な反射面をもつハーフミラーと、
前記画面を前記反射面に向けた状態で前記情報処理装置を着脱可能に搭載可能な搭載部と、
前記搭載部に搭載された前記情報処理装置の前記画面と前記ハーフミラーの前記反射面との間に規定される角度を調節可能な調節機構と、
を備え、
第1の角度と第2の角度とが第1の対応関係に基づいて変化するように前記調節機構が構成されており、
前記第1の角度が、前記現実空間における仮想的な測定基準平面と前記画面に沿って広がる第1の平面との間の角度であり、
前記第2の角度が、前記測定基準平面と前記反射面に沿って広がる第2の平面との間の角度であり、
前記第1の対応関係が、前記第1の角度がθAラジアンであるとき、前記第2の角度θBラジアンが(-π/4+θA/2)ラジアンとなることであり、
前記姿勢検出部が、前記第1の角度に対応した角度情報を検出可能であり、
前記対話可能物体表示プログラムが、前記プロセッサにより実行されたとき、対話可能物体表示処理を前記情報処理装置に実行させ、
前記対話可能物体表示処理が、
前記反射面により形成された前記画像の虚像を見るのに適した視線方向と前記測定基準平面との間の視線角度を、前記角度情報と第2の対応関係とに基づいて決定することと、
前記現実空間における前記測定基準平面に対応する平面として前記仮想空間において設定された撮影基準平面に対して前記視線角度ぶん傾いた撮影方向から
前記仮想空間において前記対話可能物体を撮影した前記画像を作成することと、
作成された前記画像を前記画面に表示することと、
を含み、
前記第2の対応関係が、前記第1の角度と前記視線角度との関係を表すように前記第1の対応関係に基づいて規定されている、
対話可能物体表示プログラム。
【請求項2】
前記第2の対応関係が、前記撮影基準平面に対する前記視線角度が前記第1の角度に等しいことである、
請求項1に記載の対話可能物体表示プログラム。
【請求項3】
前記第2の対応関係が、前記撮影基準平面に対する前記視線角度φラジアンが前記第1の角度θAラジアンに補正値Cラジアンを加えた値であることであり、
補正値Cラジアンが、0ラジアンより大きく、かつ、θBラジアン未満である、
請求項1に記載の対話可能物体表示プログラム。
【請求項4】
前記支持台が、電気的な信号を伝達するための支持側接続部を備え、
前記情報処理装置が、電気的な信号を伝達するための装置側接続部を備え、
前記情報処理装置が前記搭載部に搭載されたときに前記支持側接続部が前記装置側接続部に接続される位置に、前記支持側接続部が配置されており、
前記対話可能物体表示プログラムが、前記プロセッサにより実行されたとき、始動処理を前記情報処理装置に実行させ、
前記始動処理が、
前記装置側接続部に前記支持側接続部が接続されているか否かを検出することと、
前記装置側接続部に前記支持側接続部が接続されていない非接続状態から、前記装置側接続部に前記支持側接続部が接続されている接続状態に変化したことに応答して、前記対話可能物体表示処理を始動することと、
を含む、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の対話可能物体表示プログラム。
【請求項5】
前記対話可能物体表示装置が、無線により電力を送信可能な外部ワイヤレス電力伝送装置を備え、
前記情報処理装置が、無線により電力を受信可能な内部ワイヤレス電力伝送装置を備え、
前記情報処理装置が前記搭載部に搭載されたときに前記外部ワイヤレス電力伝送装置と前記内部ワイヤレス電力伝送装置の間で電力を伝送可能となる位置に、前記外部ワイヤレス電力伝送装置が配置されており、
前記対話可能物体表示プログラムが、前記プロセッサにより実行されたとき、始動処理を前記情報処理装置に実行させ、
前記始動処理が、
前記外部ワイヤレス電力伝送装置と前記内部ワイヤレス電力伝送装置との間で電力の伝送が可能な状態か否かを検出することと、
前記外部ワイヤレス電力伝送装置と前記内部ワイヤレス電力伝送装置との間で電力の伝送が不可能な非伝送状態から、前記外部ワイヤレス電力伝送装置と前記内部ワイヤレス電力伝送装置との間で電力の伝送が可能な伝送状態に変化したことに応答して、前記対話可能物体表示処理を始動することと、
を含む、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の対話可能物体表示プログラム。
【請求項6】
前記情報処理装置が、外部から音声を入力可能な音声入力部を備え、
前記対話可能物体表示処理が、前記音声に基づいて前記画像を変化させることを含む、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の対話可能物体表示プログラム。
【請求項7】
ユーザーとの対話のために仮想空間における三次元の対話可能物体を現実空間に表示する対話可能物体表示装置であって、
前記対話可能物体表示装置が、
情報処理装置と、
前記情報処理装置を着脱可能に支持可能な支持台と、
を備え、
前記情報処理装置が、
姿勢検出部と、
画像を表示するための画面を含む表示部と、
対話可能物体表示プログラムを実行可能なプロセッサと、
を備え、
前記支持台が、
前記画面を少なくとも部分的に反射可能な反射面をもつハーフミラーと、
前記画面を前記反射面に向けた状態で前記情報処理装置を着脱可能に搭載可能な搭載部と、
前記搭載部に搭載された前記情報処理装置の前記画面と前記ハーフミラーの前記反射面との間に規定される角度を調節可能な調節機構と、
を備え、
第1の角度と第2の角度とが第1の対応関係に基づいて変化するように前記調節機構が構成されており、
前記第1の角度が、前記現実空間における仮想的な測定基準平面と前記画面に沿って広がる第1の平面との間の角度であり、
前記第2の角度が、前記測定基準平面と前記反射面に沿って広がる第2の平面との間の角度であり、
前記第1の対応関係が、前記第1の角度がθAラジアンであるとき、前記第2の角度θBラジアンが(-π/4+θA/2)ラジアンとなることであり、
前記姿勢検出部が、前記第1の角度に対応した角度情報を検出可能であり、
前記対話可能物体表示プログラムが、前記プロセッサにより実行されたとき、対話可能物体表示処理を前記情報処理装置に実行させ、
前記対話可能物体表示処理が、
前記反射面により形成された前記画像の虚像を見るのに適した視線方向と前記測定基準平面との間の視線角度を、前記角度情報と第2の対応関係とに基づいて決定することと、
前記現実空間における前記測定基準平面に対応する平面として前記仮想空間において設定された撮影基準平面に対して前記視線角度ぶん傾いた撮影方向から
前記仮想空間において前記対話可能物体を撮影した前記画像を作成することと、
作成された前記画像を前記画面に表示することと、
を含み、
前記第2の対応関係が、前記第1の角度と前記視線角度との関係を表すように前記第1の対応関係に基づいて規定されている、
