(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】プリント可能な混合物、その製造法、及びその使用法
(51)【国際特許分類】
C09D 11/52 20140101AFI20230807BHJP
H01B 1/22 20060101ALI20230807BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20230807BHJP
H05K 1/09 20060101ALI20230807BHJP
H05K 3/10 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
C09D11/52
H01B1/22 A
H01B13/00 Z
H05K1/09 A
H05K3/10 Z
(21)【出願番号】P 2022506352
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 US2020044225
(87)【国際公開番号】W WO2021022024
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-03-29
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507088266
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ マサチューセッツ
【住所又は居所原語表記】One Beacon Street,31st Floor,Boston,Massachusetts 02108
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ラナシンハ,オシャダ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ルース,アンドリュー エム.
(72)【発明者】
【氏名】ストラック,グィネヴィア エム.
(72)【発明者】
【氏名】ハギザーデ,マーディ
(72)【発明者】
【氏名】ハーディ,キャメロン
(72)【発明者】
【氏名】キングスリー,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】アーミエント,クレイグ エー.
(72)【発明者】
【氏名】アキュルツ,アルキム
【審査官】本多 仁
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110016723(CN,A)
【文献】特開2018-200975(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1927764(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103709565(CN,A)
【文献】Jiquan Huang、外5名,Percolative ceramic composites with giant dielectric constants and low dielectric losses,Journal of Materials Chemistry,英国,2009年06月21日,Vol.19 No.23,Page.3909-3913
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00ー201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物であって、当該化合物は、
絶縁性材料である第1の粒子と、
導電性材料である第2の粒子と、を含み
前記第1の粒子及び前記第2の粒子の組合せが、プリント可能な液体材料中に分散及び懸濁しており、前記プリント可能な液体材料
は硬化状態
で誘電性材料であり、
該誘電性材料の一部に閾値を超える熱を加えることによって
前記一部に含まれる前記第2の粒子を導電性経路に変換可能であ
り、
前記第2の粒子は、銀(Ag)ナノ粒子であり、
前記第1の粒子は、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)ナノ粒子であり、
当該化合物は、少なくとも1つの溶媒をさらに含み、
前記プリント可能な液体材料中の前記第1の粒子に対する前記銀ナノ粒子の比が、33重量%(+/-20%)の第1の粒子に対する67重量%(+/-20%)の銀である、
化合物。
【請求項2】
前記第2の粒子の融点が、前記第1の粒子の融点よりも低い、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記第2の粒子に対する前記第1の粒子の比は、硬化される前記プリント可能材料中の前記第2の粒子のグループが、前記閾値を超える前記熱を前記第2の粒子のグループに加える前に互いに分離されるように、選択され、
前記閾値を超える熱に誘電性材料を曝すことにより、前記グループ内の前記第2の粒子同士が接触し、前記熱によって硬化される前記プリント可能材料の一部が導電性経路に変換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの溶媒は、
1-メトキシ-2-プロパノールと、
エチレングリコールと、を含み、
当該化合物は、40重量%を超えるエチレングリコールで構成される、又は
前記第1の粒子は、当該化合物
の21重量%を構成し、
前記第2の粒子は、当該化合物
の12.5重量%を構成し、
前記少なくとも1つの溶媒は、当該化合物
の66.5重量%を構成する、請求項
1に記載の化合物。
【請求項5】
方法であって、当該方法は、
絶縁性材料である第1の粒子を受け取るステップと、
導電性金属材料である第2の粒子を受け取るステップと、
前記第1の粒子及び前記第2の粒子の組合せをプリント可能材料中に懸濁させるステップであって、前記プリント可能材料
は硬化状態
で誘電性材料であり、
該誘電性材料の一部に閾値を超える熱を加えることによって
前記一部に含まれる前記第2の粒子を導電性
経路に変換可能である、懸濁させるステップと、を含
み、
前記第2の粒子は、銀(Ag)ナノ粒子であり、
前記第1の粒子は、BSTナノ粒子であり、
化合物は、少なくとも1つの溶媒をさらに含み、
前記第1の粒子に対する前記銀ナノ粒子の比が、67重量%(+/-20%)~33重量%(+/-20%)である、
方法。
【請求項6】
前記閾値を超える熱を前記第2の粒子のグループに加える前に、前記プリント可能材料の層内の前記第2の粒子の前記グループが互いに分離されるように、前記プリント可能材料中の前記第1の粒子及び前記第2の粒子の混合比を制御するステップをさらに含み、
前記閾値を超える熱に前記プリント可能材料を曝すことにより、前記グループ内の前記第2の粒子同士が接触し、前記熱によって誘電性材料が導電性経路に変換される、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの溶媒は、
1-メトキシ-2-プロパノールと、
エチレングリコールと、を含み、
前記化合物は、40重量%を超えるエチレングリコールで構成される、又は
前記第1の粒子は、前記化合物
の21重量%(+/-20%)を構成し、
前記第2の粒子は、前記化合物
の12.5重量%(+/-20%)を構成し、
前記溶媒の混合物は、前記化合物
の66.5重量%(+/-20%)を構成する、請求項
5に記載の方法。
【請求項8】
機器であって、当該機器は、
基板と、
該基板上に配置されたプリント材料であって、絶縁性材料である第1の粒子と、導電性金属材料である第2の粒子とを含むプリント材料と、を含み、
前記第1の粒子及び前記第2の粒子は、前記プリント材料中にランダムに分布しており、
前記プリント材料は硬化状態で誘電性材料であり、前記
プリント材料の一部に閾値を超える熱を加えることによる銀ナノ粒子の焼結によって、
前記一部に含まれる前記第2の粒子を導電性経路にさらに変換可能であ
り、
前記第2の粒子は、銀ナノ粒子であり、
前記第1の粒子は、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)粒子であり、
前記プリント材料は、少なくとも1つの溶媒をさらに含み、
前記第1の粒子に対する前記銀ナノ粒子の比が、62.5(+/-20%)~37.5(+/-20%)である、
機器。
【請求項9】
前記プリント材料は、第1の部分及び第2の部分を含み、前記プリント材料の前記第1の部分は、熱を加えることによって焼結され
た第2の粒子を含み、前記プリント材料の前記第2の部分は、熱を加えても焼結されない第2の粒子を含む、請求項
8に記載の機器。
【請求項10】
前記プリント材料の第1の部分は、第2の部分よりも低い抵抗率を有し、前記第1の部分(BST)は絶縁性材料であり、前記第2の部分(Ag)は導電性材料である、請求項
8に記載の機器。
【請求項11】
前記プリント材料中の前記第2の粒子は、前記熱を加える前に前記第1の粒子によって互いに分離され、
前記閾値を超える前記熱を前記第2の粒子のグループに加えることにより、銀ナノ粒子の前記焼結によって、前記グループの第2の粒子同士の間で物理的接触が生じる、請求項
8に記載の機器。
【請求項12】
前記第2
の粒子の融点が、前記第1の粒子の融点よりも低い、請求項
8に記載の機器。
【請求項13】
前記少なくとも1つの溶媒は、
1-メトキシ-2-プロパノールと、
エチレングリコールと、を含み、
前記プリント材料は、40重量%を超えるエチレングリコールで構成される、請求項
8に記載の機器。
【請求項14】
方法であって、当該方法は、
プリント可能材料を基板に適用するステップであって、前記プリント可能材料は、該プリント可能材料に懸濁した、絶縁性材料である第1の粒子と導電性金属材料である第2の粒子とを含む、適用するステップと、
前記基板上の前記プリント可能材料を硬化させるステップであって
、該プリント可能材料
は硬化状態で誘電性材料であり、前記誘電性材料の一部に閾値を超える熱を加えることによって
前記一部に含まれる前記第2の粒子を導電性経路に変換可能である、硬化させるステップと、を含
み、
前記第2の粒子は、銀ナノ粒子であり、
前記第1の粒子は、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)ナノ粒子であり、
前記プリント可能材料は、少なくとも1つの溶媒をさらに含み、
前記第1の粒子に対する前記銀ナノ粒子の比が、62.5(+/-20%)~37.5(+/-20%)である、
方法。
【請求項15】
硬化される前記プリント可能材料中の前記第2の粒子のグループが、閾値を超える熱を前記第2の粒子のグループに加える前に、互いに分離される、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記基板上の誘電性材料の層に配置された前記第2の粒子のグループに熱を加えるステップであって、該グループに熱を加えることにより、前記第2の粒子のグループが前記誘電性材料の層を通って前記基板上に導電性経路を形成する、前記熱を加えるステップをさらに含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項17】
前記熱を加えることには、前記第2の粒子を焼結させることが含まれる、請求項
14に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の粒子の融点が、前記第1の粒子の融点よりも低い、請求項
5又は
14に記載の方法。
【請求項19】
前記閾値を超える熱に誘電性材料の層を曝すことにより、グループ内の前記第2の粒子の間で物理的接触が生じる、請求項
14に記載の方法。
【請求項20】
硬化される前記プリント可能材料は、前記第1の粒子及び前記第2の粒子が懸濁されている誘電性材料の層である、請求項
14に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの溶媒は、
1-メトキシ-2-プロパノールと、
エチレングリコールと、を含み、
プリント材料は、40重量%を超えるエチレングリコールで構成される、又は
前記第1の粒子は、
前記プリント材料
の21重量%を構成し、
前記第2の粒子は、前記プリント材料
の12.5重量%を構成し、
溶媒の混合物は、前記プリント材料
の66.5重量%を構成する、請求項
14に記載の方法。
【請求項22】
方法であって、当該方法は、
