(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】保温器
(51)【国際特許分類】
A61F 7/03 20060101AFI20230807BHJP
A61F 7/00 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
A61F7/08 332D
A61F7/00 320Z
(21)【出願番号】P 2023034177
(22)【出願日】2023-03-07
【審査請求日】2023-03-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523081786
【氏名又は名称】有限会社クワハラ
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】桑原 治男
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3143776(JP,U)
【文献】特開平5-312345(JP,A)
【文献】登録実用新案第3125048(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 7/00
A61F 7/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠赤外線を放熱する放熱石板と、前記放熱石板を収容する石板ホルダと、前記放熱石板を加熱するための加熱手段とを備え、前記石板ホルダは、
前記放熱石板の底面を覆う底壁部と、前記放熱石板の周側面の全域を覆う4側壁部を有し、前記底壁部及び前記4側壁部が熱伝導性の高い金属材料から
一体に形成されており、
前記加熱手段は前記石板ホルダの前記底壁部に取り付けられ、前記加熱手段からの熱は、前記石板ホルダ
の前記底壁部に伝達され、前記底壁部及び前記4側壁部を介して前記放熱石板の前記底面及び
前記周側面の全域に伝導されることを特徴とする保温器。
【請求項2】
前記加熱手段は筒状のカートリッジヒータから構成され、前記カートリッジヒータがヒータホルダに収容され、前記ヒータホルダが前記石板ホルダの前記底面側に設けられているとともに、熱伝導性の高い金属材料から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の保温器。
【請求項3】
遠赤外線を放熱する放熱石板と、前記放熱石板を収容する石板ホルダと、前記放熱石板を加熱するための加熱手段と、前記加熱手段を収容するヒータホルダとを備え、前記石板ホルダは、前記放熱石板の底面及び周側面の全域を覆っており、
前記加熱手段は筒状のカートリッジヒータから構成され、前記石板ホルダ及び前記ヒータホルダは、
熱伝導性の高い金属材料から一体的に形成されてホルダ本体を構成し、前記ホルダ本体の上面に前記放熱石板を収容する石板収容部が設けられ、前記ホルダ本体の下部側面に前記カートリッジヒータを収容するヒータ収容部が設けられ、
前記カートリッジヒータが前記ヒータ収容部に収容されており、
前記カートリッジヒータからの熱は、前記ホルダ本体を介して前記放熱石板に伝導されることを特徴とする保温器。
【請求項4】
前記石板ホルダの内側面と前記放熱石板の
側面との間には、熱伝導性の高い金属材料から形成されたシムプレート又は熱伝導性の高い熱伝導セメントが介在されていることを特徴とする請求項
1又は3に記載の保温器。
【請求項5】
前記放熱石板は、ゲルマニウム石板又はトルマリン石板であることを特徴とする請求項
1又は3に記載の保温器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足などを保温するために用いる保温器に関する。
【背景技術】
【0002】
足を保温する足温器として、放熱用石板を用いたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この保温器(足温器)は、表面を露出させて外枠に取り付けた石板と、この石板の下側に配設されたシート状の加熱ヒータ(例えば、PTCヒータ)と、この加熱ヒータの下側に配設された断熱材とを備え、石板として例えば天照石などの遠赤外線を放熱するものが用いられる。
【0003】