対話可能物体表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対話可能物体表示プログラムおよび対話可能物体表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォン、タブレット、携帯電話といった携帯型の情報処理装置の画面に、仮想空間の物体、例えばゲームのキャラクタを表示させることが知られている。しかしながら、仮想空間のキャラクタを単に画面に表示するだけでは、ユーザーが現実味を感じにくい。そこで、本発明者は情報処理装置の画面に表示した仮想空間の対話可能なキャラクタを、ハーフミラーに反射させることで現実世界に投影して、現実世界の物体と仮想空間のキャラクタとを融合させる対話可能物体表示装置が必要と考えた。
【0003】
また、仮想空間において垂直に立つ三次元の人型のキャラクタを、現実世界に投影したときにも垂直に立つように見せると、ユーザーはキャラクタが現実に存在しているように感じやすい。さらに、ユーザーが虚像を見る視線方向に応じて仮想空間における三次元のキャラクタの撮影方向を調節することで、ユーザーに現実世界のキャラクタを見ていると感じさせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者が検討したところ、例えば、ユーザーが机の上に対話可能物体表示装置を置いてハーフミラーを介して虚像を見ているとき、ユーザーが立ち上がる、椅子の高さを変えるなどすることにより、虚像を見るユーザーの視線が変わることがある。ユーザーの視線が変化して虚像が見にくくなった場合、ユーザーが情報処理装置とハーフミラーとの位置関係を調節して虚像を見やすくしようとする。
【0006】
しかし、情報処理装置やハーフミラーを適切に動かさなければ、それまで垂直に立って見えていたキャラクタが傾いて表示されること、または、視線方向と撮影方向とにずれが生じ現実味が損なわれることといった課題があることが分かった。特に対話型の三次元のキャラクタを写し出す場合には、ユーザーはキャラクタと対話をしているという現実味を強く求めるため、視覚的な違和感を小さくすることが求められる。
【0007】
また、キャラクタの向きを調節することが困難な場合、仮想空間のキャラクタと対話を楽しむという本来の目的が損なわれる。また、子供や原理に精通していない者などが調節すると、不自然な撮影方向から見たキャラクタを傾いたまま見ることになる。
【0008】
さて、特許文献1のように携帯端末に表示した平面的な画像を凹面鏡に反射させることで現実空間に寝かせた状態や立たせた状態で表示する虚像観察台がある。しかしながら、特許文献1の虚像観察台の一例では、携帯端末と凹面鏡との間の位置関係が携帯端末固定部によって固定されており、ユーザーが虚像を見る範囲が制限される。
【0009】
また、特許文献1の他の例として、携帯端末や凹面鏡の角度を変更することが開示されているが、観察者から見える虚像面の傾斜角を略垂直や略水平以外の角度に変更すること、つまり、角度を維持するのとは反対に、平面的な虚像を意図的に傾けることに主眼が置かれている。また、特許文献1では手動で携帯端末や凹面鏡の位置を調節する必要があり、どのように調節すればどのように表示されるかがユーザーの試行錯誤に委ねられるという課題がある。
【0010】
本発明は、仮想空間における三次元の対話可能物体の虚像を見るための適切な視線角度を、情報処理装置およびハーフミラーの位置に応じて簡単な構成で自動的に決めて対話可能物体の画像を表示することができる対話可能物体表示プログラムおよび対話可能物体表示装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様は、ユーザーとの対話のために仮想空間における三次元の対話可能物体を現実空間に表示する対話可能物体表示装置において実行される対話可能物体表示プログラムであって、対話可能物体表示装置が、情報処理装置と、情報処理装置を着脱可能に支持可能な支持台と、を備え、情報処理装置が、姿勢検出部と、画像を表示するための画面を含む表示部と、対話可能物体表示プログラムを実行可能なプロセッサと、を備え、支持台が、画面を少なくとも部分的に反射可能な反射面をもつハーフミラーと、画面を反射面に向けた状態で情報処理装置を着脱可能に搭載可能な搭載部と、搭載部に搭載された情報処理装置の画面とハーフミラーの反射面との間に規定される角度を調節可能な調節機構と、を備え、第1の角度と第2の角度とが第1の対応関係に基づいて変化するように調節機構が構成されており、第1の角度が、現実空間における仮想的な測定基準平面と画面に沿って広がる第1の平面との間の角度であり、第2の角度が、測定基準平面と反射面に沿って広がる第2の平面との間の角度であり、第1の対応関係が、第1の角度がθAラジアンであるとき、第2の角度θBラジアンが(-π/4+θA/2)ラジアンとなることであり、姿勢検出部が、第1の角度に対応した角度情報を検出可能であり、対話可能物体表示プログラムが、プロセッサにより実行されたとき、対話可能物体表示処理を情報処理装置に実行させ、対話可能物体表示処理が、反射面により形成された画像の虚像を見るのに適した視線方向と測定基準平面との間の視線角度を、角度情報と第2の対応関係とに基づいて決定することと、仮想空間において撮影基準平面に対して視線角度ぶん傾いた撮影方向から対話可能物体を撮影した画像を作成することと、作成された画像を画面に表示することと、を含み、第2の対応関係が、第1の角度と視線角度との関係を表すように第1の対応関係に基づいて規定されている、対話可能物体表示プログラムである。
【0012】
第1の態様によれば、画面の第1の角度と反射面の第2の角度とが第1の対応関係に基づいて変化するように調節機構が構成されており、第2の対応関係が、第1の角度と視線角度との関係を表すように第1の対応関係に基づいて規定されている。そして、第1の角度に対応した角度情報と第2の対応関係とに基づいて視線角度が決定される。つまり、視線角度を決定するときに、反射面の第2の角度を測定しなくても、第2の対応関係により間接的に画面と反射面との位置関係が反映され、さらには虚像平面が回転しないことが反映される。結果として、仮想空間における三次元の対話可能物体の虚像を見るための適切な視線角度を、情報処理装置およびハーフミラーの位置に応じて簡単な構成で自動的に決めることができる
【0013】
また、本態様によれば、角度情報に基づいて視線角度を決定するので、角度情報を使用しない場合と異なり、現実空間における情報処理装置の姿勢を反映した画像をユーザーに提供することができる。また、本態様によれば、第1の角度の変化量:第2の角度の変化量=2:1であるので、現実空間において画面の虚像が位置する虚像平面が測定基準平面に直交したまま維持される。そのため、測定基準平面に対して視線角度において虚像を見るユーザーは、携帯情報端末およびハーフミラーの位置によらず、虚像平面の傾きを感じずに視線角度の違いによる効果を正確に体感することができる。