基板を受け取るステップであって、
硬化状態の誘電性材料の第1の層が前記基板の表面に配置され、前記誘電性材料の第1の層は、該誘電性材料の第1の層に懸濁した、絶縁性材料である第1の粒子と導電性金属材料である第2の粒子とを含む、受け取るステップと、
前記誘電性材料の第1の層の
一部の領域に熱を加えるステップであって、該熱を加えることにより、前記
一部の領域内の
前記第2の粒子が導電性経路に変換される、熱を加えるステップと、を含
み、
前記第2の粒子は、銀ナノ粒子であり、
前記第1の粒子は、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)粒子であり、
前記第1の粒子に対する前記銀ナノ粒子の比が、62.5(+/-20%)~37.5(+/-20%)である、
方法。
【請求項23】
閾値を超える前記熱を加えることにより、前記領域内の第2の粒子が焼結する、請求項
22に記載の方法。
【請求項24】
閾値を超える前記熱を加えることにより、前記領域内の前記第2の粒子のセットが互いに接触し、前記導電性経路が形成される、請求項
22に記載の方法。
【請求項25】
前記誘電性材料の第1の層は、前記領域内に第2の粒子のセットを含み、該第2の粒子のセットは、前記熱を加える前に非隣接状態であり、
閾値を超える前記熱を加えることにより、前記領域内の一連の前記第2の粒子が互いに電気的に接触し、前記領域内の前記一連の第2の粒子の接触によって、導電性経路が形成される、請求項
22に記載の方法。
【請求項26】
前記領域内の前記第2の粒子のグループが、前記熱を加える前に第1の粒度であり、
前記領域内の前記第2の粒子の前記グループは、前記熱を加えた後に第2の粒度であり、前記第2の粒度は、前記第1の粒度よりも大きい、請求項
22に記載の方法。
【請求項27】
前記誘電性材料の第1の層の領域に熱を加えることは、レーザビームを前記領域に向けることを含む、請求項
22に記載の方法。
【請求項28】
前記誘電性材料の第1の層の領域に熱を加えることは、前記導電性経路の所望の抵抗に応じて、前記領域に加えられる前記熱の大きさを制御することを含む、請求項
22に記載の方法。
【請求項29】
誘電性材料の第2の層を前記誘電性材料の第1の層に適用するステップであって、前記誘電性材料の第2の層は、前記誘電性材料の第2の層中に懸濁した第1の粒子及び第2の粒子を含み、前記誘電性材料の第2の層内の前記第1の粒子は、絶縁性材料であり、前記誘電性材料の第2の層内の前記第2の粒子は、導電性材料である、適用するステップをさらに含み、
前記誘電性材料の第2の層に熱を加えるステップであって、前記誘電性材料の第2の層に前記熱を加えることにより、前記誘電性材料の第2の層の誘電性材料の一部が絶縁性材料から導電性経路に変換される、熱を加えるステップをさらに含む、請求項
22に記載の方法。
【請求項30】
前記誘電性材料の層の領域に前記熱を加えることにより、電子部品が形成される、請求項
22に記載の方法。
【請求項31】
機器であって、当該機器は、
硬化状態の誘電性材料の第1の層であって、前記誘電性材料の第1の層中に懸濁した、絶縁性材料である第1の粒子と導電性金属材料である第2の粒子とを含む誘電性材料の第1の層と、
前記誘電性材料の一部に熱を加えることによって
前記一部に含まれる前記第2の粒子が誘電性材料から導電性経路に変換される前記誘電性材料の第1の層の領域と、を含
み、
前記第2の粒子は、銀ナノ粒子であり、
前記第1の粒子は、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)粒子であり、
前記第1の粒子に対する前記銀ナノ粒子の比が、62.5(+/-20%)~37.5(+/-20%)である、
機器。
【請求項32】
前記誘電性材料の第1の層の前記領域は、焼結される第2の粒子を含む、請求項
31に記載の機器。
【請求項33】
前記領域内の前記第2の粒子のセットが互いに接触して、前記導電性経路が形成される、請求項
31に記載の機器。
【請求項34】
前記誘電性材料の前記第1の層が、前記領域内に第2の粒子のセットを含み、前記第2の粒子のセットは、熱を加える前に非隣接状態であり、
閾値を超える前記熱を加えることにより、前記領域内の一連の前記第2の粒子が互いに電気的に接触し、前記領域内の前記一連の第2の粒子の接触によって、導電性経路が形成される、請求項
31に記載の機器。
【請求項35】
前記領域内の前記第2の粒子のグループが、前記熱を加える前に第1の粒度であり、
前記領域内の前記第2の粒子の前記グループは、前記熱を加えた後に第2の粒度であり、前記第2の粒度は、前記第1の粒度よりも大きい、請求項
31に記載の機器。
【請求項36】
前記誘電性材料の第1の層の前記領域は、前記領域に印加されるレーザビームを介して焼結される、請求項
31に記載の機器。
【請求項37】
前記領域は、前記誘電性材料の第1の層の第1の表面と、前記誘電性材料の第1の層の第2の表面との間に延びるビアである、請求項
31に記載の機器。
【請求項38】
前記誘電性材料の第1の層に配置された誘電性材料の第2の層をさらに含み、該誘電性材料の第2の層は、前記誘電性材料の第2の層中に懸濁した第1の粒子及び第2の粒子を含み、前記誘電性材料の第2の層の前記第1の粒子は絶縁性材料であり、前記誘電性材料の第2の層の前記第2の粒子は導電性材料であり、
前記誘電性材料の第2の層に前記熱を加えることにより、前記誘電性材料の第2の層内の誘電性材料の一部が、絶縁性材料から導電性経路に変換される、請求項
31に記載の機器。
【請求項39】
前記誘電性材料の第1の層の前記領域に熱を加えることにより、電子部品が形成される、請求項
31に記載の機器。
【請求項40】
命令が格納されるコンピュータ可読ストレージハードウェアであって、前記命令がコンピュータプロセッサハードウェアによって実行されると、該コンピュータプロセッサハードウェアに、
基板を受け取ることであって、
硬化状態の誘電性材料の第1の層が前記基板の表面に配置され、前記誘電性材料の第1の層は、誘電性材料の第1の層中に懸濁した、絶縁性材料である第1の粒子と導電性金属材料である第2の粒子とを含む、前記受け取ること、及び
前記誘電性材料の第1の層の
一部の領域に熱を加えることであって、該熱を加えることにより、前記
一部の領域
内の前記第2の粒子が導電性経路に変換される、ことを行わ
せ、
前記第2の粒子は、銀ナノ粒子であり、
前記第1の粒子は、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)粒子であり、
前記第1の粒子に対する前記銀ナノ粒子の比が、62.5(+/-20%)~37.5(+/-20%)である、
コンピュータ可読ストレージハードウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2019年8月1日に出願した、“PRINTABLE DIELECTRIC MIXTURE, USE, AND MANUFACTURE”という表題の以前に出願した米国仮特許出願第62/881,646号に対する優先権を主張し、この文献の全教示はこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、2018年11月8日に出願した、“PRINTABLE DIELECTRIC MIXTURE, USE, AND MANUFACTURE”という表題の以前に出願した米国特許出願第16/184,796号に関連しており、この文献の全教示はこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
上記の組み込まれた特許出願の任意の材料又は一部は、その組み込まれた材料と本開示の材料との間に矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれる。矛盾が生じた場合に、優先開示として本開示を優先して矛盾を解決する必要がある。
【0004】
本開示は、プリント可能な(printable:印刷可能な)混合物、その製造法、及びその使用法に関する。
【背景技術】
【0005】
従来の電子装置は、米国特許公開第2017/0009090号に記載されているプリント技術を使用して基板上にプリントすることができる。例えば、この引用される特許公開は、ポリマー複合材料中にチタン酸バリウムストロンチウム(BST)を含む強誘電性インクを記載している。この従来のインクは、直接インク書き込み技術を使用して、高誘電率、低損失、及び静電的に調整可能な誘電体を基板にプリントするために使用できる。
【発明の概要】
【0006】
実施形態の簡単な説明
従来のインクとは対照的に、本明細書の実施形態は、異なるタイプの電子装置の製造を容易にする新規のプリント可能な配合物/混合物を含む。
【0007】
第1の実施形態
より具体的には、一例の実施形態では、化合物は、絶縁性材料(非導電性材料)である第1の粒子と、導電性材料である第2の粒子と、を含み、第1の粒子及び第2の粒子の組合せが、プリント可能材料に分散及び懸濁しており、プリント可能材料の硬化状態が、閾値を超える熱を加えることによって導電性経路に変換可能である。
【0008】
更なる実施形態によれば、第2の粒子は銀(Ag)から製造される。さらに別の実施形態では、第2の粒子に対する銀粒子の比は、重量比で約62.5~37.5である。追加的に又は代替的に、第2の粒子は、いわゆるチタン酸バリウムストロンチウム(BST)粒子である。
【0009】
さらに別の実施形態では、第2の粒子の融点が、第1の粒子の融点よりも低い。
【0010】
第2の粒子に対する第1の粒子の比は、実施形態に応じて変化し得る。一実施形態では、第2の粒子に対する第1の粒子の比は、硬化されるプリント可能材料中の第2の粒子のグループが、閾値を超える熱を第2の粒子のグループに加える前に、互いに実質的に分離される(例えば、連続的な導電性経路を形成するためにどちらにも接触しない)ように、選択される。硬化されるプリント可能材料の領域を閾値を超えて加熱すると、銀ナノ粒子の焼結により第2の粒子が互いに接触し、導電性経路が形成される。
【0011】
本明細書の更なる実施形態は、誘電性材料(硬化されるプリント可能材料)を熱に曝すことを含む。一実施形態では、閾値を超える熱に誘電性材料の層を曝すことにより、銀ナノ粒子等の第2の粒子の焼結(ネッキングをもたらす)により、グループ内の第2の粒子同士の間の接触が生じ、熱によって、硬化されるプリント可能材料の一部が導電性経路に変換される。
【0012】
更なる実施形態によれば、第2の粒子は銀ナノ粒子であり、第1の粒子はBSTナノ粒子である。この化合物は、1-メトキシ-2-プロパノール及び/又はエチレングリコール等の少なくとも1つの溶媒を含む。一実施形態では、化合物は、40重量%を超えるエチレングリコールで構成される。
【0013】
さらに別の実施形態では、第1の粒子は、化合物の約12.5重量%を構成し、第2の粒子は、化合物の約21重量%を構成し、1つ又は複数の溶媒の混合物は、硬化前の化合物の約66.5重量%を構成する。硬化に続いて、プリント可能材料中の溶媒が蒸発する又は除去されると、硬化したプリント可能材料は、60~70%の第1の粒子及び30~40%の第2の粒子を含む。
【0014】
本明細書の更なる実施形態は、方法を含む。この方法は、絶縁性材料である第1の粒子を受け取るステップと;導電性金属材料である第2の粒子を受け取るステップと;第1の粒子及び第2の粒子の組合せをプリント可能な液体スラリーに懸濁させるステップであって、そこでは、プリント可能材料のその後の硬化状態が、閾値を超える熱を加えることによって導電性経路に変換可能である、懸濁させるステップと;を含む。
【0015】
本明細書の更なる実施形態は、閾値を超える熱を第2の粒子のグループに加える前に、プリント可能材料の層中の第2の粒子のグループが互いに分離(非接触等)されるように、プリント可能材料中の第2の粒子に対する第1の粒子の混合比を制御するステップを含む。その後、閾値を超える熱にプリント可能材料を曝すことにより、銀ナノ粒子の焼結によって、グループ内の第2の粒子同士が接触し、熱によって誘電性材料の層の一部が導電性経路に変換される。より具体的には、(レーザ又は他の適切なリソースリソースから等の)熱に曝された誘電性材料のプリント層の領域は、絶縁体から導電性材料に変換される。
【0016】
第2の実施形態
