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特許7325793バルブ、流体制御装置、および、パージガスラインの変更方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】バルブ、流体制御装置、および、パージガスラインの変更方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/00 20060101AFI20230807BHJP
   F17D 1/04 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
F16K27/00 C
F17D1/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018035540
(22)【出願日】2018-02-28
(65)【公開番号】P2019152218
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-01-06
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100183380
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 裕司
(72)【発明者】
【氏名】堂屋英宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木貴之
(72)【発明者】
【氏名】田中林明
【合議体】
【審判長】佐々木 芳枝
【審判官】窪田 治彦
【審判官】五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-91322(JP,A)
【文献】特開2000-320697(JP,A)
【文献】特開2005-51205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流路、第2流路、および第3流路が形成されたボディと、
常時連通される前記第1流路及び前記第2流路と、前記第3流路との間を連通または遮断する弁体と、
前記弁体を作動させる駆動部を有するアクチュエータと、を備えたバルブであって、
前記ボディには、その前記アクチュエータ側に対する反対側の面に、一直線上に並ぶ第1~第4凹部が形成され、
前記第1流路は、前記第1凹部を介して前記反対側の面に開口し、前記第2流路は、前記第2凹部を介して前記反対側の面に開口し、前記第3流路は、前記第3凹部を介して前記反対側の面に開口し、
前記第1凹部と前記第2凹部との間に、第3凹部と第4凹部とが位置するように形成され、前記第1凹部と前記第2凹部との中間位置と、前記第3凹部と前記第4凹部との中間位置とが同一位置となるように構成され、
前記ボディに形成されたいずれの流路も、前記第4凹部を介して、前記反対側の面に開口していない、バルブ。
【請求項2】
前記同一位置は、前記アクチュエータの中心軸からずれている、請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のバルブと、当該バルブの上流側および下流側が接続される一対の継手とを備え、プロセスガスを流すための複数のガスラインと、
各ガスラインに連結される第1マニホールドを有し、パージガスを流すための第1パージガスラインと、
各ガスラインに連結される第2マニホールドを有し、パージガスを流すための第2パージガスラインと、を備え、
前記第1マニホールドは、各ガスラインにパージガスを流すための第1流出路を有し、
前記第2マニホールドは、各ガスラインにパージガスを流すための第2流出路を有し、
前記バルブは、
前記第1流路と前記一対の継手のうち上流側に位置する継手の流路とが互いに連通し、前記第2流路と前記一対の継手のうち下流側に位置する継手の流路とが互いに連通し、前記第3流路と前記第1流出路とが互いに連通し、前記第2流出路が、前記第4凹部に閉止された状態、または、
前記第2流路と前記一対の継手のうち上流側に位置する継手の流路とが互いに連通し、前記第1流路と前記一対の継手のうち下流側に位置する継手の流路とが互いに連通し、前記第3流路と前記第2流出路とが互いに連通し、前記第1流出路が、前記第4凹部に閉止された状態で、
前記一対の継手、前記第1マニホールド、前記第2マニホールドに連結される、流体制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の流体制御装置において、