【0014】
第2の態様は、第2の対応関係が、撮影基準平面に対する視線角度が第1の角度に等しいことである、第1の態様の対話可能物体表示プログラムである。
【0015】
第2の態様によれば、視線角度が第1の角度に等しいので、画面に沿った第1の平面に平行な方向が虚像を見るための最適な角度となる。その結果、虚像を最適に視認しようとするユーザーの動作が誘起されやすく、画面を直接視認しにくい位置へと自然にユーザーを誘導することができる。
【0016】
第3の態様は、第2の対応関係が、撮影基準平面に対する視線角度φラジアンが第1の角度θAラジアンに補正値Cラジアンを加えた値であることであり、補正値Cラジアンが、0ラジアンより大きく、かつ、θBラジアン未満である、第1の態様の対話可能物体表示プログラムである。
【0017】
第3の態様によれば、視線角度が第1の角度に補正値Cを加えた値であるので、第1の角度より大きな角度をなす方向、つまり画面の裏側から見る方向が虚像を見るための最適な角度となる。その結果、虚像を最適に視認しようとするユーザーの動作が誘起されやすく、画面を直接視認できない位置へと自然にユーザーを誘導することができる。
【0018】
第4の態様は、支持台が、電気的な信号を伝達するための支持側接続部を備え、情報処理装置が、電気的な信号を伝達するための装置側接続部を備え、情報処理装置が搭載部に搭載されたときに支持側接続部が装置側接続部に接続される位置に、支持側接続部が配置されており、対話可能物体表示プログラムが、プロセッサにより実行されたとき、始動処理を情報処理装置に実行させ、始動処理が、装置側接続部に支持側接続部が接続されているか否かを検出することと、装置側接続部に支持側接続部が接続されていない非接続状態から、装置側接続部に支持側接続部が接続されている接続状態に変化したことに応答して、対話可能物体表示処理を始動することと、を含む、第1の態様から第3の態様のいずれか1つの対話可能物体表示プログラムである。
【0019】
第4の態様によれば、情報処理装置が搭載部に搭載されたときに支持側接続部が装置側接続部に接続されて対話可能物体表示処理が始動されるので、ユーザーが簡単な操作で対話可能物体表示処理を始動することができる。
【0020】
第5の態様は、対話可能物体表示装置が、無線により電力を送信可能な外部ワイヤレス電力伝送装置を備え、情報処理装置が、無線により電力を受信可能な内部ワイヤレス電力伝送装置を備え、情報処理装置が搭載部に搭載されたときに外部ワイヤレス電力伝送装置と内部ワイヤレス電力伝送装置の間で電力を伝送可能となる位置に、外部ワイヤレス電力伝送装置が配置されており、対話可能物体表示プログラムが、プロセッサにより実行されたとき、始動処理を情報処理装置に実行させ、始動処理が、外部ワイヤレス電力伝送装置と内部ワイヤレス電力伝送装置との間で電力の伝送が可能な状態か否かを検出することと、外部ワイヤレス電力伝送装置と内部ワイヤレス電力伝送装置との間で電力の伝送が不可能な非伝送状態から、外部ワイヤレス電力伝送装置と内部ワイヤレス電力伝送装置との間で電力の伝送が可能な伝送状態に変化したことに応答して、対話可能物体表示処理を始動することと、を含む、第1の態様から第3の態様いずれか一項に記載の対話可能物体表示プログラムである。
【0021】
第5の態様によれば、情報処理装置が搭載部に搭載されたときに外部ワイヤレス電力伝送装置と内部ワイヤレス電力伝送装置の間で電力を伝送可能となり、結果として対話可能物体表示処理が始動されるので、ユーザーが簡単な操作で対話可能物体表示処理を始動することができる。
【0022】
第6の態様は、情報処理装置が、外部から音声を入力可能な音声入力部を備え、対話可能物体表示処理が、音声に基づいて画像を変化させることを含む、第1の態様から第5の態様のいずれか1つの対話可能物体表示プログラムである。
【0023】
第6の態様によれば、音声に基づいて画像が変化するので、表示の多様化を図ることができる。
【0024】
第7の態様は、ユーザーとの対話のために仮想空間における三次元の対話可能物体を現実空間に表示する対話可能物体表示装置であって、対話可能物体表示装置が、情報処理装置と、情報処理装置を着脱可能に支持可能な支持台と、を備え、情報処理装置が、姿勢検出部と、画像を表示するための画面を含む表示部と、対話可能物体表示プログラムを実行可能なプロセッサと、を備え、支持台が、画面を少なくとも部分的に反射可能な反射面をもつハーフミラーと、画面を反射面に向けた状態で情報処理装置を着脱可能に搭載可能な搭載部と、搭載部に搭載された情報処理装置の画面とハーフミラーの反射面との間に規定される角度を調節可能な調節機構と、を備え、第1の角度と第2の角度とが第1の対応関係に基づいて変化するように調節機構が構成されており、第1の角度が、現実空間における仮想的な測定基準平面と画面に沿って広がる第1の平面との間の角度であり、第2の角度が、測定基準平面と反射面に沿って広がる第2の平面との間の角度であり、第1の対応関係が、第1の角度がθAラジアンであるとき、第2の角度θBラジアンが(-π/4+θA/2)ラジアンとなることであり、姿勢検出部が、第1の角度に対応した角度情報を検出可能であり、対話可能物体表示プログラムが、プロセッサにより実行されたとき、対話可能物体表示処理を情報処理装置に実行させ、対話可能物体表示処理が、反射面により形成された画像の虚像を見るのに適した視線方向と測定基準平面との間の視線角度を、角度情報と第2の対応関係とに基づいて決定することと、仮想空間において撮影基準平面に対して視線角度ぶん傾いた撮影方向から対話可能物体を撮影した画像を作成することと、作成された画像を画面に表示することと、を含み、第2の対応関係が、第1の角度と視線角度との関係を表すように第1の対応関係に基づいて規定されている、対話可能物体表示装置である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、仮想空間における三次元の対話可能物体の虚像を見るための適切な視線角度を、情報処理装置およびハーフミラーの位置に応じて簡単な構成で自動的に決めて対話可能物体の画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1の状態における実施形態の対話可能物体表示装置の左側面図である。
【
図2】第1の状態における
図1の対話可能物体表示装置の正面図である。
【
図3】第1の状態における
図1の支持台の平面図である。
【
図4】第2の状態における
図1の対話可能物体表示装置の左側面図である。
【
図5】
図1の情報処理装置の電気的な構成を説明する概略ブロック図である。
【
図6】第1の状態の現実空間と仮想空間との関係を説明する対応図である。
【
図7】第2の状態の現実空間と仮想空間との関係を説明する対応図である。
【
図8】
図1の情報処理装置が実行する対話可能物体表示処理のフロー図である。
【