この足温器においては、加熱ヒータからの熱が石板に伝わると、この熱によって石板が温められ、その表面から伝わる熱及びその表面から放熱される遠赤外線によって加温され、この石板に例えば足を載せたときにはこの足を温めて保温効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この足温器では、加熱ヒータが石板の下側に配設されているので、加熱ヒータからの熱は石板の底面を通して伝達され、この熱の伝達が効率的でなく、石板が暖まるのに時間を要するという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、加熱手段から放熱用石板への熱の伝達を効率的に行うことができる保温器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の保温器は、遠赤外線を放熱する放熱石板と、前記放熱石板を収容する石板ホルダと、前記放熱石板を加熱するための加熱手段とを備え、前記石板ホルダは、前記放熱石板の底面を覆う底壁部と、前記放熱石板の周側面の全域を覆う4側壁部を有し、前記底壁部及び前記4側壁部が熱伝導性の高い金属材料から一体に形成されており、前記加熱手段は前記石板ホルダの前記底壁部に取り付けられ、前記加熱手段からの熱は、前記石板ホルダの前記底壁部に伝達され、前記底壁部及び前記4側壁部を介して前記放熱石板の前記底面及び前記周側面の全域に伝導されることを特徴とする。
また、本発明の第2の保温器は、遠赤外線を放熱する放熱石板と、前記放熱石板を収容する石板ホルダと、前記放熱石板を加熱するための加熱手段と、前記加熱手段を収容するヒータホルダとを備え、前記石板ホルダは、前記放熱石板の底面及び周側面の全域を覆っており、
前記加熱手段は筒状のカートリッジヒータから構成され、前記石板ホルダ及び前記ヒータホルダは、熱伝導性の高い金属材料から一体的に形成されてホルダ本体を構成し、前記ホルダ本体の上面に前記放熱石板を収容する石板収容部が設けられ、前記ホルダ本体の下部側面に前記カートリッジヒータを収容するヒータ収容部が設けられ、前記カートリッジヒータが前記ヒータ収容部に収容されており、
前記カートリッジヒータからの熱は、前記ホルダ本体を介して前記放熱石板に伝導されることを特徴とする。
【0008】
このような保温器では、加熱手段を筒状のカートリッジヒータから構成し、このカートリッジヒータをヒータホルダに収容して石板ホルダの底面側に設けるのが好ましく、このように構成することにより、加熱手段からの熱をヒータホルダ及び石板ホルダを介して放熱石板に高効率に伝達することができる。
【0010】
また、石板ホルダの内側面と放熱石板の側面との間に、熱伝導性の高い金属材料から形成されたシムプレート又は熱伝導性の高い熱伝導セメントを介在させるのが好ましく、このように構成することにより、放熱石板を石板ホルタに確実に取り付けるとともに、石板ホルダから放熱石板の側面への熱の伝達効率を更に高めることができる。また、放熱石板としては、ゲルマニウム石板、トルマリン石板を好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の保温器によれば、石板ホルダは熱伝導性の高い金属材料(例えば、アルミニウム、アルミ合金など)から形成され、この石板ホルダが放熱石板の底面及び周側面の全域を覆っているので、加熱手段からの熱は、石板ホルダの底壁部及び4側壁部を介して放熱石板の底面及び周側面の全域に伝導され、これによって、この放熱石板を効率良く温め、比較的短時間でもって放熱石板を所望の温度に温めることができる。
また、本発明の第2の保温器によれば、石板ホルダ及びヒータホルダを一体的に形成してホルダ本体を構成し、このホルダ本体の上面に石板収容部を設け、またホルダ本体の下部側面にヒータ収容部を設け、このヒータ収容部にカートリッジヒータを収容しているので、カートリッジヒータからの熱を放熱石板に一層効率的に伝導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に従う保温器の一実施形態を示す斜視図。
【
図2】
図1におけるII-II線により切断するとともに保温器の内部を一部省略した断面図。
【
図3】石板ホルダとヒータホルダを一体化したホルダ本体を示す断面図。
【
図4】変形形態の石板ホルダを展開して示す展開図。
【
図5】本発明に従う保温器を椅子に適用した使用例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う保温器の一実施形態を説明する。
図1及び
図2において、図示の保温器2は、矩形状のハウジング本体4を備え、このハウジング本体4に放熱石板6が取り付けられている。ハウジング本体4は、床面7などに設置される下部ハウジング8と、この下部ハウジング8の上側に配設された上部ハウジング10とを備え、上部ハウジング10は下部ハウジング8の開口を覆うように取り付けられる。
【0014】
この実施形態では、