前記第1流路と前記一対の継手のうち上流側に位置する継手の流路とが互いに連通し、前記第2流路と前記一対の継手のうち下流側に位置する継手の流路とが互いに連通し、前記第3流路と前記第1流出路とが互いに連通し、前記第2流出路が、前記第4凹部に閉止された状態で、前記一対の継手、前記第1マニホールド、前記第2マニホールドに連結され、前記第1パージガスラインに前記第3流路が接続されたバルブを取り外し、
取り外した前記バルブを180°回転させ、
反転させた前記バルブを、前記第2流路と前記一対の継手のうち上流側に位置する継手の流路とが互いに連通し、前記第1流路と前記一対の継手のうち下流側に位置する継手の流路とが互いに連通し、前記第3流路と前記第2流出路とが互いに連通し、前記第1流出路が、前記第4凹部に閉止された状態に、前記一対の継手、前記第1マニホールド、前記第2マニホールドに連結し、前記第2パージガスラインに前記第3流路を接続する、パージガスラインの変更方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ、流体制御装置、および、パージガスラインの変更方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の流体制御装置では、可燃性ガスを流す複数のガスラインにパージガスを流すためのパージガスラインと、支燃性ガスを流す複数のガスラインにパージガスを流すためのパージガスラインとは、分離して設置されている。これにより、パージガスの一つの供給ラインに可燃性ガスと支燃性ガスの両方が逆流することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-177948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の流体制御装置では、可燃性ガスを流す複数のガスラインのうちの一つに支燃性ガスを流すように、または、支燃性ガスを流す複数のガスラインのうちの一つに可燃性ガスを流すように仕様変更があった場合には、パージガスラインを構成する配管全体を作りなおす必要がある
【0005】
特許文献1に開示されたパージライン変更用ブロック継手を用いることで、後から新たな種類のパージガスを利用することが可能になるが、パージガスラインの配管を一式作りなおす必要があるため、パージガスラインの変更は容易ではない。
【0006】
そこで本発明は、複数のガスラインにおいてパージガスラインの変更を容易にすることことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するために、本発明の一態様であるバルブは、第1流路、第2流路、および第3流路が形成されたボディと、常時連通される前記第1流路および前記第2流路と、前記第3流路との間を連通または遮断する弁体と、前記弁体を作動させる駆動部を有するアクチュエータと、を備える。前記ボディには、その前記アクチュエータ側に対する反対側の面に、一直線上に並ぶ第1~第4凹部が形成され、前記第1流路は、前記第1凹部を介して前記反対側の面に開口し、前記第2流路は、前記第2凹部を介して前記反対側の面に開口し、前記第3流路は、前記第3凹部を介して前記反対側の面に開口し、前記第1凹部と前記第2凹部との間に、第3凹部と第4凹部とが位置するように形成され、前記第1凹部と前記第2凹部との中間位置と、前記第3凹部と前記第4凹部との中間位置とが同一位置となるように構成されている。
【0008】
また、前記同一位置は、前記アクチュエータの中心軸からずれていてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様である流体制御装置は、上記のバルブと、当該バルブの上流側および下流側が接続される一対の継手とを備え、プロセスガスを流すための複数のガスラインと、各ガスラインに連結される第1マニホールドを有し、パージガスを流すための第1パージガスラインと、各ガスラインに連結される第2マニホールドを有し、パージガスを流すための第2パージガスラインと、を備える。前記第1マニホールドは、各ガスラインにパージガスを流すための第1流出路を有し、前記第2マニホールドは、各ガスラインにパージガスを流すための第2流出路を有する。前記バルブは、前記第1流路と前記一対の継手のうち上流側に位置する継手の流路とが互いに連通し、前記第2流路と前記一対の継手のうち下流側に位置する継手の流路とが互いに連通し、前記第3流路と前記第1流出路とが互いに連通し、前記第2流出路が、前記第4凹部に閉止された状態、または、前記第2流路と前記一対の継手のうち上流側に位置する継手の流路とが互いに連通し、前記第1流路と前記一対の継手のうち下流側に位置する継手の流路とが互いに連通し、前記第3流路と前記第2流出路とが互いに連通し、前記第1流出路が、前記第4凹部に閉止された状態で、前記一対の継手、前記第1マニホールド、前記第2マニホールドに連結される。