図9】変形例の第1の状態における現実空間と仮想空間との関係を説明するための対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(全体的な構成)
図1は第1の状態における一実施形態の対話可能物体表示装置100の左側面図である。
図2は第1の状態における対話可能物体表示装置100の正面図である。
図2に例示するように対話可能物体表示装置100は、仮想空間における三次元の対話可能物体105を現実空間に表示する。
【0028】
仮想空間は、例えば現実に似せて演算処理により作り出され、または、現実とは違った世界として演算処理により作り出される。対話可能物体105は、仮想空間に存在するものであり、例えば、限定されないが、現実の人間または他の生物に似せたキャラクタ、現実のロボットまたは他の機械に似せた物体、球形の物体、現実世界に存在しない物体が挙げられる。本実施形態では、対話可能物体105が人間に似せた三次元的なキャラクタであり、現実の音声に応答してユーザーと対話することができる。対話とは、ユーザーからの入力に対して何らかの応答処理が行われることを意味する。応答処理は例えば、自然言語による会話である。
【0029】
まず、
図1に示すように対話可能物体表示装置100は、情報処理装置101と、情報処理装置101を着脱可能に支持する支持台102とを備える。情報処理装置101として、限定されないが例えば、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、携帯電話が挙げられる。本実施形態の情報処理装置101は薄型の直方体に近いスマートフォンである。例えば、ユーザーが家に帰ったときに、スマートフォンのような小型で携帯型の情報処理装置101を手軽に支持台102に搭載する使用例が考えられる。ユーザーが家庭で手軽に対話可能物体表示装置100を使用する目的においては、例えば、情報処理装置101はスマートフォンのように片手で握れる程度の大きさであることが望ましい。
【0030】
情報処理装置101は、画像を表示するための画面111を含む表示部110を備える。表示部110は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイである。画面111は平面状であり、第1の状態では下を向いた状態で水平に支持台102に搭載される。情報処理装置101は、電気的な信号を伝達するためのUSB-C端子である装置側接続部112を後端に備える。装置側接続部112として、例えば、USB-C端子、その他のUSB規格の端子、LIGHTNING(登録商標)端子、その他の電気的な端子が挙げられる。装置側接続部112は、電気的に外部機器との接続関係が認識できる任意の接続部材であってよい。情報処理装置101の電気的な構成については後で詳細に説明する。
【0031】
図3は第1の状態における支持台102の平面図である。
図4は第2の状態における対話可能物体表示装置100の左側面図である。対話可能物体表示装置100は、後述のとおり
図1の第1の状態および
図4の第2の状態を含む連続的な様々な状態をとることができる。まず、
図1から
図3を参照して第1の状態における対話可能物体表示装置100の構成について説明する。方向は相対的な位置を説明するために使用されているのであり、実際の使用の方向を限定するわけではない。
【0032】
図2に示すように、支持台102の構成は概ね左右対称であり、まず左側の構成を主として説明する。左右に対称的に配置された構成要素に同じ番号が付されている。
図1に示すように、支持台102は、一体的に形成された、支持台102の最下部において前後方向に直線状に延びた横固定部120と、横固定部120の後端付近から垂直に上方に向けて直線状に延びた縦固定部121とを備える。横固定部120は、横固定部120の前端と縦固定部121との間において上向きに突出した複数の止め部122を備える。
【0033】
支持台102は、縦固定部121の上端付近に調節機構123を備える。
図2に示すように、調節機構123は、縦固定部121の右側に位置し、第1のギア124、第2のギア125、および第3のギア126を上から順に備える。
図1以外ではギアの歯は省略される。
図1に示すように第1のギア124、第2のギア125、および第3のギア126は、左右方向に延びた回転軸の周りで回転可能なように縦固定部121に搭載されている。
【0034】
図1に示すように第2のギア125は、第1のギア124の回転と第3のギア126の回転とを相互に伝達するように両者にかみ合っている。第1のギア124の歯数:第3のギア126の歯数=1:2となっているので、第3のギア126の回転角度は第1のギア124の回転角度の半分となる。なお、他の例において第1のギア124の回転と第3のギア126とが直接かみ合ってもよい。第1のギア124と第3のギア126との間に複数のギアが存在してもよい。調節機構123のギアの配置は図示するものに限定されない。調節機構123の構成は、ギアを使用するものに限定されない。
【0035】
支持台102は、縦固定部121の上端付近に搭載部130を備える。搭載部130は、前後方向に直線状に延びた搭載梁131を備える。搭載梁131の後端付近と縦固定部121との間に第1のギア124が位置する。
図2に示すように、搭載梁131は第1のギア124の右側に固定されており、縦固定部121により回転可能に支持されている。支持台102は、また、ミラー梁127を備える。ミラー梁127の後端付近と縦固定部121との間に第3のギア126が位置する。ミラー梁127は第3のギア126の右側に固定されており、縦固定部121により回転可能に支持されている。
【0036】
図1に示すように、支持台102は、搭載梁131の左に止め棒128を備える。止め棒128の上端と搭載梁131の前後方向の中央付近とが、相互に回転可能に接続されている。止め棒128の上端より止め棒128の下端が前に位置した状態で、止め棒128の下端が横固定部120の止め部122に係止可能に構成されている。すなわち、止め部122により止め棒128の動きが止められることで、例えば
図1に示す位置及び
図4に示す位置に搭載部130が固定される。搭載部130は他の構成により固定されてよい。
【0037】
他の例として、止め部122は3つより多くても少なくてもよい。搭載部130を固定するための方法は、止め棒128を止め部122により係止する方法に限られない。例えば、横固定部120が突起状の止め部122を備えず、例えば、他の凹凸形状による係止、ねじによる固定、クリップによる挟み留め、といった様々な手段により任意の位置に固定されてもよい。搭載部130が固定される角度は離散的であっても、連続的であってもよい。例えば、止め棒128の下端と横固定部120の上面とのいずれかにゴムなどのすべりにくい素材を使用することにより摩擦により、または、他の機構により連続的な任意の位置に止め棒128を固定可能にし、結果的に連続的な任意の角度に搭載部130を固定可能にしてもよい。