本明細書の更なる実施形態は、機器を含む。この機器は、基板と、基板上に配置されたプリント材料であって、絶縁性材料である第1の粒子と、導電性金属材料である第2の粒子とを含むプリント材料と、を含み、第1の粒子及び第2の粒子は、プリント材料中にランダムに分布しており、第2の粒子は、閾値を超える熱を加えることによって導電性経路にさらに変換可能である。
【0017】
更なる実施形態によれば、プリント材料は、第1の部分及び第2の部分を含み、プリント材料の第1の部分は、熱を加えることによって焼結(接続)される第2の粒子を含み、プリント材料の第2の部分は、熱を加えても焼結されない第2の粒子を含む。一実施形態では、インクは、Ag及びBSTナノ粒子の均質な混合物である。
【0018】
さらに別の実施形態では、硬化するプリント材料の第1の部分は、第2の部分よりも低い抵抗率を有する。BST材料は電気絶縁性材料である。
【0019】
さらに別の実施形態では、基板上のプリント材料は誘電性材料である。
【0020】
プリント材料中の第2の粒子は、熱を加える前に第1の粒子によって互いに分離される。一実施形態では、閾値を超える熱を第2の粒子のグループに加えると、銀ナノ粒子の焼結によって、グループの第2の粒子同士の間で物理的接触が生じる。
【0021】
さらに別の実施形態では、第2の粒子の融点が、第1の粒子の融点よりもはるかに低い。
【0022】
第2の粒子は、任意の適切な金属であり得る。一実施形態では、第2の粒子は銀ナノ粒子であり、第1の粒子はBST(チタン酸バリウムストロンチウム)ナノ粒子である。プリント材料は、1-メトキシ-2-プロパノール、エチレングリコール等の1つ又は複数の溶媒をさらに含む。一実施形態では、プリント材料(非硬化状態等)は、硬化前に40重量%を超えるエチレングリコールで構成される。
【0023】
さらに別の実施形態によれば、第1の粒子は、プリント材料の約21重量%を構成し、第2の粒子は、プリント材料の約12.5重量%を構成し、1つ又は複数の溶媒の混合物は、プリント材料の約66.5重量%を構成する。
【0024】
本明細書の更なる実施形態は、方法を含む。この方法は、プリント可能材料を基板に適用するステップであって、プリント可能材料は、プリント可能材料中に懸濁した、絶縁性材料である第1の粒子と導電性金属材料である第2の粒子とを含む、適用するステップと;基板上のプリント可能材料を硬化させるステップであって、硬化されるプリント可能材料中の第2の粒子は、閾値を超える熱を加えることによって導電性経路に変換可能である、硬化させるステップと;を含む。
【0025】
更なる実施形態によれば、硬化されるプリント可能材料中の第2の粒子のグループは、閾値を超える熱を第2の粒子のグループに加える前に、互いに分離される。
【0026】
一実施形態では、第1の粒子は非導電性材料である。第2の粒子は金属から作製される。
【0027】
本明細書の方法の更なる実施形態は、基板上の誘電性材料の層に配置された第2の粒子のグループに熱を加えるステップであって、グループに熱を加えることにより、第2の粒子のグループが誘電性材料の層を通って基板上に導電性経路を形成する、熱を加えるステップを含む。一実施形態では、熱を加えることにより、第2の粒子の焼結(接続、ネッキング等)が生じ、導電性経路がもたらされる。
【0028】
前述したように、一実施形態では、第2の粒子の融点が、第1の粒子の融点よりも低い。
【0029】
さらに別の実施形態では、閾値を超える熱に誘電性材料の層(硬化されるプリント可能材料)を曝すことにより、グループ内の第2の粒子同士の間で焼結及び/又は物理的接触が生じる。
【0030】
一実施形態では、硬化されるプリント可能材料は、第1の粒子及び第2の粒子が懸濁した誘電性材料の層である。
【0031】
第2の粒子は、銀ナノ粒子等の適切な金属であり、第1の粒子は、BST(チタン酸バリウムストロンチウム)ナノ粒子等の適切な材料である。プリント可能材料は、基板へのプリント可能材料の適用(application:塗布)を容易にする1つ又は複数の溶媒を含む。1つ又は複数の溶媒には、1-メトキシ-2-プロパノールと、エチレングリコールとを含めることができる。一実施形態では、プリント材料は、硬化前に40重量%を超えるエチレングリコールで構成される。
【0032】
さらに別の実施形態では、第1の粒子は、プリント材料の約21重量%を構成し、第2の粒子は、プリント材料の約12.5重量%を構成し、1つ又は複数の溶媒の混合物は、プリント材料の約66.5重量%を構成する。
【0033】
本明細書の更なる実施形態は、基板を受け取る製造装置(fabricator)を含む。誘電性材料の第1の層が基板の表面上に配置される。誘電性材料の第1の層は、誘電性材料の第1の層中に懸濁した第1の粒子及び第2の粒子を含む。第1の粒子は絶縁性材料を含み、第2の粒子は金属等の導電性材料である。製造装置は、誘電性材料の第1の層の領域に熱を加え、熱を加えることにより、誘電性材料の第1の層の領域にある誘電性材料が導電性経路に変換される。
【0034】
一実施形態では、閾値を超える熱を加えることにより、領域内の第2の粒子が互いに接触するように、領域内の第2の粒子を焼結する。
【0035】
さらに別の例示的な実施形態では、閾値を超える熱を加えることにより、領域内の第2の粒子のセットを互いに接触させ、導電性経路を形成する。
【0036】
さらに別の例示的な実施形態では、誘電性材料の第1の層は、領域内に第2の粒子(金属等の導電性材料)のセットを含み、第2の粒子のセットは、熱を加える前に実質的に非隣接(非接触)である。そのような場合に、第2の粒子の第2のセットは、高抵抗経路を提供する。閾値を超える熱を加えることにより、領域内の一連の第2の粒子(a sequence of the second particles)が互いに電気的に接触する。領域内の一連の第2の粒子の接触により、領域が導電性経路(低抵抗経路)に変換される。
【0037】
さらに別の例示的な実施形態では、最初に、領域内の第2の粒子のグループ内の各粒子は、熱を加える前に第1の粒度である。この領域に熱を加えることにより、グループ内の第2の粒子の粒度が、第1の粒度に対して第2の粒度に増大する。
【0038】
さらに別の例示的な実施形態は、誘電性材料の第1の層の領域を加熱するためにレーザビームをその領域に向けることを含む。一実施形態では、製造装置は、その領域に生成される導電性経路の所望の抵抗に応じて、その領域に加えられる熱の大きさを(例えば、レーザ、フォトリソグラフィ、対流式オーブン等の任意の適切な熱リソースを介して)制御する。
【0039】
本明細書に記載の製造には、1つ又は複数の回路部品の形成が含まれる。一実施形態では、硬化される誘電性材料の領域に熱を加えることにより、誘電性材料の第1の層の第1の表面と、誘電性材料の第1の層の第2の表面との間に延びるビアが形成される。
【0040】
本明細書のさらに別の実施形態は、製造装置を介して、誘電性材料の第2の層を誘電性材料の第1の層に適用することを含む。誘電性材料の第1の層と同様に、誘電性材料の第2の層は、誘電性材料の第2の層中に懸濁した第1の粒子及び第2の粒子を含む。誘電性材料の第2の層内の第1の粒子は、絶縁性材料である。誘電性材料の第2の層内の第2の粒子は、導電性材料である。前に説明したのと同様の方法で、誘電性材料は、最初に、誘電性材料の第1の層の上に適用されて誘電性材料の第2の層を形成する液体化合物(混合物)である。材料を硬化させると、誘電性材料の第2の層(金属等の第2の粒子を含む)が生成される。
【0041】
製造装置は、誘電性材料の第2の層の1つ又は複数の場所に熱を加える。誘電性材料の第2の層に熱を加えることにより、第2の層内の誘電性材料の加熱された部分が、絶縁性材料から導電性経路に変換される。前に説明したのと同様の方法で、加えられる熱の量は、誘電性材料の第2の層に形成される導電性経路の抵抗を制御する。
【0042】
前述したように、1つ又は複数の層内の硬化される誘電性材料の1つ又は複数の領域に熱を加えることによる1つ又は複数の導電性経路の製造は、電子部品の形成をもたらす。こうして、誘電性材料の1つ又は複数の層の1つ又は複数の領域に熱を加えることにより、電子部品が形成される。
【0043】
更なる例示的な実施形態によれば、本明細書に記載のAg-BSTインク等の誘電性材料インクを使用して、広範囲の可撓性及び剛性基板上に抵抗器をプリントすることができることに留意されたい。
【0044】
一実施形態では、誘電性材料を加熱することから得られる抵抗器は、動作温度-50℃~150℃の間で安定している。この温度範囲では、抵抗の変動は10%未満である。
【0045】
更なる例示的な実施形態によれば、より大量の熱を加えることにより、銀ナノ粒子の焼結によって、硬化した誘電性材料(硬化したAg-BST11及びAg-BST12インク等)の抵抗率が低下する。
【0046】
さらに別の例示的な実施形態では、Ag-BST13は、硬化(80℃に15分間の曝露)後に誘電特性を示す。
【0047】
更なる加熱を使用して、硬化される誘電性材料を絶縁性材料から導電性材料に変換することができる。
【0048】
一実施形態では、安定した抵抗器部品を製造するために、本明細書に記載の抵抗器部品を250℃で3時間以上硬化させる。
【0049】
誘電性材料の1つ又は複数の領域の加熱は、従来のボックス型オーブン、ホットプレート、レーザビーム、高強度広帯域光等を使用して与えることができる。
【0050】
全ての誘電性材料インクの抵抗率は、加熱パラメータを変更することで調整できる。
【0051】
更なる例示的な実施形態によれば、レーザ焼結を使用して、硬化される誘電性材料層上に抵抗器をパターン化することができる。レーザ露光された部分のみが導電性になり、他の部分は元の誘電特性を保持する。
【0052】
選択的なレーザ焼結抵抗器の抵抗は、レーザ強度及びレーザラスター速度を変更することで調整できる。
【0053】
硬化されるAg-BST13層の選択的なレーザ焼結を使用して、抵抗器、抵抗ビア、円筒形コンデンサ、垂直平行平板コンデンサ、交互嵌合コンデンサ、異なるシート抵抗の層等、様々な装置(デバイス)を製造することができる。
【0054】
本明細書の実施形態は、従来のプリント可能なインクよりも有用である。例えば、開示する新規のプリント可能なインク(非導電性粒子及び導電性粒子の組合せを含む等)は、誘電性材料又は抵抗性材料を実装する用途等の様々な用途で使用することができる。
【0055】
本明細書でさらに説明するように、本開示のインクの異なる配合物は、分配、エアロゾルジェット、インクジェット等のいくつかのプリント技術で使用することができる。
【0056】
前述したように、本明細書に記載の新規な混合物の層でコーティングされた基板を、さらに熱に曝すことができ、これにより、誘電性層の熱に曝された部分が導電性層に変換される。このような実施形態は、プリント回路基板又は他の装置上でのトレース、抵抗器等の製造に有用である。これら及び他のより具体的な実施形態について、以下でより詳細に開示する。
【0057】
製造装置(製造施設)等の本明細書で議論するリソースのいずれかは、本明細書で開示する操作方法のいずれか又は全てを実施及び/又はサポートするために、1つ又は複数のコンピュータ化装置、ワークステーション、ハンドヘルド、又はラップトップコンピュータ等を含むことができることに留意されたい。換言すれば、1つ又は複数のコンピュータ化装置又はプロセッサは、本明細書で説明するような異なる実施形態を実施するために、本明細書で説明するように動作するようにプログラム及び/又は構成され得る。
【0058】
本明細書のさらに他の実施形態は、上に要約され、以下に詳細に開示するステップ及び操作を実行するためのソフトウェアプログラムを含む。そのような一実施形態は、ソフトウェア命令がその後の実行のために符号化される非一時的なコンピュータ可読記憶媒体(すなわち、任意のコンピュータ可読ハードウェア記憶媒体又は別個に又は同じ場所に配置されたハードウェア記憶媒体)を含むコンピュータプログラム製品を含む。命令は、プロセッサを有するコンピュータ化装置(ハードウェア)で実行される場合に、プロセッサ(ハードウェア)に本明細書に開示する動作を実行させる、及び/又はプログラムさせる。そのような構成は、典型的に、光媒体(例えば、CD-ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、メモリスティック、メモリ装置等の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体、或いは1つ又は複数のROM、RAM、PROM等のファームウェア等の他の媒体、及び/又は特定用途向け集積回路(ASIC)等に配置又は符号化されたソフトウェア、コード、命令、及び/又は他のデータ(例えば、データ構造)として提供される。ソフトウェア又はファームウェア、或いは他のそのような構成をコンピュータ化装置にインストールして、コンピュータ化装置に本明細書で説明する技術を実行させることができる。