【0010】
また、本発明の一態様であるパージガスラインの変更方法は、上記の流体制御装置において、 前記第1流路と前記一対の継手のうち上流側に位置する継手の流路とが互いに連通し、前記第2流路と前記一対の継手のうち下流側に位置する継手の流路とが互いに連通し、前記第3流路と前記第1流出路とが互いに連通し、前記第2流出路が、前記第4凹部に閉止された状態で、前記一対の継手、前記第1マニホールド、前記第2マニホールドに連結され、前記第1パージガスラインに前記第3流路が接続されたバルブを取り外し、前記バルブを180°回転させ、反転させた前記バルブを、前記第2流路と前記一対の継手のうち上流側に位置する継手の流路とが互いに連通し、前記第1流路と前記一対の継手のうち下流側に位置する継手の流路とが互いに連通し、前記第3流路と前記第2流出路とが互いに連通し、前記第1流出路が、前記第4凹部に閉止された状態に、前記一対の継手、前記第1マニホールド、前記第2マニホールドに連結し、前記第2パージガスラインに前記第3流路を接続する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のガスラインにおいてパージガスラインの変更を容易にすることができる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係る流体制御装置の系統図である。
図2】第1の実施形態に係る流体制御装置の平面図である。
図3図2に示した流体制御装置のIII-III線に沿った断面図である。
図4】第1の実施形態のバルブの第3流路が、第1マニホールドの第1流出路に接続された状態を示す図である。
図5】第1の実施形態のバルブの第3流路が、第2マニホールドの第2流出路に接続された状態を示す図である。
図6】第2の実施形態に係る流体制御装置の平面図である。
図7】第2の実施形態のバルブの第3流路が、第1マニホールドの第1流出路に接続された状態を示す図である。
図8】第2の実施形態のバルブの第3流路が、第2マニホールドの第2流出路に接続された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係るバルブ40を備える流体制御装置1について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る流体制御装置1の系統図である。図2は、流体制御装置1の平面図である。図3は、図2に示した流体制御装置1のIII-III線に沿った断面図である。
【0015】
流体制御装置1は、ベース2と、複数のガスライン10と、第1パージガスライン20と、第2パージガスライン30とを備える。
【0016】
ベース2は、鋼材等により構成され、平板状をなしている。ベース2には、複数のボルト螺合孔2aが形成されている。各ガスライン10には、例えば可燃性ガスまたは支燃性ガスが流される。可燃性ガスは、例えば、水素(H)、メタン(CH)、シラン(SiH)等であり、支燃性ガスは、例えば、酸素(O)、亜酸化窒素(NO)、塩素(Cl)等である。各ガスライン10の構成は同じであるので、以下では複数のガスライン10のうちの一つのガスライン10についてのみ説明を行う。
【0017】
図1図3に示すように、各ガスライン10は、複数の継手11と、複数の流体制御機器12~17、40と、複数のボルト18と、複数のガスケット19(図4参照)とを備える。なお、図の簡略化のために、複数のボルト18については、一つのボルト18にのみ参照番号を付している。ガスケット19は、シール部材であり、例えば金属または樹脂等により構成される。
【0018】
複数の継手11は、ガスライン10の長手方向に沿って一列に並ぶように配置され、ボルト螺合孔2aに図示せぬボルトが螺合されることによりベース2に対し固定されている。継手11は、略直方体形状をなし、略V字状の流路11aが形成されている。継手11には、流路11aの各開口部に凹部11b(図4参照)が形成されている。なお、最上流側の継手11は、図示せぬ入口配管に接続され、最下流側の継手11は、図示せぬ出口配管に接続される。
【0019】