【0038】
図2に示されるように、支持台102は、左側の横固定部120、縦固定部121、調節機構123、搭載梁131、及びミラー梁127(まとめて左側部材と呼ぶ)と左右対称的に配置された、右側の横固定部120、縦固定部121、調節機構123、搭載梁131、及びミラー梁127(まとめて右側部材と呼ぶ)を備える。左側部材及び右側部材はいずれも硬質の材料、例えば硬質の樹脂で形成される
【0039】
図2に示すように、搭載部130は、左右の2つの搭載梁131の上に固定された板状の緩衝材132を備える。
図3に示すように直方体状の緩衝材132は、上下に貫通した開口部135を備える。
図1に示すように、緩衝材132の上面は水平である。緩衝材132の上面に情報処理装置101を置いたとき、画面111のすべてまたは一部が開口部135を通して下から視認可能となる。緩衝材132は、上記の硬質の材料より軟質の材料、例えば、画面111が揺れない程度の柔らかさであり、画面111を傷付けにくい例えばポリスチレンやウレタンといった材料で作られている。緩衝材132は、他の材料により形成されてもよい。
【0040】
図2に示すように、搭載部130は緩衝材132の上面から上に延びた2つの側壁133および後壁134を備える。側壁133は前後方向に延びており、左右方向において側壁133の間に開口部135が位置し、側壁133により情報処理装置101が左右方向に固定される。開口部135の後方に位置する後壁134は左右方向に延びており、情報処理装置101の後方へのずれを防止する。
図2に示すように、搭載部130は左右2つの第1のギア124間に位置している。
【0041】
図2に示すように、支持台102は左右の2つのミラー梁127の上に固定された板状のハーフミラー136を備える。
図1に示すようにハーフミラー136は、上方向と前方向との間の方向を法線方向とする反射面137をもつ。搭載部130に搭載された画面111の法線方向は下方向である。反射面137は、少なくとも前から見たときに画面111からの光を少なくとも部分的に反射可能である。また、ハーフミラー136は、部分的に光を透過する。
【0042】
画面111に近くてハーフミラー136に映り込みやすい部分、例えば、緩衝材132及び搭載梁131はつや消しの黒色であることが好ましい。つや消しの黒色を採用することにより、画面111の画像以外がハーフミラー136に写り込んでもユーザーが視認しにくい。そのため、ユーザーは、現実世界に投影された画像に集中しやすくなる。
【0043】
支持台102は、後壁134に一端を固定された接続ケーブル140を備える。接続ケーブル140は、後壁134を突き抜けて前方に突出した支持側接続部141を備える。支持側接続部141は、装置側接続部112に対応した規格により作られた、電気的な信号を伝達する部材である。支持側接続部141は、USB-C端子に限られない。本実施形態では凸型の支持側接続部141が凹型の装置側接続部112に挿入可能である。
【0044】
図1に示すように搭載部130の緩衝材132の上面は、開口部135を通して画面111を反射面137に向けた状態で情報処理装置101を着脱可能に搭載可能である。情報処理装置101が搭載部130の緩衝材132の上面に搭載されたときに装置側接続部112に接続される位置に支持側接続部141が配置されている。支持側接続部141は情報処理装置101の位置決めをする働きをする。
【0045】
(情報処理装置)
図5は、情報処理装置101の電気的な構成を説明するための概略的なブロック図である。情報処理装置101は、通信装置150と記憶装置151とプロセッサ152と姿勢検出部153と音声入力部154と音声出力部155とインターフェース156と表示入力部157と蓄電池159と内部ワイヤレス電力伝送装置162と前述の装置側接続部112とを備える。
【0046】
通信装置150は、外部のネットワーク103と通信可能に構成されており、ネットワーク103に接続された様々な外部コンピュータ104と通信可能である。外部コンピュータ104は、例えば、プログラムのダウンロードサイト、検索サイトなどを提供するサーバーである。プロセッサ152と外部との通信は、装置側接続部112または他の機構を介して実行されてもよい。
【0047】
通信装置150の通信方式として、例えば、有線による通信手段(例えば、光ファイバ、電話回線、電力線)、無線による通信手段(例えば、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、移動体通信回線、赤外線通信、近距離無線通信)が挙げられるが、これらに限定されない。ネットワーク103として、例えば、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、有線通信網、無線通信網、テレビ通信網、衛星通信網、音響による通信といった種々の通信経路が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
記憶装置151は、対話可能物体表示プログラム160を記憶し、適宜必要な情報を記憶可能に構成されている。記憶装置151の種類として、限定されないが、例えば、読み出し専用メモリ、読み書き可能なメモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、有形の非一次的記録媒体、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0049】
プロセッサ152は記憶装置151から対話可能物体表示プログラム160を読み出して実行する。対話可能物体表示プログラム160がプロセッサ152により実行されたとき、プロセッサ152が対話可能物体表示部161として機能し、対話可能物体表示部161が情報処理装置101に後述の始動処理及び対話可能物体表示処理を実行させる。対話可能物体表示プログラム160は外部コンピュータ104からダウンロードされてもよい。
【0050】
姿勢検出部153は、情報処理装置101の傾き、すなわち、後述の第1の角度θA(
図6)に対応した角度情報を検出可能である。姿勢検出部153の例として、ジャイロ、加速度センサが挙げられる。音声入力部154は、外部から音声を入力可能とする機能を有し、例えばマイクである。入力される音声として、例えば人の声、物体による音、その他の音が挙げられる。音声出力部155は、外部に音声を出力する機能を有し、例えばスピーカーである。出力される音声として、例えば録音した人の声、人の声に似た合成された音声、合成されたその他の音声が挙げられる。
【0051】