【0059】
従って、本明細書の実施形態は、本明細書で議論するような1つ又は複数の光学装置の製造等の操作をサポートする方法、システム、コンピュータプログラム製品等を対象としている。
【0060】
本明細書の更なる実施形態は、本明細書で議論するような1つ又は複数の混合物及び対応する電子装置の製造を容易にするための、コンピュータ可読記憶媒体及び/又はその上に記憶された命令を有するシステムを含む。例えば、一実施形態では、命令は、コンピュータプロセッサハードウェアによって実行されると、製造装置に関連するコンピュータプロセッサハードウェア(1つ又は複数のプロセッサ装置等)に、絶縁性材料である第1の粒子を受け取ること;導電性金属材料である第2の粒子を受け取ること;第1の粒子及び第2の粒子の組合せをプリント可能材料中に懸濁させることであって、プリント可能材料の硬化状態が、閾値を超える熱を加えることによって導電性経路に変換可能である、懸濁させること;を行わせる。
【0061】
更なる実施形態によれば、命令は、コンピュータプロセッサハードウェアによって実行されると、製造装置に関連するコンピュータプロセッサハードウェア(1つ又は複数のプロセッサ装置等)に、プリント可能材料を基板に適用することであって、プリント可能材料は、プリント可能材料中に懸濁した第1の粒子及び第2の粒子を含み、第1の粒子は絶縁性材料であり、第2の粒子は導電性金属材料である、適用すること;及び基板上のプリント可能材料を硬化させることであって、硬化されるプリント可能材料中の第2の粒子が、閾値を超える熱を加えることによって導電性経路に変換可能である、硬化させること;を行わせる。
【0062】
更なる実施形態によれば、命令は、コンピュータプロセッサハードウェアによって実行されると、製造装置に関連するコンピュータプロセッサハードウェア(1つ又は複数のプロセッサ装置等)に、基板を受け取ることであって、誘電性材料の第1の層が基板の表面に配置され、誘電性材料の第1の層は、誘電性材料の第1の層中に懸濁した第1の粒子及び第2の粒子を含み、第1の粒子は絶縁性材料であり、第2の粒子は導電性金属材料である、受け取ること;及び誘電性材料の第1の層の領域に熱を加えることであって、熱を加えることにより、その領域の誘電性材料が導電性経路に変換される、熱を加えること;を行わせる。
【0063】
上記のステップの順序は、明確にするために追加される。本明細書で議論する処理ステップのいずれも、任意の適切な順序で実行できることに留意されたい。
【0064】
本開示の他の実施形態は、上に要約され、以下に詳細に開示する方法実施形態のステップ及び操作のいずれかを実行するためのソフトウェアプログラム及び/又はそれぞれのハードウェアを含む。
【0065】
本明細書で議論する方法はまた、ソフトウェアプログラム、ファームウェアとして、ソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェアのハイブリッドとして、又はプロセッサ(ハードウェア又はソフトウェア)内又はオペレーティングシステム内又はソフトウェアアプリケーション内等のハードウェアのみとして、厳密に具体化することができることを理解されたい。
【0066】
さらに、本明細書の異なる特徴、技術、構成等のそれぞれについて、本開示の異なる場所で議論し得るが、適切な場合に、各概念は、オプションで互いに独立して、又は互いに組み合わせて実行され得ることが意図されることに留意されたい。従って、本明細書で説明する1つ又は複数の本発明は、多くの異なる方法で具体化及び確認することができる。
【0067】
また、本明細書における実施形態のこの予備的な議論は、本開示又は特許請求の範囲に記載の発明の全ての実施形態及び/又は漸進的に新規な態様を意図的に特定するものではないことに留意されたい。代わりに、この発明の概要は、従来の技術に対する一般的な実施形態及び新規性の対応する点のみを提示している。本発明の追加の詳細及び/又は可能な展望(順列)については、読者は、以下でさらに議論するように、詳細な説明のセクション及び本開示の対応する図面に導かれる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】本明細書の実施形態によるプリント可能な混合物の製造、及びプリント可能な混合物の使用をして電子装置を製造することを示す例示的な図である。
【
図2】本明細書の実施形態によるプリント可能な混合物を製造するための制御情報を示す例示的な図である。
【
図3】本明細書の実施形態によるプリント可能な混合物を製造するための制御情報を示す例示的な図である。
【
図4】本明細書の実施形態によるプリント可能な混合物の製造、及びプリント可能な混合物を使用して電子装置を製造することを示す例示的な図である。
【
図5】本明細書の実施形態によるプリントした誘電性材料の硬化に関連する例示的なグラフである。
【
図6】本明細書の実施形態による焼結誘電性材料対非焼結誘電性材料を示す例示的な写真である。
【
図7】本明細書の実施形態による、誘電性材料における異なる幅の導電性経路の製造を示す例示的な図である。
【
図8】本明細書の実施形態による、第1の大きさの熱を誘電性材料の層に加えて、第1の深さでの対応する導電性経路の製造をもたらすことを示す例示的な図である。
【
図9】本明細書の実施形態による、第2の大きさの熱を誘電性材料の層に加えて、第2の深さでの対応する導電性経路の製造をもたらすことを示す例示的な図である。
【
図10】本明細書の実施形態による、第3の大きさの熱を誘電性材料の層に加えて、第3の深さでの対応する導電性経路の製造をもたらすことを示す例示的な図である。
【
図11A】本明細書の実施形態による、基板上への誘電性材料の第1の層の堆積を示す例示的な図である。
【
図11B】本明細書の実施形態による、誘電性材料の第1の層に第1の熱を加えて、第1の導電性経路を製造することを示す例示的な図である。
【
図12A】本明細書の実施形態による、誘電性材料の第1の層の上への誘電性材料の第2の層の堆積を示す例示的な図である。
【
図12B】本明細書の実施形態による、誘電性材料の第2の層に第2の熱を加えて、第2の導電性経路を製造することを示す例示的な図である。
【
図13A】本明細書の実施形態による、基板上への誘電性材料の第3の層の堆積を示す例示的な図である。
【
図13B】本明細書の実施形態による、誘電性材料の第3の層に第3の熱を加えて、第3の導電性経路を製造することを示す例示的な図である。
【
図14】本明細書の実施形態による円形コンデンサを示す例示的な3Dビュー図である。
【
図15】本明細書の実施形態による円形コンデンサを示す例示的な側面図である。
【
図16】本明細書の実施形態による1つ又は複数の動作を実行するための例示的なコンピュータアーキテクチャを示す図である。
【
図17】本明細書の実施形態による方法を示す例示的な図である。
【
図18】本明細書の実施形態による方法を示す例示的な図である。
【
図19】本明細書の実施形態による方法を示す例示的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本発明の前述及び他の目的、特徴、及び利点は、本明細書の好ましい実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになり、添付の図面に示されているように、同様の参照符号は、異なる図全体に亘って同じ部分を指す。図面は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、実施形態、原理、概念等を説明することに重点が置かれている。
【0070】
本明細書の実施形態は、銀-チタン酸バリウムストロンチウム(別名、Ag-BST)プリント複合フィルム等の新規の絶縁誘電性材料上に導電性/抵抗性特徴を製造するためのプリント式電子装置/積層造形アプローチを含む。例えば、本明細書で説明する複合機能性インク(誘電性液体インク等)は、導電性ナノ粒子インクと絶縁性BSTナノ粒子インクとのブレンドを含む。最終的なインク中の粒子に対する金属粒子の比は、初期硬化後の絶縁相(基板上の誘電性材料の1つ又は複数の層等)と、周囲条件(ambient condition)下での1つ又は複数の誘電性材料層の選択的なレーザ焼結後の導電/抵抗相とを提供するインクブレンドを生成するように最適化される。
【0071】
一実施形態では、選択的なレーザ焼結Ag-BST抵抗素子(硬化した1つ又は複数の誘電性材料層から得られる)はオーム挙動を示し、レーザの波長、出力、及び/又はラスター速度/ピッチ等のレーザ焼結パラメータを変えることによって抵抗率を調整することができる。この絶縁体(すなわち、液体インクの硬化により生成された初期硬化誘電性材料層)、及び誘電性材料の1つ又は複数の層の1つ又は複数の領域の誘電性材料の導体/抵抗領域への変換は、新しい経路を、直接書き込みプリント式電子装置/積層造形アプリケーションに提供する。1つの非限定的な例示的な実施形態において、熱焼結されたAg-BST抵抗器は、-50℃~150℃との間で8%未満の抵抗の変動を示した。
【0072】
ここで、より具体的には、図面を参照すると、
図1は、本明細書の実施形態によるプリント可能な混合物の製造、及びプリント可能な混合物を使用して電子装置を製造することを示す例示的な図である。
【0073】
示されるように、製造環境100は、制御システム140及び製造システム155を含む。
【0074】
製造環境100の製造段階において、制御情報146(
図2及び
図3の成分比の例を参照)及び製造リソース148(材料を運ぶためのバルブ、コンベヤ、チューブ、混合機器、攪拌機器等)の制御を介して、測定機器等)、制御システム140は、溶媒111(エチレングリコール)、溶媒112(1メトキシ2プロパノール)等の1つ又は複数の溶媒(液体)、分散剤等の1つ又は複数の添加剤119等の材料の組合せに基づいて混合物152を生成する。
【0075】
さらに示されるように、制御システム140は、粒子121(絶縁性粒子)及び粒子122(導体粒子等)を含むように混合物152を生成する。こうして、ある程度、制御情報146は、異なるタイプの混合物を生成するための複数のレシピ(異なる成分の比)を含む。
【0076】
更なる実施形態によれば、混合物152中の溶媒111(プリント可能な誘電性材料インク等)は水溶性である。一実施形態では、溶媒111は、グリコール系の溶媒から選択される。特定の実施形態では、溶媒111はエチレングリコールである。
【0077】
分散剤等の添加剤119は、粒子121及び122を混合物152中に分散させる。一実施形態では、分散剤は、ポリメタクリレートアンモニウム(NanoSperse S(商標)という名前の市販の分散剤等)であるか、又はそれを含み、この分散剤は、これらの比が異なる場合があるが、(25重量%等の)ポリメタクリレートアンモニウムの部分及び(75重量%等)水の部分を含む。
【0078】
任意の適切なタイプの粒子を使用して、混合物152を製造できることに留意されたい。例えば、一実施形態では、粒子121は、ペロブスカイト酸化物粒子(チタン酸バリウムストロンチウム粒子又は他の絶縁性粒子等)である。粒子121は、焼結されても、焼結されていなくてもよい。粒子122をドープしてもよい。
【0079】
更なる実施形態によれば、粒子121は、均一な形状及びサイズのナノ粒子である。あるいはまた、混合物は、異なるサイズ及び形状の粒子121を含み得る。
【0080】
更なる実施形態によれば、粒子121は、30nm(ナノメートル)~2000nmの範囲のモーダルサイズを有するサイズ分布を有するが、混合物は、前述したように任意の適切なサイズの粒子121を含み得る。粒子122は、30nm~2000nmの範囲のモーダルサイズを有するサイズ分布を有するが、混合物は、前述したように任意の適切なサイズの粒子122を含み得る。
【0081】
さらに、粒子121は、ドープされたBST粒子であり得ることに留意されたい。ドーピングは、任意の適切な材料を使用して達成することができる。そのような場合に、制御システム140は、ドープされたBSTナノ粒子を含むように予備混合物151を生成する。
【0082】