複数の流体制御機器12~17、40は、手動弁であるバルブ12と、レギュレータ(減圧弁)13と、圧力計14と、自動弁(例えば流体駆動式の自動弁)であるバルブ15、40と、流量制御機器(例えば、マスフローコントローラ(MFC:Mass Flow Controller))16と、フィルタ17とにより構成されている。各流体制御機器12~17、40は、ボルト18により、対応する継手11に固定されている。
【0020】
第1パージガスライン20および第2パージガスライン30は、複数のガスライン10に隣接して設けられ、第2パージガスライン30は、第1パージガスライン20から分岐している。第1パージガスライン20および第2パージガスライン30は、一つのパージガス供給源からのパージガス(例えば、窒素)を複数のガスライン10に流すためのラインであり、第1パージガスライン20は、可燃性ガスが流れるガスライン10に、第2パージガスライン30は支燃性ガスが流れるガスライン10にパージガスを流すために設けられている。
【0021】
第1パージガスライン20は、複数の継手21(図2では一つの継手21のみ表示)と、複数の流体制御機器22~24と、複数のボルト25と、図示せぬ複数のガスケットと、第1配管部26と、第1マニホールド27とを備える。なお、図の簡略化のために、複数のボルト25については、一つのボルト25にのみ参照番号を付している。ガスケットは、シール部材であり、例えば金属または樹脂等により構成される。
【0022】
継手21の構成は、継手10の構成と同じであるので説明を省略する。複数の流体制御機器22~24は、手動弁であるバルブ22と、レギュレータ(減圧弁)23と、圧力計24とにより構成されている。各流体制御機器22~24は、ボルト25により、対応する継手21に固定されている。
【0023】
第1配管部26は、一端が圧力計24の出口側に接続され、他端が第1マニホールド27の入口側に接続されている。第1マニホールド27は、バルブ40の下側を各ガスライン10を横切るように配置され、各バルブ40に対し連結されている。図4に示すように、第1マニホールド27には、ガスライン10に対し直交するように延びる第1共通流路27aと、第1共通流路27aから各バルブ40に向かって延びる第1流出路27bとが形成されている。また、第1マニホールド27の第1流出路27bの開口部には、凹部27cが形成されている。
【0024】
図2に示すように、第2パージガスライン30は、図示せぬ複数の継手と、複数の流体制御機器31~32と、複数のボルト33と、図示せぬ複数のガスケットと、分岐部34と、第2配管部35と、第2マニホールド36とを備える。なお、図の簡略化のために、複数のボルト33については、一つのボルト33にのみ参照番号を付している。ガスケットは、シール部材であり、例えば金属または樹脂等により構成される。
【0025】
図示せぬ継手の構成は、継手10の構成と同じである。複数の流体制御機器31、32レギュレータ(減圧弁)31と、圧力計32とにより構成されている。各流体制御機器31~32は、ボルト33により、対応する継手に固定されている。分岐部34により、レギュレータ31の上流側と、第1パージガスライン20のバルブ22とレギュレータ23との間の部分とが接続されている。
【0026】
第2配管部35は、一端が圧力計32の出口側に接続され、他端が第2マニホールド36の入口側に接続されている。第2マニホールド36は、バルブ40の下側を各ガスライン10を横切るように配置され、各バルブ40に対し接続されている。図4に示すように、第2マニホールド36には、ガスライン10に対し直交するように延びる第2共通流路36aと、第2共通流路36aから各バルブ40に向かって延びる第2流出路36bとが形成されている。また、第2マニホールド36の第2流出路36bの開口部には、凹部36cが形成されている。
【0027】
バルブ40の下側に位置する第1マニホールド27、第2マニホールド36、およびこれらの上流側・下流側に位置する継手11において、第1マニホールド27の凹部27cおよび第2マニホールド36の凹部36cの中間位置と、上流側・下流側に位置する継手11の凹部11bの中間位置とは略同一位置Aとなるように構成されている。当該同一位置Aは、アクチュエータ42の中心軸C上に位置する。なお、本実施形態では、第1マニホールド27、第2マニホールド36、およびこれらの上流側・下流側に位置する継手11は、互いに隣り合う凹部27c、36c、11bとの間が等距離となるように設置されている。
【0028】
次に、バルブ40について図4、5を参照して説明する。
【0029】