インターフェース156は、プロセッサ152と装置側接続部112との間で電気信号を仲介する。例えば、上記の装置側接続部112に支持側ケーブルの支持側接続部141が接続されているか否かを電気的に検出可能である。インターフェース156は、装置側接続部112と支持側接続部141との間で電気的な信号、例えばUSB-Cの規格に従った通信が行われるように電気信号を処理する。インターフェース156の機能として、例えば装置側接続部112から入力された電力を蓄電池159に充電する構成を備えてよい。なお、装置側接続部112に外部のマイクといった音声入力装置、またはスピーカーといった音声出力装置が接続されることにより、インターフェース156が音声入力部154または音声出力部155として機能してもよい。
【0052】
表示入力部157は、タッチパネルであり、画像を表示するための前述の表示部110と、タッチ操作により外部からの入力を受け付ける入力部158とを備える。表示部110は、液晶パネルである画面111を備え、プロセッサ152の指示により画面111に画像を表示する。なお、入力は入力部158におけるタッチ操作に限られず、例えば、キーボード、マウス、音声、トラックパッド、ボタンなどの他の手段によるものであってよい。画面111は液晶パネルに限られず、例えば有機ELディスプレイなどの他の表示装置であってもよい。
【0053】
対話可能物体表示装置100は、無線により電力を伝送可能な外部ワイヤレス電力伝送装置163をさらに備える。情報処理装置101が搭載部130に搭載されたときに外部ワイヤレス電力伝送装置163と内部ワイヤレス電力伝送装置162の間で電力を伝送可能となる位置に、外部ワイヤレス電力伝送装置163が配置されている。例えば、外部ワイヤレス電力伝送装置163は、例えば支持台102に搭載されていてよく、また、支持台102とは別に設置されていてもよい。内部ワイヤレス電力伝送装置162は、外部ワイヤレス電力伝送装置163から無線により伝送される電力を受信して、蓄電池159に充電する。また、内部ワイヤレス電力伝送装置162は、蓄電池159に充電された電気的なエネルギーを外部に伝送してもよい。内部ワイヤレス電力伝送装置162と外部ワイヤレス電力伝送装置163との間の電力伝送は、例えばQi規格、その他の規格に基づいて行われる。
【0054】
(動作)
上記の構成により、
図1に示す調節機構123は、搭載部130に搭載された情報処理装置101の画面111とハーフミラー136の反射面137との間に規定される角度を調節可能である。
図6は、現実空間における第1の状態(
図1)と、第1の状態(
図1)における仮想空間における対話可能物体105の視線角度との関係を説明するための対応図である。
図7は、現実空間における第2の状態(
図4)と、第2の状態(
図4)における仮想空間における対話可能物体105の視線角度との関係を説明するための対応図である。まず、
図1の対話可能物体表示装置100の現実空間における動作について説明する。本明細書の説明では角度の単位をラジアンとする。
【0055】
図6に示すように、現実空間にいずれも仮想的な測定基準平面170と第1の平面171と第2の平面172とが存在すると仮定される。測定基準平面170は水平であって無限に広がる。第1の平面171は、情報処理装置101の画面111(
図1)に沿って無限に広がる。第2の平面172は、ハーフミラー136(
図1)の反射面137(
図1)に沿って無限に広がる。測定基準平面170と第1の平面171と第2の平面172とは、仮想的な共通の交線173に沿って交わる。すなわち、第1の平面171および第2の平面172は、画面111および反射面137の動きに応じて、交線173を中心として測定基準平面170を回転させた様々な位置をとる。
【0056】
測定基準平面170と第1の平面171との間に第1の角度θAが形成される。測定基準平面170と第2の平面172との間に第2の角度θBが形成される。本説明において測定基準平面170に対する角度は、測定基準平面170に直交する平面に沿って時計回りを正とする。調節機構123(
図1)は、第1の角度θAと第2の角度θBとが第1の対応関係に基づいて変化するように構成されている。第1の対応関係は、第1の角度がθAのとき、第2の角度θBが(-π/4+θA/2)となることである。この関係は、第1のギア124(
図1)の歯数:第3のギア126(
図1)の歯数=1:2となっていることにより実現される。調節機構123は、第1の角度θAを-π/2≦θA<π/2の範囲の少なくとも一部の範囲において変更可能であるように構成されていることが望ましく、本例では0≦θA<π/2の範囲で変更可能である。
【0057】
視線方向174は、ユーザーがハーフミラー136(
図1)を介して虚像を見る方向である。画面111(
図1)が直接ユーザーの視界に入った場合、ユーザーが虚像にリアリティを感じにくくなるため、視線方向174は、画面111(
図1)が視界に入らないように視線方向174を設定することが望ましい。本例では視線方向174が測定基準平面170に直交する平面に沿って常に第1の平面171に平行であるとする。反射光路178は、第1の平面171の画像が第2の平面172で反射して視線方向174に平行にユーザーの目に向かう経路を示す。
【0058】
図6に示すように、第1の状態(
図1)では第1の平面171は水平であり、すなわち、測定基準平面170に平行なので第1の角度θA=0となる。同時に第2の角度θB=-π/4になる。画面111(
図1)に表示された画像は、虚像平面175に存在するように見える。第1の対応関係により、虚像平面175が交線173に沿って測定基準平面170に直交するように見える。すなわち、測定基準平面170が水平な場合、虚像は地面に垂直になる。
図2に正面から見たときの画像の一例としてキャラクタである対話可能物体105を示す。
【0059】
図7に示すように、第2の状態(
図4)では第1の平面171と測定基準平面170との間の第1の角度θA=π/6である。同時に第2の角度θB=(-π/4+θA/2)=-π/6になる。第1の平面171に平行な視線方向174から見ると、画像が虚像平面175に存在するように見える。測定基準平面170が水平な場合、虚像は地面に垂直なまま維持される。第1の対応関係によると、第1の状態からの第2の角度θBの変化量は第1の角度θAの変化量の半分となる。言い換えると、第2の平面172と虚像平面175との間の角度は、第1の平面171と第2の平面172との間の角度に等しくなるので、第1の角度θAと第2の角度θBとの間に第1の対応関係が成立する場合、第1の角度θAにかかわらず、虚像平面175が垂直に維持される。
【0060】
言い換えると
図1の横固定部120および縦固定部121が固定されている場合、横固定部120および縦固定部121に対する画面111の位置が決まれば、第1の平面171に対する第2の平面172、測定基準平面170、および虚像平面175のなす角度は自動的に決まる。なお、