更なる実施形態によれば、制御システム140は、最終的な混合物152が20~6000cp(CentiPoise:センチポアズ)の粘度を有するように、1つ又は複数の溶媒(溶媒111及び/又は溶媒112)と粒子121及び122等の比を制御する。本明細書の更なる実施形態は、最大20,000~25,000cpの粘度を有するように混合物(誘電性材料インク等)を製造することを含む。こうして、本明細書の実施形態は、所望の粘度の混合物152を生成するために、成分(溶媒、粒子等)の比を制御することを含む。
【0083】
PVA(ポリビニルアルコール)材料が混合物152に存在しないようなより具体的な例として、制御システム140は、混合物152中にエチレングリコール等の溶媒111と、1-メトキシ-2-プロパノール等の溶媒112とを含む。混合物152に含まれる溶媒エチレングリコール(16cpの粘度を有する)と、溶媒1-メトキシ-2-プロパノール(1.7cpの粘度を有する)との比に基づいて、混合物152の粘度を制御する。
【0084】
一実施形態では、制御システム140は、混合物152中のこれら2つの溶媒(エチレングリコール及び1-メトキシ-2-プロパノール等)の溶媒比を制御又は調整して、電子装置185のその後の製造のための所望の粘度を得る。
【0085】
制御情報146(
図2及び
図3の成分比の例を参照)に従って、最終的な混合物152(プリント可能な誘電性液体インクの化合物等)を生成するために、制御システム140は、予備混合物151、溶媒111、及び溶媒112の部分を組み合わせる。
【0086】
本明細書の更なる実施形態は、その特性をさらに制御するために、混合物152中に1つ又は複数の添加剤119を含めるステップを含むことに留意されたい。例えば、一実施形態では、制御システム140は、混合物152(誘電性材料インク)への1つ又は複数の添加剤119の含有を制御する。利用可能な添加剤119には、1-ヘプタン、アルファ-テルピネオール、エチルセルロース、グリセロール等の材料が含まれる。
【0087】
混合物152に含まれる添加剤119の量は、実施形態によって異なる。一実施形態では、混合物152は、最大5(重量等)%までの1つ又は複数の添加剤119を含むように製造される。他の実施形態では、制御システム140は、最終的な混合物152の1(重量等)%未満が1つ又は複数の添加剤119から構成されるように、混合物152を生成する。
【0088】
図1に示されるように、製造システム155は、最終的な混合物152を受け取り、これを使用して、電子装置(デバイス)185を製造する。例えば、一実施形態では、製造システム155は、混合物152(プリント可能な誘電性材料インク等)の適用(application:塗布)、こうして電子装置185の製造を制御するプリンタ装置180を含む。製造システム155の熱源(オーブン、ホットプレート、コンベヤベルト等)は、液体混合物152を硬化させて誘電性材料270の固体層にする。一実施形態では、基板250の表面の底部に適用されたホットプレートは、液体混合物152を加熱して、この混合物を誘電性材料270の層に硬化させる。
【0089】
本明細書でさらに議論するように、成分の量(溶媒、粒子130等の量/比等)を制御して、混合物152(プリント可能なインク等)の適用を様々な方法で容易にするようにできることに留意されたい。例えば、以下でさらに議論するように、本明細書で説明する異なる混合物は、それぞれの混合物152の構成に応じて、分配装置、エアロゾルジェット、インクジェット等のプリンタ装置180を介して適用され得る。こうして、本明細書の実施形態は、混合物中に含まれる材料(成分)の比を制御して、様々なタイプのプリント技術及びアプリケーションをサポートする。
【0090】
こうして、1つの例示的な実施形態では、化合混合物152は、絶縁性材料(非導電性材料)である第1の粒子121と、導電性材料である第2の粒子122と、を含み、第1の粒子及び第2の粒子122の組合せが、プリント可能材料(混合物152)中に分散及び懸濁しており、プリント可能材料(混合物152)の硬化状態(ほぼ固体状態の固体)が、閾値を超える熱を加えることによって1つ又は複数の導電性経路に変換可能である。
【0091】
更なる実施形態によれば、第2の粒子122は、金属等の導電性材料から製造される。一実施形態では、粒子122は銀(Ag)粒子である。さらに別の実施形態では、粒子121に対する粒子122の比は、混合物中、重量比で約62.5~37.5である。すなわち、一実施形態では、混合物152中の全ての粒子の62.5%(+/-5%)が粒子122であり、一実施形態では、混合物152中の全ての粒子の37.5%(+/-5%)が粒子121である。追加的に又は代替的に、第2の粒子122はチタン酸バリウムストロンチウム(BST)粒子である。
【0092】
一実施形態では、誘電性材料270(硬化混合物152)の層内の全ての粒子の62.5%(+/-5%)が粒子122であり、一実施形態では、誘電性材料270(硬化混合物152)の層内の全ての粒子の37.5%(+/-5%)が粒子121である。
【0093】
さらに別の実施形態では、第2の粒子122の融点が、第1の粒子121の融点よりも低い。
【0094】
第2の粒子122に対する第1の粒子121の比は、実施形態に応じて変化し得る。一実施形態では、第2の粒子122に対する第1の粒子121の比は、硬化されるプリント可能材料(誘電性材料270の層)中の第2の粒子122のグループが、閾値を超える熱を第2の粒子122のグループに加える前に、互いに実質的に分離されるように(例えば、連続的な導電性経路を形成しないように互いに接触しないように)選択される。
【0095】
本明細書でさらに議論するように、硬化されるプリント可能材料(電子装置185内の誘電性材料270の層)を閾値を超える温度に加熱すると、加熱された第2の粒子122(銀又は他の適切な材料等)が、それぞれの粒子122(銀ナノ粒子等)の焼結によって互いに接触/接続し、導電性経路が形成される。
【0096】
本明細書の更なる実施形態は、誘電性材料(硬化されるプリント可能材料)の熱への曝露を含む。一実施形態では、誘電性材料270の層を閾値を超える熱に曝すと、銀ナノ粒子の焼結により、グループ内の第2の粒子122同士の間の接触が生じ、熱によって、硬化されるプリント可能材料の一部が導電性経路に変換される。
【0097】
更なる実施形態によれば、第2の粒子122は銀ナノ粒子であり、第1の粒子121はBSTナノ粒子である。化合物(混合物152)は、1-メトキシ-2-プロパノール及び/又はエチレングリコール等の少なくとも1つの溶媒を含む。一実施形態では、化合物(混合物152)は、40重量%を超えるエチレングリコールで構成される。
【0098】
さらに別の実施形態では、第1の粒子121は、化合物(混合物152)の約12.5重量%を構成し、第2の粒子122は、化合物(混合物152)の約21重量%を構成し、1つ又は複数の溶媒の混合物は、混合物152を誘電性材料270の層に硬化させる前に、化合物(混合物152)の約66.5重量%を構成する。硬化後に、プリント可能材料中の溶媒が蒸発すると、硬化されるプリント可能材料は、60~70%の第1の粒子及び30~40%の第2の粒子を含む。
【0099】
本明細書の更なる実施形態は、コントローラ140及び混合リソース148を介した、方法を含む。この方法は、絶縁性材料である第1の粒子121を受け取るステップと;導電性金属材料である第2の粒子122を受け取るステップと;第1の粒子121及び第2の粒子122の組合せをプリント可能な液体スラリー(混合物152)中に懸濁させるステップであって、プリント可能材料(混合物152)のその後の硬化状態は、閾値を超える熱を加えることによって1つ又は複数の導電性経路に変換可能である、懸濁させるステップと;を含む。
【0100】
本明細書の更なる実施形態は、コントローラ140及び混合リソース148を介して、閾値を超える熱を第2の粒子のグループに加える前に、プリント可能材料の層内の第2の粒子122のグループが互いに分離(非接触等)されるように、プリント可能材料(混合物152)中の第2の粒子122に対する第1の粒子121の混合比を制御するステップを含む。続いて、硬化されるプリント可能材料(誘電性材料270の層)を閾値を超える熱に曝すと、粒子122の焼結により、グループ内の第2の粒子122が接触し、熱によって、誘電性材料の層の一部が導電性経路に変換される。より具体的には、(レーザ又は他の適切なリソース等からの)熱に曝されたプリント層の領域は、絶縁体を導電性経路に変換させる。
【0101】
図2は、本明細書の実施形態によるプリント可能な混合物を製造するための制御情報を示す例示的な図である。
【0102】
一実施形態では、制御システム140は、2つ以上の液体混合物を組み合わせることによって混合物152を製造する。例えば、一実施形態では、制御システム140は、18.4(重量)%の絶縁性粒子121、0(重量)%の導電性粒子122、68.2(重量)%の溶媒#1(エチレングリコール等)、12.7%の溶媒112(1-メトキシ-2-プロパノール等)、及び0.7%の分散剤を含む第1の液体混合物を受け取る、及び/又は生成する。
【0103】
制御システム140は、0.0(重量)%の絶縁性粒子121、63(重量)%の導電性粒子122、14(重量)%の溶媒#1(例えば、エチレングリコール)、21.0%の溶媒112(1-メトキシ-2-プロパノール等)、及び2.0%の分散剤を含む第2の液体混合物を受け取る、及び/又は生成する。
【0104】
一実施形態では、制御システム140は、2部(part)の混合物#1と1部の混合物#2とを組み合わせて、液体(プリント可能)混合物152を生成する。その場合に、最終的な液体混合物は、12.2(重量)%の絶縁性粒子121、21(重量)%の導電性粒子122、49.9(重量)%の溶媒#1(エチレングリコール等)、15.5%の溶媒112(1-メトキシ-2-プロパノール等)、及び1.13%の分散剤を含む。
【0105】
第1の混合物#1と第2の混合物#2とを混合する比は、実施形態に応じて変化し得ることに留意されたい。例えば、第1の液体混合物#1は、最終的な液体混合物の28~38重量%を含むことができる。第2の液体混合物#2は、最終的な液体混合物の72~62重量%を含むことができる。
【0106】
前述したように、最終的な混合物152は、それぞれの基板上にプリント可能である。硬化後に、基板250上の誘電性材料270の残りの層は、36.7(重量)%の絶縁性粒子121、61.5(重量)%の導電性粒子122、0(重量)%の溶媒#1(エチレングリコール等)、0パーセントの溶媒112(1-メトキシ-2-プロパノール等)、及び0パーセントの分散剤を含む。誘電性材料の残りの層には、蒸発した材料に関連するある程度の残留材料(溶媒、分散剤等)が含まれる場合があることに留意されたい。
【0107】
更なる実施形態
積層造形(別名、AM)では、複数の種類のインクが必要になるため、プリント回路が複雑になる可能性がある。通常、導電性/抵抗性部品及び絶縁性/誘電性部品のプリントには、2種類の機能性インクが使用される。しかしながら、2つの異なる機能性インクを使用すると、装置のフットプリントが大きくなる、導電性インク及び誘電性インクの非親和性、非親和性の硬化/焼結手順等の、追加の課題が発生する。AM技術を使用して製造された装置(デバイス)は、装置の機能、特に無線(RF)及びマイクロ波(MW)周波数以上の用途に使用されるディスクリート構造の寸法制御を必要とする。プリント機能及び寸法制御は、インクの組成及びプリント方法によって異なる。従って、プリント/積層造形装置で使用できる機能性インクの開発は、この技術を進歩させるための重要且つ必要なステップである。
【0108】
エアロゾルジェットプリンタ等の非接触式直接書き込みプリント技術は、10μm(マイクロメートル)程度の微細な特徴をプリントするのに適しているが、プリントされる一貫した微細な特徴を実現するには、高度に最適化した機能性インクが必要である。機能性インクは、粘度及び表面エネルギーの制限により、1つ又は非常に少数のプリント技術及び非常に少数の基板用に開発及び最適化され得る。様々なプリント技術が、様々な粘度のインクを利用している。従って、ある用途に最適化した機能性インクを、高精度の解像度のプリントした線を必要とし得る別のアプリケーションで直接使用することはできない。
【0109】