図4は、バルブ40の第3流路46cが、第1マニホールド27の第1流出路27bに接続された状態を示す図であり、図5は、バルブ40の第3流路46cが、第2マニホールド36の第2流出路36bに接続された状態を示す図である。
【0030】
図4、5に示すように、バルブ40は、ボディ41と、アクチュエータ42とを備える。
【0031】
ボディ41は、本体部43と円筒部44とを備え、例えば、切削、鋳造、ロストワックス、または3Dプリンタにより製造される。本体部43には、第1流路46aと、第2流路46bと、第3流路46cとが形成されている。円筒部44は、本体部43の上側に設けられ、弁室44aが形成されている。また、弁室44aには、環状の溝44bが形成され、弁体であるダイヤフラム44Cが設けられている。第1流路46aおよび第2流路46bは、溝44bに連通し、第3流路46cは、溝44b以外の弁室44aに連通するように構成されている。よって、第1流路46aおよび第2流路46bは、溝44bのより常時連通している。なお、本体部43の詳細な構成については後述する。
【0032】
アクチュエータ42は、ボンネット42Aと、シート42Bと、押さえアダプタ42Cと、ダイヤフラム押さえ42Dと、図示せぬステムと、図示せぬ駆動部とを有する。
【0033】
ボンネット42Aは、略円筒状をなし、ボディ41の円筒部44に対し固定されている。シート42Bは、環状をなし、円筒部44の弁室44aと第3流路46cとが連通する箇所の周縁に設けられている。ダイヤフラム44Cは、押さえアダプタ42Cにより、その外周縁部が狭圧され、ボディ41に対し保持されている。
【0034】
弁体であるダイヤフラム44Cは、略球殻状をなし、上に凸の略円弧状が自然状態となっている。ダイヤフラム44Cがシート42Bに対し当接および離間することによって、第1流路46aおよび第2流路46bと、第3流路46cとの間の連通または遮断が行われる。バルブ40が閉状態にあるときには、ダイヤフラム44Cがシート42Bに当接し、第1流路46aおよびと第2流路46bと、第3流路46cとが遮断される。バルブ40が開状態にあるときには、ダイヤフラム44Cがシート42Bから離間し、第1流路46aおよび第2流路46bと、第3流路46cとが連通する。
【0035】
ダイヤフラム押さえ42Dは、ダイヤフラム44Cの上側に設けられ、ダイヤフラム44Cの中央部を押圧可能に構成されている。ダイヤフラム押さえ42Dは、ボンネット42Aにより上下方向に移動可能に支持されている。図示せぬステムは、ボンネット42Aにより、上下方向に移動可能に支持されている。図示せぬ駆動部は、外部からの流体により駆動力を発生させ、図示せぬステムを上下動させる。
【0036】
本体部43は、そのアクチュエータ42側に対する反対側に位置し、継手11、第1マニホールド27、第2マニホールド36に当接する当接面45を有する。当接面45には、第1~第4凹部45a~45dが形成されている。第1~第4凹部45a~45dは、一直線上に並ぶように形成され、第1凹部45aおよび第2凹部45bの中間位置と、第3凹部45cおよび第4凹部45dの中間位置とが略同一位置Aとなるように構成されている。当該同一位置Aは、アクチュエータ42の中心軸C上に位置する。本実施形態では、第1~第4凹部45a~45dは、互いに隣り合う凹部との間が等距離に形成されている。
【0037】
上記のように本体部43には、第1流路46aと、第2流路46bと、第3流路46cとが形成されている。
【0038】
第1流路46aは、プロセスガスおよびパージガスを流すための流路であり、第1凹部45aを介して当接面45に開口する第1ポート47aを有する。第2流路46bは、プロセスガスおよびパージガスを流すための流路であり、第2凹部45bを介して当接面45に開口する第2ポート47bを有する。第3流路46cは、パージガスを流すための流路であり、第3凹部45cを介して当接面45に開口する第3ポート47cを有する。
【0039】
図4では、本体部43の凹部45aおよび上流側に位置する継手11の下流側の凹部11bには、ガスケット19が挿入され、本体部43と上流側に位置する継手11との連結部分がシールされている。本体部43の凹部45bおよび下流側に位置する継手11の上流側の凹部11bには、ガスケット19が挿入され、本体部43と下流側に位置する継手11との連結部分がシールされている。本体部43の凹部45cおよび第1マニホールド27の凹部27cには、ガスケット19が挿入され、本体部43と第1マニホールド27との連結部分がシールされている。本体部43の凹部45dおよび第2マニホールド36の凹部36cには、ガスケット19が挿入され、本体部43と第2マニホールド36との連結部分がシールされている。