図1の構成によると第1の角度θAに応じて交線173が若干平行移動する。しかし、交線173の動きに従って測定基準平面170がわずかに上下に平行移動するのみであり、および、虚像平面175がわずかに前後に平行移動するのみであるので、第1の角度θAが変化しても虚像平面175は傾かない。調節機構123は、第1の平面171を動かしたときに交線173を固定するように構成されてもよい。
【0061】
(始動処理)
まず、
図5に示す対話可能物体表示部161が情報処理装置101に実行させる始動処理について説明する。対話可能物体表示部161は、情報処理装置101が接続状態であるか非接続状態であるか判定する。接続状態とは、装置側接続部112に支持側接続部141が接続されている状態である。非接続状態とは、装置側接続部112に支持側接続部141が接続されていない状態である。対話可能物体表示部161は、情報処理装置101が非接続状態から接続状態に変化したことに応答して、対話可能物体表示処理を始動する。
【0062】
他の一例において、対話可能物体表示部161は、情報処理装置101が非接続状態から接続状態に変化したことに加えて、他の条件が満たされた場合に、対話可能物体表示処理を始動する。他の条件は、例えば、姿勢検出部153により情報処理装置101が水平に対して所定の角度範囲にあること(例えば画面111が垂直より下向きであること)である。他の条件として、例えば示されていない他のセンサからの信号を受信したこと、充電が開始されたことが挙げられる。
【0063】
他の一例において、対話可能物体表示部161は、内部ワイヤレス電力伝送装置162が伝送状態であるか非伝送状態であるか判定する。伝送状態とは、内部ワイヤレス電力伝送装置162と外部ワイヤレス電力伝送装置163との間で電力の伝送がされている状態、または、電力の伝送が可能な状態、例えば、内部ワイヤレス電力伝送装置162と外部ワイヤレス電力伝送装置163との間で電力の伝送に必要な通信が確立されている状態をいう。非伝送状態とは、内部ワイヤレス電力伝送装置162と外部ワイヤレス電力伝送装置163との間で電力の伝送がされていない状態、または、電力の伝送が不可能な状態、例えば、内部ワイヤレス電力伝送装置162と外部ワイヤレス電力伝送装置163との間で電力の伝送に必要な通信が確立されていない状態をいう。対話可能物体表示部161は、内部ワイヤレス電力伝送装置162が非伝送状態から伝送状態に変化したことに応答して、対話可能物体表示処理を始動する。
【0064】
他の一例において、対話可能物体表示部161は、内部ワイヤレス電力伝送装置162が非伝送状態から伝送状態に変化したことに加えて、他の条件が満たされた場合に、対話可能物体表示処理を始動する。他の条件は、例えば、姿勢検出部153により情報処理装置101が水平に対して所定の角度範囲にあること(例えば画面111が垂直より下向きであること)である。他の条件として、例えば示されていない他のセンサからの信号を受信したこと、充電が開始されたことが挙げられる。
【0065】
(対話可能物体表示処理)
次に
図8のフロー図および
図6を参照しながら、対話可能物体表示部161(
図5)が情報処理装置101(
図5)に実行させる対話可能物体表示処理について説明する。対話可能物体表示処理が実行される場合として、上記の始動処理により始動される場合、ユーザーの操作により始動される場合、その他のきっかけにより始動される場合などが挙げられる。対話可能物体表示処理は、適宜のタイミングで繰り返し実行される。適宜のタイミングとは、一例において一定の時間間隔であり、他の例において姿勢検出部153(
図5)で検出された角度情報に基づいて第1の角度θAの変化が検出されたタイミング、その他の時点である。
【0066】
対話可能物体表示部161(
図5)は、まずステップ190において、姿勢検出部153(
図5)から第1の角度θAに対応した角度情報を取得する。角度情報は、第1の角度θAそのものでなくてもよく、例えば、計算により第1の角度θAを算出可能な情報であってもよく、例えば、垂直方向に対する傾きであってもよい。本実施形態では測定基準平面170が水平であり、角度情報が水平に対する第1の角度θAを表すとする。
【0067】
対話可能物体表示部161(
図5)は、次にステップ191において、取得された角度情報と後述の第2の対応関係とに基づいて視線角度φを決定する。
【0068】
図6の下段は、
図1に示す第1の状態における仮想空間の視線角度φを説明する図である。仮想空間に撮影基準平面176が設定されている。撮影基準平面176は、現実空間における測定基準平面170に対応する平面である。本実施形態では仮想空間における水平面を表す。視線角度φは、撮影基準平面176に直交する平面内において、
図6の時計回りを正方向として測定される。視線角度φは、対話可能物体105を擬似的に撮影するための、撮影基準平面176を基準とした撮影方向177の角度である。
【0069】
第2の対応関係は、第1の角度θAと視線角度φとの関係を表すように上述の第1の対応関係に基づいて規定されている。第1の対応関係に基づいているというのは、第1の角度θAが定まれば自動的に第2の角度θBが定まり、結果として第1の角度θAによらずに虚像平面175が回転しないことが分かっていることを意味する。つまり、虚像平面175の回転を考慮せずに視線角度φを決定することができる。本例では、第2の対応関係は、撮影基準平面176に対する視線角度φが第1の角度θAに等しいことである。したがって、
図6に示すように、第1の状態では視線角度φ=0となる。
図7に示すように、第2の状態では視線角度φ=π/6となる。
【0070】
対話可能物体表示部161(
図5)は、次にステップ192において、決定された視線角度φを使用して、仮想空間における対話可能物体105を撮影した画像を作成する。作成される画像は二次元画像である。次にステップ193において、対話可能物体表示部161(
図5)は、作成された画像を画面111(
図5)に表示する。なお、作成される画像は静止画であってもよく、動画であってもよい。本実施形態では三次元の人間に似たキャラクタが、実際の人間のように体を動かす。ユーザーに視線角度φの変化による効果を感じさせるために、対話可能物体105は視線角度φに応じて異なる見た目をもつことが好ましい。
【0071】
図9は、変形例の第1の状態における現実空間と仮想空間との関係を説明するための対応図である。
図6との相違点を説明する。変形例の第2の対応関係は、撮影基準平面176に対する視線角度φが、第1の角度θAに0より大きくθB未満の範囲内の補正値Cを加えた値になることである。結果的に、ユーザーが現実空間で虚像平面175を見るとき、視線方向174の角度をθA+Cとすれば、仮想空間と同じ角度で適切に画像を見ることができる。
図9示される角度以外に第1の平面171が動くとき、各々の角度で、同様に視線角度φがθA+Cとなる。
【0072】
他の例において、測定基準平面170(
図6)が水平でないように対話可能物体表示装置100(