図2に示すように、下部ハウニング8の側壁内面の複数箇所に取付プレート12が溶接により固定され、この取付プレート12の上部に雌ねじ孔(図示せず)が設けられている。また、上部ハウジング10の側壁には、下部ハウジング8の各取付プレート12に対応して貫通孔(図示せず)が設けられ、各貫通孔を通して取付ねじ14を取付プレート12に螺合することにより、上部ハウジング10が下部ハウジング8に取り付けられる。
【0015】
上述した構成とは反対に、これら取付プレート12を上部ハウニング10の側壁内面の複数箇所に溶接により固定し、下部ハウジング10の側壁に各取付プレート12に対応して貫通孔(図示せず)を形成し、各貫通孔を通して取付ねじ14を取付プレート12に螺合することにより、上部ハウジング10を下部ハウジング8に取り付けるようにしてもよい。
【0016】
この上部ハウジング10の上壁16には矩形状の開口18が設けられ、この開口18を通して外側に露呈するように放熱石板6が配設されている。放熱石板6は石板ホルダ20に保持されて後述する如くしてハウジング本体4に取り付けられる。図示の石板ホルダ20は、熱伝導性の高い金属材料、例えばアルミニウム、アルミ合金などから形成され、その上面には、放熱石板6の大きさに対応した石板収容部22が設けられている。この形態では、石板ホルダ20は底壁部24及びこの底壁部24から上方に延びる4側壁部26,28,30,32を有し、これら底壁部24及び4側壁部26~32によって、上面が開放された石板収容部22を規定する。このような石板ホルダ20は、例えばブロック状部材を切削加工することによって形成される。
【0017】
放熱石板6は、加熱されると遠赤外線を放熱するものから形成するのが好ましく、例えばゲルマニウム石板又はトルマリン石板などから形成される。ゲルマニウム石板としては、ゲルマニウム原石を加工したもの、ゲルマニウムの小石を混ぜて固めたもの、又はゲルマニウム石を粉砕して粉末にしたものを練り込んで固めたもの(例えば、粘土などに練り込んで焼いてタイルのようにしたもの)などを用いることができる。また、トルマリン石板としても、トルマリン原石を加工したもの、トルマリンの小石を混ぜて固めたもの、又はトルマリン石を粉砕して粉末にしたものを練り込んで固めたもの(例えば、粘土などに練り込んで焼いてタイルのようにしたもの)などを用いることができる。
【0018】
このハウジング本体4には、放熱石板6を加熱するための加熱手段34が内蔵されている。加熱手段34としては、小さくて出力が大きいカートリッジヒータ36を用いるのが好適であり、例えば円筒状の細長いもの(例えば、株式会社ミスミグループ本社から販売されているもの)を用いることができる。
【0019】
この実施形態では、カートリッジヒータ36がヒータホルダ38に装着され、このヒータホルダ38が石板ホルダ20に取り付けられる。ヒータホルダ38は、石板ホルダ20と同様に、熱伝導性の高い金属材料、例えばアルミニウム、アルミ合金などから形成される。ヒータホルダ38は、石板ホルダ20の底壁部24よりも小さい矩形状であり、所定方向(
図2において左右方向)に間隔をおいて一対のヒータ挿入孔40が形成されており、これら一対のヒータ挿入孔40にカートリッジヒータ36が挿入されて固定ねじ(図示せず)などにより固定される。このようなヒータホルダ38は、例えばブロック状部材に一対のヒータ挿入孔40を穴加工することにより形成される。
【0020】
このヒータホルダ38は、例えば次のようにして取り付けられる。石板ホルダ20の底壁部24の所定部位に複数の貫通孔(図示せず)を形成し、またヒータホルダ38の所定部位に、石板ホルダ20側の各貫通孔に対応して雌ねじ孔(図示せず)を形成し、石板ホルダ20側の貫通孔を通して固定用ねじ(図示せず)をヒータホルダ38側の雌ねじ孔に螺着することによって、ヒータホルダ38が石板ホルダ20の底壁部24の下面に取り付けられる。
【0021】
この保温器2では、ヒータホルダ38が複数本のステー部材42を介して下部ハウジング8に支持されている。ステー部材42の両端部には雄ねじ部44,46が設けられており、その一方の雄ねじ部44をヒータホルダ38に設けられた雌ねじ孔に螺着し、またその他方の雄ねじ部46を下部ハウジング8の底壁部48に設けられた貫通穴50を通して外側に突出させ、この突出部にナット52を螺着することにより、ヒータホルダ38が下部ハウジング8に取り付けられている。このように構成されているので、石板ホルダ38に装着された放熱石板6は、ヒータホルダ38及び複数のステー部材42を介して下部ハウジング8に支持される。
【0022】