【0040】
これにより、第1流路46aは、上流側に位置する継手11の流路11aに連通し、第2流路46bは、下流側に位置する継手11の流路11aに連通し、第3流路46cは、第1マニホールド27の第1流出路27bに連通している。また、第2マニホールド36の第2流出路36bは、第4凹部45dにより閉止され、第1~3流路46a~46cのいずれとも連通していない。すなわち、当該バルブ40の第3流路46cは、第1パージガスライン20に接続されているが、第2パージガスライン30には接続されていない。このように、バルブ40は、第1パージガスライン20に接続されているので、バルブ40を有するガスライン10には、可燃性ガスが流される。
【0041】
当該バルブ40を有するガスライン10では、バルブ40は閉状態のまま、バルブ15を開閉することにより、可燃性ガスの供給・遮断が行われる。また、パージガスによりマスフローコントローラ16等をパージするときは、バルブ22は開状態であり、バルブ15を閉じ、バルブ40を開閉することにより、パージガスの供給・遮断が行なわれる。バルブ40は、第1パージガスライン20に接続されているので、第1パージガスライン20からのパージガスが当該ガスライン10を流れる。
【0042】
次に、第2パージガスライン30に接続した状態のバルブ40について説明する。
【0043】
図5に示すように、バルブ40は、図4に示した状態から180°反転させて、継手11、第1マニホールド27、および第2マニホールド36に接続されている。
【0044】
本体部43の凹部45aおよび下流側に位置する継手11の上流側の凹部11bには、ガスケット19が挿入され、本体部43と下流側に位置する継手11との連結部分がシールされている。本体部43の凹部45bおよび上流側に位置する継手11の下流側の凹部11bには、ガスケット19が挿入され、本体部43と上流側に位置する継手11との連結部分がシールされている。本体部43の凹部45dおよび第1マニホールド27の凹部27cには、ガスケット19が挿入され、本体部43と第1マニホールド27との連結部分がシールされている。本体部43の凹部45cおよび第2マニホールド36の凹部36cには、ガスケット19が挿入され、本体部43と第2マニホールド36との連結部分がシールされている。
【0045】
これにより、第1流路46aは、下流側に位置する継手11の流路11aに連通し、第2流路46bは、上流側に位置する継手11の流路11aに連通し、第3流路46cは、第2マニホールド36の第2流出路36bに連通している。また、第1マニホールド27の第1流出路27bは、第4凹部45dにより閉止され、第1~3流路46a~46cのいずれとも連通していない。すなわち、当該バルブ40の第3流路46cは、第2パージガスライン30に接続されているが、第1パージガスライン20には接続されていない。このように、バルブ40は、第2パージガスライン30に接続されているので、バルブ40を有するガスライン10には、支燃性ガスが流される。
【0046】
当該バルブ40を有するガスライン10では、バルブ40は閉状態のまま、バルブ15を開閉することにより、支燃性ガスの供給・遮断が行われる。また、パージガスによりマスフローコントローラ16等をパージするときは、バルブ22は開状態であり、バルブ15を閉じ、バルブ40を開閉することにより、パージガスの供給・遮断が行なわれる。バルブ40は、第2パージガスライン30に接続されているので、第2パージガスライン30からのパージガスが当該ガスライン10を流れる。
【0047】
本実施形態のバルブ40および流体制御装置1では、図4に示した連結状態のバルブ40を取り外し、取り外したバルブ40を180°回転させ、反転させたバルブ40を図5に示した連結状態にすることにより、パージガスラインを変更することができる。
【0048】
このように、本実施形態のバルブ40によれば、ボディ41の本体部43の当接面45に、一直線上に並ぶ第1~第4凹部45a~45cが形成され、第1流路46aは、第1凹部45aを介して当接面45に開口し、第2流路46bは、第2凹部45bを介して当接面45に開口し、第3流路46cは、第3凹部45cを介して当接面45に開口している。そして、第1凹部45と第2凹部45との間に、第3凹部45と第4凹部45とが位置するように形成され、第1凹部45と第2凹部45との中間位置と、第3凹部45と第4凹部45との中間位置とが同一位置となるように構成されている。