例えば、2つの異なる機能性インクを使用する場合に、線幅と間隔が50μm未満の連続した抵抗器及び絶縁体をプリントすることは非常に困難である。この問題に対する最善の解決策は、周囲条件での外部刺激によって絶縁相から導電相に変換できる機能性インクを開発することである。酸化バナジウム等の一部の材料の絶縁体から金属への転移は、既に報告されている。酸化バナジウムは、動作温度に応じて絶縁相と金属相との間を切り替えることができる。しかしながら、調整されていない周囲条件(5~40℃等の室温、大気圧)で絶縁体から導体相に遷移する機能性インクは報告されていない。本明細書の実施形態は、周囲条件(又は低温硬化)において絶縁体から導体相に遷移する機能性インクを含む。例えば、本明細書の実施形態は、レーザ(又は他の適切な熱源)を利用して導電性ナノ粒子(粒子122)を溶融/焼結し、導電性(抵抗性)ナノ粒子と非導電性ナノ粒子との両方から構成される複合ナノ粒子フィルム(誘電性材料270の層)に導電性経路を形成することを含む。これにより、導電性ナノ粒子又は非導電性ナノ粒子の固有の特性を変更することなく、複合フィルムのレーザ露光領域の3次元物理形態が変更される。これを達成するために、本明細書の実施形態は、導電性ナノ粒子及び非導電性ナノ粒子のブレンドで配合された新規の機能性インク(混合物152)を含む。導電性経路は、材料が絶縁状態にあることを保証するために、レーザ焼結の前に、フィルム(誘電性材料270の1つ又は複数の層)に形成されない。しかしながら、熱が加えられるレーザ焼結プロセス中に、導電性ナノ粒子122は、粒度の増大及び導電性ナノ粒子の溶融/リフローによって導電性経路を形成し、抵抗性/導電性材料を形成する。
【0110】
こうして、本明細書の実施形態は、様々な装置の積層造形のための新規の銀-チタン酸ストロンチウム(Ag-BST)複合ナノ粒子インクを含む。このAg-BST複合材料は、銀ナノ粒子の選択的なレーザ焼結(SLS)によって絶縁相から導電相に変換される。さらに、このAg-BST複合ナノ粒子インクは、積層造形用の従来の抵抗性インクとして使用でき、インクはディスペンシングプリンタ用にテストされた。完全に熱焼結された抵抗器は、-50℃~150℃の間で±8%未満の抵抗の変動を示した。非限定的な例として、これらのプリント式抵抗器は、それぞれの電子装置のサイズに応じて最大1ワット以上を処理することができる。
【0111】
2.材料及び方法
2.1 材料リスト
一実施形態では、チタン酸バリウムストロンチウム(Ba0.67Sr0.33TiO3-バリウム2部対ストロンチウム1部対チタン3部対酸素6部の比)ナノ粒子及び水中のポリメタクリレートアンモニウム(商品名-NanoSperse S)は、米国ニューメキシコ州のTPL Inc.,から入手可能である。エチレングリコール(99%)は、米国のFisher Scientificから入手可能である。1-メトキシ-2-プロパノール(99.5%)は、米国のSigma-Aldrichから入手可能である。Paru MicroPE PG-007銀ナノ粒子インク(~63重量%)は、韓国のParu Co., Ltd.,から入手可能である。カプトンの汎用ポリアミドフィルムは、米国のDuPontから入手可能である。
【0112】
2.2 Ag-BSTインクの配合手順
一実施形態では、混合物152(Ag-BST混合インク等)は、制御システム140及び製造リソース148を介して、カスタム配合したチタン酸バリウムストロンチウム(BST)ナノ粒子インク(混合物#1等)及び市販のPARU銀ナノ粒子インク(混合物#2等)をブレンドすることによって配合される。BSTナノ粒子(50wt%)をエチレングリコールに添加し、2mm(ミリメートル)のマイクロチップを備えたQSONICA Q500超音波プロセッサを使用してパルスモード(アクティブ=15秒、非アクティブ=59秒)で8時間超音波処理する。次に、水中のポリメタクリレートアンモニウム(~2wt%)を分散剤として混合物に添加し、パルスモード(アクティブ=5秒、非アクティブ=59秒)でさらに30分間に亘って超音波処理して、BSTスラリーを作製する。次に、エチレングリコール(~49.8重量%)及び1-メトキシ-2-プロパノール(~12.7重量%)をBSTナノ粒子6スラリーに添加し、混合物を400rpmで一晩磁気撹拌して、均一なBSTナノ粒子インクを得る。次に、様々な量のBSTナノ粒子インク及び銀ナノ粒子インクをブレンドし、一晩磁気攪拌して、様々な銀ナノ粒子をロード(loading)した様々なAg-BSTインク配合を得る。
【0113】
2.3 Ag-BSTインクのプリント及び硬化手順
更なる実施形態によれば、プリンタ装置180は、150μmのチップを備えたNordson3軸自動分配システムを使用して、混合物152(Ag-BSTインク等)をプリントする。一実施形態では、空気圧は、混合物152を注射器から(液体の量)分配するために、10psi(ポンド/平方インチ)に設定される。さらに別の例示的な実施形態では、使用するピッチサイズは、大きな特徴のラスタリング中に100μmであり、これにより、以前にプリントした線の重なりが可能になった。
【0114】
それに応じて、層の厚さを調整するためにプリント速度を変更した。一実施形態では、カプトンポリアミドフィルムは、混合物152をプリントするための基板250として使用される。更なる例示的な実施形態によれば、Ag-BST抵抗器用の銀パッドは、100μmのチップを備えた同じ分配システムを使用してプリントした。銀パッドは、プリントされ、銀パッド同士の間にAg-BSTインクをプリントする前に、真空オーブン内において250℃で3時間硬化させた。プリントしたAg-BST特徴は、レーザ焼結の前に、最初にホットプレート上において80℃で30分間硬化させた。
【0115】
2.3 Ag-BSTのSLS
基板250上で作製された混合物152の初期硬化後に、対応する電子装置185は、80℃の温度に30分間曝される。次に、SLSを使用すると、室温でカスタマイズした導電性パターンを形成することができ、レーザ焼結パラメータを変更することでパターンの抵抗を調整することができる。一実施形態では、レーザ材料は、Optomec AJ5Xエアロゾルジェットプリンタにおいて830nm(ナノメートル)連続波(CW)レーザによってレーザ焼結される。おおよそのレーザスポットサイズは直径約70μmであり、これは写真用紙を使用して測定した。窒素ガスが、レーザ焼結中の銀ナノ粒子の酸化を防ぐために、レーザのシールドガスとして使用される。
【0116】
信号231(光信号又は光パルス、対流信号、放射信号等の製造信号)に関連するレーザ出力、ラスターピッチ、及びラスター速度を調整して、ある範囲の抵抗を有する電子装置を製造することができる。さらに、レーザスポットサイズが2μmのHeidelberg μPG101レーザライターの405nm連続波(CW)レーザを使用して、高精度の導電性パターンを選択的にレーザ焼結し、異なる抵抗を得るために、レーザ出力及びラスター速度を調整した。
【0117】
2.4 特性評価手法
更なる例示的な実施形態によれば、Agilent Cary8454UV/Vis/NIR分光光度計が、液体インクのUV-Vis吸収測定のために使用された。キーエンスVHX-5000デジタル顕微鏡を使用して、硬化後のクラックの初期調査を行った。TA instruments ARES-G2レオメータを使用して、インクの粘度を測定した。インクサンプルは、直径400mm、0.04radのステンレス鋼コーン及びプレートの形状でロードされた。1s-1~100s-1までのフロースイープ(flow sweep)は、温度制御用のAdvanced Peltier Systemを使用して25oC(℃)で記録された。ラマン散乱スペクトルは、532nmレーザ、2mVの出力、1秒の積分時間、及び2つの同時添加を備えたラマン顕微鏡(Senterra II; Bruker)を使用して取得した。マッピングは、少なくとも10μm離れたグリッドパターンで300~330のスペクトルを取得することによって実施した。抵抗器は、ERSサーマルチャックを備えたMPI TS2000-SEプローブステーションのDCニードルを使用してプローブした。Keithley4200半導体パラメトリックアナライザーを使用して、レーザ及び熱焼結したAg-BST抵抗器の電流-電圧曲線を記録した。電圧は-1Vから+/-1Vまで掃引された。抵抗は、電流対電圧線の傾きを使用して計算した。シート抵抗は、Pro4-4400 Four Point Resistivity System(Signatone)測定システムを使用して測定した。走査型電子顕微鏡画像は、5keVで動作するZeiss Auriga集束イオンビーム走査型電子顕微鏡(FIB-SEM)を使用して取得した。30kV及び50pAのガリウム液体金属イオン源をFIBミリングに使用して、プリントした特徴の断面を調査した。
【0118】
3.結果及び考察
3.1 Ag-BST混合インク配合
更なる例示的な実施形態によれば、混合物152は、銀-チタン酸バリウムストロンチウム(Ag-BST)混合インクであり、これは、銀ナノ粒子のSLSによって、プリントしたAg-BST層を絶縁相から導電相に変換することができる。SLSを使用して、最初に硬化した(絶縁相)Ag-BST層にカスタマイズした導電性パターンを作製することができる。Ag及びBSTは、以下の理由により、導電性及び非導電性材料の候補として特定した。銀はバルク材料の中で最も高い導電性を有しており、Agナノ粒子はプリント式電子装置の導電性インクに広く使用されている。さらに、銀ナノ粒子は、融点の低下と、レーザ、フォトニック、化学焼結等の焼結技術の親和性とにより、低温で焼結され得る。チタン酸バリウムストロンチウムは、RF及びマイクロ波アプリケーションに適した誘電特性(高誘電率及び低損失正接(係数))、高融点(1000℃以上)、高誘電破壊電圧、及び銀ナノ粒子との最小の相互作用のため、非導電性材料として使用した。絶縁相でのAg-BSTの誘電特性の調査はこの作業の範囲外であるが、BSTの誘電特性は、Ag-BST上で選択的なレーザ焼結RF及びマイクロ波装置を製造するのに役立つ。
【0119】
本明細書の実施形態は、硬化材料(誘電性材料270の層)がその初期硬化後に絶縁性であることを確実にするための導電性材料(粒子122)及び非導電性材料(粒子121)の正しい混合比を示す。誘電性材料270の層の部分は、十分な熱を加えた後に、導電性である。
【0120】
一実施形態では、正しい混合比を見出すために、一連の混合したAg-BSTインクサンプルを調製した。
図3の表300は、
図3は、5つの異なるAg-BSTインクの混合組成と、初期硬化及び熱焼結後のインクの状態を示している。熱焼結後の銀及びBSTナノ粒子の組成は、補足情報で確認できる。BSTの量は、初期硬化後にプリントしたサンプルの絶縁相が達成されるまで、ブレンドしたインクサンプル中で増やした。各インクサンプルの10×10mmの特徴を、ディスペンシングプリンタを使用してカプトン基板上にプリントした後に、80℃で30分間の初期硬化を行った。インク1及び2は初期硬化後に導電性を示し、インク3、4、及び5は初期硬化手順後に絶縁相を示した。次に、真空オーブン内において250℃で3時間熱焼結を実行し、各Ag-BSTインクサンプルの最終的な抵抗率を求めた。
【0121】
図3の表300に関して、インク1及び2は、熱焼結後に抵抗率の低下を示した(データを示していない)。インク3は、熱焼結の完了後に、絶縁相から導電相に遷移した。インク3は、純銀インクと比較して約329倍高い抵抗率を示し、従って、抵抗器をプリントするための従来の抵抗インクとして使用することができる。インク4及び5は、熱焼結後も導電性を示さなかった。インク4及び5には、焼結プロセス中に導電性経路を形成するのに十分な銀ナノ粒子がないと推定された。従って、インク3(混合物152等)の混合比は、Ag-BST絶縁体から導体への変換の最適化した比として結論付けられ、以降の全ての実験はAg-BSTインク3を使用して行った。絶縁相から導電相への変換を示すAg-BSTインクは、約67重量%(+/-5%)のBSTナノ粒子インクと、33重量%(+/-5%)の銀ナノ粒子インクとで構成される。
【0122】
一実施形態では、混合物152の動的粘度は、試験した剪断速度に亘って比較的一定であり、これは、ブレンドしたインクが、大きな凝集ナノ粒子クラスターなしで安定していることを示している。凝集したナノクラスターが大きくなると、プリント品質が低下し、接着性が低下し、表面粗さが大きくなる。銀インク、BSTインク、及びAg-BSTインクの紫外可視吸収スペクトルは、補足情報で確認できる。Ag-BSTインクの最大吸収(吸収極大)は、430nm付近にあり、銀ナノ粒子の表面プラズモン共鳴周波数に割り当てられ得る。