この保温器2においては、加熱手段34(カートリッジヒータ36)の温度は温度調整手段、例えば温度調整ダイヤル(図示せず)により調整され、例えば放熱石板6の表面温度が例えば50~60℃となるように温度調整される。また、上部ハウジング10の上壁16にはメインスイッチ56が配設されている。このメインスイッチ56は、電源をオン、オフするためのスイッチであり、オン操作することにより電源が入り、オフ操作することにより電源が切れる。この形態では、メインスイッチ56を上部ハウジング10の上壁16に配設しているが、その側壁に配設するようにしてもよく、或いは下部ハウジング8の側壁に配設するようにしてもよい。
【0023】
この保温器2においては、石板ホルダ20に関連して、更に、次の通りに構成されている。放熱石板6を石板ホルダ20の石板収容部22に装着した状態においては、
図1に示すように、放熱石板6の上面、石板ホルダ20の4側壁部26~32の上端面及び上部ハウジング10の上壁16の上面が同一平面を規定するように構成するのが好ましく、このように構成することにより、放熱石板6の周囲及びその近傍における表面凹凸を無くし、使用上の安全性を確保することができる。
【0024】
また、この装着状態においては、石板ホルダ20の底壁部24が放熱石板6の底面の全域を覆い、また石板ホルダ20の4側壁部26~32の内面が放熱石板6の周側面(この形態では、4側面)の全域を覆っており、このように構成することにより、放熱石板6からの放熱はその上面からのみとなって無駄な放熱を防ぐことができる。また、カートリッジヒータ36から放熱石板6に伝導される熱は、石板ホルダ20の底壁部24を通して放熱石板6の底面に伝えられるとともに、石板ホルダ20の4側壁部26~32を通して放熱石板6の4側面にも伝えられ、このように熱が伝達されるために、石板ホルダ20を介しての放熱石板6への熱伝導の効率が高められ、石板6を効率良く加熱して比較的短時間で温めることができる。
【0025】
また、放熱石板6の石板ホルダ20への接触性を高めて確実に固定するとともに熱伝導性を高めるために、
図2に示すように、石板ホルダ20の4側壁部26~32の内面と放熱石板6の周側面(この実施形態では、放熱石板6の4側面)との間に、必要に応じて1枚又は複数枚のシムプレート62を介在させるようにするのが好ましい。このシムプレート62は、石板ホルダ20と同様に、熱伝導性の高い金属材料、例えばアルミニウム、アルミ合金などから形成することができる。尚、シムプレート62に代えて、石板ホルダ20の4側壁部26~32の内面と放熱石板6の周側面との間に、熱伝導性の高い熱伝導セメント(図示せず)を介在させるようにしてもよく、この熱伝導セメントを用いても放熱石板6を確実に固定することができるとともに、石板ホルダ20から石板6への熱伝導を高めることができる。
【0026】
この保温器2は足温器として好都合に用いることができ、これを足温器として使用するときには、例えば、放熱石板6の表面に足を載せてメインスイッチ56をオン操作すればよい。かくオン操作すると、加熱手段34(カートリッジヒータ36)に電流が流れて熱が発生し、発生した熱は、ヒータホルダ38及び石板ホルダ20を通して放熱石板6に伝達される。このように熱が伝達されると、放熱石板6が温められ、放熱石板6表面に伝達された熱及びその表面から放熱される遠赤外線によって足が温められ、足を暖かい状態に保つことができる。
【0027】
上述した実施形態では、加熱手段34として2本のカートリッジヒータ36を用いているが、1本又は3本以上のカートリッジヒータを用いるようにしてもよい。また、このようなカートリッジヒータ36に代えて、それ自体周知の他の形態のヒータを用いるようにしてもよい。
【0028】
また、この実施形態では、ヒータホルダ38を複数本のステー部材42を介して下部ハウジング8に取り付けているが、このような構成に代えて、石板ホルダ20を複数本のステー部材42を介して下部ハウジング8に取り付けるようにしてもよい。
【0029】
また、
図3に示すように、石板ホルダ及びヒータホルダを一体化するようにしてもよい。尚、以下の実施形態及び変形形態において、上述した実施形態と実質上同一のものには同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0030】
図3において、図示のホルダ本体72は矩形状の収容本体部74と、この収容本体部74の周側部から上方に延びる4側壁部(
図3において3つの側壁部76,78,80を示す)を有し、収容本体部74及び4側壁部76~80によって、放熱石板6の大きさに対応した石板収容部82を規定する。石板収容部82には放熱石板6が収容され、その上面が石板収容部82の開口から外側に露呈し、このホルダ本体72の上部が石板ホルダとして機能する。
【0031】