【0049】
当該構成によれば、バルブ40を180°回転させることにより、バルブ40は、第1流路46aが、上流側に位置する継手11の流路11aに連通し、第2流路46bが、下流側に位置する継手11の流路11aに連通し、第3流路46cが、第1マニホールド27の第1流出路27bに連通し、第2マニホールド36の第2流出路36bが、第4凹部45dにより閉止された状態、または、第1流路46aが、下流側に位置する継手11の流路11aに連通し、第2流路46bが、上流側に位置する継手11の流路11aに連通し、第3流路46cが、第2マニホールド36の第2流出路36bに連通し、第1マニホールド27の第1流出路27bが、第4凹部45dにより閉止された状態で、一対の継手11、第1マニホールド27、第2マニホールド36に連結することができる。
【0050】
よって、可燃性ガスを流したいガスライン10のバルブ40を第1バージガスライン20に接続し、支燃性ガスを流したいガスライン10のバルブ40を第2パージガスライン30に接続することができる。したがって、パージガスラインの変更を容易にすることができ、複数のガスライン10を備える流体制御装置1において、可燃性ガスと支燃性ガスとが混合するのを防止することができる。また、複数のパージガスラインを備える流体制御装置1において、パージガスラインの設計を共通化することができる。
【0051】
次に、本発明の第2の実施形態に係るバルブ50を備える流体制御装置101について説明する。
【0052】
図6は、第2の実施形態に係る流体制御装置101の平面図である。図7は、バルブ50の第3流路46cが、第1マニホールド27の第1流出路27bに接続された状態を示す図であり、図8は、バルブ50の第3流路46cが、第2マニホールド36の第2流出路36bに接続された状態を示す図である。なお、第1の実施形態の流体制御装置1と同一の部材について、同一の参照番号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明を行う。
【0053】
本実施形態では、バルブ50のボディ51の構成が異なる。ボディ51は、本体部53と円筒部54とを備える。第1の実施形態では、円筒部44の軸は、同一位置A上に位置していたが、本実施形態では円筒部54の軸は、同一位置Aからずれている。すなわち、同一位置Aは、アクチュエータ42の中心軸Cからずれるように構成されている。
【0054】
かかる構成によれば、バルブ50を180°回転させた場合に、図6-8に示すようにアクチュエータ42の位置がずれることとなる。これにより、バルブ50が、第1パージガスライン20または第2パージガスライン30のどちらに接続されているかを容易に確認することができ、複数のガスライン10を備える流体制御装置101において、パージガスラインの変更を容易にすることができ、可燃性ガスと支燃性ガスとが混合するのを防止することができる。また、複数のパージガスラインを備える流体制御装置1において、パージガスラインの設計を共通化することができる。
【0055】
また、本実施形態に係るバルブ50および流体制御装置101においても、第1の実施形態のバルブ40および流体制御装置1と同様の効果を奏する。
【0056】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
【0057】
例えば、上記の実施形態において、第1パージガスライン20および第2パージガスライン30は、一つのパージガス供給源からのパージガスを流すように構成していたが、第1パージガスライン20および第2パージガスライン30において、異なるパージガス供給源から異なるパージガスを流すように構成してもよい。この場合には、分岐部34が削除され、第2パージガスライン30に新たに手動弁を設ける。
【符号の説明】
【0058】
1、101:流体制御装置
10:ガスライン
11:継手
11a:流路
20:第1バージガスライン
27:第1マニホールド
27b:第1流出路
30:第2パージガスライン
36:第2マニホールド
36b:第2流出路
40、50:バルブ
41、51:ボディ
42:アクチュエータ
43:本体部
44C:ダイヤフラム
45:当接面
45a:第1凹部
45b:第2凹部
45c:第3凹部
45d:第4凹部
46a:第1流路
46b:第2流路
46c:第3流路
A:同一位置
C:中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8