【0123】
3.2 Ag-BSTブレンドインクのSLS
SLSは、高出力レーザを使用して粉末材料を焼結/溶融して3Dオブジェクトを形成するために、積層造形で一般的に使用される手法である。しかしながら、本明細書の実施形態によれば、SLSを使用して、Ag-BST絶縁フィルム上に導電性パターンを形成した。ディスペンシング、スピンコーティング、ドクターブレードを使用して、Ag-BSTブレンドインクを堆積させることができ、この作業に関する全てのAg-BSTフィルムは、Nordson自動ディスペンシングシステムを使用してプリントした。プリントしたAg-BSTウェットフィルムは、80℃で30分間硬化され、溶剤及び他のインク添加剤を蒸発させた。分離した銀ナノ粒子が均一に分布しているため、初期硬化後に導電性は観察されず、インクの絶縁相が確認された。次に、この絶縁性Ag-BSTフィルムを、プログラム可能なレーザに露光してパターン化した。
【0124】
本明細書に記載の提案する焼結メカニズム(熱の適用等)によれば、銀ナノ粒子(粒子122)は、レーザ熱曝露下で焼結され、粒子122の粒度の増大及び溶融粒子122(銀ナノ粒子等)のリフローにより導電性経路が形成される。レーザ焼結による表面形態の変化を
図6に示す。しかしながら、BSTナノ粒子(粒子122)は、融点が高く、バンドギャップが高いため、変化しない。
【0125】
一実施形態では、選択的なレーザ焼結抵抗器は、抵抗器をプローブして抵抗を測定するために使用された、プリントした2つの銀コンタクトパッドの間に製造される。Agナノ粒子の焼結による色の変化により、選択的なレーザ焼結抵抗器が明確に視認される。レーザ焼結粒子122(Ag-BST等)の抵抗率は、波長、出力、ラスター速度、及びラスターピッチ等のレーザ焼結パラメータに依存する。本明細書の実施形態は、Optomec AJ5Xエアロゾルジェットプリンタにおける830nmの内蔵式連続波(CW)レーザの使用を含む。さらに、Heidelberg μPG101レーザライターの405nmCWレーザを使用して、誘電性材料270の層をレーザ焼結することができる。
図4は、以下でさらに議論するように、誘電性材料270のプリント層上に導電性経路を形成することを示す例示的な図である。
【0126】
ラマンスペクトルを使用して、Ag-BST抵抗器の焼結メカニズムを調査した。表面増強ラマン散乱(SERS)が、一部の金属ナノ構造の表面で発生し、表面プラズモンの局所励起によって引き起こされる。この技術により、銀ナノ粒子の表面にある低濃度の有機分子を検出することができる。SERSは、Ag-BSTフィルムのレーザ焼結表面を評価するために使用した。初期の調査では、レーザに曝されていない領域が、残留有機分子に関連するピークを有するラマンスペクトルを生成することが示された。ピークは、スペクトル毎に異なるため、残留有機分子の組成を特定するためには使用しなかった。
図4によると、1000~1800cm
-1の間にある平均化したアモルファスカーボンピークを積分することにより、3つの主要な領域(非レーザ焼結、遷移、及びレーザ焼結)が特定された。遷移領域に見られる比較的高い強度ピークは、レーザ焼結領域からの熱拡散によって生じる有機分子の不完全な分解に起因する可能性がある。レーザ焼結領域は、アモルファスカーボンに関連する有意な量の散乱を示さなかった。これは、有機残留物の分解を示している。しかしながら、ラマン散乱に関連するピークの欠如が、有機化合物の完全な除去によるものなのか、又は粒子の焼結及び拡大によって生じる増強係数の低下によるものなのかは明らかではない。
【0127】
Optomec
AJ5Xエアロゾルジェットプリンタに内蔵した830nm CWレーザに加えて、Heidelberg μPG101レーザライターの405nmCWレーザを使用して、微細な特徴をレーザ焼結した。
図5aは、プロービング用のレーザ焼結コンタクトパッドを備えたレーザ焼結Ag-BST抵抗器を示している。抵抗器は12.1kΩ(長さ6mm)を示し、線幅は約25μmであった。線幅は5つのレーザ焼結抵抗器全てで一貫しており、レーザ焼結が正確な微細な特徴を生成する能力を確認した。また、プリント式抵抗器と比較して、よりきれいなエッジ(低いエッジ粗さ)が観察された。レーザ焼結抵抗器のエッジのSEM画像については、補足情報(ESI
図S12)を参照されたい。
図5b及び
図5cのSEM画像は、レーザ焼結前後のAg-BSTフィルムの表面形態を示している。Agナノ粒子の粒度の増大は、レーザ焼結後に観察でき、一部の粒子は直径1μmを超える。Agナノ粒子の効率的な焼結は、Agナノ粒子の局所的なプラズモン加熱効果に起因する可能性がある。Ag-BSTは、Agナノ粒子の表面プラズモン共鳴により、430nm付近にブロードな(broad:広範囲の)ピークを有する最大吸収を示す。このブロードなピークは、405nmレーザと都合よく共鳴する。これにより、局所的な加熱が発生し、Agナノ粒子の効率的な焼結に繋がる。Agナノ粒子の吸収極大から離れた波長を有するレーザは、局所的なプラズモン加熱がないため、焼結に高い出力を使用する必要がある。
【0128】
3.3 熱焼結したAg-BST抵抗器
SLSによる導電性トレースのパターン化に加えて、Ag-BSTブレンドインクは、積層造形/プリント式電子装置用の従来の抵抗インクとして使用することができる。このAg-BSTブレンドインクは、Nordson自動ディスペンシングプリンタに最適化されており、線幅が100μmを超える抵抗性特徴のプリントに適している。ライン抵抗器には、熱焼結抵抗器の温度安定性をテストするためのプロービング用の銀パッドがプリントされた。プリント式抵抗器は、ボックス型オーブン内において真空下で250℃で3時間熱焼結された。
【0129】
さらに別の例示的な実施形態では、硬化前のAg-BST13の混合物152中の成分は次の通りである。
1. 銀ナノ粒子=21重量%
2. BSTナノ粒子=12.5重量%
3. エチレングリコール=51重量%
4. 1-メトキシ-2-プロパノール=15.5重量%
【0130】
エチレングリコール及び1-メトキシ-2-プロパノールが混合物152から蒸発する硬化後のAg-BST13の成分(すなわち、誘電性材料270)は次の通りである。
1. 銀(金属)ナノ粒子=62.5重量%(又は55%~70%の範囲)
2. BSTナノ粒子=37.5重量%(又は30%~45%の範囲)
【0131】
一実施形態では、前述したように、エチレングリコール及び1-メトキシ-2-プロパンは、硬化プロセス中に蒸発し、それによって、誘電性材料270の残りの層は、金属粒子及び絶縁性粒子の固体化合物である。
【0132】
図4は、本明細書の実施形態による、誘電性材料の導電性経路への変換を示す例示的な図である。
【0133】
この例示的な実施形態では、製造装置(fabricator)240は、ノード221とノード222との間にそれぞれの抵抗器(装置(デバイス)210)を製造する。前述したように、製造装置240は、基板250の上に誘電性材料270を配置する。硬化後に、製造装置240は、ソース230(レーザ等)を制御して、誘電性材料270の層に印加される信号231(光信号、対流信号等)を生成する。誘電性材料270の層は、領域250-1(硬化混合物152)を含み、絶縁性粒子121(粒子122と織り交ぜられている)は、一般に、粒子122がノード221とノード222との間にそれぞれの低抵抗経路を形成するのを防ぐ。
【0134】
信号231(405nm、830nm等の任意の適切な波長での光又はレーザ信号等)の印可によって、製造装置250は、誘電性材料270をそれぞれの導電性経路260に変換する。領域250-2に示されるように、誘電性材料は、(金属)粒子122が互いに順次接触することによって導電性経路260に変換され、低インピーダンス経路が形成される。前述したように、信号231の印可は、粒子122のリフロー/焼結だけでなく接続を生じさせる。一実施形態では、粒子122は、ネッキング、焼結等を介して互いに接触する。
【0135】
図5は、本明細書の実施形態による、プリントした誘電性材料の硬化に関連する例示的なグラフである。
【0136】
示されるように、混合物152の重量は、硬化中に熱に曝されると変化する。例えば、混合物152を20℃よりも高く150℃未満の温度に曝すと、1-メトキシ-2-プロパノール及びエチレングリコールが混合物152から蒸発する。100~200℃の間で、誘電性材料270の層に関連する界面活性剤の量は減少する。
【0137】
図6は、本明細書の実施形態による、焼結誘電性材料対非焼結誘電性材料を示す例示的な写真である。
【0138】
前述したように、製造装置は、硬化混合物の一部(誘電性材料の層)に熱を加え、その結果、誘電性材料270内に導電性経路260が形成される。
【0139】
図7は、本明細書の実施形態による、誘電性材料に異なる幅の導電性経路を製造し、異なる抵抗値を形成することを示す例示的な図である。
【0140】
この例示的な実施形態では、製造装置240は、ノード721-1とノード722-1との間の第1のレーザビーム(x軸及びy軸に直交する)の印可を介して、Y軸に沿って誘電性材料270内に導電性経路260-1を含むように電子装置(デバイス)185-1を製造する。x軸で測定された導電性経路260-1の幅が、電子装置185-1(抵抗R1)の抵抗を決定する。
【0141】
製造装置240は、ノード721-2とノード722-2との間の第2のレーザビーム(x軸及びy軸に直交する)の印加を介して、Y軸に沿って誘電性材料270内に導電性経路260-2を含むように電子装置185-2(抵抗器R2等)を製造する。x軸で測定した導電性経路260-2の幅が、電子装置185-1(抵抗器R2)の抵抗を決定する。
【0142】
製造装置240は、ノード721-3とノード722-3との間の第2のレーザビーム(x軸及びy軸に直交する)の印加を介して、Y軸に沿って誘電性材料270内に導電性経路260-3を含むように電子装置185-3(抵抗器R3等)を製造する。x軸で測定した導電性経路260-3の幅が、電子装置185-3(抵抗器R3)の抵抗を決定する。
【0143】
この例示的な実施形態では、導電性経路260のそれぞれが、z軸において同じ深さであると仮定する。そのような場合に、(電気的に)導電性経路260が広くなるほど、抵抗は低くなる。例えば、抵抗器R3の大きさは抵抗器R2の大きさよりも小さくなる。抵抗器R2の大きさは抵抗器R1の大きさよりも小さくなる。
【0144】
本明細書でさらに議論するように、誘電性材料270の層内に作製されたそれぞれの導電性経路の深さは、
図8、
図9、及び
図10に示されるように、信号231-1に関連する熱の量に応じて変化し得る。
【0145】
より具体的には、
図8は、本明細書の実施形態による、第1の大きさの熱を誘電性材料の層に加えて、第1の深さでの対応する導電性経路の製造をもたらすことを示す例示的な図である。
【0146】
この例示的な実施形態に示されるように、製造装置240は、ソース230を制御し、ソース230は、出力レベルP1の信号231-1を、電子装置185-4の基板850上の誘電性材料270に印加する。信号231-1の印加は、深さD1を有する導電性経路860の生成をもたらす。誘電性材料270の導電性経路が深くなるほど、抵抗は低くなる。
【0147】
図9は、本明細書の実施形態による、第2の大きさの熱を誘電性材料の層に加えて、第2の深さでの対応する導電性経路の製造をもたらすことを示す例示的な図である。
【0148】
この例示的な実施形態に示されるように、製造装置240は、ソース230を制御し、ソース230は、出力レベルP2の信号231-2を、電子装置185-4の基板950上の誘電性材料270に印加する。信号231-1の印加は、深さD1を有する導電性経路960の生成をもたらす。誘電性材料270の導電性経路が深くなるほど、抵抗は低くなる。従って、導電性経路960の抵抗は、導電性経路860の抵抗よりも小さい。
【0149】
図10は、本明細書の実施形態による、第3の大きさの熱を誘電性材料の層に加えて、第3の深さでの対応する導電性経路の製造をもたらすことを示す例示的な図である。
【0150】
この例示的な実施形態に示されるように、製造装置240は、ソース230を制御し、ソース230は、出力レベルP3の信号231-3を、電子装置185-4の基板850上の誘電性材料270に印加する。信号231-1の印加は、深さD1を有する導電性経路860の生成をもたらす。誘電性材料270の導電性経路が深くなるほど、抵抗は低くなる。従って、導電性経路1060の抵抗は、導電性経路960の抵抗よりも小さい。