また、ホルダ本体72(具体的には、収容本体部74)の下部には、加熱手段としてのカートリッジヒータ84の大きさに対応した一対のヒータ挿入孔86が設けられ、これらのヒータ挿入孔86にはカートリッジヒータ84が挿入固定され、このホルダ本体72の下部がヒータホルダとして機能する。
【0032】
このホルダ本体72を用いたときには、カートリッジヒータ84からの熱はホルダ本体72を通して放熱石板6に伝達され、このホルダ本体72から放熱石板6への熱は、ホルダ本体72の収容本体部74の表面を通して放熱石板6の底面に伝えられるとともに、ホルダ本体72の4側壁部76~80の内面を通して放熱石板6の周側面(4側面)に伝えられる。従って、このホルダ本体72を用いた場合、上述したと同様に、カートリッジヒータ84からの熱伝達は、放熱石板6の底面及び周側面(即ち、4側面)から行われ、これによってカートリッジヒータ84からの熱伝導の効率を高めることができる。更に、カートリッジヒータ84と放熱石板(図示せず)との距離を短くすることができるので、この熱伝導効率を一層高めることができる。
【0033】
尚、このように構成する場合、
図3に示すように、ホルダ本体72の両端下側角部(カートリッジヒータ84の配置方向における下側角部)を切り欠いて側壁部76,78に向けて上方に傾斜する傾斜面88とするのが好ましく、このように構成することにより、材料の無駄を少なくして軽量化などを図ることができる。
【0034】
図4は、石板ホルダの変形形態を示しており、この変形形態においては、石板ホルダは例えば折り曲げ加工により形成される。石板ホルダの展開図を示す
図4において、図示の石板ホルダ92は、矩形状の載置本体部94と、この載置本体部94から外側に延びる4つの側壁部96,98,100,102とを有し、これら4側壁部96~102を破線104に沿って例えば上側(表面側)に谷折りの曲げ加工を施すことによりに、載置本体部94から上方に延びる4側壁部96~102が形成される。
【0035】
この石板ホルダ92においては、載置本体部94及び4側壁部96~102によって石板収容部が規定され、この石版収容部に放熱石板6が収容される。このような構成の場合においても、熱の伝達は、石板ホルダ92の載置本体部94の表面から放熱石板6の底面に、また4側壁部96~102の内面から放熱石板6の周側面(この変形形態では、4側面)に伝達され、それ故に、上述したと同様に、放熱石板6への熱伝導の効率を高めることができる。
【0036】
このような構成の保温器は、このままの形態で用いることによって足温器として好適に使用することができるが、椅子、ベンチなどに組み込んで用いることもできる。
図5を参照して、この使用例では保温器112を椅子114に組み込んで用いている。椅子114の座部116に保温器112が組み込まれ、この保温器112の放熱石板118が座部116の表面から外側に露呈している。このような椅子114では、使用者は、座部116に組み込まれた保温器112の放熱石板118の上に座るようになる。
【0037】
この例では、椅子114の座部116に組み込んでいるが、座部114に代えて、或いはこの座部114に加えて、椅子114の背もたれ部に組み込むようにしてもよい。また、椅子114に代えて、図示していないが、細長いベンチの座部に間隔をおいて複数の保温器を組み込むようにしてもよく、このベンチの背もたれ部にも複数の保温器を組み込むようにしてもよく、或いはベッドなどにも同様に組み込むことができる。
【0038】
以上、本発明に従う保温器の一実施形態について説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【符号の説明】
【0039】
2,112 保温器
4 ハウジング本体
6,118 放熱石板
20,92 石板ホルダ
22 石板収容部
34 加熱手段
36,84 カートリッジヒータ
38 ヒータホルダ
40,86 ヒータ挿入孔
72 ホルダ本体
114 椅子
116 座部
【要約】 (修正有)
【課題】加熱手段から放熱石板への熱の伝達を効率的に行うことができる保温器を提供すること。
【解決手段】遠赤外線を放熱する放熱石板6と、放熱石板を収容する石板ホルダ20と、放熱石板6を加熱するための加熱手段34とを備えた保温器。石板ホルダ20は、放熱石板6の底面及び周側面の全域を覆っているとともに、熱伝導性の高い金属材料から形成されており、加熱手段34からの熱は、石板ホルダ20を介して放熱石板6の底面及び周側面の全域に伝導される。加熱手段34は筒状のカートリッジヒータ36から構成するのが好ましく、カートリッジヒータ36がヒータホルダ38に収容され、このヒータホルダ38が石板ホルダ20の底面に取り付けられる。
【選択図】
図2