図1)が設置される場合(例えば、第1の状態において画面111(
図1)が水平ではない場合)、現実空間で視線角度φから見て最適な画像が表示されるように、仮想空間における視線角度φが修正されてよい。例えば、撮影基準平面176(
図6)に対する視線角度φが、現実空間で視線角度φに、水平に対する測定基準平面170(
図6)の傾斜角度を加算した値に修正される。
【0073】
図5を参照して、対話可能物体表示処理において音声に基づいて画像が変化することについて説明する。まず、ユーザーが音声入力部154を介して情報処理装置101に音声を入力する。対話可能物体表示部161は、音声認識処理を行い入力された音声に基づいて画像を変化させるとともに、音声に対応した処理を行う。他の例において、入力は、例えば上記の入力部158と同様に音声以外により行われてもよい。
【0074】
例えば、「こんにちは」といった挨拶が入力された場合、返答の挨拶、例えば「こんにちは」といった挨拶を音声出力部155に出力させるとともに、画面111のキャラクタにお辞儀をさせる動画を画面111に表示する。例えば、「~とは何?」という質問が入力された場合、外部の検索サイトにアクセスして検索し、検索結果を「~です」といった音声として音声出力部155に出力させるとともに、キャラクタに考える動作の動画を画面111に表示する。例えば、「音楽を流して」といった要求が入力された場合、音楽再生プログラムを起動して何らかの音楽を再生するとともに、キャラクタが音楽に合わせて動く動画を画面111に表示する。
【0075】
図2に示すようにユーザーがハーフミラー136に映った画像を見るとき、対話可能物体105がハーフミラー136の奥に存在するように見える。また、対話可能物体105と現実空間の物体が同時に見えるので、現実空間に対話可能物体105が存在するように見える。例えば、人型の対話可能物体105が机の上に立っているように見える。例えば、対話可能物体表示部161(
図5)が対話可能物体105を動かす画像処理をすることで、現実空間で対話可能物体105が動いているように見える。
【0076】
図1の対話可能物体表示装置100は、支持台102の縦固定部121および横固定部120(すなわち搭載部130およびハーフミラー136の動きの基準となる部材)が外部の物体に対して静止している状況(すなわち、
図6の測定基準平面170が回転しない状況)において使用されることに適する。測定基準平面170がユーザーの操作にかかわらずに回転しない状況で使用することで、ユーザーの操作による搭載部130の動きにかかわらず画像が変化して対話可能物体105が不自然に見えることを防ぐことができる。
【0077】
(まとめ)
本実施形態によれば、画面111の第1の角度θAと反射面137の第2の角度θBとが第1の対応関係に基づいて変化するように調節機構123が構成されており、第2の対応関係が、第1の角度θAと視線角度φとの関係を表すように第1の対応関係に基づいて規定されている。そして、第1の角度θAに対応した角度情報と第2の対応関係とに基づいて視線角度φが決定される。つまり、視線角度φを決定するときに、反射面137の第2の角度θBを測定しなくても、第2の対応関係により間接的に画面111と反射面137との位置関係が反映され、さらには虚像平面が回転しないことが反映される。結果として、仮想空間における三次元の対話可能物体105の虚像を見るための適切な視線角度φを、情報処理装置101およびハーフミラー136の位置に応じて簡単な構成で自動的に決めて対話可能物体105の画像を表示することができる。
【0078】
また、角度情報に基づいて視線角度φを決定するので、角度情報を使用しない場合と異なり、現実空間における情報処理装置101の姿勢を反映した画像をユーザーに提供することができる。また、第1の角度θAの変化量:第2の角度θBの変化量=2:1であるので、現実空間において画面111の虚像が位置する虚像平面175が測定基準平面170に直交したまま維持される。そのため、測定基準平面170に対して視線角度φにおいて虚像を見るユーザーは、情報処理装置101およびハーフミラー136の位置によらず、虚像平面175の傾きを感じずに視線角度φの違いによる効果を正確に体感することができる。
【0079】
本実施形態によれば、視線角度φが第1の角度θAに等しいので、画面111に沿った第1の平面171に平行な方向が虚像を見るための最適な角度となる。その結果、虚像を最適に視認しようとするユーザーの動作が誘起されやすく、画面111を直接視認しにくい位置へと自然にユーザーを誘導することができる。
【0080】
本実施形態によれば、視線角度φが第1の角度θAに補正値Cを加えた値であるので、第1の角度θAより大きな角度をなす方向、つまり画面111の裏側から見る方向が虚像を見るための最適な角度となる。その結果、虚像を最適に視認しようとするユーザーの動作が誘起されやすく、画面111を直接視認できない位置へと自然にユーザーを誘導することができる。
【0081】
本実施形態によれば、情報処理装置101が搭載部130に搭載されたときに支持側接続部141が装置側接続部112に接続されて対話可能物体表示処理が始動されるので、ユーザーが簡単な操作で対話可能物体表示処理を始動することができる。
【0082】
本実施形態によれば、情報処理装置101が搭載部130に搭載されたときに外部ワイヤレス電力伝送装置163と内部ワイヤレス電力伝送装置162の間で電力を伝送可能となり、結果として対話可能物体表示処理が始動されるので、ユーザーが簡単な操作で対話可能物体表示処理を始動することができる。
【0083】
本実施形態によれば、音声に基づいて画像が変化するので、表示の多様化を図ることができる。
【符号の説明】
【0084】
100…対話可能物体表示装置、101…情報処理装置、102…支持台、
103…ネットワーク、104…外部コンピュータ、105…対話可能物体、
110…表示部、111…画面、112…装置側接続部、120…横固定部、
121…縦固定部、122…止め部、123…調節機構、124…第1のギア、
125…第2のギア、126…第3のギア、127…ミラー梁、128…止め棒、
130…搭載部、131…搭載梁、132…緩衝材、133…側壁、134…後壁、
135…開口部、136…ハーフミラー、137…反射面、140…接続ケーブル、
141…支持側接続部、150…通信装置、151…記憶装置、152…プロセッサ、
153…姿勢検出部、154…音声入力部、155…音声出力部、
156…インターフェース、157…表示入力部、158…入力部、159…蓄電池、
160…対話可能物体表示プログラム、161…対話可能物体表示部、
162…内部ワイヤレス電力伝送装置、163…外部ワイヤレス電力伝送装置、
170…測定基準平面、171…第1の平面、172…第2の平面、173…交線、
174…視線方向、175…虚像平面、176…撮影基準平面、177…撮影方向
178…反射光路