【0151】
【0152】
図11Aは、本明細書の実施形態による、基板上への誘電性材料の第1の層の堆積を示す例示的な図である。
【0153】
図11Aに示されるように、製造システム155は、前述の方法で、基板250上に誘電性材料270の層(別名、層#1)を適用して硬化させる。
【0154】
図11Bは、本明細書の実施形態による、誘電性材料の第1の層に第1の熱を加えて、第1の導電性経路を製造することを示す例示的な図である。
【0155】
図11Bに示されるように、製造装置240は、信号231-1を層#1の誘電性材料270に印加して、導電性経路1160及び導電性経路1161(ビア等)を形成する。一実施形態では、十分な熱を加えることにより、導電性経路1161は、層#1の上面と層#1の底面との間に延びる。従って、導電性経路1161は、層同士の間に接続性を提供する。
【0156】
図12Aは、本明細書の実施形態による、誘電性材料の第1の層の上への誘電性材料の第2の層の堆積を示す例示的な図である。
【0157】
図12Aに示されるように、製造システム155は、層#1上の誘電性材料270の第2の層(別名、層#2)を適用し、(熱への暴露を介して)硬化させる。
【0158】
図12Bは、本明細書の実施形態による、誘電性材料の第2の層に第2の熱を加えて、第2の導電性経路を製造することを示す例示的な図である。
【0159】
図12Bに示されるように、製造装置240は、信号231-1を層#2の誘電性材料270に印加して、導電性経路1260(ビア等)及び導電性経路1261を形成する。一実施形態では、十分な熱を加えることにより、導電性経路1260は、層#2の上面と層#2の底面との間に延び、導電性経路1160に至る。
【0160】
図13Aは、本明細書の実施形態による、基板上への誘電性材料の第3の層の堆積を示す例示的な図である。
【0161】
図13Aに示されるように、製造システム155は、誘電性材料270の層#2上に誘電性材料270の第3の層(別名、層#3)を適用して硬化させる。
【0162】
図13Bは、本明細書の実施形態による、誘電性材料の第3の層に第3の熱を加えて、第3の導電性経路を製造することを示す例示的な図である。
【0163】
図13Bに示されるように、製造装置240は、信号231-1を層#3の誘電性材料270に印加して、導電性経路1360(ビア等)及び導電性経路1361を形成する。一実施形態では、十分な熱を加えることにより、導電性経路1360は、層#3の上面と層#3の下面との間に延び、導電性経路1261に至る。
【0164】
図14は、本明細書の実施形態による電子装置を示す例示的な3Dビュー図である。
【0165】
この例示的な実施形態では、誘電性材料の層が、基板1450(例えば、可撓性又は剛性の絶縁性材料)の表面上に堆積される。製造装置は、誘電性材料の層に熱を加えて、導体1411(電子装置185-10の第1の電極)及び導体1412(電子装置185-10の第2の電極)を生成する。誘電性材料1421は、導体1411と導体1412との間に配置される。
【0166】
図15は、本明細書の実施形態による電子装置185-10(円筒形コンデンサ等)の例示的な側面図である。
【0167】
図16は、本明細書の実施形態による、前述したような動作のいずれかを実施するためのコンピュータシステムの例示的なブロック図である。
【0168】
本明細書で議論する任意のリソース(移動体通信装置、無線アクセスポイント、無線局、無線基地局、通信管理リソース、帯域幅管理リソース等)は、本明細書で議論するような様々な操作を実施するように、コンピュータプロセッサハードウェア及び/又は対応する実行可能命令を含むように構成することができる。
【0169】
示されるように、本例のコンピュータシステム1650は、非一時的タイプの媒体(デジタル情報を格納及び検索することができる任意の適切なタイプのハードウェア記憶媒体であり得る)、プロセッサ1613(コンピュータプロセッサハードウェア)、I/Oインターフェース1614、及び通信インターフェース1617等のコンピュータ可読記憶媒体1612を結合する相互接続1611を含む。
【0170】
I/Oインターフェース1614は、リポジトリ1680及び入力リソース1692への接続をサポートする。
【0171】
コンピュータ可読記憶媒体1612は、メモリ、光記憶装置、ハードドライブ、フロッピーディスク等の任意のハードウェア記憶装置であり得る。一実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体1612は、命令及び/又はデータを記憶する。
【0172】
示されるように、コンピュータ可読記憶媒体1612は、本明細書で議論するような操作のいずれかを実施するように、管理アプリケーション140-1(例えば、命令を含む)で符号化され得る。
【0173】
一実施形態の動作中に、プロセッサ1613は、コンピュータ可読記憶媒体1612に格納した管理アプリケーション140-1の命令を起動、実行、実行、解釈、又は他の方法で実行するために、相互接続1611を使用してコンピュータ可読記憶媒体1612にアクセスする。管理アプリケーション140-1の実行は、本明細書で議論するような製造操作及び/又はプロセスのいずれかを実施するための管理プロセス1402を生成する。
【0174】
当業者は、コンピュータシステム1650が、管理アプリケーション140-1を実行するためのハードウェアリソースの割り当て及び使用を制御するオペレーティングシステム等の他のプロセス及び/又はソフトウェア及びハードウェアコンポーネントを含むことができることを理解するであろう。
【0175】
異なる実施形態によれば、コンピュータシステムは、モバイルコンピュータ、パーソナルコンピュータシステム、無線局、接続管理リソース、ワイヤレス装置、ワイヤレスアクセスポイント、基地局、電話装置、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、ノートブック、ネットブックコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ハンドヘルドコンピュータ、ワークステーション、ネットワークコンピュータ、アプリケーションサーバー、ストレージ装置、カメラ等の家電装置、カムコーダー、セットトップボックス、モバイル装置、ビデオゲームコンソール、ハンドヘルドビデオゲーム装置、スイッチ、モデム、ルーター、セットトップボックス等の周辺装置、コンテンツ管理装置、ハンドヘルドリモート制御装置、あらゆるタイプのコンピューティング又は電子装置等を含むがこれらに限定されない様々なタイプの装置のいずれかに存在し得ることに留意されたい。コンピュータシステム1650は、任意の場所に存在することができ、又は任意のネットワーク環境内の任意の適切なリソースに含まれて、本明細書で議論するような機能を実現することができる。
【0176】
次に、異なるリソースによってサポートされる機能について、
図17、
図18、及び
図19のフローチャートを介して説明する。以下のフローチャートのステップは、任意の適切な順序で実行できることに留意されたい。
【0177】
図17は、本明細書の実施形態による方法を示す例示的な図である。
【0178】
処理操作1710において、制御システム140は、絶縁性材料等の第1の粒子121を受け取る。
【0179】
処理操作1720において、制御システム140は、導電性金属材料等の第2の粒子122を受け取る。
【0180】
処理操作1730において、制御システム140は、第1の粒子121及び第2の粒子122の組合せをプリント可能材料(混合物152等)中に懸濁し、プリント可能材料の硬化状態が、閾値を超える熱を加えることによって導電性材料に変換可能である。
【0181】
図18は、本明細書の実施形態による方法を示す例示的な図である。
【0182】
処理操作1810において、製造システム155は、プリント可能材料(混合物152)を基板250に適用する。プリント可能材料(混合物152)は、プリント可能材料中に懸濁した第1の粒子121及び第2の粒子122を含む。一実施形態では、第1の粒子121は絶縁性材料であり、第2の粒子は導電性の金属材料である。
【0183】
処理操作1820において、製造システム155は、基板250上のプリント可能材料(誘電性材料270)を硬化させる。硬化型プリント可能材料(誘電性材料270)中の第2の粒子122は、閾値を超える熱を加えることによって1つ又は複数の導電性経路に変換可能である。
【0184】
図19は、本明細書の実施形態による方法を示す例示的な図である。
【0185】
処理操作1910において、製造装置240は、基板250を受け取る。誘電性材料270の第1の層は、基板250の表面420上に配置される。誘電性材料270の第1の層は、誘電性材料270の第1の層中に懸濁した第1の粒子121及び第2の粒子122を含む。前述したように、一実施形態では、第1の粒子121は、絶縁性材料から製造され、第2の粒子122は、導電性材料122から製造される。
【0186】
処理操作1920において、ソース230の制御を介して、製造装置140は、誘電性材料270の第1の層の領域250-2に熱を加える。(例えば、信号231を介して)熱を加えることにより、領域250-2内の誘電性材料270を導電性経路260に変換する。
【0187】
本明細書の技術は、誘電性材料インクの製造及び使用を容易にするのに非常に適していることに再度留意されたい。しかしながら、本明細書の実施形態は、そのような用途での使用に限定されず、本明細書で議論する技術は、他の用途にも同様に適していることに留意されたい。
【0188】
本明細書に記載した説明に基づいて、特許請求の範囲に記載される主題の完全な理解を与えるために、多数の特定の詳細について記載してきた。しかしながら、特許請求の範囲に記載される主題は、これらの特定の詳細なしで実施し得ることが当業者によって理解されよう。他の例では、当業者が知っているであろう方法、機器、システム等は、特許請求の範囲に記載される主題を曖昧にしないように詳細に説明していない。詳細な説明の一部は、コンピュータメモリ等のコンピューティングシステムメモリ内に格納したデータビット又はバイナリデジタル信号に対する操作のアルゴリズム又はシンボリック表現の観点から提示される。これらのアルゴリズムの説明又は表現は、データ処理技術の当業者が自分の仕事の実体を当業者に伝えるために使用する技術の例である。本明細書で説明するようなアルゴリズムは、一般に、所望の結果をもたらす、自己矛盾のない一連の操作又は同様の処理であると見なされる。この文脈では、操作又は処理には、物理量の物理的な操作が含まれる。典型的に、必ずしもそうではないが、そのような量は、格納、転送、結合、比較、又は他の方法で操作することができる電気信号又は磁気信号の形式をとることができる。主に一般的な使用法の理由から、ビット、データ、値、要素、シンボル、文字、用語、数字、番号等の信号を参照することが便利な場合がある。しかしながら、これら及び類似の用語は全て、適切な物理量に関連付けられており、単なる便利なラベルであることを理解する必要がある。特に明記しない限り、以下の議論から明らかなように、本明細書全体を通して、「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「決定」等の用語を利用する議論は、コンピュータ又は同様の電子コンピューティング装置等のコンピューティングプラットフォームのアクション又はプロセスを指すこと、コンピューティングプラットフォームのメモリ、レジスタ、又は他の情報ストレージ装置、送信装置、又は表示装置内の物理的な電子又は磁気量として表されるデータを操作又は変換することが理解される。
【0189】
本発明は、その好ましい実施形態を参照して特に示し、説明してきたが、当業者は、添付の特許請求の範囲により規定された本願の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の様々な変更を行うことができることを理解するだろう。そのような変形は、この本願の範囲によって網羅されることを意図している。従って、本願の実施形態の前述の説明は、限定することを意図するものではない。むしろ、本発明に対するいかなる制限も、以下の特許請求の範囲に示されている。